JP2002333412A - 電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料、および該標準試料の製造方法 - Google Patents

電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料、および該標準試料の製造方法

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JP2002333412A
JP2002333412A JP2001139709A JP2001139709A JP2002333412A JP 2002333412 A JP2002333412 A JP 2002333412A JP 2001139709 A JP2001139709 A JP 2001139709A JP 2001139709 A JP2001139709 A JP 2001139709A JP 2002333412 A JP2002333412 A JP 2002333412A
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Shigeki Yoshida
茂樹 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所望の材料や分析条件によって分析領域を高精
度に実測することができ、分析精度や信頼性の向上を図
ることが可能となる電子プローブマイクロアナライザー
(EPMA)用の標準試料、および該EPMA用標準試
料の製造方法を提供する。 【解決手段】電子線を照射し、内部で発生するX線を検
出して分析領域を測定する電子プローブマイクロアナラ
イザー用の標準試料において、前記試料は、基板上に被
分析薄膜が形成され、該被分析薄膜の膜厚または膜の幅
が一様な割合で漸次変化している構成を有し、または被
分析元素からなるバルク試料の一部の試料厚みまたは試
料幅が、漸次変化しており、または被分析元素からなる
試料全体が、その試料厚みまたは試料幅が漸次変化する
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線を用いて行
う電子プローブマイクロアナライザー(以下、これをE
PMAと記す。)用の標準試料および該EPMA用標準
試料の製造方法に関し、特に分析領域(分析深さ、分析
幅)を実測するためのEPMA用の標準試料の改善を目
指すものである。
【0002】
【従来の技術】電子線を試料に照射し、試料内で発生す
る特性X線を分光し、元素分析を行うEPMAは、サブ
ミクロンからミクロンオーダーの平均組成分析を行う手
段として、金属・半導体・各種絶縁材料などに広く利用
されている。分析としては、点分析による組成分析が最
も基本的なものとなるが、電子プローブを線状に移動さ
せたり、面内を走査しながらの元素分析を行ったりする
ことができる。また、電子線の加速電圧を変化させるこ
とにより、分析深さを調整できるため、各種デバイスな
どを非破壊で深さ方向に分析するなども可能である。こ
のような線・面分析や深さ方向分析を精度よく行う際
に、分析領域(深さ、幅)を把握しておくことは極めて
重要である。
【0003】これまで、分析領域を把握する方法として
は、いわゆる、図8に示すようなモンテカルロシミュレ
ーション法によるものがある。この方法は、原子番号、
加速電圧などの情報から入射電子の浸入領域を算出し、
市販装置にも搭載されている。また、X線の最大深さを
求める計算式としては、Castaingの式と呼ばれ
る計算式により表されることが知られている。これは次
式のように表される。 R=0.033A(V0 1.7−VK 1.7)/ρZ (1) ここで、RはX線発生の最大深さ(μm)、Aは原子
量、Zは原子番号、ρは密度、V0は加速電圧(k
V)、VKは特性X線の最小励起電圧(kV)である。
【0004】さらに、式(1)から次式(2)を求め、 V0=(ρZR/0.033A+VK 1.71/1.7 (2) 分析元素ごとの加速電圧を設定することにより、同一の
発生深さRから各元素の特性X線を検出することを可能
にし、深さ方向の分析精度を向上させている手法も開示
されている(特開平06−325720号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記計
算による分析領域の把握は、大まかな分析領域の情報は
与えるものの、実際の分析領域は、試料の組成や密度に
大きく依存し、これをシミュレーションによって把握す
るには限界があった。また、薄膜などの分析を行う場合
には、下地基板による反射電子の影響によって、分析領
域は影響を受け、特に薄膜よりも原子番号の大きな材料
から基板が構成されていると、基板からの反射電子の影
響により、特に横方向の分析領域はやや大きなものとな
ることが考えられる。このような影響は、上記シミュレ
ーションでは、考慮されていない。
【0006】そこで、本発明は、上記従来のものにおけ
る課題を解決し、所望の材料や分析条件によって分析領
域を高精度に実測することができ、分析精度や信頼性の
向上を図ることが可能となる電子プローブマイクロアナ
ライザー(EPMA)用の標準試料、および該EPMA
用標準試料の製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、つぎの(1)〜(18)のように構成し
た電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)用の
標準試料、および該EPMA用標準試料の製造方法を提
供するものである。 (1)電子線を照射し、内部で発生するX線を検出して
分析領域を測定する電子プローブマイクロアナライザー
用の標準試料において、前記試料は、基板上に被分析薄
膜が形成され、該被分析薄膜の膜厚または膜の幅が一様
な割合で漸次変化している構成を有することを特徴とす
る電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 (2)前記膜厚または前記膜の幅が、連続的に変化して
いることを特徴とする上記(1)に記載の電子プローブ
マイクロアナライザー用の標準試料。 (3)前記膜厚または前記膜の幅が、段階的に変化して
いることを特徴とする上記(1)に記載の電子プローブ
マイクロアナライザー用の標準試料。 (4)前記膜厚または前記膜の幅が、少なくとも0.0
1μm〜15μmの間で変化していることを特徴とする
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子プローブマ
イクロアナライザー用の標準試料。 (5)前記基板は、表面の平坦性の高い材料で構成され
ていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか
に記載の電子プローブマイクロアナライザー用の標準試
料。 (6)前記基板が、前記被分析薄膜を構成する材料と近
い原子番号の材料で構成されていることを特徴とする上
記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子プローブマイ
クロアナライザー用の標準試料。 (7)前記試料が、種々の被分析薄膜と基板との組合せ
によって標準試料群として構成されていることを特徴と
する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子プロー
ブマイクロアナライザー用の標準試料。 (8)電子線を照射し、内部で発生するX線を検出して
分析領域を測定する電子プローブマイクロアナライザー
用の標準試料において、前記試料は、被分析元素からな
るバルク試料の一部の試料厚みまたは試料幅が、漸次変
化していることを特徴とする電子プローブマイクロアナ
ライザー用の標準試料。 (9)前記試料厚みまたは試料幅が、連続的に変化して
いることを特徴とする上記(8)に記載の電子プローブ
マイクロアナライザー用の標準試料。 (10)前記試料厚みまたは試料幅が、段階的に変化し
ていることを特徴とする上記(8)に記載の電子プロー
ブマイクロアナライザー用の標準試料。 (11)前記試料厚みまたは試料幅が、少なくとも0.
01μm〜15μmの間で変化していることを特徴とす
る上記(8)〜(10)のいずれかに記載の電子プロー
ブマイクロアナライザー用の標準試料。 (12)電子線を照射し、内部で発生するX線を検出し
て分析領域を測定する電子プローブマイクロアナライザ
ー用の標準試料において、前記試料は、被分析元素から
なる試料全体が、その試料厚みまたは試料幅が漸次変化
していることを特徴とする電子プローブマイクロアナラ
イザー用の標準試料。 (13)前記試料厚みまたは試料幅が、連続的に変化し
ていることを特徴とする上記(12)に記載の電子プロ
ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 (14)前記試料厚みまたは試料幅が、段階的に変化し
ていることを特徴とする上記(12)に記載の電子プロ
ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 (15)前記試料厚みまたは試料幅が、少なくとも0.
01μm〜15μmの間で変化していることを特徴とす
る上記(12)〜(14)のいずれかに記載の電子プロ
ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 (16)前記試料は、試料サイズが300μm以下で、
軽元素からなる支持膜上に固定されていることを特徴と
する上記(12)〜(15)のいずれかに記載の電子プ
ローブマイクロアナライザー用の標準試料。 (17)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の電子
プローブマイクロアナライザー用の標準試料を、集束イ
オンビームを用いて作製することを特徴とする電子プロ
ーブマイクロアナライザー用の標準試料の製造方法。 (18)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の電子
プローブマイクロアナライザー用の標準試料を、集束イ
オンビームとマイクロサンプリングあるいはリフトアウ
ト法を用いて作製することを特徴とする電子プローブマ
イクロアナライザー用の標準試料の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態においては、
上記構成を適用することによって、所望の材料や分析条
件により分析領域(深さ、幅)を高精度に実測すること
ができ、深さ方向分析の精度の向上、あるいは線分析や
面分析の信頼性を高めることが可能となる。具体的に
は、深さ方向分析領域を実測用には、X線発生領域オー
ダーで厚みを変化させた試料を構成し、また、空間分解
能を実測用には、同オーダーで幅を変化させた試料を構
成する。
【0009】これらの試料は、大別して3種の構造を採
ることができる。第一の構造は、膜厚を連続的に変化さ
せた薄膜を基板上に形成した構造で、該薄膜からの信号
の検出、あるいは、基板信号を検出することで薄膜を構
成する材料における分析深さを実測する。また、この構
造の試料を用い、基板材料を変えれば、基板材料の影響
による分析深さを実測できる。第二の構造は、バルク試
料の一部の膜厚を漸次連続的に変化させたもので、そこ
を分析したときの信号強度で分析深さを実測する。同様
に幅が漸次変化させた構造とすれば、信号強度から分析
領域の幅を実測できる。第三の構造は、試料全体が数十
ミクロン程度の微小サイズで、試料全体が膜厚方向、あ
るいは試料幅が連続的に漸次変化している構造である。
この構造の場合、照射する電子線の散乱電子による影響
が極力低減された信号が得られるため、高精度に分析領
域を把握することができる。
【0010】以上に述べたような構造の試料は、集束イ
オンビーム(以下、FIBと記す。)等を用いて作製す
ることができる。さらには、第三の構造の作製方法とし
ては、試料から微小薄片試料をFIBで切り出し、これ
を試料ホルダに固着させてさらに所望の形状に加工を施
す、いわゆるマイクロサンプリング法(特開2000−
146781号公報)や、これと同様に微小薄片試料を
FIBで切り出し、大気中に試料全体を出してから、微
小薄片試料をキャピラリに静電気で吸いつけ、試料ホル
ダに微小薄片試料を固定させるリフトアウト法などを用
いて作製することができる。
【0011】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。 [実施例1]図1に、本発明の実施例1における深さ方
向の分析領域を測定するための標準試料の構造を示す。
図1において、1は被分析層である薄膜、2は基板であ
り、被分析層である薄膜1は、所望の薄膜材料からな
り、基板2は表面の平坦性の高いものであれば何でもよ
い。ただし、薄膜1を構成する薄膜材料に近い原子番号
の材料で基板2を構成した方が、所望の材料のバルクに
おける分析領域を実測できる。ここでは、薄膜材料をA
lで、基板材料をSi(100)ウエハーで構成した。
【0012】つぎに、図2を用いて、標準試料における
試料部分の各サイズ、該試料の作製方法、および分析領
域の測定方法等について説明する。図2において、3は
被分析膜であるAl薄膜の最も厚い部分、7は最も薄い
部分、また5は最も厚い部分と最も薄い部分の距離であ
る。3の最も厚い部分は10μm程度、7の最も薄い部
分は薄いほどよいが、多くとも50nm以下が望まし
い。最も厚い部分と薄い部分の距離5は、ここでは、5
00μmとした。この距離は長いほどよいが、現実的に
は100μm〜1mm程度が望ましい。
【0013】該試料の作製は以下のようにして行った
(不図示)。まず、Siウエハー上にスパッタ法にてA
lを約10μm形成し、次に、これをオリフラに対して
直角方向に斜め研磨することで作製した。研磨角度は、
約1.1度である。研磨後、オリフラに対して垂直な方
向に劈開することで短冊状に切り出し、その断面をSE
M観察し、Al膜厚3とAlの研磨開始点6と研磨終了
点(Al薄膜とSi基板の界面7)を測定し、この間の
距離5と、研磨角度θ8を測定した。実測した値は、A
l膜厚10.5μm、研磨領域の水平方向の距離510
μm、θ〜1.18度であった。
【0014】分析深さの実測は、次のようにして行っ
た。まず、Al薄膜と基板との界面7側から電子線9を
移動させ、同時に所望の特性X線の強度を検出する(こ
こでは、Al−kα)。あるところで、信号強度が一定
になるポイント11があるので、その点11と研磨終了
点7との距離を求める。この距離をSとすれば、分析深
さDは、D=Stanθ、で求められる。なお、基板の
Siからの信号を同様に検出し、検出できなくなった位
置におけるAl薄膜の膜厚からAlにおける分析深さを
求めることもできる。
【0015】このようにして、加速電圧10kVと30
kVの場合のAlにおける分析深さを求めたところ、そ
れぞれ、約1μm、約6μmであった。なお、ここで
は、膜厚を連続的に変化させているが、階段状のように
段階的に変化させてもよい。また、基板材料を薄膜の材
料よりも大きい原子番号の材料を用いれば、基板からの
反射電子の影響がある場合における、薄膜の分析領域を
実測できる。また、このような試料を様々な薄膜と基板
の組み合わせで作製し、ひとつの試料ホルダーに標準試
料群として用意しておくなどの利用法もある。
【0016】[実施例2]図3に、本発明の実施例2に
おける幅方向の分析領域を実測するための試料の構造を
示す。図3において、1は被分析層である薄膜、2は基
板であり、薄膜1と基板2は実施例1と同様の材料で構
成され、ここでのAl薄膜の厚み3は、10μmで膜厚
は一定である。本実施例の場合、これ以上膜厚が厚くて
も問題ない。
【0017】つぎに、図4を用いて、標準試料における
試料部分の各サイズ、および分析領域の測定方法等につ
いて説明する。図4に示されるように、本実施例では、
薄膜の幅を連続的に変化させたパターンが採られ、12
は幅の最も広い部分、13は最も幅の狭い部分である。
ここで、幅の最も広い部分12は、少なくとも15μm
以上、最も幅の狭い部分13は、狭いほどよいが広くて
も100nm以下が望ましく、50nm程度がさらに望
ましい。幅方向の分析領域の実測は、幅の狭いほうから
電子線を照射し、次第に幅の広い方向に向かって移動さ
せる。同時にX線強度を測定し、その強度が一定値にな
ったところ15の幅が、その時の幅方向の分析領域とな
る。
【0018】このようにして、加速電圧10kVと30
kVの場合のAlにおける幅方向の分析領域を求めたと
ころ、それぞれ、約1μm、約8μmであった。また、
実施例1の結果と合わせることで、3次元の分析領域を
把握することができる。さらに、同様な構成で、幅変化
の仕方は同じで、厚みを何水準かに振れば、幅方向の分
析領域に対する深さ方向依存が実測でき、同様に3次元
の分析領域を実測することもできる。
【0019】[実施例3]本発明の実施例3は、対象元
素からなるバルク試料の一部の試料厚み、あるいは試料
幅が漸次変化する試料を構成するものであり、例えば、
図5のように、通常のTEMで作製するFIB試料と同
様な形状で、厚みを漸次変化させた構造の標準試料16
を作製する。
【0020】つぎに、図5を用いて、標準試料における
試料部分の各サイズ、該試料の作製方法、および分析領
域の測定方法等について説明する。図5において、17
は最も厚い部分の厚み、18は最も薄い部分の厚み、1
9は膜厚が変化している領域の長さ、また20は膜厚が
変化している領域の幅である。最も厚い部分の厚み17
は、少なくとも10μm以上、最も薄い部分の厚み18
は、100nm以下が望ましい。ここでは、最も薄い部
分の厚み18は、80nmとし、また、膜厚が変化して
いる領域の長さ19は、200μmとした。また、膜厚
が変化している領域の幅20は、10μm以上が望まし
く、ここでは10μmとした。
【0021】作製方法は、通常TEM用に行うコンベシ
ョナルなFIB加工と同様な方法で行った。なお、FI
Bで薄片化加工する際に、試料表面には、保護膜として
Crを成膜したが、加工終了後、このCrを(NH4
Ce(NO36+HClO4+H2Oにてエッチングし、
除去した。
【0022】分析深さの実測方法は、実施例1に準ず
る。すなわち、厚みの薄いほうから厚いほうへ電子線9
を移動させ、X線強度が飽和したときの試料厚みを分析
深さとした。加速電圧10kVと30kVの場合のAl
における分析深さを求めたところ、それぞれ、約1μ
m、約6μmであり、実施例1と同様な結果が得られ
た。なお、ここでは、試料全体が対象元素のみからなる
場合について述べたが、第一の構造と組み合わせ、薄膜
と基板がある状態で、薄膜部分のみをFIBで薄片化
し、膜厚を変化させた試料でも良い。
【0023】[実施例4]本発明の実施例4において
は、図6に示すように、実施例3で作製した標準試料
を、90度回転させ、厚みの変化を幅の変化となるよう
にして、幅方向の分析領域を実測できる試料とした。加
速電圧10kVと30kVの場合のAlにおける幅方向
の分析領域を求めたところ、それぞれ、約1μm、約8
μmであった。
【0024】[実施例5]本発明の実施例5は、試料全
体が数十ミクロン程度の微小サイズで、試料全体が膜厚
方向、あるいは試料幅が連続的に漸次変化している試料
を構成するものである。照射する電子線は、通常、電磁
的なレンズや機械的なしぼりなどによって、細く絞られ
たビームとなり、試料に照射される。ほとんどの電子ビ
ームは、レンズによって収束するが、しぼりによって電
子が散乱され、収束しない電子として試料に照射される
成分が発生する。そうすると、電子ビームを照射してい
るところ以外からもX線が発生し、これがバックグラウ
ンドとなり、膜厚や幅の違いによるX線強度の変化に重
畳し、その分X線強度の正味の変化量がやや識別しにく
くなる。
【0025】このようなバックグラウンドを回避するた
めには、試料全体のサイズを小さくし、その試料全体の
膜厚や幅を変化させればよい。図7に、このような観点
から作製された本実施例の構造を示した。試料21は深
さ方向の分析領域を分析する試料で、試料22は分析領
域の幅方向を調べる試料である。どちらの試料も最も厚
い部分および最も幅の広い部分は、少なくとも15μm
以上であり、最も薄い部分および最も狭い部分は、10
0nm以下であることが望ましい。厚みや幅が変化する
距離は、長いほど良いが、ここでは200μmとした。
そして、これらを軽元素からなる支持膜上23に置い
た。ここでは、TEM用のカーボン支持膜を用いた。
【0026】上記試料の作製は、試料から微小薄片試料
をFIBで切り出し、真空中にてこの微小薄片試料の一
部に試料取りだし用のプローブを固着させ微小薄片試料
を取り出し、これを試料ホルダに固着させてさらに所望
の形状に加工を施す、いわゆるマイクロサンプリング法
(特開2000−146781号公報)や、これと同様
に微小薄片試料をFIBで切り出し、大気中に試料全体
を出してから、微小薄片試料をキャピラリに静電気で吸
いつけ、試料ホルダに微小薄片試料を固定させるリフト
アウト法などを用いて作製することができる。ここで
は、前者の方法にて作製した。加速電圧10kVと30
kVの場合のAlにおける幅方向の分析領域を求めたと
ころ、それぞれ、約1μm、約8μmであった。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、所望の材料や分析条件によって分析領域を高精度に
実測することができ、分析精度や信頼性の向上を図るこ
とが可能となる電子プローブマイクロアナライザー(E
PMA)用の標準試料、および該EPMA用標準試料の
製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における深さ方向の分析領域
を測定するためのEPMA用標準試料の構造を示す図で
ある。
【図2】本発明の実施例1におけるEPMA用標準試料
を用いて、深さ方向の分析領域を測定する方法を説明す
る図である。
【図3】本発明の実施例2における横方向の分析領域を
測定するためのEPMA用標準試料の構造を示す図であ
る。
【図4】本発明の実施例2におけるEPMA用標準試料
を用いて、横方向の分析領域を測定する方法を説明する
図である。
【図5】本発明の実施例3において、対象元素からなる
バルク試料の一部の試料厚みが漸次変化する構造の試料
を用い、深さ方向の分析領域を測定する方法を説明する
図である。
【図6】本発明の実施例4において、対象元素からなる
バルク試料の一部の試料幅が漸次変化する構造の試料を
用い、横方向の分析領域を測定する方法を説明する図で
ある。
【図7】本発明の実施例5において、試料全体が数十ミ
クロン程度の微小サイズで、試料全体が膜厚方向、ある
いは試料幅が連続的に漸次変化している試料を用い、深
さ方向、あるいは横方向の分析領域を測定する方法を説
明する図である。
【図8】EPMAの分析領域を求める従来例で、シミュ
レーションによって分析領域を表示している様子を示す
図である。
【符号の説明】
1:標準試料の対象材料からなる被分析膜 2:基板 3:被分析膜の最大膜厚 4:被分析膜の最小膜厚 5:膜厚が変化する領域の長さ 6:膜厚が変化し始める個所 7:被分析膜がなくなるところ 8:基板表面に対する被分析膜表面のなす角度 9:照射電子線 10:被分析膜中の入射電子の浸入領域(深さ方向) 11:被分析材料のX線強度が最大になる個所(深さ方
向依存) 12:被分析膜の最大幅 13:被分析膜の最小幅 14:被分析膜中の入射電子の浸入領域(横方向) 15:被分析材料のX線強度が最大になる個所(横方向
依存) 16:対象元素のみからなる実施例3の標準試料 17:膜厚が変化している領域での最大膜厚(最大幅) 18:膜厚が変化している領域での最小膜厚(最小幅) 19:膜厚が変化している領域の長さ 20:膜厚が変化している領域の幅(幅が変化している
領域の高さ) 21:対象元素のみからなる実施例5の標準試料のう
ち、 深さ方向の分析領域を測定するための標準試料 22:対象元素のみからなる実施例5の標準試料のう
ち、横方向の分析領域を測定するための標準試料 23:TEM用のカーボン支持膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月6日(2001.6.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項18】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料を、集
束イオンビームとマイクロサンプリングあるいはリフト
アウト法を用いて作製することを特徴とする電子プロー
ブマイクロアナライザー用の標準試料の製造方法。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】電子線を照射し、内部で発生するX線を検
    出して分析領域を測定する電子プローブマイクロアナラ
    イザー用の標準試料において、 前記試料は、基板上に被分析薄膜が形成され、該被分析
    薄膜の膜厚または膜の幅が一様な割合で漸次変化してい
    る構成を有することを特徴とする電子プローブマイクロ
    アナライザー用の標準試料。 【請求項2】前記膜厚または前記膜の幅が、連続的に変
    化していることを特徴とする請求項1に記載の電子プロ
    ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項3】前記膜厚または前記膜の幅が、段階的に変
    化していることを特徴とする請求項1に記載の電子プロ
    ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項4】前記膜厚または前記膜の幅が、少なくとも
    0.01μm〜15μmの間で変化していることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子プロー
    ブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項5】前記基板は、表面の平坦性の高い材料で構
    成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の電子プローブマイクロアナライザー用の標
    準試料。 【請求項6】前記基板が、前記被分析薄膜を構成する材
    料と近い原子番号の材料で構成されていることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子プローブ
    マイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項7】前記試料が、種々の被分析薄膜と基板との
    組合せによって標準試料群として構成されていることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子プ
    ローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項8】電子線を照射し、内部で発生するX線を検
    出して分析領域を測定する電子プローブマイクロアナラ
    イザー用の標準試料において、 前記試料は、被分析元素からなるバルク試料の一部の試
    料厚みまたは試料幅が、漸次変化していることを特徴と
    する電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項9】前記試料厚みまたは試料幅が、連続的に変
    化していることを特徴とする請求項8に記載の電子プロ
    ーブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項10】前記試料厚みまたは試料幅が、段階的に
    変化していることを特徴とする請求項8に記載の電子プ
    ローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項11】前記試料厚みまたは試料幅が、少なくと
    も0.01μm〜15μmの間で変化していることを特
    徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の電子プ
    ローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項12】電子線を照射し、内部で発生するX線を
    検出して分析領域を測定する電子プローブマイクロアナ
    ライザー用の標準試料において、 前記試料は、被分析元素からなる試料全体が、その試料
    厚みまたは試料幅が漸次変化していることを特徴とする
    電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項13】前記試料厚みまたは試料幅が、連続的に
    変化していることを特徴とする請求項12に記載の電子
    プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項14】前記試料厚みまたは試料幅が、段階的に
    変化していることを特徴とする請求項12に記載の電子
    プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項15】前記試料厚みまたは試料幅が、少なくと
    も0.01μm〜15μmの間で変化していることを特
    徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の電子
    プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項16】前記試料は、試料サイズが300μm以
    下で、軽元素からなる支持膜上に固定されていることを
    特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の電
    子プローブマイクロアナライザー用の標準試料。 【請求項17】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
    電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料を、集
    束イオンビームを用いて作製することを特徴とする電子
    プローブマイクロアナライザー用の標準試料の製造方
    法。 【請求項19】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
    電子プローブマイクロアナライザー用の標準試料を、集
    束イオンビームとマイクロサンプリングあるいはリフト
    アウト法を用いて作製することを特徴とする電子プロー
    ブマイクロアナライザー用の標準試料の製造方法。
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