JP2002373205A - 相手にも自分と同様の意志がある時に限って相手に自分の意思を伝達する方法 - Google Patents

相手にも自分と同様の意志がある時に限って相手に自分の意思を伝達する方法

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JP2002373205A
JP2002373205A JP2001181692A JP2001181692A JP2002373205A JP 2002373205 A JP2002373205 A JP 2002373205A JP 2001181692 A JP2001181692 A JP 2001181692A JP 2001181692 A JP2001181692 A JP 2001181692A JP 2002373205 A JP2002373205 A JP 2002373205A
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Keiichi Sugiyama
景一 杉山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相手以外には自分の意思を知られることな
く、相手が自分と同じ意志を持ってない場合には相手に
も自分の意思を知られることなく、相手も自分と同じ意
思を持っている場合に限って、相手に自分の意思を伝達
する。 【解決手段】 意思照合サーバが、その利用者にインタ
ーネット等を介して必要な情報を送信させ、これを照合
することにより意思が一致している可能性が高いかどう
かを調べ、結果を利用者に通知する。また、この照合結
果を確認するために、意思が一致している可能性が高い
利用者どうしのメッセージ交換を仲介する。さらに、自
分と相手しか知らない情報を意思照合に利用できるよう
にすることで安全性を高める。さらに、通信機等の電子
機器を用いて、相手と共有できる情報を日常的に収集で
きるようにし、この情報をそのまま照合に用いたり、知
られたくない情報を暗号化するのに用いたりする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、意思照合サーバ、
通信機、観測機、記録媒体等を利用した意思伝達方法に
関わる。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】友人関係、男女関係、
企業間関係などにおいて、「一方が思い切って意思表示
することにより、意思の一致が確認できて、話がうまく
進んでいく」ということはまれではない。ところが、う
まくいく可能性があることをわかっていながら、意思表
示を控える場面も多い。相手の意志が自分と異なる場合
には、意思表示したために大きな不利益を被ることがあ
るからである。しかし、もし、相手も自分と同じ意思を
持っている場合に限って相手に意思を伝達することがで
きたら、相手の意志が自分と異なっていた時に被る損失
から解放され、意思が一致した時の利益だけを享受でき
ることになり、そのメリットは計り知れない。意思照合
サーバ、通信機、観測機、記録媒体等のテクノロジーを
用いて、そのような方法を確立することが本発明の解決
すべき課題である。
【0003】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決し
ていくための方法を、以下において、単純なものから順
に検討していき、最後にそれらをまとめる形で、課題を
解決するための手段を示す。
【0004】1:意思照合サーバを利用する意思伝達方
法 まず、意思照合サーバを利用する意思伝達方法について
検討する。
【0005】1−1:意思照合の基本形 最初に考えられるのは、 (1)意思照合センターを立ち上げ、その会員として個
人、団体、企業等に入会してもらう。 (2)意思表示したい会員(以下、意思表示者)は、意
思の一致を確認するのに必要な情報(以下、照合情報)
を会員の端末から意思照合センターのサーバ(以下、意
思照合サーバ)に送信する。 (3)意思照合サーバは、照合情報を用いて意思照合を
行ない、意思が一致している会員の組み合わせが見つか
った場合にのみ、「あなたと同じ意思を相手の方も持っ
ていらっしゃいます」という報告を、両会員の端末に送
信する。というような方法である(図1)。
【0006】1−2:会員番号による意思照合 ここで、当事者が非常に親しい関係にあることを想定す
れば、話は比較的簡単で、たとえば、 (1)意思照合センターを立ち上げ、その会員として個
人、団体、企業等に入会してもらう。 (2)会員どうしで予め会員番号を教え合っておいても
らう。 (3)意思表示したい会員(意思表示者)は、自分がど
のような意思を持っているかに関する情報(以下、意思
種類情報)、意思表示者の会員番号(意思表示者会員番
号)意思表示の対象となる者(以下、意思表示対象者)
の会員番号(以下、意思表示対象者会員番号)等の照合
情報を意思照合サーバに送信する。 (4)意思照合サーバは、意思種類情報が同一であるす
べての会員の組み合わせについて、第一の会員の意思表
示者会員番号と第二の会員の意思表示対象者会員番号を
照合すると同時に、第二の会員の意思表示者会員番号と
第一の会員の意思表示対象者会員番号を照合し、両方が
一致していることが判明した場合にのみ、「あなたと同
じ意思を相手の方も持っていらっしゃいます」という報
告を、第一の会員の端末と第二の会員の端末に送信す
る。 というような方法が有望だと考えられる(図2の会員番
号による照合)。
【0007】1−3:当事者特定情報による意思照合 以上のように、両当事者が最初から会員番号を教え合え
るような仲であれば、意思照合はそれほど難しくはな
い。しかし、実際には、会員番号を聞けるほど親しくな
い人に対して意思表示したいということも多い。そのよ
うな場合には、会員番号によって相手方を特定すること
ができないので、「会員番号の代わりに、意思表示者を
特定するための情報(以下、意思表示者特定情報)、意
思表示対象者を特定するための情報(以下、意思表示対
象者特定情報)を照合情報として照合を行なう」という
方法が考えられる。
【0008】すなわち、上記1−2の方法は (1)意思照合センターを立ち上げ、その会員として個
人、団体、企業等に入会してもらう。 (2)意思表示したい会員(意思表示者)は、自分がど
のような意思を持っているかに関する情報(意思種類情
報)、意思表示者を特定するための情報(意思表示者特
定情報)意思表示対象者を特定するための情報(意思表
示対象者特定情報)を意思照合サーバに送信する。 (3)意思照合サーバは、意思種類が同一であるすべて
の会員の組み合わせについて、第一の会員の意思表示者
特定情報と第二の会員の意思表示対象者特定情報を照合
すると同時に、第二の会員の意思表示者特定情報と第一
の会員の意思表示対象者特定情報を照合し、両方が一致
していることが判明した場合にのみ、「あなたと同じ意
思を相手の方も持っていらっしゃいます」という報告
を、第一の会員の端末と第二の会員の端末に送信する。 というような形に修正される必要がある(図2の当事者
特定情報による照合)。
【0009】具体的には、意思表示者特定情報、意思表
示対象者特定情報としては氏名や生年月日などが有力で
ある。たとえば、ヤマダタロウが「私は氏名がヤマダタ
ロウ、生年月日が1982年04月01日であって、氏
名がスズキハナコ、生年月日が1983年07月22日
である他会員に対して、友人になりたいという意思を持
っている」というような照合情報を意思照合サーバに送
信する。一方、スズキハナコも「私は氏名がスズキハナ
コ、生年月日が1983年07月22日であって、氏名
がヤマダタロウ、生年月日が1982年04月1日であ
る他会員に対して、友人になりたいという意思を持って
いる」という照合情報を意思照合サーバに送信する。意
思照合サーバがこれだけ詳細な照合情報で照合を行なえ
ば、ヤマダタロウとスズキハナコの意思が一致している
ことはほぼ確実になるというわけである(図3の完全照
合)。
【0010】2:メッセージ交換による当事者間確認 以上のような方法は単純なので、会員も理解しやすい。
それにはそれなりのメリットがあり、これだけで意思照
合センターがビジネスとして成功することもありえる。
しかし、このような単純すぎる方法では多くの人たちが
意思照合センターを利用することに不安を感ずる可能性
も残っている。たとえば、意思照合センターがどんなに
その情報処理の正確さに注意を払ったとしても、あるい
は、意思照合センターがどんなに信頼できる技術を持っ
た企業によって運営されていても、「人のやることなの
だからどこかに情報処理ミスがあるかもしれない」と感
じる人がいるはずである。会員が意思照合サーバに必要
な情報を送信して、意思照合サーバから「あなたと同じ
意思を相手の方も持っていらっしゃいます。」という報
告を受けたとしても、それだけで、実生活の中で意思表
示対象者に向かって意思表示してしまうのにはいくらか
の不安が残る。「プログラムミスなどのために意思照合
サーバが情報処理を誤っていたために、意思が一致して
いない人に誤って意思表示してしまい、大きな損失を被
る」というような可能性を完全に否定できない状況で
は、人はなかなか「意思照合」という重大な仕事を任せ
てはくれない。会員は「手違いはありえない」という保
証を強く望んでいるはずである。
【0011】そこで考えられるのは、 (1)意思照合サーバは照合結果にもとづいて、意思が
一致している確率が高い会員(以下、有望会員)を探し
出し、「その有望会員と意思が一致している確率が高
い」ということを意思表示者に知らせる。 (2)それだけでは不安な意思表示者は、意思照合サー
バを通じて、その有望会員との間でメッセージ交換を行
ないながら、実生活の中で最終確認(当事者間確認)を
行なう。というような方法である。
【0012】2−1:確認シグナルによる最終確認 たとえば、意思表示者は自分にとっての有望会員に対し
て、意思照合サーバを通して「私はあなたに対して○○
という意志を持っています。もしあなたが同じ意思を私
に対して持っていてくださるなら、次に実生活の中でお
会いした時に△△という確認シグナルを送ってくださ
い」というようなメッセージを送ることができる。も
し、その有望会員が意思表示対象者だったら、その後の
実生活の中で、その確認シグナルが意思表示対象者から
意思表示者に対して送られてきて、意思表示者はさらに
確信を深めることとなる(図4の有望会員=意思表示対
象者の場合)。なお、確認シグナルとしては、たとえ
ば、「別れ際に鼻をつまむ」「会った瞬間に目をこす
る」「左手で目をこすったあとに右手で鼻をつまむ」と
いったような、偶然そういうことがあってもおかしくは
ないが、それほど頻繁には起きることがないものが適切
と思われる。
【0013】2−1−1:確認シグナルによる最終確認
の確実性 このような確認シグナルによる確認が成功すれば、意思
照合サーバが正しく情報処理を行なっているかどうかに
関係なく、当事者(=意思表示者と意思表示対象者)は
双方の意思の一致を確信できる。なぜなら、一つのメッ
セージの中に「私はあなたに対して○○という意志を持
っています。」というような意思表示文と「もしあなた
が同じ意思を私に対して持っていてくださるなら、次に
実生活の中でお会いした時に△△という確認シグナルを
送ってください」というような確認シグナル要請文が両
方とも入っているので、1つのメッセージが全体として
何かの手違いで相手に届かないというトラブルがあった
としても、1つのメッセージに書かれた確認シグナル要
請文だけが正しく伝わり、意思表示文だけが間違って伝
わることはまず考えられないからである。つまり、いま
実生活の中で確認シグナルが意思表示対象者から自分に
向けて送られたということは、確認シグナル要請文が正
しく伝わっていることを示すものであるが、確認シグナ
ル要請文が正しく伝わっているなら、意思表示文も正し
く伝わっているはずであり、それは「自分の意思を承知
の上で意思表示対象者が確認シグナルを自分に向けて送
ってくれている」ということの確かな証明になるのであ
る。
【0014】もちろん、このような確認シグナルによる
確認が1回成功しただけでは「偶然、別れ際に鼻をつま
んだ」というような可能性を完全には否定できない。し
かし、確認シグナルによる確認が繰り返し成功すれば、
当事者は双方の意思の一致を100%確信できることに
なる。
【0015】2−1−2:確認シグナルの秘密保持効果 また、このような確認シグナルによる確認は当事者間で
行なわれるものなので、その当然の結果として、「意思
表示者が確認シグナルによって意思表示対象者との意思
の一致を確認しようとした」ということを当事者以外に
知られる心配はない。もちろん、意思表示対象者である
確率が高いと判断してメッセージを送信した有望会員が
実は意思表示対象者ではなかったために、実生活の中で
意思表示対象者からの確認シグナルを空しく待ってしま
うという可能性はある(図4の有望会員≠意思表示対象
者の場合)。また、メッセージを送信してくれた有望会
員が実は意思表示対象者ではなかったために、実生活の
中で意思表示対象者に向けて確認シグナルを空しく送っ
てしまったりする可能性もある(図4の有望会員≠意思
表示対象者の場合)。しかし、そのような場合でも、確
認シグナルを送ったこと、確認シグナルを待っていたこ
とが自分の意思表示対象者に知られる心配はない。確認
シグナルを待っていた会員は自分から何かをするわけで
はないし、確認シグナルを送る会員も、「鼻に触る」と
か「目をこする」というような、日常行なわれてもおか
しくないような行動をとるだけだからである。もちろ
ん、確認シグナルを要請するメッセージを誤って送信し
てしまった非意思表示対象有望会員(図4の有望会員≠
意思表示対象者の場合)は確認シグナルの現場にいない
のであるから、自分の意思を知ってしまう立場にはな
い。したがって、確認シグナルによる確認は安全であ
る。
【0016】2−2:メッセージ中での確認 以上の最終確認方法は「メッセージ中に書かれた指示を
将来、実生活の中で実行して確認する」という方法であ
ったが、それとは逆に、「実生活の中ですでに起きた出
来事をメッセージ交換の中で確認する」という方法も可
能である。たとえば、「5月15日には2人の間でこん
な話をした」というような、当事者にしか知らないこと
がある時に、有望会員へのメッセージの中で当事者にし
かわからない話題に触れていけば、それを受け取った意
思表示対象有望会員は「ああ、あのことを書いているの
だな」と思い、自分がその意思表示対象有望会員にとっ
ての意思表示対象有望会員であることを理解してくれ
る。また、当事者にしかわからない話題に触れたメッセ
ージへの返答として、当事者にしか書けないようなメッ
セージを返してくれれば、その有望会員こそが意思表示
対象有望会員であると推定できる。逆に、当事者にしか
わからない話題に触れたメッセージを受け取った非意思
表示対象有望会員は何のことを言っているのか分からな
いので、自分がその非意思表示対象有望会員にとって非
意思表示対象有望会員であることを理解してもらえる。
【0017】3:当事者間情報 以上のようなわけで、「メッセージ交換」を利用するこ
とにより会員が抱く情報処理ミスに関する不安は解消さ
れる。しかし、実は、会員にとっての不安はそれだけで
はない。たとえば、会員Aが会員または非会員であるB
に意思表示しようとしている時に、会員βがBの氏名、
生年月日等を使ってBになりすまし、Bの代わりにAに
対して虚偽の意思表示すると、Aは自分の意志をβに知
られてしまうことになりかねない。一方、会員αが会員
または非会員であるAの氏名、生年月日等を使ってAに
なりすまし、Aの代わりに会員Bに対して虚偽の意思表
示すると、これまた混乱が生ずることとなる。もちろ
ん、このような別人による「なりすまし」を防ぐため
に、意思照合センターへの入会に際して厳正な身元確認
を行なったり、「なりすまし」に厳罰で対応したりする
ことができるのかもしれないが、そのような面倒や罰則
は、同時に、意思照合センターに入会しようという意欲
をそぐことにもなる。また、「会員βがBの友人であっ
て、いたずら半分でBになりすました」とか「会員αが
Aの友人であって、いたずら半分でAになりすました」
というようなケースに対して罰則を適用することは難し
い。さらに、意思照合センターを使いやすくするために
「自分を全く証明することなく、会員番号とパスワード
のみで利用できる」ような仕組みにした時には、なりす
ました人を処罰するどころか、特定することすらできな
くなる。
【0018】また、意思表示者であるヤマダタロウが
「私は氏名がヤマダタロウ、生年月日が1982年04
月01日であって、氏名がスズキハナコ、生年月日が1
983年07月22日である人物に対して、友人になり
たいという意思を持っている」というような形で、紛れ
のない意思表示をしてしまうと、その意思が誰かに知ら
れる恐れがある。少なくとも意思照合センターには「だ
れがだれに対してどのような意志を持っているか」が明
白にわかってしまう。意思照合センターが十分信頼でき
る企業によって運営されていて、これらのプライバシー
にかかわる情報が悪用される可能性が非常に低いとして
も、自分の意思が紛れのない形で自分の心の外に出てし
まっていて、自分が誰であるのか、自分の意思表示対象
者が誰であるのか特定されうることに不安を感じる会員
もいるはずである。
【0019】これらの不安の原因について考えてみる
と、それは「氏名、生年月日等の当事者特定情報(=意
思表示者特定情報+意思表示対象者特定情報)はほぼ一
義的に当事者が誰であるかを特定してしまう」「氏名、
生年月日等の当事者特定情報は当事者以外にも知ってい
る人がたくさんいる」という2つの事実に起因している
ことに気づく。つまり、意思表示者が自分を特定しても
らうために自分を特定できる情報(意思表示者特定情
報)を意思照合サーバに送信してしまうからこそ、自分
の身元が誰かに知れてしまう恐れが生ずるのであるし、
意思表示者が自分の意思表示対象者を特定してもらうた
めに意思表示対象者を特定できる情報(意思表示対象者
特定情報)を送信してしまうからこそ、自分の意思表示
対象者の身元が誰かに知れてしまう恐れが生ずるのであ
る。また、多くの人に知られている当事者特定情報を照
合に利用しているからこそ、当事者特定情報を知ってい
る他会員による「なりすまし」が起きうるのである。こ
のような考察から「当事者しか知らない情報を、メッセ
ージ交換を利用した当事者間確認(2参照)だけでな
く、その前に行われる照合の段階にも利用してはどう
か」という発想に到達する。
【0020】3−1:当事者間情報の利用 分かりやすい例を挙げれば、当事者は「当事者どうしは
5月15日に話をしなかった」「当事者どうしは5月16
日には話をした」「当事者どうしは5月16日には部活
動について話をした」というような当事者しか知らない
情報(以下、当事者間情報)を知っていて、これらの事
実を照合情報として意思照合サーバに送信することがで
きる。そして、意思照合サーバがこれらの当事者間情報
を照合してみて偶然ではありえないほど他会員と一致す
るようなことがあれば、その会員こそが意思表示対象者
ではないかと推定できる。
【0021】3−2:当事者間情報の安全性 このようにして、当事者しか知らない当事者間情報を照
合に使うということになると、その当然の結果として、
意思表示者の意思が意思表示対象者以外に知られること
はなくなる。つまり、「自分の意思を当事者以外に知ら
れるかもしれない」という懸念は完全に解消できたこと
になる。
【0022】しかも、意思表示対象者に意思表示者の意
思を知られてしまうのも「意思表示対象者も意思表示者
と同じ意思を持っている場合」、言い換えると、「意思
表示者の意思を知られても構わない時」に限られる。な
ぜなら、人間は関心を持っていない人との出来事はすぐ
に忘れてしまうものであるから、意思表示対象者が意思
表示者に対して関心を持っていなければ、意思照合サー
バに送信されるような当事者間情報自体、意思表示対象
者の頭の中に残ってはいないはずであるし、面倒なのを
我慢して当事者間情報を意思照合サーバに送信するとな
ると、それは「意思表示対象者も意思表示者に大きな関
心を寄せている」ことを意味するからである。
【0023】つまり、両当事者が十分な当事者間情報を
意思照合サーバに送信しさえすれば、両当事者の身元に
ついての手がかりを与えてしまうような当事者特定情報
を全く送信することなく、しかも、意思表示対象者に意
思表示者と同じ意思がない時には意思表示者の意思を意
思表示対象者に知られてしまうこともなく、メッセージ
交換による当事者間確認(2参照)による最終的な意思
確認まで事を運んでしまうことができるのである。
【0024】3−3:当事者間情報による利用範囲の拡
大 ところで、「よく知っている人との間で意思照合を行な
いたい」というような状況は人間の生活の中でそれほど
頻繁に生じない可能性がある。その結果として、会員が
意思照合センターを頻繁に利用しないということになる
と、会員が利用方法や自分の暗証番号を忘れたり、面倒
になったりして、本当に意思照合を行なうニーズがある
時にさえ利用してくれないというような事態になりかね
ない。また、よく知っている人との間の意思照合という
ものは、「意思表示をしたけれども意思が一致しなかっ
た」という時の損失を覚悟すれば、これまでも不可能な
ことではなく、それが安全にできるようになったという
だけである。そのために、話題性に乏しく、意思照合セ
ンターの存在が世に知れ渡らず、なかなかその利用が拡
大しないということもありうる。これらの結果、「自分
は意思照合センターで意思表示をしたけれど、相手は意
思照合センターを利用してくれない」というケースが多
くなると、加速度的に意思照合センターというビジネス
モデルは成功しにくくなる。
【0025】以上のような理由から、意思照合センター
を成功させるには、よく知っている人だけでなく、よく
知らない人との間でも意思照合ができるようなものにし
ておいた方がいい。ところが、よく知らない人に対して
意思表示してもらい、その意思を照合しようということ
になると、今度は氏名、生年月日等の当事者特定情報が
不足して照合が難しくなる。その点、当事者間情報とい
うものは、よく知らない人どうしでも自然に(改まって
特別な情報交換を行なうことなく)共有することができ
る照合情報なので、不足気味の照合情報を補い、意思照
合センターの利用範囲の拡大に役立つはずである。
【0026】たとえば、「A氏とBさんは4月20日1
9時に大手町1丁目1番地で1回会って、お互いの名前
も聞かなかったが、互いに友人になりたいと思ってい
る」というような、まずありえない極端なケースを考え
てみる。このような極端に当事者特定情報が不足してい
るケースでさえ、4月20日19時頃に大手町1丁目1
番地で会った初対面の人に対して友人になりたいという
意思表示をしたいという人などはめったにいるものでは
ないから、A氏とBさんが「会った時間は4月20日1
9時頃で、会った場所の住所は大手町1丁目1番地。初
対面だった。」という当事者間情報を意思照合サーバに
送信しただけで、意思照合サーバは十分少ない数にまで
有望会員を絞り切れる可能性が高い。あとはメッセージ
交換によって最終確認すれば十分である。
【0027】あるいは、出会ったその場で両当事者が携
帯電話等を使って当事者間情報を入力し、意思照合サー
バに送信することができるケースであれば、まだ記憶も
新しいので十分量の当事者間情報で照合を行なうことが
できるし、意思表示対象者が目の前にいるのであるか
ら、(繰り返し会わない人との意思照合ではあるにもか
かわらず、)メッセージ交換を通じて、その場で当事者
間確認を行なうことさえ可能である。意思表示対象者の
目の前で携帯電話を操作することに抵抗を感じる人もい
るかもしれないが、携帯電話というものは頻繁にチェッ
クしていても不思議ではないものであるし、意思照合セ
ンターがよく知られるようになれば、携帯電話を操作し
ているところを相手に見せることで、これを「私はいま
意思照合サーバに接続しているところです。あなたにも
その気があれば、あなたも接続してください」という合
図にすることさえできる。
【0028】3−4:電子機器による当事者間情報の収
集 ところで、技術が進歩すると、当事者間情報は安価な電
子機器等で詳細に収集できるようになり、当事者間情報
による照合は飛躍的に速まる可能性もある。
【0029】3−4−1:位置測定機 たとえば、PHS、携帯電話、GPS等の技術が進歩し
て、自分がいる場所の座標を東経何度何分何秒、北緯何
度何分何秒、標高何メートルというように正確にその場
で安価に測定できるようになると、1回意思表示対象者
に会っただけであっても、会った場所を詳しく特定でき
るようになり、1回限りの当事者間情報による照合で一
気に決着をつけることも不可能ではなくなる。もちろ
ん、東経138度12分41秒というように座標を詳細
に特定してしまうと、どこで会ったのかを完全に特定し
てしまうことになるので、心配性の会員は不安を感ずる
かもしれない。しかし、ここで「東経138度12分4
1秒」の代わりに「東経13□度□2分41秒」という
ようにぼかしておけば(□は特定しないで、ぼかしてお
く部分である)、場所はほとんど特定されないですむ。
しかし、「東経13□度□2分41秒」というような、
ぼかされた情報であっても、偶然一致することはまずあ
りえないほど特定されているので、有望会員の絞り込み
は格段に速くなる(4−3−1参照)。
【0030】3−4−2:鍵情報収集機と鍵情報記録媒
体 あるいは、「意思照合サーバでの照合を安全に行なえる
ようにするために、鍵の役割を果たす情報を電子機器で
交換/収集したり、記録媒体を用いて交換したりする」
ということも考えられる。ただし、その詳細については
5〜9に譲る。
【0031】4:一致指数等 ところで、以上においては、「照合情報で照合すること
によりどの他会員と意思が一致している確率が高いかを
推定する」と記述するにとどめ、「具体的にどのような
方法で、どの他会員と意思が一致している確率が高いか
を推定するのか」については触れてこなかった。ここで
は、そのような方法について検討しておく。
【0032】4−1:単純な照合の問題点 まず考えつく方法は「2人の会員が送信してきた照合情
報を意思照合サーバが照合していって、全部一致してい
た時に、意思が一致している確率が高いと推定する」と
いうような方法である。照合結果が全部一致しているか
どうかで判断するのであれば、数値計算は不要であり、
確かに、これは実行しやすい方法である。しかし、その
ような簡単すぎる方法は最適の推定にはつながらない。
【0033】4−1−1:大したことのない一致を切り
捨てられないという問題 たとえば、いま、会員Aと会員Bは照合情報をたくさん
意思照合サーバに送信していて、たくさんの照合情報に
よって照合してもらっているが、会員Cと会員Dは照合
情報を少ししか送信していなくて、大した照合をしても
らっていない。しかし、照合の結果としては、AとBは
すべての照合情報が一致しているし、CとDもすべての
照合情報が一致している。このような場合、AとBの組
み合わせもCとDの組み合わせもどちらも意思が一致し
ている可能性が残っているが、その可能性は同じ大きさ
ではなく、たくさんの照合情報が一致しているAとBの
組み合わせの方がはるかに有望である。CとDの組み合
わせは、図5で言えば、照合数=1や照合数=2のケー
スに近く、その程度の照合が全部一致することは珍しく
なく、CとDの意思が一致している可能性はそれほど高
くない。一方、AとBの組み合わせは、図5で言えば、
照合数=nに相当し、偶然ではまず起きないくらい照合
が一致しているので、AとBの意思が一致している可能
性はかなり高い。このような時に、その可能性の違いを
区別できないまま、CとDがメッセージ交換したりする
ような仕組みになっていると、多くの無意味なメッセー
ジが無関係な会員との間で交換され、確認シグナルを空
しく送ったり、空しく待ったりということばかりにな
り、会員はやる気を失ってしまう。したがって、意思が
一致している可能性が低い会員間では、メッセージ交換
を避けられるような仕組みになっている必要がある。
【0034】4−1−2:やむをえない不一致を切り捨
ててしまうという問題 一方、ある他会員との間で、非常に多くの照合情報にも
とづいて照合を行なった結果、1つだけ一致しないもの
があったとする。しかし、「非常に多くの照合情報にも
とづいて照合を行なった時に、照合の不一致が1つ以下
しかないことも非常に珍しい」と考えられる。図5で言
えば、照合数=nの右から2番目(n−1)がこれにあ
たる。このように高い一致度を示すケースを「照合情報
の不一致が1つあった」というだけの理由で切り捨てて
しまうと、単純な記憶違いや入力ミスといった些細なこ
とが原因となって、本当に意思が一致しているケースが
見逃されてしまう。それでは、せっかくの会員のチャン
スを無にすることになりかねない。
【0035】4−2:一致指数等 そこで、「2人の会員が実は同一の意思を相互に持ち合
っているのかどうか」についての定量的な手がかりを得
るために、統計学で言う「検定」に似た考え方にもとづ
いて、「一致確率」「一致指数」「予測一致会員数」を
導入する(以下、これらの3者をまとめて「一致指数
等」と呼ぶ)。
【0036】4−2−1:一致確率 すなわち、2人の会員が意思照合サーバに送信した照合
情報を照合してみて、「全体としての照合結果がそこま
で偶然一致することはどのくらいの確率で起こるのか」
を計算し、その確率を「一致確率」とする。その一致確
率があまりに低い値になると、「それほど低い確率でし
か起きないはずの照合結果の一致が偶然、無関係な会員
との間で起こった」と考えるよりも、「意思の一致して
いる会員同士が送信した当事者間情報あるいは当事者特
定情報なのだから、当たり前の結果として照合結果が一
致した」と考えた方が自然になってきて、「その2人の
会員は同一の意思を相互に持ち合っている可能性が高
い」と推定することができるというわけである。
【0037】4−2−2:一致指数 ただし、一致確率はしばしば1よりはるかに小さな値に
なり、把握しづらい。そこで、一致確率の常用対数をと
って、これにマイナスをつけたもの(=一致確率の常用
対数の絶対値)を一致指数と定義して、これを用いるこ
とにする。すなわち、一致確率が10のマイナスx乗で
ある時に、xを一致指数とする。たとえば、一致確率が
10分の1なら一致指数は1、一致確率が1万分の1な
ら一致指数は4、一致確率が1億分の1なら一致指数は
8ということになる(図6)。
【0038】4−2−3:有望会員のピックアップ このようにして計算した一致指数が大きい順に(あるい
は一致確率が小さい順に)他会員を並べ、有望会員リス
トをつくってあげれば、どの他会員が相対的に有望なの
かが一目でわかる。
【0039】4−2−4:予測一致会員数 ところで、同意思種類会員数が100人しかいない時に
一致確率が1/1000になれば、そこまで照合が偶然
一致することはまずないので、かなり有望である。しか
し、同意思種類会員数が100万人いる時には一致確率
が1/1000というところまで照合が偶然一致するケ
ースはいくらでもあるので、そのくらいでは有望とは言
えない。そこで、この違いを区別するために、同一の意
思種類を持つ会員の数(以下、同意思種類会員数)に一
致確率を乗じ、これを「予測一致会員数」と定義して、
絶対的な有望さの目安として利用する。予測一致会員数
は「照合がそれ以上偶然一致する同意思種類会員数の予
測値」にあたり、これが1を下回ったら、それは「照合
がそこまで偶然一致する同意思種類会員数は普通だった
ら1人もいないというくらい照合はよく一致している」
ということを意味するので、その有望会員は意思表示対
象者である可能性が高いことがわかる。なお、以上の説
明を補足するために、図7において、矢印のあるところ
まで照合が一致した場合の予測一致会員数を塗りつぶし
た部分で示しておいた。
【0040】4−3:不完全情報による照合 このようにして、一致確率、一致指数、予測一致会員数
という定量的な目安を導入してあげれば、一致確率がそ
れほど小さくなるところまで照合情報を意思照合サーバ
に送信する必要は小さくなり、当事者特定情報を照合情
報として利用せざるをえないような場合であっても、自
分や相手を特定されてしまうところまで当事者特定情報
を送信する必要はほとんどない。
【0041】4−3−1:不完全情報による照合の十分
性 たとえば、ヤマダタロウが「私は氏名がヤマダタロウ、
生年月日が1982年04月01日であって、氏名がス
ズキハナコ、生年月日が1983年07月22日である
他会員に対して、友人になりたいという意思を持ってい
る」というところまで詳細に意思照合サーバに送信した
とする。一方、スズキハナコも「私は氏名がスズキハナ
コ、生年月日が1983年07月22日であって、氏名
がヤマダタロウ、生年月日が1982年04月1日であ
る他会員に対して、友人になりたいという意思を持って
いる」というところまで詳細に意思照合サーバに送信し
たとする。ここまで完全な情報で意思照合サーバが照合
を行なえば、ヤマダタロウとスズキハナコの意思が一致
していることはほぼ間違いないものになる(図3の完全
照合)。
【0042】しかし、そこまでしなくても、ヤマダタロ
ウが「私は姓がヤ□□、名がタ□□、生年月日が19□
2年□□月□1日であって、姓がス□□、名がハ□□、
生年月日が19□3年□□月□2日である他会員に対し
て、友人になりたいという意思を持っている」という不
完全な情報を送信し、スズキハナコが「私は氏名がス□
□、名がハ□□、生年月日が19□3年□□月□2日で
あって、姓がヤ□□、名がタ□□、生年月日が19□2
年□□月□1日である他会員に対して、友人になりたい
という意思を持っている」という不完全な情報を送信す
るだけでも、以下のような理由で、一致確率は十分すぎ
るほど小さくできる(図3の不完全照合)。
【0043】まず、姓の1文字目が50音のうちの
「ヤ」で、名の1文字目が50音のうちの「タ」で、生
年の下1桁が10進法の「2」で、生年月日の下1桁が
10進法の「1」というところまで一致し、姓の1文字
目が「ヤ」となるケースが全体の1/30で、名の1文
字目が「タ」となるケースが全体の1/30であるとす
れば、一致確率は(1/30)×(1/30)×(1/
10)×(1/10)=9万分の1まで小さくなる。同
様に考えると、姓の1文字目が「ス」で、名の1文字目
が「ハ」で、生年の下1桁が「7」で、生年月日の下1
桁が「2」であるところまで一致すれば、その偶然一致
確率も9万分の1くらいしかいない。したがって、この
ような不完全な当事者特定情報を送信するだけであって
も、照合全体としての一致確率は81億分の1(=9万
分の1×9万分の1)にまで小さくなる。その結果、同
意思種類会員数が1000万人いるとしても、予測一致
会員数は約810分の1にすぎないことになる。したが
って、これだけの当事者特定情報で照合を行なった時点
で、照合情報がすべて一致する他会員がまだ残っている
とすれば、「その会員と自分は互いに同じ意思を持ち合
っていて、お互いに自分と相手を特定する情報を送信し
たからこそ、当然の結果として、偶然ではありえないほ
ど一致した」と高い確率で言える。これは、メッセージ
交換によって当事者間確認を行なう前の段階としては十
分すぎるほどの確信である。
【0044】4−3−2:不完全情報による秘密保持効
果 一方、生年月日が1982年04月01日であるヤマダ
タロウが「私は姓が姓がヤ□□、名がタ□□、生年月日
が19□2年□□月□1日である」ということを明らか
にしただけでは、たとえば「1972年11月21日生
まれのヤスダタカシ」が意思表示したようにも見えるの
で、意思表示者が「1982年04月01日生まれのヤ
マダタロウ」であることを特定することは全くできな
い。言い換えると、一致確率が9万分の1であるような
照合情報を意思照合サーバに送信してしまっても、その
程度の絞り込みではまだ該当する日本人が計算上は約1
400人(=日本の人口×9万分の1)いるので、仮に
誰かが日本人全員の「氏名・生年月日データ」を持って
いて、意思表示者が誰なのか特定しようとしても、その
約1400人のうちの1人だろうということまでしかわ
からない。同様に、ヤマダタロウが「私は姓がス□□、
名がハ□□、生年月日が19□3年□□月□2日である
他会員に対して、友人になりたいという意思を持ってい
る」ことを明らかにしただけでは、たとえば「1973
年02月02日生まれのスギタハルミ」に対して意思表
示したようにも見えるので、「1983年07月22日
生まれのスズキハナコ」をヤマダタロウの意思表示対象
者であると特定することも全くできない。
【0045】4−3−3:一致指数等の持つ定量性によ
る安全性と迅速性の確保 以上のように、一致確率、一致指数、予測一致会員数は
当事者間確認を行なうべき時期を定量的に教えてくれる
ので、必要以上に照合情報を送信して秘密保持を危うく
することもなくなるし、すでに十分照合が一致していて
メッセージ交換による当事者間確認を行なってもいい時
期なのに、さらに当事者間情報を収集し続け、時間を無
駄にすることもなくなる。また、これとは逆に、それほ
ど有望でない会員間でメッセージを交換してしまうこと
もなくなる。
【0046】5:通信機による鍵情報交換 さて、ここまでは、当事者が当事者間情報を覚えておく
だけで、積極的に当事者間情報を収集しないような方法
を検討してきた。しかし、通信機等を利用して、より詳
細でより確実な(広義の)当事者間情報をつくり、照合
を一気に速めてしまうことも不可能ではない。
【0047】たとえば、 (1)通信機が近距離にしか届かない弱い信号により無
線通信を行ない、他の通信機と近づいた時に鍵情報を交
換する。 (2)鍵情報交換が成功すると、通信機は自分から送信
した鍵情報(以下、自分製鍵情報)と相手から受信した
鍵情報(以下、相手製鍵情報)を通信日時とともに記録
する。 (3)鍵情報としては、たとえば、100〜1000桁
程度の2進数などが考えられ、鍵情報は通信機によりラ
ンダムに生成され、時間の経過とともに必要な頻度で変
更される。 (4)鍵情報交換に際しては、自分から送信した自分製
鍵情報が相手から返信されることを互いに確認し、これ
が確認されない限り、鍵情報交換が成功したとはみなさ
ない。 (5)会員は意思表示対象者と会った(あるいは近づい
た)時にその正確な時間を記録(あるいは記憶)してお
いて、あとから、通信機の記録を見て、その時間に通信
機による鍵情報交換がなかったかどうかチェックする。
その時間に何もなければそれでおしまいであるが、その
時間付近に鍵情報交換があった場合には、それが意思表
示対象者との鍵情報交換であった可能性がある。そこ
で、自分製鍵情報、相手製鍵情報を照合情報として意思
照合サーバに送信して、意思照合してもらう(図2の照
合用鍵情報による照合(2))。というような方法が考
えられる。
【0048】5−1:照合の迅速化 このように、鍵情報が100〜1000桁の2進数から
成っていて、自分製鍵情報と相手製鍵情報を合わせて2
00〜2000桁もあれば、意思照合サーバが照合した
時に200〜2000桁全部が偶然一致してしまう確率
は限りなくゼロに近い。したがって、1回鍵情報交換を
行なって、それを意思照合サーバに送信し、照合しても
らうだけで有望会員数は0か1になるはずで、「意思が
一致していて意思照合がうまくいくはずのケースでさ
え、照合情報がなかなか集まらなくて、一致指数がなか
なか大きくならない」という、当事者間情報による照合
の欠点はクリアされ、一致指数等を計算する必要もなく
なる。
【0049】5−2:繰り返しによる確認 しかし、だからといって1回で100%確実に決着をつ
けられるというものでもない。たとえば、「18時26
分23秒に鍵情報交換があったことが通信機に記録され
ていて、意思表示対象者と会ったのも18時26分頃だ
った」としても、18時26分頃に通信機を持った別の
会員がそれほど遠くないところにいたり、意思表示対象
者に会った場所付近にいたずらで「無人の通信機」が仕
掛けられたりしていると、それらの通信機との鍵情報交
換(混線)である可能性があるからである。もちろん、
その鍵情報が一致した会員に対してメッセージを送り、
当事者間確認を行なって最終確認すればよいのであるか
ら、これは大きな問題にはならない。しかし、通信機が
会員番号を交換し、かつ、同一の会員番号の通信機との
間では同一の鍵情報を交換するようにしたうえで、鍵情
報交換を何回か繰り返し、「これが意思表示対象者のも
の」という確信が得られた鍵情報を照合情報として意思
照合サーバに送信し、照合を行なえばさらに安心である
(この際、相手の会員番号を通信機が表示しないように
することも可能である)。
【0050】5−3:イニシャル等による補強 あるいは、「通信機で交換する情報の中にイニシャルを
付加しておく」というような方法も考えられる。イニシ
ャルが意思表示対象者のものと一致していれば、より強
く「これが意思表示対象者との通信だろう」と確信でき
る。ここではイニシャルを例として挙げたが、「誰の通
信機から発信された情報なのか」について手がかりを与
えてくれるようなものであれば、付加しておく情報は何
でも良いことは言うまでもない。
【0051】5−4:通信機を利用した方法のメリット ところで、通信機は両当事者が購入し、両当事者が携帯
し、しかも両当事者がスイッチを入れなければ通信でき
ない。それが大きな欠点であることは確かである。しか
し、通信機にはそれを補って余りあるほどの大きなメリ
ットを持っている可能性がある。
【0052】5−4−1:相対的位置関係の把握 たとえば、携帯電話機等で正確な位置が測定できるよう
になった(3−4−1参照)としても、電車やバスのよ
うな移動手段の中では刻々座標が変わってしまうので、
位置を測定した時間が少し違うだけで、全く違う座標に
なり、照合情報として役に立たなくなってしまう。とこ
ろが、通信機なら相対的な位置関係が問題になるだけな
ので、移動手段の中でも問題なく使える。
【0053】5−4−2:指向性と距離感による詳細な
特定 また、通信機が指向性や距離感を持ち、一定方向のみに
信号を発信したり、一定方向から発信された信号のみを
受信したり、通信機間の距離を把握できるようになれ
ば、さらに細かい特定も可能になるので、その場に意思
表示対象者以外にたくさん人がいても使用できるように
なる。
【0054】5−4−3:即時性 さらに、通信機と携帯電話機の構成は重複する部分も多
いので、これらを容易に一体化することができ、5の冒
頭で示した方法の鍵情報交換より先のステップもその場
で継続してしまうことができる。すなわち、通信機兼携
帯電話機の通信機能で鍵情報を交換したあと、引き続い
て、携帯電話機能を利用してインターネット経由で意思
照合サーバに鍵情報、意思種類情報等を送信すれば、そ
の場で意思照合したり、メッセージ交換したりすること
も可能になる(詳細は第3実施形態やそのバリエーショ
ンを参照)。
【0055】5−5:鍵情報を両通信機から持ち寄る理
由 ところで、5の冒頭に示した方法の(4)においては、
「自分から送信した自分製鍵情報が相手から返信される
ことを互いに確認し、これが確認されない限り、鍵情報
交換が成功したとはみなさない」としたが、これは以下
のような理由による。まず、自分から見えないところに
ある通信機との間で知らない間に通信が行なわれてしま
うと、それが混乱因子となって、通信記録の中から意思
表示対象者との通信を探すのが難しくなる。したがっ
て、遠くにある通信機と通信(混線)してしまう可能性
は排除しておかなければならない。そこで、送信する側
としては、通信機から発信される信号を弱くして、遠く
にある通信機に信号を受信されにくくする必要がある。
しかし、これだけでは、近くから送信される弱い信号と
遠くから送信される強い信号を受信する側が区別できな
い可能性がある。そこで、自分から送信された弱い信号
を受信できる近くにある通信機と受信できない遠くにあ
る通信機を「自分がランダムに生成して送信した鍵情報
(自分製鍵情報)を返信してこられるかどうか」で区別
するようにしたというわけなのである。
【0056】5−6: 自分から発信することから生ず
る問題 ところで、通信機から信号を発信すると、発信している
ことが周りに分かってしまう可能性があり、それが気に
なる会員もいるかもしれない。
【0057】5−6−1:継続的発信によるカムフラー
ジュ しかし、「いつ意思表示対象者に会うか分からないか
ら」「会ってからあわててスイッチを入れるとスイッチ
を入れたことに気づかれてしまうかもしれないから」等
の理由で、通信機のスイッチを入れっぱなしにしておく
という方法もありうるので、そのような懸念は小さい。
「スイッチを入れっぱなしにする会員もいる」というこ
とが知られていれば、AがBから信号を受信したとして
も、Bはスイッチを入れっぱなしにしているだけかもし
れず、「BがAに対して何らかの意思を持っている」と
Aから思われずにすむので、Bとしては安心して自分か
ら信号を発信することができるというわけなのである。
【0058】5−6−2:受動的通信モード それでも心配な会員は通信機を「受動的通信モード」に
切り替えて、相手から信号を受信するまでは自分からは
信号を送信しないように制御することも可能である。も
ちろん、両方が受動的通信モードを選択すると通信は行
なわれなくなってしまうが、受動的通信モードを選択で
きるようにしておけば、心配性の会員どうしの意思照合
ができないだけになる(=受動的通信モードがなくても
心配性でない会員どうしの組み合わせなら意思照合でき
たのであるが、受動的通信モードがあれば、これに加え
て、心配性でない会員と心配性の会員の組み合わせ、心
配性の会員と心配性でない会員の組み合わせでも意思照
合ができるようになる)ので、そのメリットは大きいか
もしれない。
【0059】6:観測機 さらに、自分から送信するのが気になる会員向けには、
「近くにいる2人の会員が通信機で相互に通信する」代
わりに「近くにいる2人の会員が観測機で共通の信号を
受信する」という方法も考えられる。たとえば、「携帯
電話用の基地局から発信された信号を観測機が受信す
る」こともできるので、この方法はそれほど実現しにく
いことではない。
【0060】6−1:観測機による鍵情報収集 最も単純な方法としては (1)各基地局は発信する鍵情報をランダムかつ連続的
に変えていく。 (2)各基地局では発信した鍵情報を記録しない。 (3)各観測機では、(最寄りの基地局から発信され
た)最強の鍵情報を記録する。 というようなものが考えられる(第4実施形態参照)。
【0061】6−2:バリエーション ただし、6−1のような単純な方法では、基地局間距離
のオーダーより細かく場所を区別することはできず、あ
る時間に非常に近い場所にいた意思表示対象者が、その
時間にそれほど近くにいなかった無関係な人たちの中に
埋もれてしまう。そこで、 (1)各基地局は発信する鍵情報をランダムかつ連続的
に変えていく。 (2)各基地局では発信した鍵情報を記録しない。 (3)各観測機では、複数の基地局から受信した鍵情報
を(電界)強度に応じて加重平均して、最終的な鍵情報
として記録する。 というような変法をとり、「場所と時間が少し異なる
と、鍵情報が少し変わってくる」ような状況をつくり、
「どのくらい照合結果が違っていたか」で有望会員ラン
キングを作って、ある時間に非常に近い場所にいた意思
表示対象者が、その時間にそれほど近くにいなかった無
関係な人たちの中に埋もれてしまわないようにすること
もできる。(第4実施形態のバリエーション参照)。
【0062】6−3:秘密保持効果 以上のような方法において、各基地局はランダムな鍵情
報を発信し、しかも、これを記録していない。したがっ
て、観測機の所有者以外の者は、観測機によって収集さ
れた鍵情報がいつどこで収集されたものなのか知ること
はできない。唯一同じ時間に近隣にあった観測機のみが
同一の(あるいは同一に近い)鍵情報を観測できる。そ
して、その同一の鍵情報を照合に利用しようという気に
なるのは、その近隣にあった観測機の所有者がその時間
に受信した鍵情報に興味を持っている時、すなわち、自
分に積極的に興味を持ってくれている時に限られる。し
たがって、このような鍵情報を利用して意思照合を行な
えば、普通の当事者間情報による照合と同様、秘密が守
られる。
【0063】7:記録媒体からの鍵情報読み取り 以上のような検討の延長線上で、鍵情報を当事者間で共
有する方法は他にないだろうかと考えていくと、「鍵情
報を記録媒体に書き込んで、それを当事者間で不自然さ
を感じさせずに交換してはどうか」ということになる。
【0064】その現実的な方法としては、たとえば、 (1)名刺交換する際に相手に渡す名刺に自分製鍵情報
を電子的に書き込んでおく。 (2)名刺交換した相手との間で意思照合したい場合、
自分の名刺に書き込まれた自分製鍵情報と相手の名刺に
書き込まれた相手製鍵情報をパソコンや携帯電話機等に
取り込み、それを照合情報として意思照合サーバに送信
して意思照合してもらう。 というようなものが考えられる(詳細は第5実施形態参
照)。
【0065】ビジネスにおいては、名刺交換が日常的に
行なわれているし、いずれ相手に何らかの意思表示する
ことが前提になっていることも多い。また、自分側から
先に意思表示したために足元を見られて契約の条件が不
利になることもあり、そのために意思表示を躊躇してし
まう場面もありうる。したがって、この方法は特にビジ
ネスにおいて有望であると思われる。
【0066】なお、名刺に鍵情報を文字として書き込む
ことも可能であり、その場合には当事者間情報の一つと
してパソコンから手入力したりすることになる(これは
第1実施形態のバリエーションになる)。
【0067】8:意思照合サーバを利用せずに通信機の
みで完結させる方法 以上は「通信機等によって詳細な照合情報を一気に集
め、意思照合サーバに送信し、照合を迅速に行なっても
らう」ための方法であった。しかし、最初から最後まで
意思照合サーバを利用せず、通信機のみで意思照合やメ
ッセージ交換の段階まで行なってしまうことも不可能で
はない。
【0068】たとえば、 (1)通信機が近隣にあった他の通信機との間で会員番
号を交換し、会員番号と会員番号の交換を行なった日時
を記録する。 (2)これを繰り返して、意思表示対象者の会員番号が
はっきりしたところで、通信機はその会員番号を指定し
て意思種類情報を送信する。 (3)意思種類情報を交換することができたら、通信機
は意思種類が一致しているかどうかを確認し、一致して
いたら、意思の一致を表示すると同時にメッセージを交
換し、受信メッセージがあれば、これを表示する。 というような方法が考えられる。
【0069】8−1:通信機の設計による秘密保持 このような方法では、意思が一致しない場合であって
も、その意思種類情報を受信した通信機は相手の意思種
類を知ってしまう。しかし、通信機は意思が一致しなか
った時に、相手から伝えられた意思種類を外に表示しな
いように(持ち主である会員に知らさないように)設計
されているので、人間のレベルでは一致していない意思
が伝えられてしまうことはない。このようにして通信機
の設計を工夫することにより、意思照合サーバを利用し
なくても、互いに同じ意思種類を持ち合っていた時に限
って自分の意思を伝達し、そうでない時には自分の意思
を伝達しないようにすることができる。これで秘密保持
の問題はとりあえずクリアされている。
【0070】8−2:通信機兼携帯電話機の意味 ところが、通信機の設計を工夫することによって秘密を
保持するというのでは通信機の改造に対抗できていな
い。つまり、「意思種類が一致しているかどうかにかか
わらず、相手から受信した意思種類を表示してしまう」
ように改造された相手側の通信機により一方的に自分の
意思だけを知られてしまう可能性がある。このような懸
念が大きくなれば、通信機のみで意思照合やメッセージ
交換が行なわれることはほとんどなくなってしまう。そ
のような場合には、通信機兼携帯電話機等を利用してイ
ンターネットを経由して意思照合サーバに照合を依頼す
ることで安全性を確保した方が良さそうである(5−4
−3参照)。
【0071】9:変換用鍵情報を利用した暗号化 ところで、通信機(5、8)、観測機(6)、記録媒体
(7)等で得た鍵情報はそのまま照合用鍵情報として照
合に利用できるだけではなく、当事者特定情報等の照合
情報を暗号化する鍵(変換用鍵情報)としても利用でき
る。
【0072】9−1:意思照合サーバを利用する方法 たとえば、意思照合サーバを利用する方法としては、 (1)会員が通信機、記録媒体で変換用鍵情報を交換し
たり、観測機で共通の変換用鍵情報を共有したりする。 (2)会員はその変換用鍵情報で意思種類情報、当事者
特定情報等を変換し、変換済意思種類情報、変換済当事
者特定情報等として意思照合サーバに送信する。意思照
合サーバにおいては、これらの変換済情報によって照合
を行なう。 (3)メッセージは変換用鍵情報で変換してから変換済
メッセージとして意思照合サーバに送信し、意思照合サ
ーバから受信した変換済メッセージは変換用鍵情報で逆
変換して読めるような形に戻してから読む。 というようなものが考えられる。
【0073】9−1−1:照合の迅速性と安全性の両立 両当事者が共通の変換用鍵情報で当事者特定情報を変換
しているために、意思照合サーバでは、変換を経ていな
い(生の)当事者特定情報で照合する時と同じように、
豊富な情報量で、一致、不一致を正確、迅速に判断でき
る。しかし、変換済当事者特定情報や変換済意思種類情
報を用いているので、当事者が誰なのか、意思種類が何
なのか特定されることは全くない。
【0074】もちろん、両当事者が確実に変換用鍵情報
を共有できるという100%の保証はなく、時々、誤っ
て非意思表示対象者との間で変換用鍵情報を共有してし
まい、その変換用鍵情報で変換した当事者特定情報を意
思照合サーバに送信してしまうということもありえる。
しかし、そのような場合であっても、意思照合サーバか
ら「意思の一致が確認されませんでした」という報告を
受けるだけで、特段の問題は生じない。
【0075】9−1−2:広義の当事者特定情報 ところで、よく知っている人との間の意思照合であれ
ば、変換の対象となる当事者特定情報として氏名、生年
月日などが利用できるので問題ないが、よく知らない人
との間の意思照合に際してはこれらの当事者特定情報は
利用できない。しかし、よく知らない人との間の意思照
合であっても、「会った時に自分は青い帽子をかぶって
いた」「自分の意思表示対象者は身長170cmくらい
だった」というような「広義の当事者特定情報」が利用
できる。これらの照合情報もそのまま意思照合サーバに
送信すると自分を特定することになりかねないが、変換
用鍵情報によって変換してから送信すれば、何の心配も
ない。
【0076】9−2:通信機のみを利用する方法 通信機だけで最後まで意思照合を行なう方法(7参照)
においても、予め変換用鍵情報を交換してあれば、変換
済当事者特定情報を交換し、その一致を確認してから、
意思種類の照合を始めることができる。変換済当事者特
定情報が一致したということは両当事者が相手の氏名、
生年月日などを通信機に入力したということであり、わ
ざわざそこまでしたということは互いに悪い気持ちは持
っていないということの証明にもなる。したがって、意
思種類情報を送信することに対する心理的抵抗も緩和さ
れる。
【0077】10:参考情報 ところで、3−3において指摘したように、意思照合セ
ンターをより高い確率で成功させるためには、よく知ら
ない人との意思照合を可能にする必要があり、その際に
生ずる問題を解決しておかなければならない。そのう
ち、照合情報不足の問題は、当事者間情報による照合
(3)、一致指数等(4)、通信機、観測機、記録媒体
の利用(5〜9)によって解消できることができること
はすでに述べた。しかし、これだけでは「相手をよく知
らないうちは、意思そのものが固まっていなくて、どう
意思表示すればいいのかわからない」というもう一つの
問題が残されたままである。したがって、当事者にお互
いをよく知ってもらうための工夫も必要となる。
【0078】10−1:参考情報の導入 そこで、 (1)当事者特定情報、当事者間情報等の照合情報に加
えて、会員は「意思表示対象者に自分をアピールするた
めの情報」=「アピール情報」、「意思表示対象者に対
する自分の希望に関する情報」=「希望情報」等の「参
考情報」を意思照合サーバに送信したり、相手の通信機
に送信したりして、相手に自分を知ってもらう。 (2)参考情報を参照して意思を決めたいと考える会員
は、相手が自分の意思表示対象者である可能性が高いこ
とがわかると、参考情報を読んでみる。 (3)参考情報を読んだ結果、相性が悪そうであること
がわかれば、意思照合、メッセージ交換、当事者間確認
等を行なう前に、意思表示を中止する。あるいは、相性
が良さそうであることがわかった時点で、意思照合、メ
ッセージ交換、当事者間確認等に踏み切る。 というような方法が考えられる。
【0079】10−2:参考情報に関する秘密保持 参考情報というものは、よほど詳しいものを送信しない
限りは、自分が送信した参考情報が自分に属するもので
あることを意思表示対象者以外に知られる心配はない
し、意思表示対象者にはっきり知られてしまうのも、意
思照合が成功に終わった場合に限られる。つまり、「会
員番号○○の会員がこういう参考情報を意思照合サーバ
に送信している」ということは多くの会員に知られうる
が、会員が意思照合サーバに送信する会員情報は、当事
者間確認により最終確認されるまでは会員番号に属する
情報であって、現存する個人(あるいは団体)に属する
ものではない。したがって、当事者間確認がうまくいっ
た時に、意思表示対象者だけに自分が書いた参考情報で
あったことが明らかになるだけで、それ以外の時に知ら
れる心配はないのである。
【0080】11:課題を解決するための手段 上記1に示した検討の結果として、請求項1に記載の発
明にあっては、意思照合サーバを利用して意思伝達を行
なう方法において、意思照合サーバが照合情報を照合す
る段階を備えることを特徴とする。
【0081】上記2に示した検討の結果として、請求項
2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、意思照合サーバがメッセージを送信する
段階を備えることを特徴とする。また、請求項9に記載
の発明にあっては、請求項8に記載の意思伝達方法にお
いて、通信機がメッセージを送信する段階を備えること
を特徴とする。
【0082】上記3に示した検討の結果として、請求項
3に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、照合情報として当事者間情報が用いられ
ることを特徴とする。
【0083】上記4に示した検討の結果として、請求項
4に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、一致確率、一致指数、予測一致会員数の
全部または一部を計算する段階を備えることを特徴とす
る。
【0084】上記5に示した検討の結果として、請求項
5に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、通信機が鍵情報を受信する段階を備える
ことを特徴とする。さらに、請求項14に記載の発明に
あっては、鍵情報を交換する機能を有する通信機を特徴
とする。
【0085】上記6に示した検討の結果として、請求項
6に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、観測機が鍵情報を受信する段階を備える
ことを特徴とする。さらに、請求項13に記載の発明に
あっては、鍵情報を受信する機能を有する観測機を特徴
とする。
【0086】上記7に示した検討の結果として、請求項
7に記載の発明にあっては、請求項1に記載の意思伝達
方法において、記録媒体から鍵情報を読み取る段階を備
えることを特徴とする。さらに、請求項14に記載の発
明にあっては、鍵情報が書き込まれた記録媒体または鍵
情報を書き込める記録媒体を特徴とする。
【0087】上記8に示した検討の結果として、請求項
8に記載の発明にあっては、通信機を利用して意思伝達
を行なう方法において、通信機が照合情報を照合する段
階を備えることを特徴とする。
【0088】上記9に示した検討の結果として、請求項
10に記載の発明にあっては、請求項1または請求項8
に記載の意思伝達方法において、変換用鍵情報によって
情報を変換する段階を備えることを特徴とする。
【0089】上記10に示した検討の結果として、請求
項11に記載の発明にあっては、請求項1または請求項
8に記載の意思伝達方法において、参考情報を含む情報
が送信される段階を備えることを特徴とする。
【0090】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0091】0:用語の定義 実施形態についての説明を始める前に、誤解が生じない
ように、改めて、以下のように用語の定義をしておく。 会員:意思照合センターに入会し、意思照合サービスを
受ける者。 他会員:ある会員から見た、自分以外の会員。 意思表示者:意思表示を行なおうとする会員。 意思表示対象者:意思表示者が持っている意思の対象と
なる会員または非会員。 意思表示者は意思表示対象者の意思表示対象者であるこ
ともあるし(意思が双方向である場合)、そうでないこ
ともある(意思が一方向である場合)。 当事者:意思表示者と意思表対象者の総称。 有望会員:意思照合サーバが照合情報を照合した結果、
照合情報の一致度が高く、意思表示対象者である可能性
が高いことが判明した他会員。 意思表示対象有望会員:意思表示対象者である有望会
員。有望会員の中には意思表示対象者が含まれている可
能性があり、それを「意思表示対象者である有望会員」
という意味で「意思表示対象有望会員」と呼ぶ(図4の
有望会員=意思表示対象者の場合)。 非意思表示対象有望会員:意思表示対象者でない有望会
員。意思表示対象有望会員以外の有望会員は「照合情報
が高い一致度を示したが、それは単なる偶然で、実は意
思表示対象者ではない他会員」である。それを、「意思
表示対象者ではない有望会員」という意味で「非意思表
示対象有望会員」と呼ぶ(図4の有望会員≠意思表示対
象者の場合)。 照合情報:意思の一致を確認するために意思照合サーバ
または通信機内で照合される情報。 意思種類情報:自分がどのような意思を持っているかに
関する情報。 意思表示者特定情報:意思表示者を特定するための情
報。意思表示対象者特定情報:意思表示対象者を特定す
るための情報。 当事者特定情報:意思表示者特定情報と意思表示対象者
特定情報の総称。 当事者間情報:当事者しか知らない情報。 鍵情報:当事者以外の人たちが当事者間の意思照合の場
に入ってこられないようにするために当事者間で共有
し、鍵として機能させるための情報。 照合用鍵情報:照合情報として利用される鍵情報。 変換用鍵情報:照合情報を変換(暗号化)あるいは逆変
換(復号化)するために利用される鍵情報。 アピール情報:意思表示対象者に自分をアピールするた
めの情報。 希望情報:意思表示対象者に対する自分の希望に関する
情報。 参考情報:アピール情報と希望情報の総称。
【0092】1:意思照合サーバのみを利用する方法
(第1実施形態) 最初に、意思照合サーバが単独で(=通信機や観測機の
助けを借りずに)意思照合サービスを行なう方法を、第
1実施形態として説明する。
【0093】1−1:意思照合サーバのみを利用する方
法の構成 まず、図8は本発明の第1実施形態の構成を示すブロッ
ク図である。この図において、符号111は意思照合サ
ーバであり、意思照合センターを運営する企業等に設置
され、ネットワーク112に接続される。符号101、
102、・・は種々の端末であり、意思照合センターの
会員または意思照合センターへの入会を考える者の手元
にあって、これもネットワーク112に接続される。ネ
ットワークとしてはインターネット等が利用できる。
【0094】1−1−1:端末 端末101、102、・・は意思照合サーバ111と情
報の送受信を行なう。なお、端末101、102、・・
としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の様
々な情報処理装置を利用することができるが、以下にお
いては、CRTやLCD等の表示部やキーボードやマウ
ス等の入力部を備える通常のパーソナルコンピュータを
利用した場合について説明することとする。
【0095】1−1−2:意思照合サーバ 次に意思照合サーバの詳細構成について説明する。図9
は意思照合サーバ111の構成を示すブロック図であ
る。この図において、符合121は制御手段であり、C
PU等から構成され、各部の制御、データの転送、種々
の演算、データの一時的な格納等を行なう。符合122
は入力制御手段であり、ネットワーク112を介して接
続された端末から入力されるデータを制御する。符合1
23は出力制御手段であり、端末に向けて出力されるデ
ータを制御する。
【0096】メインプログラム124は制御手段121
において用いられるものであり、例えば、会員情報入力
のためのプログラム、有望会員リストのためのプログラ
ム、有望会員関連処理のためのプログラムなどから構成
される。
【0097】会員情報ファイル125には会員情報が格
納され、会員ごとにレコードがつくられる(図10)。
会員情報は、照合に用いる「照合情報」と、照合には用
いずに他会員が意思表示すべきかどうか判断する際に参
考にしてもらうための「参考情報」等に分けられる。
「照合情報」は、さらに、会員が持つ意思の種類すなわ
ち「意思種類情報」、当事者しか知らない「当事者間情
報」、当事者を特定するための「当事者特定情報」に分
けられる。一方、「参考情報」は、会員が他会員に自分
をアピールするための「アピール情報」、他会員に対し
て会員が持つ希望を知らせるための「希望情報」に分け
られる(図11)。
【0098】会員×他会員情報ファイル126は、文字
通り、会員×他会員の形で用意しておくファイルで、た
とえば、図12のようなものが考えられる。すなわち、
会員×他会員情報ファイルには、各会員から見た他会員
についての情報が格納されていて、同意思種類会員n人
に対してn×(n−1)個のレコードができる。会員×
他会員情報ファイルは会員から有望会員リスト表示の指
示があった時に、この指示に素早く応えるために用意さ
れるものであり、この目的を達成するために、必要に応
じて更新される。たとえば、意思照合サーバがある会員
から新たな照合情報を受信すれば、その会員に関する一
致指数等を計算し直して、会員×他会員情報ファイル内
のn−1個の一致指数等も更新する。あるいは、意思照
合サーバが、会員Aから会員Bへ宛てたメッセージを新
たに受信すれば、会員をA、他会員をBとするレコード
に受信年月日、メッセージ内容が格納され、メッセージ
数が1増える。会員から有望会員リスト出力指示があっ
た時に、もし、会員情報という基本情報から有望会員リ
スト出力に必要な情報をつくっていくのであれば、その
分時間がかかるが、以上のように、会員から見た他会員
との関係が常に更新されていれば、会員×他会員情報に
もとづいて素早く有望会員リストを出力することができ
るのである。
【0099】1−2:意思照合サーバのみを利用する方
法についての動作説明 次に、動作について説明する。ここで、端末101、1
02、・・は、それぞれ意思照合サーバ111と接続さ
れて通信を行なうが、接続される端末がどれでも話は同
じなので、便宜上、意思照合サーバ111には端末10
1が接続されたものとして以下、説明を行なう。意思照
合サーバ111に端末101が接続されると、制御手段
121は入力制御手段122を介してこの接続を検知
し、メインプログラムにしたがって、端末101を制御
する。図13はそのメインプログラムの動作を示すフロ
ーチャートである。
【0100】1−2−0:メニュー まず、ステップS100において、制御手段121は端
末101の表示部に、メニューページを表示させ、端末
操作者に対して、「会員情報」、「有望会員リスト」
「終了」の中から希望するものを選択するように促す。
表示部には(このメニューページにおいても、以下のペ
ージにおいても)マウスカーソルが表示され、所定の場
所をクリックすることにより種々の操作を行なえるよう
になっている。端末操作者が「会員情報」「有望会員リ
スト」のどちらかをマウスでクリックして選択すると、
制御手段121が入力制御手段122を介してこれを検
知し、手順をそれぞれステップS110、ステップS1
20に進める。一方、端末操作者が「終了」を選択する
と、制御手段121がこれを検知し、端末101に対す
る制御を終了する。
【0101】1−2−1:会員情報 手順がステップS110に進むと、制御手段121は会
員情報ファイル125から会員情報を読み出し、出力制
御手段123を介して、端末101の表示部に図14に
示すような「会員情報ページ」を表示させ、端末操作者
に対して、すでに入力した会員情報の内容を確認したう
えで、必要な入力を行なうように促す。ここでは、会員
番号151は最初に与えられたものが表示されていて、
これは会員が入力により変更することはできない。意思
種類情報152はプルダウンメニューになっていて、プ
ルダウンメニューを表示させるボタンにマウスカーソル
MCを合わせてマウスボタンを押下すると、「友人になり
たい」「お酒を飲みに行きたい」「業務提携したい」等の複
数の項目が現れて、押下した状態を保ったまま該当する
項目に合わせてマウスボタンを離すと、当該項目が選択
されるようになっている。当事者特定情報153、当事
者間情報154は一種の入力ボックスになっていて、入
力場所はスクロールによって変えることができる。最初
はすべて□(=未記入)の状態になっているが、当事者
特定情報の場合、ここに氏名をカタカナで、生年月日を
アラビア数字で入力していくことができる。また、当事
者間情報の場合はマウスカーソルを合わせ、マウスボタ
ンでクリックするたびに□(=未記入)から+、+から
−、−から□というように変化するようになっている。
参考情報155は、記入場所にマウスカーソルを移動さ
せて、キーボードからワープロのように入力できる。
【0102】入力の後、最後に、端末操作者が「登録し
ない」156をクリックすると、制御手段121がこれ
を検知し、会員情報ファイル125には手を加えずに手
順をステップS100に戻す。一方、端末操作者が「登
録する」157をクリックすると、制御手段121がこ
れを検知し、手順をステップS111に進め、制御手段
121は入力された会員情報を会員情報ファイル125
に格納し、さらに手順をステップS100に戻す。
【0103】1−2−2:有望会員リスト 一方、手順がステップS120に進むと、制御手段12
1は、会員情報ファイル125に格納されている最新の
照合情報にもとづいて他会員との間の一致指数等の計算
を行ない、一致指数等を会員×他会員情報ファイル12
6に書き込んで、手順をステップS121に進める。念
のために確認しておくと、意思照合サーバは、意思種類
が一致しているすべての会員の組み合わせについて照合
する任務を担っている(図15の上半分)のであるが、
ある会員が意思照合サーバに接続しているときには、そ
の会員とその会員にとっての他会員の間で一致指数等の
更新を行なうだけである(図15の下半分)。なお、一
致指数等の計算方法については様々なものが考えられ、
ある程度の説明も要するので、ここでは「一致指数等の
計算を行なう」と述べるにとどめ、詳細は1−2−4で
説明することとする。
【0104】手順がステップS121に進むと、制御手
段121は、会員×他会員情報ファイル126にもとづ
いて、端末101の表示部に、一致指数が大きい有望会
員から順に、図16に示すような有望会員リストを表示
する。さらに、制御手段121は「その会員との間で交
換した未読あるいは既読のメッセージを読みたい」ある
いは「その会員に対して新しいメッセージを送信した
い」と思った会員の会員番号161、または「メニュー
へ」162を選択するように促す。ここで、端末操作者
が有望会員リスト中の有望会員の会員番号をクリックし
て、会員番号が選択されると、制御手段121は手順を
ステップS122に進める。一方、「メニューへ」が選
択されると、制御手段121は手順をステップS100
に戻す。なお、図12に示した会員×他会員情報ファイ
ル126で、端末操作者の会員番号が4であれば、「会
員番号を4とするレコード」163が有望会員リストを
表示する際に利用される。
【0105】1−2−3:有望会員関連処理(図17) 手順がステップS122に進むと、制御手段121は会
員×他会員情報ファイル126から必要な情報を読み出
し、端末101の表示部に図18のような有望会員情報
ページを表示する。さらに、制御手段121は、端末操
作者に対し、表示された情報を読んだうえで、必要に応
じて情報を入力するように促す。たとえば、受信メッセ
ージを読んだらチェックボックス171に受信メッセー
ジが既読となったことをチェックするように、メッセー
ジ新規入力欄172にその有望会員に送信したい新規メ
ッセージを入力するように、受信メッセージ等を読んで
何かメモしたいことがあったら会員メモ欄173に会員
メモを入力するように促す。これに対して端末操作者か
ら必要な入力が行なわれた後、「登録」がクリックされ
ると、制御手段121がこれを検知して、会員メモ、新
規メッセージ、メッセージ数、既読数の変化を会員×他
会員情報ファイル126に格納し、さらに手順をステッ
プS121に戻す。
【0106】なお、図12に示した会員×他会員情報フ
ァイル126において、端末利用者である会員の会員番
号が1、その会員が選択した有望会員の会員番号が3で
ある場合、「1を会員とし、3を他会員とする会員×他
会員情報」174と「3を会員とし、1を他会員とする
会員×他会員情」175が会員×他会員情報ファイル1
26から読み出され、有望会員情報ページを表示する際
に利用される。ただし、後者のうち、一致指数と予測一
致会員数176は会員と他会員を入れ替えても同じ値な
ので使われない。また、他会員にとっての他会員参考情
報177は会員自身が書いた参考情報で、読む価値がな
いので、これも有望会員情報ページには利用しない。さ
らに、他会員が書いたメモ178はプライベートな書き
込みなので、会員が見ることになる有望会員情報ページ
には表示しない。
【0107】1−2−4:一致指数等の計算 ここで、ステップS120における一致指数等の計算に
ついて2つの視点から説明する。
【0108】1−2−4−1:一致指数等の計算 まず、具体的な一致指数等の計算方法については、その
時の技術レベルと計算待ち時間に対する会員の許容度を
考慮しながら、厳密な方法から計算時間短縮を目的とし
た簡便法まで使い分けるべきであると考えられる。以下
に2つの例を挙げておきたい。
【0109】1−2−4−1−1:一致確率法 一致確率の計算を行なうには、まず、個々の照合情報が
偶然一致してしまう確率(以下、個別的一致確率)を知
る必要がある。たとえば、会員Aの意思表示者特定情報
として「私の「生年月日の下1桁」は「2」である」と
いう照合情報が意思照合サーバに送信されてきたとす
る。一方、会員Bの意思表示対象者特定情報として「私
の意思表示対象者の「生年月日の下1桁」は「2」であ
る」という照合情報が意思照合サーバに送信されてきた
とする。このような照合情報の個別的一致確率は、10
進法なので、ほぼ1/10であると考えてよい。また、
「姓をカタカナで書いたときの1文字目が「ヤ」であ
る」という照合情報の個別的一致確率は、実際に統計を
とって決めることができる。
【0110】なお、「当事者は何月何日には話をした」
「当事者は何月何日には話をしなかった」というような
当事者間情報の個別的一致確率は、当事者により異なる
ので一概には決められない。しかし、たとえば、世間の
平均値を調査して、それを採用することもできる。ある
いは、「当事者は何月何日には話をしたかどうか」に関
して17日分照合できていて、一方の会員は「そのうち
10日は話をした」、もう一方の会員は「そのうち8日
は話をした」と申告しているのであれば、便宜的に、
「ある日に両当事者が話をする確率」=(10+8)/
(17×2)=9/17と考えて、「ある日に話をし
た」という照合情報の一致確率は9/17、「ある日に
話をしなかった」という照合情報の一致確率は8/17
と見なすことができる。
【0111】このようにして、各照合情報の個別的一致
確率がわかれば、あとは照合結果全体について、照合情
報間の独立性を仮定して、数学的に(全体的)一致確率
を計算すればいい。もちろん、照合情報間の独立性が厳
密に成り立たないケースもある。たとえば、日本にはス
ズキという姓が多いので、姓の1文字目が「ス」である
と、2文字目が「ズ」である確率は、そうでない時より
も高くなるはずである。しかし、姓の1文字目と名の1
文字目はほぼ独立な関係にあるだろうし、姓の1文字目
と生年月日の下1桁も独立な関係にありそうである。し
たがって、すべての照合情報を互いに独立と考えて計算
してしまっても大きな問題はないものと考えられる。
【0112】以上のようなわけで、n個の照合が行なわ
れ、それぞれの照合の個別的一致確率がp1,p2,p
3,・・,pnである時に、すべての照合が一致したの
であれば、一致確率は、 一致確率=照合が全部一致する確率 =n個の照合の個別的一致確率の積 =p1×p2×p3×・・×pn として計算できる。また、照合が1つを除いて全部一致
したなら、 照合がn個のうちn−1個一致する確率 =(1−p1)×p2×p3×・・×pn +p1×(1−p2)×p3×・・×pn +p1×p2×(1−p3)×・・×pn + ・ ・ +p1×p2×p3×・・×(1−pn) として計算でき、 一致確率=照合が全部一致する確率 +照合がn個のうちn−1個一致する確率 となる。
【0113】そして、一致確率の常用対数をとって、こ
れを一致指数とする。すなわち、一致確率が10のマイ
ナスx乗である時に、xを一致指数とする。一致確率が
10分の1なら一致指数は1、一致確率が1万分の1な
ら一致指数は4、一致確率が1億分の1なら一致指数は
8ということになる(図6)。さらに、同意思種類会員
数に一致確率を乗じて、予測一致会員数とする。
【0114】1−2−4−1−2:一致指数加減法 ところで、各照合情報の個別的一致確率はそれぞれ異な
るのが普通なので、「照合が何個のうち何個一致する
か」ということは二項分布にはしたがわず、そのために
一致確率の計算は複雑なものになる。たとえば、1−2
−4−1−1では「照合がn個のうちn−1個以上一致
する確率」までしか示さなかったが、「照合がn個のう
ちn−2個以上一致する確率」「照合がn個のうちn−
3個以上一致する確率」は加速度的に複雑な計算式にな
っていく。したがって、会員数が多くなると、コンピュ
ータ技術の手には負えなくなる可能性がある
【0115】そこで、便宜的に、「個別的一致確率がい
くらの照合情報が一致したら一致指数を何ポイント加算
して、一致しなかったら何ポイント減算するというよう
な基準を決めておいて、照合情報を照合するたびに一致
指数を加減する」というような簡便法(以下、一致指数
加減法)をつくって、これを一致確率法に代えることも
考えられる。これは加算と減算だけですむので、計算時
間を大幅に短縮できる。
【0116】ところで、「不確かだが、自分の意思表示
対象者の生年は1970年くらい、身長は170cmく
らい」「3月の中旬に意思表示対象者と会ったが何日だ
ったかはっきりは覚えていない」ということもよくある
ことである。そのような有用な情報が「だいたいのこと
しかわからない」というだけの理由で、照合情報として
使えないのではもったいない。しかし、幸いなことに、
「一致指数加減法」を採用するのなら、不確かな情報も
不都合なく照合情報として取り込むことができる。たと
えば、意思表示対象者の生年が1970年くらいである
と予測して、実際も1970年なら0.5ポイント加
算、実際は1968年なら0.3ポイント加算、実際は
1964年ならポイント加算なし、実際は1950年な
ら(たぶん人違いなので)10ポイント減算というよう
な取り扱いが考えられる。
【0117】1−2−4−2:不一致数の大きなものの
切り捨て(図19) 1−2−4−1−2ですでに指摘したように、不一致数
が多いと、一致確率を計算するのが大変になる。しか
も、不一致数が多い他会員は有望でないので、計算に時
間をかけるのは無駄である。したがって、不一致数が多
くて、一致指数等を計算する価値のないもの(以下の例
では、不一致数がN個より大きいもの)を、一致指数等
を計算する前に切り捨てておく必要がある。また、予測
一致会員数を計算するには同意思種類会員数をカウント
しておかなければならない。これらの点を考慮した上
で、ステップS120の詳細を以下に説明しておく。
【0118】まず、ステップS120aにおいては、同
意思種類会員数を0とし、同意思種類会員数をカウントす
る準備を整える。さらに、最初の処理対象となる他会員
を決め、手順をステップS120bに進める。手順がス
テップS120bに進むと、制御手段121は会員と他
会員の意思種類情報を会員情報ファイル125から読み
出して照合し、一致していなければ、手順をステップS
120cに進め、一致していれば、手順をステップS1
20dに進める。手順がステップS120cに進むと、
制御手段121は、他に処理すべき他会員が残っている
かどうか調べ、残っていなければ、ステップS120を
終了し、残っていれば、手順をステップS120eに進
める。手順がステップS120eに進むと、制御手段1
21は次の他会員についての処理に進み、さらに手順を
ステップS120bに進める。手順がステップS120
dに進むと、制御手段121は同意思種類会員数を1増
やし、不一致数を0として、不一致数をカウントする準
備を整え、さらに、会員情報ファイル125から照合情
報を読み出して、最初の照合を行ない、手順をステップ
S120fに進める。手順がステップS120fに進む
と、制御手段121は照合が一致したかどうかを調べ、
一致していれば、手順をステップS120gに進め、一
致していなければ、手順をステップS120hに進め
る。手順がステップS120gに進むと、制御手段12
1は他にも照合が残っているかどうかを調べ、照合が残
っていれば、手順をステップS120iに進め、残って
いなければ、手順をステップS120jに進める。手順
がステップS120hに進むと、制御手段121は不一
致数を1増やし、さらに、不一致数がN以下かどうか調
べ、N以下であれば、手順をステップS120gに進
め、Nよりも大きければ、手順をステップS120kに
進める。手順がステップS120iに進むと、制御手段
121は会員情報ファイル125から次の照合情報を読
み出して、照合を行ない、手順をステップS120fに
進める。手順がステップS120jに進むと、制御手段
121は、1−2−4−1のようにして一致指数等を計
算し、その結果を会員×他会員情報ファイル126に格
納し、手順をステップS120cに進める。手順がステ
ップS120kに進むと、一致確率=1、一致指数=0
とし、これを会員×他会員情報ファイル126に格納
し、手順をステップS120cに進める。
【0119】1−2−5:入力された文章から照合情報
を抽出する方法 上述した実施形態においては、意思照合サーバの方が照
合情報の形式を決めて、その形式に合わせて会員が端末
から照合情報を入力し、意思照合サーバに送信する方法
を説明した。しかし、会員が自由に文章を入力・送信
し、その文章の意味を意思照合サーバの制御手段121
が解釈して照合情報として会員情報ファイル125に書
き込んでいくこともできるわけであり、本発明はそのよ
うな方法を排除するものではない。つまり、本発明の本
質は照合情報を照合することにあるのであって、照合情
報が意思照合サーバによって予め決められた形式にもと
づいて会員によって入力・送信されるか、会員が入力・
送信した自由な文章を意思照合サーバが解釈して照合情
報の形に落としていくかを問わない。そのために、請求
項1は「照合情報を照合する段階を備えることを特徴と
する」となっていて、それ以上の特徴は記載していない
ことをここで断っておきたい。
【0120】1−3:計算待ち時間短縮のためのバリエ
ーション(図20) ところで、1−2−2においては、端末利用者である会
員から有望会員リスト出力を要求された時に、制御手段
121が一致指数等を計算し始めることとなっている。
言い換えると、会員から送信された照合情報を会員情報
ファイル125に格納しても、有望会員リスト出力を要
求されるまでは制御手段121は一致指数等の計算にと
りかからない。しかし、一致指数等の計算に無視できな
い時間がかかるとしたら、簡便な一致指数計算方法(1
−2−4−1−2参照)、不一致数の大きなものの切捨
て(1−2−4−2参照)以外にも、何らかの対策が必
要である。
【0121】そこで、会員情報ファイル125の中に
「更新情報」というフィールドを追加的に設け、会員が
照合情報を新たに送信した後に一致指数等が計算し直さ
れていなければ1、計算し直されていれば0という数値
を格納しておく。すなわち、照合情報が新たに送信され
てきた時点で更新情報は1となり、一致指数等の計算が
完了した時点で更新情報は0に戻る。
【0122】更新情報が0であれば、一致指数等を計算
し直さなくても会員×他会員情報ファイル126は最新
のものに更新されているはずであるから、その時の会員
×他会員会員情報ファイル126を参照して、それにも
とづいて有望会員リストを作成すればいい(1−3−2
−1参照)。
【0123】一方、更新情報が1であれば、照合情報が
新しくなっているのであるから、一致指数等をアップデ
ートするにこしたことはない。しかし、「会員がいまま
さに新たな照合情報を入力・送信し、特定の有望会員と
の一致指数等がどう変化したか気になっている」ような
場合、その会員が「前回表示してもらった有望会員のみ
でいいから、最新の照合情報にもとづいて一致指数等を
計算し直して、素早く表示してほしい」と希望すること
もある。「すべての他会員について厳密に一致指数等を
計算し直すと、非常に時間がかかるが、その割にいきな
り有望になる会員は少ないので、厳密な計算はあとでゆ
っくりやり直しておいて欲しい」というわけである。こ
のような会員用には「新しく入力した照合情報にもとづ
いて旧有望会員についてのみ計算し直し、暫定的な結果
を表示する」という方法(1−3−2−2−1)を採用
し、待ち時間が気にならない会員用には「新しく入力・
送信された照合情報にもとづいて、すべての会員につい
て計算し直し、正式な結果を表示する」という方法(1
−3−2−2−2)を採用するというような使い分けが
必要であろう。
【0124】なお、以上のような処理を行なうために
は、旧有望会員に目印をつけておく必要がある。そこ
で、会員×他会員情報ファイル126に暫定的計算対象
情報というフィールドを追加的に設け、一致指数を計算
した際に、一致指数が一定値以上になると暫定的計算対
象情報を1に、そうでない場合に0にしておく。
【0125】以上のような検討にもとづいて修正された
第1実施形態について、図20を用いて説明する。
【0126】1−3−0:メニュー まず、ステップS100において、制御手段121は端
末101の表示部にメニューページを表示させ、端末操
作者に対して、「会員情報」、「有望会員リスト」の中
から希望するものを選択するように促す。端末操作者が
「会員情報」「有望会員リスト」のどちらかをクリック
して選択すると、制御手段121が入力制御手段122
を介してこれを検知し、手順をそれぞれステップS11
0、ステップS120rに進める。
【0127】1−3−1:会員情報 手順がステップS110に進むと、制御手段121は会
員情報ファイル125から会員情報を読み出し、出力制
御手段123を介して、端末101の表示部に図14に
示すような「会員情報ページ」を表示させ、端末操作者
に対して、すでに入力した会員情報の内容を確認したう
えで、必要な入力を行なうように促す。
【0128】入力の後、最後に、端末操作者が「登録し
ない」156をクリックすると、制御手段121がこれ
を検知し、会員情報ファイル125には手を加えずに手
順をステップS100に戻す。一方、端末操作者が「登
録する」157をクリックすると、制御手段121がこ
れを検知し、手順をステップS111に進める。
【0129】手順がステップS111に進むと、制御手
段121は変更された会員情報を会員情報ファイル12
5に格納し、さらに、変更された会員情報が照合情報で
なければ、制御手段121は手順をステップS100に
戻すが、変更された会員情報が照合情報であれば、手順
をステップS112に進める。
【0130】手順がステップS112に進むと、制御手
段121は更新情報を1にして、手順をステップS10
0に戻すと同時に、その並行処理として手順をステップ
S120に進め、一致指数等の計算を開始する(一致指
数等計算の詳細についてはすでに1−2−4で述べた通
り)。一致指数等の計算が終了すると、制御手段121
は更新情報を0に戻し、一致指数が高かった他会員につ
いて、暫定的計算対象情報=1として、会員×他会員情
報ファイル126に格納し、並行処理を終了する。
【0131】1−3−2:有望会員リスト 一方、手順がステップS120rに進むと、制御手段1
21は会員情報ファイル125から更新情報を読み出
し、これが0なら手順をステップS121に進め、1な
ら手順をステップS130に進める。
【0132】1−3−2−1:一致指数等更新済みの場
合 手順がステップS121に進むと、制御手段121は、
会員×他会員情報ファイル126にもとづいて、一致指
数が大きい有望会員から順に、端末101の表示部に、
図16に示すような有望会員リストを表示する。さら
に、制御手段121は「その会員との間で交換した未読
あるいは既読のメッセージを読みたい」あるいは「その
会員に対して新しいメッセージを送信したい」と思った
会員の会員番号161、または「メニューへ」162を
選択するように促す。ここで、端末操作者が有望会員リ
スト中の有望会員の会員番号をクリックして、会員番号
が選択されると、制御手段121は手順をステップS1
22に進める。一方、「メニューへ」が選択されると、
制御手段121は手順をステップS100に戻す。
【0133】1−3−2−2:一致指数等未更新の場合 手順がステップS130に進むと、制御手段121は計
算方法選択メニューとして「暫定的有望会員リスト」
「正式有望会員リスト」の2つを表示し、どちらかを選
択するように促す。端末操作者が「暫定的有望会員リス
ト」「正式有望会員リスト」の一方を選択してクリック
すると、制御手段121はこれを検知して、手順をそれ
ぞれステップS131、S132に進める。
【0134】1−3−2−2−1:暫定的有望会員リス
ト 手順がステップS131に進むと、制御手段121は会
員×他会員情報ファイル126を参照しながら、暫定的
計算対象情報が1である他会員のみについて一致指数等
を計算し直し、さらに手順をステップS121に進め
る。
【0135】1−3−2−2−2:正式有望会員リスト 一方、手順がステップS132に進むと、制御手段12
1は「計算が終了するまでしばらくお待ちください」と
いう旨のメッセージを表示し、更新情報が0に戻ってい
ないかどうか(=一致指数等計算が終了していないかど
うか)定期的に会員情報ファイル125を参照する。更
新情報が0に戻っていなければ、制御手段121は「計
算が終了するまでしばらくお待ちください」という旨の
メッセージを表示し続ける。一方、更新情報が0に戻っ
ていれば、制御手段121は手順をステップS121に
進める。
【0136】1−3−3:有望会員関連処理(図17) 手順がステップS122に進むと、制御手段121は有
望会員関連処理を開始するが、これについては、1−2
−3と同一で、特に変更を要さないので、説明を省略す
る。
【0137】2:通信機兼携帯電話機のみを利用する方
法(第2実施形態) 次に、通信機兼携帯電話機が単独で(=意思照合サーバ
を利用することなく)意思照合を最後まで行なってしま
う方法を、第2実施形態として説明する。
【0138】2−1:通信機兼携帯電話機のみを利用す
る方法の構成 図21は本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図
である。この図において、符号210、220はそれぞ
れが通信機兼携帯電話機であるが、各通信機兼携帯電話
機の構成は共通なので、以下、通信機兼携帯電話機21
0のみの構成の概略について、図22にもとづいて説明
する。符合211は制御手段であり、CPU等から構成
され、通信機兼携帯電話機全体の制御、データの転送、
種々の演算、データの一時的な格納等を行なう。符合2
12は無線部であり、アンテナ213から送受信される
信号の処理を行なう。符号214は記憶手段であり、制
御手段211において用いられるメインプログラムの
他、通信日時、その時に送受信した鍵情報、変換用鍵情
報、意思種類情報、当事者特定情報、参考情報、意思一
致情報、メッセージ等が格納される(図23)。符号2
15は表示部であり、メニュー、通信結果等を表示す
る。符号216はキー部であり、上下左右の矢印キー、
テンキー、確認キー、通信中止キー等から成る。符合2
17は送話器、符号218は受話器であり、音声の入出
力に関わる。
【0139】2−2:通信機兼携帯電話機のみを利用す
る方法についての動作説明 次に、動作について説明する。各通信機兼携帯電話機の
動作は共通なので、ここでは、便宜上、通信機兼携帯電
話機210について説明を行なう。通信機兼携帯電話機
の電源が入れられると、制御手段211はメインプログ
ラムにしたがって、通信機兼携帯電話機210を制御す
る。図24はそのメインプログラムの動作の概略を示す
フローチャートである。
【0140】2−2−0:メニュー まず、ステップS200において、制御手段211は、
通信機兼携帯電話機210の表示部215に対し、メニ
ュー画面を表示し、「準備」「通信」「通信結果」「終
了」の中から希望するものを選択するように通信機兼携
帯電話機操作者に促す。通信機兼携帯電話機操作者が
「準備」「通信」「通信結果」「終了」の中から一つを
選択すると、制御手段211がこれを検知し、手順をそ
れぞれステップS210、S220、S230、S24
0に進める。
【0141】2−2−1:準備処理 手順がステップS210に進むと、制御手段211は表
示部215に「準備画面」を表示させ、「意思種類情報
入力」「当事者特定情報入力」「参考情報入力」「メッ
セージ入力」「メニューへ」等の選択肢の中から、上下
キーにより入力したい種類の情報に合わせたうえ、確認
キーで選択するように促す。通信機兼携帯電話機操作者
がこれらの中から1つを選択すると、制御手段211は
手順をそれぞれステップS211、S212、S21
3、S214、S200に進める。
【0142】2−2−1−1:意思種類情報入力 手順がステップS211に進むと、制御手段211は表
示部215に意思種類情報入力画面を表示し、「友人に
なりたい」「お酒を飲みに行きたい」「業務提携したい」等
の選択肢の中から、上下キーにより入力したい種類の情
報に合わせたうえ、確認キーで選択するように促す。通
信機兼携帯電話機操作者がこれらの中から1つを選択す
ると、制御手段211はそれを意思種類情報として記憶
手段214に格納し、手順をステップS210に戻す。
【0143】2−2−1−2:当事者特定情報入力 手順がステップS212に進むと、制御手段211は表
示部215に当事者特定情報入力画面を表示し、当事者
特定情報を入力するように促す。通信機兼携帯電話機操
作者が当事者特定情報を入力して、確認キーを押すと、
制御手段211はそれを当事者特定情報として記憶手段
214に格納し、手順をステップS210に戻す。
【0144】2−2−1−3:参考情報入力 手順がステップS213に進むと、制御手段211は表
示部215に参考情報入力画面を表示し、参考情報を入
力するように促す。通信機兼携帯電話機操作者が参考情
報を入力して、確認キーを押すと、制御手段211はそ
れを参考情報として記憶手段214に格納し、手順をス
テップS210に戻す。
【0145】2−2−1−4:メッセージ入力 手順がステップS214に進むと、制御手段211は表
示部215にメッセージ入力画面を表示し、メッセージ
を入力するように促す。通信機兼携帯電話機操作者がメ
ッセージを入力して、確認キーを押すと、制御手段21
1はそれをメッセージとして記憶手段214に格納し、
手順をステップS210に戻す。
【0146】2−2−2:通信処理(図25) 手順がステップS220に進むと、制御手段211は他
の通信機との間で無線通信を開始し、最初に鍵情報交換
を試みるように制御し、これが成功すれば手順をステッ
プS221に進め、成功しなければ手順をステップS2
25に進める。手順がステップS221に進むと、制御
手段211は他の通信機との間で変換済意思種類情報と
変換済当事者特定情報の交換を試み、これが成功すれば
手順をステップS222に進め、成功しなければ手順を
ステップS224に進める。手順がステップS222に
進むと、制御手段211は意思種類情報と当事者特定情
報を自分側と相手側について照合し、これが一致すれば
手順をステップS223に進め、一致しなければ手順を
ステップS224に進める。手順がステップS223に
進むと、制御手段211は変換済メッセージ交換を試
み、さらに手順をステップS224に進める。手順がス
テップS224に進むと、制御手段211は通信結果を
記憶手段214に格納し、手順をステップS225に進
める。手順がステップS225に進むと、制御手段21
1は、最近「通信中止キー」が押されたことがないかど
うか確認して、押されたことがなければ、手順をステッ
プS220に進めて、鍵情報交換の試みを継続し、押さ
れたことがあれば、手順をステップS200に進め、メ
ニュー画面に戻る。なお、用いられる鍵情報としては必
要桁数から成る数列などが考えられる。以上、通信処理
の概略について説明したが、より詳細な処理方法は以下
の通りである。
【0147】2−2−2−1:鍵情報と参考情報の交換
(図26) まず、手順がステップS220に進むと、制御手段21
1は情報の受信を開始し、新たな情報を受信すれば、そ
れを記憶しながら(S220e)、並行的に、アンテナ
213から通信機兼携帯電話機の周囲に向けて自分製鍵
情報と参考情報(自分の参考情報)を発信するように制
御する。この際、制御手段211は自分製鍵情報を適当
な頻度でランダムに変更するように制御する(S220
a)。次に、制御手段211は相手製鍵情報と相手の参
考情報が既に受信されているかどうか確認し、受信さて
いれば、手順をステップS220bに進めるが、受信さ
れていなければ、手順をステップS225に進める。手
順がステップS220bに進むと、制御手段211は自
分製鍵情報、相手製鍵情報、自分の参考情報の送信を行
なうように制御し、さらに、自分製鍵情報が既に受信さ
れているかどうか確認し、受信されていれば、手順をス
テップS220cに進めるが、受信されていなければ、
ステップS220bに進んでからの時間を確認し、一定
時間経過していれば、鍵情報と参考情報の交換失敗とみ
なして、手順をステップS225に進める。一方、一定
時間経過していなければ、手順をステップS220bに
戻して、自分製鍵情報、相手製鍵情報、自分の参考情報
の送信を継続するように制御する。手順がステップS2
20cに進むと、制御手段211は、自分製鍵情報と相
手製鍵情報と自分の参考情報の送信をもう一度行なうと
同時に受信を中止するように制御し、さらに手順をステ
ップS221に進める。なお、S220cでもう一度自
分製鍵情報、相手製鍵情報、自分の参考情報の送信を行
なうのは、確実を期すためである。
【0148】2−2−2−2:変換済意思種類情報と変
換済当事者特定情報の交換(図27) 手順がステップS221に進むと、意思種類情報と当事
者特定情報を記憶手段214から読み出す(S221
a)。もし意思種類情報と当事者特定情報の両方ともが
記憶手段214に格納されていなければ、意思種類情報
と当事者特定情報の交換は成功しなかったものとみな
し、制御手段211は手順をステップS224に進め
る。一方、当事者特定情報と意思種類情報の両方が記憶
手段214にあれば、制御手段211は相手側から発信
される変換済意思種類情報、変換済当事者特定情報を受
信できるように制御しながら(S221f)、手順をス
テップS221bに進める。手順がステップS221b
に進むと、制御手段211は意思種類情報と当事者特定
情報を変換用鍵情報で変換済意思種類情報と変換済当事
者特定情報に変換し、手順をステップS221cに進め
る。手順がステップS221cに進むと、制御手段21
1は変換済意思種類情報と変換済当事者特定情報を送信
し、相手から変換済意思種類情報と変換済当事者特定情
報を受信しているかどうか確認し、受信していないと手
順をステップS221dに、受信していると手順をステ
ップS221eに進める。手順がステップS221dに
進むと、制御手段211は手順がステップS221cに
進んでからの経過時間を確認し、所定の時間経過してい
なければ手順をステップS221cに戻す。一方、所定
の時間経過していれば、変換済意思種類情報と変換済当
事者特定情報の交換は成功しなかったものとみなし、制
御手段211は手順をステップS224に進める。手順
がステップS221eに進むと、制御手段211は変換
済意思種類情報と変換済当事者特定情報をもう一度送信
し、それまで継続してきた受信(S221f)を中止
し、手順をステップS222に進める。
【0149】2−2−2−3:意思種類情報と当事者特
定情報の照合 手順がステップS222に進むと、制御手段211は、
相手側から受信した変換済意思種類情報と変換済当事者
特定情報を変換用鍵情報で逆変換し、意思種類情報と当
事者特定情報に戻したうえで、記憶手段214の中の意
思種類情報と当事者特定情報と照合する。この照合が一
致すれば、意思が一致したものとみなし、制御手段21
1は手順をステップS223に進める。一方、この照合
が一致しなかった場合には、意思が一致しなかったもの
とみなし、制御手段211は手順をステップS224に
進める。
【0150】2−2−2−4:変換済メッセージ交換
(図28) 手順がステップS223に進むと、相手から変換済メッ
セージを受信できるように制御しながら(S223
e)、手順をステップS223aに進める。手順がステ
ップS223aに進むと、制御手段211はメッセージ
を記憶手段214から読み出し、変換用鍵情報で変換済
メッセージに変換し、手順をステップS223bに進め
る。ここで、メッセージが記憶手段214に格納されて
いない場合には、「メッセージなし」というメッセージ
が変換用鍵情報で変換され、送信されることになる。手
順がステップS223bに進むと、制御手段211は変
換済メッセージを送信し、相手から変換済メッセージを
受信しているかどうか確認し、受信していなければ手順
をステップS223cに、受信していれば、受信した変
換済メッセージを変換用鍵情報で逆変換(復号化)し、
手順をステップS223dに進める。手順がステップS
223cに進むと、制御手段211は手順がステップS
223bに進んでからの経過時間を確認し、所定の時間
経過していなければ手順をステップS223bに戻す。
一方、所定の時間経過していれば、変換済メッセージの
交換は成功しなかったものとみなし、制御手段211は
手順をステップS224に進める。手順がステップS2
23dに進むと、制御手段211は変換済メッセージ
(自分製)をもう一度送信し、それまで継続してきた受
信(S223e)を中止し、手順をステップS224に
進める。
【0151】2−2−2−5:通信結果の格納 手順がステップS224に進むと、制御手段211は、
一時記憶していた通信日時、鍵情報、参考情報、意思一
致情報(意思一致確認または意思一致未確認)、メッセ
ージなどの通信結果を記憶手段214に格納し、手順を
ステップS225に進める。
【0152】2−2−2−6:通信継続/中止の決定 手順がステップS225に進むと、制御手段211は、
最近「通信中止キー」が押されたことがないかどうか確
認して、押されたことがなければ、手順をステップS2
20に進めて、鍵情報交換の試みを再開し、押されたこ
とがあれば、手順をステップS200に進め、メニュー
画面に戻る。
【0153】2−2−3:通信結果処理(図29) 手順がステップS230に進むと、制御手段211は記
憶手段214から通信結果を読み出し、図30のような
通信結果リストを表示部215に表示し、興味がある通
信251または「メニューへ」252を選択するように
通信機兼携帯電話機操作者に促す。通信結果リストの中
から1つの通信が選択されると、これを検知した制御手
段211は手順をステップS231に進める。一方、
「メニューへ」が選択されると、これを検知した制御手
段211は手順をステップS200に進める。手順がス
テップS231に進むと、制御手段211は記憶手段2
14から参考情報、メッセージ等を読み出して、図3
1、図32のような通信結果画面を表示部215に表示
する。ここで、通信機兼携帯電話機操作者が「この通信
は意思表示対象者との通信である可能性が高い」と考
え、「有望通信に設定する」261を選択すると、これ
を検知した制御手段211は手順をステップS232に
進める。一方、通信機兼携帯電話機操作者が「通信結果
リストへ」262を選択すると、これを検知した制御手
段211は手順をステップS230に戻す。手順がステ
ップS232に進むと、制御手段211はその通信から
得られた鍵情報を変換用鍵情報として記憶手段214に
格納し、手順をステップS230に戻す。
【0154】なお、図30の上から4段目までは、鍵情
報と参考情報の交換だけを行なった通信であり、そのた
め意思一致、メッセージ交換の欄が空白になっている。
また、3段目の通信では参考情報の交換に成功したこ
と、5段目の通信では意思の一致までが確認できたこ
と、6段目の通信では意思の一致に加えて、メッセージ
交換も成功したことがわかる。また、鍵情報と参考情報
のみが交換された通信を選択した場合には図31のよう
な通信結果画面が、鍵情報と参考情報が交換されただけ
でなく、意思の一致も確認され、メッセージも交換され
た通信を選択した場合には図32のような通信結果画面
が得られることになる。図30、図31、図32は「2
001年5月18日19時17分14秒にある通信機兼
携帯電話機と鍵交換が成功し、この通信を有望通信に設
定し(=この通信で得られた変換用鍵情報を変換用鍵情
報に設定し)、意思種類情報、当事者特定情報を入力し
たうえで通信を行なっていたところ、2001年5月2
4日20時41分44秒に、同じ通信機兼携帯電話機と
意思照合が行なわれ、意思の一致が確認されたので、さ
らにメッセージを入力した上で通信を行なっていたとこ
ろ、同日21時09分25秒にメッセージ交換も成功し
た」というケースを示している。
【0155】2−2−4:終了 手順がステップS240に進むと、制御手段211は通
信機兼携帯電話機210の電源を切り、制御手段211
による通信機兼携帯電話機の制御は終了する。
【0156】2−3:第2実施形態のバリエーション 実施形態のバリエーションをそれぞれ一つの実施形態と
して記述していくのは冗長なので、2−1、2−2にお
いては、基本形のみの記述としたが、もちろん、2−
1、2−2の記述が第2実施形態のバリエーションを排
除するものではない。以下に示すように、第2実施形態
にも様々なバリエーションが考えられる。
【0157】2−3−1:相手を確認する方法 たとえば、2−2では「変換済当事者特定情報で相手を
確かめてから意思照合に入っていく」という方法をとっ
たが、これを「通信時に会員番号を交換しておいて、何
回かの確認を経てから、会員番号を指定して意思照合に
入っていく」という方法で置き換えることもできる。あ
るいは、そこまで慎重にならず、「変換用鍵情報を交換
せずに、(生の)当事者特定情報で相手を確かめてから
意思照合に入っていく」ということもできる。最も大胆
で手っ取り早い方法としては、相手を確かめずに通信を
開始することも考えられないわけではない。逆に、もっ
と慎重になれば、鍵情報、参考情報を交換する際に、同
時にイニシャルを交換して、有望通信の設定をより正確
にすることも可能である。あるいは、変換済当事者特定
情報を照合する際に、まとめて照合してしまわずに、少
しずつ照合して、一致を確認してからさらに照合を進め
ていくという方法もとれる。
【0158】2−3−2:受動的通信モード また、2−2では「両通信機が積極的に情報を発信す
る」という方法をとったが、「相手から情報を受信した
ら、こちらからも情報を発信する」という「受動的通信
モード」を採用することも可能である(受動的通信モー
ドの目的については課題を解決するための手段の5−6
−2参照)。
【0159】2−3−3:周囲に気づかれずに通信を開
始/中止する方法 さらに、2−2では表示部215を見ながら、キー部2
16を操作することによって通信を開始したり、中止し
たりしていたが、「周囲に気づかれないように通信を開
始したい」、「周囲に気づかれないように通信を中止し
たい」ということもありえるので、これらの手続きは表
示部215、キー部216と関係なく、リモコン等で行
なえるようにしておく方法も考えられる。
【0160】2−3−4:複数の意思照合を同時に行な
えるような方法 さらに、2−2では2つ以上の意思照合を同時進行させ
ないことを前提にしていた。しかし、実際には「今、A
さんにはaという意思種類を持っていて、Bさんにはb
という意思種類を持っていて、・・」ということもあ
る。したがって、複数の意思を区別しながら入力し、通
信し、結果を参照できるようにしておく方法も考えられ
る。
【0161】2−3−5:混線の防止 さらに、他の通信機兼携帯電話機との混線を避けるため
に、鍵情報交換が完了した後は、送信する信号の前後に
鍵情報を付加するという方法もありうる(図33)。
【0162】3:通信機兼携帯電話機を利用する方法
(第3実施形態) 次に、「通信機兼携帯電話機の通信機能を利用して鍵情
報を当事者間で交換し、そこで得られた変換用鍵情報に
よって暗号化した当事者特定情報、メッセージ、照合用
鍵情報等を意思照合サーバに送信し、意思照合、メッセ
ージ交換を行なう」という方法を第3実施形態として説
明する。
【0163】3−1:通信機兼携帯電話機を利用する方
法の構成 通信機兼携帯電話機を利用する方法の前半(3−2−1
〜3−2−3)の構成は第2実施形態と基本的には共通
であり、図34に示したようなものになる。また、通信
機兼携帯電話機のブロック図も第2実施形態と基本的に
は共通であり、図22に示したようなものになる。一
方、通信機兼携帯電話機を利用する方法の後半(3−2
−4)の構成と意思照合サーバのブロック図は第1実施
形態に近く、それぞれ図35、図36に示したようなも
のとなる。ただし、第3実施形態では、一致指数等を計
算する必要がなく処理が速いために、会員×他会員情報
ファイル126が存在しない(図36)。また、会員情
報ファイル125には変換済意思種類情報、変換済当事
者特定情報の他、変換済メッセージのためのフィールド
がある(図41)。
【0164】第3実施形態の前半においては、通信機兼
携帯電話機同士が通信するが、後半においては、各通信
機兼携帯電話機は移動通信事業者、さらにはインターネ
ット等のネットワークを介して意思照合サーバに接続さ
れる。なお、第1実施形態同様、第3実施形態の後半に
おいては、2つの通信機兼携帯電話機が同時に意思照合
サーバに接続する必要はない。
【0165】3−2:通信機兼携帯電話機を利用する方
法についての動作説明 次に、動作について説明する。各通信機兼携帯電話機の
動作は共通なので、ここでは、便宜上、通信機兼携帯電
話機310について説明を行なう。通信機兼携帯電話機
の電源が入れられると、制御手段311はメインプログ
ラムにしたがって、通信機兼携帯電話機310を制御す
る。以下、そのメインプログラムの動作の概略を示すフ
ローチャート(図37)にしたがって、動作説明を行な
う。なお、第2実施形態と重複する部分については一部
説明を省略する。
【0166】3−2−0:メニュー まず、ステップS300において、制御手段311は、
通信機兼携帯電話機310の表示部315に対し、メニ
ュー画面を表示し、「準備」「通信」「通信結果」「意
思照合」「終了」の中から希望するものを選択するよう
に通信機兼携帯電話機操作者に促す。通信機兼携帯電話
機操作者が「準備」「通信」「通信結果」「意思照合」
「終了」の中から一つを選択すると、制御手段311が
これを検知し、手順をそれぞれステップS310、S3
20、S330、S340、S350に進める。
【0167】3−2−1:準備処理 手順がステップS310に進むと、制御手段311は表
示部315に「準備画面」を表示させ、「意思種類情報
入力」「当事者特定情報入力」「参考情報入力」「メッ
セージ入力」「メニューへ」等の選択肢の中から選択す
るように促す。通信機兼携帯電話機操作者がこれらの中
から1つを選択すると、制御手段311は手順をそれぞ
れステップS311、S312、S313、S314、S
300に進める。
【0168】3−2−1−1:意思種類情報入力 手順がステップS311に進むと、制御手段311は表
示部315に意思種類情報入力画面を表示し、選択肢の
中から選択するように促す。通信機兼携帯電話機操作者
がこれらの中から1つを選択すると、制御手段311は
それを意思種類情報として記憶手段314に格納し、手
順をステップS310に戻す。
【0169】3−2−1−2:当事者特定情報入力 手順がステップS312に進むと、制御手段311は表
示部315に当事者特定情報入力画面を表示し、当事者
特定情報を入力するように促す。通信機兼携帯電話機操
作者が当事者特定情報を入力して、確認キーを押すと、
制御手段311はそれを当事者特定情報として記憶手段
314に格納し、手順をステップS310に戻す。
【0170】3−2−1−3:参考情報入力 手順がステップS313に進むと、制御手段311は表
示部315に参考情報入力画面を表示し、参考情報を入
力するように促す。通信機兼携帯電話機操作者が参考情
報を入力して、確認キーを押すと、制御手段311はそ
れを参考情報として記憶手段314に格納し、手順をス
テップS310に戻す。
【0171】3−2−1−4:メッセージ入力 手順がステップS314に進むと、制御手段311は表
示部315にメッセージ入力画面を表示し、メッセージ
を入力するように促す。通信機兼携帯電話機操作者がメ
ッセージを入力して、確認キーを押すと、制御手段31
1はそれをメッセージとして記憶手段314に格納し、
手順をステップS310に戻す。
【0172】3−2−2:通信処理(図38) 手順がステップS320に進むと、制御手段311は無
線通信を開始し、通信機兼携帯電話機が鍵情報と参考情
報の交換を試みるように制御し、これが成功すれば手順
をステップS321に進め、成功しなければ手順をステ
ップS322に進める。手順がステップS321に進む
と、制御手段311は鍵情報、参考情報、通信日時等の
通信結果を記憶手段314に格納し、手順をステップS
322に進める。手順がステップS322に進むと、制
御手段311は、通信中止キーが最近押されていないか
どうか確認して、押されていなければ、手順をステップ
S320に進めて、鍵情報と参考情報の交換を継続し、
押されていれば、手順をステップS300に進め、メニ
ュー画面に戻る。以上の処理方法の詳細については2−
2−2ですでに述べたものと同一なので省略する。
【0173】3−2−3:通信結果処理(図29) 手順がステップS330に進むと、制御手段311は記
憶手段314から通信結果を読み出し、図39のような
通信結果リストを表示部315に表示し、興味がある通
信351または「メニューへ」352を選択するように
通信機兼携帯電話機操作者に促す。通信結果リストの中
から1つの通信が選択されると、これを検知した制御手
段311は手順をステップS331に進める。一方、
「メニューへ」が選択されると、これを検知した制御手
段311は手順をステップS300に進める。手順がス
テップS331に進むと、制御手段311は記憶手段3
14から通信日時、参考情報を読み出して、図31のよ
うな通信結果画面を表示部315に表示する。ここで、
通信機兼携帯電話機操作者が「この通信は意思表示対象
者との通信である可能性が高い」と考え、「有望通信に
設定する」361を選択すると、これを検知した制御手
段311は手順をステップS332に進める。一方、通
信機兼携帯電話機操作者が「通信結果リストへ」362
を選択すると、これを検知した制御手段311は手順を
ステップS330に戻す。手順がステップS332に進
むと、制御手段311はその通信から得られた鍵情報を
変換用鍵情報として記憶手段314に格納し、手順をス
テップS330に戻す。
【0174】3−2−4:意思照合処理(図40) 手順がステップS340に進むと、通信機兼携帯電話機
の制御手段311は記憶手段314を参照して、意思種
類情報、当事者特定情報、変換用鍵情報が格納されてい
るかどうか確認する。3つとも格納されていれば、制御
手段311は手順をステップS341に進めるが、1つ
でも格納されていないものがあれば、意思照合できない
ので、制御手段311は手順をステップS300に戻
す。手順がステップS341に進むと、通信機兼携帯電
話機の制御手段311は移動通信事業者、さらにはイン
ターネット等のネットワークを介して通信機兼携帯電話
機を意思照合サーバに接続させる。通信機兼携帯電話機
が接続したことを確認すると、意思照合サーバの制御手
段121は手順をステップS342に進め、通信機兼携
帯電話機の制御手段311に当事者特定情報、意思種類
情報等を送信するように促す。これに対し、通信機兼携
帯電話機の制御手段311は手順をステップS343に
進め、当事者特定情報、意思種類情報、メッセージを変
換用鍵情報で変換したうえで、意思照合サーバに送信す
る。このようにして通信機兼携帯電話機から情報を受信
したことを検知した意思照合サーバの制御手段121は
手順をステップS344に進め、変換済意思種類情報、
変換済当事者特定情報、変換済メッセージの内容と変換
済メッセージが意思照合サーバに送信された年月日を会
員情報ファイル125(図41)に格納し、手順をステ
ップS345に進める。手順がステップS345に進む
と、意思照合サーバの制御手段121は、会員情報ファ
イル125内の変換済意思種類情報、変換済当事者特定
情報を読み出し、照合を行なう(図41の矢印)。その
結果、照合情報がすべて一致したものがあれば、意思照
合サーバの制御手段121は手順をステップS346に
進め、一致したものがなければ、手順をステップS34
7に進める。手順がステップS346に進むと、意思照
合サーバの制御手段121は、会員情報ファイル125
から両会員の変換済メッセージを読み出して、変換済意
思種類情報、変換済当事者特定情報、「意思一致確認」
という意思一致情報とともに通信機兼携帯電話機310
に送信する。手順がステップS347に進むと、意思照
合サーバの制御手段121は、「意思一致未確認」とい
う意思一致情報と会員情報ファイル125の自分側の内
容のみ(照合が一致していないので相手側は存在しな
い)を通信機兼携帯電話機310に送信する。意思照合
サーバから変換済情報と(「意思一致確認」または「意
思一致未確認」という内容の)意思一致情報を受信した
ことを検知した通信機兼携帯電話機の制御手段311は
手順をステップS348に進め、それらの情報を記憶手
段314(図23)に格納し、さらに照合結果画面とし
て表示部315に表示する(図42、図43)。ただ
し、この際には、変換済意思種類情報、変換済当事者特
定情報、変換済メッセージ情報は変換用鍵情報で逆変換
(復号化)してから格納、表示する。また、ここで、通
信機兼携帯電話機操作者によって「メニューへ」371
が選択されると、通信機兼携帯電話機の制御手段311
は手順をステップS300に戻す。
【0175】なお、以上において、メッセージは必須で
はなく、記憶手段314に格納されていなければ、「メ
ッセージなし」というメッセージが変換用鍵情報で変換
され、意思照合サーバに送信されるだけである。また、
会員情報ファイル125において、変換済メッセージは
その1から順番に埋まっていく(図41)。
【0176】さて、上記のステップS345の説明にお
いては「意思照合サーバの制御手段121は、会員情報
ファイル内の変換済意思種類情報、変換済当事者特定情
報を読み出し、照合を行なう」とだけ記述したが、その
詳細な照合手順としては図44に示したようなものも考
えられる。まず、S345aにおいて、意思照合サーバ
の制御手段121は、最初の処理対象となる他会員を決
め、手順をステップS345bに進める。手順がステッ
プS345bに進むと、意思照合サーバの制御手段12
1は会員情報ファイル125から照合情報を読み出して
最初の照合を行ない、手順をステップS345cに進め
る。手順がステップS345cに進むと、意思照合サー
バの制御手段121は照合結果が一致していれば、手順
をステップS345dに進め、一致していなければ、手
順をステップS345fに進める。手順がステップS3
45dに進むと、意思照合サーバの制御手段121は照
合がまだ残っているかどうか調べ、残っていなければ、
手順をステップS346に進め、残っていれば、手順を
ステップS345eに進める。手順がステップS345
eに進むと、意思照合サーバの制御手段121は会員情
報ファイル125から次の照合情報を読み出して、照合
を行ない、手順をステップS345cに進める。手順が
ステップS345fに進むと、意思照合サーバの制御手
段121は他会員についての処理が残っているかどうか
調べ、残っていなければ、手順をステップS347に進
め、残っていれば、手順をステップS345gに進め
る。手順がステップS345gに進むと、意思照合サー
バの制御手段121は、次の他会員についての処理へ進
み、手順をステップS345bに進める。なお、照合情
報の順序については、たとえば、意思種類情報、会員の
氏名、会員の生年月日、他会員の氏名、他会員の生年月
日というようなものが考えられる。
【0177】ところで、ここで示した「意思照合処理」
は意思の一致が確認される前だけでなく、意思の一致が
確認されたあとに、新しいメッセージを相手に送信した
い場合、新しいメッセージを相手から受信したい場合な
どにも利用できる。その場合、会員情報ファイル125
は新たに送信された変換済メッセージの部分だけが変更
されることになる。
【0178】3−2−5:終了 手順がステップS350に進むと、通信機兼携帯電話機
の制御手段311は通信機兼携帯電話機310の電源を
切り、制御手段311による通信機兼携帯電話機の制御
は終了する。
【0179】3−3:第3実施形態のバリエーション 実施形態のバリエーションをそれぞれ一つの実施形態と
して記述していくのは冗長なので、3−1、3−2にお
いては、基本形のみの記述としたが、もちろん、3−
1、3−2の記述は第3実施形態のバリエーションを排
除するものではない。以下に示すように、第3実施形態
にも様々なバリエーションが考えられる。
【0180】3−3−1:鍵情報を照合に用いる方法 たとえば、3−2においては、通信機で交換した鍵情報
を変換用鍵情報として用いたが、自分製鍵情報と相手製
鍵情報とを照合用鍵情報として意思照合サーバに送信し
て、これで照合してもらうという方法もありうる(図2
の照合用鍵情報による照合(2))。
【0181】3−3−2:通信専用機を利用する方法 多少不便ではあるが、通信には通信専用機を使い、通信
によって得た鍵情報を、ケーブルなどを利用して通信専
用機からパソコンや携帯電話に取り込んでから、意思照
合サーバに接続して意思照合を行なうという方法も可能
である。
【0182】3−3−3:その他 その他、第2実施形態の2−3−1〜2−3−5で示し
たようなバリエーションは第3実施形態でもそのまま実
施可能である。
【0183】4:観測機兼携帯電話機を利用する方法
(第4実施形態) 次に、「観測機兼携帯電話機の観測機能を利用して鍵情
報を当事者間で共有し、そこで得られた変換用鍵情報に
よって暗号化した変換済当事者特定情報、変換済メッセ
ージ等を意思照合サーバに送信し、意思照合、メッセー
ジ交換を行なう」という方法を第4実施形態として説明
する。
【0184】4−1:観測機兼携帯電話機を利用する方
法の構成 観測機兼携帯電話機を利用する方法の前半(4−2−1
〜4−2−3)の構成は図45に示したようなものにな
る。基地局は鍵情報を必要な頻度でランダムに変更しな
がら、これを周囲に発信し、両当事者の観測機兼携帯電
話機410、420は最寄りの基地局から鍵情報を受信
する。観測機兼携帯電話機のブロック図は第2、第3実
施形態と基本的には共通であり、図22に示したような
ものになる。
【0185】一方、観測機兼携帯電話機を利用する方法
の後半(4−2−4)の構成は、「通信機」を「観測
機」に、3・・の部分を4・・に書き換えた以外は第3
実施形態と同じで、図35、図36に示したようなもの
となる。
【0186】4−2:通信機兼携帯電話機を利用する方
法についての動作説明 次に、動作について説明する。各観測機兼携帯電話機の
動作は共通なので、ここでは、便宜上、観測機兼携帯電
話機410について説明を行なう。観測機兼携帯電話機
の電源が入れられると、制御手段411はメインプログ
ラムにしたがって、観測機兼携帯電話機410を制御す
る。以下、そのメインプログラムの動作の概略を示すフ
ローチャート(図46)にしたがって、動作説明を行な
う。なお、第2、第3実施形態と重複する部分について
は一部説明を省略する。
【0187】4−2−0:メニュー まず、ステップS400において、制御手段411は、
観測機兼携帯電話機310の表示部315に対し、メイ
ンメニュー画面を表示し、「準備」「観測」「観測結
果」「意思照合」「終了」の中から希望するものを選択
するように観測機兼携帯電話機操作者に促す。観測機兼
携帯電話機操作者が「準備」「観測」「観測結果」「意
思照合」「終了」の中から一つを選択すると、制御手段
411がこれを検知し、手順をそれぞれステップS41
0、S420、S430、S440、S450に進め
る。
【0188】4−2−1:準備処理 準備処理については、第3実施形態の3−2−1の「通
信」の部分を「観測」に、「3・・」の部分を「4・
・」に書き換えるだけで全く同じなので、説明を省略す
る。
【0189】4−2−2:観測処理(図47) 手順がステップS410に進むと、制御手段411は最
寄りの基地局から発信される鍵情報を観測するように観
測機兼携帯電話機を制御する。そして、観測された鍵情
報が直前に記録された鍵情報と異なれば、制御手段41
1は手順をステップS411に進め、同じなら、手順を
ステップS412に進める。手順がステップS411に
進むと、制御手段411は観測された鍵情報と観測時間
を記憶手段414に格納し、手順をステップS412に
進める。手順がステップS412に進むと、制御手段4
11は、観測中止キーが最近押されていないかどうか確
認して、押されていなければ、手順をステップS420
に進めて、観測を継続し、押されていれば、手順をステ
ップS400に進め、メニュー画面に戻る。
【0190】4−2−3:観測結果処理 観測結果処理についても、第3実施形態の3−2−3の
「通信」の部分を「観測」に、「3・・」の部分を「4
・・」に書き換えるだけで全く同じなので、説明を省略
する。
【0191】4−2−4:意思照合処理 照合処理についても、第3実施形態の3−2−4の「通
信」の部分を「観測」に、「3・・」の部分を「4・
・」に書き換えるだけで全く同じなので、説明を省略す
る。
【0192】4−2−5:終了 終了についても、第3実施形態の3−2−5の「通信」
の部分を「観測」に、「3・・」の部分を「4・・」に
書き換えるだけで全く同じなので、説明を省略する。
【0193】4−3:第4実施形態のバリエーション 実施形態のバリエーションをそれぞれ一つの実施形態と
して記述していくのは冗長なので、4−1、4−2にお
いては、基本形のみの記述としたが、もちろん、4−
1、4−2の記述が第4実施形態のバリエーションを排
除するものではない。以下に示すように、第4実施形態
にも様々なバリエーションが考えられる。
【0194】4−3−1:各基地局からの鍵情報の加重
平均 まず、4−2−2に示したような「最寄りの基地局から
共通の鍵情報を得る」方法は単純で実施しやすいし、こ
れだけでも同一の鍵情報を持つ人は相当限定され、秘密
保持上の問題は大きく改善される。しかし、それでも、
非常に多くの人が同じ鍵情報を持ちうることとなる(課
題を解決するための手段の6−2参照)。そこで、その
対策となる第4実施形態のバリエーションについて簡潔
に述べておく。
【0195】図48において、観測機兼携帯電話機41
0で観測可能な鍵情報は観測機兼携帯電話機の近隣にあ
る基地局A〜Cからのものであり、これらの基地局から
発信された鍵情報とその(電界)強度を観測機兼携帯電
話機410が時間ともに測定し記録する。鍵情報は各基
地局が時間とともにランダムかつ連続的に変更する。た
とえば、A基地局から発信されるある鍵情報(たとえ
ば、生年を変換するための変換用鍵情報)が15時21
分14秒に12.54という数値であったとすると、そ
の1秒後には12.55になるという具合である(図4
9)。
【0196】一方、観測機兼携帯電話機は複数の基地局
から発信される鍵情報を観測し、これを各信号の電界強
度で加重平均して、最終的な鍵情報とする。たとえば、
基地局A、B、Cから受信した生年を変換するための変
換用鍵情報が12.54、56.12、29.98で、
その相対的な電界強度が43.45、34.84、2
1.71であるとすると、最終的な変換用鍵情報は(1
2.54×43.45+56.12×34.84+2
9.98×21.71)/(43.45+34.84+
21.71)=31.51となる(図49の最上段)。
【0197】次に、観測機兼携帯電話機は当事者特定情
報を数値化し、これを変換用鍵情報の値の分だけずらし
て、変換済当事者特定情報とし、意思照合サーバに送信
する。これを受信した意思照合サーバでは、変換済当事
者特定情報の一致度を数値化する。その結果、非常に近
くにいた意思表示対象者との一致度は非常に高くなる
が、それほど近くにいなかった無関係者との一致度はそ
れほど高くないので、どのくらい照合結果を信頼してい
いのか区別することができる。なお、「近くにいるとい
っても正確に同じ場所ではない」「近くにいたと思って
いた日時の認識が少し異なる」「観測機が全く同じよう
にはつくられていない」などの理由で、非常に近くにい
た意思表示対象者とも全く同じ鍵情報を得られるわけで
はないので、変換済照合情報も完全には一致しない。
【0198】また、受信状況が悪くてある基地局からの
鍵情報が観測不能になると、受信が途切れた時間帯だけ
全く異なる鍵情報になってしまい、観測時間はほとんど
同じなのに、鍵情報は全く異なるという事態が起きる
(図49の15:21:16と15:21:17)。こ
れでは困るので、「受信が途切れる直前と回復した直後
の情報から途切れていた期間の情報を推定する」という
方法をとることができる(図50の斜字部分)。
【0199】4−3−2:観測専用機を利用する方法 多少不便ではあるが、観測には観測専用機を使い、観測
によって得た鍵情報を、ケーブルなどを利用して観測専
用機からパソコンや携帯電話に取り込んでから、意思照
合サーバに接続して意思照合を行なうという方法も可能
である。
【0200】5:鍵情報が書き込まれた記録媒体を利用
する方法(第5実施形態) 次に、「鍵情報が書き込まれた記録媒体を利用して鍵情
報を当事者間で共有し、そこで得られた変換用鍵情報に
よって暗号化した変換済当事者特定情報、変換済メッセ
ージ等を意思照合サーバに送信し、意思照合、メッセー
ジ交換を行なう」という方法を第5実施形態として説明
する。
【0201】5−1:鍵情報が書き込まれた記録媒体を
利用する方法の構成 まず、鍵情報が書き込まれた記録媒体を利用する方法の
構成を示すブロック図を図51に示した。これは第1実
施形態のものに記録媒体読取装置131を接続しただけ
のものである。記録媒体と記録媒体読取装置の組み合わ
せとしては磁気カードと磁気カード読取装置、バーコー
ドとバーコード読取装置などが考えられる。図49にお
いて、記録媒体読み取り装置は端末101のみに接続さ
れているが、端末102以下に接続することも可能であ
る。一方、意思照合サーバの構成は第3、第4実施形態
と同じもので、図36に示したようなものになる。
【0202】5−2:鍵情報が書き込まれた記録媒体を
利用する方法についての動作説明 次に、動作について説明する。まず、両当事者は鍵情報
が書き込まれた記録媒体を当事者間で交換する。その
後、意思が決まったところで、記録媒体読み取り装置1
31を利用して、相手から渡された記録媒体、相手に渡
した記録媒体(のコピー)から鍵情報を読み出し、それ
ぞれ相手製鍵情報、自分製鍵情報として、端末101に
取り込み、あとは第3、第4実施形態と同様にして意思
照合サーバに接続して、意思照合やメッセージ交換を行
なうことができる。
【0203】ただし、自分から相手側に渡す記録媒体に
いつも同じ鍵情報が書き込まれていることが知れると、
「なりすまし」が起きうる。したがって、安全を期する
なら、同じ鍵情報が書き込まれた記録媒体は一対だけに
しておいて、1つは相手に渡し、もう1つは控えとして
自分で持っておく方がいい。これは通信機が自分製鍵情
報と相手製鍵情報を両方記録しておくのと同じことであ
る。
【0204】6:各実施形態の使い分け 以上に示したように、本発明には少なくとも5つの実施
形態が考えられる。すなわち、パソコンや携帯電話機を
利用する意思照合センター会員は意思照合サーバ単独に
よる方法を利用することができる(第1実施形態)。ま
た、通信機兼携帯電話機を所有していれば、通信機兼携
帯電話機単独による方法を利用することができる(第2
実施形態)。さらに、通信機能を利用して鍵情報を交換
したあとで、携帯電話機能を利用して意思照合サーバに
接続して意思照合してもらうこともできる(第3実施形
態)。さらに、観測機兼携帯電話機を使えば、観測機能
を利用して鍵情報を共有したあとで、携帯電話機能を利
用して意思照合サーバに接続して意思照合してもらうこ
ともできる(第4実施形態)。さらに、鍵情報が書き込
まれた記録媒体を交換したあとで、鍵情報を記録媒体読
取装置等で読み取り、携帯電話機、パソコン等から意思
照合サーバに送信して意思照合してもらうこともできる
(第5実施形態)。それぞれの実施形態にはそれぞれの
長所、短所があり、それぞれ必要となる機器が異なるの
で、それらを考慮した上でそれぞれの利用者が使い分け
ることも考えられる。あるいは、利用者間の統一を図る
ために、技術水準を考慮して事業者の方が最適なものを
選んでいくということも可能である。
【0205】7:鍵情報について 最後に、鍵情報の利用法について例を挙げて補足説明し
ておく。
【0206】7−1:照合用鍵情報 まず、通信機や記録媒体で鍵情報の交換に成功すると、
その時点で、自分製鍵情報と相手製鍵情報の両方が手元
にあることになる。ここで、鍵情報を照合に利用するだ
けなら、自分製鍵情報と相手製鍵情報を照合情報(照合
用鍵情報)として意思照合サーバに送信して、照合して
もらえばいい。すなわち、意思照合サーバは、会員Aか
ら送信された意思種類情報と会員Bから送信された意思
種類情報、会員Aから送信された自分製鍵情報と会員B
から送信された相手製鍵情報、会員Aから送信された相
手製鍵情報と会員Bから送信された自分製鍵情報がすべ
て一致した時に意思が一致したものと認定する(図2の
照合用鍵情報による照合(2))。
【0207】以上は通信機や記録媒体を利用する場合で
あったが、観測機を利用する場合には自分製鍵情報と相
手製鍵情報の区別はなく、単に「鍵情報」を受信する。
この鍵情報を照合に利用するだけなら、自分製鍵情報と
相手製鍵情報を照合情報(照合用鍵情報)として意思照
合サーバに送信して、照合してもらえばいい。すなわ
ち、意思照合サーバは、会員Aから送信された意思種類
情報と会員Bから送信された意思種類情報、会員Aから
送信された鍵情報と会員Bから送信された鍵情報がすべ
て一致した時に意思が一致したものと認定する(図2の
照合用鍵情報による照合(1))。
【0208】7−2:変換用鍵情報 一方、通信機や記録媒体で入手した鍵情報を暗号化に利
用するのなら、自分製鍵情報と相手製鍵情報を合成して
変換用鍵情報をつくり、これを暗号化(と復号化)に用
いることができる。たとえば、自分製鍵情報と相手製鍵
情報を1桁ずつ交互に組み合わせていって、最終的な変
換用鍵情報にするということもできるし、自分製鍵情報
と相手製鍵情報を加算して、最終的な変換用鍵情報にす
るということもできる(図52)。
【0209】7−3:変換用鍵情報による変換方法 変換用鍵情報による変換方法に関しては、まず、意思種
類情報、特定情報、メッセージなどの情報を2進数化し
て、変換用鍵情報で変換しやすくすることが考えられ
る。たとえば、「アオキ」という姓は50音表で「ア」
が1文字目、「オ」が5文字目、「キ」が7文字目なの
で、それぞれ「000001」「000101」「00
0111」とし、「アオキ」全体では「0000010
00101000111」という18ビットの情報とす
ることができる。また、「6月11日」の場合は、「6
月」が「0110」、「11日」が「01011」で表
現され、「6月11日」全体では「01100101
1」となる。
【0210】このようにして2進数化された情報は同じ
長さの2進数の変換用鍵情報で容易に変換できる。たと
えば、「変換用鍵情報が0のところはそのまま(0→0
または1→1)とし、変換用鍵情報が1のところは変更
(0→1または1→0)する」というような変換方法を
採用すれば、変換される前の情報が「0010110
1」、変換用鍵情報が「11011001」の時、変換
後の情報(変換済情報)は「11110100」とな
る。また、同じ変換用鍵情報でもう一度変換済情報を変
換すれば、元に戻る(変換のための鍵と逆変換のための
鍵が同じということになる)。
【0211】7−3−1:技術的に問題にならない情報
量 カタカナは濁点等も含めて64文字以内で収まり、1字
あたり6ビットで表現できる。また、生年月日について
も、年は128〜256年もあれば十分なので7〜8ビ
ット、月については12月<16なので4ビット、日に
ついては31日<32なので5ビットあればよく、意思
種類情報もせいぜい10ビット(=1024)と思われ
る。したがって、照合情報については、意思表示者特定
情報、意思表示対象者特定情報、意思種類情報すべて合
わせて160ビットもあれば足りることがわかる。一
方、カタカナにして100文字のメッセージを2進数で
表現するには6×100=600ビットあればすむ。し
たがって、変換用鍵情報が情報量として大きすぎて通信
所要時間等が問題になるようなことはない。
【0212】7−3−2:安全性 一方、ランダムに生成された160ビットの変換用鍵情
報で変換された160ビットの照合情報が偶然一致して
しまう確率は10のマイナス48乗にもなるので、偶然
一致する可能性を考える必要はない。また、意思照合セ
ンターでは、意思照合サービス1件に対して課金した
り、1会員が利用できる意思照合サービス数を制限した
りすることも考えられるので、悪意を持つ者がいろいろ
な変換用鍵情報で片っ端から試行錯誤することは現実的
ではなく、その意味でも160ビットの変換用鍵情報は
安全である。
【0213】一方、160ビットの照合情報のうち15
9ビットまで偶然一致してしまう確率も約10のマイナ
ス46乗しかないので、照合は160ビットすべてが一
致していなくても一致と見なすことができる。このよう
な取り扱いにすることで、技術的な問題から照合情報の
処理をわずかに誤ったようなケースも十分救われる。
【0214】
【発明の効果】ここまでの記述と幾分重複するところも
あるが、以下に本発明の効果を説明する。
【0215】1:チャンスの拡大 本発明の最大の効果はおそらく「意思表示したのに同意
してもらえなかったり、意思表示してもらったのに同意
してあげられなかったり、不本意な同意をしてもらった
り、不本意な同意をしてあげたりすることなく、快適に
(人間)関係をつくっていける」ということである。そ
のおかげで、「本当は上手くいくはずだった時に意思表
示を思いとどまってしまい、そのチャンスを失う」とい
うこともなくなる。
【0216】2:簡単な意思照合の実現 また、本発明(特に通信機)は意思照合を極めて簡単に
行なえるようにしてくれる。たとえば、第3実施形態に
おいて、会員がしなければならないことは、 (1)通信機を携帯する (2)意思表示したい人と距離的に近づいた日時を覚え
ておいて、適切な変換用鍵情報を選択する (3)意思種類情報、当事者特定情報を入力し、変換用
鍵情報で自動的に暗号化したうえで意思照合サーバに送
信し、意思を照合してもらうということのみである。こ
のうち、 (1)通信機を携帯することは第3実施形態のように、
通信機と携帯電話機を一体化し、通信機兼携帯電話機と
しておけば、大きな障害とはならないはずである。 (2)また、意思表示したい人と近づいた日時を覚えて
おくのは難しくないし、変換用鍵情報交換時にイニシャ
ルのような目印も同時に交換しておけば、間違った変換
用鍵情報を照合情報の変換に使ってしまうこともほとん
どなくなる。 (3)照合の準備や照合にかかる時間も数分(せいぜい
十数分)である。 したがって、ほとんど何の努力もせずに意思の照合がで
きるようになる。
【0217】3:これまで不可能だった意思表示の実現 さらに、本発明によって(極端な場合には、全く見知ら
ぬ人同士で意思表示を行なうことによって、)従来つく
れなかったような新しい人間関係をつくってしまおうと
いう動きが出てくる可能性もある。特に、通信機に指向
性、距離感を持たせたり、鍵情報交換の際にイニシャル
等の目印をついでに交換できるようにしたりしておけ
ば、通信相手を正確に特定できるようになり、人がたく
さんいるような場面でも鍵情報を正確に交換できるよう
になる。
【0218】4:新世代の欲求を満たす意思照合の実現 最近、細切れの時間を活かして、携帯電話を操作した
り、ゲームをしたりしている若者をよく見かける。これ
が「ゲーム好きで、機械慣れした、コミュニケーション
していないと安心できない新しい世代が生まれてきてい
る」ということを示しているのだとしたら、本発明が新
しい世代の欲求を満たすことは十分に考えられる。なぜ
なら、本発明を利用すれば、細切れの時間を活かして、
携帯電話と類似した操作を行なうことにより、ゲーム感
覚で意思照合を行ない、コミュニケーションの対象とな
る相手を増やしていくことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 意思照合の仕組みの一般形を示す図である。
【図2】 いろいろな意思照合方式を示す図である。
【図3】 完全照合と不完全照合を説明するための図で
ある。
【図4】 意思表示者、意思表示対象者、有望会員につ
いての2つの可能性を説明するための図である。
【図5】 照合一致数の確率分布を示す図である。
【図6】 一致確率と一致指数の関係を示す図である。
【図7】 予測一致会員数を説明するための図である。
【図8】 第1実施形態の構成図である。
【図9】 第1実施形態における意思照合サーバ111
の機能構成を示すブロック図である。
【図10】 第1実施形態における会員情報ファイル1
25を示す図である。
【図11】 第1実施形態における会員情報の内訳を示
す図である。
【図12】 第1実施形態における会員×他会員情報フ
ァイル126を示す図である。
【図13】 第1実施形態のフローチャート全体を示す
図である。
【図14】 第1実施形態における会員情報ページを示
す図である。
【図15】 会員と他会員の関係を模式的に示す図であ
る。
【図16】 第1実施形態における有望会員リストペー
ジを示す図である。
【図17】 第1実施形態における有望会員関連処理の
フローチャートを示す図である。
【図18】 第1実施形態における有望会員情報ページ
を示す図である。
【図19】 第1実施形態における一致指数等計算処理
の詳細を示すフローチャートである。
【図20】 計算待ち時間を短縮するように修正された
第1実施形態のフローチャート全体を示す図である。
【図21】 第2実施形態の構成図である。
【図22】 第2、第3実施形態における通信機兼携帯
電話機210、310と第4実施形態における観測機兼
携帯電話機410の機能構成を示すブロック図である。
【図23】 記憶手段214、314、414に格納さ
れるデータを示す図である。
【図24】 第2実施形態全体を示すフローチャートで
ある。
【図25】 第2実施形態における通信処理を示すフロ
ーチャートである。
【図26】 第2実施形態における鍵情報と参考情報の
交換(S220)を示すフローチャートである。
【図27】 第2実施形態における変換済意思種類情報
と変換済当事者特定情報の交換(S221)を示すフロ
ーチャートである。
【図28】 第2実施形態における変換済メッセージの
交換(S223)を示すフローチャートである。
【図29】 第2、第3実施形態における通信結果処
理、第4実施形態における観測結果処理を示すフローチ
ャートである。
【図30】 第2実施形態における通信結果リストを示
す図である。
【図31】 第2、第3実施形態における通信結果画面
を示す図である。
【図32】 第2実施形態における通信結果画面(メッ
セージ交換まで行なった場合)を示す図である。
【図33】 鍵情報の付加による混線防止について説明
するための図である。
【図34】 第3実施形態前半の構成図である。
【図35】 第3、第4実施形態の後半の構成図であ
る。
【図36】 第3、第4、第5実施形態における意思照
合サーバ111の機能構成を示すブロック図である。
【図37】 第3実施形態全体を示すフローチャートで
ある。
【図38】 第3実施形態における通信処理を示すフロ
ーチャートである。
【図39】 第3実施形態における通信結果リストを示
す図である。
【図40】 第3、第4実施形態における意思照合処理
を示すフローチャートである。
【図41】 第3、第4実施形態における会員情報ファ
イルを示す図である。
【図42】 第3実施形態における照合結果画面(意思
一致が確認されなかった場合)を示す図である。
【図43】 第3実施形態における照合結果画面(意思
一致が確認された場合)を示す図である。
【図44】 第3、第4実施形態における照合手順(S
345、S445)の詳細を示すフローチャートであ
る。
【図45】 第4実施形態の前半の構成図である。
【図46】 第4実施形態全体を示すフローチャートで
ある。
【図47】 第4実施形態における観測処理を示すフロ
ーチャートである。
【図48】 第4実施形態のバリエーションの前半の構
成図である。
【図49】 第4実施形態のバリエーションを説明する
ための図である。
【図50】 第4実施形態のバリエーションにおける鍵
情報の不連続性修復を説明するための図である。
【図51】 第5実施形態の構成図である。
【図52】 自分製鍵情報と相手製鍵情報から変換用鍵
情報をつくっていく方法を示した図である。
【符号の説明】 101、102、103、・・・端末 111・・・意思照合サーバ 112・・・ネットワーク 121・・・制御手段 122・・・入力制御手段 123・・・出力制御手段 124・・・メインプログラム 125・・・会員情報ファイル 126・・・会員×他会員情報ファイル 210、220、310、410・・・通信機兼携帯電
話機 211、311、411・・・制御手段 212、312、412・・・無線部 213、313、413・・・アンテナ 214、314,414・・・記憶手段 215、315、415・・・表示部 216、316、416・・・キー部 217、317、417・・・送話器 218、318、418・・・受話器 410、420・・・通信機兼携帯電話機

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】意思照合サーバを利用して意思伝達を行な
    う方法において、意思照合サーバが照合情報を照合する
    段階を備えることを特徴とする意思伝達方法
  2. 【請求項2】意思照合サーバがメッセージを送信する段
    階を備えることを特徴とする請求項1に記載の意思伝達
    方法
  3. 【請求項3】照合情報として当事者間情報が用いられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の意思伝達方法
  4. 【請求項4】一致確率、一致指数、予測一致会員数の全
    部または一部を計算する段階を備えることを特徴とする
    請求項1に記載の意思伝達方法
  5. 【請求項5】通信機が鍵情報を受信する段階を備えるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の意思伝達方法
  6. 【請求項6】観測機が鍵情報を受信する段階を備えるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の意思伝達方法
  7. 【請求項7】記録媒体から鍵情報を読み取る段階を備え
    ることを特徴とする請求項1に記載の意思伝達方法
  8. 【請求項8】通信機を利用して意思伝達を行なう方法に
    おいて、通信機が照合情報を照合する段階を備えること
    を特徴とする意思伝達方法
  9. 【請求項9】通信機がメッセージを送信する段階を備え
    ることを特徴とする請求項8に記載の意思伝達方法
  10. 【請求項10】変換用鍵情報によって情報を変換する段
    階を備えることを特徴とする請求項1または請求項8に
    記載の意思伝達方法
  11. 【請求項11】参考情報を含む情報が送信される段階を
    備えることを特徴とする請求項1または請求項8に記載
    の意思伝達方法
  12. 【請求項12】鍵情報を交換する機能を有する通信機
  13. 【請求項13】鍵情報を受信する機能を有する観測機
  14. 【請求項14】鍵情報が書き込まれた記録媒体または鍵
    情報を書き込める記録媒体
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008262466A (ja) * 2007-04-13 2008-10-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 情報共有システム,情報共有方法及びその方法を実装した情報共有プログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008262466A (ja) * 2007-04-13 2008-10-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 情報共有システム,情報共有方法及びその方法を実装した情報共有プログラム
JP4675351B2 (ja) * 2007-04-13 2011-04-20 日本電信電話株式会社 情報共有システム,情報共有方法及びその方法を実装した情報共有プログラム

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