JP2002506886A - 抗腫瘍免疫亢進 - Google Patents

抗腫瘍免疫亢進

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JP2002506886A
JP2002506886A JP2000536870A JP2000536870A JP2002506886A JP 2002506886 A JP2002506886 A JP 2002506886A JP 2000536870 A JP2000536870 A JP 2000536870A JP 2000536870 A JP2000536870 A JP 2000536870A JP 2002506886 A JP2002506886 A JP 2002506886A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、患者に同種異系抗原提示細胞を投与することにより、抗原特異的免疫反応を誘導するための方法を提供する。別の側面において、患者に有効量の自己抗原提示細胞を共投与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願に対するクロス・リファレンス 本出願は、1998年3月20に提出された米国仮特許出願第60/078,
900号に対し、35 U.S.C.§119(e)下に優先権を請求し、前記
仮特許出願の内容は、本開示に援用される。技術分野 本発明は、分子免疫学および医学の分野にある。特に、抗原特異的免疫反応を
誘導する方法が提供される。背景 医学研究の多くの進歩にも関わらず、癌は、米国における死の第二の主要な原
因のままである。産業化国家において、およそ5人に1人が癌で死ぬであろう。
臨床的ケアの伝統的方式、例えば外科的切除、放射線療法および化学療法は、特
に固形癌に対し、かなりの失敗率を有する。失敗は、最初の腫瘍が無反応である
ため、または元来の部位での再増殖および/または転移による再発のため、起こ
る。
【0002】 細胞免疫療法は、技術的にそして知識的に注目せずにいられない抗癌治療とし
て現れてきている。腫瘍に対する免疫反応の生成が、いくつかの動物モデルで立
証されてきており、そしてヒトにおける自発的腫瘍退行の報告から推論されてき
ている(StotterおよびLotze(1990)Cancer Cell
s 2:44−55)。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応は、腫瘍が発生す
る分子機構を先に知る必要なしに、in vivoおよびin vitro両方
で、腫瘍細胞により特異的に提示される抗原に対して向けることが可能である。
動物モデルにおいて、樹立された腫瘍は、悪性細胞に特異的に免疫性である教育
されたT細胞の養子移入により根絶することが可能である(Beunら(199
4)Immunol. Today 15:11−15)。発明の開示 最も一般的な側面において、本発明は、患者に有効量の同種異系APCを投与
することにより、患者において抗原特異的免疫反応を誘導する方法を提供する。
1つの態様において、方法はさらに、有効量の自己APCを投与することを含む
。APCは、患者において抗原特異的免疫反応を誘発する条件下で投与される。
自己APC、例えば樹状細胞は、細胞傷害性Tリンパ球に抗原を提示し、そして
抗原特異的反応を引き出すであろう。同種異系APCは、最も適切には普遍的A
PC(以下に定義される)であり、また樹状細胞であってもよく、自己細胞と同
じ領域へと通るであろうが、アロ反応性(alloreactive)Tリンパ
球から強い反応を引き出し、刺激性サイトカインの局所的放出を生じ、該サイト
カインは抗抗原反応を増幅し、そして抗原発現細胞、例えば腫瘍細胞の破壊を促
進するであろう。発明を実施するための形態 本開示全般に渡り、多様な刊行物、特許および刊行特許明細書は、同定する引
用により参照しやすく載せる。これらの刊行物、特許および刊行特許明細書の開
示は、本発明が関連する当該技術分野の状態をより完全に記載するため、本開示
に援用される。
【0003】 別に示されない限り、本発明の実施は、技術の範囲内である、分子生物学、微
生物学、細胞生物学、免疫学および組換えDNAの慣用技術を使用するであろう
。例えばSambrook, FritschおよびManiatis, MO
LECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL
, 第2版(1989);CURRENT PROTOCOLS IN MOL
ECULAR BIOLOGY(F.M. Ausubelら監修,(1987
));一連のMETHODS IN ENZYMOLOGY(Academic
Press, Inc.);ANTIBODIES: A LABORATO
RY MANUAL(E. HarlowおよびD. Lane監修(1988
));PCR 2: A PRACTICAL APPROACH(M.J.
MacPherson, B.D. HamesおよびG.R. Taylor
監修(1995))並びにANIMAL CELL CULTURE(R.I.
Freshney監修(1987))を参照されたい。
【0004】 定義 本明細書において、特定の用語は、以下に定義される意味を有する可能性があ
る。
【0005】 本明細書および請求項において、単数型“a”、“an”および“the”は
、文脈が明らかに別に指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、「1つの細
胞(a cell)」という用語は、複数の細胞を含み、その混合物も含む。
【0006】 「癌」、「新生物」、および「腫瘍」という用語は、交換可能に用いられ、そ
して単数型でもまたは複数形でも、宿主生物に病原性であるようにする、悪性ト
ランスフォーメーションを経験している細胞を指す。初代癌細胞(すなわち悪性
トランスフォーメーションの部位の近くから得られた細胞)は、よく確立された
技術、特に組織学的検査により、非癌性細胞から容易に区別することが可能であ
る。癌細胞の定義は、本明細書において、初代癌細胞のみでなく、癌細胞祖先由
来のいかなる細胞も含む。これには、転移癌細胞、および癌細胞由来のin v
itro培養および細胞株が含まれる。通常固形癌として現れる種類の癌に言及
する際、「臨床的に検出可能な」腫瘍は;例えばCATスキャン、磁気共鳴画像
(MRI)、X線、超音波または触診などの方法により、腫瘍塊に基づき検出可
能であるものである。生化学的または免疫学的知見のみでは、この定義を満たす
には不充分である。
【0007】 「遺伝子修飾されている」という用語は、続いて該細胞またはその子孫の遺伝
子型または表現型を修飾する、異質の(foreign)遺伝子または核酸配列
を含むおよび/または発現することを意味する。言い換えれば、該用語は、細胞
の内因性ヌクレオチドに対するいかなる付加、欠失または破壊も指す。
【0008】 本明細書において、「サイトカイン」という用語は、細胞に多様な影響、例え
ば成長または増殖の誘導を及ぼす多くの因子のいかなる1つでもよいものを指す
。本発明の実施において、単独でまたは組み合わせて用いてもよいサイトカイン
の、限定されない例には、インターロイキン−2(IL−2)、幹細胞因子(S
CF)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン6(IL−6)、
インターロイキン12(IL−12)、G−CSF、顆粒球マクロファージ・コ
ロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−1アルファ(IL−1α
)、インターロイキン−11(IL−11)、MIP−1α、白血病阻害因子(
LIF)、c−kitリガンド、トロンボポエチン(TPO)およびflt3リ
ガンドが含まれる。本発明はまた、1つまたはそれ以上のサイトカインが特異的
に培地から除かれている培養条件も含む。サイトカインはいくつかの業者から商
業的に入手可能であり、例えばGenzyme(マサチューセッツ州ファーミン
ガム)、Genentech(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、A
mgen(カリフォルニア州サウザンドオークス)、R&D Systemsお
よびImmunex(ワシントン州シアトル)などがある。常に明快に言及され
るわけではないが、野生型または精製サイトカイン(例えば組換え的に産生され
たものまたはその突然変異タンパク質(mutein))と同様の生物学的活性
を有する分子は、本発明の精神および範囲内で用いられることが意図される。
【0009】 「抗原提示細胞」または「APC」という用語は、損なわれていない(int
act)全細胞と共に、好ましくはクラスI MHC分子と関連し、1つまたは
それ以上の抗原の提示を誘導することが可能な他の分子も含む。適切なAPCの
例は、以下に詳細に論じられ、そして限定されるわけではないが、マクロファー
ジ、樹状細胞、B細胞などの全細胞;β2−ミクログロブリンと複合体化してい
る精製MHCクラスI分子;および里親(foster)抗原提示細胞が含まれ
る。
【0010】 樹状細胞(DC)は強力な抗原提示細胞(APC)である。DCがT細胞活性
化および増殖に必要なすべてのシグナルを提供することが示されてきている。こ
れらのシグナルは、2つの種類に分類することが可能である。第一の種類は、免
疫反応に特異性を与え、T細胞受容体/CD3(「TCR/CD3」)複合体お
よびAPC細胞表面上の主要組織適合遺伝子複合体(「MHC」)クラスIまた
はIIタンパク質により提示される抗原性ペプチドの間の相互作用を通じ、仲介
される。この相互作用は、T細胞活性化が起こるのに必要であるが十分ではない
。実際、第二の種類のシグナルなしには、第一の種類のシグナルは、T細胞アネ
ルギーを生じる可能性がある。第二の種類のシグナルは、補助的刺激(co−s
timulatory)シグナルと呼ばれ、抗原特異的でもMHCに制限されて
もいず、そして第一の種類のシグナルの存在下で、T細胞の完全な増殖反応およ
びT細胞エフェクター機能の誘導を導くことが可能である。本明細書において、
「樹状細胞」には、限定されるわけではないが、パルス標識(pulsed)樹
状細胞、里親抗原提示細胞または樹状細胞ハイブリッドが含まれるものとする。
【0011】 本明細書において、「サイトカイン」という用語は、細胞に多様な影響、例え
ば成長または増殖の誘導を及ぼす多くの因子のいかなる1つでもよいものを指す
。本発明の実施において、単独でまたは組み合わせて用いてもよいサイトカイン
の、限定されない例には、インターロイキン−2(IL−2)、幹細胞因子(S
CF)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン6(IL−6)、
インターロイキン12(IL−12)、G−CSF、顆粒球マクロファージ・コ
ロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−1アルファ(IL−1α
)、インターロイキン−11(IL−11)、MIP−1α、白血病阻害因子(
LIF)、c−kitリガンド、トロンボポエチン(TPO)およびflt3リ
ガンドが含まれる。本発明はまた、1つまたはそれ以上のサイトカインが特異的
に培地から除かれている培養条件も含む。サイトカインはいくつかの業者から商
業的に入手可能であり、例えばGenzyme(マサチューセッツ州ファーミン
ガム)、Genentech(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、A
mgen(カリフォルニア州サウザンドオークス)、R&D Systemsお
よびImmunex(ワシントン州シアトル)などがある。常に明快に言及され
るわけではないが、野生型または精製サイトカイン(例えば組換え的に産生され
たものまたはその生物学的に同等な変異体(variant))と同様の生物学
的活性を有する分子は、本発明の精神および範囲内で用いられることが意図され
る。
【0012】 「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」という用語は、T細胞に対す
る抗原提示および迅速な移植片拒絶反応に必要とされる細胞表面分子をコードす
る遺伝子の複合体を指す。ヒトにおいて、MHC複合体はまた、HLA複合体と
しても知られる。MHC複合体にコードされるタンパク質は「MHC分子」とし
て知られ、そしてクラスIおよびクラスII MHC分子に分類される。クラス
I MHC分子は、β2−ミクログロブリンと非共有的に結合している、MHC
にコードされる鎖で構成される、膜へテロ二量体タンパク質を含む。クラスI
MHC分子は、ほぼすべての有核細胞により発現され、そしてCD8+ T細胞
に対する抗原提示において機能することが示されてきている。ヒトにおいて、ク
ラスI分子にはHLA−A、−B、および−Cが含まれる。クラスI分子は、一
般的に長さ8−10アミノ酸のペプチドに結合する。クラスII MHC分子も
また、非共有的に結合しているαおよびβ鎖からなる膜へテロ二量体タンパク質
を含む。クラスII MHCは、CD4+ T細胞に対する抗原提示に関与する ことが知られ、そしてヒトにおいて、HLA−DP、−DQ、およびDRが含ま
れる。クラスII分子は、一般的に長さ12−20アミノ酸残基のペプチドに結
合する。「MHC制限」という用語は、抗原がプロセシングされ、そして生じた
抗原性ペプチドが自己クラスIまたはクラスII MHC分子のいずれかと結合
して示された後にのみ、該抗原を認識することを可能にするT細胞の特性を指す
。MHCを同定しそして比較する方法は、技術的に知られ、そしてAllenら
(1994)Human Imm. 40:25−32;Santamaria
ら(1993)Human Imm. 37:39−50;およびHurley
ら(1997)Tissue Antigens 50:401−415に記載
されている。
【0013】 「宿主細胞」は、ベクターまたは外因性核酸分子、ポリヌクレオチドおよび/
またはタンパク質の取り込みのレシピエントになる可能性がある、あるいはレシ
ピエントになっている、いかなる個々の細胞または細胞培養も含むと意図される
。宿主細胞は単一の細胞の子孫を含むとも意図され、そして該子孫は自然、偶然
、または意図的突然変異のため、必ずしも元来の親細胞に(形態においてあるい
はゲノムまたは総DNA相補性において)完全に同一でなくてもよい。細胞は原
核でもまたは真核でもよく、そして限定されるわけではないが、細菌細胞、酵母
細胞、動物細胞、および哺乳動物細胞、例えばネズミ、ラット、サルまたはヒト
が含まれる。「抗体」は、抗原に結合することが可能な免疫グロブリン分子であ
る。本明細書において、該用語は、損なわれていない免疫グロブリン分子だけで
なく、抗イディオタイプ抗体、突然変異体、断片、融合タンパク質、ヒト化タン
パク質および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の修
飾も含む。
【0014】 「抗体複合体」は、(上記に定義されるような)抗体およびその結合パートナ
ーまたはリガンドの組み合わせである。 天然抗原は、患者において免疫反応を誘導する、ポリペプチド、タンパク質ま
たはエピトープを含む断片である。
【0015】 「有効量」は有益なまたは望ましい結果を達成するのに十分な量である。有効
量は、1回またはそれ以上の投与、適用または投薬で投与してもよい。本発明の
ポリヌクレオチドは、経皮、経口、皮下、筋内、静脈内または非経口に投与しま
たは適用してもよい。本発明の目的のための、ポリヌクレオチドの有効量は、患
者において抗原特異的免疫反応を誘発する量である。
【0016】 「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は、いかなる長さのヌク
レオチドのポリマー型をも指すよう、交換可能に用いられる。ポリヌクレオチド
は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはその類似体
(analog)を含んでもよい。ヌクレオチドは、いかなる三次元構造を有し
てもよく、そして既知または未知のいかなる機能を実行してもよい。「ポリヌク
レオチド」という用語には、一本、二本鎖および三重らせん分子を含む。
【0017】 「オリゴヌクレオチド」は、約5および約100ヌクレオチドの間の一本また
は二本鎖DNAのポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドはまた、オリゴ
マーまたはオリゴとしても知られ、そして遺伝子から単離しても、または技術的
に知られる方法により化学的に合成してもよい。「プライマー」は、酵素仲介核
酸合成の開始のため3’−ヒドロキシル末端を提供する、通常一本鎖のオリゴヌ
クレオチドを指す。
【0018】 以下は、ポリヌクレオチドの限定されない態様である:遺伝子または遺伝子断
片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cD
NA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター
、いかなる配列でもよい単離DNA、いかなる配列でもよい単離RNA、核酸プ
ローブ、およびプライマー。核酸分子はまた、修飾核酸分子、例えばメチル化核
酸分子および核酸分子類似体も含んでもよい。プリンおよびピリミジンの類似体
は技術的に知られ、そして限定されるわけではないが、アジリジニシトシン、4
−アセチルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボ
キシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチル−アミノメ
チルウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン
、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2
,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチ
ルシトシン、5−メチルシトシン、プソイドウラシル、5−ペンチルニルウラシ
ルおよび2,6−ジアミノプリンが含まれる。デオキシリボ核酸において、チミ
ンに対する置換としてのウラシルの使用もまた、ピリミジンの類似型と見なされ
る。例としてのみであり、そして本発明を限定するものではないが、ポリヌクレ
オチドはペプチド、リボザイムまたはアンチセンス配列をコードする。
【0019】 「PCRプライマー」は、Taqポリメラーゼのような熱安定性ポリメラーゼ
、および、1つは増幅する配列の1つの端の(+)鎖に相補的であり、そしても
う一方は、別の端の(−)鎖に相補的である、2つのオリゴヌクレオチドプライ
マーを用い、DNA塩基配列を増幅するための方法である、「ポリメラーゼ連鎖
反応」または「PCR」で用いられるプライマーを指す。新たに合成されたDN
A鎖は、引き続き、同一プライマー配列のさらなるテンプレートとして働くこと
が可能であるため、プライマーアニーリング、鎖伸長、および解離の連続する循
環は、望ましい配列の指数的でそして非常に特異的な増幅を生じる(例えば、P
CR 2: A PRACTICAL APPROACH、上記を参照されたい
)。PCRはまた、DNA試料における定義された配列の存在を検出するのに用
いることも可能である。
【0020】 「タンパク質」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「ペプチド」
は、いかなる長さのアミノ酸のポリマーをも指すよう、交換可能に用いられる。
ポリマーは直鎖でもまたは分枝でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、そして
非アミノ酸により中断されていてもよい。該用語はまた、自然にまたは干渉によ
り修飾されているアミノ酸ポリマーも含み:これには例えば、ジスルフィド結合
形成、糖鎖付加、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識構成要素との結合
など、他のいかなる操作または修飾も含まれる。やはり該定義に含まれるのは、
例えば、アミノ酸の1つまたはそれ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸など
を含む)と共に技術的に知られる他の修飾を含むポリペプチドである。
【0021】 「培養」という用語は、多様な種類の培地上または培地中での細胞または生物
のin vitro増殖を指す。培養中の細胞増殖の子孫は、親細胞に(形態学
的に、遺伝学的に、または表現型で)完全に同一でない可能性があることが理解
される。「拡大(expanded)」により、細胞のいかなる増殖または分裂
も意味する。
【0022】 「患者」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺
乳動物には、限定されるわけではないが、ネズミ、サル、ヒト、農場動物、スポ
ーツ用動物、およびペットが含まれる。
【0023】 「組成」は、活性剤、および不活性(例えば、検出可能な剤または標識)また
は活性の、例えばアジュバントのような、別の化合物または組成物の組み合わせ
を意味する。1つの特有な側面において、本発明の組成は、形質導入APCおよ
び患者に投与するのに適した薬学的に許容しうるキャリアーを含む。「薬剤組成
物」は、活性剤と、不活性または活性で、該組成物をin vitro、in
vivoまたはex vivoの診断または治療的使用に適したものにするキャ
リアーの組み合わせを含むことが意図される。
【0024】 本明細書において、「薬学的に許容しうるキャリアー」という用語は、いかな
る標準的な薬学的キャリアー、例えばリン酸緩衝生理食塩水溶液、水、および乳
化物、例えば油/水または水/油乳化物、並びに多様な種類の湿潤剤も含む。該
組成物はまた、安定化剤または保存剤も含んでもよい。キャリアー、安定化剤お
よびアジュバントの例は、Martin, REMINGTON’S PHAR
M. SCI.,第15版(Mack Publ. Co.,イーストン(19
75))を参照されたい。
【0025】 「補助的刺激分子」は、抗原提示細胞およびT細胞の表面上に発現する受容体
・リガンド対の間の相互作用に関与する。過去数年に渡り蓄積した研究により、
休止T細胞は、サイトカイン遺伝子発現および増殖の誘導のため、少なくとも2
つのシグナルを必要とする可能性が高いことが立証されてきている(Schwa
rtz R.H.(1990)Science 248:1349−1356お
よびJenkins M.K.(1992)Immunol. Today 1
3:69−73)。特異性を与える1つのシグナルは、TCR/CD3複合体の
適切なMHC/ペプチド複合体との相互作用により生じる可能性がある。第二の
シグナルは抗原特異的ではなく、そして「補助的刺激」シグナルと呼ばれる。本
シグナルは、元来、骨髄由来補助細胞、例えばマクロファージおよび樹状細胞、
いわゆる「専門(professional)」APCにより提供される活性と
して定義された。いくつかの分子は、補助的刺激活性を亢進することが示されて
きている。これらは熱安定性抗原(HSA)(Liu Y.ら(1992)J.
Exp. Med. 175:437−445);コンドロイチン硫酸修飾M
HC不変鎖(Ii−CS)(Naujokas M.F.ら(1993)Cel
l 74:257−268);細胞内接着分子1(ICAM−1)(Van S
eventer, G.A.(1990)J. Immunol. 144:4
579−4586);およびB7−1およびB7−2/B70(Schwart
z R.H.(1992)Cell 71:1065−1068)である。1つ
の典型的な受容体・リガンド対は、APCの表面上のB7補助的刺激分子および
T細胞上のその対受容体CD28またはCTLA−4である(Freemanら
(1993)Science 262:909−911;Youngら(199
2)J. Clin. Invest. 90:229;およびNabaviら
(1992)Nature 360:266−268)。他の重要な補助的刺激
分子は、CD40、CD54、CD80、CD86である。本明細書において、
「補助的刺激分子」という用語は、T細胞の表面上のTCRが結合しているペプ
チド/MHC複合体と共に作用する際、該ペプチドに結合するT細胞の活性化を
達成する補助的刺激効果を提供する、いかなる単一の分子または分子の組み合わ
せも含む。該用語はしたがって、B7、またはAPCのような抗原提示マトリッ
クス上の他の補助的刺激分子、それらの断片(単独、別の分子との複合体型、ま
たは融合タンパク質の一部として)であって、ペプチド/MHC複合体と共に、
同系(cognate)リガンドと結合し、そしてT細胞の表面上のTCRが該
ペプチドと特異的に結合する際、T細胞の活性化を生じるものを含む。補助的刺
激分子は、例えばBeckman Coulterを含む、多様な供給源から商
業的に入手可能である。常に明快に言及されるわけではないが、野生型または精
製補助的刺激分子(例えば組換え的に産生されたものまたはその突然変異タンパ
ク質)と同様の生物学的活性を有する分子は、本発明の精神および範囲内で用い
られることが意図される。
【0026】 「免疫反応を調節する」という用語は、免疫反応を誘導する(増加させる、引
き出す)こと;および免疫反応を減少させる(抑制する)ことを含む。免疫調節
法(またはプロトコル)は、患者において免疫反応を調節するものである。
【0027】 本明細書において、「患者において免疫反応を誘導する」という用語は、当該
技術分野によく理解される用語であり、そして患者に抗原(またはエピトープ)
を導入した後、(あるとすれば)患者に抗原(またはエピトープ)を導入する前
の免疫反応に比べ、抗原(またはエピトープ)に対する免疫反応で、少なくとも
約2倍の増加、より好ましくは少なくとも約5倍、より好ましくは少なくとも約
10倍、より好ましくは少なくとも約100倍、さらにより好ましくは少なくと
も約500倍、さらにより好ましくは少なくとも約1000倍またはそれ以上を
検出する(測定する)ことが可能であることが意図される。抗原(またはエピト
ープ)に対する免疫反応には、限定されるわけではないが、抗原特異的(または
エピトープ特異的)抗体の産生、および抗原(またはエピトープ)に特異的に結
合する分子をその表面上に発現している免疫細胞の産生が含まれる。既定の抗原
(またはエピトープ)に対する免疫反応が誘導されているか決定する方法は、技
術的に周知である。例えば、抗原特異的抗体は、技術的に知られる多様なイムノ
アッセイのいずれを用い検出してもよく、該アッセイには、限定されるわけでは
ないが、例えば固定化抗原(またはエピトープ)への試料中の抗体の結合を、検
出可能であるように標識されている第二の抗体(例えば、酵素標識マウス抗ヒト
Ig抗体)で検出する、ELISAが含まれる。抗原に特異的な免疫エフェクタ
ー細胞は、当業者に知られる多様なアッセイのいずれを用い検出してもよく、該
アッセイには、限定されるわけではないが、FACS、またはCTLの場合には 51 Cr放出アッセイ、または3Hチミジン取り込みアッセイが含まれる。
【0028】 本明細書において、「含む」という用語は、組成物および方法が列挙される要
素を含むが、他のものを排除しないことを意味するよう意図される。組成物およ
び方法を定義する際に用いられる「本質的に…からなる」は、他の、該組み合わ
せにいかなる本質的な重大性を持つ要素も排除することを意味すると定める。し
たがって、本質的に本明細書に定義されるような要素からなる組成物は、単離お
よび精製法からの微量の汚染物質、並びにリン酸緩衝生理食塩水、保存剤および
それらに匹敵するものなどの薬学的に許容しうるキャリアーを排除しないであろ
う。「からなる」は、他の成分および本発明の組成物を投与するための実質的な
方法段階の微量要素以上のものを排除することを意味すると定める。これらの推
移用語(transition term)の各々により定義される態様は、本
発明の範囲内である。
【0029】 本発明は、抗原特異的免疫反応を、そして特に腫瘍抗原に対する免疫反応を誘
発するための方法を提供する。特に、本発明は、アロ反応性(異質のMHC抗原
に対する反応性)が、普遍的で強い免疫反応であり、CD4+およびCD8+Tリ
ンパ球の活性化を導くという事実を利用する。MHCクラスIおよびクラスII
抗原を高密度で示す樹状細胞(DC)は、アロ反応性T細胞の特に強力な刺激因
子であり、これは混合リンパ球反応で確認されてきている(図1を参照されたい
)。本発明において、DCが強力なアロ反応性を引き出す能力は、適切な腫瘍関
連抗原(TAA)を発現している自己MHC適合DCで同時に刺激される、腫瘍
特異的Tリンパ球の活性化促進に利用される。本発明の特有の側面において、A
PCは、同一および関連しない被験者から精製される樹状細胞である。あるいは
、造血細胞系譜のより未発達な細胞を単離し、そして樹状細胞集団のため強化さ
れている適切な増殖因子中で培養する。高頻度アロ反応性Tリンパ球による刺激
性サイトカインの放出は、腫瘍特異的Tリンパ球のより弱い反応を維持しそして
増幅する。1つの態様において、同種異系細胞のみを患者に投与し、免疫反応を
誘導する。好ましい態様において、同種異系APCに目的の抗原、すなわちそれ
に対し免疫反応を生じさせようとする抗原を装填する。
【0030】 本発明の方法は、患者に対する同種異系および自己抗原提示細胞(APC)の
共投与を含み、ここで自己APCは、それに対し免疫反応を生じさせる抗原を発
現する。癌遺伝子治療の背景において、本発明は、抗原、および特にTAAに対
する宿主免疫反応を増幅する手段を提供する。1つの側面において、そして技術
的に知られそして以下に簡潔に記載される方法を用い、APCを精製し、自己A
PCを患者から精製し、そして関連がない被験者からの、そして目的の抗原を発
現しているAPCを精製し、それらをその後、静脈内または皮内投与する。さら
なる側面において、これらのAPCに目的の抗原、例えばgp 100、MAR
T1、MUC−1をコードするポリヌクレオチドを形質導入する。抗原をコード
するポリヌクレオチドは、同一のまたは同様の種由来であってもよく、例えば、
ヒトgp 100をコードする遺伝子を自己APCに形質導入してもよい。
【0031】 本発明のTAAをコードするポリヌクレオチドは、1つの態様において、先に
性質決定されている腫瘍関連抗原、例えばgp 100(Kawakamiら(
1997)Intern. Rev. Immunol. 14:173−19
2)、MUC−1(Hendersonら(1996)Cancer Res.
56:3763−3770)、MART−1(Kawakamiら(1994
)Proc. Natl. Acad. Sci. 91:3515−3519
;Kawakamiら(1997)Intern. Rev. Immunol
. 14:173−192;Ribasら(1997)Cancer Res.
57:2865−2869)、HER−2/neu(米国特許第5,550,
214号)、MAGE(PCT/US92/04354)、HPV16、18E
6およびE7(Ressingら(1996)Cancer Res. 56(
1):582−588;Restifo(1996)Current Opin
ion in Immunol. 8:658−663;Stern(1996
)Adv. Cancer Res. 69:175−211;Tindleら
(1995)Clin. Exp. Immunol. 101:265−27
1;van Drielら(1996)Annals of Medicine
28:471−477)、CEA(米国特許第5,274,087号)、PS
A(Lundwall, A.(1989)Biochem. Biophys
. Research Communications 161:1151−5
9)、前立腺膜特異的抗原(PSMA)(Israeliら(1993)Can
cer Research 53:227−30)、チロシナーゼ(米国特許第
5,530,096号および第4,898,814号;Brichardら(1
993)J. Exp. Med. 178:489−49)、チロシナーゼ関
連タンパク質1または2(TRP−1およびTRP−2)、NY−ESO−1(
Chenら(1997)Proc. Natl. Acad. Sci. U.
S.A. 94:1914−18)、またはGA733抗原(米国特許第5,1
85,254号)であってもよい。典型的な抗原の配列は、図1から4に提供さ
れる。ヒトおよびネズミMUC1コード配列は、Genbank寄託番号第M3
5093号およびM64928号下に提供される。
【0032】 本発明のさらなる側面において、まだ同定されていない抗原であって、本明細
書に記載される方法を用い、同定されそして配列決定される前記抗原をコードす
るポリヌクレオチドを細胞に形質導入してもよい。
【0033】 細胞は、宿主APC内に挿入ポリヌクレオチドを運ぶことが可能ないかなる剤
でもよい「遺伝子搬送ビヒクル(vehicle)」を用い、形質導入される。
遺伝子搬送ビヒクルの例は、リポソーム、ウイルス、例えばバキュロウイルス(
baculovirus)、アデノウイルス(adenovirus)、および
レトロウイルス(retrovirus)、バクテリオファージ、コスミド、プ
ラスミド、真菌ベクター、並びに多様な真核および原核宿主での発現に関し記載
されてきており、そして単純なタンパク質発現と共に遺伝子治療に用いることも
可能である、当該技術分野で典型的に用いられる他の組換えビヒクルである。
【0034】 技術的に周知の方法を用い、ポリヌクレオチドをベクターゲノムに挿入する。
例えば、適切な条件下で、挿入およびベクターDNAを制限酵素と接触させ、各
分子上に、互いに対を形成し、そしてリガーゼで共に連結させることが可能な相
補的末端を生成してもよい。あるいは、制限酵素処理したポリヌクレオチド末端
に、合成核酸リンカーを連結してもよい。これらの合成リンカーはベクターDN
A中の特定の制限部位に対応する核酸配列を含む。さらに、終止コドンおよび適
切な制限部位を含むオリゴヌクレオチドを、例えば以下のいくつかまたはすべて
を含むベクターに挿入するため、連結してもよい:選択可能マーカー遺伝子、例
えば哺乳動物細胞における安定または一過性トランスフェクタントを選択するた
めのネオマイシン遺伝子;高レベル転写のための、ヒトCMVの極初期遺伝子由
来のエンハンサー/プロモーター配列;mRNA安定のための、SV40由来の
転写終結およびRNAプロセシングシグナル;適切なエピソーム複製のための、
SV40ポリオーマ複製起点およびColE1;多用途マルチクローニングサイ
ト;並びにセンスおよびアンチセンスRNAのin vitro転写のためのT
7およびSP6 RNAプロモーター。他の手段が技術的に周知であり、そして
利用可能である。
【0035】 このように、APCによる腫瘍関連抗原などの抗原の提示は、強い免疫反応を
引き出し、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)などの抗原特異的免疫エフェクター
細胞による腫瘍細胞の破壊を生じる。CTL反応の誘導は、療法に対する陽性反
応に関しアッセイする1つの方法であり、そして本発明の方法において有用な新
規因子の生物学的活性を確認する手段である。腫瘍中に多数のT細胞が存在する
ことは、いくつかの症例で予後的に好ましい所産と関連付けられてきている(W
hitesideおよびParmiani(1994)Cancer Immu
nol. Immunother. 39:15−21)。Woollyら(1
995)Immunology 84:55−63は、放射線照射腫瘍細胞を含
むポリウレタンスポンジを移植すると、効果的に抗腫瘍CTLを捕捉することが
可能であることを示してきている(リンパ液より4倍多く、脾臓または末梢血よ
り50倍多い)。適切に提示されている認識抗原の存在下で、T細胞サイトカイ
ンで刺激した後、TILは培養中で増殖し、そして強力な抗腫瘍細胞溶解特性を
獲得する。Weidmannら(1994)Cancer Immunol.
Immunother. 39:1−14。T細胞反応を測定するアッセイは技
術的に周知であり、そして療法の前にそして療法に続いて、T細胞数および活性
を比較するであろういかなる方法を利用してもよい。
【0036】 APC、例えばDCの細胞質ゾルにおける抗原発現を導く、いくつかの異なる
技術が記載されてきている。これらには、(1)腫瘍細胞から単離されたRNA
のAPCへの導入、(2)抗原の内因性発現を誘導する組換えベクターでのAP
Cの感染、および(3)リポソームを用いたDC細胞質ゾルへの腫瘍抗原の導入
が含まれる(Boczkowski, D.ら(1996)J. Exp. M
ed. 184:465−472;Rouseら(1994)J. Virol
. 68:5685−5689;およびNairら(1992)J. Exp.
Med. 175:609−612を参照されたい)。Pagliaら(J.
Exp. Med. 183:317−322(1996))は、in vi
troで全タンパク質とインキュベーションしたAPCは、MHCクラスI制限
CTLに認識され、そしてこれらのAPCで動物を免疫化すると、in viv
oで抗原特異的CTLの発達が導かれることを示してきている。患者への投与前
に、以下に詳細に示される方法を用い、遺伝子導入および発現をアッセイしても
よい。
【0037】 腫瘍細胞および腫瘍関連抗原の単離 抗原は先に性質決定されている抗原、例えばgp 100、MARTまたはM
UC−1であってもよいし、またはまだ同定されていない抗原であってもよい。
TAAの単離に用いてもよい腫瘍細胞は、技術的に知られるいかなる方法を用い
、単離してもよい。1つの態様において、生検試料を刻み、そして細胞懸濁物を
生成する。好ましくは、技術的に周知の方法を用い、腫瘍細胞を他の細胞(例え
ば免疫エフェクター細胞、例えばT細胞)から分離する。
【0038】 物理的な分離技術の使用には、限定されるわけではないが、物理的(密度勾配
遠心分離および向流遠心分離洗い分け(elutriation)、細胞表面(
レクチンおよび抗体親和性)、および生命染色特性(ミトコンドリア結合色素r
ho123およびDNA結合色素Hoechst 33342)の相違に基づく
ものが含まれる。
【0039】 モノクローナル抗体は、特定の細胞系譜および/または分化段階に関連するマ
ーカーを同定するのに有用な別の試薬であり、該抗体を用いてもよい。抗体を固
体支持体に結合させ、大雑把に分離させてもよい。使用する分離技術は、収集す
る分画の生存度を最大に保持するべきである。異なる有効性の多様な技術を使用
し、「比較的大雑把な」分離を得てもよい。こうした分離は、保持される細胞集
団にマーカーを持たない細胞が、総細胞の10%まで、通常約5%より少なく、
好ましくは約1%より少なく存在する可能性がある。使用する特定の技術は、分
離効率、関連する細胞毒性、実行の容易さおよび速さ、並びに洗練された装置お
よび/または技術の必要性に依存するであろう。
【0040】 抗原の同定 本発明で使用するための腫瘍抗原を同定するのに、いかなる慣用的な方法、例
えば正常および腫瘍細胞のサブトラクションライブラリー、比較ノーザンおよび
/またはウェスタンブロット解析、連続解析遺伝子発現(erial na
lysis ene xpression)または「SAGE」(米国特許
第5,695,937号)および固相エピトープ回収(olid PHase
pitope REcovery)(PCT WO 97/35035に記
載される「SPHERE」)を用いてもよい。
【0041】 腫瘍抗原の探索における別の一般的な戦略は、腫瘍特異的T細胞を単離するこ
とおよびT細胞に認識される抗原を同定する試みである。癌患者において、特異
的CTLは腫瘍部位に存在するリンパ球性浸潤物から得られてきている。Wei
dmannら、上記。これらのTILは、インジウムで標識し、そして養子移入
した際、疾患部位まで逆にたどることが可能である、特有の細胞集団である。あ
るいは、多数の推定上の抗原のライブラリーを産生し、そして試験してもよい。
「ファージ法」(ScottおよびSmith(1990)Science 2
49:386−390;Cwirlaら(1990)Proc. Natl.
Acad. Sci. 87:6387−6382;Devlinら(1990
)Science 249:404−406)を用い、非常に大きなライブラリ
ーを構築してもよい。別のアプローチは、主に化学的方法を用い、Geysen
法(Geysenら(1986)Mol. Immunol. 23:709−
715;Geysenら(1987)J. Immunol. Method
102:259−274)およびFodorら(1991)Science 2
51:767−773の方法が例である。Furkaら(1988)14th
Inter. Cong. Bio. Vol.5, Abst. FR:01
3;Furka(1991)Inter. J. Peptide Prote
in Res. 37:487−493、Houghton(1986年12月
に発行された米国特許第4,683,211号)およびRutterら(199
1年4月23日に発行された米国特許第5,010,175号)は、アゴニスト
またはアンタゴニストとして試験されることが可能な、ペプチドの混合物を産生
する方法を記載する。
【0042】 上述のSAGE解析を使用し、CTLなどの拡大免疫エフェクター細胞に認識
される抗原を同定してもよい。簡潔には、SAGE解析は(1)抗原発現集団お
よび(2)その抗原を発現していない細胞から相補的なデオキシリボ核酸(cD
NA)を提供することで始まる。両cDNAをプライマー部位に連結させてもよ
い。その後、例えば該DNAを増幅する適切なプライマーを用い、配列タグを生
成する。2つの細胞種の間のこれらのタグにおける相違を測定することにより、
抗原発現細胞集団で、異常に発現されている配列を同定することが可能である。
【0043】 本発明のさらなる側面において、固相エピトープ回収(PCT WO 97/
35035に記載される「SPHERE」)を用い、腫瘍抗原を同定してもよい
。SPHEREを用い、簡潔には、分子、好ましくはペプチドのライブラリーを
生成し、そして遊離可能なリンカーを介し、1つの種類の分子を固体支持体に結
合させることにより、抗原を同定してもよい。個々の支持体に結合している分子
の少なくとも一部を遊離させることが可能であり、そして抗原特異的免疫エフェ
クター細胞が該ペプチドを認識したか決定することが可能である。
【0044】 このように、本発明はまた、さらに修飾し、そして患者における細胞性および
体液性免疫反応を誘導するのに用いてもよい、新規野生型抗原を同定するスクリ
ーニングも提供する。抗原gp 100、MARTまたはMUC−1のin v
itroおよびin vivo生物学的活性は、陽性コントロールである。
【0045】 樹状細胞を含むAPCの単離、培養および拡大 以下はAPC単離のための2つの基本的なアプローチの簡潔な説明である。こ
れらのアプローチは(1)骨髄前駆細胞(CD34+)を血液から単離し、そし てAPCに分化するよう刺激すること;または(2)あらかじめ拘束されている
(precommitted)APCを末梢血から収集することを伴う。第一の
アプローチにおいて、患者は、末梢血中の循環CD34+幹細胞数を増大させる ため、GM−CSFなどのサイトカインで処理される必要がある。
【0046】 APCを単離する第二のアプローチは、血液中に既に循環している、比較的多
数のあらかじめ拘束されているAPCを収集することである。ヒト末梢血からあ
らかじめ拘束されているAPCを単離するための先行技術は、メトリザミド勾配
などの物理的方法および接着/非接着段階の組み合わせ(Freudentha
l, PSら(1990)PNAS 87:7698−7702);Perco
ll勾配分離(Mehta−Damaniら(1994)J. Immunol
. 153:996−1003);および蛍光標示式細胞分取技術(Thoma
s, Rら(1993)J. Immunol. 151:6840−52)を
伴ってきている。
【0047】 多数の細胞を互いに分離するための1つの技術は、向流遠心分離洗い分け(C
CE)として知られる。本技術において、細胞を同時に遠心分離および流速が一
定して増加する緩衝液の流出流にさらす。緩衝液の一定して増加する向流は、大
部分細胞の大きさに基づく分画的細胞分離を導く。
【0048】 本発明の1つの側面において、APCはあらかじめ拘束されているまたは成熟
した樹状細胞であり、哺乳動物、例えばネズミ、サルまたはヒトの白血球細胞分
画から単離することが可能である(例えばWO 96/23060を参照された
い)。白血球細胞分画は、哺乳動物の末梢血由来であってもよい。本方法は以下
の段階を含む:(a)白血球泳動(leukophoresis)など、技術的
に知られる方法により、哺乳動物供給源から得られる白血球細胞分画を提供し;
(b)向流遠心分離洗い分けにより、段階(a)の白血球細胞分画を4つまたは
それ以上の下位分画に分離し、(c)細胞をカルシウムイオノホアまたはIL−
4およびGM−CSFと接触させることにより、段階(b)由来の1つまたはそ
れ以上の分画の単球の、樹状細胞への変換を刺激し、(d)段階(c)由来の樹
状細胞が濃縮された分画を同定し、そして(e)好ましくは約4℃で、段階(d
)の濃縮分画を収集する段階である。樹状細胞濃縮分画を同定する1つの方法は
、蛍光標示式細胞分取による。白血球細胞分画は、他のサイトカイン、例えばI
L−12、GM−CSFまたはIL−4の存在下で、カルシウムイオノホア処理
してもよい。分離段階前に、白血球細胞分画の細胞を緩衝液で洗浄し、そしてC
++/Mg++不含培地に懸濁してもよい。白血球細胞分画を白血球搬出法により
得てもよい。樹状細胞は、以下のマーカー:HLA−DR、HLA−DQ、また
はB7.2が少なくとも1つ存在し、そして同時に以下のマーカー:CD3、C
D14、CD16、56、57およびCD19、20が存在しないことにより同
定することが可能である。これらの細胞表面マーカーに特異的なモノクローナル
抗体は、商業的に入手可能である。
【0049】 より詳細には、該方法は、白血球搬出法による白血球細胞および血小板濃縮収
集物を収集し、そしてその後、さらに向流遠心分離洗い分け(CCE)により分
画することを必要とする(Abrahamsen TGら(1991)J. C
lin. Apheresis. 6:48−53)。細胞試料を特別な洗い分
けローターに置く。その後、ローターを一定の速さ、例えば3000 rpmで
回転させる。ローターが望ましい速さに達したら直ちに、加圧空気を用い、細胞
の流速を調節する。洗い分け装置内の細胞は、同時に遠心分離および流速が一定
して増加する緩衝液の流出流にさらされる。これにより、完全にではないが大部
分、細胞の大きさの相違に基づく分画的細胞分離が生じる。
【0050】 白血球搬出法により多数のPBMC(1×1010まで)を得ることが可能であり 、そしていくつかの方法を用い、循環している未成熟DCまたは造血先駆細胞を
続いて単離してもよい。前記の単離法には、限定されるわけではないが:メトリ
ザミド勾配(Freudenthal, P.S.およびSteinman,
R.M.(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. 87:
7698−7702);Percoll勾配分離(Mehta−Damaniら
(1994)J. Immunol. 153:996−1003);ニコデン
ズ勾配(McLellanら(1995)J. Immunol. Metho
ds 184:81−89);骨髄起源の単核細胞の洗い分けに続く、DCに発
現されない表面マーカー(例えばCD14)に対して向けられる蛍光抗体および
/またはこうした抗体で被覆されている磁気ビーズ(Czernieckiら(
1997)J. Immunol. 159:3823−37)を用いたフロー
サイトメトリーによる汚染集団の除去が含まれる。
【0051】 未成熟DCの直接単離に加え、末梢血単球を、DC前駆体のプールとして利用
することもまた可能である。単球は、洗い分け、FicollおよびPerco
ll勾配により、または単球がプラスチックに付着する能力を通じ、PBMCか
ら回収することが可能である。単球の付着層は、典型的にはGM−CSF+IL
−4またはGM−CSF+IL−13中で培養し、未成熟DCへの分化を促進す
る。この方式で得られたDCのさらなる精製は、特異的抗体に加え補体を用い、
または抗体被覆磁気ビーズを用い、汚染リンパ球および単球/マクロファージを
枯渇させることにより、達成することが可能である(Sozzaniら(199
7)J. Immunol. 9:271−96;Hendersonら(19
97)J. Immunol. 159:635−43;Romaniら(19
94)J. Exp. Med. 180:83−93)。
【0052】 血液からDCを得る、別のアプローチは、CD34特異的抗体で被覆されてい
る磁気ビーズを用い、循環しているCD34+造血前駆細胞を陽性選択すること である(Sienaら(1995)Exp. Hematol. 23:146
3−71)。収量を改善するため、宿主を多様な組み合わせのサイトカイン、例
えばFlt−3リガンド(Sudoら(1997)Blood 89:3186
−91)、IL−3、G−CSF(Sienaら(1995))およびGM−C
SF(Sienaら(1989)Blood 74:1905−)で処置するこ
とにょり、循環先駆細胞の頻度を増加させてもよい。ガン患者をシクロホスファ
ミドで処置することもまた、末梢血へのCD34+幹細胞の流動を導く(Sie naら(1989))。
【0053】 骨髄からDC細胞を得るための基本的なアプローチは、骨髄収集後、例えば特
異的抗体および補体のカクテル(Inabaら(1992)J. Exp. M
ed. 176:1693−1702)を用い、すべての非DC細胞種(リンパ
球、顆粒球、単球/マクロファージ)を枯渇させることからなる。残った細胞を
その後、GM−CSF±IL−4中で培養し、DCの増殖および分化を促進する
。あるいは、CD34+先駆幹細胞を骨髄から陽性選択してもよい。
【0054】 多様な組み合わせのサイトカイン、例えばGM−CSF、SCF(幹細胞因子
)、TNF−αおよびFlt−3リガンド(Sienaら(1995);Mar
askovskyら(1995)Blood 86:420a)中で培養するこ
とにより、血液または骨髄から単離されたCD34+先駆幹細胞をDCに分化さ せてもよい。
【0055】 DCにのみ発現される既知の細胞表面マーカーはなく、そしてしたがって、D
Cは、典型的には、そのベールで覆われたような形態並びに一組の特徴的な表面
マーカー(MHCクラスI、MHCクラスII、B7.1、B7.2、CD13
、CD33、CD40など)の存在およびマクロファージ(CD14)またはリ
ンパ球(CD3、CD4、CD8)に典型的な表面マーカーの不在により同定さ
れる。
【0056】 血液から直接単離された、あるいは血液単球または骨髄に由来する未成熟DC
は、Tリンパ球への提示のため、抗原を効果的に取り込みそしてプロセシングす
ることが可能である。しかし、DCが抗原特異的T細胞を効果的に初回抗原刺激
する(prime)能力を獲得するには、さらなる成熟が必要である(Stei
nman, R.M.(1991)Annu. Rev. Immunol.
9:271−96)。この成熟過程は、in vivoで抗原取り込みおよび炎
症性剤への曝露後に起こると考えられ、そしてDCを、TNF−α、リポ多糖(
LPS)、CD40リガンド、IL−1βまたはカルシウムイオノホア(Cel
laら(1997)Nature 388:782−87;Henderson
ら(1997);Czernieckiら(1997))などの刺激に曝露する
ことにより、in vitroで再現することが可能である。我々の目的のため
、形質導入またはペプチドパルス標識された未成熟DCを免疫化に直接用い、成
熟過程をin vivoで行ってもよいし、あるいは、望ましいように、投与前
に、抗原提示DCをin vitroでさらに成熟させてもよい。
【0057】 あるいは、先に性質決定されている抗原の突然変異タンパク質と共に、抗原の
同種異系または異なる種由来の抗原が本発明に有用である。MART1およびg
p 100は、黒色腫患者由来のHLA−A2制限腫瘍浸潤リンパ球(TIL)
により特異的に認識されるメラニン形成細胞分化抗原であり、そして腫瘍退行に
関与しているようである(Kawakami, Y.ら(1994)Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 91:6458−62;Kaw
akami, Y.ら(1994)Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 91:3515−9)。最近、ヒトMART−1のネズミ相同体
が単離されてきている。マウスMART1の全長読み枠は、342 bpからな
り、113アミノ酸残基のタンパク質をコードし、予測される分子量は〜13
kDaである。ヒトおよびネズミMART1アミノ酸配列の並列は、68.6%
の同一性を示した。
【0058】 gp 100のネズミ相同体もまた同定されてきている。読み枠は1,878
bpからなり、ヒトgp 100に75.5%の同一性を示す626アミノ酸
残基のタンパク質が予測される。
【0059】 本発明の推定上の抗原の免疫原性は、CTL産生に関しアッセイする、以下に
記載される方法を用い、in vitroで確認することが可能である。 遺伝子修飾に有用なベクター 一般的に、本発明に使用される細胞の遺伝子修飾は、ポリペプチドまたは抗原
をコードするcDNAを含むベクターを導入することにより、達成される。ウイ
ルス系と共に非ウイルス系を含む、多様な異なる遺伝子導入ベクターを用いても
よい。本発明の遺伝子修飾に有用なウイルスベクターには、限定されるわけでは
ないが、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスベクター、レトロウイルスベクタ
ーおよびアデノ・レトロウイルスキメラベクターが含まれる。
【0060】 組換えアデノウイルスベクターまたはアデノ関連ウイルスベクターの構築 本発明の遺伝子修飾に有用なアデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスベクタ
ーは、すでに当該技術分野で解説されている方法にしたがい、産生することが可
能である(例えば、Karlssonら(1986)EMBO 5:2377;
Carter(1992)Current Opinion in Biote
chnology 3:533−539;Muzcyzka(1992)Cur
rent Top. Microbiol. Immunol. 158:97
−129;GENE TARGETING: A PRACTICAL APP
ROACH(1992)A.L. Joyner監修,Oxford Univ
ersity Press,ニューヨークを参照されたい)。いくつかの異なる
アプローチが実行可能である。ヘルパー独立複製不全ヒトアデノウイルス系が好
ましい。
【0061】 ヒトアデノウイルス5に基づく組換えアデノウイルスベクター(Virolo
gy 163:614−617, 1988)は、アデノウイルスゲノム由来の
必須初期遺伝子(通常E1A/E1B)を欠いており、そしてしたがって、欠け
ている遺伝子産物をin transに提供する許容細胞株において増殖させな
い限り、複製することが不可能である。欠けているアデノウイルスゲノム配列の
代わりに、目的の導入遺伝子をクローンし、そして複製不全アデノウイルスに感
染している細胞で発現させてもよい。アデノウイルスに基づく遺伝子導入は、導
入遺伝子の宿主ゲノムへの組込みを生じず(アデノウイルス仲介トランスフェク
ションの0.1%未満が宿主DNAへの導入遺伝子取り込みを生じる)、そして
したがって安定ではないが、アデノウイルスベクターは高力価で増加させ、そし
て非複製細胞にトランスフェクションすることが可能である。アデノウイルスE
1A/E1B遺伝子でトランスフォームされているヒト胚性腎細胞であるヒト2
93細胞は、典型的な有用な許容細胞株であり、そしてATCCから商業的に入
手可能である。しかし、複製不全アデノウイルスベクターをその中で増加させる
ことを可能にする他の細胞株を用いてもよく、こうした細胞株にはHeLa細胞
が含まれる。
【0062】 本発明の方法で用いることが可能なアデノウイルスベクターおよび他のウイル
スベクターを記載するさらなる参考文献には、以下が含まれる:Horwitz
, M.S., Adenoviridae and Their Repli
cation, Fields, B.ら(監修)VIROLOGY, Vol
.2, Raven Press New York中, pp.1679−1
721, 1990;Graham, F.,ら, pp.109−128,
METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, Vol.7中
:GENE TRANSFER AND EXPRESSION PROTOC
OLS, Murray, E.(監修), Humana Press,ニュ
ージャージー州クリフトン(1991);Miller, N.ら(1995)
FASEB Journal 9:190−199;Schreier, H(
1994)Pharmaceutica Acta Helvetiae 68
:145−159;SchneiderおよびFrench(1993)Cir
culation 88:1937−1942;Curiel D.T.ら(1
992)Human Gene Therapy 3:147−154;Gra
ham, F.L.ら, WO 95/00655(1995年1月5日);F
alck−Pedersen, E.S., WO 95/16772(199
5年6月22日);Denefle, P.ら, WO 95/23867(1
995年9月8日);Haddada, H.ら, WO 94/26914(
1994年11月24日);Perricaudet, M.ら, WO 95
/02697(1995年1月26日);Zhang, W.ら, WO 95
/25071(1995年10月12日)。多様なアデノウイルスプラスミドも
また、オンタリオ州トロントのMicrobix Biosystems(例え
ばMicrobix Product Information Sheet:
Plasmids for Adenovirus Vector Const
ruction, 1996を参照されたい)を含む、商業的供給源から入手可
能である。遺伝子修飾に使用することが可能なアデノ・レトロウイルスキメラベ
クターの構築および使用を記載する、Vileら(1997)Nature B
iotechnology 15:840−841;Fengら(1997)N
ature Biotechnology, 15:866−870の論文も参
照されたい。
【0063】 本発明の方法に用いてもよいAAVベクターを記載するさらなる参考文献には
、以下が含まれる:Carter, B., HANDBOOK OF PAR
VOVIRUSES, Vol. I, pp.169−228, 1990;
Berns, VIROLOGY, pp.1743−1764(Raven
Press 1990);Carter, B.(1992)Curr. Op
in. Biotechnol. 3:533−539;Muzyczka,
N.(1992)Current Topics in Micro and
Immunol, 158:92−129;Flotte, T.R.ら(19
92)Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 7:
349−356;Chatterjeeら(1995)Ann. NY Aca
d. Sci. 770:79−90;Flotte, T.R.ら, WO
95/13365(1995年5月18日);Trempe, J.P.ら,
WO 95/13392(1995年5月18日);Kotin, R., H
uman Gene Therapy, 5:793−801, 1994;F
lotte, T.R.ら(1995)Gene Therapy 2:357
−362;Allen, J.M., WO 96/17947(1996年6
月13日);およびDuら(1996)Gene Therapy 3:254
−261。
【0064】 レトロウイルスベクターの構築 アデノウイルスベクターが好ましいが、当該技術分野にすでに解説されている
方法により組換え的に産生される、レトロウイルスベクターを用いることが可能
である。例えば、WO 94/29438は、レトロウイルスパッケージングプ
ラスミドおよびパッケージング細胞株の構築を記載する。当業者に明らかである
ように、本発明の方法に有用なレトロウイルスベクターは、本明細書に記載され
る細胞を感染させることが可能である。ベクターを構築し、そして細胞を貫通さ
せそして感染させるのに用いられる技術は、当該技術分野で広く実施されている
。レトロウイルスベクターの例は、ネズミ、トリまたは霊長類レトロウイルス由
来のものである。モロニーネズミ白血病ウイルス(MoMLV)に基づくレトロ
ウイルスベクターは、ヒト細胞を効果的に感染させるレトロウイルス変異体が利
用可能であるため、最も広く用いられている。他の適切なベクターには、テナガ
ザル白血病ウイルス(Gibbon Ape Leukemia Virus)
(GALV)またはHIVに基づくものが含まれる。
【0065】 モロニーネズミ白血病ウイルス(MoMLV)由来のレトロウイルスベクター
構築物を産生する際、ほとんどの場合、ウイルスgag、polおよびenv配
列をウイルスから除き、異質のDNA配列を挿入する空間を生成する。異質のD
NAがコードする遺伝子は、通常、LTR内の強力なウイルスプロモーターの調
節下に発現される。gag、polおよびenv機能がパッケージング細胞株に
よりin transに提供される場合、こうした構築物は、効率的にウイルス
粒子にパッケージングされることが可能である。したがって、ベクター構築物が
パッケージング細胞に導入されると、細胞に産生されるgag、polおよびe
nvタンパク質はベクターRNAと組み合わさり、培地に分泌される感染性ビリ
オンを生じる。こうして産生されたウイルスは、標的細胞に感染し、そして該細
胞のDNAに組込まれることが可能であるが、必須パッケージング配列を欠いて
いるため、感染性ウイルス粒子を産生しない。現在使用されるパッケージング細
胞株の大部分は、別個のプラスミドでトランスフェクションされており、個々の
プラスミドは必要なコード配列の1つを含み、したがって、複製能力があるウイ
ルスが産生可能になる前に、多数の組換え事象が必要である。あるいは、パッケ
ージング細胞株は、組込みプロウイルスを宿する。該プロウイルスは損なわれて
おり、したがって感染性ウイルスに組み合わせるのに必要なすべてのタンパク質
を産生するが、それ自体のRNAはウイルスにパッケージングすることが不可能
である。その代わり、組換えウイルスから産生されたRNAがパッケージングさ
れる。パッケージング細胞から放出されるウイルスストックは、したがって組換
えウイルスのみを含む。
【0066】 レトロウイルスまたはレトロウイルスベクターにより感染させてもよい宿主細
胞の範囲は、ウイルスエンベロープタンパク質により決定される。組換えウイル
スを用い、パッケージング細胞が提供するenvタンパク質に認識される、実質
的にいかなる他の細胞種を感染させてもよく、それにより形質導入細胞における
ウイルスゲノムの組込みおよび異質の遺伝子産物の安定産生を生じる。一般的に
、MoMLVのネズミ生態親和性(ecotropic)envはげっ歯類細胞
の感染を可能にする一方、広宿主性(amphotropic)envは、げっ
歯類、トリおよびヒト細胞を含むいくつかの霊長類細胞の感染が可能である。M
oMLV系で使用するための広宿主性パッケージング細胞株は技術的に知られ、
そして商業的に入手可能であり、そして限定されるわけではないが、PA12お
よびPA317が含まれる。Millerら(1985)Mol. Cell.
Biol. 5:431−437;Millerら(1986)Mol. C
ell. Biol. 6:2895−2902;およびDanosら(198
8)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460
−6464。やはりヒト細胞の感染を可能にする、宿主以外の細胞で増殖する(
xenotropic)ベクター系が存在する。
【0067】 レトロウイルスベクターの宿主範囲は、基礎のウイルスのenvタンパク質を
第二のウイルスのものと置換することにより、改変されてきている。生じた「偽
型化(pseudotyped)」ウイルスは、エンベロープタンパク質を与え
ているウイルスの宿主範囲を有し、そしてパッケージング細胞株により発現され
る。最近、水疱性口内炎ウイルス(vesicular somatitis
virus)G−糖タンパク質(VSV−G)がMoMLV envタンパク質
に関し置換されてきている。Burnsら(1993)Proc. Natl.
Acad. Sci USA 90:8033−8037;およびPCT特許
出願WO 92/14829。感染は特異的受容体に依存していないため、VS
V−G偽型化ベクターは広い宿主範囲を有する。
【0068】 成功した形質導入をモニターし、そしてDNA構築物が組み込まれていない細
胞に対する、DNAが組み込まれている細胞の選択のため、マーカー遺伝子を含
んでもよい。多様なマーカー遺伝子には、限定されるわけではないが、抗生物質
耐性マーカー、例えばG418またはヒグロマイシンに対する耐性などが含まれ
る。より簡便でないものとして、陰性選択を用いてもよく、限定されるわけでは
ないが、マーカーがHSV−tk遺伝子であるものが含まれ、前記遺伝子はアシ
クロビルおよびガンシクロビルなどの剤に感受性である細胞を作るであろう。あ
るいは、FACS分取により導入遺伝子発現細胞を選択するため、安定細胞表面
マーカーを使用することにより、選択を達成することが可能である。NeoR(
ネオマイシン/G418耐性)遺伝子が通常用いられるが、レシピエント細胞に
既に配列が存在していない、いかなる簡便なマーカー遺伝子を用いてもよい。
【0069】 ウイルスベクターを修飾し、レトロウイルス粒子内にキメラエンベロープタン
パク質または非ウイルス膜タンパク質を取り込み、粒子安定性を改善し、そして
宿主範囲を拡大してもよいし、または感染中の細胞種特異的標的化を可能にして
もよい。宿主範囲を改変しているレトロウイルスベクターの産生は、例えばWO
92/14829およびWO 93/14188に解説される。in viv
oで特定の細胞種を標的化することが可能なレトロウイルスベクターもまた、例
えばKasaharaら(1994)Science 266:1373−13
76に解説されている。Kasaharaらはウイルスエンベロープタンパク質
と融合しているヒトエリスロポエチン(EPO)からなるキメラエンベロープタ
ンパク質を有するモロニー白血病ウイルス(MoMLV)の構築を記載する。こ
のハイブリッドウイルスは、EPOに対する受容体を持つ、ヒト赤血球先駆細胞
に対する組織向性を示し、そしてしたがって鎌型細胞貧血および地中海性貧血の
遺伝子治療に有用である。細胞の特異的な標的化感染が可能なレトロウイルスベ
クターが、in vivo遺伝子治療に好ましい。
【0070】 ウイルス構築物は、多様な慣用的な方法で調製してもよい。技術的に知られる
技術によりさらに修飾してもよい、望ましい特徴、例えば末端反復配列、マーカ
ー遺伝子、および制限部位などを提供する、多数のベクターが現在、入手可能で
ある。構築物は、遺伝子がコードする細胞表面タンパク質または分泌タンパク質
が翻訳後、適切にプロセシングされ、そして適切な場合、細胞表面上に発現する
ことを確実にするため、シグナルペプチド配列をコードしてもよい。好ましくは
、異質の遺伝子は細胞特異的プロモーターの調節下にある。
【0071】 導入された遺伝子の発現は、遺伝子導入の目的および望ましい効果に依存し、
多様な方法で調節してもよい。したがって、恒常的に、特定の生理学的条件下の
みで、または特定の細胞種で該遺伝子の発現を引き起こすプロモーターの調節下
に、導入遺伝子を置いてもよい。
【0072】 レトロウイルスLTR(末端反復配列)は、in vivoで大部分の造血細
胞で活性があり、そして一般的に挿入配列の転写およびその恒常的な発現のため
頼られるであろう。(Ohashiら(1992)Proc. Natl. A
cad. Sci. 89:11332;Correllら(1992)Blo
od 80:331)。他の適切なプロモーターには、ヒトサイトメガロウイル
ス(CMV)極初期プロモーターおよびモロニーネズミ肉腫ウイルス(MMSV
)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)または脾臓病巣形成ウイルス(Spleen
Focus Forming Virus)(SPPV)のU3領域プロモー
ターが含まれる。
【0073】 特定の細胞種で、導入された配列の発現を引き起こすのに用いることが可能な
プロモーターの例には、T細胞およびNK細胞における発現のためのグランザイ
ムA、幹および先駆細胞における発現のためのCD34プロモーター、細胞傷害
性T細胞における発現のためのCD8プロモーター、および骨髄腫細胞における
発現のためのCD11bプロモーターが含まれる。
【0074】 特定の生理学的条件下での遺伝子発現のため、誘導性プロモーターを用いても
よい。例えば、親電子反応要素を用い、親電子分子に反応する化学耐性遺伝子の
発現を誘導してもよい。適切な局在化配列を結合させることにより、遺伝子産物
を適切な細胞部位、例えば核に標的化することにより、治療上の利益をさらに増
加させてもよい。
【0075】 ベクター構築物を、感染性ビリオンを生成するであろうパッケージング細胞株
に導入する。高力価の複製不全組換えウイルスを生成することが可能なパッケー
ジング細胞株は、技術的に知られており、例えばWO 94/29438を参照
されたい。ウイルス粒子を細胞上清から採取し、そしてトランスフェクション4
8時間後上清をろ過することによるなど、技術的に知られる方法を用い、in
vivo感染のため精製する。ウイルス力価は、一定の数の適切な細胞(レトロ
ウイルスに依存する)にウイルス上清の滴定(titration)を感染させ
ることにより、測定する。形質導入効率は、サザンブロットを含む、多様な方法
により、48時間後にアッセイすることが可能である。
【0076】 本発明の遺伝子修飾に有用な非ウイルスベクター、例えばプラスミドベクター
は当該技術分野に解説される方法にしたがい、産生してもよい。非ウイルスベク
ターの構築を記載する参考文献には、以下が含まれる:Ledley, FD,
Human Gene Therapy 6:1129−1144, 199
5;Miller, N.ら, FASEB Journal 9:190−1
99, 1995;Chonn, A.ら, Curr. Opin. in
Biotech. 6:698−708,1995;Schofield, J
Pら(1995)British Med. Bull. 51:56−71,
Brigham, K.L.ら(1993)J. Liposome Res
. 3:31−49, Brigham, K.L., WO 91/0630
9(1991年5月16日);Felgner, P.L.ら, WO 91/
17424(1991年11月14日);Solodinら(1995)Bio
chemistry 34:13537−13544, WO 93/1976
8(1993年10月14日);Debsら, WO 93/25673;Fe
lgner, P.L.ら,米国特許第5,264,618号(1993年11
月23日);Epand, R.M.ら,米国特許第5,283,185号(1
994年2月1日);Gebeyehuら,米国特許第5,334,761号(
1994年8月2日);Felgner, P.L.ら,米国特許第5,459
,127号(1995年10月17日);Overell, R.W.ら, W
O 95/28494(1995年10月26日);Jessee, WO 9
5/02698(1995年1月26日);HacesおよびCiccaron
e, WO 95/17373(1995年6月29日);Linら, WO
96/01840(1996年1月25日)。
【0077】 遺伝子導入有効性の評価 患者細胞への遺伝子導入の有効性は、技術的に知られるいかなる方法により、
モニターしてもよい。例えば、上述のように、遺伝子搬送ビヒクルにレポーター
またはマーカー遺伝子を含ませ、ビヒクルの取り込みに成功した細胞の同定を容
易にしてもよい。特にin vitroおよびex vivoの背景において、
マーカー遺伝子は、特に有用であることが立証される可能性がある。スクリーニ
ングマーカーまたはレポーター遺伝子は、容易にアッセイすることが可能である
産物をコードする遺伝子である。スクリーニングマーカーの限定されない例には
、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子または修飾蛍光タンパク質
をコードする遺伝子が含まれる。
【0078】 好ましくは、搬送ビヒクルに含まれるマーカー遺伝子は、選択可能マーカーで
ある。「陽性」選択可能マーカー遺伝子は、特定の条件下で、該遺伝子を持つ細
胞のみが生存しおよび/または増殖することを可能にする産物をコードする。例
えば、導入ネオマイシン耐性(Neor)を発現する植物および動物細胞は、化 合物G418に耐性である。Neor遺伝子マーカーを持たない細胞は、G41 8で殺される。陰性選択可能マーカー遺伝子は、その産物を発現している細胞が
、選択的に殺されることを可能にする産物をコードする。例えば、上述のように
、条件付きで活性化される細胞傷害性剤はまた、HSV−tkなど、選択可能マ
ーカーであってもよい。本遺伝子を発現している細胞は、ガンシクロビルまたは
アシクロビルを用い、選択的に殺すことが可能である。
【0079】 APCによる抗原提示 抗原由来のペプチド断片は、まず、APC表面上に該抗原性ペプチドを展示す
る、ペプチド結合受容体(主要組織適合性遺伝子複合体クラスIおよびクラスI
I分子)に結合しなければならない。Palmer E.およびCresswe
ll(1998)Annu. Rev. Immunol. 16:323並び
にGermain R.N.(1996)Immunol. Rev. 151
:5。Tリンパ球は抗原受容体を産生し、異質のペプチドの存在に関しAPC表
面をモニターするのに該受容体を用いる。CD4+ T細胞上の抗原受容体は、 MHCクラスII分子に結合している抗原性ペプチドを認識する一方、CD8+ T細胞上の受容体は、クラスI分子上に展示される抗原と反応する。APCに
よる外因性抗原の提示のための方法の、一般的な概説には、Raychaudh
uriおよびRock(1998)Nature Biotechnology
16:1025を参照されたい。
【0080】 免疫化の目的には、ex vivoまたはin vivoで、タンパク質/ペ
プチドとして、またはタンパク質/ペプチドをコードするポリヌクレオチドの形
で、抗原提示細胞に抗原を搬送してもよい。以下に記載される方法は、最も強力
で好ましいAPCであるDCに主に重点を置く。
【0081】 遺伝子修飾APCを産生する、いくつかの異なる技術が記載されてきている。
これらには:(1)抗原またはその断片を発現するポリヌクレオチドのAPCへ
の導入;(2)抗原の内因性発現を誘導するための、組換えベクターでのAPC
の感染;および(3)リポソームを用いたDC細胞質ゾルへの腫瘍抗原の導入が
含まれる(Boczkowski D.ら(1996)J. Exp. Med
. 184:465;Rouseら(1994)J. Virol. 68:5
685;およびNairら(1992)J. Exp. Med. 175:6
09を参照されたい)。本発明の目的のため、異種性または非自己抗原の導入お
よび発現、並びにMHCによるAPC表面上の提示を可能にするいかなる方法も
、本発明の範囲内である。
【0082】 外因性タンパク質および/またはペプチドのAPCによる提示には、いくつか
の技術が記載されてきている。これらの技術は、以下に簡潔に記載される。 抗原パルス標識 パルス標識は、APCを抗原性タンパク質またはペプチドに曝露することによ
り、in vitro/ex vivoで達成される。タンパク質またはペプチ
ドを、1−10μMの濃度でおよそ3時間、APCに添加する。Pagliaら
(1996)J. Exp. Med. 183:317は、in vitro
で全タンパク質とインキュベーションしたAPCは、MHCクラスI制限CTL
に認識され、そしてこれらのAPCで動物を免疫化すると、in vivoで抗
原特異的CTLの発達が導かれたことを示してきている。
【0083】 タンパク質/ペプチド抗原はまた、in vivoでAPCに搬送され、そし
てAPCにより提示される可能性もある。抗原は、好ましくは、アジュバントと
共に、静脈内、皮下、鼻腔内、筋内または腹腔内搬送経路を介し搬送される。G
rant E.P.およびRock K.L.(1992)J.Immunol
. 148:13;Norbury, C.C.ら(1995)Immunit
y 3:783;並びにReise−Sousa C.およびGermain
R.N.(1995)J. Exp. Med. 182:841。
【0084】 抗原塗装(painting) 用いてもよい別の方法は、「塗装」と呼ばれる。グリコシル・ホスファチジル
イノシトール(GPI)−修飾タンパク質は、精製後、それ自体を細胞膜に再度
取り込ませる能力を持つことが示されてきている。Hiroseら(1995)
Methods Enzymol. 250:582;Medofら(1984
)J. Exp. Med. 160:1558;Medof(1996)FA
SEB J. 10:574;およびHuangら(1994)Immunit
y 1:607は、抗原をCTLに提示するための特定の組成のAPCを生成す
るため、この特性を利用してきている。β2−ミクログロブリンおよびHLA−
A2.1対立遺伝子の発現ベクターをまず、考案した。該タンパク質を、GPI
−修飾を維持することが知られるシュナイダー(Schneider)S2キイ
ロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)細胞
で発現させた。精製後、該タンパク質を精製抗原性ペプチドと共にインキュベー
ションしてもよく、これにより自己細胞の膜内にそれ自体を効果的に挿入するこ
とが可能な3分子複合体が生じた。本質的には、これらのタンパク質混合物を用
い、APC表面を「塗装」し、抗原性ペプチドに特異的なCTLクローンを刺激
する能力を与えた。細胞被覆は、迅速に起こり、そしてタンパク質濃度に依存す
ることが示された。APCを生成するこの方法は、APCに遺伝子導入する必要
性を迂回し、そして細胞表面での抗原性ペプチド密度を調節することを可能にす
る。
【0085】 里親抗原提示細胞 里親APCは、T2と呼ばれるヒト細胞株174 x CEM.T2由来であ
り、その抗原プロセシング経路に、内因性ペプチドと細胞表面MHCクラスI分
子との結合を制限する突然変異を含む(Zweerinkら(1993)J.
Immunol. 150:1763)。これはMHCクラス1制限CD8+ T細胞への抗原提示に必要とされる、遺伝子TAP1、TAP2、LMP1、お
よびLMP2を含むMHCクラスII領域内の大きなホモ接合体欠失のためであ
る。事実上、「空の」MHCクラスI分子のみがこれらの細胞の表面上に提示さ
れる。培地に添加された外因性ペプチドは、該ペプチドが対立遺伝子特異的結合
モチーフを含むならば、これらのMHC分子に結合する。これらのT2細胞は、
本明細書において「里親」APCと呼ばれる。これらは、本発明と関連して用い
、異種、改変または調節抗原を提示することが可能である。
【0086】 特定の組換えMHC対立遺伝子でのT2細胞の形質導入は、MHC制限プロフ
ィールの再指示を可能にする。組換え対立遺伝子に適合させたライブラリーは、
アンカー残基が内因性対立遺伝子への効率的な結合を妨げるであろうため、それ
らにより優先的に提示されるであろう。
【0087】 MHC分子の高レベル発現は、APCをCTLにより見えやすくする。強力な
転写プロモーター(例えばCMVプロモーター)を用い、目的のMHC対立遺伝
子をT2細胞で発現させると、より反応性であるAPCが生じる(細胞表面上の
反応性MHC・ペプチド複合体のより高い濃度のためである可能性が最も高い)
【0088】 ウイルスベクター DCは適切なTAAをコードするウイルスベクターで形質導入してもよい。使
用してもよいウイルスベクターには、組換えポックスウイルス(poxviru
s)、例えばワクシニア(vaccinia)および鶏痘ウイルス(fowlp
ox virus)(Bronteら(1997)Proc. Natl. A
cad. Sci. 94:3183−88;Kimら(1997)J. Im
munother. 20:276−86)および好ましくはアデノウイルス(
Artherら(1997)Cancer Gene Ther. 4:17−
25;Wanら(1997)Hum. Gene Ther. 8:1355−
63;我々の独自の結果)が含まれる。別のウイルスベクター(例えばレトロウ
イルス)もまたヒトDCの形質導入に適していることが証明される可能性がある
ことが考えられる(Marinら(1996)J. Virol. 70:29
57−62)。
【0089】 in vitro/ex vivoで、ヒトDCを、最小体積の血清不含培地
中の感染多重度(MOI)500のアデノウイルス(Ad)ベクターに、16−
24時間曝露すると、確実に、導入遺伝子発現がDCの90−100%で生じる
。形質導入の効率は、発現されている腫瘍抗原に特異的な蛍光抗体を用い、免疫
蛍光により、評価してもよい(Kimら(1997))。あるいは、抗体を酵素
(例えばHRP)に結合させ、基質との反応に際し、有色産物を生じてもよい。
DCにより発現されている実際のTAA量は、ELISAにより評価してもよい
【0090】 DCのin vivo形質導入は、静脈内、筋内、鼻腔内、腹腔内または皮膚
搬送を含む異なる経路を介し、Adベクターを投与することにより、潜在的に、
達成することが可能である。好ましい投与経路は、総用量およそ1 x 1010 −1 x 1012i.u.を用いる、多数の部位での皮膚搬送である。in v
ivo形質導入のレベルは、DCマーカーに対して向けられる抗体および発現さ
れているTAAを同時に染色することにより、大雑把に評価することが可能であ
る。染色法は、投与部位からの生検試料あるいは小さくなってきている(dra
ining)リンパ節またはDCが移動している可能性がある他の器官に対し、
行ってもよい(Condonら(1996)Nature Med. 2:11
22−28;Wanら(1997)Human Gene Therapy 8
:1355−1363)。注射部位でまたは形質導入DCが移動している可能性
がある他の器官で発現しているTAAの量は、組織ホモジェネートに対するEL
ISAにより評価することが可能である。
【0091】 非ウイルスベクター ウイルス遺伝子搬送はより効率的であるが、樹状細胞はまた、in vitr
o/ex vivoで、非ウイルス遺伝子搬送法、例えばエレクトロポレーショ
ン、リン酸カルシウム沈澱または陽イオン脂質/プラスミドDNA複合体(Ar
thurら(1997)Cancer Gene Therapy 4:17−
25)により、形質導入することも可能である。樹状細胞のin vivo形質
導入は、静脈内、筋内、鼻腔内、腹腔内または皮膚搬送経路を介し搬送される、
陽イオン性脂質/プラスミドDNA複合体を投与することにより、潜在的に、達
成することが可能である。皮膚への裸のプラスミドDNAの遺伝子銃搬送または
注射もまたDCの形質導入を導く(Condonら(1996)、上記;Raz
ら(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. 91:951
9−23)。
【0092】 形質導入効率および導入遺伝子発現のレベルは、ウイルスベクターに関し上述
したように、評価することが可能である。 治療適用のための組成物および方法 癌の遺伝子治療の背景において、本発明はTAAを発現している同種異系およ
び自己DCを共投与することにより、腫瘍に対する宿主免疫反応を増幅すること
からなる。自己DCはMHC適合Tリンパ球に対する腫瘍抗原の同系提示を提供
し、一方、同種異系DCは、高頻度アロ反応性Tリンパ球を刺激し、そしてそれ
により腫瘍に対する特異的な宿主免疫反応を維持しそして増幅するであろう刺激
性サイトカインの局所産生を誘導するのに用いられる。
【0093】 試薬 自己DCは上述のように得られる。好ましい方法は、末梢血から単球を単離し
た後、in vitroで未成熟DCに分化させる方法である。未成熟自己DC
に適切なTAAを発現しているベクター、好ましくはアデノウイルスを形質導入
する。同種異系DCは、同じ方式で異なる個人から得られるか、あるいは同種異
系DCの供給源として、初代細胞ではなく樹状細胞株を用いることも可能である
。上述のように、同種異系DCは形質導入されていてもまたはされていなくても
よい。
【0094】 同種異系DC(またはDC株)は、意図されるレシピエントに関し、強い同種
異系反応を誘導する能力に関し、あらかじめ試験し、そして選択されなければな
らない。これはHLA型決定(最もミスマッチしているHLA対立遺伝子を持つ
同種異系DCを選択する)により、または機能する混合リンパ球反応(MLR)
において、達成することが可能である。MLRにおいて、処置しようとする患者
由来のリンパ球または精製Tリンパ球を不活性化(放射線照射またはマイトマイ
シンC処理)同種異系DCで刺激し、そして誘導された増殖反応を、培養5−6
日後、トリチウム化チミジン取り込みにより測定する。最も高いレベルの増殖を
引き出す同種異系DCを、形質導入自己DCと共投与するため選択する。
【0095】
【実施例】実施例1 自己DCのex vivo形質導入 自己DCを、TAAをコードする好ましくはAdベクターで、ex vivo
で形質導入する(500 MOIで24時間)。この時点で、DCを投与しても
よいし、または投与前にTNF−αに曝露することにより、さらに成熟させても
よい。前者のオプションが好ましい。投与時点で、形質導入自己DCを同種異系
初代DCまたは同種異系DC株と混合し、そして該混合物をi.v.またはs.
c.で搬送する。自己および同種異系DCの用量は、各々5 x 107−5 x 109の範囲であり、最大6投与までをおよそ3−6週間の間隔で搬送して もよい。実施例2 自己DCのex vivoパルス標識 本例において、プロトコルは、形質導入する代わりに、自己DCを規定のTA
A由来のタンパク質またはペプチドエピトープでパルス標識する(1−10μM
のタンパク質/ペプチドでおよそ3時間)のを除き、実施例1に記載されたのと
同一である。実施例3 自己DCのin vivo形質導入 自己DCをin vivoで、好ましくは多数の部位でのTAAをコードする
Adベクターの皮膚投与により、形質導入する(総用量1 x 1010−1 x
1012i.u.)。同種異系初代DCまたはDC株をウイルスと混合し、そし
て同時に投与するか、またはウイルスの直後に、同部位で、別個に投与する。前
者のオプションが好ましい。同種異系DCの用量は、およそ5 x 107−5 x 109の範囲であってもよく、そして処置は最大6回までをおよそ3−6 週間の間隔で繰り返してもよい。有効性を決定するin vitroアッセイ――動物モデル in vitroアッセイ 上述のように、治療しようとする患者由来のリンパ球を刺激するための、異な
る調製の同種異系DCの相対可能性は、よく記載されている混合リンパ球反応(
MLR)を用い、in vitroで評価することが可能である。さらに、形質
導入自己DC±同種異系DCが、腫瘍細胞を溶解することが可能な細胞溶解性エ
フェクター細胞を引き出す相対的な能力もまた、in vitroで試験するこ
とが可能である。この目的のため、適切なTAAを発現している形質導入自己D
C±同種異系DCを用い、自己リンパ球(または精製CD8+ T細胞)を刺激 し、そして刺激を何周期か繰り返した後、腫瘍または目的のTAAを発現してい
る他の標的細胞を認識する能力に関し、生成されたエフェクター細胞を試験する
。エフェクター細胞生成を維持するであろう多様な培養条件が記載されてきてい
る(Kimら(1997)、上記;Mehta−Damaniら(1994)、
上記;Tsaiら(1997)J. Immunol. 158:1796−1
802;Bakkerら(1995)Cancer Research 55:
5330−34)。TAA特異的エフェクター細胞の発達は、TAA発現標的の
認識の際のサイトカイン産生(例えばTNF−α、インターフェロン−γ)また
51クロムまたはラクトースデヒドロゲナーゼ(LDH)などの多様な細胞内標
識/マーカーの放出により評価されるような、TAA発現標的細胞の溶解を含む
いくつかの方法により、測定することが可能である。
【0096】 動物モデル 計画される戦略の有効性は、動物モデルにおいて評価するのが最適である。ネ
ズミB16黒色腫モデルはモデルの1つである。本モデルにおいて、B16黒色
腫細胞をs.c.またはi.v.で同一遺伝子型C57BL/6マウスに注射し
、それぞれ局所皮下腫瘍を生じさせ、または肺転移を生じさせる。形質導入自己
DC±同種異系DCの相対免疫化可能性は、予備免疫または能動治療設定で試験
することが可能である。図3は、本モデルを用いた1つの実験の結果を示す。
【0097】 予備免疫モデルにおいて(図2を参照されたい)、免疫を確立し、そしてs.
c.腫瘍または肺転移の発達に対し防御するため、B16細胞に曝露するおよそ
2週間前にDCを投与する。より厳しい能動治療モデルにおいて、腫瘍細胞の継
続する増殖を阻害する/妨げるであろう宿主免疫反応を誘導するため、B16細
胞投与の3−4日後、DCを投与する。治療の有効性は、時間に渡り腫瘍の大き
さ(B16細胞s.c.)または肺転移数(B16細胞i.v.)を測定するこ
とにより評価する。さらに、TAA特異的免疫(細胞傷害性Tリンパ球、抗体、
NK細胞溶解)のレベルもまた、測定してもよい。
【0098】 どちらのモデルでも、C57BL/6(H−2b)マウス由来の自己DCおよ びBALB/cマウス(H−2d)由来の同種異系DCは、骨髄から、第1節に 記載されるように、すべての非DC細胞種の枯渇後、GM−CSF中でDCを成
熟させそして増殖させることにより、得る。s.c.またはi.v.で、各々5
x 105の用量でDCを投与する。
【0099】 本発明は上記の態様と関連して記載されているが、前述の説明および実施例は
例示を意図しており、そして本発明の範囲を限定することを意図しないことが理
解されなければならない。例えば、上述の組成物および/または方法のいずれも
、既知の療法または組成物と組み合わせることが可能である。本発明の範囲内に
ある他の側面、利点および修飾は、本発明が関連する当該技術分野の当業者に明
白であるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、樹状細胞による混合リンパ球反応(MLR)の誘導を示
す。異なる数の骨髄由来C57BL/6樹状細胞(DC)を用い、同種異系BA
LB/c Tリンパ球を刺激した。DCはアデノウイルスベクターに未感染であ
るかまたは感染していた。誘導された増殖のレベルは、培養5日後に、トリチウ
ム化チミジン取り込みにより測定した。DC数の増加と共に全般的な用量依存刺
激が観察され、そしてAdトランスフェクションDCの刺激活性は、未感染DC
のものと等しいかまたはそれより大きかった。
【図2】 図2は、B16黒色腫免疫化モデルの結果を示す。ヒトgp 1
00(Ad2/hugp100 DC)またはマウスTRP−2(Ad2/mT
RP−2 DC)をコードするアデノウイルスベクターでトランスフェクション
した、5 x 105の骨髄由来樹状細胞(DC)を静脈内注射することにより 、5グループのC57BL/6マウスをgp 100またはTRP−2黒色腫抗
原に対し免疫化した。未感染DCは陰性コントロールとして働く。免疫化2週間
後、マウスを2 x 104のB16黒色腫細胞の皮下注射に曝露し、そして腫 瘍増殖を時間に渡りモニターした。結果により、腫瘍抗原に対し予備免疫すると
、抗腫瘍免疫を誘導するのに有効であることが示される。
【図3】 図3は、B16黒色腫能動治療モデルでの実験結果を示す。5グ
ループのC57BL/6マウスに1.5 x 105のB16黒色腫細胞を皮下 注射し、そして4日後、ヒトgp 100(Ad2/hugp100 DC)ま
たはマウスTRP−2(Ad2/mTRP−2 DC)をコードするアデノウイ
ルスベクターでトランスフェクションした、5 x 105の骨髄由来樹状細胞 (DC)を皮下投与した。導入遺伝子を欠くアデノウイルスベクターに感染した
DCは、陰性コントロール(Ad2/空ベクターDC)として働く。腫瘍増殖を
時間に渡りモニターした。結果により、腫瘍抗原に対する能動免疫を通じた腫瘍
増殖阻害は実行可能であるが、腫瘍に対する予備免疫よりも達成がより困難であ
ることが示される。
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月4日(2001.4.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 35/76 C12N 15/00 A Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 CA04 DA03 EA04 GA11 GA13 HA17 4C084 AA13 MA65 NA05 NA14 ZB261 4C085 AA02 BB01 4C087 AA01 AA02 BB43 BC83 CA12 MA65 NA05 NA14 ZB26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者において抗原特異的免疫反応を誘導する方法であって
    、該患者に有効量の、該抗原を発現する同種異系抗原提示細胞(APC)を投与
    することを含む、前記方法。
  2. 【請求項2】 さらに有効量の、該抗原を提示するMHC適合自己抗原提
    示細胞を投与することを含む、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 APCが樹状細胞である、請求項1または2の方法。
  4. 【請求項4】 樹状細胞が遺伝子修飾されている、請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 同種異系APCが樹立された培養APCである、請求項1
    の方法。
  6. 【請求項6】 遺伝子修飾が、抗原をコードする遺伝子の導入を含む、請
    求項4の方法。
  7. 【請求項7】 抗原が腫瘍関連抗原である、請求項1の方法。
  8. 【請求項8】 遺伝子搬送ビヒクル(vehicle)がレトロウイルス
    ベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターまたはリポソ
    ームである、請求項6の方法。
  9. 【請求項9】 APCが患者に静脈内または皮内投与される、請求項1ま
    たは2の方法。
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