JP2002502008A - ラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車 - Google Patents

ラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車

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JP2002502008A JP2000529543A JP2000529543A JP2002502008A JP 2002502008 A JP2002502008 A JP 2002502008A JP 2000529543 A JP2000529543 A JP 2000529543A JP 2000529543 A JP2000529543 A JP 2000529543A JP 2002502008 A JP2002502008 A JP 2002502008A
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Abstract

(57)【要約】 ラジアル型設計の遠心ポンプ用羽根車であって、偶数n枚の羽根(3.1〜3.n)を設け、羽根溝(5.1〜5.n)それぞれが、その羽根溝を形成する羽根(3.1、3.2、3.3、・・・3.n)間において、互いに交互に連続するカバーディスク部(4.1、4.3、4.5、・・・4.n−1)もしくは後面部(4.2、4.4、4.6、・・・4.n)と隣接し、また、各羽根溝が、羽根車(1)の入口領域から出口領域までカバーディスク部もしくは後面部とは逆の側において連続的に開口するよう形成されるものにおいて、カバーディスク部と、後面部とがそれぞれ通路口を有し、これら通路口のすべてが、羽根溝の入口領域において半径方向において見えるように、半径方向外方に延びるボス部半径方向最外側突出部(2a)が定義する内径から始まるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車であって、偶数枚の羽根を設け
て、個々の羽根溝が、羽根溝を形成する羽根の間で互いに交互に連続するカバー
ディスク部もしくは後面部と隣接しており、また、羽根溝それぞれが、羽根車の
入口領域から出口領域にかけて、カバーディスク部もしくは後面部とは逆の側で
連続的に開口するものに関する。
【0002】 一般的な遠心ポンプ羽根車はDE−A−19530195公報から知られてお
り、所謂完全開放羽根車と閉鎖型羽根車との特性を、これらの羽根車形態の固有
の不備を想定することなく、それぞれ組合せている。これら開放型、閉鎖型羽根
車の利点と不利益を以下に簡単に説明する。
【0003】 特に、食品加工業や飲料製造業で採用される遠心ポンプにおいては、所謂ラジ
アル型設計の開放型羽根車を用いることが普通である。開放型羽根車はカバー壁
もしくは所謂カバーディスクを設けず、羽根自体をボス部の壁もしくは所謂後面
に接続している。([*]Pfleiderer/Petermann,Str
omungsmaschinen,第4版1972年175〜285頁) 開放
型羽根車は、(研摩仕上げされた面が要求されることがしばしばあるが、)必要
に応じて羽根溝の加工を行うことが簡単に行えるという利点を持っている。また
、検査の目的で羽根溝をのぞき込むことも可能であるという利点もある。更に、
カバーディスク(これらは冷間等方加工プレス(CIP)により清掃し得る。)
を持った羽根車に比べて液を流しながら清掃が簡単容易に行える。これは、開放
した溝は必然的に境界面が小さくなり、また、ケーシングと(閉鎖型羽根車に存
在する)カバーディスクとの間の吸入側幅狭羽根車サイド空間が完全に無くて済
ませることから、液を流した状態で所定場所の清掃を行い得ることを意味する。
但し、低速のラジアル型設計開放型羽根車の場合は、羽根先端漏れロスが羽根の
前側と後ろ側との間の圧力差から生じることから、液圧効率ファクターが閉鎖型
羽根車の場合より悪い。([*]285頁参照。)
【0004】 ラジアル型設計の開放型と閉鎖型の遠心ポンプ羽根車には共通した特性があり
即ち、別途の手段により救済策を講じない限り、軸方向の力をポンプ軸に作用さ
せる([*]289頁参照。) 羽根車のボス部壁もしくは後壁の通路口に関連
して羽根車の後ろ側にシールギャップを設けることや、圧力側羽根車サイド空間
に所謂後方羽根を取り付ける([*]293頁参照。)などの通常のバランス手
段は、少なくとも食品加工業や飲料製造業に用いられている遠心ポンプにとって
は不適当であり、また、それらのバランス手段が、CIP清掃を行う上でアクセ
ス条件の悪い、別の特に危急な清掃領域を生み出すことから大抵の適用場面で許
容し得ない。
【0005】 一般的なタイプの羽根車(DE−A−19530195号公報)において羽根
車に作用する軸方向の液流の力は、特別に手段などを講じる必要無しにほぼバラ
ンスを取らせることができる。これはひとつには、隣り合う羽根溝がカバーディ
スク部か後面部により交互に閉じられ、それ故に、羽根における少なくとも半径
方向に延びる領域において遠心ポンプ羽根車のいづれの側にも充分に等しい圧力
分布が行われ、且つ、周方向においてはいづれの場合も異なる圧力分布は何ら生
じないという事実のおかげである。一方、ボス部領域において、液流の限定的な
貫通が、カバーディスク側から後面部側へかけて可能とされ、これにより、この
領域で展開する軸方向液流の力の発生を減少させる。
【0006】 公知である前述の羽根車において、羽根溝へ流入する液流について様々な入口
条件が発生し、これにより、カバー面部により形成される羽根溝、即ち、後方向
き羽根車側を流れる溝にとって一層不利な入口条件が存在するようになる。これ
は、後面部により形成される羽根溝がその流入側で完全に開放されていて、従っ
て、無制限に羽根溝自体が液流入に晒されてしまい、一方、後ろ向き羽根溝へ流
入する液流が、カバー面部とボス部半径方向最外側突出部との間の限定された入
口断面部分を通過しなければならないという事実が原因である。このような事実
の重なりは、羽根車、つまりは、遠心ポンプの吸入作用に悪影響を及ぼす。この
点は、例えば、80〜90℃でも用いられる遠心ポンプで引き込むことが必要な
熱い洗浄剤が送出されている時に感じられる。また、このような適用場面におい
て遠心ポンプにより生み出される所謂有効吸い込みヘッド値(NPSH値)は、
DE−A−19530195公報で知られる羽根車では殆ど達成し得ない。また
、一層低下させることが望ましい軸方向力が、前述した各種の入口条件と、そこ
から起きる液流および圧力分布から生じることになる。
【0007】 血流のための血液ポンプがEP−A−0599138号公報から知られており
一般的なタイプの遠心ポンプの態様をすべて備えている。このポンプのボス側羽
根車領域に、ポートが示されているが、その位置で後面部を握持するだけであっ
て、隣り合う羽根のうち一枚とそれぞれ係合している。この手段は、カバーディ
スク部で隠された後ろ向き羽根溝のための入口条件を強化するが、軸方向力の減
少のための有利な条件を生み出すものではない。
【0008】 本発明の目的は、完全開放型羽根車と、閉鎖型羽根車の両方の利点を組合せ、
軸方向力を大幅に除去でき、尚且、入口条件、つまりは、吸入作用が一般的な遠
心ポンプ羽根車に比べて一層改善されたラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車を提
供する点にある。
【0009】 本発明の前記した目的は請求項1の態様を採用することにより達成される。本
発明で提案する遠心ポンプ用羽根車の有効な実施例は従属の請求項それぞれの主
題である。
【0010】 羽根車前側と後ろ側との圧力差により羽根先端の漏れロスが生じないことが前
提になるので、本発明によって得られる利点は、然るべく知られた方法を基に、
偶数枚の羽根を用いた場合に充分に達成される。従って、カバーディスク部と後
面部が交互に連続する領域において、隣接する羽根溝間に何らの連通の無いこと
、つまりは、特に挙げれば例えばポンプ効率のファクターに逆に作用するような
羽根先端漏れ流が発生しないことが保証される。
【0011】 この遠心ポンプ羽根車には、周囲を見ても、外側領域に、閉じたカバーディス
クや後面を持っておらず、カバーディスク部、後面部のみがあるだけであるから
そこには、設置されてポンプケーシングと相互作用する場合、適切な冷間等方加
工プレス(CIP)洗浄にとって重大な問題となるような、環状の自蔵カバーデ
ィスクや、後面側羽根車サイドスペースは形成されない。この点に関して本発明
遠心ポンプ羽根車の利点は、後面側羽根車サイド空間が従来通り存在し、洗浄に
際して問題になる公知のラジアル設計開放型羽根車よりはるかに勝っている。
【0012】 羽根車のボス部側領域において、カバーディスク部と後面部の両方ともが通路
口を有しており、この通路口はすべて、半径方向で見て判る通り羽根溝の入口領
域において半径方向外方に延びるボス部半径方向最外側突出部によって形成され
る内径から始まる。本発明のこの手段は、カバーディスク部が形成する羽根溝の
入口領域を開放するとともに、公知の羽根車(DE−A19530105)に比
べ液流の入口条件を意義深く強化する。また、前述の通路口が羽根車の液流入側
から後部側までの液流の貫通を改良し、更には、この領域で羽根車に作用する軸
方向力のバランスを強化するとともに、好ましい副作用として、羽根車後部に配
設する軸方向シールについての効果的且つ信頼性高い洗浄を保証する。
【0013】 前記ボス部半径方向最外側突出部は、別の提案内容に基づき考慮さる如く、羽
根の後面部それぞれを充分な範囲まで平面的に互いに接続し得るような寸法とし
ており、これにより、この領域において軸方向の液流の力を充分にバランスさせ
るための最も好ましい条件が生み出される。
【0014】 本発明提案による遠心ポンプ羽根車の別の実施例によれば、通路口それぞれの
軸方向投影面すべては、一致するよう設計されている。この通路口の完全同等性
により、更に、少なくとも力のバランスが軸方向において取れていてそれにより
可能なかぎりの最も広い範囲を対象とした軸方向スラストバランスのための最適
条件が生み出される限りにおいて、ボス部側羽根車領域と、それ以外のカバーデ
ィスク部および後面部領域との両方において圧力により効果的にもたらされるす
べての面についての完全な調和が得られる。
【0015】 本発明が提案した遠心ポンプ用羽根車は最適な液圧特性を有しており、鋳造品
、形直し品(シートメタル品)などとして加工プロセスにより製造可能であり、
また、例えば前記通路口が、羽根車の回転軸心から半径方向距離(R2)のボス
部半径方向最外側突出部と隣接することとは別に、隣り合う2枚の羽根の外形に
隣接し、また、半径方向外側においては羽根車の回転軸心からの半径方向距離(
R1)における円形の境界エッジに隣接するなどの別の方法により得られる、成
形される場合に必要な強度特性を有している。
【0016】 半径方向から見て判る通り、前記通路口の外側円形状境界は、そこ以外のカバ
ーディスク部、後面部をそれぞれ半径方向長さにおいて、一連のポンプ構造内で
生じる様々な液圧の必要性(送出量と送出ヘッドを変化させるための要件)に適
応させることが出来る。本発明提案の羽根車は、軸方向において、最大の外径か
ら、カバーディスク部および後面部が強度値ベースの最少要件に見合う狭い環状
面の形態においてのみなおも個々の羽根を相互接続するポイントまで、縮径させ
ている。
【0017】 本発明の別の提案によれば、羽根車の必要強度は、羽根車の外側半径(RA
が通路口の外側境界の半径方向距離(R1)を羽根車の必要強度に基づく第一半
径距離(ΔRF )だけ越えるという事実により保証される。更に、羽根車呼称直
径を持つ送出ヘッド適用のバリエーションについての必要な幅が、第一半径距離
(ΔRF )とは別に、他の第二の半径距離(ΔRV )を設定するという事実によ
り保証される。従って、羽根車の外側半径(Ra )は、通路口の外側境界の半径
方向距離(R1)と、第一半径距離(ΔRF )と、第二半径距離(ΔRV )とか
ら生じる。ラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車において特に有用な側面は概して
第一半径距離(ΔRF )が10<ΔRF <20mm、好ましくはΔRF =20m
mの場合や、第二半径距離(ΔRV )が20<ΔRV <30mm、好ましくはΔ
V =25mmの場合に存在する。
【0018】 別の有用な提案によれば、羽根溝は羽根車の出力ポイントにおいて、2m/秒
という速度を著しく越える絶対速度がどのポイントにおいても存在しないような
寸法に設定される。これにより、流体の穏やかな送出が保証されるとともに、好
ましい吸入作用が達成され、従って、それに応じた高い有効吸い込みヘッド値(
NPSH値)が得られる。穏やかな送出は、本発明提案の遠心ポンプが食品加工
業で用いられる場合に望ましい。良好な吸入性能は、特に、熱い液体を送出する
必要のある場合に、要求される。これは例えば常時、清掃剤ポンプとして作用し
、80〜90℃の洗浄剤の引込がなおも必要となるようなケースである。
【0019】 吸入性能、つまりは、有効吸い込みヘッド値は、別の提案により与えられる如
く、羽根車の出力ポイントにおける羽根の圧力エッジが液流が衝撃無く圧力エッ
ジを離れるように設計されており、また、羽根の吸入エッジが出力ポイントにお
ける送出量を著しく越える送出量においてのみ液流が衝撃無く吸入エッジへ流れ
込むように設計されている場合に、望ましく影響される。これは、吸入エッジが
遠心ポンプの出力ポイントにおいてほぼ部分負荷モードで作用し、一方、羽根の
圧力エッジが非衝撃性、つまりは、これらの条件のもとで出力ポイントにおける
送出量にとって最適な流出を経験することを意味している。この関連から、吸入
エッジへの非衝撃流入が、出力ポイントにおける送出量の値をその値の約二倍分
越える送出量で為されるのであれば、特に有用であることが立証されている。
【0020】 以下本発明の遠心ポンプ用羽根車の実施例に関し一例として羽根の数n=6枚
を選択した例について添付図面により更に詳細に説明する。
【0021】 図1は、本発明遠心ポンプ羽根車の、流入点側の図であって、羽根車の形状を
より理解し易くするために、カバーディスク部は、クロスハッチング、後面部は
右下がりのハッチング、更に、突出ボス領域は右上りでハッチングしている。
【0022】 図2は、図1に示した本発明遠心ポンプ羽根車の、A−A線に沿った子午線状
断面図である。
【0023】 図3は、本発明遠心ポンプ羽根車の斜視図である。
【0024】 図4は、図1に示した本発明遠心ポンプ羽根車の一部分についての子午線状断
面図であって、羽根車に、ポンプ軸と、ポンプケーシングを組み付けた状態を示
している。
【0025】 遠心ポンプ羽根車(1)は、n=6枚の羽根(図1、符号3.1〜3.6)を
設けているので必然的に6つの羽根溝(5.1〜5.6)を有している。図1の
説明図、図2の子午線状断面図、並びに、図3の斜視図(尚、図3では符号は隣
接する羽根溝(5.1)と(5.2)に関連するもののみに限定している。)か
ら明らかなように、羽根溝(5.1)はカバーディスク部(4.1)により、羽
根溝(5.3)はカバーディスク(4.3)により、そして、羽根溝(5.5)
はカバーディスク(4.5)により、(その名称通り)この遠心ポンプ羽根車(
1)の液流入側(即ち、クロスハッチング部分)が部分的に閉じられている。一
方、羽根溝(5.2)は後面部(4.2)により、羽根溝(5.4)は後面部(
4.4)により、そして、羽根溝(5.6)は後面部(4.6)により、この遠
心ポンプ羽根車(1)の液流入側と対向する側(右下がりハッチング部分)が部
分的に閉じられている。更に明らかなことは、カバーディスク部(4.1、4.
3、4.5)と後面部(4.2、4.4、4.6)は、ここで提案しているよう
に、周方向で見られる通り互いに交互に連続しているが、この配置方法では、関
連する羽根溝どおしの前方側と後方側、つまりは、隣接する二つの羽根溝を、そ
れぞれ短い経路を介して相互連結する溝エッジが形成され得ない。このことによ
り、羽根の前方側と後方側との間の圧力差による羽根先端漏れ流と、効率低減作
用とが、効果的に防止できる。
【0026】 カバーディスク部(4.1、4.3、4.5)と、後面部(4.2、4.4、
4.6)はそれぞれ、通路口(4.1a、4.3a、4.5a)または(4.2
a、4.4a、4.6a)を持つ。これら通路口すべては、始端の内径の値が、
羽根溝(5.1〜5.6)の入口領域において(半径方向に見られる通り)半径
方向外方に延び図2にも示したボス部半径方向最外側突起部(2a)(右上りハ
ッチング領域)によって規定される半径(R2)である。ボス部半径方向最外側
突起部(2a)と隣接するほか、通路口(4.1a〜4.6a)は、隣接する二
枚の羽根の外形に対しても境を接する。(例えば、通路口(4.2a)は羽根(
3.2、3.3と隣接するとともに、半径方向外側部分において、羽根車の回転
軸心からの半径(R1)による円弧状の境界線にも接している(図1及び図2参
照)。図示した通路口(4.1a〜4.6a)の態様は、各通路口の軸方向の投
影面すべてが一致するよう選択している。
【0027】 カバーディスク部と後面部(4.1〜4.6)に、羽根車(1)の半径(R1
)と外側半径(Ra )の間の半径長さを利用すれば、一連の構造の複数の遠心ポ
ンプ内部へ羽根車を適合させなければならない場合など必要に応じて、各種の 羽根車直径を実現することが出来る。第2の半径ΔRV (好ましくは約25ミリ
(mm))分だけ羽根車(1)の直径を変更することは可能であって、即ち、例
えばこの場合、半径値(R1)より第1の半径ΔRF (好ましくは約15ミリ(
mm))分だけ長い外側半径まで可能である。そしてこの場合、強度を保証する
上で必要な要件も満たされ、且つ、この要件には羽根の振動、揺動を避けること
も含まれている。前述した第2の半径ΔRV を用いることにより、羽根車呼称直
径を有する送出ヘッドを適応させるために必要なバリエーションの幅を的確に現
実化させることが可能になる。
【0028】 カバーディスク部(4.1、4.3、4.5)により形成される羽根溝(5.
1、5.3、5.5)の入口領域は、ボス部(2)の液流入側における外周領域
に、半径方向で見て判る通り、ボス部半径方向最外側突出部(2a)を備えてお
り、この最外側突出部(2a)は、羽根溝(5.2、5.4、5.6)の後面部
(4.2、4.4、4.6)を充分に、平面的に相互接続する(図1参照)程度
まで、半径方向外方に延びている。尚、ボス部(2)は、公知のように、ボス孔
(2b)と、係合溝(2c)を有する。
【0029】 液流が通路口(4.1a〜4.6a)の領域において羽根車の前側と後ろ側の
間を貫くという可能性があるから、羽根車に作用するような軸方向の液流の力は
かならずしもそこでは生じない(図2及び図4参照)。また、別のケースとして
、仮に、カバーディスク部(4.1、4.3、4.5)と後面部(4.2、4.
4、4.6)とで圧力の分布が異なっているとしても、このような圧力分布の相
違は、カバーディスク部、後面部において通路口(4.1a〜4.6a)が本発
明に基づき全周的に配置されることから、発展し得ない。従って、このような事
実の重なりがその結果として、遠心ポンプ羽根車(1)に対して全体的に、そし
てそれ故に、ポンプ軸に対して、作用するような軸方向の液流の力を生じさせる
ことは無い。本発明の遠心ポンプ羽根車(1)をそのようなものとして見た場合
この羽根車において力のバランスは、先に説明した利点を生ずるような最も広い
範囲にまで拡がっている。
【0030】 羽根車を取り付けると(図4)、先に説明した利点が再度自ずと明確に示され
る。羽根車(1)のボス部および吸入側などの特殊な羽根車形態によって生み出
される先に述べた軸方向スラストバランスとは別に、図4で示しているのは、カ
バーディスク部(4.5)の領域の吸入エッジ(S)と、ボス部半径方向最外側
突出部(2a)との間の間隔aが、(例えば洗浄液などの)液流(R)が、スラ
イドリング(9a)と対応のリング(9b)を備えた軸方向フェイスシール(9
)の領域へ流入することを可能にするという事実である。これにより、至急洗浄
が必要な領域での安全で信頼性の高い洗浄が保証される。羽根車(1)は、ポン
プ軸(6)における詳細に説明しない凹部へ、この凹部と羽根車(1)とへ前記
対応リング(9b)を係合させた状態で、軸ナット(10)により配置している
。羽根車(1)により送り出される流体がポンプ軸(6)とボス部(2)の間の
領域へ到ることを阻止、防止するために、シール(11)を羽根車(1)と対応
リング(9b)の間に設けるとともに、別のシール(12)を軸ナット(10)
と羽根車(13)の間に、更に、第3のシール(3)を前記対応リング(9b)
とポンプ軸(6)の間に設けている。
【0031】 また、羽根車(1)は液流入側においてポンプフロントケーシング(7)に隣
接しており、また、液流入側の反対側でポンプリアケーシング(8)に隣接して
いる。フロントケーシング(7)とリアケーシング(8)は対称であり、また、
カバーディスク部(4.1、4.3、4.5、・・・、4.n−1)および後面
部(4.2、4.4、4.6、・・・、4.n)それぞれの領域において同等の
突出面を備えているので、先に説明した軸方向の力の最も広範囲なバランスが、
(後面部と、カバーディスク部とに関しても対称的に形成され、同等の面形成が
為されている)羽根車(1)との相互作用において達成される。送出効率に関し
て互いに匹敵する程の従来の羽根車(1)には例えば900ニュートンの大きさ
の軸方向力が掛るが、本発明羽根車(1)にも僅かながら35ニュートン程度の
軸方向力が残る。この種の遠心ポンプの駆動に適する従来の標準的なモーターは
350ニュートン程度の容認さるべき軸方向力をモーター軸受により吸収するよ
うに設計されているので、本発明羽根車(1)を適用した場合、そのような弱く
且つバランスの取れない軸方向力を吸収する上で特別な手段や方策を必要としな
いことは明らかである。更に、本願で提案した羽根車(1)を用いることで、標
準のモーターの軸受に、バランスの取れない軸方向力を吸収させることに何らの
問題も生じないことから、コスト面での相当な利点が得られることも明らかであ
る。
【0032】 回転の向きは図において羽根車(1)に符号Uで例示しており、この場合、後
方に向かって屈曲する一組の羽根に関し、この実施例では羽根それぞれが単純に
それ自体で屈曲している。然しながら、本発明の原理は、純粋に半径方向に向け
た羽根や、前向きに屈曲させた羽根に対しても容易に適用し得る。また、一組に
なった前記の羽根における三つの形状各々は、順次、空間的に拡がるよう屈曲す
る羽根、即ち、三次元の立体的な羽根を形成することが出来る。更に又、選択し
た実施例は、ラジアル型デザインの遠心ポンプ用低速羽根車(所謂スローランナ
ー)に関するものであるが所謂ミディアムランナーにも関連性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明遠心ポンプ用羽根車の流入点側の正面図である。
【図2】 図1に示した例のA-A断面図である。
【図3】 本発明遠心ポンプ用羽根車の斜視図である。
【図4】 図1に示した例の部分断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,BR,C A,CN,JP,KR,MX,NZ,PL,RU,SG ,US,VN

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジアル型設計の遠心ポンプ用羽根車であって、偶数n枚の
    羽根(3.1〜3.n)を設け、羽根溝(5.1〜5.n)それぞれが、その羽
    根溝を形成する羽根(3.1、3.2、3.3、・・・3.n)間において、互
    いに交互に連続するカバーディスク部(4.1、4.3、4.5、・・・4.n
    −1)もしくは後面部(4.2、4.4、4.6、・・・4.n)と隣接し、ま
    た、各羽根溝が、羽根車(1)の入口領域から出口領域までカバーディスク部も
    しくは後面部とは逆の側において連続的に開口するよう形成されるものにおいて
    、 カバーディスク部(4.1、4.3、4.5、・・・4.n−1)と、後面部
    (4.2、4.4、4.6、・・・4.n)とがそれぞれ通路口(4.1a、4
    .3a、4.5a、・・・4.n−1a、もしくは、4.2a、4.4a、4.
    6a、・・・4.na)を有し、これら通路口のすべてが、羽根溝の入口領域に
    おいて半径方向において見えるように、半径方向外方に延びるボス部半径方向最
    外側突出部(2a)が定義する内径から始まることを特徴とするもの。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車であっ
    て、ボス部半径方向最外側突出部(2a)が、羽根溝(5.2、5.4、5.6
    、・・・5.n)の後面部(4.2、4.4、4.6、・・・4.n)を充分な
    範囲まで平面的に相互接続することを特徴とするもの。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のラジアル型設計遠心ポンプ用羽根
    車であって、通路口(4.1a〜4.na)の軸方向の投影面のすべてが一致す
    ることを特徴とするもの。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載のラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車で
    あって、通路口(4.1a〜4.1na)が、羽根車(1)の回転軸心に対し半
    径方向の距離(R2)を持つボス部半径方向最外側突出部(2a)と隣接するこ
    ととは別に、隣り合う2枚の羽根(3.i、3.i+1)の外形に隣接するとと
    もに、半径方向外側においては、羽根車(1)の回転軸心から半径方向距離(R
    1)において円形の限界エッジに隣接することを特徴とするもの。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のうち一つに記載のラジアル型設計遠心ポンプ用
    羽根車であって、羽根車(1)の外側半径(RA )が、羽根車(1)の必要強度
    に基づいた第一半径距離(ΔRF )や、羽根車呼称直径を持つ送出ヘッド適用に
    おけるバリエーションについての必要な幅に基づいた第二半径距離(ΔRV )だ
    け、通路口(4.1a〜4.na)の外側境界の半径方向距離(R1)を越える
    ことを特徴とするもの。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車であって
    、 第一半径距離(ΔRF )が、 10<(ΔRF )<20mm、好ましくは(ΔRF )<15mm であり、 第二半径距離(ΔRV )が、 20<(ΔRV )<30mm、好ましくは(ΔRV )<25mm であること
    を特徴とするもの。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のうちいづれかひとつに記載のラジアル型設計遠
    心ポンプ用羽根車であって、羽根車(1)の出力ポイントにおいて羽根溝(5.
    1〜5.n)は、羽根車におけるどのポイントにおいても2m/秒の速度を著し
    く越えるほどの絶対速度が存在しないような寸法としていることを特徴とするも
    の。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のうちいづれかひとつに記載のラジアル型設計遠
    心ポンプ用羽根車であって、羽根車(3.1〜3.n)の圧力エッジ(D)が、
    羽根車(1)の出力ポイントにおいて、液流が何らの衝撃無く圧力エッジ(D)
    を離れるよう設計されており、且つまた、羽根(3.1〜3.n)の吸入エッジ
    (S)が、吸入エッジ(S)の液流が前記出力ポイントにおける送出量を著しく
    越える送出量で何らの衝撃無く流入するように設計されていることを特徴とする
    もの。
  9. 【請求項9】請求項8に記載のラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車であって
    、吸入エッジ(S)への無衝撃流入が、前記出力ポイントにおける送出量を、そ
    の値の約二倍分越す送出量で行われることを特徴とするもの。
JP2000529543A 1998-02-02 1998-12-21 ラジアル型設計遠心ポンプ用羽根車 Pending JP2002502008A (ja)

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