JP2002340735A - 気体流シミュレーション方法 - Google Patents

気体流シミュレーション方法

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JP2002340735A JP2001146310A JP2001146310A JP2002340735A JP 2002340735 A JP2002340735 A JP 2002340735A JP 2001146310 A JP2001146310 A JP 2001146310A JP 2001146310 A JP2001146310 A JP 2001146310A JP 2002340735 A JP2002340735 A JP 2002340735A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実物の試作を行うことなく、気体中を回転し
ながら移動する物体の周囲の気体の流れを解明する。 【解決手段】 少なくとも一つの凹部や溝部等を側面に
有する円柱モデルをコンピュータにより設定し、円柱モ
デルの周囲に空間部を設定し、円柱モデルの表面部と空
間部をブロック状に分割して多数の格子区画を形成し、
円柱モデルが、その中心軸周りに回転している状態を想
定して円柱モデルの表面部あるいは円柱モデル近傍の空
間部の格子区画を設定し、空間部の一方向から円柱モデ
ルの側面に向かって気体を流入させ、気体が空間部を流
れ、円柱モデル表面を気体が通過している状態で、空間
部の気体の流れにかかる運動要素を格子区画毎に演算
し、円柱モデルの周囲の気体の流れを解析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体流シミュレー
ション方法に関し、詳しくは、表面に凹部あるいは溝部
を有する円柱状モデルを設定し、該モデルが中心軸周り
に回転しながら飛行する際に、モデル上を通過する気体
流の挙動を解析するものである。
【0002】
【従来の技術】球技に用いられる球体等の回転しながら
飛行する物体の周囲には、飛行中気体の剥離等の気流の
乱れが生じることが知られている。このような気流の乱
れは、物体の飛行性能に影響し、特に、球技に用いられ
るようなボール等の球体では、その飛距離に大きな影響
を及ぼす。
【0003】また、ゴルフボールの場合、ボール表面に
多数設けられるディンプル(凹部)がボールの空力特性
に大きく影響を及ぼすことから、ディンプルの大きさ、
配置、組合せ等とボールの空力特性との因果関係を認識
することが重要である。実際に、ゴルフボールに設けた
ディンプル等の相違により飛行特性がどのように変化す
るかを評価する場合、様々なディンプル仕様のゴルフボ
ールを多種類試作すると共に各試作ゴルフボールの打撃
実験を行い、飛距離等を実際に測定してボールの空力特
性を判断することがある。また、近年では打撃実験の代
わりに試作ゴルフボールを風洞内に配置して揚力係数、
効力係数等を測定してゴルフボールの空力特性を分析す
る方法等も提案されており、各種球体の空力特性を解析
するため種々の装置や方法等が提案されている。
【0004】例えば、特開平6−194242号では、
風洞を利用してボールの空力特性を分析する抗力、揚力
測定方法及びその装置が提案されている。図16に示す
ように、風洞内にゴルフボールと共に配置される測定装
置1は、ゴルフボール等の測定対象物Tを上端に取り付
けるアルミシャフト2をモータ3で回転させると共に、
アルミシャフト2の周囲に配置された歪型中軸三分力検
出器4でアルミシャフト2の歪みを検出している。風洞
で発生させた気流中で測定対象物Tを回転させると、実
際の飛行状態と疑似状態になり、測定対象物Tにかかる
抗力や揚力をアルミシャフト2の歪み量の測定値から導
き出し、測定対象物Tの飛行特性を分析している。この
測定では、風洞で様々な条件の気流を作り出し種々の条
件下での空力特性の測定を可能にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−194242号において、簡易的かつ効果的にディ
ンプル形状を選別するため、回転する円柱に凹凸をつけ
た実験手法も提案されているが、これに関しても、実物
モデルの作成を必要とし、試作による費用と時間を多く
必要とするという問題がある。
【0006】また、上記のような試作ボール等の打撃試
験、風洞実験による測定では、測定対象物の表面に凹部
や溝部がある場合に、試作が困難である上に、凹部や溝
部の配置・大きさ等を変更した様々なパターンの測定対
象物を作成し測定データを蓄積することは事実上困難で
ある。よって、ゴルフボールの表面に設けた個々のディ
ンプル等の形状、大きさ、配列等が、どのように気体の
流れに影響を及ぼすかまで詳細に知ることができないと
いう問題がある。
【0007】このように、従来の空力特性の評価方法で
は、変化した気流の結果的な特性しか判断できず、新た
に設計したディンプルと空力特性の因果関係を明確に関
連づけることができない。よって、新たに設計したゴル
フボールが必ずしも狙い通りのものに仕上がらないこと
も多々あり、その度に設計をやり直すと共に試作ゴルフ
ボールを作り直して空力特性を確かめる必要があるの
で、新たなゴルフボールの開発にはトータルで時間も費
用も大きく費やしてしまい、効率的な設計ができないう
問題がある。
【0008】また、試作を行わずに、コンピュータを用
いたシミュレーションにより空力特性を評価することも
行われているが、気体中を回転飛行する物体の運動を正
確にシミュレーションで表現し、その空力特性を把握す
ることはできていないという問題がある。
【0009】本発明は、上記した問題に鑑みてなされた
ものであり、実物の試作を行うことなく、ゴルフボール
のような気体中を回転しながら移動する物体の周囲の気
体の流れを解明し、さらには物体表面の形状が物体周囲
の気体の流れにどのような影響を及ぼすかも解析して、
回転飛行する物体周囲の気体流を視覚的に評価できるよ
うにし、開発・設計の効率化を図ることを課題としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、少なくとも一つの凹部や凸部、あるいは
溝部や突起部を側面に有する円柱モデルをコンピュータ
により設定し、上記円柱モデルの周囲に空間部を設定
し、上記円柱モデルの表面部と上記空間部を格子点によ
り多数の格子区画を形成し、上記円柱モデルが、その中
心軸周りに回転している状態を想定して円柱モデルの表
面部あるいは円柱モデル近傍の空間部の格子区画を設定
し、上記空間部の一方向から円柱モデルの側面に向かっ
て気体を流入させ、該気体が空間部を流れ、円柱モデル
表面を気体が通過している状態で、上記空間部の気体の
流れにかかる運動要素を上記格子区画毎に演算し、上記
円柱モデルの周囲の気体の流れを解析することを特徴と
する気体流シミュレーション方法を提供している。
【0011】このように、本発明では、コンピュータ上
の仮想空間内にゴルフボールのディンプル等に相当する
凹部あるいは溝部等を有する円柱モデルを設定し、この
円柱モデルの周囲に空間部を形成し、円柱モデルが、そ
の中心軸周りに回転している状態を想定して円柱モデル
の表面部あるいは円柱モデル近傍の空間部の格子点、格
子区画を設定している。このため、上記空間部へ連続し
て流入させる気体流のシミュレーションをコンピュータ
で行うことにより、凹部あるいは溝部等を有する円柱モ
デルが回転している状態での、円柱モデル周囲の気体の
流れを解析することができる。従って、円柱モデルの回
転数、及び、凹部や溝部が、飛行中の気体の流れに及ぼ
す影響を容易に把握することができる。
【0012】また、円柱モデルの底面と平行な面で円柱
モデルを切断すると、その断面形状は円形状となる。こ
のため、円柱モデルでのシミュレーション結果は、上記
切断面の断面形状と同一の断面形状を有する球体等の物
体周囲の気体の流れの解析に応用することができる。こ
れにより、モデル形状は円柱であるが、ゴルフボール等
の種々の球体が回転しながら飛行する際の空力特性を把
握することができる。
【0013】上記空間部はブロック状に分割しているこ
とが好ましい。分割したブロックにおいて空間部を設定
すると、格子区画の設定が行いやすく、計算を容易にす
ることができる。
【0014】上記空間部の気体の流れにかかる運動要素
を上記格子区画毎に演算している。格子区画毎に演算す
るとは、各格子毎、各格子の格子点毎、格子の中心毎、
格子面毎、格子点を結ぶ格子の辺毎、あるいは格子点間
の任意の点毎等、種々の方法により各格子区画毎に運動
要素を演算することを指す。
【0015】上記格子区画は、構造格子により形成して
もよいし、非構造格子により形成してもよい。簡易な構
造のモデルを解析する際には、構造格子の方が計算が簡
易となるため好ましく、複雑な形状のモデルを解析する
際には、格子の大きさを適宜変更しやくいため、非構造
格子の方が精度良く計算を行うことができる。なお、構
造格子と非構造格子とを組み合わせて用いることも可能
であり、解析モデルや解析内容に応じて、適宜設定する
ことができる。
【0016】本シミュレーションにおいては、相対速度
を考慮し、円柱モデルが回転しながら飛行速度Vで飛行
している状態を解析することもできるし、上記ような状
態を、円柱モデルが一定位置で回転しているところに速
度Vの空気が通過する状態と同一とみなして解析するこ
ともできる。
【0017】上記円柱モデルが、その中心軸周りに回転
している状態で、気体が円柱モデル表面を通過し空間部
を流れる際に、空間部の気体の流れにかかる運動要素を
格子区画毎に演算しているが、本発明では、以下に示す
方法により、回転している円柱モデルの解析を可能にし
ている。
【0018】本発明では、具体的に、下記の3つの方法
のいずれか、またはその組み合わせを用いて円柱モデル
の回転を表現し解析している。
【0019】円柱付近の格子を回転させる方法。 本方法では、空間部の格子区画を複数の領域に分割して
考える。例えば、円柱モデルを含む領域1と、その領域
1の外周空間の領域2に分割する。そして、領域1自身
が回転することにより、円柱モデルの回転を表し、2つ
の領域の界面付近では、速度と圧力(流入質量、運動量
等)等の物理量を数学的に補間することにより気体の流
れを各領域間で伝達し、演算している。その他、4ブロ
ック、6ブロック等の複数のブロックに分割し、それら
をオーバーラップ接続することができ、空間領域全体と
しても、モデル化や計算を行い易くしている。上記補間
のため、各領域界面付近では格子区画を重複させて配置
するのが好ましい。また、空間部の格子区画は、分割せ
ずとも複数個の領域が重複するように組み合わせて配置
し、一つの空間部とすることも可能である。
【0020】具体的には、領域1は円柱モデルの周りを
回転させるために円形とすることが好ましい。外側の領
域2は、固定のため、四角形でもよい。領域2を円形と
すると、円柱モデルから遠ざかり空間部の外側にいく
程、回転移動の計算が大きくなる。このため形状は四角
形にした方が計算時間が短くなる。また、領域2は円柱
モデルの後流側(円柱モデル表面を通過した後の気体の
流れ側)の空間部において、その領域を広く設定するこ
とが好ましい。これにより、円柱モデル表面を通過した
後の気流の乱れ、挙動を解析する格子区画が広くなるた
め、気流の挙動、乱れを精度良く解析することができ
る。
【0021】また、円柱モデルの底面の円の直径をDと
すると、領域1の断面形状は、該底面の円と中心を同じ
とし、半径が1D以上5D以下の円形状とするのが好ま
しい。上記範囲としているのは、領域1の半径が1Dよ
り小さいと、領域2と円柱との距離が近くなり領域1と
領域2との受け渡しの影響により、円柱表面近くでの解
析精度が悪くなるためであり、領域1の半径が5Dより
大きいと計算が煩雑になるためである。また、領域2
は、円柱モデルの底面と平行な面において、円柱のモデ
ルの底面の円の中心と、領域2の端との距離が20D以
下となるような形状とするのが好ましい。20Dより大
きいと計算が煩雑となり計算に時間がかかるためであ
る。
【0022】上記のように、各領域界面での物理量の補
間について詳述する。格子区画を数個に分割あるいは重
複した場合や、領域界面が周期的に一致した場合は、そ
の領域界面付近において、速度、圧力等の物理量の補間
が必要となる。この補間方法においては、1次線形補
間、2次線形補間、スプライン補間等、いかなる補間法
を用いてもよい。このように、補間することで、回転の
ために生じる領域間の速度、圧力等の物理量のずれをな
くすことができ、領域間で上記物理量を正確に伝えるこ
とができ、回転移動を正確に評価することができる。
【0023】円柱付近の格子が変形する方法。 本方法では、格子区画が回転した後、次にどの位置に来
るか、回転移動後の格子区画の位置を予測し、その位置
での形状を表すように格子区画を変形させることにより
回転を表現するものである。これにより、回転移動を正
確に評価することができる。
【0024】境界条件として回転を与える方法。 本方法では、より簡便に回転を表すために、円柱モデル
の表面に回転速度成分の速度を境界条件として持たせる
ように設定する。即ち、空気の流れに対して、回転体の
速度は相対的に0とし、回転を考慮するため、円柱モデ
ルの表面に速度rωを持たせる(r:回転軸即ち円柱中
心軸からその点までの距離、ω:回転角速度)。これに
より、回転移動を正確に評価することができる。
【0025】上記円柱モデルの表面部と空間部をブロッ
ク状に分割して多数の格子区画を形成しているが、上記
格子区画は、4面体、5面体又はそれらの組み合わせ、
あるいはそれらと6面体との組み合わせであることが好
ましい。6面体のみとしても解析可能であるが、上記の
ような組み合わせとすることにより、細かく解析したい
ところだけ格子区画を密集させることができ、円柱モデ
ルの回転の取り扱いについて対応しやすくなり解析精度
が、より向上する。
【0026】上記気体の流れにかかる運動要素は、三次
元空間座標系の各軸方向の気体流の速度、気体流の方
向、および、上記物体表面に対する気体流の圧力であ
り、これら運動要素を連続の式等の気体流の質量保存
式、および運動方程式・ナビエストークスの式等の気体
流の運動量保存式で微小時間毎に演算している。
【0027】具体的なシミュレーション方法としては、
空間部を分割した格子区画毎に離散化した連続の式およ
び離散化したナビエストークスの式を用いて微小時間毎
に演算して上記各運動要素の数値を算出し、これら各格
子区画毎の演算結果を組み合わせて空間部全体にかかる
気体流をシミュレーションすることで気体流の変化を解
析できる。また、時間の経過に伴う気流の変化や異なる
時間帯における気流状況を解析する場合は、微小時間毎
に時間を進行させて上記式を演算することで所要時間帯
の気体流の変化も解析できる。
【0028】円柱モデルの回転を考慮するにあたり、方
程式を離散化する際、上記2式の分母を各時間刻み毎に
回転に応じて変更していく必要がある。円柱モデルが回
転しない場合は、任意の格子区画においてその格子区画
が一定なので常に上記2式の分母は一定であるが、円柱
モデルが回転する場合は、格子区画の移動に伴い、式中
の分母の評価を格子区画の位置移動に対応させる必要が
あり、格子区画の移動後の位置での座標・物理量を参照
させることが要求され、それに伴い、式中の分母が変更
される。
【0029】上記演算の結果を基に上記円柱モデル周囲
の気体の流れにかかる流れ方向と流れ速度を、ベクトル
方向およびベクトル長さにより可視化して解析してい
る。また、上記演算結果から同様に、円柱モデル周囲の
気体の流れにかかる圧力分布を等圧線または圧力の等値
面により可視化し、渦度分布も渦度の等値線または等値
面により可視化してそれぞれ解析している。このように
得られる演算結果の数値を、ベクトルや等圧線等で置き
換えることにより、気体流にかかる各種運動を可視化で
きる。
【0030】このような可視化を通じて、回転している
円柱モデルの凹部や溝部による気体流の変化を明確に把
握することができ、回転中の物体の凹部や溝部と空力特
性との因果関係も判断できる。なお、円柱モデル周囲の
気体流の可視化は、上記以外にも演算結果を基に流線、
流跡線、パーティクルトレース、またはボリュームレン
ダリング等にも対応することが可能であり、気体流の演
算結果の数値を専用の可視化プログラムあるいは市販の
汎用可視化ソフト等に投入することで数値に対応する各
種状況を目的に応じて可視化できる。なお、ボリューム
レンダリングとは空間をその座標における物理量(圧
力、密度等)で色分けすることであり、圧力の高低や密
度の差を色の差で表すことを指す。
【0031】上記のように円柱モデルの表面部あるいは
空間部を分割した各格子区画の形状は、六面体、五面
体、四面体といった種々の多面体形状で形成することが
でき、これらの各形状の多面体を適宜組み合わせて格子
状に区画してもよい。
【0032】また、このように区画した格子区画毎に滑
らかに連続する方程式を切り分けて離散化する方法とし
ては、有限差分法、有限体積法、境界要素法、有限要素
法等のいずれかの方法を用いて、格子点毎、格子中心
毎、各区画内毎等に上記演算を行うようにしてもよい。
【0033】比較的速度が小さい演算においては、気体
を非圧縮性として扱うことが可能なので気体密度を一定
にして演算してもよい。また、圧縮性を考慮して密度を
変数として扱ってもよく、この場合にはエネルギー保存
式を考慮する必要がある。
【0034】演算に関しては、上述した離散化した連続
の式およびナビエストークスの方程式に数値を代入して
直接計算してもよく、気体流を乱流モデルとして乱流速
度を加味した速度値を代入して計算してもよい。さら
に、このような演算においては、円柱モデル表面での流
速を滑りなしの条件として円柱モデル表面と接して流れ
る気体速度をゼロ、即ち、v=円柱の回転速度とし、表
面での圧力条件、計算領域の外面での速度、圧力条件は
内部流れが滞らないように適宜設定する。また、前述し
たように円柱モデルの回転を考慮し、物体表面と接する
気体速度を物体の回転速度成分と同等の値に設定しても
よい。また、円柱モデルの上面と下面での速度、圧力等
の物理量は一致させ、周期境界条件とすることにより、
無限長さの円柱を計算する。
【0035】上記空間部は、上記円柱モデルの側面から
空間部の端までの寸法が、上記凹部あるいは溝部の深さ
(上記凸部あるいは突起部の高さ)の寸法の10倍以上
10000倍以下になるように設定している。これによ
り、精度が高く演算効率も優れたシミュレーションを実
現できる。円柱モデルの側面より外側へ離反する方向の
空間部の寸法は、凹部あるいは溝部等の周囲の気体の影
響を解析するために、少なくとも凹部あるいは溝部等の
深さの10倍は必要であり、上限としては凹部あるいは
溝部等の影響が及ばないで気体の流れが一様となる範囲
で演算に要する時間等がかからないようにするために、
凹部あるいは溝部等の深さの10000倍とするのが最
適である。
【0036】上記空間部の高さは、円柱モデルの高さに
一致するように設定している。即ち、円柱モデルの上面
と空間部の上面が一致し、円柱モデルの下面と空間部の
下面が一致するようにしている。なお、上記した空間部
の上面の点と、下面の点ではデータを共有しており、上
記空間が無限につながった状態に等しい解析を行ってい
る。
【0037】円柱モデルの側面から外方(空間部の端)
へ向かって1/Re0.5(Reはレイノルズ数、Re
=代表速度×代表長さ/気体の動粘度)以下の範囲に位
置する上記空間部の各格子区画の厚さを、1/(100
0・Re0.5)以上1/Re0.5以下の範囲で円柱
モデルの側面から外方へ向かって増加させて設定してい
る。なお、格子区画の厚さとは円柱モデルの底面の円の
径方向と同方向の長さを指し、格子区画の高さとは円柱
モデルの高さ方向と同方向の長さを指し、格子区画の幅
とは円柱モデルの円の周方向と同方向の長さを指す。
【0038】円柱モデルの表面付近は、境界層となり気
体の流れ速度が大きく変化するため、上記のように円柱
モデルの側面から1/Re0.5以内の範囲の空間部の
格子区画は、細かく区分することで詳細に気体の流れを
シミュレーションし、凹部あるいは溝部等と気体流れの
変化に対する関連を詳しく解析することができる。ま
た、円柱モデルの表面付近を離れると、流れ速度の変化
は緩やかになるため、格子区画を上記のように大きく分
割して演算回数を減らして演算効率を高めて、シミュレ
ーションに要する時間を削減できる。
【0039】また、各格子区画の幅、及び高さは、凹部
あるいは溝部等の影響を確実に確認できるようにするた
めに、凹部あるいは溝部等の幅(凹部が丸の場合は直
径)の4分の1以下程度の寸法にするのが好ましい。な
お、上述の空間部や格子区画等は無次元空間における設
定なので、数値は無次元数となり単位は付加されない
が、実際のゴルフボール等に基づいて気体流シミュレー
ションを行う場合は、有次元空間に戻す必要があり、無
次元空間の数値に相当する単位を付加して評価を行う。
【0040】さらに、より詳細なシミュレーションを行
う場合は、気体の流入条件として速度分布や気流の乱れ
条件を気体の流れに付加してもよく、円柱モデル表面の
空間部が充分に広い場合等は、流入速度を一様の流速に
するなどの条件を設定してもよい。また、流入する気体
の流れ方向は、上記シミュレーション方法で評価する目
的に応じて円柱側面に対する流れ方向を適宜設定するこ
とができる。なお、円柱モデル表面より離れた空間部の
上方では凹部あるいは溝部等による影響が弱まるため円
柱モデル表面に対する圧力はゼロ、流入出速度は一様の
流速でシミュレーションを行うことで、一段と現実的な
シミュレーションを行える。
【0041】円柱モデルの断面形状を、ディンプルを設
けたゴルフボール等の凹部や溝部等を有する球体の断面
形状にあてはめ、円柱モデル周囲の気体流のシミュレー
ション結果をゴルフボールのディンプル設計等に役立て
ることができる。
【0042】具体的には、上記のようにコンピュータで
凹部や凸部あるいは溝部や突起部を有する円柱モデル周
囲の気体流をシミュレーションして可視化すると、凹部
や溝部等の周囲の流れの状況、および気体の流れが乱入
に遷移して凹部や溝部の効果が生じているかを一目で判
断することができ、設計した凹部や溝部等の大きさ、配
置、配列等が最適か否かを容易に評価できる。また、抗
力係数、揚力係数、モーメント係数を求めることで、さ
らに評価精度を向上することができる。特に、ゴルフボ
ールのディンプル効果は、ボール表面での気体の流れで
ある境界層を積極的に乱流化し、ボール表面から流れの
剥離点を後方へ移動させることで、気体抵抗を削減する
ことであるため、上記のような解析結果を有効に活用す
ることができる。その結果、ゴルフボールの試作および
実験を行わずにゴルフボールの評価が可能となり、設計
に係る無駄も解消されゴルフボール開発のスピードアッ
プに貢献できると共に開発費用も大幅に削減できる。
【0043】また、本シミュレーションの解析結果は、
上記ゴルフボールに限らず、野球のボール、テニスボー
ル等の表面に凹部あるいは溝部等を有する球体が気体中
を回転しながら飛行する際の球体表面の気体の流れの解
明に役立てることができる。なお、球体に限らず、断面
形状が円形状であるような種々の物体にも適用すること
ができる。
【0044】なお、上記した気体流のシミュレーション
方法は、プログラムの形態でCD、DVD等の記憶媒体
に記録し、これら記録したCD、DVD等から汎用コン
ピュータでプログラムを読み出すことにより、当該コン
ピュータを気体流シミュレーション装置として機能させ
ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1は、本発明の気体流シミュレー
ション方法にかかるシミュレーション装置10であり、
CPUや記憶装置等を備えた本体部10aとディスプレ
イ10b等からなるコンピュータをハード的に利用して
いる。ソフト的には本体部10aの記憶装置に本発明の
シミュレーション方法にかかるプログラムが保存されて
おり、上記シミュレーション用プログラムの実行で種々
の気体流シミュレーションを可能にしている。
【0046】図2は、シミュレーション装置10に内蔵
されたプログラムのシミュレーション方法の流れを示し
ており、まず、シミュレーション装置10は、シミュレ
ーションの準備段階として、図3にも示すように、プロ
グラムに含まれる作図ソフトでシミュレーションにかか
る対象の物体として、円柱モデル20をコンピュータの
仮想空間上で三次元的に作成している。上記作図ソフト
では、作成した物体の表面に凹凸を設ける等、表面の形
状も様々に作成可能にしている。
【0047】本実施形態では、円柱モデル20の側面2
0aの全面に渡って、30本の溝部20bを等間隔に、
円柱モデル20の中心軸iと平行になるように設けてい
る。(ただし、図中においては、図面の見易さを考慮
し、溝部の本数は少なくしている)このようにして、シ
ミュレーションの対象となる円柱モデル20を設定して
いる。
【0048】次に、図4に示すように、気体流のシミュ
レーション対象となる空間をモデル化するために、円柱
モデル20の周囲に空間部21を設定している。この
際、演算効率を考慮した上で円柱モデル20の側面20
aの溝部20bによる気流の変化の状態を充分に評価で
きるように、円柱モデル20の側面20aから空間部2
1の端までの寸法を溝部21の深さ寸法の10倍から1
00倍の範囲で適宜設定している。
【0049】そして、空間部21をブロック状に分割し
て、多数の格子区画22を形成し、同様に円柱モデル2
0の表面部20cの全体をブロック状に分割して、多数
の格子区画23を形成している。格子区画22、23は
6面体としている。また、円柱モデル20が、その中心
軸i周りに回転している状態を想定して、円柱モデル2
0の表面部あるいは円柱モデル20近傍の空間部の格子
区画22、23をそれぞれ以下のように設定している。
なお、空間部21と円柱モデル20の表面部20cの全
体について格子区画22、23を形成しているが、表示
の都合上、図4においては、空間部21と円柱モデル2
0の表面部20cの一部のみを格子状に表している。
【0050】図5(A)(B)に示すように、空間部2
1の格子区画22は、円柱モデル20を含む領域1と、
その領域1の外周空間の領域2の2つの区画に分割して
いる。そして、領域1自身が回転することにより、円柱
モデル20の回転を表している。2つの領域の界面付近
では、速度と圧力(流入質量、運動量等)等の物理量を
数学的に2次線形補間により補間することで気体の流れ
を各領域間で伝達し演算している。領域1は円柱モデル
20の周りを回転させるためにその断面形状を円形と
し、外側の領域2もそれに応じて円形としている。ま
た、円柱のモデル20の底面の円の直径をDとすると、
領域1は、該底面の円と中心を同じとし、半径が1Dの
円状としている。また、領域2は、円柱のモデルの底面
の円の中心との距離が20D以下の範囲で適宜設定して
いる。なお、本シミュレーションにおいて、格子区画を
構成する節点数は362400(302×100×1
2)とし、領域1は、その径方向L1に45メッシュ、
領域2は、その径方向L2に55メッシュ、領域1、2
は各々円周方向Wに302メッシュ、また円柱モデルは
円柱高さ方向Mに12メッシュに区切られている(な
お、表示の都合上、図中では実際のメッシュの数よりも
線の数を少なくしている。)。
【0051】空間部21を分割する格子区画22の大き
さは種々設定可能であり、部分的に各区画寸法等を相違
させることも可能にしている。図6では、深さtである
溝部20bを有する円柱モデル20の側面20aの近傍
は境界層となり気体流の変化が大きく、上方は気体流の
変化も小さいことを考慮して、円柱モデル20の側面2
0aの近傍では、格子区画22の厚さを小さく分割し、
外方へ行くに従い徐々に厚さを大きくしている。なお、
格子区画22、23は非構造格子としている。具体的に
は、円柱モデル22の側面22aから外方へ1/Re
0.5(Reはレイノルズ数、Re=代表速度×代表長
さ/気体の動粘度)以下の範囲に位置する各格子区画2
2の厚さdhは、計算精度が向上するため、本実施形態
では均一になるように設定している。また、円柱モデル
20の側面20aから1/Re .5より外方に位置す
る各格子区画22の厚さhは、計算精度を保持しながら
計算時間を短くするため、1/Re0.5より大きく
し、外方にむけて徐々に大きくなるように設定してい
る。なお、上記代表速度はボール飛行速度であり、代表
長さは円柱直径である。なお、円柱モデル22の側面2
2aから外方へ1/Re0.5以下の範囲に位置する各
格子区画22の厚さdhは、レイノズル数と関連づけて
1/(1000・Re0.5)以上1/Re0.5以下
の範囲で外周方向に向けて徐々に広くなるように設定し
てもよい。
【0052】また、各格子区画22の形状は、図7に示
すように、六面体に形成し、これら格子区画22におけ
る位置を規定するため、空間部21において円柱モデル
20の側面20aに垂直で後述する流体を流す方向と一
致する方向をx方向、x方向と同一面上で直交する
方向をx方向、x方向とx方向で形成される面の
垂直方向(円柱モデル20の中心軸iの方向)をx
向に設定している。
【0053】上記のように空間部21および格子区画2
2をモデル化した後、シミュレーション用プログラム
は、図8に示すように、気体(空気)Tを円柱モデルの
側面に向かって空間部21の一面21a側から流入さ
せ、円柱モデル20の表面を通過させ空間部21中を、
図中の矢印の向きに流している。このような気体Tの流
れに関する運動は、下記に示す一般的な物体の運動にお
ける質量保存則に相当する連続の式(1)および一般的
な物体の運動量保存則に相当するナビエストークスの式
(2)を用いて表すようにしている。なお、本シミュレ
ーションにおいては、相対速度を考慮し、円柱モデルが
回転しながら飛行速度Vで飛行している状態を、円柱モ
デルが一定位置で回転しているところを速度Vの空気が
通過する状態を同一とみなしている。なお、圧縮性を考
慮する場合は、流体内に閉曲面Sで囲まれた固定領域V
を考え、式(1)(2)に加えて、式(α)のエネルギ
ー保存式を考慮することが必要である。
【0054】
【数1】
【0055】上記式(1)(2)は、テンソル形式で表
記されており、ρは気体の密度、vは速度、Kは気体の
単位質量当たりに働く外力、Pは気体に働く応力テンソ
ル、tは時間、Eは単位質量当たりの全エネルギー、
Θは熱流ベクトル、Qは単位質量当たりの発熱量を示し
ている。なお、外力Kには重力や浮力等が該当し、応力
テンソルPには物体表面への圧力や剪断成分が該当す
る。また、Pij(i、j=1、2、3)は、上述した
による三次元空間座標系における9個の数
により下記の3行3列の行列である数式(3)で表記で
きる。 P111113 212223 313233 …(3)
【0056】上記のような円柱モデル20の周囲に連続
して気体Tを流すシミュレーションでは、空間部21の
各格子区画22毎に空気の流れを演算により解析してい
る。この演算に上記二式(1)(2)を用いており、空
間部21を格子区画22で区切ったことに対応して上記
二式を離散化して演算を行っている。なお、シミュレー
ションの方法はシミュレーションの条件等を考慮して有
限差分法、有限体積法、境界要素法、有限要素法等を適
宜選択して行っている。
【0057】上記離散化された二式による演算は、有限
差分法を用いる場合であれば、例えば、各格子区画22
の各交点で微小時間dt毎に逐次演算を行い、特定時間
における気体の流れに関する運動要素である気体速度、
流れ方向、物体表面への気体圧力をそれぞれ求め、これ
ら各交点の演算結果を組み合わせることで空間部21全
体の気体の流れにかかる運動を数値化できる。以降、微
小時間dt経過毎に上記と同様の演算を行い、各時間帯
における気体流の運動を数値化している。また、上記演
算は各格子区画22の交点で行う以外には、各格子区画
22の中心や格子面上で行ってもよい。
【0058】上記のようにして求められた気体流の運動
に関する各数値は専用あるいは汎用の可視化ソフトを用
いて視覚的に表示しシミュレーションの結果を判断して
いる。可視化する場合、例えば、速度の方向と大きさの
みをベクトルで表示して物体表面や周囲の速度がどのよ
うになっているかを表示したり、物体表面への同じ圧力
値を結んだ等圧線や等圧面で圧力分布を表示するなどし
て、気体の流れに関する種々の要素を視覚的に示してい
る。このようにして円柱モデル表面の形状等が如何に周
囲の気体の流れに影響を及ぼすか可視化して、物体表面
形状の設計等に役立てている。本実施形態では、空気の
運動を可視化するため、演算値を基に市販の可視化ソフ
ト(FIELD VIEW:米国Intelligen
t Light社製)を使用して、空気の流れ状況を可
視化している。
【0059】具体的には、図9では、ある時間における
円柱モデル20の周囲の渦流の渦度分布状況を渦度の等
値面Uで示している。円柱モデル20の後流部で細長の
渦が発生していることがわかり、また渦そのものの大き
さ、形も確認できる。
【0060】図10では、ある時間における円柱モデル
20の周囲の空気Tの圧力分布を示しており、等圧箇所
を線で結んで視覚的に断面Aで表示している。後流部分
を中心に圧力が変化していると共に、これらの箇所で等
圧線の間隔が狭いので圧力変化も大きいことが分かる。
【0061】なお、渦度分布や圧力分布は渦度や圧力の
等値線により可視化するようにしてもよい。また、上記
以外にも演算値を基に、流れ速度及び流れ方向、流線、
流跡線、パーティクルトレース等も線分や色分け等で可
視化可能である。なお、空気Tの流れ方向は、上記演算
で各三次元直交座標毎の成分を合成した速度方向と一致
させている。
【0062】このように、本発明のシミュレーション方
法を用いれば、溝部を有する円柱モデルが中心軸周りに
回転している際の、円柱周囲の空気の流れを解析できる
ため、断面形状が円形状である回転体周囲の空気の流れ
の様子を評価することができる。従って、ディンプルを
有するゴルフボールのような回転飛行する物体の周囲の
空気の流れの様子を把握し、ディンプル等の凹部や物体
の回転が空気の流れの状況にどのように影響を及ぼすか
を判断可能にしている。
【0063】なお、上記実施形態では、領域1と領域2
の断面形状(中心軸に垂直な断面形状)は共に円形とし
ているが、図11、12に示すように、空間部51の格
子区画52の設定において、領域1は円柱モデル20の
周りを回転させるために円形とし、外側の領域2は、固
定のため、四角形とし、円柱モデルの後流側において、
円柱モデル20表面を通過した後の気流の乱れや挙動を
解析するために、後流側の格子区画52の領域を広く設
定するようにしてもよい。
【0064】上記実施形態では、円柱モデル20の側面
20aの全面に渡って、30本の溝部20bを等間隔
に、円柱モデル20の中心軸iと平行になるように設け
ているが、溝部20bに変わり、図13(A)に示すよ
うに、円柱モデル30の側面30aの全面に渡って、凹
部30bを等間隔に設けてシミュレーションの対象とな
る円柱モデル30を設定しても良い。また、図13
(B)に示すように、円柱モデル30’の側面30a’
の全面に渡って、凸部30b’を等間隔に設けてシミュ
レーションの対象となる円柱モデル30’を設定しても
良いし、図13(C)に示すように、円柱モデル30”
の側面30a”の全面に渡って、30本の突起部30
b”を等間隔に、円柱モデル30”の中心軸iと平行に
なるように設けてもよい。なお、円柱モデルの側面の凹
部あるいは溝部等の配置構成、配置数は特に限定され
ず、上記構成の組み合わせ等シミュレーション評価を行
いたい種々の配置とすることができる。
【0065】なお、上記に説明した気体流シミュレーシ
ョン方法は、シミュレーションの条件等に合わせて種々
の変形が可能であり、例えば、気体の流れを表示する式
(1)(2)を下記に示すように、積分式(4)(5)
の形で適用してもよい。なお、圧縮性を考慮する場合
は、式(4)(5)に加えて、式(β)のエネルギー保
存式を考慮することが必要である。また、気体流として
乱流モデルを用いる場合は、これら各式(1)(2)
(4)(5)において平均的な気体速度v’に対して乱
流成分の乱流速度v”を加えて値のv’+v”を速度成
分として演算してもよい。
【0066】
【数2】
【0067】さらに、気体流の境界条件となる円柱モデ
ル表面の気体流の速度は、通常は滑りなしと考えて気体
速度v=0と設定するが、球体表面の速度をゼロにする
のではなく、円柱モデルの回転速度で円柱モデル表面の
接線方向の成分を円柱モデル表面に速度として演算する
ようにしてもよい。即ち、円柱モデル表面の回転速度成
分v”を考慮して気体速度vに回転速度成分v”を加え
た値を速度成分として演算してもよい。
【0068】なお、格子区画22の形状は、六面体以外
にも、図14(A)(B)(C)に示す格子区画2
2’、22”、22’”のように、三角錐、四角錐、三
角柱等の形状に形成することが可能であり、さらに、図
14(D)に示すように、これら種々の形状を組み合わ
せて空間部21’を区画分割することもできる。このよ
うな多種類におよぶ空間部の格子状の区画はシミュレー
ションにかかる物体の形状や条件等を考慮して適宜決定
している。
【0069】また、空間部21への気体の流入および流
出条件は一様流速とする以外に、シミュレーションの条
件に応じて、速度分布や気流の乱れ条件を流入速度に成
分として付加してもよい。
【0070】以下、本発明の気体流シミュレーション方
法を用いた円柱体のシミュレーションの実験例について
詳述する。
【0071】(実験例1)上記第一実施形態と同様の方
法により、半径42.5mmの円柱モデルが、円柱の中
心軸周りを中心として回転しながら速度35m/sで空
気中を飛行する際の円柱モデル周囲の気体流のシミュレ
ーションを行った。
【0072】円柱表面に沿って、30本縦溝を周方向に
等間隔に設けた。溝部の深さと円柱モデルの底面の円の
直径との比を0.0057とした。また、各格子区画の
厚さは無次元数であり、この無次元数を有次元空間に置
き換えた場合に相当する寸法を、dhを例にして求める
と以下のようになる。即ち、空気の動粘度νが15.0
1×10−6/sであることと、代表長さDをゴル
フボールの直径42.5mmとし、代表速度Vである円
柱モデルの速度は35m/sと設定すると、レイノルズ
数Re(Re=V・D/ν)は115500となり、円
柱モデル側面に直近の空間部の格子区画の厚さ(x
向)は、1/10Re0.5に代表長さDをかけて1.
25×10−2mmに相当する寸法に設定した。また、
格子区画の幅、及び高さ寸法は、縦及び横方向(x
よびx 方向)とも溝部の内部の気流の変化を細かく判
断できるように、溝部の幅を八分割した寸法に設定し
た。空気の流入速度vは円柱モデル20の速度Vが3
5m/sの条件でシミュレーションするため、流入速度
も35m/sに設定して、円柱モデル20がこの速
度で飛行しているのと同様の状況を作り出した。なお、
速度を一様流速にし、空気を非圧縮性として扱い、密度
ρも一定とし、空間部の上面部の圧力はゼロ、円柱モデ
ルの表面を滑りなしの条件として円柱モデル表面におけ
る速度成分もゼロとした。
【0073】(実験例2)溝部の深さと円柱モデルの直
径との比を0.0234とした以外は実験例1と同様と
した。
【0074】回転時の回転数は、0rpm、3000r
pm,6000rpm、9000rpm、12000r
pmの5通りについてシミュレーションを行った。各シ
ミュレーション結果から得られた抗力係数Cd、揚力係
数Cl、モーメント係数を図15に示す。
【0075】図15に示すように、シミュレーション結
果によると、実験例1、2共に回転数増加に伴い、揚力
が増大するという結果となり、モーメント係数も増加す
る結果となった。抗力については回転数の影響をあまり
受けない結果となった。また、実験例1と実験例2の比
較においては、Cd、Clともに回転数の広い範囲で実
験例1の方が優れる結果となった。
【0076】さらに、上記実験例1及び実験例2の各円
柱モデルの底面と平行な断面(円形状)と同一の断面形
状(円形状)を有するゴルフボール(球体)を作製し、
7番・9番アイアンを用いて上記2種類のゴルフボール
の実打テストを行った。実打テストによる各ボールの飛
距離(yard)を下記の表1に示す。なお、ゴルフボ
ールの回転数はおよそ3000rpm〜7000rpm
であるものと考えられ、上記図15の結果は、実際にゴ
ルフボールの飛行時に考えられる回転数である。
【0077】
【表1】
【0078】表1に示すように、実験例1の円柱モデル
と断面形状を同一としたゴルフボールは、7番・9番ア
イアンでの飛距離がそれぞれ141yard、121y
ardであり、実験例2の円柱モデルと断面形状を同一
としたゴルフボールの飛距離の135yard、118
yardに比べ大きな飛距離であった。この実打テスト
の結果は、シミュレーション結果と同傾向の結果を示し
ており、シミュレーションの解析は、実際のゴルフボー
ルの飛行時の現象と一致していることが確認できた。こ
のように、溝部の形状を変えることにより、各係数の値
は変化しており、種々のパターンの溝部あるいは凹部等
の形状について本シミュレーションにより予測可能であ
ることが確認できた。
【0079】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、円柱の中心軸周りに回転する円柱モデル周囲
の気流の流れを把握することができ、円柱モデルに設け
た凹部あるいは溝部等による気体流の変化を解析するこ
とができる。また、凹部あるいは溝部等の大きさや、形
状、配列等に関して様々な種類のモデルをコンピュータ
上で容易に作り出すことができ、これら様々な凹部や溝
部が周囲の気体流にどのような影響を与えるかを、抗力
係数、揚力係数、モーメント係数も考慮に入れて客観的
に、かつ、可視化ソフトにより視覚的に評価することが
できる。また、回転数の違いによる、円柱モデル周囲の
気体の流れの変化も把握することができる。従って、回
転する円柱モデル周囲の空気の挙動を容易に把握するこ
とができる。
【0080】また、気体の流れの条件も種々設定可能な
ため、あらゆる条件で回転を伴う円柱モデルのシミュレ
ーションを行うことができ、従来の風洞を用いて風を発
生させて実験を行う場合に比べ、はるかに多くの気体の
流れの条件に対する評価を短時間で行うことができる。
【0081】さらに、評価する円柱モデルの凹部や溝部
等の気流への影響はコンピュータ上のシミュレーション
のみで行うため、従来のように試験体を実際に多種類試
作して実験を行う必要もなくなり、製品の開発・設計に
かかる時間や費用を大幅に低減することができる。具体
的には、表面にディンプルを有するゴルフボール等の回
転飛行する球体等の設計に反映することができ、ディン
プルの配置等に関し効率的なゴルフボールの開発を進め
ることができる。特に、断面形状が円形状であり回転飛
行する物体の周囲に発生する気体の挙動や気体の剥離等
の様々な流れのパターンを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の気体流シミュレーション方法にかか
るコンピュータの概略図である。
【図2】 本発明の気体流シミュレーション方法のフロ
ーチャート図である。
【図3】 シミュレーションの対象となる円柱モデルの
概略図である。
【図4】 円柱モデルと空間部の設定状態を示す図であ
る。
【図5】 (A)は円柱モデルを含む空間部のX
平面の断面図、(B)は円柱モデルの表面状態を示す図
である。
【図6】 空間部の格子区画の概略図である。
【図7】 空間部の格子区画の要部詳細図である。
【図8】 空間部における気体の流れの状況を示す概略
図である。
【図9】 気体の渦流の可視図である。
【図10】 気体の等圧分布の可視図である。
【図11】 円柱モデルを含む空間部の設定状態の変形
例の断面図である。
【図12】 円柱モデルと空間部の設定状態の変形例を
示す概略図である。
【図13】 (A)(B)(C)は、円柱モデルの変形
例の形状を示す概略図である。
【図14】 (A)(B)(C)は、格子区画の変形例
の形状を示す概略図、(D)は空間部における変形例の
区画分割の概略図である。
【図15】 円柱モデルの回転数と揚力係数、抗力係
数、モーメント係数の関係を示す図である。
【図16】 従来の計測装置の概略図である。
【符号の説明】
20 円柱モデル 20a 側面 20b 溝部 21 空間部 22 格子区画

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの凹部や凸部、あるいは
    溝部や突起部を側面に有する円柱モデルをコンピュータ
    により設定し、 上記円柱モデルの周囲に空間部を設定し、 上記円柱モデルの表面部と上記空間部を格子点により多
    数の格子区画を形成し、 上記円柱モデルが、その中心軸周りに回転している状態
    を想定して円柱モデルの表面部あるいは円柱モデル近傍
    の空間部の格子区画を設定し、 上記空間部の一方向から円柱モデルの側面に向かって気
    体を流入させ、該気体が空間部を流れ、円柱モデル表面
    を気体が通過している状態で、 上記空間部の気体の流れにかかる運動要素を上記格子区
    画毎に演算し、 上記円柱モデルの周囲の気体の流れを解析することを特
    徴とする気体流シミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 上記空間部をブロック状に分割している
    請求項1に記載の気体流シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 上記気体の流れにかかる運動要素は、三
    次元空間座標系の各軸方向の気体流の速度、気体流の方
    向、および、上記物体表面に対する気体流の圧力であ
    り、 上記運動要素を気体流の質量保存式および運動量保存式
    で微小時間毎に演算している請求項1または請求項2に
    記載の気体流シミュレーション方法。
  4. 【請求項4】 上記空間部に形成した格子区画を複数の
    領域に分割し、上記円柱モデルの後流側の空間部を大き
    く設定している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の気体流シミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 上記演算の結果を基に上記円柱モデル周
    囲の気体の流れにかかる流れ方向と流れ速度を、ベクト
    ル方向およびベクトル長さにより可視化して解析する請
    求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の気体流シミ
    ュレーション方法。
  6. 【請求項6】 上記演算の結果を基に上記円柱モデル周
    囲の気体の流れにかかる圧力分布を等圧線または圧力の
    等値面により可視化して解析する請求項1乃至請求項5
    のいずれか1項に記載の気体流シミュレーション方法。
  7. 【請求項7】 上記演算の結果を基に上記円柱モデル周
    囲の気体の流れにかかる渦度分布を、渦度の等値線また
    は等値面により可視化して解析する請求項1乃至請求項
    6のいずれか1項に記載の気体流シミュレーション方
    法。
  8. 【請求項8】 上記演算の結果を基に上記円柱モデル周
    囲の気体の流れにかかる流線、流跡線、パーティクルト
    レース、またはボリュームレンダリングを可視化して解
    析する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の気
    体流シミュレーション方法。
  9. 【請求項9】 上記空間部は、上記円柱モデルの側面か
    ら空間部の端までの寸法が、上記凹部あるいは溝部の深
    さ(上記凸部あるいは突起部の高さ)の寸法の10倍以
    上10000倍以下に設定している請求項1乃至請求項
    8のいずれか1項に記載の気体流シミュレーション方
    法。
  10. 【請求項10】 上記円柱モデルの側面から外方へ向か
    って1/Re0.5(Reはレイノルズ数、Re=代表
    速度×代表長さ/気体の動粘度)以下の範囲に位置する
    上記空間部の各格子区画の厚さを、1/(1000・R
    0.5)以上1/Re0.5以下の範囲で円柱モデル
    の側面から外方へ向かって増加させ、 上記円柱モデルの側面から1/Re0.5より上方に位
    置する上記空間部の各格子区画の厚さを1/Re0.5
    より大きく設定している請求項1乃至請求項9のいずれ
    か1項に記載の気体流シミュレーション方法。
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