JP2002345192A - 高電圧回転電気機械の固定子とその診断方法および回転電機 - Google Patents

高電圧回転電気機械の固定子とその診断方法および回転電機

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JP2002345192A
JP2002345192A JP2001143227A JP2001143227A JP2002345192A JP 2002345192 A JP2002345192 A JP 2002345192A JP 2001143227 A JP2001143227 A JP 2001143227A JP 2001143227 A JP2001143227 A JP 2001143227A JP 2002345192 A JP2002345192 A JP 2002345192A
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coil
stator
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Shuya Hagiwara
修哉 萩原
Hiroyuki Kamiya
宏之 神谷
Mitsuru Onoda
満 小野田
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高電圧回転電気機械の固定子コイルの絶縁特性
劣化を知ることは重要な診断項目であるが、より実状に
則した診断方法はなかった。本発明は、前記電気機械の
固定子コイルにインデックスコイルを設けて成るコイオ
ルとその診断方法を提供することにある。 【解決手段】経年運転に伴う劣化の兆候が現れ難い絶縁
層を形成した基本コイルと、経年運転に伴う劣化の兆候
が非破壊電気特性に現れ易い絶縁層を形成したインデッ
クスコイルと、前記インデックスコイルと基本コイルと
から成るコイルを有する固定子としたこと。また、前記
インデックスコイルの特性から、固定子コイルの寿命限
界を推定判断する診断方法に特徴がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発電機等の高電圧回
転電気機械に係り、特に固定子に組込まれる高電圧コイ
ルの絶縁層の経時運転に伴う絶縁性能の劣化を診断する
ことができる固定子とその診断方法および回転電機に関
する。
【0002】
【従来の技術】高電圧回転電気機械の、固定子コイルの
絶縁層の劣化を診断する方法として、例えば電気学会技
術報告第752号、p.11−18(2000年1月)
には実用化され、あるいは実用化に向けて検討されてい
る各種の診断技術が紹介されている。この中では非破壊
電気特性から残存絶縁破壊電圧を評価する方法が大きな
柱の1つである。
【0003】また、特開平09−80029号公報があ
る。これには非破壊電気特性に加えて、絶縁層を軽く叩
いた時に発生する音響のスペクトルパターンから、絶縁
層の剥離状況を判断して、診断精度を高める方法が示さ
れている。さらに特開2000−146929号公報に
は、絶縁層から発生する音響の時間減衰率から、残存絶
縁破壊電圧を評価する方法が示されている。
【0004】一方、樹脂モールドコイルの絶縁診断方法
として特開平6−295823号公報や特開平2−73
611号公報には、絶縁層の一部やコイルの内部に劣化
を検知するためのパイロット材を設ける方法が示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高電圧回転電気機械に
ついて、小形化や信頼性向上などの市場ニーズに応える
ために、固定子コイルの絶縁層に用いられる材料や製造
方法も多様化してきている(例えば電気学会技術報告
(II部)第267号、p.6、7など)。その結果、出
来上がる絶縁層も多様な特性を有するものとなる。例え
ばある種の材料と製法の組合せ(以下、絶縁システムと
記す)によるコイルは、製造工程が簡易で絶縁耐力も高
いが、経時運転に伴う劣化が、絶縁診断の兆候として現
れにくく、認識できる予兆のないまま破壊に至る危険を
伴う。一方、別の絶縁システムのコイルは、製造工程が
複雑になるが、経時運転で劣化していく様子が非破壊特
性に反映され易く、劣化の程度や絶縁破壊に至る時期を
把握し易いことから、計画的に修理することが可能であ
る。
【0006】このように高電圧回転電気機械の固定子コ
イルの絶縁システムには、それぞれの特性があるが、前
記従来技術ではそれらの特性を十分に考慮して寿命を診
断していないので、小形化、高信頼性化、さらには経済
性の観点から最適な構造とはなっていない。
【0007】また前記の公開特許公報に記載されている
ように、モールドコイルの一部にパイロット材を設ける
例では、有機樹脂の熱による劣化を検知(熱劣化による
変色の目視)することを目的に構成されている。ところ
が高電圧回転電気機械の固定子コイルの絶縁層は、課電
に伴う部分放電劣化が大きく支配していること、これに
対応するために絶縁層が樹脂とマイカの複合体となって
いる、という特異性があり、熱劣化による変色の目視判
断というわけにはいかない。したがって、この特異性故
に、劣化形態や劣化診断方法が異なる。
【0008】そこで劣化指標としては特開平6−295
823号公報や特開平2−73611号公報に記載され
ているような絶縁層の一部だけではなく、絶縁層と導体
の組合せによる劣化指標が必要なのであるが、前記の公
開特許公報にはこれらの点が考慮されていない。
【0009】本発明の目的は、簡易な製造工程で小形化
が図れ、かつ適切な絶縁診断を行うことができる信頼性
の高い高電圧電気機械の固定子とその診断方法および回
転電機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は以下の手段に
よって解決することができる。高電圧回転電気機械の固
定子において、前記固定子のコアに、絶縁劣化特性が異
なるインデックス絶縁システムを有するコイルを組込ん
で成る固定子としたこと。また、絶縁劣化特性が早期に
表れるインデックス絶縁システムを有するコイルを1タ
ーン含んで成ること、また、前記1ターンのコイルはフ
レーク状のマイカの絶縁層であること、また、絶縁劣化
特性が早期に表れるインデックス絶縁システムを有する
コイルは、三相の固定子コイルの各相に少なくとも1タ
ーン配置されていること、また、絶縁劣化特性が早期に
表れるインデックス絶縁システムを有するコイルは、固
定子コイルの中で電位が中央よりも高い電位のコイルに
設けていること、絶縁劣化特性が早期に表れるインデッ
クス絶縁システムを有するコイルを半ターンを含んで成
ること、にある。
【0011】また、高電圧回転電気機械の固定子であっ
て、前記固定子のコアに絶縁劣化特性が他の部分よりも
早く表れるインデックス絶縁システムを有する少なくと
も1ターンのコイルと他の絶縁システムから成るコイル
とで前記固定子コイルを構成し、前記インデックス絶縁
システムを有するコイルの最大部分放電電荷量を計測
し、前記電荷量が予め定めた寿命限界値に達したとき前
記固定子の寿命限界である、と診断することに特徴があ
る。また、前記インデックス絶縁システムの最大部分放
電電荷量の特性と、他の部分に用いられている絶縁シス
テムの最大部分放電電荷量の特性との関係を予め計測
し、前記インデックス絶縁システムの計測値に基づいて
前記他の部分に用いた絶縁システムの絶縁劣化特性を推
定診断することに特徴がある。
【0012】また、回転電機の固定子コイルは絶縁劣化
が他の部分よりも早く表れるインデックス絶縁システム
を有する少なくとも1ターンのコイルを含んで成る固定
子コイルであって、前記インデックス絶縁システムの最
大部分放電電荷量に基づいて前記固定子の寿命を判断す
るインデックス絶縁システム、を有する固定子を備えた
回転電機であることに特徴がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について図を用いて
説明する。はじめに、高電圧回転電気機械の一例として
三相発電機に適用する場合について、その基本的な構成
を、図5、6を用いて説明する。
【0014】図5に対象とする発電機1の構造とコイル
構成例を示す。回転子20を囲んで固定子コア21が配
置されている。固定子コア21にはスロット30が設け
られていて、固定子コイル40が組込まれる。一台の発
電機にはスロット30が通常30本以上設けられる。大
形の水車発電機では数百本のオーダーでスロットが設け
られ、各スロットには上部、底部(下部)の2本の固定
子コイル40が組込まれるので、固定子コイルの総数は
60〜数百本となる。
【0015】図6に固定子コイル40の詳しい構造を示
す。固定子21に設けられた1つのスロット30には上
コイル40Uと底(あるいは下)コイル40Bの2本1
組の固定子コイル40が組込まれる。そして固定子コイ
ル40はスプリング部材2326、絶縁スペーサ部材2
4、25、楔22でスロット30内に固定される。上コ
イル40Uはさらに詳しくは導体42の周囲に絶縁層4
3が形成されている。これは底コイル40Bについても
同じである。導体42は高電位、固定子21は接地電位
にあるので、この絶縁層43には厳しい電界が加わり、
ここに絶縁破壊が発生すると機械が機能しなくなること
から、機械の運転に伴う経時劣化には十分な注意が必要
である。本発明はこの絶縁層43を有する固定子とその
劣化診断技術に関するものである。
【0016】絶縁層43の構成材料や製造方法について
は前記の電気学会技術報告(II部)第267号、p.
6、7に詳しく記載されているが、要点と特徴を表1に
示す。
【表1】
【0017】フレークマイカ(はがしマイカと呼ぶこと
もある)を用いた絶縁システムAはマイカの大きな鱗片
を貼り合わせて絶縁層とするもので、作業が複雑で生産
性が悪い。また、複雑な製作作業のために製作時の廃棄
物やエネルギー消費量が多い。そして絶縁耐力が劣ると
いった欠点もあるが、逆に劣化した時の兆候が現れ易い
という長所がある。一方、絶縁システムBは一般にマイ
カを微小片に粉砕した後で紙漉きの要領で絶縁シートを
形成するもので、生産性が良く、絶縁耐力も絶縁システ
ムAよりも高いが、長時間の運転に伴う劣化の兆候が現
れ難いという特性をもっている。前記の絶縁システム
A,Bの特性を踏まえて、本発明では両者の長所を生か
すことのできるコイル構成を採用している。
【0018】図1に本発明を採用した発電機固定子コイ
ルの結線図の一例を示す。本実施例は、2極、36スロ
ットの発電機、の一例である。U,V,W相はそれぞれ
U1、U2、V1,V2,W1,W2,のようにそれぞ
れ二つのコイル群の並列で構成され、各コイル群は6タ
ーンのコイルで構成されている。以下、U1コイル群を
取り上げてさらに詳しく説明する。
【0019】U1のコイルにおいて、6ターンのコイル
U11、U12,〜U16は、図の構成では、それぞれ
のコイルの電位はU相端から中性点Nに向かって、順次
低くなっている。ここで本発明により、コイルU11,
U13,U14,U15,U16(以下、このようなコ
イルをベースコイルという)には表1の絶縁システムB
を採用する。そして、コイルU12(以下、このような
コイルをインデックスコイルという)には表1の絶縁シ
ステムAを用いて、コイルU1を構成する。このように
製作が容易で絶縁耐力が高いことが求められるベースコ
イルには絶縁システムBを採用し、インデックスコイル
U12には、製作性と絶縁耐力は劣るが、劣化を検知し
易い絶縁システムAのコイルを採用している。
【0020】また、コイルU1と並列に構成するU2の
コイルについても同様に、U21、U23,U24,U
25、U26のベースコイルは表1の絶縁システムB
を、インデックスコイルU22は表1の絶縁システムA
を採用する。そして本実施例の図1ではその他の各コイ
ル群V1,V2,およびW1,W2についても、それぞ
れのコイル群において電位が二番目に高い1ターンコイ
ルV12,V22およびW12、W22のをインデック
スコイルとし、他のコイルをベースコイルとして構成し
た例を示している。
【0021】本発明を実施例に適用して発電機の絶縁診
断を行うに当たって、電気学会技術報告第752号、
p.17(2000年1月)に記載されている方法を適
用する場合を例にして説明する。同文献図3.8には高
電圧コイルの残存破壊電圧(以下BVDと記す)が最大
部分放電電荷量(以下Qmaxと記す)に逆比例するこ
とが示され、また同文献p.16、表3.2からはQm
axを劣化の重要な判定指標としていることがわかる。
【0022】この発電機の例のように、高電圧コイルは
一般的に絶縁層が導体と組合された状態において、所定
の電圧を印加した上での電気的な特性、この例ではQm
ax(最大部分放電電荷量)を測定しなければならな
い。これは回転電気機械の高電圧コイルにおいては課電
劣化、つまり部分放電エネルギーによる高分子樹脂の破
壊が大きな劣化要因として機能しているためである。こ
の点は前記した公開特許公報である特開平6−2958
23号や特開平2−73611号に記載されているモー
ルドコイルの主たる劣化要因が熱で、その劣化の程度を
絶縁材料だけの色や機械的な強度の変化で診断できるケ
ースとは異なる部分である。
【0023】ところで表1に示したように、絶縁システ
ムにより劣化の兆候が現れ易い場合とそうでない場合が
ある。これをさらに詳しく表すと図2のような特性とな
る。すなわち、絶縁システムAでは機械の累積運転時間
とともにQmaxは徐々に増加していく。そしてその値
は累積運転時間T1でQaを越えて要注意域に入る。そし
て、運転時間T3でQbに達して不良域に入る。この領域
に入れば、寿命であると、判断する。このQmaxの増
加速度、つまり劣化速度は劣化が進むほど加速されるこ
とは電気学会技術報告第752号などにも記載されてい
る。これに対して絶縁システムBは運転時間が長くなっ
てもQmaxの増加は小さいが、寿命限界にかなり近い
T2に達すると、Qaを越えて要注意域に入り、その後
短時間で、例えばT3でQbに達し、不良領域にはい
る。すなわち、累積運転時間T3て寿命限界に達したと
判断できる。
【0024】なお理解を容易にするために、絶縁システ
ムAとBの寿命限界に達する累積運転時間は共にT3で
あるとした例を示した。実際にコイルを診断するには、
図2のように、インデックスコイルが寿命限界に達する
累積運転時間とベースコイルが寿命限界に達する累積運
転時間が一致していることが望ましい。また、そのよう
な絶縁システムAを選択してインデックスコイルに使用
する。
【0025】しかしながら、実際には設計条件等により
寿命限界に至る時間は異なる。いずれにしろ要注意域に
入ってから寿命限界に至るまでの時間は絶縁システムA
の場合はTa、絶縁システムBはTaよりずっと短いTb
となる(Tb<Ta)。このように絶縁システムAは寿
命限界を、余裕をもって予測できることから、計画的な
修理を行うことができるが、絶縁システムBは要注意で
あることに気付いたら急ぎの対策が必要な絶縁システム
であると言える。
【0026】このような特性を踏まえて、図1に実施例
を示した本発明では、固定子コイルの中にインデックス
コイルとして、絶縁システムAを用いたコイルU12,
U22,V12、V22、W12,W22を設けること
で、劣化の兆候を早期に把握できるようにしている。通
常、Qmaxの測定では原理的にその測定対象の中の最
大値を計測することになるため、大部分がQmaxの小
さいベースコイルでも、1本以上のQmaxが大きい絶
縁システムAのインデックスコイルがあればそのQma
xを測定することになり、劣化の兆候を見落とす恐れは
ない。
【0027】図1の実施例では、電位が二番目に高い位
置にインデックスコイルを採用したのは次の理由によ
る。表1に示したように、絶縁システムBは一般的に絶
縁システムAよりも絶縁耐力が高い。一方、運転中の劣
化は印加する電圧に依存し、高電圧ほど劣化速度は速く
なる。図1のコイル群U1について、コイル番号、絶縁
システムと劣化特性の関係の一例を図3に示す。横軸は
機械の累積運転時間、縦軸は絶縁耐力を示す。
【0028】図3の(a)は本発明の前記実施例のケー
スで、コイルU11をベースコイル(もちろんU13,
U14,U15,U16もベースコイル)、コイルU1
2をインデックスコイルとした場合である。そしてイン
デックスコイルU12とベースコイルU11に注目した
とき、両コイルの寿命到達時間がほぼ同じである場合を
示している。このときコイルU13、U14、U15,
U16はコイルU11よりも低い電位なので劣化速度も
遅くなり、コイルU11よりも先に寿命時間に到達する
ことはない。
【0029】このようにインデックスコイルおよびベー
スコイルの絶縁耐力曲線が、同一累積運転時間tLにお
いて寿命限界線で共にクロスするような特性であれば、
インデックスコイルの寿命が同時にベースコイルの寿命
となるので、図3の(a)の特性が望ましい。しかし、
一般的には一致するとは限らないので、インデックスコ
イルの特性を有効に活用して寿命診断に適用することが
可能である。
【0030】一方図3の(b)は、図3の(a)の実施
例とは逆にコイルU11をインデックスコイルにし、コ
イルU12をベースコイルとして採用した場合の劣化特
性の例である。この時にはコイルU11はコイルU12
より電位が高いことから、インデックスコイルU11の
劣化は図3の(a)のケースよりも速くなり、逆にコイ
ルU12に用いたベースコイルの劣化は図3の(a)の
ケースよりも遅くなる。コイルU13,U14,U1
5、U16はコイルU12よりも低電位なので劣化速度
はさらに遅い。すなわちベースコイルは寿命限界までに
まだ余裕があるにも拘わらず、インデックスコイルU1
1のみが累積運転時間tで寿命限界に到達することに
なる。
【0031】この場合には、絶縁システムBがまだ残存
寿命が存在しているにもかかわらず、tの時点で寿命
限界に到達してしまう。絶縁システムAの特性から絶縁
システムBとの関係は予め把握しているから、その特性
から絶縁システムBの寿命は予測できる。例えば、t
からさらに(t―t)だけ運転した時点を絶縁シス
テムBが寿命限界に到達する時間であると予測できる。
しかし、絶縁システムAはすでに寿命限界に達している
ので、それ以上運転を継続するわけにはいかない。した
がって、図3の(b)のような場合は、余裕をもって寿
命診断を行うような場合に適している。すなわち、イン
デックスコイルU11が寿命限界に達してから(t
)後に、絶縁システムBの寿命限界が来ることが予
測できる。したがって、(t―t)が小さいような
場合、あるいは早めにメインテナンスをしたい場合には
有用である。
【0032】図3の(c)の場合は、図3(a)の実施
例よりもより低電位側のコイルU13をインデックスコ
イルとし、ベースコイルの中で、最も高電位のコイルU
11との比較を行った場合の劣化特性の例である。この
ケースではコイルU13はコイルU12より電位が低い
ことから、インデックスコイルU13の劣化は図3の
(a)のケースよりも遅くなり、ベースコイルU11が
寿命限界に到達したにもにも拘わらずインデックスコイ
ルU13はまだ余裕があることになり、コイルU11の
寿命限界到達を見落とすことになる。
【0033】このような場合は図に示したように、寿命
予告線を設け、寿命予告線とインデックスコイル(U1
3)の絶縁耐力曲線との交点tAAからt(=t
までの運転時間(tーtAA)だけ運転したときベー
スコイルU11が寿命に達する、と予告判断する。した
がって、図3の(a)のように絶縁システムAとBで寿
命限界に到達する累積運転時間の特性の一致が得られる
ときばかりでなく、図3の(c)のような場合であって
も、本発明を実施することが可能である。
【0034】以上の実施例の説明では、インデックスコ
イル,ベースコイルの劣化特性と、コイルの電位との関
係、およびその電気機械に求められる信頼性の大きさと
の関係から、インデックスコイルに、どの位置にあるコ
イルを選定するかを決めなければならない。
【0035】一般的にはインデックスコイルの寿命限界
到達時間が、ベースコイル群の中で、最も早くコイルの
寿命限界に到達する時間よりもやや早くなるように構成
するのが適当である。また本発明を適用する高電圧回転
電気機械が予期しない故障の確率を非常に小さくするこ
とを求められるような場合には、最も電位が高く劣化が
速いコイル、例えば図1の場合では、コイルU11、U
21,V11,V21、W11,W21をインデックス
コイルに選定することが適当な場合もある。
【0036】図1の実施例にはU,V,Wの3つの相に
各2ターン(U相ではU12,U22)ずつ、合計6タ
ーンのインデックスコイルを採用した例を示した。これ
は一般に絶縁診断がU,V,Wの各相毎に行われ、また
電気的な負荷が同じである2本のコイルを共にインデッ
クスコイルにして、精度を上げようと意図したものであ
る。しかしインデックスコイルを各相1ターンとしても
よい(例えば、U12,V12,W12をインデックス
コイル)。またインデックスコイルを各相ごとに配置せ
ず、機械全体で1ターンとすることもできる(例えば、
U12のみをインデックスコイルとする)。
【0037】本発明の他の実施形態を図4に示す。図1
に示す実施例のコイル群U1の例について示している。
大形の発電機では1ターンの固定子コイルをさらに2分
割して製作する方法、つまり2本のハーフコイルの端部
を接続して1ターンコイルとする方法が採用されてい
る。図4の実施例ではハーフコイルU121とU122
を組合せて1ターンコイルU12を形成している。この
ケースでは片方のハーフコイル、すなわち、U122の
みをインデックスコイルとすることもできる。すなわ
ち、コイルの製作単位で、絶縁システムの採用を考慮
し、絶縁劣化の診断をおこなうこともできる。
【0038】インデックスコイルとなる表1の絶縁シス
テムAは絶縁層形成の工程が煩雑であるため、使用数を
多少なりとも減らすことは廃棄物やエネルギー削減の観
点で有意義である。前記の実施例は発電機を例に説明し
たが、高電圧電動機の固定子など、同様の機器に対して
も適用することができる。以上、本発明の実施例を説明
したが、本発明の高電圧回転電気機械の固定子によれ
ば、絶縁特性の異なる2つのコイルを組合せ、経時運転
に伴う絶縁特性の劣化の兆候が現れ易い絶縁システムの
コイルをインデックスとして絶縁診断を行っている。そ
してインデックスコイル以外のベースコイルは絶縁層の
形成工程が容易で、製作に伴う廃棄物やエネルギー消費
量の少ない絶縁システムのコイルで構成している。そし
て絶縁層自体の特性と課電ストレスの大きさとで決まる
劣化速度は、インデックスコイルの方がベースコイルよ
りも大きいものがよい。これらの効果として、適切な絶
縁診断ができるので、信頼性の高い固定子コイルを実現
することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、絶縁劣化特性の異なる
絶縁システムをコイルの一部に使用し、コイル全体の絶
縁劣化診断の指標としているために、コイルの適切な寿
命診断をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の、実施例としての発電機固定子コイ
ルの構成例を示す結線図である。
【図2】 本発明の、実施例を説明するための固定子コ
イルの、部分放電電荷量の経時変化特性図の一例を示し
ている。
【図3】 本発明の、複数の固定子コイルの、絶縁耐力
の時間的な劣化の相違を説明するための特性例を示して
いる。
【図4】 本発明の、他の実施例としての発電機固定子
コイルの結線図である。
【図5】 本発明が対象としている発電機の全体構成例
を説明するための図である。
【図6】 本発明が対象としている発電機固定子コイル
の、上、底コイルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…発電機 20…回転子 21…固定子コア 40…
固定子コイル 42…コイル導体 43…絶縁層 U
1、U2,…,W2…コイル群 U11…U16…1ター
ンコイル U121,U122…ハーフコイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 3/28 H02K 3/28 J 5H611 11/00 15/02 A 5H615 // H02K 15/02 11/00 M (72)発明者 小野田 満 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 Fターム(参考) 2G014 AA15 AB06 AB49 2G015 AA12 CA01 CA20 2G016 BA01 BC02 BC05 5H603 AA09 AA10 BB02 BB09 BB12 CA01 CA05 CB01 CB26 CC04 CC17 CD22 EE21 FA02 FA12 5H604 AA10 BB03 BB08 BB14 CC01 CC05 CC14 DA08 DA09 PB03 QA01 QC01 5H611 AA01 BB02 BB06 PP02 QQ07 RR00 UA02 UB00 5H615 AA05 BB02 BB07 BB14 PP01 PP12 QQ12 RR02 SS57 TT03 TT22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高電圧回転電気機械の固定子において、前
    記固定子のコアに、絶縁劣化特性が異なるインデックス
    絶縁システムを有するコイルを組込んで成る固定子、を
    具備したことを特徴とする高電圧回転電気機械の固定
    子。
  2. 【請求項2】前記請求項1の記載において、絶縁劣化特
    性が早期に表れるインデックス絶縁システムを有するコ
    イルが1ターン含んで成ることを特徴とする高電圧回転
    電気機械の固定子。
  3. 【請求項3】前記請求項2の記載において、前記1ター
    ンのコイルはフレーク状のマイカの絶縁層であることを
    特徴とする高電圧回転電気機械の固定子。
  4. 【請求項4】前記請求項1記載において、絶縁劣化特性
    が早期に表れるインデックス絶縁システムを有するコイ
    ルは、三相の固定子コイルの各相に少なくとも1ターン
    配置されていることを特徴とする高電圧回転電気機械の
    固定子。
  5. 【請求項5】前記請求項4記載において、絶縁劣化特性
    が早期に表れるインデックス絶縁システムを有するコイ
    ルは、固定子コイルの中で電位が中央よりも高い電位の
    コイルに設けて成ることを特徴とする高電圧回転電気機
    械の固定子。
  6. 【請求項6】前記請求項1記載において、絶縁劣化特性
    が早期に表れるインデックス絶縁システムを有する半タ
    ーンのコイルを含んで成ることを特徴とする高電圧回転
    電気機械の固定子。
  7. 【請求項7】高電圧回転電気機械の固定子であって、前
    記固定子のコアに絶縁劣化特性が他の部分よりも早く表
    れるインデックス絶縁システムを有する少なくとも1タ
    ーンのコイルと他の絶縁システムから成るコイルとで前
    記固定子コイルを構成し、前記インデックス絶縁システ
    ムを有するコイルの最大部分放電電荷量を計測し、前記
    電荷量が予め定めた寿命限界値に達したとき前記固定子
    の寿命限界であると判断することを特徴とする高電圧回
    転電気機械の固定子の診断方法。
  8. 【請求項8】前記請求項7の記載において、前記インデ
    ックス絶縁システムの最大部分放電電荷量の特性と、他
    の部分に用いられている絶縁システムの最大部分放電電
    荷量の特性との関係を予め計測し、前記インデックス絶
    縁システムの計測値に基づいて前記他の絶縁システムの
    絶縁劣化特性を推定判断することを特徴とする高電圧回
    転電気機械の固定子の診断方法。
  9. 【請求項9】高電圧回転電機において、前記回転電機の
    固定子コイルは絶縁劣化が他の部分よりも早く表れるイ
    ンデックス絶縁システムを有する少なくとも1ターンの
    コイルを含んで成る固定子コイルであって、前記インデ
    ックス絶縁システムの最大部分放電電荷量に基づいて前
    記固定子の寿命を判断するインデックス絶縁システム、
    を有する固定子を備えたことを特徴とする回転電機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013074652A (ja) * 2011-09-27 2013-04-22 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 回転電機およびその検査方法
CN110007191A (zh) * 2019-04-12 2019-07-12 湖北江山华科数字设备科技有限公司 一种电机绕组线圈绝缘故障定位方法

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