【発明の詳細な説明】
水素を含有するプロセス流から水素汚染物を分離し選択的に除去する方法および
そのために有用な組成物
発明の分野
本発明は一般的には水素を含有するプロセス流からの水素汚染物の分離および
除去に関し、そしてより特にCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭
素およびクレー組成物を使用するそのようなプロセス流からの水素の選択的な除
去に関する。
発明の背景
ゼオライト類は液体および気体を捕獲するゼオライトの能力を使用する多くの
用途で収着質として広く使用されている。一つの重要な用途は気体用のゼオライ
ト貯蔵材料の開発である。さらに、ゼオライト類は混合流からの気体の選択的分
離の可能性も与える。
ゼオライト類は骨格構造を有する結晶性アルミノ珪酸塩である。骨格構造は分
子寸法の溝(Channels)およびケージ(cages)を含有する。カチオンおよび小分子
は孔、ケージまたは溝の上または中に存在しうる。互いに八面体プリズムにより
連結されているアルファーケージ(立方八面体)の三次元網目構造、換言すると
アルファケージの物体中心(body-centered)立方構造、を有するゼオライトロー(
Zeolite rho)が代表例である。ゼオライト中の孔の選択的な閉塞はゼオライトを
別の寸法のカチオンでイオン交換することにより得られ、それによりゼオライト
の吸着性質が変わる。
水素気体を種々の金属で交換されたゼオライトの中に閉じ込める(encapsulate
)ための数種の試みがあった。例えば、Yoon and Heo(J.Phys.
Chem.Vol.96,pp.4997-5000,1992)は10−120気圧(1.01−13.1M
Pa)の範囲の圧力および100−350℃の範囲の温度におけるCs2.5−ゼ
オライトA中での閉じ込めを研究し、そして871μモル/gのH2の最大閉じ
込め量を得た。
Weitkamp et al.(Proc .9th Intl.Zeolite Conf.,Montreal 1992,Eds.Ba
llmoos et al.,Butterworth-Heinemann Pub.,vol.2,pp.11-19)は種々の金属
で交換されたゼオライト類(ゼオライト−ローを包含する)を使用した。しかし
ながら、彼らが閉じ込めることができたH2の最大量はゼオライトNaAを使用
して300℃および10.0MPaにおいて15分後に410μモル/gであっ
た。彼らはゼオライトH−ローを使用しても同じ条件下で22.3μモル/gの
H2だけしか閉じ込めることができなかった。
Efstathioiu et al.(J.of Catalysts,vol.135,pp.135-146,1992)はCs
、Ni、およびEuで交換されたゼオライトA中での1気圧(0.1MPa)お
よび37−300℃におけるH2の閉じ込めを研究した。
彼らはNaAを使用して300℃において3.50μモル/gのH2の最大閉じ込
め量を得た。
Takaishi et al.(米国特許第4,466,812号)はセシウムおよび2価金属
でイオン交換されたNaゼオライトAから構成されたゼオライト材料の水素閉じ
込め法を開示している。H2閉じ込め法は300℃またはそれ以下において97
気圧(9.8MPa)の圧力で行われた。Cdを含有する組成物に関する特定の
例は示されていないが、Cdは一般的に2価金属の1種として開示されている。
最後に、1996年6月6日に出願された米国暫定出願60/019,
198はCdで交換されたゼオライトロー組成物およびそれらから製造された水
素を閉じ込めたゼオライトロー組成物を開示している。1996年6月6日に出
願された米国暫定出願60/019,199は水素を含有するプロセス流をCd
で交換されたゼオライトロー組成物と接触させることによるその流から水素を分
離しそして除去する方法を開示している。
要求されることは、水素を先行技術より大量に且つ低圧で閉じ込めることがで
きる別の組成物である。さらに、該組成物を使用して水素を含有するプロセス流
から水素を分離しそして選択的に除去する方法も要求される。本発明の他の目的
および利点は以下の本発明の詳細な記述を参照すると当業者に明らかになるであ
ろう。
発明の要旨
本発明は、水素を含有するプロセス流を、ゼオライトがローゼオライトでない
という条件つきのCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはク
レー組成物と接触させることを含んでなる、水素を含有するプロセス流から水素
を分離しそして除去する方法を提供する。典型的にはCdを含有する組成物は少
なくとも約1.6重量%のCdを含有する。貯蔵された水素を水素を閉じ込めた
組成物から所望する時に除去することができそして水素を貯蔵しそしてそれを除
去するために所望する時に組成物を繰り返し使用することができるような上記の
組成物を使用する水素の可逆的な貯蔵方法が包含される。これは、水素を閉じ込
めた組成物を高温(例えば100℃より高い)に加熱することによりおよび/ま
たは周囲圧力を減ずることにより行われる。
水素を閉じ込めたゼオライトがローゼオライトでないという条件つき
のCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素およびクレー組成物を含
んでなる、水素を閉じ込めた組成物も包含される。
Cdを含有する組成物はプロセス流から水素を低圧(例えば、1気圧)におい
ても相対的に大量で驚異的に分離しそして除去することができる。好ましくは、
水素を含有するプロセス流は水素不純物を約0.0001〜約15重量%の濃度
で含有する。そのような流は水素の他に別の気体、例えば、HCl、HF、HB
r、HI、Cl2、N2、CO、CO2、Ne、Ar、Kr、Xe、He、NH3、
CH4、空気およびH2O、も含有できるであろう。以上で定義したCdを含有す
るゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレー組成物は別の気体も存在す
る時の水素の選択的な除去を可能にする。
ここで使用される「水素]は元素状水素(例えば、気体状H2)並びに例えば
ジュウテリウム(D2)およびトリチウムを包含するそれらの同位元素を意味す
る。
ここで使用される「クレー]は一般的には天然産出または改質された小粒子寸
法の含水珪酸アルミニウム類および珪酸マグネシウム類を意味し、普通は多種の
不純物を含有しており、それらは湿潤時に可塑性を示す。例にはカオリナイト、
ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライトおよびピロフィ
ライトが包含されるが、それらに限定されない。それらの粒子寸法は一般的には
約0.00016インチより小さい。
好適態様の詳細な記述
ゼオライト類は包括的には、全てがゼオライトマトリックス内をかなりの自由
度で移動可能であるイオンおよび水分子により占有された空洞
を取り囲む三次元骨格構造により特徴づけられる。商業的に有用なゼオライト類
では、ゼオライトの幾何学的形状を壊すことなく水分子を骨格構造から除去する
ことができまたはその中で置換することができる。
ゼオライト類は一般的には下記の式:
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O[式中、Mは原子価nのカチ
状態により決められる一般的には0〜8の数である]により表すことができる。
天然産出ゼオライト類では、Mは普通はそれらの概略の地球化学的存在比を反映
する割合でのNa、Ca、K、MgおよびBaにより原則的に代表される。カチ
オンMは構造とゆるく結合されておりそしてしばしば簡単なイオン交換により他
のカチオンで完全にまたは部分的に置換することができる。
ゼオライト内部への接近を調節する寸法は、孔開口部を形成する四面体だけで
なく孔中のまたは孔近くのイオンの存在または不存在によっても決められる。例
えばゼオライトAの場合には、接近は8−環開口部並びに6−環開口部の中また
はそれらの近くに位置する例えばNa+またはK+の如き1価イオンにより制限さ
れうる。接近は、6−環の中またはその近くだけに位置する例えばCa2+の如き
2価イオンにより促進される。それ故、KAおよびNaAはそれぞれ約0.3n
mおよび0.4nmの有効孔開口部を示すが、CaAは約0.5nmの有効孔開口
部を示す。
ゼオライト中に存在しうるカチオン種の数はカチオン種の原子価に依存する。
カチオンの合計正電荷は存在するAlO2 -単位の合計アニオン電荷に等しくなけ
ればならず、換言すると、存在する金属カチオンは存
在する静電荷電を均衡させるような化学量論的量でなければならない。
出願人は、(例えば、化学および核プラント中の)水素を含有するプロセス流
からの水素の分離および選択的除去において上記のCdを含有するゼオライト組
成物並びにCdを含有するシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭素お
よびクレー組成物を使用できることを見いだした。この使用は別の気体との混合
物から当技術で要求される水素ガスを分離しそして選択的に除去するための費用
のかからない方法をもたらすであろう。
可能な用途の一部を説明するのを助けるために、上記の分離および除去方法を
利用できる工業方法のいくつかの例を以下で詳細に記載する。典型的には、除去
は水素を約0.0001〜約15重量%の濃度で水素を含有するプロセスおよび
廃棄気体流から行うことができるであろうが、この範囲は厳密なものであるとは
考えられない。そのような流は、水素の他に、例えば、HCl、HF、HI、H
Br、Cl2、N2、CO、CO2、Ne、Ar、Kr、Xe、He、NH3、CH4
、空気およびH2Oも含有できることが予測される。
ハロカーボン類の水素化脱塩素はこの方法で消費される1モルのH2当たり1
モルのHClを生成する。H2は典型的には過剰量で使用されるため、かなりの
量のH2を含有するHClの副生物流の可能性がある。この例はH2の存在下にお
ける例えばCFC−114aの如きハロカーボン類および例えばCFC−12/
HCFC−22の如きハロカーボン混合物の熱水素化脱塩素であり、それらはそ
れぞれHFC−134aおよびHFC−32のような高価な生成物を生成する。
そのような熱水素化脱塩素方法の詳細は、例えば、米国特許第5,208,397
号、第5,
300,713号、第5,364,992号、第5,430,204号および第5,4
46,219号に記載されている。
この方法の副生物はH2を3000ppm(重量%)ほどの主要汚染物として
含む無水HCl(AHCl)である。AHCl流中のH2の存在が、AHClを
例えばオキシ塩素化の如き他の方法用の原料として直接使用することを困難にす
る。AHClの価値が下がり、そしてそれは普通は水中での接触/吸収、AHC
lの水性HClへの転化により廃棄されなければならない。水性HClは最終的
にはそれぞれCaCl2またはNaCl2としての沈澱のために石灰または苛性で
中和される。
副生物であるAHClは、とりわけ、例えば塩化ビニル単量体(VCM)およ
びジイソシアン酸トルエン(TDI)の如き塩素化された化合物の処理または製
造を包含する多数の他の製造方法から発生する。数種のTDIプラントは水性H
ClをCl2およびH2に転化するためのバイエル−ヘキスト−ウーデ(Bayer-Hoe
chst-Uhde)HCl電気分解法を世界的に実施している。AHClは最初は水中で
の吸収により電気分解用に製造され、それが希塩酸になる。この吸収方法は、そ
れが例えばN2、COなどの如き不活性物質を工程から除去できるため、二重の
目的を果す。吸収系からの酸生成物は電解槽に供給され、そこでHClの一部が
反応:
に従い酸流から除去される。
槽から出た希酸は再濃縮のために吸着系に逆循環される。生成物気体であるH2
およびCl2は槽から別個の流として出てそして清浄系に供給される。Hoechst-
Uhde brochure,”Chlorine and Hydrogen from Hydro
chloric Acid by Electrolysis”(B&K XV 1000,1/87)により記載されているよ
うに、(乾燥気体用の)処理後のCl2の生成物品質は約5000ppm(容量
%)のH2不純物を有する約99.5容量%である。
不活性である貴ガス、すなわち、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、クリ
プトン(Kr)、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)、がプラズマ発生性気
体またはイオン化気体および/もしくは捕獲気体として、水素を包含するプラズ
マ−化学法で一般的に使用される。アルゴンがその入手性および他の貴ガスに比
べて低い価格のために最も一般的に使用される。プラズマ−化学法では、Arが
回収されそして再循環される。それは普通はH2不純物を数千ppm(重量%)
で含有する。プラズマガスとしてArを使用する硫化水素廃棄物からの水素およ
び硫黄の回収である一例が米国特許第5,211,923号に記載されている。と
りわけ、Ar、H2、およびSを包含する反応気体はプラズマ反応器から約15
0−450℃の範囲の温度および約0.5−2.0気圧の範囲の圧力において出る
。
シアン化水素(HCN)は典型的には二方法、すなわちアンドルッソー(Andru
ssow)法およびデグッサ(Degussa)法、により商業的に製造される。二方法間の主
な差は、アンドルッソー法は空気の存在下で実施されるがデグッサ法は空気の不
存在下で実施されることである。
アンドルッソー法によるHCNの合成は下記の全体的反応:
CH4+NH3+3/2O2→HCN+3H2O
により記載することができる。アンモニアおよびメタンの間の化学量論的反応は
HCNおよび水だけを製造するが、多くの副反応が窒素、水素、一酸化炭素、お
よび二酸化炭素を包含する望ましくない副生物を発生す
る。アンドルッソー法により製造される典型的な流出気体組成物は重量%で以下
の通りに同定される:
HCN 7.6%
CH4 0.3%
NH3 0.6%
CO 3.9%
CO2 0.3%
H2O 23.5%
H2 13.3%
N2 50.5%。
デグッサ法におけるHCNの製造のための主反応は
CH4+NH3→HCN+3H2
である。主反応の他に、アンモニアの部分的分解も式:
NH3→1/2N2+3/2H2
に従って起きる。アンモニアおよびメタンは1:1モル比で短い滞留時間で供給
される。メタンおよびアンモニアの転化率は99モル%より高く、90モル%の
HCNの選択率を有する。デグッサ法は空気の不存在下で実施されるため、望ま
しくない廃棄気体の数はアンドルッソー法により発生するものより少ない。デグ
ッサ法により製造される典型的な流出気体組成物は重量%で以下の通りに同定さ
れる:
NH3 1.3%
CH4 3.6%
HCN 22.0%
H2 71.2%
N2 1.9%。
これらおよび他の気体状プロセス流においては、水素を含有するプロセス流中
で水素を別の気体から分離しそして選択的に除去するために使用できるであろう
一つの一般的な工程は気体を上記のCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミ
ナ、炭素またはクレー組成物の床の上またはその中に最終的には組成物上または
その中でのH2の閉じ込めを可能にするが存在する別の気体の閉じ込めを最少に
するであろうような温度において通過させることであろう。この温度は典型的に
は少なくとも約20℃であるが、約500℃より低い。しかしながら、圧力を対
応して増加させながら室温(〜20℃)およびそれより低い温度(0℃以下)を
利用できることが予期されそして理解すべきである。
その後に、Cdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレー
組成物から、組成物をより高い温度に加熱することによりおよび/または周囲圧
力を減ずることにより水素を放出することができる(すなわち、可逆的な貯蔵)
。典型的には、これは約100℃より高い温度であるが、それはとりわけ閉じ込
め温度に依存する。
上記のように、水素の閉じ込めを先行技術で必要な高圧まで上昇させずに大量
に行うことができる。約900気圧〜1気圧までの全ての圧力を閉じ込め用に簡
便に使用することができる。好ましくは、100気圧より低い、より好ましくは
50気圧より低い、圧力が使用される。本発明の組成物からの水素のその後の調
節放出(すなわち、可逆的な貯蔵)は、基本的には簡単であり且つ金属水素化物
を用いる場合のような高温を必要としない閉じ込め解除法により実施することが
できる。上記のように、これは水素を閉じ込めたゼオライト、シリカ、アルミナ
、炭素ま
たはクレー組成物をわずかに高い温度に加熱することによりおよび/または周囲
圧力を減ずることにより行うことができる。
種々の語句を閉じ込め方法を記載するために使用してよく、それはCdを含有
するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレーの表面上での、またはケ
ージもしくは溝とも称するCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素
またはクレーの孔の中への、可逆的な水素の浸透、または包括もしくは捕獲方法
を定義するために使用される。それ故、ここで使用される「閉じ込め」または「
閉じ込めた」という語は結合、化学吸着、物理吸着、封止、吸蔵、摂取、挿入、
過収着、収着、吸着、および吸収を包含するが、それらに限定されない。
以上で定義されたCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素または
クレー組成物に関する別の可能な非限定的な用途には、有望な再生可能燃料源で
ある水素の貯蔵を包含される。それを自動車エンジンまたは他の動力発生装置中
での燃料として効率的に使用できるようにする前に、大量の水素ガスを貯蔵し且
つそれを一定割合で容易に放出可能な安全で且つ簡便な貯蔵方法を開発する必要
がある。上記の組成物は水素と接触して置かれる時にまさにそのような貯蔵用途
において非常に有用であろう。
実施例
下記の非限定的な実施例および比較例により本発明をさらに説明する。
全ての百分率は断らない限り重量による。
比較例1 空白カラム
空のガスクロマトグラフィーカラムをHP5990GC(ガスクロマ
トグラム)中に充填した。100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してG
Cの中に50℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカ
ラム温度と共に表1に示す。
比較例2 Na−ローゼオライト
Na/Cs−ロー出発物質を米国特許第3,904,738号に記載された方法
を使用して製造した。100gのNa,Cs−ローを1000mLの10%Na
NO3溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたり6回イオン交換した。交換
の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最終形態のゼオライトはI
CPにより測定して式Na7.5Cs2.4Si36.6Al11.4O96を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.95gのNa−ローゼオライトを充填した。それを次に垂直
に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空下で
加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
先行技術例3 Cd−ローゼオライト
Na/Cs−ロー出発物質を米国特許第3,904,738号に記載された方法
を使用して製造した。15gのNa,Cs−ローを150mLの10%NH4NO3
溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたり8回イオン交換した。生じたN
H4−ローを10%NaNO3溶液を用いて9
0℃で各回とも1時間にわたりさらに8回イオン交換した。得られたNa−ロー
を10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたりさらに8回
イオン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最終
形態のゼオライトはICPにより測定して式Na0.47Cs0.1Cd2.0Si36Al12
O96を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.44gのCd−ローゼオライトを充填した。それを次に垂直
に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空下で
加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
先行技術例4 Cd−ローゼオライト
Na/Cs−ロー出発物質を米国特許第3,904,738号に記載された方法
を使用して製造した。Na,Cs−ローを10%NH4NO3溶液を用いて90℃
で各回とも1時間にわたり8回イオン交換した。4gの生じたNH4−ローを1
0%酢酸カドミウム溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたりさらに3回イ
オン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最終形
態のゼオライトはICPにより測定して式Cs0.1Cd4.3Si35.6Al11.4O96
を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.4gのCd−ローゼオライトを充填した。それを次に垂直に
設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間
にわたり窒素/真空下で加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
比較例5 NaAゼオライト
ガスクロマトグラフィーカラムにダビソン・グレード5144Aビーズ(Davis
on Grade 5144A Beads)を充填した。カラムを次に垂直に設置された管炉の中に
置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空下で加熱した。100μLの
H2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50℃〜350℃の
間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共に表1に示す。
実施例6 Cd−Aゼオライト
ゼオライト4A(アルファ・インオーガニクス(Alfa Inorganics)、ロットB
12G)を300mLの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時
間にわたり3回イオン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により
行われた。最終形態のゼオライトはICPにより測定して式Na0.52Cd6.1S
i11.6Al12.4O48を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに2.68gのCd−Aゼオライトを充填した。それを次に垂直に
設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空下で加
熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC
中に50℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム
温度と共に表1に示す。
実施例7 Cd−Xゼオライト
ゼオライト13X(アルファ・インオーガニクス、ロット072182)を3
00mLの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたり3
回イオン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最
終形態のゼオライトはICPにより測定して式Na2.4Cd41.3Si101Al91O384
を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに2.19gのCd−Xゼオライトを充填した。それを次に垂直に
設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空下で加
熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
実施例8 Cd−Yゼオライト
ゼオライトNaY(アルファ・インオーガニクス、ロットL21G)を300
mLの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたり3回イ
オン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最終形
態のゼオライトはICPにより測定して式Na11.2Cd20.8Si133Al59O384
を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロ
マトグラフィーカラムに1.83gのCd−Yゼオライトを充填した。それを次
に垂直に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真
空下で加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
実施例9 Cd−ZK−5ゼオライト
ゼオライトK,Cs−ZK−5を文献による方法(Robson、米国特許第3,72
0,753号)により製造した。15gのサンプルを150mLの10%Cd(N
O3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわたり3回イオン交換した。交換
の間の固体および液体の分離は遠心により行われた。最終形態のゼオライトはI
CPにより測定して式Na0.1K11.3Cd4.4Si73.4Al22.6O192を有してい
た。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.68gのCd−ZK−5ゼオライトを充填した。それを次に
垂直に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真空
下で加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
実施例10 Cd−ZSM−5ゼオライト
15gのNa−ZSM−5(ゼオキャット(Zeocat)PZ−2/50N
a)サンプルを150mLの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも
1時間にわたり3回イオン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心に
より行われた。最終形態のゼオライトはICPにより測定して式Na0.19Cd0. 92
Si92.2Al3.8O192を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.48gのCd−ZSM−5ゼオライトを充填した。それを次
に垂直に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/真
空下で加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度と共
に表1に示す。
実施例11 Cd−モルデナイトゼオライト
15gのNa−モルデナイト(ゼオキャット(Zeocat)FM−8/Na)サンプ
ルを150mLの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわ
たり3回イオン交換した。交換の間の固体および液体の分離は遠心により行われ
た。最終形態のゼオライトはICPにより測定して式Na1.9Cd2.4Si41.0A
l7.0O96を有していた。
評価前に、サンプルを20/30メッシュまで粒状化した。ガスクロマトグラ
フィーカラムに1.87gのCd−モルデナイトゼオライトを充填した。それを
次に垂直に設置された管炉の中に置きそして500℃に10時間にわたり窒素/
真空下で加熱した。
100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してHP5990GC中に50
℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化
をカラム温度と共に表1に示す。
これらのデータは、高温における水素ピークの強度の損失により示されるCd
を含有するゼオライト化合物が水素を強く且つ可逆的に吸収する能力を示す。
水素定量化のための質量分析計の器具設定および目盛り付け
吸着器具はミシガン州グロッセ・ポインテ・パーク(Grosse Pointe Park)のア
ドバンスト・サイエンティフィック・デザインス・インコーポレーテッド(Advan
ced Scientific Designs,Inc.)(ASDI)により製作されたRXM−100
であった。この器具の中にUTIインスツルメンツ(UTI Instruments)により製
造された質量分析計(MS)、モデル100Cが組み入れられている。RXMに
装備されたソフトウエアがMSを作動させて、特異的な質量信号を時間の関数と
して監視することができる。
気体多岐管の容量を11.067mLであると目盛り付けし、多岐管の温度を
304°Kに保った。多岐管には、1ミリトールから1000
トールの圧力を測定するためのキャパシタンスマノメーターが装備されている。
多岐管容量に高純度水素を7.137トールの圧力まで充填した。MSおよび多
岐管への管をターボモレキュラー真空ポンプを使用して10-7トールより低い圧
力となるまでポンプで排出し、MSを始動させた。RXM−100上のITAソ
フトウエアプログラムを使用して水素信号対時間を記録する。多岐管からMSへ
の弁をゆっくり開きそして多岐管中の圧力として記録された水素MS信号を出し
た。ソフトウエアパッケージの統合部分を使用すると、合計水素信号は2.55
×10-6アンペア−秒であった。
数種の圧力を使用して、統合されたMS信号面積Aに対する充填された多岐管
圧力Pの線状目盛りプロットを構成した。目盛り線は
A=5.32×10-2+0.3445×P
[式中、PはトールでありそしてAは304°Kにおける11.067mL容量
に関するアンペア−秒である]
であった。式:
n=1.696×A−8.9×10-8
[式中、Aは水素信号の統合された面積(アンペア−秒)である(1モルの水素
がS.T.P.、0℃(273.2K)および760トールにおいて22.4リット
ルを占有する場合の理想的気体行動を仮定する、圧力における上記の目盛り付け
)]を使用してMSにより測定される水素のモル数nを与える。
実施例12 Cd−モルデナイト:200℃における第一回水素暴露
0.2684gの実施例11からのCdで交換されたモルデナイトの
サンプルを10℃/分で真空下で室温から400℃に加熱しそして400℃に3
0分間保ち、その後200℃に冷却した。200℃において、気体多岐管を使用
してヘリウム気体をサンプル容量に投与してサンプル自由空間および「ヘリウム
膨張比」を得た。この測定後に、サンプルを真空にしそして気体多岐管を使用し
て水素をサンプルに標準的な容量技術により投与して「合計吸着」等温式を展開
した。この等温式は、一定温度における、各投与後の最終的平衡圧力の関数とし
ての吸着された気体の量のプロットである。この等温式が得られた後に、サンプ
ルを空にし、イオン化ゲージを2.3×10-6トールであると読み取った。第二
等温式である「物理的吸着」等温式を次に同様な方法で得た。
第一から第二等温式を引算して化学吸着曲線を与え、通例によると、直線適合
度を使用してそれより高い値をY軸に外挿しそして切片が化学吸着された気体の
量、mL/g、として報告される。単位mLはS.T.P.で吸着された気体の容
量である。サンプルの乾燥重量が得られるまで、その湿潤重量が測定用に使用さ
れた。化学吸着された水素の量は4.9mLであると測定された(乾燥重量が測
定されるまで0.25gのサンプル重量が使用された)。測定後に、サンプルを
空にしそしてオフガスをMSにより試験した。数分のポンプ操作後であるが直ち
に出た水素が、サンプルから脱着された水の量における増加であった。サンプル
を200℃で一夜にわたり空にした後に、依然として空のままであるサンプルを
400℃に毎分10℃の上昇速度で高め、そこでそれをさらに30分間保った。
加熱中に、オフガスのTPC−MS(温度プログラムされた化学−質量分析計)
分析を行った。水(質量18)および水素(質量2)の両者がこの操作中にサン
プルから脱着する最大成分であった。
化学吸着された水素のモル数は5.47×10-5であり、それは吸着された水
素のmL数を与えるための0.25gのサンプル重量を使用しそしてそれを22,
400により割算してmL/モルとして計算された。TPC−MS実験の統合さ
れた面積は2.35−3.21×10-6アンペア−秒の間であり、それはMS中を
通過する4.0−5.44×10-6モルの水素に相当した。これらの値は化学吸着
された水素の7.4〜10%の回収率に相当した。
実施例13 Cd−モルデナイト:200℃における第二回水素暴露
実施例12からのサンプルを真空下で200℃に冷却した。実施例11の通り
にして化学吸着された水素の量を測定すると、2.72mL/gであった。化学
吸着実験後に、サンプルを空にして400℃に加熱しながらTPC−MSを行っ
た。水MS信号が水素のものより大きい実施例11と比べて、400℃の温度に
達するまでは水素に関する信号は水のものより大きかった。
化学吸着された水素のモル数は実施例11の通りにして計算して3.04×1
0-5であった。TPC−MS実験の統合された面積は1.61−1.76×10-5
アンペア−秒であり、それはMS中を通過する2.73−2.98×10-5モルの
水素に相当した。これらの値は化学吸着された水素の90〜98%の回収率に相
当した。
実施例14 Cd−モルデナイト:200℃における第三回水素暴露
実施例13からのサンプルを真空下で200℃に冷却した。実施例11の通り
にして化学吸着された水素の量を測定すると、2.40mL/
gであった。サンプルを空にして400℃に加熱しながらTPC−MSを行った
。実験全体にわたり水素に関するMS信号は水のものより大きかった。
化学吸着された水素のモル数は実施例11の通りにして計算して2.68×1
0-5であった。TPC−MS実験の統合された面積は0.863−0.963×1
0-5アンペア−秒であり、それはMS中を通過する1.46−1.63×10-5モ
ルの水素に相当した。これらの値は化学吸着された水素の55〜61%の回収率
に相当した。
実施例15 Cd−モルデナイト:100℃における水素暴露
実施例14のTPC−MS実験後に、サンプルを100℃に冷却しそして化学
吸着された水素の量を測定すると、2.22mL/gの値が得られ、それは2.4
8×10-5モルの吸着された水素に相当した。TPC−MS実験MS実験に関す
る統合された面積は1.20−1.33×10-5アンペア−秒であり、それはMS
中を通過する2.04−2.26×10-5モルの水素に相当した。これらの値は化
学吸着された水素の82〜91%の回収率に相当した。
実施例16 Cd−モルデナイト:60℃における第一回水素暴露
実施例15のTPC−MS実験後に、サンプルを60℃に冷却しそして化学吸
着された水素の量を測定すると、1.45mL/gの値が得られ、それは1.62
×10-5モルの吸着された水素に相当した。前のTPC−MS実験とは異なり、
2つのピーク、すなわち145℃に中心がある鋭いピークおよび280〜400
℃の間の広いピーク、が水素脱着
スペクトル(TPC080196E89967−25)で観察された。2つのT
PC−MSピークに関する合計の統合された面積は0.877−1.12×10-5
アンペア−秒であり、それはMS中を通過する1.49−1.90×10-5モルの
水素に相当した。これらの値は化学吸着された水素の92〜100%の回収率に
相当した。145℃のピークは回収された合計水素量の8〜10%に当たる。
実施例17 Cd−モルデナイト:60℃における第二回水素暴露
実施例16のTPC−MS実験後に、サンプルを60℃に冷却しそして化学吸
着された水素の量を測定すると、1.53mL/gの値が得られ、それは1.71
×10-5モルの吸着された水素に相当した。実施例15のように、2つのピーク
がTPC−MS痕跡実験で観察された。2つのTPC−MSピークに関する合計
の統合された面積は0.805−0.950×10-5アンペア−秒であり、それは
MS中を通過する1.37−1.61×10-5モルの水素に相当した。これらの値
は化学吸着された水素の80〜94%の回収率に相当した。低温ピークは回収さ
れた合計水素量の17〜18%に当たる。サンプルを次に真空下で室温に冷却し
そして窒素を逆充填した。Cd−モルデナイトの乾燥重量は0.2358gであ
ると測定された。
1グラム(乾燥重量基準)当たりの吸着されたH2の補正された値を実施例1
2−17に関して表2に示す。 実施例18 Cd−モルデナイト:60℃、<1気圧における新サンプル
1/6インチのNaモルデナイト(ゼオロン(zeolon)900)を使用したこと以
外は実施例11と同様にしてCdで交換されたモルデナイトを製造した(最終的
な分析はNa1.9Cd2.1Si40.9Al7.1O96であった)。0.2440gのサン
プルを10℃/分で真空下で室温から400℃に加熱しそして400℃に60分
間保ち、その後60℃に冷却した。0.86ccすなわち3.84×10-5モルの
値の水素が化学吸着された。2つのピークがTPC−MS痕跡実験で観察された
。2つのTPC−MSピークに関する合計の統合された面積は0.647−0.7
61×10-5アンペア−秒であり、それはMS中を通過する1.10−1.29×
10-5モルの水素に相当した。これらの脱着値は化学吸着された水素の29〜3
4%の回収率に相当した。低温ピークは回収された合計水素量の約5%に当たる
。
実施例19 Cd−モルデナイト:60℃、<2.5気圧における第二回水素暴露
実施例18のTPC−MS実験後に、サンプルを60℃に冷却しそし
て実施例16および17に関するものより高い圧力を使用して化学吸着された量
を測定すると、0.40mLの値が得られ、それは1.79×10-5モルの吸着さ
れた水素に相当した。化学吸着された量は報告された値に飽和すると思われるが
、物理吸着された量は圧力につれて直接増加した。ピークに関する合計の統合さ
れた面積はMS中を通過する1.16−1.36×10-5モルの水素に相当する。
これらの値は化学吸着された水素の65〜76%の回収率に相当した。低温ピー
クは回収された合計水素量の約12%に当たる。
この実験から、この物質または同様な物質に関する2種の用途があることがわ
かる。それらは非吸着性気体から水素を物理的吸着効果を用いる圧力−変動吸着
により分離するために使用することができる。高圧では水素は吸着されそして圧
力が減じられる時には精製した水素を回収することができた。これらの操作は適
度な温度で実施できるため、費用のかかる低温(周囲温度以下の)吸着は必要な
くなるであろう。第二の用途は水素が化学吸着された状態にあるであろうプロセ
ス流から少量の水素を除去するための選択的吸着剤としてのものである。この水
素は物質を引き続き加熱することによってのみ回収することができた。
実施例20 Cd−モルデナイト:30℃、<2.5気圧における水素暴露
実施例19のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして実施例
20と同様な圧力を使用して化学吸着された量を測定すると、0.32−0.54
×10-5モルの水素に相当する範囲の値が測定された。高い範囲の圧力ゲージの
ために、圧力は正確に測定されず、化学吸着された量における大きな誤差をもた
らす。TPC−MS痕跡は実施例16
および17のものと同様であった。ピークに関する合計の統合された面積はMS
中を通過する0.68−0.82×10-5モルの水素に相当する。これらの値は化
学吸着された水素より多いものに相当する(多分、上記のゲージの低い精度のた
めの誤差)。低温ピークは回収された合計水素量の約38%に当たる。
実施例21 Cd−モルデナイト:30℃、<1気圧における水素暴露
実施例20のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして実施例
18と同様な圧力を使用して化学吸着された量を測定した。0.24−0.29×
10-5モルの間の水素の値が測定されたが、化学吸着された量は一定値に達しな
かったので元の値への外挿法が正確でなかったため正確な値は疑わしい。TPC
−MS痕跡は2つのピークを示した。ピークに関する合計の統合された面積はM
S中を通過する0.393×10-5モルの水素に相当し、それは化学吸着された
水素より多いものに相当する。低温(132℃)ピークは回収された合計水素量
の約16%に当たる。
実施例22 Cd−モルデナイト:30℃、<2.5気圧における水素暴露
実施例21のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして2.5
気圧までの圧力を使用して化学吸着された量を測定すると、8.4×10-6モル
の値が得られた。TPC−MS痕跡は2つのピークを示し、132℃における第
一ピークは発生した合計8.95×10-6モルの29%を含んでいた。
実施例23 Cd−モルデナイト:30℃、<1気圧における水素暴露
実施例22のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして1気圧
までの圧力を使用して化学吸着された量を測定した。この場合には、第一回吸着
はH2を用いて行われ、サンプルが空にされ、そして第二回吸着等温式がD2を用
いて得られ、7.14×10-6モルの化学吸着値が得られた。TPC−MS痕跡
のために、H2、HDおよびD2に対応して質量2、3および4を続けた。HDお
よびD2に関するMS目盛り付けはH2に関するものと同様であると仮定された。
H2痕跡は2つのピークを示し、126℃における第一ピークは生成した合計2.
95×10-6モルの40%を含んでいた。HD痕跡は2つのピークを示し、12
0℃における第一のものは合計6.0×10-7モルの89%を含んでいた。D2痕
跡はその傾向を続けそして高温ピークはなく、117℃における単一ピークは1
.0×10-7モルに相当した。TPD中に放出された水素同位元素の合計モル数
は3.65×10-6であった。
この実験後に、サンプルを真空下で室温に冷却しそして窒素を逆充填した。C
d−モルデナイトの乾燥重量は0.2178gであると測定された。1グラム(
乾燥重量基準)当たりの吸着されたH2の補正された値を実施例18−23に関
して表3に示す。 実施例24 Cd−A
25gのゼオライトA(ディビジョン(Division)4Aグレード514ビーズ)
を250mlの10%Cd(NO3)2溶液を用いて90℃で各回とも1時間にわた
り3回イオン交換した。単位セル組成物はNa0.4Cd5.25Si13.4Al10.6O4 8
であると測定された。0.2681gのサンプル(Cd−A)を10℃/分で
真空下で室温から400℃に加熱しそして400℃に60分間保ち、その後60
℃に冷却した。60℃において、0.80〜1.03×10-5モルのH2に相当す
る0.18〜0.23ccのH2が化学吸着された。サンプルを次に400℃に真
空下で加熱し、引き続きTPD−MSに関する通常の処方を行った。TPD−M
S痕跡は2つのピークを130および170℃において示し、8.87×10-6
アンペア−秒の合計面積は合計1.5×10-5モルのH2に相当する。非常に少量
のH2が220℃より上で生じた。
実施例25 Cd−A:60℃、<2.5気圧における第二回水素暴露
実施例24のTPD−MS後に、サンプルを60℃に冷却しそしてH2の吸着
を測定した。化学吸着された量は0.16〜0.38cc(0.71〜1.70×1
0-5モル)の範囲であった。TPD−MS痕跡は120℃においてピークを示し
、160−200℃の範囲に小さい肩があった。170℃におけるピークは事実
上消えた。1.21×10-5の面積は2.05×10-5モルの脱着されたH2に相
当する。さらに、H2Oに関する痕跡は実施例24からかなり減少した。実施例26 Cd−A:30℃、<2.5気圧における第一回水素暴露
実施例25のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を測定した。圧力間隔1.7−2気圧において0.1〜1.06cc(0.45〜4
.8×10-5モル)の吸着値におけるジャンプがあった。TPD−MSは実施例
25と同様であり、1.28×10-5の面積は21.7μモルの脱着されたH2に
相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。
実施例27 Cd−A:30℃、<1気圧における第二回水素暴露
実施例26のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を0.04cc(1.8μモル)であると測定した。TPD−MS痕跡は実施例2
5と同様であり、0.67×10-5の面積は11.3μモルの脱着されたH2に相
当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。
実施例28 Cd−A:30℃、<2.5気圧における第三回水素暴露
実施例27のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を0.27cc(12.1μモル)であると測定した。TPD−MS痕跡は実施例
25と同様であり、0.94×10-5の面積は15.9μモルの脱着されたH2に
相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。
実施例29 Cd−A:30℃、<1気圧における第四回H2暴露
実施例28のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそして実
施例23と同様にしてCd−モルデナイトに関してH2/D2化学吸着実験を行っ
た。測定された化学吸着量は0μモル近くであった。TPD−MS痕跡は種H2
、HDおよびD2に関して単一ピークを示した。H2ピーク(115℃)は1.7
3μアンペア−秒の面積を有し、HDピーク(〜118℃)は2.94μアンペ
ア−秒の面積を有し、D2ピーク(120℃)は1.8μアンペア−秒の面積を有
していた。6.5μアンペア−秒の合計ピーク面積は11μモルの脱着された水
素同位元素に相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。測定
後に、サンプルにN2を逆充填し、そしてその重量は0.2216gであった。
実施例30 Cd−Y:60℃、<1気圧における第一回水素暴露
0.2118gの実施例8からのCdで交換されたゼオライトY(Cd−Y)
を10℃/分で真空下で室温から400℃に加熱しそして400℃に60分間保
ち、その後60℃に冷却した。60℃において、1.3〜2.2μモルのH2に相
当する0.03〜0.05ccのH2が化学吸着された。サンプルを次に400℃
に真空下で加熱し、引き続きTPD−MSに関する通常の処方を行った。TPD
−MS痕跡は2つのピーク
を172および293℃において示し、1.81×10-6アンペア−秒の合計面
積は合計3.07μモルのH2に相当する。低温ピークは化学吸着されたH2の4
8%に相当した。
実施例31 Cd−Y:60℃、<1気圧における第二回水素暴露
実施例30のTPD後に、サンプルを60℃に冷却しそして第二回化学吸着を
行った。60℃において、2.2μモルのH2に相当する0.05ccのH2が化学
化学吸着された。サンプルにN2を逆充填しそして0.1624gであると重量測
定された。 先行技術例32 Cd−ロー:60℃、<1気圧における水素暴露
Na/Cs出発ゼオライトローを米国特許第3,904,738号に記載された
工程を使用して製造した。これを90℃で各回とも1時間にわたり10%NaN
O3溶液を用いて6回、次に10%Cd(NO3)2溶液を用いて6回イオン交換し
た。サンプルを次に真空管上で50℃において排気して確実に完全に水分を除去
した。0.2540gのサンプルを10℃/分で真空下で室温から400℃に加
熱しそして400℃で60分間保ち、その後60℃に冷却しそして化学吸着滴定
を行った。60℃において、360および420トールの間で等温式におけるジ
ャンプがあり、5.4〜16.1μモルのH2に相当する0.12〜0.36ccの
間のH2が化学吸着された。サンプルを次に真空下で400℃に加熱し、引き続
きTPD−MSに関する通常の処方を行った。TPD−MS痕跡は2つのピーク
を165および400℃において示し、3.29×10-6アンペア−秒の合計面
積は合計6.0μモルのH2に相当した。低温ピークは化学吸着されたH2の15
%に相当した。
先行技術例33 Cd−ロー:60℃、<1気圧における第二回水素暴露
実施例32のTPD後に、サンプルを60℃に冷却しそして第二回化学吸着を
行った。60℃において、12.9μモルのH2に相当する0.29ccのH2が化
学吸着された。サンプルにN2を逆充填しそして0.2148gであると重量測定
された。 実施例34 Cd−シリカ:30℃、<1気圧における第一回水素暴露
以下の実施例36の通りにして製造された0.2552gのCdを含浸させた
シリカ1030E(Cd−CS)を10℃/分で真空下で室温から400℃に加
熱しそして400℃で60分間保ち、その後30℃に冷却しそして化学吸着滴定
を行った。30℃において、H2を使用して合計等温式が得られたが、物理的に
吸着された量を得るためにD2を使用した。0.06ccの化学吸着された量は2
.7μモルの水素同位元素に相当する。サンプルを次に真空下で400℃に加熱
し、引き続きTP
D−MSに関する通常の処方を行った。TPD−MS痕跡は同位元素の各々に関
して単一ピークを示し、0.28μアンペア−秒の面積を有するH2ピーク(14
3℃)、0.78μアンペア−秒の面積を有するH/Dピーク(132℃)、0.
93μアンペア−秒の面積を有するD2ピーク(118℃)を示した。2.0μア
ンペア−秒の合計面積は合計3.4μモルの水素同位元素に相当する。
実施例35 Cd−シリカ:30℃、<1気圧における第二回水素暴露
実施例34のTPD後に、サンプルを60℃に冷却しそして第二回化学吸着を
行った。60℃において、12.9μモルのH2に相当する0.29ccのH2が化
学吸着された。サンプルにN2を逆充填しそして0.2148gであると重量測定
された。 実施例36−91および比較例92−95 低圧吸着(<1気圧)
物質は下記の通りにして製造された:
Cd−CS
10グラムのCS−1030E(ロット番号、1592−13−4、PQコー
ポレーション(PQ Corporation)からの1/8インチSiO2押し出し物)に12m
LのH2O中の1gのCd(NO3)2を含浸させた。乾燥物質は34.0%のSiお
よび2.88%のCdを含有すると分析された。Cd−X
25グラムの13Xビーズ(ロット番号020278、アルファ・インオーガ
ニックスからの−8/+12ビーズ)を250mLのCd(NO3)2の10%溶液
を用いて90℃において1時間にわたり交換した。これを合計3回繰り返した。
ビーズを濾過し、洗浄しそして乾燥した。化学分析は、仮定されたO含有量を有
する概略Si117.6Al74.4Na17Cd39.8O384の単位セル組成を示した。
4A
4Aふるい(アルファ・インオーガニックスからのロット番号B12G)を粒
状化して−16/+30メッシュにした。
5A
5Aふるい(アルファ・インオーガニックスからのロット番号012992)
を粒状化して−20/+30メッシュにした。
Cd−ZSM−5
この物質は実施例10の通りにして製造された。
Cd−ロー
この物質は先行技術例3の通りにして製造された。
10%Cd−A
25gの4A(アルドリッヒ(Aldrich)ロットB12G)を250mLのCd(
NO3)2の10%溶液を用いて90℃において1時間にわたり交換した。物質を
次に濾過し、洗浄しそして乾燥した。化学分析は、仮定されたO含有量を有する
概略Si12.7Al11.3Na2.3Cd5.0O4.8の単位セル組成を示した。
5%Cd−A
25gの4A(アルドリッヒ、ロットB12G)を250mLのCd(NO3)2
の5%溶液を用いて90℃にわたり1時間にわたり交換した。物質を次に濾過し
、洗浄しそして乾燥した。化学分析は、仮定されたO含有量を有する概略Si12 .7
Al11.3Na5.4Cd3.3O48の単位セル組成を示した。
Cs,Cd−A
10gのCd/4Aビーズ(E75760−103−2)を100mLのCs
(NO3)2の10%溶液を用いて90℃にわたり15分間にわたり交換した。ビー
ズを次に濾過し、洗浄しそして乾燥した。化学分析は、仮定されたO含有量を有
する概略Si12.7Al11.3Na5.4Cd3.3O48の単位セル組成を示した。
Cs−A
100gの4A(アルファ、ロット109G)を1200mLの10%CsN
O3溶液を用いて90℃にわたり1時間にわたり3回交換した。物質を次に濾過
し、洗浄しそして乾燥した。化学分析は、仮定されたO含有量を有する概略Si12.0
Al12.0Na6.8Cd2.9O48の単位セル組成を示した。
Cd−炭素
10gの炭素(エンゲルハード(Engelhard)、ロット35758)に10mL
のH2O中の1gのCd(NO3)2を含浸させそして乾燥した。
Cd−ZK−5
この物質は実施例9の通りにして製造された。
Cd−モルデナイト
30gのモルデナイト(ヘミー・ウエチコン(Chemie Uetikon)、ゼオ
キャット(Zeocat)FM−8/Na)を300mLのCd(NO3)2の10%溶液を
用いて3回交換した。物質を次に遠心し、洗浄しそして乾燥した。15gの生じ
た物質を上記の通りにして交換した。化学分析は、仮定されたO含有量を有する
概略Si41.5Al6.5Na2.1Cd2.5O48の単位セル組成を示した。
表に示されているように、全ての実施例は低圧吸着(<1気圧)または高圧吸
着(30−35psi)として行われた。低圧吸着用には、サンプルを10℃/
分で真空下で室温から400℃に加熱しそして400℃に30分間保ち、その後
に吸着温度であるTaに冷却した。Taに達すると、気体多岐管を使用してヘリウ
ムガスをサンプル量となるまで投与してサンプル自由空間および「ヘリウム膨張
比」を得た。この測定後に、サンプルを空にしそして気体多岐管を使用して水素
をサンプルに標準的容量技術により投与して「合計吸着」等温式を展開した。こ
の等温式は、一定温度における、各投与後の平衡圧力の関数としての吸着された
気体の量のプロットである。投与を<1気圧の圧力となるまで複数段階で続けた
。この等温式が得られた後に、サンプルを空にしそして第二等温式である「物理
的吸着」等温式を得た。
第一からの第二等温式の引算で化学吸着曲線を生じ、通例により、直線適合度
を使用してより高い値をY軸に外挿しそして切片がS.T.P.において吸着され
た気体の量である化学吸着された気体の量、mL、として報告される。測定後に
、サンプルを空にして全ての気体を除去し、そしてオフガスを質量分析法、MS
、により試験した。サンプルを空にしながら、温度を10℃C/分の上昇速度で
400℃に高め、そこでそれをさらに30分間保った。加熱中に、オフガスのT
PC−MS(温度
プログラム化された化学法)分析を行った。水(質量18)および水素同位元素
(質量2、3、4)の両者を監視した。水素同位元素の統合された面積を(目盛
り付け曲線と共に)使用してMSを通過する水素のモル数を与えた。この値を化
学吸着値と比較した。このサイクル後に、サンプルをTaに冷却しそして是認さ
れるなら別の実験を行った。実験がサンプル上で完了した後に、サンプル容器に
窒素を逆充填しそして乾燥重量を得た。
高圧吸着は本質的に同一に行ったが、低圧トランデューサーであるLPTは弁
で閉じられた。気体多岐管、およびLPTほど精密ではないその圧力ゲージを使
用して、等温式を展開した。
結果を表8−9に示す。註に示されている場合には、H2/D2/HD吸着を実
施例23と同様にして行った。これらのデータはCd含有化合物が水素をCdを
含有しない化合物より多量に可逆的に吸着する能力を示す。 本発明の特定の態様を以上の記述で記載したが、当業者は本発明の精神および
必須の性質から逸脱しない限り本発明が多くの改変、置換および再配列を可能で
あることを理解するであろう。添付されている請求の範囲は本発明の範囲を示し
ているため、前記の明細書ではなくむしろ請求の範囲を参照すべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年7月12日(1999.7.12)
【補正内容】
Takaishi et al.(米国特許第4,466,812号)はセシウムおよび2価金属
でイオン交換されたNaゼオライトAから構成されたゼオライト材料の水素閉じ
込め法を開示している。H2閉じ込め法は300℃またはそれ以下において97
気圧(9.8MPa)の圧力で行われた。Cdを含有する組成物に関する特定の
例は示されていないが、Cdは一般的に2価金属の1種として開示されている。
要求されることは、水素を先行技術より大量に且つ低圧で閉じ込めることがで
きる別の組成物である。さらに、該組成物を使用して水素を含有するプロセス流
から水素を分離しそして選択的に除去する方法も要求される。本発明の他の目的
および利点は以下の本発明の詳細な記述を参照すると当業者に明らかになるであ
ろう。
発明の要旨
本発明は、水素を含有するプロセス流を、Cdを含有するゼオライト[但し、
該ゼオライトはロー(rho)ゼオライトではない]、シリカ、アルミナ、炭素ま
たはクレー組成物と接触させることを含んでなる、水素を含有するプロセス流か
ら水素を分離しそして除去する方法を提供する。典型的にはCdを含有する組成
物は少なくとも約1.6重量%のCdを含有する。貯蔵された水素を水素を閉じ
込めた組成物から所望の時に除去することができそして所望の時に組成物を繰り
返し使用して水素を貯蔵しそしてそれを除去(解放)することができるような上
記の組成物を使用する水素の可逆的な貯蔵方法が包含される。これは、水素を閉
じ込めた組成物を高温(例えば100℃より高い)に加熱することによりおよび
/または周囲圧力を減ずることにより行われる。
水素を閉じ込めたゼオライトがCdを含有するゼオライト(但し、該ゼオライ
トはローゼオライトではない)、シリカ、アルミナ、炭素およびクレー組成物を
含んでなる、水素を閉じ込めた組成物も包含される。
Cdを含有する組成物はプロセス流から水素を低圧(例えば、1気圧;0.1
01MPa)においても相対的に大量で驚異的に分離しそして除去することがで
きる。好ましくは、水素を含有するプロセス流は水素汚染物を約0.0001〜
約15重量%の濃度で含有する。そのような流は水素の他に別の気体、例えば、
HCl、HF、HBr、HI、Cl2、N2、CO、CO2、Ne、Ar、Kr、
Xe、He、NH3、CH4、空気およびH2O、も含有できるであろう。以上で
定義したCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレー組成
物は別の気体も存在する時の水素の選択的な除去を可能にする。
ここで使用される「水素]は元素状水素(例えば、気体状H2)並びに例えば
ジュウテリウム(D2)およびトリチウムを包含するそれらの同位元素を意味す
る。
ここで使用される「クレー]は一般的には天然産出または改質された小粒子寸
法の含水珪酸アルミニウム類および珪酸マグネシウム類を意味し、普通は多種の
不純物を含有しており、それらは湿潤時に可塑性を示す。具体例にはカオリナイ
ト、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライトおよびピロ
フィライトが包含されるが、それらに限定されない。それらの粒子寸法は一般的
には約0.00016インチ(0.00041cm)より小さい。
好適態様の詳細な記述
ゼオライト類は包括的には、イオンおよび水分子(これらの全てがゼ
オライトマトリックス内でかなりの自由度で移動できる)により占有された空洞
を取り囲む三次元骨格構造により特徴づけられる。商業的に有用なゼオライト類
では、ゼオライトの幾何学的形状を壊すことなく水分子を骨格構造から除去する
ことができまたはその中で置換することができる。
ゼオライト類は一般的には下記の式:
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O[式中、Mは原子価nのカチ
状態により決められる一般的には0〜8の数である]により表すことができる。
天然産出ゼオライト類では、Mは普通はそれらのおおよその地球化学的存在比を
反映する割合でのNa、Ca、K、MgおよびBaにより原則的に代表される。
カチオンMは構造とゆるく結合されておりそしてしばしば簡単なイオン交換によ
り他のカチオンで完全にまたは部分的に置換することができる。
ゼオライト内部への接近を調節する寸法は、孔開口部を形成する四面体だけで
なく孔中のまたは孔近くのイオンの存在または不存在によっても決められる。例
えばゼオライトAの場合には、接近は8−環開口部並びに6−環開口部の中また
はそれらの近くに位置する例えばNa+またはK+の如き1価イオンにより制限さ
れうる。接近は、6−環の中またはその近くだけに位置する例えばCa2+の如き
2価イオンにより促進される。それ故、KAおよびNaAはそれぞれ約0.3n
mおよび0.4nmの有効孔開口部を示すが、CaAは約0.5nmの有効孔開口
部を示す。
ゼオライト中に存在しうるカチオン種の数はカチオン種の原子価に依
存する。カチオンの合計正電荷は存在するAlO2 -単位の合計アニオン電荷に等
しくなければならず、換言すると、
典型的には、これは約100℃より高い温度であるが、それはとりわけ閉じ込め
温度に依存する。
上記のように、水素の閉じ込めを先行技術で必要とされる高圧まで上昇させず
に大量に行うことができる。約900気圧(9.09MPa)〜1気圧(0.10
1MPA)までの全ての圧力を閉じ込め用に簡便に使用することができる。好ま
しくは、100(10.1MPa)より低い、より好ましくは50気圧(5.05
MPa)より低い、圧力が使用される。本発明の組成物からの水素のその後の調
節放出(すなわち、可逆的な貯蔵)は、基本的には簡単であり且つ金属水素化物
を用いる場合のような高温を必要としない閉じ込め解除法により実施することが
できる。上記のように、これは水素を閉じ込めたゼオライト、シリカ、アルミナ
、炭素またはクレー組成物をわずかに高い温度に加熱することによりおよび/ま
たは周囲圧力を減ずることにより行うことができる。
種々の用語を閉じ込め方法(encapsulation process)を記載するために使用
してよく、それはCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはク
レーの表面上での、またはケージもしくは溝とも称するCdを含有するゼオライ
ト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレーの孔の中への、可逆的な水素の浸透、
または包括もしくは捕獲方法を定義するために使用される。それ故、ここで使用
される「閉じ込め(encapsulation)」または「閉じ込めた(encapsulated)」
という用語は結合、化学吸着、物理吸着、封止、吸蔵、摂取、挿入、過収着、収
着、吸着、および吸収を包含するが、それらに限定されない。
以上で定義されたCdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素または
クレー組成物に関する別の可能な非限定的な用途には、有望な
再生可能燃料源である水素の貯蔵が包含される。それを自動車エンジンまたは他
の動力発生装置中での燃料として効率的に使用できるようにする前に、大量の水
素ガスを貯蔵し且つそれを一定速度で容易に放出可能な安全で且つ簡便な貯蔵方
法を開発する必要がある。上記の組成物は水素と接触して置かれる時にまさにそ
のような貯蔵用途において非常に有用であろう。
実施例
下記の非限定的な実施例および比較例により本発明をさらに説明する。
全ての百分率は断らない限り重量による。
比較例1 空白カラム
空のガスクロマトグラフィーカラムをHP5990GC(ガスクロマトグラム
)中に充填した。100μLのH2サンプルを窒素担体流を使用してGCの中に
50℃〜350℃の間の温度で注入した。ピーク強度における変化をカラム温度
と共に表1に示す。 水素定量化のための質量分析計の器具設定および目盛り付け(Calibration )
吸着器具はミシガン州グロッセ・ポインテ・パーク(Grosse Pointe Park)のア
ドバンスト・サイエンティフィック・デザインス・インコーポレーテッド(Advan
ced Scientific Designs,Inc.)(ASDI)により製作されたRXM−100
であった。この器具の中にUTIインスツルメンツ(UTI Instruments)により製
造された質量分析計(MS)、モデル100Cが組み入れられている。RXMに
装備されたソフトウエアがMSを作動させて、特異的な質量信号を時間の関数と
して監視することができる。
気体多岐管の容量を11.067mLであると目盛り付けし、多岐管の温度を
304°K(29.85℃)に保った。多岐管には、1ミリトールから1000
トール(0.0001−133.3MPa)の圧力を測定するためのキャパシタン
スマノメーターが装備されている。多岐管容量
に高純度水素を7.137トール(0.95MPa)の圧力まで充填した。MSお
よび多岐管への管をターボモレキュラー真空ポンプを使用して10-7トール(1
.33×10-9MPa)より低い圧力となるまでポンプで排出し、MSを始動さ
せた。RXM−100上のITAソフトウエアプログラムを使用して水素信号対
時間を記録する。多岐管からMSへの弁をゆっくり開きそして多岐管中の圧力と
して記録された水素MS信号を出した。ソフトウエアパッケージの統合部分を使
用すると、合計水素信号は2.55×10-6アンペア−秒であった。
数種の圧力を使用して、統合されたMS信号面積Aに対する充填された多岐管
圧力Pの線状目盛りプロットを構成した。目盛り線は
A=5.32×10-2+0.3445×P
[式中、Pはトール(0.133MPa)でありそしてAは304°K(30.8
5℃)における11.067mL容量に関するアンペア−秒である]
であった。式:
n=1.696×A−8.9×10-8
[式中、Aは水素信号の統合された面積(アンペア−秒)である(1モルの水素
がS.T.P.、0℃(273.2K)および760トール(101MPa)におい
て22.4リットルを占有する場合の理想的気体行動を仮定する、圧力における
上記の目盛り付け)]を使用してMSにより測定される水素のモル数nを与える
。
実施例12 Cd−モルデナイト:200℃における第一回水素暴露
0.2684gの実施例11からのCdで交換されたモルデナイトのサンプル
を10℃/分で真空下で室温から400℃に加熱しそして40
0℃に30分間保ち、その後200℃に冷却した。200℃において、気体多岐
管を使用してヘリウム気体をサンプル容量に投与してサンプル自由空間および「
ヘリウム膨張比」を得た。この測定後に、サンプルを真空にしそして気体多岐管
を使用して水素をサンプルに標準的な容量技術により投与して「合計吸着」等温
式を展開した。この等温式は、一定温度における、各投与後の最終的平衡圧力の
関数としての吸着された気体の量のプロットである。この等温式が得られた後に
、サンプルを空にし、イオン化ゲージを2.3×10-6トール(0.3MPa)で
あると読み取った。第二等温式である「物理的吸着」等温式を次に同様な方法で
得た。
第一から第二等温式を引算して化学吸着曲線を与え、通例によると、直線適合
度を使用してそれより高い値をY軸に外挿しそして切片が化学吸着された気体の
量、mL/g、として報告される。単位mLはS.T.P.で吸着された気体の容
量である。サンプルの乾燥重量が得られるまで、その湿潤重量が測定用に使用さ
れた。化学吸着された水素の量は4.9mLであると測定された(乾燥重量が測
定されるまで0.25gのサンプル重量が使用された)。測定後に、サンプルを
空にしそしてオフガスをMSにより試験した。数分のポンプ操作後であるが直ち
に出た水素が、サンプルから脱着された水の量における増加であった。サンプル
を200℃で一夜にわたり空にした後に、依然として空のままであるサンプルを
400℃に毎分10℃の上昇速度で高め、そこでそれをさらに30分間保った。
加熱中に、オフガスのTPC−MS(温度プログラムされた化学−質量分析計)
分析を行った。水(質量18)および水素(質量2)の両者がこの操作中にサン
プルから脱着する最大成分であった。
化学吸着された水素のモル数は5.47×10-5であり、それは吸着された水
素のmL数を与えるための0.25gのサンプル重量を使用しそしてそれを22,
400により割算してmL/モルとして計算された。TPC−MS実験の統合さ
れた面積は2.35−3.21×10-6アンペア−秒の間であり、それはMS中を
通過する4.0−5.44×10-6モルの水素に相当した。これらの値は化学吸着
された水素の7.4〜10%の回収率に相当した。
実施例13 Cd−モルデナイト:200℃における第二回水素暴露
実施例12からのサンプルを真空下で200℃に冷却した。実施例11の通り
にして化学吸着された水素の量を測定すると、2.72mL/gであった。化学
吸着実験後に、サンプルを空にして400℃に加熱しながらTPC−MSを行っ
た。水MS信号が水素のものより大きい実施例11と比べて、400℃の温度に
達するまでは水素に関する信号は水のものより大きかった。
化学吸着された水素のモル数は実施例11の通りにして計算して3.04×1
0-5であった。TPC−MS実験の統合された面積は1.61−1.76×10-5
アンペア−秒であり、それはMS中を通過する2.73−2.98×10-5モルの
水素に相当した。これらの値は化学吸着された水素の90〜98%の回収率に相
当した。
実施例14 Cd−モルデナイト:200℃における第三回水素暴露
実施例13からのサンプルを真空下で200℃に冷却した。実施例11の通り
にして化学吸着された水素の量を測定すると、2.40mL/
gであった。サンプルを空にして400℃に加熱しながらTPC−MSを行った
。実験全体にわたり水素に関するMS信号は水のものより大きかった。
化学吸着された水素のモル数は実施例11の通りにして計算して2.68×1
0-5であった。TPC−MS実験の統合された面積は0.863−0.963×1
0-5アンペア−秒であり、それはMS中を通過する1.46−1.63×10-5モ
ルの水素に相当した。これらの値は化学吸着された水素の55〜61%の回収率
に相当した。
実施例15 Cd−モルデナイト:100℃における水素暴露
実施例14のTPC−MS実験後に、サンプルを100℃に冷却しそして化学
吸着された水素の量を測定すると、2.22mL/gの値が得られ、それは2.4
8×10-5モルの吸着された水素に相当した。TPC−MS実験MS実験に関す
る統合された面積は1.20−1.33×10-5アンペア−秒であり、それはMS
中を通過する2.04−2.26×10-5モルの水素に相当した。これらの値は化
学吸着された水素の82〜91%の回収率に相当した。実施例18 Cd−モルデナイト:60℃、<1気圧(0.101MPa)における新サンプ ル
1/6インチ(0.16cm)のNaモルデナイト(ゼオロン(zeolon)900)を
使用したこと以外は実施例11と同様にしてCdで交換されたモルデナイトを製
造した(最終的な分析はNa1.9Cd2.1Si40.9Al7.1O96であった)。0.2
440gのサンプルを10℃/分で真空下で室温から400℃に加熱しそして4
00℃に60分間保ち、その後60℃に冷却した。0.86ccすなわち3.84
×10-5モルの値の水素が化学吸着された。2つのピークがTPC−MS痕跡実
験で観察された。2つのTPC−MSピークに関する合計の統合された面積は0
.647−0.761×10-5アンペア−秒であり、それはMS中を通過する1.
10−1.29×10-5モルの水素に相当した。これらの脱着値は化学吸着され
た水素の29〜34%の回収率に相当した。低温ピークは回収された合計水素量
の約5%に当たる。
実施例19 Cd−モルデナイト:60℃、<2.5気圧(0.253MPa)における第二回 水素暴露
実施例18のTPC−MS実験後に、サンプルを60℃に冷却しそして実施例
16および17に関するものより高い圧力を使用して化学吸着された量を測定す
ると、0.40mLの値が得られ、それは1.79×10-5モルの吸着された水素
に相当した。化学吸着された量は報告された値に飽和すると思われるが、物理吸
着された量は圧力につれて直接増加した。ピークに関する合計の統合された面積
はMS中を通過する1.1
6−1.36×10-5モルの水素に相当する。これらの値は化学吸着された水素
の65〜76%の回収率に相当した。低温ピークは回収された合計水素量の約1
2%に当たる。
この実験から、この物質または同様な物質に関する2種の用途があることがわ
かる。それらは非吸着性気体から水素を物理的吸着効果を用いる圧力−変動吸着
により分離するために使用することができる。高圧では水素は吸着されそして圧
力が減じられる時には精製した水素を回収することができた。これらの操作は適
度な温度で実施できるため、費用のかかる低温(周囲温度以下の)吸着は必要な
くなるであろう。第二の用途は水素が化学吸着された状態にあるであろうプロセ
ス流から少量の水素を除去するための選択的吸着剤としてのものである。この水
素は物質を引き続き加熱することによってのみ回収することができた。
実施例20 Cd−モルデナイト:30℃、<2.5気圧(0.253MPa)における水素暴 露
実施例19のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして実施例
20と同様な圧力を使用して化学吸着された量を測定すると、0.32−0.54
×10-5モルの水素に相当する範囲の値が測定された。高い範囲の圧力ゲージの
ために、圧力は正確に測定されず、化学吸着された量における大きな誤差をもた
らす。TPC−MS痕跡は実施例16および17のものと同様であった。ピーク
に関する合計の統合された面積はMS中を通過する0.68−0.82×10-5モ
ルの水素に相当する。これらの値は化学吸着された水素より多いものに相当する
(多分、上記のゲージの低い精度のための誤差)。低温ピークは回収された合計
水素
量の約38%に当たる。
実施例21 Cd−モルデナイト:30℃、<1気圧(0.101MPa)における水素暴露
実施例20のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして実施例
18と同様な圧力を使用して化学吸着された量を測定した。0.24−0.29×
10-5モルの間の水素の値が測定されたが、化学吸着された量は一定値に達しな
かったので元の値への外挿法が正確でなかったため正確な値は疑わしい。TPC
−MS痕跡は2つのピークを示した。ピークに関する合計の統合された面積はM
S中を通過する0.393×10-5モルの水素に相当し、それは化学吸着された
水素より多いものに相当する。低温(132℃)ピークは回収された合計水素量
の約16%に当たる。
実施例22 Cd−モルデナイト:30℃、<2.5気圧(0.253MPa)における水素暴 露
実施例21のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして2.5
気圧(0.253MPa)までの圧力を使用して化学吸着された量を測定すると
、8.4×10-6モルの値が得られた。TPC−MS痕跡は2つのピークを示し
、132℃における第一ピークは発生した合計8.95×10-6モルの29%を
含んでいた。
実施例23 Cd−モルデナイト:30℃、<1気圧(0.101MPa)における水素暴露
実施例22のTPC−MS実験後に、サンプルを30℃に冷却しそして1気圧
(0.101MPa)までの圧力を使用して化学吸着された量を測定した。この
場合には、第一回吸着はH2を用いて行われ、サンプルが空にされ、そして第二
回吸着等温式がD2を用いて得られ、7.14×10-6モルの化学吸着値が得られ
た。TPC−MS痕跡のために、H2、HDおよびD2に対応して質量2、3およ
び4を続けた。HDおよびD2に関するMS目盛り付けはH2に関するものと同様
であると仮定された。H2痕跡は2つのピークを示し、126℃における第一ピ
ークは生成した合計2.95×10-6モルの40%を含んでいた。HD痕跡は2
つのピークを示し、120℃における第一のものは合計6.0×10-7モルの8
9%を含んでいた。D2痕跡はその傾向を続けそして高温ピークはなく、117
℃における単一ピークは1.0×10-7モルに相当した。実施例26 Cd−A:30℃、<2.5気圧(0.253MPa)における第一回水素暴露
実施例25のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を測定した。圧力間隔1.7−2気圧(0.172−0.202MPa)において
0.1〜1.06cc(0.45〜4.8×10-5モル)の吸着値におけるジャンプ
があった。TPD−MSは実施例25と同様であり、1.28×10-5の面積は
21.7μモルの脱着されたH2に相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はか
なり減少した。
実施例27 Cd−A:30℃、<1気圧(0.101MPa)における第二回水素暴露
実施例26のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を0.04cc(1.8μモル)であると測定した。TPD−MS痕跡は実施例2
5と同様であり、0.67×10-5の面積は11.3μモルの脱着されたH2に相
当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。
実施例28 Cd−A:30℃、<2.5気圧(0.253MPa)における第三回水素暴露
実施例27のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそしてH2の吸着
を0.27cc(12.1μモル)であると測定した。TPD−MS痕跡は実施例
25と同様であり、0.94×10-5の面積は15.9μモルの脱着されたH2に
相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡は
かなり減少した。
実施例29 Cd−A:30℃、<1気圧(0.101MPa)における第四回H2暴露
実施例28のTPD−MS後に、サンプルを30℃に冷却しそして実施例23
と同様にしてCd−モルデナイトに関してH2/D2化学吸着実験を行った。測定
された化学吸着量は0μモル近くであった。TPD−MS痕跡は種H2、HDお
よびD2に関して単一ピークを示した。H2ピーク(115℃)は1.73μアン
ペア−秒の面積を有し、HDピーク(〜118℃)は2.94μアンペア−秒の
面積を有し、D2ピーク(120℃)は1.8μアンペア−秒の面積を有していた
。6.5μアンペア−秒の合計ピーク面積は11μモルの脱着された水素同位元
素に相当する。ここでも、H2Oに関する痕跡はかなり減少した。測定後に、サ
ンプルにN2を逆充填し、そしてその重量は0.2216gであった。
この測定後に、サンプルを空にしそして気体多岐管を使用して水素をサンプルに
標準的容量技術により投与して「合計吸着」等温式を展開した。この等温式は、
一定温度における、各投与後の平衡圧力の関数としての吸着された気体の量のプ
ロットである。投与を<1気圧(0.101MPa)の圧力となるまで複数段階
で続けた。この等温式が得られた後に、サンプルを空にしそして第二等温式であ
る「物理的吸着」等温式を得た。
第一からの第二等温式の引算で化学吸着曲線を生じ、通例により、直線適合度
を使用してより高い値をY軸に外挿しそして切片がS.T.P.において吸着され
た気体の量である化学吸着された気体の量、mL、として報告される。測定後に
、サンプルを空にして全ての気体を除去し、そしてオフガスを質量分析法、MS
、により試験した。サンプルを空にしながら、温度を10℃C/分の上昇速度で
400℃に高め、そこでそれをさらに30分間保った。加熱中に、オフガスのT
PC−MS(温度プログラム化された化学法)分析を行った。水(質量18)お
よび水素同位元素(質量2、3、4)の両者を監視した。水素同位元素の統合さ
れた面積を(目盛り付け曲線と共に)使用してMSを通過する水素のモル数を与
えた。この値を化学吸着値と比較した。このサイクル後に、サンプルをTaに冷
却しそして是認されるなら別の実験を行った。実験がサンプル上で完了した後に
、サンプル容器に窒素を逆充填しそして乾燥重量を得た。
高圧吸着は本質的に同一に行ったが、低圧トランデューサーであるLPTは弁
で閉じられた。気体多岐管、およびLPTほど精密ではないその圧力ゲージを使
用して、等温式を展開した。
結果を表8−9に示す。註に示されている場合には、H2/D2/HD
吸着を実施例23と同様にして行った。これらのデータはCd含有化合物が水素
をCdを含有しない化合物より多量に可逆的に吸着する能力を示す。 請求の範囲
1.水素を含有するプロセス流を、カドミウム並びにゼオライト[但し、該ゼオ
ライトはロー(rho)ゼオライトではない]、シリカ、アルミナ、炭素、クレー
およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される担体を含む組成物と接触さ
せることを含んでなる、水素を含有するプロセス流から水素を分離しそして除去
する方法。
2.Cdを含有するゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素またはクレー組成物が
少なくとも1.6重量%のカドミウムを含有する、請求の範囲第1項記載の方法
。
3.Cdを含有する組成物がCd−モルデナイトゼオライトである、請求の範囲
第1項記載の方法。
4.接触が約1〜約900気圧(90.9MPa)の間の圧力および約20〜5
00℃の間の温度において起きる、請求の範囲第1項記載の方法。
5.プロセス流が水素を約0.0001〜約15重量%の濃度で含有する、請求
の範囲第1項記載の方法。
6.水素を含有するプロセス流がHCl、HF、HBr、HI、Cl2、N2、C
O、CO2、Ne、Ar、Kr、Xe、He、NH3、CH4、空気およびH2Oよ
りなる群から選択される少なくとも1種の気体員も含有する、請求の範囲第1項
記載の方法。
7.水素を含有するプロセス流がハロカーボン類の水素化脱塩素から生じた、請
求の範囲第1項記載の方法。
8.水素を含有するプロセス流が塩素化された化合物の処理または製造から生じ
た、請求の範囲第1項記載の方法。
9.水素を含有するプロセス流が水素を包含するプラズマ−化学法から生じた、
請求の範囲第1項記載の方法。
10.水素を含有するプロセス流がHCNの製造から生じた、請求の範囲第1項
記載の方法。
11.カドミウム並びにゼオライト、シリカ、アルミナ、炭素、クレーおよびそ
れらの組み合わせよりなる群から選択される担体を含む組成物であって、該組成
物がその中に閉じ込められた水素を有しそして該ゼオライトがロー(rho)ゼオ
ライトでない組成物。
12.閉じ込めが50気圧(5.05MPa)より低い圧力で行われる、請求の
範囲第11項記載の水素を閉じ込めた組成物。
13.組成物が水素を閉じ込めたCd−モルデナイトゼオライトである、請求の
範囲第11項記載の水素を閉じ込めた組成物。
14.(a)水素を含有するプロセス流をカドミウム並びにゼオライト[但し、
該ゼオライトはロー(rho)ゼオライトではない]、シリカ、アルミナ、炭素、
クレーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される担体を含む組成物と
接触させて、それにより水素を閉じ込めた組成物を製造し、そして
(b)組成物を加熱することによりおよび/または組成物の周囲圧力を減ずるこ
とにより水素を閉じ込めた組成物から水素を放出する
ことを含んでなる、水素の可逆的な貯蔵方法。
15.加熱が100℃より高い温度で起きる、請求の範囲第14項記載の方法。
16.圧力を50気圧(5.05MPa)より低く下げる、請求の範囲第14項
記載の方法。
17.圧力を約1気圧(0.01MPa)に下げる、請求の範囲第14項記載の
方法。