JP2002511238A - プログラムされた細胞死およびカスパーゼ−12 - Google Patents

プログラムされた細胞死およびカスパーゼ−12

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カスパーゼ−12をコードする核酸、casp−12核酸によってコードされるタンパク質、ベクター、およびベクターで形質転換した宿主に関する。カスパーゼ−12はカスパーゼファミリーのメンバーであり、これはまた、哺乳動物インターロイキン1β変換酵素(ICE)を含む。カスパーゼは、タンパク質分解事象のカスケードにおいて、アポトーシスの実行段階を実行すると考えられる。本発明はまた、プログラムされた細胞死を誘導するための、カスパーゼ−12の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (連邦政府から後援される研究および開発のもとでなされた発明の権利に関す
る記載) 本発明の開発の間に行われた研究の一部は、合衆国政府基金を利用した。合衆
国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、一般に、分子生物学の分野にある。本発明は、プログラムされた細
胞死の制御に関する。
【0003】 (関連分野) (プログラムされた細胞死) プログラムされた細胞死または制御された細胞死としても言及されるアポトー
シスは、生物体が不必要な細胞を排除する過程である。このような細胞死は、加
齢を通じておよび疾患において、動物の発生の正常な局面として、ならびに組織
の再構築および免疫の自己寛容の樹立においてのような組織のホメオスタシスに
おいて生じる(Raff,M.C.,Nature 356:397−400(
1992);Glucksmann,A.,Biol.Rev.Cambrid
ge Philos.Soc.26:59−86(1950);Ellisら,
Dev.112:591−603(1991);Vauxら,Cell 76:
777−779(1994);Thompson,C.B.,Science
267:1456−1462(1995))。プログラムされた細胞死はまた、
細胞数を調節するように、形態発生を促進するように、有害さもなければ異常な
細胞を除去するように、および既に細胞の機能を果たした細胞を排除するように
作用し得る。さらに、プログラムされた細胞死は、低酸素または虚血のような種
々の生理学的ストレスに応じて生ずると考えられている。アポトーシスの形態学
的な特徴としては、原形質膜小疱形成(blebbing)、核質および細胞質
の凝縮、ならびにヌクレオソーム間間隔での染色体DNAの分解が挙げられる。
(Wyllie,A.H.,Cell Death in Biology a
nd Pathology,BowenおよびLockshin編,Chapm
anおよびHall(1981),第9−34頁)。
【0004】 アポトーシスは、内因性の細胞自殺機構を介して達成される(Wyllie,
A.H.,Cell Death in Biology and Patho
logy,BowenおよびLockshin編,ChapmanおよびHal
l(1981),第9−34頁)。そしてアポトーシスは、細胞が内部的にコー
ドされるその自殺プログラムを、内部シグナルまたは外部シグナルのいずれかの
結果として活性化させる場合に生じる。自殺プログラムは、慎重に調節された遺
伝的プログラムの活性化によって実行される(Wylie,A.H.ら,Int
.Rev.Cyt.68:251(1980);Ellis,R.E.ら,An
n.Rev.Cell.Bio.7:663(1991):Yuan,Y.Cu
rr.Op.Cell.Biol.7:211−214(1995))。細胞死
はRNA合成またはタンパク質合成のインヒビターによって妨げられ得るので、
アポトーシスは多くの場合、遺伝子発現を必要とするようである(Cohenら
,J.Immunol.32:38−42(1984);Stanisicら,
Invest.Urol.16:19−22(1978);Martinら,J
.Cell.Biol.106:829−844(1988))。
【0005】 細胞死の急性および慢性の調節障害(disregulation)は、多く
の主要なヒト疾患を引き起こすと考えられる(Barrら Biotech.1
2:487−493(1995);Thompson C.B.,Scienc
e 267:1456−1462(1995))。これらの疾患としては、悪性
状態および前悪性状態、神経学的障害および神経変性障害、心臓病、免疫系障害
、腸障害、腎臓病、老化、ウイルス感染ならびにAIDSが挙げられるがこれら
に限定されない。
【0006】 悪性状態および前悪性状態は、固形腫瘍、B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血
病、前立腺肥大、新生物発生前の肝病巣および化学療法に対する耐性を含み得る
。神経学的障害は、発作、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、プリオン関
連障害および毛細血管拡張性運動失調を含み得る。心臓病は、虚血性心臓損傷お
よび化学療法によって誘導される心筋損傷を含み得る。免疫系障害は、AIDS
、I型糖尿病、エリテマトーデス、シェーグレン症候群および糸球体腎炎を含み
得る。腸障害は、赤痢、炎症性腸疾患、ならびに照射によって誘導される下痢お
よびHIVによって誘導される下痢を含み得る。腎臓疾患は、多発性嚢胞腎疾患
および貧血/赤血球生成を含み得る。アポトーシスの調節障害に関するこれらの
多くの病態生理学的な状態に対する特定の参考文献は、Barrら(同書、表1
)に見出され得る。
【0007】 (カスパーゼ) カスパーゼは、アポトーシスの調節に関与するタンパク質のファミリーであり
、以前は、ICEまたはced−3タンパク質と称された。プログラムされた細
胞死の遺伝学的な経路は、線虫Caenorhabditis elegans
において確認された(Ellis,R.E.ら,Annual Review
of Cell Biology 7:663−698(1991))。この遺
伝学的な経路において、遺伝子ced−3およびced−4が細胞死に必要とさ
れる。その一方で、別の遺伝子であるced−9は、細胞死のネガティブな調節
因子である。ced−3遺伝子は、システインプロテアーゼをコードする(Yu
an,J.ら,Cell 75:641−652(1993))。このシステイ
ンプロテアーゼは、カスパーゼ−1とも呼ばれる、哺乳動物のインターロイキン
1β変換酵素(ICE)と配列類似性を共有し、この酵素は、プロインターロイ
キン1βのその生物学的に活性な形態へのプロセシングを触媒する(Thorn
berry,N.A.ら,Nature 356:768−774(1992)
)。ICEおよびCed−3の活性中心は、同一のペンタペプチドQACRG(
配列番号3)で著しく保存されており、この中のシステインが触媒残基である(
Yuan,J.ら,Cell 75:641−652(1993);Thorn
berry,N.A.ら,Nature 356:768−774(1992)
)。ICEおよびCed−3は、切断のために、P1位のAspについて独特の
要求を示し、それらの基質内のP2位〜P4位については異なる選択性を有する
(Thornberry,N.A.ら,Nature 356:768−774
(1992);Xue,D.ら,Genes and Development
10:1073−1083(1996))。システインプロテアーゼのICE
/Ced−3ファミリーは、最近、名前がカスパーゼと変更され(Alnemr
i,E.S.ら,Cell 87:171(1996))、アスパラギン酸に特
異的なシステインプロテアーゼを代表する。少なくとも10のヒトカスパーゼが
同定されている(Stennicke,H.R.およびSalvesen,G.
S.,J.Biol.Chem.272(41):25719−25723(1
997))。
【0008】 ラット線維芽細胞株におけるICEの過剰発現はアポトーシスを生じ、これは
、線虫の細胞死サプレッサであるCed−9のホモログである哺乳動物のBcl
−2によってブロックされ得る(Miura,M.ら,Cell 75:653
−660(1993))。Ced−3がC.elegansにおいて同定される
唯一のカスパーゼであるのに対し、哺乳動物においては、少なくとも12のカス
パーゼが同定されている(Kumar,S.ら,Genes and Deve
lopment 8:1613−1626(1994);Wang,L.ら,C
ell 78:739−750(1994);Fernandez−Alnem
ri,T.ら,J.Biol.Chem.269:30761−30764(1
994);Tewari,M.,Cell 81:801−809(1995)
;Faucheu,C.ら,The EMBO Journal 14:191
4−1922(1995);Munday,N.A.ら,J.Biol.Che
m.270:15870−15876(1995);Duan,H.ら,J.B
iol.Chem.271:1621−1625(1996);Wang,S.
ら,J.Biol.Chem.271:20580−20587(1996);
Van de Craen,M.ら,FEBS Letters 403:61
−69(1997))。
【0009】 カスパーゼファミリーのメンバーは、発生および成体の生涯の間に、複数の組
織および細胞型において発現される。従って、C.elegansにおいて単一
のced−3遺伝子が全てのプログラムされた細胞死を制御するのとは異なり、
CED−3の複数のホモログが哺乳動物のアポトーシスを調節する。ICEおよ
びカスパーゼ−3についての変異体であるマウスを産生した遺伝子ノックアウト
実験から、興味深い結果が得られた(Li,P.ら,Cell 80:401−
411(1995);Kuida,K.ら,Science 267:2000
−2003(1995);Kuida,K.ら,Nature 384:368
−372(1996))。これらの変異マウスの分析から明らかになった結果は
、これらのホモログが、並行する様式および連続的な様式の両方で作用してアポ
トーシスを調節するという仮説を支持する(Enari,M.ら,Nature
380:723−725(1996))。Ice−/−の胚性線維芽細胞およ
びBリンパ芽球は、グランザイムB誘導アポトーシスに対して耐性である(Sh
i,L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:1100
2−11007(1996))。カスパーゼ−3−/−の変異マウスは脳の発生
を欠損し、それらの胸腺細胞は種々のアポトーシス因子に正常に応答するが、ア
ポトーシスが存在しないことに起因し得る種々の過形成および組織崩壊を提示す
る(Kuida,K.ら,Nature 384:368−372(1996)
)。これらの結果は、ICEまたはカスパーゼ−3のいずれかが、特定の細胞に
おける特定の型のアポトーシスに重要である一方で、他の細胞型におけるそれら
の機能が重複性であることを示唆する。
【0010】 カスーパーゼファミリーのインヒビターは、栄養因子欠乏、FasおよびTN
Fのような種々のシグナルによって誘導されるアポトーシスを妨害する。このこ
とは、カスパーゼファミリーのメンバーは、哺乳動物のアポトーシスの決定的な
調節因子であることを示唆する(Miura,M.ら,Cell 75:653
−660(1993);Gagliardini,V.ら,Science 2
63:97−100(1994);Tewari,M.およびDixit,V.
M.,J.Biol.Chem.270:3255−3260(1995))。
細胞が複数のカスパーゼを発現することが見出されたので(Wang,L.ら,
Cell 78:739−750(1994))、カスパーゼがタンパク質分解
カスケードに作用して細胞の死(execution)を実行し得ることが提唱
されている(Enari,M.ら,Nature 380:723−725(1
996))。カスパーゼはプロ形態で合成され、プロ形態のものは、活性化過程
の間での特異的Asp残基の後ろでの切断によって活性化される。例えば、活性
なICEは、その45kDaの前駆体タンパク質から、4つのAsp残基での特
異的な切断によって生成される。この切断は、20kDa(p20)サブユニッ
トおよび10kDa(p10)サブユニットを生じる。
【0011】 カスパーゼファミリーに特有の特異性は、プロ形態の活性化が、自己プロセシ
ングまたは他のホモログによる切断のいずれかによって行われることを示唆する
。インビトロでは、プロICEは活性カスーパーゼ−4によって活性化され得(
Faucheu,C.ら,The EMBO Journal 14:1914
−1922(1995))、プロカスパーゼ−3は、活性なICEによって活性
化され得(Tewari,M.,Cell 81:801−809(1995)
;Nicholson,D.W.ら,Nature 376:37−43(19
95))、そしてプロカスパーゼ−3およびプロカスパーゼ−7は、活性なカス
パーゼ−10によって活性化され得る(Fernandes−Alnemri.
T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7464−7
469(1996))。抗Fas抗体によって誘導されるアポトーシスでは、I
CE様活性の一過性の増加は、カスパーゼ−3様活性の上昇の前に検出された。
このことは、プロテアーゼであるカスパーゼファミリーは、タンパク質分解カス
ケードにおいて作用するという見解を支持する(Enari,M.ら,Natu
re 380:723−725(1996))。
【0012】 (発明の要旨) 本発明において、カスパーゼ−12(casp−12、以前はIch−4と称
された)をコードする遺伝子が、縮重ポリメラーゼ連鎖反応により単離され、そ
して配列決定された。casp−12は、少なくとも2つの選択的スプライシン
グ産物である、casp−12Sおよびcasp−12Lを有する。casp−
12Lは、419アミノ酸残基のオープンリーディングフレームを含む。cas
p−12Sは、349アミノ酸残基のオープンリーディングフレームを含む。以
下のカスパーゼ−12のフラグメントもまた得られた:casp−12Δ(ca
sp−12Lのアミノ酸残基95〜419についてのオープンリーディングフレ
ームからなる);およびcasp−12Δ2(casp−12Lのアミノ酸残基
145〜419についてのオープンリーディングフレームからなる)。
【0013】 従って、本発明は、特に、図9に示されるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列
(配列番号14)、またはATCC寄託番号209710に含まれるcDNAク
ローンによってコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む
、単離された核酸分子に関する。本発明はまた、図9に示されるカスパーゼ−1
2Sのヌクレオチド配列(配列番号13)を含む単離された核酸分子;カスパー
ゼ−12Δ(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)をコードするヌクレオチ
ド配列を含む核酸分子;およびカスパーゼ−12Δ2(配列番号2のアミノ酸残
基145〜419)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本
発明はまた、上記した配列に相補的なヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する
【0014】 上記した核酸分子のいずれかに、少なくとも80%、好ましくは85%または
90%、さらにより好ましくは95%、96%、97%、98%、または99%
同一な核酸分子もまた提供される。上記した核酸分子のいずれかに、ストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子もまた提供される。
【0015】 本発明はまた、上記した核酸分子を含む組換えベクター、およびそのようなベ
クターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0016】 図9に示されるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列(配列番号14)、または
ATCC寄託番号209710に含まれるcDNAクローンによってコードされ
るアミノ酸配列を含む単離されたポリぺプチド、ならびにカスパーゼ−12Δの
アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)を含むポリぺプチド、
およびカスパーゼ−12Δ2のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸残基145
〜419)を含むポリぺプチドもまた提供される。上記したポリぺプチドのいず
れかに、少なくとも80%、より好ましくは85%または90%、さらにより好
ましくは95%、96%、97%、98%、または99%同一なポリぺプチドも
また提供される。
【0017】 細胞にプログラムされた細胞死を誘導するための方法もまた提供され、この方
法は、上記したポリぺプチドをこの細胞に接触させる工程を包含する。
【0018】 ラット線維芽細胞におけるcasp−12L、casp−12S、およびca
sp−12Δの過剰発現は、アポトーシスを引き起こした。カスパーゼ−12の
アポトーシス活性は、CrmA(これは牛痘ウイルスによってコードされるセル
ピンであり、ICEの特異的なインヒビターである)、Bcl−2(哺乳動物細
胞死サプレッサ)によって阻害し得なかった。プロカスーパーゼ−12タンパク
質は、インビトロで、カスパーゼファミリーのいくつかの他のメンバーによって
効率的に切断されたが、組換えカスパーゼ−12タンパク質およびそのフラグメ
ントは、プロカスパーゼ−12自体を除いた他のカスパーゼを不十分に切断した
。従って、本発明は、アポトーシスを調節する方法を提供し、この方法は、細胞
をcasp−12L、casp−12S、casp−12Δまたはcasp−1
2Δ2によってコードされるタンパク質と接触させる工程を包含する。
【0019】 (好ましい実施態様の詳細な説明) 以下の記述において、種々の技術用語が使用される。これらの用語は、文脈上
他を示さない限り、当該分野で十分に認識されているそれらの通常の意味を有す
る。明細書および請求の範囲の明瞭かつより一貫した理解を提供するために、以
下の定義が提供される。
【0020】 (カスパーゼ) これは、アポトーシスタンパク質のICE/Ced−3フ
ァミリーのメンバーについての現在の名称である。
【0021】 (カスパーゼ−12活性) カスパーゼ−12活性を有するポリペプチドは
、特定の生物学的アッセイにおいて測定されたカスパーゼ−12タンパク質に対
して、類似であるが、同一の活性である必要はない「カスパーゼ−12活性」を
有するポリペプチドであると理解されるべきである。例えば、カスパーゼ−12
は、ラット胚線維芽細胞においてプログラムされた細胞死を誘導し得る。従って
、ラット胚線維芽細胞においてプログラムされた細胞死を誘導し得るポリペプチ
ドは、「カスパーゼ−12活性」を有するという。
【0022】 (細胞抽出物) 目的の核酸またはポリペプチドを含む細胞抽出物は、目的
のポリペプチドを発現するかまたは目的の核酸を含む細胞から得られた、ホモジ
ネートまたは細胞を含まない調製物のような調製物を意味することが理解される
べきである。用語「細胞抽出物」は、培養培地、特に細胞が取り除かれた使用済
の培養培地を含むことが意図される。
【0023】 (フラグメント) 分子のフラグメントとは、参照核酸分子またはポリペプ
チドと比較して短縮されたヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む核酸分子
またはポリペプチドをいうことが理解されるべきである。そのフラグメントは、
全長核酸分子またはポリペプチドの1つ以上の所望の化学的特徴または生物学的
特徴を維持していても良いし、維持していなくても良い。カスパーゼ−12フラ
グメントの例としては、casp−12Δまたはcasp−12Δ2がある。
【0024】 (機能的誘導体) カスパーゼ−12の機能的誘導体とは、カスパーゼ−1
2の生物学的活性と実質的に類似の生物学的活性を保有するポリペプチド、また
はポリペプチドをコードする核酸をいうことが理解されるべきである。機能的誘
導体は、特定の機能の実行のためのそのような修飾の必要性に依存して、翻訳後
修飾(例えば、共有結合した炭水化物)を含んでいても良いし、含んでいなくて
も良い。用語「機能的誘導体」は、分子の「フラグメント」、「改変体」、「ア
ナログ」または「化学的誘導体」を含むことが意図される。誘導体は、親の遺伝
子またはタンパク質の天然に存在する機能の少なくとも1つを維持する。その機
能は、任意の調節遺伝子の機能、または最終的にプロセスされたタンパク質の任
意の機能で有り得る。その機能の活性の程度は、質的機能が、実質的に類似して
いる限り、カスパーゼ−12活性に対して量的に同一である必要はない。
【0025】 (宿主) 本明細書中で使用する場合、「宿主」または「宿主細胞」は、組
換え核酸が導入されている細胞である。異種宿主は、通常目的の遺伝子またはタ
ンパク質を発現しない宿主である。
【0026】 (単離された(する)) 本明細書で使用する場合、「単離された(する)
」分子とは、そのネイティブの環境から取り出された分子をいう。単離された核
酸分子は、組みかえベクターに含まれる核酸分子(溶液中の精製された核酸分子
)、および異種宿主細胞において生産される核酸分子を含む。単離されたポリペ
プチドは、組換えにより生成され、宿主細胞において発現されるポリペプチド;
当該分野で公知の任意の適切な技術によって本質的にまたは部分的に精製された
、ネイティブまたは組換えポリペプチド;および合成的に生成されたポリペプチ
ドを含む。
【0027】 (プログラムされた細胞死の調節) プログラムされた細胞死の調節とは、
細胞の操作によるプログラムされた細胞死の増加または減少のいずれかをいうこ
とが、理解されるべきである。そのような操作は、特定のcasp−12構築物
(例えば、casp−12S、またはcasp−12L)で細胞をトランスフェ
クトしたか、または形質転換した結果であり得る。あるいは、目的のポリペプチ
ドと細胞を接触し得る。
【0028】 (変異) 「変異」とは、娘細胞に伝達され得る遺伝的物質、および変異細
胞または変異生物を生じる次の世代にさえおそらく伝達され得る遺伝的物質の検
出可能な変化をいうことが理解されるべきである。変異細胞の子孫が、多細胞生
物の体細胞にのみ生じた場合、細胞の変異スポットまたは領域が惹起される。有
性生殖細胞の生殖細胞系列での変異は、次の世代に配偶子により伝達され、体細
胞および生殖細胞の両方に新しい変異状態を有する個体を生じ得る。
【0029】 変異は、化学的または物理的な構成、変異性、複製、表現型の機能、または1
つ以上のヌクレオチドの組み変えに影響する検出可能な任意の(またはそれらの
組み合わせの)変化で有り得る。変異では、ヌクレオチドは、逆位を伴っておよ
び伴わずに、新規の位置に、付加、欠失、置換、逆位(invert)あるいは
転位(transpose)され得る。変異は、自然に生じ得るか、または変異
原の適用により実験的に誘導され得る。核酸分子の変異改変体は、変異により生
じる。変異ポリペプチドは、変異核酸分子より生じ得る。
【0030】 (ヌクレオチド配列) 本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド配列」
は、DNAの場合は、一連のデオキシリボヌクレオチド、またはRNAの場合は
、一連のリボヌクレオチドをいう。ヌクレオチド配列は、以下のように省略され
たデオキシリボヌクレオチドの配列として、本明細書中に提示される:Aはアデ
ニン、Cはシトシン、Gはグアニン、そしてTはチミンである。しかし、本明細
書中に提示されるヌクレオチド配列は、RNA配列もまた表すことが意図され、
ここで各デオキシリボヌクレオチドのチミンは、リボヌクレオチドのウラシルに
より置換される。
【0031】 (作動可能に連結される(する)) プロモーター機能の誘導がコード配列
の転写を生じる場合、および2つのDNA配列間の結合の性質が、以下:(1)
フレームシフト変異の導入を生じない;(2)コード配列の発現を指向する調節
配列の能力に干渉しない;または(3)プロモーター領域の配列により転写され
るべきコード配列の鋳型の能力に干渉しないような場合、2つのヌクレオチド配
列が「作動可能に連結される(する)」という。従って、プロモーター領域は、
プロモーターが、そのヌクレオチド配列の転写に影響し得る場合、ヌクレオチド
配列に作動可能に連結される。
【0032】 (同一性%) 本明細書中で使用される場合、第一の核酸のヌクレオチド配
列が、第二の参照配列の各100ヌクレオチドにつき5つまでの置換を含み得る
ことを除いて、第一のヌクレオチド配列が、完全長の参照配列に対して同一であ
る場合、第一のヌクレオチド配列は、第二の参照核酸のヌクレオチド配列に対し
て、例えば「95%同一」であるという。これは、参照配列の各100ヌクレオ
チドにつき5つまでの欠失、挿入、あるいは単一のヌクレオチド置換の任意の組
み合わせを含む。同様に、ヌクレオチド配列が、参照配列の各100ヌクレオチ
ドにつき15までの置換を含み得ることを除いて、核酸のヌクレオチド配列が、
参照配列に対して同一である場合、配列は、参照配列に対して「85%同一」で
ある。これをアミノ酸配列に対しても同様に適用する。従って、あるアミノ酸配
列は、例えば、100のうち95の参照アミノ酸配列と同じアミノ酸を有するこ
とにより、第二のアミノ酸配列に対して95%同一で有り得る。
【0033】 実際問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば、図1(配列番号1)に示
したヌクレオチド配列に対してか、あるいは寄託されたcDNAクローンのヌク
レオチド配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、
97%、98%または99%同一であるか否かは、Bestfitプログラム(
Wisconsin Sequence Analysis Package、
Unixのバージョン8、Genetics Computer Group、
University Research Park、575 Science
Drive、Madison、WI 53711)のような公知のコンピュー
タープログラムを用いて慣習的に決定され得る。2つの配列間の相同性が最大で
あるセグメントを見出すために、Bestfitは、SmithおよびWate
rmanの局所相同性アルゴリズム(Advances in Applied
Mathematics 2:482−489(1991))を使用する。特
定の配列が、本発明に従う参照配列に対して例えば、95%同一であるか否かを
決定するために、Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを使用す
る場合、パラメーターは、もちろん、同一性のパーセンテージが、参照ヌクレオ
チド配列の全長にわたって計算されるようなセットであり、そして参照配列のヌ
クレオチド総数の5%までの相同性のギャップが許容されるようなセットである
【0034】 (集団) 「核酸分子の集団」とは、核酸分子の混合物であり、少なくとも
いくつかの核酸分子は、その混合物中の他の核酸分子に対して同一ではない。こ
れは、特に、1つの細胞型から作製されたcDNAライブラリー;DNAおよび
RNAの両方を含むか、またはDNAのみまたはRNAのみを含む異種細胞から
の抽出物;ならびに、DNAおよびRNAの両方を含むか、またはDNAのみま
たはRNAのみを含む同種細胞からの抽出物を含む。
【0035】 (精製された(した)) 「精製された(した)」といわれる、生物学的細
胞または宿主から作製される調製物は、目的の核酸またはポリペプチドの粗抽出
物を含む示された核酸またはポリペプチドを含む、任意の細胞抽出物である。こ
のような調製物は、そのネイティブの環境から取り出された分子を含む。例えば
、ポリペプチドの場合、精製された調製物は、個別の技術または一連の調製技術
もしくは生化学的技術に従って獲得され得、そして目的のポリペプチドは、これ
らの調製物中に種々の程度の純度で存在し得る。この手順は、以下を含むが、そ
れらに限定されない:硫安分画、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ア
フィニティークロマトグラフィー、密度勾配遠心法、電気泳動、および当業者に
公知の他の技術。例えば、Current Protocols in Mol
ecular Biology、John WileyおよびSons(199
6)を参照のこと。
【0036】 「純粋な」核酸またはポリペプチドの調製は、このような核酸またはポリペプ
チドが、天然において通常関連する天然に存在する物質を含まない調製物を意味
することが理解されるべきである。「本質的に純粋」とは、目的の核酸またはタ
ンパク質を少なくとも95%含む、「高度に」精製された調製物を意味すること
が理解されるべきである。「部分的に純粋」である目的の核酸またはポリペプチ
ドの調製物は、本質的に純粋な調製物よりも低い程度に純粋である。そして、こ
れは、粗精製された核酸またはポリペプチドを含む。
【0037】 (ストリンジェントなハイブリダイゼーション) ストリンジェントなハイ
ブリダイゼーション条件とは、核酸の相補的な断片間で少なくとも90%の相同
性を確立するように、当業者によって通常使用されるハイブリダイゼーション条
件であると理解されるべきである。より低い相同性(例えば、少なくとも70%
の相同性または好ましくは少なくとも80%の相同性)もまた所望され得、そし
てこれはハイブリダイゼーション条件を変動させることによって獲得され得る。
【0038】 変性した核酸鎖へのハイブリダイゼーションを生じさせるのために、わずか2
つの必要条件が存在する:(1)サンプル中に相補的な一本鎖が存在しなければ
ならないこと、および(2)塩基が互いに接近し得るように、一本鎖核酸の溶液
のイオン強度は適度に高くなければならないこと(操作上、これは0.2Mより
高い)。第3の条件は、ハイブリダイゼーション速度に作用する:核酸濃度は、
分子間の衝突が適度な頻度で生じるように十分高くなければならない。
【0039】 当業者によって慣用的に使用される条件は、容易に入手可能な手順書(例えば
、Current Protocols in Molecular Biol
ogy、第I巻、第2.10章、John Wiley & Sons,Pub
lishers(1994)またはSambrookら、Molecular
Cloning、Cold Spring Harbor(1989)(本明細
書中で、参考として援用される)において示される。当業者に公知であるように
、最終的なハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、実際のハイブリダ
イゼーション条件およびハイブリダイゼーション後の洗浄条件の両方を反映する
。当業者は、所望の結果を得るために、これらの条件を変更するための適切な様
式を知っている。
【0040】 例えば、プレハイブリダイゼーション溶液は、所望の温度および所望のプレハ
イブリダイゼーション時間での、固相マトリックス上での非特異的な部位へのハ
イブリダイゼーションを可能にするために、十分な塩および非特異的核酸を含有
するべきである。例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーションのために
、そのようなプレハイブリダイゼーション溶液は、6×塩化ナトリウム/クエン
酸ナトリウム(1×SSCとは、0.15MのNaCl、0.015Mのクエン
酸ナトリウムである;pH7.0)、5×デンハルト溶液、0.05%ピロリン
酸ナトリウム、および100μ/mlのニシン精子DNAを含有し得る。次いで
、適切なストリンジェントなハイブリダイゼーション混合物は、6×SSC、1
×デンハルト溶液、100μg/mlの酵母tRNAおよび0.05%ピロリン
酸ナトリウムを含有し得る。
【0041】 核酸ハイブリッド分析のための代替的な条件は、以下を包含し得る: 1)室温でのプレハイブリダイゼーション、および68℃でのハイブリダイゼ
ーション; 2)室温での、0.2×SSC/0.1%SDSでの洗浄; 3)所望される場合、42℃での0.2×SSC/0.1%SDSでのさらな
る洗浄(中程度のストリンジェンシーの洗浄);または 4)所望される場合、68℃での0.1×SSC/0.1%SDSでのさらな
る洗浄(高いストリンジェンシー)。
【0042】 以下の組成物を含有する公知のハイブリダイゼーション混合物(例えば、Ch
urchおよびGilbert、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 81:1991−1995(1984)のハイブリダイゼーション混合物)
もまた使用され得る:1%結晶グレードのウシ血清アルブミン/1mM EDT
A/0.5M NaHPO4(pH7.2)/7%SDS。さらに、代替的では
あるが類似の反応条件はまた、Sambrookら、Molecular Cl
oning、Cold Spring Harbor(1989)において見出
され得る。所望であれば、ホルムアミドもまた、プレハイブリダイゼーション/
ハイブリダイゼーション溶液中に含ませ得る。
【0043】 これらの条件は、決定的であるかまたは限定的であることを意味されず、そし
て所望の目的を達成するために、当業者によって必要とされる場合には調整され
得ることが理解されるべきである。
【0044】 (ベクター) 本明細書中で使用される場合、ベクターとは、宿主細胞内へ
の目的の核酸の移入のために適切な核酸環境を提供する媒体である。そのような
ベクターは、所望の配列(例えば、本発明の核酸をコードするカスパーゼ−12
のヌクレオチド配列)を、適切な宿主中でクローニングまたは発現させるために
使用され得る。発現ベクターは、同種プロモーターもしくは異種プロモーター、
または制御配列に対して作動可能に連結された目的の核酸を含み得る。
【0045】 本発明の1つの実施態様において、カスパーゼ−12に対応するアミノ酸配列
をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子が提供される。1つ
の好ましい実施態様において、単離された核酸分子は、図9において示されるc
asp−12Sのアミノ酸配列(配列番号14)をコードするヌクレオチド配列
を有する。別の好ましい実施態様において、単離された核酸分子は、ATCC受
託番号第209710号(1998年3月18日、アメリカンタイプカルチャー
コレクション(ATCC)、10801 University Boulev
ard、Manassas、VA、20110−2209)として寄託されたc
DNAクローンによってコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配
列を有する。別の好ましい実施態様において、単離された核酸分子は、casp
−12Δ(配列番号2のアミノ酸95〜419)のアミノ酸配列をコードするヌ
クレオチド配列を有する。なお別の好ましい実施態様において、単離された核酸
分子は、casp−12Δ2(配列番号2のアミノ酸145〜419)のアミノ
酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0046】 さらに、本発明の核酸分子は、リーダー配列を伴うかまたは伴わない、配列の
コード領域のみを含み得る。
【0047】 本発明の単離された核酸分子は、RNAの形態(例えば、mRNA)、または
DNAの形態(例えば、cDNA)であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖
であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としてもまた公
知)であり得るか、または非コード鎖(アンチセンス鎖としてもまた公知)であ
り得る。
【0048】 本発明の核酸分子は化学的に合成され得るか、またはそれらは、当該分野にお
いて周知の標準的なクローニング手順およびスクリーニング手順を使用して生成
され得る。例えば、Current Protocols in Molecu
lar Biology、John WileyおよびSons(1996)を
参照のこと。実施例1においては、本発明の核酸分子についてクローニングおよ
びスクリーニングするための、1つの好ましい方法の記載が提供される。
【0049】 当業者に理解され得るように、遺伝子暗号の縮重に起因して、本明細書中で具
体的に記載される核酸分子以外の核酸分子であって、図9に示されるcasp−
12Sのアミノ酸配列(配列番号14)またはATCC受託番号第209710
号に含有されるcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列をコードす
る核酸分子が存在する。特許請求される配列のすべての縮重改変体はまた、本発
明によって包含される。遺伝子暗号は、当該分野において周知である。従って、
当業者にとって、本明細書中に具体的に記載される核酸以外の核酸であって、な
お本発明のアミノ酸配列をコードする核酸を生成することは慣用的である。
【0050】 本発明の別の実施態様においては、上記のヌクレオチド配列に対して少なくと
も80%、および好ましくは少なくとも85%または90%、さらにより好まし
くは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレ
オチド配列を有する核酸分子が提供される。本発明は、上記に引用した核酸分子
がカスパーゼ−12活性を有するポリペプチドをコードするか否かに関わりなく
、それらのヌクレオチド配列に対して少なくとも80%同一であるヌクレオチド
配列を有する核酸分子に指向される。これは、たとえ特定の核酸分子がカスパー
ゼ−12活性を有するポリペプチドをコードしない場合でさえも、当業者はなお
その核酸分子を使用する方法(例えば、プローブとして)を知っているからであ
る。カスパーゼ−12活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分
子の使用としては、特に、cDNAライブラリー中のカスパーゼ−12遺伝子ま
たはその対立遺伝子改変体の単離;Vermaら、Human Chromos
omes:a Manual of Basic Techniques、Pe
rgamon Press、New York(1988)に記載されるような
、カスパーゼ−12遺伝子の正確な染色体位置を提供するための、中期染色体ス
プレッド(spread)への蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(「F
ISH」);および特定の組織におけるカスパーゼ−12 mRNAの発現を検
出するためのノーザンブロット分析が挙げられる。
【0051】 しかし、好ましいのは、上記の核酸分子のヌクレオチド配列に対して少なくと
も80%、より好ましくは85%または90%、さらにより好ましくは少なくと
も95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列を
有し、実際にカスパーゼ−12活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子
である。当業者は直ちに、遺伝子暗号の縮重に起因して、上記の核酸分子のヌク
レオチド配列に対して少なくとも80%、より好ましくは85%または90%、
さらにより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%
同一であるヌクレオチド配列を有する大量の核酸分子が、本発明のポリペプチド
をコードすることを認識する。特許請求される分子の縮重改変体のすべてが、本
来の配列と同じポリペプチドをコードするので、縮重改変体が、たとえスクリー
ニングアッセイ(例えば、カスパーゼ−12活性について)を実施することを伴
わなくとも、本来の配列の活性と類似の活性を有するポリペプチドをコードする
ことは、当業者に明らかである。カスパーゼ−12活性を有するポリペプチドを
コードする核酸分子の使用としては、特に、細胞内にこの核酸分子を挿入するこ
とによってプログラムされた細胞死を調節すること、ならびにベクター中にこの
核酸分子を挿入し、このベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、そしてポリペ
プチドの発現を誘導することによってカスパーゼ−12活性を有するポリペプチ
ドを生成することが挙げられる。
【0052】 縮重改変体ではないそのような核酸分子についてさえ、適度な数のものはまた
、カスパーゼ−12活性を有するポリペプチドをコードすることが、当業者にさ
らに認識される。これは、当業者が、タンパク質機能に有意に作用することがほ
とんどないかまたは全くないと思われる可能なアミノ酸置換を知っているからで
ある。
【0053】 例えば、「保存的」アミノ酸置換は、一般に、ポリペプチドの活性に対してほ
とんど効果を有さない。保存的アミノ酸置換として代表的にみなされるのは:芳
香族残基であるPheおよびTryの変換;塩基性残基であるLysおよびAr
gの変換;アミド残基であるAsnおよびGlnの変換;酸性残基であるAsp
およびGluの変換;ヒドロキシル残基であるSerおよびThrの変換;なら
びに脂肪族残基であるAla、Val、LeuおよびIleの間の変換である。
表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関するさらなるガイダン
スは、例えば、Bowieら、Science 247:1306−1310(
1990)に提供される。
【0054】 本発明のさらなる実施態様は、上記の核酸分子を含むベクターを提供する。本
発明において有用なベクターとしては、染色体由来ベクター、エピソーム由来ベ
クター、およびウイルス由来ベクター(例えば、細菌性プラスミド、酵母エピソ
ーム、酵母染色体エレメント、ウイルス(例えば、バクテリオファージ、バキュ
ロウイルス、パポバウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ
ウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルス)由来の
ベクター、ならびにそれらの組合わせに由来するベクター(例えば、コスミドお
よびファージミド))が挙げられる。
【0055】 所望される場合、本発明のポリペプチドの融合産物をコードする組換えベクタ
ーが構築され得る。例えば、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列は、特定の宿主からのポリペプチドの分泌、または特定の宿主内でのポリペプ
チドの区画化を可能にするシグナル配列に連結され得る。そのようなシグナル配
列は、特定のプロテアーゼ部位を伴ってかまたは伴わずに設計され得、その結果
シグナルペプチド配列は、引き続いての除去を受けやすくされる。あるいは、ポ
リペプチドは、ポリペプチドのより容易な精製を可能にする配列(例えば、ヒス
チジンタグ)に融合され得る。
【0056】 ベクター中へのクローニングのために、本発明の核酸分子は、無作為に剪断さ
れるかまたは酵素的に切断され、そして適切なベクター中に連結される。ベクタ
ー中へ核酸をクローニングする方法は、当該分野において周知である。例えば、
Sambrookら、Molecular Cloning、Cold Spr
ing Harbor(1989)を参照のこと。
【0057】 核酸分子は、ベクターで形質転換した細胞を同定する際の使用のために適切な
選択マーカーを含有するベクターに連結され得る。選択マーカーの例としては、
真核生物細胞培養については、ジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性、
および細菌中での培養については、テトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシ
リン耐性遺伝子が挙げられる。
【0058】 特定の好ましいベクターは、核酸分子の特異的発現(これは、誘導的および/
または細胞型特異的であり得る)を提供する。そのようなベクターの中で特に好
ましいのは、容易に操作される環境的因子(例えば、温度または栄養添加物)に
よって誘導されるベクターである。これに関して、核酸挿入物は、適切なプロモ
ーター(例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモー
ター、SV40初期および後期プロモーター、CMV即時型プロモーター(im
mediate early promoter)、HSVチミジンキナーゼプ
ロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター、およびメタロチオネインプ
ロモーター)に作動可能に連結されるべきである。
【0059】 本発明のさらに別の実施態様は、上記のベクターを用いて形質転換された宿主
である。配列は、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得るか、または染色体外で維
持され得る。組換えベクターは、周知技術(例えば、感染、形質導入、トランス
フェクション、トランスベクション(transvection)、エレクトロ
ポレーション、および形質転換)を使用して、宿主細胞中に導入され得る。
【0060】 適切な宿主の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;細菌
細胞(例えば、E.coli細胞、およびSalmonella typhim
urium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞);昆虫細胞(例えば、Dro
sophila S2細胞、およびSpodoptera Sf9細胞);動物
細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞、ヒト293細胞、
293T細胞、およびHeLa細胞);および植物細胞。上記の宿主細胞につい
て適切な培養条件は、当該分野において公知である。
【0061】 宿主内での組換えベクターからの本発明のポリペプチドの発現は、そのような
宿主内で機能的な制御領域の存在を必要とし得る。遺伝子発現に必要とされる制
御領域の正確な性質は、種間または細胞型間で変動し得るが、一般的には、必須
物として、転写および翻訳の調節に関与する5’非転写配列および/もしくは非
翻訳配列、ならびに/または3’非転写配列および/もしくは非翻訳(非コード
)配列(例えば、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列、転写終結の
ための配列など)を含む。そのような5’非転写制御配列としては、作動可能に
連結された遺伝子の転写制御のためのプロモーターを含む領域を包含し得る。
【0062】 真核生物宿主において、転写が翻訳に関連付けられない場合、制御領域は、そ
のクローン化した配列が開始メチオニン(ATG)コドンを含むか否かに依存し
て、そのようなメチオニンを提供するかもしれないし、または提供しないかもし
れない。そのような領域としては、一般的に、宿主細胞内でのRNA合成の開始
を指向するのに十分なプロモーター領域を含む。プロモーター領域は、同種プロ
モーターまたは異種プロモーターであり得る。異種プロモーターとは、発現され
る核酸と通常は関連のないプロモーターである。例えば、マウスICE遺伝子と
サイトメガロウイルスプロモーターとの使用、またはマウスICE遺伝子と作用
性(acting)プロモーターとの使用は、異種プロモーターの使用である。
casp−12についての同種プロモーターとは、casp−12遺伝子が天然
に作動可能に連結されているプロモーターである。
【0063】 本発明のさらなる実施態様は、カスパーゼ−12ポリペプチドに関する。1つ
の好ましい実施態様においては、図9において示されるカスパーゼ−12Sのア
ミノ酸配列(配列番号14)を有する単離されたポリペプチドが提供される。別
の好ましい実施態様においては、ATCC受託番号第209710号に含有され
るcDNAクローンによってコードされるカスパーゼ−12Sアミノ酸配列を有
する単離されたポリペプチドが提供される。別の好ましい実施態様においては、
カスパーゼ−12Δのアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)
を有する単離されたポリペプチドが提供される。なお別の好ましい実施態様にお
いては、カスパーゼ−12Δ2のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸残基14
5〜419)を有する単離されたポリペプチドが提供される。
【0064】 本発明のポリペプチドとしては、天然の精製産物、化学的に合成されたポリペ
プチド、および組換え技術によって生成されたポリペプチドが挙げられるが、こ
れらに限定されない。組換え技術によるポリペプチドの発現は、宿主細胞に依存
して、種々の翻訳後修飾を生じ得る。ポリペプチドのこれらの修飾形態もまた、
本発明に包含される。
【0065】 カスパーゼ−12Sのいくつかのアミノ酸残基を、このタンパク質の構造また
は機能に対して有意に影響することなく改変し得ることが、当業者に容易に認識
される。そのような改変としては、欠失、挿入、逆位、反復、および型置換(t
ype substitution)が挙げられる。表現型的にサイレントであ
りそうなアミノ酸変換に関するガイダンスは、Bowieら、Science
247:306−1310(1990)に見出され得る。
【0066】 従って、本発明の別の実施態様は、上記のポリペプチドに対して80%、より
好ましくは85%または90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、96
%、97%、98%、または99%同一であるポリペプチドである。好ましくは
、これらのポリペプチドは、カスパーゼ−12活性を示す。当業者は、タンパク
質の機能に有意に作用することがほとんどないかまたは全くないと思われる可能
なアミノ酸置換を十分に知っている。表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作
製する方法に関するガイダンスは、例えば、Bowieら、Science 2
47:1306−1310(1990)に提供される。
【0067】 本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の標準的技術を用いて、ポリクロー
ナル抗体またはモノクローナル抗体を産生する目的のために使用され得る(Kl
ein,J.、Immunology:The Science of Cel
l−Noncell Discrimination、John Wiley&
Sons、N.Y.(1982);Kennettら、Monoclonal
Antibodies、Hybridoma:A New Dimension
in Biological Analyses、Plenum Press
、N.Y.(1980);Campbell,A.、「Monoclonal
Antibody Technology」:Laboratory Tech
niques in Biochemistry and Molecular
Biology 13、Burdonら編、Elseiver、Amster
dam(1984);Harlow and Lane、Antibodies
、A Laboratory Manual、Cold Spring Har
bor Laboratory、N.Y.(1988))。このような抗体は、
遺伝子の発現を決定するためのアッセイ、および発現ライブラリーをスクリーニ
ングするためのアッセイにおいて使用され得る。精製されたタンパク質は、この
ようなアッセイにおいて、スタンダードとして使用される。
【0068】 本発明者らは、カスパーゼ−12が細胞においてアポトーシスを誘導すること
を示した。従って、本発明の別の実施態様は、細胞におけるプログラムされた細
胞死を誘導する方法であり、この方法は、細胞を上記のポリペプチドと接触させ
る工程を含む。細胞におけるプログラムされた細胞死を誘導する目的のために、
本発明のポリペプチドは、インビトロまたはインビボで細胞に投与され得る。
【0069】 このポリぺプチドは、細胞に外来的に投与され得る。このポリペプチドはまた
、組換え発現を通して投与され得る。例えば、細胞中で本発明のポリペプチドを
発現するために相同組換えが用いられ得る。適切なヌクレオチド配列を有する染
色体外核酸もまた、細胞中に導入され得る。
【0070】 アポトーシスの誘導は、特に、悪性状態および前悪性状態ならびに自己免疫障
害を処置するために用いられ得る。悪性状態および前悪性状態としては、固形腫
瘍、B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、前立腺肥大、前新生物肝臓病巣お
よび化学療法剤に対する耐性が挙げられ得る。
【0071】 以下は、代表的な、しかし非限定的な本発明の実施例として示される。他の適
切な改変は、本発明の範囲内であり、そして当業者に明らかである。
【0072】 (実施例1) (カスパーゼ−12は、カスパーゼファミリーのメンバーである) カスパーゼファミリーのさらなるメンバーを単離するために、カスパーゼファ
ミリーのメンバーの間の2つの保存された領域の配列に基づく2つの縮重プライ
マーを設計した:活性システイン残基の近くのペンタペプチドモチーフQACR
G(配列番号3)およびC末端のヘキサペプチド配列FYLFPG(配列番号1
7)。この対の縮重プライマーを用いて、マウス胸腺由来のcDNAを増幅し、
カスパーゼと予想される400bpのフラグメントを生じた。このフラグメント
をクローニングし、そして制限酵素および配列分析に供し、これにより、この4
00bpのバンドにおいていくつかの異なるcDNA種が存在することが示され
た。それらのうち1つが、カスパーゼ−12と称され、マウスICEと約35%
の同一性を共有する推定アミノ酸配列を有するカスパーゼファミリーの新規メン
バーであった。マウスゲノムDNAのサザンブロット分析は、カスパーゼ−12
が単一の複製遺伝子であることを示した。このcDNAクローンをプローブとし
て用いて、マウス胸腺cDNAライブラリーから9つのクローンを単離した。こ
れらの9つの陽性クローンは、2つの群に分類され得る:長形態のカスパーゼ−
12 cDNA(プラスミドpNB6、casp−12L)および短形態cDN
A(プラスミドpNB7、casp−12S)。
【0073】 (方法) (カスパーゼ−12 cDNAのPCR増幅) 分子クローニングの標準的技術は、他に言及されない限り、記載されるように
使用した(Sambrook,J.ら、Molecular cloning:
a laboratory manual(第2版)、Cold Spring
Harbor Laboratory、Cold Spring Harbo
r、NY(1989))。カスパーゼ−12についての部分的cDNAクローン
を、以下の縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)によりマウス胸腺cDNAから増幅した:上流、5’−TG(GATC
)CC(GATC)GGGAA(GATC)AGG TAG AA−3’(配列
番号15);下流、5’−ATC AT(ATC)ATC CAG GC(GA
TC)TGC AG(AG)GG−3’(配列番号16)(括弧内の塩基は、縮
重ヌクレオチドを示す)。以下の条件をPCR反応のために用いた:50μlの
総容量中、1×反応緩衝液(Promega)、1.5mM MgCl2、20
0mM dNTP、2mMの各プライマー、1単位のTaq DNAポリメラー
ゼ(Promega)。cDNAを、94℃で1分間、46℃で1分間、72℃
で2分間の25サイクルの前に94℃で4分間変性させた。0.4kbのPCR
産物を、pBluescriptII SK(−)プラスミドベクター(Str
atagene)のEcoRV部位にクローニングした。E.coli細胞を、
このプラスミドDNAを用いて形質転換し、そしてDNA配列決定のために個々
のコロニーを単離し、そして調製した。新規のカスパーゼcDNAをDNA配列
に基づいて同定し、そしてカスパーゼ−12と称した。
【0074】 この0.4kbのcDNAフラグメントを、[32P]dATP(Amersh
am)を用いて標識し、そして高ストリンジェントな条件下でマウス胸腺cDN
Aライブラリー(Stratagene)をスクリーニングするために使用した
。9つの陽性クローンを、約107のファージクローンから同定した。プラスミ
ドDNAを、インビボでの切り出しのプロトコル(Stratagene)によ
り、ファージDNAから切り出した。9つのクローンのうち8つが、419アミ
ノ酸残基のオープンリーディングフレームと同一の配列を含み、そしてカスパー
ゼ−12Lと称された(図1A)。9番目のクローンは、カスパーゼ−12Lよ
りも210bp短い。なぜならば、このクローンはカスパーゼ−12Lの94〜
303塩基を含まないからである(図1B)。この喪失した配列は、ジヌクレオ
チド配列であるGTから始まり、これは、潜在的な哺乳動物のスプライスドナー
部位である。カスパーゼ−12ゲノムクローンの分析は、塩基303/304が
、スプライス接合部に正確に位置すること、およびその塩基304がイントロン
配列中のジヌクレオチド配列AGの後に位置し、スプライスドナー/アクセプタ
ー部位についてGT/AG法則を形成することを示した(図1B)。従って、こ
の短い方のクローンは、代替的にスプライスされたmRNA由来のようであった
。この短い形態のmRNAをカスパーゼ−12Sと称した。これは、349アミ
ノ酸残基のオープンリーディングフレームを含む。
【0075】 プロカスパーゼ−12Lにおける可能なプロセシング部位は、Asp94/G
ly95(カスパーゼ−12SにおけるAsp24/Gly25)に見出される
。カスパーゼ−12Sにおいて喪失している210bpの配列(コドン17〜8
7)は、カスパーゼ−12のプロドメイン内の配列をおそらくコードし(図1B
)、前駆体形態のタンパク質分解処理中に除去され、成熟タンパク質を生じ得る
。カスパーゼ−12Lタンパク質およびカスパーゼ−12Sタンパク質はともに
、別の可能なプロセシング部位(カスパーゼ−12LにおけるAsp318/T
hr319、カスパーゼ−12SにおけるAsp248/Thr249)を有し
、これは、ICEのp20フラグメントとp10フラグメントとの間の切断部位
に対応する。従って、カスパーゼ−12Lとカスパーゼ−12Sとの間の差異は
、それらのプロドメインにあり、そしてカスパーゼ−12Lおよびカスパーゼ−
12Sのプロセシングは、同一のサブユニット組成物および配列の成熟酵素を生
じる。
【0076】 カスパーゼファミリーは、それらのアミノ酸配列類似性に従って以下の3つの
サブファミリーに分類され得る;ICEサブファミリー、カスパーゼ−2サブフ
ァミリー、およびカスパーゼ−3サブファミリー(Duan,H.ら、J.Bi
ol.Chem.271:1621−1625(1996))。このカスパーゼ
−12Lタンパク質は、ヒトICEと41%の配列同一性を共有し(Thorn
berry,N.A.ら、Nature 356:768−774(1992)
)、マウスICEとは41%の配列同一性(Miura,M.ら、Cell 7
5:653−660(1993);Nett,M.A.ら、J.Immunol
.149:3254−3258(1992))、マウスカスパーゼ−11とは4
2%の配列同一性(Wang,S.ら、J.Biol.Chem.271:20
580−20587(1996))、ヒトカスパーゼ−4とは49%(Fauc
heu,C.ら、The EMBO Journal 14:1914−192
2(1995))、ヒトカスパーゼ−5とは46%(Munday,N.A.ら
、J.Biol.Chem.270:15870−15876(1995))、
ヒトカスパーゼ−2Lとは21%(Wang,L.ら、Cell 78:739
−750(1994))、ヒトカスパーゼ−3とは20%(Fernandez
−Alnemri,T.ら、J.Biol.Chem.269:30761−3
0764(1994))、およびC.elegans Ced−3とは18%(
Yuan,J.ら、Cell 75:641−652(1993))を共有する
(図2A〜C、表1)。カスパーゼ−12のアミノ酸配列と他のカスパーゼファ
ミリーメンバーのアミノ酸配列との比較は、カスパーゼ−12が、ICE、カス
パーゼ−4、カスパーゼ−5およびカスパーゼ−11を含むICEファミリーに
属することを示唆する。
【0077】
【表1】 ICEタンパク質のX線結晶は、p10サブユニットが明らかに基質のP2〜
P4アミノ酸残基と直接接触することを明らかにした(Walker,N.P.
C.ら、Cell 78:343−352(1994);Wilson,K.P
.ら、Nature 370:270−275(1994))。ICEにおける
アミノ酸残基の3つの群は、P2〜P4基質決定因子を認識して結合する部分部
位(S2〜S4)であると推定される(図2D)。第1の群(ヒトICEにおけ
るVal338およびTrp340)は、カスパーゼファミリーの間で最も良好
に保存されている。第2の群(His342およびPro343)は、ICEサ
ブファミリー(ICE、カスパーゼ−12およびカスパーゼ−11)の間で最も
少なく保存されており、一方他の3つのメンバー(カスパーゼ−2、カスパーゼ
−3およびCED−3)は、同様の組成物(AsnおよびThr/Ser)を示
す。部分部位のアミノ酸組成におけるこの改変は、おそらく異なる基質特異性を
反映する。
【0078】 ICEとのカスパーゼ−12の配列アラインメントは、この3つの残基がIC
Eの触媒に関与することを明らかにする(His237、Gly238およびC
ys285、(Walker,N.P.C.ら、Cell 78:343−35
2(1994);Wilson,K.P.ら、Nature 370:270−
275(1994))は、カスパーゼ−12(His250、Gly251およ
びCys298、図2A〜Cおよび2D)ならびにICEにおけるP1 Asp
結合ポケットの一部である残基(Arg179、Gln283、Arg341お
よびSer347)(これは、残基356でArgがLysと置換されているだ
けのカスパーゼ−12におけるArg192、Gln286、Lys356、S
er362に対応する)において保存される)。これは、カスパーゼファミリー
のメンバーが、この位置でこのような置換を示すという第1の例である。基質の
P2〜P4残基との結合のための溝を構成するICEにおける残基(Val33
8、Trp340、His342、Pro343、Arg383およびGln3
85)は、カスパーゼ−12においてあまり保存されず、TrpおよびGlnの
みが、対応するアミノ酸残基のIle353、Trp355、Val357、G
ly368、Leu398およびGln400とともに保存されている(図2D
)。これらの結果は、カスパーゼ−12が、P1 Asp特異性を有するカスパ
ーゼファミリーのメンバーであるが、ICEのメンバーと比較すると、その基質
においては、異なるP2〜P4が優先されるようであることを示唆する。
【0079】 (実施例2) (Casp−12の発現パターン) casp−12Lおよびcasp−12Sの両方の発現パターンを試験するた
めに、casp−12Lメッセージのフラグメントおよびcasp−12Sメッ
セージのフラグメントをRT−PCRにより増幅した。
【0080】 (方法) (RT−PCR) mRNAを、MicroFast mRNA単離キット(Invitroge
n)を用いてマウスの脳、胸腺、肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓および腸から単離
した。1マイクログラムのmRNAを、ランダムプライマーおよびモロニーマウ
ス白血病ウイルス(MoMLV)逆転写酵素(Invitrogen)を用いて
逆転写のために使用した。カスパーゼ−12 cDNAをPCRで増幅した、P
CRの条件は、以下の通りであった:94℃、1分;50℃、2分;72℃、2
分を30サイクル。使用したプライマーは、以下であった:上流、5’−GAG
ATCCAATCTACAAGATC−3’(配列番号18);下流、5’−C
ACCACAGAGTATCCAAG−3’(配列番号19)。これらの2つの
特異的なプライマーは、casp−12Sにおいて欠失した210bp領域まで
広がり、そして別々のエキソン由来の配列を用いて設計され、その結果、夾雑し
たゲノムDNAの増幅の可能性を除去し得た。
【0081】 PCR反応において、casp−12Lおよびcasp−12Sの両方は、同
時に増幅されて、それぞれ617bpおよび407bpのDNAフラグメントを
生成し得る。両方のフラグメントを、脳、胸腺、肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓お
よび腸を含む試験した全ての組織から増幅した(図3)。これらの結果は、カス
パーゼ−12Lおよびカスパーゼ−12Sの両方が成体組織において偏在的に発
現することを示す。カスパーゼファミリーのいくつかのメンバーの偏在的な発現
は、成体組織において見出されるので(Kumar,S.ら、Genes An
d Development 8:1613−1626(1994);Wang
,L.ら、Cell 78:739−750(1994);Fernandez
−Alnemri,T.ら、J.Biol.Chem.269:30761−3
0764(1994);Tewari,M.、Cell 81:801−809
(1995);Faucheu,C.ら、The EMBO Journal
14:1914−1922(1995);Munday,N.A.ら、J.Bi
ol.Chem.270:15870−15876(1995);Duan,H
.ら、J.Biol.Chem.271:1621−1625(1996);W
ang,S.ら、J.Biol.Chem.271:20580−20587(
1996);Van de Craen,M.ら、FEBS Letters
403:61−69(1997))、カスパーゼ−12タンパク質は、単一の細
胞においてカスパーゼファミリーの他のメンバーと同時発現されるようである。
【0082】 RT−PCR産物の各レーンにおいて、別の強度の900bpのバンドが存在
した(図3)。このフラグメントのクローニングおよび配列決定により、このフ
ラグメントは、casp−12と類似性を含まないことが示され、そしてcas
p−12ゲノムクローンにハイブリダイズしなかった。このことは、このバンド
が異なる遺伝子座から増幅されたことを示す。
【0083】 (実施例3) (casp−12 cDNAの過剰発現が哺乳動物細胞においてアポトーシス
を誘導する) カスパーゼ−12の発現がアポトーシスを誘導するか否かを試験するために、
一過性の発現系を使用して、哺乳動物細胞においてカスパーゼ−12を過剰発現
させた。E.coli lacZと融合したICE、casp−2およびcas
p−11の発現構築物を首尾良く使用して、これらのICEファミリーのメンバ
ーの発現がアポトーシスを誘導することが、実証されている(Miura,M.
ら、Cell 75:653−660(1993);Wang,L.ら、Cel
l 78:739−750(1994);Wang,S.ら、J.Biol.C
hem.271:20580−20587(1996))。トランスフェクトさ
れた細胞は、lacZのβ−ガラクトシダーゼ活性により、X−galで染色す
ることによって容易に検出される。サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ
ーを含むpcDNA3ベクター中のlacZ遺伝子と融合したcasp−12L
およびcasp−12Sの発現構築物を、作製した。これらの発現構築物をトラ
ンスフェクションによりRat−1細胞に導入し、そしてこの遺伝子の発現を、
トランスフェクションの24時間後にX−gal反応を用いて試験した。
【0084】 (方法) (プラスミドの構築) pNB6内の長形態のカスパーゼ−12 cDNA(casp−12L)を、
Vent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)お
よび以下のプライマー:上流、5’−CTC GAA TTC ATG GCG
GCC AGG AGG ACA CAT G−3’(配列番号20);およ
び下流、5’−CTC GGA TCC TTC CCG GGA AAA G
GT AG−3’(配列番号21)を用いて増幅した。この増幅されたフラグメ
ントを、EcoRIおよびBamHIで消化し、次いでpBluescript
II SK(−)(pBSI95)にクローニングした。pBI95Zを、l
acZのBamHIフラグメント(Miura,M.ら、Cell 75:65
3−660(1993))をpBSI95に挿入するすることによって作製した
。casp−12−lacZ融合遺伝子を、KpnIおよびXbaIを用いてp
BI95Zから切断し、そしてKpnIおよびXbaIで消化したpcDNA3
ベクター(Invitrogen)に挿入し、pNB15を作製した。pcDN
A3ベクター中の発現構築物pNB16(短形態のカスパーゼ−12 cDNA
(casp−12S)とlacZとの融合物)は、pNB6の代わりにpNB7
をPCRのための鋳型として使用して、上記と同じ戦略を通して作製された。
【0085】 カスパーゼ−12Δ(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)の発現構築物
について、casp−12Lの一部分を、以下のプライマー:上流、5’−CT
CGGT ACC ATG GGA CCT CAG AAG ATA TGT
AC−3’(配列番号22);および下流、5’−CTC GTC GAC
CCA TTC CCG GGA AAA AGG TAG−3’(配列番号2
3)を用いたPCRにより増幅した。この上流プライマーは、人工的開始コドン
であるATGを含む。この増幅されたフラグメントを、KpnI/SalIで消
化し、そしてpBluescriptII SK(−)ベクター中のlacZと
融合した。casp−12Δ−lacZ融合遺伝子を、KpnIおよびXbaI
を用いてpBluescriptベースのプラスミドから切り出し、そしてpc
DNA3ベクターのKpnI/XbaI部位に挿入した。
【0086】 (細胞培養および一過性トランスフェクション) Rat−1、ラット胚線維芽細胞、NG108−15、HeLaおよびCOS
−1を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(Bio Whittaker)および
50単位/mlのペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシン(Si
gma)を含むダルベッコ改変イーグル培地において、5%CO2、37℃での
培養で維持した。トランスフェクションの前の日に、細胞を1.3×104細胞
/cm2の密度で播種した。発現構築物を、以前に記載されるようにリン酸カル
シウムまたはリポフェクタミン(GIBCOBRL)のいずれかで細胞に移入し
た(Miura,M.ら、Cell 75:653−660(1993);Ku
mar,S.ら、Genes and Development 8:1613
−1626(1994);Wang,L.ら、Cell 78:739−750
(1994))。細胞におけるキメラ遺伝子の発現を、以前に記載されるように
、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトシド(X−gal
)を用いて細胞を染色することによって検出した(Miura,M.ら、Cel
l 75:653−660(1993);Kumar,S.ら、Genes a
nd Development 8:1613−1626(1994);Wan
g,L.ら、Cell 78:739−750(1994))。トランスフェク
トされた細胞の免疫染色を、マウスモノクローナル抗lacZ抗体を用いて以前
に記載されるように行った(Miura,M.ら、Cell 75:653−6
60(1993);Kumar,S.ら、Genes and Develop
ment 8:1613−1626(1994);Wang,L.ら、Cell 78:739−750(1994))。
【0087】 casp−12−lacZ融合構築物でトランスフェクトされたX−gal陽
性細胞の半分よりも多くは丸く、そしてlacZのみでトランスフェクトされた
健常なX−gal陽性細胞より小さい。このような細胞の大きさの減少は、アポ
トーシス細胞特有の特徴である(Miura,M.ら、Cell 75:653
−660(1993);Jacobson,M.D.ら、Nature 361
:365−369(1993))。casp−12の過剰発現がアポトーシスを
もたらすことを確認するために、casp−12の発現により誘導される細胞死
の核形態を、抗β−ガラクトシダーゼ抗体およびHoechst dye 33
258を用いてRat−1細胞をトランスフェクトしたcasp−12L−la
cZを染色することにより試験した。casp−12L−lacZでトランスフ
ェクトされたβ−ガラクトシダーゼ陽性の丸い細胞は、アポトーシスを受けてい
る細胞の特徴である、縮合かつ断片化した核を有した(図4Aおよび4B)。
【0088】 Rat−1細胞においてカスパーゼ−12Lおよびカスパーゼ−12Sにより
誘導される細胞死の割合は、約60%である(図4C)。ラット胚線維芽細胞の
初代培養をもちいた場合、同様の結果が得られた。トランスフェクトされたラッ
ト胚線維芽細胞の約60%が丸くかつ小さかった(図4C)。従って、casp
−12の過剰発現は、樹立された細胞株および初代細胞の両方の細胞死を引き起
こす。しかし、casp−12のアポトーシス活性は、ICEおよびcasp−
2のアポトーシス活性より弱い。なぜならば、ICEおよびcasp−2の過剰
発現は、90%を超える細胞に死をもたらしたからである(Miura,M.ら
、Cell 75:653−660(1993);Wang,L.ら、Cell
78:739−750(1994))。並行実験において(図4C)、Rat
−1細胞の同じ培養物は、ICEの過剰発現により効率よく殺傷された(Miu
ra,M.ら、Cell 75:653−660(1993))。
【0089】 カスパーゼファミリーのN末端プロドメインは、前駆体タンパク質のタンパク
質分解性活性を調節する役割を有し得、そしてプロドメインの除去が、しばしば
より高い活性において生じる(Yuan,J.ら、Cell 75:641−6
52(1993);Thornberry,N.A.ら、Nature 356
:768−774(1992);Duan,H.ら、J.Biol.Chem.
271:1621−1625(1996))。カスパーゼ−12とカスパーゼフ
ァミリーの他のメンバーとの配列相同性に基づき、カスパーゼ−12LのAsp
94−Gly95を、可能な切断部位として同定した(図1B)。カスパーゼ−
12のプロドメインがカスパーゼ−12の細胞殺傷活性を減少させる阻害的機能
を有し得る可能性を試験するために、Gly95−Asn419(カスパーゼ−
12Δ)がlacZ配列に融合されたままである、カスパーゼ−12Lの最初の
94アミノ酸を欠く発現構築物を、作製した。このcasp−12Δ−lacZ
融合構築物を、Rat−1細胞にトランスフェクトし、そして細胞殺傷の効率を
X−gal染色により試験した。短縮型構築物は、カスパーゼ−12Lおよびカ
スパーゼ−12Sの細胞殺傷活性に匹敵する細胞殺傷活性を示した(60%の細
胞死、図4C)。従って、カスパーゼファミリーの他のメンバーのプロドメイン
とは異なり(Duan,H.ら、J.Biol.Chem.271:1621−
1625(1996))、カスパーゼ−12のプロドメインは、カスパーゼ−1
2のアポトーシス活性に対して阻害的に機能しないようである。カスパーゼ−1
2の相対的に低い細胞殺傷活性は、プロドメインの阻害に起因するよりもむしろ
カスパーゼ−12タンパク質に固有であるようである。この結果はまた、カスパ
ーゼ−12タンパク質のGly95〜Asn419部分がその殺傷活性を示すの
に十分であることを示す。
【0090】 全長のカスパーゼ−12または短縮型カスパーゼ−12Δ cDNAのいずれ
かの過剰発現により誘導されるアポトーシス細胞の割合は、互いに匹敵するが、
全長カスパーゼ−12タンパク質は、インビトロでは活性ではない。従って、イ
ンビボでのカスパーゼ−12の成熟は、他のカスパーゼを必要とするようである
【0091】 (実施例4) (カスパーゼ−12細胞傷害性に対する細胞死サプレッサーの効果) ICE、casp−2およびcasp−11の過剰発現により誘導される細胞
死は、bcl−2により効果的に阻害され得る(Miura,M.ら、Cell
75:653〜660(1993);Wang,L.ら、Cell 78:7
39〜750(1994);Wang,S.ら、J.Biol.Chem.27
1:20580〜20587(1996))。bcl−2は、C.elegan
sのced−9遺伝子の哺乳動物ホモログであり、これは、蠕虫における細胞死
サプレッサーである(Ellis,R.E.ら、Annual Review
of Cell Biology 7:663〜698(1991))。Crm
Aは、ICEに対して高親和性ならびにカスパーゼ−2およびカスパーゼ−3に
対して低親和性を有するカスパーゼファミリーの差別的インヒビターである、牛
痘ウイルスによりコードされるセルピンである(Ray,C.A.ら、Cell
69:597〜604(1992);Komiyama,T.ら、J.Bio
l.Chem.269:19331〜19337(1994))。ICEおよび
カスパーゼ−11により誘導されるがカスパーゼ−2により誘導されないアポト
ーシスは、CrmAにより抑制され得る(Miura,M.ら、Cell 75
:653〜660(1993);Wang,L.ら、Cell 78:739〜
750(1994);Wang,S.ら、J.Biol.Chem.271:2
0580〜20587(1996))。bcl−2またはcrmAのいずれかの
発現は、異なる刺激により誘導される多数の細胞型のアポトーシスを妨げる(M
iura,M.ら、Cell.75:653〜660(1993);Gagli
ardini,V.ら、Science 263:97〜100(1994);
Tewari,M.およびDixit,V.M.、J.Biol.Chem.2
70:3255〜3260(1995);Tewari,M.ら、J.Biol
.Chem.270:22605〜22708(1995);Enari,M.
ら、Nature 375:78〜81(1995);Los,M.ら、Nat
ure 375:81〜83(1995);Miura,M.ら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 92:8318〜8322(1995))
【0092】 bcl−2およびcrmAの発現が、casp−12の過剰発現により誘導さ
れるアポトーシスを阻害し得るか否かを決定するために、casp−12L−l
acZ融合構築物を、bcl−2またはcrmAのいずれかを過剰発現する、R
at−1の安定な細胞株中にトランスフェクトした(Miura,M.ら、Ce
ll 75:653〜660(1993))。細胞死を、上記のようにアッセイ
した(実施例3)。この結果は、casp−12の過剰発現により誘導される細
胞死は、Bcl−2によって非常に弱く阻害され得るのみ(図5A)であり、C
rmAには阻害され得ない(図5B)ことを示した。casp−12の過剰発現
の毒性に対するbcl−2抑制の強度は、およそ10%(Rat−1に対しては
60%、Rat−1/bcl−2に対しては50%)であり、これはICEおよ
びcasp−2に対して観察されたものよりも非常に小さい(図5A;Wang
,L.ら、Cell 78:739〜750(1994))。統計学的分析は、
Bcl−2によるカスパーゼ−12の抑制が、t値が0.35で有意でないこと
を示唆する(P<0.05)。ICE誘導性アポトーシスは、Rat−1/cr
mA細胞において50%程度まで抑制されるが(Wang,L.ら、Cell
78:739〜750(1994))、カスパーゼ−12誘導性アポトーシスは
、同じ安定な細胞株で抑制されない(図5B)。
【0093】 CrmAは、自殺基質として公知であり、このCrmAは、ICEと当モルの
複合体を形成する(Komiyama,T.ら、J.Biol.Chem.26
9:19331〜19337(1994))。従って、この結果は、カスパーゼ
−12はICEサブファミリーに属し得るが、その基質特異性はICEの基質特
異性と著しく異なっていることを示す。カスパーゼファミリーに対する別のウイ
ルスインヒビターであるバキュロウイルスp35は、カスパーゼ−12の細胞殺
傷活性を効果的に抑制し得ないことが見出された(N.Morishimaら、
未公開データ)。p35が、ICE、カスパーゼ−2およびカスパーゼ−3の効
果的なインヒビターであるように(Xue,D.、およびHorvitz,H.
R.、Nature 377:248〜251(1995))、カスパーゼ−1
2の基質特異性は、カスパーゼファミリーのメンバーの中で独特であるようであ
る。
【0094】 ICE、casp−2およびcasp−11とは異なり、casp−12過剰
発現の細胞傷害性は、Bcl−2により効果的に抑制されなかった。従って、カ
スパーゼ−12は、Bcl−2の阻害に感受性でないアポトーシス経路を制御し
得る。Bcl−2は、多くの環境下で細胞死の強力なインヒビターであるが、い
くつかの型の細胞死がBcl−2作用に対して抵抗性であることが示されている
。例えば、Fas誘導性アポトーシスは、試験したいくつかの細胞型において、
Bcl−2により阻害可能ではない(Memon,S.A.ら、J.Immun
ol.155:4644〜4652(1995);Strasser,A.ら、
The EMBO Journal 14;6136〜6147(1995))
。カスパーゼ−12は、このようなBcl−2抵抗性細胞死経路に関与し得る。
あるいは、カスパーゼ−12は、アポトーシス経路におけるBcl−2阻害の点
から下流である段階を制御し得る。この仮定は、Bcl−2により阻害可能であ
る段階でまたはその前に、ICE、カスパーゼ−2およびカスパーゼ−11がア
ポトーシスを活性化し、一方カスパーゼ−12がその段階後にアポトーシスを活
性化することを予測する。Armstrongら(Armstrong,R.C
.ら、J.Biol.Chem.271:16850〜16855(1996)
)は、Bcl−2がプロカスパーゼ−3プロセシングを妨げることを示した。従
って、カスパーゼ−3により活性化される下流のエフェクターは、Bcl−2に
非感受性であるようである。この証拠は、プロカスパーゼ−12がカスパーゼ−
3により切断され得、一方カスパーゼ−12は、試験した他のカスパーゼを効果
的に切断し得ないことを示す。
【0095】 (実施例5) (カスパーゼ−12細胞傷害性の細胞型特異性) カスパーゼ−12の細胞傷害性効果は、細胞型特異性を提示した。casp−
12L−LacZ構築物を、NG108−15、HeLaおよびCOS−1細胞
にトランスフェクトし、そしてカスパーゼ−12が腫瘍細胞株およびRat−1
線維芽細胞株を殺傷するか否かを観察するために、細胞殺傷効果をアッセイした
。この結果は、これらの腫瘍細胞株がcasp−12L発現により誘導されるア
ポトーシスに抵抗性があることを示した(図6)。COS−1細胞は、SV40
を用いてサル腎臓細胞を形質転換することによって樹立され(Gluzman,
Y.Cell 23:175〜182(1981)、そしてICEおよびcas
p−2の過剰発現により誘導されるアポトーシスに抵抗性である(Wang,L
.ら、Cell 78:739〜750(1994))。しかし、神経芽細胞腫
/神経膠腫ハイブリッド細胞株NG108−15細胞およびHeLa細胞は、I
CEおよびcasp−2の過剰発現により誘導されるアポトーシスに感受性であ
る(Wang,L.ら、Cell 78:739〜750(1994))。Ic
e−lacZ構築物を使用するコントロール実験は、ICEの過剰発現が同じ実
験条件下で両方の腫瘍細胞株のアポトーシスを効果的に誘導したことを示した(
NG108−15に関しては約70%の死んだ細胞およびHelaについては9
0%)。これらの結果は、カスパーゼ−12の活性を誘導するアポトーシスがI
CEおよびカスパーゼ−12の形質転換状態よりも細胞の形質転換状態により感
受性であり得ることを示唆する。
【0096】 カスパーゼ−12は、その細胞型特異性のためにカスパーゼの中で独特である
;線維芽細胞は、その過剰発現に感受性であり、一方試験した腫瘍細胞株は、抵
抗性である。従って、casp−12の1つの使用は、線維芽細胞を特異的に殺
傷することであり得る。カスパーゼ−12殺傷活性のスペクトルは、細胞死の調
節機構に関与し得る。1つの可能性は、カスパーゼ−12が示す作用スペクトル
が細胞形質転換に関する差異にどうも関与するということである。腫瘍細胞は、
カスパーゼ−12の基質またはアクチベーターのいずれかを欠損し得るか、ある
いは腫瘍細胞は、カスパーゼ−12の特異的インヒビターを有し得る。今や十分
に認識される腫瘍形成の局面は、細胞が腫瘍増殖の間にアポトーシスを受ける能
力を損なうということである(Symonds,H.ら、Cell 78:70
3〜711(1994);White,E.、Nature 371:21〜2
2(1994);Fisher,D.E.、Cell 78:539〜542(
1994))。従って、カスパーゼ−12と相互作用するタンパク質の同定は、
重要であり、そしてアポトーシスおよび腫瘍形成の両方へのさらなる洞察を提供
し得る。
【0097】 (実施例6) (カスパーゼ−12のインビトロでの切断) 最近のデータは、カスパーゼの秩序だった活性化を示唆する(Enari,M
.ら、Nature 380:723〜725(1996))。カスパーゼ−1
2タンパク質がカスパーゼファミリーの他のメンバーに対する基質であるか否か
を試験するために、[35S]−標識カスパーゼ−12前駆体を、カスパーゼファ
ミリーのメンバーを含有するEscherichia coli溶解液とインキ
ュベートした。
【0098】 (方法) (プラスミド構築) casp−12Lを、以下のプライマーを用いてPCRにより増幅した:上流
、5’−CTG GAT CCG TAT GGC GGC CAG GAG
GAC ACA TGA AAG AGA TCC−3’(配列番号24);お
よび下流、5’−CTC GTC GAC CCA TTC CCG GGA
AAA AGG TAG−3’(配列番号25)。Casp−12Δを、以下の
プライマーを用いてPCRにより増幅した:上流、5’−CTC GGT AC
C ATG GGA CCT CAG AAG ATA TGT AC−3’(
配列番号22);および下流、5’−CTC CTC GAG CTA ATT
CCC GGG AAA AAG G−3’(配列番号26)。増幅したフラ
グメントを、BamHI/SalIまたはKpnI/XhoIのいずれかによっ
て切断して、そしてpcDNA3中にクローニングした。
【0099】 (インビトロでの切断) ICE、casp−2およびcasp−3を、pET−15bベクター(No
vagen)中にクローニングして、そしてそれらの発現を、0.2〜0.3m
M IPTGの存在下で誘導した(Wang,S.ら、J.Biol.Chem
.271:20580〜20587(1996);Cryns,V.L.ら、J
.Biol.Chem.271:31277〜31282(1996))。IC
E様プロテアーゼを含有する細菌溶解液を、記載されたように調製した(Wan
g,S.ら、J.Biol.Chem.271:20580〜20587(19
96);Cryns,V.L.ら、J.Biol.Chem.271:3127
7〜31282(1996))。[35S]−標識タンパク質を、TNT結合化網
状赤血球ライセート系(Promega)および[35S]メチオニン(Amer
sham)を使用して、インビトロでの転写および翻訳により調製した。標識し
たタンパク質を、精製したカスパーゼ−12Δ2と37℃でインキュベートする
か、またはカスパーゼファミリーメンバーを含有するE.coli溶解液と30
℃でインキュベートした。この反応混合物は、5mM EDTA、5mM ジチ
オトレイトール、10% スクロース、10μg/ml ロイペプチンおよび2
50μM フェニルメチルスルホニルフッ化物を含有する25mM Hepes
(pH 7.5)を含んだ。切断反応に使用したタンパク質の量は、部分的に精
製したカスパーゼ−12Δ2については0.1μg、E.coli溶解液につい
ては25〜70μgであった。カスパーゼ−12Δ2をチオール試薬で不活性化
するために、精製したカスパーゼー12Δ2を、1mM 5,5’−ジチオ−ビ
ス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)と25℃で60分間、または2mM ヨ
ードアセアミド(iodoaceamide)と0℃で60分間のいずれかで、
還元剤(例えば、ジチオトレイトール)の非存在下で予めインキュベートして、
続いてこの酵素溶液を、[35S]−標識タンパク質との反応のために使用した。
DTNBを使用する阻害実験については、ジチオトレイトールを、反応混合物か
ら取り除いた。ペプチドインヒビターであるYVAD−CHO(Thornbe
rry,N.A.ら、Nature 356:768〜774(1992))お
よびDEVD−CHO(Nicholson,D.W.ら、Nature 37
6:37〜43(1995))を、Peptide Institute In
c.(Osaka、Japan)から購入した。切断産物を、10%SDSポリ
アクリルアミドゲルまたは15%SDSポリアクリルアミドゲルいずれかの電気
泳動により分析した。タンパク質の検出を、以前に記載されたように、ENLI
GHTNING溶液(New England Nuclear)を使用して、
フルオログラフィー(fluorography)により実行した(Cryns
,V.L.ら、J.Biol.Chem.271:31277〜31282(1
996))。
【0100】 カスパーゼ−2およびカスパーゼ−3は、プロカスパーゼ−12タンパク質を
切断して、約40kDaのより小さなフラグメントを生成することが見出された
(図7)。従って、カスパーゼ−12の前駆体形態は、いくつかのカスパーゼの
基質であり得る。これらのプロテアーゼの中で、カスパーゼ−3が注目された。
なぜなら、プロカスパーゼ−12における推定プロセシング部位(Asp91Gl
92Asp93Asp94/Gly95)は、カスパーゼー3の切断についてのコンセ
ンサス配列、DXXD(配列番号30)に適合するからである;Nichols
on,D.W.ら、Nature 376:37〜43(1995))。カスパ
ーゼ−3によるこの部位でのカスパーゼ−12前駆体の切断は、38kDaのフ
ラグメントを生成し、この大きさは、カスパーゼ−3を用いた切断実験で観察さ
れたフラグメントの大きさに匹敵する。カスパーゼ−2は、DXXD(配列番号
30)配列に優先性を有し、一方その切断効率はまた、P5残基に依存し、この
ことはこの酵素をカスパーゼファミリーの中で独特にする(Van de Cr
aen,M.ら、FEBS Letters 403:61〜69(1997)
)。カスパーゼ−2によるプロカスパーゼ−12の切断は、カスパーゼー3消化
と比較して、低い切断効率でおよそ40kDaのフラグメントを生成した。
【0101】 カスパーゼ−3がAsp94とGly95との間のペプチド結合を切断するか
否かを試験するために、カスパーゼ−12Δのインビトロでの切断を試みた。c
asp−12Δを、人工的な開始コドンを有するpcDNA3ベクター中にクロ
ーニングした。図7は、短縮型形態がカスパーゼー3の消化によりプロカスパー
ゼ−12から生成したフラグメントと大きさが同一であることを示す。短縮型形
態のカスパーゼ−3処理は、いずれのより小さいフラグメントをも生成しなかっ
た。これらの結果は、この短縮型タンパク質がカスパーゼ−3に対する切断部位
を含まないこと、そしてカスパーゼ−3がAsp94とGly95との間を切断
するようであることを示唆する。
【0102】 カスパーゼ−12は、カスパーゼファミリーの他のメンバー(カスパーゼ−2
、カスパーゼ−3)により切断され得る。カスパーゼ−12のN末端部分(Me
t1〜Asp94)の除去は、カスパーゼ−12がE.coli中に発現された
場合、短縮型タンパク質の自己プロセシングを生じた。これらの結果は、カスパ
ーゼ−12が、N末端プロドメインの除去を介して、インビボでカスパーゼ−3
(または、カスパーゼ−3様プロテアーゼ)によって活性化され得る可能性を示
唆する。しかし、カスパーゼ−3の作用により生成されたカスパーゼ−12の3
8kDaフラグメントは、さらにプロセシングされなかった。ICEの自己プロ
セシングは、特定の条件下で生じる(Ramage,P.ら、J.Biol.C
hem.270:9378〜9383(1995))。
【0103】 (実施例7) (組換えカスパーゼ−12のプロテアーゼ活性) カスパーゼ−12の酵素学的特性を研究するために、カスパーゼ−12 cD
NAを、タンパク質産生のためにE.coli中で発現させた。
【0104】 (方法) (プラスミド構築) ヒスチジンタグ化タンパク質の産生のために、casp−12Δを、原核生物
発現ベクターであるpRSET−A(Invitrogen)中に挿入した。使
用したプライマーは:上流、5’−CTC GGA TCC GGA CCT
CAG AAG ATA TGT AC−3’(配列番号27);および下流、
5’−CTC GGA TCC CTA ATT CCC GGG AAA A
AG GTA G−3’(配列番号28)であった。増幅したフラグメントを、
BamHIで消化し、そしてpRSET−A(これは、N末端ヒスチジンタグを
コードする)のBamHI部位中に挿入した。同様に、カスパーゼ−12Δ2(
配列番号2のアミノ酸残基145〜419)についての細菌発現プラスミドを、
別の上流プライマー、5’−CTC GGA TCC ACA CTG AAG
CTT TGT CCA CG−3’(配列番号29)を使用することによっ
て構築した。
【0105】 (組換えカスパーゼ−12タンパク質の産生) casp−12Δおよびcasp−12Δ2を、pRSET−Aベクター(I
nvitrogen)中にクローニングし、そして得られたプラスミドを、E.
coli BL21(DE3)pLys中に導入した。ヒスチジンタグ化タンパ
ク質の産生を、0.1mM イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノ
シド(IPTG)により誘導して、そしてこのタンパク質を、製造業者のプロト
コルに従って、pET系(Novagen)で精製した。精製したタンパク質を
、100mM NaClおよび50%グリセロールを含有する50mM Tri
s−HCl(pH7.5)中で−80℃で貯蔵した。N末端の配列決定を、Ap
plied Biosystems 473A protein sequen
cerを用いて、Matsudaira(LeGendre,N.およびMat
sudaira,P.、BioTechniques 6:154〜159(1
988))の方法に従って行った。
【0106】 E.coliから発現され、そして精製した全長のカスパーゼ−12タンパク
質は、インビトロではプロセシングおよびプロテアーゼ活性のいずれもなく安定
であった。従って、短縮型カスパーゼ−12 cDNA(Gly95〜Asn4
19)に対応するカスパーゼ−12Δ)を、N末端プロドメインコード領域の除
去およびそのN末端をHisに富む配列でタグ化した後に、E.coli中で発
現させた。E.coliからのHisタグ化カスパーゼ−12Δタンパク質(お
よそ42kDa(4.2kDaのタグ部分を含む))を部分的に精製した。この
精製したタンパク質は、42kDa、17kDaおよび10kDaの3つのポリ
ペプチドからなっていた(図8A)。これらのポリペプチド鎖の小配列決定(m
icrosequenceing)は、42kDaのポリペプチドがN末端のH
isタグを含むことを示し、このことは、42kDaのポリペプチドがカスパー
ゼ−12Δのインタクトな形態であることを示唆する。10kDaのポリペプチ
ドは、2つのポリペプチドの混合物(おおまかには当量)であり、このうちの一
方は、N末端のHisタグを有する。10kDaの他方のポリペプチドは、その
配列がカスパーゼー12配列におけるAsp318の後の右から開始する、カス
パーゼ−12Δの予測された小サブユニットである。17kDaのポリペプチド
は、E.coliのHisに富むタンパク質(鉄(II)取り込み調節タンパク
質)を夾雑していることが明らかになった。Asp特異性を示す細菌起源のプロ
テアーゼが報告されていないので、カスパーゼ−12タンパク質の自己プロセシ
ングは、短縮型タンパク質の精製の前またはその間のいずれかで、Asp318
の位置で生じたようである。このより小さなサブユニットは、インタクトな形態
のカスパーゼ−12Δとのその物理的会合のために、Niカラムクロマトグラフ
ィーにより得られたこともまたありそうである。
【0107】 より小さなタグ化タンパク質(10kDa)の存在は、別の自己プロセシング
がGly95からおよそ50残基離れているAsp残基で生じる(タグを含む約
90残基)ことを示唆する。N−末端Hisタグは、自己プロセシングにより除
去されるので、カスパーゼ−12のこの成熟p20サブユニットは、失われたと
推測された(図8B)。カスパーゼ−12の成熟形態(p20およびp10)を
回収するために、Met1〜Asp144の領域を欠いた短縮型カスパーゼ−1
2の別のバージョン(カスパーゼ−12Δ2)を発現させた。図8Aは、精製し
たカスパーゼ−12Δ2が2つの主要なフラグメント(p24およびp10)か
らなることを示す。p24は、Hisタグを有し、このp10のN末端は、小配
列決定により示されるように、Thr319から開始する配列を有した。p10
の配列は、Asp318での自己プロセシングがカスパーゼ−12Δ2およびカ
スパーゼ−12Δにおいて再度生じたことを示す(図8B)。精製したタンパク
質のサブユニット組成(2つのポリペプチド)および大きさ(4.2kDaのH
isに富む配列とタグ化した20kDaサブユニットおよび10kDaの他のサ
ブユニット)は、20kDaおよび10kDaのサブユニットからなるICEの
成熟形態と類似している。
【0108】 Hisタグ化カスパーゼ−12組換えタンパク質を、インビトロでカスパーゼ
ファミリーの他のメンバーと共にインキュベートして、カスパーゼ−12がこれ
らのプロ酵素を切断し得るか否かを決定した。試験したカスパーゼファミリーの
メンバーの中でも、カスパーゼ−12Δ2は、プロカスパーゼ−12(48kD
a)をフラグメントに効率的に処理し得る。インタクトなプロカスパーゼ−12
の消失とともに、カスパーゼ−12Δ2による約35kDaおよび13kDaの
フラグメントを生成した(図8C)。[35S]−標識カスパーゼ−12Δを、活
性なカスパーゼ−12Δ2と共にインキュベートした場合、この38kDaのポ
リペプチドを、26kDaのフラグメントおよび13kDaのフラグメントに切
断した(図8C)。従って、短縮型ポリペプチドは、カスパーゼ−12Δ2をN
末端26kDaおよびC末端13kDaに分割する主要な切断部位を含む。
【0109】 しかし、プロICE、プロカスパーゼ−2およびプロカスパーゼ−3を含むフ
ァミリーの他のメンバーは、組換えカスパーゼ−12Δ2に抵抗性であった。な
ぜなら、切断産物のかすかなバンドのみが、同じ時間の間(図8C)またはより
長い時間の間(3hr)での、カスパーゼ−12Δ2とのインキュベーション後
に現れるからである。カスパーゼ−12Δ2切断に対するICE、カスパーゼ−
2およびカスパーゼ−3の抵抗性は、これらのプロテアーゼがインビボでカスパ
ーゼ−12に対する基質ではないようであるということを示唆する。
【0110】 カスパーゼ−12Δ2によるプロカスパーゼ−12の切断は、チオール試薬に
より阻害された。5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)またはヨード
アセトアミドのいずれかでのカスパーゼ−12Δ2の前処理は、そのタンパク質
分解活性を完全に阻害した。この結果は、カスパーゼ−12がシステインプロテ
アーゼであることを実証する。一方、カスパーゼ−12切断活性は、10μMま
でのYVAD−CHO(ICEに優先的なペプチドインヒビター(Thornb
erry,N.A.ら、Nature 356:768〜774(1992))
、または10μMまでのDEVD−CHO(CPP32に優先的なペプチドイン
ヒビター(Nicholson,D.W.ら、Nature 376:37〜4
3(1995))により阻害され得ない。この結果と一貫したのは、精製したカ
スパーゼ−12Δ2が、それぞれICEおよびカスパーゼ−3に対する好ましい
基質である、プロIL−1βおよびポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの切断
に対してほとんど活性を示さなかったことである。これらのデータは、カスパー
ゼ−12成熟タンパク質の基質特異性が公知のカスパーゼの中でも独特であるこ
とを示唆する。従って、カスパーゼ−12およびcasp−12の短縮形態(例
えば、casp−12Δ2)の1つの使用は、ポリペプチドマッピングのために
タンパク質を特異的に切断することであり得る。
【0111】 (実施例8) (カスパーゼ−12をコードするDNAのクローニング) カスパーゼ−12タンパク質をコードするDNA分子を、例えば、DNA配列
番号1またはDNA配列番号13の配列またはアンチセンス配列に対して、スト
リンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、所望のDNA分子をハイブリ
ダイズさせることによってクローニングする。プローブ配列にハイブリダイズす
るDNA分子を選択して、そして宿主細胞中に形質転換する。カスパーゼ−12
を発現する形質転換体を選択し、そしてクローニングする。
【0112】 カスパーゼ−12タンパク質をコードするDNAのクローニングについての可
能性のあるハイブリダイゼーション条件の1つのセットは、以下である: 1)1時間のプレハイブリダイゼーション; 2)ハイブリダイゼーション緩衝液中での65℃で一晩のハイブリダイゼーシ
ョン;および 3)2×SSX中での室温で15分間の1回の洗浄、次いで0.1×SSCお
よび0.1% SDS中での60℃で30分間の2回の洗浄。
【0113】 (実施例9) (分子量マーカー) 組換え産生されたカスパーゼ−12タンパク質を、当該分野において慣用的な
方法(Current Protocols in Molecular Bi
ology、第2巻、第10章、John Wiley & Sons、出版社
(1994))により精製する。推定アミノ酸配列が公知であるので、これらの
タンパク質の分子量を正確に決定し得、そしてこのタンパク質を、ゲル電気泳動
の分子量マーカーとして使用し得る。推定アミノ酸配列に基づいて算定されたカ
スパーゼ−12タンパク質全長の分子量は、48kDaである。
【0114】 (実施例10) (カスパーゼ−12での細胞の処理) カスパーゼ−12はプログラムされた細胞死を誘導し得るので(実施例3を参
照のこと)、カスパーゼ−12を使用して、細胞における細胞死を調節する。こ
れは、カスパーゼ−12ポリペプチドと細胞とを接触させることによって達成さ
れる。カスパーゼ−12L、カスパーゼ12S、カスパーゼ−12Δ、またはカ
スパーゼ−12Δ2を、この目的のために使用する。
【0115】 本明細書中で言及された全ての技術は、参考として本開示に援用される。ここ
で、明瞭および理解の目的のための例証および実施例により本発明は十分に記載
され、特定の変更および改変が、開示された実施態様においてなされ得ることが
当業者に明らかであり、そしてこのような改変は、本発明の範囲内であることが
意図される。
【0116】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 カスパーゼ−12 cDNA。図1Aは、カスパーゼ−12のcDNA配列(
配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。水平方向の矢印は
、マウス胸腺cDNAライブラリーの初回スクリーニングのために使用する縮重
PCRプライマーの位置を示す。選択的スプライシング部位を、垂直方向の矢印
で示す。ひし形は、終止コドンの位置を示す。
【図1B】 カスパーゼ−12 cDNA。図1Bは、カスパーゼ−12の選択的スプライ
シングおよびタンパク質構造の図である。それらの間のエキソンおよびイントロ
ンを、それぞれ帯および線で示す(上図)。エキソン/イントロンの境界でのヌ
クレオチドを示す。帯の上の数は、カスパーゼ−12L cDNA配列中のヌク
レオチド数に対応する。カスパーゼ−12L(419残基)タンパク質とカスパ
ーゼ−12S(349残基)タンパク質との概略的な比較を下に示す。前駆体タ
ンパク質の成熟のための潜在的切断部位を、その部位での残基を有する帯の下に
示す。
【図2A】 カスパーゼ−12の配列アラインメント。図2A〜Cは、以下のカスパーゼフ
ァミリーの他のメンバーとのカスパーゼ−12タンパク質の配列アラインメント
を示す:カスパーゼ−5(配列番号4)、hICE(配列番号5)、mICE(
配列番号6)、カスパーゼ−11(配列番号7)、カスパーゼ−4(配列番号8
)、カスパーゼ−5(配列番号9)、カスパーゼ−2(配列番号10)、カスパ
ーゼ−3(配列番号11)、およびCED−3(配列番号12)。カスパーゼフ
ァミリーの間でよく保存されている7つのアミノ酸残基は、アスタリスク(触媒
残基)または黒ひし形(P1結合)のいずれかで印付けられる。白ひし形は、S
2−S4サブサイトの残基を示す。
【図2B】 カスパーゼ−12の配列アラインメント。図2A〜Cは、以下のカスパーゼフ
ァミリーの他のメンバーとのカスパーゼ−12タンパク質の配列アラインメント
を示す:カスパーゼ−5(配列番号4)、hICE(配列番号5)、mICE(
配列番号6)、カスパーゼ−11(配列番号7)、カスパーゼ−4(配列番号8
)、カスパーゼ−5(配列番号9)、カスパーゼ−2(配列番号10)、カスパ
ーゼ−3(配列番号11)、およびCED−3(配列番号12)。カスパーゼフ
ァミリーの間でよく保存されている7つのアミノ酸残基は、アスタリスク(触媒
残基)または黒ひし形(P1結合)のいずれかで印付けられる。白ひし形は、S
2−S4サブサイトの残基を示す。
【図2C】 カスパーゼ−12の配列アラインメント。図2A〜Cは、以下のカスパーゼフ
ァミリーの他のメンバーとのカスパーゼ−12タンパク質の配列アラインメント
を示す:カスパーゼ−5(配列番号4)、hICE(配列番号5)、mICE(
配列番号6)、カスパーゼ−11(配列番号7)、カスパーゼ−4(配列番号8
)、カスパーゼ−5(配列番号9)、カスパーゼ−2(配列番号10)、カスパ
ーゼ−3(配列番号11)、およびCED−3(配列番号12)。カスパーゼフ
ァミリーの間でよく保存されている7つのアミノ酸残基は、アスタリスク(触媒
残基)または黒ひし形(P1結合)のいずれかで印付けられる。白ひし形は、S
2−S4サブサイトの残基を示す。
【図2D】 カスパーゼ−12の配列アラインメント。図2Dは、基質結合に関与するアミ
ノ酸残基のアラインメントを示す。カスパーゼファミリーの各メンバーのアミノ
酸残基は、以下に一文字コードにより記載される:ICE(配列番号31)、カ
スパーゼ−12(配列番号32)、カスパーゼ−11(配列番号33)、カスパ
ーゼ−2(配列番号34)、カスパーゼ−3(配列番号35)、およびCED−
3(配列番号36)。残基の上の数字は、ヒトICEの位置に対応する。ICE
のP1活性ポケットを形成する7つの残基は、触媒作用に関与する残基(His
、Gly、Cys)および結合するための残基(Arg、Gln、Arg、Se
r)にグループ分けされる。
【図3】 マウスの成体組織におけるカスパーゼ−12のRT−PCR分析。cDNAサ
ンプルを脳、胸腺、心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓、および腸から単離されたmR
NAから逆転写した。レーン12Lは、陽性コントロールとしてカスパーゼ−1
2L(casp−12L)を使用することによるPCR産物(617bp)であ
る。レーン12Sは、陽性コントロールとしてカスパーゼ−12S(casp−
12S)を使用することによるPCR産物(407bp)である。矢印は、これ
らのカスパーゼ−12Lおよびカスパーゼ−12S特異的フラグメントを示す。
Mは、分子量標準として、λファージDNAのHindIII消化物である。N
は、陰性コントロールであり、ここではDNAの鋳型をPCRに使用しなかった
【図4A】 図4Aは、カスパーゼ−12の過剰発現により誘導される細胞死。図4Aは、
casp−12L−lacZ構築物で一過的にトランスフェクトされ、24時間
後に固定され、そして抗βガラクトシダーゼ抗体(左のパネル)またはヘキスト
色素33258(右のパネル)で染色されたRat−1細胞を示す。casp−
12L−lacZ融合タンパク質を発現する円形細胞は、凝縮されそして断片化
した核を示す。
【図4B】 図4Bは、カスパーゼ−12の過剰発現により誘導される細胞死。図4Bは、
コントロールlacZベクターで一過的にトランスフェクトされ、そしてAのよ
うに処理されたRat−1細胞を示す。βガラクトシダーゼ陽性細胞における核
の形態は正常であり、そして凝縮されていない(矢印により示される)。
【図4C】 図4Cは、カスパーゼ−12の過剰発現により誘導される細胞死。図4Cは、発
現構築物でトランスフェクトされ、24時間後に固定され、そしてX−Gal溶
液で3時間染色された、Rat−1細胞およびラット胚線維芽細胞を示す。示さ
れるこのデータは、計数した青色細胞の総数のうちの円形青色細胞のパーセンテ
ージである。各トランスフェクションにおいて、200を超える青色細胞を、無
作為に選択し、そして計数した。Rat−1細胞のデータは、少なくとも3つの
別々の実験から収集した。構築物は、以下を使用した:casp−12L−la
cZ、casp−12S−lacZ、casp−12Δ−lacZ、ICE−l
acZ、lacZ。ラット胚線維芽細胞(REF)をまた、casp−12L−
lacZまたはlacZのいずれかでトランスフェクトした。
【図5A】 カスパーゼ−12の殺傷活性に対する細胞死抑制の効果。図5Aは、Rat−
1/bcl−2(casp−12L−lacZで一過的にトランスフェクトした
bcl−2発現の安定なトランスフェクト体)を示す。細胞死を図4Cに記載し
たようにアッセイした。親性細胞株(Rat−1(図4C))のトランスフェク
ションからのデータを、比較のために図中に含む。lacZ構築物をまた、コン
トロールとしてトランスフェクションに使用した。
【図5B】 カスパーゼ−12の殺傷活性に対する細胞死抑制の効果。図5Bは、Rat−
1/crmA(casp−12L−lacZで一過的にトランスフェクトしたc
rmA発現のトランスフェクト体)を示す。親性細胞株(Rat−1(図4C)
)のトランスフェクションからのデータを、比較のために図中に含む。lacZ
構築物をまた、コントロールとしてトランスフェクションに使用した。
【図6】 カスパーゼ−12誘導細胞殺傷活性の細胞型特異性。NG108−15細胞、
HeLa細胞およびCOS−1細胞を、casp−12L−lacZ、casp
−12S−lacZ、lacZまたはICE−lacZでトランスフェクトした
。トランスフェクト体の染色を行ない、そしてそのデータを図4Cのように示す
【図7】 カスパーゼファミリーの他のメンバーによるカスパーゼ−12のインビトロ切
断。[35S]標識したカスパーゼ−12(casp−12Lまたはcasp−1
2Δのいずれか)を、他のカスパーゼ(1、ICE;2、カスパーゼ−2;3、
カスパーゼ−3)を発現するE.coli溶解物とともに30℃にて3時間イン
キュベートした。コントロールサンプル(−)を、E.coli溶解物の非存在
化でインキュベートした。
【図8A】 カスパーゼ−12Δ2のプロテアーゼ活性。図8Aは、部分的に精製したタン
パク質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を示す。Δは、casp−1
2Δ(配列番号2のアミノ酸残基95〜419);Δ2は、casp−12Δ2
(配列番号2のアミノ酸残基145〜419)。タンパク質を15%のゲルで泳
動し、そしてクマシーブリリアントブルー染色により検出した。矢印は、カスパ
ーゼ−12タンパク質由来のポリペプチドを示す。SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動のためのサンプル緩衝液の添加に伴う反応は、煮沸により停止させ
た。キロダルトンの分子サイズを左に示す。
【図8B】 カスパーゼ−12Δ2のプロテアーゼ活性。図8Bは、カスパーゼ−12Δお
よびカスパーゼ−12Δ2のプロセシング部位の図である。
【図8C】 カスパーゼ−12Δ2のプロテアーゼ活性。図8Cは、部分的に精製したカス
パーゼ−12Δ2とともに(+)か、または部分的に精製したカスパーゼ−12
Δ2なしで(−)、37℃にて1時間インキュベートした[35S]標識されたタ
ンパク質を示す。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動のためのサンプル緩
衝液の添加に伴う反応は、煮沸により停止させた。キロダルトンの分子サイズを
左に示す。
【図9】 カスパーゼ−12S(casp−12S)の配列。カスパーゼ−12SのcD
NA配列(配列番号13)および推定アミノ酸配列(配列番号14)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 105 C12N 1/15 4C086 C07H 21/04 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/50 1/21 15/00 ZNAA 5/10 A61K 37/02 9/50 C12N 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA01 BA14 CA04 DA02 DA06 EA02 EA04 GA11 HA17 4B050 CC03 DD07 LL01 4B065 AA90X AA91X AA91Y CA33 CA44 4C057 BB02 BB05 DD01 MM02 MM04 MM09 4C084 AA06 AA07 AA13 BA22 CA53 CA56 CA59 DC01 ZA011 ZA361 ZB071 ZB211 ZB261 4C086 AA04 EA16 NA20 ZA01 ZA36 ZB07 ZB21 ZB26

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された核酸分子であって、以下: (a)図9に示されるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列(配列番号14)を
    コードするヌクレオチド配列を含む核酸分子; (b)ATCC寄託番号209710に含まれるcDNAクローンによってコ
    ードされるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を
    含む核酸分子; (c)図9に示されるカスパーゼ−12Sのヌクレオチド配列(配列番号13
    )を含む核酸分子; (d)カスパーゼ−12Δ(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)をコー
    ドするヌクレオチド配列を含む核酸分子; (e)カスパーゼ−12Δ2(配列番号2のアミノ酸残基145〜419)を
    コードするヌクレオチド配列を含む核酸分子;および (f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)に相補的なヌクレオチド
    分子を含む核酸分子、 からなる群から選択される核酸分子に、少なくとも90%同一な核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記核酸分子が、図9に示されるカスパーゼ−12Sのアミ
    ノ酸配列(配列番号14)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記
    載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記核酸分子が、ATCC寄託番号209710に含まれる
    cDNAクローンによってコードされるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列をコ
    ードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記核酸分子が、図9に示されるカスパーゼ−12S(配列
    番号14)のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記核酸分子が、カスパーゼ−12Δ(配列番号2のアミノ
    酸残基95〜419)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の
    核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記核酸分子が、カスパーゼ−12Δ2(配列番号2のアミ
    ノ酸残基145〜419)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記
    載の核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の核酸分子に、ストリンジェントな条件下で
    ハイブリダイズする核酸分子。
  8. 【請求項8】 カスパーゼ−12Sポリぺプチドをコードする、単離された
    核酸分子であって、該核酸分子が、以下の工程: (a)核酸分子の集団を、配列番号13のセンスヌクレオチド配列またはアン
    チセンスヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズさせる工程であって
    、ここで、該ハイブリダイゼーションが、ストリンジェントなハイブリダイゼー
    ション条件下で行われる、工程; (b)配列番号13のセンスヌクレオチド配列またはアンチセンスヌクレオチ
    ド配列を含む該核酸分子にハイブリダイズする、該集団の核酸分子を選択する工
    程;および (c)カスパーゼ−12Sをコードする(b)の核酸分子を選択する工程、 を包含するプロセスによって調製される、核酸分子。
  9. 【請求項9】 前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が、以
    下: (a)予め1時間ハイブリダイズさせること; (b)ハイブリダイゼーション緩衝液中で、65℃で一晩ハイブリダイズさせ
    ること;および (c)室温で15分間、2×SSC中で一度洗浄し、次いで、60℃で30分
    間、0.1×SSCおよび0.1% SDS中で二度洗浄すること、 を包含する、請求項8に記載の単離された核酸分子。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のベクターで形質転換された、宿主。
  12. 【請求項12】 核酸構築物であって、異種プロモーターに作動可能に連結
    された、カスパーゼ−12Sポリぺプチドをコードする核酸分子を含む、核酸構
    築物。
  13. 【請求項13】 カスパーゼ−12ポリぺプチドを作製するための方法であ
    って、以下の工程: (a)請求項1に記載の核酸分子をベクターに挿入する工程; (b)宿主を該ベクターで形質転換する工程;および (c)該宿主を、カスパーゼ−12ポリぺプチドの発現を誘導する条件下で培
    養する工程、 を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 単離されたポリぺプチドであって、以下: (a)図9に示されるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列(配列番号14)を
    含む、単離されたポリぺプチド; (b)ATCC寄託番号209710に含まれるcDNAクローンによってコ
    ードされるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配列を含む、単離されたポリぺプチド
    ; (c)カスパーゼ−12Δ(配列番号2のアミノ酸残基95〜419)のアミ
    ノ酸配列を含む、単離されたポリぺプチド;および (d)カスパーゼ−12Δ2(配列番号2のアミノ酸残基145〜419)の
    アミノ酸配列を含む、単離されたポリぺプチド、 からなる群から選択されるポリぺプチドに、少なくとも90%同一な単離された
    ポリぺプチド。
  15. 【請求項15】 前記ポリぺプチドが、図9に示されるカスパーゼ−12S
    のアミノ酸配列(配列番号14)を含む、請求項14に記載の単離されたポリぺ
    プチド。
  16. 【請求項16】 前記ポリぺプチドが、ATCC寄託番号209710に含
    まれるcDNAクローンによってコードされるカスパーゼ−12Sのアミノ酸配
    列を含む、請求項14に記載の単離されたポリぺプチド。
  17. 【請求項17】 前記ポリぺプチドが、カスパーゼ−12Δ(配列番号2の
    アミノ酸残基95〜419)のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の単離さ
    れたポリぺプチド。
  18. 【請求項18】 前記ポリぺプチドが、カスパーゼ−12Δ2(配列番号2
    のアミノ酸残基145〜419)のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の単
    離されたポリぺプチド。
  19. 【請求項19】 細胞におけるプログラムされた細胞死を調節するための方
    法であって、該細胞を請求項14に記載のポリぺプチドと接触させる工程を包含
    する、方法。
  20. 【請求項20】 線維芽細胞を選択的に殺すための方法であって、該細胞を
    請求項10に記載のベクターでトランスフェクトする工程を包含する、方法。
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