JP2002507290A - 改良された弦楽器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 上部壁（１８）と、離隔された下部壁（２０）と、上部および下部壁を相互に連結する側壁（２２）とを含む中空胴を有する弦楽器であり、各々の壁は、弦楽器の中空胴内に発生された音の振動を効率的に放つ複数の効果的に配置された響孔を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 改良された弦楽器 発明の背景 これは、１９９７年６月２７日に出願された同時係属出願第０８／８８４，４ ５５号の一部継続出願である。 発明の分野 本発明は、一般的に弦楽器の設計の改良に関するものである。より詳細には、 本発明は、ギター、マンドリンおよびリュートを含む一群の弦楽器のための改良 に関するものである。 従来技術の検討 弦楽器は、張った弦の制御された振動によって音を発生する。これは、バイオ リンのように弓を弦に対して横に引くことによって、あるいはハープおよびギタ ーのように弦を弾くことによって行われる。一般的には、弦楽器は、中空の木製 の胴と、木製の胴に連結された細長いネックと、胴の長手方向に沿って延びる少 なくとも４本の弦とを備えている。ギター、マンドリンおよびリュートの場合、 弦を弾くことによって、中空胴に伝えられる振動を生じ、中空胴を振動させ、そ れによって発生された音を増幅し、高める。いかなる弦楽器によっても、発生さ れる音の音高は、弦の長さ、重さおよび張りによって決まり、その結果、より短 い弦、より軽い弦あるいはよりぴんと張った弦はより高い音を生じる。 最も一般に普及している弦楽器の中の１つはアコースティックギターである。 他の弦楽器と同様に、アコースティックギターは、中空胴と、中空胴に連結され たネックと、一般的には楽器のネックの長さに沿って延びる６本あるいは１２本 の弦を備えている。一端で、弦は駒に連結され、この駒は同様に中空胴の上部壁 に連結されている。対向端の弦は、細長いネックの外側寄りの端に近接して備え られている主軸台によって支えられる金属製糸巻き部に連結されている。ぴんと 張った弦の真下の中空胴に形成された響孔あるいは開口は、駒および主軸台の中 間に配置されている。 従来のギターでは、響孔は、聴衆側を向いて、演奏者から離れた方向に面する 。したがって、演奏者は、演奏者が楽器の後ろにいるという事実のために自分の 楽器の全音量あるいは音質を聞くことができない。この状況は、例えば、背中を 向けて話している人の話を聞いているのと同様である。話され言葉は、会話が差 し向かいである場合の方が聞き取りやすく、より快適である。さらに、従来のギ ターでは、音の振動源は楽器の駒の中心にある。弦が弾かれると、駒は、中空胴 あるいは「共鳴箱」の残りの部分に音の振動を伝えるので、共鳴箱のあらゆる点 でその特定の音波を振動させて放つ。ギターのような楽器では、音の振動は、圧 縮され、楽器内で遮られ、従来はぴんと張った弦の下方の位置で中空胴の上部に 配置された単一の響孔からだけ放たれる。 本発明の目的は、新規の設計の駒と、中空胴の上部、下部および側面に沿った 効果的な位置にある複数の響孔を有する改良された設計の中空胴あるいは共鳴箱 との間の組み合わせの結果として、優れた音響効果を出すギターのような弦楽器 を提供することにある。響孔あるいはサウンドポートを効果的に配置することに よって、中空胴の離隔された位置で、満足のいくステレオ音響効果は、サウンド ポートの位置に応じて、放たれた音の振動の音量および音質が異なるという事実 により達成される。これは、振動源が楽器の駒の中心にあるためである。したが って、駒の近くのサウンドポートは、より離れて配置されたサウンドポートとは 異なる音を出す。さらに、楽器の離隔されたサウンドポートは、異なる標準に合 わせた弦に対するその接近の関数として音の周波数を放射する。例えば、０．０ ５２ゲージの弦の近くに配置されたサウンドポートは、より離れているサウンド ポートよりも強い低音周波数を放射する。同様に、高い０．０１２ゲージの弦に より接近して配置されたサウンドポートはより高い周波数振動を出す。 本発明の弦楽器の中空胴の多響孔設計における付加的長所は、より優れた音認 識が楽器の演奏者のために行われるという事実にある。より詳細には、本発明の 楽器の中空胴における独特な設計のために、演奏者はさらによく様々な位置から 発せられる音の振動を聞くことができる。したがって、中空胴から放射する明瞭 な音と連結された演奏者の音認識によって、演奏者は根本的に改良された音認識 を楽しむことができる。さらに、弦楽器の上部、側面および裏面の様々な位置に 響孔を置くことによって、音の振動は異なる方向に出され、それによって聴衆を 楽しませることができ、また楽器から出される音質の認識において芸術家にとっ てかなりの助けともなる「サラウンドサウンド」効果を生じる。 多響孔を有する弦楽器の高められた機能に寄与するので、中空胴設計は弦楽器 の駒の新規の設計である。より詳細には、本発明の弦楽器の１つの形態の駒は、 弦楽器の底部壁に対する標準駒の底部から延びる延ばされた駒からなる。この延 ばされた駒は、円筒状の固体部材あるいはその代わりに中空管状部材の形をとっ てもよい。この構造の場合、弦が弾かれたとき、駒は弦楽器の上部板を振動させ 、延ばされた駒は、振動させる裏板に同じ振動を伝える機能を果たす。中空胴の 上部壁と下部壁との間の、この直接の連結によって、従来の楽器のように１つの 壁あるいは共鳴板だけの代わりに２つの壁あるいは共鳴板を振動させる。結果と して、実質的に改良された音量およびサウンドダイナミックスが達成された。 発明の概要 本発明の目的は、上部壁と、離隔された下部壁と、上部壁および下部壁を相互 に連結する側壁を有し、壁の各々が弦楽器の中空胴内に発生された音の振動を効 率的に放つ複数の効果的に配置された響孔を有する弦楽器を提供することにある 。 本発明の他の目的は、弦楽器が演奏される場合、演奏者が発生された音をさら によく聞くことができるように効果的に配置された複数の響孔が備えられた中空 胴を有する弦楽器を提供することにある。 本発明の他の目的は、中空胴の上部壁の単一の響孔だけを有する従来の弦楽器 よりも大きい音量も提供するように効果的に配置された複数の響孔が備えられた 中空胴を有する前述の特徴の弦楽器を提供することにある。 本発明の他の目的は、中空胴が上部壁、下部壁、および上部壁および下部壁を 相互に連結する側壁を有する前述のパラグラフに記載された特徴の弦楽器を提供 することにあり、この響孔は、弦楽器が演奏されるとき周囲の音響効果を生じる ように中空胴の上部壁、下部壁および側壁の各々の離隔された位置に配置されて いる。 本発明の他の目的は、中空胴の内部に配置され、かつ上部壁で形成された振動 を下部壁に伝えるように上部壁および下部壁を相互に連結し、それによって２つ の共鳴板の振動を増加させ、そうする際に楽器のサウンドダイナミックスおよび 音量を増加させる延ばされた駒を含む直前のパラグラフに記載されている楽器を 提供することにある。 本発明の他の目的は、優れた音量およびサウンドダイナミックスを有し、外観 が魅力的であり、よりよい音認識、音量および清澄性がある音の振動を聞く音楽 家の能力のために音楽家が演奏することがより容易であるギターのような楽器を 提供することにある。 図面の簡単な説明 図１は、本発明の１つの形態の弦楽器の通常の斜視平面図である。 図２は、図１に示された弦楽器の通常の斜視底面図である。 図３は、図１に示された楽器の短縮平面側面図である。 図４は、図３の線４-４に沿った断面図である。 図５は、図３の線５-５に沿った断面図である。 図６は、図３の線６-６に沿った断面図である。 図７は、図３の線７−７に沿った断面図である。 図８は、本発明の他の形態を示す図５と同様の断面図である。 図９は、本発明の他の形態をも示す図６と同様の断面図である。 図１０は、本発明の改良された弦楽器のもう１つの形態の部分平面図である。 図１１は、図１０の線１１−１１に沿った拡大断面図である。 発明の説明 図面、特に図１および図２を参照すると、本発明の楽器の１つの形態は、そこ に示され、通常数字１４で示されている。楽器１４は、上部壁１８と、離隔され た下部壁２０と、上部壁１８を下部壁２０と相互連結する連続側壁２２とを有す る中空胴１６を含んでいる。 中空胴の上部壁１８に連結されているのは駒アセンブリ２４である。駒アセン ブリ２４は、従来の構造であり、ベース部２４ａおよび直立した弦支持部材２４ ｂ（図６）を含んでおり、細長いネック２８はその第１の端部２８ａに近接した 胴部１６に連結されている。ネック２８には、主軸台３０で終端する第２の端部 ２８ｂが備えられている。主軸台３０に連結されるのは、その目的がまもなく示 される複数の可調整金属製糸巻き部３２としてここに示された弦連結器手段であ る。 従来の構造の複数の弦３６は、一端で駒２４に、その対向端で金属製糸巻き部 ３２の弦連結器手段に連結されている。従来のように、金属製糸巻き部３２は弦 ３６の張りの度合いを増減するように操作できる。 本発明の楽器の１つの形態の重要な特徴は、図６で最も良く分かるように、中 空胴１６の内部に配置され、上部壁１８の下部面１８ａと下部壁２０の上部面２ ０ａとの間に延びる、延ばされた駒４０を備えている。好ましくは、延ばされた 駒４０の上部端４０ａは図６に示されたように駒２４のベース２４ａと非常に接 近している。延ばされた駒４０の対向端４０ｂは下部壁２０の上部面２０ａと係 合している。この配置の場合、楽器の駒アセンブリ２４および上部壁１８で発生 された振動は、延ばされた駒４０を介して下部壁２０に伝えられ、下部壁を上部 壁１８とともに振動させる。 延ばされた駒は、いくつかの形をとることができるが、好ましくは、駒ベース ２４ａに近接して配置されたその上部およびベース壁２０の面２０ａと係合して いるその下部を有する通常円筒状の部材である。 図８および図９に示された本発明の他の実施形態では、延ばされた駒４４は、 駒２４のベース２４ａと係合する上部端および下部壁２０の面２０ａと係合して いる下部端を有する通常管状中空部材の形をとる。この管状の延ばされた駒は、 上部壁１８からの振動を下部壁２０に伝える機能も果たす。 本発明の楽器の他の非常に重要な態様は、ハウジング１６の上部壁、下部壁お よび側壁の複数の効果的に配置された響孔の配置である。前述のように、最も伝 統的な楽器は、複数の弦３６の真下の位置の中空胴の上部壁に備えられた単一の 響孔を有する。このような孔は数字４５で図１に示されている。本発明の本形態 では、この単一の孔４５は下部２０に形成された複数の孔で補足される（図２） 。図２に示された本発明の実施形態では、これらの孔は、ネック部２８のどちら かの側の横方向に離隔された位置の下部壁に備えられる一対の孔４７および４９ を含む。第３の響孔５１は、響孔４７および４９から壁２０の対向端に近接した 中央位置の下部壁２０にも備えられている。 下部壁２０に備えられた複数の響孔に加えて、複数の響孔は、側壁２２に備え られている。本発明の本形態では、これらの響孔は、ネック２８に近接する側壁 ２２に配置されている一対の響孔５３を含んでいる。同様に、通常数字５５で示 される一対の響孔は、図１および図３で最も良く分かるように側壁２２の後部２ ２ａに備えられる。さらに、一対の響孔５７は側壁の中心点に近接する側壁２２ に備えられる。このように中空胴の側面および底部にある響孔の場合、実質的な 多くの振動が楽器から放たれ、それによってより大きい総体的な音量を達成する 。さらに、前述のように、中空胴の側壁および背壁の響孔は、非常に新規な周囲 の音響効果を生じ、同時に、音楽家がよりよい音認識、音量および清澄性がある 中空ハウジングから生じる音の振動をより明瞭に聞くことができるように効果的 に配置されている。 図７に示されるように、響孔の各々は響孔を規定する壁「ｗ」を備えている。 各孔を覆っているのは、壁「ｗ」にはりつけられた織物あるいはプラスティック カバー「ｃ」である。図面に示された楽器の新規の構造の場合、楽器の弦３６が 弾かれる場合、駒２４は音の振動を中空ハウジングの残部に伝える。より詳細に は、中空ハウジングのあらゆる点で振動し、それ自体の音波を出す。したがって 、駒の近くに配置された響孔は、駒から離隔された距離に配置された響孔とは異 なった音を出す。さらに、様々な響孔は、特定の弦３６のその近接の関数として 音響周波数を放射する。例えば、０．０５２ゲージの弦の近くに配置されたサウ ンドポートはより離れて配置された響孔よりも強い低音周波数を出す。同様に、 高い０．０１２ゲージのゲージにより接近してある響孔はより高い周波数を放射 する。弦を弾くことによって中空胴で生じる振動が中空胴に備えられた様々な響 孔によって同時に放たれる場合、楽器からの非常に創造的で独特な音および音質 が達成される。 本発明のもう１つの実施形態は図１０および図１１に示されている。この最新 の実施形態は、多数の点で図１、図８および図９に示された実施形態と同様であ り、同じ数字は同じ部品を識別するために図１０および図１１に示されている。 前述された実施形態の場合のように、延ばされた駒４４は、駒２４のベース２４ ａと係合する上部端および下部壁２０の面２０ａと係合する下部端を有する通常 管状中空部材の形をとる。前述のように、この管状の延ばされた駒は、上部壁１ ８からの振動を下部壁２０に伝える機能を果たす。本発明のこの最新の形式の楽 器の非常に重要な態様は、図１１に示されたように延ばされた駒４４を通る少な くとも１つのギター弦６０の延長部分にある。より詳細には、図１０および図１ １に示すように、弦６０は、下部壁２０に連結された第１の端部６０ａと、図１ に示されるのと同じように金属製糸巻き部３２の１つに連結された第２の対向端 部と、中空駒部材４４内に配置された中間部６０ｂとを有する。 ギターの弦６０が、楽器の裏面から管状部材４４を通って、駒の上部を横切っ て金属製糸巻き部３２に通される場合（図１も参照）、この弦は残りの弦３６と 同様に音の高さを決めるように巻かれる。その結果得られるぴんと張った圧力は 、壁が張った状態で連結されるように楽器の上部壁および下部壁１８および２０ 間 に部材４４を圧縮する傾向がある。ギター胴の上部壁と下部壁との直接連結は、 従来の楽器の場合のような１つの壁だけの代わりに両方の壁を振動させる。した がって、実質的に改良された音量およびサウンドダイナミックスが達成される。 所望ならば、ギターの弦の中の２本以上が、管状部材４４を通って延び、一端 で下部壁２０に連結し、その対向端で金属製糸巻き部３２に連結できることを理 解すべきである。この種の構造によって、上部壁および下部壁のその可変の張り 状態が可能となり、様々なサウンドダイナミックスの達成が可能となる。 既に本発明の要件により本発明は詳細に述べられているが、当業者は特定の要 件あるいは条件を満たすために個別の部品あるいはその相対組み立ての変更およ び修正を行うことが全く困難ではない。このような変更および修正は、下記の請 求の範囲で詳述されるように本発明の範囲および精神を逸脱しない範囲で行うこ とができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ， ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，Ｌ Ｓ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ， ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，Ｅ Ｅ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ， ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．楽器であって、 （ａ）上部壁と、離隔された下部壁と、前記上部壁および下部壁を相互連結す る側壁とを有する中空胴であって、前記上部壁には少なくとも１つの上部響孔が 備えられ、かつ前記壁には第１の上部響孔が備えられていることと、 （ｂ）前記第１の上部響孔に近接する位置で前記中空胴の前記上部壁に連結さ れた駒と、 （ｃ）前記中空胴に連結された第１の端部および主軸台で終端する第２の端部 を有する細長いネックと、 （ｄ）前記主軸台に連結された複数の金属製糸巻き部と、 （ｅ）前記中空胴の内部に配置され、かつ前記中空胴の前記上部壁と前記下部 壁との間に延びる延ばされた中空駒であって、前記延ばされた中空駒が前記駒の 真下に配置されていることと、 （ｆ）各々が前記駒に連結された一端を有し、かつ前記金属製糸巻き部の中の 選択された１つに連結された対向端を有する複数の弦と、 （ｇ）第１の端部、第２の端部および中間部を有する少なくとも１本の弦は、 前記第１の端部が前記下部壁に連結され、前記第２の端部が前記金属製糸巻き部 の１つに連結され、中間部が前記延ばされた中空駒を通って延びるようにされて いることを特徴とする楽器。 ２．前記中空の延ばされた駒が円筒状部材からなることを特徴とする請求項１に 記載の楽器。 ３．前記中空の延ばされた駒が前記駒の真下に配置され、かつ前記中空胴の前記 上部壁から通常垂直に延びることを特徴とする請求項２に記載の楽器。 ４．前記上部壁には前記第１の響孔から離隔された第２の響孔が備えられている ことを特徴とする請求項１に記載の楽器。 ５．前記下部壁には少なくとも１つの響孔が備えられていることを特徴とする請 求項１に記載の楽器。 ６．前記側壁には複数の離隔された響孔が備えられていることを特徴とする請求 項１に記載の楽器。 ７．前記下部壁には複数の離隔された響孔が備えられていることを特徴とする請 求項６に記載の楽器。