JP2002501235A - 磁気データタグ付け - Google Patents

磁気データタグ付け

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JP2002501235A
JP2002501235A JP2000527912A JP2000527912A JP2002501235A JP 2002501235 A JP2002501235 A JP 2002501235A JP 2000527912 A JP2000527912 A JP 2000527912A JP 2000527912 A JP2000527912 A JP 2000527912A JP 2002501235 A JP2002501235 A JP 2002501235A
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アンドリュー・ニコラス・デームズ
ジェームズ・マーク・カールソン・イングランド
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Abstract

(57)【要約】 磁気データ・タグとタグの読取システムであって、そのタグは複数の磁気層を有し、それらの磁気層は、それらの容易軸の相対的な配向によってデータを記憶することができるように、配置されている。タグのリーダがデータを符号化するシステムと共に開示されている。そのシステムによれば、如何なるタグの配向においてもデータが読み取られるので、そのシステムは、光学的なバーコードのラベル付けシステムに代わるものとして利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気タグ上のデータ蓄積の分野に関する。但し、本発明は、特に光
学的なバーコードに取って代わる用途のみには限定されないものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
品物の識別ないしタグ付けの形式に関しては、様々なものが広く知られている
。それらには、光学的なバーコード、RFID(radio frequency identificati
on(無線周波数ID検査))、EAS(electronic article security(電子物 品セキュリティ))、磁気データ記録、及び磁気センサが含まれる。
【0003】 光学的なバーコードは、広く利用されており、かつ、標準的な印刷技術を利用
して製造することが低コストであると同時に容易であるという利点をもっている
。しかしながら、バーコードリーダのシステムでは、そのリーダと品目(item)
のタグ上にあるバーコードとの間に、直接の光学的経路が要求される。
【0004】 RFIDは、動物のタグ付け及び空港での手荷物のラベル付けを含む多くの適
用に対して商業的に広く利用されているが、比較的コストのかかる技術である。
その技術は、誘導(交流磁気)アンテナ(inductive (a.c. magnetic) antenna )に取り付けられたシリコン・チップに基づいている。そのシリコン・チップは
、プロセッサ及びデータ記憶装置と共に、簡易な受信機及び送信機を組み込んだ
ものとなっている。RFIDのタグは外部の交流磁界によって呼び掛けられ(in
terrogated)、その交流磁界が更にそのデバイスに電力を供給することに利用さ
れ得る。RFIDのデバイス及びシステムについては、GEM Plus社、Texas Inst
ruments社及びPhilips社を含む多くの製造業者が存在する。
【0005】 EAS(電子物品セキュリティ)は、セキュリティの目的で小売商品に取り付
けられるタグないしラベルの適用に係る。そのタグの存在は、呼掛け(interrog
ation)システムによって検出することができ、かつ、検出時のアラームを発生 させる。その呼掛けシステムは、一般的に、商店及び店舗の出口近くに設置され
、万引を予防しかつ阻止する。ほとんどのEASシステムは、交流磁界(電磁誘
導)を利用しており、かつ、そのタグは、活性状態か非活性状態のいずれかのデ
バイスを提供する特殊化された磁気的材料を組み込んだものとなっている。
【0006】 磁気的なEASシステムの背景にあるコンセプトは、磁気マーカを検出する方
法である。EASシステムにおいて使用される磁気材料の主な形態は3つある。
それらは、スピン融解材料のリボン(ribbons of spin melt materials)、薄膜
材料(thin film materials)及び非晶質ワイヤ(amorphous wires)である。磁
気素子(magnetic element)を検出するのに利用される主な物理的性質は3つあ
る。第1は、材料の磁気歪み特性(加えられる磁界のレベルに対する長さの変化
)の利用である。呼掛け交流呼掛け磁界(An interrogation a.c. magnetic int
errogation field)が磁気素子をその固有の機械的共鳴周波数(natural mechan
ically resonant frequency)で励磁するために使用される。その磁気素子は、 自身が機械的共鳴をして発する磁界によって検出される。これは音響磁気(acou
sto-magnetic)検出の手段ということができる。例えば、US-A-5,420,569には機
械的共鳴磁気データ・タグが開示されている。
【0007】 第2に利用される作用は、磁気材料の非線形なB−Hループ特性である。空間
的に一様な直流(バイアス)磁界が呼掛け領域に印加され、これを時間と共に(
ゆっくり)変化させる。同時に、一般には数kHzである交流磁界が加えられる
。タグは、直流磁界によって正しいレベルにバイアスされているときには、加え
られている交流磁界の高調波を発生し、それらの高調波は受信手段によって検出
される。或いは、一般に200Hz周辺の単一周波数がタグに加えられ、高いオ
ーダーの高調波が検出される。これらの方法は‘高調波検出’又は‘E.M.’
方法といわれることがある。
【0008】 第3の検出方法は、‘バルクハウゼン’(‘Barkhausen’)効果を利用する。
直流バイアス磁界が磁気素子に加えられ、これを時間と共にゆっくり変化させる
。磁気材料は、その材料内の正味磁化(net magnetisation(M))が極めて非 線形に変化するという特質を有している。加える磁界(H)を少量変化させると
、磁化(M)は大きく(飛躍的に)変化する。但し、ここにいう磁化Mは、磁気
素子と材料に加えられている磁束Bを指すものである。その素子の正味磁化Mの
大きくかつ急激な変化は、外部のコイルによって検出することができる。そのコ
イルは、当該コイル内において急激な速さで変化する磁束によって生じる起電力
(‘ブリップ’(‘blip’))を検出する。この方法は‘バルクハウゼン’効果
といわれており、かつ、‘最良の’材料は矩形のB−Hループを有する。磁気素
子は、‘ブリップ’を発生しているときには、事実上、正から負の磁気飽和に変
化する。例えば、US-A-4,660,025には、バルクハウゼン効果を呈するシングル・
ワイヤ若しくは磁気材料のリボンを基にしたEAS磁気マーカが開示されている
【0009】 公知のEASマーカについて更なる様々なタイプの例を挙げるとすれば概略次
の通りである。すなわち、US-A-4,960,651は、薄膜磁気材料を使用したEASマ
ーカを開示している。US-A-5,083,112は、薄膜材料の積層構造を備えたEAS磁
気マーカを開示している。その層状構造の目的は、すべての層における磁化の容
易軸を一方向に整列させるマーカを製造することであり、それによってすべての
薄膜がただ一つの物に転換されて鮮明かつ容易で区別可能な応答を生成するよう
にする。この特許は、また、双方向性のマーカも開示している。そのマーカにお
いては、各層が互いの層に対する磁化容易軸の方向を90°として積層されてい
る。これは、すべての呼掛け磁界の方向に対して応答が到達することを確保する
。US-A-5,605,768は、代替磁気EASマーカを開示しており、その代替磁気EA
Sマーカにおいては、平面の辺(member)上の並列なワイヤ辺(wire members)
の配列によってデータを記憶することができ、その磁化容易軸が大きなバルクハ
ウゼン効果を生じるように前記ワイヤ辺に対して特定の角度で配置されている。
US-A-5,005,001は、回転磁界を使用して強磁性のマーカへの呼掛けをするEAS
システムを開示している。
【0010】 EASシステムで使用するタグと比較すると、データ若しくはID検査のタグ
は、いくつもの離散的な磁気素子間を区別する性能が要求される。その離散的な
磁気素子の配列は、データをエンコードしたものである。例えば、US-A-5,204,5
26においては、磁気素子がそれらの異なる飽和保磁力によって区別される。更な
る例として、US-A-5,594,229は、ランダムに分散配置された多数の双安定磁気素
子(bistable magnetic elements)を有する磁気タグを開示している。それらの
双安定磁気素子は、線形な磁界勾配による呼掛けがあったときに特定のシグナチ
ャを生成し、それによって偽造品を検出することに使用できるものとなっている
。国際公開公報WO 96/31790は、空間内1次元方向を走査する線形な磁界勾配に よって呼び掛けられる、磁気的に活性な領域である薄いストリップ若しくは線状
アレイの形態で構成された磁気データ・タグを開示している。国際公開公報WO 9
8/26312は、並列素子の線状アレイのように配列された磁気材料のリボンからな る磁気データ・タグ、ないしは、円若しくは球の直径上にリボンが配置されてい
る‘横断’配列(‘transecting’ arrangement)を備えた磁気データ・タグを 開示している。これらのタイプのタグは、不利な点として、それらのサイズが比
較的大きい点とデータの密度が低い点とを有している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、加えられる磁界に対してそれぞれの層が方向性の応答を示す
複数の磁気層を有し、データを記憶する磁気タグであって、それぞれの層の前記
方向性の応答の相対的な配向が記憶されるデータを定める磁気タグが、提供され
る。
【0012】 その層状にされた配置は、密度が高く(compactであり)、かつ、空間的な効 率のよいデバイスを提供し、そのデバイスは、比較的大きい記憶容量を有する。
驚くべきことに、その構造は、開示される実施の形態では、非常に少ない各層間
の有害な磁気的相互作用しか示さない。
【0013】 それぞれの磁気層は、非磁性層上で薄膜の磁気材料を備えるものとすることが
できるので、比較的大きいデータ記憶容量を有する高密度なデバイスを生産する
ことができる。
【0014】 前記タグは、更に、タグをプログラム可能にするバイアス磁界を供給する硬磁
気層を含むものとすることができる。
【0015】 改良された誤差の許容範囲を都合よく提供しつつデータの記憶に与える一つの
体系においては、隣接する層の間の前記方向性の応答の配向の角度の離隔が、予
め定めた数列に従った配置になっている。ここにいう数列としては、例えば、対
数ギャップ・コード(logarithmic-gap code)のように、増加していく数列(in
cremental progression)が挙げられる。
【0016】 本発明の更なる特徴によれば、データを記憶するプログラマブル磁気タグであ
って、それぞれが加えられる磁界に対して方向性の応答を示す複数の軟磁気素子
を有し、更に、タグをプログラム可能にするバイアス磁界を供給する硬磁気層を
有する、プログラマブル磁気タグが、提供される。そのデータは、硬磁気素子内
の残留磁界の方向に関連付けて記憶することができる。
【0017】 本発明は、又、硬磁気素子に対して方向性の磁界を加えると共に、その後、そ
の磁界を除去する過程を含む、磁気タグをプログラムする方法をも提供する。
【0018】 本発明によれば、更に、磁気データ・タグを製造する方法であって、それぞれ
が加えられる磁界に対して方向性の応答を示す複数の磁気層を、それぞれの層の
方向性の応答の相対的な配向が記憶されるデータを定めるように、互いに関連し
た角度の配向で配置することを含む方法が、提供される。
【0019】 本発明の更なる特徴によれば、磁気データ・タグの製造方法は、磁気タグのシ
ートを2つ又はそれ以上のセクションに分割して複数のタグを備えるようにする
過程を含み、前記シートが実質的に平面な磁気層を複数有し、それぞれの層が加
えられる磁界に対して方向性の応答を示し、それらの層が互いに関連して配向し
て、それらのそれぞれの方向性の応答の相対的な配向が記憶されるデータを定め
るようにする。
【0020】 これは、量的な製造(volume manufacturing)に関する本発明の顕著な利点で
ある。これはすなわち、この方法によれば、すべてが同じデータの識別特性(si
gnature)を有するタグを生産するために、タグ材料の大きなシートから低コス トなタグを多く複製する能力が与えられることによる。
【0021】 又、本発明によれば、呼掛けボリューム内に回転磁界を生じさせる手段と、前
記呼掛けボリュームの周りに配置された第1及び第2の受信コイル対を備え、前
記呼掛けボリューム内の磁気データ・タグを検出する受信コイル配置とを有し、
前記コイル対の両端間に前記回転磁界によって正味の起電力が誘導されないよう
に、それぞれの前記コイル対が平衡形に配置されている、磁気データ・タグのリ
ーダも提供される。
【0022】 更に、本発明は、呼掛け面に回転磁界を生成する薄く平坦なソレノイドとして
構成された送信コイルと、前記ソレノイドの薄い面付近に設けられ、前記回転磁
界と実質的に結合しない受信コイルの配置とを有し、多層の磁気データ・タグを
読み取る磁気タグのリーダをも提供する。
【0023】 本発明によれば、更に、回転する呼掛け磁界を用いて多層の磁気データ・タグ
への呼掛けをする方法であって、前記磁界を360度回転させる間毎に、前記タ
グのそれぞれの層に2つの応答を生じさせ、同じ層による2つの応答の間のギャ
ップの、それらの応答間の基準ギャップからの偏差を判断することを含みつつ、
前記応答を基準ギャップによって分離する方法が、提供される。
【0024】 又、本発明によれば、加えられる磁界に対してそれぞれが方向性の応答を示す
複数の磁気素子を有する磁気タグ上に記憶されたデータを読み取る方法であって
、それぞれの素子の方向性の応答の相対的な配向が、一方の方向にタグが読み取
られるときにデータを表すコード・シーケンスと、他方の方向にタグが読み取ら
れるときにデータを表す逆のコード・シーケンスとを定め、前記コード・シーケ
ンス及び前記逆のコード・シーケンスを処理して、同じデータの出力を生成する
過程を有する方法が、提供される。呼掛けボリューム内でのタグの配向が未知で
ある場合もあるので、いずれの方向で読み取られたコードからも同じデータ出力
を生成することにより、呼掛けボリューム内において、どちら側を上にしてタグ
を置くことをも許容されることになる。
【0025】 加えて、本発明によれば、加えられる磁界に対してそれぞれが方向性の応答を
示す複数の磁気素子を有する磁気データ・タグを読み取る装置であって、前記タ
グを読み取るための呼掛け磁界を生成する生成手段と、前記呼掛け磁界に対する
前記タグの応答を検出する検出手段と、呼掛け磁界が前記タグの面内にある配向
を判断する判断手段とを有する装置が、提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、例として、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】 図1に示すように、本発明に基づくシステムは、磁気データ・タグ1、呼掛け
ユニット2、及び電子処理装置(processing electronics)3を具備し、電子処
理装置3がケーブル4によって呼掛けユニット2と接続されている。図2は、主
要な構成要素と、以下の説明において発明者が使用する専門技術用語とを、表す
ために利用するものである。タグ1は、ラベル付け若しくはタグ付けがされた製
品5に取り付けられ、呼掛けボリューム(an interrogation volume)6内に配 置される。タグ1の構造は後述する。タグ1は、‘送信’(‘transmit’)コイ
ル・セット8により生成される磁界7によって呼び掛けられる。呼掛け(ないし
送信)磁界7に応答して、タグ1は、検出可能な磁界応答9を発生する。その磁
界応答9は、‘受信’(‘receive’)コイル10によって検出される。送信コ イル8と受信コイル10は、アンテナ11という集成部品(assembly)を形成し
ている。呼掛けボリューム6及びアンテナ11は、呼掛けユニット2を構成する
。生成された信号は3の電子的処理によって処理されると共に、前記タグ上に記
憶されたデータは出力12において得ることができる。前記ユニットは、電気的
入力13によって電力を供給される。
【0028】 <2−D開口レーダ> 図3は、‘2−D走査呼掛けシステム’(‘2-D scanned interrogation syst
em’についてのコンセプトを表している。このようなシステムは、呼掛けボリュ
ーム6内にあって、その配向(orientation)が実質的に一平面内にある一つの タグへの呼掛けをすることができる。このタイプのシステムは、簡易な形であり
、最初に呼掛けシステムの動作を説明するのに使用する。タグ1は、2組の‘送
信’コイル15及び16と17及び18とによって生成される磁界により、呼び
掛けられる。送信コイル15及び16の組は、符号19で示すHフィールドHy を生成する。この磁界は、読取開口部に亘って実質的に一様(uniform)となる 。ここで、‘一様’の用語は、空間的なボリュームの全域に亘って実質的に同一
の大きさと方向を有するベクトルの場を表現するものとして用いている。コイル
18及び19は、符号20で示す方向Hxにおける磁界を生成する。受信コイル 21及び22は、それらの磁軸がHy方向及びHx方向と一直線上になるように、
双方共それぞれ配置されている。ここで、磁軸は、その方向に沿って影響する磁
界のベクトルが最大の起電力−emfを生成するベクトルとして定義される。
【0029】 それぞれの受信コイル21、22は、径が異なる2つの短いソレノイド・コイ
ルを具備している。これらの2つのソレノイドは、図5に26及び27として示
されている。ここで説明している実施形態の例においては、コイル26は、直径
が119mm、長さが25mmであり、かつ、直径0.355mmのエナメル銅
線(ecw(enamelled copper wire))を60回巻きにしたもので構成されてい る。コイル27は、直径が86mm、長さが25mmであり、かつ、0.355
mmのecwを110回巻きにしたもので構成されている。これら2つのコイル
26及び27は、直列に接続され、結合された受信コイル22を構成している。
その受信コイル22は、ほぼ、1mHのインダクタンスと8オームの抵抗を有し
ている。コイル21も同様のものとなっているが、コイル21をコイル22内部
に固定しつつ、それらのコイルを同一の中心点に対して直交させることができる
ように、コイル21の直径は少し縮小されている。
【0030】 ここで、受信コイルの動作について説明する。コイル26及び27のコイル対
を含む受信コイル21は、送信磁界20に対面する箇所においてコイル26とコ
イル27とによって生成される起電力(emfs)が等量でかつ逆方向になるよ
うに、構成されている。このような配置(arrangement)は、‘平衡形’(‘bal
anced’)といわれ、この技術分野における経験のある者にとって自明ないくつ かの技術によって達せられるものである。その方法には、コイル間の巻数比、囲
まれたコイル領域における微小な歪み又は非常に小さい配向変化を変更すること
が含まれる。タグ又は他の何等かの磁気材料がコイル27の内側に置かれた時に
は、その透磁率(permeability)の特性により、磁界の磁力線がその材料と結合
することになる。その作用効果として、何の磁気材料もない場合よりも、コイル
27の内側を通る磁束がより多くなる。コイル21の出力起電力は、結合してい
る磁束の変化率に比例する。そして、交流磁界を使用する場合において、透磁率
を有する磁気材料がコイル27の内側に置かれた時に、正味出力電圧(net outp
ut voltage)がコイル26及び27の組から観測される。この機構は、公知技術
であって、かつ、磁気材料の特性についての特徴を表示するのに使用される計器
である磁力計で利用されている。本発明において利用する受信コイル21ないし
22の機構は、それらのコイルが、送信磁界を感知しない状態にある間に、タグ
材料内の透磁率の変化を検出するところである。受信コイル21は、その磁軸が
磁界19に対して直交しているので、‘平衡’(‘balance’)によって送信磁 界20に対して不感知状態になっている間においては、送信磁界19に対しても
また不感知状態になっている。
【0031】 送信コイルの動作について、図4と関連させつつ説明する。送信コイルは、2
つを一組にして配置されており、それぞれの組が直交する磁界を生成する。コイ
ル15及び16の組は、電気的に直列接続されている。この実施形態における例
では、コイル15は、1mmのecwを3層よりも多層巻きで90回巻きにした
ものによって構成されており、長さ30mmで直径150mmの短いソレノイド
となっている。15及び16のコイル対の結合インダクタンスは、3.3mHで
ある。コイル15とコイル16の組は、それらの磁軸に沿って110mm離隔さ
れている。コイルの開口は、‘丸くされた矩形’(‘rounded square’)である
。これは、第2の組のコイル17及び18を、同様に110mm離れた間隔をお
いて、他方の送信コイルの径の内側に設置することを許容する。重要な機構は、
タグの周りに生成される磁界19及び20が一様でありかつ直交することである
。それぞれのコイルの組によって生成される磁界は、約2.75kA/mである
。それぞれのコイルの組は、電流波形によって励振される。
【0032】 送信電流波形は、それぞれのコイルの組から次式のHフィールドを生成するよ
うに設定される。
【数1】
【0033】 結果として生成される場のベクトルは、平面23に垂直な一様な磁界24と、
毎秒ωラジアンの速度でのz軸周りの回転25である。本実施形態においては、
ωが約144Hzに設定されている(その磁界が、毎秒144回、360°‘回
転’する)ものとする。この周波数(振動数)の上限側の高さは、材料の磁気的
な状態が反転(flip)する速度によって設定される。下限側の限界は、所望のデ
ータ読取速度と、バルクハウゼン・ジャンプ(Barkhausen jumps)の増大された
レベル、及び遅い回転速度(例えば20Hz)での磁気材料内における切換点の
不安定度(switching point instability)とにより、設定される。
【0034】 図6は、送信コイル15及び16の一つの組についての2次元の磁界モデルか
らの出力を示している。それらのコイルは、それらの磁軸に沿って離隔距離28
だけ物理的に引き離されている。このモデルにおいては、軟磁性シールド(a so
ft magnetic shield)29が設けられている。このコイルの配置は‘ヘルムホル
ツ’配置と同様である。それらのコイルは、呼掛けボリュームの全体に亘るベク
トル24を含む‘一様な’磁界を生成する。
【0035】 <磁気素子の検出方法> 次に、単一素子のデータ・タグの処理動作について、図7及び図8を参照して
説明する。符号30で示すタグ素子(tag element)の材料は、PETプラスチ ック基板上に磁気材料の塗膜をスパッタリングされた薄膜である。ベルギー国の
IST of Zulte によって製造されて Atalante という商品名で流通している材料
(部品番号SPR97017A)が好適である。その材料は、23ミクロンのPET膜上 にスパッタリングされた0.9ミクロンの磁気材料を有している。一実施形態で
のタグ素子30は10mm平方である。その磁気材料のボリュームは、受信され
る信号のレベルに影響する。その磁気材料は、加えられる磁界の方向に対してそ
れを敏感にするという特性を有している。すなわち、図7に示すように、材料の
整列(alignment)方向31に直交する‘軸交叉’(‘cross-axis’)磁界24 が存在する場合において、軟磁気材料は飽和しない。この材料の特徴を図8と関
連させて説明する。整列方向31に沿ってHフィールドが加えられたとき、材料
の飽和保磁力(coercivity)が克服されるまで(約5A/mまで)は、材料磁化
(material magnetisation. その材料によって生成されるBフィールド)は存在
しない。点35において材料は磁化を生成し始め、これが点36に向けて急激に
増加していく。点35と点36の間の線の傾きは、そのタグの透磁率となる(整
列方向における材料透磁率は直流で50,000である。)。タグは、高い透磁
率を有していなければならない。点36を過ぎると、材料は十分に飽和し、加え
る磁界を点37に向けてさらに増大させても材料はそれ以上の磁化を生成しない
。参考のための、飽和を起こす印加Hフィールドは、約40A/mである(参考
として、地球の磁界は、約80A/mである。)。この材料は、優れた方向性を
有している。軸交叉の飽和磁界は、材料の整列方向31に直交する磁界が飽和を
起こすようになるはずの値として規定される。その値は、約3kA/mである。
加えられる交叉軸の磁界方向が例えば1°だけ回転していたとすると、それが材
料の整列方向31における成分を生成する。作用している磁界のレベルが3kA
/mの交叉軸飽和値の直下であれば、精確な軸交叉方向からずれた1°の誤整列
は、材料整列方向に沿った概略60分の1又は約50A/mの磁界を生じる結果
となる。この磁界のレベルは、材料を飽和させるのに充分である。このように、
タグの磁気素子が敏感な磁界の配向検出器になり得ることが分かる。
【0036】 既述とは別に、タグ素子の材料は、容易軸(easy-axis)31で表された方向 性を有している。容易軸は、材料が外部から加えられる磁界によって最も磁化さ
れやすい方向の軸として定義される。容易軸に直交して加えられる磁界は、その
容易軸の方向に沿った成分が正味ゼロであり、その結果、素子内に生じさせる磁
化Mはゼロとなる。交叉磁界(cross-field)の飽和点は、材料を飽和させるこ とになる容易軸に直交する磁界の大きさとして定義される。
【0037】 次に、呼掛けシステムと関連したタグ素子の読出動作について説明する。送信
磁界24を144Hzのレートで回転させる。1回転当たり2回、磁界24が材
料の整列方向ないし容易軸31に対して直交し、かつ、タグ素子の磁化が零交叉
点を有することになる。それ以外の時には、タグの材料は飽和したままとなる。
磁界24が材料整列方向31に垂直な方向を貫いて回転するので、タグ材料は点
33、34、35、36及び37を通る遷移をする。B−Hループ38の他の部
分は他の零交叉点によって完結される。材料の整列軸31に沿う成分に分解され
る印加送信磁界が点34から点36を通るので、受信コイルの組は、タグ素子内
の磁化の変化(率)を検出することになる。図9は、本システムの受信信号出力
を表したものである。軸39は受信機回路(図13に示した回路)からの測定電
圧を表し、軸40は時間を表す。線41は、送信コイルの励振電流の波形を表す
ものであって、送信磁界の360°の‘回転’の1回の完結分を示している。線
42は、送信磁界が材料整列方向31に直交する方向を通過したことに伴って受
信されたタグ素子からの‘ブリップ’(‘blip’)を表している。ここで、この
‘ブリップ’は、符号24の送信磁界ベクトルが更に180°回転してきた時に
、線43で示すように繰り返される。
【0038】 本システムによって達せられる‘分解能’(ブリップ幅(blip width))は、
タグ素子の材料(及び形)の関数になる。すなわち、材料の軸交叉飽和磁界が大
きいほど、及び、材料の透磁率が高いほど、より高い角度分解能が達成される。
他に考慮すべき事項としては、送信磁界の面に対するタグ素子の面の方向、直流
及び交流の漂遊磁界、並びにシステムの受信処理帯域幅がある。
【0039】 他の材料及び薄膜の磁気層(磁性層(magnetic layers))の製造方法につい ての詳細は、US-A-5083112に紹介されている。
【0040】 <多層素子磁気データ・タグ> 図10は、本発明に基づく多層素子データ・タグ(multi-element data tag)
の構造を表している。整列方向45を有する磁気膜材料44の矩形小片が特定の
角度で設置され、かつ、整列方向47を有する材料46の同様な小片の上に置か
れている。膜材料44は、例えば、上述した単一素子のタグに使われる物と同じ
物である。本発明の一実施形態の例においては、各ビット機会(each bit oppor
tunity)を表現するのに使用される角度変位が3.75°で一定となっている。
同様に、他の層の膜材料48及び49がタグに加えられ、異なる複数の整列方向
を有する交互重ね構造(sandwich)が造られている。図10に示したタグの例で
は、特定の整列方向において、いくらかの材料を有することによって‘1’のデ
ータが表されると共に、材料を全く有しないことによって‘0’のデータが表さ
れる。‘データ・コード’スペースの180°に亘って設けられる3.75°の
間隔は、48ビット分に相当する。データ容量は、理論的には、248−1ないし
2.4×1014コードである。
【0041】 実際には、データの密度は少なくなる。送信磁界と関係するタグの絶対的な回
転の配向(absolute rotational orientation)は制御できない(時計回りかそ れとも反時計回りかの方向のアンビギュイティ(曖昧さ(ambiguity))による2 の要因を別に伴う48の要因によってデータ容量は減少する。)。自動クロック
復元が可能になっているコード体系は、データ上の短期間の‘ジッタ’に対する
より多くの許容度を与える。1次的な誤差原因としては、製造される原材料(st
ock material)における材料整列方向の再現精度(reproducibility)、送信磁 界の一定の回転速度からのずれ(aberrations)、製造過程での層の整列の誤り (errors)、呼掛け磁界に対する外的要因による磁気干渉(magnetic interfere
nce)、及び、呼掛けフィールドの面に対するタグの‘傾き’(‘tilt’)があ る。図11は、10mm平方で厚さ0.5mmの原型のタグ(prototype tag) からの実際の測定を表している。このタグは、材料の層の接着結合(adhesive b
inding)に‘吹付貼付’(‘spray mount’)を利用し、かつ、材料方向を視覚 的に手動で整列(optical manual alignment)させて、作成したものである。又
、このタグにはトリミングをして円形部の輪郭を与えてある。コード体系は、材
料と共に上述したような1から9並びに16及び40のビット位置に表現される
。‘ブリップ’50は、磁気材料の1つの層を表しており、かつ、その素子は、
送信磁界が180°回転した後に、同様な応答51を生成している。そして再び
、その素子は、144分の1秒後の磁界の1回の全回転後に、52で同様な応答
を生成している。
【0042】 <受信機コイルの配置> 図12は、受信コイル21及び22によって生成される信号を示している。タ
グ素子の出力53及び54は、受信コイル21によって受信される。直交する受
信コイル22は、符号55で示された出力を生成する。これらのコイルは直交し
ており、従ってそれぞれのチャネルで受信される信号はコイルの‘方向感度’(
‘direction sensitivity’)振幅56a及び56bによって重み付けされる。 タグ・リーダの呼掛けシステムは、それら2つの受信チャネルを‘三角法的’(
‘trigonometrically’)に結合して一定振幅の信号を産出する。これは、送信 磁界と同じレートで物理的に回転し、かつ、送信磁界の瞬時方向に直交する敏感
な磁軸を有する、受信コイルの配置(コイル26及び27)を効果的に合成する
【0043】 <電子処理装置> 本実施形態で使用する受信回路について図13を参照して概説すると共に、送
信回路について図15を参照して概説する。図13において、平衡形受信コイル
26及び27は、増幅フィルタリング電子装置57と接続されており、符号58
の箇所に出力信号を生成する。この回路の特徴部分である57は、300Hz付
近のハイパスフィルタ(HPF)と20kHzのローパスフィルタ(LPF)で
ある。送信磁界が144Hzで回転するため、直流結合は必要ない。HPFの特
性は、望ましくない受信コイルの不平衡によって生じる送信機から受信機内への
残留ブレークスルー(residual break-through)を除去すると共に、送信機と受
信機の隔離状態をより確実に確保する。LPFの特性は、電子機器(アンプ)の
熱及び干渉している交流磁気源からの熱の双方を発生源とする高周波のノイズを
制限する。最適なパフォーマンスは、受信機コイルからの熱雑音に制限され、外
部の干渉から遮蔽され、かつ、送信機によって誘導されるタグ素子のインパルス
応答の特性とマッチングした受信機帯域幅を有する、受信機によって達せられる
。実際には、20kHzのLPFフィルタが効果的な折衷物となる。回路57に
よる受信機の利得はおよそ50倍である。この回路は、直交する受信コイルの組
毎に設けられる。
【0044】 双方の直交する受信方向について、受信機の増幅出力58にて測定された振幅
を図14に示す。ここでのタグは、22.5°間隔の8つの層を有する10mm
円形のキャリブレーション・タグである。図11に示したタグの応答は、ピーク
が約50mVであり、システムのノイズ出力実効値が7μVである。従って、原
型のシステム(prototype system)により、ほぼ65dBを超えるS/N比(si
gnal-to-noise ratio)が検出されたタグが得られている(参考までにいえば、 適度なデータ誤り率の通信チャネルにおいては通常15dBが要求される。)。
【0045】 本実施形態に関しては、上述した受信回路により、直径22mmのタグについ
て130mV、6mm平方のタグについて30mV、及び、2.5mm平方のタ
グについて2mVの受信信号が得られた。
【0046】 図15に送信励振配置(transmit drive arrangement)を示す。144Hzの
信号を発生する交流信号源59は、約90°の微分位相(differential phase)
を与えるように設計された2つの受動回路網により、分配され、かつ、フィルタ
リングされる。標準的な家庭用25W/チャネルのオーディオ・アンプ60は、
15及び16と17及び18の2つの直交する送信コイルの組のための励振作用
(drive)を供給する。並列接続された整合キャパシタ61が追加され、前記ア ンプによって必要とされる電流を低減している。励振電流は、適切な送信磁界レ
ベル(すなわち、その材料についての交叉磁界の飽和レベル未満)を実現するよ
うに設定されている。測定されたコイルの励振電圧は、ピーク・トゥ・ピークで
約35Vである。これは、およそ実効値4Aの送信電流を発生し、3kA/m近
い回転送信磁界の振幅を生じさせる。この磁界のレベルの上限は、データを符号
化する急勾配の磁化遷移の結果として生じる抑圧により、交叉軸方向において飽
和している、タグの材料によって決定される。これは、Atalante 膜については 、およそ4.5kA/mで生じる。前記レベルの下限は、前記遷移があまり急勾
配でなくなることに加えて、タグにおける他の層の磁化がより著しくなって狭い
角度のギャップを広げるような作用が現れることにより、生じてくる。
【0047】 受信信号のデータへの復号化は、データ処理によって実現される。本実施形態
の例では、無線予備部品(Radio Spares)から利用可能な‘ピコスコープ’(‘
PICOSCOPE’)により、得られた2つの受信チャネルの信号がディジタル化され る。更なるフィルタリング、データ・クロックの復元及びタグ・データの復号化
のための線形及び非線形の処理を実行する数学的計算機増補設計(MathCAD)に おいて、データ処理が成し遂げられる。そのプログラムは、IBM社のPC上で
実行される。これらの技術は、この技術分野においてよく知られている。
【0048】 コード体系とタグからのデータの復元とには、この分野で知られている技術を
利用することができる。発明者が提案したいくつかのアナロジーは、光学的バー
コードのデータの符号化を含んでいる。これらは、コードの‘反り’(‘warpin
g’)によって引き起こされる受信信号中の歪みを抑えるように規格されている 。データがアナログ量で表現されている場合、そのデータの容量は、情報理論(
シャノン(Shannon))によって制限されるようになり、かつ、S/N比と当然の ことながらシステムの角度分解能とによる関数になる。これらは、タグの構造及
びシステムの処理帯域幅に基づく関数である。
【0049】 <代替のタグのコード体系> 発明者は、符号法(coding system)の選択に影響を与えるいくつもの誤差発 生源を測定しかつ評価した。材料及びタグの製造は、実現される整列方向に小さ
な変化をもたらし、その結果として短期間の‘データ’ジッタを生じさせる。タ
グの面が呼掛けシステムにおいて傾いていると、その幾何学的な状態により、測
定されるタグ素子の位置に係る誤差が生じる。これは、簡単な幾何学的事項であ
り、例えば10°の傾きは結果としてピーク位置を1.5%変化させる。20°
の傾きは、‘ブリップ’角度位置における6°のピーク誤差を示す。ここで、そ
の誤差は、ゆっくり変化するものであり、かつ、送信磁界の回転速度の(空間的
な位置の)高調波となる。一つの可能性のある解決策は、タグ素子の間隔設定に
応じた幾何学的ないし他の増加していく数列(progressions)を用いることであ
る(その詳細は後述する。)。例えば、データの2つのビットは、3.75°、
5.5°、7.6°及び10.1°の間隔で離隔配置された素子によってコード
化することが可能である。180°全体に亘る‘データ・スペース’が利用可能
であれば、概算で20ブロックの符号化(40ビット分の符号化)ができる。直
流磁界は生じ得る空間的な高調波の誤差の更なる発生源であるが、システムがそ
れらに完全に耐え得ることは実証できている。
【0050】 図16は、2つの10進数字を符号化するために‘対数ギャップ’(‘logari
thmic-gap’)コードを用いて構成されたタグを示している。このタグは、薄膜 ‘Atalante’を材料とした直径10mmの4つの層62、63、64及び65か
ら構成されている。膜材料の各層は、PET層66及び活性磁気層67からなり
、活性磁気層67が磁気的な整列方向68を有している(ここにいう整列方向6
8は、この分野で‘容易軸’としても知られているものである。)。方向69は
、材料の整列方向68を水平面上に投影したものである。層63、64、65は
、材料の整列方向70、71、72を有している。層67は、層65との相対的
な関係において、符号73で示すように99°の配向で整列されている。他の層
は、17°と43°の角度になっている。各層と開始点として使用する層65と
の間の相対的な角度として定義される‘ギャップ’は、17°、26°及び56
°である。この磁気データ・タグは、180°の‘データ・スペース’を有して
おり、かつ、その符号74で示す81°のギャップを‘大ギャップ’(‘big ga
p’)という。‘大ギャップ’は、常に最大のギャップであり、かつ、データの 復号化をする対象として参照する層を決定するのに使用される準位(state)に ある。
【0051】 連続するギャップ間の増加分の増大は、タグの製造及び読取の時に発生が見込
まれる誤差の解析によって決定される。‘対数ギャップ’コードは、等差数列と
等比数列(arithmetic and geometric progression)の組合せであり、かつ、上
述した1次的なシステムの誤差に基づくものである。これらは、ギャップのサイ
ズに依存する異なる寄与を有する。小さなギャップについては、最も顕著な誤差
は、材料及び層の整列と、タグ内における励振磁界との他の層の磁気的な干渉と
に、関連する。これは、最小のギャップと、許容され得るギャップ間の最小の増
加分とを、設定する。より大きなギャップについては、1次的な誤差は、タグが
傾くことによって生じる幾何学的な誤差と、呼掛け磁界ベクトルの一定でない回
転の速度である。このうちの後者の影響は、リーダの送信励振器における公差に
より、タグが呼掛けボリュームの中央に置かれないときに生じる。それらの大き
なギャップの誤差はギャップのサイズに一次比例する。最後の制約は、利用可能
な180°のデータ・スペースに最長のタグが物理的に合致しなければならない
ことである。このようなことから、最も効率的なコード体系を実現するためには
、特に総角度が大きくなるコードは除外される。これは、データ容量のわずかな
減少のみを伴って極めて大きい角度が使用されることを許容する。これは、コー
ド体系における多くの細密さと複雑さの要因となる。より低いデータ容量のタグ
は、より大きく増加するギャップを有するものとすることができ、上述した誤差
に対してより好適な公差を備えたものとなる。
【0052】 図17は、図16に示したタグにおける‘ギャップ’の規定に使用される製造
データを示している。図示の基準ギャップにより、7つの異なる‘ギャップ’の
準位(桁)を使用する。又、この図には、製造公差(manufacturing tolerances
)と有効なデータ読取公差も示してある。準位6が‘大ギャップ’である。準位
0から5までは、それぞれ測定される‘ギャップ’に係るデータを規定する。図
18及び図19は、4つの層に関して100の予想されるコードにつき、要求さ
れる絶対的な材料整列方向を示したものである。図16で示したタグの例は‘7
7’である。その3つの‘ギャップ’の準位は‘2’、‘3’及び‘5’である
。この体系はまた、逆の‘ギャップ’シーケンス‘5’、‘3’、‘2’の77
への復号化も必要とする。そして、この機能は、タグを呼掛けボリューム内にど
ちら側を上にして置いてもよいようにしている。
【0053】 <タグの製造方法> データ・タグのデータの内容は製造において確定される。タグは、例えば半分
に切断されることによって下に分割された(sub-divided)ときに材料整列方向 が変化しないという特質を有しており、かつ、その2つのタグは、読み取ったと
きに同一のデータ・コードを有することになる。費用効率の高いタグの製造は必
要不可欠に要求される特質であり、図20は同一コードを有する多くのデータ・
タグを生産する一方法を表している。1m幅の間隔で周回して蜘蛛の巣状に連続
して製造された原材料の多くのシート75を25cm×25cmの矩形に切断す
る。それらのシートを接着接合(glue)し、配向方向に含まれる所望のコードが
与えられるようにする。それらの層は、12μmの薄さ指定の接合層に適用する
ローラ・アプリケータ(roller applicator)を用いて、英国エセックス州の接 着剤の技術サービス Purfleet 社より入手可能なタイプAD2222の液状の接
触接着剤を適用することにより、接着接合する。これは、乾式と、製図台及び精
密分度器(precision protractor)を使用して光学的に整列された層とに、許容
されている。積層されたシートは、適切なダイカッタを使用してより小さい個々
のタグ76に切断することができる。それらのタグを‘キャリブレーション’リ
ーダによって順次測定すると共に、確立されている公差に対して測定された機械
的な整列状態をチェックする。
【0054】 タグの形状は、円形、正方形、長方形、六角形、又は鋭角を含まない他の形状
とすることができる。形状を制限する要素は、‘形状の透磁率’(‘shape perm
eability’)であり、タグを構成する磁気素子は、その素子の形状によって異な
る振幅の応答を有するものであってもよい。上述の基本技術は、より大規模な製
造に適宜拡張することができる。
【0055】 或いは、注文に応じてカスタム・タグを製造することもできる。上述の技術は
、より小さい材料幅に適用して、特別な固有のタグを製造することができる。例
えば、要求されるコードと共にプログラムされた機械により、大きなスプール上
の幅1cmの材料を切断して要求される角度に設置することができる。その材料
整列方向は、それぞれの個々の層について測定することとし、整列の精度を向上
させるようにしてもよい。発明者は、‘Atalante’膜の熱圧力ボンディング(th
ermal pressure bonding)が可能であることを確認した。1cm平方のタグの層
は、270℃で約3N/cm2の力を適用することによって溶着(ないし溶接(w
eld))することが可能である。この温度によっては、磁気材料が悪影響を受け ることはない。
【0056】 <片面リーダの実施形態> 上述した本発明の2次元(2−D)開口の実施形態には、コイルに囲まれた呼
掛けボリューム内部にデータ・タグを置かなければならないという不利な点があ
る。以下に述べる実施形態は、エラーが検出されたときに読取タグのデータを表
示することを回避する、改良された走査及び処理の機能を取り入れたものである
【0057】 これから説明するリーダ14の更なる実施形態では、アンテナ11が十分に平
坦な構成となっており、かつ、そのアンテナの片側に呼掛けボリュームが存在す
る。傾いた(誤って整列された(mis-aligned))タグを検出する機能は、より 進んだ処理アルゴリズムと共に取り入れられ、データの誤った読取を検出し、か
つ、これを回避する。
【0058】 その片面リーダ(single-sided reader)のブロック図を図21に示す。アン テナ77は、ステレオ・オーディオのアンプ78により、可変利得段(variable
gain stages)79の制御の下での出力レベルで励振される。送信信号のタイミ
ングは、マイクロプロセッサ80によって生成され、ディジタル・タイミング回
路81によってバッファリングされて、アナログ・フィルタ82で130Hzの
交流電圧となる。位相回路網98及び99は、送信励振回路に直角位相の駆動波
形を供給する。アンテナ77は、2つの空間的配向の直交受信機出力を同一構成
の低雑音アンプ100へ供給する。それらの直交受信機出力は、低雑音アンプ1
00によって増幅され、かつ、フィルタリングされる。それぞれの受信チャネル
は、アナログ・ミキサ101において、直角スプリッタ(quadrature splitter )102、103により送信波形から導出されるサイン波形、コサイン波形によ
る重み付け信号を乗じられる。それら2つの受信機のチャネルは、符号104の
アナログ総和器及び微分回路において、加算され、かつ、微分される。各受信チ
ャネル用の重み付け関数の振幅は、図12において破線56a、56bで表した
ものである。結果として生じる微分前の信号は、一定振幅の‘ブリップ’を有す
る。ここでの微分は、‘ブリップ’のピークを零交叉に変換するために行われる
【0059】 そのアナログ信号は、1024個のサンプルで送信呼掛け磁界の1回転分を表
すものとして、ADC105により8ビットの分解能でディジタル化される。そ
れぞれのサンプルは、1回転中の約0.352°に対応する。そのディジタル信
号は、FIFO106でバッファリングされ、順次、8ビットの8051系統(
8051 family)のマイクロプロセッサ80によって処理される。タグの復号デー タは、LCDディスプレイ107上に表示されると共に、シリアル・データ・ポ
ート108を介して出力される。
【0060】 図22は、片面リーダのアンテナ77を構成する構成要素を表している。この
アンテナは、2つの受信機触角アンテナ(receiver antennae)と2つの直交す る送信触角アンテナ(transmit antennae)とを具備している。送信触角アンテ ナは、ミュー合金(mu-metal)のプレート111に巻かれた直交するコイル10
9及び110を具備している。そのミュー合金プレートは、70mm平方で厚さ
1mmである。別の実施形態としては、このミュー合金プレートの代わりに、厚
さ4mmのフェライトのプレートを用いることができる。前記コイル109及び
110は、それぞれ、図示のように直交させて巻いた総巻数220の0.5mm
のecwワイヤの3つの層からなっている。受信触角アンテナは、2つの同一構
成のプリント基板(PCB(printed circuit boards))112及び113を具備
しており、それらのPCB112、113は、それぞれ、送信に係る前記ミュー
合金/コイルの集成部品の一方側に装着されている。これらPCBの銅パターン
(copper patterns)を図23に示す。それぞれのPCBは、符号114及び1 15で示す両側面上の銅トラック・パターン(copper track patterns)を有する 両面使用のものとなっている。一方の面114上には、‘8の字型’(‘figure
of 8’)のループが設けられ、このループは、符号118で表した向き(sense
)に接続され、かつ、それぞれ直列に接続された25回の巻数(図示略)を有す
る、巻線116及び117を具備しており、4極(quadrapole)を形成している
。巻線116及び117のループは、符号119で示す方向の交流磁界によって
誘導される起電力を有するように接続されている。PCBの他方の面115は、
巻線120及び121を具備し、面114と同一構成であるが、そのパターンが
90°回転されている。これら2つの同一構成の受信PCB112及び113は
、共に接続されて、直交空間に対する感度を有する2つの同一構成の受信触角ア
ンテナを形成している。一方のPCB112上の面114にループ116及び1
17を備えた前記‘8の字型’の触角アンテナは、第2のPCB113上の同一
構成のループと接続されている。その接続の向き(senses)は、送信アンテナ1
09若しくは110のいずれかから発生された磁界が、それらの送信コイルのい
ずれかの側にあるコイルで構成されるその受信アンテナのチャネルにおいて正味
ゼロの電圧を誘導する、というような態様になっている。これは、物理的な対称
性によって実現される。受信アンテナの‘8の字型’コンフィギュレーション(
ループ116及び117)は、一様なHフィールドの(遠方磁界源からの)干渉
を排除する機能を備える。ループ116及び117は、直交方向における磁気ダ
イポールに対して不感知である一方で、基板上方の方向119における磁気ダイ
ポールに対しては敏感であることが分かる。ループ120及び121は、方向1
19における磁気ダイポールに対しては敏感でない。図3で記述したコイル配置
によって達成されるのと同様に、アンテナ77は、呼掛けボリューム6の全域に
亘って、要求される呼掛け磁界7を合成すると共に、タグ誘導(tag-induced) の磁界9に対する受信機の感度を備えたものとなっている。
【0061】 タグ1は、その磁気素子を前記PCB112の面によって定義されるアンテナ
の面に並行にして置かれる。活性状態となる読取ボリュームは、PCB112を
中心とし、かつ、PCB112ないし113のいずれかからほぼ1cmの距離を
延長した、直径約3cmの領域である。
【0062】 ADC105内へのアナログ信号を図24に示す。これは、7層(4桁)のデ
ータ・タグについてのものであり、送信磁界の回転の360°分を示している。
【0063】 アンテナ77には、サイド・プレートとしての役割を果たすPCBを備えた送
信コイル上に巻かれた120回巻の0.25mmの銅線を有する、第3の呼掛け
コイル122が取り入れられている。このコイルは、マイクロプロセッサの制御
の下に、標準的なモータ切替IC123によって電力を供給される。電流は、ど
ちらの方向にも流すことができ、オフすることもできる。その配置は、図25に
示すような‘円錐形走査’(‘conical scan’)の磁界ベクトルを発生するのに
使用される。z方向にコイル122が生成する一様な磁界は、円125を描く瞬
時磁界の呼掛けベクトル124を生じさせる。その‘円錐形’走査の呼掛け磁界
ベクトルは、後に説明するように決定される呼掛け(x−y)平面に対するタグ
の‘傾き’を許容する。一様なz軸方向の磁界は、永久磁石によって生成され得
る。但し、この磁界は、働かない状態にすることはできない。例えば、約70m
m平方の異方性の接着フェライト・シートで0.5mmの厚さがあれば、所望の
円錐形走査が行われることになる。前記コイル122は、0.3Aの電流を伝導
すると共に、z方向に500A/mの磁界を生成する。
【0064】 <片面リーダの処理アルゴリズム> 本発明のこの実施形態は、誤読取(false read)の確率を低減する、受信機信
号の処理におけるいくつもの機能を、取り入れている。それらを図26〜図31
と関連させつつ説明する。図26〜図31は、前記処理のアルゴリズムが記述さ
れているフローチャートである。これらの図は、配列インデックス(array indi
ces)が限界(bounds)の範囲内であることを確保するような、標準的で実用化 に向いた(good-practice)プログラミング技術の詳細までは示していない。こ れらは、前記アルゴリズムとして利用されたものの一般的な態様の実例である。
すべての配列(arrays)は、角カッコ(square brackets)[]を伴うエレメン ト(elements)によって示され、かつ、ゼロからインデックスされる。いくつか
の箇所においては、配列の内容を例示目的のためにテーブルで示す。エラー処理
については、そのものを直接明示的には示していない。エラーからの復帰とエラ
ーのリポートは、アルゴリズムが実行されるシステムの複雑多岐な関数となる。
【0065】 マイクロプロセッサの入力データは、図24に例示されている。それらのデー
タのサンプルは、それぞれ8ビットの大きさ(振幅)からなり、約0.352°
の間隔でサンプリングされたものとなっている。呼掛け磁界の回転毎に取得され
るサンプルは1024個ある。
【0066】 図26は最上位(top-level)の処理を示す。これは、バッファリングされた (FIFOの)データの受入システムからデータを読み出すリーダの連続的な処
理動作を示している。ユーザがプログラム可能なオプションはいくつもある。
【0067】 図27はデータの受入過程を示している。データの復号化過程は、そのデータ
受入FIFOからデータの利用が可能となるのでデータの値を取得しつつ、リア
ルタイムで実行することができる。片面リーダの実施形態においては、完結した
送信磁界の回転のそれぞれについて、1024点が得られる。非常に簡易な零交
叉の検出器を用いる。その検出器は、負の閾値を下回る信号、負−正の交叉(ne
gative-positive crossing)、及び正の閾値を上回る信号が連続している(in s
equence の)ところを探す。その連続が見つからなければ、受信された過渡信号
を無視する。零交叉の時間インデックス(time-index)は、サンプル間隔の端数
(fraction)に内挿補間されると共に、連続量の値が配列POSに格納される。
この配列(array)は、偶数のエレメントを含むものであることが予定される。 例えば、7層のタグについては、14のエントリがあることになる。
【0068】 図28は、原データの零交叉の時間インデックスを角度ギャップに変換するア
ルゴリズムを示している。それぞれの磁気層は呼掛け磁界の各回転間に約180
°で2つの零交叉信号を生じさせ、それらは共に処理される。それら2つの値の
平均値は、外部の磁界からの影響が低減された値になる。その違いは、外部磁界
のレベルに関する情報を与える。それらの数値は、(サンプル値/回転の数値に
基づいて)度(degrees)に変換され、かつ、配列GAP及びDEVにそれぞれ 格納される。
【0069】 図29〜31は、2桁、4桁及び10桁までのデータ・タグのための、3つの
異なる復号化アルゴリズムを示している。すべてのケースにおいて、処理におけ
る最初のステップでは、第1番目のエレメントが最大(‘大ギャップ’)となる
までGAP配列内のエレメントを反復循環する。コード体系によって規定される
ように、それが大ギャップの規準(criteria)に合致するかどうかを判断するチ
ェックを行う。
【0070】 それぞれのタグの値の復号化アルゴリズムでは、その後、すべての残りのギャ
ップを、テーブルに表されたそれらのギャップのサイズ用の許容値と比較する。
そのテーブルから適合するエレメントのインデックスは、基数6(base-6)(或
いは基数5)の桁を与える。2桁の体系においては、3つのギャップが3つの基
数6の桁を与え、それらは、(10進数で)0〜215の範囲に亘る一つの数値
に統合される。その可能な216のコードのうちのいくつかだけが許容され、そ
の数値が216エレメントの参照用テーブルをインデックスするのに使用される
。この参照用テーブルは、すべての有効な昇順(forward)及び降順(reverse)
の基数6のコードについての値を含むものとする。有効でない準位は、フラグを
伴うエラーを発生する。前記参照用テーブルは、図18及び図19のテーブルよ
り、連続する基数6の数値それぞれについて、コラム“基数6(Fwd)”及び“ 基数6(Rev)”をサーチすると共に、それを第1コラムの“タグNo”と相互 参照することによって、生成することとしてもよい。ここで、ある基数6の数値
が表に記載されていなければ、その数値は有効でないものとなる。
【0071】 4桁のアルゴリズムにおいては、第1の3つの基数6の桁が一つの数値(この
数値を「LH」という。)を与えると共に、第2の3つの基数6の桁がその順序
を逆転されて第2の数値(この数値を「RH」という。)を与える。タグが上側
を下にして読み取られた場合には、当然のことながらLHとRHとが逆になる。
RHとLHは、参照用テーブルを通じて変換される。ここで、参照用テーブルは
、216の使用され得る値を、それらが規定する角度の物理的な長さによってソ
ートするものである。このコード化では、RHが(値と角度の双方の項目におい
て)常にLHより小さいかLHと等しいものとして規定されるので、それらが必
要に応じて交換される。このことは、タグの上側を下にしているときであっても
そのタグの正しい値が復号化されることを意味する。小さい方の数値は、オフセ
ットの数値の配列をインデックスする。タグの値は、LHとRHとの間の差の数
値をそのオフセットに加算することによって生成される。
【0072】 10桁のアルゴリズムにおいては、3つの基数5の数値の組が、それぞれ2桁
の10進数を生成することに用いられる。それらは、共につなぎ合わされて最終
的な10進数のタグ・コードを形成する。タグ・コードにおける桁の数は、その
タグにおける素子の数に依存し、常に2と10の間の偶数になる。
【0073】 <誤読取の抑制技術> 前記リーダは、誤読取のパフォーマンスを改善するために利用される多くの特
有な機能を取り入れている。以下、それらについて説明する。
【0074】 タグの各層は、当該タグが水平でかつ正しく読み取られるときに、(名目的に
は)180°違いの2つのブリップを発生する。直流又は交流の外部干渉磁界は
、瞬時呼掛け磁界のベクトルを歪めると共に、それらのブリップを180°違い
ではないものとする。プロセッサは、ブリップの間隔をチェックし、かつ、4°
よりも大きい許容誤差外での読取動作を拒否する。ここで、‘タグが水平である
’ということは、呼掛け磁界ベクトルの回転軸に対してタグが常に直交している
ときの状態を指す。
【0075】 コイル122は、双方の送信コイルに直交していてかつ送信磁界の回転軸の方
向にある(直流)磁界を生成することができる。これは、円錐形走査をすること
に通じ、図25に表されたものとなる。非‘水平’のタグは、この直流磁界の成
分を受けやすく、かつ、その成分は、‘水平’からのタグの傾き角度が増大する
につれて増加する。その成分の影響により、検出されるギャップの間隔は変形さ
れる。プロセッサ80は各層からのブリップの間のギャップ間隔を確認し、かつ
、その期待される180°からの変化が4°を超える場合には、読取動作は拒否
される。
【0076】 前記プロセッサは、タグの傾き又は/及び外部磁界によって生じた‘180°
の層の誤差’(‘180° layer errors’)を区別する。その区別は、印加直流バ
イアス磁界の方向を変化させると共に、180°の層の誤差における変化を監視
することによって、行う。
【0077】 送信励振磁界のレベルは、プロセッサの制御の下で制御可能である。このこと
は、タグの読取距離と材料とが変わるのに従い、タグに対する最適な呼掛け磁界
を使用することを可能にする。低い励振磁界レベルと小さいギャップとによって
は、それぞれのタグの層の励磁ダイポールが、そのタグに対する呼掛け磁界の方
向を局所的に変え得る。その影響により、低い励振レベルでは、ギャップが離れ
る方に移動する。より大きな励振磁界レベルはその影響を補償するが、交叉磁界
の飽和レベルを超えるとタグは次第に機能しなくなる。
【0078】 前記プロセッサ80は、誤読取の表示が全くされないことを確保するための他
の処理機能を取り入れている。それらの機能は、検出されたピークの数がそのタ
グのコード体系に対して正しいこと、受信された振幅が正しいこと、及び、受信
された信号の‘形’(‘shape’)が正しいこと(例えば、最小点と最大点の間 の時間、及びゼロについて対称であること)を、チェックする。
【0079】 <プログラマブル・データ・タグ> 上述したデータ・タグは、読取専用であり、かつ、そのデータの内容が製造に
おいて確定されるものである。他に選び得るタグの実施形態では、プログラム可
能なデータ・タグ(プログラマブル・データ・タグ(programmable data tag)) を構成することを可能にする。上述した片面リーダは、後述する改変された処理
アルゴリズムを備えることにより、プログラマブルなタグを読み取ることが可能
である。
【0080】 図32はプログラマブル・データ・タグ126を示しており、これは Atalant
e 膜の3つの層127、128及び129並びに硬(hard)磁気層130を具備
し、これらの層がすべて接着接合されてタグ126が形成されている。層130
は15μmの厚さのニッケルで直径が10mmであり、これが約1000A/m
の残留磁束(remenance flux)を与えるものとなる。‘Atalante’膜の層127
は、材料の整列方向131を有する。層130における残留磁束の方向は、配向
方向空間の360°全体に亘って変化させることができる。データの‘プログラ
ミング’は、すぐ後に除去される規定された配向の大きな外部直流磁界を用い、
永久磁気材料130を磁化させることによって実現される。
【0081】 異なる磁気材料には異なるプログラミング磁界が必要となる。ニッケルの層に
は約3kA/mの磁界が必要である。低い飽和保磁力のフェライトの層(オーデ
ィオ・テープのようなもの)にあっては約25kA/m必要である。これら双方
の層は、その狭い側を横切って磁化された標準的な異方性の接着フェライト磁石
(75×50×20mm)を用い、タグに対して所望の配向で磁石をエッジ接触
させて置き(placing the magnet edge-on)、かつ、それをその同じ角度の配向
を保ちつつ引き離すことにより、簡単に磁化させることもできる。又、高い飽和
保磁力のバリウムフェライトを用いることとしてもよく、これを磁化させるには
200kA/mが必要であり、好都合なことに希土類磁石を利用して行うことが
できる。バリウムフェライトの利点は、それがより大きな磁化磁界を必要とする
ものではあるが、低い飽和保磁力のフェライトと違ってより消去し難くかつそれ
が等方性であることである。Vacuumschmelze からの Cro-Vac は、40μm以上
の厚さにおいてのみ使用可能であるので、より大きなタグ(例えば直径20mm
のもの)にとって好適である。
【0082】 タグの構造は、確かなプログラマブル機能を達成するための重要な論点である
。具体的には、硬磁気層の直径が軟(soft)磁気層の直径をほぼ20%だけ超え
る場合に、最良の結果が達せられる。必要とされる厚さは、同じ実磁界レベルを
実現するために、直径に比例する。例えば、直径10mmのタグに対しては、厚
さ40μmのポリマー接着された(polymer-bonded)フェライト層が好適である
。これは、一般に、標準的なオーディオ・テープの3つの層を利用して実現され
る。この場合、それらの層は、その材料が等方性ではないので、異なる角度で積
層される必要がある。
【0083】 図33は、材料整列方向131を有する単一の軟磁気層127につき、永久磁
気バイアス層130からの磁界(Bb)132と、符号133(Br)で表されて
いる回転呼掛け磁界24との間の、相互作用(interaction)を示している。そ の材料整列方向に直交する方向は符号134のFで表されている。硬磁気のプロ
グラマブルな方向のバイアス層とFとの間の角度は、符号135のθで表されて
いる。軟磁気層の磁化が反転(flips)する(すなわち、‘ブリップ’が検出さ れる)点における回転磁界とFとの間の角度は、符号136で示すδ1である。
【0084】 タグ127内の磁気素子に加えられる局所的な磁界は、呼掛け磁界24と永久
磁石により生成される磁界とのベクトルの和である。これは検出される‘ブリッ
プ’の配向を歪ませるので、一般的には、それぞれの層について(呼掛け磁界の
回転完結毎に)検出される2つの方向はもはや180°違いではなくなる。タグ
内のそれぞれの軟磁気層については、それぞれの軟磁気層が硬磁気材料のバイア
ス層に対する角度を異にしているので、180°からの偏差(deviation)が一 般に異なるものとなる。図34はその作用効果を表している。プログラマブルな
バイアス磁界無しでの‘ブリップ’137は、タグ126における3つの磁気素
子のうちの1つに当たる。プログラマブルな方向のバイアス磁界を加えると、そ
の‘ブリップ’は新たな位置138に移動する。この新たな位置138は、もと
の位置139から少し離れた位置となる。
【0085】 図33を参照すると、大きさBbの静的なバイアス磁界と、大きさBrの回転し
ている呼掛け磁界とが存在している。これら2つの磁界のベクトル和が材料整列
方向131に直交する時に、磁気素子の層127の磁化が‘ブリップ’を生成す
る。図33においては、その材料整列方向が符号Aで表してあり、合計された結
果の磁界がFに平行であるときに、‘ブリップ’が生成される。θは、前記バイ
アス磁界と材料整列方向(F)に直交する方向との間の角度であり、かつ、δ1 は、材料整列(F)に対する直角と放射状ベクトルの磁界Brの角との間の角度 である。これは実際には180°の上述した偏差の半分である。正弦定理を利用
すると、
【0086】
【数2】
【0087】 従って、
【数3】
【0088】 1つの磁気データ・タグは、材料の層を少なくとも2つ有する。1番目の層に
対する角度がφである2番目の層について同じ解析手法を適用すると、
【数4】 が得られる。
【0089】 整理し直してθについて解くと
【数5】 となる。
【0090】 ここで、δ1とδ2が小さければ、数5は、
【数6】 と近似することができる。
【0091】 タグが‘ブリップ’を生成するところでの180°からの偏差(2δ)を測定
することにより、(測定された)角度隔離がφであるタグの2つの素子(127
及び128)については、固定された1つのデータ(例えば1番目の素子)との
相対的なバイアス磁界の角度を決定することもできる。180°のアンビギュイ
ティはこの角度に関連付けられる。但し、180°全域を有効範囲として確保す
るためには、δ1<δ2の時に上の解析における素子(127及び128)を交換
する必要がある。
【0092】 図35は、プログラマブル・データ・タグのデコードをするために、前記片面
リーダの実施形態において実行する復号化アルゴリズムについてのフローチャー
トであり、かつ、プログラマブルな磁気層の配向から特殊な10進数の桁をデコ
ードし得る方法を示している。
【0093】 磁気的な硬層(magnetic hard layer)の方向についての前記1つのデータは 、タグ上のいずれか2つの素子間の最大角度φl(前記‘大ギャップ’)の中間 点にとられる。この実施形態では、解析用に使用するそれら2つのタグ素子をそ
の‘大ギャップ’を定義する素子とする。2桁のタグのための現存する基本的な
コード体系においては、タグのどちら(先端又は後端)が上になっているかを判
断することができないため、更なる90°のアンビギュイティを導入する。特殊
なプログラマブルな10進数の桁(0〜9)は、その90°を幅9°の10個の
ビンに細分することによって符号化される。
【0094】 上述した実施の形態は、8ビット組込プロセッサ(8 bit embedded processor
)上での整数算術において実行することが可能な簡易な解析手法を示している。
より複雑な解析手法では、可能性のある素子間の角度の組合せをすべて考慮する
と共に、適切に重み付けされた平均値をとってθを決定することになる。これは
、すっきりした解決策ではないが、その一方で簡易な組込プロセッサにとって好
適なものともなり得る。
【0095】 ‘大ギャップ’について対称であるコードが許される基本的なコード体系を少
し変更すると、180°の全範囲を可能な角度として取り戻せる。これは、コー
ドの数を2倍にするか、或いは、同数のコードに対してより広い(18°の)ビ
ンを許容する。
【0096】 より能力のあるプロセッサであれば、より複雑な解析手法を実行することが可
能である。実行するのに最も適切な解析手法は、最小化プロセスを利用してバイ
アス磁界Bbの2次元(2D)のベクトルを決定するものである。それぞれの軟 磁気素子については、磁化が反転するところで回転ベクトルBrの値が2つある 。Brのそれぞれの値の上にBbが加えられる時は、合成される2つのベクトルが
互いに対してちょうど180°になるはずである。i番目の素子についての18
0°からの偏差をαiとし、かつ、N個のタグ素子があるとすれば、Brの値が最
良となるのは、
【数7】 が最小になるときである。ベクトルBbの成分を決定するには、パウエル法(Pow
ell's method)のような標準的な多変量(multi-variate)の最小化アルゴリズ ムを用いることとしてもよい(ケンブリッジ大学出版部,Section 10.5 の Nume
rical Recipes in C 2nd edition 参照)。
【0097】 プログラマブル・タグの構成に対する変更が可能である。図36は、プログラ
マブル・タグの更なる可能な実施の形態を例示している。4つの同一構成の軟磁
気素子140が硬磁気の層141上に配置されている。磁気素子140は、20
mmの長さの、ドイツ国の Vacuumschmelze から入手可能な Vitrovac 6025 の 材料である。これは、厚さ25μmで、かつ、幅0.75mmの磁気素子である
。これらの素子140は、タグのコード体系により定義される規定配向で横たわ
るように配列されている(図19において、タグのコード77が例示され、かつ
、その角度が示されている。)。層141は、ドイツ国の Vacuumschmelze から
入手可能な厚さ45μmの Cro-Vac の直径23mmの硬磁気層を具備している 。他の選択し得る磁気素子の材料又は物理的な配置を利用したタグについての更
なる実施の形態としては、US-A-5,083,112において規定されている磁気素子を用
いることが含まれる。
【0098】 <3−Dリーダの実施形態> 上述したリーダの実施形態は、1つの平面(x−y)に平行に置かれたタグを
読み取ることができるものである。以下においては、3次元(3−D)リーダの
実施形態について、呼掛けボリューム内でランダムに配向したタグを読み取るこ
とを可能とすることを説明する。この実施形態は、第3の直交送信コイルと第3
の直交受信機コイルとを追加し、上述した2−D開口のリーダより進歩したもの
である。その送信呼掛け磁界のベクトルは、基準軸の周りを回転する。この軸は
、利用可能な配向空間全体に亘って走査される。受信信号を処理して送信呼掛け
磁界がタグの面に最も近づいたところの配向を見出すと共に、記録された‘ブリ
ップ’をデータに復号化する。
【0099】 以下の本実施形態で使用するコイルについての説明では、最初に受信コイルの
コンフィギュレーションを述べ、それから送信コイルのコンフィギュレーション
を述べることにする。
【0100】 図37及び図38は、受信機コイルの配置を表している。これらの受信機コイ
ルは、直径200mmで長さ400mmの円柱状の巻枠(cylindrical former)
142上に構成されている。図37は、呼掛け領域の内部でタグの磁気素子と結
合するのに使用される、直交するコイルの3つの組を例示している。y方向14
3については、受信機コイルの組が4つのコイル144、145、146及び1
47を具備している。内側のコイル145及び146は巻枠142上にあり、か
つ、それらは、寸法148で表してあるようにx方向に沿って120mm延びて
いる。双方の内側コイルは、0.4mmのecwを100回巻にしたもので構成
されている。外側のコイル144及び147は、0.4mmのecwを58回巻
にしたもので構成され、かつ、直径260mmの第2の同軸(co-axial)巻枠(
図示略)上に巻かれている。それらのコイルは、x方向に沿って156mm延び
ている。これら4つのコイルは、図示の電気的方向で直列に接続され、かつ、一
様な磁界に対する感度がゼロであることを確保する小型の機械的な再整列によっ
て‘平衡’している。図示のような第2の受信機コイルの組は、z方向149に
磁界を発生されたタグに対して敏感である。このコイルの組は、図示のように9
0°回転されたコイル144、145、146及び147と同一構成である。第
3のコイルの組は、x方向150に磁界を発生されたタグに対して敏感であり、
2つのソレノイドコイル151及び152を具備している。内側のコイル151
は、巻枠142上に巻かれた100回巻の0.4mmのecwで構成されており
、長さが120mmとなっている。外側のコイル152は、第2の直径260m
mの同軸巻枠上に巻かれた58回巻の0.4mmのecwで構成されており、長
さが156mmとなっている。図38は、内側の巻枠142上及び外側の巻枠1
53上に巻かれたすべてのコイルを表している。
【0101】 図39は、3つの直交する送信コイルのコンフィギュレーションを表している
。これらのコイルは、長さが370mmで直径が300mmの円柱状の巻枠15
4上に巻かれている。y方向における一様な磁界155は、4つのコイル156
、157、158及び159によって生成される。コイル156及び158は、
コイル15及び16と同様の‘変形ヘルムホルツ’(‘modified Helmholz’) 配置を有する。コイル157及び159は、コイル157及び159からのオフ
セット25°の磁軸を有する第2の変形‘ヘルムホルツ’配置を有する。これら
2つの‘変形ヘルムホルツ’コイルの組は、y方向155の両側に12.5°の
磁軸を有する。コイル156は、50回巻の1.4mmのecwを具備し、かつ
、前記巻枠に沿って370mmの長さに亘っている。巻枠154の開口端をまた
がってコイル156がつながっている箇所において、そのコイルは、570mm
の総コイル開口幅を有する円形状の半分が平坦になっている。ソレノイド(x方
向)に沿って横たわるコイル156の2つの縁部は、巻枠の軸の中心に対して1
20°の角度を張る。コイル157、158及び159は、サイズ及び形状にお
いて同一構成である。それらの巻枠154周りの配向は上述した通りである。こ
れら4つのコイルは、図示の方向で直列に接続されている。第2の送信コイルの
組は、z方向160に一様な磁界を生成する。この組は、図示のように直交方向
に配向した4つの同一構成のコイルを備える。最後の送信機コイルは、1つの長
いソレノイドコイル162からなる。このソレノイドコイル162は、そのコイ
ル巻枠136上に1.4mmのecwを260回巻にしたもので構成されている
。これは、x方向162に一様な磁界を生成する。
【0102】 図40は、3つの直交方向に一様な磁界を生成する9つのコイルからなる送信
コイル配置を示している。図41は、3−Dリーダのアンテナの実施形態を例示
している。巻枠154上の送信コイルは、受信機コイルの巻管(tube)142と
同軸状に位置している。呼掛けボリューム6は、更なる190mmのID同軸管
(ID co-axial tube,図示は省略)によって定義される。このID同軸管は、ア
ンテナ内で可能なタグの位置決めに関する機械的な制約を定めるのに利用される
。最高感度の長手方向領域は、10cmの長さよりは短く、かつ、各タグは、前
記リーダの管の軸に沿って10cmないしそれ以上離隔されているときに、正確
に読み取られ得る。
【0103】 図42は、この3−Dリーダの実施形態に係るブロック図を表している。Meil
haus ME3000 PCI-bus のデータ受入カード163は、多重チャネル16ビット分
解能(multi-channel 16 bit resolution)のADC/DAC機能を備える。こ のカードは、Windows 95 を起動する工業標準のIBMコンパチブルPC(indus
try standard IBM compatible PC)164内に搭載されている。ソフトウェア制
御の下でのADC/DACカード163は、3つの送信励起電圧(transmit exc
itation voltages)を生成する。これらは、3つの1kW単一チャネル・オーデ
ィオ・アンプ165によって増幅されると共に、図示のように共振キャパシタを
備える3つの直交送信コイルを励振する。必要とされる励振電流は、必要とされ
る2.5kA/mの呼掛け磁界を生成する実効値3Aである。この送信機電流は
、電流感知レジスタ166によって監視されると共に、100kHzのサンプル
・レートでディジタル化される。各受信コイルによってタグから検出される各信
号は、図13に示したものと同様な各受信回路167によって増幅される。受信
された信号は、アナログ乗算器168において信号重み付け関数を乗じられる。
3つの受信機チャネルは、アナログ加算器169にて結合及び微分され、かつ、
ADCカード163により100kHzのレートでディジタル化される。
【0104】 図43は、ADCによって測定された3つの送信電流波形170、171及び
172を示している。又、この図には、7層4桁のタグにつき、検出されたタグ
の応答173も示してある。ここでの時間分解能では、すべての‘ブリップ’を
図43中で解明することまではできない。送信呼掛け磁界は、時間174で1回
の回転を完結する。呼掛け磁界の‘走査’(‘scan’)がタグの面に近づくと、
実際には14の‘ブリップ’が現れている。
【0105】 次に、信号の処理について、図45、図46、図47、図48及び図49に記
載された処理アルゴリズムのフローチャートの記述を参照しつつ説明する。
【0106】 タグの配向(面)が未知である場合には、走査がタグの面近くに至るまで、異
なる配向での多くの呼掛け走査が実行され得る。1回の走査とは、一平面内での
送信磁界ベクトルの回転が1回完結したものとして定義される。上述した2D復
号化アルゴリズムは、その後で、検出された信号に適用してタグのデータの値を
判断することができるものである。加算器169のアナログ信号出力は、走査面
がタグの面に合致した時に、図24に示した2D走査の信号と同様のものとなる
【0107】 この実施形態では、継続的な走査を利用する。この走査は、基準となる130
Hzの回転磁界を基礎とし、その回転磁界の法線ベクトル(normal vector)を 、半球体表面上を覆う螺旋を一定の角速度で描き上げるように、配置していくも
のである(以下「螺旋走査」(spiral scan)という。)。個々の7.7msの ‘走査周期’を超える。この個々の‘走査周期’は、単一平面内の走査と同様で
ある。‘送信される’Bの呼掛け磁界の各成分を表す式は次のようになる。
【0108】
【数8】
【0109】 上の式において、tは時間であり、ωは140Hz走査の角周波数であり、φ
=(定数)*θであり、かつ、θ=cos-1(1-t/T)である。Tは1回の呼掛けを 完結するための総時間である。
【0110】 図43は、3つの直交する磁界の成分170、171及び172と、図24に
おいて走査された同一のタグ上の半分の半球に亘る螺旋走査から得られた合成タ
グ信号173とを、示している。多くの分離しているピークがあることは明らか
であるが、この図においては、それらのピークのすべてまでは明確には分別され
ていない。
【0111】 図45は、3Dリーダの実施形態のための信号処理の好ましい実施形態の最上
位処理の図を示している。そのアルゴリズムは、概して片面リーダのアルゴリズ
ムと同様であるが、タグの磁気素子間の‘ギャップ’を判断できる点に到達する
のにより多くのステップを必要とする。その点より、図29、図30及び図31
におけるタグ−デコーディングのアルゴリズムが利用される。
【0112】 本実施形態におけるすべてのデコード体系での第1番目のステップでは、‘ブ
リップ’の時間インデックスを正確に判断する。これは図46に示してある。理
想的なケースにおいては、すべての‘ブリップ’が同一のサイズかつ同一の形状
となる。それぞれの‘ブリップ’の中央における零交叉点は、印加磁界が磁気素
子の材料整列方向に沿った正味の成分を全く有していない所の点である。その時
間は、検出アルゴリズムで判断しなければならない。
【0113】 零交叉点を見つけるためには、ディジタル化された信号に対し、図44に示す
ような矩形関数とのコンボルーション演算を行う。このコンボルーションの参照
信号は、t=0について正と負の感度(sensitivity)が等しい対称なものとな っており、かつ、全体の幅が約80μsとなっている。図46においては、その
コンボルーションのアルゴリズムの結果が配列 CONV[i] になる。
【0114】 原波形における‘ブリップ’の零交叉点は、コンボルーション演算された波形
から一定の閾値を超えるピークを探索することによって抽出される。そのピーク
の位置は、もとの零交叉データを時間ゲート(time gate)するのに利用するこ とができ、もとのサンプリングされたデータから精確な零交叉時間を補間するこ
とを可能にする。或いは、コンボルーション演算で得られたデータのピークの周
りについて2次補間を用いることによって、より精確な時間を抽出することとし
てもよい(図46の流れ図にはこのような演算が例示してある。)。このように
して補間された位置は、配列INTERP[]に保存することにする。
【0115】 復号化プロセスにおける第2番目のステップでは、レジスタ166によってサ
ンプリングされた信号から‘ブリップ’が検出されるすべての点における呼掛け
磁界ベクトルを計算する。図47は、このための流れ図を示している。これは、
INTERPの時間インデックスに対応するベクトルB[]の配列を与える。タグ
の面において移動する呼掛け磁界ベクトルから検出される‘ブリップ’はわずか
か或いは全くないが、それぞれの‘ブリップ’の検出角度は、タグの配向面検出
アルゴリズムによって生成される推定法線ベクトルを用いてタグの面上へ投影さ
れる。
【0116】 タグの配向面検出アルゴリズムは、その面についての初期値から開始される。
その値は、多くの走査を経て発見される最大振幅の‘ブリップ’を検出すること
から得る。その最大の‘ブリップ’は、呼掛け磁界ベクトルがタグのすべての磁
気素子に対して同時に直交する時に生じる。これは、図42では点175におい
て見ることができる。図47においては、この初期値をベクトルNORMで表示
して表してある。
【0117】 前記法線ベクトルが正しい場合には、与えられたタグの素子についてのすべて
の‘ブリップ’は同一ライン上に投影される。法線ベクトルが正しくない場合に
は、投影される‘ブリップ’は一列に整列しないことになる。そのタグの法線ベ
クトルは、標準的な数学上の最小化ルーチン(パウエルの方法)を利用して求め
る。検出される‘ブリップ’の配向は、その応答を生じたタグ内の特定の磁気素
子と関連している。‘ブリップ’の測定された配向は、法線推定を利用してタグ
面上へ投影される。タグのそれぞれの素子について、検出される投影位置の分散
(variances of detected projected positions)の和を最小化する(すなわち 、それぞれの素子について、タグ面上に投影される位置を可能な限り近づけて一
列に整列させる。)。これを具現化したものを図49に示す。これによれば、タ
グ面の配向の正確な推定が結果として得られる。
【0118】 上述したアルゴリズムの一部分では、どの‘ブリップ’が同一のタグ素子に対
応するものであるかを判断する。上述した螺旋走査の波形を使うと、走査に対す
る法線がタグの法線から約30°の範囲内にあるときに、それぞれのタグ素子が
明瞭な‘ブリップ’を生じる。このアルゴリズムでは、タグのタイプに応じた正
確な数の素子を包含する完結した走査(360°磁界回転の走査)を探し出す(
従って、n層のタグにあっては、1‘走査’中に2n個の‘ブリップ’があるこ
とになる。)。これらは、7層のタグを示す図24の信号と同様に見えるものと
なる。連続的な走査と見なされるところでは、それらは‘鎖状につながっている
’(‘concatenated’)。各360°の‘走査’が継続的な時間に亘って連続す
ると、そのときの0、n番目、2n番目、3n番目等の‘ブリップ’は、すべて
同一の素子に対応する。同様に、1、n+1、2n+1番目の‘ブリップ’はそ
の次の素子に対応するものとなり、以下の‘ブリップ’についても同様となる。
図48は、このアルゴリズムを具現化したものである。INTERPの値の配列
は、それぞれのエントリについて、後に続く値のいくつが半回転のもの(n/2
のサンプル)に該当するかを調べる解析に供される。それらは、新たな配列CO
UNTに格納される。その後、COUNT自体が解析されて、2つの連続するN
/2サンプルの‘セクション’が同じCOUNTの値を有するための最大値が求
められる。このアルゴリズムは、その値がタグのタイプに応じた正しい‘ブリッ
プ’の数である(すなわち、層の数に等しい)ことを保証する。最後に、かかる
すべてのセクションは、そのセクションの開始(START)と終了(END)
を格納する配列内にテーブル化される。それらの配列は、(最大n(Max n)の) エントリを有し、かつ、それらの値は、測定された呼掛け磁界Bのベクトルの配
列をインデックスするのに使用される。
【0119】 呼び掛けられたタグに応じて有している正しい数の‘ブリップ’が検出された
それぞれのセクションについて、投影される‘ブリップ’位置の分散を合計する
。それらの合計は、それぞれのセクションの長さによって重み付けされて加算総
計される(図48では配列Wで示してある。)。これは、最小化アルゴリズムで
最小化を試みる総計である。図49においては、VAR が法線ベクトルの方向角度
である THETA と PHI の関数として計算され、かつ、パウエルの方法を利用して
最小化される。
【0120】 一度タグの配向が決定されると、タグの面に最も近い走査のセクションが計算
され、かつ、そのセクションからタグ面上へ‘ブリップ’位置が投影される。そ
の後、タグ素子(ギャップ)間の相対的な角度が解明されると共に、図29、図
30及び図31に記述されたアルゴリズムを用いてタグの値が判断される。図5
0は、このためのアルゴリズムの詳細を示したものである。図49において識別
されたそれぞれのセクションについて、連続するBベクトルを互いにクロス演算
すること(crossing together)によって走査に対する局所的な法線ベクトルを 計算し、CROSSを形成する。これと法線との間の角度Cは理想的にはゼロに
なるはずのものであるので、それぞれのセクション内のすべてのデータを解析し
て、連続するどのBベクトル(行内のNGAPS)がその角度の最も小さい平均
値を生じさせるかを調べる。これは、タグ面に最も近い走査のセクションに対応
する。この走査に対応する投影された角度は、GAPの配列の値として保存され
る。これは、図29、図30及び図31に記載された標準的なタグの復号化アル
ゴリズムに通用し得るものである。
【0121】 法線ベクトルの決定と後続の素子間の角度ギャップの計算において問題を生じ
させる状況を処理するよい技能を備えることは重要である。上記アルゴリズムは
、すべてのタグ素子が独立であるという簡単なモデルを想定している。実際には
、呼掛けを行っている磁界にそれぞれの素子からの磁界が加算されるので、もは
やタグにおける磁界を正確に知ることはできない。その影響は、タグの面におい
て呼掛けを行っている磁界の大きさが小さい時−例えば、走査がタグの面から相
当離れている時に、最も顕著になる。このことは、投影される磁界ベクトルの簡
単な幾何学的モデルに誤りを生じさせる。
【0122】 一つの採り得る次善策は、タグ面から相当離れた走査で得られたデータを捨て
ることである(これは、どうしてもしばしばオーバーラップする信号を有する。
)。図48では、これが法線ベクトルについてのデータを選別(screen)する初
期の推測を利用することによって達せられる。第2番目に推論から帰結されるこ
と(consequence)は、たとえ完璧なS/N比と理想的に一様な送信磁界をもっ てしても、最小化プロセスにおいて計算される分散が決して消えないことである
。その残存値は、一般にこの非理想的なタグの振る舞いの結果として生じるもの
である。第3番目に推論から帰結されることは、タグの法線ベクトルに数度分の
誤りがあり得ることである。これは、(おそらく2、3度の)小さな角度が隣接
していないブリップからタグ面上へBベクトルを投影することによって計算され
る状況を除き、通常は顕著なものとはならない。このことは、(図50には示さ
れていないが)大ギャップのすぐ後に続いて開始するようになっている図50に
おけるセクションの選択により、容易に回避される。
【0123】 <更なる詳細事項> 本発明は、リーダ装置によって続けて読み取られる品目に取り付けられる低コ
ストなラベルを使用可能にするシステムに係る。そのラベルないしタグは、磁気
的な膜の材料から構成され、その材料は、より小さなサイズに細分化された場合
でも失わずに保持し続ける方向性を持っている。そのサイズは、その材料の特性
と、その材料の形と、所望の配向の測定精度とによって決定される。‘Atalante
’の膜材料は、直径がほぼ2.5mmのタグで機能する。磁気材料のより薄い被
覆によれば、より小さいタグが生産されることになり、かつ、磁気材料の特性の
改良は、透磁率及び交叉磁界の飽和レベルを改良し得る。同様にして、他の選択
し得る材料によって、より低い作用磁界レベルでタグが機能し得るようにしても
よい。データの内容は、タグを構成している磁気素子間の相対的な配向角度によ
って規定される。データを符号化するのに採り得る他の方法としては、例えば振
幅の情報によるものが可能である。検出される振幅は、磁気的材料の特性、作用
磁界レベル、呼掛け磁界の回転速度及び材料のボリュームの、関数となる。
【0124】 IST から入手可能な材料は、中央の70cm幅に亘る製造されたロールに沿っ
た磁気的な整列方向に、優れた一様性を有する。その方向は、製造工程における
磁界パターンによって規定される。1つの1μmのスパッタリング被覆層(sput
ter coat layer)内に2つの材料整列方向を持つ材料がロールのエッジにおいて
観測され、このことは、より少ない原材料の層からタグを製造する好適な条件を
与える。複数の磁気的配向軸を持つ1つの磁気層を備えるタグは、実施可能な形
態の例である。
【0125】 データは、タグ上の磁気素子の相対的な方向の配向によって符号化される。そ
れらの素子は、方向の材料特性によって検出されかつ区別される。方向性のある
磁気素子の形態で他に利用可能なものとしては、Unitika、Allied 若しくは Vac
uumschmelze から入手可能な長く薄い非晶質ワイヤ(amorphous wires)ないし スピン融解合金(spin melt alloys)が含まれる。
【0126】 磁気素子の存在は、その素子によって生成される磁束の変化率により検出され
る。その磁束の変化は、回転する一様な磁界が存在する中で、その素子の状態が
正と負の飽和(及び逆の飽和(and visa-versa))の間で切り替わることから発
生する。この技術で他に利用可能な検出の方法には、高調波検出(harmonic det
ection)がある。回転する呼掛け磁界のベクトルに対して数kHzの第2の交流
周波数を適用する。これによって追加される交流磁界は、回転磁界ベクトルが実
質的に材料整列方向と直交する時に、タグの磁化を加えられているHフィールド
で変調させる。その磁気的材料は非常に非線形であり、そして高調波が生成され
る。これらは受信機コイルによって検出することができる。
【0127】 上記リーダ装置は、実質的に一様な回転磁界を呼掛け領域内に生成する。この
呼掛け領域は、主として、受信機コイルの感度、物理的な壁、又は処理アルゴリ
ズムにおける装置により、定義される。その磁界は、送信磁界ベクトルに対して
直交する方向と関連して測定される、呼掛けボリューム内部の1つ又は2つ以上
の磁気素子の配向を決定することができる。呼掛け磁界は、一定速度かつ一定振
幅で回転しているものと見なされ、かつ、上述した実施形態においては、このこ
とが、正弦波信号により励振される一様な磁界を発生する直交コイルによって、
確保されている。非一様な磁界発生の影響は、送信ベクトルが回転する振幅と速
度の双方における歪みとなり、これは、磁気素子の配向の決定における誤差を生
じさせる。コード体系は実践的な測定による誤差を見積もって設計され、それら
の誤差は一般的に1°より小さいものとされる。相対的な配向の誤差が重要なこ
とから、‘ギャップ’のコード体系は誤差の許容範囲を改良する。呼掛けの回転
磁界ベクトルにおいて見られる誤差は、高調波の誤差として解析することとして
もよい。第1番目の誤差は、直交磁界の生成手段の間における振幅の変動と、空
間中に亘って磁界が変化することによる直交からの偏差とにより、引き起こされ
る。直流磁気の外部干渉もまた瞬時磁界ベクトルを歪める。多素子(multi-elem
ent)のタグは、そのタグ上の実送信磁界ベクトルの測定点をいくつか与える。 コード体系は決定論的なもの(deterministic)であり、かつ、特定の配向の特 徴をタグ上に組み込むことができる。利用可能な測定データを用いることで、第
1番目の送信磁界誤差を補正することができる。
【0128】 他に選択し得るコイルの配置は、所望の回転する送信磁界ベクトルを再生成す
ることが可能なものである。例えば、120°間隔で設置された3つの変形され
た‘ヘルムホルツ’コイルの対を備えた3相コイル配置(a three-phase coil a
rrangement)は、回転する磁界ベクトルを生成するものとなる。これは、モータ
のシステムでよく知られている多相(multi-phase)の配置に拡張してもよい。 磁気的な遮蔽体(screen)を伴う2つのコイルについて磁界モデルを示したのは
図6である。この遮蔽体は、集成部品の周りに包まれた厚さ2mmの薄い変成器
スチール(transformer steel)から構成されている。コイルの幾何学的配置は 、一様な磁界を生成するように最適化されている。この技術分野では、実質的に
一様な磁界を生成する他のコイル配置が知られている。又、アナログ処理かディ
ジタル処理を利用し、コイルの組合せから電子的に一様な磁界を合成することも
可能である。
【0129】 回転する磁界は、物理的に永久磁石を回転させることによって生成することが
できる。図51は、その一実施形態を示している。永久磁石176は、一定の角
速度177で回転する。直交する‘8の字型’の受信機コイル178は、タグ1
からの磁気応答を検出する。
【0130】 受信機コイルの組の機能は、送信磁界ベクトルによって呼び掛けられた時に磁
気素子によって生成される磁束に対する感度を備えることである。受信機コイル
の組は、予定し得るいかなる配向にあるタグの磁気素子に対しても敏感である。
理想的には、検出される振幅は素子の配向に対しては敏感でない。又、受信機コ
イルは、送信ベクトル及び外部発生源による磁界も検出する。それらの源から誘
導される信号を低減する、この技術分野で知られている多くの技術を、利用する
こととしてもよい。それらのコイルは、外部の‘遠方の場’(‘far-field’) の干渉については、‘平衡形’になっている。これは、通常、4極(quadrapole
s)と可変部(variants)を形成するコイルの物理的な配置によって達せられる 。或いは、この機能は電子的に又は信号処理により成し遂げることができる。送
信磁界の排除は同様に実現される。送信コイルのようなものは、それらのコイル
が直交する方向に配置される必要がない。それらのコイルは、いかなる位置に配
置することもでき、かつ、適切に組み合わせることができる。3つより多くの直
交する受信機コイルを用いることもできる。例えば、多くの8の字型受信機コイ
ルにより、3−D開口リーダをその開口の表面上で取り囲むことができる。
【0131】 受信機コイルは、磁界に対する感度を備える。これと同様なセンサとしては、
ホール効果デバイス(Hall-effect devices)、超伝導量子干渉デバイス(SQUID
s)、磁気抵抗器(magnetoresistors)及びこの分野で周知の同様なデバイスが 含まれる。
【0132】 3つの軸の周りの送信及び受信のコイルの機械的な配置は、3−D空間におけ
る直交性と送信側から受信側の分離(transmit-to-receive isolation)とを備 えるが、同じ特徴を備えるようにするための他の技術も存在する。それらの多く
は、(テンソル代数(tensor algebra)を利用して)様々な直交していない軸か
らの信号を混合した結果をシミュレートし、及び/又は、送信側から受信側への
好ましくない漏れ信号を排除する、信号処理を利用する。
【0133】 送信コイルは、その励振アンプのサイズを縮小しかつ電力浪費を低減するため
に、クラス‘D’のPWMアンプ(a PWM amplifier (class‘D’))によって励
振することとすることができる。このような方法は、この技術分野ではよく知ら
れており、かつ、様々なEASの小売りセキュリティ・システムで実践されてき
ている。
【0134】 上述した螺旋走査は、本質的に、その法線ベクトルを螺旋状に回転させること
が可能な2D平面の走査である。単一である平面の2D走査では、タグの配向に
関する如何なる情報も得られない。単一の円錐の形での走査では、配向の情報を
得ることができる。従って、走査の方策としては、円錐形走査が異なる方向を旋
回して回転するように工夫することとしてもよく、これによれば、より確固とし
た(robust)タグの配向の判断が可能になる。最も迅速な走査は、3つの直交す
る円錐形走査が連続して実行される走査である。しかしながら、これは、例えば
前記3つの直交する走査に対して法線が45°になっているタグ等、すべての配
向にあるタグを常にデコードできるとは限らない。これは、近づいて隣接してい
る2つのタグからの‘ブリップ’がオーバーラップし、それらが区別できないよ
うになることがあるからである。他の円錐形走査の組合せとしては、常に1つの
走査面が充分に密(close)であることを保証するように、簡単に工夫をするこ ととしてもよい。
【0135】 上述したリーダ・システムは、呼掛けボリューム内の単一若しくは複数の磁気
素子の、遠隔検出(remote detection)及び配向測定を可能にする。このシステ
ムの特徴は、本発明を回転センサとして利用することを可能にする。例えば、2
つの独立したデバイス上に搭載された2つの磁気素子間の相対的な配向を測定す
ることができる。その適用例としては、トルク検出(torque sensing)ないし小
さな弁の状態検出(sensing the state of a small valve)が含まれる。
【0136】 本発明で利用される比較的低い周波数は、少ない厚みの導体を介してタグの検
出を可能にするという特有の利益を提供する。例えば、金属で作られた締金物上
部の頂上部(the top of bottle screw-tops)内にタグを搭載してそのタグを読
み取ることとしてもよい。同様に、厚さ0.5mmの非磁性ステンレス合金(st
ainless steel)の間にタグを電子ビーム溶着して、そのタグを首尾よく読み取 ることとしてもよい。
【0137】 磁気素子への呼掛けをする方法は、呼掛け磁界の高調波の発生による影響をあ
まり受けない。従って、アンテナ構造の内部に高い非線形な透磁性の磁気材料を
利用することが可能であり、これによって前記リーダ・システムの重量、サイズ
及び電力消費が低減される。
【0138】 前記リーダ・システムは、呼掛けボリューム内の磁気素子の配向を検出する。
それらの磁気素子は、互いに交差している必要はない。図52に示すタグの一実
施形態においては、符号179、180、181及び182で示す直径10mm
の IST 薄膜材料の4つの片が、直径3.5cmの基板183の円周周りに等間 隔で設置されている。これら4つの層の相対的な配向がタグのデータを決定する
。それぞれの層の材料整列方向は矢印で表してある(例えば184)。各層間の
角度も示してある(例えば185)。層179、180、181は、層182に
対してそれぞれ17°、43°、99°で整列されている。従って、層182と
層179の間のギャップは17°であり、層179と層180の間のギャップは
26°であり、かつ、層180と層181の間のギャップは56°である。図1
7を参照すると、これらは、2桁のコード体系におけるギャップの準位2、3、
5に対応する。これは、図19を参照することにより、タグ番号77に復号化さ
れる。
【0139】 この実施形態は、層が垂直に積み重ねられたタグにおいて見られる磁気素子の
相互作用の影響による障害を受けない。更なる実施形態では、それぞれの部位(
179〜182)において、単一の層の膜材料を、直径10mmの材料の2つ又
はそれ以上の層を備え、かつ、各層の材料が異なる整列方向を有する‘タグ’に
より、置き換えることとしてもよい。これは、データの密度の増大をもたらす。
データの密度を更に増大させるためには、この詳細な説明のここより前の方で述
べた方法を用い、それぞれの部位にプログラマブルな硬磁気層を追加する。この
配置を利用し、個々のプログラマブル磁気タグをデコードするための上述した方
法を用いて、それぞれの部位における硬磁気層のプログラムされた方向を一義的
に決定することとしてもよい。これは、上述した他のデータ・タグにおいて見ら
れる180°の対称性に反して、360°の全範囲に亘って分散配置された‘ブ
リップ’によりデータを符号化し、有効なデータの容量をおよそ2倍にすること
としてもよいことを、意味する。膜の磁気材料は、従来技術において述べたよう
な代替の方向の磁気的構造により、又は、2つの‘材料方向’(‘material dir
ections’)を呈する材料により、置き換えることとしてもよい。その実施の形 態は、4つの‘部位’(‘sites’)又は円周上の‘部位’という形には限られ ず、かつ、そのことから、プログラマブルな硬磁気層を有するものと有しないも
のの双方の多層タグの配列にも拡張することができる。タグの実施形態によって
例示したように、‘部位’の間隔は、ゼロに等しいくらい小さくすることができ
、かつ、呼掛けボリュームと同じくらい大きくすることができる。発明者は、ほ
ぼ1つの素子の直径の間隔(a spacing of around one element diameter)が、
‘部位’間の相互作用による誤差を低減するのに充分であることを測定した。
【0140】 上記タグは、例えばCDないし銀行券(bank-notes)に印を付ける偽造防止の
特徴(anti-counterfeit features)として、利用することとしてもよい。その ラベルは、如何なるコード体系をも有する必要はないが、リーダによって検出さ
れることのある特徴の、唯一の組合せを有するものとする。
【0141】 上記タグは、極めて丈夫なものとなっており、かつ、200℃を超える温度に
も耐える。その弱みは、Atalante 膜のPET膜の安定性である。他の選択し得 る材料上を活性化した磁気材料でスパッタリングにより被覆することとしてもよ
い。ここにいう他の選択し得る材料としては、例えばアルミニウムがある。これ
は、より一層高い温度に対する耐性を備える。
【0142】 呼掛けボリューム内で一度に1つより多くのタグを読み取る能力は、非常に有
能な特徴であり、これを衝突防止タグ読取(anti-collision tag reading)とい
う。個々のタグが物理的に離隔され、かつ/又は、異なる配向にあるという条件
の下で、上記3D開口リーダは、いくつかの技術の組合せにより、有効な衝突防
止読取を実現する能力を備えている。
【0143】 第1の技術は、例えばコンベヤを利用することにより、その開口を通って多種
多様なタグ(又はタグ付けされた品目)を既知の速さで通過させることを伴う。
そのコンベヤは、タグを通過させつつ、それぞれのタグに対する多種多様な走査
ができるように十分遅いものとする。それぞれのタグが感度のある受信機領域を
通過するので、その検出される信号の振幅は、特性の時間依存性(characterist
ic time-dependence)を有することになる(すなわち、ゼロから始まり、最大値
にまで上昇し、再びゼロに下降する。)。コンベヤの長さ方向に沿った異なる点
にあるタグは、互いからの時間におけるオフセットのある特性の時間変化を示す
ことになる。従って、受信されたデータを処理すると共に、コンベヤの速さに一
致して整合している時間依存性を有する信号を一つにグループ化することにより
、多種多様なタグからの信号を分離することとしてもよい。これは、開口の軸に
沿った距離の関数としての有効なタグの分離を提供する。
【0144】 異なる配向を有するタグがたまたま同時に開口を通過した場合、それらのタグ
を区別することとしてもよい。この場合においては、同じ時間に変化する‘ブリ
ップ’の数が、単一のタグから生じたものにしては多すぎる、ということになる
。その数のブリップを発生させるのに必要な実際のタグの数は推定できる。それ
ぞれのタグは、1平面内に横たわる磁気素子の組を有し、かつ、(ロール(roll)
、ピッチ(pitch)及びヨー(yaw)で定義される)回転マトリクスと、第1番目との
相対的な各層の角度とによって、十分に書き表すことができる。このようなこと
から、7層のタグは、3つの配向角度と6つの平面内の角度とによって記述する
ことができる。
【0145】 回転している呼掛け磁界内のかかるタグの組の応答は、予測することができ、
かつ、測定された応答と比較することができる。現行の体系にあっては、最小化
アルゴリズムを用い、上述したタグのパラメータを変更して、測定されたデータ
に対する最良のマッチングを実現することができる。最小化が収束すれば、各タ
グをデコードし、かつ、区別することができる。収束しなければ、エラーのフラ
グを立てて、不正確に走査された品目の数とそれらのおおよその位置とを示すこ
とができる。
【0146】 素子の磁化の影響を含むタグの応答のモデルは、衝突防止のアルゴリズムに取
り入れることができる。これは、増加する処理の要求の労力を費やすことで、走
査データのより多くを利用可能にすると共に、より確かな復号化をもたらす。
【0147】 両者とも同時に開口を通過し、かつ、同一の配向を有するタグは、例えば開口
における異なる円弧(radii)にあることによってそれらが物理的に分離してい る条件下で、変更したシステムの幾何学的配置を用いてデコードすることとして
もよい。受信機コイルの組は、例えば半径の関数として変化する感度を備えて構
成することができる。異なる円弧にある2つのタグからの信号の振幅は、異なる
ものとなり、かつ、そのことから区別することができる。異なる方向においては
その感度が変化する受信機コイルの組合せを、上記開口リーダに取り入れること
ができる。この場合、それらの受信機コイルからの信号は、処理前に単一の合成
信号に合成するといくらかの有用な情報を捨てることになるので、かかる合成を
しないのが適当である。
【0148】 実際には、上に論じた衝突防止の特徴の組合せは、例えば2つのタグが互いに
重ね合わされているような異常なケースを除き、ほとんどすべての状況において
機能することになる。ここにいう異常なケースの状況はおそらく稀である。一つ
の重要な特徴として、復号化のソフトウェアがいくつかの品目を走査できないか
どうかを常に見分けることができると共に、タグ付けされた品目を偶然見落とす
機会が非常に少ない。再走査(re-scanning)前に品目の物理的な再配置(re-ar
rangement)をすることは、おそらく走査を成功に導くことになる。
【0149】 タグ位置の更なる情報は、呼掛けボリューム内の磁界の勾配を利用することに
より、呼び掛ける(問い合わせる)ことができる。そのようなシステムは、国際
公開公報 WO 96/31790 に開示されている。その情報は、タグの衝突防止の能力 を高めるために、更に利用することができる。
【0150】 タグないしラベルは、光学的なバーコードと同様に、製造上で確定されるそれ
らのデータを有する。従って、それらは、小売りの標識付産業(the retail lab
elling industry)に適している。郵便小包若しくは倉庫内の品物への印付けを する場合、‘送り穴’(‘perforations’)を用いてタグを作成して、それを容
易に細分することができるようにし、かつ、これにより‘複製されたもの’(‘
cloned’)が1つの適用領域(one application area)にあるようにする。薬物
、アッセイ・バイアル(assay vials)及びスワブ(swabs)のような医療用の消
耗品の印付けもまた可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具備した物理的な製品を表す図である。
【図2】 本発明の主要な構成要素及び集成部品(assemblies)を表す図 である。
【図3】 ‘2−D’の実施形態において使用される電気コイルの配置を 示す図である。
【図4】 ‘2−D’の実施形態における呼掛けコイルの配置を示す図で ある。
【図5】 一つの受信機コイルセットを示す図である。
【図6】 本発明によって生成される磁界のパターンを表す図である。
【図7】 単一の磁気素子と、呼掛け磁界とのその相互作用とを、示す図 である。
【図8】 磁気素子を具備した磁気材料のB−Hループ特性を示す図であ る。
【図9】 一つの磁気素子からの検出信号を表す図である。
【図10】 磁気データ・タグを表す図である。
【図11】 原型の磁気データ・タグからの出力信号を示す図である。
【図12】 磁気データ・タグから検出された受信機信号を表す図である 。
【図13】 受信機電子回路の回路図である。
【図14】 キャリブレーション・タグからの出力の図である。
【図15】 ‘送信’電子回路の回路図である。
【図16】 2桁の磁気データ・タグの概略図である。
【図17】 磁気素子の配向角度についての製造許容差のテーブルである 。
【図18】 タグにおいて00〜50のコード用に使用される絶対配向角 度のテーブルである。
【図19】 タグにおいて51〜99のコード用に使用される絶対配向角 度のテーブルである。
【図20】 磁気データ・タグをボリューム内に製造する一つの方法を示 す図である。
【図21】 片側面リーダのブロック図である。
【図22】 片側面のアンテナの集成部品を描いた図である。
【図23】 図22の集成部品において使用されるプリント回路の受信機 コイルを詳細に示す図である。
【図24】 7層タグからのアナログ出力信号を示す図である。
【図25】 リーダで用いる‘円錐形’走査の概略を示す図である。
【図26】 片側面リーダの処理アルゴリズムのフローチャートである。
【図27】 同処理アルゴリズムにおけるデータ受入処理についてのフロ ーチャートである。
【図28】 データの配向角度への変換処理についてのフローチャートで ある。
【図29】 2桁のタグ復号化アルゴリズムのフローチャートである。
【図30】 4桁のタグ復号化アルゴリズムのフローチャートである。
【図31】 種々の長さのデータ復号化アルゴリズムのフローチャートで ある。
【図32】 プログラマブル・タグを表す図である。
【図33】 同プログラマブル・タグの読取に関連する磁気ベクトル・フ ィールドを表す図である。
【図34】 同プログラマブル・タグから検出される信号を表す図である 。
【図35】 同プログラマブル・タグのデータの復号化についてのフロー チャートである。
【図36】 プログラマブル・タグの更なる実施形態を示す図である。
【図37】 3−Dリーダの実施形態における受信機コイルの配置を示す 図である。
【図38】 その受信機コイルの物理的な配置を表す図である。
【図39】 3−Dリーダの実施形態における送信コイルの配置を示す図 である。
【図40】 その送信コイルの物理的な配置を示す図である。
【図41】 すべてのコイルの物理的な配置を示す図である。
【図42】 3−Dリーダ・システムのブロック図である。
【図43】 呼掛け信号の励振波形と受信信号を示す図である。
【図44】 処理において使用するコンボルーション関数を示す図である 。
【図45】 3−Dの復号化処理アルゴリズムの最上位フローチャートで ある。
【図46】 そのデータ受入アルゴリズムについてのフローチャートであ る。
【図47】 その磁界方向アルゴリズムについてのフローチャートである 。
【図48】 その‘ブリップ’検出アルゴリズムについてのフローチャー トである。
【図49】 その最小化アルゴリズムについてのフローチャートである。
【図50】 そのギャップ角度の最適決定についてのフローチャートであ る。
【図51】 リーダ用の他の磁界発生手段の図である。
【図52】 磁気データ・タグの他の実施形態の図である。
【符号の説明】
1 タグ 2 呼掛けユニット 3 電子処理装置 8 送信コイル 10 受信コイル 11 アンテナ 15、16、17、18 送信コイル 21、22 受信コイル 57 電子装置(回路) 62、63、64、65 層 66 PET層 67 活性磁気層 77 アンテナ 80 マイクロプロセッサ 126 プログラマブル・データ・タグ 127、128、129 Atalante 膜層 130 硬磁気層 144、145、146、147 コイル 151、152 ソレノイドコイル 156、157、158、159 コイル 163 カード 164 PC 176 永久磁石 178 受信機コイル 179、180、181、182 層 183 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9816642.4 (32)優先日 平成10年7月31日(1998.7.31) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9828238.7 (32)優先日 平成10年12月22日(1998.12.22) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 5B035 AA13 BB02 BC00 5G003 FA08

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加えられる磁界に対してそれぞれの層が方向性の応答を示 す複数の磁気層を有し、データを記憶する磁気タグ(1)であって、 それぞれの層の前記方向性の応答の相対的な配向が、記憶されるデータを定め
    る、磁気タグ。
  2. 【請求項2】 それぞれの磁気層が、非磁性層上の、薄膜の磁気的な活性 層を有する、請求項1に記載のタグ。
  3. 【請求項3】 それぞれの磁気層の長さと幅が同等である請求項1又は2 に記載のタグ。
  4. 【請求項4】 それぞれの層が実質的に正多角形の形をとっている請求項 3に記載のタグ。
  5. 【請求項5】 それぞれの層がディスク形状である請求項1又は2に記載 のタグ。
  6. 【請求項6】 前記磁気層は、軟磁気層を有し、更に、タグをプログラム 可能にするバイアス磁界を供給する硬磁気層を有する、請求項1〜5のいずれか
    の項に記載のタグ。
  7. 【請求項7】 前記硬磁気層の直径が約20パーセントだけ前記軟磁気層 の直径を超える請求項5に従属する請求項6に記載のタグ。
  8. 【請求項8】 隣接する層の間の前記方向性の応答の配向の角度の離隔が 、予め定めた数列に従った配置になっている、請求項1〜7のいずれかの項に記
    載のタグ。
  9. 【請求項9】 前記数列が増加していく数列である請求項8に記載のタグ 。
  10. 【請求項10】 それぞれの層が容易磁化の軸を有し、それによって前記 層は加えられる磁界に対して方向性の応答を示す、請求項1〜9のいずれかの項
    に記載のタグ。
  11. 【請求項11】 データを記憶するプログラマブル磁気タグであって、 それぞれが加えられる磁界に対して方向性の応答を示す複数の軟磁気素子を有
    し、 更に、バイアス磁界(Bb)を供給する硬磁気層を有し、それによってプログ ラム可能にされる プログラマブル磁気タグ。
  12. 【請求項12】 前記硬磁気素子内の残留磁界の方向に関連付けてデータ を記憶する請求項11に記載のタグ。
  13. 【請求項13】 前記磁気素子は、複数の上に重なっている磁気層を有し 、 それぞれの層の前記方向性の応答の相対的な配向が、記憶されるデータを定め
    る 請求項11又は12に記載のタグ。
  14. 【請求項14】 請求項11〜13のいずれかの項に記載の磁気タグをプ ログラムする方法であって、 前記硬磁気素子に対して方向性の磁界を加えると共に、その後、その磁界を除
    去する過程を含む、方法。
  15. 【請求項15】 磁気データ・タグを製造する方法であって、 それぞれが加えられる磁界に対して方向性の応答を示す複数の磁気層を、それ
    ぞれの層の方向性の応答の相対的な配向が記憶されるデータを定めるように、互
    いに関連した角度の配向で、配置することを含む、方法。
  16. 【請求項16】 前記層を互いの上に接着して層の積み重ねを形成する請 求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記層を共に熱圧力溶着して層の積み重ねを形成する請 求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 それぞれの2つの角度の位置の間の差が記憶されるデー タを表すような角度位置で、それぞれの層を配置することを含む、請求項15〜
    17のいずれかの項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 データを表す角度位置の差の一定のシーケンスについて 、そのシーケンスを逆にしたものが同じデータを表すものとする、請求項18に
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 磁気データ・タグの製造方法であって、 磁気タグのシートを2つ又はそれ以上のセクションに分割して複数のタグを備
    えるようにする過程を含み、 前記シートが実質的に平面な磁気層を複数有し、それぞれの層が加えられる磁
    界に対して方向性の応答を示し、それらの層が互いに関連して配向してそれぞれ
    の方向性の応答の相対的な配向が記憶されるデータを定める 磁気データ・タグの製造方法。
  21. 【請求項21】 呼掛けボリューム内に回転磁界を生じさせる手段と、 前記呼掛けボリュームの周りに配置された第1及び第2の受信コイル対を備え
    、前記呼掛けボリューム内の磁気データ・タグを検出する磁界検出手段とを有し
    、 前記コイル対の両端間に前記回転磁界によって正味の起電力が誘導されないよ
    うに、それぞれの前記コイル対が平衡形に配置されている 磁気データ・タグのリーダ。
  22. 【請求項22】 前記回転磁界を生じさせる手段が回転する永久磁石を有 する請求項21に記載のリーダ。
  23. 【請求項23】 前記回転磁界を実質的に1つの周波数とした請求項21 又は22に記載のリーダ。
  24. 【請求項24】 前記周波数が1kHzより低い請求項23に記載のリー ダ。
  25. 【請求項25】 回転磁界を生成する薄く平坦なソレノイドとして構成さ れた送信コイルと、 前記ソレノイドの薄い面付近に設けられ、前記回転磁界と実質的に結合しない
    配置の受信コイルとを有し、 多層の磁気データ・タグを読み取る、磁気タグのリーダ。
  26. 【請求項26】 送信の前記ソレノイドが透磁性のコア上に構成されてい る請求項25に記載のリーダ。
  27. 【請求項27】 前記ソレノイドの磁軸を含む面に対してタグが傾いた状 態を判断する手段を更に有する請求項25又は26に記載のリーダ。
  28. 【請求項28】 前記傾いた状態を検出する手段が、円錐形走査の磁界を 生じさせる手段を含む、請求項27に記載のリーダ。
  29. 【請求項29】 回転する呼掛け磁界を用いて多層の磁気データ・タグへ の呼掛けをする方法であって、 前記磁界を360度回転させる間毎に、前記タグのそれぞれの層に2つの応答
    を生じさせ、 同じ層による2つの応答の間のギャップの、それらの応答間の基準ギャップか
    らの偏差を判断することを含みつつ、前記応答を基準ギャップによって分離する
    、方法。
  30. 【請求項30】 前記基準ギャップを180度とする請求項29に記載の 方法。
  31. 【請求項31】 前記偏差が予め定めた閾値を超える場合に、前記呼掛け 磁界からの出力の応答を排除する過程を更に含む、請求項29又は30に記載の
    方法。
  32. 【請求項32】 請求項1〜10のいずれかの項に記載の磁気データ・タ グへの呼掛けをする方法であって、 前記データ・タグを包含する呼掛けボリューム内に回転磁界を生じさせる過程
    と、 前記データ・タグが有する磁気層の相対的な配向を表す信号を受信する過程と
    、 前記信号を復号化してタグ上にエンコードされたデータをデコードする過程と を含む方法。
  33. 【請求項33】 加えられる磁界に対してそれぞれが方向性の応答を示す 複数の磁気素子を有する磁気タグ上に記憶されたデータを読み取る方法であって
    、それぞれの素子の方向性の応答の相対的な配向が、一方の方向にタグが読み取
    られるときにデータを表すコード・シーケンスを定め、 前記コード・シーケンスを処理してデータの出力を生成する過程を有する、方
    法。
  34. 【請求項34】 前記それぞれの素子の方向性の応答の相対的な配向は、 他方の方向にタグが読み取られるときにデータを表す逆のコード・シーケンスを
    定め、 前記コード・シーケンス及び前記逆のコード・シーケンスを処理して、同じデ
    ータの出力を生成する過程を有する、方法。
  35. 【請求項35】 請求項33又は34に記載の方法において用いるための 複数の磁気素子を有する磁気データ・タグ。
  36. 【請求項36】 加えられる磁界に対してそれぞれが方向性の応答を示す 複数の磁気素子を有する、あらゆる空間的な配向に配置される磁気データ・タグ
    を、読み取る装置であって、 前記タグを読み取るための呼掛け磁界を生成する生成手段と、 前記呼掛け磁界に対する前記タグの応答を検出する検出手段と、 前記タグの配向を判断する判断手段と を有する装置。
  37. 【請求項37】 前記生成手段は、前記検出手段が前記タグの応答を検出 することが可能な領域の実質的に全体に亘って一様な呼掛け磁界を生成するコイ
    ル配置を有する、請求項36に記載の装置。
  38. 【請求項38】 3つの直交する方向に一様な呼掛け磁界を生成する手段 を有する、請求項36又は37に記載の装置。
  39. 【請求項39】 前記検出手段で受信された応答を処理し、瞬時呼掛け磁 界ベクトルの時間についての導関数の方向に回転するタグ検出器コイルの影響を
    シミュレートする手段 を更に有する請求項36〜38のいずれかの項に記載の装置。
  40. 【請求項40】 前記呼掛け磁界の方向を監視する手段を更に有する請求 項36〜39のいずれかの項に記載の装置。
  41. 【請求項41】 前記呼掛け磁界を実質的に1つの周波数とした請求項3 6〜40のいずれかの項に記載の装置。
  42. 【請求項42】 前記周波数が1kHzよりも低い請求項41に記載の装 置。
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