JP2002502820A - 遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカインの放出を調節する組成物及び方法 - Google Patents

遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカインの放出を調節する組成物及び方法

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Abstract

(57)【要約】 遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカイン放出の未知の機構、及びこの機構に基づく治療及び診断法及び技術を開示する。この機構は、DNAプロテインキナーゼによる損傷を受けたDNAの認識、及び、これに続く基質のリン酸化を含み、サイトカインの放出を導く。DNAプロテインキナーゼの活性及び遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカインの放出を調調節する方法を開示する。この調節をモニターするのに使用することのできるDNAプロテインキナーゼ活性のためのアッセイもまた開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連仮出願の相互参照 本出願は、1998年2月4日に出願された、米国仮特許出願第60/073
,640号のUSC第199条(e)に基づく権利を請求する。
【0002】
【発明の分野】
本発明は、サイトカイン及び遺伝子毒性エージェントに関する。より特定する
と、本発明は、一つ以上の遺伝子毒性エージェントへの暴露による細胞からのサ
イトカインの放出を制御することのできる、例えば、調節することのできる、組
成物及び方法に関する。
【0003】
【発明の背景】
A.遺伝子毒性エージェント 当技術分野に周知のように、遺伝子毒性エージェントとは、直接又は間接的に
、DNAに損傷を生じるか又は誘導する、化学物質、又は、熱又は放射線のよう
な処理である。このような損傷は、突然変異、細胞周期の停止、及び/又は細胞
死を導き得る。損傷は、核酸塩基又は糖−リン酸骨格に生じ得るか、又は、DN
A鎖の1本鎖又は2本鎖の破壊であり得る。突然変異が生じるとき、それは、細
胞機能の遺伝的な変化を導くDNA配列又はDNA修飾パターンの遺伝的変化で
あり得る。
【0004】 遺伝子毒性エージェントは、紫外線又は電離放射線のような天然成分として、
又は、アフラトキシンのような、食品中の天然汚染物として、又は、タバコの煙
中又は産業排気中のベンゾ[a]ピレン類のような人為的汚染環境中に見出され
る。遺伝子毒性エージェントは、薬物学的及び健康に関連する目的のためにも使
用することができる。例えば、多くの抗ガン放射線療法及び化学療法は、遺伝子
毒性エージェントである。同様に、ヒト及び動物が最もしばしば曝される遺伝子
毒性エージェントである紫外線は、日焼けのような有益な目的の為に使用するこ
とができる。加えて、光線又は電離放射線は、皮膚病学及び抗ガン治療のため及
び血液の滅菌のために、光線に感受性のある薬物と組み合わせることができる。
【0005】 遺伝子毒性エージェントに対する生体の反応の一つは、DNA修復を行うため
に、細胞周期を停止することである。このような修復は、細胞内のDNA修復酵
素の濃度、DNA損傷の程度及び種類などによって成功したり又は成功しなかっ
たりする。細胞周期の停止は、修復しない細胞分割の結果である遺伝物質への急
性損傷を防ぐための重要な役割をもたらす。損傷が修復不能である場合、細胞が
細胞死応答、すなわち、プログラムされた細胞死への経路を取る。細胞周期の停
止及び/又は細胞死を導く細胞内での分子信号の一般的なプロセスは、最近、P
.Herrlich、C.Blattner、A.Knebel、K.Bend
er、及びH.Rahmsdorf、“Nuclear and non−nu
clear targets of genotoxic agents in
the induction of gene expression.Sh
ared principles in yeast,rodents,man
and plants,”Biological Chemistry、37
8巻、1217頁乃至1229頁、1997年、及び、J.Y.J Wang、
“Cellular responses to DNA damage”、 urrent Opinion in Cell Biology 、10巻、2
40頁乃至247頁、1998年で検討されている。
【0006】 B.遺伝子毒性エージェントの長期的作用−DNAの変異 遺伝子毒性エージェントの長期的作用は、DNAの変異であり、これは、DN
A修復が不成功の場合に生じる。これらの変異は、DNA配列の遺伝的な変化で
あり、ヒトの発ガンの行程での不可欠な要素である。これらの行程の全てが、突
然変異の固定、すなわち、DNA変化の永久的な確立からガンの進行を導くわけ
ではない。遺伝子毒性エージェントへの暴露とガンの進行の間の長く、何年にも
わたる、潜伏期が存在することが、ヒトのほとんどのガンでの特徴である。変異
は、遺伝子毒性への暴露後すぐに固定されるという事実にもかかわらず、これは
真実である。腫瘍促進(tumor promotion)とよばれる、変異し
た細胞を含む組織の変化の進行は、遺伝子毒性エージェントにより誘導されるサ
イトカインの放出により促進され、腫瘍の発現を導く。
【0007】 C.遺伝子毒性エージェントの短期的作用−サイトカインの放出 動物及びヒトでの遺伝子毒性エージェントの重要な短期的作用の一つは、全身
的であり、紅斑、炎症、熱、抗原特異性免疫抑制、及び他の身体的作用を含む。
これらの作用は、サイトカインにより媒介される(例えば、T.Luger及び
T.Schwarz、“Epideremal cell−derived c
ytokines”、Skin Immune System、J.D.Bos
編集、CRC Press Inc.、Boca Raton、Fla.、19
90年、257頁乃至291頁を参照のこと)。本発明は、これらのサイトカイ
ンに基づく遺伝子毒性エージェントに対する反応に関する。
【0008】 本技術分野において、サイトカインは、一つの細胞から放出され、他の細胞及
び/又はその細胞の活性に影響する、多数で、そして変形した種類のタンパク質
である。サイトカインの濃度は、細胞機能の原因に対応して調節されることがし
ばしばであり、そして、遺伝子毒性エージェントに曝された組織、器官系、及び
有機体全体の反応及びホメオスタシスを調整するのに役立つ。
【0009】 サイトカインは、個々に放出されることは分かっていない。むしろ、それらは
、遺伝子毒性エージェントへの特徴的な反応内容を形成する群として放出される
。例えば、太陽のUV(遺伝子毒性エージェント)による日焼けは、同時に(a )熱を引き起こすインターロイキン−1(IL−1)の発現、(b)肝臓機能を
流動化(mobilizes)するインターロイキン−6(IL−6)、(c)
炎症を誘導し、局部的な抗体特異的免疫抑制を導き、そして潜伏性ウイルスを活
性化させる、腫瘍壊死因子α(TNFα)、(d)サプレッサーT細胞を誘導す
るインターロイキン−10(IL−10)、(e)リンパ球の侵入を制御する細
胞内接着分子1(ICAM−1)の瞬時の減少及びそれに続く増加、及び、(f
)免疫反応及び多くの他のサイトカインを調節するインターフェロンγ(IFN
γ)の減少、を誘導する。
【0010】 細胞外シグナリングという語において、最も重要なサイトカインは、TNFα
及びIL−1であるが、これは、それら自身生理的な反応を生じさせることがで
きるのみだけでなく、他の離れた細胞からのサイトカインの発現を誘導すること
ができるためである。遺伝子毒性エージェントにより引き起こされる、サイトカ
インをベースとする細胞外シグナリングを制御することは本発明の第一の目的の
一つである。
【0011】 サイトカインの作用の最も共通な機能は、細胞からの放出と、他の細胞への移
動である。しかし、サイトカインは、損傷を受けた細胞の表面に配置されること
により細胞外シグナリングに作用する場合もある。したがって、本明細書におい
て、「サイトカイン放出」及び「サイトカイン生成」という節は、細胞からのサ
イトカインの実際の放出による細胞外シグナリング及び細胞表面でのサイトカイ
ンの細胞外への配置による細胞外シグナリングの両方を含む。これらの語は、デ
ノボ合成、前駆体プロセッシング、細胞内輸送、細胞外放電(extracel
lular discharge)、及びサイトカインの表面配置を含み、これ
らに制限されない、細胞外サイトカインシグナリングの増大をもたらす細胞機構
のいずれをも含むように広範に解釈される。
【0012】 D.遺伝子毒性エージェントの作用機構についての当技術分野の誤解 (1)誤った厳密な二分法理論 今日まで、当業者は、DNAに対する損傷は、細胞周期の突然の停止に相当し
、これはDNAの変異の固定又は遺伝子毒性エージェントへの暴露に続く細胞死
反応を導き得ると考えていた。この理論は、L.H.Hartwell及びM.
B.Kastanにより“Cell cycle control and c
ancer”、Science、266巻、1821頁乃至1828頁、199
4年に見受けられる。
【0013】 一方、サイトカインの誘導は、細胞膜への損傷、すなわち、細胞核から除去さ
れた標的への損傷の結果起こるものと考えられていた。この理論は、P.Bar
nes及びM.Karinの“Nuclear factor κB:a pi
votal transcription factor in chroni
c inflammatory diseases”、New England Journal of Medicine 、336巻、1066頁乃至107
1頁に見受けられる。
【0014】 以下に記載するように、本発明に従うと、この考え、すなわち、(a)細胞内
シグナリングを導くDNA(核)への損傷及び(b)細胞外シグナリングを導く
膜(細胞質)への損傷の影響での間での厳密な二分法が存在するという考えが誤
りであることが明らかになった。実際、遺伝子毒性エージェントへの暴露により
引き起こされたDNAの損傷は、サイトカインの生成を経て細胞外シグナリング
を導く。
【0015】 さらに、本発明によると、この機構によるサイトカインの生成は、DNAプロ
テインキナーゼを要求することが見出された。その結果として、遺伝子毒性エー
ジェントへの暴露により生じるサイトカインの生成は、DNAプロテインキナー
ゼのレベル及び/又は活性を制御することにより制御することができる。この制
御機構は、高度に有効であり、以前は知られておらず、従って使用されていない
【0016】 (2)誤った厳密な二分法理論へ導く証拠 サイトカインの誘導は細胞膜の変異にのみに基づくという従来の考え方の証拠
は、非常に強力である。サイトカイン遺伝子発現を活性化することのできるいく
つかのタンパク質の活性化を導く経路が確立されている。これらの経路は、すべ
て細胞外膜に位置するプロテインキナーゼに始まり、そして、これらのプロテイ
ンキナーゼのほとんどが、外部が細胞受容体である膜内外のタンパク質の内部の
細胞質部分に関する(Y.Devary、R.Gottlieb、T.Smea
l及びM.Karin、“The mammalian ultraviole
t response is triggered by activatio
n of Src tyrosine kinases”、Cell、71巻、
1081頁乃至1091頁、1992年を参照のこと)。
【0017】 これらのプロテインキナーゼは、細胞核から離れた細胞膜において活性化され
、そして付加的な細胞質キナーゼを活性化するが、これはAP−1及びNFκB
のような遺伝子活性因子系のリン酸化をもたらす。これらの修飾された又は放出
された遺伝子活性化因子のDNA結合部位は、サイトカインをコードする遺伝子
のプロモーター領域に見出されることがしばしばである。例えば、S.Taka
shiba、L.Shapira、S.Amar、及びT.Van Dykeら
、“Cloning and characterization of hu
man TNFα promoter region”、Gene、131巻、
307頁及び308頁、1993年に記載されているように、TNFα遺伝子の
プロモーター配列に、これらの結合部位の多くが見出されている。したがって、
これらの膜活性化因子をサイトカイン遺伝子のプロモーター領域のそれらの結合
部位に結合することが、細胞膜での変化による、サイトカイン発現の変化をもた
らす経路であると仮定されている。
【0018】 さらに、厳密な二分法理論の証拠は、UVのような遺伝子毒性エージェントが
、直接細胞表面受容体を三量化することができ、シグナルの変換及び遺伝子発現
を導くと仮定されるカスケードを開始するキナーゼを活性化することを示す最近
の報告に由来する。例えば、I.Warmuth、H.Harth、M.Mat
sui、N.Wang、及びV.De Leo、“Ultraviolet r
adiation induces phosphorylation of
the epidermal growth factor receptor
”、Cancer Research、54巻、374頁乃至376頁、199
4年、及びC.Rosette及びM.Karin、“Ultraviolet
light and osmotic stress:activation
of the JNK cascade through multiple
growth factor and cytokine receptor
s”、Science、274巻、1194頁乃至1197頁、1996年を参
照のこと。
【0019】 しかし、最強の証拠は、紫外線(UV)照射に続く熟知されたサイトカイン放 出系に由来する。例えば、T.Schwarz及びT.Luger、“Effe ct of UV irradiation on epidermal ce
ll cytokine production”、Journal of P hotochemistry and Photobiology、B:Bio logy 、4巻、1乃至13頁、1989年。IL−1、IL−6、IL−10 、TNFα、ICAM−1及びIFNγのような多くのサイトカインは、細胞を UVへ曝すと同時に、遺伝子発現レベル及び放出が変化することが知られている
【0020】 この系を使用し、(a)遺伝子活性化が、完全に膜に依存するかを明確に示し 、及び(b)サイトカイン遺伝子活性化の標的としてDNAを除去することを考
えるための実験を行った。例えば、Y.Devary、C.Rosette、J .DiDonato及びM.Karin“NFκB activation b
y ultraviolet light is not dependent
on a nuclear signal”、Science、261巻、1
442頁乃至1445頁、1993年、及びM.Simon、Y.Aragan
e、A.Schwarz、T.Luger、及びT.Schwarz、“UVB
light induces nuclear factor κB(NFκ
B) activity independently from chrom
osomal DNA damage in cell−free cytos
olic extracts”、Journal of Investigat ive Dermatology 、102巻、422頁乃至427頁、1994
年を参照のこと。
【0021】 これらの広く引用された実験においては、細胞を脱核(核を除くために化学的
及び物理的に処理される)し、そして得られる細胞質にUVを照射したものもあ
る。核(及びゲノムDNA)が存在しないにもかかわらず、遺伝子転写エンハン
サーNFκBの活性化を検出した。
【0022】 おそらく、これらの実験は、当業者の間で、遺伝子毒性エージェント処理に続く
サイトカイン遺伝子発現の誘導は、DNA損傷に依存せず、そして細胞膜に完全
に依存しているという広範な考えを導くことは、驚くべきことではない。例えば
、G.Vile、A.Tanew−Ilitschew及びR.Tyrrell は、“Activation of NFκB in human skin
fibroblasts by the oxidative stress
generated by UVA radiation”、Photoche mistry and Photobiology 、62巻、463頁乃至46 8頁、1995年には、「しかし、UVC照射に依存するNFκBの活性化は、
脱核された細胞でも生じ、UVB照射に依存する活性化も、核の存在しない細胞 抽出物において生じることが示された。したがって、少なくとも、これらの二つ の物質では、核は、活性経路に含まれないことが明らかである。」と要約されてい
る。
【0023】 DNA損傷は、サイトカイン遺伝子発現の誘導を開始する事象であり得る証拠 が存在する。これらの報告は、DNA修復が不十分である細胞内での遺伝子毒性
エージェントの量を低くするように移動するという、サイトカイン遺伝子発現の
用量依存性の関係を示す(B.Stein、H.Rahmsdorf、A.St
effen、M.Litfin、及びP.Herrlich、“UV−indu
ced DNA damage is an intermediate st
ep in UV−induced expression of human
immunodeficiency virus type 1、colla
genase c−fos and metallothionein”、Mo lecular and Cellular Biology 、9巻、5169
頁乃至5181頁、1989年参照)、及び外因性DNA修復酵素の運搬による
DNA修復の増加が、サイトカインの発現又は放出を減少する(D.Yaros
h、L.Alas、J.Kibitel、A.O’Connor、F.Carr
ier、及びA.Fornace、“Cyclobutane pyrimid
ine dimers in UV−DNA induce release
of soluble mediators that activate t
he human immunodeficiency virus prom
oter”、Journal of Investigative Derma tology 、100巻、790頁乃至794頁、1993年)。
【0024】 しかし、本発明がなされる以前は、遺伝子毒性エージェントにより生じたDN
A損傷がサイトカイン遺伝子発現の活性化(当業者により容易に認識される欠損
)に翻訳される認知された生化学的機構は存在しなかった。例えば、Herrl
ich、Blattner、Knebel、Bender、及びRahmsdo
rfは、1997年に、Biological Chemistry(前出)の
1223頁に、「結論として、酵母は、哺乳類細胞での転写抑制のDNA損傷に
依存する経路を共有する。成分は、酵母の遺伝子のために、よりよく特徴付けら
れる。それにもかかわらず、損傷の認識及びシグナリングの性質は、理解されて
いない。」と記載している。同様に、Stephen Jacksonは、19 97年に、“DNA−dependent protein kinase”、 International Journal of Biochemistr y and Cell Biology 、29巻、935頁乃至938頁におい
て、937頁に、「さらに、プロテインキナーゼリン酸化カスケードを誘発する
ことにより、DNA−PK活性化は、細胞DNA損傷シグナリング経路を誘導し
、これは、転写、細胞死、及び細胞周期機構に影響を与えることが可能である。し かし、シグナリングにおける役割の直接の証拠が示されていない。」さらに、よ
り最近では、Jean Wangが、1998年に、Current Opin ion in Cell Biology (前出)、242頁において、「UV
反応は、原形質膜により媒介され得る。UV誘導障害(シクロブタン二量体及び
他のフォトアダクツ(photoadducts))は、哺乳細胞においてRa
d3/ATM様のタンパク質を活性化するシグナルを生成し得るかどうかは知ら
れていない。」と記載している。Herrlich及びRahmsdorf実験
室は、1997年の当業界の見方を1998年に、C.Blattner、Kl
aus Bender、Peter Herrlich、及びHans Rah
msdorf、“Photoproducts in transcripti
onally active DNA induce signal tran
sduction to the delayed U.V.−respons
ive genes for collagenase and metall
othionein”、Oncogene、16巻、2827頁乃至2834頁
に繰り返しており、2832頁には、「転写された遺伝子中のDNA障害をシグ
ナル変換に導くプロセスが知られていない」ことが記載されている。
【0025】 重要なつながりである生化学的機構なしに、DNA損傷がサイトカイン遺伝子
発現の誘導を開始する事象であり得るというデータは、大きく無視されていた。
さらに、機構の知識なしに、機構の制御、従って、サイトカイン放出の制御が不
可能であることは明白である。本発明は、これら当技術分野において見落とされ
ていた要素を提供する。
【0026】
【発明の要約】
上記のように、本発明の目的は、遺伝子毒性エージェントに曝されたときのサ
イトカインの放出を制御(調節)するための方法及び組成物を提供することであ
る。
【0027】 本発明の目的を特定すると、遺伝子毒性エージェントが、人及び動物が暴露さ
れる最も通常の遺伝子毒性エージェントである紫外線光線である場合の方法及び
組成物を提供し、及び、制御(調節)には、遺伝子毒性エージェントに対するサ
イトカインの放出を減少させることを含む。
【0028】 さらに、本発明の目的を特定すると、遺伝子毒性エージェントが、ガン治療に
使用される化学療法又は放射線療法エージェントである、方法及び組成物を提供
し、制御(調節)は、サイトカインの放出の減少を含む。
【0029】 さらに、本発明の目的は、臓器移植を受け、及び移植拒否を避けるために免疫
抑制剤を投与されている人の遺伝子毒性エージェント(例えば、紫外線照射)へ
の感受性を減少することである。
【0030】 本発明の追加の特定の目的は、遺伝子毒性エージェントが、免疫抑制剤であり
、制御(調節)は、遺伝子毒性エージェントに対してサイトカインの放出を増加
させることを含む。
【0031】 本発明の付加的な目的は、一つ以上の遺伝子毒性エージェントに対する個体の
反応(感受性)を調節するために、一つ以上のDNAプロテインキナーゼのレベ
ル及び/又は活性を調節する必要のある個体を同定することである。この目的に
関連し、本発明のさらなる目的は、このような調節に必要のあるレベル及び/又
は活性である特定のDNAプロテインキナーゼ又はキナーゼ類を同定することで
ある。
【0032】 本発明のさらなる目的は、免疫抑制剤が、遺伝子毒性エージェントに対するサ
イトカイン放出に作用するのに十分なDNAプロテインキナーゼ活性における望
ましい減少又は増加をもたらすレベルで投与されるかどうかを決定するための方
法を提供する。
【0033】 本発明の追加の目的では、DNAプロテインキナーゼ活性のレベルの改良され
たアッセイを提供する。
【0034】 本発明は、DNAプロテインキナーゼ、DNA中の、例えば、二本鎖の破壊な
どの変化を認識し、他のタンパク質及び/又は自身をリン酸化する種類の酵素が
、遺伝子毒性エージェントに反応してサイトカインを放出する役割を果たすとい
う発見を経て、上記及び他の目的を達成した。特に、一つ以上のDNAプロテイ
ンキナーゼが、遺伝子毒性エージェントに曝された後のサイトカイン遺伝子の転
写及び/又は翻訳に必要とすることを発見した。
【0035】 本明細書において、「DNAプロテインキナーゼ」は、他のタンパク質及び/
又は自身をリン酸化することにより、DNA構造又はコンフォメーションに変化
を引き起こすタンパク質及びタンパク質複合体の一連のファミリーである。これ
らの酵素のファミリーの特徴は、S.Jin、S.Inoue及びD.Weav
erらにより、“Functions of the DNA Depende
nt Protein Kinase”、Cancer Surveys、29
巻、221頁乃至261頁、1997年で検討されている。
【0036】 これまで、これらの酵素は、(1)二本鎖DNA破壊を含む遺伝子の再配列を
要求する免疫担当細胞の形成、(2)DNA中の二本鎖破壊の修復、及び(3)
細胞周期の調整及びDNA損傷に対応する細胞死にのみ関与した。これらの関連
は、M.Hoekstraにより“Responses to DNA dam
age and regulation of cell cycle che
ckpoints by the ATM protein kinase f
amily”、Current Opinion in Genetics & Development 、7巻、170頁乃至175頁、1997年で検討さ
れている。
【0037】 重要なことに、最も遍在する遺伝子毒性エージェントである、UV光線に関し
、DNAプロテインキナーゼのファミリーのいずれもが、細胞からUV誘導され
たサイトカインの放出に関与しない。上記のように、サイトカイン遺伝子発現が
膜相互作用により制御されているという当業者の考えは、サイトカイン放出を導
くシグナル変換カスケードへ関与するものの中から、これらのDNAプロテイン
キナーゼを除いた。
【0038】 例えば、上記に引用した考えのように、M.Hoekstraは、170頁に
、「この文章において、著者は、細胞周期調整のためのセンサーとしてのPIK
キナーゼ(PI3−キナーゼに関連した放出プロテインキナーゼ)ファミリーメ
ンバーの特徴を議論する。」と記載している。他の例では、Hosoiらが、“
A phosphotidylinisitol 3−kinase inhi
bitor wortmannin induces radioresist
ant DNA synthesis and sensitizes cel
ls to bleomycin and ionizing radiati
on”、International Journal of Cancer
78巻、642頁乃至647頁、1998年に、ウォルトマニンは、DNAプロ
テインキナーゼの阻害剤であるが、サイトカインについてのウォルトマニンの影
響は、膜結合フォスフォチジルイニシトール3−キナーゼ(PI−3)の阻害に
起因することが例示されている。この文献の645頁に、著者は、「ウォルトマ
ニンは、PI3−キナーゼの不活性化によりサイトカイン/ケモカイン−媒介シ
グナル変換経路を阻害する・・・」と記載している。
【0039】 先行技術のこの記載は、図1に模式的に示されているが、上方の点線のボック
スは、DNA損傷がDNAプロテインキナーゼの活性化を導く従来の経路を示し
、キータンパク質基質をリン酸化し、次に、細胞外シグナリングにより、細胞周
期の停止及び細胞死を導く。一方、サイトカインの放出は、先行技術の下方の点
線のボックスの経路に影響し、遺伝子毒性エージェントが細胞膜及び/又は膜受
容体に作用し、脂質及びプロテインキナーゼカスケードを活性化し、次に、サイ
トカイン遺伝子発現及び細胞外サイトカイン放出を導く。
【0040】 図2は、本発明の遺伝子毒性反応経路を模式的に示す。図1と図2の第一の違
いは、図1の先行技術は、早期と後期の事象、すなわち、遺伝子毒性エージェン
トへの暴露3時間以内に生じる事象(早期の事象)と、暴露6時間以降に生じる
事象(後期の事象)を区別していないことである。この時間の次元は、本発明の
基礎を形成する発見の重要な観点である。
【0041】 図1と図2の経路でのさらにより基本的な違いは、図2は遺伝子毒性エージェ
ントによるDNAの損傷を引き起こす影響の一つとしてサイトカインの生成を含
み、この生成は、紅斑、抗原特異的免疫抑制、メラニン形成、及び日焼けのよう
な生化学的影響を導くという事実である。この遺伝子毒性エージェントのサイト
カイン−生成への影響は、図2の右側のボックスの右下に示しており、このボッ
クスに示すように、この作用は、少なくとも一つのDNAプロテインキナーゼの
作用による。
【0042】 異なる遺伝子毒性エージェントにより生じる、異なる種類のDNA損傷は、異
なる種類のDNAプロテインキナーゼを活性化する。例えば、二本鎖の破壊は、
一般に、DNA−PK及びATMとして知られているDNAプロテインキナーゼ
を活性化し、DNA中のUV誘導されたフォトプロダクツは、FRAPとして一
般に知られているDNAプロテインキナーゼを活性化する。世界中の様々な実験
室において行われている研究は、このパターンに当てはまる他の形のDNA損傷
及び他の種類のDNAプロテインキナーゼファミリーを同定することを予想して
いるが、本発明は、これらの続いて生じるDNA損傷/DNAプロテインキナー
ゼの組み合わせを同等に適用することができる。
【0043】 図2に示すように、本発明の基礎となる共通の特徴は、(1)DNAプロテイ
ンキナーゼは、変化したDNAの認識の中心であり、そして(2)タンパク質の
下流のリン酸化は、サイトカイン遺伝子発現、すなわち、サイトカイン遺伝子の
転写及び/又は翻訳を導くことである。この発見に基づき、遺伝子毒性エージェ
ントに反応するサイトカインの生成は、一つ以上のDNAプロテインキナーゼの
レベル又は活性化を調節することにより制御することができる。
【0044】 このような調節は、(1)一つ以上のDNAプロテインキナーゼの活性を、一
つ以上の阻害剤を使用して阻害する、(2)一つ以上のDNAプロテインキナー
ゼの生成に含まれる遺伝子の転写及び/又は翻訳を増大又は減少させる、及び/
又は(3)例えば、リン酸化を行う基質の高められたレベルに反応して及び/又
はともに、損傷されたDNAのレベルを高めてキナーゼを提供することにより、
一つ以上のDNAプロテインキナーゼの活性を高めることにより達成することが
できる。
【0045】 本発明の一つの特定の適用では、ラパマイシンのようなDNAプロテインキナ
ーゼを阻害する化合物は、遺伝子毒性エージェントのようなサイトカインの誘導
を阻害するのに使用される。DNAプロテインキナーゼの他の阻害剤は、S.P
.Lees−Miller、“The DNA−dependent prot
ein kinase、DNA−PK:10 years and no en
ds in sight”、Biochemistry and Cell B iology 、74巻、503頁乃至512頁、1996年に記載されているよ
うに、ピロリン酸塩、ウォルトマニン、6−ジメチルアミノプリン、ピリドン誘
導体であるOK−1035、及び一本鎖DNAを含む。
【0046】 遺伝子毒性エージェントへの暴露は、環境汚染に曝すか、又は毎日の活性のあ
る太陽光に曝すように、故意でない場合もある。暴露は、故意の日焼け又はガン
の放射線療法又は化学療法のように、故意であり得、及び望ましくない副作用で
あり得る。サイトカインの誘導は、免疫抑制、炎症、ウィルスを活性化し、望ま
しくない色素沈着、ケロイド、癒着又は瘢痕、又は、遺伝子毒性エージェントの
暴露による他の一時的又は副作用を引き起こすために望ましくない。
【0047】 本発明のこれらの観点における特定の例は、紅斑、炎症、免疫抑制、潜伏性ヘ
ルペス感染の活性化、プロテアーゼの活性化(例えば、コラゲナーゼ及びメタロ
チオネインプロテアーゼ)及び皮膚ガンのような、太陽及び汚染のDNAへの損
傷の望ましくない副作用を防ぐために、一つ以上のDNAプロテインキナーゼ阻
害剤、例えば、ラパマイシン又はラパマイシン様の化合物を、スキンケア又はサ
ンケア化粧品及び薬物製品に組み込むことを含む。
【0048】 ラパマイシン又はラパマイシン様化合物のようなDNAプロテインキナーゼは
、ガン化学療法剤又は放射線療法と組み合わせても使用することができ、これは
、熱、紅斑、吐き気、嘔吐、頭痛、悪寒、色素異常のような、このような療法に
伴う副作用を減少する。本発明のこれらの適用において、DNAプロテインキナ
ーゼ阻害剤又は阻害剤類は、好ましくは、太陽光線、空気汚染、化学療法、又は
、イオン化照射のような遺伝子毒性エージェントへの暴露に時間的に近接して適
用し、最も好ましくは、暴露の前30分乃至1時間である。
【0049】 本発明は、臓器移植における免疫抑制療法の最も有害な副作用を避けるために
も使用し得る。臓器移植は、シクロスポリンのような寛容な免疫抑制化合物の導
入を全く通常に行う。しかし、この免疫抑制療法の主な副作用は、これらの患者
の皮膚を太陽に曝すと皮膚ガンを起こすことである。M.Clover、C.P
roby、及びI.Leigh“Skin cancer in renal
transplant patients”、Cancer Bulletin 、45巻、220頁乃至224頁、1993年。
【0050】 シクロスポリンが免疫抑制をもたらす機構は、カルシニューリンとの相互作用
によるものなので、UV−B暴露に続くサイトカインの放出を妨害しない。A.
Marionnet、Y.Chardonnet、J.Viac及びD.Sch
mitt、“Differences in responses of in
terleukin−1 and tumor necrosis facto
r α and secretion to cyclosporin−A a
nd ultraviolet B−irradiation by norm
al and transformed keratinocyte cult
ures”、Experimental Dermatology、6巻、22
頁乃至26頁、1997年を参照のこと。このように、シクロスポリンは、太陽
に曝された皮膚でのUV誘導サイトカインの誘導を阻害する、ラパマイシンのよ
うなDNAプロテインキナーゼ阻害剤の有利な効果を有さない。
【0051】 本発明は、一般に、遺伝子毒性エージェントに曝された器官、及び特に、太陽
に曝された皮膚は、遺伝子毒性エージェントにより引き起こされるガンの誘導を
避け、臓器移植を維持するのに要求される免疫抑制の一般化された状態を維持す
るために、遺伝子毒性エージェントに曝される直前又は同時又は直後に、ラパマ
イシンのようなDNAプロテインキナーゼ阻害剤で処理されるべきであることを
教示する。DNAプロテインキナーゼ阻害剤自身が、移植拒否を抑制することの
できる免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン)である場合、阻害剤は、他の免疫抑
制剤及び/又は他の種類の薬剤又は処理とともに又はなしに、使用することがで
きる。このような場合、免疫抑制剤の投与計画及び用量は、移植拒否を抑制し、
遺伝子毒性エージェントへの暴露に反応するサイトカインの生成を抑制する能力
の療法を考慮して選択される。
【0052】 本発明の他の使用は、遺伝子毒性エージェント処理後のサイトカインの誘導を
高めるために、DNAプロテインキナーゼの能力を増大させる化合物(以降、「
DNAプロテインキナーゼエンハンサー」という)を含む。したがって、遺伝子
毒性エージェントの処理は、免疫抑制反応を高めるために使用される場合がある
。例えば、免疫抑制サイトカインを誘導し、抗原特異性自動免疫反応を抑制する
ために、皮膚移植及び乾癬へソラレン+光線を使用する。図2の機構を見ると、
DNAプロテインキナーゼの活性を高める化合物は、免疫抑制療法をより迅速に
、より強力に、及び/又はより均質のものにすることができ、そのため、治療の
効率を増大させる。したがって、本発明によると、DNAプロテインキナーゼの
活性を増大させる化合物は、所望の免疫抑制反応を高めるために、遺伝子毒性エ
ージェントとともに、又は遺伝子毒性エージェントの代わりに使用される。
【0053】 例えば、本発明の観点によると、UV照射されたDNA、又は二本鎖DNAの
短い片のように作用する一つ以上の化合物は、遺伝子毒性エージェント療法のと
き、又は、遺伝子毒性エージェント療法の代わりに使用され、免疫抑制サイトカ
インの放出を刺激し、そして、自動免疫反応に関連する疾病からの解放をもたら
す。このような化合物の例は、脂質又はリポソームに結合した二本鎖DNA及び
/又はその同種物を含む。
【0054】 本発明のもう一つの適用は、一つ以上の遺伝子毒性エージェントへの個体の反
応(感受性)を調節するために、調節されたDNAプロテインキナーゼの一つ以
上のレベル及び/又は活性を有することが必要な個体を同定することである。本
発明の観点によると、遺伝子毒性エージェントが不十分又は過剰のサイトカイン
発現を生じる疾病に見舞われている患者のDNAプロテインキナーゼの活性及び
/又はレベルを、患者の症状に対応する特定のDNAプロテインキナーゼを同定
することによりスクリーニングする。例えば、アトピー性皮膚炎、紅斑性狼瘡、
及びポルフィリン症のような皮膚病のいくつかは、環境のUV光線又は汚染に免
疫系が過剰に反応することにより引き起こされる。DNAプロテインキナーゼ活
性についてこのような患者をスクリーニングすることにより、特定のDNAプロ
テインキナーゼの阻害剤からの恩恵を受けるこれらの患者を同定することができ
る。本発明のこれらの適用は、細胞抽出物を組織サンプルから調製し、そしてD
NAプロテインキナーゼアッセイを行う。
【0055】 例えば、アッセイは、以下の実施例4に記載される型であり得、DNAプロテ
インキナーゼを免疫沈降するために、抗体を使用し、そして、次に沈殿されたD
NAプロテインキナーゼを、p53タンパク質のような基質とともに、種々のD
NA損傷に曝す。p53のリン酸化の程度を測定することにより、一つのDNA
プロテインキナーゼ活性を決定する。正常な対照と比較すると、これらの研究は
、病気の組織に、より多くのDNAプロテインキナーゼが発現されているか、又
は、このような組織ではDNAプロテインキナーゼの活性がより高いかを決定す
る。次に、この情報を、病気の診断及び治療法の選択に使用することができる。
【0056】 本発明の種々の前記の観点にしたがうと、DNAプロテインキナーゼレベル/
活性のためのアッセイは、例えば、薬剤が、サイトカインの放出を阻害する又は
誘導するのに十分なレベルで投与されているかを決定するのに要求される。以下
の実施例4に示すように、本発明は、この目的のために、(1)細胞のサンプル
を、目的物から得、(2)DNAプロテインキナーゼを含む調製物をこのサンプ
ルから得、(3)調製物をキナーゼ(類)に適する基質(類)とともに、感受性
のあるキナーゼ(類)の種類のDNA損傷に曝し、そして(4)基質(類)のリ
ン酸化のレベルを、キナーゼ(類)のレベル/活性を測定する方法として使用す
る効率的なアッセイを提供する。
【0057】 本発明の上記及び他の観点は、さらに、本発明の詳細な説明及び好ましい態様
と組み合わせて以下に詳細に論じられる。
【0058】
【発明の詳細な説明及びその好ましい態様】
上記のように、本発明の重要な観点は、(1)DNAプロテインキナーゼは、
遺伝子毒性エージェントに反応して細胞によりサイトカインの放出を制御する役
割を果たすという発見、及び(2)この発見を、DNAプロテインキナーゼ阻害
剤(サイトカインの放出が減少されるべきである場合)又はエンハンサー(サイ
トカイン放出が増加されるべきである場合)の投与を経て、サイトカイン放出を
調節するために適用すること、である。
【0059】 A.DNAプロテインキナーゼ DNAプロテインキナーゼは、当初は、このファミリーの酵素の一つの活性が
欠けている、動物及びヒト突然変異により認識された。
【0060】 SCID(重篤複合免疫不全)のマウスは、免疫グロブリン遺伝子の再配列の
不全のために、完全な免疫系を生成できない。これらのマウスは、二本鎖DNA
破壊を含む免疫グロブリン遺伝子の再配列の工程に欠かせないDNAプロテイン
キナーゼ活性を不活化した、遺伝的変異を有することが発見された。この方法で
、免疫細胞の発達の中間である、二本鎖の破壊は、DNAの損傷に似ている。S
.Jackson、“DNA−dependent protein kina
se”、the International Journal of Bio chemistry and Cell Biology 、29巻、935頁乃
至938頁、1997年を参照のこと。
【0061】 遺伝病であるAT(毛細管拡張性運動失調)の患者は、リンパ腫のような血液
ガンの傾向とともに、筋肉の制御不能(運動失調)、及び異常な眼の血管(毛細
管拡張)を有する。これらの患者は、ATM(AT変異)といわれる異常な遺伝
子を有する。
【0062】 これらの患者のSCID及びATM遺伝子を、それぞれ、クローン化し、そし
てその核酸配列を分析すると、S.Jacksonら(前出)に見受けられるよ
うに、それらは、プロテインキナーゼではなく、脂質キナーゼの一種である、3
’−ホスホチジルイノシトール(3’−PI)キナーゼと最も相同性が高いこと
が明らかとされた。当初、脂質キナーゼ活性は、生化学的に検出できなかったの
で、非常に困難であった。現在では、3’−PIキナーゼを相同性を有する配列
であるにもかかわらず、これらの酵素が、真のプロテインキナーゼであると認識
されている。
【0063】 DNAプロテインキナーゼは、酵母からヒトまでのすべての真核生物において
見受けられる。各細胞は、同様の酵素の多数のファミリーから生じる、一種以上
のDNAプロテインキナーゼを有する。Jin、Inoue、及びWeaver
ら、1997年(前出)に記載されているように、DNAプロテインキナーゼに
関するアミノ酸配列は、他のもののなかでも、初めのDNA−PKcs、SCI
D変異に関するKuサブユニット、ATM、ATR、TEL1、MEC1、ME
I41、FRAP、TOR1、TOR2、及びRAD3を含む。DNAプロテイ
ンキナーゼのファミリー及びその配列相同性は、図3に示されている。研究は、
ファミリーの追加のメンバーを同定するために継続されている。
【0064】 DNAプロテインキナーゼは、通常、二つのサブユニットからなり、一つは、
他方よりも大きい。小さいほうのサブユニットは、図3には示していない。SC
ID及びAT疾病は、両方とも、小さいほうのサブユニットの遺伝子コードでの
変異に由来する。これらの遺伝子変異は、DNAプロテインキナーゼ活性を阻害
する阻害剤と同様、DNAプロテインキナーゼが行う機能を分析するために使用
されている。
【0065】 B.DNAプロテインキナーゼ阻害剤 上述のように、本発明の特定の観点によると、本発明は、一つ以上のDNAプロ
テインキナーゼの活性を妨害する化合物に関し、DNAプロテインキナーゼの活 性部位又は複数の部位を直接不活化するか、DNAプロテインキナーゼがDNA 及び/又はDNAプロテインキナーゼがリン酸化する基質(類)への結合を直接
妨害するか、DNAプロテインキナーゼの、DNA及び/又は基質及び基質(類
)への結合を競合させるか、又は、DNAプロテインキナーゼのサブユニットの
アセンブリを妨害するかによる。
【0066】 本発明の実施に使用することのできるDNAプロテインキナーゼ阻害剤の例は
、ラパマイシン、ピロリン酸、ウォルトマニン、6−ジメチルアミノプリン、OK− 1035、スタウロスポリン、及び一本鎖DNAを含む。これらの阻害剤は、当 技術分野に周知の適する賦形剤と組み合わせる場合、経口、注射、及び局所を含む、
種々の形で被験者に投与することができる。投与濃度は、特定の被験者、阻害剤、 及び遺伝子毒性エージェントにより、及び、治療処置の標準的な医療の実施にし たがって投与される。
【0067】 特に、阻害剤の投与濃度は、患者により受け入れられ、そして一つ以上の遺伝子
毒性エージェントに反応するサイトカインの発現を減少するのに充分なDNAプ
ロテインキナーゼ活性を減少させることのできるように選択される。サイトカイ
ンの発現レベルは、当技術分野に周知の技術を使用して測定することができる。 したがって、適する阻害剤の用量レベル及び投与法は、用量/計画の変化による
遺伝子毒性エージェントに反応するサイトカイン発現をモニタリングすることに
よって選択され得る。例えば、一つ以上のDNAプロテインキナーゼを受容した 被験者をUV暴露した後TNFαのレベルをモニターすることができる。遺伝子
毒性エージェントへの暴露によるTNFαのような一次のサイトカインの増加に
つれ、二次のサイトカインは、例えば、インターフェロンγのレベルが下落し、 そしてICAM−1のレベルが下落し、そしてUVのような遺伝子毒性エージェ ントに反応して上昇する、というより複雑な動態を有し得る。このような二次サ イトカインを、DNAプロテインキナーゼ阻害剤の用量/及び計画を決定するた めに使用すると、これらのより複雑な動態は、例えば、遺伝子毒性エージェント 暴露後の予測値でのインターフェロンγ活性のレベルを維持する阻害剤のレベル
を選択するのに、考慮する必要がある。
【0068】 本発明の特に好ましい態様では、阻害剤投与のレベル/計画は、DNA−キナ ーゼ活性をアッセイすることにより、例えば、DNAプロテインキナーゼ活性を、
本明細書に記載するアッセイを使用してアッセイすることにより、選択する。こ
れらの態様にしたがうと、一つ以上のDNAプロテインキナーゼの活性の実質的
な減少(例えば、10%、好ましくは50%の減少)を生じる阻害剤投与のレベ ル/計画を選択する。例えば、FRAP活性のレベルは、モニターすることができ
、そして、一つ以上の遺伝子毒性エージェントへの暴露時のサイトカインの放出 を減少するために、選択することができる。再度、UVの暴露は、遺伝子毒性エー
ジェントであり得、TNFα放出を最小限にするようにFRAPのレベルを選択 する。
【0069】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤は、連続的に、又は、好ましくは、遺伝子毒性 エージェント(複数)への患者の暴露と組み合わせて投与することができる。最
も好ましくは、DNAプロテインキナーゼ阻害剤は、遺伝子毒性エージェント(類
)への暴露前、例えば、暴露30分前に投与され、投与は、暴露の間、及び、暴露後
24時間のような暴露後の期間も続ける。暴露の前、間、及び後より短い投与も、 本発明の実施に使用することができるが、あまり好ましくない。
【0070】 C.ラパマイシン DNAプロテインキナーゼ活性の特に重要な阻害剤は、ラパマイシンである。 E.Brown、P.Beal、C.Keith、J.Chen、T.Shin
、及びS.Schreiber、“Control of p70 S6 ki
nase by kinase activity of FRAP in v
ivo”、Nature、277巻、441頁乃至446頁、1995年に記載 されているように、この阻害剤は、特異的にFRAPの大小のサブユニットのアセ
ンブリを阻害する。これらの著者は、ラパマイシンに耐性を獲得している変異F RAP類を同定しており、薬物特異性を例示している。
【0071】 M.Wymann、G.Bulgarelli−Leva、M.Zveleb
il、L.Pirola、B.Vanhaesebroeck、M.Water
field、及びG.Panayotou、“Wortmaninn inac
tivates phosphoinisitide 3−kinase by
covalent modification of lys−802、a
residue involved in the phosphate tr
ansfer reaction”、Molecular and Cellu lar Biology 、16巻、1722頁乃至1733頁、1996年に記
載されているように、ラパマイシンに対し、他の重要なDNAプロテインキナー
ゼ活性の阻害剤であるウォルトマニンは、リン酸化に含まれる重要なアミノ酸を
変更することによりFRAPを阻害する。
【0072】 M.Suthanthiran and T.Strom、“Immunor
egulatory drugs: mechanistic basis f
or use in organ transplantation”、Ped iatric Nephrology 、11巻、651頁乃至657頁、199
7年に記載されているように、ラパマイシンは、例えば、T細胞などの、従来の
免疫細胞の増殖を阻害するために、移植及び臓器移植の間の免疫系を抑制するた
めに今日臨床上使用される。これは、遺伝子毒性エージェントへの短期間の暴露
と組み合わせては使用されず、むしろ、移植を維持するために長期間使用される
。重要なことは、ラパマイシンを投与されている患者を含む、免疫抑制療法を受
けている患者は、通常、数年に渡って行うことができ、長期の免疫抑制療法の間
、太陽光線などの遺伝子毒性エージェントを避けるように明らかに指示される。
M.Glover、C.Proby及びI.Leigh、“Skin canc
er in renal transplant patients”、Can cer Bulletin 、45巻、220頁乃至224頁、1993年を参照
のこと。
【0073】 最近では、ラパマイシンは、臨床試験の最後の工程にあり、アメリカン・ホー
ム・プロダクツ(American Home Products)の部門であ
るワイス・エアスト・ラボラトリー(Wyeth−Ayerst Labora
tories)から、ラパミュン(Rapamune、商標)として市販されて
いる。これは、移植を受けた患者の治療において、単独で又は低用量のシクロス
ポリンAと組み合わせて使用される。
【0074】 経口投与により運搬される場合、ラパマイシンの量の典型的な範囲は、2乃至
5mg/日である。局所経路により運搬される場合、典型的な濃度は、0.2重
量/体積%の範囲である。静脈内投与により運搬される場合、最大許容量は、2
5mg/kg体重である。臨床的には、免疫抑制の目的のための用量は、0.5
乃至25mg/m皮膚表面積/日の範囲である。
【0075】 C.G.Groth、C.Brattstrom、及びL.Backman、
“New trails in transplantation:how t
o exploit the potential of sirolimus
in clinical transplantation”、Transp lantation Proceedings 、30巻、4064頁及び406
5頁、及び、B.Kahan、“Rapamycin:personal al
gorithms for use based on 250 treate
d renal allograft recipients”、Transp lantation Proceedings 、30巻、2185頁乃至218
8頁、1988年に記載されているように、特に、約21乃至24mg/m
表面積のラパマイシンの負荷量は、初期に静脈内で運搬される。これは、約1乃
至7mg/mの用量の後、2乃至3ヶ月間全血中15乃至30ng/mlの最
低濃度(trough concentration)を生じるように調整し、
次にさらに、全血中約10乃至15ng/mlの最低濃度を達成するように減少
される。しかし、D.Trepanier、H.Gallant、D.Lega
tt及びR.Yatscoff、“Rapamycin:distributi
on,phamacokinetics and therapeutic r
ange investigations:an update”、Clini cal Biochemistry 、31巻、345頁乃至351頁、1998
年に記載されているように、ラパマイシンのほとんどは、赤血球において解離す
るので、ラパマイシン及びその代謝物の血漿及び組織濃度は、2ng/ml未満
である。
【0076】 重要なことに、このような組織濃度は、遺伝子毒性エージェントへの暴露の後
のDNAプロテインキナーゼ活性を調節するのには不十分であり、したがって、
このような暴露に反応してサイトカイン放出を調節する。これは、2μg/ml
(又は約2nM)より高い濃度は、DNAプロテインキナーゼ、特に、FRAP
キナーゼの実質的な不活性化を達成するのに必要であるためである。後述の実施
例5に示すように、UVによるTNFαの誘導は、2μg/ml未満の用量では
ラパマイシンに感受性を有さない。したがって、10乃至30μg/mlの全血
濃度を達成するための、ラパマイシン投与の最近の実施は、本発明のFRAPを
不活性化するのに十分である血漿又は組織でのラパマイシン濃度を達成しない。
【0077】 今日まで、ラパマイシンの推薦される濃度は、移植された器官の拒否を防ぐ能
力により決定されており、遺伝子毒性エージェントに暴露された非免疫細胞での
FRAP活性を阻害するのに要求される濃度ではない。加えて、用量は、延長さ
れた、長期使用のために定められており、遺伝子毒性エージェントへの暴露のた
めに調節されていない。
【0078】 これらの以前のラパマイシンの使用に対し、本発明に従うと、ラパマイシンは
、IL−1、IL−6、IL−10、ICAM−1、及びTNFαのような、免
疫抑制サイトカインの放出を減少するために使用され、UVのような遺伝子毒性
エージェントへの照射の直前及び直後に投与する。さらに、ラパマイシンは、サ
イトカインの放出の減少を達成するのに十分高い濃度、すなわち、免疫拒否を防
ぐために使用されるよりも高い濃度で使用される。したがって、本発明に従うと
、ラパマイシンは、免疫系の抑制の代わりに、特に、遺伝子毒性エージェントへ
の暴露後の免疫系を保護するために使用される。
【0079】 免疫系を保護するために免疫抑制剤を使用するという考えは、直観に反し、そ
して、既存の当技術分野の理解と実施に逆らうものである。
【0080】 D.DNAプロテインキナーゼエンハンサー 本発明の最も一般的な使用は、サイトカインの放出を減少することを含むこと
であるにもかかわらず、この放出を増加させることが望ましい場合もある。特に
、抗原特異性免疫反応を廃止するために、遺伝子毒性エージェントでの処理を使
用することを含む特定の治療が存在する(以下参照)。
【0081】 DNAプロテインキナーゼ活性のエンハンサーは、(1)二本鎖DNAの短い
セグメント(例えば、約25,000塩基対未満の長さを有するセグメント)、
すなわち、DNAプロテインキナーゼが結合することのできる末端を有するDN
Aセグメント、(2)短い又は長いストランドであり得る、損傷二本鎖DNA、
(3)サブユニットが枯渇状態であるDNAプロテインキナーゼサブユニット、
(4)DNAプロテインキナーゼがリン酸化する一つ又は複数の基質、及び(5
)ATPを含む。
【0082】 DNAプロテインキナーゼエンハンサーは、上記のようにDNAプロテインキ
ナーゼ阻害剤とともに同様に投与することができるが、エンハンサーは生物であ
るので、エンハンサーの生物学的活性を保存し、標的組織までの運搬を促進する
賦形剤/担体を使用しなければならないことを除く。例えば、DNAの場合、カ
チオン性脂質は、DNAを細胞に運搬するのに使用され得、そして、タンパク質
の場合、リポソーム運搬系を使用して局所投与を行うことができる。Yaroc
h、米国特許第5,190,762号公報を参照のこと。
【0083】 エンハンサーの量/計画は、阻害剤について上記に記載した方法を使用して同
様に決定することができる。したがって、通常、エンハンサーは、遺伝子毒性エ
ージェントへの暴露の前に投与され、そして、暴露の間及びその後の期間も投与
が続けられる。再度、サイトカイン及び/又はDNAプロテインキナーゼの濃度
のモニタリングは、特定の被検者、エンハンサー、及び遺伝子毒性エージェント
のための適する用量及び方法を決定するために使用される。
【0084】 E.サイトカイン放出の調節 上記のように、本発明によると、遺伝子毒性エージェントへの暴露に続くサイ
トカインの放出は、DNAプロテインキナーゼ活性の阻害又は促進により減少又
は増加することができる。大抵の場合、サイトカイン放出の減少が望ましく、最
も一般的な例は、UV暴露の結果としてのサイトカイン放出を減少することであ
る。
【0085】 減少が望ましいもう一つの例は、ガンの化学療法及び放射線療法と組み合わせ
ることである。カルムスチン及びマイトマイシンCのような多くの化学療法剤、
及び、X線での治療のような多くの放射線療法は、遺伝子毒性である。本発明に
よると、治療の副作用を減少するために、治療を行っている患者に一つ以上のD
NAプロテインキナーゼ阻害剤を投与する。
【0086】 本発明の他の適用について、一つ以上の阻害剤が、治療期間に先立って投与さ
れることが好ましく、治療は、例えば、一日など、治療期間の後の期間に継続さ
れる。好ましくは、DNAプロテインキナーゼ阻害剤又は阻害剤類は、治療によ
り望ましくない遺伝子毒性の損傷に見舞われている組織に、それらが到達するよ
うな方法で運搬される。化学療法の場合、DNAプロテインキナーゼ阻害剤及び
阻害剤類は、典型的には、化学療法剤と同様の方法で投与されるが、化学療法の
副作用が最も一般的にあらわれる、例えば、消化管経路(経口投与)、頭皮(局
所投与)、及び/又は化学療法剤の注射部位(局所又は皮下)に特異的に投与す
る。同一の種類の特定の投与は、放射線療法の場合に使用することができる。
【0087】 移植拒否療法を受けている患者は、免疫機構が抑制されているため、特に、遺
伝子毒性エージェントからの保護を必要とする。上記のように、これらの患者は
、通常、太陽に曝された皮膚の皮膚ガンに見舞われ、このようなガンの始まりは
、治療の始めから数年内に進行することがしばしばである。DNAプロテインキ
ナーゼ阻害剤、特に、ラパマイシンは、このような移植拒否療法に使用するが、
これらの使用は、遺伝子毒性エージェントへの暴露からの保護を達成しない。本
発明は、DNAプロテインキナーゼ阻害剤は、移植分野で使用される場合と異な
る形及び経路で運搬されるべきであることを教示している。
【0088】 特に、ラパマイシンのような、これらの阻害剤は、遺伝子毒性エージェントへ
の暴露の直前及び直後に投与すべきである。免疫抑制剤の系統的な使用が毒性に
より制限される場合、DNAプロテインキナーゼ阻害剤の付加的な局所的な使用
は、遺伝子毒性エージェントへの暴露の影響を緩和するのに使用されるべきであ
る。特に、太陽への暴露の場合、一つ以上の阻害剤を、太陽光線に曝された皮膚
の場所へ局所的に使用すべきである。用量は、DNA損傷の結果としてのサイト
カイン放出の阻害を達成するように調整すべきである。これは、遺伝子毒性エー
ジェントへの暴露に見舞われたのが短時間である場合、ラパマイシンのような一
つ以上のDNAプロテインキナーゼの用量は、移植拒否治療の間の他のときより
も高いことを意味する。
【0089】 本発明によると、これらの場合、ラパマイシン及びその同種物(SDZ RAD
など)のような、DNAプロテインキナーゼ阻害剤である一つ以上の移植拒否薬
物は、シクロスポリンA又はアスコマイシンのような移植拒否阻害剤でない一つ
以上の移植拒否薬物と組み合わせて使用する。これらの二つの種類の薬物は、一 般に、毒性が重複しないので、これらの組み合わせは、免疫抑制という目的を達 成するのにより優れた柔軟性をもたらすのと同時に、一つ以上の遺伝子毒性エー
ジェントへの暴露の結果としてのサイトカイン生成から患者を保護する。
【0090】 本発明によると、DNAプロテインキナーゼ阻害剤である移植拒否薬物又は薬 物類は、少なくともいくつかの免疫抑制に貢献する濃度で使用されるが、しかし 、より重要なことに、遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカイン放出
を阻害する濃度及び/又は様式で使用される。二種の免疫抑制剤の相対量は、患 者の薬物への感受性及びサイトカイン放出からの保護の望ましいレベルを達成す
るのに必要とされるDNAプロテインキナーゼ阻害剤(類)の量に基づいて各患
者で決定される。
【0091】 本発明の最も一般的な使用は、サイトカイン生成の減少と組み合わせられるが 、本発明は、遺伝子毒性エージェントへの反応によるサイトカイン生成を促進す るのに使用される場合もある。特に、本発明は、自己免疫疾患を含む、免疫抑制
遺伝子毒性エージェントに対する種々の疾病の治療に使用することができる。
【0092】 例えば、促進されたサイトカイン生成は、角化細胞の過剰増殖及び皮膚へのT
細胞の侵入により特徴付けられる皮膚病である乾癬の治療に使用される。この疾
病の治療に使用される二つの通常の遺伝子毒性エージェントは、コールタール及
びソラレン+光線である。この場合、遺伝子毒性エージェント療法は、サイトカ
インを放出させ、T細胞活性を抑制し、そして病気の兆候を緩和する。本発明に
よると、DNAプロテインキナーゼエンハンサーは、遺伝子毒性剤に反応しての
サイトカイン放出のレベルを増大するのに使用される。
【0093】 特に、免疫抑制遺伝子毒性エージェントの投与の直前、又は、好ましくは、投
与時に、一つ以上のDNAプロテインキナーゼ促進剤を患者に投与する。これら
のエンハンサーの使用は、投与が必要な遺伝子毒性エージェントの量を減少する
ことができ、エンハンサーのみ又は少量のみの遺伝子毒性エージェントとで免疫
抑制サイトカインの望ましい放出を達成することができる場合もある。
【0094】 この方法で説明することのできる他の疾病は、アトピー性皮膚炎、紅斑性狼瘡
、関節炎、及びポルフィリン症を含む。これらの疾病は、各々、T細胞活性化を
経て炎症を生じる。このT細胞の活性化は、適する免疫抑制活性化剤により抑制
することができ、そして、本発明のDNAプロテインキナーゼエンハンサーは、
遺伝子毒性エージェントへの暴露時に免疫抑制サイトカインの形成の増加に役立
つ。
【0095】 F.DNAプロテインキナーゼ活性のレベルのアッセイ DNAプロテインキナーゼが遺伝子毒性エージェントとサイトカインの放出の
間の中心的な生物学的関連であるという発見は、(1)遺伝子毒性エージェント
に対する個体の感受性、及び(2)サイトカイン放出の効果的な調節のための測
定点(生物学的終点)としてこれらのキナーゼを役立たせる。
【0096】 従って、個体のDNAプロテインキナーゼ活性のレベルを測定することにより
、DNAプロテインキナーゼに反応する種類のDNA損傷を生じる遺伝子毒性エ
ージェント(類)に対する個体の感受性のレベルを決定することができる。例え
ば、UVに対する感受性を測定するためには、FRAP活性のレベルを測定し、
電離照射(X線)に対する感受性を測定するためには、ATM活性のレベルを測
定する。高い測定レベルのDNAプロテインキナーゼ活性は、高レベルのサイト
カイン放出を伴う遺伝子毒性エージェントに反応する個体であることを示し、低
い測定レベルは、低いレベルのサイトカイン放出を伴う薬剤への反応をする個体
であることを示す。
【0097】 いずれの場合も、望ましくなく、そしてその同定は、行うべき適切な診断及び
/又は治療方法をもたらす。特に、特定のDNAプロテインキナーゼ活性が高レ
ベルの個体に、キナーゼに関する個々のサイトカイン放出を調節するために、上
記のようにこのようなDNAプロテインキナーゼの阻害剤又は阻害剤類を使用す
ることができる。低レベルのDNAプロテインキナーゼ活性の個体には、さらに
、低いレベルの活性の原因を決定するための診断法を行うことができ、例えば、
遺伝子スクリーニングを行うことができる。このようなDNAプロテインキナー
ゼアッセイは、他には導かれることのない、スクリーニングを行うための基礎を
もたらす。
【0098】 DNAプロテインキナーゼ活性のためのアッセイを行うことによる、サイトカ
イン放出の調節の効果に関し、十分な量のDNAプロテインキナーゼ阻害剤又は
エンハンサーを患者に投与するかとうかを決定し、用量、運搬様式、又は運搬計
画においての調節を適切にすることができる。
【0099】 ラパマイシンのようなDNAプロテインキナーゼ阻害剤である、免疫抑制剤を
使用する免疫抑制療法を受けている患者の場合、DNAプロテインキナーゼ活性
のためのアッセイは、免疫抑制剤の望ましいレベルを得るために使用することが
できる。特に、ラパマイシンのような免疫抑制薬の複雑な代謝及び生物学的分布
のために、親化合物の血中濃度は、親化合物及びその代謝物の生物学的効果を示
すものでない。DNAプロテインキナーゼ活性のためのアッセイは、化合物及び
その代謝物の生物学的効果をより直接モニターする。
【0100】 本発明の実施に使用することのできるDNAプロテインキナーゼ活性のレベル
のためのアッセイは、放射線標識されたATP基質、例えば、32P−ATP、
ペプチド基質、ゲル電気泳動、及び、オートラジオグラフィー読み取りを使用す
るものを含む。例えば、D.Price、J.Grove、V.Calvo、J
.Avruch、及びB.Bierer、“Rapamycin−Induce
d Inhibition of the 70−Kilodalton S6 Protein Kinase”、Science、257巻、973頁乃至
977頁、1992年を参照のこと。
【0101】 放射線標識された反応体の使用を避け、同時にPriceらの方法よりも多く
のサンプルを処理することのできる好ましいアッセイは、後述の実施例4に示さ
れている。被験者のDNAプロテインキナーゼ活性を決定するために使用される
場合、アッセイは、(1)細胞サンプルを被験者から得、(2)DNAプロテイ
ンキナーゼ(類)を含む調製物を、抗DNAプロテインキナーゼ抗体を使用して
サンプルから得、(3)調整物を、キナーゼ(類)に対する適切な基質(類)と
ともに、キナーゼ(類)に感受性のある一種又は複数の種類のDNA損傷に曝し
、そして、(4)基質(類)のリン酸化のレベルを、キナーゼ(類)のレベル/
活性の測定として使用する工程を含む。基質のリン酸化のレベルは、DNAプロ
テインキナーゼによりアッセイ下でリン酸化される場合、基質に特異的な抗体と
共に標準的なELISA法を使用して定量する。
【0102】 アッセイの特異性及び感度は、アッセイを行うときに使用される抗DNAプロ
テインキナーゼ抗体及び/又は基質の種類及び/又は濃度を変化又は組み合わせ
ることにより改良され得る。特に、複数のキナーゼのためのDNAプロテインキ
ナーゼ活性のレベルは、工程(2)及び(3)において、それぞれ、抗DNAプ
ロテインキナーゼ抗体及び基質の混合物を形成することにより同時に決定するこ
とができる。アッセイの感度は、抗体及び/又は基質濃度及び/又は反応時間を
増加することにより改良することができる。
【0103】 G.処理化合物 本発明のDNAプロテインキナーゼ阻害剤は、単独で適する賦形剤とともに処
方されるか、又は、お互いに組み合わされるか、及び/又は、例えば、DNAプ
ロテインキナーゼ阻害剤ではない、遺伝子保護剤のような、他の薬剤成分と組み
合わせることができる。このような例の一つは、局所的な配合において、ラパマ
イシンと、例えば、二酸化チタンのような、一つ以上のサンスクリーン、及び/
又は、T4エンドヌクレアーゼVのような一つ以上のDNA修復酵素(類)との
組み合わせを、太陽UVのような、一つ以上の遺伝子毒性エージェントへの照射
の前、間、又は後に使用する。DNA修復酵素の場合、リポソームにDNA修復
酵素を被胞することは、好ましい投与方法である。Yarosh、米国特許第5
,077,211号公報、5,296,231号公報、及び5,272,079
号公報を参照のこと。
【0104】 このような配合中のDNAプロテインキナーゼ阻害剤のレベルは、例えば、D
NAプロテインキナーゼ活性アッセイを使用して、上記のように選択することが
できる。配合中の他の活性成分のレベルは、一般に、単独で使用する場合の成分
の濃度に相当する。
【0105】 化学療法を受けている患者の場合、同時に投与するために、例えば、ウォルト
マニンのような本発明のDNAプロテインキナーゼ阻害剤を、例えば、マイトマ
イシンCのような遺伝子毒性エージェント化学療法と組み合わせることができる
【0106】 本発明のDNAプロテインキナーゼエンハンサーは、適切な賦形剤と組み合わ
せて単独で配合されるか、又は、それらがお互いに、及び/又は、DNAプロテ
インキナーゼエンハンサーでない薬剤、例えば、遺伝子毒性エージェントと組み
あわせることができる。このような例の一つは、損傷を受けたDNA、ソラレン
、及び乾癬患者の皮膚に適用することのできる適切な賦形剤を組み合わせる。
【0107】
【実施例】
いずれかの方法に制限することを意図せずに、本発明は以下の実施例により十
分に説明される。実施例に共通する物質及び方法は以下のとおりである。
【0108】 物質及び方法 細胞培養物 不死化されたヒトHaCat細胞ラインを、ニューヨーク州立大学(ストニー
・ブルック)のJonathan Garlick博士から得た。J.Kibi
tel、V.Hejmadi、L.Alas、O’Connor、B.Suth
erland、及びD.Yarosh、“UV−DNA Damage in
mouse and human cells induces the ex
pression of tumor necrosis factor α”
Photochemistry and Photobiology、67巻
、541頁乃至546頁、1998年に記載されているように、XPTNF2細
胞ラインは、XP群A SV−40形質転換繊維芽細胞ラインXP12BEを、
pCATTNFでトランスフェクションすることにより調製した。この細胞ライ
ンは、マウスTNFαプロモーターからのクロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ遺伝子を発現する。これらの形質転換された細胞ラインを、10%
のウシ新生児血清及び抗生物質を含むDulbeccoの改良されたイーグル培
地で、37℃において、加湿された5%COインキュベーターにおいて生長さ
せた。形質転換していないヒト角化細胞を、サンディエゴ(カリフォルニア州)
のクローンティクス・コーポレーション(Clonetics Corpora
tion)より購入し、37℃において、加湿された5%COインキュベータ
ーにおいて、タンパク質を含まない角化細胞生長培地に細胞を供給し生長させた
【0109】 薬物及び遺伝子毒性処理 ラパマイシン、ウォルトマニン、スタウロスポリン及びリポポリサッカリド(
LPS)は、シグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical
Company)から得た。薬物を、1,000倍の濃度で調製し、使用する直
前に培地へ希釈した。ラパマイシン、ウォルトマニン、又はスタウロスポリンで
処理された細胞を、UV照射前30分間及び照射後18時間処理した。LPS処
理については、LPSを37℃で1時間細胞に加え、次に、細胞を18時間新鮮
な培地に再度培養した。
【0110】 UVは、ウエスティンハウスFS−40非フィルター太陽灯(Westing
house FS−40 unfiltered sunlamp)から、3.
2J/m/秒で得た。UV照射に関しては、培地を除去し、そして細胞を照射
し、次に、同一の培地で18時間再度培養した。
【0111】 細胞抽出物及びウエスタンブロット 正常ヒト表皮角化細胞を、10cmプレートに90%のコンフルエンスで生長
させ、次に、薬物および遺伝子毒性エージェントで処理した。インキュベーショ
ンの後、細胞をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む標準的なランニング(
running)緩衝液で回収し、2秒間ヒート・システム・ウルトラソニック
・ソニケーター(Heat System Ultrasonic Sonic
ator)を70%の力でソニケートし、5分間水中で沸騰させ、−70℃で貯
蔵した。
【0112】 ウエスタンブロットについて、10μgの細胞抽出物を、ランニング染色物を
含む5μlのサンプル緩衝液と混合し、混合物を2分間沸騰させ、スタッキング
緩衝液を含む標準的なSDS−PAGEゲル(バイオラド・ミニ・プロテーンII
装置(Biorad mini Protean II apparatus))
へ負荷した。p70S6Kウエスタンでは、10%のSDS−PAGEを使用し
、TNFαWesternでは、15%SDS−PAGEを使用した。ゲルを、
ランニング染色がゲルの底に到達するまで、ゲル当たり25mAmpsで操作し
た。タンパク質を、セミ−ファー(Semi−phor)装置(サンフランシス
コ(カリフォルニア州)のへファー・サイエンティフィック・インストルメント
(Hoefer Scientific Instruments))において
、0.83mAmps/cmで45分間電気泳動トランスブロットすることに
より、イモビリオンP(Immobilon P)膜へ移した。ブロットを5%
の脂肪を含まない乾燥乳でブロックし、4℃で一晩一次抗体をプローブした。p
70S6Kブロットについては、抗体は、リン酸化された形のトレオニン−42
1及びセリン−424に特異的であった(ニュー・イングランド・バイオラボス
(New England Biolabs))。次にブロットを洗浄し、そし
て、ホースラディッシュペルオキシダーゼを架橋された抗ウサギ抗体とインキュ
ベートした。ブロットを、暴露のために、ハイパーフィルム(Hyperfil
m)ECLを使用して、ECLキット(アマシャム(Amersham))で展
開した。TNFαブロットのために、抗ヒトTNFα抗体をベーリンガー・マン
ハイム・バイオケミカルズ(Boehringer Mannheim Bio
chemicals)から得た。次に、ブロットを洗浄し、そして、ビオチンに
結合したヤギ抗マウスIgG抗体、及び次にアビジン−ホースラディッシュペル
オキシダーゼとインキュベートし、そして次に上記のECLキットで展開した。
【0113】 TNFcatアッセイ Kibitelら、1998年に記載されたように、CATアッセイを行った
。簡潔にいうと、XPTNF2細胞を、薬物及び遺伝子毒性エージェントで処理
し、そして18乃至24時間インキュベートした。抽出物を、冷凍及び解凍、及
び遠心分離を3回ずつ行って調製し、各抽出物50μgを5nmoleのBOD
IPY−クロラムフェニコール(ユージン(オレゴン州)のモレキュラー・プロ
ーブス(Molecular Probes))及び0.5mMアセチルCoA
(シグマ・ケミカル・カンパニー)と混合した。37℃で30分間インキュベー
ションした後、反応生成物を冷酢酸エチルで抽出し、薄層クロマトグラフィーに
より分析した。蛍光基質とアセチル化生成物を、UV−Aにより視覚化し、そし
て、デジタル化した画像を、コンピューター画像分析により分析し、アセチル化
されたクロラムフェニコールの画分、そして、CAT活性を算出した。
【0114】 免疫沈降及びDNAプロテインキナーゼ活性アッセイ HaCat細胞は、10cmの皿で、コンフルエンスに近くなるまで生長させ
た。次に、これらを、TGN緩衝液(50mMトリス、pH7.5、50mMグ
リセロリン酸、150mM NaCl、10%グリセロール、1%トゥイーン(
Tween)20、1mM DTT、0.5μl/mlシグマP8340プロテ
アーゼ阻害剤カクテル、2nMミクロクリスチンLR)中で、ヒート・システム
・ウルトラソニケーター・マイクロチップの70%の力で10秒ソニケートした
。遠心分離の後、抽出物を、同一の緩衝液で1mg/mlタンパク質に調製し、
−70℃で貯蔵した。DNAプロテインキナーゼ活性をアッセイするために、1
mgのHaCat抽出物を4℃で2時間2μgのヤギ抗FRAP又は抗ATM抗
体(サンタ・クルズ・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biote
chnology))とともにインキュベートし、次に40μlのProtei
n G PLUS−アガロース(サンタ・クルズ・バイオテクノロジー)と混合
し、4℃で一晩回転した。
【0115】 アガロースビーズを遠心分離により回収し、TGN緩衝液、次に高濃度塩緩衝
液(100mMトリス、pH7.4、500mM LiCl)、次にPK緩衝液
(25mM HEPES−KOH、pH7.9、50mM KCl、10mM
MgCl、1mM DTT、0.5μl/mgシグマP8340プロテアーゼ
阻害剤カクテル、2nMミクロクリスチンLR、200μM ATP)で洗浄し
、50μl PK緩衝液に再懸濁した。反応改良剤は、0.5μgλDNA又は
250J/mのG15T殺菌性ランプでUV−Cで照射されたλDNA、及び
40ng/mlのラパマイシンを含んだ。反応を開始するために、2.6μgの
FKBP(シグマ・ケミカル・カンパニー)をFRAP反応に加え、次に50μ
gのp53ペプチド(アミノ酸1乃至393、サンタ・クルズ・バイオテクノロ
ジー)及び1nmolATPをすべてDNAプロテインキナーゼ反応に添加した
。30℃での2時間のインキュベーションの後、反応生成物を遠心分離によりア
ガロースから分離した。
【0116】 反応生成物を、標準ELISAコーティング緩衝液(1.59g/L Na CO、2.93g/L NaHCO、0.1g/L チメリゾール)で8倍
に希釈し、200μlをイムロン(Immulon) 2HB 96ウェルEL
ISAプレート(シャンティリー(バージニア州)のダイネックス・テクノロジ
ース・インク(Dynex Technologies Inc.))に入れ、
4度で一晩インキュベートした。このウェルを洗浄し、室温で60分間5%ウシ
胎児血清アルブミンでブロックした。次に、ウェルを、ビオチンに結合した抗ホ
スホセリンBSA抗体2.5μlと、ビオチンに結合した抗ホスホトレオニンB
SA抗体2.5μlの、TBS/NonI(25ml/L 2M Tris p
H8、30ml/L 5M NaCl、0.1% Nonidet P40)混
合物(シグマ・ケミカル・カンパニー)で、60分間室温でインキュベートした
。ウェルを洗浄し、10mlTBS/NonI中の10μlのアバジン−アルカ
リリン酸の混合物100μlとともに、60分間室温でインキュベートした。プ
レートを洗浄し、0.1Mジエタノールアミン(pH10)中のホスホニトロフ
ェニルホスフェートで展開し、そして微量滴定プレート・リーダーにより405
nmで読み取った。
【0117】実施例1 この実施例は、TNFαが、UV暴露後の正常なヒト角化細胞により発現され
ること、及び、この発現は、ラパマイシンにより阻害されることを示す。
【0118】 HaCat細胞ライン由来のヒト角化細胞を、FS40太陽灯で200J/m UV−Bで照射した。並行培養体(parallel cultures)を
、2ng/mlのラパマイシンで照射30分間前及び次に照射60分後に処理し
た。37℃で24時間インキュベートした後、これらの細胞を、リン酸−生食緩
衝液へ掻き取ることにより、抽出物を調製し、これらをウルトラソニケーターの
マイクロチップ(ヒート・システム・ウルトラソニケータ−)の最大の70%の
エネルギーに2秒間曝した。
【0119】 タンパク質10μgを次に15%ポリアクリルアミドゲルの各ウェルに負荷し
、電気泳動した。分離したタンパク質を、半乾燥トランスブロッティングにより
ニトロセルロースフィルターペーパー上に溶出し、抗ヒトTNFα抗体でプロー
ブした。ヒトTNFαのサンプルを標準として使用した。
【0120】 図4に示すように、レーン1に見受けられるように、UVはTNFαを誘導す
る。レーン2のこのバンドで非常に減少していることから分かるように、2ng
/mlのラパマイシンは、TNFαの発現を阻害した。これに対し、リポポリサ
ッカリド(LPS)は、細胞表面膜受容体CD14へ結合することにより、DN
A損傷なしにTNFαを誘導する。1μg/mlLPSで処理された細胞は、T
NFαを誘導し(レーン3参照)、そして、ラパマイシンは、TNFαのこのL
PS誘導に影響しない(レーン3をレーン4と比較)。
【0121】実施例2 この実施例は、UVによるTNFαのmRNA発現の誘導が、ラパマイシンに
より阻害されることを示す。
【0122】 この原理を説明するため、腫瘍壊死因子α(TNFα)の制御下で、クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)からなる導入遺伝子を有す
るヒト細胞を使用した。この系は、TNFα遺伝子の転写を行うこれらの刺激を
観察するために使用した。CAT遺伝子の転写は、薄層クロマトグラフィーによ
る、アセチル化された形のクロラムフェニコールの形成を測定する簡潔な酵素ア
ッセイにより容易に測定される。これらのアッセイの例は、図5に示されている
【0123】 基質のみは、レーン1に示されており、未処理細胞抽出物によるアセチル化の
背景レベルは、レーン2、6、及び9に示されている。TNFαプロモーターか
らのCAT発現は、蛍光クロラムフェニコール基質のアセチル化が増大すること
により反映され、薄層クロマトグラフィーアッセイにおいてより早い移動種(底
から頂上まで)である。
【0124】 TNFαは、UVのような遺伝子毒性エージェントにより誘導され(レーン3
、7、及び10)、そして、LPSでの処理のような、非遺伝子毒性エージェン
トでの処理により誘導される(レーン12)。TNFαのUVでの誘導は、ラパ
マイシンにより阻害され(レーン5)、DNAプロテインキナーゼFRAPが、
DNA損傷の信号をサイトカインTNFα遺伝子の発現へ変換することが必要で
あることを示す。
【0125】 ラパマイシンのみでは、非処理細胞に比べて効果を有さない(レーン4をレー
ン2と比較)。TNFα誘導は、DNAプロテインキナーゼを阻害する用量であ
る、500nMのウォルトマニンにより阻害され(レーン8)、そして、DNA
プロテインキナーゼによる特徴的な種類のリン酸化である、セリンリン酸化を特
異的に阻害する用量である、200nMのスタウロスポリンによっても阻害され
る(レーン11)。これらの結果は、TNFαプロモーターによるUV発現誘導
は、一般に、DNAプロテインキナーゼを、そして特異的にはFRAPキナーゼ
を必要とし、セリン残基でのリン酸化を含むことを示す。
【0126】 これに対し、非遺伝子毒性エージェントであるLPSによるTNFαの誘導は
、レーン12及び13、及び図6に示されるように、ラパマイシンにより阻害さ
れなかった。
【0127】 まとめると、この実施例は、UV−DNA損傷により導かれるTNFα転写経
路は、ラパマイシンに感受性のあるDNAプロテインキナーゼを必要とし、そし
て、細胞膜又は他の場所での非DNA損傷は、このようなキナーゼを含まないこ
とを示す。
【0128】実施例3 当技術分野に周知のように、FRAPキナーゼ活性化に続く経路の下流は、p
70S6Kキナーゼのリン酸化であり、リポソームタンパク質をリン酸化し、そ
して、遺伝子転写の翻訳を変更する。したがって、FRAPキナーゼのUV特異
性活性化の測定の一つは、p70S6Kのリン酸化である。この実施例は、この
ような活性化を示すために、この方法を使用する。
【0129】 ヒト角化細胞を、2ng/mlのラパマイシンで予め処理し、次に、UV照射
又はLPSで処理し、そして、上記のように抽出した(実施例1及び物質及び方
法を参照のこと)。抽出物を10%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、次
に、p70S6Kのセリン/トレオニンがリン酸化された形に特異的な抗体でウ
エスタンブロットにおいてプローブした。負荷制御として、ポリアクリルアミド
ゲルをクマシーブルーで染色し、各レーンに負荷された総タンパク質を同定した
【0130】 図7に示すように、UV照射は、p70S6Kのリン酸化を増加し(レーン1
をレーン2と比較)、そして、このリン酸化は、ラパマイシンでの予処理により
阻害された(レーン3)。これに対し、LPSで誘導されたp70S6Kのリン
酸化(レーン4)は、ラパマイシンに比較的感受性がなかった(レーン4をレー
ン5と比較)。この図の底部に示される負荷対照バンドは、ゲル中のタンパク質
の負荷当量を示す。
【0131】実施例4 この実施例は、損傷又は破壊されたDNAによるDNAプロテインキナーゼ活
性の直接の活性化を示す。
【0132】 ヒト角化細胞ラインHaCat抽出物中のATM又はFRAPを、(1)AT
M又はFRAPのいずれかに対する抗体、及び(2)アガロースビースに結合し
た抗−抗体の免疫沈降とともに、インキュベーションすることにより免疫沈降さ
せた。
【0133】 結合したATM又はFRAPを、遠心分離により回収し、次に、p53タンパ
ク質に由来するリン酸化基質ペプチドと、そしてFRAPの場合は、その小さい
サブユニットタンパク質であるFKBPと混合した。バクテリオファージλDN
Aの場合、UV照射されたDNA、又はラパマイシンを反応に加えた。次にアデ
ノシン三リン酸を添加し、反応体を30℃で2時間インキュベートした。次に、
反応生成物を、ELISAプレートに結合させ、ホスホセリン及びホスホトレオ
ニンに特異的な抗体でプローブした。これらの抗体の結合は、(1)アルカリリ
ン酸に結合した二次抗体、及び(2)ニトロフェニルリン酸基質により検出され
た。得られた黄色の物質をマルチウェルプレートリーダーを使用して405nm
で最適の濃度で測定した。
【0134】 結果を図8に示す。図に示すように、FRAPのp53ペプチドのリン酸化は
、λDNAの添加により刺激され、λDNAの短いサイズは、多くの破壊された
末端を有する哺乳類DNAに類似していた(+DNAバーとFRAP/FKBP
/p53バーを比較)。しかし、FRAP活性は、添加されたDNAが初めにU
Vで照射され、フォトプロダクツを誘導する場合、より大きかった(+UV−D
NAバーと、+DNAバーを比較)。このUV−DNAで高められたリン酸化は
、2ng/mlラパマイシン(+ラパマイシンバー)とのコインキュベーション
により完全に停止した。同様に、ATMリン酸化されたp53ペプチド(ATM
/p53バー)及びそのリン酸化は、λDNAの添加(+DNAバー)により刺
激され、その短いサイズは、破壊されたDNAに類似していた。
【0135】実施例5 この実施例は、UVによるTNFαの誘導を減少するラパマイシンの能力が、
用量依存性であることを示す。
【0136】 100J/mUV−Bで照射され、TNFαプロモーターからのCAT遺伝
子の発現を誘導するXPTNF2細胞を、ラパマイシン濃度を増加しながらイン
キュベートした。プロモーターからの発現阻害のレベルを図9に示す。
【0137】 図から明らかなように、2ng/ml未満のレベルのラパマイシンでは、この
DNAプロテインキナーゼ阻害の阻害作用は、検出されなかった。効果は、2n
g/mlで検出可能になり、そして、用量が高くなるにつれ、阻害も増加した。
【0138】 本発明の特定の態様を記載し、そして例示したが、本発明の精神及び範囲を離
れることなく、改良することができる。
【0139】 上記に参照した多くの引用した文献の内容を、本明細書に援用する。
【図面の簡潔な説明】
【図1】 図1は、従来技術における遺伝子毒性エージェントに対する細胞の反応に含ま
れる経路の理解を示すフローチャートである。図1に示すように、遺伝子毒性エ
ージェントにより損傷を受けたDNAは、DNAプロテインキナーゼを活性化し
、次に、リン酸化された基質を生成し、これが、細胞周期の停止及び細胞死の細
胞外事象を引き起こすと考えられていた。
【図2】 図2は、本発明による遺伝子毒性エージェントに対する細胞の反応に含まれる
経路を示すフローチャートである。図2に示すように、遺伝子毒性エージェント
により損傷を受けたDNAは、DNAプロテインキナーゼを活性化し、次に、基
質をリン酸化し、これはサイトカインの細胞外への放出の引き金となる。
【図3】 図3は、DNAプロテインキナーゼの系統図である。既知の脂質及びDNAプ
ロテインキナーゼの関係を、アミノ酸配列相同性に基づき示す。タンパク質は、
脂質キナーゼ活性を有するものと、プロテインキナーゼ活性を有するものに分割
されている。各タンパク質について、タンパク質の名前と機構を示す。細いバー
は、非相同性部分を示し、太いバーは、Ku又はFKBPタンパク質のような、
小さいサブユニットが結合する領域を示す。色をつけていない太いバーは、キナ
ーゼ活性化部位の領域を表し、そして、垂直に縞状の領域は、DNAプロテイン
キナーゼの間の相同性を示すカルボキシ末端である。各タンパク質について、ア
ミノ酸の数(既知)及びATMタンパク質のキナーゼ領域のアミノ酸配列との相
同性の%(同一又は保存されたアミノ酸置換)を示す。この図は、V.Zaki
an、“ATM−related genes:what do they t
ell us about functions of the human
genes?”、Cell、82巻、685頁乃至687頁、1995年、及び
S.Jin、S.Inoue及びD.Weaver、“Functionsof
the DNA Dependent Protein Kinases”、 Cancer Surveys 、29巻、221頁乃至261頁に記載されてい
る。
【図4】 図4は、ヒト角化細胞でのTNFαタンパク質発現のウエスタンブロットであ
る。ヒト系HaCatに由来する細胞は、200J/mのUV−Bで照射され
るか、又は、1μg/mlのLPSで処理され、37℃で24時間インキュベー
トされた。抽出物を調製し、15%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ニト
ロセルロースに移し、そして、抗ヒトTNFα抗体でブロットし、続いて、ホー スラディッシュペルオキシダーゼを二次抗体に結合し、そして、ECL化学発光
系を使用して暴露した。レーンは、(1)照射された、(2)照射されそして照
射の前30分間、2ng/mlラパマイシンで処理された、(3)LPSで処理
された、(4)LPS及びラパマイシンで処理された、(5)本物のTNFα標
準である。
【図5】 図5は、種々のDNAプロテインキナーゼ阻害剤の存在下及び非存在下でのU
V暴露に続くTNFαプロモーターからのクロラムフェニコールアセチルトラン
スフェレース(CAT)の誘導を示す。ヌクレオチド除去修復の欠乏している、
XP12BE細胞、TNFcatトランスジーンで形質転換し、TNFαプロモ
ーター由来のCATを発現するXPTNF2細胞系を形成した。細胞をDNAプ
ロテインキナーゼ阻害剤で照射の前30分間処理し、次に100J/mUV−
Bに曝した。18時間後、抽出物を調製し、蛍光クロラムフェニコール基質を使
用してCAT活性をアッセイした。反応生成物を、薄層クロマトグラフィーで分
離し、そして、UV−A光線で蛍光を視覚化した。サンプルは、(1)基質のみ
、(2)非処理細胞、(3)UV照射された細胞、(4)UV照射され且つラパ
マイシンで処理された細胞、(5)ラパマイシンのみで処理された細胞、(6)
非処理細胞、(7)UV照射された細胞、(8)UV照射され且つウォルトマニ
ンで処理された細胞、(9)非処理細胞、(10)UV照射された細胞、(11
)UV処理され且つスタウロスポリンで処理された細胞、(12)LPS処理さ
れた細胞、及び(13)LPS及びラパマイシンで処理された細胞である。
【図6】 図6は、LPS処理後のTNFαプロモーターに由来するクロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェレース(CAT)の誘導を示す。XPTNF2細胞は、
UVの代わりに1μg/mlのLPSに曝す以外は、図5のように処理された。
CAT活性は、タンパク質抽出物の量及び30分間に形成された生成物の量から
計算し、蛍光薄層クロマトグラフィープレートのコンピューター画像分析により
定量化された。
【図7】 図7は、ヒト角化細胞のp70S6Kリン酸化のウエスタンブロットである。
ヒト系HaCat由来の細胞を200J/mUV−Bで照射するか又は1μg
/mlのLPSで処理し、24時間37℃でインキュベートした。抽出物を調製
し、10%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ニトロセルロースに移し、ヒ
トp70S6Kのリン酸化された形のセリン及びトレオニンに対する抗体でブロ
ットし、次に、二次抗体でホースラディッシュペルオキシダーゼに結合させ、E
CL化学発光系を使用して暴露した。レーンは、(1)非照射、(2)照射、(
3)照射且つ照射前30分間2ng/mlラパマイシンでの処理、(4)LPS
での処理、及び(5)LPS及びラパマイシンでの処理である。
【図8】 図8は、p53ペプチド上でのFRAP及びATMキナーゼ活性を示す。抽出
物は、ヒト角化細胞系HaCatから調製した。抽出物を、FRAP(黒いバー
)又はATM(灰色のバー)に対する抗体とインキュベートし、そして、抗体−
キナーゼの結合生成物を遠心分離によりプロテインGビーズで沈降した。ビーズ
に結合したFRAPキナーゼをFKBPタンパク質と混合し、FRAP及びAT
Mをp53タンパク質のペプチドの部分とともにインキュベートした。この混合
物に、表示のように、種々のDNA類及び阻害剤を添加した。30℃で2時間後
、反応生成物を8倍に希釈し、ELISAプレートに添加し、ホスホセリン修飾
されたタンパク質及びホスホトレオニン修飾されたタンパク質に対する抗体、及
びニトロフェニルリン酸化基質に対するアルカリフォスファターゼ二次抗体を展
開させた。対照は、ホスホセリン及びホスホトレオニン胎児ウシ血清アルブミン
を含んだ。リン酸化されたタンパク質は、405nmにおいて光学濃度で測定し
た。
【図9】 図9は、異なる濃度のラパマイシンに対するTNFcat発現の阻害のレベル
を示す、用量依存性曲線である。CAT活性は、図5に示すようにアセチル化さ
れたクロラムフェニコールの画分から算出し、そして、ラパマイシン非存在下で
の活性と比較した。 明細書に組み込まれ、そして明細書の一部を構成する以下の図は、本発明の種
々の態様を説明と共に示し、本発明の原理を説明するためのものである。もちろ
ん、図及び説明は、説明のためのものであって、本発明をこれに限定するもので
はない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA17 NA06 NA14 ZA072 ZA082 ZA712 ZA892 ZA922 ZB112 ZB262 ZB332 ZC202 ZC372 4C086 CB22 MA01 MA04 NA06 NA14 ZA07 ZA08 ZA71 ZA89 ZA92 ZB11 ZB26 ZB33 ZC20 ZC37

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子毒性エージェントへの暴露によるサイトカインの放出
    を阻害するためにヒトを処置する方法であって、前記方法が、DNAプロテイン キナーゼ阻害剤を、遺伝子毒性エージェントに曝された細胞によるサイトカイン
    放出を防ぐのに十分な量で、前記ヒトに投与することを含む、方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子毒性エージェントが、紫外線光線である、請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 遺伝子毒性エージェントが、化学療法エージェント又は放射
    線療法エージェントである、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤が、ラパマイシンである、
    請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤が、インターロイキン−1 、インターロイキン−6、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−10、及び細胞
    内接着分子1からなる群から選択される少なくとも一つのサイトカインの放出を
    阻害するのに十分な量で投与される、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 遺伝子毒性エージェントへの暴露によるサイトカインの放出
    を阻害するためにヒトを処置する方法であって、前記方法が、DNAプロテイン
    キナーゼの少なくとも一つの活性を減少するのに十分な量で、DNAプロテイン
    キナーゼ阻害剤を前記ヒトに投与し、その結果、遺伝子毒性エージェントに曝さ
    れた細胞によるサイトカイン放出を阻害することを含む、方法。
  7. 【請求項7】 遺伝子毒性エージェントが、紫外線光線である、請求項6記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 遺伝子毒性エージェントが、化学療法エージェント又は放射
    線療法エージェントである、請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤が、ラパマイシンである、
    請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 DNA−PK、ATM、ATR、及びFRAPからなる群
    から選択されるDNAプロテインキナーゼの少なくとも一つの活性を減少させる
    のに十分な量で、DNAプロテインキナーゼ阻害剤が投与される、請求項6記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤が、インターロイキン−
    1、インターロイキン−6、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−10、及び細
    胞内接着分子1からなる群から選択される少なくとも一つのサイトカインの放出
    を阻害する、請求項6記載の方法。
  12. 【請求項12】 DNAプロテインキナーゼ活性を調節することにより、遺
    伝子毒性エージェントのDNA損傷作用によるサイトカインの放出を変更するこ
    とを含む、遺伝子毒性エージェントの作用の変更方法。
  13. 【請求項13】 遺伝子毒性エージェントのDNA損傷作用を防き、DNA
    プロテインキナーゼ活性を調節することによりサイトカインの放出を減少するこ
    とを含む、遺伝子毒性エージェントの副作用を処理する方法。
  14. 【請求項14】 副作用が、皮膚ガン、紅斑、ウイルスの活性化、炎症、熱
    、吐き気、嘔吐、頭痛、悪寒、色素異常、脱毛、及びこれらの組み合わせからな
    る群から選択される、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 以下のような治療を行われている患者のための移植拒否治
    療の少なくとも一つの副作用を減少させるための方法: (a)一回投与量で移植拒否を阻害する化合物の投与、及び、 (b)患者への遺伝子毒性エージェントの暴露と組み合わせて前記化合物の追加
    量を投与し、前記化合物が、DNAプロテインキナーゼ阻害剤である、投与。
  16. 【請求項16】 化合物がラパマイシンである、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 以下のような治療を行われている患者のための移植拒否治
    療の少なくとも一つの副作用を減少させるための方法: (a)患者への移植拒否を阻害することのできる第一の化合物の投与、及び、 (b)患者への遺伝子毒性エージェントの暴露と組み合わせて患者への移植拒否
    を阻害することのできる第二の化合物の投与であって、前記第二の化合物が、D
    NAプロテインキナーゼ阻害剤である、投与。
  18. 【請求項18】 前記第一の化合物が、シクロスポリンAである、請求項1
    7記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記第二の化合物が、ラパマイシンである、請求項17記
    載の方法。
  20. 【請求項20】 遺伝子毒性エージェントへの暴露によるサイトカインの放
    出を阻害するのに十分な量で、このような治療に必要な場合、患者に移植拒否を
    阻害することの可能な化合物を投与することを含み、前記化合物が、DNAプロ
    テインキナーゼ阻害剤である、移植拒否治療を行う方法。
  21. 【請求項21】 化合物がラパマイシンである、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 移植拒否治療を行う方法であって、このような治療に必要
    な患者に、移植拒否の制御及び遺伝子毒性エージェントへの暴露によるサイトカ
    インの放出の阻害の両方に貢献するのに十分な量で、化合物を投与することを含
    み、前記化合物が、DNAプロテインキナーゼ阻害剤である、方法。
  23. 【請求項23】 化合物がラパマイシンである、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 移植拒否治療を行う方法であって、このような治療が必要
    な患者に、移植拒否を制御するのに貢献するのに十分な量で、第一の化合物を投
    与し、及び、移植拒否の制御及び遺伝子毒性エージェントへの暴露によるサイト
    カインの放出の阻害の両方に貢献するのに十分な量で、第二の化合物を投与する
    ことを含み、前記第二の化合物が、DNAプロテインキナーゼ阻害剤である、。
  25. 【請求項25】 前記第一の化合物が、シクロスポリンAである、請求項2
    4記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記第二の化合物がラパマイシンである、請求項24記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 サイトカイン放出を促進する方法であって、 (a)少なくとも一つの遺伝子毒性エージェントをヒトの組織又は器官に投与し
    、そして (b)少なくとも一つのDNAプロテインキナーゼ促進剤を、遺伝子毒性エージ
    ェントに反応して組織又は器官からのサイトカインの放出を促進するのに十分な
    量で、前記組織又は器官に投与する、 ことを含む、方法。
  28. 【請求項28】 組織又は器官が炎症に見舞われている、請求項27記載の
    方法。
  29. 【請求項29】 組織又は器官が皮膚であり、炎症が乾癬であり、遺伝子毒
    性エージェントが、コールタール及びソラレン+光線からなる群から選択される
    、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 免疫抑制剤の患者への投与を監視する方法であって、前記
    免疫抑制剤が、少なくとも一つのDNAプロテインキナーゼの阻害剤であって、
    前記方法は、 (a)患者から細胞のサンプルを採取し、そして、 (b)前記サンプルの少なくとも一つのDNAプロテインキナーゼの活性レベル
    を決定する、 ことを含む、方法。
  31. 【請求項31】 工程(b)の決定に基づいて、免疫抑制剤の量、計画、又
    は投与経路の少なくとも一つを調整する工程をさらに含む、請求項30記載の方
    法。
  32. 【請求項32】 免疫抑制剤がラパマイシンである、請求項30記載の方法
  33. 【請求項33】 一つ以上の遺伝子毒性エージェントに対する、個体の感受
    性を決定する方法であって、 (a)個体から細胞のサンプルを採取し、そして、 (b)前記サンプルの少なくとも一つのDNAプロテインキナーゼの活性レベル
    を決定する、 ことを含む、方法。
  34. 【請求項34】 一つ以上の遺伝子毒性エージェントに対する、個体の感受
    性を決定する方法であって、 (a)個体から細胞のサンプルを採取し、そして、 (b)前記サンプルの、前記遺伝子毒性エージェントにより生じたDNA損傷の
    種類に特異的なDNAプロテインキナーゼの活性レベルを決定する、 ことを含む、方法。
  35. 【請求項35】 生体サンプル中のDNAプロテインキナーゼの活性を決定
    する方法であって、 (a)サンプルからDNAプロテインキナーゼを単離し、 (b)単離したキナーゼを、キナーゼがリン酸化することのできる基質とともに
    、キナーゼが感受性を有する種類のDNA損傷にさらし、そして、 (c)リン酸化された基質の濃度を決定し、前記濃度が、キナーゼの活性の指標
    である、方法。
  36. 【請求項36】 基質のリン酸化のレベルが、リン酸化されたときに基質に
    対して特異的な抗体を使用して決定される、請求項35記載の方法。
  37. 【請求項37】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤及び遺伝子毒性エージェ
    ントを含む、組成物。
  38. 【請求項38】 遺伝子毒性エージェントが、化学療法エージェントである
    、請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 遺伝子毒性エージェントが、コールタールである、請求項
    37記載の方法。
  40. 【請求項40】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤及びソラレンを含む、組
    成物。
  41. 【請求項41】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤、及びDNAプロテイン
    キナーゼ阻害剤ではない、免疫抑制剤を含む、組成物。
  42. 【請求項42】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤がラパマイシンであり、
    DNAプロテインキナーゼ阻害剤でない免疫抑制剤がシクロスポリンAである、
    請求項41記載の組成物。
  43. 【請求項43】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤及びDNAプロテインキ
    ナーゼ阻害剤でないゲノプロテクティブ(遺伝子保護)エージェントを含む、組
    成物。
  44. 【請求項44】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤でないゲノプロテクティ
    ブエージェントが、日焼け止めである、請求項43記載の組成物。
  45. 【請求項45】 DNAプロテインキナーゼ阻害剤でないゲノプロクティブ
    エージェントが、DNA修復酵素である、請求項43記載の組成物。
  46. 【請求項46】 DNAプロテインキナーゼがラパマイシンである、請求項
    43記載の組成物。
  47. 【請求項47】 患者への化学療法又は放射線療法の投与又は運搬の副作用
    を減少する方法であって、DNAプロテインキナーゼ阻害剤を、患者の消化管、
    頭皮、又は化学療法又は放射線療法が投与又は運搬される部位の少なくとも一つ
    に投与することを含む、方法。
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