JP2002348607A - 車両用部品における固体成形焼入方法 - Google Patents

車両用部品における固体成形焼入方法

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JP2002348607A
JP2002348607A JP2001155732A JP2001155732A JP2002348607A JP 2002348607 A JP2002348607 A JP 2002348607A JP 2001155732 A JP2001155732 A JP 2001155732A JP 2001155732 A JP2001155732 A JP 2001155732A JP 2002348607 A JP2002348607 A JP 2002348607A
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forming
quenching
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Yuji Yamamoto
祐治 山本
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用部品の衝突安全性、軽量化、高強度化
ができ、また複雑形状、加工性に優れた車両用部品を提
供する。 【解決手段】 炭素量が0.15wt%以下の成分含有
量の組成からなる鋼材500を上型101と下型102
の間に載置する工程と、該鋼材を上型あるいは下型の移
動により行われるプレス成形加工と同時に、強度が必要
な強度部位に部分的に焼入処理する工程と、からなるこ
とを特徴とする車両用部品における固体成形焼入方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用部品におけ
る固体成形焼入方法に関し、特にプレス成形加工と同時
に部分的に焼入れを行う車両用部品における固体成形焼
入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特公昭56−23689号公報に
示すように、ブレーキディスクの製造方法において、予
め鋼材を焼入温度に加熱し、その鋼材を上下の金型間に
挿入し、焼入温度状態で縁切り台による縁切り、外周側
のディスク部に対し、内周側のバブ取付部を形成するた
めの上下型の雌雄型部による絞り、内径孔等を形成する
ためのパンチによる孔穿け等の成形打抜工程を完了さ
せ、同時にこの上下間の加圧状態を継続して上記雌雄型
部による挟圧状態及び上記パンチの打ち抜き挿入のま
ま、鋼材を上下型内を通過する冷却媒体により連続して
間接冷却焼入れするようにしたブレーキディスクの製造
方法の技術が開示されている。
【0003】また、特開平7−51760号公報には、
爆轟圧による自動車用強度部品の製造方法が開示されて
いる。これは、薄板を第一の成形型を用いてプレス成形
または液圧成形して1次成形品を製造した後、該第1次
成形品を第二の成形型上に置き、可燃性混合気を着火す
ることにより発生するデトネーション波をその進行とと
もに収束し、収束部で得られる高圧を直接もしくは交換
可能な膜体を介して液体または弾性体からなる圧力媒体
に伝達して液圧または弾圧に変換し、該液圧または弾圧
により膜体を介しもしくは直後に前記1次成形品を前記
第二の成形型に圧して形状矯正する自動車用強度部品の
製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
特公昭56−23689号公報における製造方法の形状
はブレーキデイスク等平板へ全体への適用であり、フラ
ンジ曲げやバーリング加工等を使ったロアアーム、ロア
レール、アッパーアーム等のシート部品にみられる複雑
な部品の形状への対応は、深絞り成形であるため、その
成形加工は難しい。
【0005】また後者の特開平7−51760号公報で
は、実際のプレス成形において現在一般に使用されてい
るのは、矯正が難しいため、せいぜい引張強さ600N
/mm2止まりである。特に、主に車体のシートに使用
される部品であるロアアーム、ロアレール、アッパーア
ーム等のシート部品の更なる車体軽量化の実現のために
は、引張強さ600〜800N/mm2以上の高張力鋼
材を成形する製造方法の確立が望まれており、引張強度
が高くなるにつれ、成形性の悪さや加工後の内部応力解
放(スプリングバック)により寸法が出ない問題がある。
【0006】さらに車両のシート部品であるアッパー、
ロアレールは現状JIS規格SPH400、590(厚
さ2.0mm)材料を使用しプレスにて成形している。
しかしながら、低コスト及び軽量化のニーズにより、
(JIS規格SPFC980Y(厚さ1.2mm))材
料での検討を適用した場合、SPFC980Y材料では
伸びが少なく硬度が硬いことから、複雑な成形には向か
ない。
【0007】本発明は、上記課題を解決したもので、衝
突安全性、軽量化、高強度化に伴なう、高張力鋼材(ハ
イテン材)で成形と同時に強度が必要な部位に部分熱処
理を行なうことで複雑形状、強度、加工性に優れた車両
用部品における固体成形焼入方法を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るためになされた請求項1の発明は、炭素量が0.15
wt%以下の成分含有量の組成からなる鋼材を上型と下
型の間に載置する工程と、該鋼材を上型あるいは下型の
移動により行われるプレス成形加工と同時に、強度が必
要な強度部位に部分的に焼入処理する工程と、からなる
ことを特徴とする車両用部品における固体成形焼入方法
である。
【0009】請求項1の発明により、車両用部品の衝突
安全性、軽量化、高強度化ができ、また複雑形状、加工
性に優れた車両用部品となる。炭素量が0.15wt%
以下であると成形性が良好で、炭素量が0.15より大
きいと成形性が悪くなる。
【0010】上記技術的課題を解決するためになされた
請求項2の発明は、前記プレス成形加工において、曲げ
プレス成形と孔あけプレス成形加工が同時に行われるこ
と特徴とする請求項1記載の車両用部品における固体成
形焼入方法である。
【0011】請求項2の発明により、請求項1の効果に
加えて、工程短縮、コストダウンといった効果が得られ
る。
【0012】上記技術的課題を解決するためになされた
請求項3の発明は、前記プレス成形加工において、曲げ
プレス成形とバーリング成形加工が同時に行われること
特徴とする請求項1記載の車両用部品における固体成形
焼入方法である。
【0013】請求項3の発明により、請求項1の効果に
加えて、工程短縮、コストダウンといった効果が得られ
る。
【0014】上記技術的課題を解決するためになされた
請求項4の発明は、前記鋼材は、炭素量0.10wt%
〜0.15wt%,珪素量 0.03wt%以下、マン
ガン量0.60wt%〜1.50wt%、リン量0.0
20wt%以下、イオウ量0.013wt%以下、ホウ
素量0.001〜0.004wt%の成分含有量を有す
る高張力鋼材であることを特徴とする請求項1〜請求項
3いずれか記載の車両用部品における固体成形焼入方法
である。
【0015】請求項4の発明により、車両用部品の衝突
安全性、軽量化、高強度化ができ、また複雑形状、加工
性に優れた車両用部品となる。鋼材の各成分含有量の数
値範囲については、以下のとおりである。
【0016】炭素(C)量:焼入後の硬度を確保するた
めに必要であり、0.10wt%以上が望ましい。但
し、含有量の増加に伴い成形性が悪くなったり、焼入後
の歪が増大するため、上限が0.15wt%が望まし
い。
【0017】マンガン(Mn)量:鋼材の強度と焼入性
を高めるために必要であり、0.60wt%以上は必要
である。但し、含有量の増加に伴い鋼材の延性が悪くな
るため、上限が1.15wt%が望ましい。
【0018】珪素(Si)量:より少ないことが望まし
いが、鋼の製造上含有されてしまうものであり、0.0
3wt%以下が望ましい。
【0019】マンガン(Mn)量:鋼材の強度と焼入性
を高めるために必要であり、0.60wt%以上が望ま
しい。但し、含有量の増加に伴い鋼材の延性が悪くなる
ため、上限が1.50wt%が望ましい。
【0020】リン(P)量:珪素と同様により少ないこ
とが望ましいが、鋼の製造上含有されてしまうものであ
り、0.020wt%以下が望ましい。
【0021】イオウ(S)量:リンと同様により少ない
ことが望ましいが、鋼の製造上含有されてしまうもので
あり、0.013wt%以下が望ましい。
【0022】ホウ素(B)量:焼入性を高めるために必
要であり、0.001wt%以上が望ましい。但し、含
有量の増加に伴い製造上有害な欠陥が発生しやすくなる
ため、上限が0.004wt%が望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。
【0024】図1は本発明の実施例に使用される車両用
シートの全体側面図である。シート下方の骨格部にあた
るスライド部分の構成はロアレール1とアッパレール2
とからなる。アッパレール2にはブラケット4を介して
アッパアーム3が固定される。アッパアーム3にはピン
6を介して背アーム5が軸支されている。
【0025】ロアレール1は図2に示すように、基体1
1から両端に上方へ側部12が立設し、上部でその先端
が下方に折れ曲がるようコの字状の鉤部13が形成され
ている。
【0026】一方アッパレール2は図3に示すように、
基体21の片方は下方に側部22が立設し、下部でその
先端が上方へ折れ曲がるようコの字状の鉤部23が形成
されている。他方は上方に立設した側部23が立設して
いる。上記側部23の外側にも側部24が固定されてい
る。この側部24の下部でその先端が上方へ折れ曲がる
ようコの字状の鉤部25が形成されている。あるいは次
の図4〜図12に示すようアッパレール全体をコの字状
にし、その側部壁面に側部23を設けてもよい。
【0027】次に本発明の第1実施例の金型装置100
を図4から図6に示す。金型装置100は、上型101
と下型102からなる金型装置100からなる。上型1
01の本体101aの内にはスリーブ101bが嵌挿さ
れている。また本体101aの下端は突起部101aa
が形成されている。
【0028】上記スリーブ101bの内面には可動部材
101cが摺動自在に配設されている。また本体101
aの内側には金型100が閉じてプレス成形したとき、
鋼材500の焼入を行わない部分に相当する部分に空洞
部101cが形成されている。この空洞部101dの位
置は上型101の本体101aの下端からAの距離の長
さに空洞部101dが形成し始めBの距離の長さ分空洞
が形成されている。
【0029】一方、下型102には、本体102aが設
置されている。この本体102aには前記上型101の
突起部101aaに対向する個所に凹部102aaが形
成されている。また本体102aには下型固定部材10
2bが設けられている。この下型固定部材102bの先
端には前記空洞部102cに対向する部分に空洞部10
2bが形成されている。この下型102aにも、凹部1
02aaの下端からAの距離の長さに空洞部102cが
形成し始めBの距離の長さ分空洞が形成されている。
【0030】次に、本発明の金型装置100を使用した
作動図について説明する。
【0031】鋼材500はJIS規格SPC980DU
に近い引張強度を有する炭素量0.15wt%以下の成
分含有量を有する組成からなる440N/mm2の引張
強度の高張力鋼材を用いる。
【0032】ブランク抜きが行なわれた鋼材500を用
い、雰囲気炉にて900℃〜950℃に鋼材500を加
熱する。
【0033】図4に示すように、下型102の下型固定
部材102bの上に鋼材500を載置させ、上型101
を下降させ、本体101aの突起部101aaとスリー
ブ101bの下端が鋼材500に当接する。
【0034】図5に示すように、鋼材500は本体10
1aと下型固定部材102bの間で曲げあるいは絞りプ
レス成形加工され、突部501形状を有した部分が形成
される。
【0035】さらに図6に示すように、上型101の本
体101aが下降し、上型101と下型102とが重な
り、同時に、可動部材101cも下降して鋼材500の
突部501を押圧している。このようにして、鋼材50
0の成形加工が行われる。
【0036】図6に示すように、上型101と下型10
2が完全に閉じたとき、プレス成形が完了するが、鋼材
500の非熱処理部502は空隙部101dと空隙部1
02cが形成されているため、急冷されず、焼入がなさ
れない。一方非熱処理部以外、つまり空隙部101dと
空隙部102c以外の部分は、上型101と下型102
により急冷され、焼入が行われる。なお金型温度は約4
0〜70°Cであるので急冷焼入が行なわれる。
【0037】その後、上型101と下型101が開か
れ、鋼材500を取り出し、ロアアームあるいはアッパ
アームが製造される。このように440N/mm2の引
張強度を要する鋼材を用いて、プレス成形と熱処理を同
時に行なうことで、低引張強度(例えば440N/mm
2)の引張強度組成部分以外に、高引張強度(例えば9
80N/mm2以上)の引張強度組成部分を部分的に生
じせしめることができる。
【0038】以上のように、本発明は鋼材が高温中の間
に成形と熱処理を一工程で終了させ、製品形状に成形す
る。それゆえ、自動車用のシート部品のような複雑な形
状にも対応が可能となる。
【0039】また、図7から図9に示すように、他の実
施例である第2実施例を示す。可動部材201cにポン
チ201dを備えるようにすればプレス成形と同時に焼
入がなされた熱処理部に孔あけを形成することが可能と
なる。
【0040】図7に示すように、下型固定部材202b
にはポンチ201dが挿入可能な凹部202baが穿設
されている。鋼材500を第1実施例と同じように下型
固定部材202bに載置し、図8に示すように上型20
1が下降することにより、鋼材500がプレス成形され
る。なお図7から図9において、第2実施例の第1実施
例に相当する部材には、数字の100番台を200番台
に変更しており、基本的な金型構造は第1実施例と同じ
である。
【0041】図8に示すように、鋼材500は本体20
1aと下型固定部材202bの間で曲げあるいは絞りプ
レス成形加工され、突部501形状を有した部分が形成
される。さらに、上型201の本体201aが下降し、
上型201と下型202とが重なり、同時に、可動部材
201cも下降して鋼材500の突部501を押圧して
いる。このようにして、鋼材500の成形加工が始めら
れる。
【0042】図9に示すように、上型201と下型20
2が完全に閉じたとき、プレス成形が完了するが、鋼材
500の非熱処理部502は空隙部201dと空隙部2
02cが形成されているため、急冷されず、焼入がなさ
れない。一方非熱処理部以外、つまり空隙部101dと
空隙部102c以外の部分は、上型101と下型102
により急冷され、焼入が行われる。なお金型温度は約4
0〜70°Cであるので急冷焼入が行なわれる。
【0043】このとき可動部材201cが下降しポンチ
201dにより鋼材500にプレス加工と同時に孔をあ
ける。ポンチ201dは凹部202baに挿入される。
【0044】その後、第1実施例と同様、上型201と
下型201開かれ、鋼材500を取り出し、ロアアーム
あるいはアッパアームが製造される。このように440
N/mm2の引張強度を要する鋼材を用いて、プレス成
形と熱処理を同時に行なうことで、低引張強度(例えば
440N/mm2)の引張強度組成部分以外に、高引張
強度(例えば980N/mm2以上)の引張強度組成部
分を部分的に生じせしめ、高引張強度組成部分にも同時
に孔を穿設することができる。
【0045】次に、図10から図12に示すように、本
発明の第3実施例について説明する。第3実施例におい
ては、可動ポンチ301dがバーリング用のポンチであ
って、被加工物である鋼材500には孔が穿設する位置
に前記可動ポンチ301dより小さい小孔502が形成
されている。他は基本的に第1実施例と第2実施例と同
様な構造、作動をする。図11から図12に示すように
下型301の下降により、鋼材500の小孔502がバ
ーリング加工により開口される。また小孔502の周り
には鋼材下方に円筒状のフランジ502が形成される。
【0046】その後、第1実施例、第2実施例と同様、
上型301と下型301が開かれ、鋼材500を取り出
し、ロアアームあるいはアッパアームが製造される。こ
のように440N/mm2の引張強度を要する鋼材を用
いて、プレス成形と熱処理を同時に行なうことで、低引
張強度(例えば440N/mm2)の引張強度組成部分
以外に、高引張強度(例えば980N/mm2以上)の
引張強度組成部分を部分的に生じせしめ、さらに高引張
強度組成部分に同時に孔を穿設することができる。
【0047】以上のように、本発明はプレス成形と熱処
理が同時に終了するため寸法精度と複雑な形状にも対応
が可能であり、さらに金型にポンチ等を設置することで
孔あけやバーリングによる孔あけも同時に行なうことが
できる。このように強化が必要な部位だけの強化が可能
となり、強度を高めることで薄肉化による軽量化と低コ
スト化が可能である。
【0048】本発明の実施において、板厚2mm材を使
用したが、この方法により板厚1.2〜1.4mmまで
の薄肉化ができ、全体重量で20〜30%の軽量化に繋
がることが確認できた。またコストについても20%削
減が可能となることが確認できた。
【0049】なお、上記鋼材である鋼材は、炭素量が
0.15wt%以下の成分含有量の組成からなる鋼材を
使用するのがよい。0.15wt%以下であると鋼材の
成形性が良好である。0.15wt%より大であると成
形性が悪くなったり、焼入後の歪が増大する。
【0050】炭素量0.10wt%〜0.15wt%,
珪素量 0.03wt%以下、マンガン量0.60wt
%〜1.50wt%、リン量0.020wt%以下、イ
オウ量0.013wt%以下、ホウ素量0.001〜
0.004wt%の成分含有量を有する高張力鋼材であ
ることが望ましい。
【0051】ここで、鋼材の各成分含有量について説明
する。
【0052】炭素(C)量:焼入後の硬度を確保するた
めに必要であり、0.10wt%以上は必要とされた。
但し、含有量の増加に伴い成形性が悪くなったり、焼入
後の歪が増大するため、上限が0.15wt%とされ
た。
【0053】マンガン(Mn)量:鋼材の強度と焼入性
を高めるために必要であり、0.60wt%以上は必要
とされた。但し、含有量の増加に伴い鋼材の延性が悪く
なるため、上限が1.15wt%とされた。
【0054】珪素(Si)量:より少ないことが望まし
いが、鋼の製造上含有されてしまうものであり、0.0
3wt%以下とされた。
【0055】マンガン(Mn)量:鋼材の強度と焼入性
を高めるために必要であり、0.60wt%以上は必要
とされた。但し、含有量の増加に伴い鋼材の延性が悪く
なるため、上限が1.50wt%とされた。
【0056】リン(P)量:珪素と同様により少ないこ
とが望ましいが、鋼の製造上含有されてしまうものであ
り、0.020wt%以下とされた。
【0057】イオウ(S)量:リンと同様により少ない
ことが望ましいが、鋼の製造上含有されてしまうもので
あり、0.013wt%以下とされた。
【0058】ホウ素(B)量:焼入性を高めるために必
要であり、0.001wt%以上は必要とされた。但
し、含有量の増加に伴い製造上有害な欠陥が発生しやす
くなるため、上限が0.004wt%とされた。
【0059】このように、平板材の素材である鋼材の化
学成分において、焼入後の表面硬さを高めるために必要
な炭素量は、焼入後の歪を少なくするため、その含有量
が0.10〜0.15wt%と少なくされている。この
ように少ない炭素量含有量でも焼入後の表面硬さは高く
なるようにするため、ホウ素量が0.001〜0.00
4wt%含有されるとともにマンガンの含有量が0.6
0〜1.50wt%と多く、焼入性が高められている。
【0060】次に本発明の実施例である自動車のシート
部品であるアッパレール、ロアレールにおいて、本発明
の実施例の性能と、従来例である比較例との性能比較を
行った。なおアッパレール、ロアレールの実施例は最終
的に孔を開口させた部品を組付けた状態で行なった。
【0061】全体に焼入したアッパレールとロアレー
ル、および部分焼入れしたアッパレールとロアレールが
シートに組付けた状態でのコンピュータによるシミュレ
ーション解析を行なった。
【0062】その結果を表1に示す。加工限界の980
N/mm2の高張力鋼材を比較例の比較材料とした。表
1の上段SPFC980Yが比較例であり、表1の下段
は本発明の焼入前と焼入後の実施例を示す。焼入後が本
発明の実施例での部分焼入されたときの機械的特性値で
ある。
【0063】試験は前方から追突されたときのシートお
よびレールの変形量を想定した前方衝突試験(ベルトア
ンカ試験)シミュレーションでの静的強度試験の比較を
行なった。
【0064】表2は実施例(ロアレール)と実施例(ア
ッパレール)と比較例の部材を使用し、荷重16.7k
Nでの各部材のピン6の変位量を表す。
【0065】
【表1】
【表2】 これら表1および表2より、本発明の実施例で製造した
焼入れ品の方が機械的特性値が高いことがわかる。つま
り焼入された部位は変形量が少なく強度が優れているこ
とがわかる。なおこの表でYP(N/mm2)とは降伏
強さを表し、TS(N/mm2)とは引張強さを表し、
El(%)とは伸びを表す。
【0066】また、部分焼入れされない部位について
は、車体への取付けでの後加工が必要であるが、初期の
440N/mm2の高張力鋼材のままなので、後加工も
容易に行なえる。また、高温中で加工すると金型にポン
チ等を取り付けることで、バーリング加工や孔あけ加工
が容易に行なえ、寸法精度に極めて優れる。
【0067】なお本発明の実施例では、金型内に空隙部
101a、空隙部102cを配設して鋼材500の非熱
処理部を徐冷して焼入を行ったが、空隙部にヒータを配
設して徐冷することもできる。また、金型内に冷水管を
配設して急冷することもできるし、時差プレス(駆動す
るプレス機構を設けることで遅れて製品となる鋼材と金
型が接触するプレス)であってもよい。
【0068】なお本発明ではアッパアーム、ロアレール
の実施例説明したが、ドアインパクトビームやバンパビ
−ム等の自動車部品であってもよい。
【0069】なお本発明の実施例では鋼材500を図4
〜図12に示すよう断面コの字状にしたが、最初断面L
字状でL字の一端に壁面が形成された図3のような断面
コの字状構造であってもよい。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、炭素量
が0.15wt%以下の成分含有量の組成からなる鋼材
を上型と下型の間に載置する工程と、該鋼材を上型ある
いは下型の移動により行われるプレス成形加工と同時
に、強度が必要な強度部位に部分的に焼入処理する工程
と、からなることを特徴とする車両用部品における固体
成形焼入方法であるので、車両用部品の衝突安全性、軽
量化、高強度化ができ、また複雑形状、加工性に優れた
車両用部品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用される車両用シートの全
体側面図。
【図2】ロアレールの斜視図。
【図3】アッパーレールの斜視図。
【図4】本発明の実施例1の金型装置において、鋼材を
載置した金型断面図。
【図5】本発明の実施例1の金型装置において、鋼材を
プレス加工している金型断面図。
【図6】本発明の実施例1の金型装置において、上型と
下型を閉じた金型断面図。
【図7】本発明の実施例2の金型装置において、鋼材を
載置した金型断面図。
【図8】本発明の実施例2の金型装置において、鋼材を
プレス加工している金型断面図。
【図9】本発明の実施例2の金型装置において、上型と
下型を閉じた金型断面図。
【図10】本発明の実施例3の金型装置において、鋼材
を載置した金型断面図。
【図11】本発明の実施例3の金型装置において、鋼材
をプレス加工している金型断面図。
【図12】本発明の実施例3の金型装置において、上型
と下型を閉じた金型断面図。
【符号の説明】
500・・・鋼材 100、200、300・・・金型装置 101、201、301・・・上型 102、202、302・・・下型 201d、301d・・パンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/04 C22C 38/04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素量が0.15wt%以下の成分含有
    量の組成からなる鋼材を上型と下型の間に載置する工程
    と、該鋼材を上型あるいは下型の移動により行われるプ
    レス成形加工と同時に、強度が必要な強度部位に部分的
    に焼入処理する工程と、からなることを特徴とする車両
    用部品における固体成形焼入方法。
  2. 【請求項2】 前記プレス成形加工において、曲げプレ
    ス成形と孔あけプレス成形加工が同時に行われること特
    徴とする請求項1記載の車両用部品における固体成形焼
    入方法。
  3. 【請求項3】 前記プレス成形加工において、曲げプレ
    ス成形とバーリング成形加工が同時に行われること特徴
    とする請求項1記載の車両用部品における固体成形焼入
    方法。
  4. 【請求項4】 前記鋼材は、炭素量0.10wt%〜
    0.15wt%,珪素量 0.03wt%以下、マンガ
    ン量0.60wt%〜1.50wt%、リン量0.02
    0wt%以下、イオウ量0.013wt%以下、ホウ素
    量0.001〜0.004wt%の成分含有量を有する
    高張力鋼材であることを特徴とする請求項1〜請求項3
    いずれか記載の車両用部品における固体成形焼入方法。
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