JP2002363358A - 熱成形容器 - Google Patents

熱成形容器

Info

Publication number
JP2002363358A
JP2002363358A JP2001177760A JP2001177760A JP2002363358A JP 2002363358 A JP2002363358 A JP 2002363358A JP 2001177760 A JP2001177760 A JP 2001177760A JP 2001177760 A JP2001177760 A JP 2001177760A JP 2002363358 A JP2002363358 A JP 2002363358A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
container
polymerization
resin composition
polypropylene resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001177760A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhisa Tate
和久 舘
Tatsuo Kobayashi
辰男 小林
Shigenobu Kawai
重信 河合
Koichiro Ishii
公一郎 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polychem Corp filed Critical Japan Polychem Corp
Priority to JP2001177760A priority Critical patent/JP2002363358A/ja
Publication of JP2002363358A publication Critical patent/JP2002363358A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、衝撃特性に優れ、乳製品用容器とした
場合、乳製品に対して、臭気、味覚などに影響を与えな
い熱成形容器及びその原料のポリプロピレン系樹脂組成
物の提供。 【解決手段】 (a)フェノール系酸化防止剤及び/又
はヒンダードアミン系安定剤、(b)中和剤を含有する
ポリプロピレン系樹脂組成物を、熱成形してなり、
(1)炭素数6〜10の揮発性炭化水素が300ppm
以下、(2)炭素数12〜30のオリゴマー成分が60
0ppm以下であることを特徴とする乳製品用熱成形容
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳製品用熱成形容
器及びその原料の乳製品用熱成形容器用ポリプロピレン
系樹脂組成物に関し、特に、揮発性炭化水素とオリゴマ
ー成分の少ない乳製品用熱成形容器及びその原料の乳製
品用熱成形容器用ポリプロピレン系樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】乳性飲料、ヨーグルトなどの乳製品用容
器の材質は、昭和26年厚生省令第52号発令(乳等合
成樹脂性の容器包装、原材料の規格)により、規格化さ
れており、現在認められている原材料は、ポリエチレ
ン、エチレン−1−アルケン共重合体、ポリスチレンな
どに限定されている。しかしながら、これらの材料では
剛性が低く容器の薄肉化、軽量化が難しい、衝撃特性が
不十分で製品容器が落下した時に破損しやすい、また従
来のポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−1−アル
ケン共重合体、では耐熱性が劣るため、過酸化水素水を
使用する無菌充填方法に寄らざるをえず、装置面、処理
コスト面でより簡便なボイル殺菌処理が適用できなかっ
た。さらに、従来では製品容器を電子レンジで温めるよ
うな加熱処理は困難であり、乳製品の商品展開において
も制約があるなどの問題点がある。
【0003】一方、ポリプロピレン系樹脂を用いれば、
剛性、衝撃特性に優れた容器を得ることができる。ポリ
プロピレンは、ポリエチレンと比べ、耐熱性が高く、乳
製品の高温充填が可能となり、殺菌性を高めることがで
き衛生的である。さらに工場の生産効率を向上させるこ
とができる。しかしながら、ポリプロピレン樹脂が乳製
品に影響を与え、臭気、味覚などが変わり易いという難
点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決し、ポリプロピレン系樹脂を用い、剛性、
衝撃特性に優れ、乳製品用容器とした場合、乳製品に対
して、臭気、味覚などに影響を与えず、また色調に優れ
た熱成形容器及びその原料のポリプロピレン系樹脂組成
物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、酸化防止剤及び/又は
ヒンダードアミン系安定剤と中和剤を添加したポリプロ
ピレン系樹脂組成物に含有される揮発性炭化水素とオリ
ゴマー成分を特定量以下にすることにより、乳製品に対
して臭気、味覚へ与える影響が極めて少なく、剛性、衝
撃特性にも優れ、また、色調にも優れた乳飲料用熱成形
容器が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
たものである。
【0006】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードア
ミン系安定剤、(b)中和剤を含有するポリプロピレン
系樹脂組成物を、熱成形してなり、(1)炭素数6〜1
0の揮発性炭化水素が300ppm以下、(2)炭素数
12〜30のオリゴマー成分が600ppm以下、であ
ることを特徴とする乳製品用熱成形容器が提供される。
【0007】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物が、(c)
リン系酸化防止剤を更に含有することを特徴とする乳製
品用熱成形容器が提供される。
【0008】また、本発明の第3の発明によれば、第1
又は2の発明における(b)中和剤が、脂肪酸金属塩、
ハイドロタルサイト、水酸化金属塩から選ばれるいずれ
か一種であることを特徴とする乳製品用熱成形容器が提
供される。
【0009】また、本発明の第4の発明によれば、
(a)フェノール系酸化防止剤、及び/又はヒンダード
アミン系安定剤、(b)中和剤を含有するポリプロピレ
ン系樹脂組成物であって、(1)炭素数6〜10の揮発
性炭化水素が300ppm以下、(2)炭素数12〜3
0のオリゴマー成分が600ppm以下、であることを
特徴とする乳製品用熱成形容器用ポリプロピレン系樹脂
組成物が提供される。
【0010】また、本発明の第5の発明によれば、第4
の発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物が、(c)
リン系酸化防止剤を更に含有することを特徴とする乳製
品用熱成形容器用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供さ
れる。
【0011】また、本発明の第6の発明によれば、第4
又は5の発明における(b)中和剤が、脂肪酸金属塩、
ハイドロタルサイト、水酸化金属塩から選ばれるいずれ
か一種であることを特徴とする乳製品用熱成形容器用ポ
リプロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0012】
【発明の実施と形態】本発明の乳製品用熱成形容器は、
(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードア
ミン系安定剤、(b)中和剤、更に必要に応じて、
(c)リン系酸化防止剤を含有するポリプロピレン系樹
脂組成物を熱成形してなり、(1)炭素数6〜10の揮
発性炭化水素が300ppm以下、好ましくは200p
pm以下、より好ましくは100ppm以下、さらに好
ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以
下であり、その下限は、好ましくは0.1ppm程度で
あり、(2)炭素数12〜30のオリゴマー成分が60
0ppm以下、好ましくは300ppm以下、より好ま
しくは150ppm以下、さらに好ましくは60ppm
以下、であり、その下限は、好ましくは0.1ppm程
度である。
【0013】乳製品用熱成形容器中の炭素数6〜10の
揮発性炭化水素が300ppmを超えると、容器中で乳
製品を加熱殺菌する際、または高温充填時に、あるいは
保存時に臭気がつき易く好ましくない。また、乳製品用
熱成形容器中の炭素数12〜30のオリゴマーが600
ppmを超えると、容器中で乳製品を加熱殺菌する際、
または高温充填時に、あるいは保存時に味覚が変わる場
合があり好ましくない。
【0014】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードア
ミン系安定剤、(b)中和剤、更に必要に応じて、
(c)リン系酸化防止剤を含有するポリプロピレン系樹
脂組成物であって、(1)炭素数6〜10の揮発性炭化
水素が300ppm以下、好ましくは200ppm以
下、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましく
は50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下であ
り、その下限は、好ましくは0.1ppm程度であり、
(2)炭素数12〜30のオリゴマー成分が600pp
m以下、好ましくは300ppm以下、より好ましくは
150ppm以下、さらに好ましくは60ppm以下、
その下限は、好ましくは0.1ppm程度であるポリプ
ロピレン系樹脂組成物である。上記、条件を満たすポリ
プロピレン系樹脂組成物であれば、熱成形時に、炭素数
6〜10の揮発性炭化水素の量、および炭素数12〜3
0のオリゴマー成分の量を、増やすことなく、乳製品用
熱成形容器を得ることができる。
【0015】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得
る方法としては、ポリプロピレン樹脂に(a)、
(b)、必要に応じて(c)の添加剤を添加して、後処
理で炭素数6〜10の揮発性炭化水素及び炭素数12〜
30のオリゴマー含量を所定量以下にする方法、ポリプ
ロピレン樹脂中の炭素数6〜10の揮発性炭化水素及び
炭素数12〜30のオリゴマー含量を後処理で所定量以
下にしてから(a)、(b)、必要に応じて(c)の添
加剤を添加する方法、ポリプロピレン樹脂を炭素数6〜
10の揮発性炭化水素及び炭素数12〜30のオリゴマ
ー含量を所定量以下になるように重合してから(a)、
(b)、必要に応じて(c)の添加剤を添加する方法が
ある。本発明は、いずれの方法を用いても良い。以下に
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
及びそれかなる容器について詳細に説明する。
【0016】[I]ポリプロピレン系樹脂組成物 1.添加剤成分 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に添加される添加
剤成分は、(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒ
ンダードアミン系安定剤、(b)中和剤、更に必要に応
じて、(c)リン系酸化防止剤である。ポリプロピレン
樹脂組成物が、(a)フェノール系酸化防止剤及び/又
はヒンダードアミン系安定剤を含有しない場合、乳製品
用容器の成形加工時にやけが発生し不具合が生じ易く、
さらにその臭気が乳製品に移行する場合があり、問題と
なる。また、中和剤を含有しない場合、プロピレンの重
合触媒、プロセスによっては、不純物として残る塩素の
影響を受けることが懸念され、又中和剤は分散剤として
も機能し顔料などの分散性を向上させる。さらに、リン
系酸化防止剤は、成形加工時の樹脂組成物の劣化を防止
し、やけの抑止、臭気発生の抑制に効果があるばかりで
なく、変色の抑制にも効果がある。すなわち、乳製品容
器は、白色顔料で着色する場合が多いが、経時変化など
により黄色に変色する場合がある。これに対してリン系
酸化防止剤は変色を抑制する効果があり、有用である。
(c)リン系酸化防止剤の代わりにラクトン系酸化防止
剤、ビタミンEを代用することもできる。以下に、本発
明で用いることのできる各添加剤の具体例及びその好ま
しい配合割合等を示す。
【0017】(a−1)フェノール系酸化防止剤 本発明で用いることのできるフェノール系酸化防止剤の
具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−〔3−(3−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカ
ン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロ
キシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等を
挙げることができる。このフェノール系酸化防止剤の配
合量は、プロピレン重合体100重量部あたり0.01
〜0.5重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部で
ある。この量未満では製品の耐熱老化性が十分ではな
く、一方、過剰では、不経済であるばかりか変色の問
題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0018】(a−2)ヒンダードアミン系光安定剤 本発明で用いることのできるヒンダードアミン系光安定
剤の具体的な例としては、コハク酸ジメチルと1−(2
−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ〔[6
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−
1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,
2,6,6−テトラメチルー4−4ピペリジル)イミ
ノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)イミノ]〕、2−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル
マロン酸のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)エステル、テトラキス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4
−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバゲート、N,
N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエ
タンとの重縮合物、ポリ[(N,N’−ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレ
ンジアミン)−(4−モルホリノ−1,3,5−トリア
ジン2,6−ジイル)]、1,1’−(1,2−エタン
ジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラ
ジノン)、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボキシレート、トリス(1,2,2,6,6−
ペタンメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,
3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,
2,2,6,6−ペタンメチル−4−ピペリジル)セバ
ゲートなどが挙げられる。また、これらヒンダードアミ
ン系酸化防止剤は単独でも2種類以上を併用してもよ
い。特に、分子量500以上のものが相溶性および効果
の優秀性の点で好ましい。これらの中でも最も適した化
合物は、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジンとの重縮合物、ポリ〔[6−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリア
ジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメ
チルー4−4ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ]〕、ポリ[(N,N’−ビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジア
ミン)−(4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン
2,6−ジイル)]、が好適である。このヒンダードア
ミン成分の配合量は、プロピレン重合体100重量部あ
たり0.01〜0.4重量部、好ましくは0.02〜
0.3重量部である。この量未満では製品の耐熱老化性
が十分ではなく、一方、過剰では、不経済であるばかり
か変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0019】(c)リン系酸化防止剤 本発明で、必要に応じて、用いることのできるリン系酸
化防止剤は、樹脂組成物の酸化安定剤として一般に用い
られるリン系酸化防止剤を、特に制限なく挙げることが
できる。具体的には、トリス(ミックスド、モノ及びジ
ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4−ブチ
リデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ
−トリデシル)フォスフェイト、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5
−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−ブ
チルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファ
イト、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4
−4’−ビフェニレンフォスフォナイトペンタエリスリ
トール−ジ−フォスファイト、ビス(2,6−ジ−ブチ
ル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−
フォスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−
ジ−t−ブチルフェニル)フルオロフォスファイト、メ
チレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−
エチルヘキシル−フォスファイト等が挙げられる。これ
らは、単独でも2種以上を併用して用いてもよい。これ
らの中では、より好ましい化合物として、トリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラ
キス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4−4’−ビフ
ェニレンフォスフォナイトペンタエリスリトール−ジ−
フォスファイト、ビス(2,6−ジ−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイ
ト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フルオロフォスファイト及びメチレンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキ
シル−フォスファイトの化合物が好適例である。このリ
ン系酸化防止剤の配合量は、プロピレン重合体100重
量部あたり0.01〜0.25重量部、好ましくは0.
02〜0.2重量部である。この量未満では製品の耐熱
老化性が十分ではなく、一方、過剰では、不経済である
ばかりか変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましく
ない。
【0020】(b)中和剤 本発明で用いることのできる中和剤は、脂肪酸金属塩、
ハイドロタルサイト、水酸化金属塩が挙げられ、単独で
用いても、2種類以上併用して用いてもよい。中和剤の
配合量は、プロピレン重合体100重量部あたり0.0
1〜0.2重量部、好ましくは0.02〜0.1重量部
である。この量未満では金型、成形機等の腐蝕を防止す
る効果が十分でなく、一方、過剰では、不経済であるば
かりでなく、ブリード等の問題が発生する。脂肪酸金属
塩、ハイドロタルサイト及び水酸化金属塩の具体例は以
下の通りである。
【0021】(b−1)脂肪酸金属塩 本発明で用いることのできる脂肪酸金属塩としては、ス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリ
ン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、べへン酸カル
シウム、べへン酸マグネシウム、べへン酸亜鉛、べへン
酸アルミニウム、べへン酸リチウム、同様のラウリン酸
金属塩、モンタン酸金属塩、メリシン酸金属塩、セロチ
ン酸金属塩、リグノセリン酸金属塩、ヒドロキシステア
リン酸金属塩等が挙げられる。これらの中では、性能と
入手の簡便さより、とりわけステアリン酸リチウム、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、べへン酸
マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム等の
金属石鹸が好ましい。これらの金属塩は、カルボン酸化
合物と金属水酸化物を反応させた後水洗、脱水、乾燥す
る合成法(復分解法)や、水を使わず直接反応させる方
法(直接法)で製造することができる。なお、脂肪酸金
属塩の代わりにステアロイル乳酸カルシウム、ステアロ
イル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸マグネシウム、
を使用することもできる。
【0022】(b−2)ハイドロタルサイト類 本発明で用いることのできるハイドロタルサイト類とし
ては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウ
ム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又は結晶水を含まな
いもので、天然物及び合成品が含まれる。天然物として
は、MgAl(OH)16CO・4HOの構造
のものが挙げられる。また、合成品としては、Mg
0.7Al0.3(OH)(CO)0.15・0.
54HO、Mg4.5Al(OH)13CO
3.5HO、Mg4.2Al(OH) 12.4CO
、ZnAl(OH)16CO・4HO、Ca
Al(OH)16CO・4HO、Mg14Bi
(OH)29.6・4.2HO等が挙げられる。
【0023】(b−3)水酸化金属塩 本発明で用いることのできる水酸化金属塩としては、水
酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リチウムアル
ミニウム複合水酸化物塩を挙げることができる。
【0024】2.ポリプロピレン系樹脂 本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、プロピ
レンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共
重合体があげられ、α−オレフィンとしては、エチレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メ
チル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。こ
れらの中では、プロピレンホモ重合体、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体が好ましい。
【0025】ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.1
〜5g/10分が好ましく、さらに好ましくは0.5〜
3.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未
満では、押出性が著しく悪化し、シート成形が困難であ
り、MFRが5g/10分を超えると容器成形の段階で
シートが加熱によりたれてしまい、成形ができない。
【0026】本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成
物で用いるポリプロピレン系樹脂は、上述のように添加
剤の存在下又は不存在下に前記揮発性炭化水素および前
記オリゴマーを所定量以下にできる樹脂であっても、重
合されたときから揮発性炭化水素およびオリゴマーが所
定量以下のもののいずれであってもよい。
【0027】チーグラー系Mg担持触媒によるプロピレ
ン重合体は、マグネシウム、チタンハロゲン、及び電子
供与体化合物を必須成分とする固体触媒成分と有機アル
ミニウム化合物との組み合わせ触媒を用いて通常の重合
法により得ることができる。プロピレン重合体の結晶性
を高める目的で、重合時に第三成分を添加する手法が好
ましく用いられる。固体触媒成分中の電子供与体化合物
としては、有機酸エステル、有機珪素化合物等が好まし
く用いられる。また、重合時の第三成分としては、有機
珪素化合物が好ましく用いられる。例えば、特開昭61
−7803号、特開昭62−11705号、特開昭62
−11706号各の公報に記載の方法を採用することが
できる。本発明で用いるのプロピレン重合体は、前記立
体規則性触媒を用いて製造される結晶性のものが好まし
く、重合は連続式、バッチ式でも良く、不活性な炭化水
素溶媒を用いるスラリー重合法、プロピレン自身を溶媒
として用いるバルク重合法、或いは、気相重合法が採用
することができる。重合時の温度は、常温〜200℃、
好ましくは常温〜150℃、また圧力は、常圧〜100
kg/cmG、好ましくは常圧〜45kg/cm
である。重合持のMFRの調整は、水素を分子量調節剤
として使用することによって行なわれる。
【0028】より具体的には、マグネシウム、チタン、
ハロゲン及び電子供与体化合物を必須成分とする固体触
媒成分は次のようにして合成される。マグネシウム、チ
タンは下記のマグネシウム化合物、チタン化合物によっ
て、ハロゲンはこれら何れかの化合物から固体触媒成分
中に導入することが一般的である。
【0029】マグネシウム化合物としては、塩化マグネ
シウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム等のジハ
ロゲン化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、炭酸
マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライド、ジブチ
ルマグネシウム、酸化マグネシウム、金属マグネシウム
等を使用することができる。これらの中でも塩化マグネ
シウムを用いることが好ましい。特に実質的に無水のも
のを使用することが望ましい。
【0030】チタン化合物としては、三価又は四価のチ
タンのハロゲン化合物が代表的である。好ましいチタン
のハロゲン化化合物は、一般式Ti(OR
4−n(RはC〜C10の炭化水素残基、Xはハロ
ゲン)で示されるような化合物のうちn=0、1又は2
の四価のハロゲン化チタン化合物である。具体的にはT
iC1、Ti(OBu)C1、Ti(OBu)
等を例示することができるが、特に好ましいのはT
iC1、Ti(OBu)C1(式中の「OBu」は
ブトキシ基を示す)などのテトラハロゲン化チタンやモ
ノアルコキシトリハロゲン化チタン化合物である。な
お、上記一般式において、n=4のTi(OBu)
用いることができる。
【0031】担持型固体触媒成分に含有させる電子供与
化合物としては、アルコール類、カルボン酸エステル、
有機珪素化合物、エーテル類等を挙げることができる
が、好ましくは、炭素数1〜10のアルコール類や、炭
素数1〜10の脂肪族カルボン酸のエステル、炭素数2
〜14の脂肪族ジカルボン酸のエステル、炭素数7〜2
0の芳香族カルボン酸のエステル等の有機酸エステル、
一般式R 3−nSi(OR(ここで、R
は分岐鎖状炭化水素基を、RはRと同一か若しくは
異なる炭化水素基を、Rは炭化水素基を、nは2≦n
≦3の数を示す)で表わされる有機珪素化合物、炭素数
2〜20のエーテル類等を挙げることができる。具体的
には、(イ)メチルアルコール、エチルアルコール、プ
ロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール
類、(ロ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、
(ハ)蓚酸エチル、マロン酸メチル、琥珀酸ジエチル、
琥珀酸ジブチル、メチル琥珀酸ジエチル、α−メチルグ
ルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジエチル、メチルマロ
ン酸ジブチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピル
マロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニル
マロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリル
マロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジ
ノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチ
ル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、
マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチ
ルマレイン酸ジエチル、β−メチルグルタル酸ジイソプ
ロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ−2−
エチルへキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブ
チル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ジメチ
ル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,
2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒ
ドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチル等の脂肪族
ポリカルボン酸エステル、(ニ)安息香酸メチル、安息
香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、トル
イル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸メチル、ア
ニス酸エチル、桂皮酸メチル等の芳香族モノカルボン酸
エステル類、(ホ)フタル酸モノエチル、フタル酸ジメ
チル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチ
ル、フタル酸モノノルマルブチル、フタル酸ジエチル、
フタル酸エチルイソブチル、フタル酸エチルノルマルブ
チル、フタル酸ジn−プロピル、フタル酸ジイソプロピ
ル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フ
タル酸ジn−へプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシ
ル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジネオペンチ
ル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタ
ル酸ジフェニル等の芳香族ジカルボン酸エステル類、
(へ)(CHCSi(CH)(OCH
(CHCSi(CH(CH(OC
、(CHCSi(CH)(OC
、(CCSi(CH)(OCH
、((CH)CH)Si(OC
、(CH)(C)CHSi(CH
(OCH、((CH)CHCHSi
(OCH、(C)(CHCSi(C
)(OCH 、(C)(CHCS
i(CH)(OC、(CH CSi
(OCH、(CHCSi(OC
、(C CSi(OC
(CH(C)CHSi(OCH
(C)(CHCSi(OCの有
機珪素化合物類、(ト)エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、2,2’−ジメトキシ−1,
1’−ビナフタレン、1,3−ジメトキシプロパン、
2,2’−ジメチル−1,3’−ジメトキシプロパン、
2,2’−ジイソプロピル−1,3’−ジメトキシプロ
パン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジ
メトキシプロパン等のエーテル類を挙げることができ
る。これらの中でも有機酸エステル類、中でも芳香族モ
ノカルボン酸エステル類、特に安息香酸エステル類を使
用することが好ましい。
【0032】上記担持型固体触媒成分の調製にあたり、
ハロゲン化マグネシウムは予め予備処理されたものであ
ることが望ましい。該予備処理は従来公知の各種方法に
より行なうことができ、具体的には下記(イ)〜(チ)
の方法を例示することができる。 (イ)ジハロゲン化マグネシウムを、或いはジハロゲン
化マグネシウムとチタン、珪素又はアルミニウムのハロ
ゲン化合物又はハロゲン化炭化水素化合物等とを、粉砕
する。粉砕は、ボールミル或いは振動ミルを用いて行な
うことができる。(ロ)ジハロゲン化マグネシウムを、
溶媒として炭化水素或いはハロゲン化炭化水素を用い、
溶解促進剤にアルコール、燐酸エステル或いはチタンア
ルコキシドを用いて溶解させる。次いで、この溶液に、
貧溶媒、無機ハロゲン化物、エステル等の電子供与体或
いはメチルハイドロジエンポリシロキサン等のポリマー
珪素化合物等を添加して、溶解されたジハロゲン化マグ
ネシウムを該溶液より析出させる。(ハ)マグネシウム
のモノ又はジアルコレート若しくはマグネシウムカルボ
キシレートとハロゲン化剤とを接触反応させる。(ニ)
酸化マグネシウムと塩素又はAlC1とを接触反応さ
せる。(ホ)MgX・nHO(式中のXはハロゲン
である)とハロゲン化剤又はTiC1とを接触反応さ
せる。(へ)MgX・nROH(式中のXはハロゲ
ン、Rはアルキル基である)とハロゲン化剤又はTiC
とを接触反応させる。(ト)グリニャール試薬、M
gR化合物(式中のRはアルキル基である)、或い
は、MgR化合物とトリアルキルアルミニウム化合物
との錯体を、ハロゲン化剤、例えばAlX、AlR
−m(式中のXはハロゲン、Rはアルキル基であ
る)、SiC1又はSiC1 と接触反応させる。
(チ)グリニャール試薬とシラノールとを或いはポリシ
ロキサン、HO又はシラノールとを接触反応させ、そ
の後ハロゲン化剤又はTiC1と接触反応させる。
【0033】予備処理された塩化マグネシウムとハロゲ
ン化チタンと電子供与化合物との接触は、ハロゲン化チ
タンと電子供与化合物との錯体を形成させてから、この
錯体と塩化マグネシウムとを接触させることによって
も、また塩化マグネシウムとハロゲン化チタンとを接触
させてから、電子供与化合物と接触させることによって
も、塩化マグネシウムと電子供与化合物を接触させてか
らハロゲン化チタンと接触させることによっても良い。
接触の方法としては、ボールミル、振動ミル等の粉砕接
触でも良いし、或いはハロゲン化チタンの液相中に塩化
マグネシウム又は塩化マグネシウムの電子供与化合物処
理物を添加しても良い。上記触媒成分である三成分ない
し四成分を接触させた後、或いは各成分接触の中間段階
で、不活性溶媒による洗浄を行なっても良い。このよう
にして生成したチタン含有担持型固体触媒成分のハロゲ
ン化チタン含有量は1〜20重量%、ハロゲン化マグネ
シウムの含有量は50〜98重量%、電子供与化合物と
ハロゲン化チタンのモル比は0.05〜2.0程度であ
る。
【0034】上記で得た固体触媒成分との共触媒として
用いる有機アルミニウム化合物としては、一般式AlR
3−n(ここで、Rは炭素数1〜12の炭化水素残
基、Xはハロゲン又はアルコキシ基、nは0<n≦3を
示す)で表わされるものが好適である。このような有機
アルミニウム化合物は、具体的には、例えば、トリエチ
ルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、ト
リ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリイソへキ
シルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチ
ルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムモノクロライ
ド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチル
アルミニウムモノエトキシサイド等である。勿論、これ
らの有機アルミニウム化合物を2種以上併用することも
できる。有機アルミニウム化合物と担持型固体触媒成分
の使用比率は広範囲に変えることができるが、一般に、
担持型固体触媒成分中に含まれるチタン原子当たり1〜
1,000、好ましくは10〜500(モル比)の割合
で有機アルミニウム化合物を使用することができる。
【0035】上記固体触媒成分と有機アルミニウム触媒
系には、必要に応じて、電子供与化合物を添加すること
もできる。上記電子供与化合物としては、前記担持型固
体触媒成分に含有される電子供与化合物と同様のものを
挙げることができるが、これら電子供与化合物の中で
も、特に一般式R 3−nSi(OR(ここ
で、Rは分岐鎖状炭化水素基を、RはRと同一か
若しくは異なる炭化水素基を、Rは炭化水素基を、n
は2≦n≦3の数を示す)で表わされる有機珪素化合物
を用いることが好ましい。これら有機珪素化合物の具体
例としては、(CHCSi(CH)(OC
、(CHCSi(CH(CH(O
CH、(CHCSi(CH)(OC
、(CCSi(CH)(OCH
、((CH)CH)Si(OCH
(CH)(C)CHSi(CH)(OC
、((CH)CHCHSi(OC
、(C)(CHCSi(CH
(OCH、(C)(CHCSi(C
)(OC、(CHCSi(OCH
、(CHCSi(OC、(C
CSi(OC、(CH(C
)CHSi(OCH、(C)(C
CSi(OC 、等を挙げることがで
きる。また、これらの有機珪素化合物は、単独で或いは
二種以上併用することができる。電子供与化合物を添加
する際の添加量は、有機アルミニウム化合物に対するモ
ル比で、通常0.01〜1、好ましくは0.02〜0.
5である。
【0036】上記の触媒を用いて、プロピレンの単独重
合(ホモ重合)は、触媒成分と各モノマーが効率よく接
触するならば、あらゆる様式の方法を採用することがで
きる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不
活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用い
るバルク法、溶液法あるいは実質的に液体溶媒を用いず
各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法を採用するこ
とができる。また、連続重合、回分式重合のいずれを用
いてもよい。重合反応温度は、常温〜200℃、好まし
くは30〜150℃、さらに好ましくは50〜90℃、
重合反応圧力は、常圧〜50kg/cmGの条件下で
行なわれる。
【0037】上記の触媒を用いて、プロピレン・α−オ
レフィンランダム共重合体の重合は、プロピレンとα−
オレフィンとを混合接触させることにより行われる。重
合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するな
らば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具
体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒
を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク
法、溶液法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマ
ーを実質的にガス状に保つ気相法を採用することができ
る。また、連続重合、回分式重合のいずれを用いてもよ
い。重合条件としては、重合反応温度は、常温〜200
℃、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは50
〜90℃、重合反応圧力は、常圧〜50kg/cm
の条件下で行なわれる。
【0038】上記の触媒を用いて、プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン部とエチ
レン・プロピレンランダム共重合部を含有するプロピレ
ン・エチレンブロック共重合体を製造する際に行なわれ
るプロピレンの単独重合及びエチレンとプロピレンとの
ランダム共重合は、前記担持型固体触媒成分と有機アル
ミニウム化合物成分とを用いる高活性で高立体規則性の
チーグラー型触媒を用い、二段階以上の重合工程でブロ
ック共重合を行なう以外は、前記へキサン、ヘプタンな
どの不活性溶媒中で行なうスラリー重合法でも、液相プ
ロピレン中で行なうバルク重合法でも、或いは、気相重
合法でも実施することができる。また、プロピレンの単
独重合或いはエチレンとプロピレンとのランダム共重合
の様式は回分式でも連続式でも採用し得る。
【0039】第1段目の重合は、高結晶性・高MFRの
プロピレン単独重合体を製造する工程であり、この第1
段階目の重合では高MFRのプロピレン単独重合体を得
るために分子量調節剤である水素濃度を高くする必要が
ある。第1段階の重合反応温度は、常温〜200℃、好
ましくは30〜150℃、さらに好ましくは50〜90
℃、重合反応圧力は、常圧〜50kg/cmGの条件
下で行なわれる。
【0040】第2段階目の重合は、低MFRのエチレン
・プロピレンランダム共重合体を製造する工程であり、
この第2段階目の重合では逆に低MFRのエチレン・プ
ロピレンランダム共重合体を得るために水素濃度を極め
て低く抑えるか、或いは、実質的に無水素状態にする必
要がある。第2段階の重合反応温度は、30〜100
℃、好ましくは50〜90℃、重合反応圧力は、常圧〜
50kg/cmGの条件下で行なわれる。該ブロック
共重合体の分子量の調節には水素が好ましく用いられ
る。
【0041】なお、上記プロピレン・エチレンブロック
共重合体は、プロピレンとエチレン及びそれ以外の他の
α−オレフィン(例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセ
ン、へプテン等)との共重合や、或いは不飽和有機酸や
その無水物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等)ないしは不飴
和エステル(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸メチルエステル等)やビニルシラン又
は芳香族ビニルシランで変性されていても良い。更に、
これら重合体の混合物でも差支えがない。
【0042】上記で詳しく説明したチーグラー系のMg
担持触媒によりプロピレン系樹脂を製造する方法におい
ては、樹脂中に炭素数6〜10の揮発性炭化水素が30
0ppmを超える量が含まれ、かつ炭素数12〜30の
オリゴマー成分が600ppmを超える量含まれている
場合が多いので、これらの揮発性炭化水素及びオリゴマ
ーを低減する必要がある。低減する方法としては、つぎ
のような方法が挙げられる。この場合、上記の添加剤を
加えて行っても、低減後添加剤を加えてもよい。
【0043】1)スラリー重合でオリゴマー分を除去
し、かつドライヤーで乾燥を強化して溶剤と揮発性炭化
水素を低減する方法。 2)バルク重合で途中にプロピレンによる洗浄工程を設
けてオリゴマーを低減し、かつドライヤーで乾燥を強化
して揮発性炭化水素を低減する方法。 3)スラリー、バルク、気相の各重合方法でMg担持触
媒に高立体規則性になる電子供与体等を使用してオリゴ
マー成分の生成を押さえ、かつドライヤーで乾燥を強化
して揮発性炭化水素を低減する方法。 4)スラリー、バルク、気相の各重合方法でホモ/ラン
ダムの重合滞留時間を短くしてオリゴマー成分の生成を
押さえ、かつドライヤーで乾燥を強化して揮発性炭化水
素を低減する方法。
【0044】上記の樹脂パウダーを用いる乾燥を強化す
る方法としては、乾燥処理温度が60〜100℃、乾燥
時間が1時間〜4時間であり、さらに脱臭処理として、
ペレットの温風乾燥の処理方法を組み合わせても良い。
【0045】ここで、炭素数6〜10の揮発性炭化水素
の量とは、容器を成形後、恒温恒湿状態(温度23±2
℃、湿度50±5%)で24時間調整した容器の切り出
し片を試料として、これを熱分解して得られるガスをガ
スクロマトグラフで測定して求めた値であり、炭素数1
2〜30のオリゴマー成分の量とは、ガスクロマトグラ
フ/質量分析法で測定して求めた量である。
【0046】[II]容器 本発明の熱成形容器は、上記で説明したポリプロピレン
系樹脂組成物をシート状に成形し、シートを容器状に熱
成形して得られる。熱成形は、公知の方法で行うことが
できる。容器の形状は、各種カップ、トレイ、皿、椀形
などの形を挙げることができる。ここで、熱成形とは、
シート等を加熱して軟化させた後に、金型形状に成形す
る方法である。成形方法としては、真空あるいは圧空を
用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状
に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリ
ップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)や
プレス成形する方法等が挙げられる。熱成形温度や真空
度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ
形状や金型形状または原料シートの性質等により適宜設
定される。熱成形して得られた容器は、乳製品に対して
臭気、味覚へ与える影響が極めて少なく、剛性、衝撃特
性にも優れているため、乳製品用容器として最適であ
る。本発明の熱成形容器に収納できる乳製品としては、
乳飲料、ヨーグルト等を挙げることができ、乳飲料とし
は飲用牛乳、乳飲料、乳製品、乳酸菌飲料、乳類入清涼
飲料が挙げられ、ヨーグルトとしてはプレーン、ハー
ド、ソフト、ドリンクなどが挙げられる。
【0047】
【実施例】以下に示す実施例によって、本発明を更に具
体的に説明する。評価方法及び実施例、比較例において
用いた試験方法を以下に示す。
【0048】(1)MFR:JIS−K7210に準拠
して、条件 温度230℃、使用荷重2.16kgで測
定した。
【0049】(2)揮発性炭化水素の測定法:ポリプロ
ピレン成形品を数mm角の小片に切断し5mgの試料を
用い、以下の条件で熱分解してガスクロマトグラフによ
り分析した。 (i)熱分解条件 熱分解装置;島津製作所製PYR−1A 熱分解温度;210℃ パイプ温度;100℃ (ii)ガスクロマトグラフの条件 装置;島津製作所製G−C14B カラム;化学品検査協会製G−100(40m、組成;
Methyl Silicone、極性;無極性、膜
厚;1μm) カラム温度;60℃→150℃ 検量線;n−ヘプタン換算で行った。
【0050】(3)オリゴマーの測定法:「高分子分析
ハンドブック」(紀伊国屋書店刊)の記載に基づき下記
の手法で分析した。凍結粉砕した試料2.5gをヘキサ
ン100mlで加熱還流抽出を1時間行った後、冷却濾
過しロータリーエバポレーターにより脱溶剤して乾固
し、これにヘキサン4mlを加え超音波洗浄機にて抽出
する。これを次の条件でガスクロマトグラフ/質量分析
法(SIM)で測定した。 装置;HP−GCD カラム;HP−1 0.23mm×30m 温度;100℃→5℃/min→300℃ 注入量;1μl スプリットレス 検出;SIM(m/Z=43、57モニター m/Z=
43にて定量(C18換算 絶対検量線法) 絶対検量線法は、JIS K 0123に準拠した。
【0051】(4)色調測定法:東芝射出成形機IS9
0を用い、温度230℃、金型冷却水温度40℃、成形
サイクル40秒でペレット状試料を2×80×120m
mのシート形状の試験片を成形し、試験片を用い、JI
S K7103に準拠し、YI値を測定した。
【0052】(5)成形性:色相測定用シート成形時の
状況を観察した。
【0053】(6)臭いの試験法:清潔な臭いのない共
栓付き広口ガラス瓶(300ml)を準備し、熱成形し
た容器を20×20mm程度の形状に切り出した試料約
80gを広口瓶に入れる。瓶の栓をして80℃に加温し
た東洋精機製ギアオーブンに2時間入れ加熱する。加熱
後取り出し、10分以内に次の臭いの基準に従い評価を
行った。 臭いの基準 0級:感じない 1級:やっと感じる 2級:感じられる 3級:楽に感じる 4級:強く臭う
【0054】(7)味の試験法:熱成形した肉厚1mm
の600ml容器を沸騰水で5分間以上処理した後、容
器にコーヒー牛乳200ml入れ料理用アルミホイルで
口元をシールした。その後、1つは冷蔵庫で24時間保
管した。1つは80℃で2時間加温した後、室温で1時
間放冷したあと冷蔵庫で24時間保管した。また、清潔
な臭いのない共栓付き広口ガラス瓶300mlにコーヒ
ー牛乳200mlを入れ比較対象用とした。それぞれを
処理後にガラス瓶(広口瓶)の対象品と比較して官能検
査を行った。判定基準は、ガラス瓶入りコーヒーミルク
と比較し差を感じた人の数で表した。(1/10=10
人中1人)
【0055】実施例1 チグラーナッタ系触媒を下記の方法で調整した。 <固体触媒成分1>充分に窒素置換したフラスコに、脱
水・脱酸素したn−ヘプタン4000ミリリットルを導
入し、次いで、MgClを8モル、Ti(O−n−C
を16モル導入し、95℃で2時間反応させ
た。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いで、メチル
ヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)
を960ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成
した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分
窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘ
プタン1000ミリリットルを導入し、上記で合成した
固体成分をMg原子換算で4.8モル導入した。次い
で、n−ヘプタン500ミリリットルにSiCl4を8
モル混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、7
0℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで
洗浄した。次いで、n−ヘプタン500ミリリットルに
フタル酸クロライドを0.48モル混合して、70℃、
30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させ
た。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、S
iCl200ミリリットルを30℃、30分間でフラ
スコへ導入し、80℃で6時間反応させた。反応終了
後、n−ヘプタンで充分に洗浄して固体成分を得た。次
いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精
製したn−ヘプタン1000ミリリットルを導入し、上
記で合成した固体成分を100g導入し、(t−C
)Si(CH)(OCH24ミリリットル、
Al(C 34gを30℃で2時間接触させ
た。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、MgC
を主体とする固体触媒成分を得た。この固体触媒成
分のチタン含量は、1.1重量%であった。
【0056】<重合方法1>上記チグラーナッタ系触媒
を用い、気相重合法で得たプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体パウダーを重合した。内容積10Lの2個の
反応器を直列に連結してなる攪拌式連続気相重合反応装
置を用いて、プロピレン−エチレンブロック共重合体の
連続製造を実施した。まず第1段の反応器内を充分に精
製した窒素で置換した後、充分に脱水・脱酸素したポリ
マー担体を2.2kg充填し、その後に充分にプロピレ
ンでガス置換を行った。トリエチルアルミニウム、前記
固体触媒成分を連続的に導入し、重合温度を75℃、全
圧を14.5kg/cmで連続的にプロピレン単独重
合を行った。第1段重合工程で重合したパウダーは、第
2段の反応器に断続的に圧送され、新たにエチレンを供
給し、エチレン重合を重合温度=70℃で連続的に行っ
た。第2段重合工程で重合したパウダーは、断続的に抜
き出した。また、各重合工程で併用する水素は、気相部
の水素濃度で制御した。このようにして、パウダー状プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。得られた
プロピレン−エチレンブロック共重合体のパウダーを東
洋精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分10
00ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行
った。この乾燥処理を行ったパウダー100重量部に対
して、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチ
ル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルテ
ィケミカルズ(株)社製;以下RA1010と略す。)
0.1重量部、リン系酸化防止剤として、トリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(チバス
ペシャルティケミカルズ(株)社製;以下RA168と
略す。)0.1重量部、中和剤として、ステアリン酸カ
ルシウム0.05重量部を添加しスーパーミキサーで窒
素シール後、3分間混合した。その後、30mmD押し
出し機を用いホッパー分を窒素シールしながら230℃
で造粒、ペレット化した。得られたプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体は、MFR=0.5g/10分、エ
チレン含有量=5重量%であった。
【0057】本ペレット試料をプラ技研製多層シート成
形機のスクリュ−径65mmφの押出機を使用しシリン
ダ−温度230℃、T型ダイス温度230℃でシート状
に押出し、60℃の冷却水を内部循環させた2本の鏡面
ロールで挟み冷却固化させて、2m/分の引き取り速度
で巻き取り、厚み1.5mmt、幅460mmのシート
を得た。さらに得られたシートを、(株)浅野研究所製
の間接加熱式圧空成形機(名称:コスミック成形機)を
使用して、遠赤ヒ−タ−(温度設定:350℃)で予熱
時間30秒、圧空圧力2kg/cm、冷却時間10秒
の条件で、口径66φ、高さ75mm、テ−パ−3/1
0の160ml丸型カップ容器を成形した。成形した容
器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5
%)で24時間調整し、その一部を切り出し、これの揮
発性炭化水素量、臭いを測定し、本容器を用いたコーヒ
ー牛乳保存時、加温時の味について評価した。その結果
を表1に示す。
【0058】実施例2 実施例1のペレット試料を東洋精機製ギアーオーブンを
用い、80℃、24時間乾燥脱臭処理を行った。なお、
脱臭処理後のプロピレン−エチレンブロック共重合体の
ペレットは、MFR=0.55g/10分、エチレン含
有量=5重量%であった。その後、実施例1と同様に熱
成形法で試験容器を成形し、熱成形した容器の揮発性炭
化水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳保存
時、加温時の味について評価した結果を表1に示す。
【0059】実施例3 実施例1の固体触媒を用いて下記のスラリー重合法でプ
ロピレン−エチレンブロック共重合体パウダーを重合し
た。 <重合方法2>内容積200リットルの攪拌式重合槽に
より、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を
実施した。重合槽内をプロピレンで充分置換した後、脱
水・脱酸素したn−ヘプタン60リットルを導入し、ト
リエチルアルミニウム15.0g、前記固体触媒成分
3.0gをプロピレン雰囲気下、70℃で導入した。前
段重合工程は、重合槽内の温度を75℃に昇温した後、
プロピレンを9.0kg/時間のフィード速度で導入し
た。その後、プロピレンの導入を止め、さらに重合槽内
の温度を75℃で90分間継続させた。次に、重合槽内
の温度を65℃に降温した後、後段重合工程をエチレン
3.4kg/時間のフィード速度で導入した。また、各
重合工程で併用する水素は、気相部の水素濃度で制御し
た。このようにして得られたスラリーを、濾過、減圧乾
燥(80℃、3時間)して31.0kgのパウダー状の
プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
【0060】このようにして得られたパウダーを、東洋
精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分100
0ml)流しながら90℃で3時間乾燥処理を行った。
(乾燥強化に相当)
【0061】実施例1で用いたプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体パウダーに代えて、上記スラリー重合法
によって得たプロピレン−エチレンブロック共重合体パ
ウダーを用いる以外は、実施例1と同様にして熱成形容
器を得た。なお、造粒後、得られたプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体は、MFR=0.5g/10分、エ
チレン含有量=5重量%であった。熱成形した容器の揮
発性炭化水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛
乳保存時、加温時の味について評価した結果を表1に示
す。
【0062】実施例4 実施例1の固体触媒を用いて下記のバルク重合法でプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体パウダーを重合し
た。 <重合方法3>内容積0.85mの攪拌装置付き液相
重合槽および1.9mの攪拌式気相重合槽、及び、二
重管式熱交換器とフラッシュ槽からなる脱ガスシステム
を組み込んだプロセスにより、プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体の連続製造を実施した。第1段階重合工
程の液相重合槽には、液化プロピレンを118kg/時
間で連続的に供給し、トリエチルアルミニウム、t−ブ
チルエチルジメトキシシラン、固体触媒成分を連続的に
導入した。また、重合温度は70℃とした。この液相重
合槽で出来るスラリーは、スラリーポンプを用いて、二
重管式熱交換器を経て、流動フラッシュ槽にフィードし
た。流動フラッシュ槽においては、下部より加熱したプ
ロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を70℃に
維持した。流動フラッシュ槽で得られたパウダー状ポリ
プロピレン粒子は、気相重合槽に送られて、第2段階重
合工程としてエチレンの重合が、重合温度=70℃で行
われた。また、各重合工程で併用する水素は、気相部の
水素濃度で制御した。このようにして得られたパウダー
を、窒素雰囲気下、70℃、40分間、乾燥して、パウ
ダー状プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
【0063】このようにして得られたパウダーを、東洋
精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分100
0ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行っ
た。(乾燥強化に相当)
【0064】実施例1で用いた気相重合法によって得た
プロピレン−エチレンブッロク共重合体パウダーに代え
て、上記のバルク重合法によって得たプロピレン−エチ
レンブッロク共重合体パウダーを用いる以外は、実施例
1と同様にして熱成形容器を得た。なお、造粒後、得ら
れたプロピレン−エチレンブロック共重合体は、MFR
=0.5g/10分、エチレン含有量=5重量%であっ
た。熱成形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本
容器を用いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について
評価した結果を表1に示す。
【0065】実施例5 実施例1の固体触媒を用いて下記の気相重合法でプロピ
レン単独重合体パウダーを重合した。 <重合方法5>内容積10Lの反応器からなる攪拌式連
続気相重合反応装置を用いて、プロピレン単独重合体の
連続製造を実施した。まず反応器内を充分に精製した窒
素で置換した後、充分に脱水・脱酸素したポリマー担体
を2.2kg充填し、その後に充分にプロピレンでガス
置換を行った。併用する水素は、気相部の水素濃度で制
御した。また、トリエチルアルミニウム、前記固体触媒
成分を連続的に導入し、重合温度を75℃、全圧を1
4.5kg/cmで連続的にプロピレン単独重合を行
った。重合したパウダーは、断続的に抜き出した。
【0066】このようにして得られたパウダーを、東洋
精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分100
0ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行
い、パウダー状プロピレン単独重合体を得た。(乾燥強
化)
【0067】実施例1で用いた気相重合法によって得た
プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダーをに代
えて、プロピレン単独重合体に代え、かつ容器成形の段
階で予熱時間を35秒にした以外は、実施例1と同様に
して熱成形容器を得た。なお、造粒後得られたプロピレ
ン単独重合体は、MFR=0.7g/10分であった。
熱成形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本容器
を用いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について評価
した結果を表1に示す。
【0068】実施例6 実施例1の固体触媒を用いて下記の気相重合法でプロピ
レン−エチレンランダム共重合体パウダーを重合した。
内容積10Lの反応器からなる攪拌式連続気相重合反応
装置を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体
の連続製造を実施した。まず反応器内を充分に精製した
窒素で置換した後、充分に脱水・脱酸素したポリマー担
体を2.2kg充填し、その後に充分にプロピレンでガ
ス置換を行った。併用する水素およびエチレンは、気相
部の水素濃度およびエチレン濃度で制御した。また、ト
リエチルアルミニウム、前記固体触媒成分を連続的に導
入し、重合温度を75℃、全圧を14.5kg/cm
で連続的にプロピレン−エチレンランダム共重合を行っ
た。共重合したパウダーは、断続的に抜き出した。
【0069】このようにして得られたパウダーを、東洋
精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分100
0ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行
い、パウダー状プロピレン−エチレンランダム共重合体
を得た。(乾燥強化)
【0070】実施例1で用いた気相重合法によって得た
プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダーをに代
えて、プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー
に代え、かつ容器成形の段階で予熱時間を23秒にした
以外は、実施例1と同様にして熱成形容器を得た。な
お、造粒後、得られたプロピレン−エチレンランダム共
重合体は、MFR=0.8g/10分、エチレン含有量
=3.1重量%であった。熱成形した容器の揮発性炭化
水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳保存
時、加温時の味について評価した結果を表1に示す。
【0071】比較例1 実施例1と同じ重合を行った後、出来上がったプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体パウダーを用い、乾燥強
化せず実施例1と同様の造粒、ペレット化を行う以外
は、実施例1と同様にして熱成形容器を得た。熱成形し
た容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本容器を用いた
コーヒー牛乳保存時、加温時の味について評価した結果
を表1に示す。
【0072】比較例2 実施例3と同じ重合を行った後、得られたプロピレン−
エチレンランダム共重合体パウダーを用い、乾燥強化し
ないこと以外は、実施例3と同様にして熱成形容器を得
た。熱成形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本
容器を用いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について
評価した結果を表1に示す。
【0073】比較例3 実施例4と同じ重合を行った後、得られたプロピレン−
エチレンブロック共重合体パウダーを用い、乾燥強化し
ないこと以外は、実施例4と同様にして熱成形容器を得
た。熱成形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本
容器を用いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について
評価した結果を表1に示す。
【0074】比較例4 実施例6と同じ重合を行った後、得られたプロピレン単
独重合体パウダーを用い、乾燥強化しないこと以外は、
実施例6と同様にして熱成形容器を得た。熱成形した容
器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本容器を用いたコー
ヒー牛乳保存時、加温時の味について評価した結果を表
1に示す。
【0075】比較例5 実施例7と同じ重合を行った後、得られたプロピレン−
エチレンランダム共重合体パウダーを用い、乾燥強化し
ないこと以外は、実施例7と同様にして熱成形容器を得
た。熱成形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本
容器を用いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について
評価した結果を表1に示す。
【0076】実施例7 実施例1で用いたプロピレン−エチレンブロック共重合
体パウダー及び乾操処理を行ったのち、安定剤配合を酸
化防止剤としてフェノール系酸化防止剤としてRA10
10を0.1重量部、中和剤として、ステアリン酸カル
シウムを0.05重量部とした以外は、実施例1と同様
にして熱成形容器を得た。熱成形した容器の揮発性炭化
水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳保存
時、加温時の味について評価した結果を表2に示す。
【0077】実施例8 実施例1で用いたプロピレン−エチレンブロック共重合
体パウダー及び乾操処理を行ったのち、安定剤配合を酸
化防止剤としてフェノール系酸化防止剤としてRA10
10を0.1重量部に代えHARS系安定剤として、コ
ハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−
ヒドロキシ−2,2,6,2−テオトラメチルペピリジ
ン重縮合物(チバスペシャルティケミカルズ(株)社
製;以下、TNV622と略す)0.1部重量部とした
以外は、実施例1と同様にして熱成形容器を得た。熱成
形した容器の揮発性炭化水素量、臭い、及び本容器を用
いたコーヒー牛乳保存時、加温時の味について評価した
結果を表2に示す。
【0078】比較例6 実施例1の安定剤配合を無添加とした以外は、実施例1
と同様にして熱成形容器を得た。熱成形した容器の揮発
性炭化水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳
保存時、加温時の味について評価した結果を表2に示
す。
【0079】比較例7 実施例1の安定剤配合をフェノール系酸化防止剤とし
て、RA1010を0.1重量部のみとした以外は、実
施例1と同様にして熱成形容器を得た。熱成形した容器
の揮発性炭化水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒ
ー牛乳保存時、加温時の味について評価した結果を表2
に示す。
【0080】比較例8 実施例1の安定剤配合を中和剤として、ステアリン酸カ
ルシウム0.05重量部のみとした以外は、実施例1と
同様にして熱成形容器を得た。熱成形した容器の揮発性
炭化水素量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳保
存時、加温時の味について評価した結果を表2に示す。
【0081】実施例9 実施例1で作成した造粒後のペレットを用いて、シート
圧空成形により、熱成形容器を得た。実施例1で用いた
プラ技研製多層シート成形機のスクリュー径65mmφ
とスクリュー径45mmφの押出機、及び2種3層構成
のフィードブロックを用いて、実施例3で用いたペレッ
トを240℃に加熱しスクリュー径45mmφの押出機
から上記フィードブロックの両表面層側に入れ、実施例
1で用いたペレットを230℃に加熱しスクリュー径6
5mmφの押出機から上記フィードブロックの中間層側
に入れ、後は実施例1と同様にシート状に押出し、鏡面
ロールで挟み冷却固化させて巻き取り、厚み1.5mm
t(両表面層が各250μm、中間層が1000μ
m)、幅460mmのシートを得た。さらに得られたシ
ートを、予熱時間32秒で丸型カップ容器を熱成形及び
試験評価を行った。熱成形した容器の揮発性炭化水素
量、臭い、及び本容器を用いたコーヒー牛乳保存時、加
温時の味について評価した結果を表2に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物
は、剛性、衝撃特性に優れ、乳製品用容器とした場合、
乳製品に対して、臭気、味覚などに影響を与えない。さ
らに、従来のポリエチレンやポリスチレン容器では、高
温充填ができなかったが、本発明のポリプロピレン樹脂
組成物製容器を用いることにより、高温充填ができ、さ
らに色調にも優れているため、飲用牛乳、乳飲料、乳酸
菌飲料、乳類入清涼飲料などの乳飲料やヨーグルトなど
の乳製品用容器として最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/098 C08K 5/13 5/13 5/17 5/17 5/49 5/49 A23L 2/38 P // A23L 2/38 B65D 1/00 B (72)発明者 河合 重信 三重県四日市市東邦町1番 日本ポリケム 株式会社材料開発センター (72)発明者 石井 公一郎 三重県四日市市東邦町1番 日本ポリケム 株式会社触媒開発センター Fターム(参考) 3E033 BA16 BB01 BB04 CA03 CA07 CA15 FA10 GA02 4B017 LC10 LE10 LG14 LK18 LP15 4F071 AA20 AB18 AB21 AC09 AC11 AC12 AC15 AF01 AH05 BB03 BC01 4J002 BB111 DE059 DE079 DE149 DE289 EG029 EG039 EG049 EJ016 EJ026 EJ036 EJ066 EU077 EU087 EU136 EU186 EW068 FD047 FD076 FD078 FD209 GG01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フェノール系酸化防止剤及び/又
    はヒンダードアミン系安定剤、(b)中和剤を含有する
    ポリプロピレン系樹脂組成物を、熱成形してなり、
    (1)炭素数6〜10の揮発性炭化水素が300ppm
    以下、(2)炭素数12〜30のオリゴマー成分が60
    0ppm以下、であることを特徴とする乳製品用熱成形
    容器。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂組成物が、(c)
    リン系酸化防止剤を更に含有することを特徴とする請求
    項1に記載の乳製品用熱成形容器。
  3. 【請求項3】 (b)中和剤が、脂肪酸金属塩、ハイド
    ロタルサイト、水酸化金属塩から選ばれるいずれか一種
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    乳製品用熱成形容器。
  4. 【請求項4】 (a)フェノール系酸化防止剤、及び/
    又はヒンダードアミン系安定剤、(b)中和剤を含有す
    るポリプロピレン系樹脂組成物であって、(1)炭素数
    6〜10の揮発性炭化水素が300ppm以下、(2)
    炭素数12〜30のオリゴマー成分が600ppm以
    下、であることを特徴とする乳製品用熱成形容器用ポリ
    プロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレン系樹脂組成物が、(c)
    リン系酸化防止剤を更に含有することを特徴とする請求
    項4に記載の乳製品用熱成形容器用ポリプロピレン系樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 (b)中和剤が、脂肪酸金属塩、ハイド
    ロタルサイト、水酸化金属塩から選ばれるいずれか一種
    であることを特徴とする請求項4又は5に記載の乳製品
    用熱成形容器用ポリプロピレン系樹脂組成物。
JP2001177760A 2001-06-12 2001-06-12 熱成形容器 Pending JP2002363358A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001177760A JP2002363358A (ja) 2001-06-12 2001-06-12 熱成形容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001177760A JP2002363358A (ja) 2001-06-12 2001-06-12 熱成形容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002363358A true JP2002363358A (ja) 2002-12-18

Family

ID=19018556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001177760A Pending JP2002363358A (ja) 2001-06-12 2001-06-12 熱成形容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002363358A (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000109617A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Sumitomo Chem Co Ltd 安定化ポリオレフィン系樹脂組成物
JP2000230088A (ja) * 1998-12-07 2000-08-22 Mitsui Chemicals Inc 加熱滅菌用中空容器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000109617A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Sumitomo Chem Co Ltd 安定化ポリオレフィン系樹脂組成物
JP2000230088A (ja) * 1998-12-07 2000-08-22 Mitsui Chemicals Inc 加熱滅菌用中空容器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2173471B1 (en) Process for producing propylene terpolymers
EP1778780B1 (en) Stretch blow-molded containers from ziegler natta propylene polymer compositions
KR20080086439A (ko) 프로필렌 단일중합체 성분을 포함하는 폴리프로필렌 조성물
KR20080087082A (ko) 프로필렌 공중합체 성분을 포함하는 폴리프로필렌 조성물
EP2898017B2 (en) Propylene-ethylene random copolymer
WO2014090553A1 (en) Polyolefin composition
EP2195355A1 (en) Polyolefin compositions having improved optical and mechanical properties
AU690611B2 (en) Random copolymer compositions
KR20160039405A (ko) 투명성 및 내충격성이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로 제조된 성형품
EP2222781B1 (en) Transparent polyolefin compositions
JP2019049001A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびそれからなる延伸容器
JP2002363357A (ja) 射出成形容器
JP2002363358A (ja) 熱成形容器
JP3366416B2 (ja) 飲料容器蓋用プロピレン系樹脂組成物
JP2003053915A (ja) 液体乳製品用ブロー成形容器
EP0739381B1 (en) Polymer compositions
JP2021024641A (ja) 延伸容器
JP2002363298A (ja) ブロー成形容器
WO2018210477A1 (en) Nucleated c3c4 copolymers and nucleated c3c4c2 terpolymers
EP2222731A1 (en) Transparent moulded articles
JP6409563B2 (ja) 医療用プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形品
JP2001011260A (ja) 耐候性に優れた結晶性ポリプロピレン樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体
JP2019172730A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2001031804A (ja) 耐候性に優れたプロピレン系ランダム共重合体組成物及びそれからなるフィルム
JPH04198223A (ja) 食品容器の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110906