JP2002350198A - 検出器の健全性判定方法および健全性判定システム - Google Patents

検出器の健全性判定方法および健全性判定システム

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JP2002350198A
JP2002350198A JP2001154337A JP2001154337A JP2002350198A JP 2002350198 A JP2002350198 A JP 2002350198A JP 2001154337 A JP2001154337 A JP 2001154337A JP 2001154337 A JP2001154337 A JP 2001154337A JP 2002350198 A JP2002350198 A JP 2002350198A
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JP2001154337A
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Chikasuke Nakamura
慎祐 中村
Masumi Nomura
眞澄 野村
Norihiro Hayashi
宣弘 林
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Testing Or Calibration Of Command Recording Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロセスに経年変化が生じた場合にも、検出
器の健全性を精度よく判定することができる、検出器の
健全性判定方法・システムを得ること。 【解決手段】 流量qを検出する対象検出器21と、流
量qを常に健全な状態で検出する参照検出器22と、対
象検出器21および参照検出器22による各流量データ
g(t),f(t)を収集するデータ収集部30と、予
め設定された健全性予測モデル51,プロセス経年変化
予測モデル52,検出器劣化予測モデル53が記憶され
たメモリ50と、流量データg(t),f(t)を各予
測モデル51〜53にそれぞれ入力して得られた各予測
データをそれぞれ演算処理する演算部41および得られ
た演算結果に基づいて対象検出器21の健全性を判定す
る判定用LUT42からなる判定部40とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロセスに用いら
れる検出器の健全性を判定する判定方法および判定シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】原子力プラントなどにおいては、プロセ
スに用いられる各種材料、媒体の温度や流量、圧力、速
度等を管理して、プロセスを適切に制御する必要があ
り、このため、多数の流量検出器や圧力検出器等の検出
器が用いられている。そして、これらの検出器は、例え
ば1年ごと等定期的に検査(健全性判定)を受けて、検
出精度の維持を図る必要がある。
【0003】通常、この検査は、各検出器に予め既知の
状態量を入力し、その入力に対する検出値(出力)を点
検することによって行われている。そして検出値が、予
め設定されている許容誤差範囲内であれば健全と判定
し、許容誤差範囲外であれば劣化していると判定し、必
要に応じて校正処理(キャリブレーション)が施されて
いる。
【0004】ところで、プロセスには膨大な数の検出器
が用いられているため、その全てを検査するのは非常に
手間と時間がかかり、またこの検査の間はプラントの稼
働を停止するなどの措置を執る必要があり、プロセスの
稼働効率に直接の影響を及ぼす場合がある。
【0005】そこで、近年は、検査対象の検出器(対象
検出器)による実際の出力値を、他の検出器(参照検出
器)によって検出された、当該対象検出器の正規の出力
値と相関を有する他の状態量、と比較することによっ
て、対象検出器の健全性を判定することが提案されてい
る(特開昭61-175807号公報)。
【0006】すなわち、この方法によれば、同一の入力
に対して、常に健全である参照検出器の出力値と健全状
態における対象検出器との相関関係を予め予測モデルと
して設定しておき、実際の使用状態において、参照検出
器の出力値を予測モデルに入力して得られた、対象検出
器が健全状態であれば得られるであろうと予測される出
力予測値(健全予測状態量)と、健全状態であるか劣化
状態であるかが不明である実際の対象検出器の出力値と
を比較し、この比較の結果に基づいて、対象検出器の健
全性を判定することにより、対象検出器を直接検査する
ことなく、健全性を判定することができ、検出器の健全
性判定作業を効率化することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した提
案の方法は、プロセスに経年変化が生じていない状況
(検出器への入力値が変化しない状況)においては、検
出器の健全性についてある程度の精度で判定することが
できるものの、参照検出器と対象検出器との間のプロセ
スにおいて、経年変化が生じた状況(参照検出器と対象
検出器とで入力値が異なる状況)においては、健全性の
判定精度が低下する。このため、実際にはこのような経
年変化が生じる可能性があるプロセスについてはそのま
ま適用することができず、実用性に欠けていた。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、プロセスに経年変化が生じた場合にも、検出器の
健全性を精度よく判定することができる、検出器の健全
性判定方法および健全性判定システムを得ることを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1にかかる検出器の健全性判定方法
は、所定のプロセスの状態量を検出する検出器(対象検
出器)の健全性を判定する検出器の健全性判定方法であ
って、プロセスが健全な状態、かつ検出器(対象検出
器)が健全な状態において、状態量を検出する健全な参
照検出器によって検出された状態量と、健全性を判定す
る対象となる対象検出器によって検出された状態量との
相関関係を求めて、プロセス健全状態かつ検出器健全状
態における、参照検出器による状態量と対象検出器によ
る状態量との関係を表す健全予測モデルを予め作成し、
プロセスが経年変化した状態、かつ対象検出器が健全な
状態において、参照検出器によって検出された状態量
と、対象検出器によって検出された状態量との相関関係
を求めて、プロセス経年変化状態かつ検出器健全状態に
おける、参照検出器による状態量と対象検出器による状
態量との関係を表すプロセス経年変化予測モデルを予め
作成し、プロセスが健全な状態、かつ対象検出器が劣化
した状態において、参照検出器によって検出された状態
量と、対象検出器によって検出された状態量との相関関
係を求めて、プロセス健全状態かつ検出器劣化状態にお
ける、参照検出器による状態量と対象検出器による状態
量との関係を表す検出器劣化予測モデルを予め作成し、
経年後において対象検出器によって検出された状態量
と、この経年後において参照検出器によって検出された
状態量を、健全予測モデル、プロセス経年変化予測モデ
ル、および検出器劣化予測モデルにそれぞれ入力して得
られた各予測状態量と、を比較し、これらの比較結果に
基づいて、対象検出器の健全性を判定することを特徴と
する。
【0010】ここで、状態量とは、プロセスについて検
出器が検出する対象となる種々の物理量を意味するもの
であり、具体的には、温度、湿度、流量、圧力、距離、
濃度、速度、または方向等である。
【0011】経年後における対象検出器によって検出さ
れた状態量(経年後検出状態量)と、同一の経年後にお
ける参照検出器によって検出された状態量を健全予測モ
デル、プロセス経年変化予測モデル、および検出器劣化
予測モデルにそれぞれ入力して得られた各予測状態量
(健全予測状態量、プロセス経年変化予測状態量および
検出器劣化予測状態量)と、の比較結果に基づいて、対
象検出器の健全性を判定する、とは、(1)経年後検出
状態量と健全予測状態量との比較結果、(2)経年後検
出状態量とプロセス経年変化予測状態量との比較結果、
および(3)経年後検出状態量と検出器劣化予測状態量
との比較結果、のうち少なくとも2つの比較結果に基づ
いて、健全性を判定することを意味する。
【0012】なお、比較の具体的な方法としては、両者
間で減算処理を施して得られた両者の差によって比較し
てもよいし、両者間で除算処理を施して得られた商によ
って比較してもよいし、その他両者間で所定の演算処理
を施して得られた値によって比較してもよい。
【0013】また、プロセス健全状態およびプロセス経
年変化状態とはいずれも、少なくとも対象検出器と参照
検出器との間のプロセスにおける健全状態あるいは経年
変化状態、を意味するものであり、プロセスの他の部分
における健全状態あるいは経年変化状態まで意味するも
のではない。
【0014】このように構成された本発明の請求項1に
かかる検出器の健全性判定方法によれば、従来の経年後
検出状態量と健全予測状態量との比較結果だけでなく、
従来にはない、経年後検出状態量とプロセス(少なくと
も参照検出器と対象検出器との間のプロセス)の経年変
化を見込んだプロセス経年変化予測状態量との比較結果
や、経年後検出状態量と検出器の劣化を見込んだ検出器
劣化予測状態量との比較結果をも用いて、検出器の健全
性を判定するため、参照検出器と対象検出器との間のプ
ロセスに経年変化が生じた場合においても、検出器の健
全性を従来よりも精度よく判定することができる。
【0015】また、本発明の請求項2にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1にかかる検出器の健全性判
定方法において、上記相関関係は、参照検出器によって
検出された状態量と対象検出器によって検出された状態
量とに対してカルマンフィルタアルゴリズムを適用して
得られた線形関数であることを特徴とする。
【0016】このように構成された本発明の請求項2に
かかる検出器の健全性判定方法は、本願発明者らが、現
実のプロセスにおけるこれら各予測モデル(健全予測モ
デル、プロセス経年変化予測モデルおよび検出器劣化予
測モデル)における参照検出器によって検出された状態
量と対象検出器によって検出された状態量との相関関係
の大部分は、線形関数によって近似的に表すことができ
ることを見出したことに基づいてなされたものであり、
この線形関数を求めるに際して、カルマンフィルタアル
ゴリズムを適用することにより、容易に上記相関関係
(線形関数)を求めることができる。
【0017】また、本発明の請求項3にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1または2にかかる検出器の
健全性判定方法において、経年後において対象検出器に
よって得られた状態量と、経年後において参照検出器に
よって得られた状態量を健全予測モデルに入力して得ら
れた健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾
値よりも小さく、かつ、経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量をプロセス経年変化予測モデルに入
力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が
予め設定された第2の閾値よりも大きく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を検出器劣
化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいとき
は、対象検出器は健全であると判定することを特徴とす
る。
【0018】ここで、第1の閾値は、健全予測モデルに
おける上記差(経年後において対象検出器によって得ら
れた状態量と、経年後において参照検出器によって得ら
れた状態量を健全予測モデルに入力して得られた健全予
測状態量と、の差)のみに応じて、対象検出器が健全で
あるか劣化しているかを判定するための指標として設定
された値であり、この健全予測モデル単独では、上記差
が第1の閾値よりも大きいときは、対象検出器は劣化し
ていると判定し、上記差が第1の閾値よりも小さいとき
は、対象検出器は健全であると判定し得る指標として、
実験的にあるいはシミュレーションによって設定された
値である。
【0019】同様に、第2の閾値は、プロセス経年変化
予測モデルにおける上記差(経年後において対象検出器
によって得られた状態量と、経年後において参照検出器
によって得られた状態量をプロセス経年変化予測モデル
に入力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の
差)のみに応じて、プロセスが経年変化しているか否か
を判定するための指標として設定された値であり、この
プロセス経年変化予測モデル単独では、上記差が第2の
閾値よりも大きいときは、プロセスは経年変化していな
いと判定し、上記差が第2の閾値よりも小さいときは、
プロセスは経年変化していると判定し得る指標として、
実験的にあるいはシミュレーションによって設定された
値である。
【0020】第3の閾値も同様に、検出器劣化予測モデ
ルにおける上記差(経年後において対象検出器によって
得られた状態量と、経年後において参照検出器によって
得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得ら
れた検出器劣化予測状態量と、の差)のみに応じて、対
象検出器が劣化しているか否かを判定するための指標と
して設定された値であり、この検出器劣化予測モデル単
独では、上記差が第3の閾値よりも大きいときは、対象
検出器は劣化していない(健全である)と判定し、上記
差が第3の閾値よりも小さいときは、検出器は劣化して
いる(健全ではない)と判定し得る指標として、実験的
にあるいはシミュレーションによって設定された値であ
る。
【0021】なお、上記第1の閾値、第2の閾値および
第3の閾値は、請求項4以下の各発明においても上記説
明と同じであるため、以下の発明においては説明を省略
する。
【0022】したがって、このように構成された本発明
の請求項3にかかる検出器の健全性判定方法によれば、
(1)経年後において対象検出器によって得られた状態
量と、経年後において参照検出器によって得られた状態
量を健全予測モデルに入力して得られた健全予測状態量
と、の差が予め設定された第1の閾値よりも小さいとき
は、対象検出器は健全である可能性が高く、(2)経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量をプロセ
ス経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年
変化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よ
りも大きいときは、プロセスは経年変化していない可能
性が高く、(3)経年後において対象検出器によって得
られた状態量と、経年後において参照検出器によって得
られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られ
た検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3
の閾値よりも大きいときは、対象検出器は劣化していな
い可能性が高く、これら(1)〜(3)の結果によれ
ば、プロセスの経年変化はない状態において対象検出器
は健全である可能性が極めて高く、したがって、対象検
出器の健全性について、健全であるとの判定は、従来の
判定よりも極めて精度の高いものとなる。
【0023】なお、請求項3にかかる検出器の健全性判
定方法は、比較の方法として上述して両状態量の「差」
による方法を適用したものであるが、前述したように、
請求項1または2にかかる検出器の健全性判定方法にお
いては、「商」による方法を適用してもよい。
【0024】また、本発明の請求項4にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1または2にかかる検出器の
健全性判定方法において、経年後において対象検出器に
よって得られた状態量と、経年後において参照検出器に
よって得られた状態量を健全予測モデルに入力して得ら
れた健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾
値よりも大きく、かつ、経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して
得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定され
た第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は劣化し
ていると判定することを特徴とする。
【0025】このように構成された本発明の請求項4に
かかる検出器の健全性判定方法によれば、(1)経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を健全予測
モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が予
め設定された第1の閾値よりも大きいときは、対象検出
器は健全でない可能性が高く、(2)経年後において対
象検出器によって得られた状態量と、経年後において参
照検出器によって得られた状態量を検出器劣化予測モデ
ルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が
予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、対象検
出器は劣化している可能性が高く、これら(1)および
(2)の結果によれば、プロセスの経年変化に拘らず対
象検出器は健全ではない、すなわち劣化している可能性
が極めて高く、したがって、対象検出器の健全性につい
て、健全でない(劣化している)との判定結果は、従来
の判定結果よりも極めて精度の高いものとなる。
【0026】また、本発明の請求項5にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1または2にかかる検出器の
健全性判定方法において、経年後において対象検出器に
よって得られた状態量と、経年後において参照検出器に
よって得られた状態量をプロセス経年変化予測モデルに
入力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差
が予め設定された第2の閾値よりも小さく、かつ、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を検出器
劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態
量と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいと
きは、対象検出器は健全であると判定することを特徴と
する。
【0027】このように構成された本発明の請求項5に
かかる検出器の健全性判定方法によれば、(1)経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量をプロセス
経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変
化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値より
も小さいときは、プロセスが経年変化した可能性が高
く、(2)経年後において対象検出器によって得られた
状態量と、経年後において参照検出器によって得られた
状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた検出
器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾値
よりも大きいときは、対象検出器は劣化していない可能
性が高く、これら(1)および(2)の結果によれば、
プロセスは経年変化しているが、対象検出器は劣化して
いない、すなわち健全である可能性が極めて高く、した
がって、対象検出器の健全性について、健全であるとの
判定結果は、プロセスの経年変化を勘案したうえでの判
定結果であるため、従来の判定結果よりも極めて精度の
高いものとなる。
【0028】また、本発明の請求項6にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1または2にかかる検出器の
健全性判定方法において、経年後において対象検出器に
よって得られた状態量と、経年後において参照検出器に
よって得られた状態量を健全予測モデルに入力して得ら
れた健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾
値よりも小さく、かつ、経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して
得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定され
た第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は劣化し
ていると判定することを特徴とする。
【0029】このように構成された本発明の請求項6に
かかる検出器の健全性判定方法によれば、(1)経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を健全予測
モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が予
め設定された第1の閾値よりも小さいときは、対象検出
器は健全である可能性が高く、(2)経年後において対
象検出器によって得られた状態量と、経年後において参
照検出器によって得られた状態量を検出器劣化予測モデ
ルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が
予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、対象検
出器は劣化している可能性が高く、これら(1)および
(2)の結果によれば、対象検出器は健全であるか、ま
たは劣化しているか、の判定が分かれることになるが、
少なくとも一方において、劣化の可能性を示唆している
ことを評価して、最終的に、対象検出器は健全でない
(劣化している)と判定することによって、プロセスの
経年変化に拘らず、当該対象検出器を校正し、または交
換して、対象検出器による検出精度悪化を未然に防止す
ることができる。
【0030】また、本発明の請求項7にかかる検出器の
健全性判定方法は、請求項1または2にかかる検出器の
健全性判定方法において、経年後において対象検出器に
よって得られた状態量と、経年後において参照検出器に
よって得られた状態量を健全予測モデルに入力して得ら
れた健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾
値よりも大きく、かつ、経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量をプロセス経年変化予測モデルに入
力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が
予め設定された第2の閾値よりも大きく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を検出器劣
化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいとき
は、対象検出器は劣化していると判定することを特徴と
する。
【0031】このように構成された本発明の請求項7に
かかる検出器の健全性判定方法によれば、(1)経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を健全予測
モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が予
め設定された第1の閾値よりも大きいときは、対象検出
器は健全でない可能性が高く、(2)経年後において対
象検出器によって得られた状態量と、経年後において参
照検出器によって得られた状態量をプロセス経年変化予
測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測状態
量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも大きいと
きは、プロセスは経年変化していない可能性が高く、
(3)経年後において対象検出器によって得られた状態
量と、経年後において参照検出器によって得られた状態
量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣
化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾値より
も大きいときは、対象検出器は劣化していない可能性が
高く、これら(1)〜(3)の結果によれば、プロセス
は経年変化しておらず、対象検出器は健全であるか、ま
たは劣化しているか、の判定が分かれることになるが、
少なくとも一方において、劣化の可能性を示唆している
ことを評価して、最終的に、対象検出器は健全でない
(劣化している)と判定することによって、プロセスの
経年変化は生じていない状態において、当該対象検出器
を校正し、または交換して、対象検出器による検出精度
悪化を未然に防止することができる。
【0032】また、本発明の請求項8にかかる検出器の
健全性判定システムは、所定のプロセスの状態量を検出
する検出器(対象検出器)の健全性を判定する検出器の
健全性判定システムであって、プロセスの状態量を常に
健全な状態で検出する参照検出器と、プロセスが健全な
状態、かつ検出器(対象検出器)が健全な状態におい
て、状態量を検出する健全な参照検出器によって検出さ
れた状態量と、健全性を判定する対象となる対象検出器
によって検出された状態量との相関関係を予め求めて、
プロセス健全状態かつ検出器健全状態における、参照検
出器による状態量と対象検出器による状態量との関係を
表す健全予測モデル、プロセスが経年変化した状態、か
つ対象検出器が健全な状態において、参照検出器によっ
て検出された状態量と、対象検出器によって検出された
状態量との相関関係を求めて、プロセス経年変化状態か
つ検出器健全状態における、参照検出器による状態量と
対象検出器による状態量との関係を表すプロセス経年変
化予測モデル、および、プロセスが健全な状態、かつ対
象検出器が劣化した状態において、参照検出器によって
検出された状態量と、対象検出器によって検出された状
態量との相関関係を求めて、プロセス健全状態かつ検出
器劣化状態における、参照検出器による状態量と対象検
出器による状態量との関係を表す検出器劣化予測モデ
ル、が記憶された記憶手段と、経年後において前記対象
検出器によって検出された状態量と、該経年後において
参照検出器によって検出された状態量を、健全予測モデ
ル、プロセス経年変化予測モデル、および検出器劣化予
測モデルにそれぞれ入力して得られた各予測状態量と、
を比較し、これらの比較結果に基づいて、対象検出器の
健全性を判定する判定手段と、を備たことを特徴とす
る。
【0033】ここで、プロセス健全状態およびプロセス
経年変化状態とはいずれも、少なくとも対象検出器と参
照検出器との間のプロセスにおける健全状態あるいは経
年変化状態、を意味するものであり、プロセスの他の部
分における健全状態あるいは経年変化状態まで意味する
ものではない。
【0034】このように構成された本発明の請求項8に
かかる検出器の健全性判定システムによれば、従来の経
年後検出状態量と健全予測状態量との比較結果だけでな
く、従来にはない、経年後検出状態量とプロセス(少な
くとも参照検出器と対象検出器との間のプロセス)の経
年変化を見込んだプロセス経年変化予測状態量との比較
結果や、経年後検出状態量と検出器の劣化を見込んだ検
出器劣化予測状態量との比較結果をも用いて、判定手段
が、検出器の健全性を判定するため、参照検出器と対象
検出器との間のプロセスに経年変化が生じた場合におい
ても、検出器の健全性を従来よりも精度よく判定するこ
とができる。
【0035】また、本発明の請求項9にかかる検出器の
健全性判定システムは、請求項8にかかる検出器の健全
性判定システムにおいて、上記相関関係は、参照検出器
によって検出された状態量と対象検出器によって検出さ
れた状態量とに対してカルマンフィルタアルゴリズムを
適用して得られた線形関数であることを特徴とする。
【0036】このように構成された本発明の請求項9に
かかる検出器の健全性判定システムによれば、上記相関
関係を線形関数によって表し、この線形関数を求めるに
際して、カルマンフィルタアルゴリズムを適用すること
により、容易に上記相関関係(線形関数)を求めること
ができる。
【0037】また、本発明の請求項10にかかる検出器
の健全性判定システムは、請求項8または9にかかる検
出器の健全性判定システムにおいて、判定手段は、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を健全予
測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が
予め設定された第1の閾値よりも小さく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量をプロセス
経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変
化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値より
も大きく、かつ、経年後において対象検出器によって得
られた状態量と、経年後において参照検出器によって得
られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られ
た検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3
の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健全であると
判定することを特徴とする。
【0038】このように構成された本発明の請求項10
にかかる検出器の健全性判定システムによれば、(1)
経年後において対象検出器によって得られた状態量と、
経年後において参照検出器によって得られた状態量を健
全予測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の
差が予め設定された第1の閾値よりも小さいときは、対
象検出器は健全である可能性が高く、(2)経年後にお
いて対象検出器によって得られた状態量と、経年後にお
いて参照検出器によって得られた状態量をプロセス経年
変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予
測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも大
きいときは、プロセスは経年変化していない可能性が高
く、(3)経年後において対象検出器によって得られた
状態量と、経年後において参照検出器によって得られた
状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた検出
器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾値
よりも大きいときは、対象検出器は劣化していない可能
性が高く、これら(1)〜(3)の結果によれば、プロ
セスの経年変化はない状態において対象検出器は健全で
ある可能性が極めて高く、したがって、判定手段によ
る、対象検出器の健全性について、健全であるとの判定
は、従来の判定よりも極めて精度の高いものとなる。
【0039】なお、請求項10にかかる検出器の健全性
判定システムは、判定手段による比較の方法として上述
して両状態量の「差」による方法を適用したものである
が、前述したように、請求項8または9にかかる検出器
の健全性判定システムにおいては、「商」による方法を
適用してもよい。
【0040】また、本発明の請求項11にかかる検出器
の健全性判定システムは、請求項8または9にかかる検
出器の健全性判定システムにおいて、判定手段は、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を健全予
測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が
予め設定された第1の閾値よりも大きく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を検出器劣
化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも小さいとき
は、対象検出器は劣化していると判定することを特徴と
する。
【0041】このように構成された本発明の請求項11
にかかる検出器の健全性判定システムによれば、(1)
経年後において対象検出器によって得られた状態量と、
経年後において参照検出器によって得られた状態量を健
全予測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の
差が予め設定された第1の閾値よりも大きいときは、対
象検出器は健全でない可能性が高く、(2)経年後にお
いて対象検出器によって得られた状態量と、経年後にお
いて参照検出器によって得られた状態量を検出器劣化予
測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、
の差が予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、
対象検出器は劣化している可能性が高く、これら(1)
および(2)の結果によれば、プロセスの経年変化に拘
らず対象検出器は健全ではない、すなわち劣化している
可能性が極めて高く、したがって、判定手段による、対
象検出器の健全性について、健全でない(劣化してい
る)との判定結果は、従来の判定結果よりも極めて精度
の高いものとなる。
【0042】また、本発明の請求項12にかかる検出器
の健全性判定システムは、請求項8または9にかかる検
出器の健全性判定システムにおいて、判定手段は、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量をプロセ
ス経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年
変化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よ
りも小さく、かつ、経年後において対象検出器によって
得られた状態量と、経年後において参照検出器によって
得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得ら
れた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第
3の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健全である
と判定することを特徴とする。
【0043】このように構成された本発明の請求項12
にかかる検出器の健全性判定システムによれば、(1)
経年後において対象検出器によって得られた状態量と、
経年後において参照検出器によって得られた状態量をプ
ロセス経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス
経年変化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾
値よりも小さいときは、プロセスが経年変化した可能性
が高く、(2)経年後において対象検出器によって得ら
れた状態量と、経年後において参照検出器によって得ら
れた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた
検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3の
閾値よりも大きいときは、対象検出器は劣化していない
可能性が高く、これら(1)および(2)の結果によれ
ば、プロセスは経年変化しているが、対象検出器は劣化
していない、すなわち健全である可能性が極めて高く、
したがって、判定手段による、対象検出器の健全性につ
いて、健全であるとの判定結果は、プロセスの経年変化
を勘案したうえでの判定結果であるため、従来の判定結
果よりも極めて精度の高いものとなる。
【0044】また、本発明の請求項13にかかる検出器
の健全性判定システムは、請求項8または9にかかる検
出器の健全性判定システムにおいて、判定手段は、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を健全予
測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が
予め設定された第1の閾値よりも小さく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量を検出器劣
化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも小さいとき
は、対象検出器は劣化していると判定することを特徴と
する。
【0045】このように構成された本発明の請求項13
にかかる検出器の健全性判定システムによれば、(1)
経年後において対象検出器によって得られた状態量と、
経年後において参照検出器によって得られた状態量を健
全予測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の
差が予め設定された第1の閾値よりも小さいときは、対
象検出器は健全である可能性が高く、(2)経年後にお
いて対象検出器によって得られた状態量と、経年後にお
いて参照検出器によって得られた状態量を検出器劣化予
測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、
の差が予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、
対象検出器は劣化している可能性が高く、これら(1)
および(2)の結果によれば、対象検出器は健全である
か、または劣化しているか、の判定が分かれることにな
るが、判定手段は、少なくとも一方において、劣化の可
能性を示唆していることを評価して、最終的に、対象検
出器は健全でない(劣化している)と判定することによ
って、プロセスの経年変化に拘らず、当該対象検出器を
校正し、または交換して、対象検出器による検出精度悪
化を未然に防止することができる。
【0046】また、本発明の請求項14にかかる検出器
の健全性判定システムは、請求項8または9にかかる検
出器の健全性判定システムにおいて、判定手段は、経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を健全予
測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の差が
予め設定された第1の閾値よりも大きく、かつ、経年後
において対象検出器によって得られた状態量と、経年後
において参照検出器によって得られた状態量をプロセス
経年変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変
化予測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値より
も大きく、かつ、経年後において対象検出器によって得
られた状態量と、経年後において参照検出器によって得
られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られ
た検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3
の閾値よりも大きいときは、対象検出器は劣化している
と判定することを特徴とする。
【0047】このように構成された本発明の請求項14
にかかる検出器の健全性判定システムによれば、(1)
経年後において対象検出器によって得られた状態量と、
経年後において参照検出器によって得られた状態量を健
全予測モデルに入力して得られた健全予測状態量と、の
差が予め設定された第1の閾値よりも大きいときは、対
象検出器は健全でない可能性が高く、(2)経年後にお
いて対象検出器によって得られた状態量と、経年後にお
いて参照検出器によって得られた状態量をプロセス経年
変化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予
測状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも大
きいときは、プロセスは経年変化していない可能性が高
く、(3)経年後において対象検出器によって得られた
状態量と、経年後において参照検出器によって得られた
状態量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた検出
器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾値
よりも大きいときは、対象検出器は劣化していない可能
性が高く、これら(1)〜(3)の結果によれば、プロ
セスは経年変化しておらず、対象検出器は健全である
か、または劣化しているか、の判定が分かれることにな
るが、判定手段が、少なくとも一方において、劣化の可
能性を示唆していることを評価して、最終的に、対象検
出器は健全でない(劣化している)と判定することによ
って、プロセスの経年変化は生じていない状態におい
て、当該対象検出器を校正し、または交換して、対象検
出器による検出精度悪化を未然に防止することができ
る。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
かかる検出器の健全性判定方法および健全性判定システ
ムの実施の形態について説明する。なお、これらの実施
の形態によって、各発明が限定されるものではない。
【0049】(実施の形態1)図1は、本発明にかかる
検出器の健全性判定システムの一実施の形態を示す図、
図2は図1に示した健全性判定システムのメモリに記憶
された各予測モデルの作成方法を説明するための図であ
る。
【0050】図示の検出器の健全性判定システム100
は、原子力プラントにおける所定のプロセス10を流れ
る媒体11の流量qを検出する流量検出器(対象検出
器)21の健全性を判定するシステムであり、プロセス
10の流量qを常に健全な状態で検出する他の流量検出
器(参照検出器)22と、対象検出器21によって検出
された流量データg(t)および参照検出器22によっ
て検出された流量データf(t)を収集するデータ収集
部30と、予め設定された健全性予測モデル51,プロ
セス経年変化予測モデル52,検出器劣化予測モデル5
3が記憶されたメモリ50と、データ収集部30によっ
て収集された流量データg(t)と流量データf(t)
を各予測モデル51〜53にそれぞれ入力して得られた
各予測データS21,S22,S23とをそれぞれ演算
処理する演算部41、および演算部41によって得られ
た演算結果に基づいて対象検出器21の健全性を判定す
る判定用LUT(ルックアップテーブル)42からなる
判定部40と、対象検出器21についての健全性判定結
果を表示するディスプレイ装置60と、判定用LUT4
2の内容および各予測モデル51〜53の内容を書き換
えるためのデータを入力するデータ入力部70とを備え
た構成である。
【0051】ここで、メモリ50に記憶された健全性予
測モデル51、プロセス経年変化予測モデル52および
検出器劣化予測モデル53について、図2,3を参照し
て説明する。
【0052】各予測モデル51〜53はそれぞれ、所定
の条件下における、対象検出器21の出力値(流量デー
タ)g(t)と参照検出器22の出力値(流量データ)
f(t)との対応関係を示すモデルであり、健全予測モ
デル51は、対象検出器21および参照検出器22の双
方とも完全に健全状態であるときの出力値の対応関係を
示し、プロセス経年変化予測モデル52は、対象検出器
21および参照検出器22の双方とも完全に健全状態で
あり、かつ対象検出器21と参照検出器22との間のプ
ロセス10が経年変化したときの両者の出力値の対応関
係を示し、検出器劣化予測モデル53は、プロセス10
が経年変化していない状態において、対象検出器21が
劣化してその出力値が変化したときの両者の出力値の対
応関係を示している。
【0053】図2は各予測モデル51〜53の設定段階
を示している。ここで、健全予測モデル51(図2
(a))は、対象検出器21および参照検出器22のい
ずれもが完全に健全状態において同一の入力が与えられ
たときの、対象検出器21の出力値g1(t0)と参照
検出器22の出力値f(t0)との相関関係であり、入
力を変化させつつ得られた両者の対応する各出力値g1
(t0),f(t0)を、カルマンフィルタアルゴリズ
ムを用いた処理に入力して得られた線形の相関関係を表
す。
【0054】プロセス経年変化予測モデル52(図2
(b))は、対象検出器21および参照検出器22のい
ずれもが完全に健全状態であって、かつ、両検出器2
1,22の間のプロセス10が経年変化した場合(例え
ば、プロセス(流路)10内の汚濁によって流路が狭小
化するなどして流量がq′になった場合等)において、
対象検出器21の出力値g2(t0)と参照検出器22
の出力値f(t0)との相関関係であり、入力を変化さ
せつつ得られた両者の対応する各出力値g2(t0),
f(t0)を、カルマンフィルタアルゴリズムを用いた
処理に入力して得られた線形の相関関係を表す。
【0055】検出器劣化予測モデル53(図2(c))
は、対象検出器21が劣化した状態および参照検出器2
2が完全に健全状態であって、かつ、プロセス10が経
年変化しない状態において、同一の入力が与えられたと
きの、対象検出器21の出力値g3(t0)と参照検出
器22の出力値f(t0)との相関関係であり、入力を
変化させつつ得られた両者の対応する各出力値g3(t
0),f(t0)を、カルマンフィルタアルゴリズムを
用いた処理に入力して得られた線形の相関関係を表す。
【0056】このようにして予め設定された各予測モデ
ル51〜53は、参照検出器22の出力値f(t0)を
入力することによって、対象検出器21からの出力予測
値を得るものであり、メモリ50に記憶される。
【0057】次に、以上の設定段階によって設定された
各予測モデル51〜53に対する学習段階について、図
3を用いて説明する。学習段階は、対象検出器21の劣
化がなく、かつプロセス10に経年変化が無い初期段階
(時刻t0)において、各予測モデル51〜53にそれ
ぞれ、所定の入力に対する参照検出器22の出力値f
(t0)を入力して各予測値g1′(t0),g2′
(t0),g3′(t0)を得、これらの各予測値g
1′(t0),g2′(t0),g3′(t0)と、上
記所定の入力に対する対象検出器21の実際の出力値g
(t0)との差Δg1(t0)(=|g1′(t0)−
g(t0)|),Δg2(t0)(=|g2′(t0)
−g(t0)|),Δg3(t0)(=|g3′(t
0)−g(t0)|)を求める段階であり、これらの差
Δg1(t0),Δg2(t0),Δg3(t0)は演
算部41に記憶される。
【0058】なお、初期段階(時刻t0)においては、
対象検出器21に劣化はなく、かつプロセス10に経年
変化が無いため、プロセス10に経年変化を見込んで設
定されたプロセス経年変化予測モデル52を用いて得ら
れた差Δg2(t0)、および対象検出器21に劣化を
見込んで設定された検出器劣化予測モデル53を用いて
得られた差Δg3(t0)は比較的大きい値を示し、一
方、対象検出器21に劣化はなく、かつプロセス10に
経年変化が無いものとして設定された健全予測モデル5
1を用いて得られた差Δg1(t0)は極めて小さい値
(ほぼゼロ)を示す。
【0059】次に、演算部41について説明する。演算
部41は、実際にプロセス10に配設されて所定期間経
過した後(時刻t1)における、対象検出器51の予測
値g1′(t1),g2′(t1),g3′(t1)
を、参照検出器22の出力値f(t1)を各予測モデル
51〜53に入力して算出し、この得られた各予測値g
1′(t1),g2′(t1),g3′(t1)と、対
象検出器21の実測値g(t1)との差Δg1(t1)
(=|g1′(t1)−g(t1)|),Δg2(t
1)(=|g2′(t1)−g(t1)|),Δg3
(t1)(=|g3′(t1)−g(t1)|)を算出
し(図4(a)〜(c)参照)、学習段階(時刻t0)
における差g1′(t0),g2′(t0),g3′
(t0)と、時刻t1における差g1′(t1),g
2′(t1),g3′(t1)との比(判定指標値)ε
1(=g1′(t1)/g1(t1)),ε2(=g
2′(t1)/g2(t1)),ε3(=g3′(t
1)/g3(t1))を算出する。
【0060】判定用LUT42は、図5に示すように、
演算部41によって算出された3つの判定指標値ε1,
ε2,ε3の大きさに応じて、対象検出器21の健全性
についての判定結果(健全(健全の可能性大)、健全の
可能性、劣化の可能性、劣化(劣化の可能性大))が対
応付けられた参照テーブルである。
【0061】ここで、差g1′(t1)は、プロセス1
0に経年変化がなく、かつ対象検出器21が健全である
ときは、極めて小さい値を示し、プロセス10に経年変
化が生じている場合、または対象検出器21が劣化して
いる場合は、大きな値を示す。したがって、判定指標値
ε1は、プロセス10に経年変化がなく、かつ対象検出
器21が健全であるときは、「1」に極めて近い値を示
し、プロセス10に経年変化が生じている場合、または
対象検出器21が劣化している場合は、「1」を大きく
上回る値となる。
【0062】よって、例えば値1.5を閾値(第1の閾
値)T1として、判定指標値ε1が、この第1の閾値T
1より小さいとき(ε1≦T1)は、プロセス10に経
年変化がなく、かつ対象検出器21が健全である可能性
が高く、一方、判定指標値ε1が、この第1の閾値T1
より大きいとき(T1<ε1)は、プロセス10に経年
変化が生じているか、または対象検出器21が劣化して
いる可能性が高い。
【0063】また、差g2′(t1)は、プロセス10
に経年変化が生じており、かつ対象検出器21が健全で
あるときは、極めて小さい値を示し、プロセス10に経
年変化が無い場合、または対象検出器21が劣化してい
る場合は、大きな値を示す。したがって、判定指標値ε
2は、プロセス10に経年変化が生じており、かつ対象
検出器21が健全であるときは、極めて小さい値を示
し、プロセス10に経年変化が生じていない場合、また
は対象検出器21が劣化している場合は、比較的大きな
値となる。
【0064】したがって、例えば値0.5を閾値(第2
の閾値)T2として、判定指標値ε2が、この第2の閾
値T2より小さいとき(ε2≦T2)は、プロセス10
に経年変化が生じており、かつ対象検出器21が健全で
ある可能性が高く、一方、判定指標値ε2が、この第2
の閾値T2より大きいとき(T2<ε2)は、プロセス
10に経年変化が生じていないか、または対象検出器2
1が劣化している可能性が高い。
【0065】また、差g3′(t1)は、プロセス10
に経年変化が無く、かつ対象検出器21が劣化している
ときは、極めて小さい値を示し、プロセス10に経年変
化が生じている場合、または対象検出器21が健全であ
る場合は、大きな値を示す。したがって、判定指標値ε
3は、プロセス10に経年変化が無く、かつ対象検出器
21が劣化しているときは、極めて小さい値を示し、プ
ロセス10に経年変化が生じている場合、または対象検
出器21が健全である場合は、比較的大きな値となる。
【0066】よって、例えば値0.5を閾値(第3の閾
値)T3として、判定指標値ε3が、この第3の閾値T
3より小さいとき(ε3≦T3)は、プロセス10に経
年変化が無く、かつ対象検出器21が劣化している可能
性が高く、一方、判定指標値ε3が、この第3の閾値T
3より大きいとき(T3<ε3)は、プロセス10に経
年変化が生じているか、または対象検出器21が健全で
ある可能性が高い。
【0067】そして、判定用LUT42は、上述した個
々の判定指標値ε1,ε2,ε3によって互いに独立し
た可能性を総合的に勘案して、対象検出器21の健全性
についての判定結果が設定されたものである。
【0068】判定部40はこの判定用LUT42を参照
し、判定要素値ε1,ε2,ε3の大きさに応じて、対
象検出器21の健全性を判定し、この判定結果をディス
プレイ装置60に出力し、ディスプレイ装置60は、こ
の判定結果を表示する。
【0069】なお、上述した設定段階および学習段階
は、参照検出器22および対象検出器21を実際のプロ
セス10に適用する以前に予め行っておく準備段階であ
る。
【0070】次に、本実施の形態の健全性判定システム
100の作用について説明する。図1に示すように、対
象検出器21はプロセス10の流量qを検出する流量検
出器としてプロセス10に配設されており、参照検出器
22は、この対象検出器21よりも、プロセス10の上
流側に設けられている。
【0071】対象検出器21がプロセス10に設定され
てから所定の期間が経過したとき(時刻t1)におい
て、データ収集部30は、対象検出器21の出力値g
(t1)および参照検出器22の出力値f(t1)を収
集し、これら収集した出力値g(t1),f(t1)を
判定部40に入力する。
【0072】判定部40は、入力された出力値g(t
1),f(t1)のうち、参照検出器22からの出力値
f(t1)を、メモリ50に記憶された健全予測モデル
51、プロセス経年変化予測モデル52および検出器劣
化予測モデル53にそれぞれ入力し、対象検出器21の
出力値についての、予測値(健全予測値)g1′(t
1),予測値(プロセス経年変化予測値)g2′(t
1),予測値(検出器劣化予測値)g3′(t1)を得
る。
【0073】判定部40は、得られた各予測値g1′
(t1),g2′(t1),g3′(t1)を演算部4
1に入力し、演算部41は、これらの予測値g1′(t
1),g2′(t1),g3′(t1)と、データ収集
部30から入力された対象検出器21の出力値g(t
1)との差Δg1(t1)(=|g1′(t1)−g
(t1)|),Δg2(t1)(=|g2′(t1)−
g(t1)|),Δg3(t1)(=|g3′(t1)
−g(t1)|)を算出する(図4(a)〜(c))。
【0074】次に、演算部41は、予め記憶されている
学習段階(時刻t0)における差g1′(t0),g
2′(t0),g3′(t0)と、現在(時刻t1)に
おける差g1′(t1),g2′(t1),g3′(t
1)との比(判定要素値)ε1(=g1′(t1)/g
1(t1)),ε2(=g2′(t1)/g2(t
1)),ε3(=g3′(t1)/g3(t1))を算
出する。
【0075】判定部40は、判定用LUT42(図5)
を参照して、演算部41によって得られた判定要素値ε
1,ε2,ε3に対応する、対象検出器21の健全性に
ついての判定結果(健全(健全の可能性大)、健全の可
能性、劣化の可能性、劣化(劣化の可能性大))を求め
る。そして得られた対象検出器21の健全性についての
判定結果をディスプレイ装置60に出力し、ディスプレ
イ装置60は、この判定結果を表示する。
【0076】以上のようにして、ディスプレイ装置60
に表示された、対象検出器21の健全性に関する判定結
果が、「健全」(パターン#4)または「健全の可能
性」(パターン#3,#7)の場合は、対象検出器21
の交換作業や校正作業を省略し、判定結果が、「劣化」
(パターン#5,#6)または「劣化の可能性」(パタ
ーン#1,#2,#8)の場合は、対象検出器21の交
換作業や校正作業を実施すればよい。
【0077】このように、本実施の形態1である検出器
の健全性判定方法システム100によれば、参照検出器
22の出力値f(t)と対象検出器21の出力値g
(t)との単なる比較(従来の方法)では区別できな
い、プロセス10の経年変化と対象検出器21の劣化と
を、明確に識別することができるため、参照検出器22
と対象検出器21との間のプロセス10に経年変化が生
じている状況下にも、対象検出器21の健全性を的確に
判定することができ、実際のプロセスにおける実用性を
向上させることができる。
【0078】なお、従来の方法によれば、参照検出器2
2の出力値f(t)と対象検出器21の出力値g(t)
との単なる比較によってのみ、対象検出器21の健全性
を判定していたため、図5におけるパターン#1〜#4
では全て「健全」と判定され、パターン#5〜#8では
全て「劣化」と判定されていたことになり、判定精度が
向上していることは一目瞭然である。
【0079】本実施の形態1においては、学習段階(時
刻t0)における、予測値g1′(t0),g2′(t
0),g3′(t0)と、実測値g(t0)と、の差Δ
g1(t0),Δg2(t0),Δg3(t0)を基準
として、実用段階(時刻t1)における、予測値g1′
(t1),g2′(t1),g3′(t1)と、実測値
g(t1)と、の差Δg1(t1),Δg2(t1),
Δg3(t1)の大きさを、判定指標値ε1,ε2,ε
3として評価したが、学習段階を省略して、単に実用段
階における、予測値g1′(t1),g2′(t1),
g3′(t1)と、実測値g(t1)と、の差Δg1
(t1),Δg2(t1),Δg3(t1)の大きさの
みによって、評価してもよい。
【0080】すなわち、差g1′(t1)は、プロセス
10に経年変化がなく、かつ対象検出器21が健全であ
るときは、極めて小さい値を示し、プロセス10に経年
変化が生じている場合、または対象検出器21が劣化し
ている場合は、大きな値を示し、差g2′(t1)は、
プロセス10に経年変化が生じており、かつ対象検出器
21が健全であるときは、極めて小さい値を示し、プロ
セス10に経年変化が無い場合、または対象検出器21
が劣化している場合は、大きな値を示し、差g3′(t
1)は、プロセス10に経年変化が無く、かつ対象検出
器21が劣化しているときは、極めて小さい値を示し、
プロセス10に経年変化が生じている場合、または対象
検出器21が健全である場合は、大きな値を示すため、
それぞれの差Δg1(t1),Δg2(t1),Δg3
(t1)に対して、適切な閾値を設定して評価すること
によって、対象検出器21の健全性を評価することがで
きる。
【0081】また、本実施の形態1においては、対象検
出器21および参照検出器22はいずれも、プロセス1
0における状態量(検出対象物理量)としての流量を検
出するものとして、流量検出器を適用したものである
が、本発明はこの形態に限るものではなく、状態量の種
類に応じて種々の検出器を適用することができる。例え
ば、状態量として、プロセス10を通過する媒体11の
温度を適用した場合は、対象検出器21および参照検出
器22として温度検出器を適用すればよい。
【0082】また、対象検出器21と参照検出器22と
は、必ずしも同一種類の状態量を検出するものに限定さ
れるものでもなく、少なくとも両検出器の検出対象状態
量の間に、所定の相関を有するものであればよく、例え
ば、対象検出器21として、流量を直接検出する流量検
出器を適用し、参照検出器22として、プロセス10の
差圧を検出する差圧検出器を適用し、各予測モデル51
〜53において、対象検出器21によって検出された流
量と参照検出器22によって検出された差圧との相関関
係を設定すればよい。
【0083】(実施の形態2)図6は、本発明にかかる
検出器の健全性判定システムおよび健全性判定方法の、
他の実施の形態を示す図である。図示の健全性判定シス
テム100は、図1に示した健全性判定システム100
が、プロセス10の近傍に配置されている場合に、この
プロセス10から遠隔位置に、さらに第2のデータ入力
部71と第2のディスプレイ装置61とを備え、これら
第2のデータ入力部71と第2のディスプレイ装置61
とを、インターネットやLAN(ローカルエリアネット
ワーク)等のネットワーク80を介して、判定部40お
よびメモリ50に接続してなる構成である。
【0084】ここで、第2のデータ入力部71はデータ
入力部70と同一の作用なすものであり、また第2のデ
ィスプレイ装置61はディスプレイ装置60と同一の作
用をなすものである。
【0085】このように構成された実施の形態2である
検出器の健全性判定システム100によれば、ネットワ
ーク80を介して、プロセス10から離れた遠隔位置に
設けられた第2のデータ入力部71から、プロセス10
の近くに配置されているメモリ50に記憶された健全性
予測モデル51、プロセス経年変化予測モデル52およ
び検出器劣化予測モデル53を書き換えるデータを入力
することができ、また、判定結果をプロセス10から離
れた遠隔位置に設けられた第2のディスプレイ装置61
に表示させて観察することができるため、これらのデー
タ入力作業や判定結果の監視作業を、プロセス10の近
傍で行う必要がなく、特にこのプロセス10と同様のプ
ロセスが大量に設けられているプラントにおいては、遠
隔位置から集中的にこれらの作業を行うことによって、
作業の大幅な効率化を実現することができる。
【0086】なお、プロセス10の近傍に設けられてい
るディスプレイ装置60やデータ入力部70は、プロセ
ス10に配設されている対象検出器21を交換し、ある
いは校正した場合に、そのプロセス10から離れずにデ
ータ入力や監視・確認作業をするために用いることがで
きるが、そのような必要がない場合には、これらプロセ
ス10の近傍に設けられたディスプレイ装置60および
データ入力部70を省略した構成を適用してもよい。
【0087】(実施の形態3)図7は、本発明にかかる
検出器の健全性判定システムおよび健全性判定方法の、
他の実施の形態を示す図である。図示の健全性判定シス
テム100は、図1に示した健全性判定システム100
において、一日における時刻を出力する時刻出力部90
をさらに備えるとともに、メモリ50に記憶されている
健全性予測モデル51,プロセス経年変化予測モデル5
2,検出器劣化予測モデル53としてそれぞれ、一日に
おいてプロセス10の稼働状況が互い異なる時間帯ごと
に対応して複数設定されているものである。
【0088】すなわち、プロセス10を流れる媒体11
の流量qが、一日24時間のうち、9時〜12時の間は
比較的少なく、12時〜17時の間は比較的多く、17
時〜翌9時の間はゼロとなる場合、各予測モデル51〜
53は、それぞれ各時間帯(9時〜12時、12時〜1
7時、17時〜翌9時)の流量qに対応して3つずつ設
定されている。
【0089】具体的には、健全予測モデル51は、流量
qが比較的少ない状況(9時〜12時)に対応して設定
された第1の健全予測モデル51a,流量qが比較的多
い状況(12時〜17時)に対応して設定された第2の
健全予測モデル51b,流量qがゼロの状況(17時〜
翌9時)に対応して設定された第3の健全予測モデル5
1cからなり、プロセス経年変化予測モデル52は、流
量qが比較的少ない状況(9時〜12時)に対応して設
定された第1のプロセス経年変化予測モデル52a,流
量qが比較的多い状況(12時〜17時)に対応して設
定された第2のプロセス経年変化予測モデル52b,流
量qがゼロの状況(17時〜翌9時)に対応して設定さ
れた第3のプロセス経年変化予測モデル52cからな
り、検出器劣化予測モデル53は、流量qが比較的少な
い状況(9時〜12時)に対応して設定された第1の検
出器劣化予測モデル53a,流量qが比較的多い状況
(12時〜17時)に対応して設定された第2の検出器
劣化予測モデル53b,流量qがゼロの状況(17時〜
翌9時)に対応して設定された第3の検出器劣化予測モ
デル53cからなる。
【0090】また、判定部40は、データ収集部30
が、対象検出器21および参照検出器22から流量デー
タg(t)および流量データf(t)を収集したときの
時刻を、時刻出力部90を参照して定め、この定められ
た時刻に対応する各予測モデル51〜53を用いて、上
述した実施の形態1と同様の判定を行う。
【0091】すなわち、例えば、データ収集部30が対
象検出器21および参照検出器22から流量データg
(t)および流量データf(t)を収集したときの時刻
が、時刻出力部90を参照した結果、10時のときは、
この10時における状況(流量qが比較的少ない状況
(9時〜12時))に対応して設定された第1の健全予
測モデル51a,第1のプロセス経年変化予測モデル5
2a,第1の検出器劣化予測モデル53aを用いて、上
記判定を行う。
【0092】このように構成された実施の形態3である
検出器の健全性判定システム100によれば、プロセス
10を流れる媒体11の流量qごとに感度を適正化して
設定された予測モデル51a〜51c,52a〜52
c,53a〜53cを用いて、対象検出器21の健全性
を判定するため、実施の形態1および実施の形態2にそ
れぞれ示したシステムよりも、一層精度よく健全性を判
定することができる。
【0093】なお、プロセス10の稼働状況が、早朝、
日中、夜間、深夜の4つの時間帯で異なる場合には、こ
の4つの時間帯に対応して、各予測モデル51〜53を
それぞれ設定すればよく、この他にも、稼働状況が異な
る数に応じた数の各予測モデル51〜53を設定すれば
よい。
【0094】また、時刻出力部90を、一日のうちの時
刻だけでなく一週間の曜日をも出力するものとし、各予
測モデル51a〜51c,52a〜52c,53a〜5
3cをそれぞれ、さらに曜日に応じて別個に設定しても
よく、このように曜日や時間帯ごとに細分化して設定す
ることにより、例えば休日明けの最初の稼働時における
予測や休日前の週末における予測を、より精度よく行う
ことができるため、これに応じて対象検出器21の健全
性を、より精度よく判定することができる。
【0095】上述した各実施の形態1〜3においては、
最終的に判定用LUT42を参照して判定部40が、対
象検出器21の健全性を判定するものであるが、各予測
モデル51〜53が適切に設定されていない場合や、検
出器21,22の検出データやプロセス10の変化状況
が、想定される予測よりも大きくずれたり、反対に予測
よりもずれが少ない場合には、判定部40による判定結
果が誤った状態が頻発することになる。
【0096】そこで、このような判定結果の誤りの状態
を統計的に集計し、この集計した結果に応じて判定結果
を補正するように、判定部40に補正部を設けるなどし
てもよい。もちろん、このような補正部を設けるのに代
えて、集計結果に応じて各予測モデル51〜53や判定
用LUT42の内容を直接修正してもよい。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
検出器の健全性判定方法(請求項1)によれば、従来の
経年後検出状態量と健全予測状態量との比較結果だけで
なく、従来にはない、経年後検出状態量とプロセス(少
なくとも参照検出器と対象検出器との間のプロセス)の
経年変化を見込んだプロセス経年変化予測状態量との比
較結果や、経年後検出状態量と検出器の劣化を見込んだ
検出器劣化予測状態量との比較結果をも用いて、検出器
の健全性を判定するため、参照検出器と対象検出器との
間のプロセスに経年変化が生じた場合においても、検出
器の健全性を従来よりも精度よく判定することができ
る。
【0098】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項2)によれば、相関関係を線形関数によっ
て表し、この線形関数を求めるに際して、カルマンフィ
ルタアルゴリズムを適用することにより、容易に上記相
関関係(線形関数)を求めることができる。
【0099】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項3)によれば、(1)経年後において対象
検出器によって得られた状態量と、経年後において参照
検出器によって得られた状態量を健全予測モデルに入力
して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定された
第1の閾値よりも小さいときは、対象検出器は健全であ
る可能性が高く、(2)経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量をプロセス経年変化予測モデルに入
力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が
予め設定された第2の閾値よりも大きいときは、プロセ
スは経年変化していない可能性が高く、(3)経年後に
おいて対象検出器によって得られた状態量と、経年後に
おいて参照検出器によって得られた状態量を検出器劣化
予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいとき
は、対象検出器は劣化していない可能性が高く、これら
(1)〜(3)の結果によれば、プロセスの経年変化は
ない状態において対象検出器は健全である可能性が極め
て高く、したがって、対象検出器の健全性について、健
全であるとの判定は、従来の判定よりも極めて精度の高
いものとなる。
【0100】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項4)によれば、(1)経年後において対象
検出器によって得られた状態量と、経年後において参照
検出器によって得られた状態量を健全予測モデルに入力
して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定された
第1の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健全でな
い可能性が高く、(2)経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して
得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定され
た第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は劣化し
ている可能性が高く、これら(1)および(2)の結果
によれば、プロセスの経年変化に拘らず対象検出器は健
全ではない、すなわち劣化している可能性が極めて高
く、したがって、対象検出器の健全性について、健全で
ない(劣化している)との判定結果は、従来の判定結果
よりも極めて精度の高いものとなる。
【0101】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項5)によれば、(1)経年後において対象
検出器によって得られた状態量と、経年後において参照
検出器によって得られた状態量をプロセス経年変化予測
モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測状態量
と、の差が予め設定された第2の閾値よりも小さいとき
は、プロセスが経年変化した可能性が高く、(2)経年
後において対象検出器によって得られた状態量と、経年
後において参照検出器によって得られた状態量を検出器
劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態
量と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいと
きは、対象検出器は劣化していない可能性が高く、これ
ら(1)および(2)の結果によれば、プロセスは経年
変化しているが、対象検出器は劣化していない、すなわ
ち健全である可能性が極めて高く、したがって、対象検
出器の健全性について、健全であるとの判定結果は、プ
ロセスの経年変化を勘案したうえでの判定結果であるた
め、従来の判定結果よりも極めて精度の高いものとな
る。
【0102】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項6)によれば、(1)経年後において対象
検出器によって得られた状態量と、経年後において参照
検出器によって得られた状態量を健全予測モデルに入力
して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定された
第1の閾値よりも小さいときは、対象検出器は健全であ
る可能性が高く、(2)経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入力して
得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定され
た第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は劣化し
ている可能性が高く、これら(1)および(2)の結果
によれば、対象検出器は健全であるか、または劣化して
いるか、の判定が分かれることになるが、少なくとも一
方において、劣化の可能性を示唆していることを評価し
て、最終的に、対象検出器は健全でない(劣化してい
る)と判定することによって、プロセスの経年変化に拘
らず、当該対象検出器を校正し、または交換して、対象
検出器による検出精度悪化を未然に防止することができ
る。
【0103】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
方法(請求項7)によれば、(1)経年後において対象
検出器によって得られた状態量と、経年後において参照
検出器によって得られた状態量を健全予測モデルに入力
して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定された
第1の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健全でな
い可能性が高く、(2)経年後において対象検出器によ
って得られた状態量と、経年後において参照検出器によ
って得られた状態量をプロセス経年変化予測モデルに入
力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が
予め設定された第2の閾値よりも大きいときは、プロセ
スは経年変化していない可能性が高く、(3)経年後に
おいて対象検出器によって得られた状態量と、経年後に
おいて参照検出器によって得られた状態量を検出器劣化
予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量
と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きいとき
は、対象検出器は劣化していない可能性が高く、これら
(1)〜(3)の結果によれば、プロセスは経年変化し
ておらず、対象検出器は健全であるか、または劣化して
いるか、の判定が分かれることになるが、少なくとも一
方において、劣化の可能性を示唆していることを評価し
て、最終的に、対象検出器は健全でない(劣化してい
る)と判定することによって、プロセスの経年変化は生
じていない状態において、当該対象検出器を校正し、ま
たは交換して、対象検出器による検出精度悪化を未然に
防止することができる。
【0104】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項8)によれば、従来の経年後検出状態
量と健全予測状態量との比較結果だけでなく、従来には
ない、経年後検出状態量とプロセス(少なくとも参照検
出器と対象検出器との間のプロセス)の経年変化を見込
んだプロセス経年変化予測状態量との比較結果や、経年
後検出状態量と検出器の劣化を見込んだ検出器劣化予測
状態量との比較結果をも用いて、判定手段が、検出器の
健全性を判定するため、参照検出器と対象検出器との間
のプロセスに経年変化が生じた場合においても、検出器
の健全性を従来よりも精度よく判定することができる。
【0105】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項9)によれば、上記相関関係を線形関
数によって表し、この線形関数を求めるに際して、カル
マンフィルタアルゴリズムを適用することにより、容易
に上記相関関係(線形関数)を求めることができる。
【0106】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項10)によれば、(1)経年後におい
て対象検出器によって得られた状態量と、経年後におい
て参照検出器によって得られた状態量を健全予測モデル
に入力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定
された第1の閾値よりも小さいときは、対象検出器は健
全である可能性が高く、(2)経年後において対象検出
器によって得られた状態量と、経年後において参照検出
器によって得られた状態量をプロセス経年変化予測モデ
ルに入力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、
の差が予め設定された第2の閾値よりも大きいときは、
プロセスは経年変化していない可能性が高く、(3)経
年後において対象検出器によって得られた状態量と、経
年後において参照検出器によって得られた状態量を検出
器劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状
態量と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きい
ときは、対象検出器は劣化していない可能性が高く、こ
れら(1)〜(3)の結果によれば、プロセスの経年変
化はない状態において対象検出器は健全である可能性が
極めて高く、したがって、判定手段による、対象検出器
の健全性について、健全であるとの判定は、従来の判定
よりも極めて精度の高いものとなる。
【0107】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項11)によれば、(1)経年後におい
て対象検出器によって得られた状態量と、経年後におい
て参照検出器によって得られた状態量を健全予測モデル
に入力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定
された第1の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健
全でない可能性が高く、(2)経年後において対象検出
器によって得られた状態量と、経年後において参照検出
器によって得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入
力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設
定された第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は
劣化している可能性が高く、これら(1)および(2)
の結果によれば、プロセスの経年変化に拘らず対象検出
器は健全ではない、すなわち劣化している可能性が極め
て高く、したがって、判定手段による、対象検出器の健
全性について、健全でない(劣化している)との判定結
果は、従来の判定結果よりも極めて精度の高いものとな
る。
【0108】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項12)によれば、(1)経年後におい
て対象検出器によって得られた状態量と、経年後におい
て参照検出器によって得られた状態量をプロセス経年変
化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測
状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも小さ
いときは、プロセスが経年変化した可能性が高く、
(2)経年後において対象検出器によって得られた状態
量と、経年後において参照検出器によって得られた状態
量を検出器劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣
化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾値より
も大きいときは、対象検出器は劣化していない可能性が
高く、これら(1)および(2)の結果によれば、プロ
セスは経年変化しているが、対象検出器は劣化していな
い、すなわち健全である可能性が極めて高く、したがっ
て、判定手段による、対象検出器の健全性について、健
全であるとの判定結果は、プロセスの経年変化を勘案し
たうえでの判定結果であるため、従来の判定結果よりも
極めて精度の高いものとなる。
【0109】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項13)によれば、(1)経年後におい
て対象検出器によって得られた状態量と、経年後におい
て参照検出器によって得られた状態量を健全予測モデル
に入力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定
された第1の閾値よりも小さいときは、対象検出器は健
全である可能性が高く、(2)経年後において対象検出
器によって得られた状態量と、経年後において参照検出
器によって得られた状態量を検出器劣化予測モデルに入
力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設
定された第3の閾値よりも小さいときは、対象検出器は
劣化している可能性が高く、これら(1)および(2)
の結果によれば、対象検出器は健全であるか、または劣
化しているか、の判定が分かれることになるが、判定手
段は、少なくとも一方において、劣化の可能性を示唆し
ていることを評価して、最終的に、対象検出器は健全で
ない(劣化している)と判定することによって、プロセ
スの経年変化に拘らず、当該対象検出器を校正し、また
は交換して、対象検出器による検出精度悪化を未然に防
止することができる。
【0110】また、本発明にかかる検出器の健全性判定
システム(請求項14)によれば、(1)経年後におい
て対象検出器によって得られた状態量と、経年後におい
て参照検出器によって得られた状態量を健全予測モデル
に入力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定
された第1の閾値よりも大きいときは、対象検出器は健
全でない可能性が高く、(2)経年後において対象検出
器によって得られた状態量と、経年後において参照検出
器によって得られた状態量をプロセス経年変化予測モデ
ルに入力して得られたプロセス経年変化予測状態量と、
の差が予め設定された第2の閾値よりも大きいときは、
プロセスは経年変化していない可能性が高く、(3)経
年後において対象検出器によって得られた状態量と、経
年後において参照検出器によって得られた状態量を検出
器劣化予測モデルに入力して得られた検出器劣化予測状
態量と、の差が予め設定された第3の閾値よりも大きい
ときは、対象検出器は劣化していない可能性が高く、こ
れら(1)〜(3)の結果によれば、プロセスは経年変
化しておらず、対象検出器は健全であるか、または劣化
しているか、の判定が分かれることになるが、判定手段
が、少なくとも一方において、劣化の可能性を示唆して
いることを評価して、最終的に、対象検出器は健全でな
い(劣化している)と判定することによって、プロセス
の経年変化は生じていない状態において、当該対象検出
器を校正し、または交換して、対象検出器による検出精
度悪化を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1である検出器の健全性判
定システムを示す図である。
【図2】図1に示した健全性判定システムのメモリに記
憶された各予測モデルの作成方法を説明するための図で
ある。
【図3】学習段階における予測値と実測値との差を求め
る作用を説明する図である。
【図4】実用段階における予測値と実測値との差を求め
る作用を説明する図である。
【図5】判定用LUTの内容を表す図である。
【図6】本発明の実施の形態2である検出器の健全性判
定システムを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3である検出器の健全性判
定システムを示す図である。
【符号の説明】
10 プロセス 11 媒体 21 対象検出器(流量検出器) 22 参照検出器(流量検出器) 30 データ収集部 40 判定部 41 演算部 42 判定用LUT 50 メモリ 51 健全性予測モデル 52 プロセス経年変化予測モデル 53 検出器劣化予測モデル 60 ディスプレイ装置 70 データ入力部 100 検出器の健全性判定システム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 宣弘 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 2F076 BA13 BA17 BD07 BD11 BD14 BD19 BE04 BE06 BE08 BE13 2G024 AD33 BA11 CA26 EA12 FA03 2G075 AA01 CA49 DA03 DA04 DA05 DA06 DA07 EA01 FA07 FB10 FB18 GA15 5H223 AA03 BB02 EE02 FF05 FF06 FF08

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のプロセスの状態量を検出する検出
    器の健全性を判定する検出器の健全性判定方法であっ
    て、 前記プロセスが健全な状態、かつ前記検出器が健全な状
    態において、前記状態量を検出する健全な参照検出器に
    よって検出された状態量と、前記健全性を判定する対象
    となる対象検出器によって検出された状態量との相関関
    係を求めて、プロセス健全状態かつ検出器健全状態にお
    ける、前記参照検出器による状態量と前記対象検出器に
    よる状態量との関係を表す健全予測モデルを予め作成
    し、 前記プロセスが経年変化した状態、かつ前記対象検出器
    が健全な状態において、前記参照検出器によって検出さ
    れた状態量と、前記対象検出器によって検出された状態
    量との相関関係を求めて、プロセス経年変化状態かつ検
    出器健全状態における、前記参照検出器による状態量と
    前記対象検出器による状態量との関係を表すプロセス経
    年変化予測モデルを予め作成し、 前記プロセスが健全な状態、かつ前記対象検出器が劣化
    した状態において、前記参照検出器によって検出された
    状態量と、前記対象検出器によって検出された状態量と
    の相関関係を求めて、プロセス健全状態かつ検出器劣化
    状態における、前記参照検出器による状態量と前記対象
    検出器による状態量との関係を表す検出器劣化予測モデ
    ルを予め作成し、 経年後において前記対象検出器によって検出された状態
    量と、該経年後において前記参照検出器によって検出さ
    れた状態量を、前記健全予測モデル、前記プロセス経年
    変化予測モデル、および前記検出器劣化予測モデルにそ
    れぞれ入力して得られた各予測状態量と、を比較し、こ
    れらの比較結果に基づいて、前記対象検出器の健全性を
    判定することを特徴とする検出器の健全性判定方法。
  2. 【請求項2】 前記相関関係は、前記参照検出器によっ
    て検出された状態量と前記対象検出器によって検出され
    た状態量とに対してカルマンフィルタアルゴリズムを適
    用して得られた線形関数であることを特徴とする請求項
    1に記載の検出器の健全性判定方法。
  3. 【請求項3】 前記経年後において前記対象検出器によ
    って得られた状態量と、前記経年後において前記参照検
    出器によって得られた状態量を前記健全予測モデルに入
    力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定され
    た第1の閾値よりも小さく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記プロセス経年変化予測モデルに入力
    して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が予
    め設定された第2の閾値よりも大きく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得
    られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された
    第3の閾値よりも大きいときは、前記対象検出器は健全
    であると判定することを特徴とする請求項1または2に
    記載の検出器の健全性判定方法。
  4. 【請求項4】 前記経年後において前記対象検出器によ
    って得られた状態量と、前記経年後において前記参照検
    出器によって得られた状態量を前記健全予測モデルに入
    力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定され
    た第1の閾値よりも大きく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得
    られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された
    第3の閾値よりも小さいときは、前記対象検出器は劣化
    していると判定することを特徴とする請求項1または2
    に記載の検出器の健全性判定方法。
  5. 【請求項5】 前記経年後において前記対象検出器によ
    って得られた状態量と、前記経年後において前記参照検
    出器によって得られた状態量を前記プロセス経年変化予
    測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測状態
    量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも小さく、
    かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得
    られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された
    第3の閾値よりも大きいときは、前記対象検出器は健全
    であると判定することを特徴とする請求項1または2に
    記載の検出器の健全性判定方法。
  6. 【請求項6】 前記経年後において前記対象検出器によ
    って得られた状態量と、前記経年後において前記参照検
    出器によって得られた状態量を前記健全予測モデルに入
    力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定され
    た第1の閾値よりも小さく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得
    られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された
    第3の閾値よりも小さいときは、前記対象検出器は劣化
    していると判定することを特徴とする請求項1または2
    に記載の検出器の健全性判定方法。
  7. 【請求項7】 前記経年後において前記対象検出器によ
    って得られた状態量と、前記経年後において前記参照検
    出器によって得られた状態量を前記健全予測モデルに入
    力して得られた健全予測状態量と、の差が予め設定され
    た第1の閾値よりも大きく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記プロセス経年変化予測モデルに入力
    して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が予
    め設定された第2の閾値よりも大きく、かつ、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得
    られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された
    第3の閾値よりも大きいときは、前記対象検出器は劣化
    していると判定することを特徴とする請求項1または2
    に記載の検出器の健全性判定方法。
  8. 【請求項8】 所定のプロセスの状態量を検出する検出
    器の健全性を判定する検出器の健全性判定システムであ
    って、 前記プロセスの状態量を常に健全な状態で検出する参照
    検出器と、 前記プロセスが健全な状態、かつ前記検出器が健全な状
    態において、前記状態量を検出する健全な参照検出器に
    よって検出された状態量と、前記健全性を判定する対象
    となる対象検出器によって検出された状態量との相関関
    係を予め求めて、プロセス健全状態かつ検出器健全状態
    における、前記参照検出器による状態量と前記対象検出
    器による状態量との関係を表す健全予測モデル、 前記プロセスが経年変化した状態、かつ前記対象検出器
    が健全な状態において、前記参照検出器によって検出さ
    れた状態量と、前記対象検出器によって検出された状態
    量との相関関係を求めて、プロセス経年変化状態かつ検
    出器健全状態における、前記参照検出器による状態量と
    前記対象検出器による状態量との関係を表すプロセス経
    年変化予測モデル、および、 前記プロセスが健全な状態、かつ前記対象検出器が劣化
    した状態において、前記参照検出器によって検出された
    状態量と、前記対象検出器によって検出された状態量と
    の相関関係を求めて、プロセス健全状態かつ検出器劣化
    状態における、前記参照検出器による状態量と前記対象
    検出器による状態量との関係を表す検出器劣化予測モデ
    ル、が記憶された記憶手段と、 経年後において前記対象検出器によって検出された状態
    量と、該経年後において前記参照検出器によって検出さ
    れた状態量を、前記健全予測モデル、前記プロセス経年
    変化予測モデル、および前記検出器劣化予測モデルにそ
    れぞれ入力して得られた各予測状態量と、を比較し、こ
    れらの比較結果に基づいて、前記対象検出器の健全性を
    判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする検出器
    の健全性判定システム。
  9. 【請求項9】 前記相関関係は、前記参照検出器によっ
    て検出された状態量と前記対象検出器によって検出され
    た状態量とに対してカルマンフィルタアルゴリズムを適
    用して得られた線形関数であることを特徴とする請求項
    8に記載の検出器の健全性判定システム。
  10. 【請求項10】 前記判定手段は、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記健全予測モデルに入力して得られた
    健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾値よ
    りも小さく、かつ、前記経年後において前記対象検出器
    によって得られた状態量と、前記経年後において前記参
    照検出器によって得られた状態量を前記プロセス経年変
    化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測
    状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも大き
    く、かつ、前記経年後において前記対象検出器によって
    得られた状態量と、前記経年後において前記参照検出器
    によって得られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに
    入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め
    設定された第3の閾値よりも大きいときは、前記対象検
    出器は健全であると判定することを特徴とする請求項8
    または9に記載の検出器の健全性判定システム。
  11. 【請求項11】 前記判定手段は、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記健全予測モデルに入力して得られた
    健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾値よ
    りも大きく、かつ、前記経年後において前記対象検出器
    によって得られた状態量と、前記経年後において前記参
    照検出器によって得られた状態量を前記検出器劣化予測
    モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の
    差が予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、前
    記対象検出器は劣化していると判定することを特徴とす
    る請求項8または9に記載の検出器の健全性判定システ
    ム。
  12. 【請求項12】 前記判定手段は、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記プロセス経年変化予測モデルに入力
    して得られたプロセス経年変化予測状態量と、の差が予
    め設定された第2の閾値よりも小さく、かつ、前記経年
    後において前記対象検出器によって得られた状態量と、
    前記経年後において前記参照検出器によって得られた状
    態量を前記検出器劣化予測モデルに入力して得られた検
    出器劣化予測状態量と、の差が予め設定された第3の閾
    値よりも大きいときは、前記対象検出器は健全であると
    判定することを特徴とする請求項8または9に記載の検
    出器の健全性判定システム。
  13. 【請求項13】 前記判定手段は、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記健全予測モデルに入力して得られた
    健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾値よ
    りも小さく、かつ、前記経年後において前記対象検出器
    によって得られた状態量と、前記経年後において前記参
    照検出器によって得られた状態量を前記検出器劣化予測
    モデルに入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の
    差が予め設定された第3の閾値よりも小さいときは、前
    記対象検出器は劣化していると判定することを特徴とす
    る請求項8または9に記載の検出器の健全性判定システ
    ム。
  14. 【請求項14】 前記判定手段は、 前記経年後において前記対象検出器によって得られた状
    態量と、前記経年後において前記参照検出器によって得
    られた状態量を前記健全予測モデルに入力して得られた
    健全予測状態量と、の差が予め設定された第1の閾値よ
    りも大きく、かつ、前記経年後において前記対象検出器
    によって得られた状態量と、前記経年後において前記参
    照検出器によって得られた状態量を前記プロセス経年変
    化予測モデルに入力して得られたプロセス経年変化予測
    状態量と、の差が予め設定された第2の閾値よりも大き
    く、かつ、前記経年後において前記対象検出器によって
    得られた状態量と、前記経年後において前記参照検出器
    によって得られた状態量を前記検出器劣化予測モデルに
    入力して得られた検出器劣化予測状態量と、の差が予め
    設定された第3の閾値よりも大きいときは、前記対象検
    出器は劣化していると判定することを特徴とする請求項
    8または9に記載の検出器の健全性判定システム。
JP2001154337A 2001-05-23 2001-05-23 検出器の健全性判定方法および健全性判定システム Withdrawn JP2002350198A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016110594A (ja) * 2014-12-08 2016-06-20 株式会社東芝 プラント監視装置、プラント監視方法、およびプログラム
WO2017006593A1 (ja) * 2015-07-08 2017-01-12 Necソリューションイノベータ株式会社 センサ監視装置、センサ監視方法、及び、プログラム
KR20220115336A (ko) * 2021-02-10 2022-08-17 한국수력원자력 주식회사 중수로 바나듐 검출기 고장 예측 모델링 시스템 및 그 방법

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