JP2002334120A - 熱応答の計算方法および計算装置 - Google Patents

熱応答の計算方法および計算装置

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JP2002334120A
JP2002334120A JP2001140423A JP2001140423A JP2002334120A JP 2002334120 A JP2002334120 A JP 2002334120A JP 2001140423 A JP2001140423 A JP 2001140423A JP 2001140423 A JP2001140423 A JP 2001140423A JP 2002334120 A JP2002334120 A JP 2002334120A
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Japan
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heat transfer
heat
transfer surface
time
flux
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JP2001140423A
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English (en)
Inventor
Seiji Asada
誠治 朝田
Yaeko Kuroda
八重子 黒田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】計算機の負荷を増大すること無く、精度の高い
解析結果を求めること。 【解決手段】個々の熱伝達面に単独で単位熱量の入熱が
あるときの熱伝導計算を行う熱伝導FEM解析部3と、
熱伝導計算結果に基づいて温度単位応答関数を算出する
単位熱量入熱時単位応答関数出力部4と、温度単位応答
関数に基づいて熱応力解析を行う熱応力FEM解析部6
と、熱応力解析結果に基づいて複数の評価点での応力を
表す単位熱量入熱時単位応答関数を計算する単位熱量入
熱時応答等単位応答関数出力部7と、温度単位応答関数
と単位熱量入熱時単位応答関数とに基づいて各熱伝達面
からの入熱量を計算する入熱量計算部9と、入熱量と単
位熱量入熱時単位応答関数とに基づいてDuhmelの重ね合
わせ積分を行い、複数の評価点での応力を計算する重ね
合わせ積分計算部10とを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、熱伝導に
よる体系内部の温度や熱応力といった熱応答計算を、重
ね合わせ積分法を適用して行う熱応答の計算方法、およ
びこの計算方法を適用した熱応答の計算装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱伝達面を持つ体系について、例
えば熱伝導による体系内部の温度や熱応力といった熱応
答解析を、一般に熱伝達条件が時間と共に変化する過渡
状態について行う場合には、実際の過渡状態によって変
化する熱伝達条件をそのまま計算機に入力すれば、目的
とする体系の体系内部の温度や熱応力といった熱応答量
(物理量)を計算することは可能である。
【0003】しかしながら、多様な過渡状態で生じる体
系内部の熱応答を知る必要がある場合には、多様な過渡
状態で生じる多様な熱伝達条件それぞれについて熱応答
解析を実行せざるを得ない。多様な熱伝達条件それぞれ
について計算機を用いて熱応答解析を実行することは、
多大な労力と計算機資源を必要とすることになり、目的
とする体系を2次元形状として解析をして良いのであれ
ば不可能ではないが、目的とする体系を詳細に3次元形
状で解析しようとすると、それに要する労力と計算機資
源が膨大になり、現状では、熱応答解析の対象とする過
渡状態の数を制限するか、計算結果の正確さを犠牲にし
て2次元形状で模擬した体系について熱応答解析をせざ
るを得ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに計算労力、計算機資源に制約を受けながら熱応答解
析を行う現状では、過渡状態で生じる体系内部の熱応答
量の計算結果の信頼性に不安を残すため、計算結果を根
拠に機器設計を行う場合必要以上に安全側の設計をせざ
るを得ない。現状で利用できる計算労力、計算機資源の
範囲内でより信頼性の高い熱応答解析を行うことができ
れば、現状の機器設計をより効率の良いものにすること
が期待できる。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、熱伝達面を持つ体系、一般には境界面の温
度に依存して熱流束が発生する境界面を持つ体系につい
ての熱応答解析に、従来から工学問題の効率的な解法と
して周知されており良く用いられている、Duhmelの定理
に基づいた重ね合わせ積分法を適用できるようにし、1
個の単純な熱伝達条件での熱応答解析の計算結果だけを
計算労力、計算機資源を要するFEM計算により求めて
おき、この熱応答解析の計算結果を利用して過渡状態で
生じる多様な熱伝達条件のもとでの熱応答解析をFEM
計算に比較すれば著しく容易な重ね合わせ積分法を用い
た計算により、現状で利用できる計算労力、計算機資源
の中で十分精度の高い工学機器の熱応答を得ることので
きる熱応答の計算方法および計算装置を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0007】すなわち、請求項1の発明では、外部と、
異なる熱伝達条件の指定された複数の熱伝達面を通して
熱伝達を行う体系の内部に設けられた複数の評価点にお
ける熱応答を計算する熱応答の計算方法であって、外部
と、体系の各々の熱伝達面が熱伝達の開始後の任意の時
間において単位時間、単位面積当たり行う熱移動量を示
す熱流束を、各熱伝達面の熱伝達特性として表す第1の
段階と、熱伝達が開始された時間で、各熱伝達面が第1
の段階で表された熱伝達特性に従って、外部との間でな
される熱流束を表す第2の段階と、熱伝達の開始後任意
の経過時間での各熱伝達面の温度を、第2の段階で表わ
された熱流束と、その時間までに生じた各熱伝達面と外
部との間でなされる熱流束と当該熱伝達面の温度に関す
る単位応答関数との重ね合わせ積分により表す第3の段
階と、各熱伝達面について熱伝達の開始後任意の経過時
間で、その熱伝達特性に従って外部との間でなされる熱
流束をその熱伝達面の温度で表す第4の段階と、第3の
段階で表された各熱伝達面の温度と第4の段階の各熱伝
達面における温度が一致する条件により、熱伝達の開始
後の微小時間経過後での各伝達面における熱流束を、数
値計算により取得する第5の段階と、第5の段階の計算
を繰り返して必要な時間まで、各熱伝達面で外部との間
でなされる熱流束を時間の微小時間毎に取得して行く第
6の段階と、第6の段階で取得された各熱伝達面で外部
との間でなされる熱流束と、各熱伝達面への熱流束によ
る体系の内部に設けられた任意の評価点における熱応答
に関する熱応答単位応答関数との重ね合わせ積分によ
り、この評価点での熱応答を求める第7の段階とからな
る。
【0008】請求項2の発明では、外部と、異なる熱伝
達条件の指定された1個以上の複数(n個)の熱伝達面
を通して熱伝達を行う体系の内部に設けられた複数の評
価点における熱応答を計算する熱応答の計算方法であっ
て、体系のi番目の伝達面(i)が外部と単位時間、単
位面積あたりに行う熱移動量を示す熱流束(Q
(t))を、当該熱伝達の開始後任意の経過時間
(t)において、当該熱伝達面における表面熱伝達係数
(h(t))、当該熱伝達面における外部の温度(T
(t))、当該熱伝達面の代表点が設けられた場所
(x)における温度(T(x、t))を用いて、当
該熱伝達面の熱伝達特性として
【数11】 の通り各熱伝達面(i=1〜n)について表す第1の段
階と、第1の段階で表された各熱伝達面(i=1〜n)
の熱伝達特性に基づいて、当該熱伝達面で熱伝達が開始
された時間(t=0)における熱流束(Q(0))で
ある
【数12】 を各熱伝達面(i=1〜n)について表す第2の段階
と、第1および第2の段階で表された各熱伝達面での熱
流束に基づいて、熱伝達の開始時間(t=0)の温度
(T(x、0))であるi番目熱伝達面が、微少時間
(dt)の間に、各熱伝達面(j=1〜n)から、おの
おのQ(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)の熱流束を受
け微少時間(dt)経過した後のi番目熱伝達面の代表
点での場所(x )における温度(T(x、dt))
を、各熱伝達面(j=1〜n)についてその熱伝達面の
場所のみに単位時間、単位面積あたり時間 τ<t<∞
において単位熱流束を受ける時、i番目熱伝達面の代表
点での温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−
τ))と、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)との重ね合わせ積分を
用いて
【数13】 の通り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量として各熱伝
達面(i=1〜n)の代表点での温度を表す第3の段階
と、第1の段階で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
熱伝達特性に基づいて、各熱伝達面(i=1〜n)で
の、微少時間(dt)経過後における熱流束Q(dt)
(i=1〜n)を
【数14】 として、各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
t))(i=1〜n)を未知量として表す第4の段階
と、第4の段階で微少時間(dt)後の各熱伝達面の代
表点での温度(T(x、dt))(i=1〜n)を未
知量として表された当該熱伝達面の熱伝達条件を満たす
熱流束(Q(dt))と、第3の段階で表された各熱
伝達面(j=1〜n)から未知の熱流束Q(τ)(j=
1〜n、τ=0〜dt)を受けた微少時間(dt)後の
各熱伝達面(i=1〜n)の代表点での温度(T
(x、dt))(i=1〜n)を用いて、両段階で表
された各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
t))(i=1〜n)が一致する条件を用いることによ
り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q(τ)
(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量とする積分方程式
を取得し、この積分方程式を数値計算により解くことに
よって、各熱伝達面の代表点での温度(T(x
0))(i=1〜n)の状態から、微小時間(dt)経
過する間の各熱伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(i=1〜n、τ=0〜dt)を取得する第5の段階
と、第5の段階で新たに生じる熱伝達の開始時間(t=
dt)までの微小時間(dt)での各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜d
t)と、第3の段階で表された各熱伝達面の代表点での
温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−τ))
との重ね合わせ積分を用いて新たに生じる熱伝達により
微小時間経過する間(t=dt〜2dt)の各熱伝達面
(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ
=dt〜2dt)を未知量として、新たに生じた熱伝達
により微小時間(dt)経過後の各熱伝達面(i=1〜
n)の代表点での温度(T(x、2dt))(i=1
〜n)に基づいて、第5の段階の計算法を用い、さらに
微小時間(dt)経過した時間での各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=dt〜
2dt)を求めることを繰り返し、必要な時間tに至るま
で微小時間(dt)毎に、各熱伝達面(i=1〜n)か
らの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t) を取得
する第6の段階と、第6の段階で取得された必要な時間
tに至るまでの微小時間dt毎の、各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t)
と、体系の内部に設けられた複数(N個)の評価点にお
ける熱応答量との重ね合わせ積分を任意の時間まで行う
ことにより、任意の時間での熱応答量Sj(j=1〜
N)を
【数15】 から求める第7の段階とからなる。
【0009】請求項3の発明では、外部と、異なる熱伝
達条件の指定された複数の熱伝達面を通して熱伝達を行
う体系の内部に設けられた複数の評価点における熱応答
を計算する熱応答の計算装置であって、外部と、体系の
各々の熱伝達面が熱伝達の開始後の任意の時間において
単位時間、単位面積当たり行う熱移動量を示す熱流束
を、各熱伝達面の熱伝達特性として表す第1の手段と、
熱伝達が開始された時間で、各熱伝達面が第1の手段で
表された熱伝達特性に従って、外部との間でなされる熱
流束を表す第2の手段と、熱伝達の開始後任意の経過時
間での各熱伝達面の温度を、第2の手段で表わされた熱
流束と、その時間までに生じた各熱伝達面と外部との間
でなされる熱流束と当該熱伝達面の温度に関する単位応
答関数との重ね合わせ積分により表す第3の手段と、各
熱伝達面について熱伝達の開始後任意の経過時間で、そ
の熱伝達特性に従って外部との間でなされる熱流束をそ
の熱伝達面の温度で表す第4の手段と、第3の手段で表
された各熱伝達面の温度と第4の手段の各熱伝達面にお
ける温度が一致する条件により、熱伝達の開始後の微小
時間経過後での各伝達面における熱流束を、数値計算に
より取得する第5の手段と、第5の手段の計算を繰り返
して必要な時間まで、各熱伝達面で外部との間でなされ
る熱流束を時間の微小時間毎に取得して行く第6の手段
と、第6の手段で取得された各熱伝達面で外部との間で
なされる熱流束と、各熱伝達面への熱流束による体系の
内部に設けられた任意の評価点における熱応答に関する
熱応答単位応答関数との重ね合わせ積分により、この評
価点での熱応答を求める第7の手段とからなる。
【0010】請求項4の発明では、外部と、異なる熱伝
達条件の指定された1個以上の複数(n個)の熱伝達面
を通して熱伝達を行う体系の内部に設けられた複数の評
価点における熱応答を計算する熱応答の計算装置であっ
て、体系のi番目の伝達面(i)が外部と単位時間、単
位面積あたりに行う熱移動量を示す熱流束(Q
(t))を、当該熱伝達の開始後任意の経過時間
(t)において、当該熱伝達面における表面熱伝達係数
(h(t))、当該熱伝達面における外部の温度(T
(t))、当該熱伝達面の代表点が設けられた場所
(x)における温度(T(x、t))を用いて、当
該熱伝達面の熱伝達特性として
【数16】 の通り各熱伝達面(i=1〜n)について表す第1の手
段と、第1の手段で表された各熱伝達面(i=1〜n)
の熱伝達特性に基づいて、当該熱伝達面で熱伝達が開始
された時間(t=0)における熱流束(Q(0))で
ある
【数17】 を各熱伝達面(i=1〜n)について表す第2の手段
と、第1および第2の手段で表された各熱伝達面での熱
流束に基づいて、熱伝達の開始時間(t=0)の温度
(T(x、0))であるi番目熱伝達面が、微少時間
(dt)の間に、各熱伝達面(j=1〜n)から、おの
おのQ(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)の熱流束を受
け微少時間(dt)経過した後のi番目熱伝達面の代表
点での場所(x )における温度(T(x、dt))
を、各熱伝達面(j=1〜n)についてその熱伝達面の
場所のみに単位時間、単位面積あたり時間 τ<t<∞
において単位熱流束を受ける時、i番目熱伝達面の代表
点での温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−
τ))と、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)との重ね合わせ積分を
用いて
【数18】 の通り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量として各熱伝
達面(i=1〜n)の代表点での温度を表す第3の手段
と、第1の手段で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
熱伝達特性に基づいて、各熱伝達面(i=1〜n)で
の、微少時間(dt)経過後における熱流束Q (d
t)(i=1〜n)を
【数19】 として、各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
t))(i=1〜n)を未知量として表す第4の手段
と、第4の手段で微少時間(dt)後の各熱伝達面の代
表点での温度(T(x、dt))(i=1〜n)を未
知量として表された当該熱伝達面の熱伝達条件を満たす
熱流束(Q(dt))と、第3の手段で表された各熱
伝達面(j=1〜n)から未知の熱流束Q(τ)(j=
1〜n、τ=0〜dt)を受けた微少時間(dt)後の
各熱伝達面(i=1〜n)の代表点での温度(T
(x、dt))(i=1〜n)を用いて、両手段で表
された各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
t))(i=1〜n)が一致する条件を用いることによ
り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q(τ)
(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量とする積分方程式
を取得し、この積分方程式を数値計算により解くことに
よって、各熱伝達面の代表点での温度(T(x
0))(i=1〜n)の状態から、微小時間(dt)経
過する間の各熱伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q
(τ)(i=1〜n、τ=0〜dt)を取得する第5の手段
と、第5の手段で新たに生じる熱伝達の開始時間(t=
dt)までの微小時間(dt)での各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜d
t)と、第3の手段で表された各熱伝達面の代表点での
温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−τ))
との重ね合わせ積分を用いて新たに生じる熱伝達により
微小時間経過する間(t=dt〜2dt)の各熱伝達面
(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ
=dt〜2dt)を未知量として、新たに生じた熱伝達
により微小時間(dt)経過後の各熱伝達面(i=1〜
n)の代表点での温度(T(x、2dt))(i=1
〜n)に基づいて、第5の手段の計算法を用い、さらに
微小時間(dt)経過した時間での各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=dt〜
2dt)を求めることを繰り返し、必要な時間tに至るま
で微小時間(dt)毎に、各熱伝達面(i=1〜n)か
らの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t) を取得
する第6の手段と、第6の手段で取得された必要な時間
tに至るまでの微小時間dt毎の、各熱伝達面(i=1
〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t)
と、体系の内部に設けられた複数(N個)の評価点にお
ける熱応答量との重ね合わせ積分を任意の時間まで行う
ことにより、任意の時間での熱応答量Sj(j=1〜
N)を
【数20】 から求める第7の手段とからなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施の形態に
ついて図面を参照しながら説明する。
【0012】(第1の実施の形態)第1の実施の形態を
図1を用いて説明する。
【0013】本実施の形態に係る熱応答の計算方法は、
工学機器の内部に熱伝導の結果生じる温度分布に起因す
る熱応力計算を効率的に行う重ね合わせ積分法を、従来
適用が困難であった境界面温度に依存する熱伝達面を持
つ熱応答問題に適用したものである。
【0014】重ね合わせ積分法は、Duhmelの定理に基づ
いた単位応答関数と境界条件との重ね合わせ積分により
一般の境界条件での問題の解を求める計算法で、工学問
題の効率的な解法として周知されており良く用いられて
いる方法である。なお、このDuhmelの定理については、
犬井鐵郎著、応用数学講座第9巻「偏微分方程式とその
応用」(コロナ社)に詳しい。
【0015】従来のこの方法は、境界面上の温度に依存
する境界条件を持つ熱応答問題に対して適用が困難であ
り、実際の工学機器では、境界面上の温度に依存する境
界条件である熱伝達境界面を持つことが多い。
【0016】しかしながら、後述するように、本実施の
形態に係る熱応答の計算方法は、熱伝達境界面を持つ問
題に対して重ね合わせ積分法を適用することを可能とし
ている。
【0017】重ね合わせ積分法とは、与えられた問題に
ついて、単純な境界条件のもとでの単位応答関数を求め
ておき、この単位応答関数と実際の境界条件との重ね合
わせ積分法により、実際に表れる複雑な境界条件を持つ
問題の解を得る方法である。
【0018】工学問題では、製品機器がいろいろな境界
条件を受けた時の機器内部での状態を知ることが必要に
なることが多い。重ね合わせ積分法を用いると、いろい
ろな境界条件での解を、一度求めた単位応答関数を用い
た重ね合わせ積分法により計算することができる。Duhm
elの重ね合わせ積分法を用いた計算は比較的簡単であ
り、個々の境界条件毎に問題を解くことに比べて労力と
計算機資源との節約を図ることが可能である。
【0019】上述したように、従来から使用されていた
単位応答関数を用いた重ね合わせ積分法を適用するに
は、問題の境界条件が構造物の境界面上の温度に依存し
ないことが必要であった。しかしながら、本実施の形態
では、構造物の境界面の温度に依存する境界条件を、こ
の境界条件と整合した表面熱流束を求める計算方法を適
用することによって、熱伝達面から入熱がある問題に変
換することにより、従来は適用が困難であった構造物の
境界面の温度に依存する問題に、以下のように重ね合わ
せ積分法を適用した計算を行うことができる。
【0020】1)個々の熱伝達面に単独に単位入熱があ
った時の熱伝達面の温度についての単位応答関数を用い
て、個々の熱伝達面に任意の熱伝達があった時の個々の
熱伝達面からの入熱量を計算する。
【0021】2)計算された入熱量を用いて、個々の熱
伝達面に単独に単位入熱があった時の構造内部の任意の
物理量の応答量を表わす応力等単位応答関数の計算結果
を用いて、熱伝達面から任意の熱伝達があった場合の物
理量の応答をDuhmelの重ね合わせ積分法を用いて計算す
る。
【0022】上述したような本実施の形態に係る熱応答
の計算方法について、境界面の温度に依存する境界条件
と整合した表面熱流束を計算する場合を例にとって以下
に説明する。
【0023】ここでは、具体的に、n個の境界条件面を
持つ図1に示すような構造物を例示して説明する。境界
面の温度に依存する境界条件として工学上で重要な熱伝
達問題について説明するが、本発明は、境界面の温度に
依存する境界条件を熱伝達条件に限定するものではな
い。
【0024】図1に示すように、流体に接している構造
物に、流体から熱伝達による表面熱流束Qがある場
合、ある時間における個々の熱伝達面における表面熱流
束Q(t)は、一般的に以下に示す(1)式の通り表
現される。
【数21】 ここで、t:時間 h(t):i番目の熱伝達面の表面熱伝達係数 Ta(t):i番目の熱伝達面上の流体温度 T(x、t):i番目の熱伝達面上の代表点の温度 である。
【0025】一方、構造物のi番目の熱伝達面上のみ
に、単位時間、単位面積当たり時間τ<t<∞ において
単位量の表面熱流束がある場合、j番目の熱伝達面上の
温度を表わす単位応答関数U(x、t−τ)は、適当
な方法で求めれば良いが、実際に表れる工学上の問題で
は、任意の形状の構造物についての単位応答関数の数値
解を求めることができる有限要素プログラムを用いるこ
とが実用的である。
【0026】すなわち、既知の初期温度T=T(x
0)の構造物に、t=0から熱伝達が始まったとする
と、この時点でのi番目の熱伝達面での表面熱流束は、
以下に示す(2)式の通りとなる。
【数22】
【0027】更に、初期時間(t=0)から、微少時間
(dt)経過する間に、n個の熱伝達面から表面熱流束
を受け、各々の熱伝達面からの表面熱流束をQ(τ)
(i=1〜n、τ=0〜dt)とすると、従来の重ね合わ
せ積分法を用いて、j番目熱伝達面の温度は、以下に示
す(3)式の通りとなる。
【数23】
【0028】ここで、T(x、dt)とQ(τ)が共
に未知数であるが、各熱伝達面からの表面熱流束Q
(τ)は、時間dt経過後の状態における熱伝達条件
である下記(4)式を満たすという条件を課すと、Q
(τ)のみを未知量とする積分方程式が得られるので、
これを数値計算により解いて、各熱伝達面からの表面熱
流束Q(τ)(i=1〜n)を求める。
【数24】
【0029】このようにして、τ=0からdt間での各
熱伝達面でのQ(τ)の値が求まると、(3)式を用
いて、微少時間dt経過後の各熱伝達面の温度T
(x、dt)を求めることができる。更に、上記の計算
手順により、次の微少時間dt後の各熱伝達面からの表
面熱流束を求めることができる。これを繰り返して、任
意の時間までの各熱伝達面が受ける表面熱流束が求まる
が、上記(4)式を各微小時間経過毎に適用しているの
で、この表面熱流束は常に指定された熱伝達条件を満た
すことが保証されている。
【0030】従って、本実施の形態では、このようにし
て求められた各熱伝達面からの表面熱流束を用いて、境
界面温度に依存する熱伝達面の境界条件問題を、表面熱
流束が指定された境界条件問題に変換し、構造物の熱伝
導問題、熱応力問題といった熱応答計算を重ね合わせ積
分法により解くことを可能にするものである。
【0031】次に、以上のように構成した本実施の形態
に係る熱応答の計算方法の作用について説明する。
【0032】本実施の形態に係る熱応答の計算方法を用
いると、いろいろな境界条件で解かなければならない問
題に対し、各熱伝達面についての一つの単位応答関数を
求めておき、この単位応答関数を用いて比較的単純な処
理で、一般の境界条件での問題の解が得られる。これに
よって、個々の境界条件毎に問題を解く場合に比べて、
入力数が大幅に減少し、入力の手間が省略されるととも
に、計算機の負荷が低減される。
【0033】上述したように、本実施の形態に係る熱応
答の計算方法においては、Duhmelの重ね合わせ積分法を
用いることによって、境界面の温度に依存する境界条件
である熱伝達面を持つ構造物1の内部の熱応答計算を、
入力するデータ数を大幅に減少することによって計算機
の負荷を大幅に減少させ、その上、計算精度をより高め
ることができる。更に、計算の柔軟性を高めることがで
きる。なお、本発明は、熱応答の計算方法に限られるも
のではなく、任意の物理量の応答計算に適用することも
可能である。
【0034】これによって、記憶容量の少ない計算機で
あっても、精度の高い計算が可能となる。したがって、
この計算結果に基づいて機器の設計を行うことによっ
て、余分なマージンをとることの無い合理的な機器設計
を行うことができ、もって、コストダウンを実現するこ
とが可能となる。
【0035】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態を図2から図6を用いて説明する。
【0036】図2は、第2の実施の形態に係る熱応答の
計算方法を適用した熱応答計算装置の一例を示す機能構
成図である。
【0037】すなわち、本実施の形態に係る熱応答の計
算方法を適用した熱応答計算装置は、熱伝導FEM解析
部3と、単位熱量入熱時温度単位応答関数出力部4と、
温度データデータベース(温度データDB)5と、熱応
力FEM解析部6と、単位熱量入熱時応力等単位応答関
数出力部7と、過渡変化データベース(過渡変化DB)
8と、入熱量計算部9と、重ね合わせ積分計算部10
と、熱応答計算結果出力部11とを備えている。
【0038】熱伝導FEM解析部3は、個々の熱伝達面
に単独で単位熱量の入熱がある時の熱伝導計算をFEM
解析(有限要素解析)によって行い、解析結果を単位熱
量入熱時温度単位応答関数出力部4および温度データD
B5に出力する。この熱伝導計算は、図3(a)に示す
ような解析対象とする構造物1の各領域R(#1、#
2、#3)の境界面毎に実施する。
【0039】単位熱量入熱時温度単位応答関数出力部4
は、熱伝導FEM解析部3から出力された解析結果に基
づいて個々の熱伝達面に単独で単位熱量の入熱がある時
の各熱伝達面の温度を表す温度単位応答関数を算出し、
結果を入熱量計算部9に出力する。
【0040】温度データDB5は、熱伝導FEM解析部
3から出力された解析結果を、熱応力FEM解析部6が
FEM解析を行うための温度データとして格納する。
【0041】熱応力FEM解析部6は、温度データDB
5に格納されている温度データに基づいて、個々の熱伝
達面に単独で単位熱量の入熱がある時の熱応力のFEM
解析(有限要素解析)を行い、その結果を単位熱量入熱
時応力等単位応答関数出力部7に出力する。この熱応力
計算は、図3(a)に示すような解析対象の構造物1の
各領域R(#1、#2、#3)の境界面毎に実施する。
【0042】単位熱量入熱時応力等単位応答関数出力部
7は、熱応力FEM解析部6によって行われた個々の熱
伝達面に単独で単位熱量の入熱がある時の熱応力の計算
結果に基づいて、個々の熱伝達面に単独で単位熱量の入
熱がある時の構造物の内部に設けられた複数の評価点で
の応力を表わす、単位熱量入熱時応力等単位応答関数を
計算し、計算結果を重ね合わせ積分計算部10に出力す
る。
【0043】過渡変化DB8は、図3(a)に示すよう
な、解析対象とする構造物1の各領域R(#1、#2、
#3)毎の熱伝達率データおよび熱伝達面上の流体温度
変化データを格納しているデータベースである。ここに
格納しているデータは、入熱量計算部9における入熱量
計算に供されるものである。
【0044】入熱量計算部9は、単位熱量入熱時温度単
位応答関数出力部4から出力される単位熱量入熱時単位
応答関数と、過渡変化DB8に格納されている各熱伝達
面の熱伝達率データおよび熱伝達面面上の流体温度変化
データとに基づいて各熱伝達面からの入熱量を計算し、
計算結果を重ね合わせ積分計算部10に出力する。
【0045】重ね合わせ積分計算部10は、入熱量計算
部9から出力された各熱伝達面からの入熱量と、単位熱
量入熱時応力等単位応答関数出力部7から出力された単
位応答関数を用いてDuhmelの重ね合わせ積分を計算し、
構造物1の内部に設けられた複数の評価点での応力の計
算結果を熱応答計算結果出力部11に出力する。
【0046】熱応答計算結果出力部11は、入熱量計算
部10によって計算された熱応答計算結果を表示、また
はプリントアウトする。
【0047】次に、以上のように構成した本実施の形態
に係る熱応答の計算方法を適用した熱応答計算装置の動
作について、原子炉容器の熱応答計算を行う場合を例に
とって説明する。
【0048】図4は、原子炉容器13の断面図(略1/
4断面図)であり、図中斜線部が原子炉容器13の肉厚
部を示す。この原子炉容器13の熱応答計算を行うため
に、肉厚部における熱伝達率の時間変化挙動の違いから
3つの熱伝達領域R(#1、#2、#3)に領域分割し
ている。
【0049】原子炉容器13の内側には、高温水が流れ
ており、この高温水側から各熱伝達面F(#1、#2、
#3)を介して肉厚部側に熱流束Qの入熱がある。図4
では、各熱伝達領域R(#1、#2、#3)に入熱する
熱流束をそれぞれ熱流束Q(#1、#2、#3)として
いる。
【0050】このような計算体系の場合、図5および図
6の計算処理フロー図に示す流れに従って、熱応答計算
がなされる。
【0051】まず、図4に示すような計算体系に基づい
て、熱伝導FEM解析部3によって、各熱伝達面につい
て単位熱量の入熱に対する熱伝導計算がFEM解析(有
限要素解析)によって行われる。この熱伝導計算は、各
熱伝達領域R(#1、#2、#3)の熱伝達面F(#
1、#2、#3)毎に行われる。そして、その熱伝導計
算結果が、単位熱量入熱時温度単位応答関数出力部4お
よび温度データDB5に出力される。
【0052】熱伝導FEM解析部3によって計算された
熱伝導計算結果が、単位熱量入熱時温度単位応答関数出
力部4に出力されると、単位熱量入熱時温度単位応答関
数出力部4によって、この熱伝導計算結果に基づいて、
図5に示すような各熱伝達面についての温度単位応答関
数15(#1、#2、#3)が算出され、入熱量計算部
9に出力される。
【0053】一方、熱伝導FEM解析部3によって計算
された熱伝導計算結果が、温度データDB5に出力され
ると、この熱伝導計算結果は、熱応力FEM解析部6が
FEM解析を行うための温度データとして温度データD
B5に格納される。
【0054】熱応力FEM解析部6では、温度データD
B5に格納された温度データが用いられ、各熱伝達面に
ついての単位熱量の入熱に対する熱応力のFEM解析
(有限要素解析)が行われる。この熱応力計算は、各熱
伝達面F(#1、#2、#3)毎に行われる。そして、
その結果が単位熱量入熱時応力等単位応答関数出力部7
に出力される。
【0055】単位熱量入熱時応力等単位応答関数出力部
7では、熱応力FEM解析部6によって行われた単位熱
量の入熱に対する熱応力計算の結果に基づいて、単位熱
量入熱時における構造物の内部に設けられた複数の評価
点での応力についての応力単位応答関数16(#1、#
2、#3)が各熱伝達面F(#1、#2、#3)毎に算
出される。この応力単位応答関数16(#1、#2、#
3)は、重ね合わせ積分計算部10に出力される。
【0056】過渡変化DB8には、各熱伝達面F(#
1、#2、#3)毎の熱伝達面上の流体温度変化データ
17(#1、#2、#3)および熱伝達率データ18
(#1、#2、#3)が予め格納されている。
【0057】そして、入熱量計算部9では、単位熱量入
熱時温度単位応答関数出力部4から出力される単位熱量
の入熱時における温度単位応答関数15(#1、#2、
#3)と、過渡変化DB8に格納されている熱伝達面上
の流体温度変化データ17(#1、#2、#3)および
熱伝達率データ18(#1、#2、#3)とに基づい
て、先に述べた各熱伝達面Fからの入熱量を計算する手
法に従って、各熱伝達面Fからの入熱量を計算し、その
計算結果が熱伝達面Fからの入熱量履歴データとして重
ね合わせ積分計算部10に出力される。
【0058】各熱伝達面からの入熱量の計算において
は、上述した(2)式を用いて行うので、原子炉容器1
3の全熱伝達面からの入熱による当該熱伝達面の温度変
化を考慮した入熱量を計算している。
【0059】重ね合わせ積分計算部10では、入熱量計
算部9から出力された各熱伝達面F(#1、#2、#
3)における入熱量履歴データと、単位熱量入熱時応力
等単位応答関数出力部7から出力された応力等単位応答
関数16(#1、#2、#3)とを用いてDuhmelの重ね
合わせ積分を行い、各熱伝達面Fからの入熱により発生
する原子炉容器13の応力評価点における応力履歴が計
算される。
【0060】このようにして計算された応力履歴は、熱
応答計算結果出力部11から表示、またはプリントアウ
トされる。
【0061】なお、本実施の形態では、熱応答計算を行
う場合を一例に説明したが、本発明は熱応力計算に限定
されるものではなく、その他の物理量の応答解析に用い
ることも可能である。
【0062】上述したように、本実施の形態に係る熱応
答の計算方法を適用した熱応答計算装置においては、上
記のような作用により、熱伝達面の熱伝達条件が変化し
た場合における構造体の内部の熱応答計算を、入力する
データ数を大幅に減少することによって計算機の負荷を
大幅に減少させ、その上、高い計算精度で行うことがで
きる。
【0063】更に、計算に用いる各熱伝達面の熱伝達条
件にかかわる過渡データは、あらかじめ設定した値に限
定されるものではなく、Duhmelの重ね合わせ積分を行な
い応力を計算を行う時点において自由に設定することが
可能であるために、計算の柔軟性を高めることができ
る。なお、本発明は、熱応力の計算方法に限られるもの
ではなく、任意の物理量の応答計算に適用することも可
能である。したがって、少ない記憶容量のみを用い、し
かも精度の高い計算が可能となる。
【0064】また、この計算結果に基づいて機器の設計
を行うことによって、余分なマージンをとることの無い
合理的な機器設計を行うことができ、もって、コストダ
ウンを実現することも可能となる。
【0065】以上、本発明の好適な実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかか
る構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技
術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更
例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及
び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと
了解される。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱伝導や熱応力といった熱応答の計算を行う場合に、境
界面上の温度に依存する境界条件を持つ熱伝導問題を重
ね合わせ積分法を適用することにより境界面から表面熱
流束がある問題に変換し、温度に依存する境界条件を持
つ熱伝導に起因する熱応答問題をDuhmelの重ね合わせ積
分法を用いて解くことができるようになる。
【0067】以上により、入力するデータ数の増加をも
たらすこと無く、計算対象とする体系の形状を正確に取
り扱い、かつ、機器に熱応答を生じさせる一般の熱伝達
条件での応答計算を容易に行うことが可能となり、もっ
て、計算機の負荷を増大すること無く、精度の高い解析
結果を求めることが可能な熱応答の計算方法および計算
装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流体から構造物に入熱する熱流束を示す模式図
【図2】第2の実施の形態に係る熱応答の計算方法を適
用した熱応答計算装置の一例を示す機能構成図
【図3】構造物の各領域における熱伝達率の時間変化お
よび解析モデルを示す模式図
【図4】原子炉容器の略1/4断面を示す断面図
【図5】第2の実施の形態に係る熱応答の計算方法を適
用した熱応答計算装置における全体処理フロー図
【図6】第2の実施の形態に係る熱応答の計算方法を適
用した熱応答計算装置における部分詳細処理フロー図
【符号の説明】
T…温度 R…領域 S…評価開始点 E…評価終了点 F…熱伝達面 Q…熱流束 F…熱伝達面 1…構造物 3…FEM解析部 4…単位熱量入熱時温度単位応答関数出力部 5…温度データデータベース 6…FEM解析部 7…単位熱量入熱時応力等単位応答関数出力部 8…過渡変化データベース 9…入熱量計算部 10…重ね合わせ積分計算部 11…熱応答計算結果出力部 13…原子炉容器 15…温度単位応答関数 16…応力等単位応答関数 17…熱伝達面の外部温度変化データ 18…熱伝達率データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AA01 AB08 CA02 HA16 5B046 AA06 BA01 GA01 GA02 JA01 JA08 KA05 5B056 AA04 BB00 HH00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部と、異なる熱伝達条件の指定された
    複数の熱伝達面を通して熱伝達を行う体系の内部に設け
    られた複数の評価点における熱応答を計算する熱応答の
    計算方法であって、 前記外部と、前記体系の各々の熱伝達面が熱伝達の開始
    後の任意の時間において単位時間、単位面積当たり行う
    熱移動量を示す熱流束を、各熱伝達面の熱伝達特性とし
    て表す第1の段階と、 熱伝達が開始された時間で、前記各熱伝達面が前記第1
    の段階で表された熱伝達特性に従って、前記外部との間
    でなされる熱流束を表す第2の段階と、 前記熱伝達の開始後任意の経過時間での各熱伝達面の温
    度を、前記第2の段階で表わされた熱流束と、その時間
    までに生じた各熱伝達面と前記外部との間でなされる熱
    流束と当該熱伝達面の温度に関する単位応答関数との重
    ね合わせ積分により表す第3の段階と、 前記各熱伝達面について熱伝達の開始後任意の経過時間
    で、その熱伝達特性に従って前記外部との間でなされる
    熱流束をその熱伝達面の温度で表す第4の段階と、 前記第3の段階で表された各熱伝達面の温度と前記第4
    の段階の各熱伝達面における温度が一致する条件によ
    り、前記熱伝達の開始後の微小時間経過後での各伝達面
    における熱流束を、数値計算により取得する第5の段階
    と、 前記第5の段階の計算を繰り返して必要な時間まで、各
    熱伝達面で前記外部との間でなされる熱流束を時間の微
    小時間毎に取得して行く第6の段階と、 前記第6の段階で取得された各熱伝達面で前記外部との
    間でなされる熱流束と、各熱伝達面への熱流束による体
    系の内部に設けられた任意の評価点における熱応答に関
    する熱応答単位応答関数との重ね合わせ積分により、こ
    の評価点での熱応答を求める第7の段階とからなること
    を特徴とする熱応答の計算方法。
  2. 【請求項2】 外部と、異なる熱伝達条件の指定された
    1個以上の複数(n個)の熱伝達面を通して熱伝達を行
    う体系の内部に設けられた複数の評価点における熱応答
    を計算する熱応答の計算方法であって、 前記体系のi番目の伝達面(i)が前記外部と単位時
    間、単位面積あたりに行う熱移動量を示す熱流束(Q
    (t))を、当該熱伝達の開始後任意の経過時間(t)
    において、当該熱伝達面における表面熱伝達係数(h
    (t))、当該熱伝達面における前記外部の温度(Ta
    (t))、当該熱伝達面の代表点が設けられた場所
    (x)における温度(T(x、t))を用いて、当
    該熱伝達面の熱伝達特性として 【数1】 の通り各熱伝達面(i=1〜n)について表す第1の段
    階と、 前記第1の段階で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
    熱伝達特性に基づいて、当該熱伝達面で熱伝達が開始さ
    れた時間(t=0)における熱流束(Q(0))であ
    る 【数2】 を各熱伝達面(i=1〜n)について表す第2の段階
    と、 前記第1および第2の段階で表された各熱伝達面での熱
    流束に基づいて、前記熱伝達の開始時間(t=0)の温
    度(T(x、0))であるi番目熱伝達面が、微少時
    間(dt)の間に、各熱伝達面(j=1〜n)から、お
    のおのQ(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)の熱流束を
    受け微少時間(dt)経過した後のi番目熱伝達面の代
    表点での場所(x)における温度(T(x、d
    t))を、各熱伝達面(j=1〜n)についてその熱伝
    達面の場所のみに単位時間、単位面積あたり時間 τ<
    t<∞ において単位熱流束を受ける時、i番目熱伝達
    面の代表点での温度を表す温度単位応答関数(U(x
    、t−τ))と、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱
    流束Q(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)との重ね合わ
    せ積分を用いて 【数3】 の通り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
    (τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量として各熱伝
    達面(i=1〜n)の代表点での温度を表す第3の段階
    と、 前記第1の段階で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
    熱伝達特性に基づいて、各熱伝達面(i=1〜n)で
    の、前記微少時間(dt)経過後における熱流束Q
    (dt)(i=1〜n)を 【数4】 として、各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
    t))(i=1〜n)を未知量として表す第4の段階
    と、 前記第4の段階で微少時間(dt)後の各熱伝達面の代
    表点での温度(T(x 、dt))(i=1〜n)を未
    知量として表された当該熱伝達面の熱伝達条件を満たす
    熱流束(Q(dt))と、前記第3の段階で表された
    各熱伝達面(j=1〜n)から未知の熱流束Q(τ)
    (j=1〜n、τ=0〜dt)を受けた微少時間(dt)
    後の各熱伝達面(i=1〜n)の代表点での温度(T
    (x、dt))(i=1〜n)を用いて、前記両段階
    で表された各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
    t))(i=1〜n)が一致する条件を用いることによ
    り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q(τ)
    (j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量とする積分方程式
    を取得し、この積分方程式を数値計算により解くことに
    よって、各熱伝達面の代表点での温度(T(x
    0))(i=1〜n)の状態から、微小時間(dt)経
    過する間の各熱伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q
    (τ)(i=1〜n、τ=0〜dt)を取得する第5の段階
    と、 前記第5の段階で新たに生じる熱伝達の開始時間(t=
    dt)までの微小時間(dt)での各熱伝達面(i=1
    〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜d
    t)と、前記第3の段階で表された各熱伝達面の代表点
    での温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−
    τ))との重ね合わせ積分を用いて新たに生じる熱伝達
    により微小時間経過する間(t=dt〜2dt)の各熱
    伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜
    n、τ=dt〜2dt)を未知量として、新たに生じた
    熱伝達により微小時間(dt)経過後の各熱伝達面(i
    =1〜n)の代表点での温度(T(x、2dt))
    (i=1〜n)に基づいて、前記第5の段階の計算法を
    用い、さらに微小時間(dt)経過した時間での各熱伝
    達面(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜
    n、τ=dt〜2dt)を求めることを繰り返し、必要
    な時間tに至るまで微小時間(dt)毎に、各熱伝達面
    (i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ
    =0〜t) を取得する第6の段階と、 前記第6の段階で取得された必要な時間tに至るまでの
    微小時間dt毎の、各熱伝達面(i=1〜n)からの熱
    流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t)と、前記体系の
    内部に設けられた複数(N個)の評価点における熱応答
    量との重ね合わせ積分を任意の時間まで行うことによ
    り、任意の時間での熱応答量Sj(j=1〜N)を 【数5】 から求める第7の段階とからなることを特徴とする熱応
    答の計算方法。
  3. 【請求項3】 外部と、異なる熱伝達条件の指定された
    複数の熱伝達面を通して熱伝達を行う体系の内部に設け
    られた複数の評価点における熱応答を計算する熱応答の
    計算装置であって、 前記外部と、前記体系の各々の熱伝達面が熱伝達の開始
    後の任意の時間において単位時間、単位面積当たり行う
    熱移動量を示す熱流束を、各熱伝達面の熱伝達特性とし
    て表す第1の手段と、 熱伝達が開始された時間で、前記各熱伝達面が前記第1
    の手段で表された熱伝達特性に従って、前記外部との間
    でなされる熱流束を表す第2の手段と、 前記熱伝達の開始後任意の経過時間での各熱伝達面の温
    度を、前記第2の手段で表わされた熱流束と、その時間
    までに生じた各熱伝達面と前記外部との間でなされる熱
    流束と当該熱伝達面の温度に関する単位応答関数との重
    ね合わせ積分により表す第3の手段と、 前記各熱伝達面について熱伝達の開始後任意の経過時間
    で、その熱伝達特性に従って前記外部との間でなされる
    熱流束をその熱伝達面の温度で表す第4の手段と、 前記第3の手段で表された各熱伝達面の温度と前記第4
    の手段の各熱伝達面における温度が一致する条件によ
    り、前記熱伝達の開始後の微小時間経過後での各伝達面
    における熱流束を、数値計算により取得する第5の手段
    と、 前記第5の手段の計算を繰り返して必要な時間まで、各
    熱伝達面で前記外部との間でなされる熱流束を時間の微
    小時間毎に取得して行く第6の手段と、 前記第6の手段で取得された各熱伝達面で前記外部との
    間でなされる熱流束と、各熱伝達面への熱流束による体
    系の内部に設けられた任意の評価点における熱応答に関
    する熱応答単位応答関数との重ね合わせ積分により、こ
    の評価点での熱応答を求める第7の手段とからなること
    を特徴とする熱応答の計算装置。
  4. 【請求項4】 外部と、異なる熱伝達条件の指定された
    1個以上の複数(n個)の熱伝達面を通して熱伝達を行
    う体系の内部に設けられた複数の評価点における熱応答
    を計算する熱応答の計算装置であって、 前記体系のi番目の伝達面(i)が前記外部と単位時
    間、単位面積あたりに行う熱移動量を示す熱流束(Q
    (t))を、当該熱伝達の開始後任意の経過時間(t)
    において、当該熱伝達面における表面熱伝達係数(h
    (t))、当該熱伝達面における前記外部の温度(Ta
    (t))、当該熱伝達面の代表点が設けられた場所
    (x)における温度(T(x、t))を用いて、当
    該熱伝達面の熱伝達特性として 【数6】 の通り各熱伝達面(i=1〜n)について表す第1の手
    段と、 前記第1の手段で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
    熱伝達特性に基づいて、当該熱伝達面で熱伝達が開始さ
    れた時間(t=0)における熱流束(Q(0))であ
    る 【数7】 を各熱伝達面(i=1〜n)について表す第2の手段
    と、 前記第1および第2の手段で表された各熱伝達面での熱
    流束に基づいて、前記熱伝達の開始時間(t=0)の温
    度(T(x、0))であるi番目熱伝達面が、微少時
    間(dt)の間に、各熱伝達面(j=1〜n)から、お
    のおのQ(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)の熱流束を
    受け微少時間(dt)経過した後のi番目熱伝達面の代
    表点での場所(x)における温度(T(x、d
    t))を、各熱伝達面(j=1〜n)についてその熱伝
    達面の場所のみに単位時間、単位面積あたり時間 τ<
    t<∞ において単位熱流束を受ける時、i番目熱伝達
    面の代表点での温度を表す温度単位応答関数(U(x
    、t−τ))と、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱
    流束Q(τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)との重ね合わ
    せ積分を用いて 【数8】 の通り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q
    (τ)(j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量として各熱伝
    達面(i=1〜n)の代表点での温度を表す第3の手段
    と、 前記第1の手段で表された各熱伝達面(i=1〜n)の
    熱伝達特性に基づいて、各熱伝達面(i=1〜n)で
    の、前記微少時間(dt)経過後における熱流束Q
    (dt)(i=1〜n)を 【数9】 として、各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
    t))(i=1〜n)を未知量として表す第4の手段
    と、 前記第4の手段で微少時間(dt)後の各熱伝達面の代
    表点での温度(T(x 、dt))(i=1〜n)を未
    知量として表された当該熱伝達面の熱伝達条件を満たす
    熱流束(Q(dt))と、前記第3の手段で表された
    各熱伝達面(j=1〜n)から未知の熱流束Q(τ)
    (j=1〜n、τ=0〜dt)を受けた微少時間(dt)
    後の各熱伝達面(i=1〜n)の代表点での温度(T
    (x、dt))(i=1〜n)を用いて、前記両手段
    で表された各熱伝達面の代表点での温度(T(x、d
    t))(i=1〜n)が一致する条件を用いることによ
    り、各熱伝達面(j=1〜n)からの熱流束Q(τ)
    (j=1〜n、τ=0〜dt)を未知量とする積分方程式
    を取得し、この積分方程式を数値計算により解くことに
    よって、各熱伝達面の代表点での温度(T(x
    0))(i=1〜n)の状態から、微小時間(dt)経
    過する間の各熱伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q
    (τ)(i=1〜n、τ=0〜dt)を取得する第5の手段
    と、 前記第5の手段で新たに生じる熱伝達の開始時間(t=
    dt)までの微小時間(dt)での各熱伝達面(i=1
    〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜d
    t)と、前記第3の手段で表された各熱伝達面の代表点
    での温度を表す温度単位応答関数(U(x、t−
    τ))との重ね合わせ積分を用いて新たに生じる熱伝達
    により微小時間経過する間(t=dt〜2dt)の各熱
    伝達面(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜
    n、τ=dt〜2dt)を未知量として、新たに生じた
    熱伝達により微小時間(dt)経過後の各熱伝達面(i
    =1〜n)の代表点での温度(T(x、2dt))
    (i=1〜n)に基づいて、前記第5の手段の計算法を
    用い、さらに微小時間(dt)経過した時間での各熱伝
    達面(i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜
    n、τ=dt〜2dt)を求めることを繰り返し、必要
    な時間tに至るまで微小時間(dt)毎に、各熱伝達面
    (i=1〜n)からの熱流束Q(τ)(i=1〜n、τ
    =0〜t) を取得する第6の手段と、 前記第6の手段で取得された必要な時間tに至るまでの
    微小時間dt毎の、各熱伝達面(i=1〜n)からの熱
    流束Q(τ)(i=1〜n、τ=0〜t)と、前記体系の
    内部に設けられた複数(N個)の評価点における熱応答
    量との重ね合わせ積分を任意の時間まで行うことによ
    り、任意の時間での熱応答量Sj(j=1〜N)を 【数10】 から求める第7の手段とからなることを特徴とする熱応
    答の計算装置。
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