JP2002340431A - 温度勾配付き電子冷却・加熱器及びそれを用いた成膜方法 - Google Patents
温度勾配付き電子冷却・加熱器及びそれを用いた成膜方法Info
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Abstract
定に有用な温度勾配付き電子冷却・加熱器を提供する。 【解決手段】 ペルチェ素子22と、そのペルチェ素子
22の冷却部28と加熱部29とを繋いで設置された低
熱伝導板23とを具備し、ペルチェ素子22の駆動によ
って低熱伝導板23上に温度勾配が生成される構造とす
る。低熱伝導板23上に薄膜生成用基板や物性サンプル
を搭載することにより、連続的な温度変化を与えること
ができ、複数の温度条件での結果を一度に得ることがで
きる。
Description
いた熱電素子を用いて構成される、例えば薄膜生成や物
性サンプルの温度依存を調べる際に用いて好適な温度勾
配付き電子冷却・加熱器に関する。
チェ素子)は例えば電子冷却器として、半導体レーザや
赤外線センサなどの冷却に広く用いられている。図7は
ペルチェ素子を模式的に示したものであり、P型半導体
11とN型半導体12とよりなる熱電半導体の対(熱電
対)に電流を流すと、ペルチェ効果により一方の端面1
3から他方の端面14へと熱が運ばれ、その結果端面1
3が冷却される。図中、15は接合用金属を示し、1
6,17はそれぞれ冷却部、放熱(加熱)部を示す。
比例する。ここで、Sはゼーベック係数、Tは温度、I
は電流である。効率よく冷却するためには、Sの大きい
半導体材料が必要となる。また、ジュール熱の発生によ
る冷却効果の損失を抑えるために電気抵抗率ρが小さい
こと、および冷却部と放熱(加熱)部の温度差を大きく
保つために熱伝導率κが小さいことも要求される。熱電
半導体材料の性能は、次式で表される性能指数Zで評価
される。 Z=S2 /κρ 室温領域でZの大きい材料として現在使われているのは
ビスマステルル系化合物である。
合物製の熱電対を用いて、一定の冷却温度を達成する仕
様とされ、即ちペルチェ素子は基本的に冷却機能のみを
利用するものとなっていた。
あるいは4元以上の組成の複雑な物質が機能性材料とし
て開発されるようになってきている。例えば、高温超伝
導体(YBa2 Cu3 O 7-X など)や強誘電体(PbZ
rx Ti1-x O3 など)、半導体超格子(InGaAs
/InGaAsPなど)といった材料で、いずれも機能
を最適化するための組成や生成条件を少ない時間と労力
で調べる手法が望まれている。これらの材料は薄膜の形
で生成されることも多い。
パラメータのひとつであり、最適条件を知るためには各
温度においてそのたびに成膜を行う必要がある。これは
基板加熱機構が一般に場所依存がないように、広い領域
で一定温度を実現することを目指しているためである。
この発明の目的はこのような状況に鑑み、例えば薄膜生
成用基板や物性サンプルに連続的な温度勾配(温度変
化)をつけることを可能とする温度勾配付き電子冷却・
加熱器を提供することにある。
ば、温度勾配付き電子冷却・加熱器は、ペルチェ素子
と、そのペルチェ素子の冷却部と加熱部とを繋いで設置
された低熱伝導板とを具備し、ペルチェ素子の駆動によ
って低熱伝導板上に温度勾配が生成される構造とされ
る。請求項2の発明では請求項1の発明において、ペル
チェ素子のP型半導体とN型半導体とよりなる熱電対の
配列を保護する保護板がその配列面の両面に設けられ
る。
れかの発明において、電子冷却・加熱器全体を加熱する
手段もしくは冷却する手段を具備するものとされる。請
求項4の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記
載された温度勾配付き電子冷却・加熱器の低熱伝導板上
に薄膜生成用基板を搭載し、低熱伝導板上に温度勾配を
生成した状態で、薄膜生成用基板上にマスクを介して複
数の薄膜サンプルを成膜することにより、成膜温度の異
なる薄膜サンプルを同時に成膜するものとされる。
照して実施例により説明する。図1はこの発明による温
度勾配付き電子冷却・加熱器の一実施例を示したもので
あり、この例では温度勾配付き電子冷却・加熱器21は
ペルチェ素子22と低熱伝導板23とによって構成され
ている。ペルチェ素子22は図2に示したように、P型
半導体24とN型半導体25とよりなる熱電対が平行並
列に複数配列され、電気的にはそれらが直列接続された
ものとなっており、電流を流すことにより、一方の端面
は冷却され、他方の端面は加熱されるものとなる。図
中、26は接合用の金属を示し、27はリード線を示
す。
び加熱部29と熱電対との間には薄い絶縁層31を挟
む。冷却部28及び加熱部29は共に例えば銅などの熱
伝導率のよい金属で構成する。絶縁層31は熱伝導率が
高く、薄い絶縁体が望ましい。絶縁層31には例えばセ
ラミクスが用いられる。上記のような構造を有するペル
チェ素子22に対し、この例ではP型半導体24とN型
半導体25とよりなる熱電対の配列を保護する保護板3
2が図1に示したように、その配列面の両面に設けられ
る。
は保護されて外部と絶縁され、また機械的強度が補強さ
れるものとなる。なお、熱の逆流を防いで冷却面と加熱
面との温度差を保つため、保護板32には断熱効果の高
い材料を用いる。そのような材料としては例えば泡ガラ
スや多孔性セラミクスがあげられる。低熱伝導板23は
図1に示したように、ペルチェ素子22の冷却部28と
加熱部29とを繋いで設置される。ペルチェ素子22を
駆動することにより、この低熱伝導板23上に冷却部2
8と加熱部29との大きな温度差に対して連続的な(リ
ニアな)温度勾配が生成される。
面のみを利用するものであったのに対し、この例では従
来利用されることのなかった冷却面と放熱面との温度勾
配を積極的に利用して連続的な温度勾配(温度変化)が
得られるものとなっている。次に、この温度勾配付き電
子冷却・加熱器21を利用して成膜を行う場合について
説明する。図3Aは温度勾配付き電子冷却・加熱器21
に薄膜生成用基板33を取り付けた状態を示したもので
あり、薄膜生成用基板33は取り付け治具34により、
その両端が固定されて低熱伝導板23上に搭載される。
に搭載された薄膜生成用基板33が成膜装置41に設置
された状態を示したものであり、この例では温度勾配付
き電子冷却・加熱器21全体を液体窒素冷却することに
より、理想的にはT0 =78Kを中心に温度勾配ΔTを
薄膜生成用基板33につけられるものとなっている。図
4中、42はチャンバを示し、このチャンバ42内に支
持具43で支持されているホルダ44に温度勾配付き電
子冷却・加熱器21が挿入・装着されている。液体窒素
は液体窒素シュラウド45にパイプ46を通じて導入・
排気され、液体窒素シュラウド45はベローズ47によ
って、その高さが調整されて温度勾配付き電子冷却・加
熱器21の背面に接触される。
付き電子冷却・加熱器21はホルダ44に装着されるこ
とにより、外部の電流導入端子48と接続されたリード
線49と接触して通電することができる構造となってい
る。この図4に示した構成によれば、温度勾配付き電子
冷却・加熱器21全体を裏側から液体窒素シュラウド4
5で冷却し、その状態でさらに温度勾配付き電子冷却・
加熱器21に電流を流すことにより、冷却温度をほぼ中
心にして温度勾配が実現する。この状態でマスク(図示
せず)を介して薄膜生成用基板33に成膜を行うと、冷
却温度付近で成膜温度の異なる複数の薄膜サンプルを同
時に、つまり一回の成膜プロセスで得ることができるも
のとなる。
く、成膜装置41に温度勾配付き電子冷却・加熱器21
全体を加熱する手段を設けた例を示したものであり、こ
の例では加熱手段としてランプヒータ51を用いたもの
となっている。ランプヒータ51は図に示したように、
ホルダ44内に設置されており、これにより室温から6
00℃程度の間の任意の温度T0 を中心に温度勾配ΔT
をつけられるものとなっている。図中、52はランプヒ
ータ51のランプを示し、53はシェイドを示す。
21を裏側からランプヒータ51で加熱した状態で、温
度勾配付き電子冷却・加熱器21に電流を流し、成膜を
行うことにより、加熱温度付近で成膜温度の異なる複数
の薄膜サンプルを一回の成膜プロセスで得ることができ
る。このように、温度勾配付き電子冷却・加熱器21を
用いて薄膜生成用基板33に温度勾配を形成し、その状
態で成膜を行うことにより、他の成膜条件が完全に同じ
状況で、複数の温度条件での成膜結果を一度に得ること
ができる。
その成膜温度依存性の調査(測定)に要する時間を大幅
に短縮することができる。また、連続的な温度変化を観
察することで、変化の傾向や構造相転移といったクリテ
ィカルな温度を見逃さずにとらえることができる。薄膜
生成用基板33の両端につく温度差は、薄膜生成用基板
33の大きさなどの条件に依存するが、最大で100K
程度を想定している。なお、実際には両端に温度センサ
用の熱電対を装着することにより温度差を実測すること
ができる。
4,N型半導体25)に用いる熱電材料については、使
用する温度領域で最も熱電変換効率のよい材料が異な
る。現在までに知られている熱電材料で例をあげると、
室温を中心に温度勾配をつける場合はビスマステルル
(Bi2 Te3 )系化合物が適当である。また、ランプ
ヒータ51などにより加熱し、高温を中心に温度勾配を
つけて使用する場合、300℃以上で効率がよい材料と
しては、Si−Ge混晶材料、PbTe系化合物あるい
はスクッテルダイト系材料があげられる。低温ではBi
−Sb系材料を用いる。
薄膜サンプルを同時に成膜できるようにした構成の一例
を模式的に示したものである。成膜される薄膜は構成元
素AとBとよりなる2元組成とされ、蒸着によって成膜
される。図中、61は元素Aの蒸着源を示し、62は元
素Bの蒸着源を示す。薄膜生成用基板33は温度勾配付
き電子冷却・加熱器21に前述した図3Aと同様に取り
付けられており、この薄膜生成用基板33にマスク63
を介して複数の薄膜サンプルが成膜される。
は一定とし、元素Aの蒸着量が変化するように構成され
ており、即ち蒸着源61の前方に透過量調整板64が配
置されている。透過量調整板64は図に示したように、
例えばのこ歯状の溝を有するもので透過量がX方向に変
化するものとなっている。なお、必要に応じ、透過量調
整板64をY方向に振動させることにより平均化する。
この構成によれば、薄膜生成用基板33に成膜される薄
膜サンプルは元素Aの蒸着量と成膜温度との両者が変化
したものとなる。図3Bは薄膜生成用基板33上に成膜
された薄膜サンプル65を模式的に示したものであり、
組成変化と温度変化の情報が1回の成膜プロセスで得ら
れるものとなる。
を成膜に用いる場合について説明したが、これに限ら
ず、例えば物性サンプルの温度依存性の調査、化学反応
サンプルの多様な温度条件下での反応実験、電子顕微鏡
による観察試料の加熱・冷却等、各種用途に用いること
ができる。
度勾配付き電子冷却・加熱器によれば、大きな温度差と
その温度差に対する均一な温度勾配(リニアな温度勾
配)が得られるため、薄膜生成用基板や物性サンプルに
温度勾配をつけることができ、よって薄膜サンプルの成
膜温度依存性や物性サンプルの温度依存性等の測定・調
査において、複数の温度条件での結果を一度に得られる
ものとなり、その点で測定・調査の時間を大幅に短縮す
ることができるものとなる。
図、Bは側面図、Cは断面図。
その側面図。
器に薄膜生成用基板が取り付けられた状態を示す平面
図、Bは薄膜生成用基板に複数の薄膜サンプルが成膜さ
れた状態を模式的に示した図。
が成膜装置に設置された状態を示す概略図。
が成膜装置に設置された状態を示す概略図。
プルを一回の成膜プロセスで成膜する方法を説明するた
めの図。
Claims (4)
- 【請求項1】 ペルチェ素子と、 そのペルチェ素子の冷却部と加熱部とを繋いで設置され
た低熱伝導板とを具備し、 上記ペルチェ素子の駆動によって上記低熱伝導板上に温
度勾配が生成される構造とされていることを特徴とする
温度勾配付き電子冷却・加熱器。 - 【請求項2】 請求項1記載の温度勾配付き電子冷却・
加熱器において、 上記ペルチェ素子のP型半導体とN型半導体とよりなる
熱電対の配列を保護する保護板がその配列面の両面に設
けられていることを特徴とする温度勾配付き電子冷却・
加熱器。 - 【請求項3】 請求項1乃至2記載のいずれかの温度勾
配付き電子冷却・加熱器において、 電子冷却・加熱器全体を加熱する手段もしくは冷却する
手段を具備することを特徴とする温度勾配付き電子冷却
・加熱器。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載された
温度勾配付き電子冷却・加熱器の低熱伝導板上に薄膜生
成用基板を搭載し、 上記低熱伝導板上に温度勾配を生成した状態で、上記薄
膜生成用基板上にマスクを介して複数の薄膜サンプルを
成膜することにより、成膜温度の異なる薄膜サンプルを
同時に成膜することを特徴とする温度勾配付き電子冷却
・加熱器を用いた成膜方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001144822A JP3616993B2 (ja) | 2001-05-15 | 2001-05-15 | 温度勾配付き電子冷却・加熱器及びそれを用いた成膜方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005108640A1 (ja) * | 2004-05-10 | 2005-11-17 | National Institute For Materials Science | コンビナトリアル成膜方法とその装置 |
CN110846635A (zh) * | 2019-11-06 | 2020-02-28 | 福建华佳彩有限公司 | 一种控温接触板和蒸镀设备 |
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2001
- 2001-05-15 JP JP2001144822A patent/JP3616993B2/ja not_active Expired - Fee Related
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