JP2002501078A - Spoilタンパク質及び核酸分子並びにそれらの使用 - Google Patents

Spoilタンパク質及び核酸分子並びにそれらの使用

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JP2002501078A JP2000528583A JP2000528583A JP2002501078A JP 2002501078 A JP2002501078 A JP 2002501078A JP 2000528583 A JP2000528583 A JP 2000528583A JP 2000528583 A JP2000528583 A JP 2000528583A JP 2002501078 A JP2002501078 A JP 2002501078A
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バスフイールド,サマンサ・ジエイ
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ミレニアム・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド
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Abstract

(57)【要約】 新規なSPOILポリペプチド、タンパク質及び核酸分子が開示される。単離された全長SPOILタンパク質に加えて、本発明はさらに単離されたSPOIL融合タンパク質、抗原性ペプチド及び抗−SPOIL抗体を提供する。また、本発明はSPOIL核酸分子、本発明の核酸分子を含有する組換え発現ベクター、発現ベクターが導入されている宿主細胞及びSPOIL遺伝子が導入されているかまたは破壊されている非ヒトトランスジェニック動物も提供する。また、本発明の組成物を利用する診断、スクリーニング及び治療方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 インターロイキン−1(IL-1)は多機能サイトカインであり、それは広範囲の 活性を有する、2種のポリペプチド、IL-1α及びIL-1βのファミリーを含んでな
る。IL-1α及びIL-1βは、炎症、代謝、生理学的、造血及び免疫学的特性を保有
することが見いだされている。両方の型のIL-1は別個の遺伝子産物であるが、そ
れらは同じ細胞表面受容体(すなわち、IL-1受容体、IL-1RtI及び IL-1RtII)を
認識する。
【0002】 皮膚角質細胞、いくつかの上皮細胞及び中枢神経系のある種の細胞を除いて、
IL-1をコードする著しい量のmRNAは大部分の他の健康な細胞において見られない
。しかしながら、IL-1生産は、感染、微生物毒素、炎症性因子、活性化リンパ球
の生成物、補体及び凝固成分に反応して様々な細胞により劇的に増加される。さ
らに、IL-1は様々な遺伝子の発現及びいくつかのタンパク質の合成を誘導し、そ
してそれらは次に急性及び慢性炎症を誘導するので、好炎症性(proinflammator
y)サイトカインの原型とみなされている。従って、循環するIL-1は、敗血症、 慢性関節リウマチ、脳卒中及び糖尿病を初めとする様々な疾病状態に関与してい
る。Dinarello(1991)Blood 77(8):1627-1652。
【0003】 さらに、IL-1は、骨吸収及び骨形成を調節することが示されており、骨代謝に
おけるその主要な活性は破骨細胞活性化である。Gowen等(1983)Nature 306:378-
380を参照。実際、IL-1は骨吸収の有効な刺激剤であることが報告されており、 そしてまた骨におけるプロスタグランジン合成を増加することも報告されている
。Lorenzo等(1987)Endocrinology 121:1164-1170。
【0004】 また、IL-1活性を特異的に阻害する、IL-1の天然に存在する分泌されたインヒ
ビターも同定されている。Carter等(1990)Nature 344:633。IL-1受容体アンタゴ
ニストタンパク質(IL-1ra)と呼ばれるこのタンパク質は、IL-1のその表面受容
体への結合と競合することが示されている。従って、敗血症性ショック(Ohlsso
n等(1990)Nature 348:550-556)、免疫複合体により誘導される大腸炎(Cominel
li(1990)J.Clin.Invest.86:972-979)、急性骨髄芽球性白血病(Rambaldi等(199
0)Blood 76:114-120)及び骨粗鬆症(Pacifici等(1993)J.Clin.Endocrinol.Meta
b.77:1135-1141)を初めとする様々な疾病においてIL-1の活性を妨げるためにIL
-1raを投与することに著しい関心が生じている。さらなる研究により、IL-1raの
分泌型が実際にはIL-1raタンパク質のファミリーのメンバーであり、それらの少
なくとも3種は細胞内タンパク質であることが示されている(Haskill等(1991)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3681-3685;Muzio等(1995)J.Exp.Med.182:623-628;及
びWeissbach等(1988)Biochem.Biophys.Res.Comm.244:91-95)。それらのファミ リーメンバーは、少なくとも7個のエキソンからなるIL-ra 遺伝子の選択的にス
プライシングされたアイソフォームである。4番目のエキソンの欠失型は、内部 のスプライス受容部位の結果として生産され、分泌されるアイソフォームをもた
らす。
【0005】 発明の要約 本発明は、少なくとも一つには、本明細書においてSPOIL核酸及びタンパク質 分子と称する、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)分子に相同性を有するタン
パク質の新規なファミリーをコードする新規な核酸分子の発見に基づく。本発明
のSPOIL分子は様々な細胞プロセスを調節することにおける調節剤として有用で ある。従って、一つの態様として、本発明はSPOILタンパク質及びそれらの生物 学的に活性の部分をコードする単離された核酸分子並びにSPOILをコードする核 酸の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適当
な核酸フラグメントを提供する。一つの態様として、本発明の単離された核酸分
子は、好ましくは、インターロイキン−1(IL-1)特徴(signature)ドメイン を含むSPOILタンパク質をコードする。別の態様として、本発明の単離された核 酸分子は、好ましくは、SPOIL特徴モチーフを含むSPOILタンパク質をコードする
。別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、好ましくは、SPOILユニー クドメインを含むSPOILタンパク質をコードする。別の態様として、本発明の単 離された核酸分子は、好ましくは、SPOIL C末端ユニークドメインを含むSPOILタ
ンパク質をコードする。別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、好ま
しくは、シグナル配列を含み、そして/または分泌されるSPOILタンパク質をコ ードする。さらに別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、好ましくは
、シグナル配列を欠き、そして/または細胞内であるSPOILタンパク質をコード する。別の態様として、核酸分子は天然に存在するヌクレオチド配列である。
【0006】 別の態様として、本発明の核酸分子は、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:
16、配列番号:24、受託番号98883してATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサ ート、受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは
それらの相補物において示されるヌクレオチド配列と65%の同一性を有し、そし
て好ましくはSPOILタンパク質をコードする。さらに別の態様として、単離され た核酸分子は、配列番号:3、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:26またはそ れらの相補物において示されるヌクレオチド配列と65%の同一性を有し、そして
好ましくはSPOILタンパク質をコードする。好ましい態様として、単離された核 酸分子は哺乳類タンパク質(例えば、ヒトまたはマウスSPOILタンパク質)のア ミノ酸配列をコードする。
【0007】 別の態様として、単離された核酸分子は、配列番号:2、配列番号:14、配列番 号:17、配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883してATCCに寄託されたプラ スミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミド
のDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に十分に相同なアミノ酸配列 を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、そして好ましくはSP
OILタンパク質をコードする。好ましい態様として、核酸分子は、配列番号:3、 配列番号:15、配列番号:18または配列番号:26に示されるヌクレオチド配列を有 する。別の好ましい態様として、核酸分子は、配列番号:1、配列番号:13、配列 番号:16、配列番号:24、受託番号98883してATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ
ンサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサー
トに示されるヌクレオチド配列を有する。
【0008】 本発明の別の態様は、配列番号:1のヌクレオチド135-428またはヌクレオチド4
95-746からなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離
された核酸分子を特徴とする。さらに別の好ましい態様として、単離された核酸
分子は、配列番号:13のヌクレオチド1-280、123-260またはヌクレオチド390-129
1からなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。さらに 別の好ましい態様として、単離された核酸分子は、配列番号:16のヌクレオチド1
-371、98-721またはヌクレオチド481-1377からなる核酸分子にストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする。さらに別の好ましい態様として、単離された核
酸分子は、配列番号:24のヌクレオチド225-365、96-575またはヌクレオチド495-
838からなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。別の 態様として、核酸分子は少なくとも300ヌクレオチドの長さである。別の態様と して、核酸分子は少なくとも300ヌクレオチドの長さであり、そして配列番号:1 、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883してATCCに寄託され
たプラスミドのDNAインサートもしくは受託番号98984としてATCCに寄託されたプ
ラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物において示されるヌクレオチド 配列を含んでなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
さらに別の態様として、核酸分子は少なくとも300ヌクレオチドの長さであり、 そしてSPOILタンパク質またはその一部、好ましくはその生物学的に活性の部分 をコードする。
【0009】 好ましい態様として、単離された核酸分子は配列番号:1のヌクレオチド135-4
28またはその相補物を含んでなる。別の態様として、核酸分子は配列番号:1のヌ
クレオチド1-134をさらに含んでなる。さらに別の態様として、核酸分子は配列 番号:1のヌクレオチド429-746をさらに含んでなる。
【0010】 別の好ましい態様として、単離された核酸分子は配列番号:13のヌクレオチド1
24-630またはその相補物を含んでなる。別の態様として、核酸分子は配列番号:1
3のヌクレオチド1-123をさらに含んでなる。さらに別の態様として、核酸分子は
配列番号:13のヌクレオチド631-1291をさらに含んでなる。
【0011】 別の好ましい態様として、単離された核酸分子は配列番号:16のヌクレオチド9
8-721またはその相補物を含んでなる。別の態様として、核酸分子は配列番号:16
のヌクレオチド1-97をさらに含んでなる。さらに別の態様として、核酸分子は配
列番号:16のヌクレオチド722-1377をさらに含んでなる。
【0012】 別の好ましい態様として、単離された核酸分子は配列番号:24のヌクレオチド9
6-575またはその相補物を含んでなる。別の態様として、核酸分子は配列番号:24
のヌクレオチド1-95をさらに含んでなる。さらに別の態様として、核酸分子は配
列番号:24のヌクレオチド576-838をさらに含んでなる。
【0013】 本発明の別の態様は、SPOIL核酸のコーディング鎖にアンチセンスである単離 された核酸分子を提供する。
【0014】 本発明の別の態様は、本発明の核酸分子、好ましくはSPOIL核酸分子を含んで なるベクターを提供する。ある態様として、ベクターは組換え発現ベクターであ
る。別の態様として、本発明は本発明のベクターを含有する宿主細胞を提供する
。また、本発明は、SPOILタンパク質が生産されるように適当な培地中で組換え 発現ベクターを含有する本発明の宿主細胞を培養することによりSPOILタンパク 質を生産するための方法も提供する。
【0015】 本発明の別の態様は、単離されたまたは組換えのタンパク質及びポリペプチド
、好ましくはSPOILタンパク質またはポリペプチドを特徴とする。一つの態様と して、単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質はSPOIL特徴モチーフ
を有する。別の態様として、単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク 質はIL-1特徴ドメインを有する。別の態様として、単離されたタンパク質、好ま
しくはSPOILタンパク質はSPOILユニークドメインを有する。別の態様として、単
離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質はSPOIL C末端ユニークドメイ
ンを有する。別の態様として、単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパ ク質は2つまたはそれ以上の上に記載したドメイン及び/またはモチーフの組み
合わせを有する。さらに別の態様として、単離されたタンパク質、好ましくはSP
OILタンパク質はシグナル配列を有し、そして/または分泌される。さらに別の 態様として、単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質はシグナル配 列を欠き、そして/または細胞内である。別の態様として、単離されたタンパク
質、好ましくはSPOILタンパクは、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配 列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドの
DNAインサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCC
に寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に十 分に相同なアミノ酸配列を有する。本発明はさらに、SPOILユニークドメインア ミノ酸配列に少なくとも約45%同一であるアミノ酸配列を有する単離されたタン
パク質、好ましくはSPOILタンパク質を特徴とする。本発明はさらに、SPOIL C末
端ユニークドメインアミノ酸配列に少なくとも約45%同一であるアミノ酸配列を
有する単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質を特徴とする。
【0016】 別の態様として、本発明は配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号
:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ ンサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄 託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列を有する タンパク質のフラグメントを特徴とし、その場合、そのフラグメントは配列番号
:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883と
してATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸 配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートに
よりコードされるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含んでな
る。好ましい態様として、そのタンパク質は配列番号:2、配列番号:14、配列番 号:17または配列番号:25のアミノ酸配列を有する。
【0017】 本発明の別の態様は、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25 のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサ
ートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託さ れたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも 約60%同一であるアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、好ましくはSPOI
Lタンパク質を特徴とする。本発明の別の態様は、配列番号:14のアミノ酸配列ま
たは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコ
ードされるアミノ酸配列に少なくとも約85%同一であるアミノ酸配列を有する単
離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質を特徴とする。本発明のさら に別の態様は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:13、配列番号:15、配列番号
:16、配列番号:18、配列番号:24、配列番号:26、受託番号98883としてATCCに寄 託されたプラスミドのDNAインサートもしくは受託番号98984としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物のヌクレオチド配列に少 なくとも約60%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされ
る単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質を特徴とする。
【0018】 本発明はさらに、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:13、配列番号:15、配列
番号:16、配列番号:18、配列番号:24または配列番号:26のヌクレオチド配列を含
んでなる核酸分子の相補物にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる単
離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質を特徴とする。
【0019】 本発明のタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質、またはそれらの一部(例 えば、それらの生物学的に活性の部分)を非SPOILポリペプチドに機能的に連結 して融合タンパク質、好ましくはSPOIL融合タンパク質を生成せしめることがで きる。本発明はさらに、モノクローナルまたはポリクローナル抗体のような、SP
OILタンパク質に特異的に結合する抗体を特徴とする。さらに、本発明のタンパ ク質またはそれらの生物学的に活性の部分を製薬学的組成物中に含むことができ
、それは場合により製薬学的に許容しうる担体を含む。
【0020】 別の態様として、本発明は、生物学的サンプル中のSPOIL活性の存在が検出さ れるようにSPOIL活性の指標を検出することができる薬剤と生物学的サンプルを 接触させることにより生物学的サンプル中のSPOIL活性または発現の存在を検出 する方法を提供する。
【0021】 別の態様として、本発明は、細胞中のSPOIL活性が調節されるようにSPOIL活性
を調節する薬剤とSPOILを発現することができる細胞を接触させることを含んで なるSPOIL活性を調節する方法を提供する。一つの態様として、薬剤はSPOIL活性
を阻害する。別の態様として、薬剤はSPOIL活性を刺激する。一つの態様として 、薬剤はSPOILタンパク質に特異的に結合する抗体である。別の態様として、薬 剤はSPOIL遺伝子の転写またはSPOIL mRNAの翻訳を調節することによりSPOILの発
現を調節する。さらに別の態様として、薬剤はSPOIL mRNAまたはSPOIL遺伝子の コーディング鎖にアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である
【0022】 別の態様として、本発明は、細胞中のIL-1活性が調節されるようにSPOIL活性 を調節する薬剤とIL-1を発現すること及び/またはそれに応答することができる
細胞を接触させることを含んでなるIL-1活性を調節する方法を提供する。一つの
態様として、薬剤はIL-1活性を阻害するかまたは減少する。従って、一つの態様
として、SPOIL薬剤は本発明のタンパク質、好ましくはIL-1受容体アンタゴニス トとして機能するSPOILタンパク質またはその生物学的に活性の部分である。別 の態様として、SPOIL薬剤はIL-1活性を刺激する。従って、別の態様として、SPO
IL薬剤は本発明のタンパク質、好ましくはIL-1受容体アゴニストとして機能する
SPOILタンパク質、SPOIL変異体またはその生物学的に活性の部分である。
【0023】 一つの態様として、SPOILモジュレーターである薬剤を患者に投与することに より異常なSPOIL及び/またはIL-1発現を特徴とする疾患にかかっている患者を 処置するために本発明の方法を用いる。一つの態様として、SPOIL薬剤はSPOILタ
ンパク質またはSPOIL変異体である。さらに別の態様として、SPOIL薬剤はペプチ
ド、ペプチド模倣物または他の小分子である。好ましい態様として、異常なSPOI
L及び/またはIL-1発現を特徴とする疾患は骨代謝疾患、好炎症性疾患または免 疫疾患である。
【0024】 また、本発明は(i)SPOILタンパク質をコードする遺伝子の異常な改変また は突然変異;(ii)該遺伝子の誤った調節;及び(iii)SPOILタンパク質の異常
な翻訳後修飾の少なくとも1つを特徴とする遺伝子改変の有無を同定するための
診断アッセイも提供し、その場合、該遺伝子の野生型形態はSPOIL活性を有する タンパク質をコードする。
【0025】 別の態様として、本発明は、SPOIL活性を有するSPOILタンパク質を含んでなる
指標組成物を準備し、その指標組成物を試験化合物と接触させ、そして指標組成
物中のSPOIL活性に対する試験化合物の影響を決定してSPOILタンパク質の活性を
調節する化合物を同定することにより、SPOILタンパク質に結合するかまたはそ の活性を調節する化合物を同定する方法を提供する。
【0026】 本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び請求項から明らかである。
【0027】 発明の詳細な説明 本発明は、本明細書においてSPOILタンパク質及び核酸分子と称する、IL-1受 容体アンタゴニスト(IL-1ra)ファミリーのメンバーに相同性を有する新規な分子
の発見に基づく。SPOILタンパク質及び核酸分子は、ある種の保存された構造的 及び機能的特徴を有する分子のファミリーを含んでなる。「ファミリー」という
用語は、本発明のタンパク質及び核酸分子をさす場合、共通の構造ドメインを有
し且つ本明細書に定義されるような十分なアミノ酸またはヌクレオチド配列の同
一性を有する2個またはそれ以上のタンパク質または核酸分子を意味するものと
する。そのようなファミリーメンバーは天然に存在してもよく、そして同じまた
は異なる種のいずれからであってもよい。例えば、ファミリーはヒト起源の第一
のタンパク質及びヒト起源の他の異なるタンパク質を含むことができ、あるいは
また、非ヒト起源(例えばマウス)の相同物を含むことができる。また、ファミ
リーのメンバーは共通の機能特性を有してもよい。
【0028】 例えば、本発明の単離されたタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質をタン パク質または対応する核酸分子中の少なくとも1個の「IL-1特徴ドメイン」の存
在に基づいて同定する。本明細書に用いられる場合、「IL-1特徴ドメイン」とい
う用語は、SPOILタンパク質メンバー(またはIL-1raもしくはIL-1ファミリーメ ンバー)の保存されたモチーフを含有し且つ少なくとも約10-30アミノ酸残基、 好ましくは約15-25アミノ酸残基、より好ましくは約17-24アミノ酸残基、より好
ましくは19-23アミノ酸残基、そしてより好ましくは21-22アミノ酸残基の長さで
あるタンパク質ドメインさす。IL-1特徴ドメインは以下のアミノ酸モチーフ:Xa
a1-Xaa2-S-Xaa3-Xaa4-Xaa5-P-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaan-Xaa11を含み、
ここで、Xaa1、Xaa2、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa7及びXaanはあらゆるアミノ酸残基
を表し;Xaa3はアラニン(A)、セリン(S)、ロイシン(L)またはバリン(V)で
あり;Xaa8はフェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロ イシン(I)またはバリン(V)であり;Xaa9はロイシン(L)またはイソロイシン (I)のいずれかであり;Xaa10はセリン(S)、システイン(C)またはアラニン(A
)であり;Xaa11はロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)またはメチ オニン(M)であり;そしてnは少なくとも5-25アミノ酸残基、より好ましくは約6-
18アミノ酸残基、そしてより好ましくは約6-15アミノ酸残基である(配列番号:19
)。一つの態様として、IL-1特徴ドメインは以下のアミノ酸モチーフ:L-Xaa1-S-
V-Xaa2-Xaa3-P-Xaa4-Xaa5-Xaan-Iを含み、ここで、Xaaはあらゆるアミノ酸を表
し、そしてnは約5-25アミノ酸残基、より好ましくは約6-18アミノ酸残基、そし てより好ましくは約6-15アミノ酸残基である(配列番号:20)。好ましくは、IL-1 特徴ドメインは以下のアミノ酸配列:L-Xaa1-S-V-Xaa2-Xaa3-P-Xaa4-Xaa5-Xaan-
Iを含み、ここで、Xaa1はトレオニン(T)またはグルタミン酸(E)のいずれかであ り;Xaa2はアラニン(A)またはグルタミン酸(E)のいずれかであり;そしてXaa5
トリプトファン(W)またはロイシン(L)のいずれかである(配列番号:23)。別の 態様として、IL-1特徴ドメインは以下のアミノ酸配列モチーフ:F-Xaa1-S-A-Xaa 2 -Xaa3-P-Xaa4-Xaa5-Xaan-Lを含み、ここで、Xaaはあらゆるアミノ酸を表し、そ
してnは約5-25アミノ酸残基、より好ましくは約6-18アミノ酸残基、そしてより 好ましくは約6-15アミノ酸残基である(配列番号:6)。好ましくは、IL-1特徴ドメ
インは以下のアミノ酸配列:F-Xaa1-S-A-Xaa2-Xaa3-P-Xaa4-Xaa5-Xaan-Lを含み 、ここで、Xaa1はトレオニン(T)またはグルタミン酸(E)のいずれかであり;Xaa2 はアラニン(A)またはグルタミン酸(E)のいずれかであり;そしてXaa5はトリプト
ファン(W)またはロイシン(L)のいずれかである(配列番号:7)。さらに別の態様
として、IL-1特徴ドメインは少なくとも約10-30アミノ酸残基の長さ、好ましく は15-25アミノ酸残基の長さ、好ましくは17-24アミノ酸残基、19-23アミノ酸残 基またはより好ましくは21-22アミノ酸残基の長さであり、そして配列番号:2( 例えば、アミノ酸残基58-80)、配列番号:14(例えば、アミノ酸残基130-151) 、配列番号:17(例えば、アミノ酸残基169-190)または配列番号:25(例えば、 アミノ酸残基120-142)に記述したようなアミノ酸配列を有する本発明のタンパ ク質のIL-1特徴ドメインと少なくとも約30-60%の同一性、好ましくは少なくと も約35-55%の同一性、より好ましくは少なくとも約40-50%の同一性、そしてよ
り好ましくは少なくとも約46-49%の同一性を有する。
【0029】 好ましい態様として、本発明のタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質は、 配列番号:2(例えば、アミノ酸残基58-80)、配列番号:14(例えば、アミノ酸残
基130-151)、配列番号:17(例えば、アミノ酸残基169-190)または配列番号:25
(例えば、アミノ酸残基120-142)のIL-1特徴ドメインを含有する。
【0030】 本発明の別の態様として、タンパク質または対応する核酸分子中の少なくとも
1個の「SPOIL特徴モチーフ」の存在に基づいてSPOILタンパク質を同定する。本
明細書に用いられる場合、「SPOIL特徴モチーフ」という用語は、SPOILファミリ
ーメンバー間で保存されるアミノ酸残基を含有するアミノ酸配列を含む。一つの
態様として、本明細書において「短いSPOIL特徴モチーフ」と称するSPOIL特徴モ
チーフは、少なくとも約35-55アミノ酸残基、好ましくは約38-50アミノ酸残基、
より好ましくは約40-48アミノ酸残基、より好ましくは42-46アミノ酸残基、そし
てより好ましくは44アミノ酸残基の長さであり且つ以下のアミノ酸配列:Q-Xaa1 -Xaa2-E-Xaa3-Xaa4-I-M-Xaa5-Xaa6-Y-Xaa7-Xaa8-Xaa9-E-P-V-K-Xaa10-Xaa11-L-F
-Y-Xaa 12-Xaa13-K-Xaa14-G-Xaa 15-T-S-T-Xaa 16-E-S-Xaa 17-A-F-P-Xaa 18-W-
F-I-Aを有するアミノ酸配列を含み、ここで、Xaa 1-18はあらゆるアミノ酸であ る(配列番号:21に記述した)。従って、好ましいタンパク質は上に挙げたSPOIL
特徴モチーフの保存されたアミノ酸残基を含む。また、上に挙げたSPOIL特徴モ チーフの少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42また
は43個の保存されたアミノ酸残基を含むタンパク質も本発明の範囲内であるとみ
なされる。
【0031】 別の態様として、本明細書において「長いSPOIL特徴モチーフ」と称するSPOIL
特徴モチーフは、少なくとも約58-78アミノ酸残基、好ましくは約61-74アミノ酸
残基、より好ましくは約63-72アミノ酸残基、より好ましくは65-70アミノ酸残基
、そしてより好ましくは67-68アミノ酸残基の長さであり且つ以下のアミノ酸配 列:Q-Xaa1-Xaa2-E-Xaa3-Xaa4-I-M-Xaa5-Xaa6-Y-Xaa7-Xaa8-Xaa9-E-P-V-K-Xaa10 -Xaa11-L-F-Y-Xaa12-Xaa13-K-Xaa14-G-Xaa 15-T-S-T-Xaa 16-E-S-Xaa 17-A-F-P-
Xaa 18-W-F-I-A-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa 22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-P-Xaa 26-I-L-T
-Xaa27-E-L-G-Xaa28-Xaa 29-Xaa 30-Xaa 31-T-Xaa32-F-Eを有するアミノ酸配列 を含み、ここで、Xaa 1-24及び26-32はあらゆるアミノ酸であり、Xaa25はいずれ
のアミノ酸でもないかまたはあらゆるアミノ酸である(配列番号:22に記述した )。好ましいタンパク質は上に挙げたSPOIL特徴モチーフの保存されたアミノ酸 残基を含む。また、上に挙げたSPOIL特徴モチーフの少なくとも56、57、58、59 、60、61、62、63、64、65または66個の保存されたアミノ酸残基を含むタンパク
質も本発明の範囲内であるとみなされる。
【0032】 表1は、配列番号:21及び配列番号:22に記述したSPOIL特徴モチーフの保存さ れたアミノ酸残基を示す。それらの保存されたアミノ酸残基をSPOIL特徴モチー フにおけるそれらの位置に従って、そしてマウスSPOIL-I、マウスSPOIL-II、ヒ トSPOIL-I及びヒトSPOIL-IIの各々におけるそれらの相対アミノ酸位置により番 号をつける。本明細書に用いられる場合、SPOILタンパク質の各々におけるアミ ノ酸残基は、SPOIL特徴モチーフにおける相対アミノ酸残基「に対応する」。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】 本発明の別の態様は、「SPOILユニークドメイン」を有するタンパク質を特徴 とする。 本明細書に用いられる場合、「SPOILユニークドメイン」は少なくとも約134-150
アミノ酸残基の長さであり、そして配列番号:17のアミノ酸残基66-206と少なく とも約45-50%の同一性を有する。別の態様として、SPOILユニークドメインは少
なくとも約136-148アミノ酸残基、好ましくは約138-146アミノ酸残基、より好ま
しくは140-144アミノ酸残基、そしてより好ましくは141、142または143アミノ酸
残基の長さであり、そして配列番号:17のアミノ酸残基66-206と少なくとも約55-
60%、好ましくは約65-70%、そしてより好ましくは約75%、80%、85%、90% 、95%、98%、99%または100%の同一性を有する。好ましい態様として、SPOIL
ユニークドメインは配列番号:17に示されるヒトSPOIL-IIの約アミノ酸残基66-20
6からである。別の好ましい態様として、SPOILユニークドメインは配列番号:14 に示されるヒトSPOIL-Iの約アミノ酸残基27-167からである。さらに別の好まし い態様として、SPOILユニークドメインは配列番号:25に示されるマウスSPOIL-II
の約アミノ酸残基17-158からである。
【0036】 本発明の別の態様は、「SPOIL C末端ユニークドメイン」を有するタンパク質 を特徴とする。本明細書に用いられる場合、「SPOIL C末端ユニークドメイン」 は少なくとも約58-78アミノ酸残基の長さであり、そして配列番号:17のアミノ酸
残基137-203と少なくとも約45-50%の同一性を有する。別の態様として、SPOIL
C末端ユニークドメインは少なくとも約61-74アミノ酸残基、好ましくは約63-72 アミノ酸残基、より好ましくは65-70アミノ酸残基、そしてより好ましくは67-68
アミノ酸残基の長さであり、そして配列番号:17のアミノ酸残基137-203と約55-6
0%、好ましくは約65-70%、そしてより好ましくは約75%、80%、85%、90%、
95%、98%、99%または100%の同一性を有する。一つの態様として、C 末端ユ
ニークドメインは全長タンパク質のC末端の70アミノ酸内、好ましくはタンパク 質のC末端の80アミノ酸残基内、より好ましくはタンパク質のC末端の90アミノ
酸残基内、そしてさらにより好ましくは全長タンパク質のC末端の100、120、14
0、160または180アミノ酸残基内に位置する。好ましい態様として、SPOIL C末端
ユニークドメインは配列番号:17に示されるヒトSPOIL-IIの約アミノ酸残基137-2
03からである。別の好ましい態様として、SPOIL C末端ユニークドメインは配列 番号:14に示されるヒトSPOIL-Iの約アミノ酸残基98-164からである。別の好まし
い態様として、SPOIL C末端ユニークドメインは配列番号:2に示されるマウスSPO
IL-Iの約アミノ酸残基26-93からである。さらに別の好ましい態様として、SPOIL
C末端ユニークドメインは配列番号:25に示されるマウスSPOIL-IIの約アミノ酸 残基88-155からである。
【0037】 本発明の別の態様はシグナル配列を含有する本発明のタンパク質、好ましくは
SPOILタンパク質を特徴とする。本明細書に用いられる場合、「シグナル配列」 は分泌タンパク質のN 末端に存在し且つ多数の疎水性アミノ酸残基を含有する約
17アミノ酸を含むペプチドをさす。例えば、シグナル配列は少なくとも約13-22 アミノ酸残基、好ましくは約15-20アミノ酸残基、より好ましくは約16-19アミノ
酸残基、そしてより好ましくは約17アミノ酸残基を含有し、そして少なくとも約
35-65%、好ましくは約38-50%、そしてより好ましくは約40-45%の疎水性アミ ノ酸残基(例えば、バリン、ロイシン、イソロイシンまたはフェニルアラニン)
を有する。当該技術分野において「シグナルペプチド」とも呼ばれるそのような
「シグナル配列」は、そのような配列を含有するタンパク質を脂質二重層に導く
ように働く。例えば、一つの態様として、SPOILタンパク質は配列番号:2の約ア ミノ酸1-17を含有するシグナル配列を含む。
【0038】 さらに別の態様として、本発明のタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質は 成熟タンパク質をコードする。本明細書に用いられる場合、「成熟タンパク質」
という用語は、シグナルペプチドが切断されている本発明のタンパク質、好まし
くはSPOILタンパク質をさす。例示的態様として、成熟SPOILタンパク質は配列番
号:5のアミノ酸残基1〜81を含有する。好ましい態様として、SPOILタンパク質は
、IL-1特徴ドメインを含む成熟SPOILタンパク質である。さらに別の態様として 、SPOILタンパク質は、SPOIL特徴モチーフ及び/またはSPOIL C末端ユニークド メインを含む成熟タンパク質である。
【0039】 本発明の好ましいタンパク質、好ましくはSPOILタンパク質は、配列番号:2; 配列番号:5;配列番号:14;配列番号:17;配列番号:25のアミノ酸配列、受託番 号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされる
アミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン
サートによりコードされるアミノ酸配列に十分に相同なアミノ酸配列を有する。
本明細書に用いられる場合、「十分に相同な」という用語は、第一及び第二のア
ミノ酸またはヌクレオチド配列が共通の構造ドメインもしくはモチーフ及び/ま
たは共通の機能活性を共有するように第二のアミノ酸またはヌクレオチド配列と
同じまたは同等な(例えば、類似した側鎖を有するアミノ酸残基)アミノ酸残基
またはヌクレオチドの十分なまたは最低限の数を含有する第一のアミノ酸または
ヌクレオチド配列をさす。例えば、共通の構造ドメインを共有するアミノ酸また
はヌクレオチド配列は、ドメインのアミノ酸配列にわたって少なくとも45%また
は50%の同一性、好ましくは60%の同一性、より好ましくは70-80%、さらによ
り好ましくは90-95%の同一性を有し、そして少なくとも1個、好ましくは2個の
構造ドメインまたはモチーフを含有し、本明細書において十分に相同であると定
義される。さらに、少なくとも45%もしくは50%、好ましくは60%、より好まし
くは70-80%または90-95%の同一性を共有し、そして共通の機能活性を共有する
アミノ酸またはヌクレオチド配列は、本明細書において十分に相同であると定義
される。
【0040】 本明細書において互換的に用いられる「SPOIL活性」、「SPOILの生物学的活性
」または「SPOILの機能活性」は、標準的な技術に従ってインビボまたはインビ トロで測定した場合に、SPOIL応答細胞に対してSPOILタンパク質、ポリペプチド
または核酸分子が及ぼす活性をさす。一つの態様として、SPOIL活性は、標的タ ンパク質、好ましくはSPOIL標的分子(例えば、細胞表面またはインターナリゼ ーションしたIL-1またはSPOIL受容体)との会合のような直接的活性である。別 の態様として、SPOIL活性は、別のタンパク質(例えば、シグナル経路のタンパ ク質)の合成または活性を阻害するような間接的活性である。好ましい態様とし
て、SPOIL活性は少なくとも1つまたはそれ以上の以下の活性:(i)SPOILタン
パク質分子を分泌した同じ細胞の表面上のタンパク質分子(例えば、SPOIL受容 体またはIL-1受容体)と細胞外環境におけるSPOILタンパク質との相互作用;(ii
)SPOILタンパク質分子を分泌したものと異なる細胞の表面上のタンパク質分子 (例えば、SPOIL受容体またはIL-1受容体)と細胞外環境におけるSPOILタンパク
質との相互作用;(iii)SPOILタンパク質と細胞表面受容体の間の複合体形成;
(iv)細胞外環境における標的分子(例えば、可溶性標的分子)とSPOILタンパ ク質との相互作用;(v)細胞内標的分子とSPOILタンパク質との相互作用(例え
ば、インターナリゼーションしたまたはエンドサイトーシスした受容体またはリ
ガンドを連結した受容体との相互作用);及び(vi)少なくとも1個、好ましく は2個またはそれ以上の細胞内標的分子との複合体形成である。
【0041】 さらに別の好ましい態様として、SPOIL活性は少なくとも1つまたはそれ以上 の以下の活性:(1)シグナル伝達経路(例えば、IL-1依存的またはSPOIL依存 的経路)を調節すること、例えば拮抗すること;(2)サイトカイン生産及び/
または分泌(例えば、好炎症性サイトカインの生産及び/または分泌)を調節す
ること;(3)リンホカイン生産及び/または分泌を調節すること;(5)接着
分子の生産及び/または細胞接着を調節すること;(6)核転写因子の発現また
は活性を調節すること;(7)IL-1の分泌を調節すること;(8)IL-1受容体へ
の結合をIL-1と競合すること;(9)SPOIL受容体への結合をSPOILタンパク質(
例えば、SPOIL-1またはSPOIL-IIファミリーメンバー)と競合すること;(10 )インターナリゼーションしたIL-1またはSPOIL受容体またはリガンドと複合体 形成した受容体の核移動を調節すること;(11)細胞増殖、発生または分化、
例えば、(例えば、上皮細胞、例えば食道の扁平上皮細胞の、または皮膚細胞、
例えば角質細胞の)IL-1により刺激されるかまたはSPOILタンパク質により刺激 される増殖、発生または分化を調節すること;(12)骨原性細胞の(例えば、
破骨細胞前駆細胞、破骨細胞及び/または骨芽細胞の)細胞増殖、発生または分
化を調節すること;(13)骨原性細胞の機能(例えば、骨芽細胞及び/または
破骨細胞機能)を調節すること;(14)骨形成、骨代謝及び/または骨ホメオ
スタシスを調節すること(例えば、骨吸収を阻害すること);(15)細胞性免
疫応答を調節すること;(16)サイトカインによりもたらされる好炎症性作用
を調節すること(例えば、肝細胞による急性期タンパク質合成、熱及び/または
プロスタグランジン合成、例えばPGE2合成を阻害すること);及び(17)創傷
治癒を促進すること及び/または効果を高めることである。
【0042】 本発明は、少なくとも一つには、ある種の保存された構造的特徴(例えば、SP
OIL特徴モチーフ、IL-1特徴ドメイン、SPOIL C末端ユニークドメイン)を共有す
るSPOILタンパク質(例えば、SPOIL-I及びSPOIL-IIタンパク質)のファミリーの
発見に基づく。さらに、SPOILタンパク質が、おそらく1個またはそれ以上の共通
遺伝子の選択的スプライシングのために、複数のアイソフォームとして存在する
ことが見いだされた。例えば、内部の挿入されたアミノ酸セグメントを有するSP
OILタンパク質が同定された(例えば、ヒトSPOIL-IIはヒトSPOIL-Iに出現しない
少なくとも40アミノ酸残基のセグメントを含む)。また、分泌及び細胞内分子の
両方として機能する可能性があるSPOILタンパク質も同定されている(例えば、 マウスSPOIL-IはマウスSPOIL-IIにおいて見いだされないシグナル配列を有する )。従って、本明細書に与えられるヌクレオチド及びアミノ酸配列情報に基づい
て、例えば、ゲノムSPOIL配列の選択的スプライシングにより、本明細書に定義 される構造的特徴の独特な組み合わせを有するさらなるSPOILファミリーメンバ ーを同定することができる。例えば、配列番号:14及び17として記述されるアミ ノ酸配列の全部または一部を含むヒトSPOILの分泌アイソフォームを同定するこ とができる。
【0043】 さらに、別のファミリーメンバーと比較した場合にあるSPOILファミリーメン バーにおいて見いだされる独特なヌクレオチド及び/またはアミノ酸配列に基づ
いてSPOILファミリーメンバーを同定することができる。例えば、マウスSPOIL-I
(配列番号:1)及びマウスSPOIL-II(配列番号:24)のヌクレオチド配列間の比 較により、マウスSPOIL-IIがマウスSPOIL-I(配列番号:1)にないヌクレオチド2
25から364までのフラグメントを含むことが示される。さらに、マウスSPOIL-I(
配列番号:2)及びマウスSPOIL-II(配列番号:25)のアミノ酸配列の比較により 、マウスSPOIL-IIがマウスSPOIL-Iにないアミノ酸1から90までのフラグメントを
含むことが示される。従って、本発明の一つの態様は、配列番号:24のヌクレオ チド225から364までを含む単離された核酸分子を含む。別の態様として、本発明
の単離された核酸分子は、ヌクレオチド225から364までの配列番号:24の少なく とも30個の連続したヌクレオチドを含む。別の態様として、本発明の単離された
核酸分子は、ヌクレオチド225から364までの配列番号:24の少なくとも20-140、3
0-130、40-120、50-110、60-100、70、80または90個の連続したヌクレオチドを 含む。さらに別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:24の ヌクレオチド225〜364に少なくとも約50%の同一性を有する。さらに別の態様と
して、単離された核酸分子は、ヌクレオチド224から364までの配列番号:24の少 なくとも30個の連続したヌクレオチドに少なくとも50%の同一性を有する。さら
に別の態様として、本発明の単離別された核酸分子は、配列番号:24のヌクレオ チド225〜364にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。さらに別の態
様として、単離された核酸分子は、ヌクレオチド225から364までの配列番号:24 の少なくとも30個の連続したヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする。
【0044】 本発明の別の態様は、配列番号:25のアミノ酸1〜90を含むポリペプチドに関 する。さらに別の態様として、ポリペプチドは、配列番号:25のアミノ酸1から90
までの配列番号:25の少なくとも30個の連続したアミノ酸を含む。さらに別の態 様として、ポリペプチドは、アミノ酸1から90までの配列番号:25の少なくとも10
-90、20-80、30-70、40、50または60個の連続したアミノ酸を含む。本発明のさ らに別の態様は、配列番号:25のアミノ酸1〜90に少なくとも50%の同一性を有す
るポリペプチドに関する。さらに別の態様として、ポリペプチドは、アミノ酸1 から90までの配列番号:25の少なくとも10-90、20-80、30-70、40、50または60個
の連続したアミノ酸に少なくとも50%の同一性を有する。本発明のさらに別の態
様は、本明細書に記述されるポリペプチドのいずれかをコードする単離された核
酸分子を特徴とする。
【0045】 同様に、ヒトSPOIL-I(配列番号:13)及びヒトSPOIL-II(配列番号:16)のヌ クレオチド配列間の比較により、ヒトSPOIL-IIがヒトSPOIL-I(配列番号:13)に
ないヌクレオチド153から269までのフラグメントを含むことが示される。さらに
、ヒトSPOIL-I(配列番号:14)及びヒトSPOIL-II(配列番号:17)のアミノ酸配 列の比較により、ヒトSPOIL-IIがヒトSPOIL-Iにないアミノ酸19から58までのフ ラグメントを含むことが示される。従って、本発明の一つの態様として、配列番
号:24のヌクレオチド153〜269を含む単離された核酸分子を含む。別の態様とし て、本発明の単離された核酸分子は、ヌクレオチド153から269までの配列番号:2
4の少なくとも30個の連続したヌクレオチドを含む。別の態様として、本発明の 単離された核酸分子は、ヌクレオチド153から269までの配列番号:16の少なくと も20-140、30-130、40-120、50-110、60-100、70、80または90個の連続したヌク
レオチドを含む。さらに別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列
番号:16のヌクレオチド153〜269に少なくとも約50%の同一性を有する。さらに 別の態様として、単離された核酸分子は、ヌクレオチド224から364までの配列番
号:16の少なくとも30個の連続したヌクレオチドに少なくとも50%の同一性を有 する。さらに別の態様として、本発明の単離別された核酸分子は、配列番号:16 のヌクレオチド153〜269にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。さ
らに別の態様として、単離された核酸分子は、ヌクレオチド153から269までの配
列番号:16の少なくとも30個の連続したヌクレオチドにストリンジェントな条件 下でハイブリダイズする。
【0046】 本発明の別の態様は、配列番号:17のアミノ酸19〜58を含むポリペプチドを含
む。さらに別の態様として、本発明は、配列番号:17のアミノ酸19から58までの 配列番号:17の少なくとも30個の連続したアミノ酸を含むポリペプチドを特徴と する。さらに別の態様として、ポリペプチドは、アミノ酸19から58までの配列番
号:17の少なくとも10-90、20-80、30-70、40、50または60個の連続したアミノ酸
を含む。さらに別の態様として、ポリペプチドは、配列番号:17のアミノ酸19〜5
8に少なくとも50%の同一性を有する。さらに別の態様として、ポリペプチドは 、アミノ酸19から58までの配列番号:17の少なくとも10-90、20-80、30-70、40、
50または60個の連続したアミノ酸に少なくとも50%の同一性を有する。本発明の
さらに別の態様は、本明細書に記述されるポリペプチドのいずれかをコードする
単離された核酸分子を特徴とする。
【0047】 本明細書に記述される分泌及び細胞内SPOIL分子(例えば、SPOIL-I及びIIアイ
ソフォーム)の両方の存在を考えれば、本発明のSPOIL分子及びSPOILタンパク質
のモジュレーターが、例えば、細胞外事象により(例えば、細胞表面受容体と例
えばサイトカイン(例えばIL-1)またはSPOILタンパク質の相互作用により)引 き起こされる細胞応答を調節することにおいて有用であることが理解される。例
えば、IL-1の平衡のとれていない生産は様々な炎症性疾患の病因と関係すること
が分かっている。従って、SPOILタンパク質及び/またはSPOILモジュレーターは
、ホメオスタシスを獲得すること及びそのような不均衡を改善することにおける
治療剤として有用な可能性がある。
【0048】 同様に、本発明のSPOIL分子及びSPOILタンパク質のモジュレーターは、サイト
カイン(例えばIL-1)及び/またはSPOILタンパク質依存的細胞内応答を調節す ること(例えば、細胞内アンタゴニストとして作用すること)において有用であ
ることが理解される。例えば、サイトカイン(例えばIL-1)はある種の細胞型、
例えば皮膚細胞、例えば角質細胞から分泌されないことが分かっており、従って
、細胞内サイトカイン依存的応答の異なる一組及び細胞内SPOILタンパク質依存 的活性の対応する一組が存在する。
【0049】 さらに、本発明のSPOIL分子は、例えば上皮細胞、特に食道の扁平上皮及び口 の上皮裏層において構成的に発現されることが見いだされている(例えば、マウ
スSPOIL-IIは食道cDNAライブラリーから単離された)。さらに、SPOIL分子の発 現をある種の細胞型及び組織において誘導することもできる。例えば、ヒトSPOI
L類は刺激された角質細胞ライブラリーから単離され、そしてヒトSPOIL-IはPMA 、イオノマイシン、TNF及びシクロヘキサミドで誘導した角質細胞において発現 された。さらに、ヒトSPOIL-IはLPSで刺激した単球細胞において認められ、そし
てSPOIL-Iの発現はリポ多糖(LPS)を注入したマウスの腎臓において誘導された
。さらに、発現はある種の増殖性疾患と相関関係がある。例えば、ヒトSPOIL-I はヒト食道腫瘍サンプルで発現され、そして食道の扁平細胞癌において過剰発現
されることが見いだされた。さらに、SPOILの分泌型(例えば、マウスSPOIL-I)
は、インビボで発現した場合に、破骨細胞分化及び/または機能の損傷並びに正
常に機能しない骨吸収の証拠をもたらすことが示されている(実施例5を参照)
【0050】 従って、本発明の別の態様として、SPOIL分子または好ましくはSPOILモジュレ
ータは、少なくとも1つまたはそれ以上の以下の疾病または疾患:(1)炎症性
疾患及び炎症、敗血症性ショック、関節炎、間大腸炎(intercolitis)及び肺臓
炎を初めとするがそれらに限定されない疾患;(2)増殖性疾患(例えば、黒色
腫及びカポジ肉腫を初めとするがそれらに限定されない皮膚癌並びに扁平細胞癌
、食道癌及び口及び/または喉の癌を初めとする他の上皮癌)を初めとするがそ
れらに限定されない上皮細胞及び/または皮膚の疾病及び疾患;(3)骨粗鬆症
、パジェット病、変形性関節症、変性関節症、骨形成不全症、繊維性形成異常症
、低ホスファターゼ血症、骨肉腫、骨髄種骨疾患(例えば骨融解性骨損傷)及び
高カルシウム血症を初めとするがそれらに限定されない骨に関連した及び/また
は骨吸収疾患を調節する、予防する及び/または処置するために有用である。さ
らに、SPOIL分子及びSPOILモジュレーターは以下の目的:(1)骨量の調節(例
えば、骨量の増加及び/または骨損失の抑制);(2)骨脆弱(fragility)の 管理(例えば、骨脆弱の減少);並びに(3)骨の痛み、骨変形及び/または骨
折の予防及び/または処置のために有用であることが理解される。
【0051】 本発明の別の態様は、本明細書に定義されるような、保存されたSPOIL構造的 特徴及びSPOIL活性を有する単離されたSPOILタンパク質及びポリペプチドを特徴
とする。好ましいSPOILタンパク質はIL-1特徴ドメイン及びSPOIL活性を有する。
一つの態様として、SPOILタンパク質はシグナルペプチド、IL-1特徴ドメイン及 びSPOIL活性を有する。別の好ましい態様として、SPOILタンパク質はシグナルペ
プチド、IL-1特徴ドメイン、SPOIL活性及び配列番号:2;配列番号:14;配列番号
:17;配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラ スミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984と
してATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸 配列に十分に相同なアミノ酸配列を有する。
【0052】 本発明の別の態様は、SPOIL活性、SPOIL特徴モチーフ(短いもしくは長い型)
及び/またはSPOILユニークドメインを有する単離されたSPOILタンパク質及びポ
リペプチドを特徴とする。別の態様として、SPOILタンパク質はSPOIL 活性、SPO
IL 特徴モチーフ(短いもしくは長い型)及び/またはSPOIL C末端ユニークドメ
インを有する。別の好ましい態様として、SPOILタンパク質はSPOIL活性、SPOIL 特徴モチーフ(短いもしくは長い型)及び/またはSPOIL C末端ユニークドメイ ン及び配列番号:2;配列番号:14;配列番号:17;配列番号:25のアミノ酸配列、 受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコード
されるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのD
NAインサートによりコードされるアミノ酸配列に十分に相同なアミノ酸配列を有
する。上記のSPOILタンパク質は、本明細書に記述されるようなIL-1特徴ドメイ ンをさらに含むことができる。
【0053】 特に好ましい態様として、本発明のSPOILタンパク質及び核酸分子はヒトSPOIL
分子である。単離されたヒトSPOIL-I cDNAのヌクレオチド配列及びヒトSPOIL-I タンパク質の予測されるアミノ酸配列を図4並びに配列番号:13及び14にそれぞ れ示す。さらに、ヒトSPOIL-I cDNAのコーディング領域に対応するヌクレオチド
配列(ヌクレオチド124〜630)を配列番号:15として示す。
【0054】 約1291ヌクレオチドの長さであるヒトSPOIL-I cDNAは、約169アミノ酸残基の 長さであるタンパク質をコードする。ヒトSPOIL-Iをコードする全長ヌクレオチ ド配列を含有するプラスミド(クローン名称Epjthkf035fl1)を1998年9月11日に
現在Manassas、VirginiaのAmerican Type Culture Collection(ATCC)にブダペス
ト条約の条項により寄託し、受託番号98883を付与された。ヒトSPOIL-Iタンパク
質はIL-1特徴ドメインを含有し、それを例えば配列番号:14の約アミノ酸130か ら151まで(ヒトSPOIL-Iアミノ酸配列のLeu130〜Leu151)に見いだすことができ
る。ヒトSPOIL-Iタンパク質はさらにSPOIL特徴モチーフを含有し、それを例えば
配列番号:14の約アミノ酸98-164(長い)の約98-141(短い)(ヒトSPOIL-Iア ミノ酸配列のGln98〜Ala141またはGln98〜Glu164)から見いだすことができる。
SPOIL C末端ユニークドメインをヒトSPOIL-Iタンパク質において例えば配列番号
:14の約アミノ酸残基98-164(ヒトSPOIL-Iアミノ酸配列のGln98〜Glu164)から
見いだすことができる。
【0055】 単離されたヒトSPOIL-II cDNAのヌクレオチド配列及びヒトSPOIL-IIタンパク 質の予測されるアミノ酸配列を図5並びに配列番号:18及び19にそれぞれ示す。さ
らに、ヒトSPOIL-II cDNAのコーディング領域に対応するヌクレオチド配列(ヌ クレオチド98-721)を配列番号:18として示す。
【0056】 約1377ヌクレオチドの長さであるヒトSPOIL-II cDNAは、約208アミノ酸残基の
長さであるタンパク質をコードする。ヒトSPOIL-IIをコードする全長ヌクレオチ
ド配列を含有するプラスミド(クローン名称Epjthkf074e01)を1998年11月11日 に現在Manassas、VirginiaのAmerican Type Culture Collection(ATCC)にブダペ
スト条約の条項により寄託し、受託番号98984を付与された。ヒトSPOIL-IIタン パク質はIL-1特徴ドメインを含有し、それを例えば配列番号:14の約アミノ酸16
9-190(ヒトSPOIL-IIアミノ酸配列のLeu169〜Leu190)から見いだすことができ る。ヒトSPOIL-IIタンパク質はさらにSPOIL特徴モチーフを含有し、それを例え ば配列番号:17の約アミノ酸137-203(長い)からの約137-180(短い)(ヒトSP
OIL-IIアミノ酸配列のGln137〜Ala180またはGln137〜Glu203)から見いだすこと
ができる。SPOIL C末端ユニークドメインをヒトSPOIL-IIタンパク質において例 えば配列番号:17の約アミノ酸残基137-203(ヒトSPOIL-IIアミノ酸配列のGln13
7〜Glu203)から見いだすことができる。
【0057】 別の好ましい態様として、本発明のSPOILタンパク質及び核酸分子はマウスSPO
IL分子である。単離されたマウスSPOIL-I cDNAのヌクレオチド配列及びマウスSP
OIL-Iタンパク質の予測されるアミノ酸配列を図1並びに配列番号:1及び2にそれ
ぞれ示す。さらに、マウスSPOIL-I cDNAのコーディング領域に対応するヌクレオ
チド配列(ヌクレオチド135-428)及び成熟SPOIL-Iタンパク質をコードするSPOI
L-I cDNAをそれぞれ配列番号:3及び配列番号:4として示す。
【0058】 約746ヌクレオチドの長さである(配列番号:1に記述される)マウスSPOIL-I cDN
Aは、(シグナル配列を有する)約10.96kD及び(シグナル配列なしの)9.1kDの 分子量を有し且つ約98アミノ酸残基の長さであるタンパク質をコードする(配列
番号:2)。マウスSPOIL-Iタンパク質は本明細書に定義したようなIL-1特徴ドメ インを含有し、それを例えば配列番号:2の約アミノ酸58から80まで、そして例
えば配列番号:5の約アミノ酸41-63から見いだすことができる。マウスSPOIL-Iタ
ンパク質はさらにSPOIL特徴モチーフを含有し、それを例えば配列番号:2の約ア
ミノ酸26-93(長い)からの約26-69(短い)(マウスSPOIL-Iアミノ酸配列のGln
26〜Ala69またはGln26〜Glu93)から見いだすことができる。SPOIL C末端ユニー
クドメインをマウスSPOIL-Iタンパク質において例えばヒトSPOIL-IのSPOIL C末 端ユニークドメインに52.2%の同一性を有する配列番号:17の約アミノ酸残基26
-93(マウスSPOIL-Iアミノ酸配列のGln26〜Glu93)から見いだすことができる。
(例えば、Lipman-Pearsonアルゴリズム(Lipman及びPearson(1985)Science 227
:1435-1441)を用いて、2のK-tuple、4のギャップぺナルティー及び12のギャ
ップ重みぺナルティーで比較を実施することができる。)さらに、マウスSPOIL-
Iタンパク質はシグナル配列を含有することができる。シグナル配列を少なくと も例えば配列番号:2の約アミノ酸1-17から見いだすことができる。そのようなシ
グナルペプチドの予測を例えばコンピューターアルゴリズムSignalP(Henrik等
(1997)Protein Engineering 10:1-6)を利用して実施することができる。
【0059】 配列番号:2の全アミノ酸配列をレトロウイルスベクターMSCVneo(Hawley等(19
94)GeneTherapy 1:136-138)中にサブクローン化し、レトロウイルス送達のため
に用いた。マウスSPOIL-Iを発現するレトロウイルスベクターを感染させた骨髄 を放射線照射したマウス受容体に移植した。これらのマウス受容体から取り出し
た骨は、組織学的に、コントロールマウスの骨より太い(thicker)ようであっ た。さらに、マウス受容体から取り出し、骨髄細胞系上で培養した脾臓細胞(す
なわち、破骨細胞前駆体の供給源)は、コントロールマウスの脾臓細胞より減少
した破骨細胞生産を示した。これらの実験を本明細書においてさらに詳細に説明
する。
【0060】 マウス組織のインサイチュー分析により、試験した組織の中で、SPOIL-I mRNA
転写産物はほとんど食道の扁平細胞上皮及び口の上皮裏層においてのみ発現され
る。ヒト組織のノーザンブロット分析はSPOIL発現のこのパターンを裏付け、転 写産物は試験した組織の中で食道において検出され、おそらく気管においても発
現される。さらに、SPOILはヒト食道腫瘍サンプルでも存在し、食道の適度に分 化した扁平細胞癌において過剰発現される。
【0061】 マウスIL-1ra(Swiss-ProtTM(商標)受託番号P25085)(配列番号:10)並び にマウスIL-1α(Swiss-ProtTM受託番号P01582)(配列番号:11)及びマウスIL-
1β(Swiss-ProtTM受託番号P10749)(配列番号:12)とマウスSPOIL-1のアミノ 酸配列の複数配列整列を図3に示す。(MegAlignTM(商標)配列整列ソフトウェ
アを用いて整列を作製した。) 単離されたマウスSPOIL-II cDNAのヌクレオチド配列及びマウスSPOIL-IIタン パク質の予測されるアミノ酸配列を図6並びに配列番号:24及び25にそれぞれ示 す。さらに、マウスSPOIL-II cDNAのコーディング領域に対応するヌクレオチド 配列(ヌクレオチド96-575)を配列番号:26として示す。
【0062】 約838ヌクレオチドの長さである(配列番号:24に記述される)マウスSPOIL-II c
DNAは、約160アミノ酸残基の長さであるタンパク質をコードする(配列番号:25 )。マウスSPOIL-IIタンパク質は本明細書に定義したようなIL-1特徴ドメインを
含有し、それを例えば配列番号:25の約アミノ酸120から142までに見いだすこと
ができる。マウスSPOIL-IIタンパク質はさらにSPOIL特徴モチーフを含有し、そ れを例えば配列番号25の約アミノ酸88-155(長い)からの約88-131(短い)(マ
ウスSPOIL-IIアミノ酸配列のGln88〜Ala131またはGln88〜Glu155)から見いだす
ことができる。SPOIL C末端ユニークドメインをマウスSPOIL-IIタンパク質にお いて例えばヒトSPOIL-IのSPOIL C末端ユニークドメインに52.2%の同一性を有す
る配列番号:25の約アミノ酸残基88-155(マウスSPOIL-IIアミノ酸配列のGln88 〜Glu155)から見だすことができる。
【0063】 ((配列番号:14のアミノ酸残基1-169に対応する)ヒトSPOIL-I、(配列番号:
17のアミノ酸残基1-208に対応する)ヒトSPOIL-II、(配列番号:2のアミノ酸残 基1-98に対応する)マウスSPOIL-I及び(配列番号:25のアミノ酸残基1-160に対 応する)マウスSPOIL-IIのアミノ酸配列の複数配列整列を図8に示す。
【0064】 マウスIL-1ra(Swiss-ProtTM受託番号P25085)(配列番号:10)並びにマウスI
L-1α(Swiss-ProtTM受託番号P01582)(配列番号:11)及びマウスIL-1β(Swis
s-ProtTM受託番号P10749)(配列番号:12)とマウスSPOIL-I、マウスSPOIL-II、
ヒトSPOIL-I及びヒトSPOIL-IIのアミノ酸配列の複数配列整列を図9に示す。(C
lustalアルゴリズムを使用してMegAlignTM配列整列ソフトウェアを用いて図3、8
及び9の整列を作製した。)最初の対毎の整列パラメーターを1のK-tuple、3の ギャップぺナルティー、5のウィンドーに設定し、そして保存される項(diagon
als)を=5に設定する。複数整列パラメーターを10のギャップぺナルティー及び1
0のギャップ長ぺナルティーに設定する。
【0065】 本発明の様々な態様を以下の小節においてさらに詳細に記述する:I.単離された核酸分子 本発明の1つの態様は、SPOILタンパク質またはその生物学的に活性の部分を コードする単離された核酸分子並びにSPOILをコードする核酸(例えばSPOIL mRN
A)を同定するためにハイブリダイゼーションプローブとして使用するために十 分な核酸フラグメント及びSPOIL核酸分子の増幅または突然変異のためにPCR プライマーとして使用するためのフラグメントに関する。本明細書に用いられる
場合、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)及び
RNA分子(例えばmRNA)並びにヌクレオチド類似体を用いて作製されるDNAまたは
RNAの類似体を含むものとする。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であってもよ いが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0066】 「単離された核酸分子」という用語は、核酸の天然起源中に存在する他の核酸
分子から分離されている核酸分子を含む。例えば、ゲノムDNAに関して、「単離 された」という用語は、ゲノムDNAが生来会合してする染色体から分離されてい る核酸分子を含む。好ましくは、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生
物体のゲノムDNAにおいて生来その核酸に隣接する配列(すなわち、その核酸の 5’及び3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、様々な態様として、単
離されたSPOIL核酸分子は、その核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて生来そ
の核酸分子に隣接するヌクレオチド配列の約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0
.1kb未満を含有することができる。単離された染色体は、本明細書に定義される
ような単離された核酸分子ではない。さらに、cDNA分子のような「単離された」
核酸分子は、組み換え技術により生産される場合には他の細胞材料もしくは培養
培地を実質的に含有せず、または化学的に合成される場合には化学前駆物質もし
くは他の化学薬品を実質的に含有しないものであってもよい。
【0067】 本発明の核酸分子、例えば配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号
:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート、受託 番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの一
部のヌクレオチド配列を有する核酸分子を標準的な分子生物学技術及び本明細書
に与えられる配列情報を用いて単離することができる。ハイブリダイゼーション
プローブとして配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番 号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号9898
4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの核酸配列の全部または一
部を用いて、SPOIL核酸分子を(例えば、Sambrook,J.、Fritsh,E.F.及びManiatis
,T.Molecular Cloning:A Laboratory Mannual.第2版、Cold Spring Harbor Labor
atory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY.1989中に
記述されるような)標準的なハイブリダイゼーション及びクローニング技術を用
いて単離することができる。別の態様として、配列番号:1の核酸配列の一部、例
えば、ヌクレオチド1から15までまたはヌクレオチド447もしくは495から746まで
をハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。さらに別の態様
として、配列番号:13の核酸配列の一部、例えば、ヌクレオチド1から280までま たはヌクレオチド390から1291までをハイブリダイゼーションプローブとして用 いることができる。さらに別の態様として、配列番号:18の核酸配列の一部、例 えば、ヌクレオチド1-371からまたは481-1377からハイブリダイゼーションプロ ーブとして用いることができる。さらに別の態様として、配列番号:24の核酸配 列の一部、例えば、ヌクレオチド225-364から、96-575からまたは495-838からハ
イブリダイゼーションプローブとして用いることができる。
【0068】 さらに、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号988
83としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984とし
てATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの全部または一部を包含する核 酸分子を配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883
としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの配列に基づいて設計された合成 オリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単 離することができる。
【0069】 本発明の核酸を標準的なPCR増幅技術に従って鋳型としてcDNA、mRNA、ある
いはまたゲノムDNA及び適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する ことができる。そのように増幅した核酸を適当なベクター中にクローン化し、そ
してDNA配列分析により特性化することができる。さらに、SPOILヌクレオチド配
列に対応するオリゴヌクレオチドを標準的な合成技術により、例えば自動DNA合 成機を用いて調製することができる。
【0070】 好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:3に示される
ヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:3の配列は、マウスSPOIL-I cDNA
に相当する。このcDNAは、マウスSPOIL-Iタンパク質をコードする配列(すなわ ち、配列番号:1のヌクレオチド135-428からの「コーディング領域」)を含んで なる。
【0071】 別の好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:4に示さ
れるヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:4の配列は、マウスSPOIL-I cD
NAに相当する。このcDNAは、成熟SPOIL-Iタンパク質をコードする配列(すな わち、シグナル配列が切断された後の配列番号:1のヌクレオチド186-428から) を含んでなる。
【0072】 さらに別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:1に示され
るヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:1の配列は、マウスSPOIL-I cDN
Aのコーディング及び非コーディング領域に相当する。このcDNAは、マウスSPOI
L-Iタンパク質をコードする配列(すなわち、ヌクレオチド135-428からの「コー
ディング領域」)及び非コーディング領域(すなわち、ヌクレオチド1-134から 及びヌクレオチド429-746から)を含んでなる。
【0073】 さらに別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:24に示さ れるヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:24の配列は、マウスSPOIL-II c
DNAのコーディング及び非コーディング領域に相当する。このcDNAは、マウス
SPOIL-IIタンパク質をコードする配列(すなわち、ヌクレオチド96-575からの「
コーディング領域」)及び非コーディング領域(すなわち、ヌクレオチド1-95か
ら及びヌクレオチド576-838から)を含んでなる。
【0074】 別の好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:13に示 されるヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:13の配列は、ヒトSPOIL-I c DNAに相当する。このcDNAは、ヒトSPOIL-Iタンパク質をコードする配列(す なわち、ヌクレオチド124-630からの「コーディング領域」)並びに5’非翻訳配
列(ヌクレオチド1〜123)及び3’非翻訳配列(ヌクレオチド631〜1291)を含 んでなる。あるいはまた、核酸分子は、配列番号:13のコーディング領域(例え ばヌクレオチド124〜630)のみを含んでなることができる。
【0075】 別の好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:16に示 されるヌクレオチド配列を含んでなる。配列番号:16の配列は、ヒトSPOIL-II c
DNAに相当する。このcDNAは、ヒトSPOIL-IIタンパク質をコードする配列(す
なわち、ヌクレオチド98-721からの「コーディング領域」)並びに5’非翻訳配 列(ヌクレオチド1-97)及び3’非翻訳配列(ヌクレオチド722-1377)を含んで なる。あるいはまた、核酸分子は、配列番号:16のコーディング領域(例えばヌ クレオチド98-721)のみを含んでなることができる。
【0076】 別の好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:1、配列
番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプ
ラスミドのDNAインサートもしくは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラス
ミドのDNAインサートにおいて示されるヌクレオチド配列またはこれらのヌクレ オチド配列のいずれかの一部の相補物である核酸分子を含んでなる。配列番号:1
、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプ
ラスミドのDNAインサートにおいて示されるヌクレオチド配列に相補的な核酸分 子は、それが配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号9
8883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートもしくは受託番号98984
としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物にお いて示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができ、それにより安
定な二重鎖を形成するように、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番
号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまた は受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートにおいて示
されるヌクレオチド配列に十分に相補的なものである。
【0077】 さらに別の好ましい態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:1
に示されるヌクレオチド配列、配列番号:13に示されるヌクレオチド配列、配列 番号:16に示されるヌクレオチド配列、配列番号:24に示されるヌクレオチド配列
、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート、受託番号
98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列ま
たはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部に少なくとも約50-55%、60-65
%、好ましくは少なくとも約70-75%、より好ましくは少なくとも約80-85%、そし てなおより好ましくは少なくとも約90-95%またはそれ以上同一であるヌクレオ チド配列を含んでなる。
【0078】 さらに、本発明の核酸分子は、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列
番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートま たは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの核酸配
列の一部のみ、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用できるフラグメ
ントまたはSPOILタンパク質の生物学的に活性の部分をコードするフラグメント を含んでなることができる。マウス及びヒトSPOIL遺伝子のクローニングから決 定されたヌクレオチド配列は、他の細胞型における、例えば他の組織からのSPOI
L相同物並びに他の哺乳類からのSPOIL相同物の同定及び/またはクローニングに
使用するために設計されるプローブ及びプライマーの作製を可能にする。プロー
ブ/プライマーは、典型的に、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含んで
なる。オリゴヌクレオチドは、典型的に、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:
16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン サートもしくは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサー
トのセンス配列、または配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24 、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートもしくは受
託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートのアンチセンス
配列、または配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号9
8883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートもしくは受託番号98984
としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートのいずれかの天然に存在す る突然変異体の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約40、50または7
5個の連続したヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする ヌクレオチド配列の領域を含んでなる。
【0079】 マウスまたはヒトSPOILヌクレオチド配列のいずれかに基づくプローブを同じ または相同なタンパク質をコードする転写産物またはゲノム配列を検出するため
に用いることができる。好ましい態様として、プローブはさらにそれに結合した
標識基を含んでなり、例えば、標識基は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素また
は酵素補因子であってもよい。患者からの細胞サンプルにおいてSPOILをコード する核酸のレベルを測定すること、例えば、SPOIL mRNAレベルを検出するかまた
はゲノムSPOIL遺伝子が突然変異もしくは欠失しているかどうかを決定すること によるような、SPOILタンパク質を誤発現している細胞または組織を同定するた めの診断試験キットの一部としてそのようなプローブを用いることができる。
【0080】 SPOIL生物学的活性(SPOILタンパク質の生物学的活性は先に記述されている)
を有するポリペプチドをコードする配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配
列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの部分
を単離し、(例えばインビトロでの組換え発現により)SPOILタンパク質のコー ドされる部分を発現させ、そしてSPOILタンパク質のコードされる部分の活性を 評価することにより「SPOILの生物学的に活性の部分」をコードする核酸フラグ メントを調製することができる。
【0081】 本発明はさらに、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受 託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号
98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートとして記述されたヌク
レオチド配列を有する核酸分子の縮重配列変異体である核酸分子を包含する。本
明細書において用いられる場合、「縮重配列変異体」は、遺伝暗号の縮重のため
に配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに
寄託されたプラスミドのDNAインサート(及びそれらの一部、例えば、配列番号:
3、配列番号:15または配列番号:18)に示されるヌクレオチド配列と異なるが、 配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてAT
CCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄
託されたプラスミドのDNAインサートに示されるヌクレオチド配列によりコード されるものと同じSPOILタンパク質をコードする配列を有する核酸分子である。 別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:2、配列番号:4、配
列番号:17、配列番号:25に示されるアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに 寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列を有するタン パク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0082】 配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに
寄託されたプラスミドのDNAインサートに示されるヒト及びマウスSPOILヌクレオ
チド配列に加えて、SPOILのアミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列多型が集団(
例えばヒト集団)内に存在する可能性があることは当業者により理解される。SP
OIL遺伝子中のそのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子変異により集団内の 個体間に存在する可能性がある。本明細書において用いられる場合、「遺伝子」
及び「組換え遺伝子」という用語は、SPOILタンパク質、好ましくは哺乳類SPOIL
タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含んでなる核酸分子を
さし、そしてさらに非コーディング調節配列及びイントロンを含むことができる
【0083】 ヒトSPOILの対立遺伝子変異体は、機能性および非機能性の両方のSPOILタンパ
ク質を含む。機能性対立遺伝子変異体は、先に記述したようなSPOIL生物学的活 性を維持するヒトSPOILタンパク質の天然に存在するアミノ酸配列変異体である 。機能性対立遺伝子変異体は、典型的に、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:
17、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン サートによりコードされるアミノ酸配列もしくは受託番号98984としてATCCに寄 託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列の1個も しくはそれ以上のアミノ酸の保存的置換のみまたはそれらのタンパク質の重要で
ない領域中の重要でない残基の置換、欠失もしくは挿入を含む。
【0084】 非機能性対立遺伝子変異体は、SPOILタンパク質の1つまたはそれ以上の生物 学的活性をもたないヒトSPOILタンパク質の天然に存在するアミノ酸配列変異体 である。非機能性対立遺伝子変異体は、典型的に、配列番号:2、配列番号:14、 配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託さ れたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列もしくは受託 番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされ
るアミノ酸配列の非保存的置換、欠失もしくは挿入もしくは未熟末端切断、また
は重要な残基もしくは重要な領域における置換、挿入もしくは欠失を含む。
【0085】 本発明はさらに、本発明のヒト及びマウスSPOILタンパク質の非ヒトオーソロ ガスを提供する。本発明のヒト及びマウスSPOILタンパク質のオーソロガスは、 他の生物体から単離され且つヒトまたはマウスSPOILタンパク質の生物学的活性 の少なくとも1つを保有するタンパク質である。本明細書に記述されるように、
オーソロガスを配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25、受託番 号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされる
アミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン
サートによりコードされるアミノ酸配列に実質的に相同なアミノ酸配列を含むと
容易に同定することができる。
【0086】 さらに、他のSPOILファミリーメンバーをコードし、従って、配列番号:1、配 列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託された
プラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラス
ミドのDNAインサートのヒト及びマウス配列と異なるヌクレオチド配列を有する 核酸分子は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0087】 本発明のSPOIL cDNAの天然の対立遺伝子変異体、相同物及び/またはオーソロ
ガスに対応する核酸分子をストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で
標準的なハイブリダイゼーション技術に従ってハイブリダイゼーションプローブ
としてヒトもしくはマウスcDNAまたはいずれかの配列の一部を用いて本明細書に
開示されるヒトまたはマウスSPOIL核酸に対するそれらの相同性に基づいて単離 することができる。例えば、可溶性マウスSPOIL cDNAをマウス可溶性またはヒト
可溶性SPOILに対するその相同性に基づいて単離することができる。SPOIL遺伝子
と同じ染色体または遺伝子座にマッピングすることにより本発明のSPOIL cDNAの
対立遺伝子変異体、相同物及び/またはオーソロガスに対応する核酸分子をさら
に単離することができる。
【0088】 従って、別の態様として、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも15ヌク
レオチドの長さであり、そして配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番
号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートもし くは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたはそ
れらの相補物のヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子にストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする。別の態様として、核酸は少なくとも30、50、100、250、
300、400、500、600または700ヌクレオチドの長さである。本明細書において用いら
れる場合、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、
相互に少なくとも60%同一であるヌクレオチド配列が典型的に相互にハイブリダ
イズしたままであるハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を表すものとする。
好ましくは、それらの条件は、相互に少なくとも約65%、より好ましくは少なく とも約70%、なおより好ましくは少なくとも約75%または80%同一である配列が 典型的に相互にハイブリダイズしたままであるようにである。そのようなストリ
ンジェントな条件は当業者に既知であり、そしてCurrent Protocols in Molecul
ar Biology、John Wiley & Sons、NY(1989)、6.3.1-6.3.6中に見いだすことができ る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい限定しない例は
、約45℃で6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼ ーション及びそれに続く50-65℃で0.2XSSC、0.1% SDS中での1回またはそれ以上
の洗浄である。好ましくは、ストリンジェントな条件下で配列番号:1、配列番号
:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラス
ミドのDNAインサート、受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA インサートの配列にハイブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、天然に
存在する核酸分子に相当する。本明細書において用いられる場合、「天然に存在
する」核酸分子は、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)
ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子をさす。
【0089】 集団中に存在する可能性があるSPOIL配列の天然に存在する対立遺伝子変異体 に加えて、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号988
83としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984とし
てATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列中に突然変 異により変異を導入することができ、それによりSPOILタンパク質の機能性能を 変えずに、コードされるSPOILタンパク質のアミノ酸配列中に変異をもたらすこ とを当業者はさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でアミノ酸置換
をもたらすヌクレオチド置換を配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番
号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまた は受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの配列中に
実施することができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を変えずにSP
OILの野生型配列(例えば、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:
25の配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートに
よりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプ ラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列)から変えることが できる残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は生物学的活性のために必要と
される。例えば、(図8に示される配列番号:2、配列番号:14、配列番号:18及び
配列番号:25のアミノ酸配列の整列及び比較により示されるような)本発明のヒ ト及びマウスファミリーメンバーの間で保存されるSPOILのアミノ酸残基は、SPO
ILにおいて必須であると予測され、従って、容易に改変できないと思われる。表
1は、容易に改変できないと予測されるSPOILタンパク質間の保存されたアミノ 残基をさらに記述する。さらに、(図9に示される整列により示されるような) 本発明のSPOILタンパク質及びIL-1raタンパク質間で保存されるアミノ酸残基は 、容易に改変できないと予測される。
【0090】 従って、本発明の別の態様は、活性のために必須でないアミノ酸残基における
変異を含有するSPOILタンパク質をコードする核酸分子に関する。そのようなSPO
ILタンパク質は、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25、受託 番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされ
るアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ
ンサートによりコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列が異なるが、生物学的
活性を保持する。1つの態様として、単離された核酸分子は、配列番号:2、配列
番号:14、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCC
に寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列また は受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコー
ドされるアミノ酸配列に少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列を含んでなる
タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる。好ましくは、核酸分子
によりコードされるタンパク質は、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配
列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート によりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託された プラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約65-
70%同一であり、より好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列
番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートに よりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプ ラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約75-80
%同一であり、なおより好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配
列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート によりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託された プラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約85-
90%同一であり、そして最も好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17
、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサ ートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託さ れたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも 約95%同一である。
【0091】 コードされるタンパク質中に1個またはそれ以上のアミノ酸置換、付加または
欠失が導入されるように、配列番号:1、配列番号:13もしくは配列番号:16、配列
番号:24、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートま たは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレ
オチド配列中に1個またはそれ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入
することにより、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25、受託 番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされ
るアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ
ンサートによりコードされるアミノ酸配列のタンパク質に相同なSPOILタンパク 質をコードする単離された核酸分子を作製することができる。部位特異的突然変
異誘発及びPCRによりもたらされる突然変異誘発のような標準的な技術により
、配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに
寄託されたプラスミドのDNAインサート中に突然変異を導入することができる。 好ましくは、保存的アミノ酸置換を1個またはそれ以上の予測される非必須アミ
ノ酸残基で実施する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基を類似した側鎖
を有するアミノ酸残基で置換するものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残
基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリー
は、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば
アスパラギン酸、グルタミン酸)、荷電していない極性側鎖(例えばグリシン、
アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非
極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェ
ニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖(例えばトレオニ
ン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニ
ン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、好ましく
は、SPOILタンパク質中の予測される非必須アミノ酸残基を同じ側鎖ファミリー からの別のアミノ酸残基で置換する。あるいはまた、別の態様として、飽和突然
変異誘発によるように、SPOILコーディング配列の全部または一部に沿ってラン ダムに突然変異を導入することができ、そして活性を保持する突然変異体を同定
するために、得られた突然変異体をSPOIL生物学的活性に関してスクリーニング することができる。配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受 託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号
98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートの突然変異誘発後に、
コードされるタンパク質を組換え的に発現させることができ、そしてタンパク質
の活性を測定することができる。
【0092】 好ましい態様として、突然変異体SPOIL-Iタンパク質を(1)インビトロまた はインビボのいずれかで、IL-1シグナル伝達を調節する;(2)インビトロまた
はインビボのいずれかで、IL-1により刺激される細胞発生または分化を調節する
;及び(3)インビトロまたはインビボのいずれかで、IL-1により刺激される細
胞増殖を調節する能力に関してアッセイすることができる。なお別の好ましい態
様として、突然変異体SPOILを1)細胞のシグナル伝達を調節する;2)細胞増 殖を調節する;3)細胞分化を調節する;4)免疫応答に関与する細胞を調節す
る;及び5)骨代謝に関与する細胞(例えば骨芽細胞または破骨細胞)を調節す
る能力に関してアッセイすることができる。
【0093】 上記のSPOILタンパク質をコードする核酸分子に加えて、本発明の別の態様は 、それらにアンチセンスである単離された核酸分子に関する。「アンチセンス」
核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である、例えば、二本
鎖cDNA分子のコーディング鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的であるヌ
クレオチド配列を含んでなる。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素
結合することができる。アンチセンス核酸は、全SPOILコーディング鎖またはそ の一部のみに相補的であってもよい。1つの態様として、アンチセンス核酸分子
は、SPOILをコードするヌクレオチド配列のコーディング鎖の「コーディング領 域」にアンチセンスである。「コーディング領域」という用語は、アミノ酸残基
に翻訳されるコドンを含んでなるヌクレオチド配列の領域をさす(例えば、マウ
スSPOILのコーディング領域は配列番号:3に相当し、ヒトSPOIL-Iのコーディン グ領域は配列番号:15に相当し、そしてヒトSPOIL-IIのコーディング領域は配列 番号:18に相当する)。別の態様として、アンチセンス核酸分子は、SPOILをコー
ドするヌクレオチド配列のコーディング鎖の「非コーディング領域」にアンチセ
ンスである。「非コーディング領域」という用語は、コーディング領域に隣接し
且つアミノ酸に翻訳されない5’及び3’配列をさす(すなわち、5’及び3’非翻
訳領域とも呼ばれる)。
【0094】 本明細書に開示されるSPOILをコードするコーディング鎖配列(例えば、配列 番号:1、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98883としてATCCに
寄託されたプラスミドのDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNAインサート)が与えられれば、ワトソン及びクリック塩基 対合の規則に従って本発明のアンチセンス核酸を設計することができる。アンチ
センス核酸分子は、SPOIL mRNAの全コーディング領域に相補的であってもよいが
、より好ましくはSPOIL mRNAのコーディング領域の一部のみにアンチセンスであ
るオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SP
OIL mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域に相補的であってもよい。アンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチ ドの長さであってもよい。当該技術分野において既知の方法を用いて化学合成及
び酵素的連結反応を用いて本発明のアンチセンス核酸を構築することができる。
例えば、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増すためも
しくはアンチセンスとセンス核酸間で形成される二重鎖の物理的安定性を増すた
めに考案された様々に改変されたヌクレオチドを用いてアンチセンス核酸(例え
ばアンチセンスオリゴヌクレオチド)を化学的に合成することができ、例えば、
ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換されたヌクレオチドを使用できる
。アンチセンス核酸を作製するために用いることができる改変されたヌクレオチ
ドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、
5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5
−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチ
ル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロ
ウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニ
ルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグア
ニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メ
チルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチル
ウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシル
キューオシン、5’メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル
、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸
(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシ
ン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5
−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−
オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N
−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w及び2,6−ジアミノプ
リンを含む。あるいはまた、核酸がアンチセンスの向きにサブクローン化されて
いる発現ベクターを用いて、アンチセンス核酸を生物学的に作製することができ
る(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、以下の小節でさらに記
述される、目的の標的核酸にアンチセンスの向きのものである)。
【0095】 本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的に、それらがSPOILタンパク質をコ ードする細胞のmRNA及び/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたは結合 して、それにより例えば転写及び/または翻訳を阻害することによりタンパク質
の発現を阻害するように、患者に投与されるかまたはインサイチューで生成され
る。ハイブリダイゼーションは、通常のヌクレオチド相補性により安定な二重鎖
を形成してもよく、または例えばDNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の 場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用によってもよい。本発明の
アンチセンス核酸分子の投与経路の例は、組織部位での直接注入を含む。あるい
はまた、選択した細胞を標的とするようにアンチセンス核酸分子を改変し、次に
全身的に投与することができる。例えば、全身投与のために、例えば細胞表面受
容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体にアンチセンス核酸分子を連結す
ることにより、選択した細胞表面上に発現される受容体または抗原にそれらが特
異的に結合するようにアンチセンス核酸分子を改変することができる。また、本
明細書に記述されるベクターを用いてアンチセンス核酸分子を細胞に送達するこ
ともできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセ
ンス核酸分子が強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれてい るベクター構築物が好ましい。
【0096】 さらに別の態様として、本発明のアンチセンス核酸分子はα−アノマー核酸分
子である。α−アノマー核酸分子は相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを
形成し、その場合、通常のβ−ユニットとは異なり、それらの鎖は相互に平行に
伸びる(Gaultier等(1987)Nucleic Acids Res 15:6625-6641)。また、アンチセ
ンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue等(1987)Nucleic A
cids Res 15:6131-6148)またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue 等(1987)FEBS Lett.
215:327-330)を含んでなってもよい。
【0097】 なお別の態様として、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザ
イムは、それらが相補的領域を有する、mRNAのような一本鎖核酸を切断する
ことができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。従って、SP
OIL mRAN転写産物を触媒的に切断して、それによりSPOIL mRNAの翻訳を阻害
するためにリボザイム(例えばハンマーヘッド型リボザイム(Haselhoff及びGer
lach(1988)Nature 334:585-591中に記述される))を用いることができる。SPOI
Lをコードする核酸に特異性を有するリボザイを本明細書に開示されるSPOIL cDN
Aのヌクレオチド配列(すなわち配列番号:1、配列番号:13、配列番号:16)に基 づいて設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列がSPOILを コードするmRNAにおいて切断されるヌクレオチド配列に相補的であるテトラ
ヒメナ(Tetrahymena)L-19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。例えば、C
ech等、米国特許第4,987,071号;及びCech等、米国特許第5,116,742号を参照。ある
いはまた、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを
選択するためにSPOIL mRNAを用いることができる。例えば、Bartel,D.及びS
zostak,J.W.(1993)Sience 261:1411-1418を参照。
【0098】 あるいはまた、SPOILの調節領域(例えばSPOILプロモーター及び/またはエン
ハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的にして、標的細胞におけるSPOIL 遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成することにより、SPOIL遺伝子の発 現を阻害することができる。一般に、Helene,C.(1991)Anticancer Drug Des.6(6
):569-84;Helene,C.等(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27-36;及びMaher,L.J.(1992
)Bioassays 14(12):807-15を参照。
【0099】 好ましい態様として、SPOILの核酸を塩基部分、糖部分またはリン酸バックボ ーンで改変して例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは可溶性を改
善することができる。例えば、ペプチド核酸を作製するために核酸分子のデオキ
シリボースリン酸バックボーンを改変することができる(Hyrup B.等(1996)Bioo
rganic & Medicinal Chemistry 4(1):5-23を参照)。本明細書に用いられる場合
、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸バ
ックボーンがプソイドペプチドバックボーンで置換され、そして4種の天然の核
塩基のみが保持されている核酸模倣物、例えばDNA模倣物をさす。PNAの中性 のバックボーンは、低イオン強度の条件下でDNA及びRNAへの特異的ハイブリ ダイゼーションを可能にすることが示されている。Hyrup B.等(1996)上記;Perry
-O’Keefe等、PNAS 93:14670-675中に記述されたような標準的な固相ペプチド合 成プロトコルを用いてPNAオリゴマーの合成を実施することができる。
【0100】 SPOIL核酸分子のPNAを治療および診断用途に用いることができる。例えば 、例えば転写もしくは翻訳の停止を引き起こすかまたは複製を阻害することによ
る遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたは抗原因子としてPNA を使用することができる。また、SPOIL核酸分子のPNAを(例えば、PNAに より誘導されるPCRクランプ固定(clamping)による)遺伝子中の単
一塩基対突然変異の分析において;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyru
p B.(1996)上記))と組み合わせて用いる場合に「人工制限酵素」として;また
はDNAシークエンシングもしくはハイブリダイゼーションのためのプローブもし くはプライマーとして(Hyrup B.等(1996)上記;Perry-O’Keefe上記)用いるこ ともできる。
【0101】 別の態様として、SPOILのPNAを例えばそれらの安定性または細胞の取り込 みを増大するために、親油性もしくは他のヘルパー基をPNAに結合することに
より、PNA−DNAキメラの形成により、またはリポソームもしくは当該技術分 野において既知の薬物送達の他の技術の使用により改変することができる。例え
ば、SPOIL核酸分子のPNA−DNAキメラを作製することができ、それらはPNA
とDNAの有益な特性を組み合わせることができる。そのようなキメラは、DNA認識
酵素、例えばRNAse H及びDNAポリメラーゼをDNA部分と相互作用させ、一方、P NA部分は高い結合親和性及び特異性を与える。塩基スタッキング、核塩基間の
結合の数及び方向に関して選択した適切な長さのリンカーを用いてPNA−DNA キメラを連結することができる(Hyrup B.(1996)上記)。PNA−DNAキメラの 合成をHyrup B.(1996)上記及びFinn P.J.等(1996)Nucleic Acids Research 24(1
7):3357-63中に記されるように実施することができる。例えば、標準的なホスホ
ルアミダイトカップリング化学を用いてDNA鎖を固体支持体上に合成することが でき、そして改変されたヌクレオシド類似体、例えば5’−(4−メトキシトリ
チル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトをPNAとDNAの 5’末端間のとして使用できる(Mag,M.等(1989)Nucleic Acid Res.17:5973-88 )。次に、PNAモノマーを段階方式でカップリングして5’PNAセグメント
及び3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する(Finn P.J.等(1996)上記
)。あるいはまた、5’DNAセグメント及び3’PNAセグメントを有するキメ ラ分子を合成することができる(Peterser,K.H.等(1975)Bioorganic Med.Chem.L
ett.5:1119-11124)。
【0102】 別の態様として、オリゴヌクレオチドは(例えば、インビボで宿主細胞受容体
を標的とするために)ペプチドのような他の付加された基または細胞膜(例えば
、Letsinger等(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.US.86:6553-6556;Lemaitre等(1987)Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648-652;1988年12月15日に公開されたPCT公開第WO88/
09810号を参照)もしくは血液−脳関門(例えば、1988年4月25日に公開されたPC
T公開第WO89/10134号を参照)を横切った輸送を促進する因子を含むことができ る。さらに、ハイブリダイゼーションにより誘発される切断剤(例えば、Krol等
(1988)BioTechniques 6:958-976を参照)または挿入剤でオリゴヌクレオチドを 改変することができる(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539-549を参照)。この
目的のために、オリゴヌクレオチドを別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダ
イゼーションにより誘発される架橋剤、輸送因子またはハイブリダイゼーション
により誘発される切断剤)に結合することができる。II.単離されたSPOIL-Iタンパク質及び抗-SPOIL-I抗体 本発明の一つの態様は、単離されたSPOILタンパク質及びそれらの生物学的に 活性の部分並びに抗-SPOIL抗体を作製するための免疫原として用いるために適当
なポリペプチドフラグメントに関する。一つの態様として、標準的なタンパク質
精製技術を用いて適切な精製スキームにより細胞または組織源から天然のSPOIL タンパク質を単離することができる。別の態様として、組換えDNA技術によりSPO
ILタンパク質を生産する。組換え発現の代わりに、標準的なペプチド合成技術を
用いてSPOILタンパク質またはポリペプチドを化学的に合成することができる。
【0103】 「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性の
部分は、SPOILタンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞材料もしく は他の混入タンパク質を実質的に含まず、または化学的に合成される場合には化
学的前駆体もしくは他の化学製品を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含
まない」という用語は、SPOILタンパク質を単離するかまたは組換え的に生産す る細胞の細胞成分からタンパク質が分離されているSPOILタンパク質の調製物を 含む。1つの態様として、「細胞材料を実質的に含まない」という用語は、(乾
量で)約30%未満の非SPOILタンパク質(本明細書において「混入タンパク質」 とも呼ばれる)、より好ましくは約20%未満の非SPOILタンパク質、さらにより 好ましくは約10%未満の非SPOILタンパク質、そして最も好ましくは約5%未満 の非SPOILタンパク質を有するSPOILタンパク質の調製物を含む。SPOILタンパク 質またはその生物学的に活性の部分を組換え的に生産する場合、それは好ましく
は培養培地も実質的に含まず、すなわち、培養培地はタンパク質調製物の容量の
約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満に相
当する。
【0104】 「化学的前駆体もしくは他の化学製品を実質的に含まない」という用語は、タ
ンパク質の合成に含まれる化学的前駆体もしくは他の化学製品からタンパク質が
分離されているSPOILタンパク質の調製物を含む。一つの態様として、「化学的 前駆体もしくは他の化学製品を実質的に含まない」という用語は、(乾量で)約
30%未満の化学的前駆体もしくは非SPOIL化学製品、より好ましくは約20%未満 の化学的前駆体もしくは非SPOIL化学製品、さらにより好ましくは約10%未満の 化学的前駆体もしくは非SPOIL化学製品、そして最も好ましくは約5%未満の化 学的前駆体もしくは非SPOIL化学製品を有するSPOILタンパク質の調製物を含む。
【0105】 SPOILタンパク質の生物学的に活性の部分は、SPOILタンパク質のアミノ酸、例
えば、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25に示されるアミノ 酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによ
りコードされるアミノ酸配列、受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミ ドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に十分に相同なまたはそれ に由来するアミノ酸配列を含んでなるペプチドを含み、それらは全長SPOILタン パク質より少ないアミノ酸を含み、そしてSPOILタンパク質の少なくとも1つの 活性を示す。典型的に、生物学的に活性の部分は、SPOILタンパク質の少なくと も1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含んでなる。SPOILタンパク質 の生物学的に活性の部分は、例えば10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸 の長さであるポリペプチドであってもよい。
【0106】 一つの態様として、SPOILタンパク質の生物学的に活性の部分は少なくともIL-
1特徴ドメインを含んでなる。別の態様として、SPOILタンパク質の生物学的に活
性の部分はSPOIL特徴モチーフを含んでなる。さらに別の態様として、SPOILタン
パク質の生物学的に活性の部分はSPOILユニークドメインを含んでなる。さらに 別の態様として、SPOILタンパク質の生物学的に活性の部分はSPOIL C末端ユニー
クドメインを含んでなる。別の態様として、SPOILタンパク質の生物学的に活性 の部分はシグナル配列を含んでなり、そして/または分泌される。別の態様とし
て、SPOILタンパク質の生物学的に活性の部分はシグナル配列を欠き、そして/ または細胞内である。
【0107】 本発明のSPOILタンパク質の好ましい生物学的に活性の部分は、上に同定した 構造ドメインの少なくとも1つを含有することができると理解されるべきである
。SPOILタンパク質の別の好ましい生物学的に活性の部分は、上に同定した構造 ドメインの少なくとも2つを含有することができる。SPOILタンパク質の別の好 ましい生物学的に活性の部分は、上に同定した構造ドメインの少なくとも3つま
たはそれ以上を含有することができる。
【0108】 さらに、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物学的に活性の部分を組
換え技術により調製し、天然のSPOILタンパク質の1つまたはそれ以上の機能活 性に関して評価することができる。
【0109】 好ましい態様として、SPOILタンパク質は、配列番号:2、配列番号:14、配列番
号:17、配列番号:25に示されるアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託 されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列または受託 番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされ
るアミノ酸配列を有する。別の態様として、SPOILタンパク質は、配列番号:2、 配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託され
たプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号9
8984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるア ミノ酸配列に実質的に相同であり、そして配列番号:2、配列番号:14、配列番号:
17、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン サートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託 されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列のタンパク 質の機能活性を保持するが、上の小節Iにおいて詳細に記述したように、天然の
対立遺伝子変異または突然変異誘発のためにアミノ酸配列が異なる。従って、別
の態様として、SPOILタンパク質は、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、 配列番号:25のアミノ酸配列、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミド
のDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてAT
CCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に 少なくとも約60-65%同一であるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質であり、 そして好ましくは、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25、受 託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードさ
れるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA
インサートによりコードされるアミノ酸配列のSPOILタンパク質の機能活性を保 持する。好ましくは、タンパク質は、配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、
配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサー トによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託され たプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約7
0-75%同一であり、より好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17、配
列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサート によりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託された プラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約80-
85%同一であり、さらにより好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番号:17
、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサ ートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託さ れたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも 約90-95%同一であり、そして最も好ましくは配列番号:2、配列番号:14、配列番
号:17、配列番号:25、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ
ンサートによりコードされるアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄 託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なく とも約95%またはそれ以上同一である。
【0110】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性%を決定するために、それら2 つの配列を最適比較目的のために整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核
酸配列との最適整列のために第1のアミノ酸の配列または核酸配列中にギャップ
を導入することができ、そして比較目的のために非相同配列を無視することがで
きる)。一つの態様として、整列は全体的整列、例えば全配列整列である。別の
態様として、整列は局所的整列である。好ましい態様として、比較目的のために
整列させる配列の長さは、それを整列させる参照配列の長さの少なくとも30%、 好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%。さらにより好ましく
は少なくとも60%、そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%または90%で
ある(例えば、配列番号:2のSPOILアミノ酸配列に第2の配列を整列させる場合 、少なくとも29、好ましくは少なくとも39、より好ましくは少なくとも49、さら
により好ましくは少なくとも59、そしてなおより好ましく少なくとも69、78また
は88アミノ酸残基を整列させる)。特に好ましい態様として、参照配列の全長に
わたって同一性%を計算する。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド
位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が
第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められ
ている場合、それらの分子はその位置で同一である(本明細書に用いられる場合
、アミノ酸または核酸の「相同性」をアミノ酸または核酸の「同一性」と互換的
に用いることができる)。2つの配列の最適比較のために導入される必要がある
ギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、2つの配列間の同一性%は、そ
れらの配列により共有される同一位置の数の関数である。
【0111】 配列の比較及び2つの配列間の同一性%の決定を数学的アルゴリズムを用いて
成し遂げることができる。ある態様として、Blossom 62マトリックスまたはPAM2
50マトリックスのいずれか並びに16、14、12、10、8、6、5または4のギャップ加
重及び1、2、3、4、5または6の長さ加重を用いて、GCGソフトウェアパッケージ (http://www.gcg.comで入手可能)中のGAPプログラム中に組み込まれているNee
dleman及びWunsch(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))アルゴリズムを使用して 2つのアミノ酸配列間の同一性%を決定する。さらに別の態様として、NWSgapdn
a.CMPマトリックス並びに40、50、60、70または80のギャップ加重及び1、2、3、
4、5または6の長さ加重を用いて、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg
.comで入手可能)中のGAPプログラムを使用して2つのヌクレオチド配列間の同 一性%を決定する。別の態様として、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナル
ティー及び4のギャップペナルティーを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.
0)中に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のア ルゴリズムを使用して2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性%を決
定する。
【0112】 例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するために公開データ
ベースに対して検索を実施するための「問い合わせ配列」として本発明の核酸及
びタンパク質配列をさらに用いることができる。そのような検索をAltschul等(1
990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を 用いて実施することができる。本発明のSPOIL核酸分子に相同なヌクレオチド配 列を得るためにNBLASTプログラム、スコア=100、ワード長(wordlength)=12を 用いてBLASTヌクレオチド検索を実施することができる。本発明のSPOILタンパク
質分子に相同なアミノ酸配列を得るためにXBLASTプログラム、スコア=50、ワー
ド長=3を用いてBLASTタンパク質検索を実施することができる。比較目的のた めにギャップを調整した整列を得るために、Gapped BLASTをAltschul等(1997)Nu
cleic Acids Res. 25(17):3389-3402中に記述されたように利用することができ る。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム (例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォールトパラメーターを使用することがで
きる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照。
【0113】 また、本発明はSPOILキメラまたは融合タンパク質も提供する。本明細書にお いて用いられる場合、SPOIL「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は 、非SPOILポリペプチドに機能的に連結されたSPOILポリペプチドを含んでなる。
「SPOILポリペプチド」は、SPOILに相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド
をさし、一方、「非SPOILポリペプチド」は、SPOILタンパク質に実質的に相同で
はないタンパク質に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えば、SPOI
Lタンパク質と異なり、そして同じまたは異なる生物体由来であるタンパク質を さす。SPOIL融合タンパク質内で、SPOILポリペプチドはSPOILタンパク質の全部 または一部に相当してもよい。好ましい態様として、SPOIL融合タンパク質はSPO
ILタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性の部分を含んでなる。別の好ま
しい態様として、SPOILタンパク質はSPOILタンパク質の少なくとも2つまたはそ
れ以上の生物学的に活性の部分を含んでなる。融合タンパク質内で、「機能的に
連結された」という用語は、SPOILポリペプチドと非SPOILポリペプチドが相互に
インフレームで融合していることを示すものとする。非SPOILポリペプチドをSPO
ILポリペプチドのN末端またはC末端に融合することができる。
【0114】 さらに別の態様として、融合タンパク質はGST-SPOIL融合タンパク質であり、 その場合、SPOIL配列はGST配列のC末端に融合している。そのような融合タンパ
ク質は組換えSPOILの精製を容易にすることができる。
【0115】 別の態様として、融合タンパク質はそのN末端に異種起源のシグナル配列を含 有するSPOILタンパク質である。例えば、天然のマウスSPOIL-Iシグナル配列(す
なわち、配列番号:2の約アミノ酸1〜17)を取り除き、別のタンパク質からのシ グナル配列で置き換えることができる。ある種の宿主細胞(例えば哺乳類宿主細
胞)では、異種起源のシグナル配列の使用によりSPOILの発現及び/または分泌 を高めることができる。
【0116】 さらに別の態様として、融合タンパク質はSPOIL-免疫グロブリン融合タンパク
質であり、その場合、SPOIL配列は免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメン バー由来の配列に融合している。また、免疫グロブリン定常(Fc)領域に融合した
細胞表面糖タンパク質の細胞外ドメインからなる免疫グロブリン遺伝子スーパー
ファミリー中の細胞表面糖タンパク質で可溶性誘導体も作製されている(例えば
、Capon,D.J.等(1989)Nature 337:525-531並びにCapon米国特許5,116,964及び5
,428,130[CD4-IgG1構築物];Linsley,P.S.等(1991)J.Exp.Med.173:721-730[CD
28-IgG1構築物及びB7-1-IgG1構築物];並びにLinsley,P.S.等(1991)J.Exp.Med.1 74 :561-569及び米国特許5,434,131[CTLA4-IgG1]を参照)。そのような融合タ
ンパク質は、受容体−リガンド相互作用を調節するために有用であると分かって
いる。免疫グロブリン定常(Fc)領域に融合した細胞表面受容体の細胞外ドメイン
からなる腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリータンパク質の細胞表面タ
ンパク質の可溶性誘導体が作製されている(例えば、Moreland等(1997)N.Engl.J
.Med.337(3):141-147;van der Poll等(1997)Blood 89(10):3727-3734;及びAmm
ann等(1997)J.Clin.Invest.99(7):1699-1703を参照)。
【0117】 本発明のSPOIL−免疫グロブリン融合タンパク質を製薬学的組成物中に含み、 そしてSPOILタンパク質と細胞の表面上のSPOIL標的分子間の相互作用を阻害する
ため、それによりインビボでSPOILによりもたらされるシグナル伝達を抑制する ために患者に投与することができる。SPOILコグネイトリガンドの生物学的利用 能に影響を及ぼすためにSPOIL−免疫グロブリン融合タンパク質を用いることが できる。SPOILリガンド/SPOIL相互作用の阻害は、炎症及び免疫疾患の両方の処
置並びに免疫細胞応答、細胞接着及び/または細胞ホーミングを調節する(例え
ば、促進するかまたは阻害する)ために治療的に有用な可能性がある。さらに、
患者において抗−SPOIL抗体を生成するために免疫原として、SPOILリガンドを精
製するため及びSPOIL標的分子とSPOILの相互作用を阻害する分子を同定するため
のスクリーニングアッセイにおいて本発明のSPOIL−免疫グロブリン融合タンパ ク質を用いることができる。
【0118】 好ましくは、本発明のSPOILキメラまたは融合タンパク質を標準的な組換えDNA
技術により生産する。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグ メントを通常の技術に従って、例えば、連結のために平滑末端化または付着末端
化した末端、適切な末端を与えるための制限酵素消化、付着末端の適切な充填、
望ましくない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理及び酵素的連結を
用いることにより、一緒にインフレームで連結する。別の態様として、自動DNA 合成機を初めとする通常の技術により融合遺伝子を合成することができる。ある
いはまた、2つの連続した遺伝子フラグメント間に相補的突出部を生じるアンカ
ープライマーを用いて遺伝子フラグメントのPCR増幅を実施することができ、そ れらを続いてアニーリングし、そして再増幅してキメラ遺伝子配列を生成するこ
とができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel等編 集、John Wiley & Sons:1992を参照)。さらに、すでに融合部分(例えばGS
Tポリペプチド)をコードする多数の発現ベクターが市販されている。融合部分
がSPOILタンパク質にインフレームで連結されるようにSPOILをコードする核酸を
そのような発現ベクター中にクローン化することができる。
【0119】 また、本発明は、SPOILアゴニスト(模倣物)としてまたはSPOILアンタゴニス
トとして機能するSPOILタンパク質の変異体にも関する。SPOILタンパク質の変異
体を突然変異誘発、例えばSPOILタンパク質の別個の点突然変異または欠失によ り作製することができる。SPOILのアゴニスト(例えば、IL-1のアゴニストも) は、SPOILタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性の実質的に同じもの または一組を保持することができる。SPOILタンパク質のアンタゴニストは、例 えば、SPOIL受容体及び/またはSPOIL標的分子に競合的に結合することにより、
SPOILタンパク質の天然に存在する形態の1つまたはそれ以上の活性を阻害する ことができる。従って、限られた機能の変異体での処置により特定の生物学的作
用を引き出すことができる。一つの態様として、タンパク質の天然に存在する形
態の生物学的活性の一組を有する変異体での患者の処置は、SPOILタンパク質の 天然に存在する形態での処置に比べて患者における副作用が少ない。
【0120】 一つの態様として、IL-1受容体アンタゴニストとして作用するSPOILタンパク 質を部位特異的突然変異誘発によりIL-1アゴニストに転化することができる。例
えば、配列番号:2のアミノ酸残基91または配列番号:5のアミノ酸残基74のアスパ
ラギン酸をリシンで置換してIL-1アゴニストを作製することができる。同様に、
配列番号:14のアミノ酸残基162のアラニンまたは配列番号:17のアミノ酸残基201
のアラニン残基をリシンで置換してIL-1アゴニストを作製することができる。IL
-1raをIL-1アゴニストに転化する典型的方法はJu等(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 88:2658-2662中に記述されている。
【0121】 別の態様として、SPOILタンパク質アゴニスト(例えばIL-1アゴニスト)また はSPOILタンパク質アンタゴニストに関してSPOILタンパク質の突然変異体、例え
ば欠失突然変異体の組み合わせライブラリーをスクリーニングすることによりSP
OILアゴニスト(模倣物)として機能するSPOILタンパク質の変異体を同定すること
ができる。一つの態様として、核酸レベルでの組み合わせ突然変異誘発によりSP
OIL変異体の多様なライブラリーを作製し、多様な遺伝子ライブラリーによりコ ードする。例えば、可能なSPOIL配列の縮重組が個々のポリペプチドとして、あ るいはまたSPOIL配列の組を中に含有する(例えばファージ展示のための)一組 のより大きい融合タンパク質として発現できるように合成オリゴヌクレオチドの
混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することによりSPOIL変異体の多様なライブ ラリーを作製することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から可能なSPOIL 変異体のライブラリーを作製するために使用できる様々な方法がある。縮重遺伝
子配列の化学合成を自動DNA合成機で実施し、次に、合成遺伝子を適切な発現ベ クター中に連結することができる。遺伝子の縮重組の使用により、可能なSPOIL 配列の所望する組をコードする配列の全てを1つの混合物中に準備することがで
きる。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当該技術分野において既知で
ある(例えばNarang,S.A.(1983) Tetrahedron 39:3;Itakura等(1984) Annu.Rev
.Biochem.53:323;Itakura等(1984) Science 198:1056;Ike等(1983) Nucleic A
cids Res 11.477を参照)。
【0122】 さらに、SPOILタンパク質の変異体をスクリーニングし、続いて選択するため に、SPOILタンパク質コーディング配列のフラグメントのライブラリーを用いてS
POILフラグメントの多様な集団を作製することができる。1つの態様として、SP
OILコーディング配列の二本鎖PCRフラグメントを分子当たり約1回だけニックが
生じる条件下でヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性させ、異なるニック生 成物からのセンス/アンチセンス対を含むことができる二本鎖DNAを形成するよう
にDNAを再生し、再形成した二重鎖からS1ヌクレアーゼでの処理により一本鎖部 分を除去し、そして得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結す
ることにより、コーディング配列フラグメントのライブラリーを作製することが
できる。この方法により、SPOILタンパク質の様々な大きさのN末端、C末端及び 内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを得ることができる。
【0123】 点突然変異または欠失より作製された組み合わせライブラリーの遺伝子産物を
スクリーニングするため及び選択した特性を有する遺伝子産物に関してcDNAライ
ブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が当該技術分野において知
られている。そのような技術は、SPOILタンパク質の組み合わせ突然変異誘発に より作製された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングのために適用できる
。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために容易に高処理量分析が
できる最も一般に用いられる技術は、典型的に、遺伝子ライブラリーを複製可能
な発現ベクター中にクローニングし、得られたベクターのライブラリーで適切な
細胞を形質転換し、そして適切な活性を検出することにより産物が検出された遺
伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下で組み合わせ遺伝子を発現
させることを含む。ライブラリー中の機能的突然変異体の頻度を高める新しい技
術のレクルーシブアンサンブル(Recrusive ensemble)突然変異誘発(REM)を スクリーニングアッセイと組み合わせてSPOIL変異体を同定するために用いるこ とができる(Arkin及びYourvan(1992) PNAS 89:7811-7815;Delgrave等(1993) P
rotein Engineering 6(3)327-331)。
【0124】 1つの態様として、多様なSPOILライブラリーを分析するために細胞に基づく アッセイを利用することができる。例えば、通常はSPOILに依存して特定のリガ ンドに応答する細胞系に発現ベクターのライブラリーをトランスフェクトするこ
とができる。次にトランスフェクトされた細胞をリガンドと接触させ、そして例
えば多数の免疫細胞応答のいずれかを測定することにより、リガンドによるシグ
ナリングに対する突然変異体の発現の影響を検出することができる。次に、リガ
ンド誘導の阻害あるいはまた強化に関して優る細胞からプラスミドDNAを回収し 、個々のクローンをさらに特性化することができる。
【0125】 ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製のための標準的技術を用いてSPOI
Lに結合する抗体を作製するための免疫原として、単離されたSPOILタンパク質ま
たはその一部もしくはフラグメントを用いることができる。全長SPOILタンパク 質を用いることができ、あるいはまた、本発明は免疫原として用いるためのSPOI
Lの抗原性ペプチドフラグメントを提供する。SPOILの抗原性ペプチドは、配列番
号:2、配列番号:14、配列番号:17、配列番号:25に示されるアミノ酸配列、受託 番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされ
るアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイ
ンサートによりコードされるアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含 んでなり、そしてペプチドに対して生じた抗体がSPOILと特異的免疫複合体を形 成するようにSPOILのエピトープを包含する。好ましくは、抗原性ペプチドは少 なくとも10個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、
さらにより好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残基、そして最も好ましくは少
なくとも30個のアミノ酸残基を含んでなる。
【0126】 典型的には、適当な被験体(例えばウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳類)
を免疫原で免疫感作することにより抗体を調製するためにSPOIL免疫原を用いる 。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え的に発現したSPOILタンパク質また は化学的に合成したSPOILポリペプチドを含有することができる。調製物はさら にフロイント完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバントまたは同様
な免疫刺激剤を含むことができる。免疫原性SPOIL調製物での適当な被験体の免 疫感作は、ポリクローナル抗-SPOIL抗体反応を誘導する。
【0127】 従って、本発明の別の態様は抗-SPOIL抗体に関する。本明細書において用いら
れる場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子
の免疫学的に活性の部分、すなわち、SPOILのような抗原に特異的に結合する( 免疫反応する)抗原結合部位を含む分子をさす。免疫グロブリン分子の免疫学的
に活性の部分の例は、抗体をペプシンのような酵素で処理することにより生成す
ることができるF(ab)及びF(ab')2フラグメントを含む。本発明はSPOILに結合す るポリクローナル及びモノクローナル抗体を提供する。本明細書において用いら
れる場合、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という
用語は、SPOILの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の 1種類のみを含む抗体分子の集団をさす。従って、モノクローナル抗体組成物は
、典型的に、それが免疫反応する特定のSPOILタンパク質に対して単一の結合親 和性を示す。
【0128】 適当な被験体をSPOIL免疫原で免疫感作することによりポリクローナル抗-SPOI
L抗体を上記のように調製することができる。固定化したSPOILを用いて固相酵素
免疫検定法(ELISA)でのような標準的技術により、免疫感作した被験体におけ る抗-SPOIL抗体力価を継時的にモニターすることができる。所望される場合、SP
OILに対して誘導される抗体分子を哺乳類から(例えば、血液から)単離し、そ してIgG画分を得るためにプロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術 によりさらに精製することができる。免疫感作後の適切な時期に、例えば抗-SPO
IL抗体力価が最高である時に、抗体産生細胞を被験体から得、そして最初にKohl
er及びMilstein(1975) Nature 256:495-497(またBrown等(1981) J.Immumol.12
7:539-46;Brown等(1980)J.Biol.Chem.255:4980-83;Yeh等(1976)PNAS 76:2
927-31;及びYeh等(1982) Int.J.Cancer 29:269-75も参照)により記述された ハイブリドーマ技術、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor等、(1
983) Immumol Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ技術(Cole等(1985) Monoclona
l Antibodies and Cancer Threapy、Alan R.Liss,Inc.、pp.77-96)またはトリ
オーマ技術のような標準的技術によりモノクローナル抗体を調製するために用い
ることができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は周
知である(一般に、R.H.Kenneth、Monoclonal Antibodies:A New Dimension In
Biological Analysis中、Plenum Publishing Corp.、New York、New York (198
0);E.A.Lerner(1981) Yale J.Biol.Med.,54:387-402;M.L.Gefter等(1977)So
matic Cell Genet 3:231-36を参照)。簡単に言えば、上記のようにSPOIL免疫原 で免疫感作した哺乳類からのリンパ球(典型的には脾臓細胞)に不死細胞系(典
型的には骨髄腫)を融合させ、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリ
ーニングして、SPOILに結合するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ を同定する。
【0129】 抗-SPOILモノクローナル抗体を作製する目的のために、リンパ球と不死化細胞
系を融合させるために用いられる多くの周知のプロトコールのいずれを適用して
もよい(例えば、G.Galfre等(1977) Nature 266:55052;Gafter等、Somatic Cel
l Genet.上記引用;Lerner,Yale J.Biol.Med.,上記引用;Kenneth,Monoclonal A
ntibodies、上記引用を参照)。さらに、当業者は、同様に有用であるそのよう な方法の多数の変形があることを認識する。典型的には、不死細胞系(例えば骨
髄種細胞系)はリンパ球と同じ哺乳類種に由来する。例えば、本発明の免疫原性
調製物で免疫感作したマウス由来のリンパ球を不死化したマウス細胞系と融合す
ることによりマウスハイブリドーマを作製することができる。好ましい不死細胞
系は、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有する培養培地(「HA
T培地」)に感受性であるマウス骨髄種細胞系である。標準的技術に従って多数 の骨髄種細胞系のいずれか、例えばP3-NS1/1-Ag4-1、P3-x63-Ag8.653またはSp2
/O-Ag14骨髄種系を融合相手として用いることができる。これらの骨髄種系はATC
Cから入手できる。典型的には、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてHA
T-感受性マウス骨髄種細胞をマウス脾臓細胞と融合させる。次に、融合していな
い及び非生産的に融合した骨髄種細胞を殺す(融合していない脾臓細胞は、トラ
ンスフォームしていないので数日後に死ぬ)HAT培地を用いて、融合から生じた ハイブリドーマ細胞を選択する。例えば標準的なELISAアッセイを用いて、SPOIL
に結合する抗体に関してハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによ
り、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞を検出する。
【0130】 モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製する代わりに、組換え組
み合わせ免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージ展示ライブラリー
)をSPOILでスクリーニングすることでSPOILに結合する免疫グロブリンライブラ
リーメンバーを単離することにより、モノクローナル抗-SPOIL抗体を同定し、単
離することができる。ファージ展示ライブラリーを作製し、スクリーニングする
ためのキットは市販されている(例えば、Pharmacia 組換えファージ抗体システ
ム(Recombinant Phage Antibody System)、カタログ番号27-9400-1;及びStrat
agene SurfZAP TM(商標)ファージ展示キット(Phage Display Kit)、カタログ番 号240612)。さらに、抗体展示ライブラリーを作製し、スクリーニングするため
に特に容易に使用できる方法および試薬の例を例えばLander等、米国特許第5,22
3,409号;Kang等、PCT国際公開第WO92/18619号;Dower等、PCT国際公開第WO 91/
17271号;Winter等、PCT国際公開第WO 92/20791号;Markland等、PCT国際公開第
WO 92/15679号;Breitling等、PCT国際公開第WO93/01288号;McCafferty等、PCT
国際公開第WO92/01047号;Garrard等、PCT国際公開第WO92/09690号;Ladner等、
PCT国際公開第WO92/02809号;Fuchs等、(1991) Bio/Technology 9:1370-1372;H
ay等、(1992) Hum.Antibod.Hybridomas 3:81-85;Huse等、(1989) Science 246:
1275-1281;Griffiths等、(1993) EMBO J 12:725-734;Hawkins等、(1992) J.Mo
l.Biol.226:889-896;Clarkson等(1991) Nature 352:624-628;Gram等(1992) PN
AS 89:3576-3580;Garrad等(1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboom等
(1991) Nuc.Acid Res. 19:4133-4137;Barbas等(1991) PNAS 88:7978-7982;及 びMcCafferty等、Nature(1990) 348:552-554中に見いだすことができる。
【0131】 さらに、ヒト及び非ヒトの両方の部分を含んでなり、標準的な組換えDNA技術を
用いて作製することができるキメラ及びヒト化モノクローナル抗体のような組換
え抗-SPOIL抗体は本発明の範囲内である。そのようなキメラ及びヒト化モノクロ
ーナル抗体を当該技術分野で既知の組換えDNA技術により、例えばRobinson等、P
CT国際出願第PCT/US86/02269号;Akira等、欧州特許出願第184,187号;Taniguch
i,M.、欧州特許出願第171,496号;Morrison等、欧州特許出願第173,494号;Neub
erger等、PCT国際公開第WO86/01533号;Cabilly等、米国特許第4,816,567号;Ca
billy等、欧州特許出願第125,023号;Better等、(1988) Science 240:1041-1043
;Liu等、(1987) PNAS 84:3439-3443;Liu等、(1987) J.Immumol. 139:3521-352
6;Sun等、(1987) PNAS 84:214-218;Nishimura等、(1987) Canc.Res.47:999-10
05;Wood等、(1985) Nature 314:446-449;及びShaw等、(1988) J.Natl.Cancer
Inst.80:1533-1559);Morrison,S.L.(1985) Science 229:1202-1207;Oi等、(19
86) BioTechniques 4:214;Winter、米国特許第5,225,539号;Jones等、(1986)
Nature 321:552-525;Verhoeyan等、(1988) Science 239:1534;及びBeidler等 、(1998) J.Immumol.141:4053-4060中に記述された方法を用いて製造することが
できる。
【0132】 アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降法のような標準的な技術に
よりSPOILを単離するために抗-SPOIL抗体(例えばモノクローナル抗体)を用い ることができる。抗-SPOIL抗体は細胞からの天然のSPOIL及び宿主細胞において 発現した組換え的に生産されたSPOILの精製を容易にすることができる。さらに 、SPOILタンパク質の発現の量及びパターンを評価するために、抗-SPOIL抗体を 用いて(例えば細胞ライセートまたは細胞上清中の)SPOILタンパク質を検出す ることができる。例えば、与えた処置計画の効能を決定するために、臨床試験方
法の一部として組織中のタンパク質レベルをモニターするために抗-SPOIL抗体を
診断的に使用することができる。検出可能な物質に抗体をカップリングする(す
なわち、物理的に連結する)ことにより検出を容易にすることができる。検出可
能な物質の例は、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料
及び放射性材料を含む。適当な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アル
カリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼ を含み;適当な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びア
ビジン/ビオチンを含み;適当な蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレ
セイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニ
ルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンを含み;発
光材料の例はルミノールを含み;生物発光材料の例はルシフェラーゼ、ルシフェ
リン及びエクオリンを含み、そして適当な放射性材料の例は125I、131I、35
または3Hを含む。III.組換え発現ベクター及び宿主細胞 本発明の別の態様は、SPOIL(またはその一部)をコードする核酸を含有する ベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書において用いられる場合
、「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を運ぶことができる核酸
分子をさす。ベクターの一つの型は「プラスミド」であり、それはさらなるDNA セグメントを連結することができる環状の二本鎖DNAループをさす。別の型のベ クターはウイルスベクターであり、その場合、ウイルスゲノム中にさらなるDNA セグメントを連結することができる。ある種のベクターは、それらが導入される
宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌
ベクター及びエピソーム性哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソ
ーム性哺乳類ベクター)は宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノム中に組込まれ
、それにより宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、ある種のベクターは、機
能的に連結されている遺伝子の発現を導くことができる。本明細書では、そのよ
うなベクターを「発現ベクター」と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術において有用 な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドは最も一般
的に用いられるベクター形態であるので、本明細書では、「プラスミド」と「ベ
クター」を互換的に使用することができる。しかしながら、本発明は、同等な機
能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイ
ルス及びアデノ随伴ウイルス)のような他の形態の発現ベクターも含むものとす
る。
【0133】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現のために適当な
形態の本発明の核酸を含んでなり、それは組換え発現ベクターが、発現に用いら
れる宿主細胞に基づいて選択される1つまたはそれ以上の調節配列を含み、それ
が発現される核酸配列に機能的に連結されることを意味する。組換え発現ベクタ
ー内で、「機能的に連結される」は、(例えば、インビトロ転写/翻訳系におい
て、またはベクターが宿主細胞中に導入される場合には宿主細胞において)ヌク
レオチド配列を発現できるように目的のヌクレオチド配列が調節配列(1つまた
は複数)に連結されることを意味するものとする。「調節配列」という用語は、
プロモーター、エンハンサー及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シ
グナル)を含むものとする。そのような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Ex
pression Technology: Methods in Enzymology 185、 Academic Press、 San Dieg
o、 CA(1990)中に記述されている。調節配列は、多くの種類の宿主細胞において ヌクレオチド配列の構成的発現を導くもの及びある種の宿主細胞においてのみヌ
クレオチド配列の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現
ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発
現レベル等のような因子により決まる可能性があることを当業者は認識する。本
発明の発現ベクターを宿主細胞中に導入し、それにより本明細書に記述するよう
な核酸によりコードされる融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質また
はペプチド(例えば、SPOILタンパク質、SPOILの突然変異体型、融合タンパク質
等)を生産することができる。
【0134】 原核または真核細胞におけるSPOILの発現のために本発明の組換え発現ベクタ ーを設計することができる。例えば、エシェリキア・コリ(E. coli)のような細 菌細胞、(バキュロウイルス発現ベクターを用いて)昆虫細胞、酵母細胞または
哺乳類細胞においてSPOILを発現させることができる。適当な宿主細胞は、Goedd
el; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185、 Academic Pres
s、 San Diego、 CA(1990)中にさらに説明されている。あるいはまた、例えばT7プ
ロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて、組換え発現ベクターをインビ
トロで転写し、翻訳することができる。
【0135】 原核生物におけるタンパク質の発現は、たいてい、融合または非融合タンパク
質のいずれかの発現を導く構成的または誘導性プロモーターを含有するベクター
を用いてエシェリキア・コリにおいて実施される。融合ベクターは、その中にコ
ードされるタンパク質に、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に多数のアミノ
酸を付加する。そのような融合ベクターは典型的に3つの目的を果たす:1)組
換えタンパク質の発現を増やす;2)組換えタンパク質の可溶性を高める;そし
て3)アフィニティー精製においてリガンドとして働くことにより組換えタンパ
ク質の精製を促進する。融合タンパク質の精製後に融合部分から組換えタンパク
質を分離できるように、融合発現ベクターでは、しばしば、蛋白質分解切断部位
が融合部分と組換えタンパク質の連結部に導入される。そのような酵素及びそれ
らのコグネイト認識配列は、第Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼを含む
。典型的な融合発現ベクターは、標的組換えタンパク質にそれぞれグルタチオン
S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテイン Aを融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc.; Smith、 D. B.及びJohnson、 K. S.(
1988) Gene 67:31-40)、 pMAL(New England Biolabs、 Beverly、 MA)及びpRIT5(Pa
rmacia、 Piscataway、 NJ)を含む。
【0136】 例として、SPOIL活性アッセイにおいて、SPOILリガンド結合(例えば、以下に
詳細に記述する直接アッセイまたは競合アッセイ)において、SPOILタンパク質 に特異的な抗体を作製するために、精製した融合タンパク質を利用することがで
きる。好ましい態様として、本発明のレトロウイルス発現ベクターにおいて発現
されるSPOIL融合物を利用して骨髄細胞に感染させることができ、続いてそれら を放射線照射した受容体に移植する。次に、十分な時間(例えば5週)が経過し
た後に被験体受容体の病状を調べる。そのようなベクターを実施例5においてさ
らに記述する。
【0137】 適当な誘導性の非融合エシェリキア・コリ発現ベクターの例は、pTrc(Amann等
(1988)Gene 69:301-315)及びpET 11d(Studier等、Gene Expression Technology:
Methods in Enzymology 185、Academic Press、 San Diego、 California(1990)60-
89)を含む。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp-lac融合 プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写による。pET 11dベクターからの標
的遺伝子発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーセ゛(T7 gn1)により もたらされるT7 gn10-lac融合プロモーターからの転写による。このウイルスポ リメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写制御下にT7 gn1遺伝子を保有する内在
λプロファージから宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)により供給される。
【0138】 エシェリキア・コリにおける組換えタンパク質発現を最大にする一つの方法は
、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力が損なわれている宿主細
菌においてタンパク質を発現させることである(Gottesman、S.、Gene Expression
Technology: Methods in Enzymology 185、 Academic Press、 San Diego、 Califo
rnia(1990)119-128)。別の方法は、各アミノ酸の個々のコドンがエシェリキア・
コリにおいて優先的に利用されるものであるように発現ベクター中に挿入される
核酸の核酸配列を改変することである(Wada等、 (1992)Nucleic Acids Res. 20:2
111-2118)。本発明の核酸配列のそのような改変を標準的なDNA合成技術により実
施することができる。
【0139】 別の態様として、SPOIL発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母サッカ ロミセス・セレビシエ(S.cerivisae)における発現のためのベクター例は、pYepS
ec1(Baldari等、 (1987)Embo J. 6:229-234)、 pMFa(Kurjan及びHerskowitz、 (198
2)Cell 30:933-943)、 pJRY88(Schultz等、(1987)Gene 54:113-123)、pYES2(Invit
rogen Corporation、 San Diego、 CA)及びpicZ(Invitrogen Corp、 San Diego、 CA
)を含む。
【0140】 あるいはまた、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞においてSPOI
Lを発現させることができる。培養した昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタ
ンパク質の発現のために利用できるバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(
Smith等(1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)及びpVLシリーズ(Lucklow及びSum
mers (1989) Virology 170:31-39)を含む。
【0141】 さらに別の態様として、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細胞において本発
明の核酸を発現させる。哺乳類発現ベクターの例は、pCDM8(Seed、B.(1987)Natur
e 329:840)及びpMT2PC(Kaufman等(1987)EMBO J.6:187-195)を含む。哺乳類細胞 において用いる場合、発現ベクターの制御機能はウイルスの調節要素により与え
られることが多い。例えば、一般的に用いられるプロモーターはポリオーマ、ア
デノウイルス2、サイトメガロウイルス及びシミアンウイルス40に由来する。
原核及び真核細胞の両方の他の適当な発現系については、Sambrook、 J.、 Fritsh
、 E. F.及びManiatis、 T.、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 第2版、
Cold Spring Harbor Laboratory、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold
Spring Harbor、 NY、 1989の16及び17章を参照。
【0142】 別の態様として、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞型において優先的
に核酸の発現を導くことができる(例えば、核酸を発現させるために組織特異的
調節要素を用いる)。組織特異的調節要素は当該技術分野において既知である。
適当な組織特異的プロモーターの限定しない例は、アルブミンプロモーター(肝
臓特異的;Pinkert等(1987)Genes Dev.1:268-277)、リンパ系特異的プロモータ ー(Calame及びEaton(1988)Adv.Immunol. 43:235-275)、特にT細胞受容体(Winot
o及びBaltimore(1989)EMBO J. 8:729-733)及び免疫グロブリン(Banerji等(1983
)Cell 33:729-740; Queen及びBaltimore(1983) Cell 33:741-748)のプロモータ
ー、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモータ
ー;Byrne及びRuddle(1989)PNAS 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlu
nd等(1985)Science 230:912―916)並びに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳 清プロモーター;米国特許第4,873,316号及び欧州出願公開第264,166号)を含む
。また、発生的に調節されるプロモーター、例えばマウスホックスプロモーター
(Kessel及びGruss(1990)Science 249:374-379)及びα−フェトプロテインプロ モーター(Campes及びTilghman(1989)Genes Dev. 3:537-546)も包含する。
【0143】 本発明はさらに、発現ベクター中にアンチセンスの向きにクローン化された本
発明のDNA分子を含んでなる組換え発現ベクターを提供する。すなわち、SPOIL m
RNAにアンチセンスであるRNA分子を(DNA分子の転写により)発現できるようにD
NA分子を調節配列に機能的に連結する。様々な細胞型においてアンチセンスRNA 分子の連続発現を導く、アンチセンスの向きにクローン化された核酸に機能的に
連結された調節配列、例えばウイルスのプロモーター及び/もしくはエンハンサ
ーを選択することができ、またはアンチセンスRNAの構成的、組織特異的もしく は細胞型特異的発現を導く調節配列を選択することができる。アンチセンス発現
ベクターは組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形態であって
もよく、その場合、アンチセンス核酸は高効率の調節領域の制御下で生産され、
ベクターが導入される細胞型によりその活性を決定することができる。アンチセ
ンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節の説明については、Weintraub、 H.等、 Ant
isense RNA as a molecular tool for genetic analysis、 Reviews-Trends in G
enetics、 Vol.1(1) 1986を参照。
【0144】 本発明の別の態様は、本発明のSPOIL核酸分子、例えば、組換え発現ベクター 内のSPOIL核酸分子または宿主細胞のゲノムにおける相同的組換えのために適当 な形態のSPOIL核酸分子(例えば、SPOILヌクレオチド配列並びに相同的組換えの
ために必要な付加的5’及び3’隣接配列を含むSPOIL核酸分子)が導入されてい る宿主細胞に関する。「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」という用語は、本明
細書において互換的に用いられる。そのような用語は特定の該細胞だけでなく、
そのような細胞の子孫または可能性がある子孫もさすと理解される。突然変異ま
たは環境的影響のいずれかのために後の世代においてある種の改変が起こる可能
性があるので、そのような子孫は実際には親細胞と同一でない可能性があるが、
それにもかかわらず本明細書に用いられるその用語の範囲内に含まれる。
【0145】 宿主細胞はあらゆる原核または真核細胞であってもよい。例えば、エシェリキ
ア・コリのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または(チャイニーズハムスター卵
巣細胞(CHO)もしくはCOS細胞のような)哺乳類細胞においてSPOILタンパク質を 発現させることができる。他の適当な宿主細胞は当業者に既知である。
【0146】 通常の形質転換またはトランスフェクション技術により原核または真核細胞中
にベクターDNAを導入することができる。本明細書に用いられる場合、「形質転 換」及び「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウムもしくは塩
化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストランによるトランスフェクション、リポフ
ェクションまたは電気穿孔を初めとする、宿主細胞中に外来核酸(例えば、DNA )を導入するための様々な当該技術分野で認められている技術をさすものとする
。宿主細胞を形質転換するかまたはトランスフェクトするための適当な方法をSa
mbrook等(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 第2版、 Cold Spring Harb
or Laboratory、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Harbor、
NY、 1989)及び他の実験マニュアル中に見いだすことができる。
【0147】 哺乳類細胞の安定なトランスフェクションには、用いる発現ベクター及びトラ
ンスフェクション技術により、細胞のほんの一部分のみがそれらのゲノム中に外
来DNAを組込むことができることが分かっている。これらの組込み体を同定し、 選択するために、一般に、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコ
ードする遺伝子を目的の遺伝子と一緒に宿主細胞中に導入する。好ましい選択マ
ーカーは、G418、ハイグロマイシン及びメトトレキセートのような薬剤に対する
耐性を与えるものを含む。選択マーカーをコードする核酸をSPOILをコードする ものと同じベクター上で宿主細胞中に導入することができ、または別個のベクタ
ー上で導入することができる。導入した核酸で安定にトランスフェクトされた細
胞を薬剤選択により同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を含ん
でいる細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ)。
【0148】 SPOILタンパク質を生産する(すなわち、発現させる)ために、培養した原核 または真核宿主細胞のような本発明の宿主細胞を用いることができる。従って、
本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いてSPOILタンパク質を生産する方法を 提供する。一つの態様として、その方法は、SPOILタンパク質が生産されるよう に適当な培地中で(SPOILをコードする組換え発現ベクターが導入されている) 本発明の宿主細胞を培養することを含んでなる。別の態様として、その方法はさ
らに、培地または宿主細胞からSPOILを単離することを含んでなる。
【0149】 また、非ヒトトランスジェニック動物を作製するためにも本発明の宿主細胞を
用いることができる。例えば、一つの態様として、本発明の宿主細胞は、SPOIL コーディング配列が導入されている受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次に
、そのような宿主細胞を用いて、外来SPOIL配列がゲノム中に導入されている非 ヒトトランスジェニック動物または内在性SPOIL配列が改変されている相同的組 換え動物を作製することができる。そのような動物は、SPOILの機能及び/また は活性を研究するため並びにSPOIL活性のモジュレーターの同定及び/または評 価のために有用である。本明細書に用いられる場合、「トランスジェニック動物
」は、動物の1個またはそれ以上の細胞が導入遺伝子を含有する非ヒト動物、好
ましくは哺乳類、より好ましくはラットまたはマウスのような齧歯類である。ト
ランスジェニック動物の他の例は、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤ
ギ、ニワトリ、両生類等を含む。導入遺伝子は、トランスジェニック動物が発生
する細胞のゲノム中に組込まれる外来DNAであり、それは成熟動物のゲノム中に とどまり、それによりトランスジェニック動物の1つまたはそれ以上の細胞型ま
たは組織においてコードした遺伝子産物の発現を導く。本明細書において用いら
れる場合、「相同的組み換え動物」は、動物の発生前に、内在性遺伝子と動物の
細胞、例えば動物の胚性細胞中に導入された外来DNA分子との間の相同的組換え により内在性SPOIL遺伝子が改変されている非ヒト動物、好ましくは哺乳類、よ り好ましくはマウスである。
【0150】 例えば微量注入、レトロウイルス感染により受精卵母細胞の雄性前核中にSPOI
Lをコードする核酸を導入し、そしてその卵母細胞を偽妊娠メス仮親動物で発生 させることにより本発明のトランスジェニック動物を作製することができる。配
列番号:13、配列番号:16、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミドのD
NAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAイン
サートのヒトSPOIL cDNA配列を導入遺伝子としてヒト以外の動物のゲノム中に導
入することができる。あるいはまた、マウスSPOIL遺伝子のようなヒトSPOIL遺伝
子の非ヒト相同物を導入遺伝子として用いることができる。また、導入遺伝子の
発現効率を上げるためにイントロン配列及びポリアデニル化シグナルを導入遺伝
子中に含んでもよい。SPOILタンパク質の発現を特定の細胞に導くために組織特 異的調節配列(1つまたは複数)をSPOIL導入遺伝子に機能的に連結することが できる。胚操作及び微量注入によりトランスジェニック動物、特にマウスのよう
な動物を作製する方法は当該技術分野において慣例的になっており、例えば、両
方ともLeder等による米国特許第4,736,866号及び4,870,009号、Wagner等による米
国特許第4,873,191号中並びにHogan、 B.、 Manipulating the Mouse Embryo(Cold
Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Harbor、 N.Y.、 1986)中に記述
されている。他のトランスジェニック動物を作製するために類似した方法を用い
る。ゲノム中のSPOIL導入遺伝子の存在及び/または動物の組織もしくは細胞に おけるSPOIL mRNAの発現に基づいてトランスジェニック創始動物を同定すること
ができる。次に、トランスジェニック創始動物を用いて導入遺伝子を保有するさ
らなる動物を育種することができる。さらに、SPOILをコードする導入遺伝子を 保有するトランスジェニック動物を他の導入遺伝子を保有する他のトランスジェ
ニック動物にさらに交配させることができる。
【0151】 相同的組み換え動物を作製するために、欠失、付加または置換を導入したこと
によりSPOIL遺伝子を改変する、例えば機能的に破壊するSPOIL遺伝子の少なくと
も一部を含有するベクターを調製する。SPOIL遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば、 配列番号:13、配列番号:16、受託番号98883としてATCCに寄託されたプラスミド のDNAインサートまたは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA インサートのcDNA)であってもよいが、より好ましくは、非ヒト相同物SPOIL遺 伝子である。例えば、マウスゲノム中の内在性SPOIL遺伝子を改変するために適 当な相同的組換え核酸分子、例えばベクターを構築するために配列番号:1、配列
番号:3、配列番号:24または配列番号:26のマウスSPOIL遺伝子を用いることがで きる。好ましい態様として、相同的組換え時に、内在性SPOIL遺伝子が機能的に 破壊されるように相同的組換え核酸分子を設計する(すなわち、もはや機能的タ
ンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。あるいは
また、相同的組み換え時に、内在性SPOIL遺伝子が突然変異を受けるか、そうで なければ改変されるが、なお機能性タンパク質をコードするように相同的組換え
核酸分子を設計することができる(例えば、上流調節領域を改変してそれにより
内在性SPOILタンパク質の発現を改変することができる)。相同的組換えベクタ ーでは、ベクターにより保有される外来SPOIL遺伝子と細胞、例えば胚性幹細胞 中の内在性SPOIL遺伝子との間で相同的組換えが起こるようにSPOIL遺伝子の改変
部分にはその5’及び3’末端でSPOIL遺伝子の付加的核酸が隣接する。隣接する 付加的SPOIL核酸は、内在性遺伝子と相同的組換えができるために充分な長さの ものである。典型的に、(5’及び3’末端の両方で)数キロ塩基の隣接するDNA を相同的組換え核酸分子中に含む(相同的組換えベクターの説明については、例
えば、Thomas、K.R.及びCapecchi、 M. R.(1987) Cell 51:503を参照)。(例え ば、電気穿孔により)相同的組換え核酸分子を細胞、例えば胚性幹細胞系に導入
し、導入したSPOIL遺伝子が内在性SPOIL遺伝子と相同的に組換わっている細胞を
選択する(例えば、Li、 E.等(1992)Cell 69:915を参照)。次に、選択した細胞 を動物(例えば、マウス)の胚盤胞中に注入して集合キメラを形成する(例えば
、Bradley、 A.、 Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Ap
proach中、 E. J. Robertson、 編集(IRL.Oxford、 1987)pp.113-152を参照)。次 に、キメラ胚を適当な偽妊娠メス仮親動物中に移植し、胚を出産させることがで
きる。生殖細胞中に相同的に組換えられたDNAを保有する子孫を用いて、導入遺 伝子の生殖細胞系伝達により動物の全ての細胞が相同的に組換えられたDNAを含 有する動物を育種することができる。相同的組換え核酸分子、例えばベクター及
び相同的組換え動物を構築するための方法はさらにBradley、 A.(1991)Current O
pinion in Biotechnology 2:823-829中並びにLe Mouellec等によるPCT国際公開
WO第90/11354号;Smithies等による WO第91/01140号;Zijlstra等による WO第92/0
968号; 及びBerns等によるWO第93/04169号中に記述されている。
【0152】 別の態様として、導入遺伝子を調節発現できる選択系を含有する非ヒトトラン
スジェニック動物を作製することができる。そのような系の一例は、バクテリオ
ファージP1のcre/loxP組み換え酵素系である。cre/loxP組み換え酵素系の説明に
ついては、例えば、Lakso等(1992)PNAS 89:6232-6236を参照。組み換え酵素系の
別の例は、サッカロミセス・セレビシエのFLP組み換え酵素系である(O’Gorman 等(1991)Science 251:1351-1555)。導入遺伝子の発現を調節するためにcre/loxP
組み換え酵素系を用いる場合、Cre組み換え酵素及び選択したタンパク質の両方 をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要である。例えば、選択したタンパ
ク質をコードする導入遺伝子を含有するものと組み換え酵素をコードする導入遺
伝子を含有するものの2匹のトランスジェニック動物を交配させることによる「
二重」トランスジェニック動物の構築によりそのような動物を与えることができ
る。
【0153】 また、本明細書に記述する非ヒトトランスジェニック動物のクローンをWilmut
、I.等(1997)Nature 385:810-813中に記述された方法に従って作製することもで きる。簡潔に言えば、トランスジェニック動物からの細胞、例えば体細胞を単離
し、そして増殖周期を出てG0期に入るように誘導することができる。次に、例 えば電気パルスの使用により、静止細胞を単離した動物と同じ種の動物からの除
核卵母細胞に静止細胞を融合することができる。次に、再構成された卵母細胞が
桑実胚または胚盤胞に発生するようにそれを培養し、次に、偽妊娠メス仮親動物
に移す。このメス仮親動物から生まれた子孫は、細胞、例えば体細胞を単離した
動物のクローンである。IV.製薬学的組成物 本発明のSPOIL核酸分子、SPOILタンパク質及び抗-SPOIL抗体(本明細書におい
て「活性化合物」とも呼ばれる)を投与のために適当な製薬学的組成物中に含む
ことができる。そのような組成物は典型的に核酸分子、タンパク質または抗体及
び製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。本明細書に用いられる場合、「製薬
学的に許容しうる担体」という用語は、薬剤投与に適合するあらゆる及び全ての
溶媒、分散媒質、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等
を含むものとする。製薬学的に有効な物質に対するそのような媒質及び薬剤の使
用は当該技術分野において周知である。あらゆる通常の媒質または薬剤は活性化
合物と配合禁忌でない限り、組成物におけるそれらの使用が意図される。また、
補足的活性化合物を組成物中に含んでもよい。
【0154】 本発明の製薬学的組成物をその意図される投与経路に適合するように調合する
。投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、
経皮(局所)、経粘膜及び直腸投与を含む。非経口、皮内または皮下投与のため
に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分:注入用水、食塩水溶液、不揮発
性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の
合成溶媒のような滅菌した希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンの
ような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;
エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸
塩のようなバッファー及び塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性調
整剤を含むことができる。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で
pHを調整することができる。非経口製剤をガラスまたはプラスチック製のアン
プル、使い捨て注射器または多用量バイアル中に封入することができる。
【0155】 注入可能な用途のために適当な製薬学的組成物は、(水溶性の場合)滅菌水溶
液または分散液、及び滅菌した注入可能な溶液または分散液を必要に応じて調製
するための滅菌粉末を含む。静脈内投与のために、適当な担体は生理食塩水、静
菌水、Cremophor ELTM(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(P
BS)を含む。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、そして容易
に注入できる程度に流動性であるべきである。それは製造及び貯蔵の条件下で安
定でなければならず、そして細菌及び真菌のような微生物の混入作用に対して保
護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例え
ば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)
並びにそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒質であってもよい。例えば
、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒度の
維持により、そして界面活性剤の使用により適切な流動性を保つことができる。
様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール
、アスコルビン酸、チメロサール等により微生物の作用を防止することができる
。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのよ
うなポリアルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。吸収を
遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中
に含むことにより注入可能な組成物のより長期間の吸収をもたらすことができる
【0156】 必要な場合には上に挙げた成分のいずれかまたは組み合わせと共に適切な溶媒
中に必要量の活性化合物(例えば、SPOILタンパク質または抗-SPOIL抗体)を混 和し、続いて濾過滅菌することにより滅菌した注入可能な溶液を調製することが
できる。通例、基本分散媒質及び上に挙げたものからの必要な他の成分を含有す
る滅菌したビヒクル中に活性化合物を混和することにより分散液を調製する。滅
菌した注入可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は真
空乾燥及び凍結乾燥であり、それは先に滅菌濾過した溶液からあらゆる付加的な
所望する成分を加えた有効成分の粉末を生じる。
【0157】 一般に、経口組成物は不活性希釈剤または食用担体を含む。それらをゼラチン
カプセル剤中に封入するかまたは錠剤に圧縮することができる。経口治療投与の
目的のためには、活性化合物を賦形剤と混和し、錠剤、トローチ剤またはカプセ
ル剤の形態で用いることができる。また、口内洗浄剤としての使用のために液体
担体を用いて経口組成物を調製することもでき、その場合、液体担体中の化合物
を経口的に投与し、さっと動かし、そして吐き出すかまたは飲み込む。製薬学的
に適合した結合剤及び/または添加剤材料を組成物の一部として含むことができ
る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は以下の成分または類似した性質の
化合物:微晶質セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンのような結合剤
;澱粉もしくはラクトースのような賦形剤;アルギン酸、Primogelもしくはコー
ンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesのよう
な滑剤;コロイド二酸化ケイ素のような減摩剤(glidant);ショ糖もしくはサ ッカリンのような甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレ
ンジ香料のような香料のいずれも含むことができる。
【0158】 吸入による投与のために、適当な噴射剤、例えば二酸化炭素のような気体を含
有する加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からエアゾールスプレー
の形態で組成物を送達する。
【0159】 また、全身投与は経粘膜または経皮手段によってもよい。経粘膜または経皮投
与のために、透過する障壁に対して適切な浸透剤を製剤中に用いる。そのような
浸透剤は一般に当該技術分野において既知であり、例えば、経粘膜投与のために
は、溶剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体を含む。鼻スプレーまたは座薬の使用に
より経粘膜投与を行うことができる。経皮投与のために、活性化合物を当該技術
分野において一般に知られているように軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに調合
する。
【0160】 また、化合物を直腸送達のために(例えば、ココアバターまたは他のグリセリ
ドのような通常の座薬基剤と共に)座薬または滞留浣腸剤の形態に調製してもよ
い。
【0161】 一つの態様として、移植及びマイクロカプセル化送達系を初めとする制御放出
製剤のような、体から迅速に除去されることから化合物を守る担体を用いて活性
化合物を調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラ
ーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸のような生物分解性の生体適合性ポリ
マーを用いることができる。そのような製剤の調製方法は当業者に明らかである
。また、それらの材料をAlza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から 商業的に入手してもよい。(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細
胞を標的とするリポソームを初めとする)リポソーム懸濁液も製薬学的に許容し
うる担体として用いることができる。例えば、米国特許第4,522,811号に記述さ れたような、当業者に知られている方法に従ってこれらを調製することができる
【0162】 投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、経口または非経口組成物を単位剤
形に調合することが特に有益である。本明細書に用いられる場合、単位剤形は、
処置される患者のために単位投薬量として適当な物理的に分割された単位をさし
;各単位は、必要な製薬学的担体と会合して適切な治療効果をもたらすために計
算された予め定められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は
、活性化合物の独特な性質及び得られる特定の治療効果、並びに個体の処置のた
めにそのような活性化合物を調合する当該技術分野に固有の制約により決定され
、そしてそれらに直接依存する。
【0163】 例えば、LD50(集団の50%に致死的な投与量)及びED50(集団の50%において
治療的に有効な投与量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標
準的な製薬学的方法により、そのような化合物の毒性及び治療効能を決定するこ
とができる。毒性及び治療効果の間の投与量比は治療指数であり、それを比率LD
50 /ED50として表すことができる。大きい治療指数を示す化合物が好ましい。有
毒な副作用を示す化合物を用いることができるが、感染していない細胞に対する
可能性がある損傷を最小限度に抑えるために冒された組織の部位にそのような化
合物を向ける送達系を設計することに注意すべきであり、それにより副作用を減
らす。
【0164】 細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータをヒトにおける使用のため
の投与量の範囲を定めることに用いることができる。そのような化合物の投与量
は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内に
ある。投与量は用いる剤形及び利用する投与経路によりこの範囲内で変わる可能
性がある。本発明の方法に用いるあらゆる化合物に対して、治療的に有効な投与
量をまず細胞培養アッセイから概算することができる。細胞培養において決定し
たIC50(すなわち、症状の最大の半分の阻害を得る試験化合物の濃度)を含む循
環血漿濃度を得るために動物モデルにおいて投与量を定めることができる。ヒト
における有用な投与量をより正確に決定するためにそのような情報を用いること
ができる。例えば、高速液体クロマトグラフィーにより、血漿中のレベルを測定
することができる。
【0165】 本発明の核酸分子をベクター中に挿入し、遺伝子治療ベクターとして用いるこ
とができる。例えば、静脈注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照)に よるかまたは定位固定注入(例えば、Chen等(1994)PNAS 91:3054-3057を参照) により遺伝子治療ベクターを患者に送達することができる。遺伝子治療ベクター
の製薬学的調製物は、許容しうる希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことがで
き、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放性マトリックスを含んでなる
ことができる。あるいはまた、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞から損な
わずに生産することができる場合(例えばレトロウイルスベクター)、製薬学的
調製物は遺伝子送達系を生産する1つまたはそれ以上の細胞を含むことができる
【0166】 製薬学的組成物を投与説明書と一緒に容器、パックまたはディスペンサー中に
入れることができる。V.本発明の使用及び方法 本明細書に記述される核酸分子、タンパク質、タンパク質相同物及び抗体を1
つまたはそれ以上の以下の方法:a)スクリーニングアッセイ;b)検出アッセ
イ(例えば、染色体マッピング、組織タイピング、司法生物学);c)予測医学
(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験のモニタリング);及びd)
処置の方法(例えば、治療的及び予防的方法並びに薬理ゲノム学(pharmacogeno
mics)に関連したそのような方法)において用いることができる。本明細書に記
述されるように、本発明のSPOILタンパク質は1つまたはそれ以上の以下の活性 :(i)SPOILタンパク質分子を分泌した同じ細胞の表面上のタンパク質分子( 例えば、SPOIL受容体またはIL-1受容体)と細胞外環境におけるSPOILタンパク質
の相互作用;(ii)SPOILタンパク質分子を分泌したものと異なる細胞の表面上の
タンパク質分子(例えば、SPOIL受容体またはIL-1受容体)と細胞外環境におけ るSPOILタンパク質の相互作用;(iii)SPOILタンパク質と細胞表面受容体との 間の複合体形成;(iv)細胞外環境における標的分子とSPOILタンパク質との相 互作用;(v)細胞の細胞質中の標的分子とSPOILタンパク質との相互作用を有し
、従って、例えば、(1)シグナル伝達経路(例えば、IL-1依存的またはSPOIL 依存的経路)を調節すること;(2)サイトカイン生産及び/または分泌を調節
すること;(3)リンホカイン生産及び/または分泌を調節すること;(5)接
着分子の生産を調節すること;(6)核転写因子の調節;(7)IL-1の分泌を調
節すること;(8)IL-1受容体への結合をIL-1と競合すること;(9)好炎症性
サイトカインを調節すること;(10)(例えば、IL-1により刺激されるかまた
はSPOILにより刺激される)細胞増殖、発生または分化を調節すること;(11 )骨代謝(例えば、骨形成及び吸収)を調節すること;並びに(12)細胞の「
急性期」応答をもたらすことに用いることができる。以下にさらに記述するよう
に、(例えば、遺伝子治療用途で宿主細胞において組換え発現ベクターにより)
SPOILタンパク質を発現させるため、(例えば、生物学的サンプル中の)SPOIL mRNAまたはSPOIL遺伝子中の遺伝子変化を検出するため及びIL-1活性を調節 するために本発明の単離された核酸分子を用いることができる。さらに、SPOIL 活性を調節し、正常なIL-1発現に比較して減少したまたは異常な活性を有するIL
-1の不十分なまたは過剰な生産を特徴とする疾患(例えば炎症性疾患、例えば慢
性関節リウマチ、敗血症、脳卒中もしくは糖尿病または骨代謝疾患、例えば骨粗
鬆症、骨のパジェット病、癌性高カルシウム血症もしくは骨吸収転移のようなIL
-1により刺激される分化もしくは発生疾患)を処置するためにSPOILタンパク質 をスクリーニングすることができる。IL-1受容体に結合し、そのような受容体コ
グネイトリガンドの生物学的利用能に影響を及ぼすためにSPOILタンパク質の可 溶性型を用いることができる。さらに、SPOILタンパク質を検出し、単離するた めに本発明の抗-SPOIL抗体を用いることができる。
【0167】 A.スクリーニングアッセイ: 本発明は、SPOILタンパク質に結合するかまたは例えばSPOIL発現もしくはSPOIL 活性に対して刺激もしくは阻害作用を有するか、そして/またはIL-1により刺激
される活性に対する刺激もしくは阻害作用を有するモジュレーター、すなわち候
補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、小分子ま
たは他の薬物)を同定するための方法(本明細書において「スクリーニングアッ
セイ」とも呼ばれる)を提供する。
【0168】 一つの態様として、本発明は、SPOIL標的分子に結合するかまたはその活性を 調節する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する
。生物学的ライブラリー;空間的に取扱可能な(adderssable)平行固相または溶 液相ライブラリー;解析を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物
」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ラ
イブラリー法を初めとする当該技術分野で既知の組み合わせライブラリー法にお
ける多数の方法のいずれかを用いて本発明の試験化合物を得ることができる。生
物学的ライブラリー法はペプチドライブラリーに限定され、一方、他の4つの方
法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリーに適
用できる(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
【0169】 分子ライブラリーの合成のための方法の例を当該技術分野において例えば:De
Witt等(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erb等(1994)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 91:11422;Zuckermann等(1994)J.Med.Chem.37:2678;Cho等(1993)Science
261:1303;Carrell等(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carell等(1994)Ang
ew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;及びGallop等(1994)J.Med.Chem.37:1233に中に見
いだすことができる。
【0170】 化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13
:412-421)、またはビーズ(Lam(1991)Nature 354:82-84)、チップ(Fodor(1993)Natu
re 364:555-556)、細菌(Ladner USP5,223,409)、胞子(Ladner USP’409)、プラスミ
ド上(Cull等(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)もしくはファージ(Sc
ott及びSmith(1990)Science 249:386-390);(Devlin(1990)Science 249:404-406)
;(Cwirla等(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378-6382);(Felici(1991)J.Mol.Biol
.222:301-310);(Ladner、上記)上に存在してもよい。
【0171】 一つの態様として、スクリーニングアッセイは、細胞表面上にSPOIL受容体を 発現する細胞をSPOILタンパク質またはその生物学的に活性の部分と接触させて アッセイ混合物を生成せしめ、そのアッセイ混合物を試験化合物と接触させ、そ
してSPOIL受容体と相互作用する試験化合物の能力を測定することを含んでなり 、その場合、SPOIL受容体と相互作用する試験化合物の能力を測定することは、 受容体に結合するSPOILまたはその生物学的に活性の部分の能力に比較した場合 にSPOIL受容体に優先的に結合する試験化合物の能力を測定することを含んでな る。さらに、スクリーニングアッセイは、細胞表面上にSPOIL受容体を発現する 細胞をSPOILタンパク質またはその生物学的に活性の部分及びIL-1と接触させて 競合結合アッセイを形成することも含んでなる。次に、結合アッセイを試験化合
物と接触させて、SPOILタンパク質もしくはその生物学的に活性の部分と比較し た場合に受容体に優先的に結合する、そして/または細胞によるIL-1で刺激され
る活性を調節する試験化合物の能力を測定することができる。
【0172】 別の態様として、アッセイは、SPOIL標的分子を発現する細胞を試験化合物と 接触させ、そしてSPOIL標的分子の活性を調節する(例えば刺激するかまたは阻 害する)試験化合物の能力を測定することを含んでなる細胞に基づくアッセイで
ある。例えば、試験化合物の存在下でSPOIL標的分子に結合するかまたはそれと 相互作用するSPOILタンパク質の能力を測定することにより、SPOIL標的分子の活
性を調節する試験化合物の能力の決定を成し遂げることができる。IL-1の存在下
でこのアッセイを実施することができ、そして試験化合物を含まずにSPOIL標的 分子を発現する細胞、SPOILタンパク質及びIL-1を含んでなるコントロールアッ セイに比較して通常IL-1により刺激される細胞の活性を評価することにより、標
的分子と相互作用するSPOILタンパク質の能力を測定することができる。
【0173】 標的分子の活性を測定することにより、SPOIL標的分子に結合するかまたはそ れと相互作用するSPOILタンパク質の能力の測定を成し遂げることができる。例 えば、標的の細胞二次メッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセ
ロール、IP3、PGE2等)の誘導または誘導の欠如を検出すること、標的の適切な 基質の触媒/酵素活性を検出すること、(検出可能なマーカー、例えばルシフェ
ラーゼをコードする核酸に機能的に連結したSPOIL及び/またはIL-1応答調節要 素を含んでなる)レポータ遺伝子の誘導を検出することあるいは細胞応答、例え
ばSPOIL及び/もしくはIL-1により刺激される発生、分化もしくは増殖速度また は細胞応答の欠如を検出することにより標的分子の活性を測定することができる
【0174】 さらに別の態様として、アッセイは、SPOILタンパク質またはその生物学的に 活性の部分を試験化合物と接触させ、そしてSPOILタンパク質またはその生物学 的に活性の部分の活性を調節する(例えば、刺激するかまたは阻害する)試験化
合物の能力を測定する無細胞アッセイである。例えば、試験化合物の存在下及び
/または非存在下でSPOIL標的分子に結合するSPOILタンパク質の能力を測定する
ことにより、SPOILタンパク質の活性を調節する試験化合物の能力の測定を成し 遂げることができる。SPOILタンパク質の活性を調節する試験化合物の能力の測 定をIL-1の存在下または非存在下で成し遂げることができる。また、瞬時の生体
分子相互作用分析(BIA)のような技術を用いて、SPOIL標的分子に結合するSP
OILタンパク質の能力の測定を成し遂げることもできる。Sjolander,S.及びUrban
iczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338-2345並びにSzabo等(1995) Curr.Opin. Struc
t. Biol.5:699-705。本明細書において用いられる場合、「BIA」は、相互作 用体(例えばBIAコアTM(商標))のいずれかを標識せずに瞬時に生物特異的
相互作用を研究するための技術である。光学的現象の表面プラズモン共鳴(SP
R)の変化を生物学的分子間の瞬時の反応の表示として用いることができる。
【0175】 本発明の上記のアッセイ方法の1つより多くの態様において、SPOILまたはそ の標的分子のいずれかを固定してタンパク質の一方または両方の複合体形成して
いない形態からの複合体の分離を容易にすること並びにアッセイの自動化に対応
することが望ましい場合がある。反応物を含有するために適当なあらゆる容器中
で候補化合物の存在下及び非存在下でSPOILタンパク質への試験化合物の結合ま たは標的分子とSPOILタンパク質の相互作用を成し遂げることができる。そのよ うな容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管及び微小遠心管を包む。一
つの態様として、タンパク質の一方または両方をマトリックスに結合できるドメ
インを付加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン
−S−トランスフェラーゼ/SPOIL融合タンパク質をまたはグルタチオン−S− トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質をグルタチオンセファロースビーズ(S
igma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導化マイクロタイタープレー
ト上に吸着させることができ、次に、それらを試験化合物または試験化合物と非
吸着標的タンパク質もしくはSPOILタンパク質のいずれかと合わせ、そして複合 体形成を導く条件下で(例えば、塩及びpHについて生理的条件で)混合物をイ
ンキュベートする。インキュベーション後に、あらゆる結合していない成分を除
くためにビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄し、ビーズの場合
にはマトリックスを固定し、例えば上に記述したように、直接的または間接的の
いずれかで複合体を測定する。あるいはまた、複合体をマトリックスから解離さ
せ、標準的な技術を用いてSPOIL結合または活性のレベルを測定することができ る。
【0176】 また、マトリックス上にタンパク質を固定する他の技術も本発明のスクリーニ
ングアッセイにおいて用いることができる。例えば、ビオチンとストレプトアビ
ジンの結合を利用してSPOILタンパク質またはSPOIL標的分子のいずれかを固定す
ることができる。当該技術分野において周知の技術(例えば、ビオチニル化キッ
ト、Pierce Chemicals、Rockford、IL)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシス クシンイミド)からビオチニル化したSPOILタンパク質または標的分子を調製し 、ストレプトアビジンで被覆した96穴プレート(Pierce Chemical)のウェル中に 固定することができる。あるいはまた、SPOILタンパク質または標的分子と反応 するが、その標的分子へのSPOILタンパク質の結合を妨げない抗体をプレートの ウェルに誘導化し、抗体結合により結合していない標的またはSPOILタンパク質 をウェル中に捕捉することができる。そのような複合体の検出方法は、GST固
定化複合体について上に記述したものに加えて、SPOILタンパク質または標的分 子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出並びにSPOILタンパク質または標的 分子と関係する酵素活性を検出することによる酵素結合アッセイを包む。
【0177】 本発明のさらに別の態様として、SPOILに結合するかまたはそれと相互作用し (「SPOIL−結合タンパク質」または「SPOIL−bp」)、SPOIL活性を調節する 他のタンパク質を同定するために、2−ハイブリッドアッセイまたは3−ハイブ リッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号; Zervos等(1993)Cell 72:223
-232; Madura等(1993) J.Biol.Chem. 268: 12046-12054; Bartel等(1993)Biotec
hniques 14:920-924; Iwabuchi等(1993)Oncogene 8:1693-1696;及びBrent WO94/
10300を参照)において「餌タンパク質」としてSPOILタンパク質を用いることが
できる。また、そのようなSPOIL−結合タンパク質は、例えばSPOILによりもたら
されるシグナリング経路の下流要素としてSPOILタンパク質によるシグナルの伝 播にも関与していると思われる。あるいはまた、そのようなSPOIL−結合タンパ ク質は非SPOIL発現細胞と関係する細胞表面分子であると思われ、その場合、そ のようなSPOIL−結合タンパク質はシグナル伝達に関与している。
【0178】 2−ハイブリッド系は、分離可能なDNA結合及び活性化ドメインからなる大部 分の転写因子のモジュール性質に基づく。簡潔に言えば、このアッセイは2種の
異なるDNA構築物を利用する。一方の構築物では、SPOILタンパク質をコードする
遺伝子を既知の転写因子(例えばGAL−4)のDNA結合ドメインをコードする 遺伝子に融合する。もう一方の構築物では、同定されていないタンパク質(「餌
食」または「サンプル」)をコードするDNA配列のライブラリーからのDNA配列を
既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合する。「餌」及び「
餌食」タンパク質がインビボで相互作用することができ、SPOIL依存的複合体を 形成する場合、転写因子のDNA結合及び活性化ドメインは接近する。この接近に より、転写因子に応答する転写調節部位に機能的に連結されているレポーター遺
伝子(例えばLacZ)を転写することができる。レポーター遺伝子の発現を検出す
ることができ、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、SPOILタンパ ク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化された遺伝子を得るため
に用いることができる。
【0179】 本発明はさらに、SPOILタンパク質またはそれらの生物学的に活性の部分、IL-
1受容体アゴニストとして機能するSPOIL変異体及びSPOILタンパク質または変異 体をコードする核酸分子のような新規なSPOIL薬剤に関し、SPOIL及び/またはIL
-1により刺激される様々な活性(例えば、刺激された免疫応答、増殖、シグナル
伝達経路または分化)に対するそのような薬剤の効能を決定するためにそれらを
スクリーニングすることができる。
【0180】 一つの態様として、SPOIL及び/またはIL-1の存在下でT細胞の増殖を妨げる 薬剤の能力を試験することによりSPOIL及び/またはIL-1の活性を調節するSPOIL
薬剤の能力の測定を成し遂げることができる。
【0181】 また、適切な動物モデルにおいて本明細書に記述したようなSPOIL薬剤をさら に用いることも本発明の範囲内である。例えば、本明細書に記述したような薬剤
(例えば調節剤)をそのような薬剤での処置の効能、毒性または副作用を決定す
るために動物モデルにおいて用いることができる。あるいはまた、本明細書に記
述したように同定したSPOIL薬剤をそのような薬剤の作用機構を決定するために 動物モデルにおいて用いることができる。本発明のSPOIL薬剤の効能または作用 機構を決定することに用いるための動物モデルは、敗血症のパラメーターを示す
動物モデル(例えば、低血圧を誘導するためにエシェリキア・コリを注入した動
物)及び骨代謝を測定するための動物モデル(例えば、SPOILを感染させた骨髄 細胞を移植した致死的に放射線照射したマウス)を含む。IL-1により誘導される
様々な疾患にかかっているヒトにおける結果を予示すると当該技術分野において
認められている他の動物モデルは、当該技術分野において既知であり、例えば、
Dinarello(1991)Blood 77(8):1627-1652中に記述されている。さらに、本発明は
、本明細書に記述したような処置のためのSPOIL薬剤及び上記のスクリーニング アッセイにより同定された薬剤の使用に関する。
【0182】 B.検出アッセイ 本明細書において同定したcDNA配列の一部またはフラグメント(及び対応す る完全な遺伝子配列)をポリヌクレオチド試薬として多様に用いることができる
。例えば、これらの配列を:(i)染色体上にそれらのそれぞれの遺伝子をマッ
ピングし;従って、遺伝病と関連する遺伝子領域の位置を突き止めるため;(ii
)微量の生物学的サンプルから個体を同定するため(組織タイピング);及び(
iii)生物学的サンプルの司法同定を助けるために用いることができる。これら の用途を以下の小さ節において記述する。
【0183】 a.染色体マッピング いったん遺伝子の配列(または配列の一部)が単離されると、この配列を用い
て染色体上にその遺伝子の位置をマッピングすることができる。この工程は染色
体マッピングと呼ばれる。従って、染色体上にSPOIL遺伝子の位置をマッピング するために本明細書に記述したSPOILヌクレオチド配列の一部またはフラグメン トを用いることができる。染色体へのSPOIL配列のマッピングは、疾病と関連す る遺伝子とこれらの配列を相関させることにおける重要な第一段階である。
【0184】 簡潔に言えば、SPOILヌクレオチド配列からPCRプライマー(好ましくは15-
25bpの長さ)を調製することによりSPOIL遺伝子を染色体にマッピングすること ができる。ゲノムDNA中の1個より多いエキソンにまたがらず、従って増幅工程 を複雑にしないプライマーを予測するためにSPOIL配列のコンピューター分析を 用いることができる。次に、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドの
PCRスクリーニングのためにこれらのプライマーを用いることができる。SPOI
L配列に対応するヒト遺伝子を含有するハイブリッドのみが増幅フラグメントを 生じる。
【0185】 異なる哺乳類(例えば、ヒト及びマウス細胞)からの体細胞を融合することに
より体細胞ハイブリッドを調製する。ヒト及びマウス細胞のハイブリッドは増殖
し、分裂するにつれて、任意の順序で徐々にヒト染色体を喪失するが、マウス染
色体を保持する。マウス細胞は特定の酵素を欠くので増殖できないが、ヒト細胞
は増殖できる培地を用いることにより、必要な酵素をコードする遺伝子を含有す
る1個のヒト染色体が保持される。様々な培地を用いることにより、ハイブリッ
ド細胞系のパネルを樹立することができる。パネル中の各細胞系は、単一のヒト
染色体または少数のヒト染色体のいずれか及び一組の完全なマウス染色体を含有
し、特定のヒト染色体への個々の遺伝子の容易なマッピングを可能にする(D’Eu
stachio P.等(1983)Science 220:919-924)。また、転座および欠失を有するヒト
染色体を用いることによりヒト染色体のフラグメントのみを含有する体細胞ハイ
ブリッドを製造することもできる。
【0186】 体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に特定の配列を定める ための迅速な方法である。1台のサーマルサイクラーを用いて1日あたり3また
はそれ以上の配列を定めることができる。オリゴヌクレオチドプライマーを設計
するためにSPOILヌクレオチド配列を用いて、特定の染色体からのフラグメント のパネルで次位置決定(sublocalization)を行うことができる。9o、1pまたは1v 配列をその染色体にマッピングするために同様に用いることができる他のマッピ
ング方法は、インサイチューハイブリダイゼーション(Fan、Y.等(1990)PNAS 87:6
223-27中に記述される)、標識したフローソーティングした染色体での前スクリ
ーニング及び染色体特異的cDNAライブラリーへのハイブリダイゼーションによる
前選択を含む。
【0187】 1段階で正確な染色体位置を与えるために中期染色体散在物へのDNA配列の蛍 光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)をさらに用いることができる
。紡錘体を壊すコルセミドのような化学物質により分裂が中期に止められている
細胞を用いて染色体散在物を作製することができる。染色体をトリプシンでしば
らくの間処理し、次に、ギムザで染色することができる。明暗のバンドのパター
ンが各染色体上に現れ、その結果、染色体を個々に同定することができる。500 または600塩基程度の短いDNA配列でFISH技術を用いることができる。しかし
ながら、1,000塩基より大きいクローンは、簡単な検出のために十分なシグナル 強度で唯一の染色体位置に結合する可能性がより高い。好ましくは1,000塩基、 より好ましくは2,000塩基が合理的な時間量で良好な結果を得るために十分であ る。この技術の総説については、Verma等、Human Chromosomes: A Manual of Bas
ic Techniques(Pergamon Press)、New York、1988)を参照。
【0188】 単一の染色体もしくはその染色体上の単一部位に印を付けるために染色体マッ
ピングのための試薬を個々に用いることができ、または複数の部位及び/もしく
は複数の染色体に印を付けるために一団の試薬を用いることができる。実際には
、遺伝子の非コーディング領域に対応する試薬がマッピング目的のために好まし
い。コーディング配列は遺伝子ファミリー内で保存されている可能性が高く、従
って、染色体マッピング中の交差ハイブリダイゼーションの機会を増やす。
【0189】 いったん配列を正確な染色体位置にマッピングすると、染色体上の配列の物理
的位置を遺伝子地図データと相関させることができる。(そのようなデータは、
例えば、Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通してオンライン
で利用できる、V. McKusick、 Mendelian Inheritance in Man中に見い出される)
。次に、例えば、Egeland、J.等(1987)Nature、325:783-787中に記述される連鎖分
析(物理的に隣接する遺伝子の共遺伝)により、同じ染色体領域にマッピングさ
れた遺伝子と疾病の間の関係を同定することができる。
【0190】 さらに、SPOIL遺伝子と関連した疾病に冒された個体と冒されていない個体間 のDNA配列の違いを決定することができる。突然変異が冒された個体のいくつか または全てで認められるが、冒されていない個体では認められない場合、その突
然変異は特定の疾病の原因因子であると思われる。冒された個体と冒されていな
い個体の比較は、一般に、染色体散在物から明白であるかまたはそのDNA配列に 基づくPCRを用いて検出できる欠失または転座のような、染色体中の構造変化
をまず捜すことを含む。最終的には、突然変異の存在を確かめるため及び突然変
異を多型と区別するために数個体からの遺伝子の完全なシークエンスを実施する
ことができる。
【0191】 2.組織タイピング また、微量の生物学的サンプルから個体を同定するために本発明のSPOIL配列 を用いることもできる。例えば、米国陸軍は、その人員の同定のために制限断片
長多型(RFLP)の使用を考慮している。この技術では、個体のゲノムDNAを1種 またはそれ以上の制限酵素で消化し、そしてサザンブロット上でプローブで調べ
て同定のために独特なバンドを生じる。この方法は、失われるか、交換されるか
または奪われる可能性があり、陽性の同定を困難にする「認識票(Dog Tags)」
の現在の制約を欠点として持たない。本発明の配列は(米国特許5,272,057に記 述される)RFPLのさらなるDNAマーカーとして有用である。
【0192】 さらに、個体のゲノムの選択した部分の実際の塩基ごとのDNA配列を決定する 別の技術を提供するために本発明の配列を用いることができる。例えば、本明細
書に記述したSPOIL配列を用いて配列の5’及び3’末端から2個のPCRプラ イマーを調製することができる。次に、これらのプライマーを用いて個体のDNA を増幅し、続いてそれをシークエンスすることができる。
【0193】 各個体は対立遺伝子の違いのためにそのようなDNA配列の独特な一組を持つの で、このように調製された個体からの対応するDNA配列のパネルは独特な個体の 同定を与えることができる。個体及び組織からそのような同定配列を得るために
本発明の配列を用いることができる。本発明のSPOILヌクレオチド配列はヒトゲ ノムの一部を独特に示す。対立遺伝子変異はこれらの配列のコーディング領域に
おいてある程度、そして非コーディング領域においてより大きい程度に起こる。
個々のヒト間の対立遺伝子変異は各500塩基当たり約1回の頻度で起こると概
算される。個体からのDNAを同定目的のために比較することができる基準として 本明細書に記述した配列の各々をある程度用いることができる。非コーディング
領域にはより多数の多型が存在するので、個体を識別するためにより少ない配列
が必要である。配列番号:1、配列番号:13または配列番号:16、配列番号:24の非 コーディング配列は、各々100塩基の非コーディング増幅配列を生じるおそらく1
0〜1,000プライマーの一団で陽性個体の同定を都合よく与えることができる。配
列番号:3、配列番号:15または配列番号:18におけるもののような予測されるコー
ディング配列を用いる場合、陽性個体の同定のためのプライマーのより適切な数
は500−2,000であるとみられる。
【0194】 本明細書に記述したSPOILヌクレオチド配列からの一団の試薬を個体の独特な 同定データベースを作製するために用いる場合、それらの同じ試薬を後でその個
体からの組織を同定するために用いることができる。独特な同定データベースを
用いて、生存するかもしくは死亡した個体の陽性の同定を極めて少量の組織サン
プルから行うことができる。
【0195】 c.司法生物学における部分SPOIL配列の使用 DNAに基づく同定技術を司法生物学においても用いることができる。司法生物 学は、例えば、犯罪の加害者を確かに同定するための手段として犯罪現場で見い
出された生物学的証拠の遺伝子タイピングを使用する科学分野である。そのよう
な同定を行うために、PCR技術を用いて犯罪現場で見い出された組織、例えば毛 髪もしくは皮膚、または体液、例えば血液、唾液もしくは精液のような非常に少
量の生物学的サンプルから採取されるDNA配列を増幅することができる。次に、 増幅配列を基準と比較することができ、それにより生物学的サンプルの起源を同
定することができる。
【0196】 本発明の配列を用いてヒトゲノム中の特定の遺伝子座を標的とするポリヌクレ
オチド試薬、例えばPCRプライマーを与えることができ、それは例えば別の「同 定マーカー」(すなわち、特定の個体に固有の別のDNA配列)を提供することに よりDNAに基づく司法同定の信頼性を高めることができる。上記のように、実際 の塩基配列情報を制限酵素で生成したフラグメントにより形成されるパターンの
正確な代わりとして同定のために用いることができる。非コーディング領域には
より多数の多型が存在し、この技術を用いて個体を識別することをより容易にす
るので、配列番号:1、配列番号:13または配列番号:16、配列番号:24の非コーデ ィング領域を標的とする配列はこの用途のために特に適切である。ポリヌクレオ
チド試薬の例は、SPOILヌクレオチド配列またはそれらの一部、例えば、少なく とも20塩基、好ましくは少なくとも30塩基の長さを有する配列番号:1、配列番号
:13または配列番号:16、配列番号:24の非コーディング領域由来のフラグメント を含む。
【0197】 さらに、特定の組織、例えば食道からの組織を同定するために、例えばインサ
イチューハイブリダイゼーション技術において用いることができるポリヌクレオ
チド試薬、例えば標識されたまたは標識可能なプローブを与えるために本明細書
に記述したSPOILヌクレオチド配列を用いることができる。これは、司法病理学 者が未知の起源の組織を与えられる場合に非常に有用なはずである。種により、
そして/または器官の種類により組織を同定するためにそのようなSPOILプロー ブのパネルを用いることができる。
【0198】 同様に、汚染に関して組織培養物をスクリーニングする(すなわち、培養物中
の異なる種類の細胞の混合物の存在に関してスクリーニングする)ためにこれら
の試薬、例えば、SPOILプライマーまたはプローブを用いることができる。
【0199】 C.予測医学: 本発明はまた予測医学の分野にも関し、その場合、診断アッセイ、予後アッセ
イ及び臨床試験のモニタリングを予後(予測)目的のために用い、それにより個
体を予防的に処置する。従って、本発明の一つの態様は、生物学的サンプル(例
えば、血液、血清、細胞、組織)に関連して、SPOILタンパク質及び/または核 酸発現並びにSPOIL活性を測定してそれによりある個体が疾病または疾患に悩ま されているかどうか、または異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性と関 連する疾患を発症する危険にさらされているかどうかを決定するための診断アッ
セイに関する。また、本発明は、ある個体がSPOILタンパク質、核酸発現または 活性と関連する疾患を発症する危険にさらされているかどうかを決定するための
予後(または予測)アッセイも提供する。例えば、SPOIL遺伝子中の突然変異を 生物学的サンプルにおいてアッセイすることができる。そのようなアッセイを予
後または予測目的のために用い、それにより異常なSPOILタンパク質、核酸発現 もしくは活性と関連するかまたは異常なIL-1発現もしくは活性を特徴とする疾患
の発症の前に個体を予防的に処置することができる。
【0200】 本発明の別の態様は、臨床試験においてSPOIL及び/またはIL-1の発現または 活性に対するSPOIL薬剤(例えばSPOILタンパク質)の影響をモニタリングするこ
とに関する。
【0201】 これら及び他の薬剤を以下の節でさらに詳細に記述する。
【0202】 1.診断アッセイ 生物学的サンプル中のSPOILタンパク質または核酸の有無を検出するための典 型的な方法は、試験被験体から生物学的サンプルを得、そしてSPOILタンパク質 または核酸の存在が生物学的サンプルにおいて検出されるように、SPOILタンパ ク質またはSPOILタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検
出することができる化合物または薬剤と生物学的サンプルを接触させることを含
む。SPOIL mRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましい薬剤は、SPOIL mRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズすることができる標識した核酸プロ ーブである。核酸プローブは、例えば、配列番号:3、配列番号:15もしくは配列 番号:18、配列番号:26の核酸のようなSPOIL核酸分子、または少なくとも15、30 、50、100、250もしくは500ヌクレオチドの長さで且つストリンジェントな条件 下でSPOIL mRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするために十分 なオリゴヌクレオチドのようなそれらの一部のであってもよい。本発明の診断ア
ッセイに用いるための他の適当なプローブは本明細書に記述されている。
【0203】 SPOILタンパク質を検出するための好ましい薬剤は、SPOILタンパク質に結合す
ることができる抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体はポ
リクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであってもよい。完全な抗
体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)を用いることができる
。プローブまたは抗体に関して「標識した」という用語は、プローブまたは抗体
に検出可能な物質をカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによ
るプローブまたは抗体の直接的標識、並びに直接的に標識される別の試薬との反
応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を包含するものとする。間接的標識
の例は、蛍光的に標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出及び蛍光的に標識
されたストレプトアビジンで検出することができるようなビオチンでのDNAプロ ーブの末端標識を含む。「生物学的サンプル」という用語は、被験体から単離さ
れた組織、細胞及び生物学的液体並びに被験体内に存在する組織、細胞及び液体
を含むものとする。すなわち、インビトロ及びインビボで生物学的サンプル中の
SPOIL mRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出するために本発明の検出方 法を用いることができる。例えば、SPOIL mRNAを検出するためのインビトロ
技術は、ノーザンハイブリダイゼーション及びインサイチューハイブリダイゼー
ションを含む。SPOILタンパク質を検出するためのインビトロ技術は、固相酵素 免疫検定法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法及び免疫蛍光法を
含む。SPOILゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術は、サザンハイブリダイゼ
ーションを含む。さらに、SPOILタンパク質の検出のためのインビボ技術は、標 識した抗-SPOIL抗体を被験体に導入することを含む。例えば、放射性マーカーで
抗体を標識することができ、被験体におけるその存在及び位置を標準的な画像形
成技術により検出することができる。
【0204】 一つの態様として、生物学的サンプルは試験被験体からのタンパク質分子を含
有する。あるいはまた、生物学的サンプルは試験被験体からのmRNA分子または試
験被験体からのゲノムDNA分子を含有することができる。好ましい生物学的サン プルは被験体から常法により単離された血清サンプルである。
【0205】 別の態様として、該方法はコントロール被験体からコントロールの生物学的サ
ンプルを得、SPOILタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAが生物学的サンプルにおい
て検出されるように、SPOILタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出することが
できる化合物または薬剤とコントロールサンプルを接触させ、そして試験サンプ
ル中のSPOILタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在とコントロールサンプル中
のSPOILタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を比較することを含む。
【0206】 また、本発明は、生物学的サンプル中のSPOILの存在を検出するためのキット も包含する。例えば、キットは、生物学的サンプル中のSPOILタンパク質または mRNAを検出することができる標識した化合物または薬剤;サンプル中のSPOI
Lの量を測定するための手段;及びサンプル中のSPOILの量を基準と比較するため
の手段を含んでなる。化合物または薬剤を適当な容器中に包装することができる
。キットはさらにSPOILタンパク質または核酸を検出するためのキットの使用説 明書を含んでなることができる。
【0207】 2.予後アッセイ さらに、異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性と関連する疾病または 疾患にかかっているかまたは発症する危険にさらされている被験体を同定するた
めに本明細書に記述した診断方法を利用することができる。例えば、炎症性疾患
、免疫疾患または分化疾患(例えば骨代謝疾患)のような、異常なSPOILタンパ ク質、核酸発現もしくは活性と関連し、そして/または異常なIL-1発現もしくは
活性を特徴とする疾患にかかっているかまたは発症する危険にさらされている被
験体を同定するために、先の診断アッセイまたは以下のアッセイのような本明細
書に記述されるアッセイを利用することができる。あるいはまた、分化もしくは
増殖性疾患(例えば白血病)、炎症性疾患または免疫疾患にかかっているかまた
は発症する危険にさらされている被験体を同定するために予後アッセイを利用す
ることができる。従って、本発明は、被験体から試験サンプルを得、そしてSPOI
Lタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する、異常なSPOIL 及び/またはIL-1発現または活性と関連する疾病または疾患を同定するための方
法を提供し、その場合、SPOILタンパク質または核酸の存在は、異常なSPOIL及び
/またはIL-1発現または活性を特徴とする疾病または疾患にかかっているかまた
は発症する危険にさらされている被験体の診断に役立つ。本明細書に用いられる
場合、「試験サンプル」は、目的の被験体から得られた生物学的サンプルをさす
。例えば、試験サンプルは生物学的液体(例えば血清)、細胞サンプルまたは組
織であってもよい。
【0208】 さらに、異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性と関連する疾病または 疾患を処置するためにSPOIL薬剤(例えば、SPOILタンパク質、SPOILペプチドま たはSPOILタンパク質をコードする核酸分子)を被験体に投与することができる かどうかを決定するために本明細書に記述した予後アッセイを用いることができ
る。例えば、好炎症性疾患、免疫疾患または分化疾患(例えば骨代謝疾患)のよ
うな疾患に対して被験体をSPOIL薬剤で効果的に処置できるかどうかを決定する ためにそのような方法を用いることができる。あるいはまた、 分化または増殖 性疾患(例えば白血病)対して被験体をSPOIL薬剤で効果的に処置できるかどう かを決定するためにそのような方法を用いることができる。従って、本発明は、
異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性と関連する疾患に対して被験体をS
POIL薬剤で効果的に処置できるかどうかを決定するための方法を提供し、その場
合、試験サンプルを得、そしてSPOILタンパク質または核酸発現または活性を検 出する(例えば、ここで、SPOILタンパク質もしくは核酸発現もしくは活性及び /または多量のIL-1発現もしくは活性の存在は、異常なSPOIL及び/またはIL-1 発現または活性に関連する疾患を処置するためにSPOIL薬剤を投与することがで きる被験体の診断に役立つ)。
【0209】 また、SPOIL遺伝子中の遺伝子変化を検出し、それにより変化した遺伝子を有 する被験体が異常なSPOIL及び/またはIL-1発現を特徴とする疾患の危険にさら されているかどうかを決定するためにも本発明の方法を用いることができる。好
ましい態様として、当該方法は、被験体からの細胞のサンプルにおいて、SPOIL タンパク質をコードする遺伝子の完全な状態に影響を及ぼす少なくとも1つの変
化またはSPOIL遺伝子の誤った発現を特徴とする遺伝子変化の有無を検出するこ とを含む。例えば、1)SPOIL遺伝子からの1個またはそれ以上のヌクレオチド の欠失、2)SPOIL遺伝子への1個またはそれ以上のヌクレオチドの付加;3)S
POIL遺伝子の1個またはそれ以上のヌクレオチドの置換、4)SPOIL遺伝子の染 色体再編成;5)SPOIL遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物のレベルの変化、6
)ゲノムDNAのメチル化パターンのようなSPOIL遺伝子の異常な修飾、7)SPO
IL遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物の非野生型スプライシングパターンの存 在、8)SPOILタンパク質の非野生型レベル、9)SPOIL遺伝子の対立遺伝子喪失
及び10)SPOILタンパク質の不適切な翻訳後修飾の少なくとも1つの存在を確 かめることによりそのような遺伝子変化を検出することができる。本明細書に記
述されるように、SPOIL遺伝子中の変化を検出するために使用することができる 当該技術分野において既知の多数のアッセイ技術がある。好ましい生物学的サン
プルは、被験体から常法により単離された組織または血清サンプルである。
【0210】 ある態様として、変化の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメ ラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号を参 照)、あるいはまた、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えばLandegran等(1988)Sc
ience 241:1077-1080;及びNakazawa等(1994)PNAS 91:360-364を参照)における プローブ/プライマーの使用を含み、それらの後者は、SPOIL遺伝子中の点突然 変異を検出するために特に有用である可能性がある(Abravaya等(1995)Nucleic
Acids Res.23:675-682を参照)。この方法は、患者から細胞のサンプルを集め、
サンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離し、(
存在する場合)SPOIL遺伝子のハイブリダイゼーション及び増幅が起こるような 条件下でSPOIL遺伝子に特異的にハイブリダイズする1個またはそれ以上のプラ イマーと核酸サンプルを接触させ、そして増幅産物の有無を検出するか、または
増幅産物の大きさを検出しそしてその長さをコントロールサンプルと比較する工
程を含むことができる。PCR及び/またはLCRは、本明細書に記述される突
然変異を検出するために使用される技術のいずれかと共に予備的増幅工程として
用いることが望ましい可能性があると予想される。
【0211】 別の増幅方法は:自給(self sustained)配列複製(Guatelli,J.C.等、1990、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh,D.Y.等、1989、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 86:1173-1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardi,P.M.等、1988、Bio/Te
chnology 6:1197)またはいずれかの他の核酸増幅方法及びそれに続く当業者に周
知の技術を用いる増幅された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、核酸
分子が非常に少数で存在する場合にそのような分子を検出するために特に有用で
ある。
【0212】 別の態様として、サンプル細胞からのSPOIL遺伝子中の突然変異を制限酵素切 断パターンの変化により同定することができる。例えば、サンプル及びコントロ
ールDNAを単離し、(場合により)増幅し、1種またはそれ以上の制限エンド
ヌクレアーゼで消化し、そしてフラグメント長の大きさをゲル電気泳動により決
定し、比較する。サンプルとコントロールDNAとの間のフラグメント長の大き
さの違いは、サンプルDNA中の突然変異を示す。さらに、リボザイム切断部位
の発生または喪失により特定の突然変異の存在について評点するために配列特異
的リボザイム(例えば米国特許第5,498,531号を参照)を用いることができる。
【0213】 別の態様として、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高
密度アレーにサンプル及びコントロール核酸、例えばDNAまたはRNAをハイ
ブリダイズさせることによりSPOIL中の遺伝子突然変異を同定することができる (Cronin,M.T.等(1996)Human Mutation 7:244-255;Kozal,M.J.等(1996)Nature M
edicine 2:753-759)。例えば、Cronin,M.T.等、上記に記述されたように光生成
(light-generated)DNAプローブを含有する二次元アレーにおいてSPOIL中の遺
伝子突然変異を同定することができる。簡潔に言えば、サンプル及びコントロー
ルにおいてDNAの長い距離にわたって走査し、連続した重複プローブの直線状
アレーを作成することにより配列間の塩基変化を同定するためにプローブの一次
ハイブリダイゼーションアレーを用いることができる。この段階により点突然変
異を同定することができる。この段階の後、検出された全ての変異体または突然
変異に相補的な、より小さい特殊化したプローブアレーを用いることにより特定
の突然変異を特性化できる二次ハイブリダイゼーションアレーを続ける。各突然
変異アレーは、一方が野生型遺伝子に相補的でありそしてもう一方が突然変異体
遺伝子に相補的である平行なプローブ組から構成される。
【0214】 さらに別の態様として、SPOIL遺伝子を直接シークエンスし、サンプルSPOILの
配列を対応する野生型(コントロール)配列と比較することにより突然変異を検
出するために当該技術分野で既知の様々なシークエンシング反応のいずれかを用
いることができる。シークエンシング反応の例は、Maxim及びGilbert((1977)PNA
S 74:560)またはSanger((1977)PNAS 74:5463)により開発された技術に基づくも のを含む。また、診断アッセイ((1995)Biotechniques 19:448)を実施する場合
、質量分析によるシークエンシング(例えば、PCT国際公開第WO 94/16101号;Coh
en等(1996)Adv.Chromatogr.36:127-162;及びGriffin等(1993)Appl.Biochem.Biot
echnol. 38: 147-159を参照)を初めとする、様々な自動シークエンシング法の いずれかを利用できることも考えられる。
【0215】 SPOIL遺伝子中の突然変異の他の検出方法は、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二 重鎖中のミスマッチ塩基を検出するために切断剤からの保護を用いる方法(Myer
s等(1985)Science 230:1242)を含む。一般に、「ミスマッチ切断」の当該技術分野の
技術は、野生型SPOIL配列を含有する(標識した)RNAまたはDNAを組織サンプル から得られた潜在的に突然変異体のRNAまたはDNAとハイブリダイズさせることに
より形成されるヘテロ二重鎖を与えることにより開始する。コントロールとサン
プル鎖の間の塩基対ミスマッチのために存在するような二重鎖の一本鎖領域を切
断する薬剤で二本鎖の二重鎖を処理する。例えば、ミスマッチ領域を酵素的に消
化するためにRNA/DNA二重鎖をRNアーゼで処理することができ、そしてDNA/DNA
ハイブリッドをS1ヌクレアーゼで処理することができる。別の態様として、ミ
スマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNAのいずれかの二重鎖をヒ
ドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで、そしてピペリジンで処理すること
ができる。ミスマッチ領域の消化後に、得られた物質を次に変性ポリアクリルア
ミドゲルで大きさにより分離して突然変異の部位を決定する。例えば、Cotton等
(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;Saleeba等(1992)Methods Enzymol.217:
286-295を参照。好ましい態様として、コントロールDNAまたはRNAを検出のため に標識することができる。
【0216】 さらに別の態様として、ミスマッチ切断反応は、細胞のサンプルから得られた
SPOIL cDNA中の点突然変異を検出し且つマッピングするための特定の系において
二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1種もしくはそれ以上のタンパク
質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、エシェリキ
ア・コリのmutY酵素はG/AミスマッチでAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミ ジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチでTを切断する(Hsu等(1994)Carcinoge
nesis 15:1657-1662)。典型的態様により、SPOIL配列、例えば野生型SPOIL配列
に基づくプローブを試験細胞(1個またはそれ以上)からのcDNAまたは他の
DNA産物にハイブリダイズさせる。この二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で
処理し、そしてもしあれば、切断生成物を電気泳動プロトコル等から検出するこ
とができる。例えば米国特許第5,459,039号を参照。
【0217】 別の態様として、SPOIL遺伝子中の突然変異を同定するために電気泳動移動度 の変化を用いる。例えば、突然変異体と野生型の核酸との間の電気泳動移動度の
差を検出するために一本鎖構造多型(SSCP)を用いることができる(Orita等(19
89)Proc Natl.Acad.Sci USA:86:2766、また、Cotton(1993)Mutat Res 285:125-144
;及びHayashi(1992)Genet Anal Tech Appl 9:73-79も参照)。サンプル及びコン
トロールSPOIL核酸の一本鎖DNAフラグメントを変性し、再生させる。一本鎖 核酸の二次構造は配列により変わり、電気泳動移動度において生じる変化により
単一塩基の変化さえ検出することができる。DNAフラグメントを標識するか、
または標識したプローブで検出することができる。(DNAよりむしろ)RNAを用い
ることにより当該アッセイの感度を高めることができ、その場合、二次構造は配
列の変化により感受性である。好ましい態様にとして、主題の方法は、電気泳動
移動度の変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重
鎖分析を利用する(Keen等(1991)Trends Genet 7:5)。
【0218】 さらに別の態様として、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中で
の突然変異体または野生型フラグメントの移動を変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)
を用いてアッセイする(Myers等(1985)Nature 313:495)。DGGEを分析の方法と して用いる場合、例えばPCRにより約40bpの高融解のGCに富んだDNAのGCクラン
プを付加することにより、DNAが完全には変性しないことを保証するためにそれ を修飾する。さらなる態様として、コントロール及びサンプルDNAの移動度の
違いを同定するために変性勾配の代わりに温度勾配を用いる(Rosenbaum及びRei
ssner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
【0219】 点突然変異を検出するための他の技術の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイ
ブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プライマー伸長を含むが、それら
に制限されない。例えば、既知の突然変異が中央に置かれるオリゴヌクレオチド
プライマーを調製し、次に、完全な一致が見いだされる場合にのみハイブリダイ
ゼーションできる条件下で標的DNAにハイブリダイズさせる(Saiki等(1986)N
ature 324:163);Saiki等(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。そのような
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドをハイブリダイズする膜に結合し、そして
標識した標的DNAとハイブリダイズさせる場合、それらのオリゴヌクレオチド
はPCR増幅した標的DNAまたは多数の異なる突然変異にハイブリダイズされる 。
【0220】 あるいはまた、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を本発
明と共に用いることができる。特異的増幅のためのプライマーとして用いられる
オリゴヌクレオチドは、(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに
依存するように)分子の中央に(Gibbs等(1989)Nucleic Acids Res.17:2437-244
8)または適切な条件下でミスマッチがポリメラーゼ伸長を妨げるかもしくは減 少することができる1個のプライマーの最も3’末端に(Prossner(1993)Tibtec
h 11:238)目的の突然変異を保有することができる。さらに、切断に基づく検出
をもたらすために突然変異の領域中に新規な制限部位を導入することが望ましい
場合がある(Gasparini等(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。ある態様として、増幅
のためにTaqリガーゼを用いて増幅を実施してもよいことが予想される(Barany(
1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189)。そのような場合、5’配列の3’末端
で完全な対合が存在する場合にのみ連結が起こり、増幅の有無を調べることによ
り特定の部位での既知の突然変異の存在を検出することができる。
【0221】 例えば、本明細書に記述される少なくとも1個のプローブ核酸または抗体試薬
を含んでなる予め包装された診断キットを利用することにより、本明細書に記述
される方法を実施することができ、例えば、SPOIL遺伝子を伴う疾病または疾患 の症状または家族歴を示す患者を診断する臨床設定においてそれを都合よく用い
ることができる。さらに、SPOILが発現されるあらゆる細胞型または組織を本発 明に記述した予後アッセイにおいて利用することができる。 3.臨床試験の間の効果のモニタリング SPOIL及び/またはIL-1の発現または活性に対するSPOIL薬剤(例えば、調節剤
及び/またはSPOILタンパク質)の影響(例えば、シグナル伝達の調節、細胞発 生または分化の調節、細胞増殖の調節)のモニタリングを基礎的な薬物スクリー
ニングだけでなく、臨床試験においても適用することができる。例えば、増加し
たSPOIL及び/もしくはIL-1発現もしくは活性並びに/または減少したSPOIL及び
/もしくはIL-1遺伝子発現、タンパク質レベルもしくは活性を示す患者の臨床試
験において、SPOIL及び/またはIL-1発現または活性を調節する(本明細書に記 述したような)スクリーニングアッセイにより決定された薬剤の有効性をモニタ
ーすることができる。あるいはまた、増加したSPOIL及び/もしくはIL-1発現も しくは活性並びに/または減少したSPOIL及び/もしくはIL-1遺伝子発現、タン パク質レベルもしくは活性を示す患者の臨床試験において、SPOIL及び/もしく はIL-1発現もしくは活性を増加するか、そして/またはSPOIL及び/もしくはIL-
1遺伝子発現、タンパク質レベルもしくは活性をダウンレギュレートするスクリ ーニングアッセイにより決定された薬剤の有効性をモニターすることができる。
そのような臨床試験において、SPOIL及び/またはIL-1、好ましくは例えば好炎 症性疾患、免疫疾患または骨代謝疾患に関与している他の遺伝子の発現または活
性を特定の細胞の表現型の「表示」またはマーカーとして用いることができる。
【0222】 例えば、限定としてではなく、(例えば、本明細書に記述したようなスクリー
ニングアッセイにおいて同定された)SPOIL及び/またはIL-1活性を調節する薬 剤(例えば、SPOILモジュレーター、SPOILタンパク質、ペプチドまたはSPOILタ ンパク質をコードする核酸分子)での処置を同定することができる。従って、例
えば臨床試験において、増殖性疾患、好炎症性疾患または発生もしくは分化疾患
(例えば骨代謝疾患)に対する薬剤の効果を研究するために、細胞を単離し、R
NAを調製し、そしてSPOIL及び/またはIL-1並びに刺激された増殖性疾患、発 生もしくは分化疾患にそれぞれ関与する他の遺伝子の発現のレベルに関して分析
することができる。例えば、(本明細書に記述されるような方法のいずれかによ
り)生産されるタンパク質の量を測定することにより、またはSPOILもしくは他 の遺伝子の活性のレベルを測定することにより、SPOILまたはIL-1発現または活 性のレベルを定量することがでできる。このように、SPOIL発現またはSPOIL及び
/もしくはIL-1により刺激される活性に関与する他の遺伝子もしくはタンパク質
の発現のレベルは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとして用い
ることができる。限定しない例として、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)
に関して染色することにより、SPOIL及び/またはIL-1が破骨細胞生産の刺激剤 であることを示すものとしてサンプル中に存在する破骨細胞のレベルを測定する
ことができる。減少した数の破骨細胞は、薬剤が骨吸収を阻害している指標とし
て役立つ。従って、薬剤での個体の処置前及びその間の様々な時点でこの応答状
態を測定することができる。
【0223】 好ましい態様として、本発明は、(i)薬物の投与に前に被験体から投与前サ
ンプルを得;(ii)投与前サンプル中のSPOIL及び/またはIL-1活性を示すSPOIL
及び/もしくはIL-1または他のタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現 のレベルを検出し;(iii)被験体から1個またはそれ以上の投与後サンプルを 得;(iv)投与後サンプル中のSPOIL及び/もしくはIL-1または他のタンパク質 、mRNAもしくはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出し;(v)投与 前サンプル中のSPOIL及び/またはIL-1活性の有無を示すSPOIL及び/もしくはIL
-1または他のタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現または活性のレベ ルを投与後のサンプルまたは複数のサンプル中のレベルと比較し;そして(vi)
相応して被験体への薬剤の投与を変える工程を含んでなる、薬剤(例えば、SPOI
Lモジュレーター、SPOILタンパク質、SPOILペプチド、SPOIL変異体-IL-1アゴニス
トまたは本明細書に記述される他の薬剤)での被験体の処置の有効性をモニタリ
ングする方法を提供する。例えば、SPOIL及び/またはIL-1発現または活性を検 出されたものより高いレベルまで上げるために薬剤の増加した投与が望ましい場
合がある。あるいはまた、SPOIL及び/またはIL-1の発現または活性を検出され たものより低いレベルまで下げるために薬剤の減少した投与が望ましい場合があ
る。そのような態様により、識別可能な表現型応答がない場合でさえ、SPOIL及 び/またはIL-1発現または活性を薬剤の有効性の指標として用いることができる
【0224】 C.処置の方法: 本発明は、異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性と関連する疾患の危 険にさらされている(もしくはそれにかかりやすい)かまたは疾患にかかってい
る患者(例えばヒト患者)を処置する予防的及び治療的方法の両方を提供する。
処置の予防的及び治療的方法の両方に関して、薬理ゲノム学の分野から得られる
知識に基づいて、そのような処置を特別にあつらえるかまたは改変することがで
きる。本明細書において用いられる場合、「薬理ゲノム学」は、臨床開発におけ
る及び市場での薬物に対する遺伝子シークエンシング、統計遺伝学及び遺伝子発
現分析のようなゲノム学技術の応用をさす。より具体的には、その用語は、患者
の遺伝子がある薬物に対する彼または彼女の応答をどのように決定するか(例え
ば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)の研究をさす。従
って、本発明の別の態様は、個体の薬物応答遺伝子型に従って本発明のSPOIL分 子またはSPOILモジュレーターのいずれかを用いてその個体の予防的または治療 的処置をあつらえるための方法を提供する。薬理ゲノム学により、臨床家または
医師は、処置から最も利益を得るであろう患者に予防的または治療的処置を向け
、そして薬物に関連する有毒な副作用を経験するであろう患者の処置を回避する
ことができる。
【0225】 1.予防的方法 一つの態様として、本発明は、少なくとも1つのSPOIL及び/またはIL-1活性 を調節する薬物を患者に投与することにより、その患者において異常なSPOIL及 び/またはIL-1発現または活性に関連する疾病または疾患を予防するための方法
を提供する。異常なSPOIL及び/またはIL-1発現または活性により引き起こされ るかまたはそれに起因する疾病の危険にさらされている患者を例えば本明細書に
記述したような診断または予後アッセイのいずれかまたは組み合わせにより同定
することができる。疾病または疾患を予防するか、あるいはまたその進行を遅ら
せるように、異常性を特徴とする症状の発現前に予防的薬剤の投与が起こること
ができる。異常性の種類により、患者を処置するために例えばSPOILタンパク質 またはSPOIL変異体-IL-1アゴニスト薬剤を用いることができる。適切なSPOIL薬 剤を本明細書に記述したスクリーニングアッセイに基づいて決定することができ
る。本発明の予防的方法を以下の小節においてさらに説明する。
【0226】 2.治療的方法 本発明の別の態様は、治療目的のためにSPOIL及び/またはIL-1発現または活 性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞をその細胞に関連するSP
OIL及び/またはIL-1の活性の1つもしくはそれ以上または炎症、免疫応答もし くは骨代謝回転に関与する活性の1つもしくはそれ以上を調節する薬剤と接触さ
せることを含む。SPOIL及び/またはIL-1活性を調節する薬剤は、SPOILモジュレ
ーター、SPOILタンパク質をコードする核酸もしくはSPOILタンパク質、SPOILペ プチドまたはSPOILペプチド模倣物のような、本明細書に記述したような薬剤で あってもよい。一つの態様として、薬剤は1つまたはそれ以上のSPOIL及び/ま たはIL-1タンパク質活性を刺激する。そのような刺激剤の例は、SPOIL受容体及 び/もしくはIL-1受容体アゴニスト機能を有するSPOIL変異体または細胞中に導 入されているそのようなSPOIL変異体をコードする核酸分子を含む。別の態様と して、薬剤は1つまたはそれ以上のSPOIL及び/またはIL-1活性を阻害する。そ のような阻害剤の例は、SPOILタンパク質及び核酸分子、突然変異体SPOILタンパ
ク質及び核酸分子、アンチセンスSPOIL核酸分子並びにSPOIL抗体を含む。これら
の調節方法をインビトロで(例えば、薬剤と共に細胞を培養することにより)、
あるいはまた、インビボで(例えば、薬剤を患者に投与することにより)実施す
ることができる。そのようなものとして、本発明は、異常なSPOIL及び/またはI
L-1発現または活性を特徴とする疾病または疾患に悩まされている個体の治療方 法を提供する。一つの態様として、当該方法は、SPOIL及び/またはIL-1発現ま たは活性を調節する(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートす
る)SPOIL薬剤(例えば、本明細書に記述したような薬剤)または薬剤の組み合 わせを投与することを含む。別の態様として、当該方法は、減少したSPOIL発現 または活性を補うための治療としてSPOILタンパク質または核酸分子を投与する ことを含む。
【0227】 本発明の好ましい態様は、患者にSPOIL抗体の治療的に有効な量を投与する工 程を含むIL-1またはSPOILに関連した疾病または疾患の処置方法を含む。本明細 書に定義される場合、抗体の治療的に有効な量(すなわち有効投与量)は、約0.
001から30mg/kg体重まで、好ましくは約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは約0
.1〜20mg/kg体重、そしてさらにより好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8
mg/kg、4〜7mg/kgまたは5〜6mg/kg体重の範囲である。当業者は、疾病または疾 患の重さ、以前の処置、患者の一般的な健康及び/または年齢並びに存在する他
の疾病を初めとするがそれらに限定されないある種の因子が患者を効果的に処置
するために必要とされる投薬量に影響を及ぼす可能性があることを認識する。さ
らに、抗体の治療的に有効な量での患者の処置は、単一の処置を含むことができ
るが、または好ましくは、一連の処置を含むことができる。好ましい例として、
約0.1〜20mg/kg体重の間の範囲の抗体で、1週当たり1回、約1〜10週の間、好ま
しくは2〜8週の間、より好ましくは約3〜7週の間、そしてさらにより好ましく は約4、5または6週間患者を処置する。また、処置のために用いられる抗体の有 効投薬量は、特定の処置の間にわたって増加または減少する可能性があることも
理解される。投薬量の変化は、本明細書に記述したような診断アッセイの結果に
起因する可能性がある。
【0228】 SPOIL及び/もしくはIL-1が異常にダウンレギュレートされ、そして/または 増加した発現もしくは活性が有益な効果を有すると思われる状況では、発現また
は活性の刺激が望ましい。同様に、SPOIL及び/もしくはIL-1が異常にアップレ ギュレートされ、そして/または減少した発現もしくは活性が有益な効果を有す
ると思われる状況では、発現または活性の阻害が望ましい。そのような状況の一
例は、患者が異常な細胞分化を特徴とする疾患(例えば骨吸収疾患)にかかって
いる場合である。そのような状況の別の例は、患者が異常なSPOIL及び/またはI
L-1応答を特徴とする好炎症性疾患(例えば敗血症)にかかっている場合である 。
【0229】 3.薬理ゲノム学 異常なSPOIL及び/またはIL-1活性に関連した疾患(例えば炎症性または発生 疾患)を(予防的にまたは治療的に)処置するために、本発明のSPOIL分子また は本明細書に記述したスクリーニングアッセイにより同定されるようなSPOILモ ジュレーターを個体に投与することができる。そのような処置と共に、薬理ゲノ
ム学(すなわち、個体の遺伝子型と外来化合物または薬物に対するその個体の反
応の関係の研究)を考慮することができる。治療薬の代謝の違いは、薬理学的に
活性のある薬物の投与量と血中濃度の関係を変えることにより激しい毒性または
治療の失敗をもたらす可能性がある。従って、医師または臨床家は、SPOIL分子 またはSPOILモジュレーターを投与するかどうか並びにSPOIL分子またはSPOILモ ジュレーターでの処置の投薬量及び/または治療計画をあつらえるかどうか決定
することにおいて、関連する薬理ゲノム学研究で得られた知識を適用することを
考慮することができる。
【0230】 薬理ゲノム学は、患者において変わってしまった薬物素因及び異常な作用によ
る薬物に対する反応の臨床的に有意な遺伝的変動を扱う。例えば、Eichelbaum、M
.、Clin Exp Pharmacol Physiol、1996、23(10-11):983-985及びLinder、M.W.、Clin
Chem、1997、43(2):254-266を参照。一般に、2つの型の薬理ゲノム学疾患を区別 することができる。薬物が身体に対して作用する様式を変える1個の単一因子と
して伝達される遺伝的疾患(変わってしまった薬物作用)か、または身体が薬物
に対して作用する様式を変える複数の単一因子として伝達される遺伝的疾患(変
わってしまった薬物代謝)。これらの薬理ゲノム学疾患は、稀な遺伝的欠損また
は天然に存在する多型のいずれかとして起こる可能性がある。例えば、グルコー
ス−6−リン酸脱水素酵素欠損症(G6PD)は一般的な遺伝性酵素欠損症であり、
その場合、主な臨床的合併症は酸化剤薬物(抗マラリア薬、スルホンアミド、鎮
痛剤、ニトロフラン)の摂取及びソラマメの消費後の溶血である。
【0231】 「全ゲノムの会合(genome-wide association)」として知られている、薬物応 答を予測する遺伝子を同定するための1つの薬理ゲノム学方法は、主として、す
でに既知の遺伝子関連マーカーからなるヒトゲノムの高解像度地図(例えば、ヒ
トゲノム上の60,000〜100,000の多型または可変部位から成る「二対立遺伝子」 遺伝子マーカー地図、その各々は2個の変異体を有する)に頼る。そのような高
解像度遺伝子地図を第II/III相薬物試験に参加する統計学的に有意な数の患者の
各々のゲノムの地図と比較して特定の観察される薬物応答または副作用に関連し
たマーカーを同定することができる。あるいはまた、そのような高解像度地図を
ヒトゲノム中の約1,000万の既知の単一ヌクレオチド多型(SNP)の組み
合わせから作製することができる。本明細書において用いられる場合、「SNP
」は一続きのDNA中の単一ヌクレオチド塩基で起こる一般的な変化である。例
えば、SNPは、1000塩基のDNA毎あたりに1回起こる可能性がある。S
NPは疾病過程に関与する可能性があるが、しかしながら、大多数は疾病に関連
しない可能性がある。そのようなSNPの発生に基づく遺伝子地図を考えれば、
個体をそれらの個々のゲノム中のSNPの特定のパターンにより遺伝子カテゴリ
ーに分類することができる。そのようにして、そのような遺伝的に類似した個体
間で共通の可能がある形質を考慮に入れて、遺伝的に類似した個体の群に対して
治療計画をあつらえることができる。
【0232】 あるいはまた、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために「候補遺伝子方法
」と呼ばれる方法を利用することができる。この方法により、薬物標的をコード
する遺伝子が既知である場合(例えば、本発明のSPOILタンパク質またはSPOIL受
容体)、その遺伝子の全ての共通の変異体を集団において同定することができ、
そして特定の薬物応答を1つまたはそれ以上の遺伝子と結び付けることができる
【0233】 例示的態様として、薬物代謝酵素の活性は薬物作用の強さ及び期間の両方の主
要な決定要素である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーぜ 2(NAT2)、並びにチトクロームP450酵素 CYP2D6及びCYP2C19)の遺伝子多型の
発見は、標準的で安全な用量の薬物を服用した後に患者が予想される薬物効果を
得ないかまたは過大な薬物反応及び激しい毒性を示すことがある理由に関して説
明を与えている。これらの多型は集団において2つの表現型、多量代謝体(exten
sive metabolizer)(EM)及び少量代謝体(poor metabolize)(PM)で表される。P Mの罹患率は別個の集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は非常
に多型であり、そしていくつかの突然変異がPMにおいて同定されており、それら
は全て機能的なCYP2D6の欠如をもたらす。CYP2D6及びCYP2C19の少量代謝体は、 標準的な用量を与えられた場合に過大な薬物反応及び副作用を極めて頻繁に経験
する。代謝物が有効な治療成分である場合、PMは、そのCYP2D6で形成される代謝
物モルヒネによりもたらされるコデインの鎮痛効果に関して示されるように、治
療応答を示さない。他の極端な状態は、標準的な用量に反応しないいわゆる超迅
速代謝体である。最近、超迅速代謝の分子的根拠がCYP2D6遺伝子増幅によること
が同定されている。
【0234】 あるいはまた、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために「遺伝子発現概略
提示(profiling)」と呼ばれる方法を利用することができる。例えば、薬物(例 えば、本発明のSPOIL分子またはSPOILモジュレーター)を投与した動物の遺伝子
発現は、毒性に関係する遺伝子経路が作動しているかどうかを示す。
【0235】 個体の予防的または治療的処置のために適切な投薬量及び処置計画を決定する
ために上記の薬理ゲノム学的方法の1つ以上から生じた情報を用いることができ
る。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、不都合な反応または治
療の失敗を回避することができ、従って、SPOIL分子または本明細書に記述した 例示的スクリーニングアッセイのいずれかにより同定されるモジュレーターのよ
うなSPOILモジュレーターで被験者を処置する場合に治療的または予防的有効性 を高めることができる。
【0236】 本発明は以下の実施例によりさらに具体的に説明され、それらは制限すると解
釈されるべきではない。本願の全体にわたって引用される全ての参考文献、特許
及び公開特許出願の内容は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0237】 実施例 実施例1:ヒト及びマウスSPOIL cDNAの単離及び特性決定 本実施例では、(「TANGO 080」タンパク質とも呼ばれる)ヒト及びマウスSPO
ILタンパク質をコードする遺伝子の単離を記述する。マウスSPOIL-1及びSPOIL-II cDNAの単離 BLASTN TM(商標)プログラム(BLASTN 1.3MP:Altschul等、J.Mol.Bio.215:4
03、1990)を用いてジーンバンクヌクレオチドデータベースのコピーに対してIL
-1特徴領域をコードするマウスcDNA(PrositeTM(商標)受託番号PDOC00226)で
検索することによりマウスSPOIL-I cDNAを同定した。この検索により、マウスcD
NA IL-1特徴領域と48%の相同性を有するクローンを見いだした。核酸配列を6 つ全てのフレームで翻訳し、そして利用できるタンパク質データベース(BLASTX
1.3MP:Altschul等、上記)とそれを比較するBLASTXTM(商標)プログラムを 用いて非重複タンパク質データベースに対してそれをその配列を分析した。この
タンパク質データベースはSwissProt、PIR及びNCBI GenPeptタンパク質データベ
ースの組み合わせである。IMAGEコンソーシアムから1個のクローンを得、完全 にシークエンスした。このクローンのさらなるシークエンシングは、最初のES
Tを5’及び3’末端の両方で267ヌクレオチド伸ばした。このクローンのcDNAは 約746ヌクレオチドの長さであり、98アミノ酸のタンパク質をコードすると予測 される297ヌクレオチドのオープンリーディングフレームを有する。
【0238】 そのクローンの最初の第一列(first pass)配列は、BLASTXTMプログラムを 用いてウマIL-1ra及びマウスIL-1raに相同性を示した。そのヌクレオチド配列及
び予測されるアミノ酸配列を図1に示す(それぞれ、配列番号:1及び配列番号:2
に対応する)。(予測されるアミノ酸配列、配列番号:2のアミノ酸1-98に相当す
る)マウスSPOIL-Iタンパク質は、ウマIL-1raタンパク質に37.0%の同一性を、 そしてマウスIL-1raタンパク質に39.0%の同一性を示す。
【0239】 マウスIl-1α(SwissProt TM受託番号P01582)及びマウスIL-1β( SwissProt
TM受託番号P10749)とマウスSPOIL-Iタンパク質との整列(図3参照)は、マウ
スIL-1αのアミノ酸残基266及びマウスIL-1βのアミノ酸残基261に見いだされる
アスパラギン酸に対応する配列番号:2のアミノ酸残基91及び配列番号:5のアミノ
酸残基74のアスパラギン酸の存在を示す。さらに、マウスIL-1raとマウスSPOIL-
Iとの整列は、SPOIL-Iのこのアスパラギン酸がマウスIL-1raのアミノ酸残基171 (または成熟マウスIL-1raのアミノ酸残基145)のリシンに対応することを示し 、このリシン残基をアスパラギン酸に突然変異させることによりIL-1raをアゴニ
ストに転化することが示されている(Ju等(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:26
58-2662)。
【0240】 このマウスSPOIL-Iタンパク質は、(予測されるアミノ酸配列、配列番号:2の アミノ酸58-80及び配列番号:5のアミノ酸41-63に相当する)IL-1特徴ドメイン及
び(配列番号:5のアミノ酸1-81に相当する)成熟SPOIL-Iタンパク質を生じるた めに切断される(予測されるアミノ酸配列、配列番号:2のアミノ酸1-17に相当す
る)シグナル配列を含有する。98アミノ酸のSPOIL-Iの予測される分子量は約10.
96kDaであり、成熟SPOIL-I(配列番号:5)の予測される分子量は約9.1kDaである
【0241】 配列番号:1のマウスSPOILヌクレオチド配列を用いたジーンバンクTM(商標)検 索は、配列番号:1のヌクレオチド配列の領域に類似するヒトEST(W78043)を示し た。(上記のデータベース検索において同定されたESTのような)ESTからいかな
る読み枠も同定できないので、ESTによりコードされるアミノ酸配列を決定する ことができない。
【0242】 別のSPOIL転写産物を探すためにマウスSPOIL-Iの全cDNAをプローブとして用い
てマウス食道ライブラリーをスクリーニングした。マウスSPOILの別の型を単離 し、シークエンスした。この第二の型は、シグナルペプチドを欠く160アミノ酸 残基のタンパク質をコードする。従って、マウスSPOIL-IIと称するこのアイソフ
ォームは、細胞内タンパク質であると予測される。2つのマウスSPOILタンパク 質の整列(図7)は、それらがC末端で同一であるが、異なるN末端を有するこ とを示す。例えば、マウスSPOIL-Iのアミノ酸残基29-98をマウスSPOIL-IIのアミ
ノ酸残基91-160と整列させる場合、マウスSPOIL-I及びSPOIL-IIは100%の同一性
を示す。マウスSPOILのそれら2つのアイソフォームはマウスSPOIL遺伝子のスプ
ライス変異体であると予測される。
【0243】 PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー及び4のギャップペナルティ
ーを使用してALIGNプログラムバージョン2.0(全体的整列プログラム、Myers及 びMiller、CABIOS、1989)を用いるマウスSPOIL-I(配列番号:2)とマウスSPOIL
-II(配列番号:25)との全体的整列は、それらのタンパク質が配列の全長にわた
って46.3%同一であることを示した(図7B)。ヒトSPOIL-1及びSPOIL-II cDNAの単離 50ng/ml PMA、1μg/mlイオノマイシン、10ng/ml TNF及び40μg/mlシクロヘキ シミドで4時間刺激したヒト角質細胞(Clonetics TM(商標))のほぼ融合した 単層から単離したmRNAを用いてcDNAライブラリーを構築した。角質細胞cDNAクロ
ーンを表す情報の専有データベースを作るためにESTシークエンシング情報を集 めた。マウスSPOIL-Iの配列を問い合わせ配列として用いて専有ESTデータベース
のTBLASTN検索を実施することにより3個のクローンを同定した(3個のクローン は少なくとも1.4e-48の確率スコアを有する)。
【0244】 ヒトSPOIL-Iのヌクレオチド配列及び予測されるアミノ酸配列を図4に示す( それぞれ、配列番号:13及び配列番号:14に対応する)。ヒトSPOIL-IIのヌクレオ
チド配列及び予測されるアミノ酸配列を図5に示す(それぞれ、配列番号:16及 び配列番号:17に対応する)。PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー 及び4のギャップペナルティーを使用してALIGNプログラムバージョン2.0(全体
的整列プログラム、Myers及びMiller、CABIOS、1989)を用いるヒトSPOIL-I(配
列番号:14)とヒトSPOIL-II(配列番号:17)との全体的整列は、それらのタンパ
ク質が配列の全長にわたって80.8%同一であることを示した(図7A )。
【0245】 SPOILの2つのマウスアイソフォームでの場合のように、2つのヒトSPOILアイ
ソフォームはC末端で完全な同一性を示し、そしてそれらのN末端で異なる。ヒト
SPOIL-IIは、ヒトSPOIL-Iには存在しないタンパク質のN末端近くに40アミノ酸 残基の挿入を有する。マウスSPOIL-IIのように、両方のヒトSPOILアイソフォー ムはシグナル配列を欠き、従って、細胞内タンパク質であると予測される。ヒト
SPOIL-I及びSPOIL-IIは共通の遺伝子のスプライス変異体である可能性がある。A
LIGNプログラム(ヒトSPOIL I及びIIの整列に対して記述したように設定したパ ラメーター)を用いたヒトSPOIL-I(配列番号:14)とマウスSPOIL-I(配列番号:
2)との整列は、それらのタンパク質が配列の全長、例えば全体的整列にわたっ て26.3%同一であることを示した。さらに、同じプログラム及びパラメーターを
用いて、マウスSPOIL-I(配列番号:1)及びヒトSPOIL-II(配列番号:13)をコー
ドする核酸はヌクレオチドレベルで39.8%同一であると決定された。ALIGNプロ グラム(上記のように設定したパラメーター)を用いたヒトSPOIL-II(配列番号
:17)とマウスSPOIL-II(配列番号:25)との整列は、それらのタンパク質が配列
の全長、例えば全体的整列にわたって37.3%同一であることを示した。
【0246】 局所的に整列した場合、上記の4つのSPOILタンパク質間の同一性は著しい。 表IIは(各ファミリーメンバーのC末端ユニークドメインを比較する場合の)SPO
ILファミリーメンバー間の同一性%を記述する。さらに、表IIは、各SPOIL C末 端ユニークドメインとマウスIL-1ra間の同一性%を記述する。2のK-tuple、4の ギャップペナルティー及び12のギャップ重みペナルティーで、Lipman-Pearsonア
ルゴリズム(Lipman及びPearson(1985) Science 227:1435-1441)を用いて整列 を実施した。
【0247】
【表3】
【0248】 4つのファミリーメンバーの整列は、ファミリーメンバー間の特定のアミノ酸 残基の非常に保存された性質のために、少なくとも2個のSPOIL共通モチーフの 生成をもたらした。SPOIL共通モチーフ(「SPOIL特徴モチーフ」)を配列番号:2
2-23として記述する(配列番号:22は短いSPOIL特徴モチーフに対応し、そして配
列番号:23は長いSPOIL特徴モチーフに対応する)。短い及び長いSPOIL共通モチ ーフは、例えば、muSPOIL-Iのアミノ酸残基26-29及び26-93から、muSPOIL-IIの 残基88-131及び88-155から、huSPOIL-Iの残基98-141及び98-164から、そしてhuS
POIL-IIの残基137-180及び137-203から見いだされる。
【0249】 細胞内SPOILアイソフォームのさらなる整列は、それらのタンパク質がタンパ ク質のSPOILユニークドメインの間で少なくとも50%の同一性を有することを示 す。表IIIは(各ファミリーメンバーのSPOILユニークドメインを比較する場合の
)SPOILファミリーメンバー間の同一性%を記述する。2のK-tuple、4のギャップ
ペナルティー及び12のギャップ重みペナルティーで、Lipman-Pearsonアルゴリズ
ム(Lipman及びPearson(1985) Science 227:1435-1441)を用いて整列を実施し た。
【0250】
【表4】
【0251】 実施例2:マウス及びヒト組織におけるSPOIL-I mRNAの分布及び発現 マウス組織のインサイチューハイブリダイゼーション分析 組織切片をSPOIL-Iプローブでハイブリダイズした場合にインサイチュー分析 は以下の発現パターンを示した。SPOIL-I mRNAは、成体及び胚の両方のマウス組
織においてほとんど食道の扁平上皮においてのみ発現された。また、SPOIL-I mR
NAは、成体マウス組織及び胚のマウス組織において口の上皮裏層においても発現
された。
【0252】 さらに、20mg/kgのリポ多糖(LPS)を静脈内に注入したマウスの組織サンプルの
インサイチュー分析は、SPOIL-I発現が腎臓において誘導されることを示した。ヒト組織のノーザンブロット分析 ヒト組織のノーザンブロット分析は、SPOIL発現のパターンを裏付け、SPOIL-I
転写産物は試験した組織の中で食道及びおそらく気管において検出された。さら
に、SPOIL-Iはヒト食道腫瘍サンプルでも存在し、食道の適度に分化した扁平細 胞癌において過剰発現された。ヒト及びマウス細胞系におけるSPOILの発現 50ng/ml PMA、1μg/mlイオノマイシン、10ng/ml TNF及び40μg/mlシクロヘキシ
ミドで誘導した2時間後にヒトSPOIL-I発現が角質細胞(Clonetics )において誘
導された。刺激していない培養物ではいかなる発現も認められなかった。
【0253】 さらに、マウスSPOIL-Iの誘導性発現が、0.1μg/ml LPSでの処理の24時間後に
単球細胞系J774において認められた。
【0254】 実施例3:細菌細胞における組換えSPOIL-Iタンパク質の発現 SPOILをエシェリキア・コリにおいて組換えグルタチオン-S-トランスフェラー
ゼ(GST)融合ポリペプチドとして発現させることができ、そしてその融合ポリ ペプチドを単離し、特性決定することができる。具体的には、SPOILをGSTに融合
し、この融合ポリペプチドをエシェリキア・コリ、例えば株PEB199において発現
させる。例えば、マウスSPOIL-Iタンパク質は約9.1kDaであると予測され、そし てGSTは約26kDaであると予測されるので、融合ポリペプチドは約35.1kDaの分子 量であると予測される。PEB199におけるGST-SPOIL-I融合タンパク質の発現をIPT
Gで誘導する。誘導したPEB199株の粗細菌ライセートから組換え融合ポリペプチ ドをグルタチオンビーズでのアフィニィティークロマトグラフィーにより精製す
る。細菌ライセートから精製したポリペプチドのポリアクリルアミドゲル電気泳
動分析を用いて、得られた融合ポリペプチドの分子量を決定する。
【0255】 実施例4:COS細胞における組換えSPOILタンパク質の発現 例えば、COS細胞においてマウスSPOIL-I遺伝子を発現させるために、Invitrog
en Corporation(San Diego、CA)によるpcDNA/Ampベクターを用いる。このベクタ ーはSV40複製起点、アンピシリン耐性遺伝子、エシェリキア・コリ複製起点、CM
Vプロモーター及びそれに続くポリリンカー領域、並びにSV40イントロン及びポ リアデニル化部位を含有する。全SPOIL-Iタンパク質及びフラグメントの3’末端
にインフレームで融合したHA標識(Wilson等(1984)Cell 37:767)をコードするDNA
フラグメントをベクターのポリリンカー領域中にクローン化し、それにより組換
えタンパク質の発現をCMVプロモーターの制御下に置く。
【0256】 プラスミドを構築するために、2個のプライマーを用いてPCRによりSPOIL-I DN
A配列を増幅する。5’プライマーは目的の制限部位及びそれに続く約20ヌクレオ
チドの開始コドンから始まるSPOIL-Iコーディング配列を含有し;3’末端配列は
目的のもう一つの制限部位、翻訳終止コドン、HA標識及びSPOIL-Iコーディング 配列の最後の20ヌクレオチドに相補的な配列を含有する。PCR増幅フラグメント 及びpcDNA/Ampベクターを適切な制限酵素で消化し、CIAP酵素(New England Biol
abs、Beverly、MA)を用いてベクターを脱リン酸する。好ましくは、選択する2つ の制限部位は異なり、その結果、SPOIL-I遺伝子は正しい向きに挿入される。ラ イゲーション混合物をエシェリキア・コリ細胞(Stratagene Cloning Systems、La
Jolla、CAから入手できる株HB101、DH5α、SUREを用いることができる)中に形質転
換し、形質転換培養物をアンピシリン培地プレート上で平板培養し、耐性コロニー
を選択する。形質転換体からプラスミドDNAを単離し、適切なフラグメントの存 在に関して制限分析により調べる。
【0257】 続いて、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿法、DEAE-デキスト ランによるトランスフェクション、リポフェクションまたは電気穿孔を用いてCO
S細胞をSPOIL-I-pcDNA/AmpプラスミドDNAでトランスフェクトする。宿主細胞を トランスフェクトするための他の適当な方法をSambrook、J.、Fritsh、E.F.及びMan
iatis、T.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor
Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、198
9中に見いだすことができる。放射性標識(NEN、Boston、MAから入手できる35S-メ
チオニンまたは35S-システインを用いることができる)及びHA特異的モノクロー
ナル抗体を用いる免疫沈降(Harlow、E.及びLane、D.、Antibodies:A Laboratory M
anual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1988)に よりSPOIL-Iタンパク質の発現を検出する。簡潔に言えば、細胞を35S-メチオニ ン(または35S-システイン)で8時間標識する。次に、培養培地を集め、溶剤(R
IPAバッファー、150mM NaCl、 1% NP-40、 0.1% SDS、 0.5% DOC、 50mM Tris、 p
H 7.5)を用いて細胞を溶解する。細胞ライセート及び培養培地の両方をHA特異 的モノクローナル抗体で沈殿させる。次に、沈殿したタンパク質をSDS-PAGEによ
り分析する。
【0258】 あるいはまた、SPOIL-Iコーディング配列を含有するDNAを適切な制限部位を用
いてpcDNA/Ampベクターのポリリンカー中に直接クローン化する。得られたプラ スミドを上記のようにCOS細胞中にトランスフェクトし、放射性標識及びSPOIL-I
特異的モノクローナル抗体を用いる免疫沈降によりSPOIL-Iタンパク質の発現を 検出する。
【0259】 実施例5:SPOILタンパク質のレトロウイルス送達 全長SPOIL-I遺伝子をレトロウイルスによりもたらされる感染によりインビボで 発現させた。本実施例では、以下のブライマー;
【0260】
【表5】
【0261】 を用いてマウスSPOIL-I(アミノ酸1-98)の配列を増幅した。
【0262】 リバースプライマーはタンパク質の3’末端にエピトープ標識(Flag配列)を 配置した。次に、増幅産物をレトロウイルスベクターMSCVneo(Hawley等(1994)G
ene Therapy 1:136-138)中にサブクローン化し、配列を確かめた。次に、その レトロウイルスを感染させた5−フルオロウラシル処理したマウスからの骨髄を
放射線照射したマウス受容体に移植し、5週後に病状を調べた。
【0263】 移植の5週後にマウス受容体の脾臓及び骨を採取した。SPOIL-I感染マウスから
の、破骨細胞前駆体の供給源である分離した脾臓細胞をLacey等(1995)Endocrino
logy 136:2367-2376及びUdagawa等(1989) Endocrinology 125:1805-1813により 記述されたように1,25ジヒドロキシビタミンD3の存在下でST2骨髄間質系の上で 平板培養した。さらに、挿入したSPOIL-I遺伝子を含まないレトロウイルスを感 染させた骨髄を移植したコントロールマウスからの脾臓細胞を平板培養した。9 日の培養後、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)に関して染色することにより
破骨細胞の数を測定した。
【0264】 これらの実験の結果から、TRAP陽性破骨細胞の数がコントロール細胞に比較し
た場合にSPOIL-Iを感染させた脾臓細胞を含む培養物において劇的に減少される ことが示された。また、組織学的に、SPOIL-I感染骨髄を移植したマウス受容体 の骨は、対応するコントロールマウスの骨より太いようでもあった。一般に、成
長板(growth plate)で索状骨(trabecular bone)が少なかった。索状骨は圧 縮され、密であり、より多くの類骨(osteloid)形成及びより多くの骨芽細胞が
存在した。同等物 当業者は、慣例の実験のみを用いて、本明細書に記述される本発明の特定の態
様に対する多数の同等物を認めるか、または確かめることができる。そのような
同等物は以下の請求項により包含されるものとする。
【0265】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウスSPOIL-IのcDNA配列及び予測されるアミノ酸配列を示す。ヌクレオチド 配列は配列番号:1の核酸1〜746に対応する。アミノ酸配列は配列番号:2のアミノ
酸1〜98に対応する。
【図2】 成熟マウスSPOIL-Iタンパク質をコードするcDNA配列(配列番号:4の核酸1-243
)及び対応するアミノ酸配列(配列番号:5のアミノ酸残基1-81)を示す。
【図3】 (配列番号:2のアミノ酸1〜98に対応する)(マウスまたはmTANGO 080-Iとも 呼ばれる)マウスSPOIL-I、マウスIL-1ra(SwissprotTM受託番号P25085)(配列
番号:10)、マウスIL-1α(SwissprotTM受託番号P01582)(配列番号:11)及び マウスIL-1β(SwissprotTM受託番号P10749)(配列番号:12)のアミノ酸配列の
整列を示す。
【図4A−B】 (ヒトまたはhTANGO 080-Iとも呼ばれる))ヒトSPOIL-IのcDNA配列及び予測さ れるアミノ酸配列を示す。ヌクレオチド配列は配列番号:13の核酸1〜1291に対応
する。アミノ酸配列は配列番号:14のアミノ酸1〜169に対応する。
【図5】 (ヒトまたはhTANGO 080-IIとも呼ばれる)ヒトSPOIL-IIのcDNA配列及び予測さ
れるアミノ酸配列を示す。ヌクレオチド配列は配列番号:16の核酸1〜1377に対応
する。アミノ酸配列は配列番号:17のアミノ酸1〜208に対応する。
【図6】 マウスSPOIL-IIのcDNA配列及び予測されるアミノ酸配列を示す。ヌクレオチド
配列は配列番号:24の核酸1〜838に対応する。アミノ酸配列は配列番号:25のアミ
ノ酸1〜160に対応する。
【図7A−D】 本発明のSPOILアミノ酸配列の対毎の整列を示す。図7AはヒトSPOIL-Iとヒト
SPOIL-IIとの整列を示す。図7BはマウスSPOIL-IとマウスSPOIL-IIとの整列を 示す。図7CはヒトSPOIL-IとマウスSPOIL-Iとの整列を示す。図7DはヒトSPOI
L-IIとマウスSPOIL-IIとの整列を示す。ALIGNアルゴリズム(Myers及びMiller(19
89)CABIOS)を用いてそれらの整列を作製した。ギャップペナルティーを-12/-4に
設定し、そしてPAM120残基重みマトリックスを用いた。
【図8】 (配列番号:2に対応する)マウスSPOIL-Iのアミノ酸配列、(配列番号:25に対
応する)マウスSPOIL-IIのアミノ酸配列、(配列番号:14に対応する)ヒトSPOIL
-Iのアミノ酸配列及び(配列番号:18に対応する)ヒトSPOIL-IIのアミノ酸配列 の複数配列整列を示す。星印はSPOILファミリーメンバー間で保存されるアミノ 酸残基を示す。
【図9】 マウスIL-1α(SwissprotTM受託番号P01582)(配列番号:11)、マウスIL-1β
(SwissprotTM受託番号P10749)(配列番号:12)、マウスIL-1ra(SwissprotTM 受託番号P25085)(配列番号:10)のアミノ酸配列、(配列番号:2のアミノ酸1〜
98に対応する)(マウスまたはmTANGO 080-Iとも呼ばれる)マウスSPOIL-1のア ミノ酸配列、(配列番号:25のアミノ酸1〜160に対応する)(マウスまたはmTANG
O 080-IIとも呼ばれる)マウスSPOIL-IIのアミノ酸配列、(配列番号:14のヌク レオチド1〜169に対応する)ヒトSPOIL-Iのアミノ酸配列及び(配列番号:16のヌ
クレオチド1〜208に対応する)ヒトSPOIL-IIのアミノ酸配列の複数配列整列を示
す。星印はSPOILタンパク質及びIL-1ra間で保存されるアミノ酸残基を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA04 CA12 DA02 DA06 EA02 EA04 FA02 GA11 GA18 GA19 HA04 HA14 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ53 QQ79 QR32 QR48 QR56 QR58 QR60 QR77 QR80 QS05 QS36 QX02 4B064 AG01 AG26 AG27 CA02 CA10 CA19 CA20 CC24 CE12 DA13 4B065 AA26X AA90X AA91Y AA93Y AA97X AB01 BA02 BD14 CA24 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA21 BA41 CA40 DA75 DA76 EA50 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)配列番号:1もしくは配列番号:24またはそれらの相補物 のヌクレオチド配列と少なくとも65%の同一性を有するヌクレオチド配列を含ん
    でなる核酸分子; b)配列番号:16もしくは受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDN
    Aインサートまたはそれらの相補物のヌクレオチド配列と少なくとも85%の同一 性を有するヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子; c)配列番号:1、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98984としてATCCに寄託 されたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物のヌクレオチド配列を 含んでなる核酸の少なくとも500ヌクレオチドのフラグメントを含んでなる核酸 分子; d)配列番号:2または配列番号:25のアミノ酸配列に少なくとも約60%同一であ るアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードする核酸分子; e)配列番号:17のアミノ酸配列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプ
    ラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列に少なくとも約85% 同一であるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードする核酸分子; f)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドのフラグメントをコードする核酸分子であって
    、その場合、そのフラグメントは配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25または
    受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコード
    されるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含んでなる; g)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体をコードす
    る核酸分子であって、その場合、その核酸分子はストリンジェントな条件下で配
    列番号:1、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98984としてATCCに寄託された プラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物を含んでなる核酸分子にハイ ブリダイズする;及び h)配列番号:1、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98984としてATCCに寄託 されたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物のヌクレオチド配列に ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子 よりなる群から選択される単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 a)配列番号:1、配列番号:16、配列番号:24、受託番号98984
    としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートまたはそれらの相補物のヌ クレオチド配列を含んでなる核酸分子;及び b)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドをコードする核酸分子 よりなる群から選択される請求項1の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 ベクター核酸配列をさらに含んでなる請求項1の核酸分子。
  4. 【請求項4】 異種起源のポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含ん
    でなる請求項1の核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項1の核酸分子を含有する宿主細胞。
  6. 【請求項6】 哺乳類宿主細胞である請求項5の宿主細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1の核酸分子を含有する非ヒト哺乳類宿主細胞。
  8. 【請求項8】 a)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列
    または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートにより
    コードされるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドのフラグメントであって、
    その場合、そのフラグメントは配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25または受
    託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードさ
    れるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含んでなる; b)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体であって、
    その場合、そのポリペプチドはストリンジェントな条件下で配列番号:1、配列番
    号:16、配列番号:24またはそれらの相補物を含んでなる核酸分子にハイブリダイ
    ズする核酸分子によりコードされる;及び c)配列番号:1または配列番号:24のヌクレオチド配列を含んでなる核酸と少な くとも65%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子によりコー
    ドされるポリペプチド; d)配列番号:16または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA インサートのヌクレオチド配列を含んでなる核酸と少なくとも65%の同一性を有
    するヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子によりコードされるポリペプチド;
    e)配列番号:1、配列番号:16、配列番号:24または受託番号98984としてATCCに 寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列にストリンジェント な条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードされるポリペプチド; f)配列番号:2または配列番号:25のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を 有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド; g)配列番号:17または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA インサートによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%の
    同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド よりなる群から選択される単離されたポリペプチド。
  9. 【請求項9】 配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列また
    は受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコー
    ドされるアミノ酸配列を含んでなる請求項8の単離されたポリペプチド。
  10. 【請求項10】 異種起源のアミノ酸配列をさらに含んでなる請求項8のポ
    リペプチド。
  11. 【請求項11】 請求項8のポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  12. 【請求項12】 a)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配
    列または受託番号98984としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによ
    りコードされるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド; b)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドのフラグメントであって、その場合、そのフラ
    グメントは配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25または受託番号98984としてA
    TCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列の
    少なくとも15個の連続したアミノ酸を含んでなる;及び c)配列番号:2、配列番号:17、配列番号:25のアミノ酸配列または受託番号9898
    4としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサートによりコードされるアミノ
    酸配列を含んでなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体であって、
    その場合、そのポリペプチドはストリンジェントな条件下で配列番号:3、配列番
    号:16、配列番号:24またはそれらの相補物を含んでなる核酸分子にハイブリダイ
    ズする核酸分子によりコードされる よりなる群から選択されるポリペプチドの製造方法であって;核酸分子が発現さ
    れる条件下で請求項5の宿主細胞を培養することを含んでなる方法。
  13. 【請求項13】 サンプル中の請求項8のポリペプチドの存在を検出する方
    法であって: a)ポリペプチドに選択的に結合する化合物とサンプルを接触させること;及び
    b)化合物がサンプル中のポリペプチドに結合するかどうかを決定し、それによ
    りサンプル中の請求項8のポリペプチドの存在を検出すること を含んでなる方法。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドに結合する化合物が抗体である、請求項13
    の方法。
  15. 【請求項15】 請求項8のポリペプチドに選択的に結合する化合物及び使
    用説明書を含んでなるキット。
  16. 【請求項16】 サンプル中の請求項1の核酸分子の存在を検出する方法で
    あって: a)核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマーとサ
    ンプルを接触させること;及び b)核酸プローブまたはプライマーがサンプル中の核酸分子に結合するかどうか
    を決定し、それによりサンプル中の請求項1の核酸分子の存在を検出すること を含んでなる方法。
  17. 【請求項17】 サンプルがmRNA分子を含んでなり、そしてサンプルを
    核酸プローブと接触させる、請求項16の方法。
  18. 【請求項18】 請求項1の核酸分子に選択的にハイブリダイズする化合物
    及び使用説明書を含んでなるキット。
  19. 【請求項19】 請求項8のポリペプチドに結合する化合物の同定方法であ
    って、 a)ポリペプチドまたはポリペプチドを発現する細胞を試験化合物と接触させる
    こと;及び b)ポリペプチドが試験化合物に結合するかどうかを決定すること を含んでなる方法。
  20. 【請求項20】 ポリペプチドへの試験化合物の結合が a)試験化合物/ポリペプチド結合の直接検出による結合の検出; b)競合結合アッセイを用いる結合の検出;及び c)SPOIL活性のアッセイを用いる結合の検出 よりなる群から選択される方法により検出される、請求項19の方法。
  21. 【請求項21】 ポリペプチドの活性を調節するために十分な濃度のポリペ
    プチドに結合する化合物とポリペプチドまたはポリペプチドを発現する細胞を接
    触させることを含んでなる請求項8のポリペプチドの活性を調節する方法。
  22. 【請求項22】 請求項8のポリペプチドの活性を調節する化合物の同定方
    法であって:a)試験化合物と請求項8のポリペプチドを接触させること;及び
    b)ポリペプチドの活性に対する試験化合物の影響を決定し、それによりポリペ
    プチドの活性を調節する化合物を同定すること、 を含んでなる方法。
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