JP2002502605A - 分泌タンパク質をコードするcDNA - Google Patents

分泌タンパク質をコードするcDNA

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Abstract

(57)【要約】 分泌タンパク質をコードする伸長cDNAの配列を開示する。該伸長cDNAを使用して、分泌タンパク質もしくはその一部を発現させること、または、分泌タンパク質に特異的に結合できる抗体を得ることができる。該伸長cDNAを、診断法、法医学的手法、遺伝子治療、および染色体マッピング手法にも使用することができる。該伸長cDNAを使用して、発現ベクターおよび分泌ベクターを設計することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明の伸長cDNAは、幾つかの米国特許仮出願において記載された。表1は、
本出願における伸長cDNAの配列番号、該仮出願における伸長cDNAの配列番号、お
よび伸長cDNAが開示された該仮出願の同一物を列挙している。
【0002】 (発明の背景) ヒト染色体に沿って散在する推定50,000〜100,000の遺伝子は、ヒト疾患の理 解、診断および治療にすばらしい前途を提供する。さらに、ヒトゲノム全体に分
布する遺伝子座に特異的にハイブリダイズすることができるプローブは、高解像
度染色体地図の構築および個体の同定に使用される。
【0003】 過去には、1つのヒト遺伝子を特性化するのであっても、長年の努力を必要と
する骨の折れる工程であった。クローニングベクター、DNAの配列決定、および コンピュータ技術の分野における近年の開発が合体して、ヒト遺伝子を単離し、
配列決定し、地図を作成し、特性化することができる速度が大幅に速まった。酵
母人工染色体(YAC)や細菌の人工染色体(BAC)のようなクローニングベクター
は、それぞれ、300〜1000キロベース(kb)または100〜400kbの範囲の長さのDNA
挿入物を受け入れることができ、それによって、ヒト染色体上の遠く離れた間隔
に分布するDNA配列の操作および順序づけが容易になる。自動DNA配列決定機を使
用すると、ヒト遺伝子の配列決定を迅速に行うことができる。生物情報科学ソフ
トウェアを使用すると、核酸配列およびタンパク質配列を比較することができ、
その結果、ヒト遺伝子産物の特性化に役立つ。
【0004】 現在は、ヒトゲノムに沿って分布する遺伝子を同定し、特性化するために、2
つの異なるアプローチが実行されている。1つのアプローチでは、ゲノムDNAの 大きなフラグメントが単離され、クローニングされ、配列決定される。これらの
ゲノム配列における潜在的オープンリーディングフレームは、生物情報科学ソフ
トウェアを使用して同定される。しかし、このアプローチは、ゲノム全体に散在
するタンパク質コード配列を発見するために、タンパク質をコードしないヒトDN
Aの大きなストレッチを配列決定することを必要とする。生物情報科学ソフトウ ェアは、徹底的な配列決定を必要とする上に、得られたゲノム配列を誤って特性
化する可能性がある。したがって、このソフトウェアは、非コーディングDNAが コーディングDNAであるとして誤って特性化される擬陽性、あるいは、コーディ ングDNAが非コーディングDNAであるとして誤って特性化される擬陰性を生む可能
性がある。
【0005】 代替アプローチは、もっと直接的な経路を取って、ヒト遺伝子を同定し、特性
化する。このアプローチでは、ヒトタンパク質をコードする単離されたメッセン
ジャーRNA(mRNA)から相補的DNA(cDNA)が合成される。このアプローチを使用
するとき、配列決定は、ゲノムのタンパク質コード部分から誘導されるDNAに対 して実施されるに過ぎない。多くの場合、発現配列タグ(EST)と呼ばれる配列 を得るために、cDNAの短いストレッチのみが配列決定される。次いで、このEST を使用して、EST配列に隣接する配列を含む伸長cDNAを単離または精製すること ができる。この伸長cDNAは、それらを得るために使用したESTの配列を全部含ん でもよく、それらを得るために使用したESTの配列の一部のみを含んでもよい。 さらに、伸長cDNAは、ESTの起源である遺伝子の全コード配列を含んでもよく、 あるいは、伸長cDNAは、ESTの起源である遺伝子のコード配列の一部を含んでも よい。オルタナティブスプライシングまたは代替プロモーターの活性の結果とし
てのEST配列を含む幾つかの伸長cDNAがあることは、理解されるであろう。
【0006】 従来、伸長cDNAを単離または精製するのに使用することが可能な短いEST配列 は、多くの場合、オリゴdTプライムドcDNAライブラリーから得ていた。したがっ
て、それらは、主としてmRNAの3´非翻訳領域に相当する。ある程度、mRNAの3´
末端から誘導されるEST配列が優勢なのは、cDNAを得るための代表的な技術が、m
RNAの5´末端から誘導されるcDNA配列を単離するのに十分に適していないという
ことの結果である(Adamsら、Nature 377:174, 1996, Hillierら、Genome Res.
6:807-828, 1996)。
【0007】 さらに、報告された、より長いcDNA配列が得られた事例では、報告された配列
は、一般に、コード配列に相当し、且つcDNAが誘導されるmRNAの全5'非翻訳領域
を含まない。特に、第1のエキソンが短い状況では、このような不完全な配列は 、mRNAの第1のエキソンを含まない可能性がある。さらに、このような不完全な 配列は、スプライシング部位の上流に位置する幾つかのエキソン(多くの場合、
短いもの)を含まない可能性がある。したがって、5'ESTに含まれる5´配列を含
む可能性のある伸長cDNAを取得するのに使用することができるmRNAの5'末端から
誘導される配列を得る必要がある。
【0008】 ヒト染色体から誘導される多くの配列には実用的な用途があるが、タンパク質
産物をコードする染色体の配列の同定および特性化に基づくアプローチは、診断
用および治療用に特に適している。50,000〜100,000タンパク質をコードする遺 伝子のうち、タンパク質が合成される細胞から分泌されるタンパク質をコードす
る遺伝子、ならびに分泌されるタンパク質そのものは、潜在的治療剤として特に
有用である。このようなタンパク質は、しばしば、細胞間伝達に関与し、それら
の標的細胞内で、臨床的に妥当な応答をもたらすのに必要な可能性がある。
【0009】 事実、組織プラスミノーゲンアクチベーター、G-CSF、GM-CSF、エリトロポエ チン、ヒト成長ホルモン、インスリン、インターフェロン-α、インターフェロ ン-β、インターフェロン-γ、およびインターロイキン-2を含む、幾つかの分泌
タンパク質が現在臨床使用中である。これらのタンパク質は、急性心筋梗塞、急
性虚血性卒中、貧血、糖尿病、成長ホルモン欠乏、肝炎、腎癌腫、化学療法誘発
性好中球減少症および多発性硬化症を含む広範囲の病気を治療するのに使用され
る。以上の理由で、分泌タンパク質またはその一部をコードする伸長cDNAは、特
に有用な治療剤起源の代表である。したがって、分泌タンパク質およびそれらを
コードする核酸の同定および特性化が必要である。
【0010】 分泌タンパク質は、それ自体が治療上有用であることに加え、アミノ末端に、
それらの分泌を指令するシグナルペプチドと呼ばれる短いペプチドを含む。これ
らのシグナルペプチドは、分泌タンパク質をコードする遺伝子のコード配列の5 ´末端に位置するシグナル配列によりコードされる。これらのシグナルペプチド
は、それらが作動可能に連結される任意のタンパク質の細胞外分泌を指令するた
め、シグナル配列を、分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子に作動可能
に連結することにより、任意のタンパク質の能率的な分泌を指令するのに、この
シグナル配列を利用することが可能である。このことは、特定の遺伝子産物を、
その遺伝子産物が産生される細胞以外の細胞に配送することが望ましい遺伝子治
療作戦において有益な可能性がある。シグナルペプチドをコードするシグナル配
列は、タンパク質精製技術を簡素化する際にも使用される。このような用途では
、所望のタンパク質の細胞外分泌が、所望のタンパク質をそこから選択しなけれ
ばならない望まれていないタンパク質の数を減らすことにより、精製を大幅に促
進する。したがって、シグナルペプチドをコードする分泌タンパク質に関する遺
伝子の5´部分を同定し、且つ特性化する必要がある。
【0011】 プロモーターおよび上流の調節領域が同定され、特性化されているヒト遺伝子
の数に関する公的情報は極めて限られている。これは、ある程度、このような調
節配列を単離することが難しいためである。転写因子結合部位のような上流の調
節配列は、一般に、非常に短いため、ヒトゲノムライブラリーからプロモーター
を単離するためのプローブとして利用できない。最近、ヒトプロモーターを単離
するための幾つかのアプローチが開発された。その1つは、CpGアイランドライ ブラリーの作製から成る(Cross, S.H.ら、Purification of CpG Islands using
a Methylated DNA Binding Column, Nature Genetics 6: 236-244(1994))。
第2のアプローチは、SpeI結合タンパク質を使用して、SpeI結合部位を含むヒト
ゲノムDNA配列を単離することから成る(Mortlockら、Genome Res. 6:327-335,
1996)。これらのアプローチは、両者とも、特異性または包括性が欠如している
ため、制限がある。
【0012】 5´ ESTおよびそれらから得られる伸長cDNAを使用して、位置、発生段階、速 度、およびタンパク質合成量、ならびにmRNAの安定性を調節する上流の調節領域
を能率的に同定し、単離することが可能である(Theilら、BioFactors 4:87-93 (1993))。いったん同定して特性化するとその後は、これらの調節領域を遺伝
子治療またはタンパク質精製計画に使用して、タンパク質合成の所望の量および
位置を得たり、望ましくない遺伝子産物の合成を阻害、低減または防止すること
が可能である。
【0013】 さらに、分泌タンパク質遺伝子の5´末端を含むESTまたはESTの配列に隣接す る配列を含む伸長cDNAは、染色体地図作成および個体の同定用のプローブとして
有用な配列を含んでもよい。したがって、分泌タンパク質をコードする遺伝子の
5´コード配列の上流にある配列を同定し、特性化する必要がある。
【0014】 (発明の概要) 本発明は、分泌タンパク質をコードする精製された、単離された、もしくは組
換え伸長cDNAまたはそれらのフラグメントに関する。この精製された、単離され
た、または組換えcDNAは、出発コドンおよび停止コドンを含む、それらの対応す
るmRNAのオープンリーディングフレーム全体を含むことが好ましい。たとえば、
伸長cDNAは、シグナルペプチドならびに成熟タンパク質をコードする核酸を含ん
でもよい。あるいは、伸長cDNAは、オープンリーディングフレームのフラグメン
トを含んでもよい。一部の実施形態において、フラグメントは、成熟タンパク質
の配列のみをコードしてもよい。あるいは、フラグメントは、成熟タンパク質の
一部のみをコードしてもよい。本発明のさらなる態様は、分泌タンパク質のシグ
ナルペプチドをコードする核酸である。
【0015】 本伸長cDNAは、それらの対応するmRNAの真の5´末端から誘導される配列を含 むESTを使用して得られた。本明細書で使用する用語「EST」または「5'EST」は 、本発明の伸長cDNAを得るために使用した短いcDNAを指す。本明細書で使用する
、用語「伸長cDNA」は、それらを得るために使用した5'ESTに隣接する配列を含 むcDNAを指す。この伸長cDNAは、それらを得るために使用したESTの配列の全部 または一部を含んでもよい。用語「対応するmRNA」は、5'ESTを作成したcDNA合 成用の鋳型であったmRNAを指す。本明細書で使用する、用語「精製された」は、
完全に純粋である必要はなく、むしろ、相対的な定義として解釈される。cDNAラ
イブラリーから単離される個々の伸長cDNAクローンは、電気泳動法的均一まで、
従来通りに精製されていた。これらのクローンから得られる配列は、ライブラリ
ーまたは完全なヒトDNAのいずれからも直接得ることができなかった。伸長cDNA クローンは、それ自体、天然のものではなく、むしろ、ある程度精製された天然
の物質(メッセンジャーRNA)を操作することによって得られる。mRNAのcDNAラ イブラリーへの変換は、合成物質(cDNA)の作製を含み、純粋な個々のcDNAクロ
ーンは、クローンの選択によって、合成ライブラリーから単離することができる
。したがって、メッセンジャーRNAからcDNAライブラリーを作成し、次にそのラ イブラリーから個々のクローンを単離すると、天然のメッセージが約104〜106
に精製される。出発材料または天然の材料を少なくとも1桁、好ましくは2桁ま
たは3桁、さらに好ましくは4桁または5桁まで精製することが特に考えられる
【0016】 本明細書で使用する、用語「単離された」は、その物質が、そのもとの環境(
たとえば、それが天然のものであれば、自然環境)から取り出されることを必要
とする。たとえば、生きている動物に存在する天然のポリヌクレオチドは単離さ
れないが、自然系に共存する物質の一部または全てから分離される同じポリヌク
レオチドは単離される。
【0017】 本明細書で使用する、用語「組換え」は、伸長cDNAが、その自然環境では隣接
していない「バックボーン」核酸に隣接していることを意味する。さらに、伸長
cDNAが「富化される」ことは、核酸バックボーン分子の集団における核酸挿入物
の数の5%以上に相当する。本発明によるバックボーン分子は、核酸類、たとえ ば、発現ベクター、自己複製核酸、ウイルス、組込み核酸、および目的の核酸挿
入物を維持または操作するのに使用される他のベクターまたは核酸を含む。好ま
しくは、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン分子集団における核酸挿入物数の
15%以上に相当する。さらに好ましくは、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン
分子集団における核酸挿入物数の50%以上に相当する。極めて好ましい実施形態
では、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン分子集団における核酸挿入物数の90
%以上に相当する。「ストリンジェント」、「中程度」および「低程度」のハイ
ブリダイゼーション条件は、実施例29に規定されている通りである。
【0018】 特に記載がなければ、「相補的」配列は、完全に相補的である。したがって、
分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードする1つまたは
複数の伸長cDNAが、バックボーン分子における核酸挿入物数の5%以上を構成す るcDNAライブラリー中に存在する、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフ
ラグメントをコードする伸長cDNAは、本明細書で定義される「富化組換え伸長cD
NA」である。同様に、1つまたは複数の本発明の伸長cDNAが、プラスミドバック
ボーンにおける挿入物数の5%以上に相当するという具合に挿入されているプラ スミドの集団に存在する、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメン
トをコードする伸長cDNAは、本明細書で定義される「富化組換え伸長cDNA」であ
る。しかし、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードす
る伸長cDNAが、バックボーン分子の集団における核酸挿入物数の5%未満を構成
するcDNAライブラリー、たとえば、分泌されるポリペプチドをコードするcDNA挿
入物を有するバックボーン分子が極めて稀であるライブラリーに存在する、分泌
されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードする伸長cDNAは、「
富化組換え伸長cDNA」ではない。
【0019】 特に、本発明は、分泌タンパク質をコードする遺伝子から誘導された伸長cDNA
に関する。本明細書で使用する、「分泌」タンパク質は、適当な宿主細胞で発現
されるとき、そのアミノ酸配列におけるシグナルペプチドの結果としての輸送を
含め、膜を横切って、または膜を通して、輸送されるものである。「分泌」タン
パク質は、それらが発現される細胞から完全に(たとえば、可溶性タンパク質)
、または部分的に(たとえば、レセプター)分泌タンパク質を無制限に含む。「
分泌」タンパク質は、小胞体の膜を横切って輸送されるタンパク質も無制限に含
む。
【0020】 分泌タンパク質をコードする伸長cDNAは、伸長cDNAによりコードされるタンパ
ク質の細胞外分泌を指令するシグナルペプチドをコードする、シグナル配列と呼
ばれる核酸配列を含んでもよい。一般に、シグナルペプチドは、分泌タンパク質
のアミノ末端に位置する。
【0021】 分泌タンパク質は、「粗面」小胞体と会合したリボソームにより翻訳される。
一般に、分泌タンパク質は、小胞体の膜に共翻訳輸送される。分泌タンパク質の
翻訳中のリボソームと小胞体との会合は、シグナルペプチドにより仲介される。
一般に、シグナルペプチドは、小胞体に共翻訳エントリー後に切断される。小胞
体に配送後、分泌タンパク質は、ゴルジ体を通過して進むことが可能である。タ
ンパク質は、ゴルジ体内で翻訳後修飾を受けてから、細胞膜を横切ってタンパク
質を輸送する分泌小胞に入る。
【0022】 本発明の伸長cDNAには、幾つかの重要な用途がある。たとえば、本発明の伸長
cDNAを使用して、それらがコードする分泌タンパク質全体を発現させてもよい。
あるいは、本発明の伸長cDNAを使用して、分泌タンパク質の一部を発現させても
よい。その部分は、伸長cDNAによりコードされるシグナルペプチドまたは伸長cD
NAによりコードされる成熟タンパク質(すなわち、シグナルペプチドが切り取ら
れたとき生成するタンパク質)を含んでもよい。その部分は、伸長cDNAによりコ
ードされる少なくとも10個連続したアミノ酸を有するポリペプチドも含んでもよ
い。あるいは、その部分は、伸長cDNAによりコードされる少なくとも15個連続し
たアミノ酸を含んでもよい。幾つかの実施形態では、その部分は、伸長cDNAによ
りコードされる少なくとも25個連続したアミノ酸を含んでもよい。他の実施形態
では、その部分は伸長cDNAによりコードされる少なくとも40個のアミノ酸を含ん
でもよい。
【0023】 下記の通り、伸長cDNAによりコードされる分泌タンパク質全体、または少なく
とも10個連続したアミノ酸、少なくとも15個連続したアミノ酸、少なくとも25個
連続したアミノ酸、もしくは少なくとも40個連続したアミノ酸を有する、それら
のフラグメントを特異的に認識する抗体を得ることも可能である。下記の通り、
シグナルペプチドが切断されるとき生成する成熟タンパク質を特異的に認識する
抗体も得ることが可能である。同様に、伸長cDNAによりコードされるシグナルペ
プチドを特異的に認識する抗体も得ることが可能である。
【0024】 一部の実施形態では、伸長cDNAはシグナル配列を含む。他の実施形態では、伸
長cDNAは、成熟タンパク質(すなわち、シグナルポリペプチドが切り取られたと
きに生成するタンパク質)に関する全コード配列を含んでもよい。さらに、伸長
cDNAは、翻訳開始部位の上流または停止コドンの下流にある、遺伝子発現の量、
位置、または発生段階を調節する調節領域を含んでもよい。上記の通り、分泌タ
ンパク質は、治療上重要である。したがって、cDNAから発現されるタンパク質は
、様々なヒトの病気を治療または管理するのに有用な可能性がある。伸長cDNAを
使用して、対応するゲノムDNAを得ることも可能である。用語「対応するゲノムD
NA」は、伸長cDNA配列におけるチミジン残基が、mRNAではウラシル残基により置
き換えられている伸長cDNAの鎖の1本の配列を含むmRNAをコードするゲノムDNA を指す。
【0025】 本伸長cDNAまたはそれらから得られたゲノムDNAを、個体を同定するための法 医学的方法または伸長cDNAに対応する遺伝子の発現異常に起因する遺伝病を有す
る個体を同定するための診断方法に使用することができる。さらに、本発明は、
ヒト染色体の高解像度地図を構築するのに有用である。
【0026】 本発明は、目的のタンパク質分泌を指令することができる分泌ベクターにも関
する。このようなベクターは、ある細胞内で、体内の別の位置に配送されるべき
遺伝子産物を産生することが望ましい遺伝子治療に使用することが可能である。
分泌ベクターは、所望のタンパク質の精製を促進することも可能である。
【0027】 本発明は、所望の空間的または時間的方式で、または所望のレベルで、挿入遺
伝子の発現を指令することができる発現ベクターにも関する。このようなベクタ
ーは、プロモーターのような伸長cDNAの上流にある配列、または上流の調節配列
を含んでもよい。
【0028】 さらに、本発明は、遺伝病を管理または治療するための遺伝子治療にも使用す
ることができる。シグナルペプチドを異種タンパク質に融合させて、それらの細
胞外分泌を指令することもできる。
【0029】 本発明の1つの実施形態は、配列番号40〜84および130〜154の1つの配列また
はそれに相補的な配列を含む精製されたまたは単離された核酸である。この実施
形態1つの態様において、核酸は組換えである。
【0030】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜84および130〜154の1つの配列または
それらに相補的な配列の1つの少なくとも10個連続した塩基を含む精製されたま
たは単離された核酸である。この実施形態の1つの態様では、核酸は、配列番号
40〜84および130〜154の配列の1つまたはそれらに相補的な配列の1つの少なく とも15、25、30、40、50、75、または100個連続した塩基を含む。核酸は、組換 え核酸であってもよい。
【0031】 本発明の別の実施形態は、ストリンジェントな条件下で、配列番号40〜84およ
び130〜154の1つの配列または配列番号40〜84および130〜154の配列の1つに相
補的な配列とハイブリダイズすることができる少なくとも15塩基の精製されたま
たは単離された核酸である。この実施形態の1つの態様では、核酸は組換えであ
る。
【0032】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜84および130〜154の1つの全コード配
列を含む精製されたまたは単離された核酸であって、この全コード配列は、シグ
ナルペプチドをコードする配列ならびに成熟タンパク質をコードする配列を任意
に含む。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核酸は、配列番号
40〜59、61〜73、75、77〜82、および130〜154の1つの全コード配列を含み、こ
こで、前記全コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列および成熟タン
パク質をコードする配列を含む。この実施形態の1つの態様では、核酸は組換え
である。
【0033】 本発明のさらなる実施形態は、成熟タンパク質をコードする配列番号40〜84お
よび130〜154の1つのヌクレオチドを含む精製されたまたは単離された核酸であ
る。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離された核酸は、成熟タンパク
質をコードする、配列番号40〜59、61〜75、77〜82、および130〜154の1つのヌ
クレオチドを含む。この実施形態の1つの態様では、核酸は組換えである。
【0034】 本発明のさらなる別の実施形態は、シグナルペプチドをコードするの1つのヌ
クレオチドを含む精製されたまたは単離された核酸である。好ましい実施形態で
は、精製されたまたは単離された核酸は、シグナルペプチドをコードする、配列
番号40〜59、61〜73、75〜82、84、および130〜154の1つのヌクレオチドを含む
この実施形態の1つの態様では、核酸は組換えである。
【0035】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの配 列を有するポリペプチドをコードする精製されたまたは単離された核酸である。
【0036】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つに含 まれる成熟タンパク質の配列を有するポリペプチドをコードする精製されたまた
は単離された核酸である。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離された
核酸は、配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜179の配列の1つ に含まれる成熟タンパク質の配列を有するポリペプチドをコードする。
【0037】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つに含 まれるシグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコードする精製されたま
たは単離された核酸である。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離され
た核酸は、配列番号85〜104、106〜118、120〜127、129、および155〜179の配列
の1つに含まれるシグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコードする。
【0038】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の1つの配列 を含む精製されたまたは単離されたタンパク質である。
【0039】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少な
くとも10個連続したアミノ酸を含む精製されたまたは単離されたポリペプチドで
ある。この実施形態の1つの態様では、精製されたまたは単離されたポリペプチ
ドは、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少なくとも15、20、25、3
5、50、75、100、150または200個の連続したアミノ酸を含む。また別の態様では
、精製されたまたは単離されたポリペプチドは、配列番号85〜129および155〜17
9の配列の1つの少なくとも25個連続したアミノ酸を含む。
【0040】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドの 1つのシグナルペプチドを含む単離されたまたは精製されたポリペプチドである
。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核酸は、配列番号85〜10
4、106〜118、120〜127、129、および155〜179のポリペプチドの1つのシグナル
ペプチドを含む。
【0041】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチ ドの1つの成熟タンパク質を含む単離されたまたは精製されたポリペプチドであ
る。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製されたポリペプチドは、配列
番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜179のポリペプチドの1つの成 熟タンパク質を含む。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核酸
は、配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜179の配列の1つに含 まれる成熟タンパク質の配列を有するポリペプチドをコードする。
【0042】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号40〜84および130〜154の配列の1つを
含むcDNAを得るステップと、cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるように
このcDNAを発現ベクターに挿入するステップと、発現ベクターを宿主細胞に導入
し、それによって、前記宿主細胞において前述のcDNAによりコードされるタンパ
ク質を産生させるステップとを含む、配列番号85〜129および155〜179の配列の 1つを含むタンパク質を製造する方法である。この実施形態の1つの態様では、
この方法は、さらに、タンパク質を単離するステップを含む。
【0043】 本発明の別の実施形態は、前段に記載されている方法により得られるタンパク
質である。
【0044】 好ましい実施形態では、上記方法は、成熟タンパク質をコードする配列番号40
〜59、61〜75、77〜82、および130〜154のヌクレオチド配列の1つを含むcDNAを 得るステップと、cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるようにこのcDNAを
発現ベクターに挿入するステップと、発現ベクターを宿主細胞に導入し、それに
よって、前記宿主細胞において前述のcDNAによりコードされる成熟タンパク質を
産生させるステップとを含む、配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および1
55〜179の配列の1つに含まれる成熟タンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク 質を製造する方法を含む。この実施形態の1つの態様では、この方法は、さらに
、タンパク質を単離するステップを含む。
【0045】 本発明の別の実施形態は、成熟タンパク質をコードする配列番号40〜59、61〜
75、77〜82、および130〜154の配列のヌクレオチド配列の1つを含むcDNAを得る
ステップと、cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるようにこのcDNAを発現
ベクターに挿入するステップと、発現ベクターを宿主細胞に導入し、それによっ
て、前記宿主細胞前述においてcDNAによりコードされる成熟タンパク質を産生さ
せるステップとを含む、配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜17
9の配列の1つに含まれる成熟タンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質を製 造する方法である。この実施形態の1つの態様では、この方法は、さらに、タン
パク質を単離するステップを含む。
【0046】 本発明の別の実施形態は、前段に記載されている方法で得られる成熟タンパク
質である。
【0047】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の配列番号40〜84および130〜154の
1つの配列またはそれに相補的な配列を含む精製されたまたは単離された核酸を
含む宿主細胞である。
【0048】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜59、61〜73、75、77〜82、および130 〜154の1つの全コード配列を含む精製されたまたは単離された核酸を含む宿主 細胞であり、その全コード配列は、本明細書に記載されているシグナルペプチド
をコードする配列および成熟タンパク質をコードする配列を含む。
【0049】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されている成熟タンパク質をコード
する配列番号40〜84および130〜154の1つのヌクレオチドを含む精製されたまた
は単離された核酸を含む宿主細胞である。好ましくは、宿主細胞は、成熟タンパ
ク質をコードする配列番号40〜59、61〜75、77〜82、および130〜154の1つのヌ
クレオチドを含む、精製されたまたは単離された核酸を含む。
【0050】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されているシグナルペプチドをコー
ドする配列番号40〜84および130〜154の1つのヌクレオチドを含む精製されたま
たは単離された核酸を含む宿主細胞である。好ましくは、宿主細胞は、シグナル
ペプチドをコードする、配列番号40〜59、61〜73、75〜82、84、および130〜154
の1つのヌクレオチドを含む、精製されたまたは単離された核酸を含む。
【0051】 本発明の別の実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の1つの配列を有 するタンパク質に特異的に結合することができる精製されたまたは単離された抗
体である。この実施形態の1つの態様では、抗体は、配列番号85〜129および155
〜179の1つの配列の少なくとも10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドに結 合することができる。
【0052】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜84および130〜154の配列の少なくとも
1つ、または配列番号40〜84および130〜154の配列に相補的な配列の1つ、また
はその少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントを含む、cDNAのアレ
イまたは少なくとも15ヌクレオチドの長さであるそれらのフラグメントのアレイ
である。この実施形態の1つの態様では、このアレイは、配列番号40〜84および
130〜154の配列、配列番号40〜84および130〜154の配列に相補的な配列、または
その少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントの少なくとも2つを含
む。この実施形態の別の態様では、このアレイは、配列番号40〜84および130〜1
54の配列、配列番号40〜84および130〜154の配列に相補的な配列、または、その
少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントの少なくとも5つを含む。
【0053】 本発明のさらなる実施形態は、表VIに列挙された受託番号から成る群より選択
される受託番号を有する寄託において寄託されたクローンからの挿入物、または
前述の挿入物の少なくとも8、10、12、15、20、25、40、60、100、または200個
のヌクレオチドの連続スパンを含むそのフラグメントを含む、精製されたポリヌ
クレオチドを含む。本発明のさらなる実施形態は、表VIに列挙された受託番号か
ら成る群より選択される受託番号を有する寄託において寄託されたクローンから
の挿入物によりコードされるアミノ酸配列を含む、または該アミノ酸から成る、
もしくは該アミノ酸から本質的に成る精製されたポリペプチド、ならびにシグナ
ルペプチド、成熟タンパク質、または前述の挿入物によりコードされる少なくと
も5、8、10、12、15、20、25、40、60、100、または200アミノ酸の連続スパン
から成る前述のアミノ酸配列のフラグメントを含むポリペプチドを含む。
【0054】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号85〜129および155〜179の少なくとも 5、8、10、12、15、20、25、40、60、100、または200アミノ酸の連続スパンを
含む精製されたポリペプチドを含み、前述の連続スパンは、図10〜12のいずれに
おいても、公開された配列と同一であることが示されなかったアミノ酸位置の少
なくとも1つを含む。本発明は、前述のポリペプチドをコードする精製されたポ
リヌクレオチドも含む。
【0055】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならび
に配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群より選択さ れる配列を記憶して有するコンピュータ読取可能媒体である。
【0056】 本発明の別の実施形態は、プロセッサおよびデータ記憶装置を含むコンピュー
タシステムであり、前記データ記憶装置は、配列番号40〜84および130〜154のcD
NAコードならびに配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成 る群より選択される配列を記憶して有する。一部の実施形態において、コンピュ
ータシステムは、配列コンペアラおよび参照配列を記憶して有するデータ記憶装
置をさらに含む。たとえば、配列コンペアラは、多型性を表示するコンピュータ
プログラムを含み得る。コンピュータシステムの他の態様では、該システムは、
前記配列における特徴を同定するアイデンティファイアを含む。
【0057】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならび
に配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群より選択さ れる第1の配列と参照配列とを比較する方法であって、配列を比較するコンピュ
ータプログラムを使用することにより、前記第1の配列および前記参照配列を読
み取るステップと、前記コンピュータプログラムによって、前記第1の配列と前
記参照配列との間の差異を判定するステップとを含む方法である。該方法の幾つ
かの実施形態では、第1の配列と参照配列との間の差異を判定するステップは、
多型を同定することを含む。
【0058】 本発明の別の実施形態は、配列における特徴を同定するコンピュータプログラ
ムを使用することにより、前記配列を読み取るステップと、前記コンピュータプ
ログラムによって、前記配列における特徴を同定するステップとを含む、配列番
号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列番号85〜129および155〜179 のポリペプチドコードから成る群より選択される配列における特徴を同定する方
法である。
【0059】 (好ましい実施形態の詳細な説明) I.5´ESTの取得 下記の通りに単離した5'ESTを使用して、本伸長cDNAを取得した。 A.完全な5´末端を有するmRNAを取得する化学的方法 本発明の伸長cDNAを取得するために使用する5'ESTを得るために、完全な5'末 端を有するmRNAを取得しなければならない。現在、このようなmRNAを得るための
2つのアプローチがある。これらのアプローチの1つは、mRNAの5'末端の誘導お
よび誘導されたmRNAの選択を含む化学的修飾法である。真核生物のmRNAの5'末端
は、7位でメチル化されたグアノシンを含む「キャップ」と呼ばれる構造を有す
る。5',5'-三リン酸結合により、このキャップを、mRNAの第1の転写塩基につな
ぐ。ある場合には、5'グアノシンは、2位でも7位でも、メチル化されている。
稀に、5'グアノシンは、2、7および7位でトリメチル化されている。完全な5'
末端を有するmRNAを得るための化学的方法において、5'キャップを特異的に誘導
し、固定化基質上の反応基にカップリングさせる。この特異的誘導は、mRNAの5'
末端におけるメチル化グアノシンに連結されたリボースおよびmRNAの3'末端にお
ける塩基に連結されたリボースのみが、2',3'-シスジオールを有することに基づ
いている。3'末端のリボースが、2',3'-シスジオールを有する場合、2',3'-シス
ジオールを有するmRNAの5'末端におけるメチル化グアノシンに連結したリボース
のみを残して、任意に、3'末端の2',3'-シスジオールを化学的に修飾、置換、変
換、または除去することが可能である。3'末端のリボース上の2',3'-シスジオー
ルを除去するのに、様々な技術を利用することができる。たとえば、制御された
アルカリ加水分解を使用して、3'末端のリボースが3'-ホスフェート、2'-ホスフ
ェートまたは(2',3')-シクロホスフェートであるmRNAフラグメントを生成する
ことが可能である。その後、オリゴ-dTカラムを用いたクロマトグラフィーで、 最初の3'リボースを含むフラグメントを混合物から除去することが可能である。
あるいは、T4 RNAリガーゼのようなRNAリガーゼを使用して、2',3'-シスジオー ルのない塩基をmRNAの3'末端に加えてもよい。下記の実施例1に、pCpをメッセ ンジャーRNAの3'末端に連結する方法を説明する。
【0060】 (実施例1) メッセンジャーRNAの3´末端へのヌクレオシドジホスフェートpCpの連結 製造会社(Gibco-BRL)により提供された緩衝溶液に溶解した5UのT4ファ ージRNAリガーゼ、40UのRNaseインヒビターRNアシン(RNasin)(Promega) および、2μlの32pCp(Amersham #PB 10208)の存在下、10μlの最終反応媒体 中で1μgのRNAをインキュベートした。
【0061】 インキュベーションは、37℃で2時間または7〜8℃で一晩実施した。 3'リボースにおける2',3'-シスジオールの修飾または除去後、NaBH4、NaBH3CN
、または過ヨウ素酸ナトリウムのような試薬を使用して、mRNAの5'末端に存在す
る2',3'-シスジオールを酸化し、それによって、2',3'-シスジオールをジアルデ
ヒドに変換してもよい。実施例2に、mRNAの5'末端における2',3'-シスジオール
の過ヨウ素酸ナトリウムによる酸化について説明する。
【0062】 (実施例2) mRNAの5´末端における2',3'-シスジオールの酸化 0.1 OD単位の47ヌクレオチド(キャップを含む)キャプオリゴリボヌクレオ チドまたは46ヌクレオチド非キャップオリゴリボヌクレオチドのいずれかを以下
の通りに処理した。このオリゴリボヌクレオチドは、転写キット「AmpliScribe
T7」(Epicentre Technologies)を使用して、in vitro転写により生成した。以
下に示す通り、RNA転写物のDNA鋳型は、1つのシトシンを含んでいた。非キャッ
プRNAを合成するために、in vitro転写反応に全4種のNTPを含めた。キャップRN
Aを得るために、GTPをキャップの類似体m7G(5')ppp(5')Gと置き換えた。ポ リメラーゼにより認識されるこの化合物は、転写開始ステップ中に新生転写物の
5´末端に組み込まれたが、伸長ステップ中に組み込むことはできなかった。し たがって、結果として得られたRNAは、5'末端にキャップを含んでいた。転写反 応で生成されたオリゴリボヌクレオチドの配列は次の通りであった: +キャップ: 5'm7GpppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCUAACUCCUCCCAUCUCCAC-3'(配列番号1) -キャップ: 5'pppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCUAACUCCUCCCAUCUCCAC-3'(配列番号2)。
【0063】 このオリゴリボヌクレオチドを、酢酸緩衝溶液(0.1M酢酸ナトリウム、pH5.2 )9μおよび用時調製した0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液3μlに溶解した。こ の混合物を暗所にて、4℃または室温で1時間インキュベートした。その後、4 μの10%エチレングリコールを加えることにより、反応を停止させた。生成物を
エタノール沈殿させ、10μl以上の水または適当な緩衝溶液に再懸濁し、水で透 析した。
【0064】 次いで、mRNAの5´末端の富化を容易にするために、このようにして得られた アルデヒド基を、反応性アミン基、たとえば、ヒドラジン基、カルバジド基、チ
オカルバジド基またはセミカルバジド基を有する分子にカップリングさせてもよ
い。完全な5´末端を有するmRNAの選択に使用するのに適した反応性アミン基を 有する分子としては、アビジン、タンパク質、抗体、ビタミン類、レセプター分
子に特異的に結合することができるリガンド、またはオリゴヌクレオチドが挙げ
られる。下記の実施例3に、結果として得られたジアルデヒドのビオチンへのカ
ップリングについて説明する。
【0065】 (実施例3) ジアルデヒドとビオチンとのカップリング 実施例2で得られた酸化生成物を、pH5〜5.2の酢酸ナトリウム50μlおよび用 時調製した式:
【化1】 のメトキシエタノール/水混合物(1:1)に溶解したビオチンヒドラジドの0.
02M溶液50μlに溶解した。
【0066】 これらの実験で使用した化合物では、n=5である。但し、その他の市販され ているヒドラジド類、たとえば、nが0から5まで変化する上式の分子も使用す
ることができることが十分に理解されるであろう。 次いで、この混合物を37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション
後、この混合物をエタノールで沈殿させ、蒸留水で透析した。
【0067】 実施例4は、ビオチニル化反応の特異性を示す。 (実施例4) ビオチニル化の特異性 キャップmRNAに対するビオチニル化の特異性を、次の試料のゲル電気泳動によ
って評価した。 試料1。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識した4
6ヌクレオチド非キャップin vitro転写物。 試料2。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識し、 実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチニル化条件に供した、46ヌクレ
オチド非キャップin vitro転写物。 試料3。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識した4
7ヌクレオチドキャップin vitro転写物。 試料4。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識し、 実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチニル化条件に供した、47ヌクレ
オチドキャップin vitro転写物。
【0068】 試料1および2は、同一の泳動速度を有し、非キャップRNAは酸化されておら ず且つビオチニル化されていないことを示す。試料3は、試料1および2より緩
徐に泳動したが、試料4は最も遅い泳動を示した。試料3と4におけるRNAの泳 動の差は、キャップRNAが特異的にビオチニル化されていたことを示す。
【0069】 反応性アミン基を含む分子を適当な固相基体、たとえば、mRNAを含む容器の内
側、磁気ビーズ、クロマトグラフィーマトリックス、あるいはナイロン膜または
ニトロセルロース膜に結合することにより、完全な5'末端を有するmRNAを富化す
ることが可能な場合もある。たとえば、反応性アミン基を有する分子がビオチン
である場合、固相基体をアビジンまたはストレプトアビジンにカップリングさせ
ることが可能である。あるいは、反応性アミン基を有する分子が抗体またはレセ
プターリガンドである場合、固相基体をコグネイト抗原またはレセプターにカッ
プリングさせることが可能である。最終的に、反応性アミン基を有する分子がオ
リゴヌクレオチドを含む場合、固相基体は相補的オリゴヌクレオチドを含んでも
よい。
【0070】 完全な5'末端を有するmRNAを、富化法後に固相から放出させることが可能であ
る。たとえば、ジアルデヒドがビオチンヒドラジドとカップリングしており、固
相がストレプトアビジンを含む場合、2%SDS中で95℃に加熱するだけで、mRNA を固相から放出させることが可能である。幾つかの方法では、富化後に、反応性
アミン基を有する分子を、完全な5'末端を有するmRNAから切断することが可能で
ある。実施例5では、ストレプトアビジン被覆ビーズによるビオチニル化mRNAの
捕捉、および富化後のビーズからのビオチニル化mRNAの遊離について説明する。
【0071】 (実施例5) ストレプトアビジン被覆ビーズを使用したビオチニル化mRNAの捕捉および放出 製造会社(CPG Inc., USA)の説明書に従って、ストレプトアビジン被覆磁気 ビーズを調製した。ビオチニル化mRNAをハイブリダイゼーション緩衝溶液(1.5M
NaCl、pH 5〜6)に加えた。30分間インキュベートした後、結合していない非ビ
オチニル化物質を除去した。1%SDSを含む水中で、ビーズを数回洗浄した。得 られたビーズを、2%SDSを含む水中にて、95℃で15分間インキュベートした。
【0072】 実施例6は、ビオチニル化mRNAがストレプトアビジン被覆ビーズから回収され
た効率を示す。 (実施例6) ビオチニル化mRNAの回収効率 以下の通りに、回収方法の効率を評価した。上述の通りに、RNAを32pCpで標識
し、酸化し、ビオチニル化し、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合させた。次
に、結合したRNAを、2%SDSの存在下、95℃で、5、15または30分間インキュベ
ートした。
【0073】 変性条件(7M尿素)下、12%ポリアクリルアミドゲル上電気泳動で、反応生 成物を分析した。ゲルをオートラジオグラフィーに供した。この操作中に、ヒド
ラゾン結合は還元されなかった。
【0074】 2%SDS中でのインキュベーション時間が増加するにつれて、核酸の回収量が 増加したことから、ビオチニル化mRNAが効率的に回収されたことがわかる。
【0075】 完全な5´末端を有するmRNAを得るための代替法では、反応性アミン基を含む ように誘導されたオリゴヌクレオチドが、完全なキャップを有するmRNAに特異的
にカップリングされる。上述の通り、誘導されたオリゴヌクレオチドが、mRNAの
3´末端に連結されるのを防止するために、誘導されたオリゴヌクレオチドにア ルデヒド基が連結されるステップの前に、mRNAの3´末端をブロックすることが 好ましい。たとえば、T4 RNAリガーゼを使用して、mRNAの3´末端にpCpを結合さ
せることが可能である。しかし、上述の通り、mRNAの3´末端をブロックするこ とは、任意のステップである。以下の実施例7に記載の通り、誘導されたオリゴ
ヌクレオチドを調製することが可能である。
【0076】 (実施例7) オリゴヌクレオチドの誘導 水に溶解するカルボジイミド型薬剤、たとえば、最終濃度0.3Mの1-エチル-3- (3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの存在下、pH4.5、温度8℃で一晩
、約1〜3Mのヒドラジンまたは式H2N(R1)NH2のジヒドラジドの水溶液で処理 することにより、3´末端でリン酸化されたオリゴヌクレオチドを、3´内の3´ ヒドラジドに変換した。
【0077】 次いで、オリゴヌクレオチドを単離するための標準技術を使用して、誘導され
たオリゴヌクレオチドを他の薬剤および生成物から分離した。
【0078】 上述の通り、富化する対象であるmRNAを処理して、その上に存在する可能性が
ある3´OH基を除去することが可能である。実施例1に上述した通り、pCpのよう
な、3´OHのない配列の酵素的連結によってこれを実施することが可能である。 あるいは、以下の実施例8に記載の通り、アルカリ加水分解によって3´OH基を 除去することが可能である。
【0079】 (実施例8) mRNAのアルカリ加水分解 下記の通り、mRNAをアルカリ加水分解で処理してもよい。総量100μlの0.1N水
酸化ナトリウム中で、1.5μgのmRNAを4℃で40〜60分間インキュベートする。こ の溶液を酢酸で中和し、エタノールで沈殿させた。
【0080】 以下の実施例9に記載の通り、3´OH基を任意に除去した後、mRNAの5´末端に
おけるジオール基を酸化する。 (実施例9) ジオールの酸化 1OD単位までのRNAを、9μlの緩衝溶液(0.1M酢酸ナトリウム、pH6〜7また
は水)および3μlの用時調製した0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液に溶解した。 反応を、暗所にて、4℃または室温で、1時間インキュベートした。インキュベ
ーション後、4μlの10%エチレングリコールを加えることにより、反応を停止 させた。その後、この混合物を室温で15分間インキュベートした。エタノール沈
殿後、生成物を10μl以上の水または適当な緩衝溶液に再懸濁し、水で透析した 。
【0081】 実施例10に記載の通り、mRNAの5´末端におけるジオール基を酸化した後、こ のようにして得られたアルデヒドに、誘導されたオリゴヌクレオチドを連結した
。 (実施例10) アルデヒドと誘導されたオリゴヌクレオチドとの反応 この酸化したmRNAを酸性媒体、たとえば、pH4〜6の酢酸ナトリウム50μlに 溶解した。mRNA:誘導されたオリゴヌクレオチドの比率1:20が得られるように 、誘導されたオリゴヌクレオチドの溶液50μlを加え、混合物をホウ化水素で還 元した。この混合物を、37℃で2時間または10℃で一晩(14時間)インキュベー トした。混合物をエタノール沈殿させ、10μl以上の水または適当な緩衝溶液に 再懸濁し、蒸留水で透析した。必要であれば、アクリルアミドゲル電気泳動法、
HPLC分析、または他の従来技術を使用して、このようにして得られた生成物を分
析することが可能である。
【0082】 以下の実施例11に記載の通り、誘導されたオリゴヌクレオチドをmRNAに結合し
た後、逆転写反応を実施することが可能である。 (実施例11) mRNAの逆転写 下記の通りに、オリゴデオキシリボヌクレオチドを誘導した。5´-OH末端およ
び3´-P末端を有する配列ATCAAGAATTCGCACGAGACCATTA(配列番号3)のオリゴデ オキシリボヌクレオチド3OD単位を、1‐エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル
)カルボジイミド2μgを含むジメチルホルムアミド/水(75:25)で調製した 、1.5 Mヒドロキシベンゾトリアゾール溶液(pH5.3)70μlに溶解した。この混 合物を、22℃で2時間30分間、インキュベートした。次いで、この混合物を、LiC
lO4/アセトン中に2回沈殿させた。このペレットを、0.25 Mヒドラジン200μl に再懸濁し、8℃で3〜14時間、インキュベートした。ヒドラジン反応後、この 混合物を、LiClO4/アセトン中に2回沈殿させた。
【0083】 逆転写すべきメッセンジャーRNAを、-80℃で記憶しておいた、2cmの辺を有す
る胎盤塊から抽出した。従来の酸性フェノール技術を使用して、mRNAを抽出した
。オリゴ-dTクロマトグラフィーを使用して、mRNAを精製した。mRNAの完全性を 、ノーザンブロッティングで確認した。
【0084】 実施例9に上述した通り、7μgの胎盤mRNA のジオール基を酸化した。mRNA に連結されなかった、誘導されたオリゴデオキシリボヌクレオチドを除去するた
めに、沈殿ステップを排除クロマトグラフィーステップと置き換えたこと以外は
実施例10に上述した通りに、誘導されたオリゴヌクレオチドをmRNAに連結した。
以下の通りに、排除クロマトグラフィーを実施した。
【0085】 AcA34(BioSepra#230151)ゲル10mlを、10mMトリス(pH8.0)、300mMNaCl、1
mMEDTA、および0.05%SDSの溶液50ml中で平衡化した。混合物を沈殿させた。上 清を除去し、ゲルを緩衝溶液50mlに再懸濁した。この方法を2回または3回繰返
した。
【0086】 ガラスビーズ(直径3mm)を、2ml使い捨てピペット(長さ25cm)に導入した
。このピペットに、ゲルの高さがピペットの最上部から1cmにて安定するまで、
ゲル懸濁液を満たした。次いで、20mlの平衡化緩衝溶液(10mMトリスHCl、pH7.4
、20mMNaCl)で、カラムを平衡化した。
【0087】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいた10μl のmRNAを、39μl の
10mM尿素、および5mgのブロモフェノールブルーを60%グリセロール(v/v)に
溶解し、直径0.45μmのフィルターを用いてこの混合物をフィルターに通過させ ることにより、調製しておいた2μlのブルー-グリセロール緩衝溶液と混合した
【0088】 カラムに充填した。試料が浸透したら直ぐに平衡化緩衝溶液を加えた。100μl
画分を回収した。mRNAに結合しなかった誘導されたオリゴヌクレオチドは、画分
16およびそれ以降の画分に現れた。画分3〜15を合わせ、エタノールで沈殿させ
た。
【0089】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAをナイロン膜上にスポ
ットし、従来技術を使用して、放射性プローブとハイブリダイズした。これらの
ハイブリダイゼーションに使用した放射性プローブは、誘導されたオリゴヌクレ
オチドに対して抗補体性(anticomplementary)であり、且つ5´末端が32Pで標 識された配列TAATGGTCTCGTGCGAATTCTTGAT(配列番号4)のオリゴデオキシリボヌ
クレオチドであった。誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAの
1/10を、膜上に2つのスポットとしてスポットし、プローブのハイブリダイゼ ーション後、オートラジオグラフィーにより、その膜を可視化した。シグナルが
観察され、誘導されたオリゴヌクレオチドがmRNAに連結されていたことがわかっ
た。
【0090】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAの残りの9/10を、次 の通りに逆転写した。製造会社の説明書に従って、逆転写酵素を用いて逆転写反
応を実施した。反応を開始するために、ランダム配列を有する50 pmolのノナマ ーを使用した。
【0091】 このようにして得られたcDNAの一部を、従来の方法を使用して、正に帯電した
ナイロン膜上にスポットした。RNAを除去するためにcDNA:RNAヘテロ二本鎖をア
ルカリ加水分解に供した後、このcDNAを膜上にスポットした。誘導されたオリゴ
ヌクレオチドと同じ配列を有するオリゴヌクレオチドの5'末端を32Pで標識し、 従来技術を使用して、cDNAブロットとハイブリダイズした。逆転写反応により生
じた一本鎖cDNAを、膜上にスポットした。対照として、ブロットは、誘導された
オリゴヌクレオチドの配列に同一の配列の対照オリゴデオキシリボヌクレオチド
を、それぞれ、1pmol、100 fmol、50 fmol、10 fmolおよび1fmol含んでいた。
cDNAを含むスポットで確認されたシグナルから、約15 fmolの誘導されたオリゴ ヌクレオチドが逆転写されていたことがわかった。
【0092】 以上の結果から、キャップを介して逆転写を実施できること、および、特に、
逆転写酵素は、真核生物のメッセンジャーRNAのキャップの5´‐P‐P‐P-5´結 合を横切ることがわかる。
【0093】 上記の第1鎖合成後に得られた一本鎖DNAを、PCR反応用の鋳型として使用した
。2つのタイプの反応を実施した。第1に、下記のオリゴデオキシリボヌクレオ
チドプライマー対を使用して、αグロビン、デヒドロゲナーゼ、pp15および延長
因子E4に関するmRNAの特異的増幅を実施した。 α-グロビン GLO-S:CCG ACA AGA CCA ACG TCA AGG CCG C(配列番号5) GLO-As:TCA CCA GCA GGC AGT GGC TTA GGA G 3´(配列番号6) デヒドロゲナーゼ 3DH-S:AGT GAT TCC TGC TAC TTT GGA TGG C(配列番号7) 3DH-As:GCT TGG TCT TGT TCT GGA GTT TAG A(配列番号8) pp15 PP15-S:TCC AGA ATG GGA GAC AAG CCA ATT T(配列番号9) PP15-As:AGG GAG GAG GAA ACA GCG TGA GTC C(配列番号10) 延長因子E4 EFA1-S:ATG GGA AAG GAA AAG ACT CAT ATC A(配列番号11) EF1A-As:AGC AGC AAC AAT CAG GAC AGC ACA G(配列番号12)
【0094】 上述の対のアンチセンス( As)オリゴデオキシリボヌクレオチドおよび誘導
されたオリゴデオキシリボヌクレオチド(ATCAAGAATTCGCACGAGACCATTA)(配列 番号13)の配列から選択されたプライマーを用いて、非特異的増幅も実施した。
【0095】 逆転写のPCR産物に対応する下記の試料を含む1.5%アガロースゲルを、臭化エ
チジウムで染色した。(逆転写生成物の1/20を各PCR反応に使用した)。
【0096】 試料1:cDNAの存在下で、配列番号5および6のグロビンプライマーを使用し
たPCR反応の生成物。 試料2:添加したcDNAの非存在下で、配列番号5および6のグロビンプライマ
ーを使用したPCR反応の生成物。 試料3:cDNAの存在下で、配列番号7および8のデヒドロゲナーゼプライマー
を使用したPCR反応の生成物。 試料4:添加したcDNAの非存在下で、配列番号7および8のデヒドロゲナーゼ
プライマーを使用したPCR反応の生成物。 試料5:cDNAの存在下で、配列番号9および10のpp15プライマーを使用したPC
R反応の生成物。 試料6:添加したcDNAの非存在下で、配列番号9および10のpp15プライマーを
使用したPCR反応の生成物。 試料7:添加したcDNAの存在下で、配列番号11および12のEIE4プライマーを使
用したPCR反応の生成物。 試料8:添加したcDNAの非存在下で、配列番号11および12のEIE4プライマーを
使用したPCR反応の生成物。
【0097】 試料1、3、5および7の場合、予期したサイズのPCR産物のバンドが確認さ れ、対応する配列がcDNA集団に存在することがわかった。
【0098】 グロビンおよびデヒドロゲナーゼプライマー(配列番号6および8)のアンチ
センスオリゴヌクレオチドおよび誘導されたオリゴヌクレオチドの配列に対応す
る配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCR反応も実施した。上記の試料1 および3に対応する試料中に、予期したサイズのPCR産物が存在することから、 誘導されたオリゴヌクレオチドが組み込まれていたことがわかった。
【0099】 上記の実施例は、完全な5'末端を有するmRNAを富化させる化学的方法の概要で
ある。完全な5'末端を有するmRNAを得るための化学的アプローチに関するさらな
る詳細は、1996年11月7日に公開された国際出願WO96/34981に開示されている 。
【0100】 5'キャップ構造に対する上記の化学的修飾に基づいた方法を利用して、cDNAが
誘導されるmRNAの5'末端を含むように選択されたcDNAを生成することが可能であ
る。このような方法の1つのバージョンでは、上述の通りに、mRNAの5'末端を修
飾する。その後、逆転写反応を実施して、mRNAに相補的なプライマーをmRNAの5'
末端まで伸長する。mRNAが完全な5'末端を含むcDNA/mRNAヘテロ二本鎖の集団を
得るために、一本鎖RNAを除去する。このようにして得られたヘテロ二本鎖を、m
RNAの5´末端を誘導するのに使用した分子と相互に作用することができる分子で
被覆した固相上に捕捉することが可能である。その後、ヘテロ二本鎖の鎖を分離
して、mRNAの5'末端を含む一本鎖の第1のcDNA鎖を回収する。次いで、従来技術
を使用して、第2鎖cDNA合成を続行することが可能である。たとえば、WO96/34
981またはCarninci, P.ら、High-Efficiency Full-Length cDNA Cloning by Bio
tinylated CAP Trapper. Genomics 37:327-336 (1996)に開示されている方法を 使用して、mRNAのコード配列の5'末端から誘導される配列を含むcDNAを選択する
ことが可能である。
【0101】 オリゴヌクレオチドタグをmRNAの5'キャップに連結した後、逆転写反応を実施
して、mRNAに相補的なプライマーをmRNAの5'末端まで伸長する。このようにして
得られたヘテロ二本鎖のRNA成分を、標準技術を使用して除去した後、オリゴヌ クレオチドタグに相補的なプライマーを用いて、第2鎖cDNA合成を実施する。
【0102】 図1では、cDNAの起源であるmRNAの5'末端を含むように選択されたcDNAを得る
ための上記手順をまとめている。
【0103】 B.完全な5´末端を有するmRNAを得るための酵素的方法 cDNAの起源であるmRNAの5''末端まで伸びるcDNAを選択するための他の技術は 、完全に酵素的である。Dumas Milne-Edwards J.B. (Doctoral Thesis of Pari
s VI University, Le clonage des ADNc complets: difficultes et perspectiv
es nouvelles. Apports pour l'etude de la regulation de l'expression de
la tryptophane hydroxylase de rat, 20 Dec. 1993)、欧州特許第625572号お よびKatoら、Construction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene 150:243-
250 (1994)には、これらの技術の幾つかのバージョンが開示されている。
【0104】 簡単に記載すると、このようなアプローチでは、単離されたmRNAをアルカリホ
スファターゼで処理して、非キャップ不完全mRNAの5'末端上に存在するリン酸基
を除去する。この方法に従って、T4ヌクレオチドキナーゼまたはタバコ酸性ピロ
ホスファターゼのような脱キャップ酵素を用いて、全長mRNA上に存在するキャッ
プを酵素的に除去する。次いで、3'末端にRNAを有する、DNAオリゴヌクレオチド
またはDNA-RNAハイブリッドオリゴヌクレオチドのいずれであってもよいオリゴ ヌクレオチドを、T4 RNAリガーゼを使用して、脱キャップしたmRNAの5'末端に存
在するホスフェートに連結する。オリゴヌクレオチドは、合成後のcDNAのクロー
ニングを促進するために、制限部位を含んでもよい。下記実施例12に、Dumasの 博士論文に基づく1つの酵素的方法を説明する。
【0105】 (実施例12) 5'ESTを得るための酵素的アプローチ 仔ウシ腸ホスファターゼ(Calf Intestinal Phosphatase)(Biolabs)を使用し
て、20μgのPolyA+RNAを脱リン酸化した。フェノールクロロホルム抽出後、タバ
コ酸性ピロホスファターゼ(Tobacco Acid Pyrophosphatase)(Shinshiら、Bioch
emistry15:2185-2190, 1976に記載の通りに精製された)を使用してmRNAのキャ
ップ構造を加水分解し、T4 RNAリガーゼ(Biolabs)を使用して、非リン酸化5' 末端、3'末端にアデノシンリボホスフェートのストレッチおよび5'末端付近にEc
oRI部位を有するヘミ5'DNA/RNA-3'オリゴヌクレオチドを、mRNAの5'P末端に連 結した。この方法で使用するのに適したオリゴヌクレオチドは、好ましくは、30
〜50塩基の長さである。蛍光色素を5'末端に付加することにより、非リン酸化5'
末端を有するオリゴヌクレオチドを合成することができる。オリゴヌクレオチド
の3'末端にアデノシンリボホスフェートのストレッチを含めると、連結効率が上
昇する。オリゴヌクレオチドは、EcoRI以外のクローニング部位を含んでもよい ことが理解されるであろう。
【0106】 オリゴヌクレオチドを、脱キャップしたmRNAの5'末端に存在するホスフェート
に連結した後、従来の方法、または欧州特許第625,572号およびKatoら、Constru
ction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene 150:243-250 (1994)、および
Dumas Milne-Edwards(前出)に明記されている方法を使用して、第1の鎖およ び第2の鎖のcDNA合成を実施することが可能である。次いで、このようにして得
られたcDNAを、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d Ed.,
Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載されているような技術を
使用して、Katoら、Construction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene 15
0:243-250(1994)に記載されているようなベクターまたは当業者に周知の他の 核酸ベクターに連結することが可能である。
【0107】 II.5'ESTの特性化 完全な5'末端を有するmRNAを富化するための上記化学的アプローチおよび酵素
的アプローチを使用して、5´ESTを得た。以下の実施例13に記載の通り、先ず、
mRNAを調製した。
【0108】 (実施例13) mRNAの調製 29の異なる組織から誘導された全ヒトRNAまたはPolyA+RNAを、それぞれ、LABI
MOおよびCLONTECHから購入し、下記の通りに、44種のcDNAライブラリーを作成す
るのに使用した。購入したRNAは、酸グアニジウムチオシアネート-フェノール- クロロホルム抽出(Chomczyniski, PおよびSacchi, N., Analytical Biochemist
ry 162:156-159, 1987)を使用して、細胞または組織から単離されていた。Avi
vおよびLeder(Aviv, H.およびLeder, P., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:14
08-1412, 1972)により記載されている通りに、リボソームRNAを除去するために
、オリゴdTクロマトグラフィーに2回通過させることにより、PolyA+RNAを全RNA (LABIMO)から単離した。
【0109】 polyA+の質および完全性を確認した。グロビンプローブとハイブリダイズした
ノーザンブロットを使用して、mRNAが分解されていないことを確認した。RNAブ ロットおよび28S RNAの配列から誘導されたプローブを使用して、リボソーム配 列によるPolyA+mRNAの汚染を確認した。リボソームRNAが5%未満のmRNA調製品 を、ライブラリーの構築に使用した。外因性配列(原核生物または菌類の)によ
って汚染されたRNAでライブラリーを構築することを回避するために、PCRを使用
して、細菌の16Sリボソームの配列または2つの高度に発現されるmRNAの存在を 試験した。
【0110】 mRNAの調製後、上で検討した完全な5´末端を有するmRNAを富化するための上 記化学的および/または酵素的方法を使用して、様々な組織から5´ESTを得た。
両アプローチで、オリゴヌクレオチドタグを、mRNAの5´末端のキャップに結合 した。オリゴヌクレオチドタグは、その後のクローニング手法を容易にするため
に、EcoRI部位を中に有していた。
【0111】 化学的方法または酵素的方法のいずれかによってオリゴヌクレオチドタグをmR
NAに結合した後、オリゴヌクレオチドタグに相補的なプローブを使用して、200 〜500ngのmRNAを用いてノーザンブロットを実施することにより、mRNAの完全性 を試験した。
【0112】 (実施例14) 完全な5´末端を有するmRNA鋳型を使用したcDNA合成 化学的方法および酵素的方法の両者を使用してオリゴヌクレオチドタグに連結
されたmRNAの場合、ランダムノナマーをプライマーとして使用し、逆転写酵素を
用いて第1鎖cDNA合成を実施した。この方法の後のステップにおけるcDNAの内側
EcoRI部位の消化を防止するために、メチル化dCTPを第1の鎖の合成に使用した 。アルカリ加水分解でRNAを除去した後、残留プライマーを除去するために、イ ソプロパノールを使用して、cDNAの第1の鎖を沈殿させた。
【0113】 化学的方法の場合も酵素的方法の場合も、実施例12に記載の連結されたオリゴ
ヌクレオチドの5'末端に対応するプライマーを使用し、Klenowを用いて、cDNAの
第2の鎖を合成した。好ましくは、プライマーは、20〜25塩基の長さである。cD
NAの内側EcoRI部位がクローニング工程中に消化されないように、メチル化dCTP を第2の鎖合成にも使用した。
【0114】 cDNA合成後、cDNAを、以下の実施例15に記載されているpBlueScriptにクローニ ングした。 (実施例15) cDNAのBlueScriptへの挿入 第2の鎖合成後、cDNAの末端をT4 DNAポリメラーゼ(Biolabs)で平滑化し、c
DNAをEcoRIで消化した。cDNA合成中にメチル化dCTPを使用したため、タグに存在
するEcoRI部位は、ヘミメチル化された部位のみであった。したがって、オリゴ ヌクレオチドタグのEcoRI部位のみが、EcoRI消化を受けやすかった。次いで、排
除クロマトグラフィー(AcA, Biosepra)を使用して、cDNAをサイズ分画した。1
50 bpより長いcDNAに対応する画分をプールし、エタノール沈殿させた。ファー ジミドpBlueScriptベクター(Stratagene)のSmaI末端およびEcoRI末端に、cDNA
を指向的にクローニングした。連結混合物を細菌内にエレクトロポレートし、適
当な抗生物質選択下で増殖させた。
【0115】 以下の実施例16に記載の通り、結合したオリゴヌクレオチドタグを含むクロー
ンを選択した。 (実施例16) オリゴヌクレオチドタグが結合したクローンの選択 上述の通りに作成した5'ESTライブラリーを含むプラスミドDNAを精製した(Qi
agen)。次の通りに、タグ付クローンのポジティブ選択を実施した。簡単に記載
すると、この選択方法では、ファージF1の遺伝子IIエンドヌクレアーゼと、エキ
ソヌクレアーゼIIIやT7遺伝子6エキソヌクレアーゼのようなエキソヌクレアーゼ
とを併用して、プラスミドDNAを一本鎖DNAに変換した(Changら、Gene 127:95-8
,(1993))。次いで、このようにして得られた一本鎖DNAを、Fryら、Biotechni
ques, 13: 124-131(1992)により記載されているような常磁性ビーズを使用し
て、精製した。この方法では、一本鎖DNAを、実施例13に記載のオリゴヌクレオ チドの3'末端に対応する配列を有するビオチニル化オリゴヌクレオチドとハイブ
リダイズさせた。プライマーは、20〜25塩基の長さを有することが好ましい。ス
トレプトアビジン被覆磁気ビーズとインキュベーションした後、磁気的に選択す
ることにより、ビオチニル化オリゴヌクレオチドに相補的な配列を含むクローン
を捕捉した。陽性クローンの捕捉後、プラスミドDNAを磁気ビーズから放出させ 、Amersham Pharmacia Biotechから得られるThermoSequenaseのようなDNAポリメ
ラーゼを使用して、二本鎖DNAに変換した。あるいは、Gene Trapperキット(Gib
coBRL)のようなプロトコールを使用してもよい。次いで、二本鎖DNAを細菌内に
エレクトロポレートした。5'タグオリゴヌクレオチドを有する陽性クローンの百
分率は、ドットブロット分析を使用して、典型的に90〜98%の範囲にあると評価
した。
【0116】 エレクトロポレーション後、このライブラリーを384マイクロタイタープレー ト(MTP)に並べた。さらなる必要性に備えて、AMTPのコピーを記憶した。次い で、このライブラリーを96MTPにトランスファーし、下記の通りに配列決定した 。
【0117】 (実施例17) 選択されたクローン中の挿入物の配列決定 標準SETA-AプライマーおよびSETA-Bプライマー(Genset SA)、AmpliTaqGold (Perkin-Elmer)、dNTP(Boehringer)、緩衝溶液およびPerkin-Elmer Corpora
tionが推奨するサイクリング条件を使用して、PE9600サーモサイクラー(Perkin
-Elmer)を用いたPCRにより、先ず、プラスミド挿入物を増幅した。 次いで、自動ABI Prism 377シークエンサー(Perkin Elmer, Applied Biosyst
ems Division, Foster City, CA)を使用して、PCR産物を配列決定した。PE9600
サーモサイクラー(Perkin Elmer)と共に、標準染料-プライマー化学薬品およ びThermoSequenase(Amersham Life Science)を使用してシークエンシング反応
を実施した。使用したプライマーは、適宜、T7または21M13(Genset SAから入手
可能)のいずれかであった。プライマーを、JOE、FAM、ROXおよびTAMRA染料で標
識した。シークエンシング反応で使用したdNTPおよびddNTPは、Boehringerから 購入した。シークエンシング緩衝溶液、試薬濃度およびサイクリング条件は、Am
ershamが推奨した通りであった。
【0118】 シークエンシング反応後、試料をEtOHで沈殿させ、ホルムアミドローディング
緩衝溶液に再懸濁し、標準4%アクリルアミドゲルにローディングした。ABI 3
77シークエンサーを用いて、3000Vで2.5時間、電気泳動を実施し、配列データを
収集し、ABI Prism DNA Sequencing Analysis Software, version 2.1.2を使用 して分析した。
【0119】 上述の通りに作成した44種のcDNAライブラリーの配列データを、独自に開発し
たデータベースに転送し、そこで、品質管理および検認ステップを実施した。独
自に開発した塩基コーラー(base-caller)(「Trace」)は、Unixシステムを使
用して作動し、ピークの形状、ピーク間分離、およびノイズレベルを考慮に入れ
て、疑わしいピークに自動的に付箋をつけた。この独自に開発した塩基コーラー
は、自動トリミングも実施した。4個より多い疑わしいピークを有する、25個以
下の塩基のストレッチは、信頼できないと考えて除外した。クローニングベクタ
ーまたは連結オリゴヌクレオチドに対応する配列を、EST配列から自動的に除去 した。しかし、このようにして得られるEST配列は、上記の配列に属する1〜5 個の塩基を、5´末端に含んでもよい。必要であれば、これらを、個々別々に、 容易に除去することができる。
【0120】 その後、その配列を、下記の通りにさらに分析するために、独自に開発したNE
TGENETMデータベースに転送した。
【0121】 上述の通りに配列決定した後、記憶および操作のために、5'ESTの配列を、独 自に開発したNETGENETMと呼ばれるデータベースに入力した。コンピュータで読 み取ってアクセスすることができる任意の媒体で、データを記憶し、且つ操作で
きることは、当業者に理解されるであろう。コンピュータ読取可能媒体としては
、磁気的読取可能媒体、光学的読取可能媒体、または電子的読取可能媒体が挙げ
られる。たとえば、コンピュータ読取可能媒体は、ハードディスク、フロッピー
ディスク、磁気テープ、CD-ROM、RAM、またはROM、ならびに当業者に周知の他の
タイプの他の媒体であってもよい。
【0122】 さらに、配列データを、様々なデータプロセッサプログラムで様々なフォーマ
ットに記憶し、操作することができる。たとえば、Microsoft WORDやWORDPERFEC
Tのような、ワードプロセッシングファイルにおけるテキストとして、あるいは 、DB2、SYBASE、またはORACLEのような、当業者に周知の様々なデータベースプ ログラムにおけるASCIIファイルとして、配列データを記憶することができる。
【0123】 配列情報が記憶されるコンピュータ読取可能媒体は、パーソナルコンピュータ
、ネットワーク、サーバーまたは当業者に周知の他のコンピュータシステムであ
ってもよい。コンピュータまたは他のシステムは、上述の記憶媒体、および配列
データにアクセスし、且つそれを操作するためのプロセッサを含むことが好まし
い。
【0124】 いったん、配列データが記憶されると、その後は、操作したり、所望の核酸配
列を含むか特定の機能的ドメインを有するタンパク質をコードする、記憶された
配列の場所を特定するために検索したりすることが可能である。たとえば、記憶
された配列情報を他の既知の配列と比較して、相同性、生物学的機能に関係して
いるモチーフ、または構造モチーフを同定することが可能である。
【0125】 記憶された配列を検索または比較するのに使用できるプログラムとしては、Ma
cPattern(EMBL)、BLAST、およびBLAST2プログラムシリーズ(NCBI)、ヌクレ オチド(BLASTN)およびペプチド(BLASTX)比較用の基本的な局所的アラインメ
ント検索ツールプログラム(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403(1990))およ びFASTA(PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444 (19
88))などがある。BLASTプログラムは、次に、規定されたマッチおよび非ミス マッチ基準に基づいて、アラインメントを伸長する。
【0126】 上記プログラムを使用して検出することが可能なモチーフとしては、ロイシン
ジッパーをコードする配列、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、グリコシ
ル化部位、ユビキチン化部位、αヘリックス、およびβシート、コードされたタ
ンパク質の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグナル配列、ホメオ
ボックスのような転写調節に関係している配列、酸性ストレッチ、酵素的活性部
位、基質結合部位、および酵素的切断部位などがある
【0127】 NETGENETMデータベースでcDNAを目的の配列モチーフについて検索する前に、 目的物以外のmRNAから誘導されるcDNAを同定し、以下の実施例18に記載の通り、
さらなる考察から除去した。 (実施例18) 望まれていない配列のさらなる考察からの除去 望まれていない配列、たとえば、トランスファーRNA、リボソームRNA、ミトコ
ンドリアRNA、原核生物RNA、菌類RNA、Alu配列、L1配列、または反復配列から誘
導された、NETGENETMデータベースの5'ESTを、FASTAプログラムおよびBLASTNプ ログラムと表2に記載のパラメータを使用して同定した。
【0128】 tRNAをコードする5'ESTをさらなる考察から除去するために、5'EST配列を、EM
BLリリース38から得られた1190の既知のtRNAの配列と比較した(そのうち100は ヒトであった)。FASTAを使用して、5'ESTの両鎖を対象に、比較を実施した。60
を超えるヌクレオチドについて80%を上回る相同性を有する配列をtRNAであると
同定した。スクリーニングした144,341配列のうち、26配列がtRNAとして同定さ れ、さらなる考察から除去された。
【0129】 rRNAをコードする5'ESTをさらなる考察から除去するために、5'EST配列を、EM
BLリリース38から得られた2497の既知のrRNAの配列と比較した(そのうち73はヒ
トであった)。BLASTNを使用して、パラメータS=108を有する5'ESTの両鎖を対象
に、比較を実施した。40ヌクレオチドより長いストレッチについて80%を上回る
相同性を有する配列をrRNAとして同定した。スクリーニングした144,341配列の うち、3,312配列がrRNAとして同定され、さらなる考察から除去された。
【0130】 mtRNAをコードする5'ESTをさらなる考察から除去するために、ゲノム配列全体
を入手できる2種の既知のミトコンドリアゲノムの配列、ならびにtRNA、rRNA、
およびmRNAを含む、これらのミトコンドリアゲノムから転写された合計38配列の
全ての配列と、5'EST配列を比較した。BLASTNを使用して、パラメータS=108を有
する5'ESTの両鎖を対象に、比較を実施した。40ヌクレオチドより長いストレッ チについて80%を上回る相同性を有する配列をmtRNAとして同定した。スクリー ニングした144,341配列のうち、6,110配列がmtRNAとして同定され、さらなる考 察から除去された。
【0131】 BLASTNとパラメータS=144を使用して、5'EST配列をEMBL細菌門および菌門のリ
リース46と比較することにより、外因性汚染が原因であった可能性のある配列を
、さらなる考察から除外した。少なくとも40ヌクレオチドについて90%を上回る
相同性を有する全ての配列を、外因性汚染であると同定した。試験した42種のcD
NAライブラリーのうち、中に含まれる原核生物配列および菌類配列の平均百分率
は、それぞれ、0.2%および0.5%であった。これらの配列の中で、1配列のみを
、菌類特異的配列として同定することができた。その他は、脊椎動物配列との相
同性を有するか、または電子的比較中に除かれなかった反復配列を含む、菌類配
列または原核生物配列のいずれかであった。
【0132】 さらに、このような反復配列を含む5'ESTをさらなる考察から除くために、5'E
STを、6093のAlu配列および1115のL1配列と比較した。THE反復およびMER反復、S
STR配列またはサテライト、マイクロサテライト、またはテロメア反復を含む5'E
STも、さらなる考察から除去した。平均で、ライブラリーの配列の11.5%が反復
配列を含んでいた。この11.5%のうち、7%がAlu反復を含み、3.3%がL1反復を 含み、残りの1.2%は、スクリーニングした他のタイプの繰り返し配列に由来し ていた。これらの百分率は、他のグループにより調製されたcDNAライブラリーで
確認されたものと一致している。たとえば、AdamsらのcDNAライブラリーは、cDN
Aライブラリーを調製するのに使用されたRNAの起源によって、0%〜7.4%の間の
Alu反復を含んでいた。(Adamsら、Nature 377:174, 1996)。
【0133】 上記の配列決定方法の確度を決定するために、望ましくない配列の除去後に残
る5´ ESTの配列を、既知のヒトmRNAの配列と比較した。
【0134】 (実施例19) 既知の配列との比較による配列決定確度の測定 上記配列決定方法の確度をさらに決定するために、既知の配列から誘導された
5´ ESTの配列を同定し、既知の配列と比較した。先ず、両末端の5bpより短い 突出を用いたFASTA分析を、5'ESTを対象に実施して、公的ヒトmRNAデータベース
における記載事項と一致するものを同定した。次いで、既知のヒトmRNAと一致し
た6655の5'ESTを、それらのコグネイトmRNAと共に再アラインメントし、動的プ ログラミングを使用して、認識されるであろう「エラー」のリストに置換、挿入
および欠失を含めた。配列決定確度の分析に擬似クローニング部位が含まれない
ために、5'EST配列の最後の10塩基に存在するエラーを無視した。
【0135】 この分析で、NETGENETMデータベースに組み入れられた配列は、99.5%を上回 る確度を有することが明らかになった。
【0136】 上記選択方法が、対応するmRNAの5´末端を含むcDNAを選択する効率を決定す るために、下記の分析を実施した。
【0137】 (実施例20) 5'EST選択の効率の決定 5'ESTの起源である、mRNAの5'末端に近い配列を含む5'ESTを上記手法で単離し
た効率を決定するために、延長因子1サブユニットαおよびフェリチン重鎖遺伝 子から誘導された5'ESTの末端の配列を、これらの遺伝子について、既知のcDNA 配列と比較した。延長因子1サブユニットαおよびフェリチン重鎖の転写開始部 位は十分に特性化されているため、これらを使用して、真の転写開始部位を含む
これらの遺伝子から誘導された5'ESTの百分率を決定することが可能である。
【0138】 両遺伝子ともに、95%を超えるcDNAが、対応するmRNAの5'末端に近い、または
5'末端より上流の、配列を含んでいた。
【0139】 NETGENETMデータベースに含まれるESTから5'ESTを単離する方法の信頼性の分 析を拡大するために、比較用のGenBankデータベースリリース97から抽出したヒ トmRNA配列から成るデータベースを使用して、同様の分析を実施した。GeneBank
データベースに含まれる、mRNAから誘導された5'ESTの場合、その85%超が、既 知の配列の5'末端に近い5'末端を有していた。GenBankデータベースで入手でき るmRNA配列の一部は、ゲノムの配列から推定されるため、これらの配列と一致す
る5'末端を、内部一致として数える。したがって、ここで使用される方法では、
対応するmRNAの真の5'末端を含むESTの収率が過少評価される。
【0140】 上で作成したESTライブラリーは、同じmRNAから誘導される多数の5'ESTを含ん
でいた。このような5'ESTの配列を互いに比較し、各mRNAの最長5'ESTを同定した
。重複cDNAで連続配列(コンティグ(contig))を組み立てた。次いで、以下の
実施例21に記載の通り、このようにして得られた連続配列を、公的データベース
と比較し、既知の配列との類似性を測定した。
【0141】 (実施例21) 5'ESTのクラスター化およびcDNAライブラリーの新規性指数の算出 配列決定された各ESTライブラリーについて、5'末端により、その配列をクラ スター化した。BLASTN2(直鎖、パラメータS=107)を用いて、ライブラリーの各
配列を他と比較した。95%同じ塩基を有し且つ各EST 5'末端から10bpより近くか
ら開始する、少なくとも25 bp長の高得点セグメント対(High Scoring Segment
Pairs)(HSP)を有するESTを一団にした。クラスター内に存在する最長配列を 、クラスターの代表として使用した。次いで、スーパーコンティグの定義につな
がる、ライブラリー間の包括的クラスター化を実施した。
【0142】 ESTライブラリー内の新規配列の収率を評価するために、新規性率(NR)を次 のように定義する: NR= 100×(ライブラリー内に存在する新しい独特の配列数
/ライブラリーの配列総数)。一般に、新規性率は、ESTライブラリーを得た組 織によって、10%〜41%の範囲である。ライブラリーの大部分について、新規性
率が20%に達するまで、5´ ESTライブラリーのランダム配列決定を遂行した。
【0143】 上述の通りに特性化した後、以下の実施例22に記載の通りに、潜在的シグナル
配列を担持する5'ESTを同定するために、NETGENETM内の5'ESTのコレクションを スクリーニングした。
【0144】 (実施例22) 5'EST中の潜在的シグナル配列の同定 ATGコドンで開始し、且つESTの末端まで伸びる45ヌクレオチドより長い連続し
たオープンリーディングフレーム(ORF)を有する5'ESTを同定するために、NETG
ENETMデータベース中の5'ESTをスクリーニングした。NETGENETM内のcDNA配列の ほぼ半分がこのようなORFを含んでいた。これらの5'ESTのORFを検索し、Von Hei
jne, G. A New Method for Predicting Signal Sequence Cleavage Sites. Nucl
eic Acids Res.14:4683-4690(1986)に開示されている手法を若干改変して使用
して、潜在的シグナルモチーフを同定した。Von Heijneシグナルペプチド同定マ
トリックスで少なくとも3.5の得点であった、15アミノ酸長のストレッチをコー ドする5'EST配列を、シグナル配列を有すると考えた。既知のヒトmRNAまたはEST
配列と一致し、且つ既知の5'末端から20ヌクレオチドよりも下流に5'末端を有す
る5'ESTを、さらなる分析から除外した。シグナル配列を中に有する残りのcDNA を、SIGNALTAGTMと呼ばれるデータベースに含めた。
【0145】 シグナル配列を同定するための上記方法の確度を確認するために、実施例23の
分析を実施した。 (実施例23) 5'EST中の潜在的シグナル配列の同定確度の確認 シグナルペプチドをコードするシグナル配列を同定するための上記方法を全ヒ
トSwissProtタンパク質の43アミノ末端のアミノ酸に使用することによって、同 方法の確度を評価した。コンピュータ処理した各タンパク質のVon Heijne得点を
、分泌タンパク質または非分泌タンパク質であるタンパク質の既知の特性化と比
較した。この方式で、3.5より高い得点を有する非分泌タンパク質(擬陽性)の 数および3.5より低い得点を有する分泌タンパク質(擬陰性)の数を算出するこ とができる。
【0146】 分析の結果を使用して、mRNAの5'領域によりコードされるペプチドが、実際に
Von Heijneの得点に基づいた真正のシグナルペプチドである確率を、ヒトタンパ
ク質の10%が分泌されるという仮定またはヒトタンパク質の20%が分泌されると
いう仮定のいずれかに基づいて、算出した。この分析結果を図2および図3に示
す。
【0147】 分泌タンパク質を同定する上記方法を使用して、ヒトグルカゴン、γインター
フェロン誘導性モノカイン前駆体、分泌されたシクロフィリン様タンパク質、ヒ
トプレイオトロピン、およびヒトビオチニダーゼ前駆体(その全てが分泌される
ことが判明しているポリペプチドである)の5'ESTが得られた。このように、上 記方法は、シグナルペプチドをコードする5'ESTを首尾よく同定した。
【0148】 5'ESTによりコードされるシグナルペプチドが、シグナルペプチドとして実際 に機能することを確認するために、5'ESTのシグナル配列を、シグナルペプチド の同定用に設計されたベクターにクローニングしてもよい。数種のシグナルペプ
チド同定用ベクターは、ベクター中に作動可能に挿入されたシグナル配列を有す
る宿主細胞上に選択的培地中で増殖する能力を与えるように設計されている。た
とえば、5'ESTのシグナル配列を、米国特許第5,536,637号に記載されているもの
のような、シグナルペプチド選択ベクター内の非分泌型酵母インベルターゼ遺伝
子の上流に且つインフレームに挿入して、5'ESTが真正のシグナルペプチドをコ ードすることを確認することが可能である。中に挿入された5'ESTに由来するシ グナル配列を有するシグナル配列選択ベクターを含む宿主細胞が増殖することに
より、5'ESTが真正のシグナルペプチドをコードすることが確認される。
【0149】 あるいは、ESTを使用して得られた伸長cDNAを、(下記の)pXT1のような発現 ベクターにクローニングすることによって、あるいは、シグナルペプチドとアッ
セイ可能なレポータータンパク質との間の融合タンパク質をコードするプロモー
ター-シグナル配列-レポーター遺伝子ベクターを構築することによって、シグナ
ルペプチドの存在を確認することができる。これらのベクターを、適当な宿主細
胞、たとえば、COS細胞やNIH 3T3細胞に導入した後、増殖培地を収穫し、分泌タ
ンパク質の存在について分析することが可能である。機能的シグナルペプチドま
たは真の分泌タンパク質をコードするベクターを同定するために、これらの細胞
からの培地を、シグナル配列または伸長cDNA挿入物が欠如したベクターを含む細
胞からの培地と比較する。
【0150】 上記実施例22の方法で決定された、シグナルペプチドをコードした5'ESTを、 それらの既知の配列との相同性に基づいて、さらに4つのカテゴリーに分類した
。以下の実施例24に、5'ESTの分類について説明する。
【0151】 (実施例24) シグナルペプチドをコードする5'ESTの分類 既知の脊椎動物配列のいずれとも、公的に入手可能なEST配列のいずれとも一 致しない配列を有する5'ESTを、「new」と明示した。SIGNALTAGTMデータベース 中の配列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する947の5'ESTが 、このカテゴリーに分類された。 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、公的に知られるESTと一致する配列 を有する5'ESTを、「EST-ext」と明示したが、但し、既知のEST配列は、5'方向 に少なくとも40ヌクレオチド伸長されていた。SIGNALTAGTMデータベース中の配 列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する150の5´ ESTが、こ のカテゴリーに分類された。
【0152】 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、既知のESTを5'方向に少なくとも40 ヌクレオチド伸長していない公的に知られるESTと一致する5'ESTを、「EST」と 明示した。SIGNALTAGTMデータベース中の配列のうち、少なくとも3.5というVon
Heijneの得点を有する599の5'ESTが、このカテゴリーに分類された。
【0153】 ヒトmRNA配列と一致するが、既知の配列を5'方向に少なくとも40ヌクレオチド
伸長している5'ESTを、「VERT-ext」と明示した。SIGNALTAGTMデータベース中の
配列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する23の5'ESTが、この
カテゴリーに分類された。このカテゴリーに含まれたのは、ヒトトランスロカー
ゼmRNAの既知の配列を、5'方向に200塩基より多く伸長した5'ESTであった。ヒト
腫瘍サプレッサー遺伝子の配列を5'方向に伸長した5'ESTも同定した。
【0154】 図4に、各カテゴリーにおける5'ESTの分布および所与の最小von Heijne得点 を有する各カテゴリー内の5'EST数を示す。
【0155】 以下の実施例25に記載の通り、各5'ESTを、その対応するmRNAを入手した起源 である組織に基づいて分類した。 (実施例25) 発現パターンの分類 図5に、上述の各カテゴリー内の、5'ESTに対応するmRNAを入手した起源であ る組織を示す。
【0156】 5´ ESTが初めて同定されたcDNAライブラリーが得られた起源である組織によ る5´ ESTの分類に加えて、以下の実施例26に記載の通りに、5'ESTに対応するmR
NAの空間的発現パターンおよび時間的発現パターン、ならびにそれらの発現レベ
ルを決定することが可能である。さらに詳細に後述する通り、これらのmRNAの空
間的発現パターン、時間的発現パターンおよび発現レベルの特性化は、所望の空
間的または時間的方式で、所望のレベルの遺伝子産物を産生することができる発
現ベクターを構築するのに有用である。
【0157】 さらに、対応するmRNAが疾患状態と関連のある5'ESTを同定することも可能で ある。たとえば、ある特定の疾患は、5'ESTに対応するmRNAの発現の欠如、過剰 発現、または過少発現に起因する可能性がある。健康な個体から採取した試料に
おけるmRNA発現パターンおよび量を、特定の疾患に罹っている個体のものと比較
することによって、疾患の原因である5'ESTを同定することが可能である。
【0158】 上記5'ESTの特性化方法の結果は、(下記の通りに得られる)5'ESTに隣接する
配列を含む伸長cDNAにも当てはまることが十分に理解されるであろう。ESTその ものを特性化するよりむしろ、伸長cDNAが得られるまで特性化を延期したい場合
、伸長cDNAを単離した後、上記特性化方法をその特性化に適用できることも理解
されるであろう。
【0159】 (実施例26) 5'ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの発現レベルおよび発現パターンの評価 5'ESTまたは(下記の通りに得られる)伸長cDNAに対応するmRNAの発現レベル および発現パターンを、国際特許出願第WO97/05277号に記載されているような 長いプローブとの溶液ハイブリダイゼーションで、分析することが可能である。
簡単に記載すると、特性化すべきmRNAをコードする遺伝子に対応する5'EST、伸 長cDNA、またはそれらのフラグメントを、バクテリオファージ(T3、T7またはSP
6)RNAポリメラーゼプロモーターのすぐ下流にあるクローニング部位に挿入して
、アンチセンスRNAを生成する。好ましくは、5'ESTまたは伸長cDNAは、100以上 のヌクレオチドを有する。このプラスミドを線状化し、修飾されたリボヌクレオ
チド(すなわち、ビオチン-UTPおよびDIG-UTP)を含むリボヌクレオチドの存在 下で転写させる。過剰の、この2重に標識されたRNAを、溶液中で、目的の細胞 または組織から単離されたmRNAとハイブリダイズする。標準的なストリンジェン
トな条件(40〜50℃、80%ホルムアミド、0.4 M NaCl緩衝溶液、pH7〜8中で16
時間)で、ハイブリダイゼーションを実施する。一本鎖RNAに特異的なリボヌク レアーゼ(すなわち、RNase CL3、T1、PhyM、U2またはA)で消化することにより
、ハイブリダイズしてないプローブを除去する。ビオチン-UTP修飾が存在すると
、ストレプトアビジンで被覆したマイクロタイトレーションプレート上に、ハイ
ブリッドを捕捉することができる。DIG修飾が存在すると、アルカリホスファタ ーゼに結合した抗DIG抗体を使用したELISAで、ハイブリッドを検出して定量する
ことができる。
【0160】 英国特許出願第2,305,241A号に開示されている通り、5'EST、伸長cDNA、また はそれらのフラグメントに、遺伝子発現の連続分析(SAGE)用のヌクレオチド配
列を付け加えることが可能である。この方法では、遺伝子発現パターンを決定す
ることが望まれる、細胞、組織、生物または他の核酸ソースからcDNAを調製する
。このようにして得られるcDNAを2つのプールに分ける。ほとんどのcDNAに少な
くとも一度は存在すると思われる認識部位を有する「アンカー酵素」と呼ばれる
第1の制限エンドヌクレアーゼを用いて、各プール中のcDNAを切断する。ストレ
プトアビジン被覆ビーズのような捕捉媒体に結合させることによって、切断され
たcDNAのうち5'または3'最多領域を含むフラグメントを単離する。増幅プライマ
ーと「付加エンドヌクレアーゼ(tagging endonuclease)」の内側制限部位とを
ハイブリダイズするための第1配列を有する第1のオリゴヌクレオチドリンカー を、第1のプール内の消化したcDNAに連結する。第2のエンドヌクレアーゼで消
化すると、cDNAから短い「タグ」フラグメントが生成する。
【0161】 増幅プライマーと内側制限部位をハイブリダイズするための第2の配列を有す
る第2のオリゴヌクレオチドを、第2のプール内の消化したcDNAに連結する。第
2のプール内のcDNAから誘導される短い「タグ」フラグメントを生成するために
、第2のプール内のcDNAフラグメントも「付加エンドヌクレアーゼ」で消化する
。第1プールおよび第2プールをアンカー酵素および付加エンドヌクレアーゼで
消化することによって得られる「タグ」を互いに連結して「ジタグ」を生成する
。一部の実施形態において、ジタグを鎖状化して、2〜200のジタグを含む連結 生成物を生成する。次いで、細胞、組織、生物、またはタグが誘導される他の核
酸ソースにおいて、5'ESTまたは伸長cDNAのいずれが発現するかを決定するため に、タグ配列を決定し、5'ESTまたは伸長cDNAの配列と比較する。この方法では 、細胞、組織、生物、または他の核酸ソースにおける5'ESTまたは伸長cDNAの発 現パターンが得られる。
【0162】 アレイを使用して、遺伝子発現の定量分析を実施することも可能である。本明
細書で使用する、用語アレイは、一次元、二次元、または多次元配置の全長cDNA
(すなわち、シグナルペプチドのコード配列、成熟タンパク質のコード配列、お
よび停止コドンを含む伸長cDNA)、全長cDNAの伸長cDNA、5'ESTまたはフラグメ ント、遺伝子発現の特異的検出が可能なほど十分な長さの伸長cDNA、または5'ES
Tを意味する。好ましくは、このフラグメントは、少なくとも15ヌクレオチドの 長さである。さらに好ましくは、このフラグメントは、少なくとも100ヌクレオ チドの長さである。さらに好ましくは、このフラグメントは100ヌクレオチドを 超す長さである。一部の実施形態において、このフラグメントは、500ヌクレオ チドを超す長さであってもよい。
【0163】 たとえば、Schenaら(Science 270:467-470, 1995;Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 93:10614-10619, 1996)により記載されているような相補的DNAマイク
ロアレイにおいて、全長cDNA、伸長cDNA、5'EST、またはそれらのフラグメント を用いて、遺伝子発現の定量分析を実施することができる。全長cDNA、伸長cDNA
、5'ESTまたはそれらのフラグメントをPCRで増幅し、高速ロボットを使用して、
96ウェルマイクロタイタープレートからシリル化した顕微鏡スライド上に並べる
。プリントされたアレイを湿潤なチャンバ−内でインキュベートする。このアレ
イ要素を再水和し、0.2%SDS中で1分間1回、水中で1分間2回および水素化ホ
ウ素ナトリウム溶液中で5分間1回、すすぐ。このアレイを、95℃で2分間、水
中に入れ、0.2%SDSに1分間移し、水で2回すすぎ、風乾して暗所にて、25℃で
保存する。
【0164】 細胞または組織mRNAを単離するか、または商業的に入手し、1ラウンドの逆転
写で、プローブを調製する。14×14mmカバーガラス下の1cm2マイクロアレイに 、60℃で6〜12時間、プローブをハイブリダイズする。低ストリンジェンシー洗
浄用緩衝溶液(1×SSC/0.2%SDS)中、25℃で5分間洗浄し、次いで、高スト リンジェンシー洗浄用緩衝溶液(0.1×SSC/0.2%SDS)中、室温で10分間、アレ
イを洗浄する。特注のフィルターセットを取り付けた蛍光性レーザー走査装置を
使用して、0.1×SSC中でアレイを走査する。2つの独立したハイブリダイゼーシ
ョン率の平均を取ることによって、正確な示差発現測定値が得られる。
【0165】 Pietuら(Genome Research 6:492-503, 1996)に記載されているような相補的
DNAアレイにおいて、全長cDNA、伸長cDNA、5'EST、またはそれらのフラグメント
を用いて、遺伝子の発現の定量分析を実施することもできる。全長cDNA、伸長cD
NA、5'ESTまたはそれらのフラグメントをPCR増幅し、膜上にスポットする。次い
で、様々な組織または細胞に由来するmRNAを放射性ヌクレオチドで標識する。制
御された条件でのハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ハイブリダイズした
mRNAをホスホイメージングまたはオートラジオグラフィーで検出する。二重の実
験を実施し、次いでおよび示差的に発現したmRNAを定量分析する。
【0166】 あるいは、Lockhartら、Nature Biotechnology 14: 1675-1680, 1996およびSo
snowskyら、Proc. Natl. Acad. Sci. 94:1119-1123, 1997により記載されている
通り、高密度ヌクレオチドアレイによって、5'ESTまたは伸長cDNAの発現分析を 実施することができる。5'ESTまたは伸長cDNAの配列に対応する15〜50ヌクレオ チドのオリゴヌクレオチドをチップ上で直接合成する(Lockhartら、前出)か、
合成してからチップに処理する(Sosnowskiら、前出)。オリゴヌクレオチドは 、約20ヌクレオチドの長さが好ましい。
【0167】 適当な化合物、たとえば、ビオチン、ジゴキシゲニンまたは蛍光染料で標識し
たcDNAプローブを、適当なmRNA集団から合成し、次いで、50〜100ヌクレオチド の平均サイズまで、無作為にフラグメント化する。次に、前述のプローブをチッ
プとハイブリダイズする。Lockhartら、(前出)に記載されている通りに洗浄し
、異なる電場を印加した(Sosnowskyら、Proc. Natl. Acad. Sci. 94:1119-112
3)後、染料または標識化合物を検出し、定量する。二重のハイブリダイゼーシ ョンを実施する。異なるcDNA試料中の同一標的オリゴヌクレオチド上のcDNAプロ
ーブに由来するシグナル強度の比較分析から、オリゴヌクレオチド配列が設計さ
れるもととなった5'ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの示差的発現がわかる。
【0168】 III.伸長cDNAのクローニングおよび対応するゲノムDNAのクローニングのための
5'ESTの使用 上述の手法を使用して、いったん、対応するmRNAの5'末端を含む5'ESTを選択 するとその後は、それらを使用して、5'ESTに隣接する配列を含む伸長cDNAを単 離することができる。この伸長cDNAは、真の翻訳開始部位、シグナル配列、およ
びシグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質をコードする配列を含め、対
応するmRNAによりコードされるタンパク質の全コード配列を含有してもよい。こ
のような伸長cDNAを、本明細書で「全長cDNA」と呼ぶ。あるいは、伸長cDNAは、
シグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質をコードする配列のみを含んで
もよく、シグナルペプチドをコードする配列のみを含んでもよい。
【0169】 以下の実施例27に、伸長cDNAを得るための一般的な方法を説明する。以下の実
施例28に、数種の分泌タンパク質に関する全コード配列および対応するmRNAの真
の5´末端を含む伸長cDNAを含む、数種の伸長cDNAのクローニングおよび配列決 定について説明する。
【0170】 実施例27、28、および 29の方法を使用して、5'ESTに対応する遺伝子によりコ
ードされる分泌タンパク質の全コード配列より少ない配列をコードする伸長cDNA
を得ることもできる。一部の実施形態では、これらの方法を使用して単離される
伸長cDNAは、配列番号40〜84および130〜154の配列によってコードされるタンパ
ク質類のうちの1タンパク質の少なくとも10アミノ酸をコードする。さらなる実
施形態では、伸長cDNAは、配列番号40〜84および130〜154の配列によりコードさ
れるタンパク質の少なくとも20アミノ酸をコードする。さらなる実施形態では、
伸長cDNAは、配列番号40〜84および130〜154の配列の少なくとも30アミノ酸をコ
ードする。好ましい実施形態では、伸長cDNAは、配列番号40〜84および130〜154
のタンパク質コード配列を含む全長タンパク質配列をコードする。
【0171】 (実施例 27 ) 伸長cDNAのクローニングおよび配列決定に5'ESTを使用するための一般的な方法 伸長cDNAの取得に使用される5' ESTの配列に隣接する配列を含む伸長cDNAを迅
速且つ能率的に単離するのに、下記の一般的な方法が使用されている。この方法
は、分泌タンパク質をコードする5' ESTを含め、NetGeneTM データベース中の任
意の5' EST に関する伸長cDNAを取得するのに使用することができる。その方法 を、図 6にまとめる。
【0172】 1.伸長cDNAの取得 a)第1鎖の合成 本方法は、mRNAの既知の5'配列を利用する。mRNAの3'末端に対応するcDNAの末
端に既知の配列を付加することが可能な、5'末端に49ヌクレオチド配列を含むポ
リ14dTプライマーを用いて、精製mRNAに逆転写反応を実施する。たとえば、その
プライマーは、次の配列:5'-ATC GTT GAG ACT CGT ACC AGC AGA GTC ACG AGA G
AG ACT ACA CGG TAC TGG TTT TTT TTT TTT TTVN -3'(配列番号14)を有してい てもよい。当業者は、その他の配列もポリdT配列に付加して、第1鎖合成を開始 するために使用できることを理解するであろう。このプライマーと、Superscrip
tII(GibcoBRL)やRNase H Minus M-MLV(Promega)酵素のような逆転写酵素と を使用して、RNAの3'ポリA部位に固定された逆転写物を生成する。
【0173】 第1のcDNA鎖とハイブリダイズしたmRNAをアルカリ加水分解で除去した後、ア
ルカリ加水分解の生成物および残留ポリdTプライマーを、実施例11で説明した、
AcA34(Biosepra)マトリックスのような排除カラムで除去する。
【0174】 b)第2鎖の合成 5' ESTの既知の5'配列および第1鎖の合成に使用したポリdTプライマーによっ
て付加された既知の3'末端に基づいて、各末端の一対のネステッドプライマー(
nested primer)を設計する。プライマーの設計に使用されるソフトウェアは、 たとえば、OSP(Illier and Green, PCR Meth. Appl. 1:124-128, 1991)のよう
な、GC含有量およびオリゴヌクレオチドの融解温度か、たとえば、PC-Rare(htt
p://bioinformatics.weizmann.ac.il/software/PC-Rare/doc/manuel.html
)のような、オクタマー頻度相違法(Griffaisら、Nucleic Acids Res. 19: 388
7-3891, 1991)のいずれかに基づく。
【0175】 5'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好まし
い。PCRで使用するのに適した融解温度および特性を有するように、5'プライマ ー配列を選択することが可能である。
【0176】 3'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好まし
い。たとえば、ネステッド3'プライマーは、次の配列:(5'- CCA GCA GAG TCA
CGA GAG AGA CTA CAC GG -3'(配列番号15)、および 5'- CAC GAG AGA GAC TAC
ACG GTA CTG G -3' (配列番号16)を有していてもよい。これらのプライマー は、それらをPCRで使用するのに適した融解温度および特異性を有するため、選 択した。しかし、当業者は、その他の配列もプライマーとして使用できることを
十分に理解するであろう。
【0177】 Advantage Tth Polymerase Mix(Clontech)およびネステッドプライマー対の
それぞれに由来する外側プライマーを使用して、第1の25サイクルのPCRを実施 する。次いで、第1のPCR産物の1/2500に対して、同じ酵素およびネステッドプ
ライマー対のそれぞれに由来する内側プライマーを使用した第2の20サイクルの
PCRを実施する。その後、プライマーおよびヌクレオチドを除去する。
【0178】 2. 全長伸長cDNAまたはそのフラグメントの配列決定 OSPソフトウェアを使用した、PCR用に適合する5’ネステッドプライマーの設 計に対する位置の制約がないため、2つのタイプのアンプリコンがえられる。第
2の5’プライマーは、翻訳開始コドンの上流に位置し、したがって、コード配 列全体を含むネステッド(nested)PCR産物が生成することが好ましい。このよ うな全長伸長cDNAには、次のセクションaに記載の直接クローニング方法を実施
する。しかし、第2の5’プライマーが翻訳開始コドンの下流に位置し、その結 果、ORFの一部のみを含むPCR産物が生成する場合もある。このような不完全なPC
R産物を、次のセクションbに記載の改良された方法に供する。
【0179】 a)完全なORFを含むネステッドPCR産物 結果として得られるネステッドPCR産物が、5’EST配列から予期される完全な コード配列を含むとき、セクション3に記載の通り、そのPCR産物を、pED6dpc2 のような適当なベクターにクローニングする。
【0180】 b)不完全なORFを含むネステッドPCR産物 アンプリコンが完全なコード配列を含まないとき、完全なコード配列と、全コ
ード配列を含むPCR産物の両者を得るための中間ステップが必要である。次のセ クションで説明する通り、異なるPCR産物から直接決定される数個の部分配列か ら、完全なコード配列を組み立てることができる。
【0181】 いったん、全コード配列が完全に決定されるとその後は、コード領域全体を含
むアンプリコンを得るために、PCR用に適合する新しいプライマーを設計する。 しかし、そのような場合、PCR用に適合する3’プライマーは、対応するmRNAの3 ’ UTRの内側に位置し、したがって、図6に図示する通り、この領域の一部(す
なわち、ポリA区域および時にはポリアデニル化シグナル)が欠如したアンプリ コンが生成する。次いで、セクション3に記載の通り、このような全長伸長cDNA
を適当なベクターにクローニングする。
【0182】 c)伸長cDNAの配列決定 Perkin Elmerから入手可能なAmpliTaq DNAポリメラーゼFS キットを用いたダ イターミネーター(Die Terminator)法を使用して、伸長cDNAの配列決定を実施
することができる。
【0183】 PCRフラグメントの配列を決定するために、プライマーを選択するためのOSPの
ようなソフトウェア、および32ヌクレオチドの最小限の重複を使用した最初の5 ’タグを含む歩行配列のコンティグ(contig)を構築するためのASMG(Suttonら
、Genome Science Technol. 1: 9-19, 1995)のような自動化コンピュータソフ
トウェアを使用して、プライマー歩行を実施する。全長cDNAの配列が得られるま
でプライマー歩行を実施することが好ましい。
【0184】 所定の伸長cDNAフラグメントの配列決定の完了を、下記の通りに査定する。非
クローニング生成物の場合には、ポリA区域の後に位置する配列を精確に決定す ることが困難なため、事例bに記載の通りに得られた伸長cDNA中にポリA区域が 同定されたとき、PCR産物に関する配列決定およびプライマー歩行法を中断する 。配列の長さを、上述の通りに得られたネステッドPCR産物のサイズと比較する 。ゲル電気泳動法によるPCR産物サイズの決定の確度には限界があるため、得ら れた配列のサイズが、第1のネステッドPCR産物のサイズ少なくとも70%であれ ば、配列は完全であると考えられる。コンピュータ分析で決定された配列の長さ
が、ネステッドPCR産物の長さの少なくとも70%でなければ、これらのPCR産物を
クローニングして、挿入物の配列を決定する。ノーザンブロットデータを入手で
きるとき、所与のPCR産物に関して検出されたmRNAのサイズを使用して、配列が 完全であることを最終的に査定する。上の基準を満たさない配列を棄てて、新し
い単離方法に供する。
【0185】 次いで、全ての伸長cDNA配列データを、独自に開発したデータベースに転送し
、そこで、実施例15に記載の通りに、品質管理ステップおよび検認ステップを実
施する。
【0186】 3.全長伸長cDNAのクローニング 次いで、全コード配列を含むPCR産物を、適当なベクターにクローニングする 。たとえば、下記の通りに、伸長cDNAを発現ベクターpED6dpc2(DiscoverEase,
Genetics Institute, Cambridge, MA)にクローニングすることができる。pED6d
pc2の構造を図7に示す。EcoRI消化に続いて充填反応(fill in reaction)を実 施することによって、平滑末端を有するpED6dpc2ベクターDNAを調製する。平滑 末端を有するベクターを脱リン酸化する。PCRプライマーを除去し、エタノール 沈殿した後、上述の通り得られた全コード配列を含むPCR産物または伸長cDNAを キナーゼでリン酸化し、続いて、フェノール-Sevag抽出および沈殿によって除去
する。次いで、二本鎖伸長cDNAをベクターに連結し、得られた発現プラスミドを
適当な宿主細胞に導入する。
【0187】 上述の通りに得られたPCR産物は、いずれの方向にもクローニングすることが できる平滑末端を有する分子であるため、各PCR産物について、幾つかのクロー ンの配向性を決定する。次いで、4〜10個のクローンをマイクロタイタープレー
トに並べ、クローニング部位付近のベクターに位置する第1のプライマーおよび
mRNAの3'末端に対応する伸長cDNAの一部に位置する第2のプライマーを使用した
PCR反応に供する。この第2プライマーは、直接クローニング(事例a)の場合 には、アンカード(anchored)PCRに使用されるアンチセンスプライマーであっ てもよく、間接クローニング(事例b)の場合には、3’UTRの内側に位置するア
ンチセンスプライマーであってもよい。伸長cDNAによりコードされるタンパク質
が発現できるように、伸長cDNAの出発コドンがベクター内のプロモーターに作動
可能に連結されているクローンを保存し、配列を決定する。cDNA挿入物の末端に
加えて、cDNA挿入物の各側のベクターDNAの約50bpについても配列を決定する。
【0188】 次いで、前述の方法に従って、クローン化PCR産物を完全に配列決定する。こ の場合、非クローン化PCR産物については、プライマー歩行中に既にコンティグ 化されている(contigated)歩行配列を用いて、長いフラグメントのコンティグ
組み立てを実施する。結果として得られるコンティグが、全コード領域ならびに
両端にベクターDNAを有する重複配列を含むとき、クローン化アンプリコンの配 列決定は完全である。
【0189】 4.全長伸長cDNAのコンピュータ分析 次いで、全ての全長伸長cDNAの配列を、下記の通りに、且つ表2に記載されて
いるパラメータおよび下記の改変を使用して、さらなる分析に供する。Genbank の種々雑多の下位分類のスクリーニングの場合、BLASTNの代わりにFASTAを使用 し、17ヌクレオチドの代わりに、15ヌクレオチドの相同性が限界であった。Alu 検出の場合、次のパラメータ(S=72;同一性=70%; および長さ=40ヌクレオ
チド)と共に、BLASTNを使用した。5' ESTに関しては検索しなかったポリアデニ
ル化シグナルおよびポリAテイルを検索した。ポリアデニル化シグナル検出の場
合、ポリAの5'末端の前の最後の50ヌクレオチドにおいて、ミスマッチを1つ許
容して、シグナル(AATAAA)を検索した。ポリAの場合、以下のパラメータ(W
=6、S=10、E=1000、および同一性=90%)を有するセンス鎖でBLAST2Nを 使用して、配列の最後の20ヌクレオチドにおける8アミノ酸のストレッチを検索
した。最後に、それぞれ、GenSEQ(特許権を受けたヌクレオチド配列のDerwent のデータベース)に対してはBLASTNおよびBLASTPを使用し、以下のパラメータ(
W=8およびB=10)を有するORFに対してはSWISSPROTを使用して、特許を受け
た配列およびORFの相同性を検索した。伸長cDNAを目的の配列について調査する 前に、目的物以外の伸長cDNAを以下の通りに検索する。
【0190】 a)望まれていない配列の除去 実施例18に記載されている通りに、汚染物質配列を除去するために、5’ESTを
照査したが、ベクターRNA、トランスファーRNA、リボソームrRNA、ミトコンドリ
アRNA、原核生物RNAおよび菌類RNAのような、望まれていない配列から誘導され た伸長cDNA配列を同定するために、下記の通りに、伸長cDNAの両鎖に対してFAST
AおよびBLASTNプログラムを使用して、最後の確認を実施した。
【0191】 ベクターRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、FASTAプログラムを使用
して、伸長cDNAをベクターRNAの既知の配列と比較する。15ヌクレオチドのスト レッチについて、90%を上回る相同性を有する伸長cDNAの配列を、ベクターRNA として同定する。
【0192】 tRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、伸長cDNA配列を、EMBLリリース
38から得られた1190の既知のtRNAの配列と比較した(そのうち、100がヒトであ った)。FASTAを使用して、60ヌクレオチドに関して80%を上回る相同性を有す る伸長cDNAの配列を、tRNAとして同定した。
【0193】 rRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、伸長cDNA配列を、EMBLリリース
38から得られた2497の既知のrRNAの配列と比較した(そのうち73はヒトであった
)。BLASTNを使用して、40ヌクレオチドより長いストレッチに関して80%を上回
る相同性を有する伸長cDNAの配列を、rRNAとして同定した。
【0194】 mtRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、伸長cDNA配列を、ゲノム配列 全体を入手できる2種の既知のミトコンドリアゲノムの配列、ならびにtRNA、rR
NA、およびmRNAを含む、これらのミトコンドリアゲノムから転写された合計38配
列の全ての配列と比較した。BLASTNを使用して、40ヌクレオチドより長いストレ
ッチに関して80%を上回る相同性を有する伸長cDNAの配列を、mtRNAとして同定 した。
【0195】 伸長cDNA配列を、Genbank細菌門および菌類門のリリース105と比較することに
より、その他の外因性汚染物質が原因であった可能性がある配列を同定した。BL
ASTNを使用して、40ヌクレオチドに関して90%を上回る相同性を有する伸長cDNA
の配列を、外因性原核汚染物質または菌類汚染物質として同定した。
【0196】 さらに、Alu配列、L1配列、THE反復、MER反復、SSTR配列またはサテライト、 マイクロサテライト、もしくはテロメア反復を含む、異なる反復配列について、
伸長cDNAを検索した。BLASTNを使用して、40ヌクレオチドストレッチに関して70
%を上回る相同性を有する伸長cDNAの配列を反復配列として同定し、さらなる同
定方法においてマスキングした。さらに、反復との広範な相同性を示す、すなわ
ち、相同性が少なくとも75%であった場合は50ヌクレオチドを上回るか、または
相同性が少なくとも85%であった場合は40ヌクレオチドを上回るか、または相同
性が少なくとも90%であった場合は30ヌクレオチドを上回るかのいずれかで一致
するクローンに付箋をつけた。
【0197】 b)構造的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の構造的特徴、たとえば、ポリAテイルおよびポリ
アデニル化シグナルを、次の通りに決定する。
【0198】 ポリAテイルは、せいぜい1個の代替塩基を中に含む、Aが少なくとも11個の
ホモポリマーストレッチであると定義される。ポリAテイル検索は、配列の最後
の20ヌクレオチド(nt)に制限され、11個連続したAのストレッチに限定される
が、それは、このようなポリAストレッチの後は、しばしば配列決定反応を読み
取ることができないためである。6ヌクレオチドに関して100%の相同性を有す るストレッチをポリAテイルとして同定する。
【0199】 ポリアデニル化シグナルについて検索するために、全長配列からポリAテイル を切り取る。1つのミスマッチが、ポリアデニル化シグナルの正規の配列におけ
る可能な配列決定エラーおよび既知の変化の原因であることを容認しながら、ポ
リAテイルの前の50bpを、正規のポリアデニル化AAUAAAシグナルについて検索す
る。
【0200】 c)機能的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の機能的特徴、たとえば、ORFおよびシグナル配列 を、下記の通りに決定した。
【0201】 翻訳開始コドンで始まり、停止コドンで終わる最長フラグメントであると定義
されるORFについて、伸長cDNAの上位ストランドフレーム3つを検索する。少な くとも20アミノ酸をコードするORFが好ましい。
【0202】 次いで、von Heijneのマトリックス方法(Nuc. Acids Res. 14: 4683-4690(19
86))および実施例22に記載の改変法を使用して、最初の50アミノ酸中の、ある
いは、しかるべき場合には、ORFの20アミノ酸以下までのより短い領域内の、シ グナルペプチドの有無について、確認された各ORFを走査する。
【0203】 d)ヌクレオチド配列またはタンパク質配列のいずれかとの相同性 次いで、全長伸長cDNAの配列を、ヌクレオチドベースまたはタンパク質ベース
で、既知の配列と比較する。 全長伸長cDNAの配列を下記の既知の核酸配列と比較する:脊椎動物配列、EST 配列、特許を受けた配列および優先権書類提出時に入手可能な、最近同定された
配列。出願者らにより既に同定されテイル配列を発見するために、全長cDNA配列
を、私的なデータベース(Genset内部配列)の配列とも比較する。表3に示す通
り、BLASTNまたはBLAST2Nのいずれかを使用して、30ヌクレオチドについて90% を上回る相同性を有する全長伸長cDNAの配列は、既に記述されている配列として
同定される。次いで、FASTAを使用して、一致(matching)する脊椎動物配列を 試験する;30ヌクレオチドについて、70%を上回る相同性を有する全長伸長cDNA
は、既に記述されている配列として同定される。
【0204】 次いで、セクションc)に規定されているような、全長伸長cDNAによりコード
されるORFを、本出願の優先権書類提出時に入手可能なSwissprot、PIRおよびGen
pept公的データベースに存在する既知のアミノ酸配列と比較する。これらの分析
を、BLASTPとパラメータW=8を使用し、且つ最大10の一致を認めて行った。既知 のタンパク質配列との広範な相同性を示す全長伸長cDNAの配列は、既に同定され
たタンパク質とみなされる。
【0205】 さらに、BLASTXとパラメータE=0.001を使用して、全長伸長cDNAの上鎖の3フ
レーム概念的翻訳産物を、Swissprotの公式に知られているアミノ酸配列と比較 する。30アミノ酸ストレッチについて、70%を上回る相同性を有する全長伸長cD
NAの配列は、既に同定されているタンパク質として検出される。
【0206】 本明細書で使用する用語「配列番号40〜84および130〜154のcDNAコード」は、
配列番号40〜84および130〜154のヌクレオチド配列、配列番号40〜84および130 〜154のフラグメント、配列番号40〜84および130〜154に相同または配列番号40 〜84および130〜154のフラグメントに相同なヌクレオチド配列、ならびに上記の
配列全てに相補的な配列を含む。該フラグメントは、配列番号40〜84および130 〜154の一部を含み、配列番号40〜84および130〜154の少なくとも10、15、20、2
5、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、または500個連続したヌク レオチドを含む。フラグメントは新規のフラグメントであることが好ましい。配
列番号40〜84および130〜154の相同配列およびフラグメントは、これらの配列に
対して、少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、または
75%の相同性を有する配列を指す。相同性は、デフォルトパラメータまたは任意
の改変されたパラメータを伴うBLAST2Nを含む、本明細書に記載のコンピュータ プログラムおよびパラメータのいずれかを使用して決定し得る。相同配列はまた
、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードのチミンをウリジンに置き換えた
RNA配列を含む。相同配列は、本明細書に記載の手法いずれかを使用して得るこ とができるか、または上記の配列決定エラーの補正から生じ得る。配列番号40〜
84および130〜154のcDNAコードは、従来の1文字形式(Starrier, Lubert. Bioc
hemistry(第3版)W. H Freeman & Co., New Yorkの裏表紙を参照のこと)か、
または配列中のヌクレオチドの同一性を記録する他の任意の形式で表すことがで
きることは、十分に理解されるであろう。
【0207】 本明細書で使用する用語「配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコ ード」は、配列番号40〜84および130〜154の伸張cDNAによってコードされる配列
番号85〜129および155〜179のポリペプチド配列、配列番号85〜129および155〜1
79のポリペプチドに相同なポリペプチド配列、または上記配列のいずれかのフラ
グメントを含む。相同ポリペプチド配列は、配列番号85〜129および155〜179の ポリペプチド配列の1つに対して、少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、
90%、85%、80%、75%の相同性を有するポリペプチド配列を指す。相同性は、
デフォルトパラメータまたは任意の改変されたパラメータを伴うFASTAを含む、 本明細書に記載の手法のいずれかを使用して決定し得る。相同配列は、本明細書
に記載のコンピュータプログラムおよびパラメータいずれかを使用して得ること
ができるか、または上記の配列決定エラーの補正から生じ得る。該ポリペプチド
フラグメントは、配列番号85〜129および155〜179の少なくとも5、10、15、20 、25、30、35、40、50、75、100、または150個連続したアミノ酸を含む。フラグ
メントは新規のフラグメントであることが好ましい。配列番号85〜129および155
〜179のポリペプチドコードは、従来の1文字形式もしくは3文字形式(Starrie
r, Lubert. Biochemistry(第3版)W. H Freeman & Co., New Yorkの裏表紙を 参照のこと)か、または配列中のポリペプチドの同一性に関連する他の任意の形
式で表すことができることは、十分に理解されるであろう。
【0208】 当業者であれば、コンピュータで読み取りおよびアクセスすることができる任
意の媒体上において、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列
番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードを記憶、記録、および操作す ることができることを十分に理解するであろう。本明細書で使用する用語「記録
される」および「記憶される」は、コンピュータ媒体上に情報を記憶するための
プロセスを指す。当業者であれば、コンピュータ読取可能媒体上に情報を記録す
る現在公知の方法のいずれかを適応して、配列番号40〜84および130〜154の1以
上のcDNAコード、配列番号85〜129および155〜179の1以上のポリペプチドコー ドを含む製品を容易に作製することができる。本発明の別の態様は、配列番号40
〜84および130〜154の少なくとも2、5、10、15、20、25、30、または50個のcD
NAコードを記録して有するコンピュータ読取可能媒体である。本発明の別の態様
は、配列番号85〜129および155〜179の少なくとも2、5、10、15、20、25、30 、または50個のポリペプチドコードを記録して有するコンピュータ読取可能媒体
である。
【0209】 コンピュータ読取可能媒体としては、磁気的に読み取り可能な媒体、光学的に
読み取り可能な媒体、電子的に読み取り可能な媒体および磁気/光学的媒体が挙
げられる。たとえば、コンピュータ読取可能媒体は、ハードディスク、フロッピ
ーディスク、磁気テープ、CD-ROM、DVD、RAMまたはROMおよび当業者に公知の他 のタイプの他の媒体であってもよい。
【0210】 本発明の実施形態は、システム、特に本明細書に記載の配列情報を含有するコ
ンピュータシステムを含む。本明細書で使用する「コンピュータシステム」は、
配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードのヌクレオチド配列、または配列番
号85〜129および155〜179のポリペプチドコードのアミノ酸配列を解析するため に使用されるハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、およ
びデータ記憶コンポーネントを指す。コンピュータシステムは、上記のコンピュ
ータ読取可能媒体、ならびに配列データにアクセスし、且つそれを操作するため
のプロセッサを含むのが好ましい。
【0211】 コンピュータは、中央処理装置(CPU)、データを記憶するための1つ以上の データ記憶コンポーネント、およびデータ記憶コンポーネント上に記憶されたデ
ータを検索するための1つ以上のデータ検索装置を含む多目的システムであるこ
とが好ましい。当業者であれば、現在利用可能なコンピュータシステムのいずれ
か1つが適切であることを容易に十分に理解することができる。
【0212】 1つの特定の実施形態では、コンピュータシステムは、メインメモリー(好ま
しくはRAMとして供給される)ならびにハードドライブおよび/またはデータを 記録して有する他のコンピュータ読取可能媒体などの1つ以上のデータ記憶装置
に接続されたバスに接続されたプロセッサを含む。幾つかの実施形態では、コン
ピュータシステムは、データ記憶コンポーネント上に記憶されたデータを読み取
るための1つ以上のデータ検索装置をさらに含む。データ検索装置は、たとえば
、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、磁気テープドラ
イブなどを表してもよい。幾つかの実施形態では、データ記憶コンポーネントは
、記録された制御理論および/またはデータを含有するフロッピーディスク、コ
ンパクトディスク、磁気テープなどの着脱可能なコンピュータ読取可能媒体であ
る。コンピュータシステムは、データ検索装置にいったん挿入されたデータ記憶
コンポーネントから制御理論および/またはデータを読み取るための適切なソフ
トウェアを含むか、または該ソフトウェアによってプログラムされ得る点で有利
である。配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードのヌクレオチド配列、また
は配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードのアミノ酸配列にアク セスし、且つそれをプロセシングするためのソフトウェア(検索ツール、比較ツ
ール、およびモデリングツールなど)は、実行中にメインメモリー内にあっても
よい。
【0213】 幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、コンピュータ読取可能媒体
上に記憶された上記の配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードまたは配列番
号85〜129および155〜179のポリペプチドコードを、コンピュータ読取可能媒体 上に記憶された対照ヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較するための配列
コンペアラをさらに含んでもよい。「配列コンペアラ」は、ヌクレオチドまたは
ポリペプチド配列と、他のヌクレオチドもしくはポリペプチド配列および/また
はペプチド、ペプチド擬似物、およびデータ記憶手段に記憶される化学物質など
が挙げられるがそれらに限定されない化合物とを比較するために、コンピュータ
システム上で実施される1つ以上のプログラムを指す。たとえば、配列コンペア
ラは、コンピュータ読取可能媒体上に記憶されている配列番号40〜84および130 〜154のcDNAコードのヌクレオチド配列、または配列番号85〜129および155〜179
のポリペプチドコードのアミノ酸配列を、コンピュータ読取可能媒体上に記憶さ
れている参照配列と比較して、相同性、生物学的機能に関係するモチーフ、また
は構造モチーフを同定し得る。本明細書において他の個所で記載されている様々
な配列比較プログラムも本発明のこの態様における使用を特に意図している。
【0214】 したがって、本発明の1つの態様は、プロセッサ、配列番号40〜84および130 〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコード
を記憶して有するデータ記憶装置、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコード
または配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードと比較しようとす る対照ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を検索可能に記憶して有するデ
ータ記憶装置ならびに比較を実行するための配列コンペアラを含むコンピュータ
システムである。配列コンペアラは、比較する配列間の相同性レベルを表示する
か、または上記の配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列番号
85〜129および155〜179のポリペプチドコードにおいて構造モチーフを同定し得 るか、あるいはこれらのcDNAコードおよびポリペプチドコードと比較される配列
の構造モチーフを同定し得る。幾つかの実施形態では、データ記憶装置は、配列
番号40〜84および130〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179 のポリペプチドコードの少なくとも2、5、10、15、20、25、30、または50の配
列を記憶して有し得る。
【0215】 本発明の別の態様は、相同性レベルを決定するコンピュータプログラムを使用
することによりcDNAコードおよび対照ヌクレオチド配列を読み取るステップと、
このコンピュータプログラムによってcDNAコードと対照ヌクレオチド配列との間
の相同性を決定するステップとを含む、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコ
ードと対照ヌクレオチド配列との間の相同性のレベルを決定する方法である。コ
ンピュータプログラムは、デフォルトパラメータを伴うかまたは改変された任意
のパラメータを伴うBLAST2Nを含む、以下に具体的に列挙されたプログラムを含 む、相同性レベルを決定するための多くのコンピュータプログラムのうちのいず
れかであってもよい。該方法は、上記のコンピュータシステムを用いて実施され
得る。該方法はまた、コンピュータプログラムを使用することにより上記の配列
番号40〜84および130〜154のcDNAコードの2、5、10、15、20、25、30、または
50を読み取り、そしてcDNAコードと参照ヌクレオチド配列との間の相同性を決定
することによって実施され得る。
【0216】 あるいは、コンピュータプログラムは、配列番号40〜84および130〜154のcDNA
コードが、1つ以上の位置で参照核酸配列と異なるかどうかを決定するために、 本発明のcDNAコードのヌクレオチド配列を参照ヌクレオチド配列と比較するコン
ピュータプログラムであり得る。随意に、そのようなプログラムは、参照ポリヌ
クレオチドまたは配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードのいずれかの配列
についての挿入、欠失または置換されたヌクレオチドの長さおよび同一性を記録
する。1つの実施形態では、コンピュータプログラムは、配列番号40〜84および
130〜154のcDNAコードのヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列に対して位
置塩基多型(single nucleotide polymorphism)(SNP)を含有するかどうかを 決定するプログラムであってもよい。この一塩基多型は、単一の塩基置換、挿入
、または欠失を含み得る。
【0217】 本発明の別の態様は、相同性レベルを決定するコンピュータプログラムを使用
することにより、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードおよび 対照ポリペプチド配列を読み取るステップと、このコンピュータプログラムを使
用してポリペプチドコードと対照ポリペプチド配列との間の相同性を決定するス
テップとを含む、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードと対照 ポリペプチド配列との間の相同性のレベルを決定する方法である。
【0218】 したがって、本発明の別の態様は、核酸配列間の差異を同定するコンピュータ
プログラムを使用することにより、cDNAコードおよび対照ヌクレオチド配列を読
み取るステップと、このコンピュータプログラムによってcDNAコードと対照ヌク
レオチド配列との間の差異を同定するステップとを含む、配列番号40〜84および
130〜154のcDNAコードが1以上のヌクレオチドで対照ヌクレオチド配列と異なる
かどうかを決定する方法である。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラ
ムは、一塩基多型を同定するプログラムである。該方法は、上記のコンピュータ
システムによって実施され得る。該方法はまた、上記のコンピュータプログラム
を使用することにより配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードの少なくとも
2、5、10、15、20、25、30、または50個を読み取り、そして上記コンピュータ
プログラムでcDNAコードと参照ヌクレオチド配列との間の差異を同定することに
よって実施され得る。
【0219】 他の実施形態では、コンピュータに基づくシステムは、配列番号40〜84および
130〜154のcDNAコードのヌクレオチド配列または配列番号85〜129および155〜17
9のポリペプチドコードのアミノ酸配列内の特徴を同定するためのアイデンティ ファイアをさらに含み得る。
【0220】 「アイデンティファイア」は、上記の配列番号40〜84および130〜154のcDNAコ
ードのヌクレオチド配列または配列番号85〜129および155〜179のポリペプチド コードのアミノ酸配列内の特定の特徴を同定する1つ以上のプログラムを指す。
1つの実施形態では、アイデンティファイアは、配列番号40〜84および130〜154
のcDNAコードのオープンリーディングフレームを同定するプログラムを含んでも
よい。
【0221】 別の実施形態では、アイデンティファイアは、配列番号85〜129および155〜17
9のポリペプチドコードの3次元構造を決定する分子モデリングプログラムを含 んでもよい。幾つかの実施形態では、分子モデリングプログラムは、既知の3次
元タンパク質構造の残基の構造環境を示すプロフィールとほとんど交換可能な標
的配列を同定する。(たとえば、Eisenbergら、米国特許第5,436,850号、1995年
7月25日発行を参照のこと)。別の技術では、所定のファミリーのタンパク質の
公知の3次元構造を重ね合わせて、該ファミリーにおいて構造的に保存された領
域を規定する。このタンパク質モデリング技術も、相同タンパク質の公知の3次
元構造を使用して、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードのお およその構造を求める。(たとえば、Srinivasanら、米国特許第5,557,535号、1
996年9月17日発行を参照のこと)。従来の相同性モデリング技術は、プロテア ーゼおよび抗体のモデルを組み立てるために日常的に使用されている。(Sowdha
miniら、Protein Engineering 10:207, 215 (1997))。目的のタンパク質の配列
同一性がテンプレートタンパク質に対して低い場合、比較アプローチを使用して
3次元タンパク質モデルを開発することもできる。場合によっては、極めて低い
配列相同性を有するにもかかわらず、タンパク質は類似の3次元構造に折り畳ま
れる。たとえば、多くのらせん状サイトカインの3次元構造は、低い配列相同性
にもかかわらず、類似の3次元トポロジーに折り畳まれる。
【0222】 結合方法が最近開発されたことにより、現在では、標的とテンプレートとの間
の構造関連性が配列レベルで検出されない多くの状況において折り畳まれる可能
性のあるパターンを同定すことができる。折り畳み認識がMultiple Sequence Th
reading(MST)を使用して実施されるハイブリッド方法では、低解像度モデルを
構築するための距離ジオメトリープログラムDRAGONを用いて結合結果の出力から
構造等価性が推論され、そしてQUANTAなどの分子モデリングパッケージを用いて
全原子の表示が構築される。
【0223】 この3つのステップのアプローチに従えば、第1に、複数のアラインメントさ
れた配列を1つ以上の3D構造上で同時に結合することが可能な新規の折り畳み認
識アルゴリズムMSTを使用して、候補テンプレートを同定する。第2のステップ では、MST出力から得られる構造等価性を相互残基距離拘束物に変換し、2次構 造予想物から得られる補助情報とともに距離ジオメトリープログラムDRAGONに入
力する。このプログラムは偏りのない様式で拘束物を組み合わせ、多くの低解像
度モデルコンホメーション(model confirmation)を迅速に作成する。第3のス
テップでは、これらの低解像度モデルコンホメーションを全原子モデルに変換し
、分子モデルパッケージQUANTAを使用して、エネルギー最小化に供する。(たと
えば、Aszodiら、Proteins:Structure, Function, and Genetics、補遺1:38-42
(1997)を参照のこと)。
【0224】 次いで、合理的なドラッグデザイン技術において分子モデリング解析の結果を
使用し、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードの活性を調節す る因子を同定することができる。
【0225】 したがって、本発明の別の態様は、特徴を同定するコンピュータプログラムを
使用することによりcDNAコードまたはポリペプチドコードを読み取るステップと
、このコンピュータプログラムによってcDNAコードまたはポリペプチドコード内
の特徴を同定するステップとを含む、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコー
ドまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコード内の特徴を同定 する方法である。1つの実施形態では、コンピュータプログラムは、オープンリ
ーディングフレームを同定するコンピュータプログラムを含む。さらなる実施形
態では、コンピュータプログラムはポリペプチド配列の構造モチーフを同定する
。別の実施形態では、コンピュータプログラムは分子モデリングプログラムを含
む。該方法は、上記コンピュータプログラムを使用することにより配列番号40〜
84および130〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペ プチドコードの1つの配列かあるいは少なくとも2、5、10、15、20、25、30、
または50を読み取り、そして上記コンピュータプログラムによってcDNAコードま
たはポリペプチドコード内の特徴を同定することによって、実施され得る。
【0226】 配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155
〜179のポリペプチドコードを、様々なデータプロセッサプログラムで、様々な 形式で記憶し、操作することができる。たとえば、配列番号40〜84および130〜1
54のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードを 、MicrosoftWORDもしくはWORDPERFECTなどのワードプロセシングファイルのテキ
ストとしてまたはDB2、SYBASE、もしくはORACLEなどの当業者に知られている様 々なデータベースプログラムのASCIIファイルとして記憶してもよい。さらに、 多くのコンピュータプログラムおよびデータベースを、配列番号40〜84および13
0〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコー ドと比較しようとする対照ヌクレオチドまたはポリペプチド配列の配列コンペア
ラ、アイデンティファイア、または供給源として使用してもよい。以下のリスト
は本発明を制限することを意図するものではないが、配列番号40〜84および130 〜154のcDNAコードまたは配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコード
に有用なプログラムおよびデータベースの指針を提供することを意図している。
使用され得るプログラムおよびデータベースとしては、MacPattern (EMBL)、Dis
coveryBase (Molecular Applications Group)、GeneMine (Molecular Applicati
ons Group)、Look (Molecular Applications Group)、MacLook (Molecular Appl
ications Group)、BLASTおよびBLAST2 (NCBI)、BLASTNおよびBLASTX (Altschul ら、J. Mol. Biol. 215: 403 (1990))、FASTA (PearsonおよびLipman, Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 85: 2444 (1988))、FASTDB (Brutlagら、Comp. App. Bios
ci. 6:237-245, 1990)、Catalyst (Molecular Simulations Inc.)、Catalyst/SH
APE (Molecular Simulations Inc.)、Cerius2.DBAccess (Molecular Simulation
s Inc.)、HypoGen (Molecular Simulations Inc.)、Insight II (Molecular Sim
ulations Inc.)、Discover (Molecular Simulations Inc.)、CHARMm (Molecular
Simulations Inc.)、Felix (Molecular Simulations Inc.)、DelPhi (Molecula
r Simulations Inc.)、QuanteMM, (Molecular Simulations Inc.), Homology (M
olecular Simulations Inc.)、Modeler (Molecular Simulations Inc.), ISIS (
Molecular Simulations Inc.)、Quanta/Protein Design (Molecular Simulation
s Inc.)、WebLab (Molecular Simulations Inc.)、WebLab Diversity Explorer
(Molecular Simulations Inc.)、Gene Explorer (Molecular Simulations Inc.)
、SeqFold (Molecular Simulations Inc.)、EMBL/Swissproteinデータベース、M
DL Available Chemicals Directoryデータベース、MDL Drug Data Reportデータ
ベース、Comprehensive Medicinal Chemistryデータベース、Derwents’s World
Drug Indexデータベース、BioByteMasterFileデータベース、Genbankデータベ ース、ならびにGenseqnデータベースが挙げられ得るが、これらに限定されない 。本発明の開示内容を見れば、他の多くのプログラムおよびデータベースについ
ても当業者には明らかである。
【0227】 上記プログラムを使用して検出され得るモチーフとしては、ロイシンジッパー
、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部
位、αヘリックス、およびβシートをコードする配列、コードされたタンパク質
の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグナル配列、ホメオボックス
、酸ストレッチ、酵素活性部位、基質結合部位、および酵素切断部位などの転写
調節に関係する配列が挙げられる。
【0228】 5.本発明のクローン化全長配列の選択 次いで、目的の配列を含む全長伸長cDNAを予め選択するために、前述のコンピ
ュータ分析で既に特性化されているクローン化全長伸長cDNA配列を、自動式の方
法に供する。
【0229】 a)自動式配列予備選択 ベクター向けに、両端で切り取った全ての完全なクローン化全長伸長cDNAを考
える。第1に、汚染物質またはPCR人工物のいずれかから生じる望まれていないク
ローン化配列を除去するために、下記の通りに、ネガティブ選択を施す。汚染物
質配列と一致する配列、例えば、ベクターRNA、tRNA、mtRNA、rRNA配列、ならび
に、セクション4a)に規定したような、反復との広範な相同性を示すORF配列を コードするものを除く。5’および3’タグ上のネステッドプライマーを使用した
直接クローニングで得られる(セクション1事例a)が、ポリAテイルが欠如し
ている配列を除いた。シグナルペプチドを含有し、且つポリAテイルの前か(事
例a)、またはクローン化3’ UTRの末端の前(事例b)のいずれかで終わるORF
のみを保存する。次いで、サイズが20アミノ酸未満であるか、または未成熟タン
パク質サイズの25%未満である成熟タンパク質のようなありそうもない成熟タン
パク質を含むORFを排除する。
【0230】 OFRを選択する際に、シグナルタグ特許(SignalTag Patent)(米国特許出願 番号08/905,223;08/905,135;08/905,051;08/905,144;08/905,279;08 /904,468;08/905,134;および08/905,133)に記載されているポリペプチド に対応するORFおよびフレームを優先する。シグナルタグ特許に記載されているO
FRの中に、そのORFが発見されなかった場合、実施例22に記載されているVon Hei
jne方法による最高得点を有するシグナルペプチドをコードするORFを選択した。
得点が同じで場合、最長のORFを選択した。
【0231】 次いで、反復配列のマスキング後にBLASTを用いて、全長伸長cDNAクローンの 配列を対で比較する。30ヌクレオチドに関係して少なくとも90%の相同性を含む
配列を、同じクラス内に集める。次いで、各クラスターを、内則プライミングま
たはオルタナティブスプライシングにより生じる配列、同一配列、または幾つか
のフレームシフトを含む配列を検出するクラスター分析に供する。この自動分析
は、配列の手動式選択の基礎として使用できる。
【0232】 b)手動式配列選択 配列決定された各全長伸長cDNAクローンに関する、自動的に作成されたレポー
トを使用して、手動式選択を実施することができる。この手動式方法中に、下記
の通りに、同一クラスに属するクローンの間で選択を行う。同一クラスに属する
クローンによりコードされるORF配列をアラインメントして比較する。同一クラ スに属するクローンのヌクレオチド配列間の相同性が、30ヌクレオチドストレッ
チに関して90%を上回る場合、または同一クラスに属するクローンのアミノ酸配
列の相同性が、20アミノ酸ストレッチに関して80%を上回る場合、そのクローン
は同じであると考えられる。選択されるORFは、下記の基準による最良のもので ある。ヌクレオチド相同性およびアミノ酸相同性が、それぞれ、90%未満および
80%未満の場合、そのクローンは、目的の配列を含むのであれば、共に選択され
得る異なるタンパク質をコードすると言われる。
【0233】 下記の基準を使用して、目的の配列をコードする全長伸長cDNAクローンの選択
を実施する。構造パラメータ(最初のタグ、ポリアデニル化部位およびシグナル
)を最初に照査する。次いで、クローン配列が既知の核酸/タンパク質配列と一
致するかどうかを決定するために、既知の核酸およびタンパク質との相同性を調
査し、後者の場合、その被覆率(covering rate)および配列が公表された日付
を調査する。ESTまたはゲノムDNA以外の配列との広範な一致がみられない場合、
または、そのクローン配列が、既知のタンパク質をコードするmRNAのオルタナテ
ィブスプライシング(alternative slicing)により生じるタンパク質をコード するなど、十分な新情報を担持する場合、その配列を保存する。目的の配列を含
む、このようなクローン化全長伸長cDNAの例を実施例28に記載する。この方法の
間に、他の配列との相同性によって査定されるような、キメラまたは二重の挿入
物から生じる配列が除かれる。
【0234】 (実施例28) 伸長cDNAのクローニングおよび配列決定 上の実施例27に記載の方法を使用して、本発明の伸長cDNAを得た。このアプロ
ーチを使用して、配列番号17の全長cDNAを得た。このcDNAは、上述の「EST-ext 」カテゴリーに入り、von Heijne得点が8.2のシグナルペプチドMKKVLLLITAILAVA
VG(配列番号18)をコードする。
【0235】 この方法を使用して、配列番号19の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「ES
T-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.5のシグナルペプチドMWWFQQGLSF
LPSALVIWTSA (配列番号20)をコードする。
【0236】 上述の方法を使用して得られた別の全長cDNAは、配列番号21の配列を有する。
このcDNAは、上述の「EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.9のシグ
ナルペプチドMVLTTLPSANSANSPVNMPTTGPNSLSYASSALSPCLT(配列番号22)をコード
する。
【0237】 上記方法を使用して、配列番号23の配列を有する全長cDNAも得た。このcDNAは
、上述の「EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.5のシグナルペプチ
ドILSTVTALTFAXA (配列番号24)をコードする。
【0238】 この方法を使用して、配列番号25の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「ne
w」カテゴリーに入り、von Heijne得点が10.1のシグナルペプチドLVLTLCTLPLAVA
(配列番号26)をコードする。
【0239】 この方法を使用して、配列番号27の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「ne
w」カテゴリーに入り、von Heijne得点が10.7のシグナルペプチドLWLLFFLVTAIHA
(配列番号28)をコードする。
【0240】 上の諸方法を使用して、本発明の伸長cDNAも得た。上述の通りに、様々な組織
で発現した5´ ESTを得た。添付の配列表に、伸長cDNAを得た起源である組織を 示す。伸長cDNAは、配列表に記載されている組織以外の組織でも発現できること
が、十分に理解されるであろう。
【0241】 上述の通りに得られた5'ESTを使用して、配列番号40〜84および130〜154の配 列を有する伸長cDNAを得た。本発明の伸長cDNAの配列識別番号、全コード配列の
配列番号40〜84および130〜154における位置(すなわち、表4の項目FCSの位置 の下に記載されている、シグナルペプチドおよび成熟タンパク質の両者をコード
するヌクレオチド)、シグナルペプチドをコードするヌクレオチドの配列番号40
〜84および130〜154における位置(表4の項目SigPepの位置の下に記載されてい
る)、シグナルペプチドの切断により生成する成熟タンパク質をコードするヌク
レオチドの配列番号40〜84および130〜154における位置(表4の項目成熟ポリペ
プチドの位置の下に記載されている)、配列番号40〜84および130〜154における
停止コドンの位置(表4の項目停止コドンの位置の下に記載されている)、ポリ
Aシグナルの配列番号40〜84および130〜154における位置(表4の項目ポリAシ
グナルの位置の下に記載されている)ならびにポリA部位の位置(表4の項目ポ
リA部位の位置の下に記載されている)を、表4に示す。
【0242】 既知の構造または機能的モチーフの有無について、またはタンパク質ファミリ
ーの構成員の間に首尾よく保存されている小さいアミノ酸配列であるシグネチャ
ーの有無について、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドをスクリーニング
した。保存領域を使用して、PROSITEデータバンク、特に、ファイルprosite.dat
(http://expasy.hcuge.ch/sprot/prosite.htmlにある、1995年11月のリリ
ース13.0)に含まれるコンセンサスパターンまたはマトリックスを誘導した。pr
osite_convertおよびprosite_scanプログラム(http://ulrec3.unil.ch/ftp
serveur/prosite_scan) を使用して、伸長cDNA上のシグネチャーを見つけた。
【0243】 データバンクSWISSPROTに含まれるヒト分泌タンパク質の集団に関する的外れ のヒットの頻度を評価することにより、prosite.datファイルのprosite_convert
プログラムで得られる各パターンについて、新たなタンパク質配列における検出
確度の試験が行われている。シャッフルド(shuffled)タンパク質(ウインドウ
サイズが20アミノ酸)に関するヒット数と、生来の(非シャッフルド)タンパク
質に関するヒット数との間の比率を指標として使用した。prosite_scanを用いた
検索中に、その比率が20%(生来のタンパク質に関するヒット5件に対してシャ
ッフルドタンパク質に関するヒット1件)を超えたあらゆるパターンを省いた。
タンパク質配列をシャッフルするのに使用されるプログラム(db_shuffled)お よびタンパク質データバンク中の各パターンに関する統計学の決定に使用される
プログラム(prosite_statistics)は、ftpサイトhttp://ulrec3.unil.ch/f
tpserveur/prosite_scan.で利用できる。
【0244】 表5は、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドの配列識別番号、全 長ポリペプチドにおける配列番号85〜129および155〜179のアミノ酸残基の存在 位置(第2列)、シグナルペプチドにおける配列番号85〜129および155〜179の アミノ酸残基の位置(第3列)、全長ポリペプチドからのシグナルペプチドの切
断によって作製される成熟ポリペプチドにおける配列番号85〜129および155〜17
9のアミノ酸残基の位置(第4列)を示す。
【0245】 配列番号40〜84および130〜154の配列のヌクレオチド配列、ならびに配列番号
40〜84および130〜154によりコードされるアミノ酸配列(すなわち、配列番号85
〜129および155〜179のアミノ酸配列)を添付の配列表に示す。場合によっては 、配列は予備的であり、若干の不正確な配列または曖昧な配列またはアミノ酸を
含む可能性もある。配列番号40〜84および130〜154の配列を、その中の任意のエ
ラーについて容易にスクリーニングすることができ、このようなエラーまたは曖
昧性を両鎖に含むフラグメントを配列決定しなおすことにより、任意の配列曖昧
性を解消することができる。このようなエラーを含む配列は、一般に、配列番号
85〜129および155〜179の配列と少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも9
8%、または少なくとも99%相同であり、このような配列は、本発明の核酸およ びポリペプチドに含まれる。シークエンシングエラーまたは曖昧性を解消するた
めの核酸フラグメントは、寄託されたクローンから得ることが可能であり、ある
いは、本明細書に記載されている技術を使用して単離することができる。曖昧な
または誤った配列の付近に位置する配列とハイブリダイズするプライマーを使用
することにより、このような曖昧性またはエラーの解消を容易にすることができ
る。たとえば、このプライマーを曖昧性またはエラーの50〜75塩基内の配列とハ
イブリダイズすることが可能である。エラーまたは曖昧性を解消すると、エラー
または曖昧性を含むDNAによりコードされるタンパク質配列において、対応する 修正を行うことができる。適当な宿主細胞におけるクローンの発現、タンパク質
を回収すること、およびその配列を決定することにより、特定のクローンにより
コードされるタンパク質のアミノ酸配列も決定することができる。
【0246】 本出願者らは、各アミノ酸配列について、出願時に入手できる配列情報を用い
て、最もよく同定できるリーディングフレームであると決定したものを同定した
。アミノ酸配列の一部は、「Xaa」デジグネーター(designator)を含んでもよ い。この「Xaa」デジグネーターは、(1)ヌクレオチド配列が曖昧性なために 同定できない残基、または(2)(配列がさらに正確に決定されれば)本出願者
らが存在すべきでないと考える決定された配列における停止コドンのいずれかを
示す。
【0247】 ベクターpED6dpc2における本発明の伸長cDNA(配列番号40〜84および130〜154
)を含む細胞は、本発明者らにより、Genset, S.A., 24 Rue Royale, 75008 Par
is, Franceにある永久的な保管場所に保存されている。
【0248】 ある特定のヌクレオチドを含む細胞が得られる伸長cDNA(配列番号40〜84)を
含む細胞のプールを、American Type Culture Collection(ATCC), 10801 Univer
sity Blvd., Manassas, VA, U.S.A., 20110-2209に寄託した。配列番号71〜84の
クローンを含む、SignalTag28011999と呼ぶ細胞プールは、1999年1月28日に、E
uropean Collection of Cell Cultures (ECACC) Vaccine Research and Product
ion Laboratory,Public Health Laboratory Service,Centre for Allied Microb
iology and Research,Porton Down,Salisbury,Wiltshire SP4 OJG,United Kingd
omに郵送され、1999年1月29日に受理された。この細胞プールは、ECACC受託番 号XXXXXXを有する。配列番号130〜154の伸長cDNAを含む1つまたは複数の細胞プ
ール(このプールに由来する、特定のポリヌクレオチドを含む細胞は入手可能で
ある)を、European Collection of Cell Cultures,Vaccine Research and Prod
uction Laboratory,Public Health Laboratory Service,Centre for Allied Mic
robiology and Research,Porton Down,Salisbury,Wiltshire SP4 OJG,United Ki
ngdomに寄託し、ECACC寄託番号XXXXXXが割り当てられた。この複合寄託物におけ
る各伸長cDNAクローンを、別々の細菌細胞(E-coli)にトランスファーした。表
6は、配列番号40〜84のクローンの寄託番号を示す。表7は、それぞれの配列番
号に割り当てられた内部名番号を示し、該配列が核酸配列かまたはタンパク質配
列かを表す。
【0249】 NotI、PstI二重消化を実施して、各クローンの適当なフラグメントを生成する
ことによって伸長cDNAが寄託されたpED6dpc2ベクターから、各伸長cDNAを取り出
すことができる。伸長cDNAによりコードされるタンパク質を、pED6dpc2のプロモ
ーターから発現させることも可能である。
【0250】 下記の通りに、この複合寄託物から、ある特定のクローンを含む細菌細胞を得
ることができる。 その特定のクローンで知られている配列に適するように、オリゴヌクレオチド
プローブまたはプローブ類を、設計すべきである。この配列は、本明細書に記載
の配列、またはそれらの配列の組み合せから誘導することが可能である。好まし
くは、オリゴヌクレオチドプローブの設計は、これらのパラメータに従うべきで
ある。 (a) オリゴヌクレオチドプローブは、曖昧な塩基が、存在するとしても、
最少である、配列の領域に適するように設計されなければならない(「N's」) 、 (b) 好ましくは、そのプローブは、約80℃のTmを有するように設計される
(各AまたはTに対して2℃、各GまたはCに対して4℃と仮定する)。しかし
、特異性が失われてい(失われ)なければ、40℃〜80℃の間の融解温度を有する
プローブを使用することも可能である。
【0251】 好ましくは、オリゴヌクレオチドを標識するためのよく使用される技術を使用
して、このオリゴヌクレオチドを[32P]ATP(比活性 6000 Ci/mmole)およびT
4ポリヌクレオチドキナーゼで標識すべきである。その他の標識技術も使用する ことができる。好ましくは、組み込まれなかった標識を、ゲル濾過クロマトグラ
フィーまたは他の確立された方法で、除去すべきである。シンチレーションカウ
ンターで測定することにより、プローブ内に組み込まれた放射能の量を定量化す
る。好ましくは、このようにして得られるプローブの比活性は約4×106 dpm/p
moleである。
【0252】 好ましくは、全長クローンのプールを含む細菌の培養を解凍し、100μlのスト
ックを使用して、100μg/mのアンピシリンを含む25mlの滅菌L-ブロスが入って いる滅菌培養フラスコに接種する。好ましくは、この培養を飽和するまで37℃で
増殖させ、好ましくは、飽和した培養を用時調製した新鮮なL-ブロスで希釈する
。これらの希釈液のアリコートをプレーティングして、37℃で一晩増殖させたと
き、150mmペトリ皿内の、100μg/mlのアンピシリンおよび1.5%の寒天を含むL-
ブロスを含む細菌固形培地上に、約5000の別個で且つ完全に離れたコロニーを生
じる希釈および量を決定することが好ましい。別個で且つ完全に離れたコロニー
を得る、他の既知の方法も使用することができる。
【0253】 次いで、標準的なコロニーハイブリダイゼーション方法を使用して、コロニー
をニトロセルロースフィルターに移して溶解し、変性させ、そしてベイクする。
【0254】 次いで、このフィルターを、0.5%SDS、100pg/mlの酵母RNA、および10mM ED
TAを含む6×SSC(20×ストックはNaOHでpH7.0に調整した、175.3g NaC1/リッ
トル、88.2gクエン酸ナトリウム/リットルである)(150mmフィルター当たり約
10mL)中で、穏やかにかき混ぜながら、65℃で1時間インキュベートすることが 好ましい。次いで、このプローブを、1×106dpm/mL以上の濃度のハイブリダイ
ゼーションミックスに加えることが好ましい。次いで、このフィルターを、穏や
かにかき混ぜながら、65℃で一晩インキュベートすることが好ましい。次いで、
このフィルターを、500mLの2×SSC/0.1%SDS中で、室温にて穏やかに振盪しな
がら15分間、洗浄することが好ましい。0.1×SSC/0.5%SDSを用いた、65℃で30
分〜1時間の3回目の洗浄は、任意である。次いで、このフィルターを乾燥させ
て、陽性のものをX線フィルム上に可視化するのに十分な時間、オートラジオグ ラフィーに供することが好ましい。その他の公知のハイブリダイゼーション方法
も使用することができる。
【0255】 陽性コロニーを収穫し、培地中で増殖させ、標準方法を使用して、プラスミド
DNAを単離する。次いで、制限分析、ハイブリダイゼーション分析、またはDNA配
列決定によって、クローンを検証することができる。
【0256】 次いで、これらの方法を使用して得られたプラスミドDNAを、当業者に周知の 標準クローニング技術を使用して、操作することが可能である。あるいは、伸長
cDNA挿入物の両端に設計されたプライマーを用いて、PCRを実施することができ る。たとえば、配列GGCCATACACTTGAGTGAC(配列番号38)を有するプライマーお よび配列ATATAGACAAACGCACACC(配列番号39)を有するプライマーを使用して、P
CR反応を実施することが可能である。次いで、当業者に周知の標準クローニング
技術を使用して、伸長cDNAに対応するPCR産物を操作することができる。
【0257】 PCRに基づいた、伸長cDNAを得る方法に加えて、伝統的なハイブリダイゼーシ ョンに基づく方法も使用することが可能である。これらの方法を使用して、5´
ESTの起源であるmRNA、伸長cDNAに対応するmRNA、または伸長cDNAまたは5´ EST
と相同である核酸をコードするゲノムDNAを得ることもできる。以下の実施例29 に、このような方法の例を提供する。
【0258】 (実施例 29) 伸長cDNA、あるいは伸長cDNAまたは5'ESTと相同な核酸を得る方法 本発明の5'ESTまたは伸長cDNAを使用して、cDNAライブラリーまたはゲノムDNA
ライブラリーから伸張cDNAに相同な伸張cDNAまたは核酸を単離することができる
。そのようなcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーは、商業的ソース から得ることができるか、あるいは当業者に知られている他の技術を使用して作
成することができる。そのようなcDNAライブラリーの構築の1例は以下に記載の
通りである。
【0259】 ポリA+ RNAを調製し、実施例13に記載のようにそれらの質を確認する。次いで
、上記のセクション1および2に記載の化学的または酵素的方法のいずれかを用
いて、ポリA+ RNAをオリゴヌクレオチドタグに連結する。いずれの場合でも、オ
リゴヌクレオチドタグはEcoRIなどの制限部位を含有し、さらなるサブクローニ ング手法を容易にし得る。次いで、ノーザンブロッティングを行い、連結された
mRNAのサイズを確認し、mRNAが実際にタグ付加されるように確実にする。
【0260】 実施例14に記載のように、ランダムノナマーをオリゴdTプライマーによって置
き換えたオリゴヌクレオチドタグに結合されたmRNAについて、第1鎖の合成を順
次行う。たとえば、このオリゴdTプライマーは、組織ごとに異なる4ヌクレオチ
ドの内部タグを含有し得る。あるいは、配列番号14のオリゴヌクレオチドを使用
してもよい。MRNAの5’末端に付着したオリゴヌクレオチドタグに含有されるプ ライマーを使用して第2鎖を合成した後、得られる二本鎖全長DNAの平滑末端を 粘着末端に変換し、全長DNA3’末端へのHindIIIアダプター付加を使用して、Blu
escriptベクターのEcoRIおよびHindIII部位へのサブクローニングを可能にする 。
【0261】 次いで、当業者に知られている技術を用いて、伸張全長DNAを、それらのサイ ズに従い、幾つかの画分に分離する。たとえば、3〜6の異なる画分を得るため
に電気泳動分離を適用してもよい。ゲル抽出および精製後、DNA画分をBluescrip
tベクターにサブクローニングし、コンピテント細菌に形質転換し、そして適切 な抗生物質条件下で繁殖させる。
【0262】 次いで、そのような全長cDNAライブラリーを以下のように配列決定するか、ま
たは以下に記載のように、該ライブラリーを、伸張cDNAまたは5'ESTに相同な核 酸を得るためのスクリーニング手法に使用し得る。
【0263】 次いで、全長cDNAライブラリーから単離された伸張cDNAまたはそれに相同な核
酸の5'末端を、実施例27に記載のように配列決定してもよい。第1のステップで
は、mRNAの5'末端に対応する配列が得られる。この配列がSignalTagTM 5'ESTに 対応するかまたはSignalTagTM 5'ESTであるための基準を満たす場合、クローニ ングされた挿入物をpED6dpc2などの適切なベクターにサブクローンし、二重配列
決定して、実施例27に記載の解析および選別手法に供する。
【0264】 そのようなcDNAまたはゲノムDNAライブラリーを使用して、以下のように伸張c
DNAまたは5'ESTに相同な5'ESTまたは核酸から得られる伸張DNAを単離してもよい
。cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを、従来の技術を用いて、5'E
STまたは伸張cDNAに由来する少なくとも10個連続したヌクレオチドを含む検出可
能なプローブにハイブリダイズさせる。好ましくは、プローブは5'ESTまたは伸 張cDNAに由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌクレオチドを含む。
より好ましくは、プローブは5'ESTまたは伸張cDNAに由来する少なくとも20〜30 個連続したヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、プローブは5'ESTまた は伸張cDNAに由来する少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも75個、少な
くとも100個、少なくとも150個、または少なくとも200個連続したヌクレオチド を含む。所定のプローブ配列にハイブリダイズするcDNAライブラリー中のcDNAク
ローンを同定するための技術については、Sambrookら、Molecular Cloning: A L
aboratory Manual 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に開示
されている。同じ技術を使用して、ゲノムDNAを単離してもよい。
【0265】 簡単に説明すると、検出可能なプローブにハイブリダイズするcDNAまたはゲノ
ムDNAクローンを同定し、以下のさらなる操作のために単離する。5'ESTまたは伸
張cDNAに由来する少なくとも10個連続したヌクレオチドを含むプローブを、放射
性同位元素または蛍光分子などの検出可能な標識物で標識する。好ましくは、プ
ローブは、5'ESTまたは伸張cDNAに由来する少なくとも12、15、または17個連続 したヌクレオチドを含む。より好ましくは、プローブは、5'ESTまたは伸張cDNA に由来する20〜30個連続したヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、プロ
ーブは、5'ESTまたは伸張cDNAに由来する少なくとも40、少なくとも50、少なく とも75、少なくとも100、少なくとも150個、または少なくとも200個連続したヌ クレオチドを含む。
【0266】 プローブを標識する技術は周知であり、ポリヌクレオチドキナーゼによるリン
酸化、ニックトランスレーション、in vitro転写、および非放射性技術が挙げら
れる。ライブラリー中のcDNAまたはゲノムDNAをニトロセルロースまたはナイロ ンフィルターに移し、変性させる。非特異的部位のブロッキング後、プローブと
ハイブリダイズすることができる配列を含むcDNAまたはゲノムDNAに、プローブ がハイブリダイズするのに十分な時間、フィルターを標識したプローブとともに
インキュベートする。
【0267】 検出可能なプローブとハイブリダイズする伸長cDNAまたはゲノムDNAの同定に 使用されるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変えることによ
って、以下に記載のように、プローブとの相同性のレベルが異なる伸長cDNAを同
定し、単離することができる。
【0268】 1.標識プローブに対して高度の相同性を有する伸長cDNAまたはゲノムDNA配列 の同定 プローブ配列と高度の相同性を有する伸長cDNAまたはゲノムDNAを同定するた めに、次式を使用して、プローブの融解温度を算出することが可能である。
【0269】 14〜70ヌクレオチドの長さのプローブの場合、式: Tm=81.5+16.6(log [Na+]
)+0.41(画分G+C)-(600/N)(式中、Nは、プローブの長さである)を使用し
て、融解温度(Tm)を算出する。
【0270】 ホルムアミドを含む溶液中でハイブリダイゼーションを実施する場合、式:Tm
=81.5+16.6(log [Na+])+0.41(画分 G+C)-(0.63% ホルムアミド)-(600/
N)(式中、Nは、プローブの長さである)を使用して、融解温度を算出すること
ができる。
【0271】 6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5%SDS、100μg変性されフラグメント化さ れたサケ精子DNA、または6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5%SDS、100μg変性
されフラグメント化されたサケ精子DNA、50%ホルムアミド中で、プレハイブリ ダイゼーションを実施することが可能である。Sambrookら(前出)には、SSCお よびデンハルト溶液に関する処方が記載されている。
【0272】 上記プレハイブリダイゼーション溶液に検出可能なプローブを加えることによ
ってハイブリダイゼーションを実施する。プローブが二本鎖DNAを含む場合、こ れを変性させてからハイブリダイゼーション溶液に加える。プローブに相補的な
配列またはプローブと相同な配列を含む伸長cDNAまたはゲノムDNAとプローブと をハイブリダイズさせるのに十分な時間、フィルターをハイブリダイゼーション
溶液と接触させる。200ヌクレオチドを超える長さのプローブの場合、Tmより15 〜25℃低い温度でハイブリダイゼーションを実施することが可能である。オリゴ
ヌクレオチドプローブのようなより短いプローブの場合、Tmより15〜25℃低い温
度でハイブリダイゼーションを実施することが可能である。6×SSC中でハイブ リダイズする場合、約68℃でハイブリダイゼーションを実施することが好ましい
。50%ホルムアミド含有溶液中でハイブリダイズする場合、約42℃でハイブリダ
イゼーションを実施することが好ましい。
【0273】 前述のハイブリダイゼーションは全て、「ストリンジェント」な条件下である
と考えられる。 ハイブリダイゼーション後、フィルターを、2×SSC、0.1%SDSで、室温で15 分間洗浄する。次いで、このフィルターを、0.1×SSC、0.5%SDSで、室温で30分
〜1時間洗浄する。その後、この溶液を、0.1×SSC、0.5%SDSで、ハイブリダイ
ゼーション温度で洗浄する。最終的な洗浄を、0.1×SSCで、室温で実施する。
【0274】 伸長cDNA、伸長cDNAもしくは5'ESTと相同な核酸、またはプローブとハイブリ ダイズしたゲノムDNAを、オートラジオグラフィーまたは他の従来技術で同定す る。
【0275】 2.標識プローブに対して低度の相同性を有する伸長cDNAまたはゲノムDNA配列 の同定 プローブ配列との相同性レベルが低い伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、また
はゲノムDNAを同定するために、上記の手法を改変することが可能である。たと えば、検出可能なプローブとの相同性が低い伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、
またはゲノムDNAを得るために、より低いストリンジェント条件を使用してもよ い。たとえば、ナトリウム濃度が約1Mのハイブリダイゼーション緩衝溶液中で
、ハイブリダイゼーション温度を68℃から42℃まで5℃ずつ下げてもよい。ハイ
ブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーション温度にて、2×SSC、0.5%SDS でフィルターを洗浄してもよい。これらの条件は、50℃を超える温度で「中程度
」条件、50℃以下で「低程度」条件であると考えられる。
【0276】 あるいは、ホルムアミドを含む6×SSCのような緩衝液中、42℃の温度で、ハ イブリダイゼーションを実施してもよい。この場合、プローブとの相同性レベル
が低いクローンを同定するために、ハイブリダイゼーション緩衝溶液中のホルム
アミド濃度を50%から0%まで5%ずつ下げてもよい。ハイブリダイゼーション 後、50℃の6×SSC、0.5%SDSでフィルターを洗浄してもよい。これらの条件は、
25%を超えるホルムアミドで「中程度」条件、25%以下のホルムアミドで「低程
度」条件であると考えられる。
【0277】 プローブとハイブリダイズした伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、またはゲノ
ムDNAを、オートラジオグラフィーで同定する。
【0278】 3.得られた伸張cDNAまたはゲノムDNAと標識プローブとの間の相同性の程度の 決定 ハイブリダイズした核酸とプローブが誘導された伸張cDNAまたは5'ESTとの間 の相同性のレベルを決定するために、ハイブリダイズした核酸およびプローブが
誘導された伸張cDNAまたは5'ESTのヌクレオチド配列を比較する。伸張cDNAまた は5'ESTの配列および相同配列を上記の実施例17に記載のコンピューター可読媒 体上に記憶させ、当業者に知られている様々なアルゴリズムのいずれかを使用し
て比較することができる。たとえば、伸長cDNAの対立遺伝子変異体または伸張cD
NAによってコードされるタンパク質に関連するタンパク質をコードする核酸など
の伸張cDNAに相同な核酸を得ることを所望する場合、BLAST2Nなどのアルゴリズ ムを使用して、ハイブリダイズした核酸とプローブとして使用した伸張cDNAまた
は5'ESTとの間の相同性のレベルを決定することができる。パラメータは、配列 の長さおよび研究する相同性の程度に依存して適応することができる。たとえば
、デフォルトパラメータまたは表1および表2のパラメータを使用して、相同性
のレベルを決定することができる。あるいは、ハイブリダイズした核酸とプロー
ブが誘導された伸張cDNAまたは5'ESTとの間の相同性のレベルを、Brutlagら、Co
mp. App. Biosci. 6:237-245, 1990に記載のFASTDBアルゴリズムを用いて、決定
することができる。そのような分析では、パラメータを次のように選択すること
ができる。Matrix=Unitary、k-tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joining Pe
nalty=30、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty
=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500またはプローブにハイブリダ
イズした配列の長さのうち、いずれか短い方。相同性レベルの算出時にFASTDBプ
ログラムは5'または3'短縮型を考慮しないため、プローブにハイブリダイズした
配列が、プローブが誘導された伸張cDNAまたは5'ESTの配列に対して短縮されて いる場合は、ハイブリダイズ配列と一致せず、該配列とアラインメントされなか
った伸張cDNAまたは5'ESTのヌクレオチド数を計算し、ハイブリダイズ配列の全 ヌクレオチドのうちのの非一致または非アラインメントヌクレオチドが表す百分
率を決定し、そして相同性レベルからこの百分率を差し引くことによって、相同
性のレベルを手動で調整する。たとえば、ハイブリダイズ配列の長さが700ヌク レオチドであり、伸張cDNA配列の長さが1000ヌクレオチドであって、ここで、伸
張cDNA配列の5'末端の最初の300塩基がハイブリダイズ配列から欠けており、重 複している700ヌクレオチドが同一である場合、相同性のレベルは以下の通りに 調整される。非一致、非アラインメントの300塩基は伸張cDNAの30%の長さであ る。重複700ヌクレオチドが100%同一である場合、調整される相同性レベルは10
0 −30 = 70%相同性である。前記の調整は、非一致または非アラインメントヌ クレオチドが5'または3'末端にある場合にのみ行われることに注意すべきである
。非一致または非アラインメント配列が内部であるかあるいは他の任意の条件下
にある場合は、調整は行わない。
【0279】 たとえば、上記の方法を用いて、プローブが誘導された伸張cDNAもしくは5'ES
Tに対して少なくとも95%の核酸相同性、少なくとも96%の核酸相同性、少なく とも97%の核酸相同性、少なくとも98%の核酸相同性、少なくとも99%の核酸相
同性、または99%を超える核酸相同性を有する核酸を得て、同定することができ
る。そのような核酸は、対立遺伝子変異体または他の種由来の関連核酸であって
もよい。同様に、漸次低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用
いて、プローブが誘導された伸張cDNAまたは5'ESTに対して少なくとも90%、少 なくとも85%、少なくとも80%または少なくとも75%相同性を有する核酸を得て
、同定することができる。
【0280】 クローンが伸張cDNAまたは5'ESTによってコードされるタンパク質に対して所 定量の相同性を有するタンパク質をコードするかどうかを決定するために、伸張
cDNAまたは5'ESTによってコードされるアミノ酸配列を、ハイブリダイズ核酸に よってコードされるアミノ酸配列と比較する。伸張cDNAまたは5'ESTの配列によ ってコードされる配列および相同配列によってコードされる配列を上記の実施例
17に記載のコンピューター可読媒体上に記憶させ、当業者に知られている様々な
アルゴリズムのいずれかを使用して比較することができる。伸張cDNAまたは5'ES
Tのアミノ酸配列がハイブリダイズ核酸のアミノ酸配列に密接に関連する場合、 相同性が存在すると決定される。配列が伸張cDNAまたは5'ESTの配列と同一であ る場合、あるいは配列が1以上のアミノ酸置換を含有し、ここで、類似の特徴を
有するアミノ酸が相互に置換されている場合、配列は密接に関連する。上記の方
法ならびに配列の長さおよび研究する相同性の程度に依存するパラメータ、たと
えば、デフォルトパラメータまたは表1および表2のパラメータを有するFASTA などのアルゴリズムを使用し、プローブが誘導された伸張cDNAまたは5'ESTによ ってコードされるタンパク質に対して少なくとも99%、少なくとも98%、少なく
とも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%
、少なくとも80%または少なくとも75%の相同性を有するタンパク質をコードす
る核酸を得ることができる。一部の実施形態において、相同性レベルは、「デフ
ォルト」オープニングパラメータおよび「デフォルト」ギャップペナルティー、
ならびにPAM250(標準的な得点マトリックス;Dayhoffら、Atlas of Protein S
equence and Structure,第5巻,補遺3(1978)を参照のこと)などの得点マトリ ックスを用いて決定することができる。
【0281】 あるいは、相同性のレベルを、Brutlagら、Comp. App. Biosci. 6:237-245, 1
990に記載のFASTDBアルゴリズムを用いて、決定することができる。そのような 分析では、パラメータを次のように選択することができる。Matrix=PAM 0、k-t
uple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group
Length=0、Cutoff Score=1、Window Size=Sequence Length、Gap Penalty
=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または相同配列の長さのうち
、いずれか短い方。相同アミノ酸配列が、N末端および/またはC末端欠失の結 果、伸張cDNAまたは5'ESTによりコードされるアミノ酸配列よりも短い場合、以 下の通り、手動で結果を補正することができる。先ず、相補配列と一致せず、該
配列とアラインメントされなかった伸張cDNAまたは5'ESTによってコードされる アミノ酸配列のアミノ酸残基の数を決定する。次いで、伸張cDNAまたは5'ESTに よってコードされる配列の長さのうちの非一致または非アラインメントヌクレオ
チドが表す百分率を算出する。相同性レベルからこの百分率を差し引く。たとえ
ば、伸張cDNAまたは5'ESTによってコードされるアミノ酸配列の長さが100アミノ
酸であり、相同配列の長さが80アミノ酸であって、そして伸張cDNAまたは5'EST によってコードされるアミノ酸配列が相同配列に対してN末端で短縮されている
場合、相同性レベルは以下の通り算出される。上記の設定の場合、伸張cDNAまた
は5'ESTによってコードされる配列中に、20の非一致、非アラインメントアミノ 酸が存在する。これは、伸張cDNAまたは5'ESTによってコードされるアミノ酸配 列の20%の長さを表す。残りのアミノ酸が、2つの配列間で1005同一である場合
、相同性レベルは100% - 20% = 80%相同性である。非一致または非アライン メント配列が内部であるかあるいは他の任意の条件下にある場合は、調整は行わ
ない。
【0282】 上記の方法に加えて、以下の段落に概説するように、5'ESTを用いて伸長cDNA を得るための他のプロトコールを利用することができる。
【0283】 ポリA選択方法または当業者に周知の他の技術を利用したmRNA調製手法を使用
して、目的の組織、細胞、または生物からmRNAを得ることにより、伸長cDNAを調
製することができる。mRNAのポリAテイルとハイブリダイズすることができる第
1のプライマーを、mRNAとハイブリダイズさせ、逆転写反応を実施して、第1の
cDNA鎖を生成する。
【0284】 この第1のcDNA鎖を、伸長cDNAが所望される5´ESTの配列の少なくとも10個連
続したヌクレオチドを含む第2のプライマーとハイブリダイズさせる。このプラ
イマーは、5'ESTの配列に由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌク レオチドを含むことが好ましい。このプライマーは、5'ESTの配列に由来する20 〜30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。一部の実施形態では
、このプライマーは、5´ESTの配列に由来する30個を上回るヌクレオチドを含む
。真の翻訳開始部位を含む、全タンパク質コード配列を含む伸長cDNAを得ること
が望ましい場合、使用される第2のプライマーは、翻訳開始部位の上流に位置す
る配列を含む。第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を生成するために、この第 2のプライマーを伸長する。あるいは、上述の通り、獲得すべきcDNAの両端に由
来するプライマーを使用して、RT-PCRを実施してもよい。
【0285】 伸長cDNAが所望される5'ESTの配列を含むmRNAを、5'ESTに相補的な配列の少な
くとも10個連続したヌクレオチドを含むプライマーとハイブリダイズさせ、ハイ
ブリダイズしたプライマーを逆転写して、mRNAから第1のcDNA鎖を作成すること により、mRNAの5'フラグメントを含む伸長cDNAを調製することが可能である。こ
のプライマーは、5'ESTに由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌク レオチドを含むことが好ましい。このプライマーは、5'ESTに由来する20〜30個 連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。
【0286】 その後、第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を合成する。第1のcDNA鎖の配
列に相補的なプライマーを、第1のcDNA鎖とハイブリダイズさせ、このプライマ
ーを伸長して第2のcDNA鎖を生成することにより、第2のcDNA鎖を作成すること
が可能である。
【0287】 上述の方法を使用して作成された二本鎖伸長cDNAを単離してクローニングする
。この伸長cDNAを、適当な宿主細胞内で複製することができるプラスミドやウイ
ルスベクターなどのベクターにクローニングしてもよい。たとえば、宿主細胞は
、細菌、哺乳類、鳥類、または昆虫の細胞であってもよい。
【0288】 mRNAを単離し、mRNAとハイブリダイズしたプライマーを逆転写して第1のcDNA
鎖を生成し、プライマーを伸長して第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を作成
し、二本鎖cDNAを単離して二本鎖cDNAをクローニングする諸技術は当業者に周知
であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley 503 Sons, Inc
. (1997)および Sambrook ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Se
cond Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)に記載されてい
る。
【0289】 あるいは、全長cDNAまたは伸長cDNAを得るための他の方法を使用してもよい。
1つのアプローチでは、全長cDNAまたは伸長cDNAをmRNAから調製し、以下の通り
に二本鎖ファージミドにクローニングする。次いで、ファージF1のGeneII産物の
ようなエンドヌクレアーゼ、およびエキソヌクレアーゼ(Changら、Gene 127:95
-8,(1993))で処理することにより、二本鎖ファージミドのcDNAライブラリー を一本鎖にする。5'ESTの配列を含むビオチニル化オリゴヌクレオチド、または その少なくとも10個のヌクレオチドを含むフラグメントを、一本鎖ファージミド
とハイブリダイズする。このフラグメントは、5'ESTに由来する少なくとも12、1
5、または17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。このフラグメント は、5'ESTに由来する20〜30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好まし い。一部の方法では、このフラグメントは、5'ESTに由来する30個を上回る連続 したヌクレオチドを含んでもよい。たとえば、フラグメントは、5'ESTに由来す る少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150
、または少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含んでもよい。
【0290】 ビオチニル化オリゴヌクレオチドと、5'EST配列を含む挿入物を有するファー ジミドとの間のハイブリッドを、このハイブリッドをストレプトアビジン被覆常
磁性ビーズと共にインキュベートし、磁石を用いてビーズを回収することによっ
て単離する(Fryら、Biotechniques, 13: 124-131(1992))。その後、このよう
にして得られた5'EST配列を含むファージミドをビーズから放出し、5'EST配列に
特異的なプライマーを使用して、二本鎖DNAに変換する。あるいは、Gene Trappe
rキット(Gibco BRL)などのプロトコールを使用してもよい。このようにして得ら
れた二本鎖DNAを、細菌に形質転換する。5'EST配列を含む伸長cDNAを、コロニー
PCRまたはコロニーハイブリダイゼーションにより同定する。 セクションIIIの上記の方法のいずれかを用いて、全長タンパク質コーディング (をコードする)配列、またはシグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質
のみをコードする 配列を含む複数の伸長cDNAを、下記のような、コードされた タンパク質のその後の評価または診断アッセイにおける使用のためにcDNA ライ ブラリーとして、提供することができる。
【0291】 IV. 5´ ESTを使用して単離される伸長cDNAによりコードされるタンパク質の発
現 以下の実施例30に記載の通り、対応するmRNAの全タンパク質コーディング(を
コードする)配列またはその一部を含む伸長cDNA、たとえば、成熟タンパク質を
コードするcDNAを使用して、コードされた分泌タンパク質またはその一部を発現
させることが可能である。所望であれば、この伸長cDNAは、発現タンパク質の分
泌を促進するために、シグナルペプチドをコードする配列を含んでもよい。以下
に記載するように、全タンパク質をコードする配列またはその一部を含む複数の
伸長cDNAを、発現ベクターに同時にクローニングして、コードされたタンパク質
を分析するための発現ライブラリーを作成できることは、十分に理解されるであ
ろう。
【0292】 (実施例 30 ) 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質の発現 上記の伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を発現させるた
めに、発現させるべきタンパク質またはその一部に関するコード配列を含む核酸
を、実施例27〜29に記載の通りに獲得し得、適当な発現ベクターにクローニング
する。所望であれば、この核酸は、発現されるタンパク質の分泌を促進するため
に、シグナルペプチドをコードする配列を含んでもよい。たとえば、核酸は、表
4および添付の配列表に記載されている配列番号40〜84および130〜154の1つの
配列を含んでもよい。あるいは、核酸は、上記の表4に記載の配列番号40〜84お
よび130〜154の配列の1つの全コード配列を構成するヌクレオチドを含んでもよ
い。
【0293】 シークエンシングエラー、逆転写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、
コードされたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、
または他の生物学的因子の結果として、全コード配列(すなわち、シグナルペプ
チド、およびシグナルペプチドの切断により生じる成熟タンパク質をコードする
配列)の範囲が、表4に記載されているものと異なる場合、当業者は、配列番号
40〜84および130〜154の配列における全コード配列の範囲を容易に同定できるで
あろうことは、十分に理解されるであろう。したがって、配列番号40〜84および
130〜154の1つの全コード配列を含む核酸に関する本明細書における請求の範囲
も、表4に記載の全コード配列から容易に同定できる任意の変異体または等価物
を除外すると考えてはならない。同様に、前述の諸因子のいずれかの結果として
、全長ポリペプチドの範囲が、表5記載されているものと異なる場合、全長ポリ
ペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する請求の範囲は、表5に記載
の配列から容易に同定できる変異体または等価物を除外すると考えてはならない
。 あるいは、タンパク質またはその一部を発現させるのに使用される核酸は、上
記の表4に記載の配列番号40〜84および130〜154の配列の1つによりコードされ
る成熟タンパク質(すなわち、シグナルペプチドを切り取ることにより生成する
タンパク質)をコードするヌクレオチドを含んでもよい。
【0294】 シークエンシングエラー、逆転写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、
コードされたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、
または他の生物学的因子、の結果として、成熟タンパク質をコードする配列の範
囲が、表4に記載されているものと異なる場合、当業者は、配列番号40〜84およ
び130〜154の配列における成熟タンパクをコードする配列の範囲を容易に同定で
きるであろうことは、十分に理解されるであろう。したがって、配列番号40〜84
および130〜154の1つによってコードされる成熟タンパクをコードする配列を含
む核酸に関する本明細書における請求の範囲も、表4に記載の配列から容易に同
定できる任意の変異体または等価物を除外すると考えてはならない。したがって
、成熟タンパク質をコードする配列を含む核酸に関する請求の範囲、表4に記載
されている配列の等価物、たとえば、シグナルペプチドの切断に加えて、翻訳後
修飾、酵素的切断から生じる生物学的に活性なタンパク質、またはその他の、分
泌タンパク質から容易に同定できる変異体または等価物をコードする配列を含む
。同様に、前述の諸因子のいずれかの結果として、成熟ポリペプチドの範囲が表
5に記載されているものと異なる場合、配列番号85〜129および155〜179の1つ の配列に含まれる成熟タンパク質の配列を含むポリペプチドに関する請求の範囲
は、表5に記載の配列から容易に同定できる任意の変異体または等価物を除外す
ると考えてはならない。したがって、成熟タンパク質の配列を含むポリペプチド
に関する請求の範囲は、表4に記載の配列の等価物、たとえば、シグナルペプチ
ドの切断に加えて、翻訳後修飾、酵素的切断から生じる生物学的に活性なタンパ
ク質、あるいは、その他の、分泌タンパク質から容易に同定できる変異体または
等価物を含む。配列番号85〜129および155〜179の1つの配列に含まれる生物学 的活性型のポリペプチドまたは、その生物学的活性型のポリペプチドをコードす
る核酸が、シークエンシングエラー、逆転写エラー、増幅エラー、mRNAスプライ
シング、コードされたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の酵素
的切断、またはその他の生物学的因子の結果として、表5中の成熟ポリペプチド
として同定されたものまたは表4中の成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチ
ドと異なる場合、当業者は、その生物学的活性型のポリペプチド内のアミノ酸お
よびその生物学的活性型のポリペプチドをコードする核酸を容易に同定できるで
あろうことは、十分に理解されるであろう。このような場合、配列番号85〜129 および155〜179の1つに含まれる成熟タンパク質を含むポリペプチドまたは成熟
タンパク質をコードする配列番号40〜84および130〜154の1つのヌクレオチドを
含む核酸に関連した請求の範囲は、表4および表5に記載されている配列から容
易に同定できる任意の変異体を除外すると考えてはならない。 一部の実施形態において、タンパク質またはその一部を発現させるのに使用さ
れる核酸は、上記表4に記載されている配列番号40〜84および130〜154の配列の
1つによりコードされるシグナルペプチドをコードするヌクレオチドを含んでも
よい。
【0295】 シグナルペプチドをコードする配列の範囲が、シークエンシングエラー、逆転
写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、コードされたタンパク質の翻訳後
修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、または他の生物学的因子の結果と
して、表4に記載されているものと異なる場合、当業者は、配列番号40〜84およ
び130〜154の配列におけるシグナルペプチドをコードする配列の範囲を容易に同
定できるであろうことは、十分に理解されるであろう。したがって、配列番号40
〜84および130〜154の1つによりコードされるシグナルペプチドをコードする配
列を含む核酸に関する本明細書における請求の範囲は、表4に記載の配列からの
容易に同定できる変異体を除外すると考えてはならない。同様に、前述の諸因子
のいずれかの結果として、シグナルペプチドの範囲が、表5に示されるものと異
なる場合、配列番号85〜129および155〜179の1つの配列に含まれるシグナルペ プチドの配列を含むポリペプチドに関する請求の範囲は、表5に記載の配列から
容易に同定できる任意の変異体を除外すると考えてはならない。
【0296】 あるいは、この核酸は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少な くとも10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。一部の実
施形態において、核酸は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少な くとも15個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。他の実施
形態において、核酸は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少なく とも25個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。他の実施形
態において、核酸は、配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少なくと も60、少なくとも75、少なくとも100または100を超える連続したアミノ酸を含む
ポリペプチドをコードすることができる。
【0297】 発現ベクターに挿入される核酸は、シグナルペプチドをコードする配列の上流
にある配列、たとえば、発現レベルを調節する配列または組織特異的発現を与え
る配列を含んでもよい。 従来のクローニング技術を使用して、発現させるべきタンパク質またはポリペ
プチドをコードする核酸を、発現ベクターにおけるプロモーターに作動可能に連
結させる。発現ベクターは、当該技術分野で周知の哺乳類、酵母、昆虫または細
菌発現系のいずれであってもよい。市販のベクターおよび発現系は、Genetics I
nstitute(Cambridge, MA)、Stratagene(La Jolla, California)、Promega(
Madison, Wisconsin)、および Invitrogen(San Diego, California)を含む様
々な製造業者から入手できる。Hatfieldら、米国特許第5,082,767号によって説 明される通り、所望により、発現を強化し且つ適当なタンパク質の折り畳みを促
進するために、発現ベクターが導入される特定の発現生物に合わせて、配列のコ
ドンコンテクストおよびコドンペアリングを最適化することができる。
【0298】 上述の5'ESTまたは核酸に対応する伸長cDNAによりコードされるタンパク質を 発現させる代表的な方法を以下に提供する。最初に、遺伝子のメチオニン開始コ
ドンおよび遺伝子のポリAシグナルを同定する。発現させるポリペプチドをコー
ドする核酸に、開始部位部位の役割をするメチオニンが欠如している場合、従来
技術を使用して、核酸の第1コドンの隣に開始用メチオニンを導入することがで きる。同様に、伸長cDNAにポリAシグナルが欠如している場合、たとえば、BglI
およびSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を使用して、pSG5(Stratagene)からポ
リAシグナルをスプライシングし、哺乳類発現ベクターpXT1(Stratagene)に組
み込むことにより、この配列を構築物に付加することができる。pXT1は、LTRお よびモロニーマウス白血病ウイルスからのgag遺伝子の一部を含む。この構築物 におけるLTRの位置は、能率的な安定したトランスフェクションを可能にする。 ベクターは、単純疱疹(Herpes Simplex)チミジンキナーゼプロモーターおよび
選択可能なネオマイシン遺伝子を含む。伸長cDNAまたはその一部に相補的で、且
つ5´プライマーに組み込まれたPst Iおよび対応するcDNA3´ プライマーの5´
末端のBglIIに対する制限エンドヌクレアーゼ配列を含むオリゴヌクレオチドプ ライマーを使用し、伸長cDNAが確実にポリAシグナルと一緒にフレーム内に配置
されるように気をつけて、発現すべきポリペプチドをコードする伸長cDNAまたは
その一部を、PCRにより、細菌ベクターから得る。このようにしてPCR反応により
得られた精製フラグメントをPstIで消化し、エキソヌクレアーゼで平滑末端化し
、BglIIで消化し、精製し、さらに、ポリAシグナルを含み且つBglIIで消化した
pXT1に連結する。
【0299】 製品仕様書に略述されている条件下で、リポフェクチン(Lipofectin) (Lif
e Technologies, Inc., Grand Island, New York)を使用して、この連結生成物
をマウスNIH 3T3細胞にトランスフェクションする。600μg/ml G418 (Sigma,
St. Louis, Missouri)中で、トランスフェクトした細胞を増殖させた後、陽性 のトランスフェクタントを選択する。発現したタンパク質が培地中に放出され、
その結果、精製が容易になることが好ましい。
【0300】 あるいは、上述の通り、伸長cDNAをpED6dpc2にクローニングしてもよい。この
ようにして得られたpED6dpc2構築物を、COS1細胞などの、適当な宿主細胞にトラ
ンスフェクトしてもよい。メトトレキセート耐性細胞を選択して増殖させる。伸
長cDNAから発現したタンパク質が培地に放出され、その結果、精製が容易になる
ことが好ましい。 培地中のタンパク質を、ゲル電気泳動法で分離する。所望であれば、電気泳動
の前に、タンパク質を硫酸アンモニウム沈殿させてもよく、あるいは、サイズま
たは電荷に基づいて分離してもよい。
【0301】 対照として、cDNA挿入物がない発現ベクターを宿主細胞または生物に導入し、
培地中のタンパク質を収穫する。クーマシー染色または銀染色などの技術を使用
するかまたは伸長cDNAによりコードされるタンパク質に対する抗体を使用して、
培地中に存在する分泌タンパク質を検出する。クーマシー染色技術および銀染色
技術は、当業者に知られている。 適当な5´ EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされる配列を有する 合成の15マー(15-mer)ペプチドを使用して、目的のタンパク質を特異的に認識
することができる抗体を生成することができる。この合成ペプチドをマウスにマ
ウスに注射し、5´ EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされるポリペ プチドに対する抗体を生成する。
【0302】 5'ESTまたはその一部から誘導された伸長cDNAを含む発現ベクターを含む宿主 細胞または生物からの分泌タンパク質を、対照細胞または生物からのものと比較
する。対照細胞の培地中に存在しないバンドが、発現ベクターを含む細胞の培地
中に存在することは、伸長cDNAが分泌タンパク質をコードすることを示す。一般
に、伸長cDNAによりコードされるタンパク質に対応するバンドは、伸長cDNAのオ
ープンリーディングフレーム内のアミノ酸の数に基づいて予期されるものに近い
移動度を有する。しかし、このバンドは、グリコシル化、ユビキチン化、または
酵素的切断などの、修飾の結果として予期されるものとは異なる移動度を有する
ことがある。
【0303】 あるいは、上記発現ベクターから発現したタンパク質が、その分泌、を指令す
る配列を含まない場合、分泌タンパク質またはその一部をコードする挿入物を含
む発現ベクターを含む宿主細胞から発現したタンパク質を、挿入物を含まない発
現ベクターを含む対照の宿主細胞で発現したタンパク質と比較することができる
。挿入物を含まない発現ベクターを含む細胞からの試料中に存在しないバンドが
、挿入物を含む発現ベクターを含む細胞からの試料中に存在することは、所望の
タンパク質またはその一部が発現されていることを示す。一般に、このバンドは
、分泌タンパク質またはその一部に対して予期される移動度を有する。しかし、
バンドは、グリコシル化、ユビキチン化、または酵素的切断などの、修飾の結果
として予期されるものとは異なる移動度を有することがある。
【0304】 標準的なイムノクロマトグラフィー技術を使用して、伸長cDNAによりコードさ
れるタンパク質を精製することができる。このような方法では、培地または細胞
抽出物のような分泌タンパク質を含む溶液を、クロマトグラフィーマトリックス
に付着させた分泌タンパク質に対する抗体を有するカラムにアプライする。分泌
タンパク質を、イムノクロマトグラフィーカラムに結合させる。その後、カラム
を洗浄して、非特異的に結合したタンパク質を除去する。次いで、特異的に結合
した分泌タンパク質を、カラムから放出させ、標準技術を使用して回収する。
【0305】 抗体を産生することができない場合、キメラのポリペプチドを使用して、精製
計画における使用のために設計された発現ベクターに、伸長cDNA配列またはその
一部を組み込んでもよい。このような方法で、伸長cDNAまたはその一部のコード
配列を、キメラの残りの半分をコードしている遺伝子とともにインフレームで挿
入する。キメラの残り半分は、β-グロビンまたはニッケル結合ポリペプチドの コード配列であってもよい。次いで、β-グロビンに対する抗体を有するか、ニ ッケルが付着したクロマトグラフィーマトリックスを使用して、キメラタンパク
質を精製する。β-グロビン遺伝子またはニッケル結合性ポリペプチドと、伸長c
DNAまたはその一部との間の、プロテアーゼ切断部位を操作することが可能であ る。したがって、キメラの2つのポリペプチドを、プロテアーゼ消化によって互
いに分離することが可能である。
【0306】 β-グロビンキメラの生成に有用な1つの発現ベクターは、ウサギβ-グロビン
をコードするpSG5(Stratagene)である。ウサギβ-グロビン遺伝子のイントロ ンIIは、発現した転写物のスプライシングを促進し、構築物に組み込まれたポリ
アデニル化シグナルは、発現レベルを高める。記載されているこれらの技術は、
分子生物学の当業者には周知である。標準的な方法は、Davisら、(Basic Metho
ds in Molecular Biology, L.G. Davis, M.D. Dibner,およびJ.F. Battey, ed.,
Elsevier Press, NY, 1986)のような方法教本に公表されており、方法の多く は、Stratagene, Life Technologies, Inc., またはPromegaから入手できる。In
vitro ExpressTM Translation Kit (Stratagene)のようなin vitro 翻訳システ
ムを使用して、構築物からさらなるポリペプチドを作成することができる。
【0307】 5'EST、伸長cDNA、またはそのフラグメントによりコードされる分泌タンパク 質を発現させ、精製した後、以下の実施例31に記載のように、精製タンパク質が
様々な細胞型の表面に結合する能力を試験することができる。以下に具体的に記
載されている活性、ならびに活性を決定するためのアッセイを利用できる他の生
物学的役割について同時に評価すべきタンパク質のパネルに、これらのcDNAから
発現した複数のタンパク質を含めてもよいことは、十分に理解されるであろう。
【0308】 (実施例 31) 分泌タンパク質が細胞表面に結合するかどうかを決定するための分泌タンパク質
の分析 上記5'EST、伸長cDNA、またはそのフラグメントによりコードされるタンパク 質を、実施例30に記載されているような発現ベクターにクローニングする。サイ
ズ、電荷、イムノクロマトグラフィーまたは当業者に知られている他の技術によ
って、このタンパク質を精製する。精製後、当業者に公知の技術を使用して、こ
のタンパク質を標識する。標識されたタンパク質を、様々な器官または組織に由
来する細胞または細胞系と共にインキュベートし、このタンパク質を、細胞表面
上に存在する任意のレセプターに結合させる。インキュベーション後、細胞を洗
浄して、非特異的に結合したタンパク質を除去する。標識タンパク質をオートラ
ジオグラフィーで検出する。あるいは、非標識タンパク質を細胞と共にインキュ
ベートし、検出可能な標識を有する抗体、たとえば、蛍光分子が付着した抗体を
用いて検出してもよい。
【0309】 様々な量の非標識タンパク質を標識タンパク質と一緒にインキュベートする競
合分析を実施することにより、細胞表面結合の特異性を分析することができる。
競合的非標識タンパク質の量が増加するにつれて、細胞表面に結合した標識タン
パク質の量が減少する。対照として、標識タンパク質と無関係の様々な量の非標
識タンパク質を、幾つかの結合反応に含める。結合反応において、無関係の非標
識タンパク質の量を増加させても、細胞表面に結合した表面標識タンパク質の量
は減少せず、cDNAによりコードされるタンパク質が細胞表面に特異的に結合する
ことが示唆される。
【0310】 上述の通り、分泌タンパク質は、多数の重要な生理学的効果を有し、結果とし
て、貴重な治療剤源であることが示されている。下記の通り、実施例27〜29に従
って作成された、伸長cDNAまたはその一部によりコードされる分泌タンパク質を
評価して、その生理学的活性を決定することが可能である。
【0311】 (実施例 32) 伸長cDNAまたはその一部から発現したタンパク質の、サイトカイン、細胞増殖ま
たは細胞分化活性に関するアッセイ 上述の通り、分泌タンパク質は、サイトカイン類として作用し、または細胞増殖
もしくは分化に影響を及ぼす可能性がある。現在までに発見された多くのタンパ
ク質因子は、全ての既知のサイトカイン類を含め、1つまたは複数の因子依存的
細胞増殖アッセイにおいて活性を示しており、従って、これらのアッセイは、サ
イトカイン活性の便利な確認方法となる。32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、B
aF3、MC9/G、M+(preBM+)、2E8、RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF-1、
Mo7cおよびCMKを含むが、これに限定されない細胞系では、多数の日常的な因子 依存的細胞増殖アッセイのいずれか1つによって、本発明のタンパク質の活性が
証明される。上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、上
述のようなアッセイまたは下記の参考文献に記載されているようなアッセイにお
いて、T細胞または胸腺細胞の増殖を調節する能力について評価することが可能 である(Current Protocols in Immunology, Ed. by J.E. Coliganら、Greene P
ublishing Associates and Wiley-Interscience;Takaiら、J.Immunol. 137:349
4-3500 (1986);Bertagnolliら、J. Immunol. 145:1706-1712 (1990);Bertagno
lliら、Cellular Immunology 133:327-341 (1991);Bertagnolliら、J. Immunol
. 149:3778-3783 (1992);Bowmanら、J. Immunol. 152:1756-1761 (1994))。
【0312】 さらに、サイトカイン産生ならびに/または脾臓細胞、リンパ節細胞および胸
腺細胞の増殖に関する多くのアッセイが知られている。このようなものとしては
、Current Protocols in Immunology. J.E. Coliganら、Eds., Vol 1 pp. 3.12
.1-3.12.14 John Wiley and Sons, Toronto. (1994);および Schreiber, R.D. Current Protocols in Immunology(前出) Vol 1 pp. 6.8.1-6.8.8, John Wi
ley and Sons, Toronto. (1994)に開示されている技術が挙げられる。
【0313】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が造血細胞またはリンパ球産生細胞の
増殖および分化を調節する能力について、アッセイすることも可能である。以下
の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に関する多くのア
ッセイは、当業者に周知である。(Bottomly, K., Davis, L.S.およびLipsky, P
.E., Measurement of Human and Murine Interleukin 2 and Interleukin 4, C
urrent Protocols in Immunology., J.E. Coliganら、Eds. Vol 1 pp. 6.3.1-6.
3.12, John Wiley and Sons, Toronto. (1991); deVriesら、J. Exp. Med. 173:
1205-1211, 1991; Moreauら、Nature 36:690-692, (1988); Greenbergerら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2931-2938, (1983); Nordan, R., Measurement
of Mouse and Human Interleukin 6. Current Protocols in Immunology. J.E
. Coliganら、Eds. Vol 1 pp. 6.6.1-6.6.5, John Wiley and Sons, Toronto. (
1991); Smithら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:1857-1861, 1986; Benne
tt, F., Giannotti, J., Clark, S.C.およびTurner, K.J., Measurement of Hum
an Interleukin 11. Current Protocols in Immunology. J.E. Coliganら、Eds.
Vol 1 pp. 6.15.1 John Wiley and Sons, Toronto. (1991);ならびに Ciarlett
a, A., Giannotti, J., Clark, S.C.およびTurner, K.J., Measurement of Mous
e and Human Interleukin 9. Current Protocols in Immunology. J.E. Coligan
ら、Eds. Vol 1 pp. 6.13.1, John Wiley and Sons, Toronto. (1991) )。
【0314】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が、抗原に対するT細胞応答を調節す る能力について、アッセイすることも可能である。以下の参考文献に記載されて
いるアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に周知
である。(Chapter 3 (In Vitro Assays for Mouse Lymphocyte Function), Cha
pter 6 (Cytokines and Their Cellular Receptors)およびChapter 7, (Immunol
ogic Studies in Humans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら 、Eds. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience; Weinbergerら
、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6091-6095 (1980); Weinbergerら、Eur. J.
Immun. 11:405-411 (1981); Takaiら、J. Immunol. 137:3494-3500 (1986); な らびにTakaiら、J. Immunol 140:508-512 (1988))。
【0315】 次いで、サイトカイン、細胞増殖、または細胞分化活性を示すタンパク質を医
薬として製剤化し、細胞増殖または分化の誘導が有益である臨床状態の治療に使
用することが可能である。あるいは、以下に詳述する通り、これらのタンパク質
をコードする遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を適当な宿
主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることも
可能である。
【0316】 (実施例 33) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の免疫系レギュレーターとし
ての活性に関するアッセイ 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、その免疫レギュレーターとしての
効果について評価することも可能である。たとえば、胸腺細胞細胞障害性または
脾細胞細胞障害性を左右する活性について、このタンパク質を評価することが可
能である。以下の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に
関する多くのアッセイは、当業者に知られている。(Chapter 3 (In Vitro Assa
ys for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19)およびChapter 7 (Immunologic s
tudies in Humans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds,
Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience; Herrmannら、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492(1981); Herrmannら、J. Immunol. 128:196
8-1974 (1982); Handaら、J. Immunol. 135:1564-1572 (1985); Takaiら、J.
Immunol. 137:3494-3500 (1986); Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988);
Herrmannら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492 (1981); Herrmann ら J. Immunol. 128:1968-1974 (1982); Handaら、J. Immunol. 135:1564-1572
(1985); Takaiら、J. Immunol. 137:3494-3500 (1986); Bowmanら、J. Virol
ogy 61:1992-1998; Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988); Bertagnolli
ら、Cellular Immunology 133:327-341 (1991);ならびにBrownら、J. Immunol.
153:3079-3092 (1994))。
【0317】 T細胞依存性免疫グロブリン応答およびアイソタイプスイッチングに及ぼす影
響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質を評価することも可能であ
る。以下の参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する
多くのアッセイは、当業者に知られている(Maliszewski, J. Immunol. 144:302
8-3033 (1990)ならびにMond, J.J.およびBrunswick, M. Assays for B Cell Fun
ction: In vitro Antibody Production, Vol 1 pp. 3.8.1-3.8.16 Current Pro
tocols in Immunology. J.E. Coligan ら Eds., John Wiley and Sons, Toronto
. (1994))。
【0318】 Th1細胞および細胞障害性リンパ球に及ぼす影響を含め、免疫エフェクター細 胞に及ぼす影響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質を評価するこ
ともできる。以下の参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性
に関する多くのアッセイは、当業者に知られている(Chapter 3 (In Vitro Assa
ys for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19)およびChapter 7 (Immunologic S
tudies in Humans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds.,
Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience; Takaiら、J. Immuno
l. 137:3494-3500 (1986); Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988)ならびに
Bertagnolliら、J. Immunol. 149:3778-3783 (1992))。
【0319】 ナイーブT細胞の樹状細胞介在性活性化に及ぼす影響について、上記cDNAによ
りコードされるタンパク質を評価することもできる。以下の参考文献に開示され
ているアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に知
られている(Gueryら、J. Immunol. 134:536-544 (1995); Inabaら、Journal of
Experimental Medicine 173:549-559 (1991); Macatoniaら、 Journal of Immu
nology 154:5071-5079 (1995); Porgadorら、Journal of Experimental Medici
ne 182:255-260 (1995); Nairら、Journal of Virology 67:4062-4069 (1993);
Huangら、Science 264:961-965 (1994)、Macatoniaら、Journal of Experimen
tal Medicine 169:1255-1264 (1989); Bhardwajら、Journal of Clinical Inves
tigation 94:797-807 (1994)およびInabaら、Journal of Experimental Medicin
e 172:631-640 (1990)。
【0320】 リンパの寿命に及ぼす影響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質
を評価することもできる。以下の参考文献に開示されているアッセイを含め、こ
のような活性に関する多くのアッセイは、当業者に知られている(Darzynkiewic
zら、Cytometry 13:795-808 (1992);Gorczycaら、Leukemia 7:659-670 (1993) ;Gorczycaら、Cancer Research 53:1945-1951 (1993);Itohら、Cell 66:233-2
43 (1991);Zacharchukら、Journal of Immunology 145:4037-4045 (1990);Zam
aiら、Cytometry 14:891-897 (1993);およびGorczycaら、International Journ
al of Oncology 1:639-648 (1992))。
【0321】 T細胞拘束および発生の初期段階に影響を及ぼすタンパク質に関するアッセイ
としては、Anticaら、Blood 84:111-117 (1994);Fineら、Cellular Immunol
ogy 155:111-122 (1994);Galyら、Blood 85:2770-2778 (1995);および
Tokiら、Proc. Nat. Acad Sci. USA 88:7548-7551 (1991)に記載されている ものなどがあるが、この限りではない。
【0322】 次いで、免疫系レギュレーター活性としての活性を示すタンパク質を医薬とし
て製剤化し、免疫活性の調節が有益である臨床状態の治療に使用することができ
る。たとえば、このタンパク質は、様々な免疫不全症および免疫疾患(重度複合
型免疫不全症(SCID)を含む)の治療、たとえば、Tリンパ球および/またはB
リンパ球の成長および増殖の調節(アップレギュレーションまたはダウンレギュ
レーション)、ならびにNK細胞および他の細胞集団の細胞溶解活性の遂行に有用
な可能性がある。これらの免疫不全症は、遺伝性のことや、ウイルイス感染(た
とえば、HIV)ならびに細菌感染または真菌感染に起因することもあり、あるい は、自己免疫疾患によることもある。さらに具体的には、本発明のタンパク質を
使用して、HIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、マイコバクテリウム、レイ ンマニア(リューシュマニア)種、マラリア種による感染症およびカンジダ症の
ような様々な真菌感染症を含む、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染または他の
感染に起因する感染症を治療できる。もちろん、この点に関して、本発明のタン
パク質は、免疫系を高めることが一般に望ましい可能性がある場合、すなわち、
癌の治療においても有用であり得る。
【0323】 本発明のタンパク質を使用して治療することができる自己免疫疾患としては、
たとえば、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リ
ウマチ、自己免疫性肺炎症、ギヤン・バレー症候群、自己免疫甲状腺炎、インス
リン依存性糖尿病、重症筋無力症、移植片対宿主病および自己免疫性炎症性眼疾
患などが挙げられる。このような本発明のタンパク質は、アレルギー反応および
アレルギー状態、たとえば、喘息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸の問
題の治療にも有用な可能性がある。本発明のタンパク質を使用して、免疫抑制が
望ましい他の病態(たとえば、臓器移植を含む)も治療することが可能である。
【0324】 本発明のタンパク質を使用して、多数の方法で、免疫応答を調節できることも
ある。ダウンレギュレーションは、既に進行中の免疫応答を阻害または遮断する
形態であってもよく、あるいは、免疫応答の誘導を防止することを含んでもよい
。T細胞応答を抑制することによって、またはT細胞における特異的寛容を誘導 することによって、またはその両者によって、活性化T細胞の機能を阻害するこ
とが可能である。T細胞応答の免疫抑制は、一般に、T細胞を免疫抑制剤に連続
的に曝露することが必要な、活性で、非抗原特異的な過程である。寛容は、T細
胞における無応答またはアネルギーの誘導を含み、一般に抗原特異的であり且つ
寛容化剤への曝露を停止した後も持続する点で、免疫抑制と区別できる。機能的
には、寛容化剤の非存在下で特異的抗原に再曝露したとき、T細胞応答がないこ
とによって、寛容を証明することができる。
【0325】 1つまたは複数の抗原機能(Bリンパ球抗原機能(たとえば、B7など)などが
挙げられるが、その限りではない)をダウンレギュレートまたは防止すること、
たとえば、活性化T細胞による高レベルリンホカイン合成を防止することは、組
織、皮膚および臓器移植の状況ならびに移植片対宿主病(GVHD)において有用で
ある。たとえば、組織移植において、T細胞機能を遮断すると、組織破壊が減少
する。一般に、組織移植において、移植片の拒絶は、T細胞による異物としての
認識を介して開始し、続いて移植片を破壊する免疫反応が起こる。B7リンパ球抗
原と免疫細胞上のその天然リガンドとの相互作用を阻害または遮断する分子を(
たとえば、B7-2活性を有する可溶性のモノマー型のペプチドを単独で、または別
のBリンパ球抗原(たとえば、B7-1、B7-3)の活性を有するモノマー型のペプチ
ドまたはブロッキング抗体と併用して)移植前に投与すると、対応する補助刺激
シグナルを伝達することなしに、その分子は免疫細胞上の天然リガンドに結合す
ることができる。この様式でのBリンパ球抗原機能の遮断は、T細胞などの免疫
細胞によるサイトカイン合成を防止し、したがって、免疫抑制剤として作用する
。さらに、補助刺激の欠如は、T細胞をアネルギー化し、それによって、被験対
象に寛容を誘導するのにも十分な可能性がある。Bリンパ球抗原-ブロッキング 試薬により長期寛容を誘導すると、これらのブロッキング試薬の反復投与の必要
性をなくすことができる。被験対象において十分な免疫抑制または寛容を達成す
るために、Bリンパ球抗原の併用の機能を阻止することも必要なことがある。
【0326】 ヒトにおける効果を予示する動物モデルを使用して、臓器移植片拒絶またはGV
HDを防止する上での特定のブロッキング試薬の効果を査定することができる。使
用できる適当な系の例としては、ラットでの同種異系心移植片およびマウスでの
異種膵臓島細胞移植片などが挙げられ、両者とも、Lenschowら、Science 257:7
89-792 (1992)およびTurkaら、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89:11102-11105
(1992)に記載されている通り、in vivoでのCTLA4Ig融合タンパク質の免疫抑制
効果の試験に使用されている。さらに、GVHDのマウスモデル(Paul ed., Fundam
ental Immunology, Raven Press, New York,(1989)、 pp.846-847を参照され たい)を使用して、in vivoで、Bリンパ球抗原機能の遮断がその疾患の発症に 及ぼす影響を決定することができる。
【0327】 抗原機能の遮断はまた、自己免疫疾患の治療に治療上有用な可能性がある。多
くの自己免疫疾患は、自己組織に対して反応し、且つ諸疾患の病理に関与するサ
イトカイン類および自己抗体の産生を促進するT細胞の不適当な活性化の結果で ある。自己反応性T細胞の活性化を防止することにより、疾患症状を低減または
除去することが可能である。Bリンパ球抗原のレセプターリガンド相互作用を混
乱させることによりT細胞の補助刺激を遮断する試薬を投与して、T細胞活性化
を阻害し且つ疾患経過に関与する可能性がある自己抗体またはT細胞由来のサイ
トカイン類の産生を防止することができる。さらに、ブロッキング試薬は、疾患
の長期緩和を導くことができる自己反応性T細胞の抗原特異的寛容を誘導するこ
とが可能である。多数の十分に特性化された、ヒト自己免疫疾患の動物モデルを
使用して、自己免疫疾患の予防または軽減におけるブロッキング試薬の効果を決
定することができる。例としては、マウスの実験的自己免疫脳炎、MRL/pr/pr マウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性エリテマトーデス、マウス オートイムノコラーゲン関節炎、ODマウスおよびBBラットにおける糖尿病、およ
びマウス実験的重症筋無力症などがある(Paul ed., Fundamental Immunology,
Raven Press, New York, (1989)、 pp.840-856参照)。
【0328】 免疫応答をアップレギュレートする手段としての、抗原機能(好ましくはBリ
ンパ球抗原機能)のアップレギュレーションは、治療においても有用な可能性が
ある。免疫応答のアップレギュレーションは、既存の免疫応答を強化する形態で
あってもよく、あるいは、初回免疫応答を誘発する形態であってもよい。たとえ
ば、Bリンパ球抗原機能の刺激を介した免疫応答の強化は、ウイルス感染の場合
に有用な可能性がある。さらに、刺激型Bリンパ球抗原の全身投与により、イン フルエンザ、風邪、および脳炎などの、全身性ウイルス性疾患を軽減することが
できる。
【0329】 あるいは、患者からT細胞を取り出し、本発明のペプチドを発現しているウイ
ルス抗原パルスAPCを用いて、またはウイルス抗原パルスAPCと刺激型の本発明の
可溶性ペプチドを一緒に用いて、in vitroでT細胞を補助刺激し、さらにin vit
roで活性化したT細胞を患者に再導入することにより、感染患者における抗ウイ
ルス免疫応答を強化することができる。このとき、感染細胞は、in vivoで補助 刺激シグナルをT細胞に送達することができ、その結果、T細胞を活性化するこ
とができる。
【0330】 別の用途では、抗原機能(好ましくはBリンパ球抗原機能)のアップレギュレ ーションまたは強化が、腫瘍免疫の誘導に有用な可能性がある。被験対象におけ
る腫瘍特異的寛容を克服するために、少なくとも1つの本発明のペプチドをコー
ドする核酸を用いてトランスフェクトした腫瘍細胞(たとえば、肉腫、黒色腫、
リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、癌腫)を被験対象に投与することができる。
必要に応じて、腫瘍細胞をペプチドの組み合せを発現させるようにトランスフェ
クトすることができる。たとえば、ex vivoで B7-2様活性を有するペプチドの発
現を指令する発現ベクターのみを用いて、あるいはB7-1-l様活性 および/また は B7-3様 活性を有するペプチドと一緒に用いて、患者から採取した腫瘍細胞を
トランスフェクトすることができる。トランスフェクトされた腫瘍細胞を患者に
戻すと、トランスフェクトされた細胞の表面上に、そのペプチドが発現する。あ
るいは、遺伝子治療技術を使用して、in vivoトランスフェクション用の腫瘍細 胞を標的とすることができる。
【0331】 Bリンパ球抗原の活性を有する本発明のペプチドが腫瘍細胞の表面上に存在す
ると、トランスフェクトされた腫瘍細胞に対するT細胞介在性免疫応答を誘導す
るのに必要な補助刺激シグナルをT細胞に提供する。さらに、MHCクラスIα鎖タ
ンパク質およびβ2マクログロブリンタンパク質もしくはMHCクラスIIα鎖タンパ
ク質およびMHCクラスIIβ鎖タンパク質の全部または一部(たとえば、細胞質ド メイン短縮部分)をコードする核酸を用いて、MHCクラスI分子またはMHCクラスI
I分子が欠如した腫瘍細胞、または十分な量のMHCクラスI分子またはMHCクラスII
分子を再発現することができない腫瘍細胞をトランスフェクトし、それによって
、MHCクラスIまたはMHCクラスIIタンパク質を細胞表面上に発現させることがで きる。適当なクラスII、またはクラスII MHCとBリンパ球抗原(たとえば、B7-
1、B7-2、B7-3)の活性を有するペプチドが一緒に発現すると、トランスフェク トされた腫瘍細胞に対するT細胞介在性免疫応答を誘導する。任意に、Bリンパ 球抗原の活性を有するペプチドをコードするDNAと、MHCクラスII関連のタンパク
質の発現を阻止するアンチセンス構築物をコードする遺伝子、たとえば、不変鎖
をコトランスフェクトして、腫瘍関連抗原の提示を促進し且つ腫瘍特異的免疫を
誘導することもできる。したがって、ヒト被験者におけるT細胞介在性免疫応答
の誘導は、その被験者における腫瘍特異的寛容を克服するのに十分な可能性があ
る。あるいは、以下にさらに詳細に説明する通り、これらのタンパク質をコード
する遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を適当な宿主細胞に
導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることができる。
【0332】 (実施例 34) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の造血調節活性に関するアッ
セイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、その造血調節
活性について評価することもできる。たとえば、そのタンパク質が胚性幹細胞分
化に及ぼす作用を評価することができる。以下の参考文献に開示されているアッ
セイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に周知である(
Johanssonら、Cellular Biology 15:141-151 (1995); Kellerら、Molecular
and Cellular Biology 13:473-486 (1993); および McClanahanら、Blood
81:2903-2915 (1993))。
【0333】 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、幹細胞の寿命
および幹細胞分化に対するそれらの影響について評価することもできる。以下の
参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッ
セイは、当業者に知られている(Freshney, M.G. Methylcellulose Colony Form
ing Assays, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 26
5-268, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. (1994);Hirayamaら、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 89:5907-5911 (1992);McNiece, I.K.およびBriddell, R.A. Pri
mitive Hematopoietic Colony Forming Cells with High Proliferative Potent
ial, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、eds. Vol pp. 23-39
, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. (1994);Nebenら、Experimental Hematolo
gy 22:353-359 (1994);Ploemacher, R.E. Cobblestone Area Forming Cell Ass
ay, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 1-21, Wile
y-Liss, Inc., New York, NY. (1994);Spooncer, E., Dexter, M.およびAllen,
T. Long Term Bone Marrow Cultures in the Presence of Stromal Cells, Cul
ture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 163-179, Wiley-L
iss, Inc., New York, NY. (1994);ならびにSutherland, H.J. Long Term Cult
ure Initiating Cell Assay, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshne
yら、Eds. pp. 139-162, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. (1994)。
【0334】 次いで、造血調節活性を示すタンパク質を医薬として製剤化し、造血の調節が
有益な臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明のタンパク質
は、造血の調節に有用な可能性があり、その結果、骨髄系細胞不全症またはリン
パ系細胞不全症の治療に有用な可能性がある。コロニー形成細胞または因子依存
性細胞系を支援する最低限の生物学的活性でさえも、造血の調節における関与を
示し、たとえば、単独でまたは他のサイトカイン類と組み合せて、赤血球前駆細
胞の成長および増殖の支援し、それによって、たとえば、様々な貧血の治療にお
ける、または赤血球前駆体および/または赤血球系細胞の産生を刺激するための
照射/化学療法との併用における有用性を示し、あるいは、たとえば、化学療法
と併用して、化学療法の結果として起こる骨髄抑制を予防または治療するのに有
用な顆粒球および単球/マクロファージ(すなわち、伝統的なCSF活性)などの 、骨髄細胞の成長および増殖の支援し、あるいは、巨核球の成長および増殖なら
びにその結果として生じる血小板を支援し、それによって、血小板減少症などの
、様々な血小板障害の予防および治療を可能にし、さらに、一般に血小板輸血の
代わりにまたは血小板輸血の捕捉に使用することを可能にし、且つ/あるいは上
述の造血細胞のいずれかおよび全てを成熟させることができる造血幹細胞の成長
および増殖を支援し、したがって、様々な幹細胞障害(再生不良性貧血および発
作性夜間血色素尿症などが挙げられるが、その限りではない、通常は移植により
治療されるものなど)、ならびにin vivo またはex vivoのいずれかでの(すな
わち、骨髄移植または末梢前駆細胞移植(同種または異種)と共同して)、照射
/化学療法後の、幹細胞区画の再殖において、正常細胞として、または遺伝子治
療用に遺伝子操作された細胞として、治療的有用性を見出す。あるいは、以下に
さらに詳細に説明する通り、これらのタンパク質をコードする遺伝子またはこれ
らのタンパク質の発現を調節する核酸を、適当な宿主細胞に導入して、タンパク
質の発現を望み通りに増加または減少させることができる。
【0335】 (実施例35) 伸長cDNAまたはその一部からから発現されたタンパク質の、組織成長の調節に関
するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、組織成長に対
するそれらの作用について評価することも可能である。このような活性に関する
多くのアッセイは、国際特許公報第WO95/16035号、国際特許公報第WO95/05846
号および国際特許公報第WO91/07491号に開示のアッセイを含め、当業者に周知 である。
【0336】 創傷治癒活性に関するアッセイとしては、Winter, Epidermal Wound Healing,
pps.71-112 (Maibach, H1およびRovee, DT, eds.), Year Book Medical Publis
hers, Inc., Chicago, EaglsteinおよびMertzにより修正, J. Invest. Dermatol
. 71:382-84 (1978)に記載されているものが挙げられるが、この限りではない。
【0337】 次いで、組織成長の調節に関与するタンパク質を医薬として製剤化し、組織成
長の調節が有用である臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発
明のタンパク質は、骨、軟骨、腱、靭帯および/または神経組織の成長または調
節用ならびに創傷治癒、組織修復および組織置換用に使用される組成物、ならび
に火傷、切り傷および潰瘍の治療においても有用な可能性がある。
【0338】 本発明のタンパク質は、骨が正常に形成されない状況で、軟骨および/または
骨の成長を誘導し、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨損傷または欠損
の治癒に使用される。本発明のタンパク質を使用するこのような調製物は、閉鎖
骨折ならびに開放骨折を減少させるために予防的に使用することが可能であり、
改良された人工関節の固定にも使用することが可能である。骨形成剤により誘導
される新規骨形成は、先天的、外傷性、または腫瘍学的切除誘導性頭蓋顔面欠損
の修復に貢献し、また、美容成形手術においても有用である。
【0339】 本発明のタンパク質を、歯周病の治療およびその他の歯の修復過程にも使用す
ることができる。このような薬剤は、骨形成性細胞を誘引し、骨形成性細胞の増
殖を刺激し、あるいは骨形成性細胞の前駆細胞の分化を誘導する環境を提供する
ことができる。本発明のタンパク質は、骨および/または軟骨修復の刺激、ある
いは炎症過程が介在する炎症または組織破壊過程(コラゲナーゼ活性、破骨細胞
活性など)の遮断などによって、骨粗鬆症または変形性関節炎の治療にも有用な
可能性がある。
【0340】 本発明のタンパク質に起因する可能性がある別のカテゴリーの組織再生活性は
、腱/靭帯形成である。腱/靭帯様組織または他の組織が正常に形成されない状
況で、このような組織形成を誘導する、本発明のタンパク質は、ヒトおよび他の
動物における腱または靭帯の断裂、変形部および他の腱または靭帯の欠損の治癒
に使用される。腱/靭帯様組織誘導性タンパク質を使用するこのような調製物は
、腱または靭帯組織への損傷を防止するために予防的に使用され、ならびに骨ま
たは他の組織への腱または靭帯の改良された固定に、腱または靭帯組織の欠損修
復使用される。本発明の組成物により誘導されるde novo腱/靭帯様組織形成は 、先天的腱欠損または靭帯欠損、外傷性腱欠損または靭帯欠損、あるいは他の原
因によるその他の腱欠損または靭帯欠損の修復に貢献し、且つ腱または靭帯を付
着または修復するのための美容成形手術にも有用である。本発明の組成物は、腱
形成性細胞または靭帯形成性細胞を誘引し、腱形成性細胞または靭帯形成性細胞
の増殖を刺激し、腱形成性細胞または靭帯形成性細胞の前駆細胞の分化を誘導し
、あるいはex vivoで腱/靭帯細胞または前駆細胞の増殖を誘導し、in vivoで戻
して組織修復を実行する環境を提供することが可能である。本発明の組成物は、
腱炎、手根管症候群および他の腱欠損または靭帯欠損の治療にも有用な可能性が
ある。この組成物は、担体として、当技術分野で周知の適当なマトリックスおよ
び/または封鎖剤も含んでもよい。
【0341】 本発明のタンパク質は、神経細胞の増殖ならびに神経および脳組織の再生、す
なわち、中枢神経系疾患、末梢神経系疾患、およびニューロパシー、ならびに神
経細胞または神経組織の退行変性、死または外傷を含む機械的障害および外傷性
障害の治療にも有用な可能性がある。さらに具体的には、このタンパク質を、末
梢神経傷害、末梢ニューロパシーおよび限局性ニューロパシーなどの末梢神経系
疾患、ならびに、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、筋
萎縮性側索硬化症、およびシャイ-ドレジャー症候群などの中枢神経系疾患の治 療に使用することが可能である。本発明に従って治療することができるさらなる
病気としては、機械的障害および外傷性障害、たとえば、脊髄障害、頭部外傷お
よび卒中などの脳血管性疾患などが挙げられる。本発明のタンパク質を使用して
、化学療法または他の医学的治療に起因する末梢ニューロパシーも治療できる。
【0342】 本発明のタンパク質は、圧迫性潰瘍、血管不全関連の潰瘍、手術性および外傷
性創傷などを含むが、これに制限されない未治癒創傷のより良いまたはより速い
閉鎖の促進にも有用な可能性がある。
【0343】 本発明のタンパク質は、他の組織、たとえば、器官(たとえば、膵臓、肝臓、
腸、腎臓、皮膚、内皮を含む)、筋(平滑筋、骨格筋、または心筋)および血管
(血管内皮を含む)組織の発生または再生、あるいはこのような組織を含む細胞
の増殖促進に関する活性を示すこともできる。所望の効果の一部は、正常組織を
発生させるための線維性瘢痕形成の阻害または調節によってもよい。本発明のタ
ンパク質は、血管形成活性も示すことができる。
【0344】 本発明のタンパク質は、腸管保護または再生ならびに肺線維症、肝線維症、様
々な組織における再灌流障害、および全身性サイトカイン(cytokine)損傷に起
因する病気の治療にも有用な可能性がある。
【0345】 本発明のタンパク質は、前駆体組織または細胞から上述の組織が分化するのを
促進または阻害したり、あるいは上述の組織の成長を阻害したりするのにも有用
な可能性がある。
【0346】 あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これらのタンパク質をコード
する遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を、適当な宿主細胞
に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることができる
【0347】 (実施例36) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、生殖ホルモン類または細
胞運動の調節に関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、卵胞刺激ホル
モンなどの、生殖ホルモン類を調節するその能力についても評価することができ
る。以下の参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する
多くのアッセイは、当業者に周知である(Valeら、Endocrinology 91:562-572 (
1972);Lingら、Nature 321:779-782 (1986);Valeら、Nature 321:776-779 (19
86);Masonら、Nature 318:659-663 (1985);Forageら、Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 83:3091-3095 (1986). Chapter 6.12 (Measurement of Alpha and Beta
Chemokines) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds. Greene
Publishing Associates and Wiley-Intersciece;Taubら、J. Clin. Invest. 9
5:1370-1376 (1995);Lindら、APMIS 103:140-146 (1995);Mullerら、Eur. J.
Immunol. 25:1744-1748;Gruberら、J. of Immunol. 152:5860-5867 (1994);お よびJohnstonら、J. of Immunol. 153:1762-1768 (1994))。
【0348】 次いで、生殖ホルモン類または細胞運動のレギュレーターとしての活性を示す
タンパク質を、医薬として製剤化し、生殖ホルモン類または細胞運動の調節が有
益である臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明のタンパク
質は、アクチビン関連活性またはインヒビン関連活性も示すことができる。イン
ヒビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を阻害する能力を特徴とし、アクチ ビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激する能力を特徴とする。したが って、本発明のタンパク質は、単独で、またはインヒビンαファミリーの一員と
のヘテロダイマーの状態で、メス哺乳類における受精能を低下させ、且つオス哺
乳類における精子形成を減少させるというインヒビンの能力に基づいた避妊薬と
して有用な可能性がある。十分量の他のインヒビンを投与して、これらの哺乳類
における不妊を誘導することができる。あるいは、本発明のタンパク質は、ホモ
ダイマーとして、またはインヒビン-B群の他のタンパク質サブユニットとのヘテ
ロダイマーとして、アクチビン分子が脳下垂体前葉細胞からのFSH放出を刺激す る能力に基づいた受精能誘導療法として有用な可能性がある。たとえば、米国特
許第4,798,885号を参照されたい。本発明のタンパク質は、ウシ、ヒツジおよび ブタなどの、家畜の生涯生殖能力を高めるために、性的に未熟な哺乳類における
受精の開始を促進するのにも有用な可能性がある。
【0349】 あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これらのタンパク質をコード
する遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を、適当な宿主細胞
に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることができる
【0350】 (実施例36A) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、走化性/化学運動活性に
関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、走化性/化学
運動活性について評価することもできる。たとえば、本発明のタンパク質は、た
とえば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球(cosinophil
)、上皮および/または内皮細胞などの、哺乳類細胞に対たいする走化性または
化学運動活性を有する(たとえば、ケモカインとして作用する)可能性がある。
走化性タンパク質および化学運動性タンパク質を使用して、所望の細胞集団を所
望の作用部位に動員または誘引することができる。走化性タンパク質または化学
運動性タンパク質は、組織への創傷および他の外傷の治療、ならびに限局性感染
症の治療において、特別の利益を提供する。たとえば、腫瘍または感染部位への
リンパ球、単球または好中球を誘引すると、腫瘍または感染性作因に対する免疫
応答が改善され得る。
【0351】 タンパク質またはペプチドは、ある特定の細胞集団の指令された配向性または
運動を、直接または間接的に刺激することができる場合、このような細胞集団に
向かう(に対して)走化性活性を有する。上記タンパク質またはペプチドは、細
胞の指令された運動を直接刺激する能力を有することが好ましい。細胞走化性用
の周知のアッセイのいずれかで、このようなタンパク質またはペプチドを使用し
て、ある特定のタンパク質が細胞集団に対する走化性活性を有するかどうかを容
易に決定することができる。
【0352】 本発明のタンパク質の活性は、ほかにも方法はあるが、下記の方法で測定する
ことができる。 走化性活性に関するアッセイ(走化性を誘導または妨害するタンパク質を同定
する)は、タンパク質が、膜を横切って、細胞の移動を誘導する能力、ならびに
、タンパク質が、1つの細胞集団の別の細胞集団への接着を誘導する能力を測定
するアッセイで構成される。運動および接着に適するアッセイとしては、Curren
t Protocols in Immunology, Ed by J.E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H. Marg
ulies, E.M. Shevach, W. Strober, Pub. Greene Publishing Associates and W
iley-Interscience (Chapter 6.12, Measurement of alpha and beta Chemokinc
s 6.12.1-6.12.28;Taubら、J. Clin. Invest. 95:1370-1376 (1995);Lindら、
APMIS 103:140-146 (1995);Muellerら、Eur. J. Immunol. 25:1744-1748;Grub
erら、J. of Immunol. 152:5860-5867 (1994);および Johnstonら、J. of Imm
unol. 153:1762-1768 (1994)に記載されているものが挙げられるが、この限りで
はない。
【0353】 (実施例37) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、血液凝固の調節に関する
アッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、血液凝固に対
する作用について評価することもできる。以下の参考文献に開示されているアッ
セイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に知られている
(Linetら、J. Clin. Pharmacol. 26:131-140 (1986);Burdickら、Thrombosis
Res. 45:413-419 (1987);Humphreyら、Fibrinolysis 5:71-79 (1991);およびS
chaub, Prostaglandins 35:467-474 (1988))。
【0354】 次いで、血液凝固の調節に関与するタンパク質を医薬として製剤化し、血液凝
固の調節が有益な臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明の
タンパク質は、止血活性または血栓溶解活性を示すこともできる。結果として、
このようなタンパク質は、様々な凝固障害(血友病などの遺伝性障害を含む)の
治療、あるいは外傷、手術またはその他の原因により生じる創傷の治療における
凝固および他の止血事象の強化に、有用であると予期される。本発明のタンパク
質は、血栓の溶解または血栓形成の阻害、ならびにそれから生じる病気(たとえ
ば、心筋梗塞や中枢神経系脈管梗塞(たとえば、卒中)など)の治療および予防
にも有用な可能性がある。あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これ
らのタンパク質をコードする遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する
核酸を適当な宿主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減
少させることができる。
【0355】 (実施例38) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、レセプター/リガンド相
互作用における関与に関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、レセプター/
リガンド相互作用におけるその関与について、評価することもできる。以下の参
考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関与する多くのアッ
セイは、当業者に知られている(Chapter 7.28 (Measurement of Cellular Adhe
sion under Static Conditions 7.28.1-7.28.22) Current Protocols in Immuno
logy, J.E. Coligan らEds. Greene Publishing Associates and Wiley-Intersc
ience;Takaiら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:6864-6868 (1987);Biererら
、J. Exp. Med. 168:1145-1156 (1988);Rosensteinら、J. Exp. Med. 169:149-
160 (1989);Stoltenborgら、J. Immunol. Methods 175:59-68 (1994);Stittら
、Cell 80:661-670 (1995);およびGyurisら、Cell 75:791-803 (1993))。
【0356】 たとえば、本発明のタンパク質は、レセプター、レセプターリガンドあるいは
レセプター/リガンド相互作用のインヒビターもしくはアゴニストとしての活性
を示すこともできる。このようなレセプターおよびリガンドの例としては、サイ
トカインレセプターおよびそのリガンド、レセプターキナーゼおよびそのリガン
ド、レセプターホスファターゼおよびそのリガンド、細胞-細胞相互作用に関与 するレセプターおよびそのリガンド(細胞接着分子(セレクチン、インテグリン
およびそれらのリガンドなど)ならびに、抗原提示、抗原認識、細胞性免疫応答
および体液性応答の発生に関与するレセプター/リガンド対を含むが、その限り
ではない)などが挙げられるが、この限りではない。レセプターおよびリガンド
は、関係のあるレセプター/リガンド相互作用の潜在的ペプチドインヒビターま
たは低分子インヒビターのスクリーニングにも有用である。本発明のタンパク質
(レセプターおよびリガンドのフラグメントを含むが、その限りではない)その
ものが、レセプター/リガンド相互作用のインヒビターとして、有用な可能性が
ある。
【0357】 (実施例38A) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、抗炎症性活性に関するア
ッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、抗炎症性活性
について評価することも可能である。抗炎症性活性は、細胞−細胞相互作用(た
とえば、細胞接着など)を阻害もしくは促進することにより、炎症性経過に関与
する細胞の走化性を阻害もしくは促進することにより、細胞浸出を阻害もしくは
促進することにより、あるいは、炎症性応答をより直接に阻害もしくは促進する
他の因子の産生を刺激もしくは抑制することにより、炎症性応答に関与する細胞
に刺激を与えることによって達成できる。このような活性を示すタンパク質を使
用して、感染関連の炎症(敗血症性ショック、敗血症または全身性炎症性応答症
候群(SIRS))、虚血‐再灌流障害、内毒素死亡、関節炎、補体介在性超急性拒
絶、腎炎、サイトカインまたはケモカイン誘導性肺傷害、炎症性腸疾患、クロー
ン病またはTNFあるいはIL-1などのサイトカイン類の過剰産生に起因する炎症状 態を含むが、その限りではない炎症状態(慢性状態または急性状態を含む)を治
療することができる。本発明のタンパク質は、抗原性物質または材料に対するア
ナフィラキシーおよび過敏症の治療にも有用な可能性がある。
【0358】 (実施例38B) 伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、腫瘍阻害活性に関するア
ッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、腫瘍阻害活性
について評価することもできる。上述の腫瘍の免疫学的治療または予防に関する
活性に加えて、本発明のタンパク質は、他の抗腫瘍活性を示すことができる。タ
ンパク質は、腫瘍成長を直接にまたは間接的に(たとえば、ADCCを介して)阻害
することが可能である。タンパク質は、腫瘍組織または腫瘍前駆組織に対して作
用することにより、腫瘍成長を維持するのに必要な組織の形成を阻害することに
より(たとえば、血管形成を阻害することにより)、腫瘍成長を阻害する他の因
子、作因または細胞型を産生させることにより、あるいは、腫瘍成長を促進する
因子、作因または細胞型を抑制、除去(climinating)または阻害することによ り、その腫瘍阻害活性を示すことができる。
【0359】 本発明のタンパク質はまた、下記のさらなる活性または効果の1つまたは複数
を示すことができる:細菌、ウイルス、菌類および他の寄生虫を含むがこれに限
定されない感染作因の成長、感染または機能を阻害すること、または死滅させる
こと、身長、体重、毛髪の色、目の色、皮膚、肥満率もしくは他の組織沈着、ま
たは器官もしくは身体部分のサイズまたは形状(たとえば、胸部の増大または縮
小、骨の形または形状の変化)を含むが、これに限定されない身体的特徴をもた
らすこと(抑制または強化)、バイオリズム、概日周期または概日リズムをもた
らすこと、オスまたはメス被験対象の受精能をもたらすこと、食物脂肪、脂質、
タンパク質、炭水化物、ビタミン類、ミネラル、補助因子または他の栄養因子も
しくは成分の代謝、異化、同化、処理、利用、貯蔵または排泄(climination) をもたらすこと、食欲、リビドー、ストレス、認識(認識障害を含む)、鬱病(
抑鬱性障害を含む)および暴力行為を含むが、これに限定されない挙動特性をも
たらすこと、鎮痛効果または他の疼痛低減効果を提供すること、造血系以外の系
における胚性幹細胞の分化および増殖を促進すること、ホルモン活性または内分
泌活性、酵素の場合、酵素の欠乏を修正して、欠乏関連疾患を治療すること、増
殖過剰障害(たとえば、乾癬)の治療、イムノグロブリン様活性(たとえば、抗
原または補体を結合する能力)、ならびに、このようなタンパク質に対する、ま
たはこのようなタンパク質と交差反応する別の材料もしくは実体に対する免疫応
答を高めるためのワクチン組成物において抗原として作用する能力。
【0360】 (実施例39) 伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互に作用するタンパク質の同定 Matchmaker Two Hybrid System 2 (カタログ番号 K1604-1、Clontech)などの ツーハイブリッドシステムを使用して、伸長cDNAまたはその一部によりコードさ
れるポリペプチドと相互に作用するタンパク質、たとえば、レセプタータンパク
質を同定することができる。 Matchmaker Two Hybrid System 2 (カタログ番号
K1604-1、Clontech)に添付されているマニュアルに記載されている通りに、伸長
cDNAまたはその一部を、酵母転写アクチベーターGAL4のDNA結合ドメインをコー ドするDNAと一緒にインフレームで、発現ベクターに挿入する。伸長cDNAまたは その一部によりコードされるポリペプチドと相互に作用すると考えられるタンパ
ク質をコードするcDNAライブラリー中のcDNAを、GAL4の活性化ドメインをコード
するDNAと一緒にインフレームで、第2の発現ベクターに挿入する。この2つの発
現プラスミドを酵母に形質転換し、各発現ベクター上の選択可能マーカーの発現
ならびにHIS3遺伝子のGAL4依存性発現に関して選択する選択培地上に、この酵母
をプレーティングする。ヒスチジンが欠けた培地上で増殖できる形質転換体を、
GAL4依存性lacZ発現に関してスクリーニングする。ヒスチジン選択およびlacZア
ッセイの両者で陽性である細胞は、伸長cDNAまたはその一部によりコードされる
ポリペプチドと相互に作用するタンパク質をコードするプラスミドを含む。
【0361】 あるいは、Lustigら、Methods in Enzymology 283: 83-99(1997)に記載さ れているシステムを、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互に作用す
る分子の同定に使用してもよい。このようなシステムにおいて、in vitro転写を
推進するプロモーターの下流にクローニングした伸長cDNA挿入物を含むベクター
のプールを対象に、in vitro転写反応が実施される。このようにして得られたmR
NAのプールをXenopus laevis卵母細胞に導入する。次いで、この卵母細胞を、所
望の活性についてアッセイする。
【0362】 あるいは、上述の通りに産生されてプールされたin vitro転写生成物をin vit
roで翻訳することが可能である。プールされたin vitro翻訳生成物を、所望の活
性または既知のポリペプチドとの相互作用についてアッセイすることができる。
【0363】 様々なさらなる技術によって、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相
互に作用するタンパク質または他の分子を確認することができる。1つの方法で
は、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリペプチドが入っているアフ
ィニティカラムを構築することができる。この方法の幾つかのバージョンで、ア
フィニティカラムには、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質
がグルタチオンS-トランスフェラーゼと融合しているキメラタンパク質が入って
いる。細胞タンパク質の混合物または上述のような発現タンパク質のプールをア
フィニティカラムにアプライする。次いで、Ramunsenら、Electrophoresis 18:5
88-598 (1997)に記載されている通りに、2-D電気泳動ゲルを用いて、カラムに付
着させたポリペプチドと相互に作用するタンパク質を単離し、分析することがで
きる。あるいは、電気泳動を基礎とする方法で、アフィニティカラム上に保持さ
れたタンパク質を精製し、配列決定することができる。抗体を単離するために、
ファージディスプレイ生成物をスクリーニングするために、またはファージディ
スプレイヒト抗体をスクリーニングするために、同じ方法を使用することができ
る。
【0364】 Edwards & Leatherbarrow, Analytical Biochemistry, 246:1-6(1997)に記
載されているようなOptical Biosensorを使用して、伸長cDNAまたはその一部に よりコードされるポリペプチドと相互に作用するタンパク質をスクリーニングす
ることもできる。この方法の主な利点は、タンパク質と他の相互作用分子との間
の会合率を測定できることである。したがって、高会合率または低会合率を有す
る相互作用分子を特異的に選択することが可能である。一般に、標的分子をセン
サー表面に(カルボキシメチルデキストランマトリックスを介して)連結し、被
験分子の試料を、標的分子と接触させて置く。被験分子が標的分子に結合すると
、屈折率および/または厚さが変化する。この変化が極微な範囲(センサー表面
から数百ナノメートル(manometer)に及ぶ)で発生するのであれば、これを、上 記Biosensorで検出する。これらのスクリーニングアッセイにおいて、標的分子 は、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリペプチドの1つであっても
よく、被験試料は、組織または細胞から抽出されたタンパク質のコレクション、
発現タンパク質のプール、コンビナトリアルペプチドおよび/または化学物質ラ
イブラリー、あるいはファージディスプレイされたペプチドであってもよい。被
験タンパク質が抽出される組織または細胞は、任意の種に由来してもよい。
【0365】 他の方法では、標的タンパク質は固定化されており、被験集団は、伸長cDNAま
たはその一部によりコードされる独特のポリペプチドのコレクションである。
【0366】 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質と薬物との相互作用を
研究するために、Wangら、Chromatographia 44:205-208(1997)により記載さ れているHPLC方法と連結させた微小透析法またはBuschら、J. Chromatogr. 777
:311-328 (1997)により記載されているアフィニティーキャピラリー電気泳動
方法を使用することができる。
【0367】 米国特許第5,654,150号に記載のシステムを使用して、伸長cDNAによりコード されるポリペプチドと相互に作用する分子を同定することもできる。このシステ
ムにおいて、伸長cDNAのプールをin vitroで転写および翻訳し、既知のポリペプ
チドまたは抗体との相互作用について、反応生成物をアッセイする。
【0368】 上に具体的に列挙したものに加えて、多くの活性について、伸長cDNAまたはそ
の一部から発現したタンパク質をアッセイできることは、当業者に十分に理解さ
れるであろう。たとえば、炎症、腫瘍増殖、腫瘍転移、感染、あるいは他の臨床
状態の管理および調節を含む適用について、発現したタンパク質を評価すること
ができる。さらに、上記伸長cDNAまたはその一部から発現したタンパク質は、栄
養剤または化粧品として有用であり得る。
【0369】 以下の実施例40に記載されている通り、上記伸長cDNAまたはその一部から発現
したタンパク質を使用して、発現タンパク質またはそのフラグメントに特異的に
結合することができる抗体を生成することができる。この抗体は、配列番号40〜
59、61〜73、75、77〜82および130〜154の配列の1つによりコードされる全長タ
ンパク質、配列番号40〜59、61〜75、77〜82および130〜154の配列の1つにより
コードされる成熟タンパク質、または配列番号40〜59、61〜73、75、77〜82、84
および130〜154の配列の1つによりコードされるシグナルペプチドを結合するこ
とができる。あるいは、この抗体は、配列番号85〜129および155〜179の配列の 少なくとも10アミノ酸を含む伸長cDNAから発現したタンパク質のフラグメントを
結合することができる。一部の実施形態において、抗体は、配列番号85〜129お よび155〜179の配列の少なくとも15アミノ酸を含む伸長cDNAから発現したタンパ
ク質のフラグメントを結合することができる。他の実施形態では、抗体は、配列
番号85〜129および155〜179の配列の少なくとも25アミノ酸を含む伸長cDNAから 発現したタンパク質のフラグメントを結合することができる。さらなる実施形態
では、抗体は、配列番号85〜129および155〜179の配列の少なくとも40アミノ酸 を含む伸長cDNAから発現したタンパク質のフラグメントを結合することができる
【0370】 (実施例40) ヒトタンパク質に対する抗体の産生 実施例30に記載されている通りに、実質的に純粋なタンパク質またはポリペ プチドを、トランスフェクトされた細胞または形質転換された細胞から単離する
。最終調製物中のタンパク質濃度を、たとえば、Amiconフィルター装置上の濃度
により、数μg/mlのレベルに調製する。次いで、上記タンパクに対するモノク ローナル抗体またはポリクローナル抗体を、下記の通りに調製することができる
【0371】 A.ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体産生 記載通りに同定され、単離されたペプチドのいずれかのエピトープに対するモ
ノクローナル抗体を、Kohler, G.およびMilstein, C., Nature 256:495 (1975) の古典的方法、またはそれから派生した方法に従って、マウスハイブリドーマか
ら調製することができる。簡単に記載すると、誘導された、選択されたタンパク
質またはペプチド数μgを、数週間にわたって、マウスに繰返し接種する。次い で、このマウスを屠殺し、脾臓の抗体産生細胞を単離する。ポリエチレングリコ
ールを使用して、この脾細胞を、マウス骨髄腫細胞と融合させ、アミノプテリン
を含む選択的培地(HAT培地)上におけるこの系の増殖によって、過剰の非融合 細胞を破壊する。首尾よく融合した細胞を希釈し、希釈液のアリコートをマイク
ロタイタープレートのウェルに入れ、そこで培養物の増殖を続ける。Engvall, E
., Meth. Enzymol. 70:419 (1980)によって初めて記載された、エライザ(Elisa
)などのイムノアッセイ手法およびそれから派生した方法による、ウェルの上清
中の抗体の検出によって、抗体産生クローンを同定する。選択された陽性クロー
ンを増殖させ、使用するために、そのモノクローナル抗体生成物を収穫すること
ができる。Davis, L.ら、Basic Methods in Molecular Biology Elsevier, New
York. Section 21-2には、モノクローナル抗体産生に関する詳細な方法が記載さ
れている。
【0372】 B.免疫化によるポリクローナル抗体産生 修飾されていなくてもよく、または免疫原性を強化するために修飾されていて
もよい、上述の発現タンパク質またはそれから誘導されるペプチドで、適当な動
物を免疫化することにより、1つのタンパク質のうちの異成分からなるエピトー
プに対する抗体を含むポリクローナル抗血清を調製することができる。有効なポ
リクローナル抗体産生は、抗原および宿主種の両者に関連した多くの因子による
影響を受ける。たとえば、低分子は、他のものより免疫原性が低い傾向があり、
担体およびアジュバントを使用することが必要なことがある。また、宿主動物は
、接種部位および用量に対する応答が異なり、抗原の用量が不充分な場合も過剰
な場合も、共に、低力価抗血清をもたらす)複数の皮内部位に投与される低用量
(ngレベル)の抗原が最も信頼できるようである。Vaitukaitis, J.ら、J. Clin
. Endocrinol. Metab. 33:988-991 (1971)には、ウサギのための有効な免疫 化 プロトコールが記載されている。
【0373】 一定間隔で追加抗原注射し、たとえば、既知濃度の抗原に対する寒天内二重免
疫拡散法により半定量的に測定して、その抗体価が低下しはじめるとき、抗血清
を収穫することができる。たとえば、Ouchterlony, O.ら、Chap. 19 : Handbook
of Experimental Immunology D. Wier (ed) Blackwell (1973)を参照されたい 。通常、抗体のプラトー濃度は、0.1〜0.2mg/ml血清(約12μM)の範囲である 。たとえば、Fisher, D., Chap. 42 : Manual of Clinical Immunology, 2d Ed.
(RoseおよびFriedman, Eds.) Amer. Soc. For Microbiol., Washington, D.C.
(1980)により記載されている通りに、競合的結合曲線を作成することにより、抗
原に対する抗血清のアフィニティを決定する。
【0374】 いずれのプロトコールに準拠して調製された抗体調製物も、生物学的試料中の
抗原担持物質の濃度を決定する定量的イムノアッセイに有用であり、また、生物
学的試料中の抗原の存在を同定するために、半定量的に、または定量的に使用す
る。そのタンパク質を発現する細胞を死滅させるための治療用組成物中、または
そのタンパク質の体内レベルを低下させるための治療用組成物中にも、上記抗体
を使用することができる。
【0375】 V.伸長cDNAまたはその一部の試薬としての使用 上記本発明の伸長cDNAを、単離方法、診断用アッセイ、および法医学的手法に
おける試薬として使用することができる。たとえば、伸長cDNA(またはそれから
得られるゲノムDNA)からの配列を検出可能に標識し、プローブとして使用して 、それとハイブリダイズすることができる他の配列を単離することができる。さ
らに、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からの配列を使用して、 単離方法、診断方法、または法医学的手法において使用するためのPCRプライマ ーを設計することができる。
【0376】 (実施例41) PCRプライマーの調製およびDNAの増幅 上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を使用して、このような 配列とハイブリダイズすることができる核酸をクローニングするための単離方法
、診断技術および法医学的技術を含め、様々な用途向けのPCRプライマーを調製 することができる。このPCRプライマーは、少なくとも10塩基であり、好ましく は、少なくとも12、15、または17塩基の長さである。さらに好ましくは、このPC
Rプライマーは、少なくとも20〜30塩基の長さである。一部の実施形態では、PCR
プライマーは、30塩基を超える長さであってもよい。プライマー対は、融解温度
がほぼ同じであるように、ほぼ同じG/C比を有することが好ましい。様々なPCR 技術が当業者に周知である。PCR技術の総説に関しては、Molecular Cloning to
Genetic Engineering White, B.A. Ed. Methods in Molecular Biology 67: Hum
ana Press, Totowa (1997)を参照されたい。これらの各PCR方法において、増幅 すべき核酸配列の各側のPCRプライマーを、dNTPおよびTaqポリメラーゼ、Pfuポ リメラーゼ、またはVentポリメラーゼなどの耐熱性ポリメラーゼと一緒に、適当
に調製された核酸試料に加える。試料中の核酸を変性させ、PCRプライマーを、 試料中の相補的核酸配列と特異的にハイブリダイズさせる。ハイブリダイズした
プライマーを伸長させる。その後、別のサイクルの変性、ハイブリダイゼーショ
ン、および伸長を開始する。このサイクルを複数回反復して、プライマー部位の
間のこの核酸配列を含む、増幅されたフラグメントを作成する。
【0377】 (実施例42) 伸長cDNAのプローブとしての使用 伸長cDNAまたはその一部(またはそれから得られるゲノムDNA)から誘導され たプローブを、放射性同位元素および非放射性標識を含む、当業者に周知の検出
可能な標識で標識して、検出可能なプローブを提供することができる。この検出
可能なプローブは、一本鎖であってもよく、あるいは、二本鎖であってもよく、
in vitro転写、ニックトランスレーション、またはキナーゼ反応を含む、当技術
分野で周知の技術を使用して作成することができる。標識プローブとハイブリダ
イズすることができる配列を含む核酸試料を標識プローブと接触させる。試料中
の核酸が二本鎖である場合、これを変性させてから、プローブと接触させてもよ
い。一部の用途では、核酸試料を、ニトロセルロースまたはナイロン膜などの表
面上に固定させてもよい。核酸試料は、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNA、ま
たは組織試料を含む、様々なソースから得られる核酸を含んでもよい。
【0378】 検出可能なプローブとハイブリダイズすることができる核酸の存在を検出する
のに使用される手法としては、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング
、ドットブロッティング、コロニーハイブリダイゼーション、およびプラークハ
イブリダイゼーションなどの周知の技術が挙げられる。一部の用途では、標識プ
ローブとハイブリダイズすることができる核酸を、発現ベクター、シークエンシ
ングベクター、またはin vitro転写ベクターなどのベクターにクローニングして
、試料中のハイブリダイズする核酸の特性化および発現を容易にすることができ
る。たとえば、上の実施例30に記載されているように、このような技術を使用し
て、検出可能なプローブとハイブリダイズすることができるゲノムライブラリー
またはcDNAライブラリー中の配列を単離し、クローニングすることができる。
【0379】 上の実施例41に記載の通りに作成されたPCRプライマーを、以下の実施例43〜4
7に記載のDNAフィンガープリント技術などの法医学的分析において使用すること
ができる。このような分析は、5´ ESTを使用して単離された伸長cDNA(または それから得られるゲノムDNA)の配列に基づいた検出可能なプローブまたはプラ イマーを利用することができる。
【0380】 (実施例43) DNA配列決定による法医学的一致 1つの代表的な方法において、従来の方法で、たとえば、毛髪、精液、血液ま
たは皮膚細胞の法医学的標本から、DNA試料を単離する。次いで、実施例41に従 って、多数の上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に基づいたPCR
プライマーのパネルを利用して、法医学的標本から約100〜200塩基の長さのDNA を増幅する。対応する配列を、被験対象から入手する。次いで、標準技術を使用
して、これらの各同定DNAの配列を決定し、被験対象からの配列と、試料からの ものとの間に差があれば、その差を、単純なデータベース比較で決定する。容疑
者のDNA配列と、試料からのものとの間の統計学的有意差により、同一性のない ことが決定的に証明される。この同一性の欠如は、たとえば、1つの配列のみで
証明することができる。これにひきかえ、同一性は、多数の配列を用いて証明さ
れ、全てが一致しなければならない。100塩基の長さの、最低限50の統計学的に 同じ配列を使用して、容疑者と試料との間の同一性を証明することが好ましい。
【0381】 (実施例44) DNA配列決定による陽性同定 先の実施例に略述されている技術をより大規模で使用して、任意の個体の独自
のフィンガープリント型同定を実現することもできる。この技術では、表4およ
び添付の配列表からの多数の配列からプライマーを調製する。好ましくは、20〜
50種の異なるプライマーを使用する。実施例41に従って、これらのプライマーを
使用して、対応する数のPCR-生成DNAセグメントを当該個体から入手する。実施 例43に記載の方法を使用して、これらの各DNAセグメントの配列を決定する。こ の方法で作成した配列のデータベースで、配列を入手した個体が独自に同定され
る。次いで、その後の任意の時に、同じパネルのプライマーを使用して、組織ま
たは他の生物学的標本とその個体とを、完全に相関させることができる。
【0382】 (実施例45) サザンブロット法医学的同定 実施例44の手法を繰返して、個体および標本から、少なくとも10個増幅された
配列のパネルを入手する。好ましくは、このパネルは、少なくとも50個増幅され
た配列を含む。さらに好ましくは、このパネルは、100個増幅された配列を含む 。一部の実施形態において、このパネルは、200個増幅された配列を含む。次い で、このPCR生成DNAを、1種の、または、好ましくは、4種の塩基特異的制限酵
素の組み合せで消化する。このような酵素は市販されており、当業者に周知であ
る。消化後、結果として得られた遺伝子フラグメントを、アガロースゲル上の多
数の2連ウェルでサイズ分離し、当業者に周知のサザンブロッティング技術を使
用して、ニトロセルロースに移動させる。サザンブロッティングの総説について
は、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology, (1986), Elsevier Press.
pp 62-65を参照されたい。
【0383】 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列、または少なくとも10 塩基のそのフラグメントに基づいたプローブのパネルを、ニックトランスレーシ
ョンまたは末端標識などの、当技術分野で公知の方法を使用して、放射性標識す
るか、または比色測定法的に標識し、当技術分野で公知の技術を使用して、サザ
ンブロットにハイブリダイズする(Davisら、前出)。このプローブは、上記伸 長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に由来する少なくとも12、15、ま たは17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。さらに好ましくは、この
プローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に由来する少なく とも20〜30個連続したヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、このプロ
ーブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に由来する30個を超え るヌクレオチドを含む。他の実施形態では、このプローブは、伸長cDNA(または
それから得られるゲノムDNA)に由来する少なくとも40、少なくとも50、少なく とも75、少なくとも100、少なくとも150、または少なくとも200個の連続したヌ クレオチドを含む。
【0384】 少なくとも5〜10種のこれらの標識プローブを使用することが好ましく、さら
に好ましくは、少なくとも約20種または30種を使用して、独自のパターンを実現
する。結果として得られる、多量の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDN
A)試料のハイブリダイゼーションから出現するバンドは、独自の同定物である 。制限酵素切断は各個体で異なるため、サザンブロットでのバンドパターンも独
特である。伸長cDNAプローブの数を増加させると、同定に使用されるバンドの組
数が増加するため、同定における、統計学的により高度の信頼性が実現される。
【0385】 (実施例46) ドットブロット同定方法 本明細書に開示されている伸長cDNA配列を使用して個体を同定する別の技術で
は、ドットブロットハイブリダイゼーション技術を利用する。
【0386】 同定すべき被験対象の核からゲノムDNAを単離する。伸長cDNAまたはそれから 得られるゲノムDNAからの少なくとも10配列、好ましくは50配列に相当する約30b
pの長さのオリゴヌクレオチドプローブを合成する。当技術分野で周知の条件で 、これらのプローブを使用して、ゲノムDNAとハイブリダイズする。ポリヌクレ オチドキナーゼ(Pharmacia)を使用して、オリゴヌクレオチドを、P32で末端標
識する。真空ドットブロットマニホールド(BioRad, Richmond California)を 使用して、ゲノムDNAをニトロセルロースなど々の上にスポットすることにより 、ドットブロットを作成する。ゲノム配列を含むニトロセルロースフィルターを
ベイクするか、またはフィルターにUV連結し、当技術分野で周知の技術(Davis ら、前出)を使用して、標識プローブとプレハイブリダイズおよびハイブリダイ
ズする。30bpの配列と、上記DNAとの間の最小限の差を検出するために、継続的 にストリンジェントな条件を用いて、32P標識DNAフラグメントを逐次的にハイブ
リダイズする。少数のヌクレオチドミスマッチを含むクローンの同定には、塩化
テトラメチルアンモニウムが有用である(Woodら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
82(6):1585-1588 (1985))。独自のドットパターンによって、ある個体と別の 個体が区別される。
【0387】 これらの配列からの少なくとも10個連続した塩基を含む伸長cDNAまたはオリゴ
ヌクレオチドを、下記の代替フィンガープリント技術において、プローブとして
使用することができる。このプローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲ
ノムDNA)に由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌクレオチドを含 むことが好ましい。さらに好ましくは、このプローブは、伸長cDNA(またはそれ
から得られるゲノムDNA)に由来する少なくとも20〜30個連続したヌクレオチド を含む。一部の実施形態において、このプローブは、伸長cDNA(またはそれから
得られるゲノムDNA)に由来する30個を超えるヌクレオチドを含む。他の実施形 態では、このプローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に由 来する少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくと も150、または少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含む。
【0388】 異なる遺伝子からの配列を有する複数のプローブを、代替フィンガープリント
技術で使用することが好ましい。以下の実施例47に、伸長cDNAからプローブを誘
導する、代表的な代替フィンガープリント方法を提供する。
【0389】 (実施例47) 代替「フィンガープリント」同定技術 Genset、Paris、Franceなどの、市販のオリゴヌクレオチドサービスを使用し て、多数の、たとえば、50、100、または200の伸長cDNA配列(またはそれから得
られるゲノムDNA)から、20マーのオリゴヌクレオチドを調製する。当業者に周 知の技術を使用して、被験対象からの細胞試料を、DNA用に処理する。EcoRIおよ
びXbaIなどの制限酵素で、核酸を消化する。消化後、試料を、電気泳動用のウェ
ルに適用する。当技術分野で周知の方法を、ポリアクリルアミド電気泳動に適応
するように改変することは可能であるが、この実施例では、5μgのDNAを含む試 料をウェルに入れ、0.8%アガロースゲルで分離させる。標準サザンブロッティ ング技術を使用して、このゲルを、ニトロセルロース上に移動させる。
【0390】 10ngの各オリゴヌクレオチドをプールし、P32で末端標識する。ニトロセルロ ースをブロッキング溶液でプレハイブリダイズし、標識プローブとハイブリダイ
ズさせる。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ニトロセルロースフィルタ
ーをX-Omat AR X線フィルムに曝露する。このようにして得られたハイブリダイ
ゼーションパターンは、各個体に独自のものである。
【0391】 さらに、この実施例の範囲内で、さらなる確度または明瞭性を得るために、使
用するプローブ配列数を変えられることが考えられる。
【0392】 上記実施例30および40で生成した抗体を使用して、上述の通りに試料が誘導さ
れる組織型または細胞種を同定することができる。
【0393】 (実施例48) 標識された組織特異的抗体を使用した組織型または細胞種の同定 特異的組織の同定は、検出可能なマーカーに直接または間接的に結合される、
実施例30および40による抗体調製物を用いた組織特異的抗原の可視化により実行
される。選択された標識抗体種は、組織切片中、細胞懸濁液、または組織試料か
らの可溶性タンパク質の抽出物中のその特異的抗原結合パートナーに結合して、
定量的または半定量的分析のための1つの様式を提供する。
【0394】 これらの手法に適した抗血清は、天然の調製物の力価を上回る力価を具有しな
ければならず、そのため、たとえば、イオン交換クロマトグラフィーまたは硫酸
アンモニウム分画によるγグロブリン画分の単離によって、抗体を、mg/mlのレ
ベルまで濃縮する。また、最も特異的な抗血清を提供するために、抗体をマーカ
ーで標識する前に、たとえば、不溶性免疫吸収剤を使用して、たとえば、一般的
なタンパク質に対する、望まれていない抗体を、γグロブリン画分から除去しな
ければならない。いずれの手法にも、モノクローナル抗血清または異種抗血清の
いずれも適する。
【0395】 A.免疫組織化学的技術 上述の通りに調製され、精製された、高力価抗体を、たとえば、Fudenberg, H
., Chap. 26 : Basic 503 Clinical Immunology, 3rd Ed. Lange, Los Altos, C
alifornia (1980)またはRose, N. ら、, Chap. 12 : Methods in Immunodiagnos
is, 2d Ed. John Wiley 503 Sons, New York (1980)により記載されている通り に、検出可能なマーカーに結合させる。
【0396】 蛍光性マーカー(フルオレセインまたはローダミンのいずれか)が好ましいが
、基質との発色反応を支持する酵素、たとえば、セイヨウワサビペルオキシダー
ゼで抗体を標識することもできる。下記の通り、第2ステップで、マーカーを、
組織結合抗体に加えることができる。あるいは、この特異的抗組織抗体をフェリ
チンまたは他の電子高密度粒子で標識し、電子顕微鏡を使用して、フェリチン結
合した抗原-抗体複合体の定位を実施する。さらに別のアプローチでは、たとえ ば125Iで抗体を放射標識し、抗体処理した調製物を写真乳剤で覆うことによって
検出する。
【0397】 上記方法を実行するための調製物は、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を含んでもよい。1つの組織型、たとえば、脳組織に特異的であると同定
された1つのタンパク質またはペプチドに対する抗体、あるいは、幾つかの抗原
的に異なる組織特異的抗原に対する抗体調製物を、必要に応じて、独立に、また
は混合物の状態で、パネルに使用してもよい。
【0398】 一般的な組織学的技術により、免疫組織化学的試験用の組織切片および細胞懸
濁液を調製する。未知の組織および既知の対照の、多数のクリオスタット切片(
約4μm、非固定)をスライドに載せ、各スライドを抗体調製物の異なる希釈液で
覆う。既知の組織および未知の組織の切片を、陽性対照、陰性対照、たとえば、
プレ免疫血清、および非特異的染色用の対照、たとえば、緩衝溶液を提供するた
めの調製物でも処理する。
【0399】 処理した切片を、湿潤なチャンバ内で、室温にて30分間インキュベートし、す
すぎ、次いで、緩衝溶液で30〜45分間洗浄する。過剰の流体を吸い取り、マーカ
ーを現像する。
【0400】 初回のインキュベーションで、組織特異的抗体が標識されなかった場合、この
時に、第2の抗体-抗体反応で、たとえば、抗血清-産生種のイムノグロブリンク
ラスに対するフルオロセイン-結合抗体または酵素-結合抗体、たとえば、マウス
IgGに対するフルオロセイン標識抗体を加えることにより、組織特異的抗体を標 識することができる。このような標識血清は市販されている。
【0401】 組織切片上の色または蛍光の強度を測定し、適当な標準を使用して、そのシグ
ナルを較正することにより、上記手法で、組織中に認められる抗原を定量するこ
とができる。
【0402】 B.組織特異的可溶性タンパク質の同定 免疫組織化学に関する記載通りに標識抗体試薬および検出方法を使用するが、
組織から抽出されたタンパク質を、検出のために分子量に基づく整然としたアレ
イに配分するために、電気泳動法的技術に準拠して試料を調製して、上記方法に
よる組織特異的タンパク質の可視化および未知の組織の同定を実施する。
【0403】 Virtis装置を使用して組織試料をホモジナイズし、いずれの場合にも、当技術
分野で実践されいるように、細胞膜を破壊するために、必要に応じて界面活性剤
を使用して、Dounceホモジナイゼーションまたは浸透性溶解により細胞懸濁液を
破壊する。核、ミクロソームおよび膜フラグメントなどの不溶性細胞成分を限外
濾過で除去し、必要であれば、可溶性タンパク質含有画分を濃縮し、分析に備え
て保存する。
【0404】 試料中で検出される全分子量範囲のタンパク質を分離するために、1組のゲル
で、ある範囲の量のポリアクリルアミドを使用して、たとえば、Davis,L.ら、Se
ction 19-2 in:Basic Methods in Molecular Biology (P. Leder, ed), Elsevie
r, New York (1986) により記載されている従来のSDSポリアクリルアミド電気泳
動により、可溶性タンパク質溶液の試料を、個々のタンパク質種に分離する。構
成タンパク質の分子量を推定するために、サイズマーカーを並行して走らせる。
分析の試料サイズは、5〜55μlの便利な量であり、且つ約1〜100μgタンパク 質を含む。分離されたタンパク質のそれぞれのアリコートを、ブロッティングに
より、ニトロセルロースフィルター紙に移動させる(分離パターンを維持する工
程)。多数のコピーを作成する。ウエスタンブロット分析として知られるこの手
法は、Davis,Lら、(上記)Section19-3に十分に説明されている。抗体結合タン
パク質と比較するために、1組のニトロセルロースブロットをクーマシーブルー
染料で染色して、全組のタンパク質を可視化する。次いで、残りのニトロセルロ
ースフィルターを実施例30および40に記載の通りに調製された組織特異的タンパ
ク質に対する1つまたは複数の特異的抗血清の溶液とともにインキュベートする
。この手法では、上記手法Aの場合と同様に、適当な陽性および陰性の、試料お
よび試薬対照を実働させる。
【0405】 手法AまたはBのいずれでも、様々な方法およびその変形に従って、検出可能
な標識を、一次組織抗原-一次抗体複合体に付着させることができる。直接的な アプローチにおいて、一次特異的抗体を標識してもよく、あるいは、標識された
二次抗IgG抗体により、非標識複合体を結合させてもよい。他のアプローチにお いて、一次抗体または二次抗体のいずれかをビオチン分子に結合させ、これを、
次のステップで、アビジン結合マーカーに結合させてもよい。また別の方法によ
れば、いずれかのIgGに結合する性質を有する酵素標識されたプロテインAまた は放射性プロテインAを、最終ステップで、一次または二次抗体のいずれかに結
合させる。
【0406】 伸長cDNA配列から同定された遺伝子配列から調製された1つまたは複数の組織
特異的抗体への、対照組織でみられるものを上回るレベルの組織特異的抗原の結
合を可視化して、未知の起源、たとえば、法医学的試料の組織、または他所の身
体部位に転移した分化した腫瘍組織を同定することができる。
【0407】 法医学および同定における用途に加えて、伸長cDNA(またはそれから得られる
ゲノムDNA)を、染色体の位置にマッピングすることができる。以下の実施例49 に、伸長cDNAを使用したヒト染色体領域の放射線ハイブリッド(RH)マッピング
について記載する。以下の実施例50に、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ
ムDNA)を、ヒト染色体上のその位置にマッピングする代表的方法について記載 する。以下の実施例51に、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による 、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の中期染色体上マッピングに ついて記載する。
【0408】 (実施例49) ヒトゲノムへの伸長cDNAの放射線ハイブリッドマッピング 放射線ハイブリッド(RH)マッピングは、ヒトゲノムの高解像度マッピングに
使用できる体細胞遺伝学的アプローチである。このアプローチにおいて、1つま
たは複数のヒト染色体を含む細胞系を致命的に照射し、各染色体をフラグメント
に切断するが、そのサイズは、放射線量によって異なる。培養げっ歯類細胞との
融合により、これらのフラグメントを救助して、ヒトゲノムの異なる部分を含む
サブクローンを生成する。この技術は、Benhamら、Genomics 4: 509-517(1989) およびCoxら、Science 250: 245-250 (1990) により説明されている。サブクロ ーンはランダム且つ独立しているため、従来のヒトゲノムマーカーを能率的にマ
ッピングすることができる。80〜100個の細胞系のパネルから単離されたヒトDNA
は、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を順序良く配置するマッピ ング試薬を提供する。このアプローチにおいて、マーカー間の切断頻度を使用し
て距離を測定し、従来のEST(Schulerら、Science 274:540-546(1996))を使
用して実施されていた、精密な解像地図を構築することができる。
【0409】 RHマッピングは、成長ホルモン(GH)およびチミジンキナーゼ(TK)に関する
遺伝子全域のヒト染色体17q22〜q25.3(Fosterら、Genomics 33:185-192(1996
))、ゴーリン症候群遺伝子を囲む領域(Obermayrら、Eur.J. Hum. Genet. 4:
242-245, 1996)、第12染色体の短腕全体を含む60の遺伝子座(Raeymaekersら、
Genomics 29:170-178,(1995))、2型神経線維腫遺伝子座を含むヒト第22染 色体の領域(Frazerら、Genomics 14:574-584(1992))および第5染色体の長
腕上の13の遺伝子座(Warringtonら、Genomics 11:701-708(1991))の高解像
度全ゲノム放射線ハイブリッド地図の作成に使用されている。
【0410】 (実施例50) PCR技術を使用したヒト染色体への伸長cDNAのマッピング PCRに基づいた方法論を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムD
NA)をヒト染色体に割り当てることができる。このようなアプローチにおいて、
イントロンを介して増幅する機会を最小限に抑えるように、オリゴヌクレオチド
プライマー対を伸長cDNA配列(またはそれから得られるゲノムDNAの配列)か
ら設計する。このオリゴヌクレオチドプライマーは、18〜23bpの長さであり、且
つPCR増幅向けであることが好ましい。既知の配列からのPCRプライマーの作成は
、当業者に周知である。PCR技術の総説については、Erlich, H.A., PCR Technol ogy; Principles and Applications for DNA Amplification .(1992).W.H. Fre
eman and Co., New York.を参照されたい。
【0411】 上記プライマーは、全ヒトゲノムDNAからの鋳型を増幅するためのポリメラー ゼ連鎖反応(PCR)に使用される。PCR条件は、以下の通りである:80ngの各オリ
ゴヌクレオチドプライマー、0.6単位のTaqポリメラーゼ、および1μCuの32P標 識デオキシシチジントリホスフェートと共に、60ngのゲノムDNAを、PCR用の鋳型
として使用する。マイクロプレートサーモサイクラー(Techne)内で、以下の条
件で、PCRを実施する:94℃で1.4分、55℃で2分、および72℃で2分を30サイク
ル、72℃で10分間の最終伸長。6%ポリアクリルアミドシークエンシングゲルで 増幅すされた生成物を分析し、オートラジオグラフィーで可視化する。このよう
にして得られたPCR産物の長さが、プライマーの起源である伸長cDNAにけるプラ イマー配列の末端から末端までの距離と同じ場合、ヒト-げっ歯類体細胞細胞ハ イブリッド、BIOS PCRable DNA(BIOS Corporation)およびNIGMS Human-Rodent
Somatic Cell Hybrid Mapping Panel Number1 (NIGMS, Camden, NJ)の2パネル
からのDNA鋳型を用いて、PCR反応を繰返す。
【0412】 PCRを使用して、所与の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の有無
について、規定されたセットのヒト染色体を含む一連の体細胞ハイブリッド細胞
系をスクリーニングする。体細胞ハイブリッドからDNAを単離し、伸長cDNA(ま たはそれから得られるゲノムDNA)からのプライマー対を使用したPCR反応用の出
発鋳型として使用する。伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に対応 するヒト遺伝子をを含む染色体を有する体細胞細胞ハイブリッドのみが、増幅さ
れたフラグメントを生成する。体細胞ハイブリッドDNA鋳型からのPCR産物の分離
パターンの分析により、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、染 色体に割り当てる。増幅されたフラグメントを生じさせる全ての細胞ハイブリッ
ドに存在する1つのヒト染色体が、上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ
ムDNA)を含む染色体である。体細胞遺伝子マッピング実験の結果の技術および 分析に関する総説については、Ledbetterら、Genomics 6:475-481(1990)を参
照されたい。
【0413】 あるいは、以下の実施例51に記載のFISHを使用して、伸長cDNA(またはそれか
ら得られるゲノムDNA)を、個々の染色体にマッピングしてもよい。
【0414】 (実施例 51) 蛍光in situハイブリダイゼーションを使用した、伸長5´ESTの染色体へのマッ ピング 蛍光in situハイブリダイゼーションを使用して、伸長cDNA(またはそれから得
られるゲノムDNA)を、所与の染色体上の特定の位置にマッピングすることが可能
である。蛍光in situハイブリダイゼーション技術に使用される染色体は、細胞 培養物、組織、または全血を含む様々なソースから得ることができる。
【0415】 好ましい実施形態において、Cherifら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:
6639-6643 (1990)により記載されているFISHによって、伸長cDNA(またはそれか ら得られるゲノムDNA)の染色体局在化が得られる。中期染色体を、フィトヘマグ
ルチニン(PHA)-刺激血液細胞供与体から調製する。健常な男性からのPHA-刺激リ
ンパ球を、RPMI-1640培地中で72時間培養する。同調のために、メトトレキセー ト(10μM)を17時間加えた後、5-ブロモデオキシウリジン(5-BudR、0.1mM)を6時 間加える。Colcemid(1μg/ml)を最後の15分間加えてから、細胞を収穫する。
細胞を回収し、RPMIで洗浄し、低張のKCl(75mM)溶液と共に、37℃で15分間イ ンキュベートし、メタノール:酢酸(3:1)を3回変えて固定する。細胞懸濁
液をスライドガラス上に落とし、風乾する。製造会社の説明書に従って(Bethesd
a Research Laboratories, Bethesda, MD)、ニックトランスレーションにより、
伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)をビオチン-16Dutpで標識し、Seph
adexG-50カラム(Pharmacia, Upssala, Sweden)を使用して精製し、沈殿させる。
ハイブリダイゼーションの直前に、このDNAペレットをハイブリダイゼーション 緩衝溶液(50%ホルムアミド、2×SSC、10%デキストラン硫酸、1mg/ml超音波処
理したサケ精子DNA、pH7)に溶解し、このプローブを、70℃で5〜10間、変性 させる。
【0416】 -20℃に保たれたスライドを、RNaseA(100μg/ml)で、37℃にて1時間処理し
、2×SSCで3回すすぎ、エタノールシリーズで脱水する。染色体調製物を、70%
ホルムアミド、2×SSCで70℃にて2分間変性させ、次いで4℃で脱水する。上 記スライドを、プロテイナーゼK(20mM Tris-HCl中10μg/100ml、2mM CaCl2
で、37℃にて8分間処理し、脱水する。このスライドにプローブを含むハイブリ
ダイゼーション混合物を載せ、カバーガラスで覆い、ゴムセメントで密封し、湿
潤なチャンバ内で、37℃にて一晩、インキュベートする。ハイブリダイゼーショ
ンおよびハイブリダイゼーション後洗浄の後、ビオチニル化したプローブをアビ
ジン-FITCで検出し、ビオチニル化したヤギ抗アビジンおよびアビジン-FITCのさ
らなる層で増幅する。染色体局在化については、蛍光R-バンドが前述(Cherifら 、前出)の通りに得られる。LEICA蛍光顕微鏡(DMRXA)下でスライドを観察する。 ヨウ化プロピジウムで染色体を対比染色すると、プローブの蛍光シグナルが、蛍
光R-バンド染色体(赤色)の両染色分体上に、2つの対称的な黄緑色のスポットと
して出現する。このように、ある特定の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ ムDNA)を、所定の染色体上の特定の細胞遺伝学的R-バンドに局在化することがで
きる。
【0417】 上記実施例49〜51に記載の技術を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られ るゲノムDNA)をいったん特定の染色体に割り当てるとその後は、これを使用して
、、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)が位置する染色体の高解像能 地図の構築、または試料中の染色体の同定に利用することができる。
【0418】 (実施例52) 伸長cDNAの、染色体地図の構築または拡大への使用 上記の通り、染色体マッピングは、所与の独自の配列を、ある特定の染色体に
割り当てることを含む。いったん、独自の配列を所与の染色体にマッピングする
とその後は、同じ染色体上に位置する他の独自の配列と比較して、これを整然と
配置する。染色体マッピングのための1つのアプローチは、伸長cDNA(またはそ れから得られるゲノムDNA)を入手した生物の染色体から誘導される数千の長さの
挿入物を担持する一連の酵母人工染色体(YAC)を利用する。このアプローチは、R
amaiah Nagaraja ら、Genome Research 7:210-222 (March, 1997)に記載されて いる。簡単に記載すると、このアプローチにおいて、各染色体を、重複するフラ
グメントに切断し、これをYACベクターに挿入する。位置を決定すべき伸長cDNA(
またはそれから得られるゲノムDNA)が挿入物に含まれているかどうかを決定する
ために、PCRまたは他の方法を使用して、このYAC挿入物をスクリーニングする。
伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を含む挿入物がいったん確認され ると、その染色体上に、あるいは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)が誘導された起源である領域内に存在することが判明している他の配列も、こ の挿入物に含まれているかどうかを決定するために、PCRまたは他の方法で、こ の挿入物を分析することができる。YACライブラリー中の各挿入物について、こ の方法を繰返して、互いに比較した、且つ他の既知の染色体のマーカーと比較し
た、各伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の位置を決定することがで きる。この方法で、各生物の染色体に沿った多くの独自のマーカーの分布を示す
高解像度地図を得ることができる。
【0419】 以下の実施例53に記載の通りに、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)を使用して、特定の表現型、たとえば、遺伝病または薬物応答と関連した遺伝 子を同定することもできる。
【0420】 実施例53 遺伝病または薬物応答と関連した遺伝子の同定 この実施例では、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)と特定の表現 型特性との関連に有用なアプローチを説明する。この実施例において、特定の伸
長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を被験プローブとして使用して、上 記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)と、特定の表現型特性とを結び つける。
【0421】 実施49および50に記載されているような技術または当技術分野で周知の他の技
術を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、ヒト染色体上 の特定の位置にマッピングする。ヒトのメンデル遺伝 (V. McKusick, Mendelian
Inheritance in Man (Johns Hopkins University Welch Medical Libraryによ りオンラインで利用できる)を検索すると、幾つかの既知の遺伝子ならびに遺伝 子が同定されていない幾つかの疾患または表現型を含む非常に遺伝子の多い領域
である伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を含むヒト染色体の領域が 明らかになる。したがって、この伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA) に対応する遺伝子は、これらの各遺伝病の当面の候補となる。
【0422】 これらの疾患または表現型を有する患者からの細胞を単離し、培養で増殖させ
る。伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からのPCRプライマーを使用し
て、患者から採取したゲノムDNA、mRNAまたはcDNAをスクリーニングする。さら なる分析により、患者で増幅されない伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムD
NA)を、特定の疾患と決定的に結びつけることができる。あるいは、試料が疾患 関連の表現型を有する個体から誘導されるとき、試料が健常者から誘導されると
きと異なる長さのフラグメントが、PCR分析で生じる可能性があり、伸長cDNAを 含む遺伝子が遺伝病の原因である可能性を示す。
【0423】 VI.ベクターを構築するための伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の使
用 本伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を使用して、ベクターに挿入 された遺伝子によりコードされるタンパク質の分泌を指令することができる、分
泌ベクターを構築することもできる。このような分泌ベクターは、所望のタンパ
ク質をそれから精製しまたは富化しなければならないバックグラウンドタンパク
質の数を減少することにより、中に挿入された遺伝子によりコードされるタンパ
ク質の精製または富化を容易にすることができる。代表的な分泌ベクターを以下
の実施例54に記載する。
【0424】 (実施例54) 分泌ベクターの構築 本発明の分泌ベクターは、宿主細胞、組織、または目的の生物において遺伝子
発現を指令することができるプロモーターを含む。このようなプロモーターとし
ては、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロ
ウイルスプロモーター、および当業者に知られている他のプロモーターなどが挙
げられる。
【0425】 上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からのシグナル配列、たと えば、上の表4に記載されている配列番号40〜59、61〜73、75〜82、84および13
0〜154におけるシグナル配列の1つを、プロモーターから転写されたmRNAが、シ
グナルペプチドの翻訳を指令するように、操作可能にプロモーターに連結する。
宿主細胞、宿主組織、または宿主生物は、上記伸長cDNA(またはそれから得られ るゲノムDNA)におけるシグナル配列によりコードされるシグナルペプチドを認識
する任意の細胞、組織、または生物であってもよい。適当な宿主としては、哺乳
類細胞、哺乳類組織、哺乳類生物、鳥類細胞、鳥類組織、鳥類生物、昆虫細胞、
昆虫組織、昆虫生物、または酵母が挙げられる。
【0426】 さらに、上記分泌ベクターは、分泌されるタンパク質をコードする遺伝子を挿
入するためのクローニング部位を含む。このクローニング部位は、挿入された遺
伝子によりコードされるタンパク質にシグナルペプチドが融合された融合タンパ
ク質が、プロモーターから転写されたmRNAから発現するように、挿入遺伝子をシ
グナル配列と一緒にインフレームでクローニングするのを容易にする。このシグ
ナルペプチドは、融合タンパク質の細胞外分泌を指令する。
【0427】 上記分泌ベクターは、DNAであってもRNAであってもよく、宿主の染色体に組み
込まれてもよく、宿主内の染色体外のレプリコンとして安定に維持されていても
よく、人工染色体であってもよく、または宿主に一時的に存在してもよい。分泌
ベクターとして使用するのに適した多くの核酸バックボーンは、レトロウイルス
ベクター、SV40ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、酵母組込みプラスミド
、酵母エピソームプラスミド、酵母人工染色体、ヒト人工染色体、P因子ベクタ ー、バキュロウイルスベクター、または一時的に宿主に導入することができる細
菌プラスミドを含め、当業者に公知である。
【0428】 上記分泌ベクターは、ポリAシグナルが分泌ベクターに挿入された遺伝子の下
流に位置するように、ポリAシグナルも含んでもよい。
【0429】 分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子を分泌ベクターに挿入した後、
リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソ ーム介在トランスフェクション、ウイルス粒子、または裸のDNAとして使用して 、この分泌ベクターを宿主細胞、宿主組織、または宿主生物に導入する。次いで
、挿入された遺伝子によりコードされるタンパク質を、硫酸アンモニウム沈殿、
免疫沈降、イムノクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン
交換クロマトグラフィー、およびHPLCなどの従来技術を使用して、上清から精製
するか、または富化する。あるいは、分泌タンパク質は、さらに富化せずに、所
期の目的のために使用できるほど十分に、宿主の上清または成長培地中で富化さ
れた状態であってもよく、純粋な状態であってもよい。
【0430】 上記シグナル配列を、遺伝子治療用に設計されたベクターに挿入することもで
きる。このようなベクターにおいて、上記プロモーターから転写されたmRNAが、
上記シグナルペプチドをコードするように、シグナル配列を操作可能にプロモー
ターに連結する。分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子が、容易にベク
ターに挿入され、シグナル配列に融合されることができるように、クローニング
部位を、シグナル配列の下流に置く。このベクターを、適当な宿主細胞に導入す
る。プロモーターから発現されたタンパク質が細胞外に分泌され、その結果、治
療効果が生じる。
【0431】 上記伸長cDNAまたは5´ ESTを使用して、転写レベルまたは翻訳レベルに影響 するプロモーター配列、エンハンサー配列、および他の上流配列を含む、遺伝子
発現を調節することができる伸長cDNAまたは5´ ESTの上流に位置する配列をク ローニングすることもできる。いったん同定し、クローニングすると、これらの
上流にある調節配列を、所望の空間的、時間的、発生的、または量的様式で挿入
された遺伝子の発現を指令するように設計された発現ベクターに使用することが
できる。実施例55に、伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にある配列をクローニング する方法を説明する。
【0432】 (実施例55) ゲノムDNAに由来する上流配列をクローニングするための伸長cDNAまたは5´ EST
の使用 染色体歩行技術を使用して、伸長cDNAまたは5´ ESTから誘導された配列を、 対応する遺伝子のロモーターの単離に使用することができる。Clontechから市販
されているGenomeWalkerTMキットを利用する1つの染色体歩行技術において、5
つの完全なゲノムDNA試料を、6つの塩基認識部位を有し、且つ平滑末端を残す異
なる制限酵素で、それぞれを消化する。消化後、このようにして得られたゲノム
DNAフラグメントの各末端に、オリゴヌクレオチドアダプターを連結する。
【0433】 5つのゲノムDNAライブラリーのそれぞれに対して、製造会社の説明書に従い 、キット内に用意されている外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子特異的
プライマーを使用して、初回PCR反応を実施する。この遺伝子特異的プライマー は、目的の伸長cDNAまたは5´ ESTに特異的であるように選択され、且つPCR反応
におけるその使用と一致する融解温度、長さ、および伸長cDNAまたは´ESTにお ける位置を具有しなければならない。各初回PCR反応は、総体積50μl中に、5ng のゲノムDNA、5μlの10×Tth反応緩衝溶液、0.2mMの各dNTP、それぞれ0.2μMの
外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子特異的プライマー、1.1mMのMg(OAc) 2 、ならびに1μlのTthポリメラーゼ50×ミックスを含む。初回PCR反応のための
反応サイクルは、次の通りである:1分-94℃/2秒-94℃、3分-72℃(7サイク ル)/2秒-94℃、3分-67℃(32サイクル)/5分-67℃。
【0434】 初回PCR反応の生成物を希釈し、製造会社の説明書に従って、初回PCR反応から
生じたアンプリコン上で内部に位置する一対のネステッドプライマーを使用して
、第2回PCR反応用の鋳型として使用する。たとえば、初回PCR反応混合物の反応
生成物5μlを180倍希釈することが可能である。ネステッドプライマーを使用す
ること以外は、反応は、初回PCR反応のものと同一の組成を有する50μlの容積に
おいて行う。第1のネステッドプライマーは、アダプターに特異的であり、Geno
meWalkerTMキットで提供される。第2のネステッドプライマーは、プロモーター
をクローニングすべき特定の伸長cDNAまたは5'ESTに特異的である。且つPCR反応
におけるその使用と一致する融解温度、長さ、および伸長cDNAまたは5´ESTにお
ける位置を具有しなければならない。第2回PCR反応の反応パラメータは以下の 通りである:1分-94℃/2秒-94℃、3分-72℃(6サイクル)/2秒-94℃、3分-6
7℃(25サイクル)/5分-67℃。
【0435】 標準技術を使用して、第2回PCR反応の生成物を精製し、クローニングし、配 列決定する。あるいは、2種以上の制限酵素を使用して、2つ以上のヒトゲノム
DNAライブラリーを構築することができる。一本鎖、環状、または線状DNAに変換
することができるベクターに、消化されたゲノムDNAをクローニングする。伸長c
DNAまたは5'EST配列からの少なくとも15ヌクレオチドを含むビオチニル化オリゴ
ヌクレオチドを、一本鎖DNAとハイブリダイズする。上の実施例29に記載の通り に、ビオチニル化オリゴヌクレオチドと、伸長cDNAまたはEST配列を含む一本鎖D
NAとの間のハイブリッドを単離する。その後、伸長cDNAまたはEST配列を含む一 本鎖DNAをビーズから放出させ、伸長cDNAまたは5'EST配列に特異的なプライマー
あるいはクローニングベクターに含まれる配列に対応するプライマーを用いて二
本鎖DNAに変換する。このようにして得られた二本鎖DNAを細菌に形質転換する。
5´ ESTまたは伸長cDNA配列を含むDNAを、コロニーPCRまたはコロニーハイブリ ダイゼーションで同定する。
【0436】 上記の通り、いったん上流ゲノム配列がクローニングされ、配列決定されると
その後は、伸長cDNAまたは5'ESTの上流にある配列を、既知の転写開始部位、転 写因子結合部位、またはプロモーター配列を含むデータベースと比較することに
より、上流配列内の有望なプロモーターおよび転写開始部位を同定することがで
きる。
【0437】 さらに、プロモーターレポーターベクターを使用して、実施例56に記載されて
いるような上流配列におけるプロモーターを同定することができる。 (実施例56) クローン化上流配列におけるプロモーターの同定 伸長cDNAまたは5'ESTの上流にあるゲノム配列を、Clontechから入手可能なpSE
AP-Basic、pSEAP-Enhancer、pβgal-Basic、pβgal-Enhancer、またはpEGFP-1プ
ロモーターレポーターベクターなどの、適当なプロモーターレポーターベクター
にクローニングする。簡単に記載すると、上記の各プロモーターレポーターベク
ターは、分泌されるアルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、または緑色
蛍光タンパク質などの、容易にアッセイできるタンパク質をコードするレポータ
ー遺伝子の上流に配置された多数のクローニング部位を含む。伸長cDNAまたは5'
ESTの上流にある配列を、レポーター遺伝子の上流にあるクローニング部位に、 両方向に挿入し、適当な宿主細胞に導入する。レポータータンパク質のレベルを
アッセイし、クローニング部位に挿入物がないベクターから得られたレベルと比
較する。対照ベクターと比較して、挿入物を含むベクターに高い発現レベルが存
在することは、挿入物の中にプロモーターが存在することを示す。必要であれば
、上流配列を、弱いプロモーター配列からの転写レベルを増大するためのエンハ
ンサーを含むベクターにクローニングすることができる。挿入物がないベクター
で確認されたものを上回るかなりのレベルの発現は、挿入された上流配列中にプ
ロモーター配列が存在することを示す。
【0438】 上記の伸長cDNAおよびESTの発現パターン決定の結果に基づいて、プロモータ ーレポーターベクターに適した宿主細胞を選択することができる。たとえば、発
現パターン分析が、特定の伸長cDNAまたは5´ ESTに対応するmRNAが線維芽細胞 に発現されることを示す場合、そのプロモーターレポーターベクターを、ヒト線
維芽細胞細胞系に導入することができる。
【0439】 エキソヌクレアーゼIII消化などの、従来技術を使用して、上流DNAにネステッ
ド欠失を構築することにより、上流ゲノムDNA内のプロモーター配列をさらに明 確にすることができる。結果として得られた欠失フラグメントを、プロモーター
レポーターベクターに挿入して、欠失がプロモーター活性を低減したか、あるい
は削除したかを決定することができる。この方法で、プロモーターの境界を規定
することができる。必要に応じて、プロモーター内の潜在的な転写因子結合部位
を個々にまたは組み合せて削除するために、位置指定突然変異誘発またはリンカ
ースキャニングを使用して、プロモーター内の潜在的な個々の調節部位を同定す
ることができる。プロモーターレポーターベクター内のクローニング部位に、突
然変異を挿入することにより、これらの突然変異が転写レベルに及ぼす影響を決
定することができる。
【0440】 (実施例57) プロモーターのクローニングおよび同定 上の実施例55に記載の方法と5'ESTとを使用して、幾つかの遺伝子の上流にあ る配列を得た。プライマー対GGG AAG ATG GAG ATA GTA TTG CCT G (配列番号29)
とCTG CCA TGT ACA TGA TAG AGA GAT TC(配列番号30)を使用して、内部名P13H2(
配列番号31)を有するプロモーターを得た。
【0441】 プライマー対GTA CCA GGGG ACT GTG ACC ATT GC (配列番号32) と CTG TGA CC
A TTG CTC CCA AGA GAG(配列番号33)を使用して、内部名P15B4(配列番号34)を有
するプロモーターを得た。
【0442】 プライマー 対 CTG GGA TGG AAG GCA CGG TA (配列番号35) と GAG ACC ACA C
AG CTA GAC AA (配列番号36)を使用して、内部名P29B6(配列番号37)を有するプ ロモーターを得た。
【0443】 図8は、単離されたプロモーターならびにそれらを対応する5´タグと組み合 せる方法に関する図式的説明である。コンピュータプログラムMatInspectorリリ
ース2.0、1996年8月を使用して、上流配列を、転写因子結合部位と類似したモ チーフまたは既知の転写開始部位の有無についてスクリーニングした。
【0444】 図9に、これらの各プロモーターに存在する転写因子結合部位について説明す
る。マトリックスと標された欄は、使用したMatInspectorマトリクックスの名称
である。位置と標された欄は、プロモーター部位の5´位置である。配列の計数 は、ゲノム配列と5'EST配列との一致によって決定された、転写部位から開始す る。「配向性」と標された欄は、その部位が確認されたDNA鎖を示し、+鎖はゲノ
ム配列と5'ESTの配列との一致によって決定されたコード鎖である。「得点」と 標された欄は、この部位について下されたMatInspector得点である。「長さ」と
標された欄は、ヌクレオチドにおけるその部位の長さである。「配列」と標され
た欄は、確認された部位の配列である。
【0445】 伸長cDNAまたは5'ESTの上流に位置する上記プロモーターおよび他の調節配列 を使用して、所望の空間的、時間的、発生的、または量的方式で、挿入された遺
伝子の発現を指令することができる発現ベクターを設計することができる。上の
実施例26に記載の発現分析の結果を使用して、所望の空間的、時間的、発生的、
および量的パターンを指令することができるプロモーターを選択することができ
る。たとえば、筋肉において高レベルの発現を与えるプロモーターが望ましい場
合、実施例26の方法で決定されるような、筋肉に高レベルで発現されたmRNAから
誘導された伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にあるプロモーター配列を、発現ベク ターに使用することができる。
【0446】 プロモーターの下流にある所望の挿入物のクローニングを容易にするために、
挿入された遺伝子の発現をプロモーターが推進できるように、所望のプロモータ
ーを、多数の制限部位付近に入れることが好ましい。染色体外複製、宿主染色体
への組込みまたは※一時的(一過性)発現向けに設計された従来の核酸バックボ
ーンに、このプロモーターを挿入することができる。本発現ベクターに適したバ
ックボーンとしては、レトロウイルスバックボーン、SV40またはウシ乳頭腫(パ
ピローマ)ウイルスなどの真核生物エピソームからのバックボーン、細菌エピソ
ームからのバックボーン、または(あるいは)人工染色体などが挙げられる。 ※生化学辞典134ページ参照。
【0447】 発現ベクターは、発現ベクターに挿入された遺伝子から転写されたmRNAのポリ
アデニル化を指令するための、多数の制限部位の下流にあるポリAシグナルも含
むことが好ましい。
【0448】 実施例55〜57の方法を使用してプロモーター配列を同定した後、以下の実施例
58に記載の通りに、プロモーターと相互に作用するタンパク質を同定することが
可能である。 (実施例58) プロモーター配列、上流調節配列、またはmRNAと相互に作用するタンパク質の同
定 既知の転写因子結合部位との相同性によって、あるいは、プロモーター配列を
含むレポータープラスミドの、従来の突然変異誘発分析または欠失分析を用いて
、転写因子に結合する可能性があるプロモーター領域内の配列を同定することが
可能である。たとえば、アッセイできるレポーター遺伝子に操作可能に連結され
た、目的のプロモーター配列を含むレポータープラスミド内に欠失を作ることが
できる。プロモーター領域内に種々の欠失を担持するレポータープラスミドを、
適当な宿主細胞にトランスフェクトし、その欠失が発現レベルに及ぼす影響を評
価する。位置指定突然変異誘発、リンカースキャニング分析、または当業者に周
知の他の技術を使用して、欠失が発現レベルを低減する領域内の転写因子結合部
位をさらに定位することが可能である。Clontech(カタログ番号K1603-1)から入 手可能なMatchmaker One-Hybrid System キットに添付されているマニュアルに 記載されているような、1-ハイブリッドシステムを使用して、プロモーター内 の配列と相互に作用するタンパク質をコードする核酸を同定することが可能であ
る。簡単に記載すると、以下の通りに、Matchmaker One- Hybrid Systemを使用 する。結合性タンパク質を同定するのに必要なターゲト配列を選択可能なレポー
ター遺伝子の上流にクローニングし、酵母ゲノムに組み込む。ターゲト配列の多
数のコピーをレポータープラスミドに直列で挿入することが好ましい。
【0449】 プロモーターおよびGAL4などの酵母転写因子の活性化ドメインに結合する能力
に関して評価すべきcDNA間の融合を含む(からなる)ライブラリーを、組み込ま
れたレポーター配列を含む酵母株に形質転換する。この酵母を、選択培地上にプ
レーティングして、プロモーター配列に連結された選択可能なマーカーを発現す
る細胞を選択する。選択培地で成長するコロニーは、標的配列を結合するタンパ
ク質をコードする遺伝子を含む。融合タンパク質をコードする遺伝子内の挿入物
を、配列決定によって、さらに特性化する。さらに、この挿入物を、発現ベクタ
ーまたはin vitro転写ベクターに挿入することができる。プロモーターDNAへの 挿入物によりコードされるポリペプチドの結合を、ゲルシフト分析またはDNAse 保護分析などの、当業者に周知の技術で、確認することができる。
【0450】 VII.遺伝子治療における伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の使用 本発明は、以下の実施例57および58に記載のアンチセンス方法および三重らせ
ん方法を含む、遺伝子治療における伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)の使用も含む。アンチセンスアプローチにおいて、mRNAに相補的な核酸配列を 、細胞内で、そのmRNAとハイブリダイズさせ、その結果、そのmRNAによりコード
されるタンパク質の発現を遮断する。アンチセンス配列は、様々な機構によって
、遺伝子発現を妨害することができる。たとえば、アンチセンス配列は、リボソ
ームがmRNAを翻訳する能力を阻害することができる。あるいは、アンチセンス配
列は、核から細胞質へのmRNAの輸送を遮断し、それによって、翻訳に利用できる
mRNAの量を制限することができる。アンチセンス配列が遺伝子発現を阻害するこ
とができる別の機構は、mRNAスプライシングを妨害することによる。さらに別の
方法において、アンチセンス核酸を、標的mRNAを特異的に切断することができる
リボザイム内に組み込んでもよい。
【0451】 (実施例 59 ) アンチセンス オリゴヌクレオチドの調製および使用 遺伝子治療で使用すべきアンチセンス核酸分子は、DNA配列またはRNA配列のい
ずれであってもよい。上記核酸分子は、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ ムDNA)の配列と相補的な配列を含む。アンチセンス核酸は、二重らせんにおける
mRNAの発現を阻害するのに十分な安定性を有する(有し、)細胞内二重らせんの
形成を可能にするのに十分な長さおよび融解温度を具有しなければならない。遺
伝子治療で使用するのに適したアンチセンス核酸を設計する方法は、Greenら、A
nn. Rev. Biochem. 55:569-597 (1986) および(ならびに) Izant(および)We
intraub, Cell 36:1007-1015 (1984)に開示されている。
【0452】 一部の方法において、細胞内で、正常に転写されるものと逆の鎖を転写するた
めに、プロモーターに関するコード配列の配向性を逆転することにより、タンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列からアンチセンス分子が得られる。in vitro
転写システム、たとえば、T7またはSP6ポリメラーゼを使用して、転写物を生成 するものを使用して、アンチセンス分子を転写することができる。別のアプロー
チは、アンチセンス配列を含むDNAを、発現ベクターにおけるプロモーターに操 作可能に連結することによる、in vivoでのアンチセンス核酸の転写を含む。
【0453】 あるいは、細胞内で、正常に転写される鎖と相補的なオリゴヌクレオチドをin
vitroで合成することができる。したがって、アンチセンス核酸は、対応するmR
NAと相補的であり、且つmRNAとハイブリダイズして、二重らせんを生成すること
ができる。一部の実施形態において、安定性を高め、且つRNase活性に対する感 受性を低くするために、アンチセンス配列は、修飾された糖リン酸バックボーン
を含んでもよい。アンチセンス方法で使用するのに適した修飾の例は、Rossiら 、Pharmacol. Ther. 50(2):245-254 (1991)に記載されている。
【0454】 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列と相補的な種々のタイプ のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することができる。1つの好ましい実
施形態では、国際出願PCTWO94/23026号に記載の安定なアンチセンスオリゴヌク レオチドおよび半安定なアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。これら
の分子において、相補塩基対間の分子内水素結合において、3´末端または3´末
端と5´末端の両者を操作する。これらの分子は、従来のアンチセンスオリゴヌ クレオチドに比べて、エキソヌクレアーゼ攻撃により耐えることができ、且つ高
い安定性を示す。
【0455】 別の好ましい実施形態では、国際出願第WO95/04141号に記載の、単純ヘルペ スウイルス1型および2型に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
使用される。
【0456】 また別の好ましい実施形態では、国際出願第WO96/31523号に記載の共有結合的
に架橋したアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。これらの二本鎖オリ
ゴヌクレオチドまたはまたは一本鎖オリゴヌクレオチドは、それぞれ、1つまた
は複数の、オリゴヌクレオチド間またはオリゴヌクレオチド内の共有結合的架橋
を含み、その結合は、それぞれ、1本の鎖の第一級アミン基と、他の鎖または同
じ鎖のカルボキシル基との間のアミド結合からなり、第一級アミン基は、その鎖
のヌクレオチド単糖環の2'位で直接に置換されており、カルボキシル基は、それ
ぞれ、他の鎖または同じ鎖の、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体上で置換
された、脂肪族スペーサー基により担持されている。
【0457】 国際出願第WO92/18522号に開示されているアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドおよびオリゴヌクレオチドを使用することもできる。これらの分子は、分
解に対して安定であり、且つ調節タンパク質に結合し、そのデコイとして有効な
少なくとも1つの転写調節認識配列を含む。これらの分子は、「ヘアピン」構造
、「ダンベル」構造、「修飾されたダンベル」構造、「架橋」デコイ構造および
「ループ」構造を含んでもよい。
【0458】 別の好ましい実施形態では、欧州特許出願第0572287A2号に記載の環状二本鎖 オリゴヌクレオチドが使用される。これらの連結されたオリゴヌクレオチド「ダ
ンベル」は、転写因子用の結合部位を含み、転写因子を封鎖することにより、転
写因子の制御下にある遺伝子の発現を阻害する。
【0459】 国際出願第WO92/19732に開示されている、閉鎖アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドの使用も考えられる。これらの分子には自由端がないため、従来のオリゴヌク
レオチドより、エキソヌクレアーゼによる分解に対してより抵抗性がある。これ
らのオリゴヌクレオチドは、標的mRNAに近接しない幾つかの領域と相互に作用す
る、多機能であってもよい。
【0460】 in vitro発現分析を使用して、遺伝子発現の阻害に必要なアンチセンス核酸の
適当なレベルを決定することができる。当技術分野で周知の方法を使用して、拡
散、注入、感染またはトランスフェクションにより、このアンチセンス分子を、
細胞に導入ことができる。たとえば、アンチセンス核酸を、露出した、または裸
のオリゴヌクレオチド、脂質に包まれたオリゴヌクレオチド、ウイルスのタンパ
ク質の外殻で包まれたオリゴヌクレオチド配列、または発現ベクターに含まれる
プロモーターに操作可能に連結されたオリゴヌクレオチドとして、体内に導入す
ることができる。発現ベクターは、レトロウイルスまたはウイルスベクター、染
色体外複製ができるベクター、または組込みベクターを含め、当技術分野で周知
の様々な発現ベクターのいずれであってもよい。ベクターは、DNAであってもよ く、またはRNAであってもよい。
【0461】 多数の異なる濃度、好ましくは1×10-10M〜1×10-4Mで、アンチセンス分子 を、細胞試料に導入する。遺伝子発現を十分に調節することができる最低濃度が
いったん同定されると、最適化された用量が、in vivoで使用するのに適した投 薬量に変換される。たとえば、1×10-7の培養における阻害濃度は、約0.6mg/kg
体重の用量に変換される。100mg/kg体重に近い、またはそれより高いオリゴヌク
レオチドレベルは、実験動物におけるオリゴヌクレオチドの毒性試験後に可能で
あろう。さらに、脊椎動物から細胞を取りだし、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドで処理し、脊椎動物に再導入することも考えられる。
【0462】 さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列をリボザイム配列に組み込み、
そのアンチセンスが、その標的mRNAを特異的に結合して切断することができるよ
うにすることも考えられる。リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド
の技術の適用については、Rossiら(前出)を参照されたい。
【0463】 本発明の好ましい用途では、RIAおよびELISAなどの抗体介在試験、機能的アッ
セイ、または放射標識を含むが、これに限定されない技術を使用して、翻訳に対
するアンチセンス阻害の有効性をモニタリングできるように、該遺伝子によりコ
ードされるポリペプチドを最初に同定する。
【0464】 本発明の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、細胞内三重らせん 形成に基づく遺伝子治療アプローチ使用することもできる。三重らせんオリゴヌ
クレオチドを使用して、ゲノムからの転写を阻害する。細胞活性は、特定の遺伝
子と関連しているため、三重らせんオリゴヌクレオチドは、細胞活性の変化を研
究するのに特に有用である。本発明の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムD
NA)または、さらに好ましくは、それらの配列の一部を使用して、特定の遺伝子 の発現と関連した疾患を有する個体における遺伝子発現を阻害することができる
。同様に、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の一部を使用して、細 胞内の特定の遺伝子の転写阻害の影響を試験することができる。伝統的に、三重
らせん方法には、ホモプリン配列が最も有用であると考えられた。しかし、ホモ
ピリミジン配列も遺伝子発現を阻害することができる。このようなホモピリミジ
ンオリゴヌクレオチドは、ホモプリン:ホモピリミジン配列の主溝に結合する。 したがって、伸長cDNAからの配列も、伸長cDNAに対応する遺伝子からの配列も、
本発明の範囲内であると考えられる。
【0465】 (実施例 60) 三重らせんプローブの調製および使用 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列を走査して、遺伝子発現 を阻害する三重らせんに基づく方法に使用できる可能性のある10マー〜20マーの
ホモピリミジンまたはホモプリンストレッチを同定する。候補のホモピリミジン
またはホモプリンストレッチの同定後、遺伝子発現阻害におけるその効力を評価
する。候補の配列を含むオリゴヌクレオチドの様々な量を、標的遺伝子を正常に
発現する組織培養細胞に導入する。このオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオ
チドシンセサイザーで調製してもよく、または、特別注文のオリゴヌクレオチド
合成を専門とする会社、たとえば、GENSET, Paris, Franceから商業的に購入し てもよい。
【0466】 リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポ ソーム介在トランスフェクションまたは自然取り込み(nativeuptake)を含むが
、これに限定されない、当業者に公知の様々な方法を使用して、オリゴヌクレオ
チドを細胞に導入することができる
【0467】 オリゴヌクレオチドで処理しておいた細胞における標的遺伝子の転写レベルを
モニタリングするための、ノーザンブロッティング、RNase保護アッセイ、また はPCRに基づく方法などの技術を使用して、細胞機能の変化または遺伝子発現の 減少について、処理された細胞をモニタリングする。オリゴヌクレオチドが誘導
される伸長cDNAに対応する標的遺伝子と、特定の機能と関連していた既知の遺伝
子配列との相同性にもとづいて、モニタリングすべき細胞機能を予測する。特定
の遺伝病を有する個体から誘導された細胞内における生理機能異常の有無に基づ
いて、特に、伸長cDNAがその疾患と関連しているとき、実施例53に記載の技術を
使用して、細胞機能を予測することもできる。
【0468】 次いで、上記の技術および実施例59に記載の技術を使用し、実施例59に記載の
ように、in vitroでの結果に基づいて算出された投薬量で、組織培養細胞におけ
る遺伝子発現の阻害に有効なオリゴヌクレオチドを、in vivoで導入することが できる。
【0469】 一部の実施形態において、オリゴヌクレオチド単位の天然(β)アノマーを、α
アノマーと置き換えて、オリゴヌクレオチドを、さらにヌクレアーゼ耐性にする
ことができる。さらに、臭化エチジウムなどの挿入剤を、αオリゴヌクレオチド
の3´末端に接着し、三重らせんを安定化することができる。三重らせん形成に 適したオリゴヌクレオチドの生成に関する情報については、Griffinら、Science
245:967-971 (1989)を参照されたい。
【0470】 (実施例 61) コードされたタンパク質を、宿主生物にて発現させるための伸長cDNAの使用 本発明の伸長cDNAを使用して、コードされたタンパク質を、宿主生物にて発現
させ、有益な作用をもたらすこともできる。このような方法では、コードされた
タンパク質は、宿主生物にて一過的に発現してもよく、または宿主生物にて安定
に発現してもよい。コードされたタンパク質は、上述の活性のいずれを具有して
もよい。コードされたタンパク質は、宿主生物に欠けているタンパク質であって
もよく、あるいは、コードされたタンパク質は、宿主生物におけるタンパク質の
既存のレベルを高めてもよい。
【0471】 シグナルペプチドと成熟タンパク質をコードする全長伸長cDNA、または成熟タ
ンパク質のみをコードする伸長cDNAを、宿主生物に導入する。当業者に周知の様
々な技術を使用して、伸長cDNAを、宿主生物に導入することができる。たとえば
、コードされたタンパク質が宿主生物にて発現し、その結果、有益な作用をもた
らすように、裸のDNAとして、伸長cDNAを宿主生物に注入してもよい。
【0472】 あるいは、伸長cDNAを、宿主生物内で活性なプロモーターの下流にある発現ベ
クターに、クローニングすることもできる。発現ベクターは、ウイルスベクター
またはレトロウイルスベクターを含む、遺伝子治療向けに設計された発現ベクタ
ーのいずれであってもよい。
【0473】 発現ベクターを、コードされたタンパク質が宿主生物にて発現し、有益な作用
をもたらすように、宿主生物に直接導入してもよい。別のアプローチにおいて、
発現ベクターを、in vitroで細胞に導入することができる。その後、発現ベクタ
ーを含む細胞を選択して宿主生物に導入し、そこで、コードされたタンパク質を
発現させ、有益な作用をもたらす。
【0474】 (実施例 62) タンパク質を細胞内に移入するための、5’ESTまたはそれから得られる配列によ
りコードされるシグナルペプチドの使用 本発明の5' ESTまたは5'ESTから誘導された伸長cDNAによりコードされるシグ ナルペプチドの短い疎水性コア領域(h)を担体として使用して、目的のペプチ
ドまたはタンパク質、いわゆるカーゴを、組織培養細胞に移入することもできる
(Linら、J. Biol. Chem., 270: 14225-14258 (1995); Du ら、J. Peptide Res.,
51: 235-243 (1998); Rojasら、Nature Biotech., 16: 370-375 (1998)).
【0475】 限定されたサイズ(約25アミノ酸まで)の細胞透過性ペプチドを、細胞膜を横切
って移動させるとき、h領域を目的のカーゴペプチドのC末端またはN末端のい
ずれかに付加するために、化学合成を使用することができる。あるいは、より長
いペプチドまたはタンパク質を細胞に移入するとき、h領域をコードする伸長cD
NA配列をカーゴポリペプチドに関するDNA配列5'末端または3'末端に連結するた めに、当業者に周知の技術を使用して、核酸を遺伝子操作することができる。次
いで、このような遺伝子操作した核酸を、適当な細胞にトランスフェクションし
た後、結果として得られる細胞透過性ポリペプチドを産生するための従来技術を
使用して、in vitroまたはin vivoのいずれかで翻訳する。次いで、適当な宿主 細胞を、細胞透過性ポリペプチドと共に簡単にインキュベートし、次いで、これ
を、膜を横切って移動させる。
【0476】 この方法を適用して、様々な細胞内機能および細胞工程を研究することができ
る。たとえば、機能的に関連のある細胞内タンパク質のドメインの精査およびシ
グナル伝達経路に関与するタンパク質-タンパク質相互作用の試験には、この方 法が使用されている。(Linら、前出;Linら、J. Biol. Chem., 271: 5305-5308
(1996);Rojasら、J. Biol. Chem., 271: 27456-27461 (1996);Liuら、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA, 93: 11819-11824 (1996);Rojasら、Bioch. Biophys. Re
s. Commun., 234: 675-680 (1997))。
【0477】 このような技術を細胞療法で使用して、治療効果をもたらすタンパク質を移入
することができる。たとえば、患者から単離された細胞を、移入される治療用タ
ンパク質で処理し、次いで、宿主生物に再導入することができる。
【0478】 あるいは、本発明のシグナルペプチドのh領域を、核局在化シグナルと組み合
せて使用し、核酸を細胞核に送りこむことができる。このようなオリゴヌクレオ
チドは、標的細胞RNAのプロセッシングおよび成熟を阻害するために、それぞれ 、実施例59および60に記載されている、三重らせんを形成するように設計された
、アンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよく、またはオリゴヌクレオチド
であってもよい。
【0479】 (実施例 63) クローンの再組み立ておよび再配列決定 実施例27に記載の手法によって得られる全長cDNAクローンを二重配列決定した
。実施例27に記載の工程に本質的に同じ工程に従って、オープンリーディングフ
レームを再度割り当てた。
【0480】 この再分析工程の後、いくつかの異常が認められた。配列番号84に示されてい
る配列は、明らかに、真正の全長cDNAではなさそうである。このクローンは、既
知のタンパク質配列との相同性研究に基づいて停止コドンが欠けており、したが
って、3'短縮型cDNA配列である公算が高い。同様に、配列番号60、76、83および
84に示されている配列も、既存のタンパク質配列との相同性試験に基づいて、真
正の全長cDNAでない可能性がある。これらの配列は、配列番号60の場合を除き潜
在的な開始メチオニンをコードするが、それらは5'短縮型cDNAを示す可能性があ
る。
【0481】 最後に、オープンリーディングフレームをクローンに割り当てなおした後、新
しいオープンリーディングフレームを選択した場合もある。たとえば、配列番号
60、74および83の場合、新しいオープンリーディングフレームは、もはや、シグ
ナルペプチドを含んでいると予想されなかった。
【0482】 上記の通り、表4に、本発明の伸長cDNAの配列識別番号、全コード配列(すな わち、表4の項目FCS位置の下に記載されている、シグナルペプチドと成熟タン パク質の両者をコードするヌクレオチド)の、配列番号40〜84および130〜154に おける位置、シグナルペプチドをコードするヌクレオチドの、配列番号40〜84お
よび130〜154における位置(表4の項目SigPepの下に記載)、シグナルペプチドの
切断によって生成する成熟タンパク質をコードするヌクレオチドの、配列番号40
〜84および130〜154における位置(表4の項目成熟ポリペプチドの下に記載)、停
止コドンの配列番号40〜84および130〜154における位置(表4の項目停止コドン の下に記載)、ポリAシグナルの配列番号40〜84および130〜154における位置(表
4の項目ポリAシグナルの下に記載)およびポリA部位の位置(表4の項目ポリA
部位の下に記載)を示す。
【0483】 上記の通り、表5は、配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドの配列 識別番号、配列番号85〜129および155〜179のアミノ酸残基の全長ポリペプチド における位置(第2列)、配列番号85〜129および155〜179のアミノ酸残基のシグ ナルペプチドにおける位置(第3列)、および配列番号85〜129および155〜179の アミノ酸残基の、全長ポリペプチドからシグナルペプチドを切断することによっ
て生じる成熟ポリペプチドにおける位置(第4列)のリストである。表5および添
付の配列表において、配列表の基準となる規則に準拠して、シグナルペプチドの
切断によって生じる成熟タンパク質の最初のアミノ酸をアミノ酸番号1と呼び、
シグナルペプチドの最初のアミノ酸を適当な負の数で呼ぶ。
【0484】 (実施例 64) 予想されたタンパク質 配列の機能的分析 二重に配列決定した後、本発明の各伸長cDNAについて新しいコンティグを組み
立て、それぞれを、出願時に入手可能な既知の配列と比較した。これらの配列は
、以下のデータベースに由来する:Genbank(リリース108および1998年10月15日 までのデイリーリリース)、Genseq(リリース32)、PIR(リリース53)およびSwissp
rot(リリース35)。既知のタンパク質と一致する本発明の予想されたタンパク質 を、相同性のレベルによって、さらに3つのカテゴリーに分類した。
【0485】 第1のカテゴリーは、一致したタンパク質の全長で、80%を超える同じアミノ 酸残基を示す本発明のタンパク質を含む。これらのタンパク質は、一致したタン
パク質と同じ機能または非常に類似した機能を有する公算が最も高い、明らかに
類似した相同体である。
【0486】 第2のカテゴリーは、関係の薄い相同性(タンパク質全体で30〜80%)を示す本 発明のタンパク質を含み、本発明のタンパク質が、一致したタンパク質のものに
似た機能を有することを示す。
【0487】 第3のカテゴリーは、既知のタンパク質の短いドメインに対して高い相同性(9
0〜100%)またはより大きなドメインに対して関係の薄い相同性(40〜60%)のい
ずれかを示すタンパク質を含み、一致したタンパク質と本発明のタンパク質が類
似した特徴を共有し得ることを示す。
【0488】 図10〜12、および表8で検討されるタンパク質配列のアミノ酸の番号付けでは
、最初の遭遇したメチオニンをアミノ酸番号1と呼ぶことに留意されたい。添付
の配列表では、配列表を統制する規則に準拠して、シグナルペプチドの切断によ
って生じる成熟タンパク質の最初のアミノ酸をアミノ酸番号1と呼び、シグナル ペプチドの最初のアミノ酸を適当な負の数で呼ぶ。
【0489】 さらに、修正されたアミノ酸配列(配列番号85〜129および155〜179)全てを、 既知のタンパク質シグネチャーおよびモチーフの有無について、走査した。GCG パッケージからのProscanソフトウェアを使用して、Prosite 15.0データベース に対して、この検索を実施した。機能的シグネチャーおよびそれらの位置を表8
に示す。
【0490】 A)既知のタンパク質と密接に関連したタンパク質 配列番号120のタンパク質(内部名26-44-1-B5-CL1 1) 卵巣から単離された配列番号75の伸長cDNAによりコードされる配列番号120の タンパク質は、ホスホレマン(phospholemman)またはPLMと呼ばれるヒトタンパ
ク質およびげっ歯類ならびにイヌ種におけるその相同物に広範な相同性を示す。
PLMは、Genbank受託番号U72245の核酸配列によってコードされ、配列番号180の アミノ酸配列を有する。ホスホレマンは、そのリン酸化が心筋および骨格筋の収
縮性の増加に相関する突出した形質膜タンパク質である。はじめは簡単な※塩素
イオンチャンネルとして記載されていたが、最近、該タンパク質は、細胞容積の
調節におけるオスモライト(osmolyte)として作用するタウリンのチャンネルで
あることが明らかにされている(Moormanら、Adv Exp. Med. Biol., 442:219-22
8 (1998))。
【0491】 図10の配列番号120のタンパク質およびPLM間のアラインメントからわかるよう
に、アミノ酸残基は、92アミノ酸長一致タンパク質の3および5位を除いて同一
である。3位のプロリン残基の同等な別の中性残基セリンへの置換は保存的であ
る。さらに、本発明のタンパク質はまた、塩素イオンチャンネルかまたは塩素イ
オンチャンネル調節因子のいずれかであることが公知であるほとんどのタンパク
質を含有するファミリーについて、典型的なATP1G/PLM/MAT8 PROSITEシグネチャ
ー(図10において太字で示されている27〜40位)を示す。さらに、本発明のタン
パク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne, CABIOS applic.
Notes, 10:685-686 (1994))により予想される通り、2つの短い膜貫通セグメ ントを1〜21位および37〜57位に含有する。第1のセグメント(斜体部分)は、
PLMのシグナルペプチドに対応し、第2の膜貫通ドメイン(下線部分)は、塩素 イオンチャンネル自体であることが示されている膜貫通領域(二重下線部分)に
一致する(Chenら、Circ. Res., 82:367-374 (1998))。
【0492】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号120のタンパク質は、細胞 容積の調節および組織の収縮性に関与することが示唆される。したがって、この
タンパク質は、癌、下痢、受精能障害が含まれるがこれらに限定されない数種の
障害の診断および/または治療、ならびに筋肉障害、呼吸障害および心筋障害を
含む収縮性障害において有用であり得る。
【0493】 配列番号121のタンパク質(内部名47-4-4-C6-CL2 3) 黒質において見出される配列番号76の伸長cDNAによりコードされる配列番号12
1のタンパク質は、ヒトE25タンパク質に広範な相同性を示す。E25タンパク質はG
enbank受託番号AF038953の核酸配列によってコードされ、配列番号181のアミノ 酸配列を有する。一致タンパク質は、造血幹/前駆細胞の発達および分化に関与
し得る。さらに、該タンパク質は、軟骨-骨形成分化(chondro-osteogenic diff
erentiation)に関与すると思われ、内在性膜タンパク質の新規の多重遺伝子族 に属するマウスタンパク質のヒト相同物である(Deleersnijderら、J. Biol. Ch
em., 271:19475-19482 (1996))。
【0494】 図 11の配列番号121のタンパク質およびE25間のアラインメントからわかるよう に、アミノ酸残基は、263アミノ酸長一致配列の9、24および121位を除いて同一
である。これらの全ての置換は保存的である。さらに、本発明のタンパク質は、
ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne, CABIOS applic. Notes, 10
:685-686 (1994))により予想される通り、1つの短い膜貫通セグメントを1〜2
1位(図11の下線部分)に含有し、これは、マウスE25タンパク質について予想さ
れるセグメントと一致する。
【0495】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号121のタンパク質は、細胞 の増殖および分化、および/または造血に関与することが示唆される。したがっ
て、このタンパク質は、癌、血液学的障害、軟骨-骨形成障害および胚形成障害 が含まれるがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または治療におい
て有用であり得る。
【0496】 配列番号128のタンパク質(内部名58-34-2-H8-CL1 3) 腎臓から単離された配列番号83の伸長cDNAによりコードされる配列番号128の タンパク質は、マウスWWドメイン結合タンパク質1すなわちWWBP-1に広範な相同
性を示す。WWBP-1はGenbank受託番号U40852の核酸配列によってコードされ、配 列番号182のアミノ酸配列を有する。このタンパク質は、胎盤、肺、肝臓および 腎臓において発現され、いわゆるPYドメインを介してYes癌原遺伝子関連タンパ ク質のWWドメインに結合することによる細胞内シグナリングに役割を果たすと思
われる(ChenおよびSudol, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,92:7819-7823(1995))。
WW-PYドメインは、SH3-PXXPドメイン極めて類似した新規の組のモジュラータン パク質結合配列を表すと思われる(Sudolら、FEBS Lett., 369:67-71 (1995) )
【0497】 図 12の配列番号128のタンパク質およびWWBP-1間のアラインメントからわかる
ように、アミノ酸残基は、305アミノ酸長一致タンパク質の53、66、78、89、92 、94、96、100、102、106、110、113、124、128、136、139、140、142〜144、16
6、168、173、176、178、181、182、188、196、199、201、202、207および210を
除いて、該一致タンパク質のアミノ酸配列に同一である。これらの置換のうち68
%は保存的である。実際に、ヒスチジン富化PYドメインは本発明のタンパク質に
存在する(図12において太字で示した82〜86位)。
【0498】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号128のタンパク質は、細胞 内シグナリングに役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質
は、癌、神経変性疾患、心血管障害、高血圧、腎損傷および修復(repair)なら
びに敗血症性ショックを含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/
または治療に有用であり得る。
【0499】 B)既知の機能を有するタンパク質と薄い関連のあるタンパク質 配列番号97のタンパク質(内部名108-004-5-0-G6-FL) 配列番号52の伸長cDNAによりコードされる肝臓において発見された配列番号97
のタンパク質は、ヒト、ウシおよびマウス種に認められるレクチン様酸化LDLレ セプター(LOX-1)に相同性を示す。血管内皮および血管富化器官において発現 されるC-レクチン様ドメインを有するそのようなII型タンパク質は、酸化型に改
変された低密度リポタンパク質を結合して取り込む(Sawamuraら、Nature, 386:
73-77, (1997))。酸化リポタンパク質は、産業国の主な死因であるアテローム 硬化症の病因に関与している(Parthasarathyら、Biochem. Pharmacol. 56:279-
284 (1998)による概説を参照のこと)。さらに、そのようなC末端C型レクチン
ドメイン(炭水化物認識ドメインとしても知られている)を有するII型膜タンパ
ク質はまた、標的細胞認識および細胞活性化に関与するタンパク質を含む。
【0500】 本発明のタンパク質は、C型レクチンファミリーに属するII型タンパク質の典
型的な構造を有する。実際に、該タンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clar
osおよびvon Heijne、CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予 想される通り、短い31アミノ酸長N末端テイル、ヒトLOX-1について予想される セグメントに一致する32〜52位の膜貫通セグメントおよび大きな177アミノ酸長 C末端テイルを含有する。LOX-1 C型レクチンドメインの6つ全てのシステイン も本発明のタンパク質に保存されている(102、113、130、195、208および216位
)が、このファミリーの特徴的PROSITEシグネチャーは保存されていない。LOX-1
タンパク質はGenbank受託番号AB010710の核酸配列によってコードされる。
【0501】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号97のタンパク質は、脂質の
代謝および/または細胞-細胞間もしくは細胞-マトリックス間相互反応および/
または細胞活性化に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質ま
たはこのタンパク質の一部は、癌、高脂血症、心血管障害および神経変性障害を
含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および治療に有用であり得る。
【0502】 配列番号111のタンパク質(内部名108-008-5-0-G12-FL) 配列番号66の伸長cDNAによりコードされる配列番号111のタンパク質は、E.col
iリボソームタンパク質L36に類似のSaccharomyces Cerevisiae (PIR:S72254)に おいて見出されたミトコンドリアタンパク質に相同性を示す。本発明のタンパク
質(76〜102位)では、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンまたはア スパラギン残基の代わりにトリプトファン残基の置換があることを除いて、リボ
ソームL36の典型的なPROSITEシグネチャーが存在する。
【0503】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号111のタンパク質は、タン パク質合成に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は、癌を
含むがこれに限定されない数種の障害の診断および/または治療に有用であり得
る。
【0504】 配列番号94のタンパク質(内部名108-004-5-0-D10-FL) 配列番号49の伸長cDNAによりコードされる配列番号94のタンパク質は、動物(
ヒト、げっ歯類、ウシおよびニワトリ)において広範に保存されているβ4-ガラ
クトシルトランスフェラーゼのサブファミリーに薄い相同性を示す。そのような
酵素は、通常、小胞体またはゴルジ装置に位置するII型膜タンパク質であり、糖
タンパク質、糖脂質、グリカンおよびラクトースの生合成を触媒する。Bretonら
、J. Biochem., 123:1000-1009 (1998)におけるサブファミリーAの特徴として 規定される特徴は、本発明のタンパク質、具体的には、UDP結合または触媒処理 自体のいずれかに関与していると思われるDVDモチーフ(163〜165位)を含有す る領域Iにおいて特に良好に保存されている。
【0505】 さらに、本発明のタンパク質は、II型タンパク質の典型的な構造を有する。実
際に、該タンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、CA
BIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予想される通り、短い28ア ミノ酸長N末端テイル、29〜49位の膜貫通セグメントおよび大きな278アミノ酸 長C末端テイルを含有する。
【0506】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号94のタンパク質は、多糖、
ならびに糖タンパク質および糖脂質の炭水化物部分の生合成ならびに/または細
胞-細胞間認識において役割を果たすことが示唆される。したがって、このタン パク質は、癌、アテローム硬化症、心血管障害、自己免疫障害および慢性関節リ
ウマチを含むリウマチ病を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および
/または治療に有用であり得る。
【0507】 配列番号104のタンパク質(内部名108-006-5-0-G2-FL) 配列番号59の伸長cDNAによりコードされる配列番号104のタンパク質は、発達 段階で発現が調節される神経マウスタンパク質NP15.6に相同性を示す。NP15.6タ
ンパク質は、Genbank受託番号Y08702の核酸配列によってコードされる。
【0508】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号104のタンパク質は、細胞 の増殖および分化に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は
、癌、神経変性障害および胚形成障害を含むがこれらに限定されない数種の障害
の診断および/または治療に有用であり得る。
【0509】 C)既知の機能を有するタンパク質のドメインに相同なタンパク質 配列番号113のタンパク質(内部名108-009-5-0-A2-FL) 配列番号68の伸長cDNAによりコードされる配列番号113のタンパク質は、転写 因子のbZIPファミリー、具体的にはヒト内腔(luman)タンパク質に広範な相同性 を示す。(Luら、Mol. Cell. Biol.,17:5117-5126 (1997))。ヒト内腔タンパク
質は、Genbank受託番号AF009368の核酸配列によってコードされる。一致は、塩 基性DNA結合ドメインおよびタンパク質の二量体化を可能にするロイシンジッパ ーから成る全bZIPドメインを含む。特徴的なPROSITEシグネチャー(224〜237位 )により示されるように、塩基性ドメインは、233位においてアスパラギン酸に よりグルタミン酸が保存的置換されていることを除き、本発明のタンパク質に保
存されている。ロイシンジッパーの典型的なPROSITEシグネチャー(259〜280位 )も認められた。ジンクフィンガーおよび機能的シグナルペプチドを示す遺伝子
発現を調節すると思われる線虫タンパク質から明らかな通り、分泌タンパク質は
核酸結合ドメインを有し得る(HolstおよびZipfel, J. Biol. Chem., 271:16275
-16733, 1996)。
【0510】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号113のタンパク質は、DNAに
結合し、転写因子として遺伝子発現を調節することが示唆される。したがって、
このタンパク質は、癌を含むがこれに限定されない数種の障害の診断および/ま
たは治療に有用であり得る。
【0511】 配列番号129のタンパク質(内部名76-13-3-A9-CL1 1) 配列番号84の伸長cDNAによりコードされる配列番号129のタンパク質は、ヒト 7回膜貫通タンパク質の一部に相同性を示す。ヒト7回膜貫通タンパク質は、Ge
nbank受託番号Y11395の核酸配列によってコードされる。ストマチンに潜在的に 関連する一致タンパク質は、Gタンパク質共役レセプターとして作用し、ニュー
ロンおよび造血細胞のシグナル伝達に重要であるようである(Mayerら、Biochem
. Biophys. Acta., 1395:301-308 (1998))。
【0512】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号129のタンパク質は、シグ ナル伝達に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は、癌、神
経変性疾患、心血管障害、高血圧、腎損傷および修復ならびに敗血症性ショック
などの膜透過性の障害を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/
または治療に有用であり得る。
【0513】 配列番号95のタンパク質(内部名108-004-5-0-E8-FL) 配列番号50の伸長cDNAによりコードされる配列番号95のタンパク質は、アミノ
酸の細胞への輸送に関与する内在性膜タンパク質であるアミノ酸透過酵素に対し
て典型的なPROSITEシグネチャー(5〜66位)を示す。さらに、ソフトウェアTop
Pred II(Clarosおよびvon Heijne、CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (199
4))により予想される通り、本発明のタンパク質は、9〜29位の膜貫通セグメン
トを有する。
【0514】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号95のタンパク質は、アミノ
酸の輸送に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は、癌、ア
ミン酸尿、神経変性疾患、食欲不振、慢性疲労、冠状血管疾患、ジフテリア、低
血糖症、オス受精能に関連する障害、筋およびミオパシーを含むがこれらに限定
されない数種の障害の診断および/または治療に有用であり得る。
【0515】 上述の通り、本発明の伸長cDNAまたはその一部を、種々の目的に使用すること
ができる。これらのポリヌクレオチドを用いて、分析、特性化または治療用に、
組換えタンパク質を発現させるために、対応するタンパク質が優先的に発現され
る(構成的に、あるいは組織分化または発生の特定の段階または疾患状態のいず
れかで)組織のマーカーとして、サザンゲルでの分子量マーカーとして、染色体
を同定するためあるいは関連遺伝子の位置をマッピングするための染色体マーカ
ーまたはタグ(標識したとき)として、患者の内因性DNA配列と比較して、潜在的
遺伝子障害を同定するために、ハイブリダイズするため、および、したがって、
新規関連DNA配列を発見するためのプローブとして、遺伝子フィンガープリント 用のPCRプライマーを誘導するための情報源として、発現パターン試験用を含め 、「遺伝子チップ」または他の支持体に連結するためのオリゴマーを選択して作
成するために、DNA免疫化技術を使用して、抗タンパク質抗体を高めるために、 さらに、抗原として、抗DNAを高めるか、別の免疫応答を誘導するために使用す ることができる。上記ポリヌクレオチドが、別のタンパク質に結合するか潜在的
に結合する(たとえば、レセプター-リガンド相互作用において)タンパク質を コードする場合、このポリヌクレオチドを、相互作用トラップアッセイ(たとえ
ば、Gyurisら、Cell 75:791-803 (1993)に記載のものなど)に使用して、結合が
発生する対象である他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定したり
、結合相互作用のインヒビターを同定したりすることもできる。
【0516】 同様に、本発明により提供されるタンパク質またはポリペプチドを、生物学的
活性を決定するためのアッセイにおいて、以下のように使用することができる:
高処理能力スクリーニング用の多数のタンパク質のパネルで、抗体を高めるため
、または別の免疫応答を誘導するために、体液中のタンパク質(またはそのレセ
プター)のレベルを定量的に測定するために設計されたアッセイにおける試薬と
して(標識された試薬を含む)、対応するタンパク質が優先的に発現される(構
成的に、あるいは組織分化または発生の特定の段階または(あるいは)疾患状態
のいずれかで)組織のマーカーとして、さらに、もちろん、相互に関連するレセ
プターまたはリンドを単離するために。上記タンパク質が、別のタンパク質に結
合するか潜在的に結合する(たとえば、レセプター-リガンド相互作用において )場合、このタンパク質を使用して、結合が発生する対象である他のタンパク質
を同定したり、結合相互作用のインヒビターを同定したりすることができる。こ
れらの結合相互作用に関与するタンパク質を使用して、結合相互作用のペプチド
または低分子のインヒビターまたはアゴニストをスクリーニングすることもでき
る。
【0517】 これらの調査研究の有用な要素のいずれかまたは全てを、試薬級に、または研
究産物として商業化するためのキット形式に、開発することができる。
【0518】 上掲の使用方法は、当業者に周知である。このような方法を開示している参考
文献としては、Molecular Cloning; A Laboratory Mannual, 2d ed., Cole Spri
ng Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E.F.FritschおよびT.Maniatis ed
s., (1989)ならびにMethods in Enzymology;Guide to Molecular Cloning Tech
niques, Academic Press, Berger, S.L. and A.R. Kimmel eds., (1987)が挙げ られるが、この限りではない。
【0519】 本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質を栄養源または補助食品として使
用することも可能である。このような使用としては、タンパク質補助食品または
アミノ酸補助食品としての使用、炭素源としての使用、窒素源としての使用、お
よび炭水化物源としての使用などが挙げられるが、この限りではない。このよう
な場合、本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドを特定の生物の飼料にくわ
えてもよく、あるいは、別個の固体製剤または液体製剤として、たとえば、粉末
、ピル、溶液、懸濁液またはカプセルの形などで、投与してもよい。微生物の場
合、微生物が中で、または上で培養される培地に、本発明のタンパク質またはポ
リヌクレオチドを加えてもよい。
【0520】 好適な実施形態について本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の
開示内容を参照することにより他の実施形態も本発明の範囲内に含まれることを
十分理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によっ
てのみ規定されることを意図する。
【0521】 配列表のフリーテキスト 添付の配列表に以下のフリーテキストを加える。 in vitro転写産物 オリゴヌクレオチド 相補物 von Heijneマトリックス 得点 プロモーター 配列 転写開始部位 Matinspector予想 名称
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 cDNAが誘導されるmRNAの5'末端を含むように選択されたcDNAを得
る方法の概要を表す図である。
【図2】 本明細書に記載されているシグナルペプチド同定のための技術を
使用して、擬陽性および擬陰性の頻度を決定するための、全ヒトスイスプロット
(SwissProt)タンパク質の43アミノ末端のアミノ酸の分析を示す図である。
【図3】 本明細書に記載の各カテゴリー内の5'ESTに関するvon Heijne得 点の分布およびこれらの5´ESTがシグナルペプチドをコードする確率を示す図で
ある。
【図4】 各カテゴリー内の5'ESTの分布および所与の最小のvon Heijne得 点を有する各カテゴリー内の5'ESTの数を示す図である。
【図5】 本明細書に記載されている各カテゴリー内の5'ESTに対応するmRN
Aが得られた組織を示す図である。
【図6】 伸長cDNAを得るための方法を示す図である。
【図7】 pED6dpc2の地図を示す図である。pED6dpc2 は、cDNAクローニン グを容易にするための新規のポリリンカーの挿入によってpED6dpc1から誘導され
る。SST cDNAは、EcoRIとNotIとの間にクローニングされる。PEDベクターについ
ては、Kaufmanら(1991), NAR 19:4485-4490に記載されている。
【図8】 単離されたプロモーターの概略図およびそれらを対応する5'タグ
で組み立てる方法を示す図である。
【図9】 これらの各プロモーターに存在する転写因子結合部位を示す図で
ある。
【図10】 シグナルペプチドを斜体で表し、予想膜貫通セグメントに下線
を付し、実験的に決定された膜貫通セグメントに二重下線を付し、ATP1G/PLMN/M
AT8シグネチャーを太字で表した配列番号120および180のタンパク質のアライン メントを示す図である。
【図11】 予想膜貫通セグメントに下線を付した配列番号121および181の
タンパク質のアラインメントを示す図である。
【図12】 PPPYモチーフを太字で表した配列番号128および182のタンパク
質のアラインメントを示す図である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/21 4H045 1/19 C12P 21/02 C 5B075 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G06F 17/30 170F C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 5/00 A // G06F 17/30 170 F (31)優先権主張番号 60/096,116 (32)優先日 平成10年8月10日(1998.8.10) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/099,273 (32)優先日 平成10年9月4日(1998.9.4) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ドゥマ ミルヌ エドワーズ,ジャン‐バ プティスト フランス国 エフ−75006 パリ,ル グ レゴワール ド トゥール,8 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA04 CA09 CA11 CA12 DA02 EA04 FA02 FA18 GA13 HA14 HA15 HA17 4B029 AA07 BB20 CC03 CC08 FA15 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ53 QR32 QR56 QR84 QS03 QS25 QS34 QS36 QX07 4B064 AG01 AG26 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA90X AA93Y AB01 AC15 BA02 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 BA16 BA20 BA21 CA40 DA75 DA76 FA74 5B075 MM01 MM11 MM62 ND07 ND22 NK06 UU26

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号40〜84および130〜154の1つの配列またはそれに
    相補的な配列を含む、精製されたまたは単離された核酸。
  2. 【請求項2】 配列番号40〜84および130〜154の1つの配列またはそれに相
    補的な配列の1つの少なくとも10個連続した塩基を含む、精製されたまたは単離
    された核酸。
  3. 【請求項3】 配列番号40〜59、61〜73、75、77〜82、および130〜154の1
    つの全コード配列を含み、前記全コード配列は、シグナルペプチドをコードする
    配列および成熟タンパク質をコードする配列を含む、精製されたまたは単離され
    た核酸。
  4. 【請求項4】 成熟タンパク質をコードする、配列番号40〜59、61〜75、77
    〜82、および130〜154の1つのヌクレオチドを含む、精製されたまたは単離され
    た核酸。
  5. 【請求項5】 シグナルペプチドをコードする、配列番号40〜59、61〜73、
    75〜82、84、および130〜154の1つのヌクレオチドを含む、精製されたまたは単
    離された核酸。
  6. 【請求項6】 配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの配列を有す るポリペプチドをコードする精製されたまたは単離された核酸。
  7. 【請求項7】 配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜179の 配列の1つに含まれる成熟タンパク質の配列を有するポリペプチドをコードする
    、精製されたまたは単離された核酸。
  8. 【請求項8】 配列番号85〜104、106〜118、120〜127、129、および155〜1
    79の配列の1つに含まれるシグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコー
    ドする、精製されたまたは単離された核酸。
  9. 【請求項9】 配列番号85〜129および155〜179の1つの配列を含む、精製 されたまたは単離されたタンパク質。
  10. 【請求項10】 配列番号85〜129および155〜179の配列の1つの少なくと も10個連続したアミノ酸を含む、精製されたまたは単離されたポリペプチド。
  11. 【請求項11】 配列番号85〜104、106〜118、120〜127、129、および155 〜179のポリペプチドの1つのシグナルペプチドを含む、単離されたまたは精製 されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 配列番号85〜104、106〜120、122〜127、および155〜179 のポリペプチドの1つの成熟タンパク質を含む、単離されたまたは精製されたポ
    リペプチド。
  13. 【請求項13】 配列番号85〜129および155〜179の配列の1つを含むタン パク質を製造する方法であって、 配列番号40〜84および130〜154の配列の1つの配列を含むcDNAを得るステップ
    と、 前記cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるように、前記cDNAを発現ベク
    ターに挿入するステップと、 前記発現ベクターを宿主細胞に導入し、それによって、前記宿主細胞において
    前記cDNAによりコードされるタンパク質を産生させるステップと、 を含む方法。
  14. 【請求項14】 前記タンパク質を単離するステップをさらに含む、請求項
    13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の方法で得られる、タンパク質。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の組換え核酸を含む、宿主細胞。
  17. 【請求項17】 配列番号85〜129および155〜179の1つの配列を有するタ ンパク質に特異的に結合することができる、精製されたまたは単離された抗体。
  18. 【請求項18】 少なくとも15ヌクレオチドの長さのポリヌクレオチドのア
    レイであって、その改良点が、配列番号40〜84および130〜154の配列の少なくと
    も1つ、または配列番号40〜84および130〜154の配列に相補的な配列の1つ、ま
    たはその少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントを、前記アレイに
    含めることから成る、上記アレイ。
  19. 【請求項19】 配列番号40〜84および130〜154の1つの配列または配列番
    号40〜84および130〜154の配列の1つに相補的な配列にストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズすることができる、少なくとも15塩基の精製されたまたは単
    離された核酸。
  20. 【請求項20】 配列番号85〜129および155〜179の1つの配列の少なくと も10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドに結合することができる、精製され
    たまたは単離された抗体。
  21. 【請求項21】 配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列
    番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群より選択される配 列を記憶して有するコンピュータ読取可能媒体。
  22. 【請求項22】 プロセッサおよびデータ記憶装置を含むコンピュータシス
    テムであって、前記データ記憶装置は、配列番号40〜84および130〜154のcDNAコ
    ードならびに配列番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群 より選択される配列を記憶して有する、コンピュータシステム。
  23. 【請求項23】 配列コンペアラおよび参照配列を記憶して有するデータ記
    憶装置をさらに含む、請求項22に記載のコンピュータシステム。
  24. 【請求項24】 前記配列コンペアラは、多型性を表示するコンピュータプ
    ログラムを含む、請求項23に記載のコンピュータシステム。
  25. 【請求項25】 前記配列における特徴を同定するアイデンティファイアを
    さらに含む、請求項22に記載のコンピュータシステム。
  26. 【請求項26】 配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列
    番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群より選択される第 1の配列と参照配列とを比較する方法であって、 配列を比較するコンピュータプログラムを使用することにより、前記第1の配列
    および前記参照配列を読み取るステップと、 前記コンピュータプログラムによって、前記第1の配列と前記参照配列との間の
    差異を判定するステップと、 を含む方法。
  27. 【請求項27】 前記第1の配列と前記参照配列との間の差異を判定する前
    記ステップは多型を同定することを含む、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 配列番号40〜84および130〜154のcDNAコードならびに配列
    番号85〜129および155〜179のポリペプチドコードから成る群より選択される配 列における特徴を同定する方法であって、 配列における特徴を同定するコンピュータプログラムを使用することにより、
    前記配列を読み取るステップと、 前記コンピュータプログラムによって、前記配列における特徴を同定するステ
    ップと、 を含む方法。
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