JP2002345821A - 関節腔内の超音波解析システム - Google Patents

関節腔内の超音波解析システム

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JP2002345821A JP2001160340A JP2001160340A JP2002345821A JP 2002345821 A JP2002345821 A JP 2002345821A JP 2001160340 A JP2001160340 A JP 2001160340A JP 2001160340 A JP2001160340 A JP 2001160340A JP 2002345821 A JP2002345821 A JP 2002345821A
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Koji Hattori
耕治 服部
Koji Mori
浩二 森
Naohide Tomita
直秀 富田
Takeshi Ikeuchi
健 池内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は関節軟骨における超音波関節内探
触子とウェーブレット変換を用いた解析法に関するもの
である。 【解決手段】 被検査体内に超音波を送信するとともに
被検査体内で反射した超音波を受信する送受信体を先端
部分に装備した関節内探触子で、得られたAモードエコ
ー図をウェーブレット変換する解析システムにより、こ
れまで困難であった軟骨や軟骨下骨の力学構造特性を直
視的に示し、定量評価できる。また同時にその軟骨の厚
さも同時に評価できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、関節腔内の軟骨お
よび軟骨下骨の状態を直視的かつ定量的に評価するため
の関節腔内の超音波解析システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、関節腔内の軟骨および軟骨下骨な
どの評価方法としては、関節鏡を関節腔内に挿入し直接
関節表面を観察する方法、プローブを損傷した軟骨部に
接触させてその程度や軟骨の表面固さを直感的に見る方
法、MRIを撮像して観察する方法等が知られている。
【0003】そのうち、関節鏡やプローブによる直視的
観察では、表面部の状態しか判別できず、関節軟骨内に
存在する亀裂の判別は不可能であった。また、同様に下
骨部分の力学・構造特性を定量的に評価することも不可
能であった。一方、MRIによる診断では軟骨の軽度の
変化は観察できなかった。また、限局した部位の評価は
難しかった。
【0004】このように従来の評価方法では、力学・構
造特性の定量的な評価が困難であるために、判断があい
まいとなっていた。また、定量的評価が困難であるため
に、医師によって損傷程度の判断が異なる場合もあっ
た。さらに、定量的評価には損傷の度合いを数値化する
必要があるが、数値のみの表示だと、手術中など多数の
作業を平行して行わなくてはならない場合などに、数値
を誤読する可能性もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の評価方
法に代わって、近年、医療用超音波診断装置を用いて経
皮的に関節軟骨の診断を行う試みがなされている。しか
し、医療用超音波診断装置を軟骨などに経皮的に探触子
をあてて関節軟骨を観察する方法では、関節荷重部の軟
骨および軟骨下骨の超音波断層像を得ることすなわち音
響断層像を得ることは音響陰影により不可能であった。
【0006】また、関節腔内に挿入できる超小型の超音
波探触子はすでに開発されているが、手術中に超音波断
層像として簡便に表示できる探触子は現在の技術では完
成されていなかった。また、振幅の変化の形で表示する
Aモードエコー図では、直視的に軟骨の力学・形態特性
を評価することは困難な問題もあった。
【0007】さらに、上述したように超音波を使用した
評価方法では、超音波による診断像を得るためには、グ
リセリン等からなる音響カップリング材が必要であっ
た。このためには、関節内に異物を充填する必要があ
り、関節内の超音波像を得ることは難しい問題もあっ
た。あるいは、超音波探触子を関節腔内の軟骨等に接触
させる必要があるが、関節腔内の軟骨は滑らかかつ柔軟
であるため、関節腔内の軟骨等を損傷する危険性があっ
た。このため、超音波探触子を関節面に接触させて測定
する方法では、関節腔内の軟骨などを損傷する危険を伴
う問題もあった。
【0008】本発明の目的は上述した課題を解消して、
関節腔内の軟骨および軟骨下骨の状態を直視的かつ定量
的に評価することができる関節腔内の超音波解析システ
ムを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の関節腔内の超音
波解析システムは、超音波を関節腔内に送信するととも
に関節腔内で反射した超音波を反射エコーとして受信す
る超音波送受信体を関節内探触子の先端部に設け、超音
波送受信体で求めた反射エコーをウェーブレット変換す
ることにより、定量的に関節腔内の軟骨および軟骨下骨
を評価することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の関節腔内の超音波解析シス
テムにおいて、関節内探触子が関節鏡に併用して使用で
きるプローブであること、および、関節内探触子が関節
穿刺針であることは、それぞれ好ましい態様である。
【0011】本発明では、超音波送受信体を関節内探触
子の先端部に設けることで、関節内に存在する関節液を
利用することにより、音響カップリング材を用いること
なく、関節内において反射エコーを得ることができる。
あるいは関節液が十分量、関節腔内に存在しない場合に
は生理食塩水等の治療時に用いる液体で代用してもよ
い。また、関節液を利用して超音波を関節面に照射する
ため、被検査体である関節軟骨に直接触れることなく反
射エコーを得ることができる。ここで、関節軟骨に超音
波を照射すると、表面部分および下骨部分から反射エコ
ーが得られる。しかし内部に亀裂が存在すると、その部
分からも反射エコーが観察されるため、関節軟骨内部の
亀裂・損傷を判別することができる。また下骨部分の反
射エコーから、下骨部分の構造特性を推定できる。
【0012】また、本発明では、反射エコーをウェーブ
レット変換して評価することで、従来のAモードエコー
の解析ではできなかった直視的な軟骨などの評価をする
ことができる。ウェーブレット変換の際に用いるマザー
ウェーブレットは、病状の形態に応じて、その特徴が明
確となるような関数を用いることが好ましい。マザーウ
ェーブレットは、必ずしも数学的に記述できる関数では
なく、実際の反射エコーを用いてもよい。
【0013】測定データを外部メモリーに記憶してお
き、患者ごとの測定データを診断時に引き出して表示す
れば、病状の変化を経時的に容易に把握できる。またこ
れらの測定データをデータベースと比較することによ
り、損傷程度の客観的・定量的評価が可能になるため、
医師による判断のばらつきがなくなる。
【0014】ウェーブレット変換を行うプログラムは、
画面上に取り込んだ反射エコー、ウェーブレットマップ
(上方視点)を表示させ、さらに表面部分および下骨部
分のウェーブレットマップ(側方視点)の拡大図、およ
びそれらの図から求められる関節軟骨の厚さを画面上に
表示させる。複数視点から見たウェーブレットマップを
同時に表示させることにより、視覚的に損傷程度を判断
できる。数値データと複数視点からのウェーブレットマ
ップを同時に示すことにより、医師に多くのデータを提
供し、確実かつ迅速に損傷部の定量的診断ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の関節腔内の超音波解析シ
ステムでは、被検査体関節腔内に挿入された上述超音波
送受信体で、被検査体内で反射した超音波を受信し、得
られた反射エコーを、アドミッシブル条件をみたすマザ
ーウェーブレットによりウェーブレット変換を行ない、
任意の時間にどれくらいの周波数がどれくらいの強度で
存在しているかを解析し、変換によって得られたデータ
から軟骨の力学的・構造的特性を定量的に評価し、軟骨
厚さ等の測定も行う。
【0016】関節鏡手術時に本発明のシステムを併用し
た場合、軟骨表面を直視的に確認しながら、同時にその
部位での軟骨の厚さや力学・構造特性を瞬時に測定する
ことができる。また、関節穿刺においては、貯留した関
節水腫を除去する際に軟骨の厚さや力学・構造特性を瞬
時に測定することができ、外来診療においてこの検査が
できる。
【0017】本発明の実施例について実験結果を例にあ
げて説明する。図1および図2はそれぞれ本発明の超音
波関節内探触子とウェーブレット変換を用いた解析の概
略図である。図1および図2に示す例において、超音波
内視鏡10は先端部分に超音波送受信体11を含む。本
発明の一例では、患者の膝関節1に超音波内視鏡10を
挿入し、超音波送受信機12により発信された超音波
を、超音波送受信体11から被検査体に照射し、図3に
示すような反射エコーを測定する。反射エコーは主に関
節軟骨2および下骨部分3から得られる。測定された反
射エコーはオシロスコープ13で表示する。
【0018】さらに得られた反射エコーをパーソナルコ
ンピューター14に取り込み、組み込まれたプログラム
によってウェーブレット変換を行う。図4、図5および
図6に示すウェーブレット変換後のウェーブレットマッ
プにおいて、関節表面部からの反射エコー、下骨部分か
らの反射エコー部分において、それぞれの強度、時間方
向の幅を測定し、その数値から関節疾患の程度を評価す
る。図6において、2つの反射エコーの間隔に、関節軟
骨の平均音速(約1600m/s)を乗じることにより、
測定部位の関節軟骨の厚さを記録し、診断の参考とす
る。図5のウェーブレットマップ、図7に示す総合測定
結果をパーソナルコンピューターの画面上に表示し,医
師に総合的な情報を提供する。得られたウェーブレット
マップおよび各測定値は、パーソナルコンピューター1
4の記憶メモリーに記録しておくことにより、診察時に
引き出して表示させれば、疾患の経時的な変化を容易に
把握できる。
【0019】図8に表面性状が肉眼的に正常と考えられ
る軟骨表面に超音波を送信し、被検査体内で反射した超
音波の反射エコー図およびウェーブレットマップを示
す。これは、gabor関数をマザーウェーブレットとして
ウェーブレット変換を行ったものである。図8において
表面部からの反射エコーの強度および時間方向の幅は、
それぞれ3.9145、0.372μsと求めることができる。下
骨部分からの反射エコーの強度および時間方向の幅は、
それぞれ0.32812、0.914μsと求めることができる。
関節軟骨の厚さは、2つの反射エコーの間隔から1.290
mmと求めることができる。
【0020】図9はわずかに損傷している軟骨表面に超
音波を送信し、被検査体内で反射した超音波の反射エコ
ー図およびウェーブレットマップである。これはgabor
関数をマザーウェーブレットとしてウェーブレット変換
を行ったものである。図9において表面部からの反射エ
コーの強度および時間方向の幅は、それぞれ0.88306、
2.644μsと求めることができる。下骨部分からの反射
エコーの強度および時間方向の幅は、それぞれ0.03679
9、0.248μsと求めることができる。関節軟骨の厚さ
は、2つの反射エコーの間隔から2.270mmと求めること
ができる。
【0021】図9を図8の正常と考えられるウェーブレ
ットマップと比較すると、直視的に強度および時間方向
の幅が異なっていることが容易に判別できる。また数値
で比較することにより、定量的な診断が可能であること
がわかる。この結果から本発明は、ウェーブレット変換
を用いることにより、関節軟骨性状の特徴を明確にする
ため、診断が容易にできることが明らかになった。また
損傷の程度を定量化して評価できることが明らかになっ
た。
【0022】
【発明の効果】以上の例において、これまで関節鏡によ
り軟骨表面を観察、またはプローブを押し当てることで
その性状を評価していた方法に対して、本発明を用いる
ことによって、定量的に評価することが可能となる。同
時に関節鏡と併用することによってその部位における軟
骨の厚さやその直下の軟骨下骨の力学・構造特性まで推
測することができるようになる。本発明を使用すること
で、多くの関節軟骨の疾患に対する手術方法選択の基準
のひとつとなる。また本発明は、最近研究が進められて
いる軟骨細胞移植による再生軟骨の評価の一方法とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示す概略図である。
【図2】 図1の測定部を示す概略図である。
【図3】 図1の実施例で得られた反射エコー図であ
る。
【図4】 図1の実施例で得られた反射エコーをウェー
ブレット変換したときのウェーブレットマップである
(鳥瞰図)。
【図5】 図4を上方から見た図であり、強度が高いと
ころほど黒くしている。
【図6】 図4を時間軸側から見た図である。
【図7】 ウェーブレット変換プログラムによって表示
される総合測定結果である。
【図8】 肉眼的に正常な関節軟骨で実験したときのウ
ェーブレットマップと反射エコー図である。
【図9】 肉眼的に非正常な関節軟骨で実験したときの
ウェーブレットマップと反射エコー図である。
【符号の説明】
1 患者(膝関節) 2 関節軟骨 3 軟骨下骨 4 海面骨 10 超音波内視鏡 11 超音波送受信体 12 超音波送受信機 13 オシロスコープ 14 パーソナルコンピューター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 直秀 三重県名張市木屋町814 (72)発明者 池内 健 京都府京都市北区大宮薬師山西町10−50 Fターム(参考) 4C061 AA25 BB08 CC06 DD10 FF21 SS30 WW16 4C301 AA02 DD30 EE19 FF04 FF05 GA01 JB21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波を関節腔内に送信するとともに関
    節腔内で反射した超音波を反射エコーとして受信する超
    音波送受信体を関節内探触子の先端部に設け、超音波送
    受信体で求めた反射エコーをウェーブレット変換するこ
    とにより、定量的に関節腔内の軟骨および軟骨下骨を評
    価することを特徴とする関節腔内の超音波解析システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記関節内探触子が関節鏡に併用して使
    用できるプローブである請求項1記載の関節腔内の超音
    波解析システム。
  3. 【請求項3】 前記関節内探触子が関節穿刺針である請
    求項1記載の関節腔内の超音波解析システム。
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