JP2002343087A - 透明固体内部のボイドの移動方法 - Google Patents
透明固体内部のボイドの移動方法Info
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Abstract
置を機械的に調整することなく、簡便に透明固体内部の
ボイドを移動させることができる透明固体内部のボイド
の移動方法を提供する。 【解決手段】 透明体4内部のボイドの移動方法におい
て、フェムト秒レーザーパルスのレンズ系又は試料のス
テージ3の調整を行うことなく、前記レーザーパルスを
試料としての透明固体4内部に連続照射することによ
り、この透明固体4内部のボイドをレーザーパルスの入
射方向に移動させる。
Description
ーパルスの照射による、透明固体内部のボイド(voi
d)の移動方法に係り、特にレンズ系又は試料ステージ
の調整を行うことなく、簡便に透明固体内部のボイドを
移動させることができる透明固体内部のボイドの移動方
法に関するものである。
多様な物質との間の相互作用が研究されている。フェム
ト秒レーザーパルスを透明物質のバルク内部に集光させ
ると、焦光点近傍の強度が高まり、永久的な構造変化が
生成される。この変化は、物質プロセスや微小機械加工
に応用できる。この変化の物理的メカニズムはいまだ研
究中であるが、この技術は、ガラス、結晶、プラスチッ
クを含む多種多様な透明物質の内部における、光データ
記憶装置、導波路、回折格子、結合器といった三次元の
光誘起構造を作成するために応用されている。
ーザーパルスを用いることにより、バルク透明物質にお
いてサブマイクロメーターの構造変化が生じるが、この
サブマイクロメーターの損傷は、緻密な物質に取り囲ま
れた空隙(cavity) またはボイドとなって表れ
る。
パルスを用いてフォーカスレンズの集光点を移動させる
ことによるボイドの光学的移動や、光軸上の2つのボイ
ドを合体させることを含む実験を発表した。
た特願2000−145922号があり、(2)本願発
明者によって提案された上記(1)の発明に関連した以
下の発表文献が存在している。
vol.4088,pp44−45,2000 SP
IEと日本光学会の共催のレーザ加工シンポジウム(2
000.6)SPIE:The Internatio
nal of Society for Optica
l Engineering 第61回応用物理学会 2000.9 Optics Letter vol.25,No.
22,pp1669−1671(2000.11)
たメモリー素子の書き換え方法においては、書き換え時
のレーザー光の集光点は、ビット位置よりレーザー光の
伝搬方向とは逆の方向に所定距離ずらした点に集光す
る。このために、試料のステージの移動、またはレンズ
の焦点距離の変化等、何らかの機械的な走査が必要にな
るといった煩わしさがあった。
秒レーザーパルスの照射に関して、装置を機械的に調整
することなく、簡便に透明固体内部のボイドを移動させ
ることができる透明固体内部のボイドの移動方法を提供
することを目的とする。
成するために、 〔1〕透明固体内部のボイドの移動方法において、フェ
ムト秒レーザーパルスのレンズ系又は試料ステージの調
整を行うことなく、前記レーザーパルスを試料としての
透明固体内部に連続照射することにより、この透明固体
内部のボイドをレーザーパルスの入射方向に移動させる
ことを特徴とする。
イドの移動方法において、前記透明固体内部のボイドが
三次元光メモリー素子のデータであることを特徴とす
る。
イドの移動方法において、前記透明固体はフッ化カルシ
ウムであることを特徴とする。
イドの移動方法において、前記レーザーのエネルギーが
550乃至570nJ/パルスであることを特徴とす
る。
イドの移動方法において、前記透明固体はシリカガラス
であることを特徴とする。
イドの移動方法において、前記レーザーのエネルギーが
110乃至130nJ/パルスであることを特徴とす
る。
体内部のボイドの移動方法において、前記レーザーの連
続照射数が10乃至60回であることを特徴とする。
て詳細に説明する。
のボイドの移動のための装置の模式図である。
サファイアレーザー、2,6は対物レンズ、3は固定さ
れたステージ、4はそのステージ3上にセットされる試
料(透明固体)、5はハロゲンランプ、7はCCDカメ
ラ、8はモニター装置である。
レーザー1からの130フェムト秒、波長800ナノメ
ートルのパルスを用いた。このレーザーパルスは、光軸
(+Z方向)に沿って伝搬した。室温で試料(透明固
体)4として3ミリメートル厚さのフッ化カルシウムの
スライドを用いたところ、シリカガラスの場合と同様の
結果が観察された。
を得るために、試料4の側面を光学的に研磨した。そし
て、高い開口数を有する顕微鏡の対物レンズ2を用い
て、直線偏光させたレーザーパルスを試料4内部に強く
集光させ、局所的な構造変化または光学的損傷を生起さ
せた。実験では開口数0.55の対物レンズ2を用い
た。
めに、再生増幅したチタンサファイアレーザー1の増幅
器(図示なし)に回折格子対を用いた。さらに、構造変
化を見るために、y−z平面における損傷またはボイド
の光学的画像を、透過照明による光学顕微鏡を用いて、
光軸に対して垂直方向から観察した。チタンサファイア
レーザー1は、繰り返し率1Hzで操作した。
ギーにおいて、レーザーショットの数に伴うボイドの動
きを調べ、バルクのフッ化カルシウムの表面から600
μmの深さに永久的構造変化を作製した。視覚でとらえ
ることのできる永久的構造変化に対するエネルギー閾値
は、1ショットで570nJ/パルスであった。
ネルギーにおいてレーザーショットの数に伴うボイドの
動きを示す図である。
プ5から光を照射して、y−z平面で観察したボイドの
光学画像が示されている。フェムト秒レーザーパルスの
ビーム伝搬方向(+z方向)は、画像平面上において左
から右とした。また、対物レンズ2に投射するエネルギ
ーを、1ショットで生じる永久的構造変化に対する閾値
よりも小さく設定した。
のできる損傷(ダメージ)の閾値より低い、550nJ
/パルスに設定したところ、1ショットでは損傷は発見
されず、構造変化が見られたのは5ショットの後だっ
た。レーザーショットの数は、5ショットから20ショ
ットまで変化させた。10ショットの後のボイドの光学
像は暗くなり、ボイドは円形で、2μm径であった。レ
ーザーショットの数が増えるにつれて、ボイドは−z方
向に向かって移動した。図2はボイドがz方向に5μm
移動したことを示している。さらに、ボイドが移動した
後の軌跡を見ると、構造変化であることを示唆してい
る。
ト数に依存することを証明するために、ショット数を増
やしてみた。
域が、パルスエネルギーが一定であるという条件で、レ
ーザーショットの数に依存することを示す図である。
0ショットまで変化させた。露光時間が長くなるにつれ
て、ボイドが−z方向に向かって動き、最初のボイドが
もともと存在していた場所の近傍に別のボイドが見られ
た。また、60ショットの後、最初のボイドの近傍に別
のボイドが生成された。
向に伸長した。ここでも、ボイドが移動した後の軌跡を
見ると、構造変化であることを示唆している。こうした
移動の方向は、本願発明者によって提案された特願20
00−145922号によるものとボイドの書き換えの
方向(−z方向)と一致しており、ボイドを+z方向に
書き換えることはできなかった。
ルス間の時間間隔は、熱拡散の時間スケールよりずっと
長い。熱により残留温度が上昇するというのは的外れで
ある。この現象は、レーザーパルスを連続照射すること
で、局所的な溶解が繰り返されることによるものと考え
られる。
自己束縛と密接に関係している。現在のフォーカスレン
ズの開口数(NA)では、自己集束が重要な役割を担っ
ている。なぜならば、高いピークパワーが必要であり、
そのためレーザーパルスにより強い自己集束が生じるか
らである。超短レーザーパルスをバルク体の表面上に収
束させた場合、変形が入射表面から離れた端部で始ま
り、レーザーショットの数が増えるのにともないこの表
面方向へ成長したという報告がある。シリカガラスにお
いて、フィラメントおよび屈折率変化の領域が、フェム
ト秒レーザーパルスによる露光時間が長くなるにつれて
レーザーパルスの入射方向に移動することも観察されて
いる。
秒レーザーパルスの照射に関して装置を機械的に移動さ
せずに、フェムト秒レーザーパルスを連続照射すること
により、ボイドをレーザーパルスの入射方向に5ミクロ
ンの距離で移動させることができた。すなわち、ボイド
を、フェムト秒レーザーパルスで制御することができ
た。
5ショットでは書き込みが出来ないが、10ショットで
書き込みが出来る。そして、50ショットまでビットが
移動する。その場合、5μmの移動が出来た。ボイド径
は2μm径である。また、60ショットでは次のビット
が形成される。
ショットで書き込み、さらに追加の10乃至30ショッ
トで移動を行う。
てのシリカガラス内部でのボイドの移動態様を示す図で
ある。
0.55、深さ500μm、書き込みエネルギー110
nJ/パルスであり、フッ化カルシウム内部でのボイド
の移動のためのエネルギー550nJ/パルスに比べる
と低い値となる点を除くと、その他の点はフッ化カルシ
ウム内部でのボイドの移動態様と同様である。
を行った例について説明したが、レンズ系又は試料ステ
ージの調整を行うことなく、書き込み後、連続した1シ
ョットで移動させることも可能である。
置、透明物質内部のナノ−マイクロ構造というような光
学的情報処理装置や通信装置に好適である。
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
よれば、以下のような効果を奏することができる。
関して装置を機械的に調整することなく、簡便にガラス
内部のボイドを移動させることができる。
子を製造することができる。微細ガラス加工分野で屈折
率分布の形成と修正に応用が期待できる。
移動のための装置の模式図である。
おいてレーザーショットの数に伴うボイドの動きを示す
図である。
スエネルギーが一定であるという条件で、レーザーショ
ットの数に依存することを示す図である。
ガラス内部でのボイドの移動態様を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 フェムト秒レーザーパルスのレンズ系又
は試料ステージの調整を行うことなく、前記レーザーパ
ルスを試料としての透明固体内部に連続照射することに
より、該透明固体内部のボイドをレーザーパルスの入射
方向に移動させることを特徴とする透明固体内部のボイ
ドの移動方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の透明固体内部のボイドの
移動方法において、前記透明固体内部のボイドが三次元
光メモリー素子のデータであることを特徴とする透明固
体内部のボイドの移動方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の透明固体内部のボイドの
移動方法において、前記透明固体はフッ化カルシウムで
あることを特徴とする透明固体内部のボイドの移動方
法。 - 【請求項4】 請求項3記載の透明固体内部のボイドの
移動方法において、前記レーザーのエネルギーが550
乃至570nJ/パルスであることを特徴とする透明固
体内部のボイドの移動方法。 - 【請求項5】 請求項1記載の透明固体内部のボイドの
移動方法において、前記透明固体はシリカガラスである
ことを特徴とする透明固体内部のボイドの移動方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の透明固体内部のボイドの
移動方法において、前記レーザーのエネルギーが110
乃至130nJ/パルスであることを特徴とする透明固
体内部のボイドの移動方法。 - 【請求項7】 請求項3又は5記載の透明固体内部のボ
イドの移動方法において、前記レーザーの連続照射数が
10乃至60回であることを特徴とする透明固体内のボ
イドの移動方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006093127A1 (ja) * | 2005-03-01 | 2006-09-08 | Kyoto University | ナノ空孔周期配列体の作製方法及びその装置 |
JP2007525652A (ja) * | 2003-05-30 | 2007-09-06 | シーティーアイ ペット システムズ インコーポレイテッド | レーザー技術による検知器コンポーネントの作製方法 |
JP2007237221A (ja) * | 2006-03-07 | 2007-09-20 | Hokkaido Univ | レーザ加工装置及びレーザ加工方法 |
JP2010152031A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Dainippon Printing Co Ltd | フォトマスクのパタン位置補正方法および位置補正されたフォトマスク |
JP2011054258A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-03-17 | Kobe Univ | 光情報記録媒体およびその作製方法 |
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- 2001-05-16 JP JP2001145700A patent/JP3967090B2/ja not_active Expired - Fee Related
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