JP2002361117A - 電気集塵装置 - Google Patents

電気集塵装置

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JP2002361117A
JP2002361117A JP2001212854A JP2001212854A JP2002361117A JP 2002361117 A JP2002361117 A JP 2002361117A JP 2001212854 A JP2001212854 A JP 2001212854A JP 2001212854 A JP2001212854 A JP 2001212854A JP 2002361117 A JP2002361117 A JP 2002361117A
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歩 飯島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 集塵効率を向上させ、装置を大幅に小型化す
ること。 【構成】 負極となる複数の放電極と、正極となる複数
の集塵極とを備えた集塵部を備えた電気集塵装置におい
て、前記集塵極の集塵面を前記集塵部における気体の流
入口から流出口に向かう気流方向に向けて配置すると共
に、前記放電極を前記集塵極に対設し、前記放電極と集
塵極間の電圧により生じるイオン風との方向が前記気流
方向とほぼ同じ方向となることを特徴とする電気集塵装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、集塵が行われる
気体流の方向に対して集塵面を向けた複数の集塵極と、
それら集塵極に対応して備えられた複数の放電極とを備
えた電気集塵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 一般的な電気集塵の方法は、負極であ
る放電極と正極である集塵極との間に直流高電圧を印加
してコロナ放電を発生させ、空気や排煙ガスなどの気体
中における塵や煙などの微粒子を帯電させて、電極間の
電界によるクーロン力を利用して集塵極に付着させるも
のである。図6により従来の代表的な電気集塵装置につ
いて説明すると、これは単段形といわれるもので、外壁
5で仕切られた単一の集塵室内には複数の放電極1と集
塵極3とが交互に配置されている。図6は集塵室を上面
から見た説明図であり、集塵極3は一定間隔、通常はほ
ぼ10cm間隔で平行に立てて配列された金属板からな
り、放電極1は隣接する集塵極3間の中央に沿ってほぼ
一定間隔で上下方向に張られた多数の金属線からなる。
その金属線は、種々の径の丸線、角形線、有刺線などで
ある。
【0003】 微粒子を含む気体は、矢印で示すように
図面右側の流入口から入って、隣接する集塵極3と集塵
極3とで画成される通路を通って清浄化され、右側の流
出口から排気される。放電極1に負の直流高電圧が印加
されることにより、放電極1と集塵極3間にはコロナ放
電が発生しており、そのコロナ放電により気体中の微粒
子は集塵極3間を通過する過程で帯電され、そして放電
極1と集塵極3間に形成された電界によるクーロン力で
集塵極3に集塵される。クーロン力による微粒子の移動
速度は、一般に5〜20cm/s程度であり、気体の流
速は0.5〜2m/s程度が代表的な値であるので、ク
ーロン力による微粒子の移動速度は気体の流速に比べて
非常に遅い。そして、気体中の微粒子の集塵極3への移
動速度はクーロン力による微粒子の移動速度と気体の流
速とのベクトル的な合成となるため、集塵極3の長さは
気体の流速に対応させねばならず、集塵極の小形化は難
しい。高い集塵効率を要求される場合には、図6に示す
ような集塵室を4室も直列にする必要があり、装置の大
型化は免れることはできなかった。
【0004】 また、図7に示すような2段形の電気集
塵装置も知られている。集塵室の流入口側に一定間隔で
配置された複数の放電極1と、集塵極3に比べて小面積
の帯電用電極板6を放電極1間に配置した荷電部を備
え、これら放電極1と帯電用電極板6との間でコロナ放
電を発生させ、気体の微粒子がそれら電極間を通過する
ときに帯電させる。放電極1と帯電用電極6とからなる
荷電部の下流側には、集塵極3と電界形成用電極板7と
が一定間隔で交互に立てて配置され、集塵部を構成す
る。これら電極間に所定の電圧を印加することにより、
コロナ放電が発生し、所望の強度の電界が形成され、前
記荷電部で帯電された微粒子は電界によるクーロン力で
集塵極3に引き付けられ集塵される。この従来装置にお
いても、集塵極3は気体流に沿って集塵面が存在するよ
うに配列され、矢印で示すように荷電部で帯電された微
粒子は、隣接する集塵極3と電界形成用電極板7とで画
成された通路を通過する過程で、電界によるクーロン力
で集塵極3に引き付けられる。2段形の電気集塵装置で
は、気体の流速が一般に1〜3m/sであり、前述した
ようにクーロン力による微粒子の移動速度は5〜20c
m/s程度であるので、やはり集塵極3と電界形成用電
極板7をかなり長くしなければ、集塵効率を上げること
はできない。
【0005】 さらにまた、図8に示す別の従来例で
は、基本的には図6の構造と同じであるが、ほぼ一定間
隔で並べられた集塵極3間の中央に沿って一列縦隊に配
置された各放電極1は、その金属パイプから延びる先の
尖った有刺状突起2を複数備える。有刺状突起2は隣接
する放電極1の方向を向く、つまり気体流の方向と同方
向を向くように配置されており、図6に示した電気集塵
装置に比べてコロナ放電電流が多く流れるため、微粒子
の帯電量を多く与えることができるという長所がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、いずれの集
塵方法も帯電した微粒子のクーロン力Fは、粒子の帯電
量Q(C)と電界の強さE(V/m)の積で示され、そ
のクーロン力Fによる微粒子の移動速度は、一般的に5
〜20cm/sである。一方、電気集塵装置の集塵効率
ηの目安は、一般にドイチュの式、η=1−ε
−(A/V)W (1)から求められる。
ここで、Aは集塵極の面積(m)、Vは処理気体量
(m/s)、εは対数の底であって、2.71828
であり、wは微粒子の移動速度(m/s)である。気体
の流速は0.5〜2m/s、又は1〜3m/s程度であ
るのに対して、微粒子の移動速度は前述のように一般的
に5〜20cm/sと大幅に小さいので、集塵効率を高
めようとすれば、集塵極の面積を十分に大きくしなけれ
ばならない。したがって、装置は大型化せざるを得ず、
建設費が非常に高くなるという問題がある。
【0007】 また、図8に示した電気集塵装置は放電
極1の有刺状突起2によりイオン風が発生するが、有刺
状突起2の先端が放電極1を向いていないので発生する
イオン風の量は少なく、また発生したイオン風は気体の
流速の影響を受け、微粒子の集塵にほとんど影響を与え
ない。
【0008】 したがって、本発明ではこのような従来
装置の欠点を解決して集塵効率を向上させることのでき
る集塵構造を提供し、従来装置に比べて電気集塵装置の
小型化とコストダウンを図ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】 以上述べた課題を解決
するため、請求項1は、負極となる複数の放電極と、正
極となる複数の集塵極とを備えた集塵部を備えた電気集
塵装置において、前記集塵極の集塵面を前記集塵部にお
ける気体の流入口から流出口に向かう気流方向に向けて
配置すると共に、前記放電極を前記集塵極に対設し、前
記放電極と集塵極間の電圧により生じるイオン風との方
向が前記気流方向とほぼ同じ方向となる電気集塵装置を
提供するものである。
【0010】 以上述べた課題を解決するため、請求項
2は、請求項1において、前記集塵極は前記気流方向に
対してある間隔をおいて複数の列に配置され、これら列
のそれぞれには複数の前記集塵極がほぼ一定の間隔をお
いて並べられると共に、隣接する列の前記集塵極は互い
違いに配列された電気集塵装置を提供するものである。
【0011】 以上述べた課題を解決するため、請求項
3は、請求項1又は請求項2において、前記放電極は金
属線と、該金属線から放射外方向に延びる複数の有刺状
突起を有し、これら有刺状突起の一部分又はすべてがほ
ぼ前記気流方向を向いている電気集塵装置を提供するも
のである。
【0012】 以上述べた課題を解決するため、請求項
4は、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前
記集塵極に対応して前記放電極が備えられ、前記集塵極
のそれぞれに一つ以上の前記有刺状突起が対設された電
気集塵装置を提供するものである。
【0013】 以上述べた課題を解決するため、請求項
5は、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前
記気流方向に対して前記集塵極と前記放電極とが交互に
複数列備えられた電気集塵装置を提供するものである。
【0014】 以上述べた課題を解決するため、請求項
6は、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前
記集塵極は縦長又は横長の金属板、あるいは多角形又は
円形の金属板であり、凹面状、凸面状、平面状のいずれ
か又はこれらの組み合わせである集塵面を有する電気集
塵装置を提供するものである。
【0015】 以上述べた課題を解決するため、請求項
7は、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前
記集塵極の周縁部の一部分又は全部には電界集中緩和用
手段が位置する電気集塵装置を提供するものである。
【0016】
【本発明を実施するための形態及び実施例】 本発明の
特徴は、放電極が金属線から突出する有刺状突起を複数
備え、それら有刺状突起が集塵極の方向を向いており、
かつ集塵極の集塵面が集塵される気体流の方向に対面し
ていると共に、前記有刺状突起が気体流の方向とほぼ同
方向に向いている構造であるところにある。ここで、金
属線とは一般的に金属パイプ又は金属棒と言われる太さ
のものも含むものとし、断面形状を問わない。また、気
体流の方向とは集塵される気体が集塵室内に導入される
入口から集塵された清浄な気体が排気される排出口に向
かう方向を言う。
【0017】 このような構造であるので、放電極と集
塵極との間で有効にイオン風が発生し、そのイオン風の
流れの方向が気体流の方向とほぼ同じであるために、前
述のようにコロナ放電で帯電された気体中の微粒子は前
記イオン風の作用により速度を速めて集塵極方向へ移動
し、有効に集塵されるのである。また、集塵極の集塵面
が集塵される気体流の方向に対面しているために気流を
乱流にすることもあって、従来に比べて大幅に高い集塵
効率で微粒子は集塵される。ここで、イオン風は数m/
sと気体の流れと同等以上の速度をもつ。
【0018】 図1により本発明の第1の実施例につい
て説明する。図1において、図6ないし図8で用いた記
号と同一の記号は相当する部材を示すものとする。塵な
どの微粒子を含む気体は、外壁5で囲まれた集塵室の左
側の入口から入り、集塵された清浄な気体は右側の出口
より排出される。放電極1は針又は釘のように先が尖鋭
になっている有刺状突起2を複数有し、それら有刺状突
起2は気体流に沿った方向を向いている。
【0019】 集塵極3は上方から見て弧状であり、雨
樋に似た形状の金属部材である。この実施例の集塵極3
は、集塵面が弧状凹面又は弧状凸面となっており、その
弧状凹面が気体の流れる方向を向いている。つまり、集
塵面は気体の流れる方向に対面している。放電極1は集
塵極3の集塵面から設定距離だけ離れた位置、つまり弧
状凹面の集塵面に対して中央に位置する点を集塵極3の
長さに沿ってほぼ平行に上下方向に延びる。
【0020】 このような弧状凹面の集塵面の場合に
は、平坦な集塵面に比べて放電極1と弧状凹面の集塵面
のどの点をとっても距離が比較的一様になるから、コロ
ナ放電によるイオン風が有効に発生し、そのイオン風は
気体流の微粒子を弧状凹面の集塵面に吹きつける。放電
極1と集塵極3は一対として配置され、気体流に対して
集塵極3は一定の間隔で1列に配置され、気体流に沿っ
て4段設けられる。
【0021】 1段目と3段目の放電極1と集塵極3
は、2段目と4段目の放電極1と集塵極3とは位置がず
れている。気体が1段目から4段目の集塵極3の間をジ
グザグに流れるように、1段目と3段目の集塵極3は2
段目と4段目の集塵極3間に対応する位置にあり、また
2段目と4段目の集塵極3は1段目と3段目の集塵極3
間に対応する位置にある。そして、各集塵極3の両端に
は長さ方向に沿って電界緩和用部材4が備えられてい
る。
【0022】 電界緩和用部材4については後で詳しく
述べるのでここでは詳述しないが、各集塵極3に尖鋭な
部分が存在すると、その尖鋭な部分に電界の集中が起こ
って火花放電が発生し易いから、電界緩和用部材4は集
塵極3の端縁部をその断面形状が円形状又は丸形になる
ように丸めたもの、又はその端縁部に固定された断面円
形の金属パイプあるいは金属製丸棒などである。なお、
各放電極1、各集塵極3の支持と固定、及び荷電機構に
ついては通常の電気集塵装置と同様であるので説明を省
略する。
【0023】 次に、動作について説明すると、放電極
1を負、集塵極3を正とする直流高電圧が印加された状
態では、各放電極1の有刺状突起2が集塵極3の弧状凹
面の集塵面を向いているので、各放電極1と集塵極3の
弧状凹面の集塵面間で有効にコロナ放電が発生される。
そのコロナ放電によるイオン風もまた有効に発生され、
そのイオン風は集塵極3の弧状凹面の集塵面に向けて吹
きつけるので、コロナ放電により帯電された微粒子は気
体流と同方向のイオン風の作用も加わわって集塵極3の
弧状凹面の集塵面に向けて吹きつけられ、有効にその集
塵面に集塵される。
【0024】 そして、第1段目の集塵極3に集塵され
なかった微粒子は気体流に従って第1段目の集塵極3間
の間隙を通って第1段目の集塵極3の弧状凸面の集塵面
と第2段目の集塵極3の弧状凹面の集塵面との間の空間
に入り、2段目の放電極1によるコロナ放電によりさら
に帯電される。その帯電された微粒子は、放電極1から
第2段目の集塵極3の弧状凹面の集塵面に向けて吹くイ
オン風によりその集塵面に吹きつけられ、有効に集塵さ
れる。この段でも集塵されなかった微粒子は、さらに3
段、4段に流れ、同様にして集塵されるので非常に効率
の高い集塵を行うことができる。
【0025】 つまり、この実施例では集塵極を分割
し、それら集塵極を気体の流れに対面するように複数段
互い違いになるように配置し、集塵室内に気体の乱流を
作り、数m/sと気体流と同等以上の流速をもつイオン
風を利用して帯電微粒子を集塵極に吹きつけ、クローン
力で集塵極3に集塵させているので、非常に集塵効率を
高めることができ、したがって、従来に比べて大幅に短
い距離で従来と同等な集塵効率を得ることができる。な
お、前述のように集塵室内に気体の乱流を作っているの
で、この電気集塵装置においても集塵極3の弧状凸面の
集塵面も集塵に寄与している。前記ドイチュの式による
集塵効率を利用して、従来方式とこの実施例による方式
とを比べると、この実施例では気体中の微粒子の移動速
度は従来の場合の数倍に達する。このことも集塵室の長
さを大幅に短縮化、つまり小型化に役立っていることが
分かる。
【0026】 さらに従来の集塵装置では前記ドイチュ
の式から、集塵処理される気体の流速が速くなるほど処
理ガスが増大するので集塵効率は低下し、実測でも確認
されている。しかしながら、この発明では集塵処理され
る気体の流速が増大しても、イオン風の作用が働いて集
塵極3に吹きつけられる速度が大きくなるため、集塵効
率の低下はごく僅かである。実験による気体の流速の変
化と集塵効率との関係で、例えば気体の流速を1m/s
から4m/sに増大させた場合、集塵効率から逆算する
と、気体中の微粒子の移動度もほぼ3倍に上昇してい
る。したがって、従来と同じ集塵効率を得るという条件
であれば、気体の処理量を大幅に増大させることができ
る。
【0027】 次に図2に示す実施例は、図1に示した
集塵極3と同一の構造の集塵極3’も用い、図1に示し
た集塵極3と背中合わせにして集塵極3’を配置すると
共に、各集塵極3’に対して放電極1と同様な形状の放
電極1’を備えた構造である。この実施例は、背中合わ
せにした集塵極3と3’を気体の流れに対面するように
1列に並べると共に、集塵極3と3’に対応して備えら
れる放電極1と放電極1’をそれぞれ1列並べた構造を
1段として、合計4段を各段の集塵極3と3’が互い違
いになるよう配列したものである。図1の実施例に比べ
て集塵室は大型化するが、乱流となった気体中の微粒子
は、前記実施例で述べた他に放電極1’と集塵極3’間
に形成されるコロナ放電によるイオン風で集塵極3’に
吹きつけられ、効果的に集塵されるために、より集塵効
率が上がる。実験によれば、図1に示した装置の集塵効
率と比べると、この実施例では集塵される気体の流速を
ほぼ2.5倍にでき、大幅に処理能力を向上させること
が可能である。
【0028】 次に、図3により本発明の第3の実施例
について説明する。図3において、図1又は図2で用い
た記号と同一の記号は相当する部材を示すものとする。
この実施例の特徴は、集塵極3の弧状凸面を集塵室の入
口側に向けて、つまり気体流に対面するよう配置すると
共に、その弧状凸面に沿って有刺状突起2を複数有する
放電極1を配置したところにある。各段とも複数の放電
極1の各有刺状突起2は、集塵極3の弧状凸面との間の
間隔がほぼ一様になるように配置され、その先端は集塵
極3の弧状凸面の接線とほぼ直角に向いている。各段の
集塵極3の配置は図1と同様であるので詳述しないが、
集塵室に導入された気体は主に各段の隣接する集塵極3
と集塵極3との間の間隙をジグザグに流れるので、乱流
になるのは前記実施例と同様である。
【0029】 各集塵極3の弧状凸面に対して複数の放
電極1の複数の有刺状突起2がほぼ直角に対面している
ので、コロナ放電が各放電極1と集塵極3との間に有効
に発生され、その大量のコロナ放電により有効に気体中
の微粒子は帯電される。そして、その大量のコロナ放電
により発生する大量のイオン風が各集塵極3の弧状凸面
の全面に吹きつけられ、そのイオン風によって気体中の
微粒子は有効に各集塵極3の弧状凸面の全面で集塵され
る。また、各集塵極3の弧状凹面にも次段の放電極1と
の間で発生するイオン風により微粒子が有効に集塵され
る。この実施例は図1のものと比べて放電極1を多数設
けねばならないが、集塵面が実質的に広くなるというこ
ともあり、集塵効率は向上する。
【0030】 次に、図4により放電極の実施例につい
て説明する。図4(a)の放電極は断面円形の丸形金属
線1Aのほぼ180度位置のずれた箇所に複数の有刺状
突起2が対で一定間隔で形成されている。これら有刺状
突起2は丸形金属線1に植設されるか、鋳型を利用して
成形される。丸形金属線1Aの直径は、例えば2ないし
30mmであり、有刺状突起2はその長さが1.4ない
し数mm程度である。しかし、装置の集塵能力、大きさ
などによりそれら数値は異なり、前記数値に制限される
ものではない。このような有刺状突起2を集塵極の集塵
面にほぼ直角に向けることにより、強力なイオン風が発
生する。
【0031】 図4(b)の放電極1は断面正方形の角
形金属線1Bの一つの面に逆向き対で複数の有刺状突起
2を一定間隔で固定したものである。これら有刺状突起
2は角形金属線1Bにスポット溶接で固着されるか、鋳
型を利用して成形される。角形金属線1Bの対角線の寸
法は、例えば4ないし10mmであり、有刺状突起2は
その長さが数mmないし10mm程度であるが、前述と
同様な理由でこれらに限定されるものではない。また、
図4(c)の放電極1は、図4(b)の角形金属線1B
の有刺状突起2が設けられた面と対向する面にも同様に
逆向きに複数の有刺状突起2’が対で一定間隔で取り付
けられている。図4(d)の放電極1は、断面長方形の
角形金属線1Cの長手方向の両面に複数の有刺状突起
2’が一定間隔で設けられている。有刺状突起2’は成
形により角形金属線1Cと一体的に形成される。
【0032】 次に、図5(a)−(e)により集塵極
3の形状と、放電極1と集塵極3との配置関係について
説明する。放電極1は図4(a)に示した形状のものを
示している。先ず、図5(a)は図1及び図2で示した
集塵極3の形状と同じであり、放電極1との配置関係も
同様なものである。集塵極3は断面半円状の樋状の細長
いものである。放電極1は集塵極3の弧が描く仮想円の
中心点に近い点を集塵極3に沿って並行に延びる。した
がって、放電極1の一方の有刺状突起2は集塵極3の弧
の中央に向いており、放電極1の有刺状突起2と集塵極
3との間に発生するイオン風は有効に集塵極3の弧状凹
面3aに向かって吹き、弧状凹面3aに全面に広がる。
したがって、集塵される気体中の微粒子のそのイオン風
に従って弧状凹面3aに全面に広がり、有効に集塵され
る。集塵極3の両端縁に取り付けられている電界集中緩
和用手段4は丸形金属線、又は集塵極3を支承する丸形
の金属パイプ又は円柱状金属であり、集塵極3の端縁に
電界集中が起こるのを防止し、放電極1と集塵極3の端
縁に火花放電が発生し易くなるのを防ぐ。
【0033】 次に、図5(b)は基本的に図5(a)
の実施例と同じであり、金属平板を加圧して緩やかな曲
線に曲げたものであり、集塵極3の弧状凹面3aは図5
(a)よりも緩やかな円弧となっており、気体流方向に
ほぼ直角な方向の表面積が大きくなる。以上述べた円弧
は、2次曲線又は3次曲線により描かれる放物線からゆ
るやかな曲線までの範囲のものが好ましいが、集塵極3
が平板でも本発明の意図する効果を得ることができる。
【0034】 図5(c)は基本的に図5(a)又は
(b)の実施例と同じであり、集塵極3の双方の端縁を
丸めて電界集中緩和用手段4としたものであり、電界集
中緩和用手段4を別途設ける必要が無いので、経済性に
優れている。図5(d)は断面コの字のチャネル型の集
塵極3を示し、幅に比べて深さの浅いタイプの断面コの
字の凹面を有する。その双方の端縁には電界集中緩和用
手段4が備えられ、断面コの字の凹面の中央に放電極1
が位置する。放電極1と集塵極3間の距離は印加電圧に
よって異なり、コロナ放電が有効に発生する位置にあ
る。
【0035】 図5(e)は,図5(b)に示したよう
な緩やかな円弧をもつ各集塵極3に対して3個の放電極
1を設けたものである。3個の放電極1は集塵極3の円
弧にそって配置され、集塵極3の弧状凹面3aと各放電
極1の有刺状突起2の先端間の距離はほぼ等しい。な
お、集塵局は以上述べた実施例に限られることはなく、
中央である角度で折り曲げられたものでも良く、左右対
象のものが好ましいが、対象でなくとも本発明の意図す
る効果を得ることが可能である。
【0036】
【発明の効果】 以上述べたように本発明によれば、放
電極の有刺状突起が集塵極の方向を向いていると共に、
集塵極の集塵面が集塵される気体流の方向に対面してお
り、コロナ放電により発生するイオン風が集塵極に向か
って吹きつけるので、気体中の微粒子は有効に集塵さ
れ、装置を大幅に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電気集塵装置の一実施例を説
明するための図である。
【図2】 本発明にかかる電気集塵装置の他の一実施例
を説明するための図である。
【図3】 本発明にかかる電気集塵装置の他の一実施例
を説明するための図である。
【図4】 本発明の電気集塵装置に用いられる放電極の
例を説明するための図である。
【図5】 本発明の電気集塵装置に用いられる集塵極の
例及び放電極との位置関係を説明するための図である。
【図6】 従来の電気集塵装置の一例を説明するための
図である。
【図7】 従来の別の電気集塵装置の一例を説明するた
めの図である。
【図8】 従来の別の電気集塵装置の一例を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1・・・放電極 1a、1A−1
C・・・金属線 2、2’・・・有刺状突起 3・・・集塵極 3a・・・集塵面 4・・・電界緩
和用手段 5・・・・・集塵室の外壁

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極となる複数の放電極と、正極となる
    複数の集塵極とを備えた集塵部を備えた電気集塵装置に
    おいて、 前記集塵極の集塵面を前記集塵部における気体の流入口
    から流出口に向かう気流方向に向けて配置すると共に、
    前記放電極を前記集塵極に対設し、前記放電極と集塵極
    間の電圧により生じるイオン風との方向が前記気流方向
    とほぼ同じ方向となることを特徴とする電気集塵装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記集塵極は前記気流方向に対してある間隔をおいて複
    数の列に配置され、これら列のそれぞれには複数の前記
    集塵極がほぼ一定の間隔をおいて並べられると共に、隣
    接する列の前記集塵極は互い違いに配列されたことを特
    徴とする電気集塵装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、 前記放電極は金属線と、該金属線から放射外方向に延び
    る複数の有刺状突起を有し、これら有刺状突起の一部分
    又はすべてがほぼ前記気流方向を向いていることを特徴
    とする電気集塵装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかにお
    いて、 前記集塵極に対応して前記放電極が備えられ、前記集塵
    極のそれぞれに一つ以上の前記有刺状突起が対設された
    ことを特徴とする電気集塵装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかにお
    いて、 前記気流方向に対して前記集塵極と前記放電極とが交互
    に複数列備えられたことを特徴とする電気集塵装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかにお
    いて、 前記集塵極は縦長又は横長の金属板、あるいは多角形又
    は円形の金属板であり、凹面状、凸面状、平面状のいず
    れか又はこれらの組み合わせである集塵面を有すること
    を特徴とする電気集塵装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかにお
    いて、 前記集塵極の周縁部の一部分又は全部には電界集中緩和
    用手段が位置することを特徴とする電気集塵装置。
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