JP2002326943A - 抗炎症剤 - Google Patents

抗炎症剤

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JP2002326943A JP2002021880A JP2002021880A JP2002326943A JP 2002326943 A JP2002326943 A JP 2002326943A JP 2002021880 A JP2002021880 A JP 2002021880A JP 2002021880 A JP2002021880 A JP 2002021880A JP 2002326943 A JP2002326943 A JP 2002326943A
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Norio Sakuragawa
宣男 櫻川
Junko Hori
純子 堀
Ayako Uchida
彩子 内田
Kazutaka Kamiya
和孝 神谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な抗炎症剤を提供する。 【解決手段】 インフォームドコンセントに基づいて帝
王切開時に得られた胎盤からHAECを公知の方法によ
り分離し、10%FCS含有RPMI培地で培養し、H
AECを十分に増殖させた。続いて、PBSで洗浄後、
0.5%FCS含有DMEMで48時間培養し、上清を
回収した。角膜中央部表層を熱凝固したマウスに、この
HAEC培養上清を点眼したところ、樹状細胞であるラ
ンゲルハンス細胞の遊走及び炎症性サイトカインが抑制
されることを見い出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な抗炎症剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】外傷や感染等の起炎刺激が加えられるこ
とにより異常が起きた生体組織では、IL−1(インタ
ーロイキン)やTNF−α(腫瘍壊死因子)等の炎症性
サイトカインが産生される。これらのサイトカインに応
答し、樹状細胞等の抗原提示細胞が異常の起きた組織部
位へと移動(遊走)し、その組織部位における抗原や病
原体を認識する。抗原提示細胞が、この認識情報をリン
パ節へと伝達(提示)し、T細胞の活性化を促すことに
よって、異常が起きた組織部位を異物として排除する方
向へと処理する。これらの一連の反応が「炎症」であ
り、免疫反応の一部である。
【0003】炎症性サイトカインはその発現により強い
抗原提示能を有する樹状細胞を含む炎症性細胞の分化、
増殖、遊走などの炎症反応の誘導に深く関与している。
また、ランゲルハンス細胞は樹状細胞の一種であり、皮
膚、口腔粘膜、鼻腔粘膜等の上皮組織のほか、結膜や角
膜輪部の上皮組織に多数存在している。このランゲルハ
ンス細胞は、例えば角膜に外傷や感染が生じると、直ち
に角膜表面中央に遊走し、角結膜表面の抗原や病原体を
認識して、局所リンパ節にその情報を伝達する。そし
て、この局所リンパ節にて感作リンパ球が増殖し、この
感作リンパ球がリンパ管を通じて角結膜の病変部に到達
し、感染細胞やウイルスの排除を行ったり、移植角膜な
どに対する拒絶反応を引き起こしたりするため、炎症が
起きる。
【0004】このような炎症を抑える手法が種々提案さ
れている。例えば、前述の移植角膜に対する拒絶反応に
よる炎症を抑える手法としては、UV照射したりステロ
イド剤を与えたりすることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の手法とは異なる新たな手法が見い出されるのであれ
ば、選択肢が増加することにより種々の状況に応じて最
適な手法を選び出して対処可能になるため好ましい。例
えば、新規な抗炎症剤が見い出されることにより、ステ
ロイド剤を投与した場合に生じる深刻な副作用を回避す
ることが期待される。このため、そのような手法の開発
やそのような手法の一助となる薬剤の開発が望まれてい
る。
【0006】本発明は上記問題点を解決することを課題
とするものであり、新規な抗炎症剤を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発
明の効果】本発明者らは、ヒト羊膜上皮細胞(HAE
C,human amniotic epthielial cells)を培養した培
養上清が抗炎症作用を有するかどうかを検討した。樹状
細胞の一種であるランゲルハンス細胞は炎症初期に働
き、遊走して眼表面や皮膚の抗原を認識し、提示するこ
とがよく知られているので、ランゲルハンス細胞の遊走
抑制効果を調べた。また、炎症性サイトカインはその発
現により強い抗原提示能を有する樹状細胞を含む炎症性
細胞の分化、増殖、遊走などの炎症反応の誘導に深く関
与しているため、炎症性サイトカインの発現抑制効果に
ついても調べた。そして、ランゲルハンス細胞の遊走抑
制効果や炎症性サイトカインの発現抑制効果が認められ
れば、抗炎症作用を有していると判定した。
【0008】まず、ランゲルハンス細胞遊走モデルとし
て、マウスの角膜中央部表層を熱凝固し、2週間後にそ
の角膜を採取し、免疫組織化学的に角膜上皮中のランゲ
ルハンス細胞密度を共焦点顕微鏡下で解析した。具体的
には、熱凝固後に、HAEC培養上清を3回/日の割合
で点眼投与し、対照群には基剤であるウシ胎児血清含有
ダルベッコ変法イーグル最小必須培地(FCS含有DM
EM)のみを点眼した。そうしたところ、HAEC培養
上清点眼群では、対照群に比較して、有意にランゲルハ
ンス細胞の遊走が抑制されることを見い出した。
【0009】また、炎症性サイトカインの発現検討モデ
ルとして、前出のランゲルハンス細胞遊走モデルと同じ
角膜組織を用い、リボヌクレアーゼプロテクションアッ
セイにより解析した。具体的には、熱凝固後に、HAE
C培養上清点眼群にはHAEC培養上清を3回/日の割
合で点眼投与し、対照群には基剤であるFCS含有DM
EMのみを点眼し、無治療群には何も点眼しなかった。
そして、各群につきリボヌクレアーゼプロテクションア
ッセイにより解析した。そうしたところ、HAEC培養
上清点眼群では、対照群及び無治療群に比較して、有意
に種々の炎症性サイトカインの発現が抑制されることを
見い出した。
【0010】即ち、本発明の抗炎症剤は、HAEC培養
上清を含有することを特徴とする抗炎症剤であり、抗原
提示細胞の遊走を抑制する作用を有していてもよく、特
に、抗原提示細胞のうちランゲルハンス細胞、相互連結
性嵌入細胞、末梢非リンパ系組織の間質細胞、輸入リン
パ内のベール細胞、真皮樹状細胞などに代表される樹状
細胞の遊走を抑制する作用を有していてもよい。
【0011】また、本発明の抗炎症剤は、組織中で発現
する炎症性サイトカインを抑制する作用を有していても
よく、そのような炎症性サイトカインとしては、MI
F,IL−1α,IL−1β,IL−18/IGIF,
IL−12p35,IL−12p40,IL−10,I
L−6,IFN−γ,IL−2,IL−4,IL−5,
IL−8,IL−13,IL−16,IL−17,GM
−CSF,TNF−α,TGF−β,EGF,FGF,
PDGF,IFN−α,MCP−1及びRANTESか
らなる群より選ばれた1以上のサイトカインが挙げられ
る。また、HAEC培養上清を含有する抗炎症剤は、組
織中で発現する抗炎症性サイトカインと同等又は類似の
効果を奏してもよく、そのような抗炎症性サイトカイン
としては、例えば、IL−1Rα,IL−4,IL−
6,IL−10,IL−11,IL−13及びTGF−
βからなる群より選ばれた1以上のサイトカインが挙げ
られる。
【0012】本発明において用いられるHAECは、受
精後約8日で原外肺葉(epiblast)から分離する羊膜芽
細胞(amnioblast)から形成される。このHAECは、
ヒト胎盤から得ることができ、従来帝王切開時に廃棄さ
れていたヒト胎盤をインフォームドコンセントを得た上
で使用することで、安定的に確保することができ、ま
た、倫理上の問題も少ない。
【0013】本発明において用いられるHAECの培養
上清は、最初にHAECを十分に増殖させるために、E
GF(上皮増殖因子)やHGF(肝細胞増殖因子)に代
表されるHAECを増殖させる因子を含有する培地によ
りHAECを増殖させ、次いでHAECの生存を維持で
きる程度であって、不純物の含有量が少ない培地で培養
したものが好ましい。例えば、最初にHAECをウシ胎
児血清含有培地で培養し、HAECを増殖させた後、次
いで、その培地のウシ胎児血清含有率よりも低い含有率
を有するウシ胎児血清含有培地又は無血清培地で培養し
たあとの上清であることが好ましい。
【0014】また、場合によっては、培養したあと濃縮
又は精製したものを抗炎症剤として使用してもよい。な
お、濃縮又は精製の条件は、培養上清中の抗炎症作用を
奏する因子をそのまま維持できる条件とすることが好ま
しい。
【0015】本発明の抗炎症剤は、抗原提示細胞である
樹状細胞の働きを抑制する作用や種々の炎症性サイトカ
インの発現を抑制する作用を奏することから、種々の炎
症の治療薬又は予防薬として高い有用性があるものと期
待される。例えば、角膜炎、角膜移植後の拒絶反応によ
る炎症、前眼部(結膜と角膜上皮とで構成される眼表面
と、強角膜実質と、角膜内皮を含む前房とにより構成さ
れる部分)の炎症疾患などに代表される眼免疫疾患のほ
か、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、口内炎、アレル
ギー性鼻炎などに代表される皮膚免疫疾患や、ランゲル
ハンス細胞組織球症(LHC)などの治療薬又は予防薬
として期待される。前眼部の炎症疾患としては、例えば
アレルギー性結膜炎、スティーブンスジョンソン症候
群、類天疱瘡、モーレン潰瘍、角膜実質炎、上強膜炎、
強膜炎、前眼部ぶどう膜炎、水晶体起因性眼内炎、ベー
チェット病、交感性眼炎等が挙げられる。
【0016】本発明の抗炎症剤は、HAEC培養上清を
単独で又は適当な希釈剤や他の添加剤と共に各種の製剤
形態(剤形)に調合され、使用される。剤形としては、
一般に非経口的投与に適する剤形が好ましく、例えば、
点眼剤や注射剤などの液剤や、軟膏剤、貼付剤として使
用に供される。各種剤形への調製は、この技術分野で慣
用される通常の手法を用いて行われるが、新たな手法が
開発されたときにはその手法を用いて行われてもよい。
製剤化に使用される製剤担体としては、各種剤形への調
製に慣用される希釈剤や添加剤などが用いられるが、新
たな希釈剤や添加剤などが開発されたときにはそれらを
用いてもよい。
【0017】
【実施例】[1]抗炎症剤の調製 インフォームドコンセントに基づいて帝王切開時に得ら
れた胎盤からHAECを公知の方法(Akle et al., Lan
cet II, 1003-1005, 1981)により分離し、HAECの
生存率を維持しながら十分な量の細胞数まで培養するた
めに、高濃度のFCS(ウシ胎児血清)含有培地である
10%FCS含有RPMI培地で培養し、HAECを十
分に増殖させた。続いて、PBS(生理的リン酸緩衝
液)で洗浄後、FCS含有率の低い0.5%FCS含有
DMEM(ダルベッコ変法イーグル最小必須培地)で4
8時間培養し、上清を回収し、これを抗炎症剤とした。
【0018】[2]ランゲルハンス細胞の遊走惹起 BALB/cマウスに麻酔を施し、手術用顕微鏡の下へ
寝かせた。角膜中央に向かってランゲルハンス細胞を遊
走させるため、熱灼器の先端を用いて角膜の中央部約5
0%に熱傷を与え、角膜中央部表層を熱凝固した。
【0019】[3]ランゲルハンス細胞の遊走抑制効果 熱凝固したマウス(個体総数12匹)のうち、4匹に対
しては、HAEC培養上清を3回/日、2週間点眼投与
し、上清点眼群とした。一方、4匹のマウスに対して
は、基剤である0.5%FCS含有DMEMのみ点眼
し、基剤点眼群とし、残り4匹のマウスに対しては、何
も点眼せず、無治療群とした。これらについて、ランゲ
ルハンス細胞の数を間接的免疫蛍光法によってカウント
した。
【0020】即ち、各群のマウスにつき、熱凝固してか
ら2週間経過後に眼を取り出し、そこから角膜を切り出
して、この全層角膜をアセトン中で10分間固定した。
その後、PBS中で10分間の洗浄を2回行った後、フ
ルオレセインイソチアネート(FITC)標識ラット抗
マウス主要組織適合遺伝子複合体クラスIId(MHCcl
assII:I−Ad)モノクローナル抗体(ファーミンジェ
ン社,希釈率1:100)で室温にて60分間インキュ
ベートした。その後、この全層角膜をプロピティウム・
アイオダイド含有の包埋液でスライド上に包埋すること
で、全細胞の核を染色した。共焦点顕微鏡下で観察し、
全層角膜内の上皮層を特定し、角膜上皮層内のランゲル
ハンス細胞数を測定した。結果を表1及び図1に示す。
測定時の顕微鏡倍率を40倍としたので、観察視野は一
辺が230μmの正方形領域となり、この観察視野内の
I−Ad陽性細胞数を測定した。細胞数測定は位置の異
なる3箇所の観察視野で行い、合計した細胞数を表1の
No.1〜4として示した。表1及び図1では、No.
1〜4の平均値となる測定細胞数(mean)に6.3
を乗じ、1mm2での細胞数として換算して示した。
【0021】
【表1】
【0022】表1及び図1から明らかなように、上清点
眼群では、無治療群及び基剤点眼群に比べて、角膜中央
部及び角膜周辺部のいずれにおいてもランゲルハンス細
胞数が少なかった。つまり、マウスの角膜熱灼におい
て、HAEC培養上清はランゲルハンス細胞の遊走を抑
制することがわかった。このことから、HAEC培養上
清には、樹状細胞であるランゲルハンス細胞の遊走を抑
制する何らかの因子が存在することが示唆される。
【0023】[4]各種サイトカインの発現抑制効果 各種サイトカインの発現抑制効果の試験は、リボヌクレ
アーゼプロテクションアッセイにより行った。このアッ
セイは、ベクトン・ディッキンソン(BD)・ファーミ
ンジェン社のBD RiboQuantTM Multi-Probe Ribonucleas
e Protection Assay (RPA) Systemプロトコールに従
い、BD・ファーミンジェン社のTotal RNAisolation k
it, Mouse Cytokine/Chemokine Template Sets(mCK-2
b), In VitroTranscription Kit, RPA Kitを用いて実
施した。以下、実施手順を詳述する。
【0024】まず、ランゲルハンス細胞の遊走抑制効果
試験と同様にして作製したHAEC培養上清点眼群、対
照群、無治療群につき、それぞれの角膜組織のサイズを
一定にして全RNA抽出を以下の手順で実施した。即
ち、各角膜組織の細胞を溶液D(Solution D)/β−メ
ルカプトエタノール溶液で溶解後、0.1倍量の2M酢
酸ナトリウム(pH4.0)、等量の水飽和フェノー
ル、0.2倍量のクロロホルム:イソアミルアルコール
(49:1)を順に加え、氷中に15分静置した。1
2,000×gで4℃、20分間遠心後、上清に等量の
イソプロパノールを加え沈殿させた。沈殿物であるRN
Aペレットは、リボヌクレアーゼフリーの水に溶解し、
吸光度測定で濃度を求め、吸光度測定後の残りはエタノ
ールで沈殿させたあと、ハイブリダイゼーション溶液で
溶解した。
【0025】次に、プローブは、MIF,IL−1α,
IL−1β,IL−18/IGIF,IL−1Raのそ
れぞれの遺伝子について以下の手順で作製した。即ち、
T7RNAポリメラーゼを用いて37℃で1時間インキ
ュベートを行うことで、それぞれのDNA(キットに含
まれている)からRNAプローブへと転写させた。その
反応時に[α−32P]UTPを取り込ませることで、合
成したRNAのラジオアイソトープ標識を行った。続い
て、デオキシリボヌクレアーゼを添加し、37℃で30
分インキュベートすることで、プローブ合成反応を停止
させ、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿
により合成したプローブを精製した。精製したプローブ
はハイブリダイゼーション緩衝液で溶解し、一部をシン
チレーションカウンタで放射線活性を測定してプローブ
合成の確認を行った。
【0026】次に、角膜組織の全RNAとプローブとの
ハイブリダイゼーションを以下の手順で行った。即ち、
それぞれの角膜組織の全RNAにプローブを加え、一度
90℃に加熱したあとに急冷し、56℃で12〜16時
間ハイブリダイゼーションさせた。続いて30℃で45
分間リボヌクレアーゼカクテルを加え反応させた。更に
37℃で15分間プロテイナーゼKカクテルを加え反応
させた。フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈
殿により精製後、5μlの1×泳動用溶液で溶解した。
90℃で3分間加熱し急冷したあと、これらの試料は5
%アクリルアミドゲルで50ワットにて泳動した。泳動
後、ゲルを乾燥させ、X線フィルムに感光させて、それ
ぞれのバンドについての放射線活性を測定した。その結
果を図2に示す。
【0027】図2から明らかなように、上清点眼群で
は、無治療群及び基剤点眼群に比べて、炎症性サイトカ
インであるMIF,IL−1α,IL−1β,IL−1
8/IGIFの遺伝子について発現抑制が認められた。
つまり、HAEC培養上清は組織中で発現する炎症性サ
イトカインの発現を抑制することがわかった。また、上
清点眼群では、無治療群及び基剤点眼群に比べて、抗炎
症性サイトカインIL−1Raの遺伝子についても発現
抑制が認められた。このような抗炎症性サイトカインは
通常、炎症時に増加してその炎症を抑制する働きをする
にもかかわらず、今回、上清点眼群でその発現が抑制さ
れたのは、HAEC培養上清自体に抗炎症効果があり、
そのためIL−1Raが増加する必要がなかったものと
考えられる。
【0028】以上のことから、HAEC培養上清は、炎
症性サイトカインや樹状細胞が関わる種々の炎症の治療
薬又は予防薬として高い有用性があるものと期待され
る。例えば、角膜炎、角膜移植後の拒絶反応による炎
症、前眼部の炎症疾患などに代表される眼免疫疾患のほ
か、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、口内炎、アレル
ギー性鼻炎などに代表される皮膚免疫疾患や、ランゲル
ハンス細胞組織球症(LHC)などの治療薬又は予防薬
として期待される。前眼部の炎症疾患としては、例えば
アレルギー性結膜炎、スティーブンスジョンソン症候
群、類天疱瘡、モーレン潰瘍、角膜実質炎、上強膜炎、
強膜炎、前眼部ぶどう膜炎、水晶体起因性眼内炎、ベー
チェット病、交感性眼炎等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HAEC培養上清のランゲルハンス細胞遊走抑
制効果を表すグラフである。
【図2】HAEC培養上清の各種サイトカインの発現抑
制効果を表すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/08 A61P 37/08 (72)発明者 内田 彩子 東京都小平市小川町2−1306−44 コート フローラC101 (72)発明者 神谷 和孝 東京都世田谷区成城1−29−21−C Fターム(参考) 4C087 AA01 AA02 AA03 BB61 CA04 ZA33 ZA89 ZB08 ZB11 ZB13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト羊膜上皮細胞を培養した培養上清を
    含有することを特徴とする抗炎症剤。
  2. 【請求項2】 抗原提示細胞の遊走を抑制する作用を奏
    する請求項1記載の抗炎症剤。
  3. 【請求項3】 樹状細胞の遊走を抑制する作用を奏する
    請求項1又は2記載の抗炎症剤。
  4. 【請求項4】 ランゲルハンス細胞の遊走を抑制する作
    用を奏する請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  5. 【請求項5】 組織中で発現する炎症性サイトカインを
    抑制する作用を有する請求項1〜4のいずれかに記載の
    抗炎症剤。
  6. 【請求項6】 前記炎症性サイトカインが、MIF,I
    L−1α,IL−1β,IL−18/IGIF,IL−
    12p35,IL−12p40,IL−10,IL−
    6,IFN−γ,IL−2,IL−4,IL−5,IL
    −8,IL−13,IL−16,IL−17,GM−C
    SF,TNF−α,TGF−β,EGF,FGF,PD
    GF,IFN−α,MCP−1及びRANTESからな
    る群より選ばれた1以上のサイトカインである請求項5
    記載の抗炎症剤。
  7. 【請求項7】 組織中で発現する抗炎症性サイトカイン
    の効果と同等又は類似の効果を有する請求項1〜6のい
    ずれかに記載の抗炎症剤。
  8. 【請求項8】 前記抗炎症性サイトカインが、IL−1
    Rα,IL−4,IL−6,IL−10,IL−11,
    IL−13及びTGF−βからなる群より選ばれた1以
    上のサイトカインである請求項7記載の抗炎症剤。
  9. 【請求項9】 前記培養上清は、ヒト羊膜上皮細胞をウ
    シ胎児血清含有培地で培養した後、さらに該培地のウシ
    胎児血清含有率よりも低い含有率を有するウシ胎児血清
    含有培地又は無血清培地で培養した後の上清である請求
    項1〜8のいずれかに記載の抗炎症剤。
  10. 【請求項10】 眼免疫疾患又は皮膚免疫疾患の治療又
    は予防に利用される請求項1〜9のいずれかに記載の抗
    炎症剤。
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