JP2002511660A - 側面ポンピングレーザー - Google Patents

側面ポンピングレーザー

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JP2002511660A JP2000544040A JP2000544040A JP2002511660A JP 2002511660 A JP2002511660 A JP 2002511660A JP 2000544040 A JP2000544040 A JP 2000544040A JP 2000544040 A JP2000544040 A JP 2000544040A JP 2002511660 A JP2002511660 A JP 2002511660A
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Abstract

(57)【要約】 固体レーザーは、半導体レーザーのダイオードアレイによって側面ポンピングされる、Nd:YVOのような高い吸収係数を有する固体利得媒体を含んでいる。固体レーザーの共鳴キャビティの配置は、レーザーの表面であって該レーザーにポンピング光が供給される表面からTEM00モードがある距離だけ離れ、その距離が、回折損失を低減させるには十分に長い距離であるが、ポンピング光の利得モードへの結合を可能とするには十分に短い距離となるように行われる。利得媒体、利得媒体のドープレベル、およびポンピングレーザーの動作温度は、ポンピング光を利得モードに効率よく結合させるように選択される。ポンピングレーザーは、該ポンピングレーザーと利得媒体の表面との間に平行光化用あるいは集光用の光学要素を設けずに利得媒体を側面ポンピングするように配置されている。結合および回折損失を最適化するように固定された利得モードの位置において、ポンピングレーザーの出力光の角度広がりを利得モードの高さに整合させるように、ポンピングレーザーと利得媒体との離間間隔が経験的に選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 1.発明の属する技術分野 本発明は、レーザーにおける利得媒体(gain medium)に対するポ
ンピング放射の最適な結合、およびそのようなレーザーを含むシステムに関する
ものである。本発明の特徴的な側面は、ネオジム‐イットリウム‐バナデートの
ような高吸収能かつ高利得の固体利得媒体(solid gain mediu
m)を側面ポンピングするために、1つあるいは複数の半導体ダイオードアレイ
を使用することに関する。
【0002】 2.関連技術の説明 固体レーザーとは、結晶、ガラス、あるいは光により励起されうる材料(たと
えばネオジム等の希土類元素のイオン)のホストとしてのその他の固体材料を、
利得媒体として用いる一群のレーザーを指す。上記の結晶、ガラスあるいはその
他の固体ホスト材料は、光により励起されうる材料を、適当な位置に固定する格
子として作用する。説明のために、ネオジムイオンによりドープされたイットリ
ウム‐アルミニウム‐ガーネット(YAG)を利得媒体として使用した、一般に
よく知られた固体レーザーシステムを考えると便利である。このシステムは、通
常はNd:YAGという記載で特定される。Nd:YAGの固体利得媒体にポン
ピング放射を照射すると、ホスト材料YAG内において、ドープイオンであるN
3+が、ライフタイムを有する準安定的状態に励起される。このライフタイム
は、励起後の準安定的状態からのドープイオンの光学的遷移によりレーザーの動
作が確立されるように、各状態にあるイオン数を反転分布させるものである。固
体レーザーシステムの中には、キセノンフラッシュランプあるいはその他の型の
フラッシュランプのような広帯域の光放射源を利用して、利得媒体にポンピング
放射を供給し、ドープイオンを各々の所望の準安定的状態へと励起するものもあ
る。フラッシュランプは、利用可能なパワーレベルが高いこと、コストが比較的
低いことなどの利点を有する。しかしながら、広帯域の、あまり集中させられて
いないポンピング放射を使用すると、レーザーの共鳴モード内に含まれない利得
媒体の各部分においてもポンピング放射が吸収されてしまうため、このようなポ
ンピング放射の使用は好ましくない。レーザーの共鳴モード内に含まれない利得
媒体のポンピング部分は、レーザー動作をもたらさず、散逸されなくてはならな
い熱を発生させるため、使用可能なポンピング強度の範囲に制限を課す可能性が
ある。
【0003】 フラッシュランプによる励起の非効率性に関する第二の好ましくない側面は、
フラッシュランプの広帯域放射が、共鳴モード内にあるドープイオンを所望の励
起準位にポンピングする役割に適さないという側面である。すなわち、フラッシ
ュライトのポンピング放射中には、固体利得媒体のネオジムイオンを所望の準安
定的状態に励起するのに必要なエネルギーよりも多くのエネルギーを有する光子
が、多く存在するということである。これらの過度に強いエネルギーを有する光
子がドープイオンに吸収されると、ネオジムイオンに吸収された光エネルギーで
あって、ネオジムイオンを所望の準安定的状態に遷移させるのに必要なエネルギ
ーを超える余剰のエネルギーは、少なくとも部分的には固体利得媒体の熱的励起
を通じて散逸させられる。換言すれば、共鳴モードに吸収された放射中の余剰の
エネルギーは、利得媒体を熱することになる。より低い程度ではあるが、ネオジ
ムイオンを所望の状態に励起するには不十分なエネルギーしか有さない放射中に
ある光子についても、同様の減少が起こる。固体利得媒体として適当な材料は、
比較的広い吸収帯を有する不完全な結晶構造であって、比較的低いエネルギーの
光子に対する空孔媒介吸収の程度が著しい結晶構造を有している傾向がある。吸
収されたフラッシュランプ放射の一部であって、ドープイオンを所望の準安定的
状態に励起するには不十分なエネルギーしか有していない一部もまた、典型的に
は、少なくとも部分的には利得媒体の加熱を通じて散逸させられる。
【0004】 様々な理由から、熱の散逸と不必要な熱の発生の回避とは、固体利得媒体に関
する重要な検討事項である。固体レーザーは、一般的には高パワーの用途に使用
され、その際には、対応する高レベルのポンピングパワー入力が使用され、利得
媒体の高レベルの加熱が生じる。一般的に固体利得媒体は熱伝導性が低く、した
がって固体利得媒体の内部と冷却が行われる表面との熱交換性が低いため、固体
利得媒体の冷却は、冷媒を用いた冷却器と固体冷却器のどちらを使用しても、完
全に十分な冷却とはならない。したがって、冷却によって固体利得媒体のポンピ
ングされた部分から熱が除去される際の除去速度には限界がある。そのため、固
体利得媒体および固体レーザーの固有の特性として、当該レーザーの利得媒体中
に熱が蓄積されるという特性がある。さらに悪いことには、固体利得媒体は、過
度に加熱された状態への適合性が極めて低い傾向がある。固体利得媒体は、典型
的には、高熱のストレスの下では機械的損傷を受けやすい。したがって、固体利
得媒体への加熱が、システムの性能を制限することが度々ある。
【0005】 フラッシュライトによる固体利得媒体のポンピングに付随する様々な問題は、
従来から、固体レーザーが適当だと思われる用途における応用を制限してきた。
固体利得媒体をポンピングするための励起源としての半導体ダイオードレーザー
の成熟により、固体レーザーの実用的な応用のための大きな前進がなされた。洗
練された製造技術の利用を通じて、現在では、多くの固体レーザーシステムに最
適な励起エネルギーに極めて近いエネルギーに対応する波長で動作する半導体レ
ーザーが入手可能である。こうした半導体レーザーは、好ましい質の動作モード
を示し、かつ固体利得媒体のポンピングに役立つような十分に高いエネルギーで
動作する。20ワット以上の出力パワーを有する市販の半導体レーザーは、一般
的には、複数の別個のレーザーダイオード発光子の直鎖状アレイが、単一のチッ
プ上に形成されて成る。こうしたバー状の半導体レーザーは、様々な所望の出力
波長のうちいずれかを有するように製造されることが可能で、たとえば、Nd:
YAGのような固体レーザーシステムをポンピングするのに便利な波長である8
08nmに近い出力波長を有することが可能である。さらには、こうしたダイオ
ードレーザーは、使用中において、当該ダイオードレーザーのバーを特定の固体
利得媒体に適合させるのに十分な範囲(±3nm)に亘って波長調整され得る。
半導体レーザーの波長調整は、該半導体レーザーの動作温度の調節により達成さ
れる。ポンピングされるエネルギーレベルに整合させられた半導体レーザー出力
波長は、利得媒体中において熱を直接発生するようなポンピング放射をほとんど
生じさせないようにして効率的に固体利得媒体のポンピングを行うことを可能と
するので、そのような半導体レーザー出力波長が使用可能であることは重要であ
る。エネルギーレベルの面で効率的な利得媒体のポンピングは、精密でないポン
ピングに起因して固体利得媒体中で発生させられる熱の量を大幅に減少させる。
【0006】 半導体レーザーは固体利得媒体を効率的にポンピングすることができるが、半
導体レーザーの最大出力パワーは、多くの固体レーザーの用途において好ましい
値よりも低い。したがって、実用に足る程度の量の半導体レーザー出力強度を利
用するためには、固体利得媒体の利得領域中において、半導体レーザーからのポ
ンピング光を可能な限り多く集めることが重要である。一般に使用されるNd:
YAG利得媒体は、YAGの格子中のネオジムイオンをポンピングするのに最適
な光の波長を強く吸収するものではない。Nd:YAG利得媒体を側面ポンピン
グするのに半導体レーザーが使用される際において、ポンピング光の相当部分は
、Nd:YAG利得媒体の比較的短い長さを、吸収されずに完全に通過すること
ができる。したがって、利得媒体の共鳴モード中において吸収される半導体レー
ザーのポンピング光の量を増加させるために、半導体レーザーによるポンピング
光の出力が、Nd:YAG等の固体利得媒体の最長軸に沿って発射され、かつそ
の最長軸に対して平行に近い方向に沿って、共鳴キャビティの光軸が延ばされて
いることが非常に望ましい。このため、半導体レーザーによりポンピングされる
固体レーザーの多くは、いわゆる「端面ポンピング」構成を使用してきた。典型
的な固体レーザーは、前端および後端に設けられたミラーにより規定される共鳴
キャビティを含んでいる。ここで、一般的には円筒状あるいは直方形プリズム状
である利得媒体は上記の共鳴キャビティ内に配置されており、該利得媒体の各端
面は、上記の前端および後端に設けられたミラーのそれぞれに直面あるいは対面
するような光軸沿いに位置させられるように配置されている。場合によっては,
上記のミラーのうち少なくとも1つが、利得媒体の2端面のうち1つに接して形
成される。端面ポンピングレーザーとは、高レベルのポンピング光を利得媒体へ
と透過させるがレーザー波長においては反射率の高いミラーとして機能するよう
特別に設計された後端のミラーを介して、ポンピング放射が利得媒体に供給され
るようなレーザーをいう。半導体レーザーにより発生させられるポンピング光の
ビームのビームサイズおよび形状を、固体レーザーの利得媒体中の少なくとも一
部において、モード領域(mode volume)に近似あるいは一致させる
ための努力が度々なされる。ポンピングビームのビームサイズおよび形状をモー
ド領域に一致させようとする試みは、半導体レーザーの出力と、利得媒体中の共
鳴モードとの結合を最良のものとすることを最終的な目標としており、それによ
り一般的には、熱の発生を減少させつつ固体レーザーからの出力を最大化するこ
とが可能となる。
【0007】 端面ポンピングの構成は、半導体レーザーからのポンピング放射を固体レーザ
ーの利得媒体に効率的に結合させるためには非常に役立つものではあるが、ビー
ムの形状調整、および半導体レーザーの利得媒体への端面結合を達成するにあた
っては、実際上困難な点がいくつかある。Nd:YAGの典型的な結晶は、短軸
に沿って1‐2mm、最長軸に沿って約1cmの寸法を有する。利得媒体内で規
定される利得モード(gain mode)の直径は、典型的には上記よりずっ
と小さく、200から500μm程度である。高出力半導体レーザーは、一般的
には、0.5cmから1cmあるいはそれより長い距離に亘って等間隔に配され
た複数の発光子から成るアレイによる空間的に分布した出力を有する。したがっ
て、高出力半導体レーザーからの光出力は、長軸に沿って1cm程度の幅を有す
る、長い断面形状のビームとなる。半導体レーザーを使用して固体レーザーの端
面ポンピングを実施するには、利得媒体の小さな端面を介して半導体レーザーの
ポンピング光を利得領域に効率的に結合させるために、横方向に伸長された半導
体レーザーの出力が、再び形状調整され小さなスポットサイズ(約1mm×約1
mm)に集束されることが必要である。たとえばレンズの精巧なアセンブリによ
って、こうした形状再調整および集光が達成され得る。
【0008】 半導体ダイオードアレイからの伸長された出力を固体利得媒体の端面に効率的
に結合させるビーム形状調整用の光学系として機能する、適当かつ精巧なレンズ
のアセンブリを安価で提供するのは困難である。したがって、端面ポンピングレ
ーザーは、半導体レーザーアレイの個々の発光子からの出力を、各々独立に利得
媒体の端面に伝達する、複数の光ファイバーを使用することが度々ある。独立し
た複数のファイバーを使用することにより、半導体レーザーアレイからの伸長さ
れた出力を、レーザーのモードを端面ポンピングするのに適当である全体的に円
形の形状へと、容易に再形状調整することが可能となる。個々の発光子を利得媒
体のポンピング表面に効率よく結合させるには、光ファイバーの個々の発光子に
対するアラインメントを正確にとる必要がある。半導体レーザーのバーを成す個
々の発光子に対し、個々のファイバーのアラインメントをとることは、困難かつ
コストのかかる作業である。半導体レーザーの出力を固体利得媒体に結合させる
のに、レンズの精巧なアセンブリとファイバー束による結合とのいずれを使用し
たとしても、端面ポンピング型の構成を使用することは、アラインメントが難し
くしたがって高いコストを要する光学系、あるいはすぐに使用可能であるが高い
コストを要する光学系のいずれかの使用を必要とする。端面ポンピング型の構成
はまた、ポンピング放射を利得媒体へと透過させながら、なおキャビティ用ミラ
ーとして許容されうる程度に機能するような特殊なキャビティ用ミラーを、少な
くとも1個必要とする。
【0009】 端面ポンピングレーザーは、拡張され得る範囲に関しても制限を受ける。この
ような拡張は、たとえば、追加のポンピング源あるいはより強いポンピング強度
を利得媒体に結合させることにより、固体レーザーから、より高いレベルのパワ
ー出力を得る場合に望まれる。端面ポンピング型のレーザーは、あらゆるポンピ
ング放射を、利得媒体の狭い端面のうちの1つの面における一部分を介して固体
利得媒体に結合させる。このことは、個別の2組の問題を孕んでいる。第一に、
複数の半導体ポンピングレーザーを、端面ポンピング型の構成で1個の固体レー
ザーに結合させるに際しては、乗り越えなくてはならない問題がある。前述のよ
うに、空間的な広がりを有する半導体レーザーの発光子領域と利得領域との間の
サイズ面における不一致により、特殊な光学系が必要となる。そのような光学系
は、単一の半導体レーザーアレイにしか対応できないかもしれず、容易な変形に
より複数の半導体レーザーアレイに対応させることはできない。したがって、物
理的な空間的制限の問題が生じるかもしれず、その場合には、複数のポンピング
源を使用して端面ポンピング型のレーザーにおいてより高いポンピング強度を作
り出すことは実用的でなくなる。第二の問題は、ポンピングパワーの全部が固体
利得媒体の1端面上における単一の限られた一部分を通過するため、ポンピング
される固体レーザーの拡張可能性が本質的に制限されることである。利得媒体に
印加され得る合計の入射パワーは、利得媒体の破壊エネルギー密度により制限さ
れる。利得媒体の端面により強いポンピング強度を印加することは、利得媒体の
破壊をもたらしかねない。さらに、固体利得媒体に加わる熱的ストレスの多くは
、利得媒体の端面上の限られた領域中において加えられる。Nd:YAGの場合
のように、利得媒体がポンピング光を強く吸収するものでない場合においてさえ
、極めて高いレベルの蓄熱が利得媒体の入射面近くにおいて生じる。著しい熱レ
ンズ効果を示す利得媒体においては、そうした熱入力の局在化は特に好ましくな
く、ビームの質を害するものである。局在化された熱入力が端面ポンピングと組
み合わされるということは、固体利得媒体に信頼性の高い方法で結合され得る光
学的ポンピングパワーのレベルという点において、端面ポンピング型のレーザー
がより厳しい制限を受けることを意味する。
【0010】 上記のことから、より容易に拡張を行うことが可能で、かつ光学的により単純
な固体レーザーシステムを提供する必要性が、従来から存在していた。側面ポン
ピング型のレーザーは、いくつかの有望な点を有するが、先に少し触れたように
、側面ポンピング型の固体レーザーは、入力されたポンピング放射を効率的に利
用しない傾向にある。この問題に対する1つの選択肢は、A.J.アルコック氏
(A.J.Alcock)およびJ.E.バーナード氏(J.E.Bernar
d)による文書において提案されており、その内容は、米国特許第5,315,
612号「横方向においてポンピングされる高効率の固体平板レーザー(Hig
h Efficiency Transversely Pumped Sol
id−State Slab Laser)」、およびバーナード氏らによる論
文「高効率のダイオードポンピングNd:YVO平板レーザー(High−E
fficiency Diode Pumped Nd:YVO Slab
Laser)」(18 オプティックス・レターズ(Optics Lette
rs)、968−970、1993年6月)に記載されている通りである(以下
、両者を合わせて「アルコック氏特許」と呼ぶ)。アルコック氏特許には、非常
に高い吸収係数を有する利得媒体であるネオジム‐イットリウム‐バナデート、
すなわちNd:YVOを使用して、入力されたポンピング放射の実質的に全部
が利得媒体の表面から250μm以内において吸収されるようにした、側面ポン
ピング型の固体レーザーが記載されている。Nd:YVO型の利得媒体の吸収
能は非常に高いため、アルコック氏特許は、利得媒体内の光路についてグレージ
ング角の幾何学特性を利用することが必要であることを教示している。アルコッ
ク氏特許のレーザーにおけるキャビティ用ミラーは、利得媒体の1つの側面から
共鳴レーザーモードがグレージング入射角でもって内部反射されるように配置さ
れている。ポンピングは、レーザーのモードが内部反射される利得媒体の側面上
の一部分を通過するように発射された、発散する出力を有する半導体レーザーを
利用して達成される。利得モード領域(gain mode volume)と
利得媒体の上記の側面との間の角度が小さいことは、ポンピング表面が、利得媒
体の拡大されたモード断面と交わることを意味するため、高レベルのポンピング
放射が共鳴レーザーモードに結合する。
【0011】 アルコック氏特許に記載されている固体レーザーは、入射されるポンピングエ
ネルギーの密度を減少させ、ポンピングに付随する熱入力を、端面ポンピング型
のレーザーにおいて典型的である表面積よりも大きい利得媒体表面積に亘って分
散させるような、側面ポンピングを利用している。この方法により、アルコック
氏特許のレーザーは、端面ポンピングされる固体レーザーに付随する前述の問題
のいくつかを解決している。しかし一方では、アルコック氏特許のレーザーの幾
何学特性は、別の多くの問題を新たに生み出す。アルコック氏特許のレーザーの
幾何学特性に関する第一の問題は、アルコック氏のレーザーは、Q−スイッチ型
固体レーザーに典型的な型の高反復率パルス型レーザー動作に対し、適合性が低
い点である。アルコック氏のレーザーの利得媒体は、半導体レーザーからのポン
ピング放射に熱せられ、ポンピングが起こるべき利得媒体の表面において、強い
熱レンズ効果を生じさせる。アルコック氏のレーザーの利得媒体のポンピング表
面において形成された熱レンズの変化は、パルス動作状態下におけるアルコック
氏のレーザーの性能に、許容不可能な水準の変化をもたらしうる。1kHz未満
の低いパルス反復率では、ポンピング放射によるアルコック氏のレーザーの利得
媒体の加熱に付随する熱レンズ効果の変化は、許容不可能な水準の変化まではも
たらさない。しかし一方で、1kHzよりも速い反復率では、アルコック氏のレ
ーザーの表面における熱レンズの時間変化は、アルコック氏のレーザーの出力に
変化をもたらし、出力ビームの質を回折限界時の質に比べて約1.5倍悪化させ
てしまう。より高い反復率では、出力ビームの質はさらに著しく悪化する。した
がって、アルコック氏特許のレーザーは、高反復率パルス型の動作にはあまり適
していない。
【0012】 アルコック氏特許に記載されているレーザーの幾何学特性に関する第二の問題
は、アルコック氏特許のレーザーの幾何学特性は、固体レーザーシステムに対し
、高レベルの回折損失を必然的にもたらすものであるという点である。アルコッ
ク氏特許により教示されたグレージング角の幾何学特性が、入手可能な大きさの
固体利得媒体に適用されると、媒体内におけるレーザーの利得モードの経路は、
利得媒体の側面の端部に極めて近い箇所において該利得媒体に出入りすることに
なる。そのため、レーザーの利得モードは、利得媒体の側面を介して著しい回折
損失を被ることになる。アルコック氏特許の設計を採用しようと試みた実際のレ
ーザーに関し経験により導かれた回折損失のレベルは、そうしたレーザーの光出
力パワーを制限してしまう程に高い。
【0013】好ましい実施形態の概要 上記のことから、本発明のいくつかの態様の目的は、比較的単純な固体レーザ
ーであって、従来よりも高いレベルの光パワーによってポンピングされ得る固体
レーザーが組み込まれた、レーザーシステムを提供することである。
【0014】 本発明の別の態様の目的は、利得媒体のポンピング表面から隔てられた利得領
域への、ポンピング放射の効率的な結合を有する、側面ポンピング型の固体レー
ザーを提供することである。
【0015】 これらの目的およびその他の目的は、Nd:YVO等の高吸収係数を有する
固体利得媒体を含み、半導体レーザーのダイオードアレイによって側面ポンピン
グされる固体レーザーにおいて達成され得る。本発明のいくつかの特定の態様に
よると、ポンピングレーザーは、該ポンピングレーザーと利得媒体の表面との間
に平行光化用あるいは集光用の光学要素を設けずに利得媒体を側面ポンピングす
るように配置されている。ポンピングレーザーと利得媒体との間の距離は、結合
および回折損失を最適化するべく固定された利得モード位置において、上記のポ
ンピングレーザーの出力が有する出射角度の角度広がりを該利得モードの高さに
整合させることにより、経験的に選択され得る。このようにすると、利得モード
と、レーザーがポンピングされるところのレーザー表面とが、回折損失を低減さ
せるのには十分大きいがポンピング光の利得モードへの結合を可能とするには十
分小さい距離だけ離れるように、固体レーザーの共鳴キャビティが好ましく配置
される。本発明のいくつかの実施形態においては、利得媒体、利得媒体のドープ
レベル、およびポンピングレーザーの動作温度が、ポンピング光を利得モードに
効率よく結合させるように選択される。
【0016】 本発明のある態様によると、レーザーシステムはレーザーキャビティを含んで
おり、このレーザーキャビティは該レーザーキャビティを貫くような光軸を含ん
でいる。このレーザーシステムは横断方向に幅を有する固体利得媒体を含んでお
り、ここで該固体利得媒体のポンピング波長における吸収の深さは、上記の横断
方向の幅および該固体利得媒体に含まれる上記の光軸の長さよりも小さい。特徴
的な出力波長を有する少なくとも1つの半導体レーザーが、側面ポンピングの構
成にある上記の固体利得媒体に向けて光ビームを発射するように配置されている
。上記のレーザーキャビティは、固体レーザーのレーザーモードを規定するもの
であり、このレーザーモードは、該レーザーモードが上記の利得媒体の表面から
離れるようにするため、あるモード深さに位置させられている。
【0017】 本発明の別の態様は、所望の波長のレーザービームを発生させるためのレーザ
ー媒体を有するレーザーシステムを提供する。少なくとも1つのダイオードレー
ザーが、上記のレーザー媒体を側面ポンピングして該レーザー媒体内において反
転分布を生じさせるためのポンピング光路に沿って、ポンピングビームを発射す
る。モードの組を規定してレーザービームを発生させるために、共鳴キャビティ
を形成するための光学要素が、上記のレーザー媒体の周囲に配されている。上記
の各光学要素は、上記の光学的なモードの組を上記のレーザー媒体内部に位置さ
せるように配されており、また上記の少なくとも1つのダイオードレーザーは、
上記のレーザー媒体の吸収ピーク波長とは異なるポンピング波長を提供するもの
である。
【0018】 本発明のさらに別の態様は、所望の波長のレーザービームを発生させるための
レーザー媒体を有するレーザーシステムを提供する。少なくとも1つのダイオー
ドレーザーが、上記のレーザー媒体を側面ポンピングして該レーザー媒体内にお
いて反転分布を生じさせるためのポンピング光路に沿って、ポンピングビームを
発射する。モードの組を規定してレーザービームを発生させるために、共鳴キャ
ビティを形成するための光学要素が、上記のレーザー媒体の周囲に配されている
。上記の各光学要素は、上記のモードの組を、上記のレーザー媒体のあらゆる側
面から離して、上記のレーザー媒体中に位置させるように配されており、また上
記のモードの組の幅は、ポンピング波長におけるレーザー媒体の吸収長の約1/
2から約2倍の幅である。
【0019】 本発明の別の態様は、少なくとも2個の光学要素で規定されるレーザーキャビ
ティであって、少なくとも第一の光学要素を貫くような光軸を含んだレーザーキ
ャビティを含むレーザーシステムを提供するものであって、ここで上記の各光学
要素はレーザーモードの組を規定するものである。このレーザーシステムは、あ
る横断寸法と吸収能を有する固体利得媒体を含んでおり、ここで上記の光軸は該
固体利得媒体を貫いている。ブロッキング素子が、上記の固体利得媒体と上記の
第一の光学要素との間において、上記の光軸近くに配されている。ある出力波長
を有する少なくとも1つの半導体レーザーが、側面ポンピングの構成にある上記
の固体利得媒体に向けて光ビームを発射するように配置されている。上記のブロ
ッキング素子は、上記のレーザーモードの組のうちの1つあるいは複数の利得を
制限するように配置されている。
【0020】 本発明はまた、固体レーザーを含むレーザーシステムを組み立てる方法をも提
供するものである。レーザーモードの組を有する固体レーザーのキャビティを規
定するために、光学要素および固体利得媒体が提供され、ここで上記のレーザー
モードの組は上記の利得媒体内部に位置しており、上記の利得媒体はある吸収深
さを有している。上記の利得媒体を側面ポンピングして固体レーザーの出力を発
生させるために、ある出力波長を有する少なくとも1つの半導体レーザーが配置
されている。ポンピングビームを提供する上記の半導体レーザーは、あるビーム
サイズを有している。この方法は、(1)上記の利得媒体内部における、上記の
レーザーモードの組の位置を変化させること、(2)上記の半導体レーザーの出
力波長を変化させること、および(3)上記のポンピングビームのビームサイズ
を変化させることのうち、少なくとも1つを行うことにより、固体レーザーの構
成を最適化する工程を含んでいる。
【0021】 本発明の別の態様によれば、レーザーシステムはレーザーキャビティを含んで
おり、このレーザーキャビティは該レーザーキャビティを貫くような光軸を含ん
でいる。横断方向および鉛直方向を有する固体利得媒体が、上記のレーザーキャ
ビティ内に設置されており、ここで上記の光軸は、該固体利得媒体を貫いている
。ある出力波長を有する少なくとも1つの半導体レーザーが、上記の利得媒体を
ポンピングするために該利得媒体のポンピング表面を通過させて光ビームを発射
するように配置され、ここで上記の光ビームは、上記の利得媒体中において上記
の鉛直方向に発散する光ビームである。上記の少なくとも1つの半導体レーザー
からの上記の光ビームは、上記の利得媒体内においてあるレーザーモードをポン
ピングし、固体レーザーの出力を発生させる。上記の利得媒体のポンピング表面
から離れたある深さに上記のレーザーモードが位置させられるように、上記のレ
ーザーキャビティが規定される。上記の少なくとも1つの半導体レーザーによる
上記の光ビーム出力が上記のレーザーモードに整合するようにするため、該少な
くとも1つの半導体レーザーは、上記の固体利得媒体の表面近くに配される。
【0022】 本発明の別の態様は、レーザーキャビティを有するレーザーシステムを提供す
るものであり、このレーザーキャビティは該レーザーキャビティを貫くような光
軸を含んでいる。固体利得媒体が上記のレーザーキャビティ内に設置されており
、ここで上記の光軸が該固体利得媒体を貫いている。このレーザーシステムは、
光ビームを発射する少なくとも1つの半導体レーザーを含んでおり、この光ビー
ムは、該少なくとも1つの半導体レーザーの出力時において高さよりも幅の方が
広くなっている。上記の半導体レーザーは、上記の利得媒体をポンピングするた
めに該利得媒体のポンピング表面を通過させて光ビームを発射するように配置さ
れ、ここで上記の光ビームは、上記の利得媒体中において鉛直方向に発散する光
ビームである。上記の半導体レーザーからの上記の光ビームは、上記の利得媒体
内においてあるレーザーモードをポンピングし、固体レーザーの出力を発生させ
る。上記の光軸が上記のレーザーモードと上記の利得媒体の両端面とを貫くよう
に、かつ、上記の利得媒体のポンピング表面に平行な方向に延びる上記の光軸に
沿ってのみ、上記のレーザーキャビティが上記のレーザーモードを方向付けるよ
うに、上記のレーザーキャビティが規定される。上記の少なくとも1つの半導体
レーザーによる上記の光ビーム出力が上記のレーザーモードに整合するようにす
るため、該少なくとも1つの半導体レーザーは、上記の固体利得媒体のある面に
隣接して設置される。
【0023】 本発明の別の態様は、所望の波長のレーザービームを発生させるためのレーザ
ー媒体と、上記のレーザー媒体を側面ポンピングして該レーザー媒体内において
反転分布を生じさせるためのポンピング光路に沿ってポンピングビームを発射す
る、少なくとも1つのダイオードレーザーとを有するレーザーシステムを提供す
る。モードの組を規定してレーザービームを発生させるために、共鳴キャビティ
を形成するための光学要素が、上記のレーザー媒体の周囲に配される。上記の各
光学要素は、上記のモードの組を上記のレーザー媒体内部に位置させるように配
されており、また上記の少なくとも1つのダイオードレーザーは、上記のレーザ
ー媒体の吸収ピーク波長とは異なるポンピング波長を提供する。上記のポンピン
グビームが上記のレーザーシステムのレーザーモードに整合するようにするため
、上記の少なくとも1つの半導体レーザーは、上記のレーザー媒体の表面近くに
配される。
【0024】 本発明のさらに別の態様は、所望の波長のレーザービームを発生させるための
レーザー媒体と、上記のレーザー媒体を側面ポンピングして該レーザー媒体内に
おいて反転分布を生じさせるためのポンピング光路に沿ってポンピングビームを
発射する、少なくとも1つのダイオードレーザーとを有するレーザーシステムを
提供する。モードの組を規定してレーザービームを発生させるために、光学要素
が、上記のレーザー媒体の周囲に共鳴キャビティを形成する。上記の各光学要素
は、上記のモードの組を、上記のレーザー媒体のあらゆる側面から離して、上記
のレーザー媒体内部に位置させるように配されている。上記のポンピング光路は
、上記の少なくとも1つのダイオードレーザーと上記のレーザー媒体との間にお
いて、集光用の光学要素を含んでいない。
【0025】好ましい実施形態の詳細な説明 本発明の特に好ましい実施形態は、半導体レーザーのダイオードアレイによっ
て側面ポンピングされる固体利得媒体を含む、固体レーザーを提供する。側面ポ
ンピング型の構成を利用することは、半導体レーザーの発散する出力を、固体利
得媒体内部の拡大された利得領域に結合させることを可能とし、固体レーザーに
おける端面ポンピング型の構成の場合に比して、固体利得媒体に対する熱入力が
良好に分散されるようにする。半導体レーザーからの高レベルのポンピング光を
利得媒体に結合することを容易にするためには、固体利得媒体が、ポンピング光
の波長において比較的高いレベルの吸収能を有していることが好ましい。高い吸
収能を有する利得媒体を選択すれば、Nd:YAG等のより低い吸収係数を有す
る利得媒体を使用する場合よりも効率的に、ポンピング放射を固体レーザーに結
合することが容易になる。最も好ましくは、本発明による固体レーザーは、利得
媒体中を通る比較的単純なビーム経路を提供し、これにより、前述のアルコック
氏特許において用いられたグレージング角の入射幾何学特性に付随する、高い回
折損失を回避する。たとえば、本発明の特に好ましい実施形態は、利得媒体中を
貫いてまっすぐに延びるビーム経路であって、ポンピング光が入射するところの
利得媒体の表面から離れているが該表面に近いビーム経路を提供する。
【0026】 固体レーザーの好ましい構成は、レーザーの動作において、最も低次の共鳴モ
ードであり空間的に最も良好に閉じ込められた共鳴モードであるTEM00共鳴
モードが選択されるように固体レーザーの共鳴モードの領域を規定する、ミラー
や熱レンズ等の構成要素を設ける構成である。さらに、こうした固体レーザーの
好ましい構成は、TEM00モードからの回折損失を受容可能な低いレベルまで
低減させるべく、当該モードの1/e強度レベルにより規定されるTEM00 モードの端点が利得媒体の表面から十分な距離だけ離れるように、レーザーキャ
ビティのTEM00モードを位置させる構成である。このようにして高い吸収能
を有する利得媒体内においてTEM00モードを選択および位置決定することは
、利得媒体中においてTEM00利得領域(TEM00 gain volum
e)を効率よくポンピングすることに対して難題を突きつけるものである。なぜ
ならば、高い吸収能を有する利得媒体の効率的なポンピングは、そうした高い吸
収能を有する利得媒体の表面でのみ起こることが予期されるし、また従来からそ
のように教示されてきたからである。この点に関しては、キンツ氏(Kintz
)らに付与された米国特許第4,942,582号「単一周波数固体レーザー(
Single Frequency Solid−state Laser)」
、およびアルコック氏らに付与された米国特許第5,315,612号「横方向
においてポンピングされる高効率の固体平板レーザー」を参照されたい。高い吸
収係数を有する固体レーザーの利得媒体の具体的な特定および特性に関するこれ
らの特許の教示事項は、参照により本明細書に記載されているものとする。
【0027】 本発明の特に好ましい実施形態は、利得媒体の吸収特性を選択することにより
、高い吸収係数を有する利得媒体に対して、レーザーの利得モードを内部的に位
置させている。この利得媒体の吸収特性は、部分的には利得媒体のドープレベル
を選択することによって調節可能である。利得媒体の吸収に関する第二の調節手
段として、ポンピング光の波長が利得媒体の吸収ピーク波長から僅かにずらされ
るように、すなわち「離調される」ように、該ポンピング光を選択することも望
ましい。このようにしてポンピング光の波長を選択することは、利得媒体の表面
近くで吸収されるポンピング光の割合を減少させ、レーザーの利得領域内におい
て吸収されるポンピング光の割合を増加させる。ポンピング光の波長を選択する
ことは、半導体レーザーダイオードの設計により達成され得るし、より実用的に
は適当な出力波長を有する市販の半導体レーザーを購入することにより達成され
得る。さらには、市販の半導体レーザーからの光出力波長は、該半導体レーザー
の動作温度を調節することによって、約6nmあるいはそれより広い範囲に亘っ
て波長調整され得る。このようにしてポンピング光の波長を選択することにより
、半導体レーザーからの光が利得媒体中において吸収される位置の深さを調節し
、所望のレベルのポンピング光を利得媒体中の利得領域に結合させることが可能
となる。このようにして、本発明による固体レーザーシステムは、半導体レーザ
ーからの高レベルのポンピング光を、高い吸収係数を有する利得媒体の表面から
離れた利得領域に結合させる。
【0028】 本発明のいくつかの態様によれば、固体レーザーは高い吸収係数を有する利得
媒体を利用しており、該利得媒体を半導体ダイオードレーザーアレイで側面ポン
ピングする。本発明の特に好ましい実施形態においては、高い吸収係数を有する
利得媒体内部にあるレーザーの利得領域は、利得媒体のポンピング表面を介して
の回折損失が低い回折損失となることを保証するのに十分な距離だけ、該利得媒
体の表面から離れている。最も好ましくは、ポンピングレーザーは、利得媒体か
ら離れているが近い位置に配置され、その離間間隔は、固体レーザーからのTE
00出力を最適化するように好適に選択される。本発明の発明者らによる観察
は、このポンピングレーザーと利得媒体との間の最適化された離間間隔が、固体
レーザーからの多重モード出力パワーを最大化するのに最適な離間間隔とは一致
しないことを示唆するものであった。
【0029】 本発明のこの態様の特に好ましい実施形態は、変形された突合せ結合の構成に
ある利得媒体を側面ポンピングする。換言すれば、ポンピングレーザーからの出
力は、レンズを通過することなく利得媒体に向けられるが、ポンピングレーザー
と利得媒体との間の離間間隔は、典型的な突合せ結合の離間間隔ではなく、ポン
ピングレーザーと利得媒体との間には従来の離間間隔よりも広い離間間隔が存在
する。最も好ましくは、該離間間隔の選択は、該離間間隔の選択に先だってかつ
該離間間隔の選択とは独立に利得媒体内部において固定された位置を有する、T
EM00モードへの結合を最適化するように行われる。TEM00モードあるい
はその他の所望のレーザーモードは、利得媒体に対するレーザーキャビティの構
成および相対位置によって、利得媒体中において規定される。利得媒体中におい
て固定された位置にレーザー利得モードが保持された状態で、続いて、主として
ポンピング放射のレーザー利得モードへの結合を最適化するために、半導体レー
ザーが利得媒体に対して相対的に位置決めされる。これらの実施形態のさらに別
の一態様として、実用性の面から、ポンピングレーザーと利得媒体との間の離間
間隔が経験に基づいて最適化され、最適水準の結合が得られる態様がある。また
代わりに、利得媒体への半導体レーザーのポンピング放射の結合は、半導体ポン
ピングレーザーと利得媒体との間において適当な光学系を用いることにより、経
験的に選択された利得領域と高さ方向の長さが整合された、平行光化されたビー
ムを用いても達成され得る。この代替構成は、製造の容易さという点で利点を有
するかもしれないが、突合せ結合の構成を利用した本発明の最も好ましい実施形
態ほどには、良好に最適化されないと考えられる。
【0030】 本発明の特に好ましい実施形態においては、側面ポンピングされる利得媒体と
側面ポンピングを行う半導体レーザーとの間にいかなる光学要素も介在しないよ
うな側面ポンピング型の構成をもって、該半導体ポンピングレーザーが該利得媒
体に対して設置される。集光用光学要素あるいは平行光化用光学要素が存在しな
いので、半導体ポンピング光は鉛直方向に発散する。半導体ポンピング光と利得
媒体との間の離間間隔が大きくされると、利得媒体中におけるポンピング光のビ
ームの高さ(鉛直方向の広がり)が変化させられる。したがって、この単純化さ
れた構成は、半導体レーザーからの発散する出力の高さ調整の容易化を、難なく
実現する。さらには、半導体レーザーと利得媒体との間の離間間隔の調節は、ポ
ンピング放射のレーザー利得モードへの結合の水準を調節し、ポンピング放射の
レーザー利得モードへの最適な結合を選択することを可能にする。加えて、上記
の好ましい固体レーザーシステムの好ましい構成は、従来型の側面ポンピングさ
れる固体レーザーの実施態様に比べて、より効率的であり、かつ、より安定性が
高い。
【0031】 本発明のさらに別の態様では、本発明は、高出力パワーの固体レーザーシステ
ムを使用した光学系に関して、単純化された光学系を提供する。本発明によるレ
ーザーシステムは、好ましくは、約25kHzかそれより大きいパルス反復周波
数(PRF)を有するパルス動作で動作し、このことは、パルス状のレーザー出
力が最適な形で提供されるシステムの中で該レーザーを使用することを容易にす
る。レーザービームは、周波数調波発生(たとえば周波数2倍あるいは3倍)結
晶を有効に利用するのに十分なほどに、良好な質のビームとして発生させられる
。このことは、周波数が2倍、3倍あるいは4倍された光の発生において上記の
固体レーザーを使用することを可能にし、それにより、紫外領域の波長を含めた
特に有用な波長を有する光出力が発生させられる。
【0032】 以下、本発明の上述およびその他の態様を、図を参照しながらより詳細に説明
する。以下に説明される固体レーザーは、周波数が2倍、3倍あるいは4倍され
、波長が短くされたレーザー光を光出力として発生させる光学系の一部として、
特に有用な応用用途を見出される。そのような光学系は、紫外域の波長において
干渉性のレーザー放射を出力する能力を有し、高速試作および製造(Rapid
Prototyping & Manufacturing; RPM)技術
の分野を含む種々の重要な応用用途において有用であるかもしれず、なかでもと
りわけステレオリソグラフィの分野において有用であるかもしれない。本発明は
、本明細書に記載された光学系、および1997年1月31日出願の継続中の米
国特許出願第08/792,374号(続き番号)「ダイオードによりポンピン
グされる4倍周波数固体レーザーを有するレーザー露出システムを利用したステ
レオリソグラフィにおいて、3次元物体を形成する装置および方法(Appar
atus and Method for Forming Three Di
mensional Objects in Stereolithograp
hy Utilizing a Laser Exposure System
Having a Diode Pumped Frequency Qua
drupled Solid−state Laser)」に記載されているよ
うな手法で本発明の各態様による固体レーザーを組み込んだステレオリソグラフ
ィ装置内の光学系の使用を意図したものである。この出願は、参照によりその全
内容が本明細書に記載されているものとする。上記の参照出願において特に注目
されたい点は、ステレオリソグラフィ装置においてパルス型の固体レーザーを有
効に利用するのに好ましい反復周波数、およびそのような応用用途におけるその
他の設計上の考察である。本光学系に関して意図される別の応用用途は、199
7年8月28日出願の継続中の米国特許出願第08/847,855号(続き番
号)「ステレオリソグラフィを使用した3次元物体の造形においてパルス放射源
を用いて、硬化可能な媒体の露出を制御する装置および方法(Apparatu
s and Method for Controlling Exposur
e of a Solidifiable Medium Using a P
ulsed Radiation Source in Building a
Three−Dimensional Object Using Ster
eolithography)」に記載のステレオリソグラフィ装置内における
用途である。この出願は、参照によりその全内容が本明細書に記載されているも
のとする。ステレオリソグラフィの方法および装置は、その他にも様々な米国特
許に記載されており、それらの中には、(1)ハル氏(Hull)に付与された
米国特許第4,575,330号;(2)ボーギッチ氏(Vorgitch)に
付与された米国特許第5,182,715号;および(3)ハル氏に付与された
米国特許第5,184,307号が含まれる。上記の各特許は、参照によりその
全内容が本明細書に記載されているものとする。上記の特許出願および特許に記
載されているようなステレオリソグラフィシステムにおける用途において特に有
用である、以下に説明される実施形態においては、ステレオリソグラフィ装置へ
のレーザービーム入力として、真円形状から僅かにずれた離心率を有するレーザ
ービーム入力が提供されることが望ましい。たとえば、レーザーシステムへの入
力は、1.3未満の離心率を有していることが望ましく、さらにその離心率は、
1.1未満あるいはおよそ1.1に等しいことがより好ましい。最も典型的には
、ステレオリソグラフィ装置への入力は、周波数が3倍あるいは4倍されたレー
ザービームである。
【0033】 本発明の実施形態による全体的な光学系の設計は、固体レーザーの好ましい態
様および利点に関する説明のための重要な背景知識を提供するものであるので、
まずその光学系全体の、より関連性が深く特徴的な側面を説明する。この光学系
全体の概要を説明した後に、その光学系全体に関する説明において提供された骨
子の範囲内で、固体レーザーの設計に関するその他のより詳細な側面を説明する
。図1は、本発明の好ましい実施形態による、固体レーザーを含む光学系全体を
図示した図である。まず留意すべきことは、図1に図示された全体的な光学系は
、該光学系内の光路沿いの異なる点において、3種類の異なる波長を発生させる
ということであり、ここで第二番目および第三番目の波長は、第一番目の波長の
調波波長である。固体レーザー10は、レーザー光の基本波長を出力し、この基
本波長は、当該光学系内において、第二番目および第三番目の波長(すなわち、
周波数が2倍、3倍あるいは4倍されたレーザービーム)を規定する。この固体
レーザー10は、近赤外領域において約1064nmの波長を有する基本波長レ
ーザービームを出力することが多い。この1064nmのレーザー線は、当該技
術分野においてはよく知られている様々な理由から有用なものであり、それらの
理由には、固体利得媒体中においてドープされたネオジムイオンを励起すること
によりこのレーザー線が発生させられることや、このレーザー線と半導体レーザ
ーダイオードによるポンピングとの互換性などが含まれる。当該光学系内におけ
る調波発生結晶の作用により、周波数が2倍された532nmのレーザービーム
が第二調波発生結晶を用いて発生させされ、さらに、全体的な光学系からの所望
の最終出力として周波数が3倍された355nmのレーザービームが発生させら
れる。この355nmのレーザービームは基本レーザービームの3倍周波数に相
当するため、周波数3倍結晶を指して第三調波発生結晶と呼ぶことにする。本発
明の別の実施形態においては、レーザーシステムの出力として周波数が4倍され
たレーザービームを発生させるために、第一の周波数2倍結晶の後に第二の周波
数2倍結晶が配されてもよい。
【0034】 基本波長のレーザービームは、固体レーザー10により出力された後、まず半
波長板12を通過させられる。この半波長板12は、基本となる出力ビームの偏
光方向を90°回転させる。光路上のこの箇所に半波長板12を組み込むのは、
主として、全体的な光学系内における周波数変換要素の配置において便利だから
であり、とりわけ、第二調波発生結晶に向かう光の適当な偏光方向を得るために
便利だからである。ここで、他の調波結晶には他の偏光方向が充てられ得る。本
発明の特に好ましい実施形態においては、基本波長のレーザービームは水平方向
に直線偏光されている(図1中の各要素が水平面上に配置されていて、紙面に垂
直な方向が鉛直方向であると想定している)。半波長板12は、偏光方向を鉛直
方向に回転させる。この偏光方向が回転されたビームは、次に一連の方向変換ミ
ラー14および16によって反射される。これらの方向変換ミラー14および1
6は、光学系全体の占めるフットプリントをよりコンパクトにし、基本となるレ
ーザービームの位置および方向の調節を可能とするために、光路を方向変換する
(すなわち折り曲げる)ものである。第二番目の方向変換ミラー16により反射
されたレーザービームは、続いて、周波数を2倍にする操作を実行する一連の光
学要素に向かう。これらの一連の光学要素には、第一レンズ18、第二調波発生
結晶20および第二レンズ22が含まれる。第一レンズ18は、固体レーザー1
0の出力カプラーから約25cmの距離だけ離れており、第一レンズの位置にお
ける基本レーザービームのビーム径(ビームウエストの半径の2倍、すなわち2
)は、約2.5mmである。
【0035】 第一レンズ18は、基本波長のレーザービームを第二調波発生結晶20上に集
光させる。この第二調波発生結晶20は、簡単に言えば、基本波長光の2個の光
子のエネルギーを加算して、基本波長のレーザービームを構成する各光子に比し
て2倍のエネルギーを有する1個の光子を発生させるものである。基本波長のレ
ーザービーム中の2個の光子を結合することにより発生させられた1個の光子は
、基本の光子に比して2倍のエネルギーを有し、基本の光子に比して2倍の周波
数を有し、また基本のレーザービームの光子に比して1/2倍の波長を有する。
この周波数を2倍にする処理は、第二調波発生結晶20内において大規模に行わ
れ、2倍された周波数、すなわち約532nmの波長を有する第二のレーザービ
ーム(すなわち第二調波)が発生させられる。このような調波発生の処理は、入
射レーザービームが適当に強い瞬時パワーを有している限りにおいて、様々な異
なる非線形結晶を使用したものが既知であり可能である。
【0036】 本発明の特に好ましい実施形態は、図1の光学系内において、最初の周波数2
倍操作およびその後の周波数3倍操作(あるいは周波数4倍操作)の双方に関し
、リチウムトリボレート(LiB;以下、「LBO」)を調波発生結晶と
して用いる実施形態である。周波数2倍結晶としてのLBOの製造および特徴に
ついては、米国特許第4,826,283号「LiB結晶およびその非線
形型光学装置(LiB Crystal and its Nonlin
ear Optical Devices)」に記載されている。この特許は、
参照によりその全内容が本明細書に記載されているものとする。今日、LBO調
波発生結晶は市販されており、その周波数2倍、3倍および4倍操作における応
用法は、当業者にはよく理解されている。連続して配された同一の複数の結晶を
、第二調波発生さらには第三調波発生に使用することに関する議論は、米国特許
第4,346,314号「非線形光学要素を用いた、高パワーに有効な、干渉性
放射の周波数変換(High Power Efficient Freque
ncy Conversion of Coherent Radiation
with Nonlinear Optical Elements)」、お
よび米国特許第4,510,402号「光学的調波発生器(Optical H
armonic Generator)」に記載されている。2個の結晶を用い
た第三調波発生に関する幾何学特性および位相整合についての、上記の各特許の
教示事項は、参照により本明細書に記載されているものとする。上記の2つの参
照特許に記載されている周波数3倍処理の応用手法と、図1に図示されている系
との主たる相違点は、図1に図示された本発明の特に好ましい実施形態では、第
二調波発生結晶について軽負担型の位相整合を利用している点である。軽負担型
の位相整合とは、第一のLBO結晶中における第二調波発生での位相整合条件を
満たすために、主として温度を利用する位相整合のことをいう。図1の実施形態
のこの特徴は、周波数2倍結晶の結晶軸と入力の基本波長レーザービームの伝播
方向との間において慎重な角度アラインメントをとらなくてはならない、より従
来型の処理とは、対照的なものである。
【0037】 第二のLBO結晶中において基本波長と2倍波長とが高水準で重複することを
助けるために、軽負担型の位相整合条件は、第一のLBO結晶への基本波長レー
ザービームの入力に対して好適に採用される。軽負担型の位相整合条件の利用は
また、実際の光学系内の第二のLBO結晶中において、基本周波数と2倍周波数
との間におけるずれの度合を最小限に留める。図示された実施形態においては、
第二調波発生結晶20を約148℃の温度に保つことで、軽負担型の位相整合条
件が満たされている。鉛直方向に偏光された基本レーザービームが第二調波発生
結晶に供給されるような好ましい実施形態においては、第二調波発生結晶20か
らの2倍周波数の光出力は水平方向に偏光されている。第二調波発生結晶を通過
した基本波長のレーザービームの一部は、鉛直方向に偏光されたままの状態にあ
る。
【0038】 本発明の好ましい実施形態においては、基本波長のレーザービームの一部のみ
が2倍周波数のレーザービームに変換される。これは、第三調波発生結晶により
達成される周波数加算操作は、周波数が3倍された光子を発生させるに際し、基
本波長レーザービームの光子と周波数が2倍されたレーザービームの光子との両
方を必要とするためである。たとえば、第三調波発生結晶により行われる混合操
作へ入力するために、基本波長の光子と2倍周波数の光子とを、ほぼ等しい割合
で取得することが望ましいかもしれない。単純に説明すると、上記の割合は、第
二調波発生結晶20に入力された基本波長レーザービームのエネルギーの約2/
3が、2倍周波数の光に変換されることを要する。そのため、基本波長のレーザ
ービームは、第一レンズ18により第二調波発生結晶20上に集光させられる。
基本波長(1064nm)のレーザービームの一部は、2倍周波数(波長532
nm)のレーザービームに変換され、その上で基本のレーザービームと2倍周波
数のレーザービームとの双方が、第二調波発生結晶から出力される。この2つの
出力ビームは、第二レンズ22によって平行光化され、共に第三調波発生結晶へ
と導かれる。レーザービームの平行光化を実行する便宜のため、第一レンズ18
と第二レンズ22とは、同一の焦点距離(たとえばf=25mm)を有するよう
に選択されることが望ましい。これらのレンズの各々は、第一レンズおよび第二
レンズ各々の焦点距離に等しい距離だけ、第二調波発生結晶の中心から離れて配
される。図示されている系においては、このようなレンズのアセンブリは、実際
には第一レンズに入射させられたレーザービームの僅かな発散を再生するが、そ
れでも平行光化は可能であり、また状況によってはこうした状態が望ましい場合
もある。続いて、基本波長のレーザービームの残部、および2倍周波数のレーザ
ービームは、第三レンズ24、第三調波発生結晶26として機能する第二のLB
O結晶、および第四レンズ28から成る系に導かれる。第三調波発生結晶26は
、周波数加算操作により、基本波長光と、先に周波数が2倍された光とを結合す
る。基本波長と第二調波の波長との周波数加算処理は、固体レーザー10により
出力された基本波長の第三調波にあたる波長を有する、3倍周波数光を発生させ
る。本発明の特に好ましい実施形態においては、第三調波発生結晶26により発
生させられた、紫外光にあたる335nmの光は、鉛直方向に直線偏光されてい
る。いくつかの好ましい実施形態においては、第二のLBO結晶は、周囲温度よ
りも高い温度(たとえば50℃)に保たれるべく設計されていてもよい。
【0039】 一般的に、第三調波発生結晶からの光出力は、3種類の波長の光、すなわち、
約1064nmの波長を有する基本周波数の光、約532nmの波長を有する2
倍周波数の光、および約355nmの波長を有する3倍周波数の光を、全て含ん
でいる。3種類の出力ビームは全て、第四レンズ28により平行光化され、出力
ビームスプリッター(調波分離素子ともいう)30に導かれる。レーザービーム
の平行光化を実行する便宜のため、第三レンズ24と第四レンズ28とは、同一
の焦点距離(たとえばf=50mm)を有するように選択されることが望ましい
。これらのレンズの各々は、第三レンズおよび第四レンズ各々の焦点距離に等し
い距離だけ、第三調波発生結晶の中心から離れて配される。ここでも、図示され
ている実施形態においては、第四レンズからの出力は、完全に平行光化されたビ
ームの組ではなく、僅かに発散するレーザービームの組である。出力ビームスプ
リッター30は、周波数が3倍された波長355nmの光32を本光学系の最も
望ましい出力として選択してその方向を変え、基本周波数および2倍周波数のビ
ームを光学系外に排出するものである。適当な出力ビームスプリッター(調波分
離素子ともいう)は、市販されており入手可能である。
【0040】 別の実施形態においては、図1の実施形態中の第二のLBO結晶は、周波数が
4倍された第四調波のレーザービームを発生させるために使用されてもよい。一
般的に、図1のシステムに提供される光の基本波長によっては、このような系が
、さらに短い波長の光を発生させるのに役立つ。3倍出力と4倍出力のどちらが
望ましいかに関係なく、図1に図示された光学系には、本発明の特に好ましい態
様による固体レーザーが好適に組み込まれ得る。以下の議論は本発明のそのよう
な態様を特に強調して説明するものであり、本発明による固体レーザーの特徴を
より詳しく説明するもである。
【0041】 好ましいレーザーシステムの性能上の特徴は、好ましい固体利得媒体としてN
d:YVO(ネオジム‐イットリウム‐バナデート)を選択することと密接に
関連している。Nd:YVOは、ポンピング光を効率よく出力レーザー光に変
換する能力を有する、高利得の材料である。Nd:YVOは、高い吸収係数を
有しており、したがって、Nd:YAGを利得媒体として使用したもの等の固体
レーザーにおいて典型的である大きさに比べて遥かに小さな大きさの部分中にお
いて、レーザーダイオードからのポンピング放射を吸収する。この利得媒体およ
びその他の高吸収係数材料が有する特に重要な利点は、参照により内容が本明細
書に記載されている前出の1997年1月31日出願の米国特許出願第08/7
92,374号(続き番号)、および参照により内容が本明細書に記載されてい
る高吸収係数利得媒体に関する前出の各参照物件に記載されている。比較的高い
吸収係数を有する他の利得媒体も使用可能であるが、Nd:YVOは、高い誘
導放射係数を有し、かついくつかの特定の重要な励起状態において短いライフタ
イムを有するという利点を持つ。利得媒体としてNd:YVOを使用すること
は、本固体レーザーの好ましい実施形態を用いたレーザーシステムのような、2
5kHzより大、あるいはより大きい周波数より大であるパルス反復周波数を有
するパルス型のレーザーシステムに対しては、即効的かつ実用的な利点を有する
。本発明の特に好ましい実施形態は、全体としては直方形プリズム状の形状であ
る利得媒体であって、比較的小さい断面寸法(約1.8mm×2mm)を有する
利得媒体を備えた、側面ポンピング型の固体レーザーを提供する。
【0042】 本発明の各態様の議論のために、ポンピング波長において、主に側面ポンピン
グされた固体利得媒体の横断寸法よりも短い距離に亘って吸収が起こるような吸
収係数を有する固体利得媒体を考慮して、ある高い吸収係数が規定される。好ま
しくは、利得媒体の吸収係数は、該利得媒体中におけるポンピング放射の強度分
布の1/e点を、約800μmよりも小さくするような吸収係数である。本発明
のさらに別の態様では、Nd:YVO等の材料を利得媒体として使用し、ネオ
ジムのドープ濃度を変化させて所望の吸収特性および励起特性を得ることにより
、該Nd:YVO利得媒体の吸収特性を調整する。本発明による固体レーザー
の好ましい実施形態は、典型的には、およそ0.5−1.5%の範囲内にあるネ
オジムドープ濃度を使用しており、より好ましくはおよそ0.6−1.2%の範
囲内、最も好ましくはおよそ0.9−1.1%の範囲内にあるネオジムドープ濃
度を使用している。
【0043】 ドープ濃度は、好ましくは、ピーク波長における吸収を所望の値よりも高い値
に設定するものである。この値、およびポンピング波長の調整により、所望の波
長範囲内における吸収が設定され、この所望の波長範囲とは200−2000μ
mの範囲であり、より好ましくは400−1000μmの範囲内であり、最も好
ましくは600−800μmの範囲内である(1/e点において)。
【0044】 本発明の好ましい実施形態による固体利得媒体中における適当なドープ濃度の
選択は、所望のレベルのポンピング光を所望のレーザー利得モードに結合させる
ことを容易にするようなやり方で、該利得媒体の吸収特性を調整する。この固体
利得媒体は、バナデートあるいはその他のホスト材料中に存在するネオジムある
いはその他のドープ材料を最も効率よくポンピングする光の波長に相当する特定
波長近くの、ある波長範囲に亘って、本質的に高い吸収係数を有するNd:YV
のような材料であることが望ましい。そのような高い吸収係数を有する利得
媒体を選択することは、効率的な側面ポンピングを容易にする。実際のレーザー
システムにおいて効率的な側面ポンピングを達成するためには、利得領域に達す
るのに十分な深さまで浸透し、かつ該利得領域中において強く吸収されるような
ポンピング放射をもって、利得媒体をポンピングすることが極めて望ましい。本
発明の好ましい実施形態においては、半導体ポンピングレーザーから出力される
ポンピング光の波長の変化に対して極めて敏感な吸収係数を有するような利得媒
体を選択することによって、上記の要請が達成される。そのような実施形態にお
いては、ポンピングレーザーの出力波長の調整は、ポンピング放射が主として吸
収される位置の深さを変化させるものである。
【0045】 図2は、好ましい半導体ダイオードポンピングレーザーの動作温度を変えるこ
とによって発生される光の異なる波長をもってポンピングを行うことにより、N
d:YVOの利得媒体において可能となる吸収係数調整の範囲を示した図であ
る。図2は、グレッグ・ミゼル氏(Greg Mizell)らの論文「希土類
元素をドープされたYVO単結晶の成長、処理および試験における近年の発展
(Recent Developments in the Growth,
Processing and Testing of Rare Earth
Doped YVO Single Crystals)」(SPIE 2
115巻、可視および紫外レーザー(Visible and UV Lase
rs)、pp.52−59、1994年)から抜粋したものである。詳細には、
図2は、ある1つの濃度でネオジムをドープされたNd:YVOの吸収係数の
実験による変化を、790から850nmに亘るポンピング光の波長に対して概
略的に図示したものである。Nd:YVO利得媒体のc軸に平行に向けられた
光と、Nd:YVO利得媒体のc軸に垂直に向けられた光とでは、吸収係数と
ポンピング光の波長との間の関係として、異なる関係が観測されている。異なる
ネオジム濃度に対しては、異なる関係が知られている。ポンピング光の波長範囲
(±3nm)は、典型的には市販の半導体レーザーを使用して選択することが可
能であり、その選択は、単に該半導体レーザーが搭載されたペルティエ冷却器の
冷却パワーの調節を通じて該レーザーの動作温度を変化させることによってなさ
れる。ここで、Nd:YAGを含む他の利得媒体もまた、ポンピング光の波長の
変化に対して、吸収係数の変化を示すことに注意されたい。
【0046】 Nd:YVOの吸収係数はより広いポンピング光波長範囲に亘らないと変化
しないため、上記の他の利得媒体のほとんどと比較しても、Nd:YVOは利
得媒体として特に好ましい。Nd:YVOの吸収係数の、ポンピング光の波長
に対する依存性が比較的低いことは、利得媒体としてのNd:YVOにおいて
、Nd:YAG等の場合よりも精密な所望吸収係数の選択を可能とするものであ
り、また、通常の動作において予期される半導体レーザーの温度における微小変
化の下での、より安定な固体レーザー出力を可能とするものである。ここで、好
ましいNd:YVO利得媒体中のネオジム濃度が変化させられると、ポンピン
グ波長対吸収係数の曲線の形状と、該曲線のピークとの双方が変化することに注
意されたい。所望の量丁度のドープ量をもって、繰返しNd:YVO結晶を作
製することは、極めて困難である。したがって、本発明の好ましい実施形態は、
ある特定の固体レーザーのための動作条件を確立するに際し、ある特定のNd:
YVO結晶中においてポンピング光の所望の分布を実現させるために、ある特
定の半導体ポンピングレーザーの動作温度を変化させることにより調整を行う。
勿論、レーザーに対して最大限のパワー出力あるいは光変換効率が要求されてい
ない場合には、この最適化は不必要であるかもしれず、また、利得媒体の組成に
関し精密な制御および選択が可能となれば、該最適化は必要なくなるかもしれな
い。
【0047】 Nd:YVOを固体レーザーの利得媒体として使用する際には、Nd:YV
およびその他の利得媒体の熱レンズ効果特性が、ポンピング光分布の選択お
よびレーザーキャビティの設計に組み入れられなくてはならない。米国特許第5
,577,060号「ダイオードによりポンピングされる、強い熱集光を示す結
晶を使用したレーザー(Diode Pumped Laser Using
Crystals with Strong Thermal Focussi
ng)」、および米国特許第5,651,020号「ダイオードによりポンピン
グされる共焦点対共焦点レーザー(Confocal−to−Confocal
Diode Pumped Laser)」に記載されているように、典型的
な高ポンピング強度の動作条件の下では、Nd:YVOは強い熱レンズ効果を
示す。上記の各特許は、参照によりその内容が本明細書に記載されているものと
する。「熱レンズ効果」という用語は、固体レーザーの技術分野において使用さ
れている用語であり、固体利得媒体の光学的特性が有する強い温度依存性により
、該固体利得媒体中に強力なレンズが形成される現象を表す用語である。熱レン
ズは、伝統的なレンズと同様の特性を有するが、温度依存性の点、および熱レン
ズは一般的により分布的な性質を有している点が異なっている。本発明の好まし
い実施形態においては、高いポンピング強度の下でNd:YVO内に形成され
る熱レンズの効果は、共鳴キャビティ中にある他の集光用光学要素(すなわちミ
ラーあるいはレンズ)のどれよりも強い。たとえば、今議論されているレーザー
システムの実施形態においては、熱レンズは、最適動作温度およびパワーの下に
おいて、約4から5cm程度の焦点距離を有するのが典型である。この熱レンズ
の集光力は、該熱レンズを、光学的キャビティ中の他のいかなる要素よりも強力
な集光要素とならしめるものである。以下の説明においてさらに明らかとされる
ように、本発明の好ましい実施形態は、通常の動作状態下でNd:YVO中に
おいて形成される強力な熱レンズを利用して、固体レーザーのキャビティを安定
化させるものである。したがって、Nd:YVOの熱レンズは、固体レーザー
の共鳴キャビティの設計において支配的な要素である。
【0048】 Nd:YVO利得媒体の最適な吸収係数の確立、したがってNd:YVO 中の最適なポンピング放射分布の確立においても、熱レンズは検討事項となり得
る。本発明の好ましい実施形態は、典型的には、ポンピング光がNd:YVO 結晶のa軸に平行な方向に沿ってNd:YVO利得媒体に向かうように該Nd
:YVO結晶を配置し、またNd:YVO結晶の反対側のa軸面に接する少
なくとも1個の固体冷却器(たとえばペルティエ冷却器あるいは熱電冷却器)を
設けるものである。Nd:YVOは、Nd:YVOを通常の動作温度に熱す
ることによりその結晶中に強い複屈折性が確立されるような、温度に依存した複
屈折性を示す。この温度に依存した複屈折性は、c軸に平行な方向よりもa軸に
平行な方向により強く集束を行うような、大きく変形した(歪んだ)熱レンズを
生じさせることが報告されている。したがって、最適な吸収係数およびNd:Y
VO利得媒体中におけるポンピング光の最適な分布は、この変形した熱レンズ
の効果を考慮に入れたものでなくてはならない。
【0049】 熱レンズの形状および集光力は、算出が非常に難しい。その理由は、少なくと
も特に、システム中の支配的な効果の1つとして、レーザー光そのものが利得媒
体からエネルギーを除去する有効な手段となっていることが挙げられるからであ
る。したがって、全体的なエネルギー平衡の式は、非線形の式となる。好ましい
固体レーザーシステムのこうした特徴は、実用においては、ある特定のNd:Y
VO結晶、ある特定の半導体レーザー、ある好ましい共鳴キャビティの幾何学
特性および熱浴等を有する、ある特定のレーザーシステムに対し、該特定のレー
ザーシステムについて最適化された動作条件が経験的に決定されなくてはならな
いことを示唆するものである。この最適化のいくつかの特定の特徴は、当業者に
おいては明らかかつ既知である。本発明による固体レーザーシステムの最適化に
関する他のいくつかの特徴は、従来的な事項とは全く異なるものであり、そうし
た特徴については以下に詳細に説明される。各々の特定のレーザーについての最
適化された動作条件は、同様の構造であり本質的には同一の構造である他の固体
レーザーとは異なるものになると推定される。
【0050】 本発明の固体レーザーの好ましい実施形態の構成および最適化に関しては、図
3に一部が図示されているような現在において好ましい構成についての、以下の
説明によってよりよく理解されよう。既に述べた理由によりNd:YVO結晶
であることが好ましい固体利得媒体40が、高反射能ミラー42および出力カッ
プリングミラー44により規定される共鳴キャビティ内に設置されている。好ま
しくは、Nd:YVO結晶を所望の動作温度に保つため、該Nd:YVO
晶は、大容量の熱電(ペルティエ)冷却器と熱接触した状態で搭載される。半導
体レーザーがNd:YVO結晶を側面ポンピングするために配置されるが、こ
の半導体レーザーは、好ましくは、ポンピングレーザーについて選択された動作
温度を維持するために、独立した熱電冷却器上に配置される。こうした構成の半
導体ダイオードレーザーアレイは、多くの業者により市販されており入手可能で
ある。半導体レーザーの動作温度を調節することは、本発明による固体レーザー
の最適化において望ましいようなやり方で、レーザーの出力波長を変化させる。
上記のキャビティ内にはさらに、Qスイッチ48が図示されている。このQスイ
ッチ48は、レーザーからの高レベルの瞬時出力パワーを達成するために好まし
い技術である固体レーザーのパルス型動作において、特に好ましい要素である。
【0051】 様々なタイプの半導体レーザーが入手可能であり、かつ本発明の特定の態様に
従って使用され得る。固体レーザーから最も高いレベルの出力を得るためには、
ポンピングレーザーとして高出力パワーの半導体レーザーを使用することが好ま
しい。本発明によると、現在において最高の出力を有する半導体レーザーを有利
に活かすためには、側面ポンピング型の構成がとりわけ好ましい。ここで、好ま
しい半導体ポンピングレーザーは、弱く結合された独立複数のレーザーダイオー
ド発光子が半導体レーザー装置の長さ方向に沿って配されて成るアレイから、高
い出力パワーを供給する。図示されている実施形態は、ポンピングレーザー46
としてSDL3470を使用している。このSDL3470は、カリフォルニア
州サンホセのスペクトラ・ダイオード・ラボラトリーズ(Spectra Di
ode Laboratories)から市販されている製品であり、全体で2
0ワットのCW(連続波)出力パワーを有する、1cmの長板形状の上に一様に
分布させられた60個の発光子を提供するものである。各発光子は独立したダイ
オードであって、約4μmの幅と約100μmの高さを有し、アレイ内において
、当該各発光子の幅方向に延びる直線上に沿って離れて配されている。各発光子
は、約15°の角度をもって広がる(FWHM)ようにして水平方向に(幅方向
に)発散し、かつ約35°の角度をもって広がる(FWHM)ようにして鉛直方
向に(高さ方向に)大きく発散する出力を発生させる。発光子のアレイは、固体
レーザー結晶に面しており、個々の発光子からの水平方向に発散する出力は結合
して、水平方向に沿って略一様の強度を有するバー状の光を発生させる。固体レ
ーザー結晶は、約2mmである高さと、約1.8mmである幅41(すなわち、
ポンピングレーザーの方向から見れば「深さ」)を有している。固体レーザー結
晶の端面43および45を介した回折損失により著しい量のポンピング放射が失
われることがないように、固体レーザー結晶は、半導体ダイオードレーザーアレ
イの長さよりも十分に長くされることが好ましい。たとえば、好ましいSDL3
470ダイオードレーザーアレイによって発生させられる1cmの長板状のポン
ピング放射と組み合わせて使用される場合には、利得媒体40は、約1.1から
1.4cmの長さ47を有するように選択され得る。半導体レーザーに近い方の
固体利得媒体表面に、半導体ポンピングレーザーの出力波長に対して有効である
ような反射防止コーティングを施して、半導体ポンピング光の利得媒体への結合
を改善することが望ましいかもしれない。
【0052】 固体レーザー結晶は、共同で共鳴キャビティの範囲を規定する2つのミラー4
2および44の間に配置されていることが好ましい。動作中における固体レーザ
ー結晶の熱レンズ効果の方が、レーザー利得モードの形状および領域を決定する
遥かに決定的な要素ではあるが、典型的には共鳴キャビティを範囲規定するため
に用いられるこれらのミラーも、部分的には共鳴モードの形状を決定する。共鳴
キャビティの1つの端面は、略平坦な高反射能ミラー42により規定される。高
反射能ミラーの背面の曲がりは典型的には重要な検討事項ではないが、原始的な
形態のモード形状分析を可能とする本発明の態様のためには、平坦/平坦型の高
反射能ミラー、すなわち鏡面側と背面側の双方において平坦である高反射能ミラ
ーを選択することが好ましい。キャビティに面している側の高反射能ミラー42
の表面が平坦である場合、すなわち該ミラーが無限大の曲率半径を有している場
合もあり、あるいは、高反射能ミラー42が約1m(R=1)かそれより大であ
るような非常に大きい曲率半径(キャビティの長さに比して非常に大きい)を有
している場合もある。一般的に、高反射能ミラーは、約1064nmの基本レー
ザー利得波長において、表面に入射する光の99%以上を反射するようなものが
選択される。ほとんどの状況において、高反射能ミラー42は、1064nmの
波長において極めて高い反射能を示すように設計された多層絶縁コーティングを
有している。図示されている実施形態においては、高反射能ミラー42は無限大
の曲率半径を有しており、該高反射能ミラー42の内側表面はレーザー結晶40
の中心から約3.0cm離れている。出力カプラーは、上記の共鳴キャビティの
もう一方の端面を規定する。出力カプラー44は、レーザー光を共鳴キャビティ
から出射させるポートであり、したがって高反射能ミラーよりも低い反射率を有
するように作製されている。出力カプラー44の反射率は、所望の最低次モード
(TEM00モード)におけるレーザーのパワー出力を最適化するように選択さ
れることが好ましい。図示されている構造を変形した構造においては、より高い
あるいはより低い反射率が好ましいかもしれないが、図示されている実施形態に
おいては、出力カプラーは約70−75%の反射率を有するように選択されてい
る。図3のレーザーの実施形態においては、市販されている絶縁コーティング付
きの高パワーレーザー用ミラーであって、所望の反射特性を提供するようなミラ
ーが、高反射能ミラーおよび出力カプラーの双方に使用されている。一般的には
、出力カプラーもまた、その内側表面(すなわち共鳴キャビティに面する表面)
において、約1から5m、あるいはそれより大である大きな曲率半径を有してい
る。本発明の現在において好ましい実施形態では、出力カプラーの外側表面は、
無限大の曲率半径を有するように選択されている(すなわち、平坦な外側表面)
。平坦な外側表面を使用することにより、僅かに発散する出力ビームが固体レー
ザーから発生させられる。この僅かに発散する出力ビームは、一般的には図1に
示すシステムの全体構成において有用なものであり、ここで基本レーザービーム
は、基本ビームである赤外ビームを最初の調波発生結晶の表面上に集光させる第
一レンズの表面において、約2.5mmの直径(2w)を有している。本発明
の別の特定の実施形態においては、上記の出力カプラーは、同様の透過率を有す
るような平坦/平坦型の出力カプラーであってもよい。そのようなシステムのあ
る特定の例を、以下に説明する。
【0053】 レーザーキャビティ内の共鳴レーザーモードがレーザー結晶に対して対称形と
なるように、出力カプラー44の反射能を有する内側表面は、レーザー結晶から
約6cmの距離だけ離れている。図示されている離間間隔は、1個あるいはそれ
より多くの追加の光学要素を設置するのに十分な空間を、キャビティ内に残すよ
うな間隔である。最も好ましくは、Qスイッチ48が、出力カプラー44と利得
媒体40との間に設置される。高レベルの利得を有する好ましいNd:YVO 利得媒体においては、該利得媒体中に所望レベルのポンピングエネルギーが蓄積
される前に、レーザーの発射が起こる。低レベルのポンピング放射に対してレー
ザーの発射を行う上記の利得媒体の傾向は、固体レーザーから高レベルの出力強
度を得るという最終的な目標に逆行するものである。そのため、Qスイッチが固
体レーザーの共鳴キャビティ内に配置され、該キャビティ内においてスイッチ可
能な損失として作用する。このQスイッチは、各周期的な期間中のある所望箇所
において該Qスイッチをキャビティ内で損失素子として作用させ、レーザー作用
を妨害させるようなデューティ周期により動作する。Qスイッチが共鳴キャビテ
ィ内の損失素子として活性化されている期間中においては、レーザー作用は生じ
ない。Qスイッチが損失素子として活性化されている間は、利得媒体中の反転分
布数が、ポンピングダイオードのポンピング作用によってより急速に増加し、ま
た、共鳴キャビティ中にQスイッチあるいはその他の損失源が存在していない場
合に比してより高い水準まで増加する。Qスイッチが損失素子として活性化され
ていない時には、利得媒体中に蓄積されたエネルギーを放出すべくレーザー発射
動作が高速で行われ、持続時間が短く瞬時強度が強いレーザーパルスが発生させ
られる。
【0054】 Qスイッチを含むレーザーにおいては、Qスイッチが損失素子として動作しな
い状態、あるいは少なくともQスイッチが利得キャビティ中に比較的低いレベル
の損失しかもたらさないような状態に、Qスイッチを切り換えることにより、レ
ーザーの動作が開始される。比較的低損失の状態にQスイッチが切り換えられる
と、共鳴キャビティ中の損失レベルは、レーザーの利得およびレーザーの動作が
高速に進むような損失レベルにまで、好適に低減させられる。このキャビティ内
の損失が低減させられている期間中は、利得媒体中の反転準位からエネルギーが
急速に引き出され、レーザー動作が開始され、高レベルの瞬時パワーおよび強い
強度を特徴とする出力光が発生させられる。Qスイッチの使用によって得られた
より高いレベルのエネルギー蓄積は、レーザーの利得および出力強度を減少させ
ながら急速に消費される。そのため、Qスイッチはごく短い期間しか低損失状態
に置かれず、その後は、該Qスイッチが再び高損失素子として活性化され、利得
媒体中において再びポンピングエネルギーの蓄積が開始される。図示されている
実施形態においては、Qスイッチは、結晶上に搭載された圧電素子により駆動さ
れるTeO等の音響光学素子であることが望ましい。そのような装置は市販さ
れており入手可能である。Qスイッチ自体は、約1.0cmの長さを有しており
、該Qスイッチの中心は、約1cmの距離だけ出力カプラーの前表面から離れて
いる。
【0055】 適当なパルス反復周波数(PRF)の設定は、固体レーザーの所望の出力強度
と、特に好ましい利得媒体中における関連する励起状態のライフタイム等の、利
得媒体の特性とを、考慮に入れたものとされ得る。本発明による固体レーザーの
特に好ましい実施形態は、約25kHzのパルス反復周波数(PRF)を使用し
たものである。25kHzのPRFは、25kHzの速度で高損失状態と低損失
状態の間で切換えを行い、固体レーザーの出力パルスを発生させる。この25k
Hzという速度は、レーザーの性能および特性から見て、ほぼ最適に近い速度で
ある。一方、ある特定の特性および関連性を有する全体的なシステム中において
図3の固体レーザーが使用される場合には、パルス型レーザーシステムの所望の
動作特性を確立するに際し、該全体的なシステムの特性および関連性の方が重要
視されることもある。たとえば、図3のレーザーが図1に図示されたような調波
発生システムに組み込まれ、そのシステム全体がステレオリソグラフィ装置内で
使用される場合には、該ステレオリソグラフィ装置の性能に関する要請が、実動
のパルス反復周波数を確立する際における最も重要な検討事項となり得る。本発
明のいくつかの実施形態においては、図3の固体レーザーが約22.2kHzの
PRFで動作させられることが好ましく、別の特に好ましいいくつかの実施形態
においては、約40kHzのPRFで動作させられることが好ましい。これらの
周波数は、本発明の好ましい実施形態が標的とする応用用途である、いくつかの
ステレオリソグラフィ装置によく適した周波数である。
【0056】 半導体ポンピングレーザー46と利得媒体40との間における好ましい位置関
係は、本発明のいくつかの態様にとっては重要な検討事項である。しかしながら
、この関係に関する議論を始めるにあたっては、まず固体利得媒体中におけるレ
ーザー利得モードの位置決めを議論する必要がある。図4を参照すると、利得媒
体40と半導体レーザー46の双方が、立面断面図で示されている。この図にお
いては、最も低次のレーザーTEM00モード50が概略的に断面で示されてお
り、ここで図4に示されているのは、該モード中の強度分布における1/e
ベルの線を表す水準線50である。Nd:YVO利得媒体40の熱レンズ効果
により発生させられる熱的複屈折効果のために、モード50は水平方向軸に沿っ
て圧縮されるであろうと主張する研究者もいる。本発明の発明者らは、報告にか
かるようなレーザーモードの楕円性を観測してはいないが、レーザーモードが真
円形状を有するであろうと結論付ける根拠はほとんど存在しないことを示唆する
ために、レーザーモード50は、真円形ではない水準線を有するように描かれて
いる。高レベルのポンピング放射を好ましい高吸収能Nd:YVO利得媒体に
結合させるためには、利得媒体40の表面であってポンピング放射が供給される
表面上、あるいは該表面の近くに共鳴モード50が位置させられるように、キャ
ビティ用ミラー42および44(図3)の利得媒体に対する相対的配置を行うこ
とが望ましい。
【0057】 しかし一方では、共鳴モード50の位置を利得結晶の各表面(利得媒体にポン
ピング放射が供給される表面を含む)に近すぎる位置とさせるようなキャビティ
用ミラー42および44の配置は、行わないことが望ましい。図示されているT
EM00モード50は、一般的にはガウス分布の形状を有しており、該モードの
強度分布の一部は、図示されている1/eレベルの水準線を超えて広がってい
る。Nd:YVO利得媒体40のポンピング表面に近すぎる位置にモード領域
(mode volume)50が位置させられると、結晶の表面を介した回折
損失が受容できないほど大きくなりかねず、図3に示すレーザーの高パワー動作
特性を制限しかねない。モード分布の外側部分(「裾」)中にはほとんどエネル
ギーが含まれないが、そうとは言え、そのエネルギーはレーザーの回折特性に影
響する。したがって、ここで説明されているシステムおよび幾何学特性において
は、回折損失を受容できるレベルに制限するべく、レーザーモードの水準線が利
得媒体の端面から少なくとも約200μm離れるように、該レーザーモードの位
置決めを行うことが好ましい。回折損失の受容可能なレベルは、利得媒体の端面
を介した回折損失によってモードにもたらされる歪みのレベルに応じて、決定さ
れ得る。ある与えられたミラーおよび熱レンズ効果の組み合わせにおいて、モー
ドが利得媒体の全表面から離れて配置された場合、該レーザーモードは完全なサ
イズおよび強度分布を有することになる。レーザーキャビティが、利得媒体のあ
る表面を介して著しい回折損失を体現するのに十分な程度に該利得媒体の該表面
に近い位置に配された場合、レーザーモードには、形状、エネルギー分布あるい
はその他の特性のいずれかの点において歪みが生じる。少なくともいくつかの実
施形態においては、レーザーモードが完全なモードサイズおよび強度分布に比し
て著しくは歪んでいない場合にも、受容できないレベルの回折損失が実在する。
実際的な例として言えば、アルコック氏特許において報告された回折損失と、ア
ルコック氏特許において報告された高い回折損失を有する幾何学特性は、固体レ
ーザーが高利得で動作することを困難にさせるものであり、したがって受容でき
ないレベルの回折損失を代表するものである。したがって、本発明の好ましい実
施形態は、利得媒体40に対するキャビティ用ミラー42および44の相対的配
置を通じて、モード領域にポンピング光が供給される結晶面54からレーザーモ
ードが離れるように、利得キャビティを配置するものである。モード領域50の
1/e水準線と利得媒体の表面54との間における離間間隔52は、該表面5
4を介した回折損失を小さくするのに十分な離間間隔であることが好ましく、一
往復についての該回折損失を、利得媒体中のその他の損失に比して少なくとも2
0%以下、より好ましくは10%以下とするような離間間隔であることが好まし
い。加えて、この離間間隔は、レーザーモード領域に到達するポンピング放射の
量が少なくなり過ぎる程には大きくされるべきではない。この要請は、200−
300μm程度の離間間隔52を設けることによって達成され得るが、この距離
は、モード領域がどれだけ良好に閉じ込められているかという点や、当該システ
ムのその他の特定の特徴に依存していくらか変わり得る。レーザーの構成が異な
る場合には、該構成が示す好ましい離間特性も異なるかもしれない。好ましくは
、上記のモードは、入射させられるポンピング放射の少なくとも50%を該モー
ドの深さに到達させるような距離だけ、ポンピング表面から離れている。利得媒
体中におけるドープ材料の濃度の違いによっても、回折損失、および離間間隔を
制限して高吸収係数材料中におけるレーザーモードの位置を最適化するのに適当
な離間間隔の選択は左右される。
【0058】 利得媒体50と該利得媒体の表面54との間において所望の離間間隔が与えら
れた後、続いてポンピングレーザー46とレーザー結晶40との間の離間間隔が
、ポンピング放射の鉛直方向の広がり範囲をモード領域の高さ56に整合させる
ように設けられる。利得媒体内にポンピング放射を提供する従来型の技術は、ポ
ンピングされるべき利得媒体の表面から離れているが近くに、あるいは該表面に
接して半導体レーザーが配置される、突合せ結合を含むものである。単純な突合
せ結合の幾何学特性は、利得媒体中においてより深い位置に利得モードを移動さ
せることを必然的に伴う場合があり、それによって、該利得媒体が有する高い吸
収能のためにポンピング効率が低くなるかもしれないので、本発明の実施形態に
おいては好ましくない。その代わりに、本発明の好ましい実施形態は、レーザー
システムの複雑な光学的環境および熱的環境を考慮に入れた上で、利得媒体中の
ある深さに固定されたモード領域の高さにポンピングレーザーを整合させるもの
である。
【0059】 側面ポンピングレーザーにおいて従来から実践されているある別の幾何学配置
は、円柱レンズ(ファイバーレンズであることが多い)を用いて、ポンピング放
射を利得媒体に供給するのに先立って半導体ポンピングレーザーの出力を平行光
化するものである。しかしながら、そのような構成は、平行光化用光学要素およ
びビーム形状調整用光学要素の各表面において損失を生じさせる傾向があり、ま
た、最適化された動作条件を達成および維持するべく光学系のアラインメントを
とることの困難性を増加させる。加えて、固定された位置を有するレーザーモー
ドと発散しながら伝播するポンピングビームとの間の離間間隔を変化させる調節
が可能でない場合には、完全ではないが個々のレーザーに対して適度に最適化さ
れたポンピング環境に近づくことすらも極めて困難になりかねない。前述のよう
に、各レーザーは各々異なる動作特性を有していると予想され、したがって個々
別々の最適化を必要とすると予想される。ファイバーレンズ型の構成は、単一の
高さを有するポンピングビームしか発生させないように設計されているものであ
り、したがって典型的には、レーザーシステムの最適化のためには有効性の低い
手段である。
【0060】 本発明の好ましい実施形態は、半導体ポンピングレーザー46を、ポンピング
放射が利得媒体40に供給される表面である表面54から距離58だけ離したも
のであり、この距離58は、ポンピングレーザー46の出力の鉛直方向における
角度広がり60と、利得媒体の屈折率(好ましいNd:YVOにおいてはn=
1.9)と、モード領域の位置におけるポンピングレーザーの出力光の鉛直方向
の広がり範囲をモード領域の高さ56に整合させるためのスネルの法則の単純な
適用に従って選択される。しかし一方、スネルの法則の単純な適用から導出され
た所望配置では、材料中における熱レンズ効果のためにモードの大きさが正確に
計算できないので、該所望配置は実用的でない。既に述べたように、利得媒体中
の熱レンズ効果は、ポンピング効率と全ポンピングパワーとに関わる要素である
。したがって実際のところは、ポンピングレーザー46と利得媒体40の表面5
4との間における最も望ましい離間間隔58は、典型的には経験的に決定されな
くてはならない。そのため、本発明の好ましい実施形態は、該離間間隔の経験に
基づく調節を行って所望の出力特性を達成するものであり、出力特性の実例とな
る結果は以下の表に示されている。表1は、ダイオードレーザーとNd:YVO レーザー利得媒体との間の離間間隔の関数として、レーザーシステムの出力パ
ワーを示した表である。
【0061】
【表1】 表1の第二列に列挙されている多重モードについての測定値を得るにあたって
は、モードの質を考慮せずに、赤外領域において最大の合計エネルギー出力が得
られるように図3のレーザーの共鳴キャビティが調整された。一方、表1の第三
列に列挙されている単一モードTEM00出力値を得るにあたっては、図1のシ
ステム中に配された赤外レーザーから最大の2倍周波数出力(図1の第四列)が
得られるように、キャビティが調整された。換言すれば、図1中の第二調波発生
結晶20から出射する点において最大量の532nm緑色光を発生させるように
、図3のレーザーを最適化したものである。以下に述べるように、2倍周波数光
の出力値を最大化する作業は、レーザーのTEM00出力を最大化するために使
用され得るレーザーのモードの質を極めて精密に測定する作業である。図4のレ
ーザーにおける最適な離間間隔58は、必ずしも固体レーザーからの合計出力パ
ワーを最大化することによって決定されるものではない点を、理解することが重
要である。その代わりに、固体レーザーが使用される特定の用途によっては、T
EM00モード等のある特定のモードに関して最大のパワー出力を選択すること
が好ましい場合もある。特に、図3のレーザーが図1のシステム中において使用
される際には、TEM00モードによる出力パワーを最大化するように、離間間
隔58が選択されることが好ましい。
【0062】 いくつかの好ましい実施形態においては、上述のような物理的な高さの整合と
いうことで整合が規定されるのではなく、その代わりに、ポンピング源と利得媒
体との間の離間間隔のみを変化させることにより、与えられた光学系構成のレー
ザーシステム出力を最大化するということで整合が規定される。いくつかの実施
形態においては、出力パワーが、最適化された離間間隔において測定される出力
パワーの最大値の約50%以内の範囲にあるときに、整合が成立することとされ
る場合もある。より好ましくは、出力パワーが最大値の約20%以内の範囲にあ
るときに整合が成立することとされ、さらに好ましくは、出力パワーが最大出力
パワーの約10%以内の範囲にあるときに整合が成立することとされる。最も好
ましい実施形態においては、離間間隔あるいは動作特性の組が、パワー測定処理
の測定誤差特性、および機械的な製造誤差許容量を考慮した測定誤差特性の範囲
内である最大出力パワーを提供する特定のものであることによって、整合が規定
される。ここで、最適な動作条件に極めて近いシステムにおいてさえ、出力パワ
ーの変化は劇的である可能性があることに注意するべきである。したがって、最
適な構成からの比較的小さなずれでも、レーザーの出力光は半分にまで減少され
得る。ここで、産業的な環境下におけるレーザーシステムの通常の使用状態は、
最適な動作特性から該レーザーをずれされてしまうものであるであると考えられ
る。
【0063】 図3に図示した固体レーザーを含む図1に示したシステムの実施形態の、最適
な性能を得るためには、図3の固体レーザーは、周波数2倍結晶26への入力と
して単一TEM00モードを提供するべきであり、これは、該TEM00モード
のコンパクトな大きさのためである。該固体レーザーにより発生させられ得るよ
り高次のあらゆる出力モードは、より大きい横断方向の(断面の)広がりを有し
ており、したがって最低次のTEM00モードのスポットサイズほどには集光さ
せられることができない。TEM00モードは、小さなスポットサイズにまで集
光させられることができ、また他のより高次のモードに比してより遠い距離まで
に亘ってその小さなスポット径を保持することができる。したがって、TEM モードは、周波数2倍結晶の小さな領域に、エネルギーを最も効率的に結合さ
せる。周波数2倍操作からの出力は、おおよそ光強度の二乗をレイリー長に亘っ
て線積分した値に等しく、変化する値である。したがって、入力ビームが質の高
い単一TEM00モードである場合に得られるような、より遠い距離にまで亘っ
て小さな径を保持する細く集光された光ビームは、周波数2倍結晶からの出力を
増大させるという顕著な利点を提供するものである。一方、周波数2倍結晶から
のパワー出力は、該周波数2倍結晶に入力されたレーザービームのモードの質を
、感度よく測定する値としても役立つ。ビームの質の測定値としての2倍周波数
パワー出力の感度の良好さは、図3の固体レーザーの最適化された構成について
表1の第三列および第四列に記載された測定値により示される。勿論、与えられ
た応用用途において、より緩い最適化が許容される場合には、より高次のモード
の使用も受容され得る。
【0064】 図4に関する説明は、固体レーザーシステムの最適化に関する、第一の一連の
考察を提供するものである。固体レーザーシステムの最適化に関する別の一連の
考察は、図5に図示されている。前述のように、利得媒体40内における利得モ
ード50の位置は、回折損失を制限するという最終目標と、利得媒体内で深さが
増大するにつれて生じるポンピングビーム強度の減少との均衡を図るように選択
されることが望ましい。ある与えられたポンピング源の位置と、それに対して相
対的に位置させられたある利得媒体の位置とに対し、他のキャビティ構成要素の
位置は、システムから最大の出力が得られるまで調整されることが可能であり、
それにより、回折損失とポンピングビーム強度の損失とを均衡させるような最適
な位置を設定することが可能である。この位置は、上述したやり方で選択される
ことが望ましい。レーザーモードに結合されるレーザー放射の量を調整すること
によって、さらなる別個の最適化を達成することもできる。
【0065】 利得モードに結合されるポンピング光の量の最適化は、多くの異なる要素を考
慮に入れるものであり、それらの要素の中には、利得媒体として用いられる特定
の高吸収係数材料や、利得媒体中における励起物質のドープレベルが含まれる。
本発明の現在において好ましい実施形態においては、利得媒体はNd:YVO であり、ネオジムのドープレベルは約1%になるよう選択される。Nd:YVO のドープ状態を精度良く再現することは困難である。したがって、一般的には
、各特定のNd:YVO結晶ごとに、含まれるネオジムの量は変化する。こう
した変化を組み込んだ上で、図2に図示され対応の本文中において既に述べられ
たように、ポンピングによる励起の利得媒体への整合が、半導体レーザーの動作
温度を選択することにより達成され得る。半導体レーザー46は、典型的には熱
電冷却器あるいはペルティエ冷却器である温度制御装置64上に搭載されている
。制御装置66は、図1のシステムのようなレーザーシステムのために設けられ
た制御システム全体の一部であることが多く、温度制御装置64を使用して半導
体レーザー46の温度を設定および維持するためにいる。ここで、結晶は、ポン
ピング放射について所望されるよりも大きいピーク吸収係数をもたらすドープレ
ベルを有していることが望ましい。そのような場合には、半導体ポンピングレー
ザーの温度は、典型的には利得媒体の吸収ピーク波長とは異なる波長においてポ
ンピングレーザーが光を出力するように選択されることが好ましい。そのような
離調された動作は、利得媒体中におけるより深い深さまでポンピング光が浸透す
ることを保証するものであって、それにより、TEM00利得モードへの、より
高い水準での光の結合をもたらすことが可能になる。
【0066】 図中においてLで示されている利得モード50の幅は、ポンピングビームの
強度、およびNd:YVO利得媒体40の熱レンズ効果に強く依存する関数で
ある。したがって、ポンピング光の利得モードへの結合は、ここでも、現在のと
ころ実用では経験的に達成される必要のある作業である。図示されているレーザ
ービームの最適化に関する別の側面から言えば、最適化の作業がどの程度まで必
要であるかは、特定の応用用途、およびそれらの応用用途が必要とする出力強度
に依存する。図6は、利得媒体内における深さの関数として、ポンピング光の吸
収の様子を概略的に示した図である。図示されているように、エネルギー吸収の
1/e点は、吸収係数αの逆数に対応する。本発明の発明者らは、好ましいレー
ザーモードの幅Lが一般的には吸収係数の逆数に比例して変化することを観測
しており、最終的なレーザーシステムは、図示されている比例定数「c」が0.
5から2.0の範囲内に収まるように選択される。
【0067】 固体レーザーの性能の最適化は、レーザーの構成の種々の異なる側面および種
々の異なる動作パラメターの調節を含み得る。最適化は、典型的には経験的に、
すなわち、固体レーザーの構成あるいは動作パラメターを調節しながら出力パワ
ーあるいはその他のレーザーの性能特性を監視することにより、極大値的な最適
状態を連続的に特定する経験的な手法によって行われる。各変数は、典型的には
個別に調節され、他のパラメターを最適化するためにさらなる調節が行われる。
レーザーの全ての特性は、利得媒体中の熱レンズと相互に影響を及ぼしあうため
、高水準の最適化は、反復的な最適化プロセスを必要とし得る。したがって、本
発明のいくつかの実施形態においては、利得媒体中におけるレーザーモードの位
置は、該利得媒体に対するミラーの位置を調節することによって選択され得る(
たとえば、極大値あるいはそれに近い値を実現するために)。レーザーモードの
高さと、該レーザーモードにおけるレーザービームの高さとの整合が、好ましく
は半導体レーザーと利得媒体との間の離間間隔を調節することにより達成される
(たとえば、極大値あるいはそれに近い値を実現するために)。最も好ましくは
、固体レーザーが図1に示されたレーザーシステム内に組み込まれる際において
、2倍周波数のレーザービームの出力パワーを監視することが、最適な離間間隔
を特定する手段を提供する。その後、最適化プロセスの第三番目の工程において
、半導体レーザーの動作温度を調節することにより、レーザーモードに結合され
る光のレベルを設定することができる(たとえば、極大値あるいはそれに近い値
を実現するために)。その後、一連のレーザー最適化工程のいくつかあるいは全
てが繰り返され得る。たとえば、利得媒体に対するミラーの位置を再調節し、そ
れにより、利得媒体のポンピング表面に対してレーザーモードを移動させ、より
良好な出力パワーレベルを得ることが望ましいかもしれない。
【0068】 所望の最適化レベルが取得されるまで、一連の最適化工程全体が繰り返され得
る。性能改善に関する最低閾値による制限が、最適化の完了時を特定するために
使用され得る。たとえば、レーザー構成およびパラメターは、出力パワーを10
%以下しか向上させないようになった一連の最適化工程全体によって特定される
かもしれないし、あるいは状況によっては、5%以下しか向上させないようにな
った一連の最適化工程全体によって特定されるかもしれない。この最適化の評価
は、たとえば、基本波長のレーザービームあるいは2倍周波数のレーザービーム
中の出力パワーに基づいて行われ得る。レーザーシステムの最適化プロセス全体
の中の種々の最適化工程のうち、いくつかの工程のみしか繰り返さなくてよい場
合もある。各特定のレーザーの応用用途に対する最も好ましい最適化のレベルは
、おそらくは、(1)利得媒体中におけるレーザーモードの位置を最適化する工
程、(2)ポンピング放射の物理的な広がりをレーザーモードに整合させる工程
、および(3)ポンピング放射の分布をレーザーモードに整合させる工程を必要
とするレベルである。いくつかの特定の状況においては、上記に列挙した3つの
特定の特性のそれぞれについて、極大値に近い出力パワーレベルによって測定さ
れるような整合性を得ることのみが必要とされ得る。
【0069】 図7は、レーザーシステムのさらに追加の特性を最適化するのに使用され得る
モード形状アナライザーを提供するための、図3のレーザーシステムの変形例を
図示したものである。図7に図示されているシステムは、高反射能ミラー42に
入射するレーザー放射のうち少量の一部がその高反射能ミラーを透過するという
事実を、利用したものである。高反射能ミラー42は平坦/平坦型であるため、
高反射能ミラー42の外側表面上におけるレーザービームの像は、キャビティ内
の該高反射能ミラーにおけるビーム形状を再生した像である。したがって、この
ビームの像は、キャビティ内におけるモードの形状を分析するために観察され得
る。高反射能ミラーを透過するレーザービームの強度は検出器を破損させるのに
十分足るほど強いので、より扱い易いビーム強度を発生させるべく、高反射能ミ
ラー42の近くには1個あるいは複数個のNDフィルターが配置され得る。その
後、所望の分解能を有する検出器、あるいはレーザービームの近赤外光に対して
感度を有するメルズ・グリオット・ビームアナライザー72等のプロファイルア
ナライザーを使用して、ビームが撮像される。アナライザー72は、高反射能ミ
ラー42に対して比較的近く(約1.5cm)に配置され得る。この撮像能力は
、ビーム形状を観察するため、したがってレーザーがTEM00モードあるいは
それに近いモードで動作しているか否かを特定するために、容易に用いられるこ
とが可能である。この観察方法は、図1のシステム中における周波数2倍結晶2
0からの2倍周波数出力を最大化する上述の最適化技術に比べれば、遥かに精度
が劣るものである。
【0070】 図7のアナライザーは、レーザーシステム中の異なる位置におけるモードの大
きさを測定する、大雑把かつ概して定性的な測定手段として用いられ得る。マイ
クロマニピュレーターあるいは微小移動ステージ74が、ナイフエッジあるいは
レザーエッジ76を利得媒体に対して精度良く配置するために使用される。該ス
テージは、キャビティの長さ方向に沿ったある位置に配置され、該レザーエッジ
は、該エッジ76がアナライザー72における像を最初に歪ませ始めるまで(典
型的にはモードの像が縮小され始めることにより観測される)、横断方向に移動
させられる。アナライザー72における像が消滅して、該エッジ76がモード断
面に到達している光全体を遮断していることが示唆されるまで、該エッジ76は
移動させられる。利得媒体の、最初にビームが歪んだ点から消滅点までの距離は
、一般的にその点におけるモードの幅に関連している。図7に示されたレーザー
システムのレーザーは、該レーザーシステムの使用時においては高パワーの動作
状態にあり、したがってレザーエッジがレーザー結晶40から安全に離されて保
持されることが重要である点に注意されたい。図7のシステムを使用して、TE
00モードでの動作のために最適化されたレーザーシステム中における近似的
なモード幅が、上述の実施形態の約9cm長のレーザーキャビティ中における異
なる複数の点において測定された。高反射能ミラー42の近傍においてはモード
幅は約400μmであり、高反射能ミラーから1cmの距離においてはモード幅
は約560μmであり、Qスイッチ48のキャビティ中における通常位置に対応
する7.5cmの距離においてはモード幅は約230μmであり、出力カプラー
44の表面近くにおいてはモード幅は約130μmである。したがって、利得モ
ードの大きさが、利得媒体40において最大であり。出力カプラーにおいて最小
であることは明らかである。図7のシステムは、TEM00モードで動作する最
適化されたレーザーにおけるモードの形状および大きさを分析するのに有用であ
るだけでなく、より高次のモードの存在を特定するため、およびより高次のモー
ドの存在を制限する構造を工夫するためにも使用され得る。
【0071】 共鳴キャビティの光路上において適当な横方向にQスイッチ48を配置するこ
とは、固体レーザーを単一モード動作で動作させる際において、開口部として作
用し得る。より高次のキャビティモードは、基本となるTEM00モードが占め
る領域の中心線周りに対称的に配置されたローブを示すものである。最初の高次
モードは、共鳴キャビティ全体に亘って断面的に観察すると、基本となるモード
領域の両側に位置させられた水平方向に離れた1組のローブを有しており、この
うち第一ローブはポンピング光に近い方に離れて配されており、第二ローブはポ
ンピング光から遠い方に離れて配されている。第一ローブと第二ローブとの間に
おいては、ポンピング放射は距離に対して指数関数的な分布をしているので、第
一ローブはキャビティの高利得領域に位置しており、第二ローブは該キャビティ
の低利得領域に位置していることになる。
【0072】 利得プロファイルの調節は、第二ローブがレーザー動作を保ち続けるために十
分な利得を有することを、防止し得るものである。この調節と併せて、基本とな
るTEM00モード領域が全てQスイッチの表面と重なるが、共鳴キャビティの
最初の高次モードにおける第一ローブが該Qスイッチの表面にかからないように
して、該Qスイッチが配置されることが好ましい。そのようにすると、最初の高
次モードの第一ローブはQスイッチを透過させられず、それにより該第一のロー
ブの高程度の損失あるいは物理的な遮断がもたらされ、該第一ローブはレーザー
動作を保ち続けるために十分な利得を有さないようになる。したがって、固体レ
ーザーにおける最初の高次モードの振動は、利得プロファイルを調節すること、
および該最初の高次モードを抑制するようにQスイッチを配置することにより、
抑制され得る。2番目のおよびさらに高次の高次振動は、通常は実際に振動に到
達する度合がより低く、したがって、利得プロファイルの選択とQスイッチの配
置との組合わせは、固体レーザーのいくつかの実施形態において効果的に単一T
EM00モードでの動作を選択するものである。キャビティを慎重に調整するこ
とによっても同様の結果が得られるが、レーザーの調節を要さずに、より強力か
つより確実に単一モード動作を保持するという点で、いくつかの応用用途におい
ては、上記の利得プロファイルの選択とQスイッチの配置との組合わせの方が好
ましい。そのようなメンテナンスの必要性が低い動作特性は、産業的用途におけ
る使用およびステレオリソグラフィ等の応用用途において使用される固体レーザ
ーの、設計の実用性という点で非常に重要である。
【0073】 さらにより強力な物理的開口部と利得開口部(gain aperture)
との組合わせを、同様のやり方で使用することも可能である。物理的開口部とし
てQスイッチを使用する代わりに、該Qスイッチの近傍に位置させられた別個の
開口部を使用して、レーザーの最初の高次モードにおけるローブのうちの1つを
遮断することも可能である。この代替手段においては、上記の物理的開口部は、
ナイフエッジでもよく、あるいはその他の好適な遮断材であってもよい。上述の
Qスイッチに関する説明と同様のやり方で、該物理的な開口部が配置され、最初
の高次モードのポンピング源に最も近いローブが遮断されるべきである。レーザ
ーシステムの好適な設計においては、最初の高次モードの第二ローブにおける利
得は、レーザーとしての作用を保ち続けることができない程度に低くされ得る。
最初の高次モードにおける往復の利得が、レーザーの往復の損失よりも少ない場
合には、第二ローブにおける利得は十分に低いと言える。この低利得条件を保証
するために、ポンピングビームの波長、利得媒体の吸収係数、あるいはその他の
損失機構は、必要なように調節されることが可能である。物理的な開口部と利得
の選択との組合わせは、利得の選択を開口部としてのQスイッチと組み合わせる
よりも、レーザーシステムの構成により柔軟性を持たせるものである。
【0074】 図8は、本発明の教示にしたがって構成され最適化された図3のレーザーシス
テムの、上述した実施形態の性能を図示し、さらに、最適化された図3のレーザ
ーを組み込んだ図1のシステムの性能を図示したものである。図8は、25kH
zのPRF(パルス反復周波数)を使用して得られた、基本レーザー出力、2倍
周波数レーザー出力(532nm)、および3倍周波数レーザー出力(355n
m)のグラフを提供するものである。基本レーザー出力パワーのグラフは、約1
2%の光‐光ポンピング効率と、20%を超える(23.5%)傾き効率とを有
しており、これらは共に側面ポンピングレーザーとしては高い値である。レーザ
ー動作の閾値は、ミラーを含むキャビティが20Wの入力ポンピングパワー用に
最適化されている場合においては、約9.5Wの入力パワーである。この構成に
おけるレーザー動作の閾値は、熱レンズを確立および安定化するために必要とさ
れる、熱的パワーの入力量を反映したものである。この安定状態の動作条件が確
立される前においては、熱レンズは十分に発達しておらず、キャビティ内を伝播
する光はキャビティ内部に留まらない傾向を有する。このレーザーシステムにお
いては、著しいレベルの3倍周波数出力光が得られ、そのことは、本システムを
、上述のステレオリソグラフィの応用用途に適したものとさせる特徴である。
【0075】 図1のシステムからの高レベルのパワー出力に関しては、第三調波発生結晶2
6の出力面におけるエネルギー密度が、該第三調波発生結晶26の出力面を破損
させるほどに大きくなることもあり得る。本発明の発明者らは、該第三調波発生
結晶の出力面への破損を観測したが、破損は結晶の出力面においてのみ生じてお
り、また該破損はレーザービームが該結晶から出射する位置の近傍に強く局在化
されていた。そのことから、上記の結晶の出力面において、上記の破損は高密度
の355nm光子(3倍周波数、紫外領域)の存在に付随している可能性が極め
て高い。仮に上記の破損が単純に合計のエネルギー密度に起因するものだとすれ
ば、図1のシステム中の、周波数2倍結晶においても、あるいは周波数3倍結晶
の入力面においても、破損が生じるはずである。観測された破損は、実質的に結
晶から出射するビームのスポットサイズ(スポット径にして100μm程度)の
範囲内に限られているが、その破損位置は、3倍周波数ビームの質および強度に
必然的に影響する。周波数3倍結晶の出力面の破損は、図1に図示されるような
レーザーシステムの寿命を著しく短縮させるものである。
【0076】 図9は、高レベルの紫外出力光を発生させるための周波数3倍結晶を使用しな
がらレーザーの寿命を延ばすために図1のレーザーシステムに代替的に組み込ま
れ得る、単純な要素群を図示したものである。図9は、図1の実施形態の周波数
3倍結晶26に代替し得る変更されたアセンブリを示すものであり、該図9のア
センブリは、機能的には図1に図示された前述の周波数3倍結晶26と等価であ
るLBO結晶を含んでいる。ここでの議論および説明の便宜のために、説明をよ
り分かり易くするべく、周波数3倍結晶が必要とする温度制御機構等のいくつか
の特定の周辺構成要素は図示されていない。周波数3倍結晶90は、手動制御に
より移動させることも可能であるが、好ましくはコンピュータ制御される移動機
構上に搭載されており、また横方向および縦方向への移動能力を双方とも有して
いることが好ましい。x軸移動ステージ92は、LBO結晶の支持部として設け
られてもよく、LBO結晶90の横方向への移動をもたらすものである。Z軸移
動ステージ94あるいは昇降機が、たとえばx軸移動ステージの下に、レーザー
キャビティに対して垂直な方向に沿ったLBO結晶の移動をもたらすべく設けら
れる。このことは、二次元的に移動する系を提供するものであり、したがって、
調波発生結晶に関して最長の寿命を提供するものである。勿論、一次元の移動が
満足な結果をもたらす場合には、単一の移動機構のみが設けられ、単一方向に沿
ってのみ移動が行われる場合もある。上記の移動機構は、制御システムあるいは
コンピュータ96により制御され、この制御システムあるいはコンピュータ96
は、図1に図示されたレーザーサブシステムの制御に専用のものでもよく、ある
いはステレオリソグラフィ装置のための全体的な制御コンピュータシステムの一
部であってもよい。好ましくは、コンピュータ96に紫外領域における出力強度
を特定させるか、あるいは周波数3倍結晶からの出力強度に関する他の測定基準
を導出させるために、コンピュータ96は、図1に示した全体的なレーザーシス
テム内に配置されたセンサーあるいは光学的サンプリングシステムに接続されて
いる。また、コンピュータ96は、データ制御ライン98を介してx軸移動ステ
ージ92に接続されており、さらにコンピュータ96は、データ制御ライン10
0を介してz軸移動ステージ94に接続されている。
【0077】 図9に図示されたサブシステムは、周波数3倍結晶90の出力面におけるレー
ザー位置に対しての、該周波数3倍結晶90の自動的な再配置を可能にするもの
である。たとえば、最初の組込状態中においては、周波数3倍結晶90は、ビー
ムが初期スポット102を通過するように、レーザーキャビティに対して相対配
置させられ得る。一定期間の経過後に、該周波数3倍結晶は、レーザービームが
新たなスポット104を通過するように、レーザーキャビティに対して移動させ
られる。以前の占有位置から離れた位置においてレーザービームが周波数3倍結
晶から出射するので、以前の占有位置に存在するいかなる破損も、再配置された
ビームに影響を及ぼさない。周波数3倍結晶(〜2−5mm)は、周波数3倍結
晶の出力面におけるビーム径(〜100μm)に比して大きいので、与えられた
いかなる結晶においても、多数回の上記のような移動が安全に行われ得る。した
がって、周波数3倍結晶の有用な寿命、あるいは出射する放射によって破損され
得る他の同様な結晶の有用な寿命は、著しく延ばされ得る。さらには、この変更
例は紫外光を発生させる調波発生結晶がレーザーキャビティ外に配置されている
図1のシステムを前提として説明されたが、レーザーキャビティ内に配された調
波発生結晶の寿命を延ばすべく、該レーザーキャビティ内に配された調波発生結
晶が再配置されるレーザーシステムに対しても、同様の手法が適用され得る。少
なくともいくつかのレーザーシステムは、レーザーキャビティ内において2倍周
波数あるいはより高次の調波発生を使用するものであり、そのようなレーザーシ
ステムは、紫外放射あるいはその他の破損をもたらす放射を発生し得ることに注
意されたい。そのようなシステムは、調波発生結晶の移動による恩恵を受けるこ
とができる。
【0078】 レーザーシステムあるいはその他のより大系的なシステムに関する検討事項に
おける各特定のニーズに応じて、入力レーザービームに対する周波数3倍結晶の
再配置は、多くの異なる方法によって始動され得る。最も簡単な手法では、性能
低下に気づいたユーザーが再配置動作を始動させ、以前は使用されておらず破損
されていない部分をレーザービームが通過するように、周波数3倍結晶を移動さ
せることが可能である。この手法は簡単ではあるが、ユーザーは、性能に関する
あらゆる問題を周波数3倍結晶の劣化と絡めて考え、周波数3倍結晶の位置に関
して非生産的な調節を行う傾向を有するかもしれないので、該手法は実用におい
ては逆効果となり得るものである。したがって、図9の実施形態は、周波数3倍
結晶の、最も最近の1つあるいは2つあるいはより多くの占有位置を記憶してお
くための、メモリを含んでいることが望ましい。再配置動作後においてもレーザ
ーの性能がほとんどあるいは全く改善しない場合(すなわち、10%あるいは2
0%程度の改善しか見られない場合)には、周波数3倍結晶が元の位置を占有す
るように、該再配置動作が元に戻され得る。以前の占有位置の再取得が可能であ
ることは、図9に示した周波数3倍結晶を含むアセンブリの、この比較的手動に
近い構成においてのみでなく、以下に議論されるより自動化された構成において
も望ましいことである。ある変更例においては、性能改善を確認するために2回
以上の前進工程が行われることが可能であり、その2回以上の前進工程の後に改
善が見られない場合には、当該システムは、自動的あるいは手動により、以前の
各位置を通りながら段階的に元に戻される。
【0079】 上述の比較的手動に近い再配置動作に対する変更例として、図1のレーザーシ
ステムの合計動作時間を記憶するメモリが、コンピュータ96内あるいはコンピ
ュータ96からアクセス可能な場所に設置されてもよい。配置動作を実行するた
めの期間が、性能特性および寿命特性に関する製造者の知識に基づいて、予め設
定された様式でコンピュータ96内に記憶され得る。あるいは、再配置のための
時間は、ユーザーが目的とする応用用途におけるレーザーシステムに関する該ユ
ーザーの経験に基づいて、該ユーザー自身が設定できるようにされてもよい。こ
れらおよびその他の実施形態においては、特定の周波数3倍結晶に関し、レーザ
ービームが通過してきた全ての位置の履歴を記憶しておくことが望ましい。その
ようなシステムは、以前に占有された各位置を避けるために、まず以前に占有さ
れた各位置の履歴を確認した上で、再配置を実行する。
【0080】 図9に示した周波数3倍結晶を含むアセンブリのさらに別の自動化された構成
の下では、再配置を実行するか否かの決定は、出力強度あるいはビームの質に関
する外部からの測定値に基づいて行われ得る。そのような構成においては、図1
のシステムに対し、出力パワーセンサーが設けられる。そのような出力パワーセ
ンサーは、周波数3倍結晶からの合計パワー出力、あるいは周波数が3倍(ある
いは4倍)された紫外出力パワーをサンプリングすることができる。場合によっ
ては、基本周波数および2倍周波数のビームの出力強度を、図1の光路34上で
測定することも認容可能である。周波数3倍結晶が破損されているか否かの判定
は、光路32および34の双方に関してなされるビームパワーの測定に基づいて
行われてもよい。ベースラインとなる出力パワーレベルは、周波数3倍結晶の組
込みおよび最適化の後に、測定および記憶される。レーザーシステムの出力パワ
ーが規則的な時間間隔で測定され、コンピュータ96は、現在の出力パワーレベ
ルを、以前の履歴に基づくベースラインのパワーレベルと比較する。現在の出力
パワーレベルが、ベースラインのレベルに対してある所定の割合未満に落ちた場
合には、上記のコンピュータが再配置動作を始動させる。再配置動作の後に、出
力パワーレベルが再測定される。出力パワーレベルが以前のレベルに戻った場合
、あるいは以前のレベルに十分近いレベルに戻った場合には、その新たな出力パ
ワーレベルが新たなベースラインレベルとしてメモリ内に蓄積され、新たな位置
が受け入れられる。新たな位置における出力パワーが受容不可能なものである場
合には、周波数3倍結晶が以前の位置に戻される。その後、コンピュータ96が
、システム診断あるいはその他のサービスの実行の必要性を示す信号を発する場
合もある。
【0081】 基礎となるレーザーシステムの別の変更例が、図10に図示されている。この
図10は、半導体ダイオードポンピングレーザー46および利得媒体40につい
て、前出の図5に図示されたよりも詳細な断面図を示したものである。半導体レ
ーザー46と利得媒体40を含むアセンブリのいくつかの実施形態においては、
該半導体レーザーおよび該利得媒体の双方が同一のブロック(たとえば銅製)上
に搭載され、共に冷却されてもよい。そのようなシステムにおいては、半導体レ
ーザーおよび利得媒体は、同一の温度で動作する。しかし、本発明の発明者らは
、半導体ダイオードレーザーと利得媒体を異なる温度に保つことが有利であるか
もしれないことを観測した。図10は、半導体レーザー46とNd:YVO
得媒体40を含むアセンブリであって、動作中において半導体レーザーと利得媒
体を異なる温度に保つことを可能とするようなアセンブリを概略的に示した図で
ある。
【0082】 図10のアセンブリにおいては、半導体ダイオードレーザーは銅製ブロック1
10の上に搭載されており、該銅製ブロック110は、ダイオードレーザー内部
において発生させられた熱を、熱電(ペルティエ)冷却器112を介して効率的
に除去するものである。熱電冷却器112から排出された熱は、上記よりも顕著
に大きい銅製ブロック114に送られるか、あるいは、図示されたアセンブリ内
にある熱電冷却器の冷却作用を妨害することなくシステムから効率的に熱を除去
するような他の形式の蓄熱部に送られる。半導体レーザー46の温度の測定手段
を提供するために、温度感知ダイオードあるいは抵抗器116が銅製ブロック1
10上に搭載されてもよい。制御装置118が温度感知器116および熱電冷却
器110に接続されており、該制御装置118は、熱電冷却器を流れる電流を制
御して、半導体レーザー46の温度を所望の水準に保つためのものである。利得
媒体40は、インジウム箔あるいはその他の軟性金属箔等の、展性を有する熱伝
導体124を用いて、銅製冷却ブロック120と122との間に搭載されている
。銅製ブロック120は、放射冷却のためのフィン状の構造を有していてもよく
、あるいは、該銅製ブロックは、利得媒体40中で発生させられた熱を熱電冷却
器(図示せず)を介して排出してもよい。銅製ブロック122は熱電冷却器12
6上に搭載されており、該熱電冷却器126は、利得媒体40から熱を引き出し
、その熱を蓄熱部114中へと発散させるものである。温度感知器128は、利
得媒体の温度測定手段を提供するものであり、ダイオードあるいは抵抗器であっ
てもよい。制御装置130は、銅製ブロック122の温度を示す信号を受信し、
熱電冷却器126を流れる電流を制御して、利得媒体の温度を制御するものであ
る。
【0083】 制御装置118および130に接続された全体的システム用コンピュータが、
半導体レーザーおよび利得媒体が動作させられるべき特定の動作温度の入力を可
能とする。最も好ましくは、半導体レーザーの動作温度は、ポンピング光のレー
ザーモードへの結合を最適化するように設定される。続いて、利得媒体の動作温
度が、出力パワーを最適化するように選択される。既に説明したダイオードアレ
イと利得媒体を使用したここでの望ましいシステムにおいては、ある有利な構成
は、約40kHzのパルス反復周波数で動作するレーザーに関して、半導体ポン
ピングレーザーの温度を25℃に設定し、利得媒体の温度を約18℃に設定する
構成である。利得媒体をさらに冷却することが好ましい場合もあるが、利得媒体
の温度が過度に低く保たれると、望ましくない結露が形成される怖れがある。図
示され説明されたような、独立した温度制御を有する半導体ダイオードアレイポ
ンピングレーザーと利得媒体とを含むアセンブリが、上記において図3に図示さ
れたようなレーザー内に組み込まれた。この実施において使用された上記の特定
のレーザーは、平坦型の高反射能ミラー42であって、そのキャビティに面した
側の表面が利得媒体の中心から約2.86cmの距離だけ離れている高反射能ミ
ラー42を設けたものであった。出力カプラー44は、平坦/平坦型であって、
約70%から75%の間の透過率を有しており、そのキャビティに面した側の表
面が利得媒体40の中心から約4.3cmの距離だけ離れている出力カプラーで
ある。このレーザーは、40kHzのパルス反復周波数(PRF)で動作させら
れた。この独立温度制御型のレーザーは、先に説明された実施形態に比して、ほ
ぼ2倍の出力パワーレベルおよび効率を示す。
【0084】 他の側面においては、上記の独立温度制御型のレーザーは、先に説明された最
初のレーザーシステムと本質的には同様である。先に説明された最初の実施形態
と同様に、この独立温度制御型のレーザーも、半導体ポンピングレーザーと利得
媒体との間にいかなる光学要素も配されないような、変更された突合せ結合の構
成を使用する。半導体レーザーと利得媒体との間には、ある離間間隔が設けられ
ている。キャビティ用ミラーは、利得媒体の表面であって該利得媒体にポンピン
グ光が供給される側の表面の近くにレーザーモードを位置させるようにして、利
得媒体に対して相対配置される。レーザーモードは、ポンピング表面を介した該
レーザーモードの回折損失を制限するのに適当な距離だけ該ポンピング表面から
離れているが、該レーザーモードに到達するポンピング光の量を不必要に制限す
る程には、高い吸収係数を有する該利得媒体中に深く配されない。典型的には利
得媒体の吸収ピーク波長と異なるポンピングレーザーの出力波長を選択すること
により、半導体レーザーの動作温度が、ポンピング光のレーザーへの結合を最適
化するように選択される。
【0085】 半導体レーザーと利得媒体との間の最適な離間間隔は、上述したやり方で決定
される。すなわち、最も低次であるTEM00基本波長(1064nm)の出力
パワーを、好ましくは経験的な方法によって最適化することにより、該離間間隔
が選択される。好ましくは、この最適化は、2倍周波数(532nm)レーザー
ビームの出力パワーを最適化することにより実行される。既に述べたように、こ
の2倍周波数レーザービームの出力パワーは、レーザービームのTEM00モー
ドの質を測定する極めて感度のよい測定手段である。図11は、半導体レーザー
と結晶の間の離間間隔と、基本周波数レーザービームおよび2倍周波数レーザー
ビームの出力パワーとの間の、関係を図示したものである。図示されているよう
に、離間間隔の関数としての2倍周波数出力パワーにおけるピークは、比較対象
となる基本周波数レーザービームの出力光に関する関係におけるピークに比して
、より強いピークとなっている。このことは、2倍周波数出力パワーが、基本周
波数レーザービームの出力パワーに比して、離間間隔を最適化するためのより感
度のよい測定値であることを実証するものである。
【0086】 以下の表2は、半導体レーザーが25℃に保たれ、利得媒体が18℃に保たれ
た図10のレーザーについて、該半導体レーザーと該利得媒体との間の離間間隔
の関数として、基本周波数(TEM00)のレーザービームの出力パワーを列挙
した表である。表2はまた、独立型の冷却を行う図10のレーザーが図1に示し
たレーザーシステムの実施形態中に配された際における、基本周波数(TEM )レーザービームおよび2倍周波数レーザービームの出力パワーと、該基本周
波数レーザービームと該2倍周波数レーザービームの間の変換効率との間の関係
も示している。以下の表で、基本波長(TEM00、1064nm)のレーザー
ビームについて列挙されている出力パワーは、予め定められた20Wというポン
ピングレーザーのパワーにおいて、各離間間隔値に対してキャビティを最適化す
ることにより得られた出力パワー値を表すものである。
【0087】 図12と図13は、このレーザーシステムの性能についてさらなる説明を提供
するものである。このレーザーの性能特性は図12および図13に図示されてお
り、図8に図示された最初に説明されたレーザーの性能と比較することができる
。これら2つのレーザーの比較は、半導体レーザーと利得媒体の温度をそれぞれ
独立に設定することに伴う性能向上を説明するものである。
【0088】
【表2】 好ましい実施形態についての以上の説明は、典型的には、レーザー媒体が固体
媒体である場合に言及するものであった。いくつかの変更実施形態においては、
たとえば気体、染料、およびそれらに類似のもののような、他のレーザー媒体も
使用可能であろうと考えられる。
【0089】 好ましい実施形態についての以上の説明は、典型的には、ポンピング源が半導
体レーザーあるいはダイオードレーザーである場合に言及するものであった。い
くつかの変更実施形態においては、放電ランプ、フラッシュランプ、他の種類の
レーザー、およびそれらに類似のもののような、他のポンピング源も使用可能で
あろうと考えられる。
【0090】 好ましい実施形態についての以上の説明は、典型的には、レーザーキャビティ
用ミラーが、レーザー媒体、Qスイッチ、あるいは該キャビティ内に配置され得
る他の変調装置から離れている場合に言及するものであった。いくつかの変更実
施形態においては、上記のキャビティ用ミラーが、レーザー媒体の両端面を直接
被覆しているか、あるいは該レーザー媒体の両端面上に搭載されているような形
態も可能である。さらに別のいくつかの変更実施形態においては、レーザー媒体
と変調装置が結合されており、一方のキャビティ用ミラーが該変調装置とは反対
側の該レーザー媒体の一端面を被覆しているか、あるいは該一方のキャビティ用
ミラーが該一端面上またはその近傍に搭載されており、さらにもう一方のキャビ
ティ用ミラーが上記の変調装置を被覆しているか、あるいは該もう一方のキャビ
ティ用ミラーが該変調装置上またはその近傍に搭載されているような形態も可能
である。
【0091】 好ましい実施形態についての以上の説明は、典型的には、全体的なレーザーシ
ステムについてある特定の方向設定を想定したものであったが、該システムにお
いては他の方向設定も可能である。とりわけ、本明細書は、レーザーが水平方向
に延びる光軸を有するものであるとして説明したものである。この光軸が水平方
向に延びていると考える代わりに、他の方向に延びていると考えることも可能で
あり、その方向はいかなる方向であってもよい。この光軸は、所望のいかなる方
向であってもよい第一方向に沿って延びていると考えることもできる。この第一
方向はまた、該第一方向に垂直な方向から成る様々な方向対を規定するためにも
利用され得る。これらの垂直な方向から成る各方向対は、各対を成すそれぞれの
方向が上記の第一方向に垂直であるばかりでなく、典型的には該各対を成すそれ
ぞれの方向同士も互いに垂直であると考えられる。
【0092】 さらに、好ましい実施形態についての以上の説明は、典型的には、水平平面内
に位置していると想定された第一の横断方向に沿って、レーザーシステムがポン
ピングされると考えるものであった。前述の通り、ポンピング放射が側面ポンピ
ングの構成でレーザー媒体に照射されるように、該ポンピング放射はこの第一の
横断方向に沿って伝播する。しかしながら、実際には、ポンピング放射は、光軸
方向と第二の横断方向の双方に沿って発散する(光軸方向への発散の方が程度が
小さく、第二の横断方向への発散の方が程度が大きい)ので、該ポンピング放射
は、上記の第一の横断方向への伝播に限定されないのが典型である。しかしなが
ら、典型的な応用用途においては、ポンピング放射は、実質的に第一の横断方向
に平行な平均伝播方向を有するものとみなされ得る。より一般的に言えば、ポン
ピング放射の平均伝播方向は、上記の第一の横断方向に平行な成分を有する第二
の方向に沿って方向付けられると考えることもできる。最も好ましい実施形態に
おいては、この第二の方向は、上記の第一の横断方向に平行であるか、上記の第
一の横断方向から約5°から10°の範囲内にある。さらに、ポンピング放射は
、レーザー媒体の変化し得る浸透深さまで浸透しながらこの第二の方向に沿って
吸収されるものであると捉えることができるため、この第二の方向を深さ方向と
みなすことも可能である。上記の説明より、第一の横断方向と第二の方向はいず
れも、水平平面内において方向付けられなくてもよい点に注意されたい。
【0093】 さらに、好ましい実施形態についての以上の説明においては、ポンピングレー
ザーは典型的には鉛直方向に沿って発散するものとみなされていた。これらの実
施形態においては、この鉛直方向は、第一の横断方向と光軸方向との双方に垂直
な第二の横断方向に沿って方向付けられるのが典型である。該第二の横断方向は
、第三の方向とも呼ばれ得る。この第三の方向は、必ずしも鉛直方向に方向付け
られなくてもよい点を理解されたい。
【0094】 本発明は、いくつかの特定の実施形態の形式で説明されてきた。本明細書中で
説明された特定のシステムに対する複数の変形形態が、本発明の教示事項を変更
することなく可能であることは、当業者には理解できることであろう。これらの
変形形態の中には、本明細書中に明示的に記載されているものもあれば、本発明
に関する簡明な説明を提供するという観点から、明示的に記載されていないもの
もある。たとえば、以上の説明は、利得結晶(gain crystal)の一
側面に沿って配置された単一のダイオードアレイ半導体ポンピングレーザーを想
定して行われたが、本発明の教示事項は、一対の半導体ポンピングレーザーが利
得媒体の両側に配置されるような変更例にも適用され得る。そのような変更例に
おいては、両側のポンピング源からの光を利得媒体に効率的に結合させるべく、
十分に細い利得媒体が選択されるべきである。したがって、本発明は前述された
特定の実施形態のいずれにも制限されるべきものではなく、本発明の範囲は、各
請求項を参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ある基本周波数すなわちある基本波長の光を発する固体レーザーから
、3倍周波数の出力光を発生させる能力を有する、本発明によるあるレーザーシ
ステムの全体像を示す図である。
【図2】 図2は、ポンピング放射の異なる波長における、好ましいNd:YVO利得
媒体の吸収係数を、該Nd:YVO利得媒体の異なる方向沿いについて概略的
に示した図である。
【図3】 図3は、半導体ポンピングレーザーと、共鳴キャビティ中の固体利得媒体とを
概略的に示した図である。
【図4】 図4は、利得媒体中におけるレーザーモード領域の配置、および該モード領域
に対するポンピングレーザーの配置に関する考察を、概略的に示した断面図であ
る。
【図5】 図5は、高い吸収係数を有する利得媒体内のレーザーモード領域と、上記のレ
ーザーモード領域の位置に対する、該利得媒体の吸収係数およびポンピングレー
ザーの波長の選択の考察とを、概略的に示した断面図である。
【図6】 図6は、好ましい半導体ダイオードレーザー源から出力された光の、好ましい
Nd:YVO利得媒体内における吸収特性を示した図である。
【図7】 図7は、図3のレーザー中においてモード領域のプロファイルを測るために変
更された、図3のレーザーの変更例を示した図である。
【図8】 図8は、基本となる1064nmのレーザー光の発生に関する図3のレーザー
の性能特性、および図1のレーザーシステムを用いて行われる2倍出力光と3倍
出力光との発生に関する図1のレーザーシステムの性能特性を示した図である。
【図9】 図9は、改良された寿命特性を有する、変形された調波発生結晶を示した図で
ある。
【図10】 図10は、固体利得媒体の近くに配置された半導体レーザーアレイのアセンブ
リを、より詳細に示した図である。
【図11】 図11は、図3と同様の側面ポンピング型の構成にあるレーザーダイオードア
レイと利得媒体との間における、離間間隔の最適化を説明した図である。
【図12】 図12は、基本となる1064nmのレーザー光の発生に関する、差分冷却特
性を有する固体レーザーの性能特性、および、そのような固体レーザーシステム
を使用した2倍出力光の発生に関する、図1のレーザーシステムの性能特性を示
した図である。
【図13】 図13は、基本となる1064nmのレーザー光の発生に関する、差分冷却特
性を有する固体レーザーの性能特性、および、そのような固体レーザーシステム
を使用した3倍出力光の発生に関する、図1のレーザーシステムの性能特性を示
した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 パータネン,ジューニ ピー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 90031 ロサンゼルス モンテシト ドラ イヴ 1146 (72)発明者 ハッグ,ウィリアム エフ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 91104 パサデナ パロマ ストリート 2239 (72)発明者 ヘマティ,ハミッド アメリカ合衆国 カリフォルニア州 91436 エンシーノ モントゥソ プレイ ス 3744 Fターム(参考) 5F072 AB02 AK03 JJ02 JJ06 KK12 MM20 PP07 PP09 QQ02 QQ04 RR03 RR05 SS06 TT05 TT12 TT15 TT22

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸を含むレーザーキャビティと、 横断方向に幅を有し、ポンピング波長において前記横断方向の前記幅よりも小
    さい吸収深さを有する、前記光軸を含む固体利得媒体と、 前記ポンピング波長において出力を有し、側面ポンピングの構成で前記固体利
    得媒体に向けて光ビームを発射するように配置された少なくとも1つの半導体レ
    ーザーを備えた固体レーザーシステムであって、 前記レーザーキャビティが、あるモード深さに位置された前記固体レーザーの
    レーザーモードが前記固体利得媒体の表面から離れるように、前記レーザーモー
    ドを規定することを特徴とする固体レーザーシステム。
  2. 【請求項2】 前記固体利得媒体が、ある特有の励起波長に吸収のピークを
    有し、 前記ポンピング波長が前記特有の励起波長と異なることを特徴とする請求項1
    記載のレーザーシステム。
  3. 【請求項3】 前記利得媒体が、光学的に活性化されるドープ物質の濃度に
    よって特徴付けられ、 前記固体レーザーによって発生させられる出力パワーの相対的最大値をもたら
    すように、前記濃度、前記ポンピング波長および前記モード深さが選択されるこ
    とを特徴とする請求項1記載のレーザーシステム。
  4. 【請求項4】 前記利得媒体がネオジム‐イットリウム‐バナデートであり
    、 ネオジムの前記濃度が0.5%から1.5%の間にあることを特徴とする請求
    項3記載のレーザーシステム。
  5. 【請求項5】 ネオジムの前記濃度が0.6%から1.0%の間にあること
    を特徴とする請求項4記載のレーザーシステム。
  6. 【請求項6】 前記利得媒体が、光学的に活性化されるドープ物質の濃度に
    よって特徴付けられ、 前記固体レーザーによって発生させられる出力パワーであって、最大出力パワ
    ーの20%の範囲内にあるような出力パワーをもたらすように、前記ポンピング
    波長および前記モード深さが選択されることを特徴とする請求項1記載のレーザ
    ーシステム。
  7. 【請求項7】 前記利得媒体が、光学的に活性化されるドープ物質の濃度に
    よって特徴付けられ、 前記固体レーザーによって発生させられる出力パワーであって、最大出力パワ
    ーの10%の範囲内にあるような出力パワーをもたらすように、前記ポンピング
    波長および前記モード深さが選択されることを特徴とする請求項1記載のレーザ
    ーシステム。
  8. 【請求項8】 前記出力の波長が前記特有の励起波長と異なる波長となるよ
    うに、前記半導体レーザーの動作温度が選択されることを特徴とする請求項2記
    載のレーザーシステム。
  9. 【請求項9】 前記レーザーモードの1/e点が、少なくとも約200μ
    mの距離だけ、前記利得媒体の前記側方表面から離れていることを特徴とする請
    求項1記載のレーザーシステム。
  10. 【請求項10】 前記レーザーモードの1/e点が、約200μmから約
    300μmの間のある距離だけ、前記利得媒体の前記側方表面から離れているこ
    とを特徴とする請求項1記載のレーザーシステム。
  11. 【請求項11】 前記横断方向の寸法が2mm未満であることを特徴とする
    請求項10記載のレーザーシステム。
  12. 【請求項12】 前記レーザーキャビティが、共鳴キャビティを形成して前
    記光ビームのモードの組を規定するために前記固体利得媒体の周囲に配された光
    学要素を備え、 前記モードの組が前記固体利得媒体の全ての側面から離れ、かつ前記モードの
    組の幅が前記ポンピング波長における前記固体利得媒体の吸収長の約1/2倍か
    ら約2倍の間のある幅となるようにして、前記モードの組を前記固体利得媒体内
    に位置させるように、前記光学要素が配置されることを特徴とする請求項1記載
    のレーザーシステム。
  13. 【請求項13】 前記モードの組が、前記固体利得媒体の側方表面から平行
    に離れていることを特徴とする請求項12記載のレーザーシステム。
  14. 【請求項14】 少なくとも10%である前記レーザーシステムの光対光効
    率を可能とするのに十分な水準まで前記側方表面を介しての回折損失を低減させ
    るような距離だけ、前記モードの組が、前記固体利得媒体の前記側方表面から離
    れていることを特徴とする請求項13記載のレーザーシステム。
  15. 【請求項15】 前記レーザーモードの組のうちの1つあるいは複数の利得
    を制限するために、前記固体利得媒体と前記光学要素のうちの少なくとも1つと
    の間において、前記光軸の近くに配置されたブロッキング素子をさらに備えてい
    ることを特徴とする請求項12記載のレーザーシステム。
  16. 【請求項16】 前記レーザーモードの組のうち最も低次のモードがTEM 00 モードであり、 前記ブロッキング素子が、最初の高次モードの第一ローブの少なくとも一部を
    遮断し、 前記レーザーの前記ポンピング波長における前記利得媒体の吸収が、前記最初
    の高次モードの第二ローブの利得を制限することを特徴とする請求項15記載の
    レーザーシステム。
  17. 【請求項17】 前記固体レーザーの出力の少なくとも90%が、前記TE
    00モードの出力であることを特徴とする請求項16記載のレーザーシステム
  18. 【請求項18】 固体レーザーを含むレーザーシステムを組み立てる方法で
    あって、 レーザーモードの組を有する固体レーザーキャビティを規定するための、光学
    要素および固体利得媒体を提供する工程と、 あるポンピング波長を有する少なくとも1つの半導体レーザーを提供する工程
    と、 (1)前記利得媒体内における前記レーザーモードの組の前記位置を変化させ
    る工程、(2)前記半導体レーザーの前記出力波長を変化させる工程、および(
    3)前記ポンピングビームの前記ビームサイズを変化させる工程のうち、少なく
    とも1つを行うことにより、前記固体レーザーの構成を最適化する工程とを含み
    、 前記レーザーモードの組が前記利得媒体内においてある位置を有しており、前
    記利得媒体がある吸収深さを有しており、 前記半導体レーザーが前記利得媒体を側面ポンピングして固体レーザー出力を
    発生させるように配置され、また前記半導体レーザーがあるビームサイズを有す
    るポンピングビームを提供するものであることを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 前記最適化する工程が、前記利得媒体内における前記レー
    ザーモードの組の前記位置を変化させる前記工程と、前記半導体レーザーの前記
    出力波長を変化させる前記工程の両方を含んでいることを特徴とする請求項18
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記最適化する工程が、前記レーザーシステム内における
    パワーレベルの極大値を特定するために前記レーザーモードの組の前記位置を変
    化させ、かつ前記レーザーシステム内における前記パワーレベルの極大値を特定
    するために前記半導体レーザーの前記出力波長を変化させることにより行われる
    ことを特徴とする請求項18記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記最適化する工程が、2倍周波数レーザービームのパワ
    ーレベルを基準とするものであることを特徴とする請求項18記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記最適化する工程が、前記利得媒体内における前記レー
    ザーモードの組の前記位置を変化させる前記工程と、前記ポンピングビームの前
    記ビームサイズを変化させる前記工程の両方を含んでいることを特徴とする請求
    項18記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記ポンピングビームの前記ビームサイズを変化させる前
    記工程が、前記半導体レーザーと前記利得媒体との離間間隔を変化させることに
    より実行されることを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記最適化する工程が、前記半導体レーザーの前記出力波
    長を変化させる前記工程を含んでいることを特徴とする請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記最適化する工程が、2倍周波数レーザービームのパワ
    ーレベルを基準とするものであることを特徴とする請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記最適化する工程が、前記レーザーシステム内における
    パワーレベルの極大値を特定するために前記レーザーモードの組の前記位置を変
    化させ、前記レーザーシステム内における前記パワーレベルの極大値を特定する
    ために前記半導体レーザーの前記出力波長を変化させ、かつ前記レーザーシステ
    ム内における前記パワーレベルの極大値を特定するために前記ポンピングビーム
    のビームサイズを変化させることにより行われることを特徴とする請求項18記
    載の方法。
  27. 【請求項27】 ある光軸を含むレーザーキャビティと、 前記光軸に略垂直である第一の横断方向を有し、前記レーザーキャビティ内に
    配置された、前記光軸を含む固体利得媒体と、 ある出力を有し、前記利得媒体をポンピングするために前記利得媒体のポンピ
    ング表面を通過させて光ビームを発射するように配置され、前記固体利得媒体の
    前記ポンピング表面からある第一の距離だけ離れて配置された少なくとも1つの
    半導体レーザーであって、前記光ビームが少なくとも前記第一の横断方向に発散
    するものであり、前記少なくとも1つの半導体レーザーから発射された前記光ビ
    ームが固体レーザー出力を発生させるために前記利得媒体内のレーザーモードを
    ポンピングするものであるような少なくとも1つの半導体レーザーを備えた固体
    レーザーシステムであって、 前記レーザーキャビティは、前記レーザーモードが前記利得媒体の前記ポンピ
    ング表面から離れるように規定され、 前記少なくとも1つの半導体レーザーは、前記少なくとも1つの半導体レーザ
    ーから出力された前記光ビームが前記レーザーモードに整合するように、前記固
    体利得媒体の表面近くに配されることを特徴とするレーザーシステム。
  28. 【請求項28】 前記少なくとも1つの半導体レーザーと前記固体利得媒体
    の前記表面との間に、いかなる集光用光学要素も設けられていないことを特徴と
    する請求項27記載のレーザーシステム。
  29. 【請求項29】 前記利得媒体の表面温度が、前記少なくとも1つの半導体
    レーザーの表面温度よりも低い、ある温度に保たれていることを特徴とする請求
    項27記載のレーザーシステム。
  30. 【請求項30】 前記少なくとも1つの半導体レーザーから出力される前記
    光ビームが、前記レーザーモードに整合して、与えられたレーザー構成および動
    作パラメターの組に対する前記固体レーザーの最大出力パワーの20%の範囲内
    にあるような、前記固体レーザーからの出力パワーをもたらすことを特徴とする
    請求項27記載のレーザーシステム。
  31. 【請求項31】 前記少なくとも1つの半導体レーザーから出力される前記
    光ビームの高さが、前記利得媒体内における前記レーザーモードの位置において
    、前記レーザーモードの鉛直方向の広がり範囲に整合していることを特徴とする
    請求項27記載のレーザーシステム。
  32. 【請求項32】 前記少なくとも1つの半導体レーザーと前記固体利得媒体
    の前記表面との間に、いかなる集光用光学要素も設けられていないことを特徴と
    する請求項31記載のレーザーシステム。
  33. 【請求項33】 前記少なくとも1つの半導体レーザーのある特定の出力パ
    ワーに対して、前記レーザーシステムの最も低次のレーザーモードにおいて最大
    限の出力パワーを提供するように、前記第一の距離が選択されることを特徴とす
    る請求項27記載のレーザーシステム。
  34. 【請求項34】 前記利得媒体が、前記利得媒体の鉛直方向の寸法を規定す
    る上表面および下表面を有しており、前記レーザーモードが、前記上表面および
    前記下表面から第二の距離および第三の距離だけ離れており、前記第二の距離お
    よび前記第三の距離の各々が、前記レーザーモードと前記ポンピング表面との離
    間距離である第四の距離よりも大きいことを特徴とする請求項27記載のレーザ
    ーシステム。
  35. 【請求項35】 前記第四の距離が、少なくとも10%である前記固体レー
    ザー出力の光対光効率を可能とするのに十分な程度に、前記ポンピング表面を介
    しての回折損失を低減させるような距離であることを特徴とする請求項34記載
    のレーザーシステム。
  36. 【請求項36】 前記レーザーモードの1/e点が、少なくとも約200
    μmである前記第四の距離だけ、前記利得媒体の前記ポンピング表面から離れて
    いることを特徴とする請求項34記載のレーザーシステム。
  37. 【請求項37】 前記レーザーモードの1/e点が、約200μmから約
    300μmの間にある前記第四の距離だけ、前記利得媒体の前記ポンピング表面
    から離れていることを特徴とする請求項34記載のレーザーシステム。
  38. 【請求項38】 ある所望の波長のレーザービームを発生させるためのレー
    ザー媒体と、 前記レーザー媒体を側面ポンピングして前記レーザー媒体中において反転分布
    を生じさせるために、あるポンピング光路に沿ってポンピングビームを発射する
    ための、少なくとも1つのダイオードレーザーと、 モードの組を規定して前記レーザービームを発生させるために、前記レーザー
    媒体の周囲に配された、共鳴キャビティを形成するための光学要素を備えたレー
    ザーシステムであって、 前記光学要素は、前記レーザー媒体内部に前記モードの組を位置させるように
    配置され、 前記少なくとも1つのダイオードレーザーは、前記レーザー媒体の吸収ピーク
    波長とは異なるポンピング波長を提供するものであり、 前記少なくとも1つのダイオードレーザーは、前記ポンピングビームが前記レ
    ーザーシステムのあるレーザーモードに整合させられるように、前記レーザー媒
    体の表面の近くに配されており、 光の前記ビームは、前記光軸に略垂直な第一の横断方向に沿った方向に角度広
    がりを有し、 光の前記ビームの前記角度広がりを前記レーザーシステムにおける前記モード
    の組の高さに整合させるために、前記少なくとも1つのダイオードレーザーが、
    前記レーザー媒体の前記表面から第一の距離だけ離れていることを特徴とするレ
    ーザーシステム。
  39. 【請求項39】 前記少なくとも1つのダイオードレーザーと前記レーザー
    媒体の前記表面との間に、いかなる集光用光学要素も設けられていないことを特
    徴とする請求項38記載のレーザーシステム。
  40. 【請求項40】 前記少なくとも1つのダイオードレーザーのある特定の出
    力パワーに対して、前記レーザーシステムからの最大限の出力パワーを提供する
    ように、前記第一の距離が選択されることを特徴とする請求項39記載のレーザ
    ーシステム。
  41. 【請求項41】 動作に備えてレーザーシステムの準備をする方法であって
    、 a.(1)ある所望の波長を有するレーザービームを発生させるためのレーザ
    ー媒体と、 (2)前記レーザー媒体を側面ポンピングして前記レーザー媒体中において反
    転分布を生じさせるために、あるポンピング光路に沿ってポンピングビームを発
    射するための、少なくとも1つのダイオードレーザーと、 (3)モードの組を規定して前記レーザービームを発生させるために、前記レ
    ーザー媒体の周囲に配された、共鳴キャビティを形成するための光学要素を備え
    、 前記光学要素が、前記レーザー媒体内部に前記モードの組を位置させるように
    配置され、 前記レーザー媒体に前記ポンピングビームを提供するために、前記少なくとも
    1つのダイオードレーザーが、前記レーザー媒体の表面からある距離だけ離れて
    いることを特徴とするレーザーシステムを提供する工程と、 b.前記レーザー媒体と前記ダイオードレーザーを、複数回に亘って複数の相
    対位置に相対移動させ、前記複数の相対位置のそれぞれにおける前記レーザービ
    ームの出力パワーを記憶しておく工程と、 c.前記出力パワーが前記相対移動させる工程において確定された最大出力パ
    ワーの少なくとも50%となるように、前記ダイオードレーザーおよび前記レー
    ザー媒体の前記相対位置を、選択されたある位置に固定する工程を含む方法。
  42. 【請求項42】 動作に備えてレーザーシステムの準備をする方法であって
    、 a.(1)ある所望の波長を有するレーザービームを発生させるためのレーザ
    ー媒体と、 (2)前記レーザー媒体を側面ポンピングして前記レーザー媒体中において反
    転分布を生じさせるために、あるポンピング光路に沿ってポンピングビームを発
    射するための、少なくとも1つのダイオードレーザーと、 (3)モードの組を規定して前記レーザービームを発生させるために、前記レ
    ーザー媒体の周囲に配された、共鳴キャビティを形成するための光学要素を備え
    、 前記光学要素が、前記レーザー媒体内部に前記モードの組を位置させるように
    配置され、 前記レーザー媒体に前記ポンピングビームを提供するために、前記少なくとも
    1つのダイオードレーザーが、前記レーザー媒体の表面からある距離だけ離れて
    いることを特徴とするレーザーシステムを提供する工程と、 b.前記所望の波長を有するレーザービームを、第二の所望の波長を有するレ
    ーザービームに変換する周波数変換結晶を提供する工程と、 c.前記レーザー媒体と前記ダイオードレーザーを、複数回に亘って複数の相
    対位置に相対移動させ、前記複数の相対位置のそれぞれにおける前記第二の所望
    の波長を有するレーザービームの出力パワーを記憶しておく工程と、 d.前記出力パワーが前記相対移動させる工程において確定された前記第二の
    所望の波長を有するレーザービームの最大出力パワーの少なくとも50%となる
    ように、前記ダイオードレーザーおよび前記レーザー媒体の前記相対位置を、選
    択されたある位置に固定する工程を含む方法。
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