JP2002504652A

JP2002504652A - 静圧予圧ピストン

Info

Publication number: JP2002504652A
Application number: JP2000532645A
Authority: JP
Inventors: ウイリアム，ダブリュー．フラガー，; ジョエルメッツラー，
Original assignee: ウノーヴァアイピーコーポレイション
Priority date: 1998-02-20
Filing date: 1999-02-18
Publication date: 2002-02-12
Also published as: BR9907772A; CA2316236C; WO1999042736A1; CA2316236A1; EP1056955A4; US6272750B1; US6033116A; EP1056955A1

Abstract

(57)【要約】工作機械（１０）は、ガイド面をもつ基台（１２）、ベース上の工作物ホルダ、工作物に向けてガイド面に沿う可動工具キャリッジ（１４）を備える。静圧軸受（５４、５６）はオイルなどの流体をキャリッジとガイド面間に規定される狭いギャップ内に排出するためキャリッジ内に位置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、工作機械の可動なキャリッジ内で浮動し傾動して熱歪み、加工誤差
、および他の欠陥に合わせ、同時にガイド面に追従する静圧予圧ピストンに関す
る。予圧ピストンは従来の静圧軸受と反対側に位置し、予圧レールのポケット内
に配置される。

【０００２】（発明の背景）１つまたは複数の固定ガイドレールは、砥石車またはベルト・グラインダなど
の工作機械を支持する可動なキャリッジが工作物に対して前進することができる
ように、通常工作機械の基台の上端に位置される。モータは可動なキャリッジが
工作物に対して前進するように、可動なキャリッジに固定されたリード・スクリ
ュ・アセンブリを駆動する。工作物は主軸台と心押し台間の固定位置に保持され
る。可動なキャリッジとそれに取り付けられた工作機械は工作物のセンタライン
に垂直に動くことができる。

【０００３】可動なキャリッジは通常は鋳物製であり、基台は工作機械に安定を与えるため
に相当大きな重量とサイズの別の鋳物製である。ガイドレールは要求されるきわ
めて精密な許容差で製造されて仕上げられた高級機械鋼から作られる。各ガイド
レールには２つの平行な面があり、基台から上方に延在している。可動なキャリ
ッジの下側は固定ガイドレールにまたがるように形成される。

【０００４】静圧軸受は固定ガイドレールの反対側に位置し、相対的な可動部分のギャップ
にオイルなどの流体の薄膜を設け、可動なキャリッジがそれに沿って円滑にスラ
イド可能となっている。流体の膜を形成する流体は遠隔の供給源から圧力状態で
軸受内に導入される。圧力は近接面間の小さなギャップによって軸受内で維持さ
れる。ギャップは１インチの数千分の１程度である。

【０００５】ガイドレールは近年、より精密な基礎工作物や高生産率の要求が著しく増すに
つれ、これまでより厳しい許容差に機械加工されている。ガイドレールの両面を
平行で狂っていない形に機械加工することが機能的に必要になり、その加工作業
はガイドレールの長さによって複雑になった。

【０００６】可動なキャリッジの下側は各ガイドレールにまたがり、可動なキャリッジが向
く面はガイドレールの平行で狂っていない面から開離するように設計される。軸
受は通常可動なキャリッジに位置し、ガイドレールに対して中心に正しく置かれ
た可動なキャリッジを保持しようとし、工作機械は効率的で誤差のない方法で工
作物と作動する関係で進行できる。ガイドレールの向く面が狂っており平行でな
い場合、可動なキャリッジは１インチの数千分の１ずれて一つの向く面により近
づくことができ、また他方で、これによって工作機械の精度を減じてしまう。極
端なケースでは、向く面が延長する長さ全体にわたって平行でなく狂っている場
合には、可動なキャリッジとガイドレールの対向する金属面が接触することがで
きるように、ギャップはきわめて小さく、またはなくす事さえ可能である。その
とき可動なキャリッジはガイドレールに対して動かなくなる。すなわち「凍結」
し、接触する面に付随的なきず跡を残し構造的損傷を付けることになる。

【０００７】ガイドレールに対して中心に置かれた可動なキャリッジの可動状態を維持する
ために、固定された静圧軸受が可動なキャリッジの下側に位置される。この固定
した静圧軸受は、可動なキャリッジの下側とガイドレールの対向面間のスペース
であって、ギャップに流体を排出する開口、すなわち口を通して加圧された流体
の供給を受けることとなる。

【０００８】固定された静圧軸受は、作業許容差がかなり大きいときに、満足する結果を得
られることが判明した。しかし、作業許容差が近年厳しくなっているので、固定
された静圧軸受は適切な許容差に製造するのが極めて困難でありコスト高になる
と判明した。

【０００９】（発明の要約）提案された１つの解決法は、工作機械の可動なキャリッジに予圧機構の導入を
するものである。このような予圧機構は、従来の静圧軸受が設けられる反対側で
機能する。この予圧機構は、加圧オイルなどの液圧流体を可動なキャリッジとガ
イドレール間のギャップに導入する。それゆえ、予圧機構は工作機械の滑動部品
を固くして、反りに抵抗するのに役立った。

【００１０】相対的にスライドできる工作機械部材（テーブル１１はサドル１２をスライド
する）間の動面（１５、１６）の向かい合った動面軸受面（１８、２８、１９、
２９）の液圧予圧を利用する静圧動面軸受構成が、ゴードン、エイチ. ジョーンズ（ＧｏｒｄｏｎＨ．Ｊｏｎｅｓ）に特許された米国特許第３，６１９，０
１３号（以下、Ｊｏｎｅｓ特許ともいう）に開示されている。この構成は静圧軸
受表面（２８、２９、３４）を有する予圧ギブ（ｇｉｂｓ）（４２，５４）を備
える。この予圧は複数の長手方向に間隔を置いた液圧アクチュエータ（４６は水
平ギブ４２と動作的に関連し、５９は縦ギブ５４と動作的に関連した）によって
達成される。ある液圧アクチュエータ（４６）は留め具止め（止めすなわちクラ
ンプ板２２、２４）内に凹部を設け、同時に他のアクチュエータ（５９）は上記
のＪｏｎｅｓ特許の垂直に配向した１つの予圧ギブ（図５に示すようにギブ５４
など）内に凹部を設ける。

【００１１】米国特許第３，６１９，０１３号の予圧ギブ（４２）は実質的にテーブル（１
１）の長さに延在する平らなバーとして形成され、第２欄第４４〜５３行に注目
すると、止め板（２２）内の該当する凹部（４４）内に収容される。複数の予圧
液圧アクチュエータ（４６）は凹部（４４）の底に沿って配置され、加圧された
オイルまたは他の液圧流体がアクチュエータ（４６）用液圧シリンダ（４８）に
供給される。したがって予圧ギブ（４２）はテーブル（１１）の長さにわたって
一定の予圧を与えられる。垂直予圧ギブ（５４）は類似の方法で機能する。

【００１２】「浮動する」ギブはＪｏｎｅｓ特許のサドル１２のガイドレールに近づいたり
遠ざかることができ、ガイドレールの面内の小さな表面の不規則または欠陥に適
応する。米国特許第３，６１９，０１３号に示された前述の予圧静圧軸受システ
ムは、固定軸受システム全体のきず跡のついた改善を示すが、Ｊｏｎｅｓに示す
ようなシステムは長く固く平らなバーであり、局部的欠陥に容易に合わないギブ
の製造および組み込みを必要とする。ギブ（４２）は凹部（４４）内の長手方向
の動作が端部保持器板（４５、図４と図８参照）によって抑制され、側部が凹部
の壁によって抑制される。同様な抑制は垂直ギブ（５４）に課せられる。

【００１３】静圧軸受システムの進歩にかかわらず、可動なキャリッジがガイドレールに接
触したりかみ合う機械故障が連続して起きている。このような故障は、どのよう
な原因で生産ラインがカタストロフィー（ｃａｔａｓｔｒｏｐｈｙ）な結果にな
っても、時間節約のため運転停止になり、製品の生産の遅延を付随的に伴って高
コストに修繕することになる。

【００１４】（発明の概要）出願人は多数の機械故障をテストし分析し薄い流体膜の温度が機械の故障に重
要な役割を演じていることを認識した。より正確には、出願人は、流体軸受のオ
イルの温度が工作機械の可動なキャリッジの温度とかなりの範囲で異なっている
場合、キャリッジはバイメタル部材に近似した形でカールしたり曲がることにな
ると判断した。可動なキャリッジの内部は常温のままであるが、オイルの薄膜と
接触する加熱される面がわずかに膨張した。これによって温度差により可動なキ
ャリッジにカール作用や屈曲を与え、カール作用が可動なキャリッジと工作機械
の固定ベース間のギャップまたはクリアランスに乗り越えギャップをなくす。そ
の結果、機械が動かなくなり（固定すなわち凍結）、接触面に損傷を伴わせる接
触領域ができた。

【００１５】出願人による故障機械の広範なテストによりさらに、最も普通の接触領域が予
圧レールの端部に生じることを明らかにした。暫定的な解決法として、短い予圧
レールが種々の工作機械に利用され、レールの端部を浮き上がらせた。しかし、
このような解決法は、長い予圧レールをもつ大きな工作機械には応用できない。
さらにある場合には条件がきびしいので予圧レールを短くすることは不十分であ
る。

【００１６】したがって、機械のサイズにかかわらず、機械設計プロセスに組み込むことが
できる、より一般的な解決法が必要かつ望ましいと考えられた。さらに実験と故
障解析が実施され、予圧レールに対してピストンが必ず浮動し傾動する本静圧予
圧ピストン・システムに到達した。本ピストンは設計、取り付け、運転が簡単で
あり、キャリッジのカール問題に適応し知られた静圧軸受と両立する。

【００１７】したがって、浮動し傾動する、制限手段のない本静圧予圧ピストンは、熱変形
や、類似の歪みが普通なら機械性能に否定的に強い影響を与える場合にいつでも
またはその場合に必ず機械故障を防止する。静圧予圧ピストンを浮動し傾動する
ことによって与えられる解決法は広く一般に応用できる可能性を有し、このよう
な解決法がカールからあらゆるタイプの局部的歪み、機械誤差、ガイド面の使用
面の欠陥、機械荷重に帰すことができる歪み等にうまく応じ、同時に予圧軸受に
関連する所望の剛性特性を維持する。

【００１８】本発明は、工作機械の可動なキャリッジと関連する予圧レール内のポケット内
に浮動する調整可能な静圧予圧ピストンを企画する。この「浮動する」ピストン
はまたそのポケット内でポケット内の加圧流体の損失なく、傾動および揺動する
動作ができる。

【００１９】傾動でき「浮動する」本予圧ピストンに帰すことができる静圧予圧機能は、ピ
ストンの段付き補償面の外形に関係して、制限手段を復活させることなく達成す
る。

【００２０】本静圧予圧ピストンの特有の浮動および傾動の動作は、カール効果および他の
歪みに合わせられ、工作機械の基台上のレールなどのガイド面の他のきずや欠陥
を補償する。この「浮動する」ピストンはガイド面の近接面に追従または従動し
て、キャリッジの熱歪みを補償し、これによって可動なキャリッジがガイド面の
仕上げ面にくっつき、接触または別の方法で結合することから防止する。

【００２１】さらに、本予圧ピストンの傾き動作はキャリッジ上の加熱されたオイル膜の否
定的な影響力に対応して有効に応動する。浮動する本予圧ピストンの傾き動作は
、可動なキャリッジをもつ種々の機械のレール、動面（ｗａｙｓ）、案内部（ｇ
ｕｉｄｅｓ）、滑動部（ｓｌｉｄｅｓ）などの、ガイド面の使用に対しても同じ
く適切に与える。

【００２２】相対的に移動する面間のオイル膜は、通常の運転条件で剪断力や摩擦力等によ
って加熱される。加熱されたオイルは、可動なキャリッジの近接した表面よりも
著しく大きな温度、例えば１０°Ｆ（−１２．２°Ｃ）に到達すると、キャリッ
ジにカールアップ（ｃｕｒｌ−ｕｐ）または曲げを生じさせる。このような効果
は大抵可動なキャリッジと関連する予圧レールの端部近くと言われているが、本
「浮動する」ピストンはどこにできてもカール効果に合わせることができる。

【００２３】したがって、本発明は可動なキャリッジ内において起こることができ、かつそ
の端部近くと言われている熱変形やカールの問題に応じる。さらに、本発明は熱
変形またはカールに応ずると同時にガイド面にある他の欠陥またはきずに応ずる
ことも等しくうまくできる。

【００２４】最適の結果を達成するため、各「浮動」および傾動可能なピストンは可動なキ
ャリッジの予圧レールにおいて自分のポケットに保持され、予圧力を工作機械の
基台上のガイド面に加える。多くの浮動するピストンがスペースのある間隔で予
圧レールの長さに沿って位置し、通常静圧軸受が予圧ピストンと反対側に位置す
る。予圧レールの各ポケット内のキーはピストンの開口に取り付け、個々のポケ
ット内に浮動するピストンを位置合わせする。

【００２５】予圧レールの各浮動および傾動ピストンはそのベースの回りに固定されたＯリ
ングを有し個々のポケット内にそれを保持する。浮動するピストンは予圧レール
内に位置し、通常の静圧軸受の力と反対の力を分与し、微小なギャップを工作機
械の可動なキャリッジとガイド面の近接面間に維持できる。

【００２６】さらに各ピストンは、可動なキャリッジの予圧レール内のいかなるカールもし
くは曲がりまたは歪みにかかわらず、いつでもガイドレールなどのガイド面を追
従できる。ピストンの一側がガイドレールに近づきすぎる移動をするとき、その
ようなエリア内に捕獲されたオイル膜の圧力が増大し、「浮動する」ピストンに
復活する力を働かせる。「浮動する」ピストンはついで平衡な位置をとり、その
場合ピストンの縦軸はガイド面に垂直になり、ガイド面を追従すると同時にピス
トンとガイド面間の所望のギャップを維持する。各ピストンの平衡位置にリター
ンする能力は浮動する予圧ピストンの面の段付き構成による。

【００２７】本「浮動する」および傾動する静圧予圧ピストンにより理解される他の利点は
、添付図面を発明の次の記載と調和して解釈すると当業者に見いだされよう。

【００２８】

【発明の実施の形態の説明】

次に図面を参照すると、図１は、研削機械などの、従来設計の工作機械１０を
概略形式で示す。工作機械１０は固定基台１２を備え、キャリッジ１４が固定基
台の頂部に取り付けられている。フランジ１６はキャリッジ１４から延出し、従
動部１８がフランジ内の開口に嵌着する。モータ２０は、リードスクリュ２４に
接合される軸２２を回転する。リードスクリュ２４は従動部１８と協働しキャリ
ッジ１４を図１の「ｙ」すなわち長手方向に前進または後退する。

【００２９】駆動モータ・アセンブリ２６はキャリッジ１４の頂部に位置し、砥石車２８は
キャリッジの前端部に位置する。エンドレス・ベルト３０はアセンブリ２６から
砥石車２８に動力を伝達し、砥石車２８を高速回転する。駆動モータ・アセンブ
リ２６には砥石車２８を回転するための大きな駆動モータ２９がある。

【００３０】ローブ（ｌｏｂｅｓ）３２などのカム面をもつカム軸３１などの工作物は、工
作機械１０の前部の基台１２上に横に延びている。カム軸３１の一端は主軸台３
４のチャック（図示せず）に保持され、一方カム軸３１の反対端は主軸台に向け
て横に動くことができる協働の心押し台（図示せず）でチャック内に押圧される
。カム軸３１に向くキャリッジ１４の長手方向の動作は工作物の中心線に垂直で
あり、かつカム軸３１と砥石車２８の回転中心は平行であるため、高性能エンジ
ン等用の製品の、現在のエンドユーザによって指示された工作物に、必要な裕度
を満たすのに必要な最適研削条件を実現できる。

【００３１】図２Ａは、レール３６などの少なくとも１つの固定ガイド面がボルト３８によ
って基台１２の上端部に固定されていることを示す。ガイドレール３６は断面長
方形であり、底面４０と上面４２は完全に平らで互いに平行である。内側壁４４
は外側壁４６に平行であり、ガイドレール３６の底面４０と上面４２に垂直であ
る。

【００３２】予圧レール４８が固定ガイドレール３６の底面４０付近のキャリッジ１４の下
側に固定される。キャリッジ１４内の垂直壁５０は固定ガイドレール３６の内側
壁４４に近接して位置し、一方水平壁５２は固定ガイドレール３６の上面４２に
重なる。上部静圧パッド５４は破線で外形を示すが水平壁５２に規定され、より
小さな垂直配向の静圧パッド５６はキャリッジ１４の垂直壁５０に規定される。複数の同一のポケット５８が予圧レール４８に間隔をおいて形成される。予圧
ピストン６０が各ポケットに嵌合する。各予圧ピストンは縦断面Ｔ形であり、拡
張したヘッド６２と小型のベース６４を備える。Ｏリング６６がベース６４を取
り囲み、溝６５内に設置される。位置決めピン６７はポケット５８内に位置し、
予圧レール４８から上方に延出し、ピストン６０のヘッド６２の開口７６に嵌合
する。ピンと開口はポケット内のピストンの位置を調整する。

【００３３】オイルなどの圧力流体を静圧パッド５４、５６に流出するため、連絡通路６８
が穿孔または他の方法でキャリッジ１４内に形成される。他の連絡通路６８は圧
力流体をキャリッジを介して予圧レール４８および予圧レール内のポケット５８
に誘導する。共通の圧力流体源（図示せず）は流体をキャップ７１を経て連絡通
路に流出する。突出針または別の機械的な制御手段の付いたスクリュなどの制限
器７２を、連絡通路６８内の圧力を調整するのに使用することができる。

【００３４】図２は、予圧レール４８のポケット５８に設置される静圧予圧ピストン６０が
、ガイドレール３６の上面４２上に配置される静圧軸受すなわちパッド５４と反
対側に位置することを示す。

【００３５】ピストン６０の拡張ヘッド６２は各ポケットのより大きな上端部に嵌合し、一
方ピストンのより小さなベース６４がポケットの底端部にはめ込まれる。予圧ピ
ストン６０は、前に留意したように工作機械の剛性を増すため上部静圧パッド５
４と反対側に位置する。

【００３６】図３は、複数のポケット５８が予圧レール４８に沿って位置することを示す。
予圧ピストン６０は各ポケットの関係寸法および形状が見えるようにポケット５
８から外されている。ポケットと動作的関係にあるピストンは、ガイドレール３
６の反対側に位置する静圧軸受すなわちパッド５４に有効に対峙するように位置
する。

【００３７】図４と図５は、予圧レール４８のさらに詳細を示す。連絡通路６８が、予圧レ
ールと連通し、遠隔の供給源すなわち貯蔵部（ｒｅｓｅｒｖｏｉｒ）から工作機
械に導入されるオイルなどの圧力流体を受け入れる。連絡通路６８はコンジット
（ｃｏｎｄｕｉｔ）７４と連通し、圧力流体を予圧レール内の各ポケット５８に
流出する。コンジット７４はピストン６０のベース６４を嵌めるポケット５８の
底端と連通する。

【００３８】開口７６が各ピストン６０に形成される。開口は各ポケット内に位置決めピン
６７を嵌めるように作られる。位置決めピン６７が開口７６に挿入されると、ピ
ストン６０は個々のポケット５８内に適正に嵌められる。ボルト穴７９に締め具
７３を嵌めて、予圧レール４８をキャリッジ１４の下側に固定でき、少なくとも
部分的に固定ガイドレール３６をまたぐことができる。

【００３９】図６と図７はピストン６０の拡大スケールを示す。軸方向の通路７８は、コン
ジット７４と連絡し、加圧流体が中央穴８０に入って、中央穴８０を通って上方
へ通過することができるようにする。浅い円形凹部８２がピストン６０の面に規
定され、環状壁８４が凹部８２の周囲に延在している。小さな環状段８３が凹部
８２と環状壁８４の頂部間に規定される。

【００４０】ポケット５８は、それに対してピストン６０が動くことができるように大きさ
および形状が形成されている。Ｏリング６６は流体がポケットから漏出するのを
防ぐ。またＯリング６６の柔軟性によりピストンはあらゆる方向に浮いたり傾く
ことができる。

【００４１】したがって、圧力流体が遠隔の供給源から連絡通路６８に導入されると、流体
が予圧レール４８内のコンジット７４中を流れる。流体が軸方向の通路７８に流
れて中央の軸方向穴８０を通り、凹部８２を満たす。Ｏリング６６はポケット内
の流体を維持する。ピストン６０がポケット５８内で予圧レール４８に対して浮
いたり傾くとき、カール（ｃｕｒｌ−ｕｐ）を含む様々な原因のせいにすること
ができる局部的きずに合わせるので、ピストンが動くことで可動なキャリッジが
ベース１２の固定ガイドレール３６に対して流体の薄膜を滑動することが可能に
なる。

【００４２】図８は予圧レール４８内の複数のポケット５８に個々に保持される一連のピス
トン６０を、浮動および／または傾動する形で概略式に示す。各ピストンの傾き
動作は、レール３６などのガイド面および可動キャリッジ１４の歪みに合わせる
と同時に、固定ガイド面に対して動くキャリッジの複数の表面間の薄膜静圧流体
を維持する。

【００４３】図９はポケット５８に対するピストン６０の傾き動作を、極めて拡大したスケ
ールで示す。Ｏリング６６はポケット５８のピストン６０のベース６４を保持し
、同時に浮きおよび傾き動作を可能にする。圧力下の流体はコンジット７４を通
して通路７８、中央穴８０に、したがって浅い凹部８２に流れる。Ｏリング６６
はポケット５８内の圧力下の流体を維持する。環状壁８４は静圧流体をその傾動
作にかかわらず凹部８２内に保持する。予圧レール４８に対する各ピストン６０
の傾動作により、熱歪みおよび／または他のきずにかかわらず、際立った正確さ
と精密さでピストンをガイド面３６に垂直に動かし追従させることができる。た
とえ予圧レール４８がもはやガイドレール３６と平行に整列しないとしても、静
圧軸受内のピストンはあたかもそのような関係が実際上完全な精密さと無欠さで
維持されているかのように機能する。

【００４４】さらに、段のある外形に起因して、ピストン６０は安定位置をガイドレール３
６の表面に対してとることができる自己回復性を示す。したがって、ピストン６
０が反時計回り（図９において）にガイドレール３６に向かって回転する場合、
ベースの下方向の力で環状壁８４とガイドレール３６間の小さなギャップに閉じ
込められているオイルを加圧する。ピストンの反対側でのギャップがますます大
きくなり圧力が低下する。圧力差はピストンに時計方向の力を付与し、ガイド面
に垂直な垂直軸の安定位置に戻るように傾く。したがって予圧ピストンは動作特
性を高めると同時に機械的な制限を不要とする固有の自己回復性を示す。

【００４５】（動作サイクル）予圧レール４８の予圧ピストン６０は連絡通路６８、コンジット７４、通路７
８および穴８０を通る静圧流体によって加圧され、レール３６などのガイド面の
下側に接触する。柔軟で弾力のあるＯリング６６はポケット内の圧力を維持する
シールとして作用する。またＯリングはピストン６０の浮動および傾動用の旋回
軸として作用する。流体は、可動なキャリッジとガイドレールを離すギャップに
ピストン６０を通して流れる。

【００４６】加圧流体は連絡通路６８を経由して、固定ガイドレール３６の上側に面し可動
なキャリッジの表面に形成される静圧パッド５４に流出する。パッド５４は可動
なキャリッジと固定ガイドレール３６間の一様なギャップを維持しようとする。
予圧ピストン６０は静圧軸受すなわちパッド５４の反対側で機能し、工作機械に
剛性を与える。

【００４７】予圧レール４８および／または運び台１４および／またはガイドレール３６の
いかなる欠陥も個々のピストン６０の浮動および傾動作用によって適応されるこ
ととなる。ピストン６０の軸穴と段のある上面より薄膜のオイルを可動なキャリ
ッジ１４とガイドレール３６間のギャップ内に流出する。ピストンは予圧レール
４８に対して浮動および傾動することができ、たとえ予圧レールとガイドレール
間のギャップ内に、予圧レール４８が「カール」または弓のように曲がったりお
よび／または押し付けられても、ガイドレール３６に垂直な配向に維持すること
ができる。このような変形は、結果として静圧軸受内のオイルの熱のせいにする
ことができる可動なキャリッジの熱勾配に起因しうる。様々なタイプのきずおよ
び欠陥に局部的に合わせるピストンの性能によって、各ピストンの浮動および傾
動作用もガイドレール内の異常に合わせる。

【００４８】静圧パッド５６はまた、可動なキャリッジと固定ガイドレール３６間の水平方
向のクリアランスを維持するため加圧される。静圧軸受と予圧ピストンによって
押圧される垂直および水平の抑制作用により、可動なキャリッジとそれを使用す
る工作機械のガイド面間の摩擦のない障害物のない動作が確実になる。

【００４９】本発明の好適な実施の形態は工作機械に関して記載したが、浮動と傾動の能力
をもつ本静圧予圧ピストンは、より一般的な目的のうち、動面、案内部、滑動部
、ジャーナル（ｊｏｕｒｎａｌｓ）に等しく応用できるものであり、用語「案内
面」は汎用形の要素と同じに使用される。静圧予圧ピストンは独創的装置として
新しい機械に組み込むことができ、または既存の機械に機能を高めるため組み込
むことができる。静圧予圧ピストンはパッドなど通常の静圧軸受と反対側に位置
し、工作機械の剛性を増し重負荷によるたわみに抵抗する。予圧ピストンは工作
機械の寿命が終わるまで、組込み、運転および保守が容易であり、機械的な制限
手段を必要としない。

【００５０】予圧ピストンの構成の他の変形または修正は当業者なら案出することができる
。例えばピストンのヘッドはベースに対して大きく拡大する必要はなく、またピ
ストンの表面の外形はその効果を低減することなく変化できる。したがって、添
付の特許請求の範囲は、本発明によって理解される有益な科学技術の顕著な進歩
と矛盾しない自由な方法で解釈すべきであり、記録された特許請求の範囲に採用
される用語に厳密に限定されない。

【図面の簡単な説明】

【図１】固定基台、可動なキャリッジおよび可動なキャリッジに固定された工具を具備
する研削機械などの知られた工作機械の概略図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿って指示方向に取った、本発明の原理に従って構成さ
れた静圧予圧ピストンを示した工作機械の可動なキャリッジと固定基台の拡大破
断図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿って指示方向に取り、かつ拡大した、予圧ピスト
ンを受ける予圧レールの平面図である。

【図４】図３の予圧レールを破断し拡大して示した平面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿って指示方向に取った、予圧レールの縦断面図である。

【図６】予圧レール内で使用される静圧予圧ピストンの平面図である。

【図７】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線に沿って指示方向に取った、静圧予圧ピストンの縦断
面図である。

【図８】予圧レール内に保持された複数の予圧ピストンの概略表示の図である。

【図９】図８の取り囲みエリア内でかつ拡大した、図８の予圧ピストンの１つの図であ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 21900 ＢｕｒｂａｎｋＢｏｕｌｅｖａｒｄＷｏｏｄｌａｎｄＨｉｌｌｓ，ＣＡ 91367−7418 ＵｎｉｔｅｄＳｔａｔｅｓｏｆＡｍｅｒｉｃａ (72)発明者メッツラー，ジョエルアメリカ合衆国ペンシルバニア州 17225，グリーンキャッスル，リータースバーグロード 786 Ｆターム(参考） 3C048 BC01 CC07 CC20 3J102 AA02 BA05 CA06 EA12 EA16 EA21 GA07

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】組み合わせにおいて、（ａ）基台、（ｂ）前記基台に形成された少なくとも１つのガイド面、（ｃ）前記基台の上に取り付けられる可動なキャリッジ、（ｄ）前記可動なキャリッジと前記基台間に位置して、その間の移動を容易に
する軸受、（ｅ）前記キャリッジを前記ガイド面に沿って進行させるモータ手段、（ｆ）前記ガイド面に跨がって前記可動なキャリッジに対して固定される予圧
レール、（ｇ）前記ガイド面に近接し前記予圧レール内に規定される複数のポケット、（ｈ）各ポケットに位置するピストン、（ｉ）各ポケットは、前記ピストンがその中で動くことができるように、ポケ
ット内に入れられる前記ピストンよりもサイズの大きい凹みを規定すること、（ｊ）前記ピストンを各ポケットの前記凹み内に保持するシール部材、（ｋ）静圧流体を前記ポケット内に導入して前記軸受と反対側の前記ピストン
を加圧するため、前記可動なキャリッジと前記予圧レール内におけるコンジット
手段、（ｌ）前記シール部材が柔軟材料で形成され、前記シール部材を取り除くこと
なく、前記ピストンが前記凹み内を動くことができる、以上の構成を具備することを特徴とする機械。
【請求項２】前記ピストンがヘッドと垂下するベースを備えることを特徴
とする請求項１に記載の機械。
【請求項３】開口が各ピストンに規定され、位置合わせピンが各ポケット
に挿入され、前記ピンが各ピストンを個々のポケット内に保持するため前記開口
に嵌着されることを特徴とする請求項１に記載の機械。
【請求項４】ノッチが前記ピストンの垂下ベースの外面に位置し、前記シ
ール部材が前記ノッチに設置されることを特徴とする請求項１に記載の機械。
【請求項５】前記シール部材が、柔軟な弾力性材料で形成されたＯリング
を備えることを特徴とする請求項１に記載の機械。
【請求項６】各ピストンが軸方向の通路とヘッド内の外方に開口する浅い
凹部を取り囲む環状壁を有し、前記通路は静圧流体が前記ピストンを通して流れ
、前記浅い凹部を満たし、前記予圧レールと前記ガイド面間に規定される狭いギ
ャップ内に流れることができることを特徴とする請求項１に記載の機械。
【請求項７】段部が各ピストンのヘッドの上面の環状壁と浅い凹部間に規
定され、前記段部が前記ピストンを安定なピストンに戻すため前記環状壁と前記
ガイド面間のギャップ内の圧力差に応動することを特徴とする請求項６に記載の
機械。
【請求項８】基台、前記基台から突出する少なくとも１つのガイド面、前
記ガイド面上に取り付けられる可動なキャリッジ、前記可動なキャリッジと前記
基台間に位置してその間の移動を容易にする静圧軸受、前記キャリッジを前記ガ
イド面に沿って進行させるモータ手段、前記可動なキャリッジ上の静圧軸受と反
対側に前記可動なキャリッジに固定される予圧レール、前記可動なキャリッジと
前記予圧レール内に規定されその間の連絡を確立するコンジット手段を備え、機
械のガイド面とキャリッジのきずを補償する方法であって、（ａ）前記予圧レールに個別に上方に開口する複数の分離したポケットを形成
するステップと、（ｂ）ヘッドと、垂下するベースを備えるピストンを形成するステップと、（ｃ）前記ピストンの上面に形成される浅い凹部と連通するため各ピストンを
貫通する軸方向の穴を形成するステップと、（ｄ）前記凹部より上方に段付けされる環状壁で浅い凹部を取り囲むステップ
と、（ｅ）各ポケット内にピストンを挿入するステップと、（ｆ）前記ピストンを前記ポケット内に保持するため各ピストンのベースの回
りに柔軟部材を固定するステップと、（ｇ）圧力下の静圧流体を前記コンジット手段に導入し、前記ピストンを通り
前記浅い凹部に流れ込み前記予圧レールと前記ガイドレール間に薄膜を形成する
ステップと、（ｈ）前記ピストンが、前記キャリッジと前記ガイド面間に位置する前記軸受
と反対側に配置される予圧軸受として機能するステップと、（ｉ）各ピストンが予圧レールに対してそのポケット内で前記柔軟部材の回り
に浮動および傾動し、これによって前記ガイド面に追従すると同時に、前記可動
なキャリッジと前記ガイド面の異常に合わせるステップを含むことを特徴とする
方法。
【請求項９】（ｊ）前記ピストンの外形とみなせる前記ピストンの前記段
付き面と前記ガイドレール間の戻り力を作るステップを含む前記ガイド面と前記
可動なキャリッジにおける異常を補償することを特徴とする請求項８に記載の方
法。
【請求項１０】（ｋ）前記柔軟部材をシールとして利用し、前記シールが静
圧流体をポケット内に保持し、前記ピストンのベースがこのような流体によって
上方に押されると同時にピストンの段付き面が反力を受けるステップを含む前記
ガイド面と前記キャリッジにおける異常を補償することを特徴とする請求項９に
記載の方法。
【請求項１１】（ｌ）前記弾力のあるＯリングを受けるため各ピストンの前
記ベースの外部回りにノッチを形成するステップを含む前記ガイド面と前記キャ
リッジにおける歪みを補償することを特徴とする請求項１０に記載の方法。