JP2002356681A - 石炭ガス化および燃焼をシミュレーションするためのモデリング方法およびシミュレーションシステム - Google Patents
石炭ガス化および燃焼をシミュレーションするためのモデリング方法およびシミュレーションシステムInfo
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Classifications
-
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E20/00—Combustion technologies with mitigation potential
- Y02E20/16—Combined cycle power plant [CCPP], or combined cycle gas turbine [CCGT]
- Y02E20/18—Integrated gasification combined cycle [IGCC], e.g. combined with carbon capture and storage [CCS]
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- Solid-Fuel Combustion (AREA)
- Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 石炭ガス化プロセスまたは燃焼プロセスのシ
ミュレーションおよびガス化炉や燃焼炉内の諸現象を数
値流体解析により予測、評価する際に、高い精度と信頼
性を得ることができるモデリング方法およびこれを用い
たシミュレーションシステムを提供する。 【解決手段】 石炭を原料とし、酸素、酸素および水、
空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした石炭ガス
化または燃焼をシミュレーションするに際して、上記ガ
ス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇により熱分
解することによって放出される揮発分の成分を、擬似成
分CHxOyと仮定して上記石炭ガス化または燃焼をモ
デリングすることを特徴とする。
ミュレーションおよびガス化炉や燃焼炉内の諸現象を数
値流体解析により予測、評価する際に、高い精度と信頼
性を得ることができるモデリング方法およびこれを用い
たシミュレーションシステムを提供する。 【解決手段】 石炭を原料とし、酸素、酸素および水、
空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした石炭ガス
化または燃焼をシミュレーションするに際して、上記ガ
ス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇により熱分
解することによって放出される揮発分の成分を、擬似成
分CHxOyと仮定して上記石炭ガス化または燃焼をモ
デリングすることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の石炭ガス化
プロセスまたは燃焼プロセスをシミュレーションする際
のモデリング方法に関するものである。
プロセスまたは燃焼プロセスをシミュレーションする際
のモデリング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭エネルギーの総合利用は、不完全燃
焼ガス化、水性ガス化、液化および微粉炭の燃焼などの
方法により行なわれている。このうち、石炭を不完全燃
焼ガス化する技術としては、高温で石炭に酸素を供給し
てガス化するIGCC(Integrated coa
l Gasification Combined C
ycle)方式や、さらに酸素供給下において超臨界流
体(水)を接触させてガス化するSCW−IGCC方
式、あるいは高温で酸素を供給し、石炭ガス化によって
得られた水素ガスを燃料電池やガスタービンに供給する
EAGLE(Coal Energy Applica
tionfor Gas,Liquid & Elec
tricity)方式といった各種の石炭ガス化プロセ
スが開発されつつある。
焼ガス化、水性ガス化、液化および微粉炭の燃焼などの
方法により行なわれている。このうち、石炭を不完全燃
焼ガス化する技術としては、高温で石炭に酸素を供給し
てガス化するIGCC(Integrated coa
l Gasification Combined C
ycle)方式や、さらに酸素供給下において超臨界流
体(水)を接触させてガス化するSCW−IGCC方
式、あるいは高温で酸素を供給し、石炭ガス化によって
得られた水素ガスを燃料電池やガスタービンに供給する
EAGLE(Coal Energy Applica
tionfor Gas,Liquid & Elec
tricity)方式といった各種の石炭ガス化プロセ
スが開発されつつある。
【0003】このような、上記石炭ガス化プロセスの実
施にあたっては、事前に、環境安全面での制約条件や製
品品質に対する要求仕様を満足し、最も経済的かつ高効
率的なプロセスシステムを構成するためのプロセスシミ
ュレーターを開発する必要がある。加えて、上述した各
種のプロセス中の重要なユニットである石炭ガス化炉に
ついて、その最適設計、特性評価、安全運転条件の検討
などを行なうために、炉内の速度場、温度場、濃度分
布、粒子挙動などの炉内現象を詳細に把握するための数
値流体解析(CFD)シミュレーターの開発も必要にな
る。
施にあたっては、事前に、環境安全面での制約条件や製
品品質に対する要求仕様を満足し、最も経済的かつ高効
率的なプロセスシステムを構成するためのプロセスシミ
ュレーターを開発する必要がある。加えて、上述した各
種のプロセス中の重要なユニットである石炭ガス化炉に
ついて、その最適設計、特性評価、安全運転条件の検討
などを行なうために、炉内の速度場、温度場、濃度分
布、粒子挙動などの炉内現象を詳細に把握するための数
値流体解析(CFD)シミュレーターの開発も必要にな
る。
【0004】そして、このような上記石炭ガス化プロセ
スの全体や、ガス化炉内の挙動を精度よくシミュレート
するためには、信頼性の高い物質収支、エネルギー収
支、化学平衡、化学反応速度などのモデリング方法が重
要となる。また、上記石炭を酸素供給下において高温燃
焼させる燃焼炉や溶融炉等における燃焼プロセスについ
ても、その実施化にあたっては、事前に同様のシミュレ
ーションを行なっておく必要がある。
スの全体や、ガス化炉内の挙動を精度よくシミュレート
するためには、信頼性の高い物質収支、エネルギー収
支、化学平衡、化学反応速度などのモデリング方法が重
要となる。また、上記石炭を酸素供給下において高温燃
焼させる燃焼炉や溶融炉等における燃焼プロセスについ
ても、その実施化にあたっては、事前に同様のシミュレ
ーションを行なっておく必要がある。
【0005】一方、上記石炭ガス化プロセスや燃焼プロ
セスの原料となる石炭は、炭種にもよるが、約300℃
程度で熱分解による揮発分放出を開始する。そして、揮
発分の成分は、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水
蒸気、含酸素化合物などからなっている。また、石炭中
の揮発分が放出された後の燃料は、チヤーと呼ばれる固
定炭素分のみの残存物である。
セスの原料となる石炭は、炭種にもよるが、約300℃
程度で熱分解による揮発分放出を開始する。そして、揮
発分の成分は、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水
蒸気、含酸素化合物などからなっている。また、石炭中
の揮発分が放出された後の燃料は、チヤーと呼ばれる固
定炭素分のみの残存物である。
【0006】この際の上記石炭の熱分解反応は、種々の
反応が同時に進行しており、また熱分解生成物の挙動
は、炭種、温度、圧力、粒径、昇温速度および装置な
ど、非常に多くの条件により左右されるとともに、チヤ
ーの反応速度は、揮発分熱分解速度に比較して遅く、粒
径によっては1秒以上かかる場合もあることから、上述
したモデル化を行なうに際しては、これらの煩雑性をい
かに単純化し、一般化できるかという点が非常に重要に
なる。
反応が同時に進行しており、また熱分解生成物の挙動
は、炭種、温度、圧力、粒径、昇温速度および装置な
ど、非常に多くの条件により左右されるとともに、チヤ
ーの反応速度は、揮発分熱分解速度に比較して遅く、粒
径によっては1秒以上かかる場合もあることから、上述
したモデル化を行なうに際しては、これらの煩雑性をい
かに単純化し、一般化できるかという点が非常に重要に
なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、従来に
おいては、上記石炭のガス化、燃焼の性能やプロセスの
物質収支、エネルギー収支をシミュレーションする上で
最も重要となる熱分解反応やチヤーの反応をモデル化す
る方法として、主に下記〜の3種類のモデリング方
法が開発されてきた。
おいては、上記石炭のガス化、燃焼の性能やプロセスの
物質収支、エネルギー収支をシミュレーションする上で
最も重要となる熱分解反応やチヤーの反応をモデル化す
る方法として、主に下記〜の3種類のモデリング方
法が開発されてきた。
【0008】 実際の石炭の化学構造は複雑である
が、その平均的なモデルとして組成式をCxHyOzと
仮定し、石炭ガス化炉を総括した反応式として、C、
H、Oの収支のみに注目し、下記の簡略化した反応式
(1)によって表すものである。 aCxHyOz+bO2+cH2O→dCO2+eCO+fH2 (1) しかしながら、上記モデリング方法にあっては、上述し
たように揮発分気体反応速度とチヤーの固体反応速度が
大きく異なり、しかも反応物や生成物の標準生成自由エ
ネルギーや標準生成熱などが、化学平衡やエネルギー収
支などの計算に大きな影響を与えているにも拘わらず、
これらを簡略化して一体に取り扱っているために、高い
精度および信頼性による物質収支、エネルギー収支、化
学平衡、化学反応速度などのモデリングを行うことがで
きないという問題点があった。
が、その平均的なモデルとして組成式をCxHyOzと
仮定し、石炭ガス化炉を総括した反応式として、C、
H、Oの収支のみに注目し、下記の簡略化した反応式
(1)によって表すものである。 aCxHyOz+bO2+cH2O→dCO2+eCO+fH2 (1) しかしながら、上記モデリング方法にあっては、上述し
たように揮発分気体反応速度とチヤーの固体反応速度が
大きく異なり、しかも反応物や生成物の標準生成自由エ
ネルギーや標準生成熱などが、化学平衡やエネルギー収
支などの計算に大きな影響を与えているにも拘わらず、
これらを簡略化して一体に取り扱っているために、高い
精度および信頼性による物質収支、エネルギー収支、化
学平衡、化学反応速度などのモデリングを行うことがで
きないという問題点があった。
【0009】 石炭の燃焼反応過程は、石炭微粒子が
炉内温度上昇に従い、まず乾燥され、水蒸気を放出す
る。その後、熱分解によって、揮発分が放出される。そ
こで、この揮発分の組成式をCHxと仮定し、この仮定
組成式CHxについては、計算する際に必要な全ての物
性定数としてCH4の物性定数を用いるモデリング方法
がある。そして、このモデリング方法においては、チヤ
ーの燃焼に下記の反応式(2)を用い、揮発分の燃焼に
反応式(3)、(4)を用いている。 C+O2→CO2 (2) CHx+(1/2+x/4)O2→CO+(x/2)H2O (3) CO+(1/2)O2→CO2 (4)
炉内温度上昇に従い、まず乾燥され、水蒸気を放出す
る。その後、熱分解によって、揮発分が放出される。そ
こで、この揮発分の組成式をCHxと仮定し、この仮定
組成式CHxについては、計算する際に必要な全ての物
性定数としてCH4の物性定数を用いるモデリング方法
がある。そして、このモデリング方法においては、チヤ
ーの燃焼に下記の反応式(2)を用い、揮発分の燃焼に
反応式(3)、(4)を用いている。 C+O2→CO2 (2) CHx+(1/2+x/4)O2→CO+(x/2)H2O (3) CO+(1/2)O2→CO2 (4)
【0010】上記従来のモデリング方法においては、揮
発分とチャーとを分けてモデリングしているものの、揮
発分をCHxに仮定しているので、実際の揮発分中の酸
素量が無視されることになり、よって物質収支(元素収
支)上に問題が生じるという欠点があった。また、CH
xの標準生成熱、標準生成自由エネルギーなどの性質に
ついて、直接CH4の値を用いているため、化学平衡や
エネルギー収支を計算する際に高い精度および信頼性を
得ることができないという問題点もあった。
発分とチャーとを分けてモデリングしているものの、揮
発分をCHxに仮定しているので、実際の揮発分中の酸
素量が無視されることになり、よって物質収支(元素収
支)上に問題が生じるという欠点があった。また、CH
xの標準生成熱、標準生成自由エネルギーなどの性質に
ついて、直接CH4の値を用いているため、化学平衡や
エネルギー収支を計算する際に高い精度および信頼性を
得ることができないという問題点もあった。
【0011】 石炭のガス化反応過程は、炉内に投入
された微粉炭から揮発分が放出される熱分解反応、放出
された揮発分に対する気相反応、および微粉炭の固定炭
素に対するチヤーガス化反応からなる。そこで、揮発分
の組成を、メタン、水素、一酸化炭素および水蒸気など
の化学種から構成されるものと仮定し、気相反応として
以下の反応式(5)〜(9)の5つの総括反応を考慮す
るとともに、チヤーガス化反応として以下の反応式(1
0)〜(12)の酸素、二酸化炭素、水蒸気による反応
を考慮する方法である。
された微粉炭から揮発分が放出される熱分解反応、放出
された揮発分に対する気相反応、および微粉炭の固定炭
素に対するチヤーガス化反応からなる。そこで、揮発分
の組成を、メタン、水素、一酸化炭素および水蒸気など
の化学種から構成されるものと仮定し、気相反応として
以下の反応式(5)〜(9)の5つの総括反応を考慮す
るとともに、チヤーガス化反応として以下の反応式(1
0)〜(12)の酸素、二酸化炭素、水蒸気による反応
を考慮する方法である。
【0012】 CH4+2H2O→CO2+4H2 (5) CH4+2O2→CO2+2H2O (6) H2+(1/2)O2→H2O (7) CO+(1/2)O2→CO2 (8) CO+H2O→CO2+H2 (9) C+(1/2)O2→CO (10) C+CO2→2CO (11) C+H2O→CO+H2 (12)
【0013】上記従来のモデリング方法においては、揮
発分の成分がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定しているために、
石炭分析値や炭種によって、揮発分中各成分の割合を決
定することが困難であり、また、上記化学種であるメタ
ン、水素、一酸化炭素の標準生成熱から求めた反応熱
は、実際の石炭揮発分の発熱量と一致しないことが多い
という問題点があった。
発分の成分がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定しているために、
石炭分析値や炭種によって、揮発分中各成分の割合を決
定することが困難であり、また、上記化学種であるメタ
ン、水素、一酸化炭素の標準生成熱から求めた反応熱
は、実際の石炭揮発分の発熱量と一致しないことが多い
という問題点があった。
【0014】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、石炭ガス化プロセスまたは燃焼プロセスのシミュ
レーションおよびガス化炉や燃焼炉内の諸現象を数値流
体解析により予測、評価する際に、高い精度と信頼性を
得ることができるモデリング方法およびこれを用いたシ
ミュレーションシステムを提供することを目的とするも
のである。
ので、石炭ガス化プロセスまたは燃焼プロセスのシミュ
レーションおよびガス化炉や燃焼炉内の諸現象を数値流
体解析により予測、評価する際に、高い精度と信頼性を
得ることができるモデリング方法およびこれを用いたシ
ミュレーションシステムを提供することを目的とするも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る石炭ガス化および燃焼をシミュレーションするた
めのモデリング方法は、石炭を原料とし、酸素、酸素お
よび水、空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした
石炭ガス化または燃焼をシミュレーションするに際し
て、上記ガス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇
により熱分解することによって放出される揮発分の成分
を、擬似成分CHxOyと仮定して上記石炭ガス化また
は燃焼をモデリングすることを特徴とするものである。
に係る石炭ガス化および燃焼をシミュレーションするた
めのモデリング方法は、石炭を原料とし、酸素、酸素お
よび水、空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした
石炭ガス化または燃焼をシミュレーションするに際し
て、上記ガス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇
により熱分解することによって放出される揮発分の成分
を、擬似成分CHxOyと仮定して上記石炭ガス化また
は燃焼をモデリングすることを特徴とするものである。
【0016】ここで、請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、上記擬似成分CHxOyに基
づき、 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+x
/2H2O CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 2CO+O2→2CO2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 CH4+2O2→CO2+2H2O H2+(1/2)O2→H2O C+(1/2)O2→CO C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 の全部または一部の反応式を用いて上記石炭ガス化また
は燃焼をシミュレーションすることを特徴とするもので
ある。
1に記載の発明において、上記擬似成分CHxOyに基
づき、 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+x
/2H2O CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 2CO+O2→2CO2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 CH4+2O2→CO2+2H2O H2+(1/2)O2→H2O C+(1/2)O2→CO C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 の全部または一部の反応式を用いて上記石炭ガス化また
は燃焼をシミュレーションすることを特徴とするもので
ある。
【0017】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の発明において、上記擬似成分CHxO
y中のxおよびyの値を、使用する炭種の工業分析値お
よび元素分析値から求め、かつ得られた上記xおよびy
の値から、当該CHxOyの分子量を求めることを特徴
とするものである。
または2に記載の発明において、上記擬似成分CHxO
y中のxおよびyの値を、使用する炭種の工業分析値お
よび元素分析値から求め、かつ得られた上記xおよびy
の値から、当該CHxOyの分子量を求めることを特徴
とするものである。
【0018】さらに、請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれかに記載の発明において、上記石炭の高
位発熱量および固定炭素の高位発熱量を用いて、上記擬
似成分CHxOyの高位発熱量および標準生成熱を求め
ることを特徴とするものである。
1〜3のいずれかに記載の発明において、上記石炭の高
位発熱量および固定炭素の高位発熱量を用いて、上記擬
似成分CHxOyの高位発熱量および標準生成熱を求め
ることを特徴とするものである。
【0019】次いで、請求項5に記載に係る石炭ガス化
および燃焼のシミュレーションシステムは、石炭を原料
とし、酸素、酸素および水、空気のいずれかをガス化剤
または酸化剤とした石炭ガス化または燃焼のシミュレー
ションシステムであって、上記ガス化または燃焼におい
て石炭粒子が温度上昇により熱分解することによって放
出される揮発分の成分を、擬似成分CHxOyと仮定
し、請求項1ないし4のいずれかに記載のモデリング方
法を用いて、上記石炭ガス化をモデリングしていること
を特徴とするものである。
および燃焼のシミュレーションシステムは、石炭を原料
とし、酸素、酸素および水、空気のいずれかをガス化剤
または酸化剤とした石炭ガス化または燃焼のシミュレー
ションシステムであって、上記ガス化または燃焼におい
て石炭粒子が温度上昇により熱分解することによって放
出される揮発分の成分を、擬似成分CHxOyと仮定
し、請求項1ないし4のいずれかに記載のモデリング方
法を用いて、上記石炭ガス化をモデリングしていること
を特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の石炭ガス化およ
び燃焼をシミュレーションするためのモデリング方法、
並びに石炭ガス化および燃焼のシミュレーションシステ
ムの一実施形態を示すもので、石炭ガス化または燃焼プ
ロセスシミュレーションおよびガス化炉または燃焼炉の
数値流体解析手法の高精度化を図るために開発されたも
のである。
び燃焼をシミュレーションするためのモデリング方法、
並びに石炭ガス化および燃焼のシミュレーションシステ
ムの一実施形態を示すもので、石炭ガス化または燃焼プ
ロセスシミュレーションおよびガス化炉または燃焼炉の
数値流体解析手法の高精度化を図るために開発されたも
のである。
【0021】石炭微粒子は、粗炭、水、チヤーおよび灰
分の4部分からなっており、さらに上記粗炭は、揮発分
とチャーとからなっている。そして、石炭微粒子をガス
化炉または燃焼炉内に供給した後、ガス相からの熱によ
って加熱すると、先ず石炭微粒子中の水分が蒸発する。
その後、温度の上昇に従って、熱分解により粗炭から揮
発分が分解され、チャーのガス化反応および揮発分を含
む気相反応を行なう。そこで、本モデリング方法におい
ては、上記揮発分の組成式を擬似成分CHxOyと仮定
した。この結果、揮発分は酸素、水による反応式(1
3)〜(20)の気相反応を行ない、揮発分が放出され
た後のチヤーは、反応式(21)〜(24)の気−固反
応を行なう。
分の4部分からなっており、さらに上記粗炭は、揮発分
とチャーとからなっている。そして、石炭微粒子をガス
化炉または燃焼炉内に供給した後、ガス相からの熱によ
って加熱すると、先ず石炭微粒子中の水分が蒸発する。
その後、温度の上昇に従って、熱分解により粗炭から揮
発分が分解され、チャーのガス化反応および揮発分を含
む気相反応を行なう。そこで、本モデリング方法におい
ては、上記揮発分の組成式を擬似成分CHxOyと仮定
した。この結果、揮発分は酸素、水による反応式(1
3)〜(20)の気相反応を行ない、揮発分が放出され
た後のチヤーは、反応式(21)〜(24)の気−固反
応を行なう。
【0022】 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+x/2H2O (13) CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−y)H2 (14) 2CO+O2→2CO2 (15) CO+H2O⇔CO2+H2 (16) CO+3H2→CH4+H2O (17) CH4 +2H2O→CO2+4H2 (18) CH4+2O2→CO2+2H2O (19) H2+(1/2)O2→H2O (20) C+(1/2)O2→CO (21) C+H2O→CO+H2 (22) C+CO2→2CO (23) C+2H2→CH4 (24)
【0023】ここで、上記擬似成分CHxOyに関する
各物性値は、下記のようにして求めることができる。 (A)xおよびyの値 使用する炭種の工業分析値および元素分析値から求め
る。 (B)擬似成分CHxOyの分子量M 上記(A)において得られたxおよびyの値および単位
分子量から、 M=12.011+1.008x+15.999y によって求める。
各物性値は、下記のようにして求めることができる。 (A)xおよびyの値 使用する炭種の工業分析値および元素分析値から求め
る。 (B)擬似成分CHxOyの分子量M 上記(A)において得られたxおよびyの値および単位
分子量から、 M=12.011+1.008x+15.999y によって求める。
【0024】(C)擬似成分CHxOyの高位発熱量 石炭の高位発熱量=固定炭素分の高位発熱量+CHxO
y分の高位発熱量が成立すると仮定すれば、石炭の高位
発熱量や固定炭素の発熱量は、文献中から調べることが
できるため、CHxOy分の高位発熱量=石炭の高位発
熱量−固定炭素分の高位発熱量によって求めることがで
きる。
y分の高位発熱量が成立すると仮定すれば、石炭の高位
発熱量や固定炭素の発熱量は、文献中から調べることが
できるため、CHxOy分の高位発熱量=石炭の高位発
熱量−固定炭素分の高位発熱量によって求めることがで
きる。
【0025】(D)擬似成分CHxOyの標準生成熱 既知のCO2、H2O、O2の標準生成熱や上記(C)
において得られる擬似成分CHxOyの高位発熱量Qを
用いて、下記(25)式、(26)式により、CHxO
yの標準生成熱が求められる。 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+(x/2)H2O+Q (25) ΔHr=ΣviΔHfp −ΣviΔHfr (26) ここに、ΔHrは、上記(25)式の標準反応熱であ
り、ΔHfpは、生成物の標準生成熱、ΔHfrは、反
応物の標準生成熱である。また、viは、各化学種の量
論係数である。そして、(25)式および(26)式に
おいては、ΔHr=Qである。
において得られる擬似成分CHxOyの高位発熱量Qを
用いて、下記(25)式、(26)式により、CHxO
yの標準生成熱が求められる。 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+(x/2)H2O+Q (25) ΔHr=ΣviΔHfp −ΣviΔHfr (26) ここに、ΔHrは、上記(25)式の標準反応熱であ
り、ΔHfpは、生成物の標準生成熱、ΔHfrは、反
応物の標準生成熱である。また、viは、各化学種の量
論係数である。そして、(25)式および(26)式に
おいては、ΔHr=Qである。
【0026】(E)上記反応式(25)における標準エ
ントロピー変化ΔSr 標準状態下の気体を理想気体と仮定すると、エントロピ
ー変化ΔSと圧力変化の関係は、下式で表される。 ΔS=−Rln(P2/P1) (27) ここに、Rは気体定数、Pは圧力である。上記反応式
(25)において、標準エントロピー変化ΔSrは、以
下の(28)式が成立すると仮定することにより、(2
5)式の標準エントロピー変化が求められる。 ΔSr=−Rln[(1+x/2)/(1+1+x/4−y/2)] (28)
ントロピー変化ΔSr 標準状態下の気体を理想気体と仮定すると、エントロピ
ー変化ΔSと圧力変化の関係は、下式で表される。 ΔS=−Rln(P2/P1) (27) ここに、Rは気体定数、Pは圧力である。上記反応式
(25)において、標準エントロピー変化ΔSrは、以
下の(28)式が成立すると仮定することにより、(2
5)式の標準エントロピー変化が求められる。 ΔSr=−Rln[(1+x/2)/(1+1+x/4−y/2)] (28)
【0027】(F)上記反応式(25)における標準自
由エネルギー変化ΔGr 標準反応熱ΔHr(式(25)については、ΔHr=
Q)および標準エントロピー変化ΔSrは、上述したよ
うに得られるために、これらを用いて、下記(29)式
により標準自由エネルギー変化ΔGrを求めることがで
きる。 ΔGr=ΔHr−TΔSr (29) ここで、Tは温度であり、値は298.15Kである。
由エネルギー変化ΔGr 標準反応熱ΔHr(式(25)については、ΔHr=
Q)および標準エントロピー変化ΔSrは、上述したよ
うに得られるために、これらを用いて、下記(29)式
により標準自由エネルギー変化ΔGrを求めることがで
きる。 ΔGr=ΔHr−TΔSr (29) ここで、Tは温度であり、値は298.15Kである。
【0028】(G)CHxOyの標準生成自由エネルギ
ー 式(25)におけるO2、CO2、H2Oの標準生成自
由エネルギーΔGfと、標準自由エネルギー変化ΔGr
とを用いて、下記式(30)によりCHxOyの標準生
成自由エネルギーが求められる。 ΔGr=ΣviΔGfp−ΣviΔGfr (30) ここで、ΔGfpは、生成物の標準生成自由エネルギ
ー、ΔHfrは、反応物の標準生成自由エネルギーであ
り、viは、各化学種の量論係数である。
ー 式(25)におけるO2、CO2、H2Oの標準生成自
由エネルギーΔGfと、標準自由エネルギー変化ΔGr
とを用いて、下記式(30)によりCHxOyの標準生
成自由エネルギーが求められる。 ΔGr=ΣviΔGfp−ΣviΔGfr (30) ここで、ΔGfpは、生成物の標準生成自由エネルギ
ー、ΔHfrは、反応物の標準生成自由エネルギーであ
り、viは、各化学種の量論係数である。
【0029】(H)CHxOyの絶対エントロピー 式(25)におけるO2、CO2、H2Oの絶対エント
ロピーおよび標準エントロピー変化を用いて、下記式
(31)によりCHxOyの絶対エントロピーを求める
ことができる。 ΔSr=ΣviΔSip−ΣviΔSir (31) ここで、ΔSrは、標準エントロピー変化、ΔSi
pは、生成物の絶対エントロピー、ΔSirは、反応物
の絶対エントロピーであり、viは、各化学種の量論係
数である。
ロピーおよび標準エントロピー変化を用いて、下記式
(31)によりCHxOyの絶対エントロピーを求める
ことができる。 ΔSr=ΣviΔSip−ΣviΔSir (31) ここで、ΔSrは、標準エントロピー変化、ΔSi
pは、生成物の絶対エントロピー、ΔSirは、反応物
の絶対エントロピーであり、viは、各化学種の量論係
数である。
【0030】(I)上記反応式(13)、(14)にお
ける標準反応熱 反応器を設計するためには、反応速度以外に、各反応か
ら発生する熱量が非常に重要になる。この熱は、生成物
質と反応物質とが持つ各熱量に基づいて生じるものであ
る。そして、標準反応熱は、標準生成熱から直接求める
ことができる。したがって、上記方法によりCHxOy
の標準生成熱を求めれば、(13)式、(14)式の標
準反応熱を(26)式より求めることができる。
ける標準反応熱 反応器を設計するためには、反応速度以外に、各反応か
ら発生する熱量が非常に重要になる。この熱は、生成物
質と反応物質とが持つ各熱量に基づいて生じるものであ
る。そして、標準反応熱は、標準生成熱から直接求める
ことができる。したがって、上記方法によりCHxOy
の標準生成熱を求めれば、(13)式、(14)式の標
準反応熱を(26)式より求めることができる。
【0031】(J)上記反応式(13)、(14)にお
ける平衡係数K 熱力学を用いると、標準反応熱の算出以外に、平衡定数
の計算や予め設定した温度、圧力、出発混合物の組成等
の条件における最大到達転化率も決定することができ
る。そして、平衡定数Kは、反応の標準自由エネルギー
変化ΔGrより求めることができる。 ΔGr=−RTlnK (32) この標準自由エネルギー変化は、(30)式より各化学
種の標準生成自由エネルギーから求められる。
ける平衡係数K 熱力学を用いると、標準反応熱の算出以外に、平衡定数
の計算や予め設定した温度、圧力、出発混合物の組成等
の条件における最大到達転化率も決定することができ
る。そして、平衡定数Kは、反応の標準自由エネルギー
変化ΔGrより求めることができる。 ΔGr=−RTlnK (32) この標準自由エネルギー変化は、(30)式より各化学
種の標準生成自由エネルギーから求められる。
【0032】(K)ガス化炉の熱収支 ガス化炉の熱収支は、図2に示す反応経路によって計算
することができる。 (1)反応物を状態1から参考状態に変化させる場合の
エンタルピー変化(H2−H1)を計算する。 (2)炉内各反応の標準反応熱により、総標準反応熱Σ
ΔHrを計算する。 (3)生成物を参考状態から状態2に変化させる場合の
エンタルピー変化(H4−H3)を計算する。 そして、ガス化炉の熱負荷=(H2−H1)+ΣΔHr
+(H4−H3)になる。また、各反応における標準反
応熱は、(26)式によって、各化学種の標準生成熱か
ら計算する。
することができる。 (1)反応物を状態1から参考状態に変化させる場合の
エンタルピー変化(H2−H1)を計算する。 (2)炉内各反応の標準反応熱により、総標準反応熱Σ
ΔHrを計算する。 (3)生成物を参考状態から状態2に変化させる場合の
エンタルピー変化(H4−H3)を計算する。 そして、ガス化炉の熱負荷=(H2−H1)+ΣΔHr
+(H4−H3)になる。また、各反応における標準反
応熱は、(26)式によって、各化学種の標準生成熱か
ら計算する。
【0033】以上の構成からなる石炭ガス化および燃焼
をシミュレーションするためのモデリング方法およびシ
ミュレーションシステムは、当該モデリング方法のソー
スコードを汎用のプロセスシミュレーションツール(例
えば、米国Simulation Science I
nc.社のPRO/II、米国Aspen Techn
ology Inc.社のASPEN―Plusな
ど)、汎用数値流体解析ツール(例えば、英国Conc
entration Heat and Moment
um Limited社のPHOENICS、米国Fl
uent Inc.社のFLUENTなど)および自社
開発のプロセスシミュレーションツールや数値流体解析
ツールなどと組み合わせることによって、石炭ガス化プ
ロセスまたは燃焼プロセスにおけるガス化炉あるいは燃
焼炉の物質収支、エネルギー収支、化学平衡、化学反応
速度などの種々のシミュレーションを行うことができ
る。
をシミュレーションするためのモデリング方法およびシ
ミュレーションシステムは、当該モデリング方法のソー
スコードを汎用のプロセスシミュレーションツール(例
えば、米国Simulation Science I
nc.社のPRO/II、米国Aspen Techn
ology Inc.社のASPEN―Plusな
ど)、汎用数値流体解析ツール(例えば、英国Conc
entration Heat and Moment
um Limited社のPHOENICS、米国Fl
uent Inc.社のFLUENTなど)および自社
開発のプロセスシミュレーションツールや数値流体解析
ツールなどと組み合わせることによって、石炭ガス化プ
ロセスまたは燃焼プロセスにおけるガス化炉あるいは燃
焼炉の物質収支、エネルギー収支、化学平衡、化学反応
速度などの種々のシミュレーションを行うことができ
る。
【0034】そして、上記モデリング方法およびシミュ
レーションシステムによれば、石炭を揮発分、チヤー、
水分、灰分などに分けて考慮しているので、従来の前記
に挙げたモデリング方法のように、石炭全体をCxH
yOzに簡略化して仮定したものと比較して、性質が大
きく異なっている揮発分やチヤーについて各自の反応速
度式、標準生成自由エネルギーおよび標準生成熱などを
持つことができ、化学平衡、化学反応速度およびエネル
ギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
る。
レーションシステムによれば、石炭を揮発分、チヤー、
水分、灰分などに分けて考慮しているので、従来の前記
に挙げたモデリング方法のように、石炭全体をCxH
yOzに簡略化して仮定したものと比較して、性質が大
きく異なっている揮発分やチヤーについて各自の反応速
度式、標準生成自由エネルギーおよび標準生成熱などを
持つことができ、化学平衡、化学反応速度およびエネル
ギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
る。
【0035】また、揮発分の組成式に付いては、CHx
Oyという擬似成分に仮定しているので、前記に示し
た従来のモデリング方法のように、揮発分中の酸素量を
無視して揮発分をCHxに仮定し、かつこのCHxに直
接CH4の物性値を用いた方法と比べて、実際の揮発分
中の酸素量が無視されることがなく、よって化学平衡、
物質収支およびエネルギー収支の計算精度を改善するこ
とができる。
Oyという擬似成分に仮定しているので、前記に示し
た従来のモデリング方法のように、揮発分中の酸素量を
無視して揮発分をCHxに仮定し、かつこのCHxに直
接CH4の物性値を用いた方法と比べて、実際の揮発分
中の酸素量が無視されることがなく、よって化学平衡、
物質収支およびエネルギー収支の計算精度を改善するこ
とができる。
【0036】加えて、上記揮発分の組成式については、
CHxOyという擬似成分に仮定しているので、当該揮
発分の組成がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定した上記従来のモ
デリング方法と比べて、石炭分析値や炭種によって揮
発分中各成分の割合を決定することが困難であった問題
や、化学種であるメタン、水素、一酸化炭素の標準生成
熱から求めた標準反応熱が、実際の石炭揮発分の発熱量
と一致しないなどの問題を解決することもできる。
CHxOyという擬似成分に仮定しているので、当該揮
発分の組成がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定した上記従来のモ
デリング方法と比べて、石炭分析値や炭種によって揮
発分中各成分の割合を決定することが困難であった問題
や、化学種であるメタン、水素、一酸化炭素の標準生成
熱から求めた標準反応熱が、実際の石炭揮発分の発熱量
と一致しないなどの問題を解決することもできる。
【0037】さらに、熱力学理論を用い、石炭高位発熱
量や固定炭素の高位発熱量から石炭揮発分の高位発熱
量、標準生成熱および標準生成自由エネルギーなどの物
性を求めることにより、実際に扱う炭種の実際の性質を
反映することができ、理論的にも実用的にも信頼性が高
く、かつ精度に優れる石炭ガス化プロセスまたは燃焼プ
ロセスのシミュレーションを行うことが可能になる。し
かも、上記揮発分を、擬似成分CHxOyと仮定してい
る結果、上記(A)〜(K)のステップを用いることに
より、全ての炭種について適用することができる。
量や固定炭素の高位発熱量から石炭揮発分の高位発熱
量、標準生成熱および標準生成自由エネルギーなどの物
性を求めることにより、実際に扱う炭種の実際の性質を
反映することができ、理論的にも実用的にも信頼性が高
く、かつ精度に優れる石炭ガス化プロセスまたは燃焼プ
ロセスのシミュレーションを行うことが可能になる。し
かも、上記揮発分を、擬似成分CHxOyと仮定してい
る結果、上記(A)〜(K)のステップを用いることに
より、全ての炭種について適用することができる。
【0038】
【実施例】(実施例1)石炭中における揮発分の物性の
計算 上記実施の形態に示したモデリング方法を用いて、表1
に示す炭種について、石炭の揮発分の擬似成分組成式C
HxOy中のxおよびyの値、擬似成分CHxOyの分
子量、高位発熱量、標準生成熱、標準生成自由エネルギ
ーおよび反応式(25)の標準エントロピー変化を計算
した。表2は、その結果を示すものである。
計算 上記実施の形態に示したモデリング方法を用いて、表1
に示す炭種について、石炭の揮発分の擬似成分組成式C
HxOy中のxおよびyの値、擬似成分CHxOyの分
子量、高位発熱量、標準生成熱、標準生成自由エネルギ
ーおよび反応式(25)の標準エントロピー変化を計算
した。表2は、その結果を示すものである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】(実施例2)酸素吹き石炭ガス化複合発電
(IGCC)プロセスのガス化炉物質収支、熱収支シミ
ュレーション 実施例1において表1に示した炭種および計算された物
性値を用いて、石炭処理量2000ton−coal/
day規模の酸素吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)
プロセスのガス炉における物質収支および熱収支のシミ
ュレーションを行なった。表3は、上記シミュレーショ
ンにおける計算条件、およびその結果と試験値との比較
を示すものである。また、図3は、上記シミュレーショ
ンによって得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およ
びガス化炉熱負荷の関係を示すものである。
(IGCC)プロセスのガス化炉物質収支、熱収支シミ
ュレーション 実施例1において表1に示した炭種および計算された物
性値を用いて、石炭処理量2000ton−coal/
day規模の酸素吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)
プロセスのガス炉における物質収支および熱収支のシミ
ュレーションを行なった。表3は、上記シミュレーショ
ンにおける計算条件、およびその結果と試験値との比較
を示すものである。また、図3は、上記シミュレーショ
ンによって得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およ
びガス化炉熱負荷の関係を示すものである。
【0042】
【表3】
【0043】(実施例3)空気吹き微粉炭燃焼による燃
焼炉の数値流体解析(CFD) 本実施例は、上記実施形態に示したモデリング方法のソ
ースコードを、市販汎用数値流体解析ツールである英国
Concentration Heat and Mo
mentum limited社のPHOENICSに
取込んで解析を行なったものである。この際に、多相流
の計算はIPSA法を使用して、固気二相流の解析を行
なった。当該固気二相流における第一相は気体であり、
第二相は固体(石炭粒子等)である。
焼炉の数値流体解析(CFD) 本実施例は、上記実施形態に示したモデリング方法のソ
ースコードを、市販汎用数値流体解析ツールである英国
Concentration Heat and Mo
mentum limited社のPHOENICSに
取込んで解析を行なったものである。この際に、多相流
の計算はIPSA法を使用して、固気二相流の解析を行
なった。当該固気二相流における第一相は気体であり、
第二相は固体(石炭粒子等)である。
【0044】この解析は、図4に示すような、側面に6
×2=12個のバーナーが並び、上面に排ガスの出口を
設けた反応装置において、上記バーナーの内側から微粉
炭と空気の混合流を供給し、外側から空気を供給した場
合について行なった。また、解析計算では、完全断熱と
仮定し、乱流モデルはκ−εモデル、粒子の粒径は固
定、輻射の計算は行なっていない。表4は、上記解析に
用いた石炭の性状および解析体系の諸条件を示すもので
ある。
×2=12個のバーナーが並び、上面に排ガスの出口を
設けた反応装置において、上記バーナーの内側から微粉
炭と空気の混合流を供給し、外側から空気を供給した場
合について行なった。また、解析計算では、完全断熱と
仮定し、乱流モデルはκ−εモデル、粒子の粒径は固
定、輻射の計算は行なっていない。表4は、上記解析に
用いた石炭の性状および解析体系の諸条件を示すもので
ある。
【0045】
【表4】
【0046】図5、図6および図7は、それぞれ上記解
析によって得られた結果のうち、速度分布、温度分布、
CO質量分率、CO2質量分率、H2O質量分率、O2
質量分率、灰分(Ash)質量分率、チャー質量分率、
第1相体積分率および第2相体積分率の分布を示すもの
である。なお、これらの分布図は、いずれも図4におけ
る矢印方向から見た分布を示すものであり、図中右方側
面に上記バーナーが配設され、上方に出口が設けられて
いる。また、図中、気流の速度分布の単位はm/s、温
度分布の単位はK、各成分の質量分率は、1.0=10
0%であり、CO質量分率、CO2質量分率、H2O質
量分率およびO2質量分率は、第1相(流体)、灰分
(Ash)質量分率およびチャー質量分率は、第2相
(固体)のものを示す。
析によって得られた結果のうち、速度分布、温度分布、
CO質量分率、CO2質量分率、H2O質量分率、O2
質量分率、灰分(Ash)質量分率、チャー質量分率、
第1相体積分率および第2相体積分率の分布を示すもの
である。なお、これらの分布図は、いずれも図4におけ
る矢印方向から見た分布を示すものであり、図中右方側
面に上記バーナーが配設され、上方に出口が設けられて
いる。また、図中、気流の速度分布の単位はm/s、温
度分布の単位はK、各成分の質量分率は、1.0=10
0%であり、CO質量分率、CO2質量分率、H2O質
量分率およびO2質量分率は、第1相(流体)、灰分
(Ash)質量分率およびチャー質量分率は、第2相
(固体)のものを示す。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜5のい
ずれかに記載の本発明によれば、石炭ガス化プロセスま
たは燃焼プロセスのシミュレーションおよびガス化炉や
燃焼炉内の諸現象を数値流体解析により予測、評価する
に際して、石炭を揮発分、チヤー、水分、灰分などに分
けて考慮し、かつ揮発分の組成式をCHxOyという擬
似成分として仮定しているので、性質が大きく異なる揮
発分やチヤーについて、各自の反応速度式、標準生成自
由エネルギーおよび標準生成熱などを得ることができ、
この結果化学平衡、化学反応速度、物質収支およびエネ
ルギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
るため、実際に扱う炭種の実際の性質を反映した理論的
にも実用的にも信頼性が高く、かつ精度に優れるシミュ
レーションを行うことができる。
ずれかに記載の本発明によれば、石炭ガス化プロセスま
たは燃焼プロセスのシミュレーションおよびガス化炉や
燃焼炉内の諸現象を数値流体解析により予測、評価する
に際して、石炭を揮発分、チヤー、水分、灰分などに分
けて考慮し、かつ揮発分の組成式をCHxOyという擬
似成分として仮定しているので、性質が大きく異なる揮
発分やチヤーについて、各自の反応速度式、標準生成自
由エネルギーおよび標準生成熱などを得ることができ、
この結果化学平衡、化学反応速度、物質収支およびエネ
ルギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
るため、実際に扱う炭種の実際の性質を反映した理論的
にも実用的にも信頼性が高く、かつ精度に優れるシミュ
レーションを行うことができる。
【図1】本発明のモデリング方法の一実施形態を示す概
念図である。
念図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるガス化炉の熱収支
の計算方法を説明するための概念図である。
の計算方法を説明するための概念図である。
【図3】本発明の実施例2のシミュレーションによって
得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およびガス化炉
熱負荷の関係を示すグラフである。
得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およびガス化炉
熱負荷の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例3のシミュレーションに用いた
反応装置のモデル形状を示す斜視図である。
反応装置のモデル形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例3のシミュレーションによって
得られた解析結果のうち、速度分布、温度分布、CO質
量分率およびCO2質量分率を示す分布図である。
得られた解析結果のうち、速度分布、温度分布、CO質
量分率およびCO2質量分率を示す分布図である。
【図6】上記実施例3で得られた解析結果のうち、H2
O質量分率、O2質量分率、灰分(Ash)質量分率お
よびチャー質量分率を示す分布図である。
O質量分率、O2質量分率、灰分(Ash)質量分率お
よびチャー質量分率を示す分布図である。
【図7】上記実施例3で得られた解析結果のうち、第1
相体積分率および第2相体積分率を示す分布図である。
相体積分率および第2相体積分率を示す分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三橋 雄志 東京都文京区小石川1−3−25 小石川大 国ビル 三菱マテリアル株式会社システム 事業センター内 (72)発明者 梅村 昭男 東京都文京区小石川1−3−25 小石川大 国ビル 三菱マテリアル株式会社システム 事業センター内 Fターム(参考) 3K046 AA01 AB01 BA01 CA02 CA03 5B046 AA00 JA09
Claims (5)
- 【請求項1】 石炭を原料とし、酸素、酸素および水、
空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした石炭ガス
化または燃焼をシミュレーションするに際して、上記ガ
ス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇により熱分
解することによって放出される揮発分の成分を、擬似成
分CHxOyと仮定して上記石炭ガス化または燃焼をモ
デリングすることを特徴とする石炭ガス化および燃焼を
シミュレーションするためのモデリング方法。 - 【請求項2】 上記擬似成分CHxOyに基づき、 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+x
/2H2O CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 2CO+O2→2CO2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 CH4+2O2→CO2+2H2O H2+(1/2)O2→H2O C+(1/2)O2→CO C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 の全部または一部の反応式を用いて上記石炭ガス化また
は燃焼をシミュレーションすることを特徴とする請求項
1に記載の石炭ガス化および燃焼をシミュレーションす
るためのモデリング方法。 - 【請求項3】 上記擬似成分CHxOy中のxおよびy
の値を、使用する炭種の工業分析値および元素分析値か
ら求め、かつ得られた上記xおよびyの値から、当該C
HxOyの分子量を求めることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の石炭ガス化および燃焼をシミュレーショ
ンするためのモデリング方法。 - 【請求項4】 上記石炭の高位発熱量および固定炭素の
高位発熱量を用いて、上記擬似成分CHxOyの高位発
熱量および標準生成熱を求めることを特徴とする請求項
1ないし3のいずれかに記載の石炭ガス化および燃焼を
シミュレーションするためのモデリング方法。 - 【請求項5】 石炭を原料とし、酸素、酸素および水、
空気のいずれかをガス化剤または酸化剤とした石炭ガス
化または燃焼のシミュレーションシステムであって、上
記ガス化または燃焼において石炭粒子が温度上昇により
熱分解することによって放出される揮発分の成分を、擬
似成分CHxOyと仮定し、請求項1ないし4のいずれ
かに記載のモデリング方法を用いて、上記石炭ガス化を
モデリングしていることを特徴とする石炭ガス化および
燃焼のシミュレーションシステム。
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- 2001-05-30 JP JP2001162999A patent/JP2002356681A/ja active Pending
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