JP2002512858A - 電磁心臓補助技術 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
心臓が心臓の外部表面に分離した電磁石（１１２）と心室内部に埋め込まれた別の電磁石（１０８）とにより血液をポンプ送りするために人工的に収縮される。電流が電磁石に選択的に流され、電磁石を吸引する磁場を発生する。この吸引が心室を収縮させ、これらの心室から血液をポンプ送りする力を発生させる。心臓の自然な収縮により電流を発生させる技術も記載される。
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
（発明の背景）
本発明は心臓のポンプ作用を支援する人工装置に関する。
【０００２】
心臓疾患により心臓が正しく収縮できず、動脈を介して血液をポンプ送りする
事ができなくなることがある。一つの処置は心臓の表面または内部に取り付けら
れた電極付き人工ペーシング（脈拍調整）装置を外科的に埋め込むことである。
埋め込まれたペーシング装置の制御装置は収縮させ心室から血液をポンプ送り出
すために心臓の筋肉を刺激する電極に周期的に電気パルスを送る。このペーシン
グ作用で心臓の収縮を制御し、自然な血液ポンプ作用を行う。 【０００３】 より重い心臓疾患を持つ患者は、外部刺激で十分なポンプ作用を行うには心臓
の筋肉が非常に低下しているので、通常のペーシングに望ましくない。これらの
患者の処置は心室の一部を切除し、開口部に人工ポンプを埋め込むことが行われ
る。人工ポンプは心臓のポンプ作用を補助する。この厳しい解決法は、人工ポン
プが挿入される心臓の一部が永久的に除去されるので、患者が入手可能な最後の
選択肢である。典型的には、この処置は移植のための心臓提供者を見つけるため
に患者を延命させるためだけに利用される。 【０００４】 したがって、相当に筋肉劣化した患者の心臓の収縮を人工的に行い、処置が人
工ポンプの外科的な埋め込みより侵入的でなくかつ急進的でない技術を提供する
ことが望まれる。 【０００５】 （発明の概要） 本発明の全般的な目的は、従来の心臓ペーシングでは不十分である部位に血液
をポンプ送りするために心室を人工的に収縮させる技術および装置を提供するこ
とである。この発明は心臓の心臓出力を増強させることができる。 【０００６】 本発明の他の目的は心室を収縮させる磁界を発生させるために電磁石を利用す
ることである。 【０００７】 本発明のさらなる目的は複数の電磁石を利用し、血液のポンプ送りを最適化す
る管理された収縮を発生させるように各電磁石への電流の流れを制御することで
ある。 【０００８】 これらのおよび他の目的は血液をポンプ送りするために動物の心臓を人工的に
収縮させる方法により達成される。第１磁石は第１心室の片側に取り付けられ、
第１磁石は第１磁場を発生させる。第２磁石は第１心室の別の側に配置され、こ
の第２磁石は第２磁場を発生する。本方法の好ましい実施例において、これらの
２つの磁石は電流がコイルに流れると磁界を発生させる電磁石コイルである。 【０００９】 心臓を収縮させるために、第１磁石は選択的に活性化され、第２磁場と相互に
作用する第１磁場を発生させる。この相互作用により、心臓の第１心室を収縮す
る力を発生する。 【００１０】 本方法は心臓の右心室および左心室の一方または双方を収縮させるために使用
可能である。この場合、両心室外の心臓の外表面に分離した電磁石を取り付ける
ことが好ましい。カテーテル上の別のコイルはこれらの心室の一つに挿入され、
心臓の壁に取り付けられる。電流パルスが異なるコイルに印加され、互いにコイ
ルを吸引する力を発生し右心室および左心室を収縮させる磁場を発生する。 【００１１】 （実施例の詳細な説明） 図１を参照すると、人間の心臓１０は右心房１１、左心房１２、右心室１３、
および左心室１４を有する。体から心臓１０に戻る血液は上位および下位大静脈
を流れ、三尖弁１６および右心室１３にポンプで送られる右心房１１に流れる。
右心房１３の収縮により、三尖弁１６を発生した圧力に反応して閉鎖し、血液が
肺状動脈を介して外部に流れる。血液が肺を通過すると、酸素を送られた血液は
左心房１２に戻り、左心室に押し上げられ大動脈を通って体内にポンプ送りされ
る。 【００１２】 適切な量の血液を体内にポンプ送りできない心臓のために、人工的な収縮補助
装置１８が患者に埋め込まれる。既知の方法で、カテーテル２０がいずれかの静
脈に導入され、上位大動脈２１を通して右心室１１に進入される。さらに押し進
めると、カテーテル２０が三尖弁１６を通り右心室１３に入る。この処置は従来
の電極ペーシング装置用のカテーテルを埋め込むために使用されるものと類似で
ある。これらの方法において、通常、カテーテル電極の先端は心尖２２に向う右
心室の内壁に押し込められる。 【００１３】 同様な一般的な方法が本発明に従って電磁石刺激カテーテル２０を導入するた
めに実施される。カテーテル２０は好ましくは米国特許第５，６７４，２７１号
に開示された操縦可能な型のカテーテルである。カテーテル２０はワイヤが図２
に示されるカテーテルに沿って螺旋状に長手方向に巻かれたコイル２６に繋がる
先端２６を介して延びる電線を有する。具体的には、コイル２６は内部巻線２５
とこの内部巻線と同軸状で反対方向に巻かれた外部巻線２７を有する。内部巻線
２５および外部巻線２７は反対方向に巻かれるので、各電場は互いに加算される
。カテーテル２０の操縦可能な特性によりコイル２６は図１に示される２つの心
室１３および１４間の隔壁に配置できる。先端２４はカテーテルを正しい位置に
置くために隔壁に埋め込むためにコルク栓抜き状の素子を有する。代替え手段と
して、ペーシングカテーテルとともに普通に使用される他の技術がカテーテルの
先端を固定するために採用できる。 【００１４】 複数の電気コイル２８が左心室１４外の心臓の外部表面に取り付けられる。別
の複数の電気コイル３０が右心室１３の外部表面に取り付けられる。図３に示さ
れるように、電気コイル２８および３０の各々は好ましくは外科用接着剤または
ひと針で心臓１０の外部表面に取り付けられた柔軟基板３２からなる。螺旋形状
の電気コイル３４が基板３２上に形成され、この基板の２層間に挟まれている。
コイル３４は基板表面に螺旋状に巻かれたワイヤにより、または螺旋形状に形成
するためにエッチングされた電気導電材料の薄層によって形成できる。代替え手
段として、心臓の片側用のコイルは単一の柔軟基板上にも形成可能である。 【００１５】 電気コイルの他の形状が本心臓支援技術に利用可能である。例えば、図４に示
されるように、外部コイル２８および２０が板状の柔軟基板３２により支持され
た細長い螺旋巻線３５により形成可能である。柔軟基板３２は心臓１０の外部表
面に対して全般に垂直方向に取り付けられ、外科用の接着剤またはひと針で正し
い位置に保持される。 【００１６】 カテーテル２０内および電気コイル２８および３０からの延びるワイヤは制御
装置３６に延びている。この制御装置は心臓の筋肉の反応性収縮を刺激する電極
に印加される電気パルスを発生する従来の心臓ペーシング装置に似ている。しか
しながら、この制御装置３６は種々のコイルに流れる電流パルスを印加し、制御
された方法でコイルが相互に吸引される磁界を発生させる。具体的には、心室１
３および１４の収縮が望まれるとき、制御装置３６は所望の収縮期間に等しい期
間を有する直流の電気パルスをカテーテル２０のコイル２６に印加する。このカ
テーテルパルス期間中、直流のパルスが外部電気コイル２８および３０に印加さ
れる。カテーテルコイル２６および外部電気コイル２８および３０に印加された
電流がコイルの周りに電磁場を発生させる。各コイルに流れる直流の方向により
、磁場が極性化され、外部コイル２８および３０がカテーテル２０の内部コイル
２６方向に吸引される。この磁気吸引は心臓筋肉が心室を収縮させたと同様に右
心室１３および／または左心室１４を吸引する。 【００１７】 典型的には、制御装置は心臓の自然な収縮が生じているときを示す、センサー
３９により集合的に示された、複数のセンサーから入力信号を受信する。制御装
置３６は電気パルスをコイル２６，２８および３０に印加することにより信号に
応答する。通常、患者は正常の機能の数分の１（例えば５０％）である心臓機能
を持っている。この場合、電気パルスは十分な心臓出力を得るための残量に対し
て心室を圧縮するために自然な心臓収縮の終わりに時間を合わせて印加される。
このように、本発明の技術は障害のある心臓の効率を増加させることができる。 【００１８】 制御装置はプログラムされているので、心室１４および１３の各々の外部コイ
ル２８および３０は個別にまたは同時に脈動される。コイル２６，２８および３
０に印加された電流の振幅は心室１３および１４の各々の心臓収縮の所望の量を
発生させるために個別に制御される。例えば、制御装置３６はカテーテル２０上
に位置決めされた圧力センサー３８により右心室の圧力の検出に応答して電流の
大きさを変化させることができる。任意の心室の外部コイル２８および３０は制
御装置３６により同時にまたは順番に脈動され、血液を心室から大動脈を通って
強制的に流すために心尖２２から基部または流出領域へ進行するように心室を圧
縮する。 【００１９】 図５を参照すると、本発明の変形の実施例では心臓４０の後部上に同様に位置
決めされた追加のコイルと共に複数の外部コイル４１，４２，４３，４４，４５
，４６および４７を利用している。この実施例では心臓内部のコイルを有するカ
テーテルを必要としない。外部電磁石コイル４１−４７の各々は外科用の接着剤
またはひと針で心臓４０の外部表面に取り付けられた柔軟基板４９に取り付けら
れた電気導体の少なくとも一つのループ４８から構成される。 【００２０】 心臓４０を収縮させるために、電流が近傍のコイル４１−４７を反対方向に流
れる。例えば、電流は奇数番号コイル４１，４３，４５および４７を時計方向に
流れ、偶数番号コイル４２，４４および４６を反時計方向に流れる。これにより
近傍コイル内の逆極性の電磁界を発生させ、近傍のコイルの吸引を生じさせる力
になる。コイルが対向方向に進むと、心臓４０の外壁はひだが付けられ、筋肉を
収縮させる。同様の電磁石コイルを心房の収縮を支援するために心臓の上部に設
けることもできる。 【００２１】 図６を参照すると、本発明の心臓補助技術の第３実施例は心臓５０の心室領域
の周囲に複数の外部帯部５１，５２および５３を設けている。各帯部５１−５３
は電磁アクチュエータにより共に結合された端部を有する一連のセグメントによ
り形成される。例えば、第１帯部５１は心臓５０の後部の周囲に延びる他のセグ
メント５４，５５および５６を有する。第１帯部５１のアクチュエータ５７，５
８および５９の各々は他のセグメントに接続された電機子を有する帯部の位置セ
グメントに取り付けられたソレノイドコイルから構成される。例えば、アクチュ
エータ５８は帯部セグメント５５に接続されたソレノイドコイル６０および帯部
セグメント５４に結合された電機子６２を有する。少なくとも、帯部はセグメン
トの端部を共に結合する一つのアクチュエータを有する単一のセグメントを有す
る。さらに、心臓に設けられる帯部の数は変更可能である。 【００２２】 心臓５０の心室の収縮を発生させるために、制御装置は帯部５１−５３の全ア
クチュエータに同時に電流を流す。第１帯部５１のために、アクチュエータ５７
，５８および５９は同時に通電される。この作用により電機子をアクチュエータ
５７−５９のソレノイドコイルに引く込む電磁界を発生させ、帯セグメント５４
−５６を近接するように引きつける。帯部５１の周辺長が減少し、心臓５０を収
縮させる。他の帯部５２および５３は第１帯部５１のように同時に収縮されるか
、または他の複数の帯部が心尖６４に最も近い帯部５３と共に順次始動するよう
に通電される。後者の作用は流出領域方向に心臓５０の進行的収縮を発生させ、
血液を心室から大動脈を介して強制的に流す。 【００２３】 本発明は心臓１０を自然なポンプ作用で支援するために電磁石吸引を利用して
いる。心臓切除を必要としないこの技術は従来の人工ポンプ支援技術に比べ侵入
的でなく、心臓の自然なポンプ作用を再現する。プログラマブル制御装置３６を
利用することにより、電磁界の大きさが変化し、患者の心臓収縮力を形成する。 【００２４】 さらに、現在使用されている人工ポンプで実施されるように、循環する血液が
ポンプ送りされるべき心臓に残らない。従って、現在の心臓ポンプで接続流入流
出部から血液を送るための電位が不要となる。血液を人工ポンプ表面と接触させ
る必要がないので血液凝固が形成される可能性が少ない。 【００２５】 図７は充分に収縮しない心房を持つ患者のための本技術の他の応用を示してい
る。このような条件は心室の正規の収縮を発生するために房室間結節に対して心
臓により導通される電気パルスの発生を妨げる可能性がある。十分な人工収縮の
欠落は雷管（ｐｒｉｍｅｒ）ポンプ作用（いわゆる「心房キック」）および心室
機能に対する心房収縮のロスになる。心房機能のロスは心房内での血液凝固およ
び塞栓即ち塞栓脈拍になる。 【００２６】 心房のポンプ作用を増強するために、先端近傍に螺旋コイル１０１を有するカ
テーテル１０６が左心房１０２の壁に対して右心房１０１内に位置決めされる。
複数の電気コイル１１０は右心房外の心臓１００の外表面に設けられる。第２の
複数の電気コイル１１２は左心房の外部に配置される。これらの外部電気コイル
１１０および１１２は既述の構造に似た構造を有する。 【００２７】 心臓ペーシング装置に使用されるような通常のカテーテル１１４は右心房１０
１を介して右心室１０３に挿入され、右心房１０３と左心房１０４間の隔壁近傍
に配置される。本発明のこの応用において、房室間（ＡＶ）結節が薬剤でまたは
切除技術により無能化される。その結果、心房用に発生した電気信号は心臓の心
室領域に伝達せず、従来の心臓ペーシングを心室収縮を刺激するために採用しな
ければならない。 【００２８】 制御装置１１５は２本のカテーテル１０６および１１４および２本の外部電気
コイル１１０および１１２に接続される。心房１０１および１０４の収縮を発生
させるために、ペースメーカがカテーテル１０６内の電気コイル１０８および外
部電気コイル１１０および１１２に電気パルスを印加する。これらのコイルに印
加された電流は図１の実施例の心室に対して既述されたと同様な方法で右心房お
よび／または左心房の収縮を発生させる電磁場を発生させる。一定の期間で電気
パルスを発生させることにより、正常な心房収縮が発生し、心室機能を増大する
ためにタイミングを合わせられる。 【００２９】 ＡＶ結節が機能不全になるので、心房の収縮は心室１０３および１０４の正常
な収縮を発生させない。その代わり、制御装置１１５は心室を収縮させ血液をポ
ンプ送りするために心臓の筋肉を刺激する心室カテーテル１１４の先端に従来の
ペーシングパルスを印加する。制御装置１１５は正常な心臓の収縮を再現するた
めに心房および心室収縮のタイミングを合わせる、即ち、心房の電磁収縮が心室
の刺激を先行させるようにタイミングが調整される。 【００３０】 心房１０１および１０２のポンプ圧力は心室１０３および１０４に要求される
圧力以下である。内部カテーテル１０６の使用は全ての場合に必要とされない。
従って、心房ポンプ作用は単に外部コイル１１０および１１２の組により達成可
能であり、２つの心房を収縮させるためにコイルから正しく極性化された磁界を
発生する。 【００３１】 心室１０３および１０４のポンプ作用は後者の実施例において心臓の正常な筋
肉収縮を利用しているので、心室収縮から制御装置１１５により要求される電力
の一部を発生させることが可能である。この目的のために、複数の永久磁石１１
６は右心房１０３および左心房１０４の近傍の心臓の外表面に取り付けることが
できる。この実施例において、心室カテーテル１１４は先端近傍に追加の電気コ
イル１１８を有する。カテーテルコイル１１８に対して永久磁石により発生した
電界の移動が心房刺激を駆動するために制御装置１１５により利用できる電流を
発生する。 【００３２】 以上の説明は主に本発明の好ましい実施例に対してなされた。本発明の範囲内
で種々の変形例に注目が向けられるが、当業者は以上の実施例の開示から明白で
ある追加の変形例を認識するであろう。従って、本発明の範囲は以下の特許請求
の範囲で決定されるべきであり、上記の開示により制限されるべきでない。 【図面の簡単な説明】 【図１】 図１は本発明の技術が適用される人間の心臓の断面図である。 【図２】 図２は図１に示されるカテーテルの詳細図である。 【図３】 図３は図１に使用される外部電磁コイルの一つを示している。 【図４】 図４は外部電磁コイルの変形実施例を示している。 【図５】 図５は本発明の第２実施例に適用される電磁コイルを付けた人間の心臓を示し
ている。 【図６】 図６は本発明の第３実施例に適用される電磁コイルを付けた人間の心臓を示し
ている。 【図７】 図７は本発明の心臓刺激技術の他の応用を示す人間の心臓の断面図である。 【符号の説明】 １０ 心臓 １１ 右心房 １２ 左心房 １３ 右心室 １４ 左心室 １６ 三尖弁 ２０ カテーテル ２１ 大動脈 ２４ 先端 ２６，２８，３０，３４ コイル ２５，２７ 巻線 ３２ 柔軟基板 ３６ 制御装置 ３８ 圧力センサ
事ができなくなることがある。一つの処置は心臓の表面または内部に取り付けら
れた電極付き人工ペーシング（脈拍調整）装置を外科的に埋め込むことである。
埋め込まれたペーシング装置の制御装置は収縮させ心室から血液をポンプ送り出
すために心臓の筋肉を刺激する電極に周期的に電気パルスを送る。このペーシン
グ作用で心臓の収縮を制御し、自然な血液ポンプ作用を行う。 【０００３】 より重い心臓疾患を持つ患者は、外部刺激で十分なポンプ作用を行うには心臓
の筋肉が非常に低下しているので、通常のペーシングに望ましくない。これらの
患者の処置は心室の一部を切除し、開口部に人工ポンプを埋め込むことが行われ
る。人工ポンプは心臓のポンプ作用を補助する。この厳しい解決法は、人工ポン
プが挿入される心臓の一部が永久的に除去されるので、患者が入手可能な最後の
選択肢である。典型的には、この処置は移植のための心臓提供者を見つけるため
に患者を延命させるためだけに利用される。 【０００４】 したがって、相当に筋肉劣化した患者の心臓の収縮を人工的に行い、処置が人
工ポンプの外科的な埋め込みより侵入的でなくかつ急進的でない技術を提供する
ことが望まれる。 【０００５】 （発明の概要） 本発明の全般的な目的は、従来の心臓ペーシングでは不十分である部位に血液
をポンプ送りするために心室を人工的に収縮させる技術および装置を提供するこ
とである。この発明は心臓の心臓出力を増強させることができる。 【０００６】 本発明の他の目的は心室を収縮させる磁界を発生させるために電磁石を利用す
ることである。 【０００７】 本発明のさらなる目的は複数の電磁石を利用し、血液のポンプ送りを最適化す
る管理された収縮を発生させるように各電磁石への電流の流れを制御することで
ある。 【０００８】 これらのおよび他の目的は血液をポンプ送りするために動物の心臓を人工的に
収縮させる方法により達成される。第１磁石は第１心室の片側に取り付けられ、
第１磁石は第１磁場を発生させる。第２磁石は第１心室の別の側に配置され、こ
の第２磁石は第２磁場を発生する。本方法の好ましい実施例において、これらの
２つの磁石は電流がコイルに流れると磁界を発生させる電磁石コイルである。 【０００９】 心臓を収縮させるために、第１磁石は選択的に活性化され、第２磁場と相互に
作用する第１磁場を発生させる。この相互作用により、心臓の第１心室を収縮す
る力を発生する。 【００１０】 本方法は心臓の右心室および左心室の一方または双方を収縮させるために使用
可能である。この場合、両心室外の心臓の外表面に分離した電磁石を取り付ける
ことが好ましい。カテーテル上の別のコイルはこれらの心室の一つに挿入され、
心臓の壁に取り付けられる。電流パルスが異なるコイルに印加され、互いにコイ
ルを吸引する力を発生し右心室および左心室を収縮させる磁場を発生する。 【００１１】 （実施例の詳細な説明） 図１を参照すると、人間の心臓１０は右心房１１、左心房１２、右心室１３、
および左心室１４を有する。体から心臓１０に戻る血液は上位および下位大静脈
を流れ、三尖弁１６および右心室１３にポンプで送られる右心房１１に流れる。
右心房１３の収縮により、三尖弁１６を発生した圧力に反応して閉鎖し、血液が
肺状動脈を介して外部に流れる。血液が肺を通過すると、酸素を送られた血液は
左心房１２に戻り、左心室に押し上げられ大動脈を通って体内にポンプ送りされ
る。 【００１２】 適切な量の血液を体内にポンプ送りできない心臓のために、人工的な収縮補助
装置１８が患者に埋め込まれる。既知の方法で、カテーテル２０がいずれかの静
脈に導入され、上位大動脈２１を通して右心室１１に進入される。さらに押し進
めると、カテーテル２０が三尖弁１６を通り右心室１３に入る。この処置は従来
の電極ペーシング装置用のカテーテルを埋め込むために使用されるものと類似で
ある。これらの方法において、通常、カテーテル電極の先端は心尖２２に向う右
心室の内壁に押し込められる。 【００１３】 同様な一般的な方法が本発明に従って電磁石刺激カテーテル２０を導入するた
めに実施される。カテーテル２０は好ましくは米国特許第５，６７４，２７１号
に開示された操縦可能な型のカテーテルである。カテーテル２０はワイヤが図２
に示されるカテーテルに沿って螺旋状に長手方向に巻かれたコイル２６に繋がる
先端２６を介して延びる電線を有する。具体的には、コイル２６は内部巻線２５
とこの内部巻線と同軸状で反対方向に巻かれた外部巻線２７を有する。内部巻線
２５および外部巻線２７は反対方向に巻かれるので、各電場は互いに加算される
。カテーテル２０の操縦可能な特性によりコイル２６は図１に示される２つの心
室１３および１４間の隔壁に配置できる。先端２４はカテーテルを正しい位置に
置くために隔壁に埋め込むためにコルク栓抜き状の素子を有する。代替え手段と
して、ペーシングカテーテルとともに普通に使用される他の技術がカテーテルの
先端を固定するために採用できる。 【００１４】 複数の電気コイル２８が左心室１４外の心臓の外部表面に取り付けられる。別
の複数の電気コイル３０が右心室１３の外部表面に取り付けられる。図３に示さ
れるように、電気コイル２８および３０の各々は好ましくは外科用接着剤または
ひと針で心臓１０の外部表面に取り付けられた柔軟基板３２からなる。螺旋形状
の電気コイル３４が基板３２上に形成され、この基板の２層間に挟まれている。
コイル３４は基板表面に螺旋状に巻かれたワイヤにより、または螺旋形状に形成
するためにエッチングされた電気導電材料の薄層によって形成できる。代替え手
段として、心臓の片側用のコイルは単一の柔軟基板上にも形成可能である。 【００１５】 電気コイルの他の形状が本心臓支援技術に利用可能である。例えば、図４に示
されるように、外部コイル２８および２０が板状の柔軟基板３２により支持され
た細長い螺旋巻線３５により形成可能である。柔軟基板３２は心臓１０の外部表
面に対して全般に垂直方向に取り付けられ、外科用の接着剤またはひと針で正し
い位置に保持される。 【００１６】 カテーテル２０内および電気コイル２８および３０からの延びるワイヤは制御
装置３６に延びている。この制御装置は心臓の筋肉の反応性収縮を刺激する電極
に印加される電気パルスを発生する従来の心臓ペーシング装置に似ている。しか
しながら、この制御装置３６は種々のコイルに流れる電流パルスを印加し、制御
された方法でコイルが相互に吸引される磁界を発生させる。具体的には、心室１
３および１４の収縮が望まれるとき、制御装置３６は所望の収縮期間に等しい期
間を有する直流の電気パルスをカテーテル２０のコイル２６に印加する。このカ
テーテルパルス期間中、直流のパルスが外部電気コイル２８および３０に印加さ
れる。カテーテルコイル２６および外部電気コイル２８および３０に印加された
電流がコイルの周りに電磁場を発生させる。各コイルに流れる直流の方向により
、磁場が極性化され、外部コイル２８および３０がカテーテル２０の内部コイル
２６方向に吸引される。この磁気吸引は心臓筋肉が心室を収縮させたと同様に右
心室１３および／または左心室１４を吸引する。 【００１７】 典型的には、制御装置は心臓の自然な収縮が生じているときを示す、センサー
３９により集合的に示された、複数のセンサーから入力信号を受信する。制御装
置３６は電気パルスをコイル２６，２８および３０に印加することにより信号に
応答する。通常、患者は正常の機能の数分の１（例えば５０％）である心臓機能
を持っている。この場合、電気パルスは十分な心臓出力を得るための残量に対し
て心室を圧縮するために自然な心臓収縮の終わりに時間を合わせて印加される。
このように、本発明の技術は障害のある心臓の効率を増加させることができる。 【００１８】 制御装置はプログラムされているので、心室１４および１３の各々の外部コイ
ル２８および３０は個別にまたは同時に脈動される。コイル２６，２８および３
０に印加された電流の振幅は心室１３および１４の各々の心臓収縮の所望の量を
発生させるために個別に制御される。例えば、制御装置３６はカテーテル２０上
に位置決めされた圧力センサー３８により右心室の圧力の検出に応答して電流の
大きさを変化させることができる。任意の心室の外部コイル２８および３０は制
御装置３６により同時にまたは順番に脈動され、血液を心室から大動脈を通って
強制的に流すために心尖２２から基部または流出領域へ進行するように心室を圧
縮する。 【００１９】 図５を参照すると、本発明の変形の実施例では心臓４０の後部上に同様に位置
決めされた追加のコイルと共に複数の外部コイル４１，４２，４３，４４，４５
，４６および４７を利用している。この実施例では心臓内部のコイルを有するカ
テーテルを必要としない。外部電磁石コイル４１−４７の各々は外科用の接着剤
またはひと針で心臓４０の外部表面に取り付けられた柔軟基板４９に取り付けら
れた電気導体の少なくとも一つのループ４８から構成される。 【００２０】 心臓４０を収縮させるために、電流が近傍のコイル４１−４７を反対方向に流
れる。例えば、電流は奇数番号コイル４１，４３，４５および４７を時計方向に
流れ、偶数番号コイル４２，４４および４６を反時計方向に流れる。これにより
近傍コイル内の逆極性の電磁界を発生させ、近傍のコイルの吸引を生じさせる力
になる。コイルが対向方向に進むと、心臓４０の外壁はひだが付けられ、筋肉を
収縮させる。同様の電磁石コイルを心房の収縮を支援するために心臓の上部に設
けることもできる。 【００２１】 図６を参照すると、本発明の心臓補助技術の第３実施例は心臓５０の心室領域
の周囲に複数の外部帯部５１，５２および５３を設けている。各帯部５１−５３
は電磁アクチュエータにより共に結合された端部を有する一連のセグメントによ
り形成される。例えば、第１帯部５１は心臓５０の後部の周囲に延びる他のセグ
メント５４，５５および５６を有する。第１帯部５１のアクチュエータ５７，５
８および５９の各々は他のセグメントに接続された電機子を有する帯部の位置セ
グメントに取り付けられたソレノイドコイルから構成される。例えば、アクチュ
エータ５８は帯部セグメント５５に接続されたソレノイドコイル６０および帯部
セグメント５４に結合された電機子６２を有する。少なくとも、帯部はセグメン
トの端部を共に結合する一つのアクチュエータを有する単一のセグメントを有す
る。さらに、心臓に設けられる帯部の数は変更可能である。 【００２２】 心臓５０の心室の収縮を発生させるために、制御装置は帯部５１−５３の全ア
クチュエータに同時に電流を流す。第１帯部５１のために、アクチュエータ５７
，５８および５９は同時に通電される。この作用により電機子をアクチュエータ
５７−５９のソレノイドコイルに引く込む電磁界を発生させ、帯セグメント５４
−５６を近接するように引きつける。帯部５１の周辺長が減少し、心臓５０を収
縮させる。他の帯部５２および５３は第１帯部５１のように同時に収縮されるか
、または他の複数の帯部が心尖６４に最も近い帯部５３と共に順次始動するよう
に通電される。後者の作用は流出領域方向に心臓５０の進行的収縮を発生させ、
血液を心室から大動脈を介して強制的に流す。 【００２３】 本発明は心臓１０を自然なポンプ作用で支援するために電磁石吸引を利用して
いる。心臓切除を必要としないこの技術は従来の人工ポンプ支援技術に比べ侵入
的でなく、心臓の自然なポンプ作用を再現する。プログラマブル制御装置３６を
利用することにより、電磁界の大きさが変化し、患者の心臓収縮力を形成する。 【００２４】 さらに、現在使用されている人工ポンプで実施されるように、循環する血液が
ポンプ送りされるべき心臓に残らない。従って、現在の心臓ポンプで接続流入流
出部から血液を送るための電位が不要となる。血液を人工ポンプ表面と接触させ
る必要がないので血液凝固が形成される可能性が少ない。 【００２５】 図７は充分に収縮しない心房を持つ患者のための本技術の他の応用を示してい
る。このような条件は心室の正規の収縮を発生するために房室間結節に対して心
臓により導通される電気パルスの発生を妨げる可能性がある。十分な人工収縮の
欠落は雷管（ｐｒｉｍｅｒ）ポンプ作用（いわゆる「心房キック」）および心室
機能に対する心房収縮のロスになる。心房機能のロスは心房内での血液凝固およ
び塞栓即ち塞栓脈拍になる。 【００２６】 心房のポンプ作用を増強するために、先端近傍に螺旋コイル１０１を有するカ
テーテル１０６が左心房１０２の壁に対して右心房１０１内に位置決めされる。
複数の電気コイル１１０は右心房外の心臓１００の外表面に設けられる。第２の
複数の電気コイル１１２は左心房の外部に配置される。これらの外部電気コイル
１１０および１１２は既述の構造に似た構造を有する。 【００２７】 心臓ペーシング装置に使用されるような通常のカテーテル１１４は右心房１０
１を介して右心室１０３に挿入され、右心房１０３と左心房１０４間の隔壁近傍
に配置される。本発明のこの応用において、房室間（ＡＶ）結節が薬剤でまたは
切除技術により無能化される。その結果、心房用に発生した電気信号は心臓の心
室領域に伝達せず、従来の心臓ペーシングを心室収縮を刺激するために採用しな
ければならない。 【００２８】 制御装置１１５は２本のカテーテル１０６および１１４および２本の外部電気
コイル１１０および１１２に接続される。心房１０１および１０４の収縮を発生
させるために、ペースメーカがカテーテル１０６内の電気コイル１０８および外
部電気コイル１１０および１１２に電気パルスを印加する。これらのコイルに印
加された電流は図１の実施例の心室に対して既述されたと同様な方法で右心房お
よび／または左心房の収縮を発生させる電磁場を発生させる。一定の期間で電気
パルスを発生させることにより、正常な心房収縮が発生し、心室機能を増大する
ためにタイミングを合わせられる。 【００２９】 ＡＶ結節が機能不全になるので、心房の収縮は心室１０３および１０４の正常
な収縮を発生させない。その代わり、制御装置１１５は心室を収縮させ血液をポ
ンプ送りするために心臓の筋肉を刺激する心室カテーテル１１４の先端に従来の
ペーシングパルスを印加する。制御装置１１５は正常な心臓の収縮を再現するた
めに心房および心室収縮のタイミングを合わせる、即ち、心房の電磁収縮が心室
の刺激を先行させるようにタイミングが調整される。 【００３０】 心房１０１および１０２のポンプ圧力は心室１０３および１０４に要求される
圧力以下である。内部カテーテル１０６の使用は全ての場合に必要とされない。
従って、心房ポンプ作用は単に外部コイル１１０および１１２の組により達成可
能であり、２つの心房を収縮させるためにコイルから正しく極性化された磁界を
発生する。 【００３１】 心室１０３および１０４のポンプ作用は後者の実施例において心臓の正常な筋
肉収縮を利用しているので、心室収縮から制御装置１１５により要求される電力
の一部を発生させることが可能である。この目的のために、複数の永久磁石１１
６は右心房１０３および左心房１０４の近傍の心臓の外表面に取り付けることが
できる。この実施例において、心室カテーテル１１４は先端近傍に追加の電気コ
イル１１８を有する。カテーテルコイル１１８に対して永久磁石により発生した
電界の移動が心房刺激を駆動するために制御装置１１５により利用できる電流を
発生する。 【００３２】 以上の説明は主に本発明の好ましい実施例に対してなされた。本発明の範囲内
で種々の変形例に注目が向けられるが、当業者は以上の実施例の開示から明白で
ある追加の変形例を認識するであろう。従って、本発明の範囲は以下の特許請求
の範囲で決定されるべきであり、上記の開示により制限されるべきでない。 【図面の簡単な説明】 【図１】 図１は本発明の技術が適用される人間の心臓の断面図である。 【図２】 図２は図１に示されるカテーテルの詳細図である。 【図３】 図３は図１に使用される外部電磁コイルの一つを示している。 【図４】 図４は外部電磁コイルの変形実施例を示している。 【図５】 図５は本発明の第２実施例に適用される電磁コイルを付けた人間の心臓を示し
ている。 【図６】 図６は本発明の第３実施例に適用される電磁コイルを付けた人間の心臓を示し
ている。 【図７】 図７は本発明の心臓刺激技術の他の応用を示す人間の心臓の断面図である。 【符号の説明】 １０ 心臓 １１ 右心房 １２ 左心房 １３ 右心室 １４ 左心室 １６ 三尖弁 ２０ カテーテル ２１ 大動脈 ２４ 先端 ２６，２８，３０，３４ コイル ２５，２７ 巻線 ３２ 柔軟基板 ３６ 制御装置 ３８ 圧力センサ
【手続補正書】
【提出日】平成１２年１０月２５日（２０００．１０．２５）
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項１】 血液をポンプ送りするために心臓を人工的に収縮させる装置
において、前記装置が、 前記心臓の周囲に配置された第１帯部を具備し、前記帯部が第１電磁アクチュ
エータにより橋渡しされた第１空隙を有し、 前記第１電磁アクチュエータに電流を流すと前記空隙が減少し、前記心臓を収
縮させることを特徴とする装置。 【請求項２】 前記帯部がさらに第２空隙と、前記第２空隙を橋渡しする第
２電磁アクチュエータを有し、 前記第２電磁アクチュエータに電流を流すと前記第２空隙が減少し、前記心臓
を収縮させることを特徴とする請求項１記載の装置。
において、前記装置が、 前記心臓の周囲に配置された第１帯部を具備し、前記帯部が第１電磁アクチュ
エータにより橋渡しされた第１空隙を有し、 前記第１電磁アクチュエータに電流を流すと前記空隙が減少し、前記心臓を収
縮させることを特徴とする装置。 【請求項２】 前記帯部がさらに第２空隙と、前記第２空隙を橋渡しする第
２電磁アクチュエータを有し、 前記第２電磁アクチュエータに電流を流すと前記第２空隙が減少し、前記心臓
を収縮させることを特徴とする請求項１記載の装置。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ，
ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ
Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ
，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ，
ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ
Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ
Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ
，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ
，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，
ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，Ｇ
Ｅ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ
，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，
ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ
Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ
，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，
ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，Ｚ
Ｗ
(71)出願人 2130 Ｗｅｓｔ Ｃｏｌｕｍｂｉａ Ｄｒ
ｉｖｅ， Ｍｅｑｕｏｎ， ＷＩ 53092，
ＵＳＡ
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項３４】 血液をポンプ送りするために心臓を人工的に収縮させる装
置において、前記装置が、 前記心臓の周囲に配置された第１帯部を具備し、前記帯部が第１電磁アクチュ
エータにより橋渡しされた第１空隙を有し、 前記第１電磁アクチュエータに電流を流すと前記空隙が減少し、前記心臓を収
縮させることを特徴とする装置。 【請求項３５】 前記帯部がさらに第２空隙と、前記第２空隙を橋渡しする
第２電磁アクチュエータを有し、 前記第２電磁アクチュエータに電流を流すと前記第２空隙が減少し、前記心臓
を収縮させることを特徴とする請求項３５記載の装置。
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| US09/067,672 | 1998-04-28 | ||
| US09/067,672 US6099460A (en) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | Electromagnetic heart assist technique and apparatus |
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|---|---|
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|---|---|---|---|
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