JP2002325108A - 変調方式自動識別受信機 - Google Patents

変調方式自動識別受信機

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JP2002325108A
JP2002325108A JP2002026444A JP2002026444A JP2002325108A JP 2002325108 A JP2002325108 A JP 2002325108A JP 2002026444 A JP2002026444 A JP 2002026444A JP 2002026444 A JP2002026444 A JP 2002026444A JP 2002325108 A JP2002325108 A JP 2002325108A
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threshold
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JP2002026444A
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Hiroshi Yoshioka
博 吉岡
Yasushi Shirato
裕史 白戸
Seiji Nakatsugawa
征士 中津川
Shuji Kubota
周治 久保田
Kazuhiko Toyoda
一彦 豊田
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェージング環境下においても、安定した識
別特性を得ることが可能な変調方式自動識別受信機を提
供すること。 【解決手段】 受信したベースバンド帯変調信号の各シ
ンボルタイミングの振幅値を閾値設定部で設定した閾値
と比較し、閾値以上の振幅値を持つシンボルタイミング
での情報を用いて特徴量である2次元平面上の位置座標
を算出し、予めメモリ部に格納した各変調方式の同じ2
次元平面上の位置座標との距離から特定の変調方式を選
定し、該選定した変調方式で受信信号のベースバンド帯
変調信号を復調する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の変調方式に
対応可能な復調機能を具備する変調方式自動識別受信機
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、変調方式自動識別のアプロー
チとして、最近傍決定法に基づく識別手法が提案されて
いる。参考文献[1](吉岡博他「ソフトウエア無線シ
ステムにおける低SNR時の変調信号自動識別技術の提
案」信学ソ大、分冊1,no.B-5-13,p301,(2000-10).)
で述べられている技術においては、AWGN環境下(S
NR10dB以上)において、一定の観測シンボルを用
いることにより99.99%以上の識別率が得られている
が、フェージング環境下で発生する急激な受信レベル変
動には対応できなかった。
【0003】上記の参考文献[1]において述べられて
いる従来技術の受信機の構成例を図5に示す。周波数変
換部11によりベースバンド周波数帯に変換された受信
信号は、シンボルタイミング推定部12に入る。このシ
ンボルタイミング推定部12では、クロック抽出により
受信信号のシンボルタイミングが推定される。次に、ベ
ースバンド帯変調信号とシンボルタイミング情報とを入
力とする瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部13において、
ベースバンド帯変調信号のシンボルタイミングにおける
瞬時振幅値と瞬時位相値が抽出される。抽出された全シ
ンボルタイミングにおける瞬時振幅値と瞬時位相値情報
を用いて、標準偏差/分散計算部16において瞬時振幅
値の標準偏差と連続シンボル間位相差分値の分散又は標
準偏差が計算される。計算された瞬時振幅値の標準偏差
と連続シンボル間位相差分値の分散又は標準偏差は、2
次元平面上の特定の位置座標を示す特徴量として用いら
れる。距離計算部18においては、上記のベースバンド
帯変調信号の特徴量である2次元平面上の位置座標とメ
モリ部17に格納された2次元平面上の全てのプロトタ
イプの位置座標との距離が計算され、ベースバンド帯変
調信号の位置座標から最も近くに位置している位置座標
のプロトタイプに応じた変調方式がメモリ部17から読
み出されて、識別結果として復調部19に出力され、ベ
ースバンド帯変調信号が復調される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フェージン
グ環境下においては、受信信号の振幅値や位相値が激し
く変動する。このため上記の従来技術においては、精度
の高い特徴量(瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間
位相差分値の分散又は標準偏差)が得られず、フェージ
ング環境下において高い識別特性を得ることが困難とな
っている。
【0005】本発明の目的は、フェージング環境下にお
いても、安定した識別特性を得ることが可能な自動識別
機能を有する受信機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、受信信号の周波数をベースバンド
周波数に変換したベースバンド帯変調信号のシンボルタ
イミングを推定するシンボルタイミング推定部と、該シ
ンボルタイミング推定部で推定したシンボルタイミング
情報から前記ベースバンド帯変調信号の特徴量を計算す
るための特徴を抽出する特徴抽出部と、該特徴抽出部で
抽出された特徴から識別処理に用いる特徴空間の位置座
標である特徴量を計算する特徴量計算部と、識別の対象
とする変調方式毎に前記特徴空間での複数個の位置座標
をプロトタイプとして記憶させておくメモリ部と、前記
特徴量計算部で得られた前記位置座標と前記メモリ部に
格納された前記複数個のプロトタイプの位置座標との距
離を全て計算して該距離が最小となるプロトタイプに応
じた変調方式を識別結果として出力する距離計算部と、
前記各プロトタイプに応じた複数の変調方式に対応可能
な復調部とを具備し、前記距離計算部から出力される変
調方式識別結果情報を入力として前記復調部において復
調処理を行う受信機であって、前記特徴抽出部で得られ
た各シンボルタイミングでの瞬時振幅値を閾値と比較し
て前記特徴量計算部での計算対象とするシンボルタイミ
ングを選択する信号レベル比較部と、前記閾値を設定す
る手段を持つ閾値設定部とを有することを特徴とする変
調方式自動識別受信機として構成した。
【0007】請求項2の発明は、受信信号の周波数をベ
ースバンド周波数に変換したベースバンド帯変調信号の
シンボルタイミングを推定するシンボルタイミング推定
部と、前記シンボルタイミングにおける瞬時振幅値と瞬
時位相値を抽出する瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部と、
前記シンボルタイミングでの瞬時振幅値の標準偏差と連
続シンボル間位相差分値の標準偏差または分散を計算す
る標準偏差/分散計算部と、前記瞬時振幅値の標準偏差
と前記連続シンボル間位相差分値の標準偏差または分散
とにより2次元平面上での位置座標が決まるプロトタイ
プを識別の対象とする変調方式毎に複数記憶させておく
メモリ部と、前記瞬時振幅値の標準偏差と前記連続シン
ボル間位相差分値の標準偏差または分散とにより決まる
2次元平面上での位置座標と前記メモリ部に格納された
前記複数個のプロトタイプの位置座標との距離を全て計
算して該距離が最小となるプロトタイプに応じた変調方
式を識別結果として出力する距離計算部と、前記各プロ
トタイプに応じた複数の変調方式に対応可能な復調部と
を具備し、前記距離計算部から出力される変調方式識別
結果情報を入力として前記復調部において復調処理を行
う受信機であって、前記瞬時振幅/瞬時位相値抽出部で
得られた各シンボルタイミングでの瞬時振幅値を閾値と
比較して前記標準偏差/分散計算部での計算対象とする
シンボルタイミングを選択する信号レベル比較部と、前
記閾値を設定する手段を持つ閾値設定部とを有すること
を特徴とする変調方式自動識別受信機として構成した。
【0008】請求項3の発明は、請求項1の発明の前記
閾値設定部が、前記特徴抽出部の瞬時振幅値出力を入力
とし、推定した全シンボルタイミングにおける振幅値の
平均値を計算して前記閾値を設定することを特徴とする
変調方式自動識別受信機として構成した。
【0009】請求項4の発明は、請求項2の発明の前記
閾値設定部が、前記瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部の瞬
時振幅値出力を入力とし、推定した全シンボルタイミン
グにおける振幅値の平均値を計算して前記閾値を設定す
ることを特徴とする変調方式自動識別受信機として構成
した。
【0010】請求項5の発明は、請求項1の発明の前記
閾値設定部が、前記特徴抽出部の瞬時振幅値出力を入力
とし、推定した全シンボルタイミングにおける振幅値の
平均値よりも低く、かつ、前記平均値を閾値とした場合
に得られる識別率と同等の識別率を達成する閾値よりも
高い値を閾値として設定することを特徴とする変調方式
自動識別受信機として構成した。
【0011】請求項6の発明は、請求項2の発明の前記
閾値設定部が、前記瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部の瞬
時振幅値出力を入力とし、推定した全シンボルタイミン
グにおける振幅値の平均値よりも低く、かつ、前記平均
値を閾値とした場合に得られる識別率と同等の識別率を
達成する閾値よりも高い値を閾値として設定することを
特徴とする変調方式自動識別受信機として構成した。
【0012】
【発明の実施の形態】フェージング環境下では、受信信
号の振幅値が大きい場合の位相変動や振幅変動は緩やか
に起こり、逆に、振幅値が小さいシンボルタイミングに
おいては位相の回転速度と振幅レベルの変動速度が速く
なることが経験的に知られている(斎藤洋一、「ディジ
タル無線通信の変復調」、p160、(社)電子情報通信学
会,1996.)。
【0013】そこで、本発明では、観測した各シンボル
タイミングの瞬時振幅値を閾値と比較し、その閾値以上
の瞬時振幅値をもつシンボルタイミングの情報を用いて
特徴量を算出する。あるいは、閾値以上の瞬時振幅値を
持つシンボルタイミングでの位相情報や振幅情報を用い
て特徴量(瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間位相
差分値の分散又は標準偏差)を算出する。上記の閾値と
しては、予め設定した固定値や包絡線検波器出力に基づ
いた値等、あるいは各シンボルタイミングにおける瞬時
振幅値の平均受信レベルを用いる。特徴空間は、識別処
理に用いる特徴量を軸として構成される。以下の実施形
態では2次元平面の例を記載しているが、本発明はそれ
に限定されるものではない。以下、詳しく説明する。
【0014】[第1の実施形態]図1に、請求項1で述
べた自動識別受信機の構成を示す。周波数変換部1によ
りベースバンド周波数帯に変換された受信信号は、シン
ボルタイミング推定部2に入る。このシンボルタイミン
グ推定部2では、クロック抽出により受信信号のシンボ
ルタイミングが推定される。次に、ベースバンド帯変調
信号とシンボルタイミング情報とを入力とする特徴抽出
部3において、ベースバンド帯変調信号のシンボルタイ
ミングにおける瞬時振幅値やその他等の特徴が抽出され
る。特徴抽出部3で抽出された瞬時振幅値等の特徴を入
力とする信号レベル比較部4においては、各シンボルタ
イミングにおける瞬時振幅値が、閾値設定部5で設定さ
れた閾値と比較され、その閾値より高い振幅値を持つシ
ンボルタイミングが選択される。なお、この閾値は、固
定の値に設定することもできるが、受信機の構成に応じ
て包絡線検波器の出力、自動利得制御増幅器の制御電
圧、リミッタ増幅器のRSSI(Receive Signal Stren
gth Indicator)出力等に基づいて決定することも可能で
ある。信号レベル比較部4で選択されたシンボルタイミ
ングの瞬時振幅値等の特徴を入力として、特徴量計算部
6において、識別処理に用いる2次元平面上の位置座標
である特徴量が計算される。特徴量計算部6で算出され
た位置座標とメモリ部7からの入力である各変調方式の
プロトタイプの2次元平面上の位置座標とを入力とし
て、距離計算部8において、ベースバンド帯変調信号の
特徴量(2次元平面上の位置座標)とメモリ部7からの
入力である各変調方式のプロトタイプ(2次元平面上の
位置座標)との距離が計算され、ベースバンド帯変調信
号の位置座標から最も近くに位置している位置座標のプ
ロトタイプの変調方式が識別結果として出力される。復
調部9では、距離計算部8の出力である識別結果情報と
ベースバンド帯変調信号とを入力として復調処理が行わ
れ、復調信号が出力される。
【0015】このように、第1の実施形態では、閾値と
観測した各シンボルタイミングの振幅値を比較し、閾値
以上の振幅値を持つシンボルタイミングでの情報を用い
て特徴量を算出することを特徴としている。前記したよ
うに、フェージング環境下では受信信号の振幅値が大き
い場合の位相変動や振幅変動は緩やかに起こり、逆に、
振幅値が小さいシンボルタイミングにおいては位相の回
転速度と振幅レベルの変動速度が速くなることが経験的
に知られているが、本実施形態では、閾値以上の振幅値
を持つシンボルタイミングでの情報を用いて特徴量を算
出するので、フェージング環境下においても精度の高い
特徴量の抽出が可能となり、良好な識別特性を得ること
ができる。
【0016】[第2の実施形態] 図2に、請求項2で
述べた自動識別受信機の構成を示す。図1と同じものに
は同じ符号を付けた。ここでは、ベースバンド帯変調信
号とシンボルタイミング情報とを入力とする瞬時振幅値
/瞬時位相値抽出部3Aにおいて、ベースバンド帯変調
信号のシンボルタイミングにおける瞬時振幅値と瞬時位
相値が抽出される。この瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部
3Aは、図1で述べた受信機の特徴抽出部3に対応して
いる。瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部3Aで抽出された
瞬時振幅値と瞬時位相値とを入力とする信号レベル比較
部4においては、各シンボルタイミングにおける瞬時振
幅値が閾値設定部5で設定された閾値と比較され、その
閾値より高い振幅値を持つシンボルタイミングが選択さ
れる。信号レベル比較部4で選択されたシンボルタイミ
ングの瞬時振幅値と瞬時位相値情報を入力として、標準
偏差/分散計算部6Aにおいて、瞬時振幅値の標準偏差
と連続シンボル間位相差分値の分散又は標準偏差が計算
される。この標準偏差/分散計算部6Aは、図1で述べ
た受信機の特徴量計算部6に対応している。瞬時振幅値
の標準偏差と連続シンボル間位相差分値の分散又は標準
偏差(これによりベースバンド帯変調信号の2次元平面
上の位置座標が決まる。)と、メモリ部7からの入力で
ある各変調方式のプロトタイプの上記と同じ2次元平面
上の位置座標(瞬時振幅値の標準偏差と前記連続シンボ
ル間位相差分値の標準偏差または分散とにより決まる座
標)とを入力として、距離計算部8において、ベースバ
ンド帯変調信号の特徴量(2次元平面上の位置座標)と
メモリ部7からの入力である各変調方式のプロトタイプ
(2次元平面上の位置座標)との距離が計算され、ベー
スバンド帯変調信号の位置座標から最も近くに位置して
いる位置座標のプロトタイプの変調方式が識別結果とし
て出力される。復調部9では、距離計算部8の出力であ
る識別結果情報とベースバンド帯変調信号とを入力とし
て復調処理が行われ、復調信号が出力される。
【0017】このように第2の実施形態では、観測した
各シンボルタイミングの振幅値を閾値と比較し、閾値以
上の振幅値を持つシンボルタイミングでの位相情報や振
幅情報を用いて瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間
位相差分値の分散又は標準偏差を算出するので、フェー
ジング環境下においても精度の高い瞬時振幅値の標準偏
差と連続シンボル間位相差分値の分散又は標準偏差を算
出することが可能となり、良好な識別特性を得ることが
できる。
【0018】[第3の実施形態]図3に、請求項3で述
べた自動識別受信機の構成を示す。この図3は図1の自
動識別受信機の変形例であり、図1におけるものと同じ
ものには同じ符号を付けた。ここでは、特徴抽出部3に
おいて抽出された各シンボルタイミングにおける瞬時振
幅値を入力として、閥値設定部5Aにおいて平均受信レ
ベルが計算され、この平均受信レベル値を信号レベル比
較部4へ閾値として出力する。次に、閾値設定部5Aで
算出された平均受信レベル値と特徴抽出部3で抽出され
た瞬時振幅値等の特徴とを入力とし、信号レベル比較部
4において、平均受信レベル値と各シンボルタイミング
における瞬時振幅値とが比較され、平均受信レベル値よ
り高い振幅値を持つシンボルタイミングが選択される。
【0019】このように第3の実施形態では、閾値とし
て平均受信レベル値を使用するので、精度の高い特徴量
が算出され、フェージング環境下においても良好な識別
特性を得ることができる。また、閾値を設定するために
外部信号を必要としないため装置構成を簡易化でき、同
時に内部信号のみによって閾値が設定できるのでより柔
軟な処理が可能となり、ソフトウエア無線技術への応用
も期待できる。
【0020】[第4の実施形態]図4に、請求項4で述
べた自動識別受信機の構成を示す。この図4は図2の自
動識別受信機の変形例であり、図2におけるものと同じ
ものには同じ符号を付けた。ここでは、瞬時振幅値/瞬
時位相値抽出部3Aで抽出された各シンボルタイミング
における瞬時振幅値を入力として、閾値設定部5Aにお
いて、平均受信レベルが計算され、この平均受信レベル
値を信号レベル比較部4へ出力する。次に、閾値設定部
5Aで算出された平均受信レベル値と、瞬時振幅値/瞬
時位相値抽出部3Aで抽出された瞬時振幅値と瞬時位相
値とを入力とし、信号レベル比較部4において、平均受
信レベル値と各シンボルタイミングにおける瞬時振幅値
とが比較され、平均受信レベル値より高い振幅値を持つ
シンボルタイミングが選択される。
【0021】このように第4の実施形態では、閾値とし
て平均受信レベル値を使用するので、精度の高い特徴量
(瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間位相差分値の
標準偏差又は分散)が算出され、フェージング環境下に
おいても良好な識別特性を得ることができる。また、第
3の実施形態と同様に、閾値を設定するために外部信号
を必要としないため装置構成を簡易化でき、同時に内部
信号のみによって閾値が設定できるのでより柔軟な処理
が可能となり、ソフトウエア無線技術への応用も期待で
きる。
【0022】本実施形態において、識別の対象とする変
調方式を、GMSK、BPSK、QPSK、π/4−Q
PSK、16QAMの5つとしたとき、図6に、識別処
理に用いた特徴空間(2次元平面上の座標情報)の例を
示す。前提条件として、平均SNRを10dB、伝送路
をレイリーフェージング、正規化最大ドップラ周波数
(fT)を4.2×10-3とする。
【0023】最も識別が難しい変調方式(16QAM)
に対する識別特性を図7に示す。本発明を用いることに
より識別特性が向上し、観測シンボル数490以上で、99.
95%以上の識別率が得られ、本発明の有効性が確認でき
る。
【0024】[第5の実施形態]請求項5で述べた自動識
別受信機の実施形態を以下に示す。構成は図3に示した
ものと同じである。ここでは、特徴抽出部3において抽
出された各シンボルタイミングにおける瞬時振幅値を入
力として、閾値設定部5Aにおいて、全シンボルタイミ
ングにおける振幅値の平均値よりも低く、かつ、平均値
を閾値とした場合に得られる識別率と同等の識別率を達
成する閾値よりも高い値を、信号レベル比較部4へ閾値
として出力する。次に、閾値設定部5Aで設定された閾
値と、特徴抽出部3で抽出された瞬時振幅値等の特徴と
を入力とし、信号レベル比較部4において、閾値と各シ
ンボルタイミングにおける瞬時振幅値とが比較され、閾
値より高い振幅値をもつシンボルタイミングが選択され
る。
【0025】このように第5の実施形態では、閾値とし
て、全シンボルタイミングにおける振幅値の平均値より
も低く、かつ、平均値を閾値とした場合に得られる識別
率と同等の識別率を達成する閾値よりも高い値を使用す
る。この閾値を決めるためのポイントを以下で説明す
る。図8に、閾値の変化に対する識別特性を示す。図8
から、平均受信レベルを閾値としたときの識別率と同等
の識別率を達成する閾値Aが存在することが分かる。こ
のAよりも高く、かつ、平均受信レベルよりも低い値を
閾値とすることによって、平均受信レベルを閾値とする
場合より高い識別率が得られる。また、最適な閾値を決
めるためのポイントを以下で説明する。図9に、閾値の
変化に対する、破棄されるシンボル数とフェージングに
よる特徴量の変動を示す。破棄されるシンボル数の特性
は、全観測時間に対するフェードデュレーション(規定
レベル以下に連続して落ち込んでいる時間幅)の総時間
の比率から求めることができる。閾値が高くなるにした
がって、フェードデュレーションは指数関数的に増加し
(奥村善久、「移動通信の基礎」、p71、(社)電子
情報通信学会、1986)、図9のような曲線が引かれる。
図9から分かるように、閾値が高くなるとフェージング
の変動による影響が少ないシンボルのみが選択される
が、破棄されるシンボルが増加して合計観測シンボル数
も増える。
【0026】一方、閾値が低くなると、破棄される観測
シンボルが減少し結果的に合計観測シンボル数も減少す
るが、フェージングの変動の影響を大きく受けた情報か
ら特徴量が計算されてしまう。このように、フェージン
グによる特徴量の変動と、破棄されるシンボル数のトレ
ードオフにより最適な閾値が決まる。これによって求め
られる閾値を用いて計算対象とするシンボルタイミング
を選択することによって、ドップラ周波数が変動した場
合にも、より少ない観測シンボル数で良好な識別特性を
得ることができる。
【0027】[第6の実施形態]請求項6で述べた自動識
別受信機の実施形態を以下に示す。構成は図4に示した
ものと同じである。ここでは、瞬時振幅値/瞬時位相値
抽出部3Aにおいて抽出された各シンボルタイミングに
おける瞬時振幅値を入力として、閾値設定部5Aにおい
て、全シンボルタイミングにおける振幅値の平均値より
も低く、かつ、平均値を閾値とした場合に得られる識別
率と同等の識別率を達成する閾値よりも高い値を、信号
レベル比較部4へ閾値として出力する。次に、閾値設定
部5Aで設定された閾値と、瞬時振幅値/瞬時位相値抽
出部3Aで抽出された瞬時振幅値と瞬時位相値を入力と
し、信号レベル比較部4において、閾値と各シンボルタ
イミングにおける振幅値とが比較され、閾値より高い振
幅値をもつシンボルタイミングが選択される。
【0028】このように第6の実施形態では、閾値とし
て、全シンボルタイミングにおける振幅値の平均値より
も低く、かつ、平均値を閾値とした場合に得られる識別
率と同等の識別率を達成する閾値よりも高い値を使用す
る。この閾値を決めるためのポイントは、第5の実施形
態において述べたとおりであり、この閾値を用いること
によって、ドップラ周波数が変動した場合にも、より少
ない観測シンボル数で良好な識別特性を得ることができ
る。
【0029】本実施形態において、識別の対象とする変
調方式を、GMSK、BPSK、QPSK、π/4−Q
PSK、16QAMの5つとしたとき、閾値の変動に対
する最も識別率が低かった変調方式の識別特性を図10
に示す。前提条件として、平均SNRを10dB、伝送
路をレイリーフェージング、正規化最大ドップラ周波数
(fDT)を4.41×10-3、4.58×10-4、4.34×10-5とす
る。図10から、fDTが変化しても閾値(振幅・位相
選択基準値)を平均受信レベルの0.8倍から1.0倍の範囲
に設定することにより、良好な識別特性が得られてお
り、本発明の有効性が確認できる。
【0030】また図11に、従来方式を用いた場合の識
別特性と、閾値(選択基準値)を平均受信レベルの0.8
倍に設定したときの識別特性を示す。図11から、本発
明を用いることにより、従来技術よりも少ない観測シン
ボル数で良好な識別特性が得られていることが分かる。
このことから、本発明の有効性が確認できる。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、フェー
ジング環境下においてもほぼ100%の識別率を得るこ
とが可能な変調方式自動識別受信機を実現している。
【0032】請求項1の発明は、閾値設定部で設定した
閾値と観測した各シンボルタイミングの振幅値とを比較
し、閥値以上の振幅値を持つシンボルタイミングでの情
報を用いて特徴量を算出するので、フェージング環境下
においても良好な識別特性を得ることができる。
【0033】請求項2の発明は、閾値設定部で設定した
閾値と観測した各シンボルタイミングの振幅値とを比較
し、閾値以上の振幅値を持つシンボルタイミングでの位
相情報と振幅情報を用いて瞬時振幅値の標準偏差と連続
シンボル間位相差分値の標準偏差又は分散を算出するの
で、フェージング環境下においても良好な識別特性を得
ることができる。
【0034】請求項3の発明は、平均受信レベルと各シ
ンボルタイミングでの瞬時振幅値とを比較して計算対象
とするシンボルタイミングを選択することによって、精
度の高い特徴量を算出するので、フェージング環境下に
おいても良好な識別特性を得ることができる。また請求
項1の発明と比較して、閾値を設定するために外部信号
を必要としないため、装置構成が簡易化できる効果があ
り、また、内部信号のみによって閾値が計算でき、より
柔軟な処理が可能になるという点でソフトウエア無線技
術への応用も期待できる。
【0035】請求項4の発明は、平均受信レベルと各シ
ンボルタイミングでの瞬時振幅値とを比較して計算対象
とするシンボルタイミングを選択するので、精度の高い
特徴量(瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間位相差
分値の標準偏差又は分散)が算出され、フェージング環
境下においても良好な識別特性を得ることができる。ま
た請求項3の発明効果と同様に、装置構成の簡易化、ソ
フトウエア無線技術への応用が期待できる。
【0036】請求項5の発明は、推定した全シンボルタ
イミングにおける振幅値の平均値よりも低く、かつ、平
均値を閾値とした場合に得られる識別率と同等の識別率
を達成する閾値よりも高い値を閾値として、この閾値と
各シンボルタイミングでの瞬時振幅値とを比較して計算
対象とするシンボルタイミングを選択することで、より
少ない観測シンボル数によって、ドップラ周波数に関係
なく良好な識別特性を得ることができる。また、閾値を
設定するために外部信号を必要としないため装置構成を
簡易化できる効果があり、内部信号のみによって閾値が
設定できるのでより柔軟な処理が可能となる点でソフト
ウェア無線技術への応用も期待できる。
【0037】請求項6の発明は、推定した全シンボルタ
イミングにおける振幅値の平均値よりも低く、かつ、平
均値を閾値とした場合に得られる識別率と同等の識別率
を達成する閾値よりも高い値を閾値として、この閾値と
各シンボルタイミングでの瞬時振幅値とを比較して計算
対象とするシンボルタイミングを選択することで、より
少ない観測シンボル数によって、ドップラ周波数に関係
なく良好な識別特性を得ることができる。また、請求項
5の発明と同様に、装置構成の簡易化、ソフトウェア無
線技術への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1で述べた自動識別受信機の構成を示
す図である。
【図2】 請求項2で述べた自動識別受信機の構成を示
す図である。
【図3】 請求項3で述べた自動識別受信機の構成を示
す図である。
【図4】 請求項4で述べた自動識別受信機の構成を示
す図である。
【図5】 従来技術における自動識別受信機の構成を示
す図である。
【図6】 平均SNR10dB、レイリーフェージング
環境下における各変調方式のプロトタイプの配置を示す
図である。
【図7】 本発明を用いた場合に、レイリーフェージン
グ環境下で得られる識別特性を示す図である。
【図8】 閾値の変化に対する識別特性を示す図であ
る。
【図9】 閾値の変化に対する破棄されるシンボル数と
フェージングによる特徴量の変動を示す図である。
【図10】 閾値の変動に対する最も識別率が低かった
変調方式の識別特性を示す図である。
【図11】 閾値を平均受信レベルの0.8倍に設定した
ときの識別特性と従来方式を用いた場合の識別特性の比
較を示す図である。
【符号の説明】
1,11:周波数変換部 2:12:シンボルタイミング推定部 3:特徴抽出部 3A,13:瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部 4:信号レベル比較部 5,5A:閾値設定部 6,16:特徴量計算部 6A:標準偏差/分散計算部 7,17:メモリ部 8,18:距離計算部 9,19:復調部
フロントページの続き (72)発明者 中津川 征士 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 久保田 周治 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 豊田 一彦 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 5K004 AA01 AA04 AA05 AA08 BB02 BD02 EA04 ED02 FD02 JD02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受信信号の周波数をベースバンド周波数に
    変換したベースバンド帯変調信号のシンボルタイミング
    を推定するシンボルタイミング推定部と、該シンボルタ
    イミング推定部で推定したシンボルタイミング情報から
    前記ベースバンド帯変調信号の特徴量を計算するための
    特徴を抽出する特徴抽出部と、該特徴抽出部で抽出され
    た特徴から識別処理に用いる特徴空間の位置座標である
    特徴量を計算する特徴量計算部と、識別の対象とする変
    調方式毎に前記特徴空間での複数個の位置座標をプロト
    タイプとして記憶させておくメモリ部と、前記特徴量計
    算部で得られた前記位置座標と前記メモリ部に格納され
    た前記複数個のプロトタイプの位置座標との距離を全て
    計算して該距離が最小となるプロトタイプに応じた変調
    方式を識別結果として出力する距離計算部と、前記各プ
    ロトタイプに応じた複数の変調方式に対応可能な復調部
    とを具備し、前記距離計算部から出力される変調方式識
    別結果情報を入力として前記復調部において復調処理を
    行う受信機であって、 前記特徴抽出部で得られた各シンボルタイミングでの瞬
    時振幅値を閾値と比較して前記特徴量計算部での計算対
    象とするシンボルタイミングを選択する信号レベル比較
    部と、前記閾値を設定する手段を持つ閾値設定部とを有
    することを特徴とする変調方式自動識別受信機。
  2. 【請求項2】受信信号の周波数をベースバンド周波数に
    変換したベースバンド帯変調信号のシンボルタイミング
    を推定するシンボルタイミング推定部と、前記シンボル
    タイミングにおける瞬時振幅値と瞬時位相値を抽出する
    瞬時振幅値/瞬時位相値抽出部と、前記シンボルタイミ
    ングでの瞬時振幅値の標準偏差と連続シンボル間位相差
    分値の標準偏差または分散を計算する標準偏差/分散計
    算部と、前記瞬時振幅値の標準偏差と前記連続シンボル
    間位相差分値の標準偏差または分散とにより2次元平面
    上での位置座標が決まるプロトタイプを識別の対象とす
    る変調方式毎に複数記憶させておくメモリ部と、前記瞬
    時振幅値の標準偏差と前記連続シンボル間位相差分値の
    標準偏差または分散とにより決まる2次元平面上での位
    置座標と前記メモリ部に格納された前記複数個のプロト
    タイプの位置座標との距離を全て計算して該距離が最小
    となるプロトタイプに応じた変調方式を識別結果として
    出力する距離計算部と、前記各プロトタイプに応じた複
    数の変調方式に対応可能な復調部とを具備し、前記距離
    計算部から出力される変調方式識別結果情報を入力とし
    て前記復調部において復調処理を行う受信機であって、 前記瞬時振幅/瞬時位相値抽出部で得られた各シンボル
    タイミングでの瞬時振幅値を閾値と比較して前記標準偏
    差/分散計算部での計算対象とするシンボルタイミング
    を選択する信号レベル比較部と、前記閾値を設定する手
    段を持つ閾値設定部とを有することを特徴とする変調方
    式自動識別受信機。
  3. 【請求項3】前記閾値設定部は、前記特徴抽出部の瞬時
    振幅値出力を入力とし、推定した全シンボルタイミング
    における振幅値の平均値を計算して前記閾値を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の変調方式自動識別受
    信機。
  4. 【請求項4】前記閾値設定部は、前記瞬時振幅値/瞬時
    位相値抽出部の瞬時振幅値出力を入力とし、推定した全
    シンボルタイミングにおける振幅値の平均値を計算して
    前記閾値を設定することを特徴とする請求項2に記載の
    変調方式自動識別受信機。
  5. 【請求項5】前記閾値設定部は、前記特徴抽出部の瞬時
    振幅値出力を入力とし、推定した全シンボルタイミング
    における振幅値の平均値よりも低く、かつ、前記平均値
    を閾値とした場合に得られる識別率と同等の識別率を達
    成する閾値よりも高い値を閾値として出力することを特
    徴とする請求項1に記載の変調方式自動識別受信機。
  6. 【請求項6】前記閾値設定部は、前記瞬時振幅値/瞬時
    位相値抽出部の瞬時振幅値出力を入力とし、推定した全
    シンボルタイミングにおける振幅値の平均値よりも低
    く、かつ、前記平均値を閾値とした場合に得られる識別
    率と同等の識別率を達成する閾値よりも高い値を閾値と
    して出力することを特徴とする請求項2に記載の変調方
    式自動識別受信機。
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