JP2002511494A - 自己抗原断片、方法及びアッセイ - Google Patents

自己抗原断片、方法及びアッセイ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、自己抗原を生成する方法、自己抗原断片を含む組成物及び自己免疫応答に関連する状態の治療において自己抗原断片を使用する方法を提供する。また、自己免疫応答の検出あるいは評価のためのアッセイも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、自己抗原からの自己抗原断片の作製とかかる自己抗原断片の使用に
関する。
【0002】 (発明の背景) 動物の成熟免疫系は自己分子と非自己分子を識別し、後者に対してのみ免疫応
答を開始する。免疫系は、通常は動物の一部である分子に絶えず接触することを
通して、いずれの分子が自己のものであるかを学習する。それ故、成熟免疫系は
自己のものである分子の存在に対して免疫寛容である。しかし、動物の体内に新
たに出現した分子に対しては免疫系は寛容でない。それらの分子は抗原と考えら
れ、従ってそれらに対する免疫応答を刺激する。一般に、新たに出現した抗原は
、感染のように体外ソースからのものである。この場合、免疫応答は抗原のソー
スを破壊し、それによって体内から感染を除去するのを助ける。
【0003】 新たに出現する抗原は、細胞成分の分解を通してin vivoで生成される
。免疫系がこれらの自己分子の分解産物を「非自己」抗原として認識すると、そ
れらに対して免疫応答が開始され、自己免疫疾患が発現すると考えられる。従っ
て、これらの抗原は一般に自己抗原と称される分子クラスのメンバーであり、そ
れらに対して産生される抗体は自己抗体と称される。本文中では明確を期して、
自己抗原は、体内で認められるような完全な自己分子を表わすために使用する。
自己抗原断片は、自己抗原の分解産物を表わすために使用する。従って、免疫応
答が誘発されるのは、自己抗原断片としてエピトープが免疫系に出現する場合で
ある。ひとたび誘発されると、免疫応答は自己抗原断片、自己抗原、あるいはそ
の両方を標的しうる。
【0004】 自己免疫疾患は、自己分子に対して特異的な免疫応答が起こり、しばしば組織
や器官の損傷と機能不全を導く疾患である。かかる疾患は、実際には器官特異的
であるか(例えばI型糖尿病、甲状腺炎、重症筋無力症、原発性胆汁性肝硬変)
又は全身性である(例えば全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性
筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、強皮症、対宿主性移植片病)。
【0005】 自己抗原断片の1つのソースはアポトーシスの際の自己抗原の開裂である。ア
ポトーシスは、広い範囲の生理的及び病理的状況で多くの異なる細胞型において
発生する、形態学的及び生化学的に異なる形態の細胞死である((Jacobs
onら、1997;Thompson、1995;White、1996)にお
ける考察)。新しいファミリーのシステインプロテアーゼが触媒する特異的蛋白
質分解がアポトーシスを媒介する上で極めて重要であることが試験で報告されて
いる(ChinnaiyanとDixit、1996a;MartinとGre
en、1995;ThornberryとMolineaux、1995)。こ
れらのプロテアーゼ(カスパーゼと称される)は、アスパラギン酸で終了するコ
ンセンサステトラペプチド配列のあとの下流基質(P)を開裂する。カスパー
ゼは、活性化のためにアスパラギン酸残基以降の特異的蛋白質分解開裂を必要と
する不活性前駆体として合成される((NicholsonとThornber
ry、1997)における考察)。
【0006】 細胞傷害性Tリンパ球(CTL)及びナチュラルキラー細胞(NK)の細胞質
顆粒中に認められるセリンプロテアーゼであるグランザイムBは、基質のP1位
置のアスパラギン酸についてカスパーゼと同様の必要条件を持つ(Odakeら
、1991;Poeら、1991)。グランザイムBは、顆粒のエキソサイトー
シスが誘導する細胞傷害の際に標的細胞におけるアポトーシス性の核変化を引き
起こす上で重要な役割を果たすことが試験で報告された(Darmonら、19
96;Heuselら、1994;Sarinら、1997;Shrestaら
、1995;Talanianら、1997)。
【0007】 グランザイムBはいくつかのカスパーゼの開裂と活性化を触媒すると記述され
ている(Chinnaiyanら、1996b;Darmonら、1995;D
uanら、1996;Fernandes−Alnemriら、1996;Gu
ら、1996;Martinら、1996;Muzioら、1996;Quan
ら、1996;Sarinら、1997;Songら、1996a;Srini
vasulaら、1996;Talanianら、1997;Wangら、19
96)。グランザイムBはまた、標的細胞の死に寄与するカスパーゼ依存性経路
を開始させる。しかし、これらの付加的な経路についてはいくつかの候補が存在
するが、その大部分はまだ明らかにされないままである(Sarinら、199
7;Talanianら、1997)。
【0008】 1つの候補経路はグランザイムBによる死亡基質の直接の蛋白質分解であるが
、このプロテアーゼについての効率的な非カスパーゼ細胞基質はまだ同定されて
いない。初期試験は、グランザイムBが誘導する細胞死の際に認められるPAR
P、U1−70kDa及びラミンBの開裂はグランザイムBによって直接行われ
るのではなく、カスパーゼによって触媒されることを示唆したが(Darmon
ら、1995;Martinら、1996;Talanianら、1997)、
in vitro及び顆粒誘導の細胞傷害の際の他のカスパーゼ基質へのグラン
ザイムBの作用は広汎には検討されていない。
【0009】 (図面の簡単な説明) 図1。グランザイムBは、in vitroで様々な効率で精製DNA−PK CS 、NuMA、PARP並びにカスパーゼ3及び7を開裂する。0−12.5
nMのグランザイムB(DNA−PKCSとNuMAについて)又は0−50n
MのグランザイムB(カスパーゼ3及び7とPARPについて)を含む反応を、
実施例1で述べたように実施した。蛍光光度法又は免疫ブロット法(モノクロー
ナル抗体18−2を使用してDNA−PKCSを検出した)によって開裂断片を
検出した。各々のパネルの右側に、無傷分子のSDS−PAGEの移動位置を矢
印で表わし、断片の大きさを示している。
【0010】 図2。精製グランザイムB又はカスパーゼ−3によるin vitroでの自
己抗原の開裂は様々な断片を生じる。30nMの精製DNA−PKCS(レーン
1−3)、HeLa溶解産物中の内因性DNA−PKCSとNuMA(レーン4
−9)又は[35S]メチオニン標識PART(レーン10−12)を含む反応
を、次の量のグランザイムBと共にインキュベートした:1.25nM(レーン
2);12.5nM(レーン5と8)又は50nM(レーン11)。次の量のカ
スパーゼ−3を使用してこれらの基質に関する同様の実験を行った:42pM(
レーン3と12)又は100pM(レーン6と9)。反応混合物を37℃で15
分間(グランザイムBの反応)又は60分間(カスパーゼ−3の反応)インキュ
ベートした。グランザイムBを使用してDNA−PKCS及びHeLa細胞溶解
産物中のNuMAを開裂するときには、HeLa細胞カスパーゼの活性化を防ぐ
ために100nMのAc−DEVD−CHOを加えたことに留意されたい。無傷
の開裂したNuMAとDNA−PKCSを免疫ブロット法で視覚化し、PARP
はオートラジオグラフィーで視覚化した。DNA−PKCSの場合には、モノク
ローナル抗体25−4(C末端に対して指令)及び18−2(N末端に対して指
令)を用いて得たブロットをそれぞれレーン(1−3)と(4−6)に示してい
る。
【0011】 図3。グランザイムBによる開裂後、DNA−PKCSのキナーゼ活性は消失
する。10μg/mlのDNAの不在下(レーン2と4)又は存在下(レーン1
と3)で、無傷のDNA−PKCS(レーン1と2)又はグランザイムBで開裂
したDNA−PKCS(レーン3と4)を用いてキナーゼアッセイを実施した。
レーン5では対照として、完全なキナーゼ反応混合物からDNA−PKCS自体
を排除した。SP1基質のリン酸化をオートラジオグラフィーによって検出した
【0012】 図4。HeLa細胞溶解産物中の内因性DNA−PKCSとNuMAは、in
vitroで精製グランザイムBを加えてインキュベートした後、カスパーゼ
非依存的に開裂される。100nM Ac−DEVD−CHO(レーン3と6)
又は100nM Ac−YVAD−CHO(レーン4と7)の存在下で、12.
5nMの精製グランザイムB(レーン5−7)又は105pMの精製カスパーゼ
−3(レーン2−4)を対照HeLa細胞の溶解産物に加えた。37℃で60分
間インキュベートした後、反応を終了した。DNA−PKCS、NuMA及びP
ARPを実施例1で述べたように免疫ブロット法によって検出した(モノクロー
ナル抗体18−2を用いてDNA−PKCSを検出した)。各レーンで等量の蛋
白質を電気泳動した。
【0013】 図5。グランザイムBはVGPD2698−F2699及びDEVD2712 −N2713でDNA−PKCSを開裂する。[35S]メチオニン標識野生型
(wt)DNA−PKCSポリペプチド(DNA−PKCS 2566−2928 )並びに推定グランザイムB開裂部位(D2698A)と既知のカスパーゼ−3
開裂部位(D2712A)のP1位置での突然変異を含む2個の放射能標識ポリ
ペプチドを実施例1で述べたように生成した。これらのポリペプチドを、プロテ
アーゼを加えずに(レーン1、4及び7)又は8nM組換えカスパーゼ−3の存
在下に(レーン2、5及び8)又は8nM精製グランザイムBの存在下に(レー
ン3、6及び9)、37℃で60分間インキュベートした。反応を終了した後、
サンプルを電気泳動し、無傷のポリペプチドと開裂産物を蛍光光度法によって検
出した。18kDa(a)、28kDa(b)、20kDa(c)及び26kD
a(d)の断片サイズを生じた(下部の図式的表示のパネル参照)。
【0014】 図6。内因性DNA−PKCS、NuMA及びPARPは、in vivoで
無傷のK562細胞をYT細胞顆粒内容物と共にインキュベートした後開裂され
る。100μM Ac−DEVD−CHOの不在下(レーン1−3)又は存在下
に(レーン4)、K562細胞を37℃で30分間インキュベートした。次にこ
れらの細胞懸濁液のアリコート(各々3×10のK562細胞を含む)を、1
mM Ca2+(レーン1)、1mM EDTA+YT細胞顆粒内容物(レーン
2)又は1mM Ca2++YT細胞顆粒内容物(レーン3と4)の存在下に3
7℃で90分間さらにインキュベートした。反応を終了した後、DNA−PK 、NuMA及びPARPを実施例1で述べたように免疫ブロット法によって検
出した(患者血清G.A.を使用してDNA−PKCSをブロットした)。
【0015】 図7。DNA−PKCSのグランザイムB特異的断片はLAK細胞によって攻
撃したK562細胞において生成される。Fas陰性K562標的細胞を、10
0μM Ac−DEVD−CHOの不在下(レーン1−3)又は存在下に(レー
ン4)37℃で1時間プレインキュベートし、次いでさらに4時間コインキュベ
ートする(エフェクター:標的比 5:1)。反応を終了した後、各々のゲルレ
ーンで次の数の細胞を電気泳動する:1.7×10LAK細胞(レーン1);
0.34×10K562細胞(レーン2);1.7×10LAK細胞プラス
0.34×10K562細胞(レーン3と4)。DNA−PKCSとPARP
を免疫ブロット法によって検出した;患者血清G.A.を使用してDNA−PK CS を検出した。
【0016】 図8。in vivoでYT細胞顆粒内容物と共にインキュベートした後、無
傷HeLa細胞においてAc−DEVD−CHO非感受性の核形態変化が誘発さ
れる。実験手順に述べたように、HeLa細胞を100μM Ac−DEVD−
CHOの不在下(8Aと8B)又は存在下に(8C)37℃で1時間、YT細胞
顆粒内容物と共にインキュベートした。固定して透過性を上げた後、PARPに
対する抗体、並びにヨウ化プロピジウム(PI)とDAPIで細胞を染色した。
FITCヤギ抗ヒト抗体で抗体染色を視覚化した。抗体染色(緑色)、PI染色
(赤色)及びDAPI染色(青色)を合併した画像を示している。(8A、8B
):YT細胞顆粒内容物は、凝縮した核(8A)あるいはアポトーシス細胞体(
8B、矢印)の縁へのPARPの特徴的な再分布を伴って、顕著なPIに富む表
面気泡、核凝縮と断片化を誘発する。(8C):顆粒内容物は、Ac−DEVD
−CHOの存在下でも著しい核凝縮を誘発する(矢印);近接して、比較のため
にまだ形態変化を受けていない正常なHeLa細胞核を示している(矢印の先端
)。Ac−DEVD−CHOによる処理はPIに富む表面気泡、核の断片化、及
びPARPの再分布を消失させることに注目されたい。サイズ表示棒:8A:4
.4μm;8B:4.0μm;8C:6.6μm。
【0017】 図9。図9A−9Bは、ACCESSION 284337;PID g28
4337;DBSOURCE PIR:遺伝子座A42184においてEntr
ezに認められるようなNuMAの2101個のアミノ酸配列を示す。
【0018】 図10。図10A−10Bは、ACCESSION 107227;PID
g107227;DBSOURCE PIR:遺伝子座S23647においてE
ntrezに認められるようなNuMAの2115個のアミノ酸配列を示す。
【0019】 図11。図11A−11Bは、ACCESSION 1362789;PID
g1362789;DBSOURCE PIR:遺伝子座A57099におい
てEntrezに認められるようなDNA PKCSのアミノ酸配列を示す。
【0020】 図12。図12A−12Bは、ACCESSION 130781;PID
g130781;DBSOURCE SWISS−PROT:遺伝子座PPOL
_HUMAN、アクセッションP09874(参考文献12のうち1と2のみを
リストしている)においてEntrezに認められるようなPARPのアミノ酸
配列を示す。
【0021】 (発明の要旨) 本発明は、自己抗原断片及び自己免疫疾患の処置におけるそれらの使用のため
の方法を提供する。また、自己免疫疾患の存在を含めて、動物における自己免疫
状態を検出するためのアッセイを提供する。
【0022】 下流基質のカスパーゼ媒介の蛋白質分解は、現在までに検討されたすべての形
態のアポトーシスに共通する中心的な執行経路の必須要素である。細胞溶解性リ
ンパ球顆粒誘導の細胞死はこのカスパーゼ依存性経路を活性化するが、最近の試
験で、この形態の細胞死におけるカスパーゼ非依存性経路についての証拠も提供
された。しかし、顆粒が誘導する細胞死の際のグランザイムB(及び潜在的な他
の顆粒プロテアーゼ)に関する非カスパーゼ基質はこれまで定義されていなかっ
た。本発明は、細胞成分がin vitro及びin vivoで、特にグラン
ザイムBを含めた顆粒内容物によって直接且つ効率的に開裂されること、そして
この開裂が他の形態のアポトーシスの際には認められない独自の自己抗原断片の
生成を導くという所見を利用するものである。下流の死亡基質を自己抗原断片に
開裂するというグランザイムBのこの直接のカスパーゼ非依存性能力は、内因性
アポトーシスカスケードのシグナル成分又は執行成分の阻害因子に対して感受性
のない、アポトーシスエフェクター機序である。
【0023】 本発明の1つの局面は、少なくとも1つの自己抗原断片を含む組成物である。
自己抗原断片は自己抗原への顆粒酵素の作用によって生成される。好ましい実施
態様では、酵素はCTL、NK又はLAK細胞顆粒の顆粒酵素である。最も好ま
しい実施態様では、酵素はグランザイムBであり、抗原断片は、カスパーゼによ
って開裂されない部位でのグランザイムBによる自己抗原の開裂によって生成さ
れる。好ましい実施態様では、自己抗原はDNA PKCS、PARP又はNu
MAである。最も好ましい実施態様では、自己抗原断片は、アミノ酸2699か
ら4096のDNA−PKCS;アミノ酸3211から4096のDNA−PK CS ;アミノ酸1から537のPARP;アミノ酸538から1004のPAR
P;アミノ酸412から2111のNuMA及びアミノ酸1から1799のNu
MAの1つ又はそれ以上である。
【0024】 本発明の1つの局面は、1又はそれ以上の精製・単離された自己抗原断片で作
製される製薬組成物である。好ましい実施態様では、自己抗原断片は、カスパー
ゼによって開裂されない自己抗原中の部位でのグランザイムBの開裂から誘導さ
れる少なくとも1つの末端を持つ。製薬上許容される担体も含まれる。好ましい
実施態様では、組成物は次の自己抗原断片の1つ又はそれ以上を含む:アミノ酸
2699から4096のDNA−PKCS;アミノ酸3211から4096のD
NA−PKCS;アミノ酸1から537のPARP;アミノ酸538から100
4のPARP;アミノ酸412から2111のNuMA及びアミノ酸1から17
99のNuMA。もうひとつの好ましい実施態様では、製薬組成物は悪性細胞か
ら誘導される1つ又はそれ以上の自己抗原断片を含む。
【0025】 本発明の1つの局面は、本発明の自己抗原断片を患者に投与することにより、
自己免疫疾患のための処置を必要とする患者を処置する方法である。自己免疫疾
患は、実際には、器官特異的、例えばI型糖尿病、甲状腺炎、重症筋無力症、原
発性胆汁性肝硬変であるか、又は全身性、例えば全身性エリテマトーデス、慢性
関節リウマチ、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、強皮症、対宿主性
移植片病である。1つの好ましい実施態様では、処置は治療的である。例えば、
免疫疾患に罹患している患者に、患者の血清中の自己抗体が断片に結合すること
ができる条件下で血清を断片に接触させることにより、自己抗原断片を投与する
ことができる。この実施態様では、患者の体内の循環自己抗体のレベルを低下さ
せることができる。もうひとつの実施態様では、処置は予防的である。この実施
態様では、自己免疫疾患を発現する危険性のある患者を少なくとも1つの自己抗
原断片に対して免疫寛容にする。その後は、後日in vivoで自己抗原断片
の産生を生じさせる自己免疫疾患の危険度又は重症度が低下する又は排除される
。好ましい実施態様では、自己免疫疾患が起こりうる標的組織を同定し、少なく
とも1つの顆粒酵素を供給し、顆粒酵素を標的組織からの細胞に接触させて細胞
中に存在する自己抗原の自己抗原断片を生成することによって患者を免疫寛容に
する。その後自己抗原断片を患者に投与し、断片の存在に対して患者を免疫寛容
にする。好ましい実施態様では、自己抗原は標的組織の細胞から部分的に又は完
全に精製することができる。顆粒酵素はまた、自己抗原と接触させる前に部分的
又は完全に精製することもできる。酵素は組換え法によっても作製できる。好ま
しい実施態様では、自己抗原断片は、患者に投与する前に部分的又は完全に精製
される。免疫寛容の予防的方法においては、自己抗原断片を、断片に対する免疫
応答が生じないようにデザインされた製薬上許容される組成物として投与する、
すなわち免疫促進性アジュバントを断片と共に投与しない。好ましい実施態様で
は、処置は次の自己抗原断片の1つ又はそれ以上を使用する:アミノ酸2699
から4096のDNA−PKCS;アミノ酸3211から4096のDNA−P
CS;アミノ酸1から537のPARP;アミノ酸538から1004のPA
RP;アミノ酸412から2111のNuMA及びアミノ酸1から1799のN
uMA。
【0026】 本発明の1つの局面は、悪性疾患の処置を必要とする患者を処置する方法であ
る。好ましい実施態様では、リンパ球顆粒の少なくとも1つの酵素を患者からの
悪性細胞に接触させる。これは、悪性細胞に由来する自己抗原断片を含む混合物
を生成することができる。断片を、好ましくはアジュバントと共に患者に投与し
て、悪性細胞に対する免疫応答を活性化させる。
【0027】 本発明の1つの局面は、患者における自己抗原断片の検出のためのアッセイで
ある。1つの実施態様では、患者のサンプル中に断片が存在するか否かが、患者
に自己免疫状態が存在するか否かの指標である。好ましい実施態様では、患者か
らのサンプルを、自己抗原断片の潜在型エピトープに特異的に結合する抗体に接
触させる。好ましくは、断片は、カスパーゼによって開裂されない部位でのグラ
ンザイムBによる自己抗原の開裂に由来する少なくとも1つの末端を持つ。次に
、自己抗原断片への抗体の結合が存在するか否かを、患者において自己免疫状態
が存在するか否かの指標として評価する。これに代わる実施態様では、自己抗原
断片に結合する抗体の検出が患者における自己免疫状態の存在又は不在の指標で
ある。この実施態様では、患者からのサンプルを、顆粒酵素による開裂から誘導
される少なくとも1つの末端を持つ自己抗原断片と接触させる。サンプル中の自
己抗体が自己抗原断片に結合しているか否かを検出することが、患者において自
己免疫状態存在するか否かの指標である。
【0028】 本発明の1つの局面は、自己抗原から自己抗原断片を作製する方法である。好
ましい実施態様では、少なくとも1つの自己抗原を含む細胞を単離し、細胞をリ
ンパ球顆粒酵素と接触させて少なくとも1つの自己抗原断片を含む混合物を生成
する。さらなる実施態様では、混合物から少なくとも1つの自己抗原断片を分離
する。好ましい実施態様では、少なくとも1つの自己抗原を精製し、精製した自
己抗原をグランザイムBと接触させる。さらなる好ましい実施態様では、グラン
ザイムBと接触させるために次の自己抗原の1つ又はそれ以上を精製する:DN
A−PKCS、PARP及びNuMA。各々の実施態様において、顆粒酵素は、
リンパ球、例えば細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラー細胞(N
K)、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)及びYT細胞系の細胞の顆粒か
ら単離することができる。
【0029】 本発明のすべての局面において、個々の実施態様の中でグランザイムBを使用
することができ、かかる酵素は、顆粒含有リンパ球の顆粒から精製するか、又は
組換え手法によって調製することができる。
【0030】 定義: 本文中で使用するとき、「処置」は、患者に対する組成物の治療的又は予防的
適用を含む。処置は、患者において疾患を予防、緩和又は治癒することができる
。処置が疾患に関連する少なくとも1つの症状の重症度又は頻度を軽減するとき
、患者において疾患が緩和される。処置は次のいずれかによって疾患を緩和する
ことができる:(1)疾患が発生したときに疾患の少なくとも1つの症状の影響
度を軽減するための、疾患のない患者への組成物の予防的投与又は(2)疾患の
少なくとも1つの症状を軽減するための、疾患を有する患者への治療的投与。
【0031】 本文中で使用するとき、「患者」は動物、特にヒトを含めた動物である。
【0032】 本文中で使用するとき、「自己免疫状態」は、患者における自己免疫疾患又は
自己免疫応答の存在又はそれらの発現のための素因の存在である。
【0033】 本文中で使用するとき、「自己抗原」は細胞分子であり、通常は蛋白質である
。免疫系は正常な条件下では体内で自己抗原の存在に対して寛容であるので、自
己抗原は典型的には抗原性ではない。自己抗原は典型的には少なくとも1つの潜
在型エピトープを含む。自己抗原は、適宜に、組換え法を用いた天然細胞によっ
て又は化学合成を通して生成することができる。
【0034】 本文中で使用するとき、「自己抗原断片」は自己抗原の分解産物である。自己
抗原断片は、免疫系が体内でその存在に対して寛容でないため、抗原性である。
自己抗原断片は通常免疫系に対して潜在型エピトープを示す。自己抗原断片は、
適宜に、組換え法を用いて細胞系又は細胞不含系において少なくとも1つの顆粒
酵素の作用を通して天然細胞によって生成されうるか、あるいは化学合成を通し
て生成することができる。
【0035】 本文中で使用するとき、「自己抗体」は、自己抗原断片の存在に応答して動物
の免疫系によって産生される抗体である。自己抗体は自己抗原断片、断片が由来
する自己抗原、又はその両方に結合することができる。
【0036】 本文中で使用するとき、「顆粒含有リンパ球」は、顆粒を含むすべてのリンパ
球を含むことが意図されている。特に、かかる語は、時として細胞傷害性リンパ
球と称される細胞型のファミリーを含み、これらの細胞から誘導される細胞系を
含み、さらに細胞傷害性リンパ球様細胞系、好ましくはYT細胞系を含めて用い
られる。好ましい細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラー
細胞(NK)及びリンホカイン活性化キラー細胞(LAK)のような当該技術に
おいて既知の顆粒含有リンパ球である。
【0037】 本文中で使用するとき、「リンパ球顆粒酵素」又は「顆粒酵素」は、顆粒含有
リンパ球の顆粒中に認められる酵素である。顆粒酵素は、蛋白質精製の技術にお
いて一般的に用いられる方法によってリンパ球顆粒から精製することができる。
さらに、顆粒酵素は当該酵素に関する遺伝子をクローニングすることによって調
製でき、その後組換え酵素の生産において一般的に用いられる方法を使用して酵
素を調製する。
【0038】 本文中で使用するとき、「精製された」及び/あるいは「単離された」は、当
該蛋白質及びポリペプチド、又はそのそれぞれの断片がそのin vivo環境
から切り離されていることを表わすために交換可能に使用される。蛋白質又はそ
の断片は、天然に認められるものよりも少なくとも約5倍から10倍高い濃度で
得られるとき、「精製された」及び/あるいは「単離された」とみなされる。蛋
白質又はその断片は、天然に認められるものよりも少なくとも約100倍高い濃
度で得られる場合、実質的に純粋とみなされる。蛋白質又はその断片は、天然に
認められるものよりも少なくとも約1000倍高い濃度で得られる場合、本質的
に純粋とみなされる。蛋白質は、少なくとも精製又は単離されているが、本質的
に純粋でない場合、時として、部分的に精製されたと称される。化学合成された
蛋白質は、その化学的前駆物質から精製されたとき、実質的に精製されたとみな
される。精製又は分離された蛋白質は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗
体、アミノ酸配列決定、及びペプチド消化を生じる機会を与える量で蛋白質又は
蛋白質断片を入手することのように、但しそれには限定されないが、当業者によ
って操作されうる。それ故、本文中で特許請求する自己抗原断片は、細胞溶解産
物中に存在するか、あるいは実質的に又は本質的に純粋な形態で存在しうる。
【0039】 略語: Ac−DEVD−CHO、N−(N−Ac−Asp−Glu−Val)−3−
アミノ−4−オキソブタン酸;Ac−YVAD−CHO、N−(N−Ac−Ty
r−Val−Ala)−3−アミノ−4−オキソブタン酸;CTL、細胞傷害性
Tリンパ球;DNA−PKCS、DNA依存性蛋白質キナーゼ触媒サブユニット
;LAK細胞、リンホカイン活性化キラー細胞;NK細胞、ナチュラルキラー細
胞;NuMA、核有糸分裂装置蛋白質;PARP、ポリ(ADP−リボース)ポ
リメラーゼ;PI、ヨウ化プロピジウム (発明の詳細な説明) 本発明は、自己抗原断片及び自己免疫疾患の処置におけるそれらの使用のため
の方法を提供する。また、自己免疫疾患の存在を含めて、動物における自己免疫
状態を検出するためのアッセイを提供する。
【0040】 本発明は、リンパ球顆粒の内容物が細胞に及ぼす作用が引き金となる形態のア
ポトーシスの際に、これまで認識されていなかった分類の自己抗原断片が生成さ
れるという発見を利用するものである。特にリンパ顆粒に見られる酵素は、蛋白
細胞自己抗原を開裂して、以前に見られなかった自己抗原断片を産生する。この
自己抗原断片の生成においては、グランザイムBが重要な顆粒酵素であることが
認められている。この酵素は以前から、プロカスパーゼ酵素の一部を開裂して活
性カスパーゼを生じることが知られていた。現在、グランザイムBは異なる部位
でカスパーゼの基質の一部を直接開裂して、新規自己抗原断片を産生することが
わかっている。
【0041】 本発明は、グランザイムが産生する自己抗原断片をいくつかの方法によりin
vitroで生成する方法を提供する。好ましい実施態様では、精製グランザ
イムBを精製基質に接触させ、自己抗原断片を生成することができる。部分的又
は完全に精製された酵素を、部分的又は完全に精製された基質あるいは基質を含
む細胞溶解産物に対して使用することもできる。この場合は、基質の開裂後に自
己抗原断片を精製することができる。さらに、顆粒の内容物を使用して、顆粒内
容物又は精製基質又は患者から単離された組織サンプルの適用によりグランザイ
ムBの作用によって産生されるカスパーゼ基質の自己抗原断を含めて、細胞成分
の自己抗原断片を生成することができる。一部の実施態様では、細胞を顆粒内容
物に接触させる前に、組織の細胞を溶解又は機械的破砕によって破壊して細胞の
内容物を放出させることができる。
【0042】 本文中で提供する自己抗原断片は、自己抗原断片の存在に対して患者を免疫寛
容にするための処置において使用できる。ひとたび免疫寛容が生じれば、患者は
その後体内での断片の出現に関連する自己免疫疾患を発現しなくなる。寛容誘導
の戦略は、非凝集形態の当該自己抗原断片の精製を含む。低用量の断片を、好ま
しくは低域免疫寛容を誘導するアジュバントを伴わずに、製薬上許容される担体
中で注入する。
【0043】 本発明はまた、患者において特定細胞に対する免疫応答を誘導する方法を提供
する。例えば、患者において悪性細胞に対する免疫応答を誘導することを所望す
る場合には、患者から細胞のサンプルを単離して、顆粒含有リンパ球から分離し
た顆粒の内容物に細胞を接触させることができる。細胞への顆粒内容物の作用が
自己抗原断片を生じさせることができる。一部の実施態様では、悪性細胞を溶解
又は機械的破砕によって破壊し、細胞を顆粒内容物に接触させる前に細胞の内容
物を放出させることができる。いずれの場合も、生じる混合物又は精製成分を患
者に投与することができる。このようにしてつくられる自己抗原断片は、例えば
CTL、NK及びLAK細胞を含めて、顆粒含有リンパ球の悪性細胞への作用に
よってin vivoで産生されるものと同じであるので、それによって免疫系
が刺激され、悪性細胞に対する応答を生じる。それ故、本発明は、悪性細胞のよ
うな特定の種類の細胞に対して働く自然の免疫系プロセスを高める又は刺激する
ための方法を提供する。
【0044】 本文中で述べる発明において有用な自己抗原断片は潜在型エピトープを示す。
これらのエピトープは、顆粒に含まれる酵素によって前駆体蛋白質が自己抗原断
片に開裂された後で免疫系に現われる。説得力を持つ量の文献が、自己免疫疾患
における自己抗原への高度に特異的な体液性免疫応答がT細胞依存性であり、こ
の活性化された免疫系を自身の抗原で再度攻撃誘発すると、自己免疫疾患におけ
る拡大が生じることを報告している(Burlingame,R.W.ら、19
93;Diamondo,B.ら、1992;Radic,M.Z.とM.We
igert,1994における考察)。しかし、これらの分子に対する一次免疫
応答の開始、そしてその後の標的抗原に対する二次応答の刺激の原因となる機序
は完全には解明されていない(Bach,J.F.とS.Koutouzov,
1997;Sercarz,E.E.とS.K.Datta,1994)。免疫
寛容は全蛋白質抗原の自然のプロセシングの際に閾値以上の濃度で生成され、提
供される支配的決定基に対してのみ誘導されるので、T細胞の自己反応性につい
ての潜在的可能性は、自己分子の種々の領域の免疫学的不等価性にあることがい
くつかの試験で報告されている((Sercarz,E.E.ら、1993;L
anzavecchia,A.1995)における考察)。抗原プロセシングの
際に全く生成されないか又は閾値より低いレベルで生成される(潜在型と称され
る)決定基は、T細胞を寛容化しない。従って、この潜在型自己エピトープを認
識する潜在的に自己反応性のT細胞は残存する。
【0045】 正常な潜在型決定基が免疫系に対して顕在となるとき自己免疫が起こりうると
いう機序は高い注目を集めた。現在いくつかの実験系が、自己分子における支配
型と潜在型のエピトープのバランスは、分子の「免疫学的」構造を変化させる力
によって深い影響を受けると考えられる証拠を提供している(Lanzavec
chia,A.1995)。例としては、新しい開裂を通して(Bockens
tedt,L.K.ら、1995;Mamula,M.J.1993)、あるい
は高い親和性のリガンド結合によって誘導されるコンフォメーションの変化を通
しての(Salemi,S.ら、1995;Simitsek,P.D.ら、1
995;Watts,C.とA.Lanzavecchia、1993)潜在型
エピトープの顕在化を含む。それ故、種々の自己免疫疾患を特徴づける独自の高
い力価の自己抗体応答は、免疫前環境に非寛容構造の閾値以上の濃度が発現し、
従って一次免疫応答の開始のための厳密な判定基準を満たす、開始事象の免疫学
的痕跡とみなすことができる(Casciola−Rosen,L.とA.Ro
sen、1997)。
【0046】 アポトーシスの際の自己抗原の構造の変化は、免疫系による特定分子の標的の
基礎となる重要な特性である。アポトーシスの際にそれらの自己抗原のどの構造
がどのように開裂されるかを理解することは、自己免疫応答の開始におけるアポ
トーシスの役割についての洞察を提供する。そのような機序の1つは、顆粒含有
リンパ球において認められる顆粒の内容物中の酵素の作用を含み、本文中でそれ
について述べる。これらの顆粒の内容物は、自己抗原を自己抗原断片へと開裂す
ることによって潜在型エピトープを顕在化させる働きをすることが示されている
。好ましい方法では、グランザイムBは自己抗原蛋白質を開裂して、免疫系に対
して潜在型エピトープを顕示する好ましい自己抗原断片を作製する。
【0047】 カスパーゼ阻害因子を用いた最近の報告は、標的細胞の死が細胞傷害性リンパ
球顆粒のエキソサイトーシスによって誘導されるときのカスパーゼ非依存性経路
の寄与を強調している(Sarinら、1997;Talanianら、199
7)。ここに示されている結果は、アポトーシスの際にカスパーゼファミリーの
プロテアーゼによって開裂される下流基質のいくつかは、in vitroとリ
ンパ球顆粒誘導の細胞傷害を受ける標的細胞の両方において、グランザイムBに
よっても直接且つ効率的に開裂されることを明らかにしている。このことは、こ
の形態の細胞死において効率的なカスパーゼ非依存性蛋白質分解経路が存在する
ことを確認する。
【0048】 カスパーゼ−3の下流基質の必ずしも全部が同様の効率でグランザイムBによ
って開裂されるわけではない。PARPとU1−70kDaの場合には、カスパ
ーゼ−3による開裂の効率はグランザイムBによるものを200倍以上上回るが
、NuMAとDAN−PKCSはグランザイムBとカスパーゼ−3によって同様
の効率で開裂される(表I)。2つのプロテアーゼによる所与の基質の相対的な
開裂効率は、無傷細胞においてカスパーゼ−3の活性が阻害されるときに認めら
れる結果を説明すると思われる。すなわち、顆粒媒介の細胞傷害の際に、PAR
Pの開裂はAc−DEVD−CHOによって阻害されるが、DNA−PKCS
びNuMAの開裂はごくわずかしか影響を受けない。それ故、顆粒が媒介する細
胞死のカスパーゼ非依存性成分は、グランザイムB(及び潜在的に他の顆粒プロ
テアーゼ)によって効率的に開裂される下流基質の機能を変化させることを通し
て生じると考えられる。
【0049】 ここに示す結果は、無傷細胞モデルにおけるPARPとU1−70kDa(ど
ちらもグランザイムBに関しては非効率的な直接基質)のグランザイムB誘導の
蛋白質分解が、カスパーゼ阻害因子によって良好に阻害されたという最近の試験
と一致する(Talanianら、1997)。かかる結果は、CTL誘導の標
的細胞死の際に、あるいはin vitroでグランザイムBによって、特徴的
なDNA−PKCS断片を明らかにすることができなかったこれまでの試験とは
異なっている(Songら、1996a)。2つの試験で使用したDNA−PK CS に対する抗体が異なることが、過去の試験では特徴的な100kDa C末
端断片がグランザイムBによって生成されることを認められなかった理由であろ
うと考えられる。
【0050】 上記の結果は、グランザイムBによるNuMAとDNA−PKCSの直接且つ
効率的な開裂は、他の形態のアポトーシスにおいてカスパーゼの開裂によって生
じるものと同様の機能的作用を達成することを示唆する。これは、グランザイム
BによるDNA−PKCSの開裂がそのキナーゼ活性を完全に消失させるという
所見によって裏付けられる(図3)。このグランザイムBが媒介するDNA−P
CSの開裂は、いくつかの点でカスパーゼ−3媒介のこの基質の開裂とは異な
っている:(i)DNA末端の存在はグランザイムB媒介の開裂の効率を有意に
低下させるが、一方カスパーゼ−3によるDNA−PKCSの開裂にはDNA末
端が必要である(Casciola−Rosenら、1996;Songら、1
996b)。(ii)DNA−PKCSのカスパーゼ−3による開裂はそのキナ
ーゼ活性を対照レベルの約60%に低下させるが(Casciola−Rose
nら、1996)、グランザイムBによる開裂はキナーゼ活性を完全に排除する
。これらのデータは、グランザイムBが、顆粒媒介の細胞傷害の非常に早期に、
有意のヌクレオソーム間のDNA開裂が起こる前、従ってカスパーゼ−3がDN
A−PKCSを有効に開裂することができるより以前に、DNA−PKCSを開
裂し、完全に不活性化することを示唆している。ひとたび豊富なDNA末端が生
成されれば、カスパーゼ−3による開裂が支配的となるはずである(生じる断片
は残存キナーゼ活性を有している)。
【0051】 in vivoでのアポトーシスの際のカスパーゼによる基質開裂の機能的な
結果はほとんどの基質について不明であるが、最近の報告は、開裂が決定的なア
ポトーシス前活動(例えばカスパーゼ−3によるDNA断片化因子の活性化(L
iuら、1997))を活性化することを明らかにしている。別の場合には、基
質開裂が重要な構造的及びホメオスタシス機能を無効にしうることを示唆する報
告もある(Casciola−Rosenら、1996;Ghayurら、19
96)。それ故、細胞溶解性リンパ球顆粒プロテアーゼが一部のカスパーゼ基質
を直接開裂する能力が、これらの細胞によって誘導される細胞死経路のカスパー
ゼ非依存性成分の基礎をなすと報告されている(Sarinら、1997)。リ
ンパ球顆粒誘導の細胞傷害経路が、カスパーゼ活性が存在しない場合でも新しい
形態の核縮合を生じさせる能力は、この理論と一致する。
【0052】 高分子及びテトラペプチド基質に関する検討は、グランザイムBの基質特異性
についての洞察を提供する。例えば、グランザイムBによるPARPの直接開裂
はVGPD537−S538で起こるが(Froelichら、1996a)、
いくつかのカスパーゼ前駆体のプロセシングはIETD部位で起こる(Fern
andes−Alnemriら、1996;Ramageら、1995;Sri
nivasulaら、1996;Yaminら、1996)。ここに示す試験は
、グランザイムBが、組合せテトラペプチドライブラリーを用いて定義されるグ
ランザイムBのテトラペプチド基質特異性)に一致する部位であるVGPD−F 2699 で高分子基質(DNA−PKCS)を開裂することを明らかにしている
(Thornberryら、1997)。興味深いことに、グランザイムBはま
た、DEVD−N2713の近傍においても直接この基質を開裂し、高分子基質
特異性の決定基が試験したテトラペプチドに含まれるものよりも複雑であること
を示唆している。
【0053】 グランザイムBによって生成されるNuMA及びDNA−PKCSの断片サイ
ズ、使用した抗体のいくつかの既知のエピトープ特異性、及びグランザイムBの
既知の基質特異性を用いたこれらの試験は、おそらくDNA−PKCSの100
kDa C末端断片を生じるグランザイムBの開裂部位はVDQD3210−G 3211 であることを示唆している。同様に、NuMAにおけるグランザイムB
の開裂部位はおそらくVLGD411−V412に生じる。いくつかの試験は、
パーフォリン/グランザイムBが誘導するアポトーシスの際のグランザイムBの
細胞生物学を取り上げている(Froelichら、1996b;Shieら、
1997;Trapaniら、1996)。これらの試験は、グランザイムBが
自律的に標的細胞の細胞質に入り込むことを報告した。その事象だけでは標的細
胞のアポトーシスは誘導されない。しかし、パーフォリンが存在する場合には、
標的細胞においてアポトーシスが誘導される。その事象は、標的細胞の核及び核
小体においてグランザイムBが急速に増加することを伴う(Jansら、199
6;Pinkoskiら、1996;Trapaniら、1996)。それ故、
ここで述べるグランザイムBの基質が核蛋白であることは重要である。これらの
基質は、アポトーシスの際にカスパーゼによる影響を受ける構造的及びホメオス
タシス経路の両方で機能する。顆粒誘導の細胞死の成分がカスパーゼ非依存性で
あるという所見は、カスパーゼとグランザイムBが顆粒誘導の細胞傷害の際に異
なる部位で下流基質の共通のサブセットを効率的に開裂する能力と合わせて考え
ると、アポトーシス表現型を生じる共通基質の蛋白質分解の重要性を強調してい
る(表II)。
【0054】 ウイルス性又は内因性カスパーゼ阻害因子(Beidlerら、1995;B
umpら、1995;Irmlerら、1997;Thomeら、1997;X
ueとHorvitz、1995)、並びに低いレベルの特定のカスパーゼファ
ミリーのメンバーを発現する長命細胞又は腫瘍細胞(Krajewskaら、1
997;Krajewskiら、1997)についていくつかの記述に照らすと
、グランザイムBのカスパーゼ非依存性活性は、アポトーシスカスケードのシグ
ナル成分又は執行成分の阻害因子に感受性でないアポトーシスエフェクター機序
を持つ宿主を提供する。
【0055】 現在までに記述されている下流カスパーゼ基質の多くは、ヒト全身性自己免疫
疾患において標的される自己抗原である(Casciola−Rosenら、1
995;Casciola−Rosenら、1994;Casciola−Ro
senら、1996;Casianoら、1996;Greidingerら、
1996)。これらの基質のいくつかはグランザイムBによっても直接開裂され
、これまでに検討された他の形態のアポトーシスの際には生成されない独自の断
片を生じるという本出願のデータは、特定の形態のCTL媒介のアポトーシスの
間に寛容されない自己抗原の決定基がどの程度顕示されうるかを明らかにしてい
る。
【0056】 ここに示す実験結果において、DNA−PKCSとNuMAはin vitr
o及び顆粒誘導の細胞傷害を受ける細胞の両方で、グランザイムBによって直接
開裂されることが明らかにされている。これらの基質の開裂の効率はカスパーゼ
−3媒介の開裂について認められるものと同様であるが、2つのプロテアーゼに
よって生成される断片は異なる。カスパーゼは下流基質の機能を変化させること
によって(無傷基質の機能を低下させるか又はプロアポトーシス活性を持つ断片
を生成することにより)アポトーシスを開始させると思われるので、細胞傷害性
リンパ球顆粒誘導のアポトーシスの際のグランザイムBによるカスパーゼ基質の
直接開裂は、カスパーゼ非依存性の標的細胞死において重要な役割を果たすと考
えられる。細胞傷害性リンパ球顆粒の内容物が細胞死経路におけるカスパーゼの
必要性を回避できることは、カスパーゼ経路が不完全であるか、又は厳密な内因
性又は外因性調節制御下にある標的細胞の死を保証することができる。
【0057】 特定自己抗原から特定自己抗原断片を生成する際のグランザイムBの作用をこ
こで例示する。しかし、グランザイムBモデル系で説明し、例示するような顆粒
プロテアーゼの役割を全般的に理解することにより、これらやその他の自己抗原
断片を生成することが可能となる。生成した自己抗原断片は、自己免疫疾患及び
癌の危険性がある又は罹患している患者を処置するための製薬組成物の調製にお
いて、並びに患者において自己免疫状態が存在するか否かを評価するためのアッ
セイにおいて使用することができる。
【0058】 下記の実施例は例示として提供するものであり、当業者には様々な他の実施態
様が明白であるので、下記の実施例を本発明の範囲に関する限定と解釈すべきで
はない。
【0059】 実施例1 一般的試験材料及び方法 試験材料。精製DNA依存性蛋白質キナーゼ(DNA−PK)とSPIをPr
omega(Madison,WI)から購入した。ATPはFluka(Ro
nkonkoma,NY)から購入し、32P−ATPはDu Pont/NE
N(Wilmington,DE)から購入した。Ac−DEVD−CHOとA
c−YVAD−CHOはMerck(Rahway,NJ)によって製造された
。カスパーゼ−3は記述されているように精製した(Nicholsonら、1
995)。患者血清を使用して、核有糸分裂装置蛋白質(NuMA)、ポリ(A
DP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)及びDNA−PKCSを免疫ブロッ
トした(Casciola−Rosenら、1995;Greidingerら
、1996)。モノクローナル抗体は、当該技術において既知の方法によって作
製することができる。18−2と25−4と称される2つの異なるモノクローナ
ル抗体(Dr.Tim Carter,St.Johns Universit
y,Jamaica,NYの好意により提供された)も、免疫ブロット法によっ
てDNA−PKCSを検出するために使用した(DNA−PKCSとその開裂断
片を検出するために使用する抗体の要約については表II参照)。カスパーゼに
対するウサギポリクローナル抗体を、当該技術において一般的に知られる方法を
用いて、カスパーゼ−3とカスパーゼ−7の大きなサブユニットに対して惹起し
た。免疫ブロットした蛋白質は、製造者の指示に従って、SUPERSIGNA
TM基質系(Pierce,Rockford,IL)を用いて検出した。
【0060】 精製DNA−PKCS及び[35S]メチオニン標識カスパーゼ−3前駆体、
カスパーゼ−7前駆体、PARP及びNuMAのin vitro開裂。カスパ
ーゼ−3、カスパーゼ−7、NuMA及びPARPについてのcDNAを使用し
て、ウサギ網状赤血球溶解産物における結合転写/翻訳によって「35S]メチ
オニン標識蛋白質の合成を推進した。すべての精製基質について、図1に示すグ
ランザイムB濃度の存在下に、50mM Hepes pH7.4、10%スク
ロース及び5mM DTTを含む緩衝液中で開裂反応を実施した。37℃で15
分間インキュベートした後、反応を終了し、サンプルを10%(DNA−PK 、NuMA)、12%(PARP)又は15%(カスパーゼ 3及び7)SD
S−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。放射能標識蛋白質とそれらの断片
を蛍光光度法によって視覚化した。無傷及び開裂DNA−PKCSをモノクロー
ナル抗体18−2での免疫ブロット法によって視覚化した(Casciola−
Rosenら、1995)。
【0061】 触媒定数値の計算。触媒定数(kcat/K)の値を基本的に記述されてい
るように(Casciola−Rosenら、1996)計算した。簡単に述べ
ると、各々のin vitro反応において飽和以下の基質濃度を使用し、生成
物の出現を第一段階プロセスと仮定した。オートラジオグラム上の基質と生成物
のバンドをデンシトメトリーによって走査した。いくつかの適切なデンシトメト
リー系、例えばQuantity One SoftwareによるPDI D
iscovery System、Protein Databases,In
c.(Huntington Station,NY)が使用できる。kcat /K値は、用量−反応データを一次反応速度式に適合させることによって計算
した:
【0062】
【数1】
【0063】 HeLa溶解産物中の内因性DNA−PKCS、NuMA及びPARPのin
vitroでの開裂。Casciola−Rosenら、1994が述べてい
るように、当該技術において一般的に適用される方法を用いて対照HeLa溶解
産物を調製した。次に100nMのAc−DEVD−CHO又はAc−YVAD
−CHOの不在下又は存在下で、12.5nM精製グランザイムB又は105p
M精製カスパーゼ−3を溶解産物に加えた。混合物を氷上で15分間インキュベ
ートしてプロテアーゼへの阻害因子の結合を促進し、その後37℃で60分間開
裂反応を実施した。0.087%ビスアクリルアミドを含む10%SDS−ポリ
アクリルアミドゲルでサンプルを電気泳動した後、無傷蛋白質とそれらの開裂断
片を免疫ブロット法によって視覚化した。
【0064】 P1 Asp突然変異誘発によるDNA−PKCS中のグランザイムB開裂部
位の決定。Met2566からLeu2928まで(カスパーゼ−3開裂部位並
びに推定上のグランザイムB部位を含む領域)をコードする、DNA−PKCS についての部分的cDNAクローンを、5’EcoRI及び3’XbaI制限酵
素アダプターを含むプライマーを使用してHeLa細胞ポリ(A)+RNAから
逆転写酵素PCRによって増幅した。pBluescript II SK+(
Stratagene)の対応する制限部位に連結した後、このクローンをオー
バーラップ−延長PCRによる突然変異誘発のためのテンプレートとして使用し
、D2698A(推定上のグランザイムB部位のP1)とD2712A(既知の
カスパーゼ−3部位のP1)の修飾を含むクローンを生成した。結合in vi
tro転写/翻訳により[35S]放射標識ポリペプチドを生成し、次に組換え
カスパーゼ−3(8nM)又は精製したYT細胞誘導グランザイムB(8nM)
のいずれかと共に、50mM Hepes/KOH(pH7.0)、10%(w
/v)スクロース、2mM EDTA、0.1%(w/v)CHAPS、5mM
ジチオトレイトールから成る緩衝液中37℃で60分間インキュベートした。生
じた開裂産物をSDS−ポリアクリルアミドゲル(10−20%勾配のゲル)で
分解し、蛍光光度法によって視覚化した。
【0065】 無傷K562細胞のYT細胞顆粒内容物が誘発する細胞障害の際の内因性DN
A−PKCS、NuMA及びPARPのin vivoでの開裂。無傷細胞質顆
粒をYT細胞から精製し、既知の方法(Tschopp、1994)を用いて顆
粒内容物を分離した。これらの試料の一部をグランザイムBのさらなる精製のた
めに使用した(Tschopp、1994)。プロテアーゼの純度を過負荷SD
S−ポリアクリルアミドゲルの銀染色によって確認した。YT顆粒内容物の細胞
障害作用を次のようにして測定した:Jurkat T細胞又はK562細胞を
100μCi/ml[51Cr]クロム酸ナトリウムで放射標識し、洗浄し、C
2+−遊離HBSSに懸濁して、その後顆粒内容物(0−5μl)及び1mM
CaClと共に時間を漸増してインキュベートした。特異的[51Cr]の
パーセンテージを次の式を用いて計算した:%特異的溶解=[(サンプルcpm
−自発cpm)/(最大cpm−自発cpm)]×100。無傷K562細胞中
のDNA−PKCS、NuMA及びPARPへのYT細胞顆粒内容物の作用を検
定するためのin vivo実験を次のように実施した:K562細胞をPD(
2.7mM KCl、1.5Mm KHPO、137Mm NaCl、8m
M NaHPO)で2回洗浄し、次に100μM Ac−DEVD−CHO
の不在下又は存在下でPD中に1.7×10細胞/mlの割合で懸濁して、3
7℃で30分間インキュベートした。3.4×10細胞を含むアリコートを1
mM EDTA又は1mM Ca2+及びYT顆粒内容物2μlと共に37℃で
さらに90分間インキュベートした(これは60分間で20−40%の特異的ク
ロム放出を誘発し、また特徴的なヌクレオソーム間DNAの分解を誘発する)。
各々のサンプルの総反応用量は30μlであった。SDSゲル緩衝液中で煮沸し
て反応を終了し、サンプルを上述したように電気泳動して、免疫ブロットした。
2つの異なる顆粒内容物標本と4つの異なる細胞型(K562、Jurkat、
HeLa、始原ヒト筋芽細胞)を用いて実験を行った。
【0066】 共焦点免疫蛍光顕微鏡検査。No.1カバーガラスで増殖したHeLa細胞に
ついて形態学的実験を行った。Ca2+を含まない氷冷HBSSでカバーガラス
を3回洗浄した後、200μM Ac−DEVD−CHOの存在下又は不在下で
、YT細胞顆粒内容物(上記参照)0.8μlを含む、Ca2+を省いたHBS
S 25μlと共にインキュベートした(4℃、30分間)。次に2mM Ca
Clを含むHBSS 25μlを各々のカバーガラスに加えて(繰り返し静か
に吸引して十分に混合する)、その後37℃で60分間加湿チェンバーにおいて
インキュベートした。細胞を4%パラホルムアルデヒドに固定して(4℃、5分
間)、アセトンで透過性を上げ(4℃、15秒間)、上述したようにPARP又
はNuMAに対する抗体、ヨウ化プロピジウム及びDAPIで連続的に染色した
(Casciola−Rosenら、1994a)。カバーガラスをPerma
fluor(Lipshaw,Pittsburgh,PA)でスライドガラス
上に載せ、走査共焦点顕微鏡検査系(LSM 410,Carl Zeiss,
Inc.,Thornwood,NJ)で共焦点顕微鏡検査を実施した。
【0067】 LAK細胞媒介の細胞障害。ヒトPBMCをLAK培地(10mM Hepe
s pH7.4、L−グルタミン、2%自己血清を補足したRPMI)及び10
00Cetus単位/mlのhrIL−2(Chiron Therapeut
ics,Emeryville,CA)において4日間培養してLAK細胞を得
た(Topalianら、1989)。Fas陰性標的細胞(K562赤白血病
細胞)を100μM Ac−DEVD−CHOの存在下又は不在下でLAK培地
に1.3×10細胞/mlの割合で懸濁し、37℃で60分間培養した後、L
AKエフェクター細胞(5:1のエフェクター:標的比率)と共に4時間同時イ
ンキュベートした。PDで2回洗浄した後、SDSサンプル緩衝液中に溶解して
煮沸し、PARP、DNA−PKCS及びNuMAを上述したように免疫ブロッ
ト法によって検定した。
【0068】 キナーゼアッセイ。無傷DNA−PKCS又は次のようにして最初にグランザ
イムBで開裂しておいたDNA−PKCSに関してキナーゼアッセイを実施した
。12.5nM精製グランザイムBの不在下又は存在下で、10mM Hepe
s pH7.4、2mM MgCl、10mM KCl、2.7mM DTT
、及び50ng DNA−PKCSを含む反応混合物を37℃で13.5分間イ
ンキュベートした。その後、10μg/mlの剪断したニシン精子DNA(Pr
omega)の不在下又は存在下で、100ng SP1及び1.5μCi[ P]−ATP(3000Ci/mmol)を含む150μM ATPを加えて
キナーゼ反応を開始させた。サンプルを37℃で10分間インキュベートした後
(十分にアッセイの線形範囲内である、データは示していない)、SDSゲル緩
衝液を加えて煮沸し、反応を終了させた。サンプルを8%SDS−PAGEで電
気泳動した後、オートラジオグラフィーによってSP1のリン酸化を検出し、デ
ンシトメトリーで定量した。平行してキナーゼの開裂状態を免疫ブロット法によ
って確認した。
【0069】 実施例2 DNA−PKCS及びNuMAは精製グランザイムBにとって非常に効率的な
基質である。
【0070】 これまでに、グランザイムBはいくつかのカスパーゼ(カスパーゼ3、7及び
10を含む)の前駆体を開裂して、それらの蛋白質分解作用の活性化を生じるこ
とが報告されている。グランザイムBによるこれらの基質の開裂の触媒効率は、
他の基質のグランザイムB媒介開裂を比較することができる有用な基準として役
立つ。カスパーゼ−3とカスパーゼ−7の精製[35S]メチオニン標識前駆体
、又はTHP.1サイトゾル(これらの前駆体のプロテアーゼを含む)を漸増濃
度の精製グランザイムBと共にin vitroでインキュベートした。得られ
た用量−反応データ(図1)を使用して、カスパーゼ−7については1.8±0
.6×10−1S−1(放射標識基質)と1.9±0.1×10−1S −1 (免疫ブロット法)、カスパーゼ−3については3.6±1.0×10 −1S−1 (放射標識基質)と2.3±0.4×10−1S−1(免疫ブロ
ット法)という触媒定数(kcat/K)値を計算した(表I)。従って、こ
れまでの報告(Talanianら、1997)と一致して、グランザイムBは
カスパーゼ−7をカスパーゼ−3より約6倍高い効率で開裂する。
【0071】 次に、アポトーシスの際にカスパーゼによって開裂されることが知られている
下流基質もグランザイムBによって直接開裂されるのかどうかを検討し、さらに
2つのプロテアーゼによる各々の基質の開裂効率を比較した。精製DNA−PK CS は、DNAを付加せずに、グランザイムBによって非常に効率的に開裂され
(kcat/K=2.5±0.8×10−1S−1、図1及び表I参照)
、カスパーゼ−3前駆体のグランザイムB媒介開裂について述べられているより
も2次数良好な開裂効率を有する、これまでに記述されたグランザイムBについ
ての最良の基質であった。10μg/ml DNAの存在下で同様の実験を実施
すると、DNA−PKCSの開裂は約90%低下した。
【0072】 DNA−PKCSのカスパーゼ−3媒介の開裂も極めて効率的であった(k at /K値=7.5±0.8×10−1S−1)。この場合には、効率的
な開裂はDNAの存在下でのみ得られた((Casciola−Rosenら、
1995)、及び表I)。カスパーゼファミリーの特徴を有する同定されていな
いプロテアーゼによりアポトーシス細胞において開裂される核基質蛋白質である
NuMAも、グランザイムBによって非常に効率的に開裂された(kcat/K 値=5.4±1.4×10−1S−1、表I参照)。この開裂の効率はカ
スパーゼ−3前駆体のグランザイムB媒介プロセシングについて認められたもの
より1次数高かった。NuMAは精製カスパーゼ−3によっても効率的に開裂さ
れ、kcat/K値=5.0±1.0×10−1S−1(表I)であった
。DNA−PKCS及びNuMA(グランザイムBとカスパーゼ−3媒介の開裂
が同様に効率的である)と異なって、PARPは、グランザイムBについては比
較的効率的でない基質であり、kcat/K値(2.3±1.8×10 1S−1 )はカスパーゼ−3よりも約200倍低い(表I参照)。グランザイム
BはU1−70kDaの開裂についても効率的でない触媒であり、kcat/K 値<103M−1S−1であった。それ故グランザイムBによる基質開裂の効
率は、一部の基質(例えばDNA−PKCS及びNuMA)についてはカスパー
ゼ−3と同様であるが、また別の基質(例えばPARP及びU1−70KDa)
については2次数以上非効率的である。
【0073】 実施例3 グランザイムB又はカスパーゼ−3によるin vitroでの自己抗原の開
裂後、種々の基質断片が検出される。
【0074】 グランザイムBとカスパーゼ−3によって生成される断片を直接比較するため
、in vitro翻訳した[35S]メチオニン標識PARP及び内因性基質
(HeLa細胞溶解産物中のNuMAとDNA−PKCS)をプロテアーゼと共
にインキュベートし、隣接するレーンで電気泳動した。グランザイムBを使用し
てDNA−PKCSを開裂したときには、100kDaと250KDaの断片が
生じた(それぞれDNA−PKCSのC末端又はN末端を認識する抗体を用いた
免疫ブロット法によって検出した)。これに対し、カスパーゼ−3による開裂は
150kDaのC末端断片(図2、レーン3)と250kDaのN末端断片(図
2、レーン6)を生じた。
【0075】 NuMAのグランザイムB媒介の開裂は、SDS−PAGEにおいて175k
Daで移動する新規断片を生じ、これはカスパーゼ−3による開裂後に検出され
る185kDa断片とは異なっていた(図2、レーン7−9)。同様に、72、
62及び42kDaで移動するPARPの新規断片がグランザイムBとのインキ
ュベーション後に検出された;これらはPARPのカスパーゼ−3媒介開裂によ
って生じる89及び24kDa断片とは異なっていた(図2、レーン10−12
及び表II)。それ故グランザイムBは、in vitroでカスパーゼ−3の
下流基質のいくつかを直接開裂する。いずれの場合にも、グランザイムBによっ
て生じる断片はカスパーゼ−3によって生じるものとは異なっている。
【0076】 実施例4 DNA−PKCSのキナーゼ活性はグランザイムB開裂によって消失する。
【0077】 グランザイムB媒介の開裂がDNA−PKCSのキナーゼ活性に及ぼす作用を
調べるため、無傷及び開裂DNA−PKCSがSP1をリン酸化する能力を定量
した。DNA−PKCSのキナーゼ活性は全面的にDNA依存性であった(図3
、レーン1及び2)。DNA−PKCSを12.5nMのグランザイムBにより
37℃で13.5分間前処理し(この処理はDNA−PKCSを開裂する(図1
))、その後DNA、[32P]ATP及びSP1を加えた(これはリン酸化反
応を開始させる)とき、キナーゼ活性は完全に消失した(図3、レーン3)。D
NA−PKCSのグランザイムB媒介開裂によって生じる断片が、本文中で明ら
かにした自己抗原反応に加えて新たな活性を持つかどうかは不明である。
【0078】 実施例5 グランザイムBは細胞溶解産物中のDNA−PKCS及びNuMAの新規断片
を誘導する。
【0079】 以前の試験は、グランザイムBを発現するCOS細胞の溶解産物中で起こるP
ARPの開裂は、カスパーゼ阻害因子、Ac−DEVD−CHOによってほぼ完
全に抑制されうることを報告した(Darmonら、1995)。この化合物は
グランザイムBの阻害因子ではないので、この所見は、この開裂がこれらの抽出
物中のグランザイムBによって活性化されたカスパーゼによってのみ媒介される
ことを示唆している。PARP自体はカスパーゼ−3よりも約200倍低い効率
でグランザイムBによって開裂されるという所見がこの結論をさらに裏付ける(
表I参照)。NuMAとDNA−PKCSはカスパーゼ−3とグランザイムBに
よって同様の効率で開裂されるので、これらの基質が、カスパーゼ前駆体を含む
細胞溶解産物中のグランザイムBによって直接開裂されるかどうかを調べるのは
興味深いことであった。それ故、精製カスパーゼ−3又はグランザイムBを加え
た後の内因性DNA−PKCS、NuMA及びPARPの開裂を監視するin
vitroアッセイ系を確立した。アッセイは、カスパーゼ阻害因子、Ac−D
EVD−CHOの存在下又は不在下で実施した。
【0080】 対照抽出物を37℃で60分間インキュベートすると、DNA−PKCS又は
PARPの有意の開裂は生じなかったが、NuMAのごくわずかな開裂をもたら
し、185と187kDaのわずかな断片の生成を導いた(図4、レーン1)。
精製カスパーゼ−3を対照抽出物に加えると、PARP(89kDa)、NuM
A(185kDa)及びDNA−PKCS(250kDaのN末端断片、150
kDaのC末端断片)のカスパーゼ−3特異的断片を生じた(図4、レーン2)
。上記に示したように、カスパーゼ−3の作用によって生じる基質断片は100
nM Ac−DEVD−CHOによって完全に消失するが(Kiカスパーゼ−1
=17nM;Kiカスパーゼ−3=0.2nM;Kiカスパーゼ−6=31nM
;Kiカスパーゼ−7=1nM;Kiカスパーゼ−8=0.92nM;Kiカス
パーゼ−9=60nM;Kiカスパーゼ−10=12nM)(図4、レーン3)
、100nM Ac−YVAD−CHOによっては影響を受けなかった(Kiカ
スパーゼ−1=0.6nM;Kiカスパーゼ−3及びカスパーゼ−7>10μM
;Kiカスパーゼ−10=408nM)(図4、レーン4)。
【0081】 12.5nMのグランザイムB存在下では、3基質すべてが効率的に開裂され
た(図4、レーン5)。グランザイムBによって誘導される支配的なPARP断
片は、カスパーゼ−3によって誘導される断片と同時移動した(図4、レーン5
)。精製基質上のグランザイムBによって誘導される断片に相当する62kDa
のわずかな(<5%)断片も存在した。これに対し、グランザイムBによって誘
導されるNuMA断片のごくわずかの割合だけが、カスパーゼ−3によって誘導
される断片と同時移動した(185kDa)。175kDaの主要な新規断片(
図4、レーン5)は、精製in vitro翻訳基質上のグランザイムBによっ
て誘導される断片に相当した。グランザイムBが媒介するDNA−PKCSの開
裂は、カスパーゼ−3によって生成されるものと同時移動する250kDaのN
末端断片(図4、レーン2及び5)並びに精製基質上のグランザイムBによって
誘導されるものに相当する独自の100kDaのC末端断片(図2、レーン2)
を生じた。
【0082】 グランザイムBの添加の15分前にAc−DEVD−CHO又は2mMヨード
アセトアミドを抽出物に加えると、PARPの開裂はほぼ完全に消失した(図4
、レーン6)。これに対し、NuMAとDNA−PKCSの開裂は部分的にしか
阻害されなかった(図4、レーン6)(5つの別個の実験において20−40%
の阻害)。NuMA(185kDa)及びDNA−PKCS(150kDaのC
末端断片)の両方のカスパーゼ−3特異的断片の生成はこれらの状況下で消失し
たが、DNA−PKCSの250kDaのN末端断片の形成は20−40%だけ
抑制された(図4、レーン6)。
【0083】 グランザイムB特異的断片(175kDaのNuMA断片及び100kDaの
C末端DNA−PKCS断片)の生成はカスパーゼ阻害因子によって影響されな
かった(図4、レーン6)。Ac−DEVD−CHOが250kDaのDNA−
PKCS断片の生成を著明に阻害できなかったことは、溶解産物にグランザイム
Bを加えた後で検出されるDNA−PKCS開裂の大部分が、(カスパーゼ−3
の活性化を通して間接的にではなく)このプロテアーゼの直接開裂から生じるこ
とを示唆する。
【0084】 合わせて考えると、上記の結果は、グランザイムBが細胞溶解産物中の内因性
基質の開裂に関してカスパーゼ−3と競合することを明らかにしている。この競
合の結果はkcat/K値を比較することによって正確に予測できる:カスパ
ーゼ−3による開裂についてのkcat/K値がグランザイムBによるものよ
りも大きい基質(例えばPARP)に関しては、カスパーゼ−3断片がほぼ独占
的に検出される。kcat/K値が当該プロテアーゼについて同様である基質
に関しては、グランザイムbの添加は新しいグランザイムB特異的断片の形成を
もたらす(例えばDNA−PKCS及びNuMA)。
【0085】 実施例6 DNA−PKCSにおけるグランザイムB開裂部位 カスパーゼ−3とグランザイムBによって生成される250kDaのDNA−
PKCS断片が、同じ部位及び/又は異なるがSDS−PAGEによっては識別
できない近接した間隔の部位における開裂から生じるのかどうかを調べるため、
DEVD2712−N2713にある既知のカスパーゼ−3開裂部位(Casc
iola−Rosenら、1996;Songら、1996b)並びにVGPD 2698 −F2699の潜在的グランザイムB開裂部位の両方を含むDNA−P
CSの断片(Met2566−Leu2928)を作製した。この断片中の当
該P1アスパラギン酸(D2698及びD2712)をアラニンに突然変異させ
(D2698A;D2712A)、野生型と突然変異形態のカスパーゼ−3又は
グランザイムBによる開裂への感受性を評価した(図5)。カスパーゼ−3によ
る野生型蛋白質の開裂は26kDaと20kDaの2つの断片を生じた(図5、
レーン1、2);この開裂はD2712A突然変異によって完全に消失し(図5
、レーン7、8)、カスパーゼ−3がDEVD2712−N2713で開裂する
ことを確認した。カスパーゼ−3によって生じるのと同じ20kDa及び26k
Da断片に加えて、グランザイムBの開裂は28kDaと18kDaの断片を生
じた(図5、レーン3);これらの特徴的な断片はD2712A突然変異によっ
て増強された(図5、レーン9)が、D2698A突然変異によって消失し(図
5、レーン6)、グランザイムB開裂部位をVGPD2698−F2699と位
置付けた。これらのデータは、グランザイムBが、組合せテトラペプチド基質ラ
イブラリーを用いた以前の試験(Thornberryら、1997)によって
予想された部位である、VGPD2698−F2699で開裂しうることを明ら
かにしている。さらに、グランザイムBはカスパーゼ−3開裂部位、DEVD 712 −N2713においても開裂する。C末端のグランザイムB独自の開裂部
位はVDQD3210−G3211であると考えられる。この開裂は、アミノ酸
3212から4096までの約100kDaの断片を生じる。
【0086】 実施例7 DNA−PKCS及びNuMAのグランザイムG特異的断片は、細胞障害性リ
ンパ球顆粒誘導の標的細胞死の際に生成される。
【0087】 細胞溶解産物中で明らかにされたグランザイムB特異的断片は、細胞障害性リ
ンパ球顆粒の内容物によって標的細胞死が誘導されるときにも生じるのかどうか
を調べるため、顆粒誘導の標的細胞死が基質開裂に及ぼす影響を検討した。パー
フォリンとグランザイムを含む顆粒を、ヒトNK細胞系であるYTから精製した
。顆粒内容物を採集し、実施例1で述べたように標的細胞の障害を誘導するため
に使用した。いくつかの異なる標的細胞(Jurkat T細胞、K562赤白
血病細胞、ヒト筋芽細胞又はHeLa細胞)を顆粒内容物(〜1,5×10
T細胞当量/ml)と共にCa2+の存在下でインキュベートした。速やかな標
的細胞の溶解を誘導した(60分間で〜20%−40%の特異的51Crの放出
を達成する)。Ca2+が存在しない場合は顆粒内容物による標的細胞の溶解は
起こらなかった(PodackとKonigsberg,1984;Young
ら、1986)。DNA−PKCS、NuMA及びPARPはすべて、顆粒の添
加後速やかに、Ca2+依存的に開裂した(図6、レーン2及び3)。上述した
溶解産物系で認められたように、PARPの開裂はほぼ全面的に89kDaのカ
スパーゼ−3特異的断片の生成をもたらした(図6、レーン3)。62kDaの
グランザイムB特異的断片が小量だけ生成された。89kDa断片の生成はAc
−DEVD−CHOによって完全に阻害された(図6、レーン4)。これに対し
、顆粒内容物は、DNA−PKCSとNuMAのグランザイムB特異的開裂断片
の形成を誘導した(図6、レーン3)。これらの断片の生成はAc−DEVD−
CHOによって阻害されなかった(図6、レーン4)。
【0088】 DNA−PKCSの場合には、顆粒内容物の添加は小量の150kDa及び1
20kDa断片の形成も生じさせたことに留意しなければならない。これらは、
より長時間X線フィルムに露光した後初めて良好に視覚化された。これらの断片
の生成もAc−DEVD−CHOによって完全に阻害された。
【0089】 実施例8 リンホカイン活性化キラー(LAK)によって攻撃されるFas陰性標的細胞
において、DNA−PKCS及びNuMAのグランザイムB特異的断片が生成さ
れる。
【0090】 リンパ球誘導の細胞障害の際にグランザイムB特異的断片が生成されるかどう
かを調べるため、LAD細胞の標的としてFas陰性細胞系、K562を使用し
た(McGahonら、1995;Topalianら、1989)。標的細胞
中の開裂蛋白質の生化学的分析ができるように、5:1のエフェクター:標的細
胞比を使用した。PARPのシグナチャー89kDaカスパーゼ−3断片がLA
K誘導の標的細胞死の際に生成された(図7、レーン3)。PARP開裂は10
0μM Ac−DEVD−CHOによって完全に排除された(図7、レーン4)
。これは、標的細胞死がYT細胞顆粒内容物によって開始されるときに認められ
た結果と一致した(図6、レーン4)。抗C末端抗体を使用して、LAK誘導標
的細胞死の際のDNA−PKCSの100kDaグランザイムB特異的断片と1
50kDaカスパーゼ−3特異的断片の生成を検出した(図7、レーン3)。さ
らに、120kDa断片がこれらの細胞において認められ、これまでにin v
itroと無傷細胞の両方で認められているDWVD−GでのDNA−PKCS のカスパーゼ−3媒介開裂と一致した(Cascila−Rosenら、199
6;Songら、1996b)。100μM Ac−DEVD−CHOはDNA
−PKCSのカスパーゼ−3特異的断片の生成を>90%抑制したが、100k
DaのグランザイムB特異的断片はこの阻害因子に対して感受性ではなかった(
図7、レーン4)。このデータは、YT細胞顆粒内容物による標的細胞死の開始
後に得られたものと一致する(図6、レーン4及び提示していないデータ)。グ
ランザイムB特異的NuMA断片についても同様の所見が得られた。合わせて考
えると、これらのデータは、これらの試験で定義されたDNA−PKCS及びN
uMAの新規断片が、無傷リンパ球が顆粒経路を使用して標的細胞の障害を誘導
するときに実際に生成されることを確認している。
【0091】 実施例9 細胞障害性リンパ球顆粒は核形態の変化を誘導する: カスパーゼ阻害因子の作用。
【0092】 カスパーゼについての下流基質のいくつかは、カスパーゼ阻害因子の存在下で
あっても、リンパ球顆粒誘導の細胞障害の際にグランザイムBによって直接且つ
効率的に開裂される。これらの顆粒が標的細胞の形態学的変化も誘導するのかど
うかを検討した。100μM Ac−DEVD−CHOの存在下又は不在下でH
eLa細胞をYT細胞顆粒内容物と共に予備インキュベートした後、Ca2+
加えてさらにインキュベートした。YT細胞顆粒内容物は顕著な表面気泡の速や
かな発生(<60分)を誘導し(図8A)、続いて核圧縮と膜結合アポトーシス
体への断片化を誘導した(図8B)。UVB誘導のアポトーシスについて記述さ
れているように(Casciola−Rosenら、1994)、全身性自己免
疫疾患において標的される自己抗原は、YT細胞顆粒内容物に接触する標的細胞
中で速やかに再分布されて、圧縮したアポトーシス核の縁に沿って集合し(図8
A)、最終的にはアポトーシス体の周囲に集まる(図8B)。顆粒内容物が誘導
する表面気泡、核の断片化、アポトーシス体の形成、及び核自己抗原の特徴的な
再分布は、Ac−DEVD−CHOによって妨げられた(図8B、8Cを比較さ
れたい)。しかし、核の大きさの顕著な低下(クロマチンの縮合を伴った)が、
Ac−DEVD−CHO処置細胞中の顆粒内容物によって誘導された(図8C)
;これらの核変化は、細胞をAc−DEVD−CHO単独でインキュベートした
ときには認められなかった。
【0093】 実施例10 自己抗原及び自己抗原断片に対する抗体。
【0094】 本発明はまた、本文中で開示する自己抗原断片に応答して惹起されるポリクロ
ーナル及びモノクローナル抗体に関する。当業者が、組織の細胞からのサンプル
のウエスタンブロット法において自己抗原断片を検出できる条件を判定するため
の標準的な手法を使用できれば、抗体は自己抗原断片のエピトープについて特異
的である。ブロットはエピトープに応じて適宜天然又は変性ゲルでありうる。非
特異的なバックグラウンド結合が可視的に検出できなければ、抗体は自己抗原断
片エピトープについて高度に特異的である。また、抗体の結合がランダムなペプ
チド、ポリペプチド又は蛋白質によっては競合されないが、特定の自己抗原断片
、自己抗原、又はそれらから誘導されるペプチド又はポリペプチドによって競合
されうる場合も、抗体は自己抗原断片について高度に特異的とみなすことができ
る。
【0095】 自己抗原断片は、自己抗原に特異的なモノクローナル又はポリクローナル抗体
で作製した免疫アフィニティーカラムを使用して他の細胞蛋白質から分離するこ
とができる。さらに、ポリクローナル又はモノクローナル抗体は、自己抗原又は
自己抗原断片の一部からの合成ペプチド(通常は約9個から約25個のアミノ酸
の長さ)に対して惹起することができる。単一特異性抗体を、自己抗原断片に対
して反応性の抗体を含む哺乳類抗血清から精製するか、又はKohlerとMi
lsteinの手法(1975,Nature 256:495−497)を用
いてモノクローナル抗体として調製する。本文中で使用するとき、単一特異性抗
体は、自己抗原断片に関して相同な結合特性を持つ単一抗体種又は複数の抗体種
と定義される。本文中で使用するとき、相同結合は、抗体種が、本文中で述べた
自己抗原断片に関連するもののような特異的抗原又はエピトープに結合する能力
をさす。自己抗原断片特異的抗体は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤ
ギ、ウマ等のような動物を、免疫アジュバントと共に又は免疫アジュバントなし
で、適当な濃度の自己抗原断片又は自己抗原断片の一部から生成される合成ペプ
チドで免疫することによって惹起される。
【0096】 初回免疫の前に免疫前血清を採集する。各々の動物に約0.1mgから約10
00mgまでの自己抗原断片を許容される免疫アジュバントと共に投与する。そ
のような許容されるアジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント
不完全アジュバント、ミョウバン沈殿物、Corynebacterium p
arvumを含む油中水乳剤、並びにRNAを含むがこれらに限定されない。初
回免疫は、好ましくはフロイント完全アジュバント中で、自己抗原断片又はその
ペプチド断片を皮下(SC)、腹腔内(IP)又はその両方の経路で複数部位に
注射することからなる。各々の動物から規則正しい間隔で、好ましくは週に1回
採血して抗体価を測定する。初回免疫後、動物にブースター注射を行ってもよい
し又は実施しなくてもよい。ブースター注射を行う動物には、一般にフロイント
不完全アジュバント中等量の自己抗原断片を同じ経路で投与する。ブースター注
射は、最大の抗体価が得られるまでおよそ3週間の間隔で実施する。各ブースタ
ー免疫後約7日目又は単回免疫後週に1回の割合で、動物から採血し、血清を採
集して、アリコートを約−20℃で保存する。
【0097】 近交系マウス、好ましくはBalb/cを自己抗原断片で免疫して、自己抗原
断片と反応性のモノクローナル抗体(mAb)を作製する。本文中で述べたよう
な許容されるアジュバントの等量を組み込んだ緩衝液又は生理食塩水約0.5m
l中、約1mgから約100mg、好ましくは約10mgの自己抗原断片で、I
P又はSC経路によりマウスを免疫する。フロイント完全アジュバントが好まし
い。0日目にマウスに初回免疫し、約3から約30週間休ませる。免疫したマウ
スに、静脈内(IV)経路により、リン酸緩衝生理食塩水のような緩衝液中約1
から約100mgの自己抗原断片のブースター免疫を1回以上実施する。抗体陽
性マウスからのリンパ球、好ましくは脾リンパ球を、当該技術において既知の標
準的手法により、免疫したマウスから脾臓を切除することによって入手する。安
定なハイブリドーマを形成することができる条件下で、脾リンパ球を適当な融合
パートナー、好ましくは骨髄腫細胞と混合することにより、ハイブリドーマ細胞
を作製する。融合パートナーは、マウス骨髄腫P3/NS1/Ag4−1、MP
C−11、S−194及びSp2/0を含みうるが、これらに限定されず、SP
2/0が好ましい。抗体産生細胞と骨髄腫細胞を、分子量約1000のポリエチ
レングリコールにおいて約30%から約50%の濃度で融合する。融合したハイ
ブリドーマ細胞を、当該技術で既知の手順によりヒポキサンチン、チミジン及び
アミノプテリン補足ダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)での増殖によって
選択する。およそ14、18及び21日目に増殖陽性ウエルから上清液を採集し
、自己抗原断片を抗原として使用する固相放射免疫測定法(SPIRA)のよう
なイムノアッセイによって抗体産生に関してスクリーニングする。また培養液を
オークタロニー沈降アッセイ(二次元二重ゲル拡散沈降試験)において試験し、
mAbのアイソタイプを決定する。抗体陽性ウエルからのハイブリドーマ細胞を
、MacPherson,1973の軟寒天手法、Soft Agar Tec
hniques,Tissue Culture Methods and A
pplicationsより,Kruse and Paterson編集、A
cademic Press、のような手法によってクローニングする。
【0098】 プリスチン(pristine)感作されたBalb/cマウスに、約0.5
ml/マウスの割合で、初回免疫からおよそ4日後に約2×10から約6×1
ハイブリドーマ細胞を注射してモノクローナル抗体を作製する。細胞の移入
後約8−12日目に腹水を採取し、当該技術で既知の手法によってモノクローナ
ル抗体を精製する。
【0099】 約2%ウシ胎児血清を含むDMEM中でハイブリドーマを増殖させて十分な量
の特異的mAbを得ることにより、抗自己抗原断片mAbのin vitro生
産を実施する。mAbを当該技術において既知の手法によって精製する。
【0100】 腹水又はハイブリドーマ培養液の抗体価を、沈降反応、受身凝集反応、酵素結
合免疫吸着抗体(ELISA)手法及び放射免疫測定(RIA)手法を含むがこ
れらに限定されない、様々な血清学的又は免疫学的アッセイによって測定する。
同様のアッセイを使用して、体液又は体組織及び細胞抽出物中の自己抗原断片の
存在を検出する。
【0101】 単一特異性抗体を作製するために本文中で述べた方法が、自己抗原断片のペプ
チド断片又は完全長の自己抗原に特異的な抗体を作製するために使用できること
は、当業者には直ちに明白である。
【0102】 抗体アフィニティーカラムを、例えば、抗体がアガロースゲルビーズ支持体と
共有結合を形成するようにN−ヒドロキシスクシニミドエステルで前活性化され
ているゲル支持体、Affigel−10(Biorad)に抗体を加えること
によって作製する。次にスペーサーアームとのアミド結合を通して抗体をゲルに
結合する。残存する活性化エステルを1MエタノールアミンHCl(pH8)で
クエンチングする。カラムを水、次いで0.23MグリシンHCl(pH2.6
)で洗浄して、非結合抗体又は外来性蛋白質を除去する。その後カラムをリン酸
緩衝生理食塩水(pH7.3)中で平衡させ、自己抗原断片を含む細胞培養上清
又は細胞抽出物をゆっくりとカラムに通過させる。光学密度(A280)がバッ
クグラウンドに低下するまでカラムをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、その後0
.23Mグリシン−HCl(pH2.6)で蛋白質を溶出する。精製した自己抗
原断片をリン酸緩衝生理食塩水に対して透析する。
【0103】 細胞及び組織中の自己抗原断片のレベルを、免疫アフィニティー及び/又はリ
ガンドアフィニティー手法を含むがこれらに限定されない様々な手法によって定
量する。自己抗原断片アフィニティービーズ又は自己抗原断片特異的抗体を使用
して、35Sメチオニン標識自己抗原断片又は標識していない自己抗原断片を分
離する。標識自己抗原断片をSDS−PAGEによって分析する。標識していな
い自己抗原断片は、自己抗原断片特異的抗体及び/又は抗ホスホチロシン抗体を
用いるウエスタンブロット法、ELISA又はRIAアッセイによって検出する
【0104】 好ましい抗体は、自己抗原断片に結合するが、無傷自己抗原又は無傷自己抗原
の他の断片には結合しない。好ましい抗体の例は、自己抗原断片において出現す
る潜在型エピトープを認識するもの、又は自己抗原断片中にのみ存在する末端エ
ピトープを認識する抗体である。
【0105】 実施例11 自己免疫状態の検出のためのアッセイ。
【0106】 本発明の教示に従って生成され、同定された自己抗原断片は、自己免疫状態の
存在を検出するためのアッセイにおいて使用することができる。かかる状態は、
疾患状態が発現する前の自己抗原断片の産生、自己免疫疾患の存在又は疾患の軽
減でありうる。
【0107】 患者から誘導したサンプルに関してアッセイを実施する。最も一般的には、サ
ンプルは組織サンプルである。自己抗原断片の存在は、in situで検出す
るか又はアッセイを実施する前に部分的に精製することができる。
【0108】 本発明の範囲内のアッセイを実施するために、自己抗原断片を調製する。例え
ば、蛋白質をグランザイムBで開裂することにより、DNA PKCSの自己抗
原断片を調製することができる。次に自己抗原断片を使用して、広く知られてお
り、当該技術で用いられる何らかの方法によってモノクローナル又はポリクロー
ナル抗体を作製する。
【0109】 抗体を使用してサンプル中に存在する自己抗原断片を特性付ける又は定量する
ことができる。これは、125I、金、酵素又は他の既知の標識で検出可能に標
識した抗体を使用することを含めて、当該技術において既知の数多くの手法によ
って実施できる。その代わりに、第一抗体に特異的な第二抗体に関して検出可能
な標識を行うこともできる。認められた自己抗原断片の量を対照細胞で認められ
た量と定量的又は定性的に比較する。後者に対する前者の変化が、自己免疫疾患
状態が存在するかどうか、進行しつつあるかどうか又は軽減しているかどうかの
指標である。
【0110】 代替的な形態のアッセイでは、本文中で述べたように細胞を処理し、処理した
細胞と対照細胞中に存在する自己抗原断片を分離する。標本は、粗細胞抽出物と
して、細胞の膜又は細胞内画分として、又は例えばクロマトグラフィー、沈降反
応又はアフィニティー分離段階のような精製段階後に調製することができる。粗
標本、部分的又は高度に精製された標本は、例えば自己抗原断片に特異的な抗体
を使用することにより、自己抗原断片内容物に関して分析することができる。
【0111】 もうひとつの形態のアッセイでは、自己抗原断片を使用して、自己免疫状態の
存在又は不在の指標として患者における自己抗体の存在又は不在を測定する。特
定の型又は自己抗原断片を使用すると、自己免疫状態のタイプを示すこともでき
る。検定する自己抗体は、患者の血清又は組織サンプル中に存在すると考えられ
る。自己抗体はin situで又は患者からの免疫グロビンの精製後に検出す
ることができる。1つの形態のアッセイでは、自己抗原断片を支持体に固定し、
次にサンプル中に存在する自己抗体を断片に接触させて自己抗原断片に自己抗体
を結合させることができる。適切な洗浄後、患者からの抗体に対する標識第二抗
体の使用を含めて、当該技術で使用可能な方法によって結合自己抗体の存在を検
出することができる。
【0112】 いずれのアッセイにおいても、異なるランのアッセイの結果を相互に比較でき
るように内部対照を案出することが有利と考えられる。自己抗原断片に関係して
おらず、アッセイで使用する細胞中に比較的一定な量で存在する細胞蛋白質が内
部対照として使用できる。
【0113】 上述したアッセイは本発明の範囲内のすべてのアッセイの例示である。当業者
は、当該技術で既知の又は開発される多くのアッセイ様式において本発明の自己
抗原断片と抗体を使用することができる。
【0114】 実施例12 患者を自己抗原断片の存在に対して寛容にする。
【0115】 本発明は、通常自己抗原性である化合物が将来in vivoで生成されるこ
とに対して患者を寛容にする方法を提供する。この方法は予防的でありうる。
【0116】 自己免疫応答を発現する危険性があると診断される患者を同定する。自己免疫
応答が起こりうる組織のサンプルを患者から分離する。組織から生成しうる自己
抗原断片を同定する。低域寛容を誘導するため、アジュバントを含まない製薬上
許容される担体中で自己抗原断片を患者に投与する。
【0117】 免疫寛容は、典型的には非凝集形態の当該自己抗原断片の精製を含む。特定実
施態様では、DNA PKCS、NuMA又はPARPの自己抗原断片をグラン
ザイムBの作用によって作製する。
【0118】 自己抗原断片は混合物中にも存在しうる。そのような混合物の1つは、潜在的
な自己免疫応答が診断される組織のサンプルに顆粒内容物を適用した産物であり
うる。その場合、自己抗原断片は、グランザイムBを含めた顆粒内容物の作用に
よって混合物中に産生される。
【0119】 いずれの場合も、患者において低域寛容を誘導するために、熟達した医師又は
獣医が選択する低用量で自己抗原断片を投与する。ひとたび患者の寛容が達成さ
れれば、通常通りにin vivoで組織中に自己抗原断片が産生されても、免
疫系はそれらに対する応答を開始せず、自己免疫疾患状態の発生が回避できるか
又はその重症度が軽減されうる。
【0120】 実施例13 悪性細胞のための処置。
【0121】 本発明はまた、患者において特定細胞に対する自己免疫応答を生じさせる方法
を提供する。例えば、そのような応答から恩恵を受けるであろう患者において、
悪性細胞に対する自己免疫応答を誘導することができる。
【0122】 例えば、患者から悪性細胞のサンプルを分離して、細胞を顆粒内容物又はグラ
ンザイムBに接触させることができる。細胞への顆粒内容物又はグランザイムB
の作用は、細胞中に存在する自己抗原から自己抗原断片を生成しうる。その後生
じた混合物を患者に投与することができる。この場合、アジュバントを自己抗原
断片と共に投与することが好ましい。
【0123】 変化して新しい抗原を生成することがない混合物の成分は、免疫系によって自
己分子として認識される。しかし、変化して新たな自己抗原断片を生じる成分は
、免疫によって非自己分子と認識され、それらに対して免疫応答が生じることに
なる。
【0124】 このようにして生成される自己抗原断片は、悪性細胞へのCTL、NK及びL
AK細胞の作用によってin vivoで生成されるものと同じであるので、免
疫系が刺激されて悪性細胞に対する応答を生じさせる。それ故本発明は、悪性細
胞のような特定の種類の細胞に対して働くように自然の免疫系プロセスを高める
又は刺激するための方法を提供する。例えば悪性細胞からの自己抗原断片のin
vivoでの生成は、免疫系を刺激できないほど低い割合で、又は免疫系の寛
容を導きうるような速度で起こりうるので、かかる方法は特に有益である。
【0125】 実施例14 製薬組成物 本発明の自己抗原断片を含む製薬上有用な組成物は、製薬上許容される担体の
混合のような既知の方法に従って製剤することができる。そのような担体及び製
剤方法の例はRemington’s Pharmaceutical Sci
encesの中に認められる。有効な投与に適した製薬上許容される組成物を形
成するために、そのような組成物は有効量の阻害因子を含む。
【0126】 本発明の治療的、予防的又は診断用組成物は、疾患を処置する又は診断するの
に十分な量で個体に投与される。有効量は、個体の状態、体重、性別及び年齢の
ような様々な因子に従って変化しうる。その他の因子として投与方法が含まれる
。熟達した医師によって適切な量が決定されうる。
【0127】 製薬組成物は、皮下、局所、経口及び筋肉内のような様々な経路によって個体
に供給することができる。
【0128】 「化学的誘導体」という用語は、通常は基礎分子の一部でない付加的な化学的
部分を含む分子を表わす。そのような部分は、基礎分子の溶解度、半減期、吸収
等を改善しうる。その代わりに、当該部分が基礎分子の好ましくない副作用を減
弱させる又は基礎分子の毒性を低下させる場合もありうる。そのような部分の例
は、Remington’s Pharmaceutical Science
sのような様々なテキストの中に述べられている。
【0129】 本文中に開示されている方法に従って同定される自己抗原断片を含む組成物は
、適切な用量で単独で投与することができる。その代わりに、他の薬剤との同時
投与又は連続的投与が望ましい場合もありうる。
【0130】 本発明はまた、本発明の処置方法において使用するのに適した局所、経口、全
身及び非経口製薬製剤を得るための手段を提供する。本発明に従って同定される
自己抗原断片を有効成分として含む組成物は、投与のための従来の賦形剤におい
て広範囲の治療用投与形態で投与することができる。例えば当該組成物は、適宜
に、錠剤、カプセル(それぞれ時間制御放出及び持続放出性製剤を含む)、丸剤
、散剤、顆粒剤、エリキシル、チンキ剤、溶液、懸濁液、シロップ及び乳剤のよ
うな経口投与形態中で、又は注射によって投与することができる。同様に、静脈
内(ボーラス及び持続注入の両方で)、腹腔内、皮下、閉鎖を伴う又は伴わない
局所、又は筋肉内形態でも投与することができ、これらはすべて製薬技術で使用
される当業者には周知の形態である。
【0131】 有利には、本発明の自己抗原断片は1日1回用量として投与することができ、
又は1日当りの総用量を1日2回、3回又は4回の分割用量として投与すること
ができる。
【0132】 さらに、本発明のための化合物は、適当な鼻腔内賦形剤の局所使用を通して鼻
腔内形態で、又は当業者に周知の経皮的皮膚パッチの形態を用いて経皮経路を通
して投与することができる。経皮供給送達系の形態で投与するためには、薬剤投
与は、言うまでもなく、投与レジメン全体を通して間欠的ではなく持続的である
【0133】 有効成分が別個の投与製剤である場合の1又はそれ以上の有効成分との組合せ
処置については、有効成分を同時に投与するか、又はそれぞれを別々のずらせた
時間に投与することができる。
【0134】 本発明の組成物を使用する投与レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、
性別及び医学的状態;処置が予防的である治療的であるか;処置する状態の重症
度;投与経路;患者の腎、肝及び心臓血管機能;ならびに使用する個々の化合物
を含めた様々な因子に従って選択される。通常の技術を有する医師又は獣医は、
状態を予防する、状態に対抗する又は状態の進行を止めるために必要な薬剤の有
効量を容易に決定し、処方することができる。毒性を伴わずに効果をもたらす範
囲内の、精製自己抗原断片を含む本発明の化合物の濃度を至適正確さで達成する
には、標的部位への化合物のアベイラビリティーの動態に基づくレジメンを必要
とする。これには化合物の分布、平衡及び排出についての配慮が含まれる。
【0135】 実施例15 グランザイムBによって開裂される自己抗原 グランザイムBは3つのカスパーゼ−3基質を効率的に開裂して、他の形態の
細胞死の際には生成されない特徴的な断片を生成する。グランザイムBによる特
徴的な自己抗原断片の生成が自己抗原の普遍的な特徴であるのかどうかを調べる
ため、広い範囲の自己抗原をin vitro及びin vivoでのグランザ
イムBによる開裂に関して試験した。それらの多様な構造、分布及び機能にも関
わらず、全身性自己免疫疾患において記述されている自己抗原の>70%がグラ
ンザイムBによって効率的に開裂され、特徴的な断片が産生される。これに対し
、検討したすべての非自己抗原分子においてグランザイムBは特徴的な断片を生
成しない。グランザイムBによる開裂に感受性であることが発見された自己抗原
のパネルを開裂部位と共に表3にリストする。
【0136】 自己抗原におけるグランザイムB開裂部位を定義した。すべての場合に、開裂
部位のすぐ近くにあるテトラペプチド配列は高度に保存された。それ故グランザ
イムB開裂への感受性は特異的であり、さもなければ関連性のないこれらの分子
の特徴を一様にする。さらに、グランザイムBがこれらの抗原の特徴的な断片を
生成する能力は、グランザイムBが、自己免疫応答が開始されるこれらの分子の
断片を選択的に産生する上で機能的な役割を果たすことを示している。これらの
結果は、自己免疫の開始と伝播における細胞傷害性リンパ球顆粒誘導の細胞死経
路の潜在的役割を強調するものである。
【0137】 グランザイムBによる直接開裂への感受性が、上記に示したPARP、NuM
A及びDAN−PKCSの孤立した特徴であるのか、又は自己抗原のより一般的
な特徴であるのかを調べるため、全身性自己免疫疾患のスペクトル全体から選択
した、十分に定義された様々な自己抗原を、精製グランザイムBによる開裂に対
する感受性に関して試験した。精製グランザイムBによる基質の開裂効率も検討
した(表3)。最初に、十分に定義された特異性を持つ一連の自己抗体を使用し
て、グランザイムBと共に又はグランザイムBなしにin vitroでインキ
ュベートしておいたHeLa細胞の溶解産物を免疫ブロットした。溶解産物は、
内因性カスパーゼ活性による干渉を防ぐためヨードアセトアミド(IAA)で前
処理した。
【0138】 興味深いことに、これまでにアポトーシスの際にカスパーゼによって開裂され
ることが示されていたいくつかの自己抗原が、グランザイムBによっても効率的
に開裂された。これらの基質には、U1−70kDa、トポイソメラーゼ−1、
SRP−72、PARP及びNOR−90が含まれた。各々の場合に、特徴的な
断片が生成された。Mi−2、PMS2及びKi−67も、これらの溶解産物中
のカスパーゼとグランザイムBの両方によって別個の様々なセットの断片に開裂
される追加的な自己抗原として同定された。
【0139】 また、U1−70kDa、PARP、トポイソメラーゼ−1、PMS2、及び
Mi−2の場合には、精製グランザイムBを用いてin vitro翻訳した基
質を開裂し、効率的な開裂と新規断片の生成を確認した。一定量の精製プロテア
ーゼを使用して、細胞溶解産物中の内因性基質又はin vitro転写/翻訳
によって発現される放射標識基質のいずれか、又は両方を開裂し、グランザイム
Bによるそれらの基質の開裂効率(kcat/K)を測定した。これまでの試
験で、いずれの形態の基質を使用しても等しい結果が得られることが明らかにさ
れた(Andradeら、1998)。kcat/K値は1.39×10 −1 .S−1(PMS2)から1.6×10−1.S−1(トポイソメラー
ゼ−1)までの範囲であった(表3参照)。
【0140】 これまでの試験で、アポトーシスの際のカスパーゼによる開裂に対して感受性
でないいくつかの自己抗原が同定されている(Casciola−Rosenら
、1995&1996)。これらの自己抗原の多くがグランザイムBによって効
率的に開裂された。これらの分子にはフィブリラリン、PMS1、CENP−B
、Ku−70、La及びRNAポリメラーゼIIのラージサブユニットが含まれ
た。グランザイムBによるこれらの基質の開裂の効率は5.9×10−1
−1(CENP−B)から8×10−1.S−1(La)までの範囲であ
った(表3参照)。興味深いことに、いくつかのリボ核蛋白質自己抗原は、グラ
ンザイムBあるいはカスパーゼのいずれによる開裂にも感受性ではなかった。こ
れらは、Ro52kDa及び60kDa、リボソーム蛋白質P、ヒストン及びS
m蛋白質を含んだ。
【0141】 グランザイムBによる開裂への感受性は自己抗原の高度に特異的な特徴であっ
た。検討した18の異なるヒト非自己抗原のいずれも、グランザイムBによって
開裂されなかった。カスパーゼ3及び7の前駆体が自己抗原であるかどうかは不
明であるが、これらはグランザイムBによって効率的に開裂される。興味深いこ
とに、これらの基質は同じ部位でグランザイムBとカスパーゼ−8によって開裂
され、同じ断片を生成する(下記参照)。
【0142】 十分に定義されている自己抗体の一部は免疫ブロット法によってそれらの抗体
を認識しないため、in vitroでグランザイムBによる開裂に対する放射
標識内因性基質の感受性を評価した。これらの試験を実施するため、HeLa細
胞を[35S]メチオニン/システインで放射標識し、ヒト自己抗体を用いて蛋
白質を免疫沈降した。洗浄した沈降蛋白質を含むプロテインA−アガロースビー
ズを、グランザイムBの活性を保持する緩衝液に懸濁して、精製グランザイムB
を添加して又は添加せずにインキュベートした。SDS−PAGEと蛍光光度法
を用いて反応産物を視覚化した。このアプローチの有効性を確認するため、グラ
ンザイムBによって開裂されることが知られているいくつかの異なる自己抗原、
並びにグランザイムBによって開裂されないいくつかの自己抗原と非自己抗原を
試験した。免疫ブロットし且つ免疫沈降する自己抗体を使用して、グランザイム
Bを用いて溶解産物中の分子を開裂して(その後免疫ブロット法で検出すること
により)得られる開裂プロフィールと、免疫沈降後に([35S]メチオニン標
識HeLa溶解産物から)得られる開裂プロフィールを比較した。開裂された自
己抗原(トポイソメラーゼ−1、Mi−2、RNAポリメラーゼIIのラージサ
ブユニット、Ku−70、PARP、及びNOR−90)、開裂されなかった自
己抗原(Ku−80、Ro 60k)、及び対照基質(β−チューブリン、ビン
キュリン)について、これら2つの方法を用いて同じ結果が得られた。この免疫
沈降アプローチを使用して、いくつかの追加自己抗原(PMSc1、RNAポリ
メラーゼIのラージサブユニット、ヒスチジルtRNAシンテターゼ、イソロイ
シルtRNAシンテターゼ及びアラニルtRNAシンテターゼ)がグランザイム
Bによって開裂され、特徴的な断片を生じることが明らかになった(表3)。注
意すべき点として、これらの追加的自己抗原はすべて(RNAポリメラーゼIを
除いて)自己免疫性筋炎において標的される。しかし、やはり自己免疫性筋炎に
おける自己抗原である他の2つのtRNAシンテターゼ(トレオニルtRNAシ
ンテターゼ及びグリシルtRNAシンテターゼ)はこのアプローチを用いて開裂
されなかった。
【0143】 従って、カスパーゼ−3とグランザイムBによって開裂される上述した3つの
自己抗原に加えて、これらの結果は、両方のプロテアーゼによって、但し異なる
部位で開裂される追加的な7つの自己抗原を同定する。さらに、別の10の自己
抗原はもっぱらグランザイムBによってのみ開裂され、カスパーゼによっては開
裂されない。それ故、ヒト全身性自己免疫疾患のスペクトルにわたって標的した
20の自己抗原は、グランザイムBによって効率的に開裂され、他の形態の細胞
死の際には認められない特徴的な断片を生じる(表3)。
【0144】 顆粒誘導細胞死の際に無傷細胞において同様の自己抗原断片が生成されること
を確認するため、K562細胞をCa2+の存在下でYT細胞顆粒内容物に接触
させ、自己抗原の生化学的状態を免疫ブロット法によって分析した。自己抗原が
カスパーゼとグランザイムBの両方の基質である場合には、両方の断片が生成さ
れた(U1−70kDa、PARP。Mi−2、トポイソメラーゼ−1、Ki−
67)。グランザイムBによってのみ開裂されることが知られている自己抗原は
、実際にK562/YT顆粒系において開裂され、Ku−70、PMS−1及び
RNAポリメラーゼIIのラージサブユニットのグランザイム−B特異的断片を
生成した。
【0145】 細胞傷害性リンパ球顆粒誘導の標的細胞死の際にDNA−PKCSのグランザ
イムB特異的断片が生成されることが示された。同様のアプローチを用いて、i
n vitroでグランザイムBによって開裂される他の自己抗原も、リンホカ
イン活性化キラー(LAK)細胞による無傷Fas陰性標的細胞の死滅の際に開
裂されるかどうかを検討した。Mi−2、U1−70kDa、トポイソメラーゼ
−1、PMS−1及びSRP−72並びにKu−70、RNAポリメラーゼII
及びKi−67のグランザイムB特異的断片がこの形態の細胞死の際に生成され
、適当な抗体での免疫ブロット法によって同定された。すべてカスパーゼ−3と
グランザイムBの両方による直接開裂に感受性である、Mi−2、U1−70k
Da、SRP−72及びトポイソメラーゼ−1の場合には、これらの抗原のグラ
ンザイムB特異的断片の量は、2つのプロテアーゼによる開裂の相対的効率によ
って決定されると思われる。それ故、Mi−2とトポイソメラーゼ−1(これら
はグランザイムBによって効率的に開裂される)のグランザイムB特異的断片は
明らかに認められた。それに対し、Ac−DEVD−CHOの添加によってカス
パーゼが阻害されなければ、無傷細胞死アッセイにおいてU1−70kDa、S
PR−72の非常に低いレベルのグランザイムB特異的断片、あるいはトポイソ
メラーゼ−1(72及び75kDa)に関してはより効率的でない開裂部位が認
められた。グランザイムBの基質であるがカスパーゼにとっての基質ではないP
MS1の開裂は、Ac−DEVD−CHOによって影響されなかった。
【0146】 実施例16 自己抗原のグランザイムB開裂の特異性。
【0147】 グランザイムBは、位置走査組合せテトラペプチドライブラリーを用いて特異
性が定義されたセリンプロテアーゼである。このプロテアーゼは、PではI、
V又はL、PではE、G、S、及びPではP、S、N、A、Q、H、T、V
、E、D、そしてPではDに対する選択性を持つ。グランザイムB開裂によっ
て生成される断片の大きさと開裂の特異性を用いて、開裂部位と考えられる部位
を同定した。グランザイムBはP1位置ではAspを選択し、その部位ではAl
aを許容しないので、部位特異的突然変異誘発を用いていくつかのグランザイム
B基質における一連のAsp−Alp置換を行った。プロテアーゼによる開裂の
効率への各々の突然変異の影響を評価した。
【0148】 PARPとDNA−PKCSにおけるグランザイムB開裂部位を定義した。上
記のアプローチを使用して、フィブリラリン、Mi−2、トポイソメラーゼ1、
PMS1、PMS2及びU1−70kDaにおけるグランザイムB開裂部位も定
義した(表3)。興味深いことに、これらの11の開裂部位のうち10がP
置にP(7)、A(2)又はS(1)を含み、それらはグランザイムBによって
選択されるがIII群カスパーゼによってはほとんど許容されない。さらに、4
つの開裂部位はPにG又はSも含む。これらの残基もIII群カスパーゼによ
っては許容されない。他の自己抗原において可能性のあるグランザイムB開裂部
位を予測するための断片サイズを使用して、これらの蛋白質において可能性のあ
る開裂部位を同定した。いずれの場合も、これらの開裂部位は、グランザイムB
によって選択されるがIII群カスパーゼによっては許容されないP及び/又
はPの残基を含んでいた(表3)。
【0149】 これらの基質がIII群カスパーゼによって開裂されないことを確認するため
、基質を50nM精製カスパーゼ−8と共にインキュベートした。最初に内因性
カスパーゼを1mMヨードアセトアミドによって不可逆的に不活性化した(4℃
で15分間)後、5mM DTTを加えて外因性カスパーゼ−8活性を促進して
おいたHeLa細胞溶解産物において、開裂アッセイを実施した。トポイソメラ
ーゼ−1、Mi−2、U1−70kDa、PARP、Ku−70、RNAポリメ
ラーゼIIのラージサブユニット、SRP−72、NuMA又はKi−67の開
裂は起こらなかった。IAA「毒作用」段階を省いたときに見られるPARPと
U1−70kDaの強固なカスパーゼ−3開裂産物が示すように、カスパーゼ−
8は実際にこれらの溶解産物において活性であった。放射標識したPMS1とP
MS2(IVTTによって生成される)も精製カスパーゼ−8によって開裂され
なかった。
【0150】 検討した28の自己抗原のうち20がグランザイムBによる効率的開裂に感受
性であり、特徴的な断片を生じることが明らかになった。開裂される分子は非細
胞位置、機能及び伸張一次配列においては著しく異なるが、2つの特徴を共有す
る:(i)すべてが、SLE、シェーグレン症候群、広汎性及び限局性強皮症及
び自己免疫性筋炎を含めて、ヒト自己免疫疾患において高い力価の自己抗体応答
によって標的される自己抗原である;そして(ii)分子が、カスパーゼ−8に
よる開裂に感受性でないグランザイムB開裂部位を含むという統一性を持つ(下
記参照)。興味深いことに、カスパーゼ3及び7の前駆体に対する自己抗体(グ
ランザイムBとカスパーゼ−8によって同じ部位で開裂され、同じ断片を生じる
)は、免疫ブロット法により>1000の自己免疫血清において検出されなかっ
た。
【0151】 それ故、自己抗原としての分子の状態と、グランザイムBによって開裂される
がカスパーゼ−8によっては開裂されないというその特徴的な感受性は、高度に
関連している(P<0.0001;カイ二乗検定)。グランザイムBによる特徴
的な開裂への感受性と自己抗原としての状態の正の予測値はこれら48基質につ
いて100%であるが、負の予測値は73%であり、付加的な機序が一部の分子
の自己抗原としての選択に関与していることを示唆する。開裂されない分子の大
部分が核蛋白質複合体(例えばヌクレオソームの成分やsnRNP)であること
は注目すべきである。
【0152】 いくつかの分子のグランザイムB開裂部位は、ショウジョウバエや酵母におい
てさえも、高度に保存される。細胞傷害性リンパ球がまだ進化していない生物に
おけるグランザイムB開裂部位のこの著明な配列保存は、重要な、しかしまだ定
義されていない機能がこれらの領域によって果たされていることを意味する。そ
れ故、グランザイムBのこの新しい、拡大されたファミリーは、アスパラギン酸
特異的アポトーシスプロテアーゼの進化と生物学的機能を探求し、細胞傷害性リ
ンパ球顆粒が媒介する細胞死の機序を探索するための強力なツールを提供する。
【0153】 ヒトの全身性自己免疫疾患は、個人の感受性、開始及び組織標的に影響を及ぼ
す数多くの変数を持つ、極めて複雑な疾患スペクトルである。これらの疾患のス
ペクトル全体にわたって標的した自己抗原が、グランザイムBによる効率的開裂
に対する感受性と、他の形態の細胞死の際には生成されない特徴的な断片の生成
によって統一されることを明らかにすることにより、これらの試験は、自己免疫
の開始における細胞傷害性リンパ球顆粒経路の役割に焦点を当てる。基質がカス
パーゼとグランザイムBの両方によって開裂される場合には、独自のグランザイ
ムB断片の生成はカスパーゼの相対的阻害に依存する。それ故、特定の理論に縛
られるのは望むところではないが、カスパーゼ活性が相対的抑制下にあるミクロ
環境で起こる免疫前細胞内感染の間に、独自のグランザイムB断片の産生が促進
されると考えられる。アポトーシス物質のクリアランスが損なわれている感受性
個体においては、これらの断片の閾値以上の量が蓄積し、樹状細胞によって有効
に捕獲されて提供される。生じる免疫応答はCTL顆粒誘導の細胞死の産物に向
けられ、これらの自己持続性疾患の自己増幅する損傷特性を生じさせる。
【0154】 実施例17 処置のための候補薬剤のスクリーニング 本文中で述べるアッセイは、自己免疫疾患、癌、又はそのような疾患の症状の
予防的又は治療的処置のための候補薬剤のスクリーニングに適合させることがで
きる。1つの例示としての様式では、候補薬剤を開裂されない自己抗原とリンパ
球顆粒内容物、顆粒酵素又はグランザイムBに接触させる。顆粒酵素又はグラン
ザイムBは様々な純度で調製することができる。自己抗原は、顆粒内容物によっ
て開裂されうる基質であるか、あるいは精製された又は部分的に精製された酵素
を使用する場合には特定の酵素にとっての基質でなければならない。ひとたび接
触させると、自己抗原が自己抗原断片に開裂されるのを監視することができる。
所望する場合には、候補薬剤を含まない、又は酵素の既知の阻害因子を含む対照
アッセイを平行して実施することができる。自己抗原断片の生成は、開裂を通し
て産生されるエピトープの抗体捕獲、開裂部位にまたがるエピトープの喪失、ク
ロマトグラフィー又は電気泳動を通しての開裂産物の分離、並びに当該技術にお
いて既知であり、使用されているか又はその後検出技術において開発される他の
手法を含めて、当該技術において既知の様々な手段によって監視することができ
る。スクリーニングアッセイは定量的又は定性的でありうる。
【0155】 候補薬剤は、有機又は無機の化学的化合物、又は蛋白質、ペプチド、糖蛋白質
又は糖ペプチド、多糖類又は他の高分子を含めた生化学的化合物でありうる。
【0156】 自己抗原の自己抗原断片への開裂の速度又は量を低下させる候補薬剤を、プロ
セスの阻害因子と称する。製薬科学の技術において認められている方法と手順に
よって、動物及びヒトの処置における適用についての適合性を調べるために候補
薬剤を検討することができる。試験を通して適切な効果と許容される安全性プロ
フィールを持つことが示された候補薬剤が、患者の予防的又は治療的処置におい
て使用される。
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【0203】 Shi,L.F.,Mai,S.,Israel,S.,Browne,K.
,Trapani,J.A.,及びGreenberg,A.H.(1997)
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トーシスとGraBの核局在を開始させる。J.Exp.Med.185,85
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【0204】 Shresta,S.,MacIvor,D.M.,Heusel,J.W.
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キラー及びリンホカイン活性化キラー細胞は、感受性標的細胞におけるアポトー
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【0205】 Simitsek,P.D.,D.G.Campbell,A.Lanzav
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)。結合抗体による抗原プロセシングの変調は、様々なT細胞決定基のクラスI
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【0206】 Song,Q.Z.,Burrows,S.R.,Smith,G.,Lee
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T細胞の死滅の際にDNA依存性蛋白質キナーゼを開裂する。J.Exp.Me
d.184,619−626。
【0207】 Song,Q.Z.,Lees−Miller,S.P.,Kumar,S.
,Zhang,N.,Chan,D.W.,Smith,G.C.M.,Jac
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anna,K.K.,及びLavin,M.F.(1996b)。DNA依存性
蛋白質キナーゼ触媒サブユニット:アポトーシスにおけるICE様プロテアーゼ
の標的。EMBO J.15,3238−3246。
【0208】 Srinivasula,S.M.,Fernandes−Alnemri,
T.,Zangrilli,J.,Rogertson,N.,Armstro
ng,R.C.,Wang,L.J.,Trapani,J.A.,Tomas
elli,K.J.,Litwack,G.,及びAlnemri,E.S.(
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びラミン開裂酵素、Mch2aは、アポトーシス媒介物質、CPP32の基質で
ある。J.Biol.Chem.271,27099−27106。
【0209】 Srinivasula,S.M.,Ahmad,M.,Ottilie,S
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ndes−Alnemri,T.,Croce,C.M.,Litwack,G
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emri,E.S.(1997)。Fas/TNFR1誘導のアポトーシスを調
節する新規FADD様抗アポトーシス分子、FLAME−1。J.Biol.C
hem.272,18542−18545。
【0210】 Talanian,R.V.,Yang,X.,Turbov,J.,Set
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及びFroelich,C.J.(1997)。顆粒媒介の細胞死:グランザイ
ムBが開始させるアポトーシスの経路。J.Exp.Med.186,1323
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【0211】 Thome,M.,Schneider,P.,Hofmann,K.,Fi
ckenscher,H.,Meinl,E.,Neipel,F.,Matt
mann,C.,Burns,K.,Bodmer,J.L.,Schrote
r,M.,Scaffidi,C.,Krammer,P.H.,Peter,
M.E.,及びTschopp,J.(1997)。ウイルス性FLICE阻害
性蛋白質(FLIP)は細胞死レセプタによって誘導されるアポトーシスを妨げ
る。Nature 386,517−521。
【0212】 Thompson,C.B.(1995)。病因及び疾患の処置におけるアポ
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【0213】 Thornberry,N.A.とMolineaux,S.M.(1995
)。インターロイキン−1β変換酵素:IL−1βの産生に必要であり、プログ
ラム細胞死に関係する新規システインプロテアーゼ。Protein Scie
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【0214】 Thornberry,N.A.,Ranon,T.A.,Pieterse
n,E.P.,Rasper,D.M.,Timkey,T.,Garcia−
Calvo,M,Houtzager,V.M.,Nordstrom,P.A
.,Roy,S.,Vaillancourt,J.P.,Chapman,K
.T.,及びNicholson,D.W.(1997)。組合せアプローチは
カスパーゼファミリーのメンバー及びグランザイムBの特異性を明らかにする−
アポトーシスのキーメディエイターに関して確立された機能的関係。J.Bio
l.Chem 272,17907−17911。
【0215】 Topalian,S.L.,Solomon,D.及びRosenberg
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l.Chem.271,4127−4133。
【0217】 Tschopp,J.(1994)。グランザイムB。Methods En
zymol.244,80−87。
【0218】 Wang,S.Y.,Miura,M.,Jung,Y.K.,Zhu,H.
,Gagliardini,V.,Shi,L.F.,Greenberg,A
.H.,及びYuan,J.Y.(1996)。インターロイキン−1b変換酵
素(ICE)/Ced−3ファミリーのメンバーであり、ICEの上流調節因子
であるIch−3の同定と特性指摘。J.Biol.Chem.271,205
80−20587。
【0219】 Watts,C.とA.Lanzavecchia.(1993)。T細胞エ
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459−1463。
【0220】 White,E.(1996)。生、死、及びアポトーシスの遂行。Gene
s Dev.10,1−15。
【0221】 Xue,D.とHorvitz,H.R.(1995)。バキュロウイルスp
35蛋白質のCED−3開裂部位によるCaenorhabditis ele
gans細胞死プロテアーゼ、CED−3の阻害。Nature 377,24
8−251。
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の活性化。J.Biol.Chem.271,13273−13282。
【0223】 Young,J.D.−E.,Hengartner,H.,Podack,
E.,及びCohn,Z.A.(1986)。ナチュラルキラー活性を持つクロ
ーニングしたリンパ球の顆粒からの細胞溶解性孔形成蛋白質の精製と特性指摘。
Cell 44,849−859。
【0224】 表I:グランザイムBとカスパーゼ−3による種々の基質の開裂に関するk at /K(触媒定数)値の比較。 経時的実験で得られたデータをデンシトメ
トリーで走査し、各々の基質の%開裂を計算するために使用した。これらの数値
を一次反応速度式[開裂基質の%=100(1−e−((kcat[E]/
Km)時間))]に適合させて、kcat/Kを計算した。kcat/K の実験での変動を評価できるように、3つの異なるプロテアーゼ濃度で各々のプ
ロテアーゼ−基質の組合せに関する測定を実施した。
【0225】
【表1】
【0226】 表II:グランザイムBとカスパーゼ−3による自己抗原のin vitro
開裂後には種々の断片が検出される。 精製DNA−PKCS、[35S]メチ
オニン標識PARP、内因性DNA−PKCS及びNuMA、並びに精製プロテ
アーゼを用いて図2で得たデータを、下記の表の作成に使用した。
【0227】
【表2】
【0228】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 グランザイムBは、in vitroで様々な効率で精製DNA−PKCS
NuMA、PARP並びにカスパーゼ3及び7を開裂する。0−12.5nMの
グランザイムB(DNA−PKCSとNuMAについて)又は0−50nMのグ
ランザイムB(カスパーゼ3及び7とPARPについて)を含む反応を、実施例
1で述べたように実施した。蛍光光度法又は免疫ブロット法(モノクローナル抗
体18−2を使用してDNA−PKCSを検出した)によって開裂断片を検出し
た。各々のパネルの右側に、無傷分子のSDS−PAGEの移動位置を矢印で表
わし、断片の大きさを示している。
【図2】 精製グランザイムB又はカスパーゼ−3によるin vitroでの自己抗原
の開裂は様々な断片を生じる。30nMの精製DNA−PKCS(レーン1−3
)、HeLa溶解産物中の内因性DNA−PKCSとNuMA(レーン4−9)
又は[35S]メチオニン標識PART(レーン10−12)を含む反応を、次
の量のグランザイムBと共にインキュベートした:1.25nM(レーン2);
12.5nM(レーン5と8)又は50nM(レーン11)。次の量のカスパー
ゼ−3を使用してこれらの基質に関する同様の実験を行った:42pM(レーン
3と12)又は100pM(レーン6と9)。反応混合物を37℃で15分間(
グランザイムBの反応)又は60分間(カスパーゼ−3の反応)インキュベート
した。グランザイムBを使用してDNA−PKCS及びHeLa細胞溶解産物中
のNuMAを開裂するときには、HeLa細胞カスパーゼの活性化を防ぐために
100nMのAc−DEVD−CHOを加えたことに留意されたい。無傷の開裂
したNuMAとDNA−PKCSを免疫ブロット法で視覚化し、PARPはオー
トラジオグラフィーで視覚化した。DNA−PKCSの場合には、モノクローナ
ル抗体25−4(C末端に対して指令)及び18−2(N末端に対して指令)を
用いて得たブロットをそれぞれレーン(1−3)と(4−6)に示している。
【図3】 グランザイムBによる開裂後、DNA−PKCSのキナーゼ活性は消失する。
10μg/mlのDNAの不在下(レーン2と4)又は存在下(レーン1と3)
で、無傷のDNA−PKCS(レーン1と2)又はグランザイムBで開裂したD
NA−PKCS(レーン3と4)を用いてキナーゼアッセイを実施した。レーン
5では対照として、完全なキナーゼ反応混合物からDNA−PKCS自体を排除
した。SP1基質のリン酸化をオートラジオグラフィーによって検出した。
【図4】 HeLa細胞溶解産物中の内因性DNA−PKCSとNuMAは、in vi
troで精製グランザイムBを加えてインキュベートした後、カスパーゼ非依存
的に開裂される。100nM Ac−DEVD−CHO(レーン3と6)又は1
00nM Ac−YVAD−CHO(レーン4と7)の存在下で、12.5nM
の精製グランザイムB(レーン5−7)又は105pMの精製カスパーゼ−3(
レーン2−4)を対照HeLa細胞の溶解産物に加えた。37℃で60分間イン
キュベートした後、反応を終了した。DNA−PKCS、NuMA及びPARP
を実施例1で述べたように免疫ブロット法によって検出した(モノクローナル抗
体18−2を用いてDNA−PKCSを検出した)。各レーンで等量の蛋白質を
電気泳動した。
【図5】 グランザイムBはVGPD2698−F2699及びDEVD2712−N 713 でDNA−PKCSを開裂する。[35S]メチオニン標識野生型(wt
)DNA−PKCSポリペプチド(DNA−PKCS 2566−2928)並び
に推定グランザイムB開裂部位(D2698A)と既知のカスパーゼ−3開裂部
位(D2712A)のP1位置での突然変異を含む2個の放射能標識ポリペプチ
ドを実施例1で述べたように生成した。これらのポリペプチドを、プロテアーゼ
を加えずに(レーン1、4及び7)又は8nM組換えカスパーゼ−3の存在下に
(レーン2、5及び8)又は8nM精製グランザイムBの存在下に(レーン3、
6及び9)、37℃で60分間インキュベートした。反応を終了した後、サンプ
ルを電気泳動し、無傷のポリペプチドと開裂産物を蛍光光度法によって検出した
。18kDa(a)、28kDa(b)、20kDa(c)及び26kDa(d
)の断片サイズを生じた(下部の図式的表示のパネル参照)。
【図6】 内因性DNA−PKCS、NuMA及びPARPは、in vivoで無傷の
K562細胞をYT細胞顆粒内容物と共にインキュベートした後開裂される。1
00μM Ac−DEVD−CHOの不在下(レーン1−3)又は存在下に(レ
ーン4)、K562細胞を37℃で30分間インキュベートした。次にこれらの
細胞懸濁液のアリコート(各々3×10のK562細胞を含む)を、1mM
Ca2+(レーン1)、1mM EDTA+YT細胞顆粒内容物(レーン2)又
は1mM Ca2++YT細胞顆粒内容物(レーン3と4)の存在下に37℃で
90分間さらにインキュベートした。反応を終了した後、DNA−PKCS、N
uMA及びPARPを実施例1で述べたように免疫ブロット法によって検出した
(患者血清G.A.を使用してDNA−PKCSをブロットした)。
【図7】 DNA−PKCSのグランザイムB特異的断片はLAK細胞によって攻撃した
K562細胞において生成される。Fas陰性K562標的細胞を、100μM
Ac−DEVD−CHOの不在下(レーン1−3)又は存在下に(レーン4)
37℃で1時間プレインキュベートし、次いでさらに4時間コインキュベートす
る(エフェクター:標的比 5:1)。反応を終了した後、各々のゲルレーンで
次の数の細胞を電気泳動する:1.7×10LAK細胞(レーン1);0.3
4×10K562細胞(レーン2);1.7×10LAK細胞プラス0.3
4×10K562細胞(レーン3と4)。DNA−PKCSとPARPを免疫
ブロット法によって検出した;患者血清G.A.を使用してDNA−PKCS
検出した。
【図8】 in vivoでYT細胞顆粒内容物と共にインキュベートした後、無傷He
La細胞においてAc−DEVD−CHO非感受性の核形態変化が誘発される。
実験手順に述べたように、HeLa細胞を100μM Ac−DEVD−CHO
の不在下(8Aと8B)又は存在下に(8C)37℃で1時間、YT細胞顆粒内
容物と共にインキュベートした。固定して透過性を上げた後、PARPに対する
抗体、並びにヨウ化プロピジウム(PI)とDAPIで細胞を染色した。FIT
Cヤギ抗ヒト抗体で抗体染色を視覚化した。抗体染色(緑色)、PI染色(赤色
)及びDAPI染色(青色)を合併した画像を示している。(8A、8B):Y
T細胞顆粒内容物は、凝縮した核(8A)あるいはアポトーシス細胞体(8B、
矢印)の縁へのPARPの特徴的な再分布を伴って、顕著なPIに富む表面気泡
、核凝縮と断片化を誘発する。(8C):顆粒内容物は、Ac−DEVD−CH
Oの存在下でも著しい核凝縮を誘発する(矢印);近接して、比較のためにまだ
形態変化を受けていない正常なHeLa細胞核を示している(矢印の先端)。A
c−DEVD−CHOによる処理はPIに富む表面気泡、核の断片化、及びPA
RPの再分布を消失させることに注目されたい。サイズ表示棒:8A:4.4μ
m;8B:4.0μm;8C:6.6μm。
【図9A】 ACCESSION 284337;PID g284337;DBSOUR
CE PIR:遺伝子座A42184においてEntrezに認められるような
NuMAの2101個のアミノ酸配列を示す。
【図9B】 ACCESSION 284337;PID g284337;DBSOUR
CE PIR:遺伝子座A42184においてEntrezに認められるような
NuMAの2101個のアミノ酸配列を示す。
【図10A】 ACCESSION 107227;PID g107227;DBSOUR
CE PIR:遺伝子座S23647においてEntrezに認められるような
NuMAの2115個のアミノ酸配列を示す。
【図10B】 ACCESSION 107227;PID g107227;DBSOUR
CE PIR:遺伝子座S23647においてEntrezに認められるような
NuMAの2115個のアミノ酸配列を示す。
【図11A】 ACCESSION 1362789;PID g1362789;DBSO
URCE PIR:遺伝子座A57099においてEntrezに認められるよ
うなDNA PKCSのアミノ酸配列を示す。
【図11B】 ACCESSION 1362789;PID g1362789;DBSO
URCE PIR:遺伝子座A57099においてEntrezに認められるよ
うなDNA PKCSのアミノ酸配列を示す。
【図11C】 ACCESSION 1362789;PID g1362789;DBSO
URCE PIR:遺伝子座A57099においてEntrezに認められるよ
うなDNA PKCSのアミノ酸配列を示す。
【図12A】 ACCESSION 130781;PID g130781;DBSOUR
CE SWISS−PROT:遺伝子座PPOL_HUMAN、アクセッション
P09874(参考文献12のうち1と2のみをリストしている)においてEn
trezに認められるようなPARPのアミノ酸配列を示す。
【図12B】 ACCESSION 130781;PID g130781;DBSOUR
CE SWISS−PROT:遺伝子座PPOL_HUMAN、アクセッション
P09874(参考文献12のうち1と2のみをリストしている)においてEn
trezに認められるようなPARPのアミノ酸配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/53 Z 33/564 33/564 Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,EE, GD,GE,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KG,KR,KZ,LC,LK,LR,LT,LV ,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL, RO,RU,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,US,UZ,VN,YU,ZA (71)出願人 メルク フロスト カナダ アンド カン パニー カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ ユ・3・エル・1、カークランド、トラン ス−カナダ・ハイウエイ・16711 (72)発明者 ソーンバリイ,ナンシー アメリカ合衆国、ニユージヤーシイ・ 07065、ローウエイ、イースト・リンカー ン・アベニユー・126 (72)発明者 ローゼン,アントニー アメリカ合衆国、メリイランド・21205、 ボルテイモア、ラトランド・アベニユー・ 720 (72)発明者 キヤシオラ−ローゼン,リビア アメリカ合衆国、メリイランド・21205、 ボルテイモア、ラトランド・アベニユー・ 720 (72)発明者 アンドラード,フエリペ・アー アメリカ合衆国、メリイランド・21205、 ボルテイモア、ラトランド・アベニユー・ 720 (72)発明者 ニコルソン,ドナルド カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ ユ・3・エル・1、カークランド、トラン ス−カナダ・ハイウエイ・16711 (72)発明者 ロイ,ソフイー カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ ユ・3・エル・1、カークランド、トラン ス−カナダ・ハイウエイ・16711 Fターム(参考) 4B064 AG31 CA21 DA01 4C085 AA08 AA32 BA01 CC03 DD33 EE01 FF24

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの精製・単離された自己抗原断片を含み、か
    かる断片が少なくとも1つのリンパ球顆粒酵素の作用によってプレアポトーシス
    細胞の自己抗原から生成され、且つかかる断片が前記の酵素の開裂部位に由来す
    る少なくとも1つの末端を持つ組成物。
  2. 【請求項2】 顆粒酵素がグランザイムBである、請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】 自己抗原断片がカスパーゼの基質である自己抗原に由来し、
    またかかる断片が、カスパーゼによって開裂されない部位でグランザイムBが触
    媒する前記蛋白質の開裂によって生成される、請求項2の組成物。
  4. 【請求項4】 DNA PKCS、PARP及びNuMAから成る群から選
    択される自己抗原のグランザイムB触媒の開裂によって生成される自己抗原断片
    を含む、請求項2の組成物。
  5. 【請求項5】 アミノ酸2699から4096のDNA−PKCS;アミノ
    酸3211から4096のDNA−PKCS;アミノ酸1から538のPARP
    ;アミノ酸538から1004のPARP;アミノ酸412から2111のNu
    MA及びアミノ酸1から1799のNuMAから成る群から選択される少なくと
    も1つの自己抗原断片を含む、請求項4の組成物。
  6. 【請求項6】 顆粒酵素開裂部位に由来する少なくとも1つの末端を持ち、
    かかる開裂部位がカスパーゼによって開裂されない少なくとも1つの精製・単離
    された自己抗原断片と、製薬上許容される担体を含む製薬組成物。
  7. 【請求項7】 顆粒酵素がグランザイムBである、請求項6の組成物。
  8. 【請求項8】 自己抗原断片が、アミノ酸2699から4096のDNA−
    PKCS;アミノ酸3211から4096のDNA−PKCS;アミノ酸1から
    538のPARP;アミノ酸538から1004のPARP;アミノ酸412か
    ら2111のNuMA及びアミノ酸1から1799のNuMAから成る断片群か
    ら選択される、請求項6の組成物。
  9. 【請求項9】 悪性細胞に由来する少なくとも1つの自己抗原断片を含む、
    請求項6の製薬組成物。
  10. 【請求項10】 少なくとも1つの請求項1の自己抗原断片を投与すること
    を含む、自己免疫疾患のための処置を必要とする患者を処置する方法。
  11. 【請求項11】 処置が予防的である、請求項10の方法。
  12. 【請求項12】 自己抗原断片が、アミノ酸2699から4096のDNA
    −PKCS;アミノ酸3211から4096のDNA−PKCS;アミノ酸53
    8から1004のPARP;アミノ酸412から2111のNuMA及びアミノ
    酸1から1799のNuMAから成る断片群から選択される、請求項10の方法
  13. 【請求項13】 (a)標的組織を同定し、組織から細胞を単離する、 (b)少なくとも1つのリンパ球顆粒酵素を供給する、 (c)細胞を前記の少なくとも1つのリンパ球顆粒酵素に接触させ、少なくとも
    1つの自己抗原断片を生成する、 (d)前記の少なくとも1つの自己抗原断片を患者に投与する 段階を含む、当該患者を当該断片の存在に対して免疫寛容にする方法である、請
    求項10の方法。
  14. 【請求項14】 (b)段階で供給される少なくとも1つの当該リンパ球顆
    粒酵素がリンパ球顆粒の内容物から単離される、請求項13の方法。
  15. 【請求項15】 (a)患者の自己免疫状態に関連する分離自己抗原断片を
    供給する、 (b)自己抗体が当該自己抗原断片に結合することができる条件下で患者の血清
    を自己抗原断片に接触させる 段階を含む、自己抗原断片及びかかる断片に対する自己抗体を産生する患者の治
    療処置のための請求項10の方法。
  16. 【請求項16】 自己抗体の少なくとも一部を患者の血清から除去する、請
    求項15の方法。
  17. 【請求項17】 in vivoで自己抗体を分離自己抗原断片に結合させ
    る、請求項15の方法。
  18. 【請求項18】 (a)リンパ球顆粒の少なくとも1つの酵素を供給する、 (b)患者から悪性細胞を単離する、 (c)悪性細胞を酵素に接触させて、自己抗原断片を含む混合物を生成する、そ
    して (d)自己抗原断片を患者に投与する 段階を含む、悪性疾患のための処置を必要とする患者を処置する方法。
  19. 【請求項19】 (a)患者からのサンプルを供給する、 (b)顆粒酵素開裂部位から誘導される少なくとも1つの末端を持つ自己抗原断
    片の潜在型エピトープに特異的に結合する抗体にサンプルを接触させる、 (c)患者において自己免疫状態が存在するか否かの指標として、自己抗原断片
    への抗体の結合が存在するか否かを検出する 段階を含む、患者において自己免疫状態が存在するか否かの指標として患者の自
    己抗原断片を検出するためのアッセイ。
  20. 【請求項20】 顆粒酵素がグランザイムBである、請求項19のアッセイ
  21. 【請求項21】 (a)患者からのサンプルを供給する、 (b)顆粒酵素による開裂に由来する少なくとも1つの末端を持つ自己抗原断片
    にサンプルを接触させる、 (c)患者において自己免疫状態が存在するか否かの指標として、サンプル中の
    抗体の自己抗原断片への結合が存在するか否かを検出する 段階を含む、患者において自己免疫状態が存在するか否かの指標として自己抗原
    断片に結合する抗体を検出するためのアッセイ。
  22. 【請求項22】 顆粒酵素がグランザイムBである、請求項21のアッセイ
  23. 【請求項23】 (a)少なくとも1つの自己抗原を含む細胞を単離する、
    そして (b)細胞をリンパ球顆粒酵素に接触させて、少なくとも1つの自己抗原断片を
    含む混合物を生成する 段階を含む、自己抗原から自己抗原断片を作製する方法。
  24. 【請求項24】 (c)前記の少なくとも1つの自己抗原断片を分離する段
    階をさらに含む、請求項22の方法。
  25. 【請求項25】 (a)段階が細胞から少なくとも1つの自己抗原を精製す
    ることをさらに含み、(b)段階が前記の精製自己抗原をグランザイムBに接触
    させることを含む、請求項22の方法。
  26. 【請求項26】 (a)段階において、少なくとも1つの自己抗原がDNA
    −PKCS、PARP及びNuMAの少なくとも1つであり、(b)段階が前記
    の少なくとも1つの自己抗原をグランザイムBに接触させることを含む、請求項
    25の方法。
  27. 【請求項27】 当該リンパ球顆粒酵素が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL
    )、ナチュラルキラー細胞(NK)、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)
    及びYT細胞系の細胞から成る群から選択される少なくとも1つのリンパ球の顆
    粒から分離される、請求項22の方法。
  28. 【請求項28】 a)試験物質を少なくとも1つの顆粒酵素と、前記の少な
    くとも1つのグランザイム酵素の基質である自己抗原に接触させる、 b)前記の酵素によって自己抗原が自己抗原断片に開裂するのを監視する; c)候補薬剤が自己抗原断片の産生を変化させるかどうかを判定する; そして開裂を阻害する試験物質を、自己免疫疾患を処置するための候補薬剤と
    して同定する 段階を含む、自己免疫疾患の症状を予防する又は処置するための候補薬剤を同定
    する方法。
  29. 【請求項29】 顆粒酵素がグランザイムBである、請求項28の方法。
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