JP2002316998A - リカバリン由来癌抗原ペプチド - Google Patents

リカバリン由来癌抗原ペプチド

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JP2002316998A
JP2002316998A JP2001122609A JP2001122609A JP2002316998A JP 2002316998 A JP2002316998 A JP 2002316998A JP 2001122609 A JP2001122609 A JP 2001122609A JP 2001122609 A JP2001122609 A JP 2001122609A JP 2002316998 A JP2002316998 A JP 2002316998A
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hla
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Noriyuki Sato
昇志 佐藤
Akiko Maeda
亜希子 前田
Hiroshi Oguro
浩 大黒
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 癌細胞を標的とする細胞傷害性T細胞を誘導
しうるペプチドを提供する。 【解決手段】 以下のアミノ酸配列: Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe 、 Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe Phe 及び、 Ala Tyr Ala Gln His Val Phe Arg Ser Phe からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなるペプチ
ド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌細胞を標的とする細
胞傷害性T細胞(以下、CTLという)を誘導すること
ができるペプチドに関する。また本発明は、前記ペプチ
ドを含む癌ワクチン及び抗癌剤に関する。更に本発明
は、癌細胞を標的とするCTLを誘導するための前記ペ
プチドの使用、得られたCTL及び前記CTLを含む抗
癌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】癌治療においては、外科療法、化学療法
及び放射線療法とあわせて、免疫療法が行われている。
癌に対する生体防御機構を高めることで癌細胞を攻撃す
る免疫療法分野においては、1980年代までは、BC
G及びOK432等の菌体成分を用いた非特異的方法が
中心であった。1990年前後には、サイトカインやそ
の遺伝子が明らかにされ、これらを用いた免疫治療、例
えばIL−2によりin vitroで非特異的に増やしたリン
パ球を患者に戻すLAK(lymphokine-activatedkille
r)療法などが行われた。しかしながら、これらの治療
法は免疫系が標的として認識する癌抗原の実体が明らか
にされていない状況下で行われたものなので、癌に対し
て非特異的な免疫治療法であった。1990年代にな
り、遺伝子クローニング技術及び生化学的酸抽出法を用
いてヒト悪性黒色種(メラノーマ)について多数の癌抗
原ペプチドが同定され、現在これらの癌抗原ペプチドを
用いた免疫治療の臨床試験が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、臨床的に癌の
大部分を占める肺癌、胃癌、大腸癌などの上皮癌では癌
抗原がほとんど同定されておらず、これらを用いた免疫
療法は確立されていない。そこで本発明は、癌の免疫療
法に使用しうる癌ワクチン及び抗癌剤を提供することを
解決すべき課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、免疫学的
なヒト癌拒絶が主にCTL、特にCD8(+)CTLに
より担われていることに着目した。CD8(+)CTL
は癌細胞上の主要組織適合抗原複合体(ヒトではHL
A)と当該HLA上に提示された癌抗原ペプチドとから
なる複合体を認識して活性化する。そして、活性化され
たCTLはその細胞表面上のT細胞抗原レセプターを介
して癌細胞を認識し、これを攻撃する。したがって、癌
抗原ペプチドが同定されれば、これを癌ワクチン及び抗
癌剤として使用し、CTLを効率的に誘導して、癌を予
防及び治療することができる。リカバリンは、網膜の光
順応におけるロドプシンのリン酸化制御に関係するタン
パク質である。リカバリンは、健康な大人では網膜での
み発現し、他の正常組織では発現しない。しかしなが
ら、リカバリンは上皮癌細胞の約50%で発現すること
が本発明者等により明らかにされている(Maeda等、 Ca
ncer Res., 60:1914-1920, 2000)。しかしながら、リ
カバリンが実際にCTLを誘導しうるか否かは全く明ら
かにされていなかった。そこで、種々のリカバリン由来
のペプチドについて癌抗原性、すなわちCTL誘導能に
ついて鋭意検討を重ねたところ、特定のペプチドがCT
Lを誘導することができることを見いだした。本発明は
この知見に基づいてなされたものである。すなわち、本
発明は、 (1)配列番号1〜3からなる群より選ばれるアミノ酸
配列からなり、癌細胞を標的とする細胞傷害性T細胞を
誘導しうるペプチド; (2)前記(1)のペプチドを含む癌ワクチン; (3)前記(1)のペプチドを含む抗癌剤; (4)癌細胞を標的とする細胞傷害性T細胞を誘導する
ための前記(1)のペプチドの使用; (5)前記(1)のペプチドにより誘導された細胞傷害
性T細胞及び、 (6)前記(5)の細胞傷害性T細胞を含む抗癌剤; である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の癌細胞を標的とする細胞傷害性T細胞を誘導し
うるペプチドは、以下の配列: Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe (配列番号1)、 Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe Phe (配列番号2)及び、 Ala Tyr Ala Gln His Val Phe Arg Ser Phe (配列番号3) からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなるペプチド
をいう。
【0006】本発明のペプチドの同定は、以下の工程: (1)ヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスI
であるHLA−A24の結合モチーフに対応する配列を
有するリカバリン由来ペプチドを提供する工程、(2)
前記のペプチドを、HLA−A24を発現する抗原提示
細胞に添加し、HLA−A24により前記ペプチドを提
示している抗原提示細胞を得る工程、(3)前記抗原提
示細胞でT細胞を刺激してCTLを誘導する工程、及
び、(4)誘導されたCTLの癌細胞傷害能を測定する
工程、を含む方法により行うことができる。
【0007】本発明のペプチドはアミノ酸数が9〜10
と小さいので、一般的なアミノ酸の化学合成法、例えば
Fmoc法により合成することができる。市販のアミノ
酸合成装置を使用して合成することもできる。また、本
発明のペプチドはリカバリンに由来するので、癌患者の
癌細胞から文献(Cancer Res.,60:1914-1920)に記載の
方法にしたがいリカバリンを単離して、該当するペプチ
ドを得ることもできる。
【0008】本発明のペプチドを使用して癌細胞を標的
とするCTLを誘導することができる。誘導されたCT
Lは癌細胞を認識して、これを攻撃する。したがって、
本発明のペプチドは癌ワクチン及び抗癌剤として使用す
ることができる。本発明の癌ワクチン及び抗癌剤を適用
しうる癌は、本発明のペプチドをHLA−A24により
提示している癌細胞からなる癌、例えば上皮癌である。
上皮癌としては、肺癌、消化器の癌、例えば胃癌、大腸
癌、膵癌等が挙げられる。本発明のペプチドを癌ワクチ
ン及び抗癌剤として使用する場合、本発明のペプチド
は、それ自身で又は補助剤と共に使用することができ、
更に医薬的に許容しうる担体を適宜含有させることがで
きる。補助剤としては、免疫応答の強化を目的とするア
ジュバント、例えばフロイドの不完全(完全)アジュバ
ント、アルミニウムアジュバント等が挙げられる。医薬
的に許容しうる担体としては、例えばPBS、蒸留水等
の希釈剤、生理食塩水等が挙げられる。本発明の癌ワク
チン及び抗癌剤は、当該技術分野において周知の方法に
より、液剤、油剤、エマルジョン、ソフトカプセル剤、
ハードカプセル剤、錠剤、顆粒剤、固形剤等の形態にす
ることができる。本発明の癌ワクチン及び抗癌剤は、そ
の使用形態に応じて経口、非経口又は経皮投与すること
ができる。例えば、静注投与、筋射投与が挙げられる。
投与量は、通常、患者の体重、疾患の性質及び状態に依
存して変化するが、成人に使用する場合、1日あたり最
大で5〜10mgである。例えば、成人の癌患者に皮下
注射により使用する場合、1週間あたり100〜100
0μgであり、好ましくは100〜200μgである。
【0009】また、本発明のペプチドを、癌細胞を標的
とするCTLを誘導するために使用することができる。
誘導は、例えば文献(Nabeta, Y.ら, Jpn. J. Cancer R
es.2000. 91:616-621)に記載の方法にしたがい行うこ
とができる。 具体的には以下の工程:HLA−A24を発現している
細胞を提供する工程、前記細胞に本発明のペプチドを添
加して、HLA−A24上に提示させる工程、前記ペプ
チドをHLA−A24により提示している細胞でT細胞
を刺激し、前記T細胞を癌細胞標的CTLへ誘導する工
程、を含む方法を使用することができる。HLA−A2
4を発現する細胞は癌患者から採取したものでもよい
が、非HLA−A24発現細胞に、HLA−A24をコ
ードする遺伝子を導入して作成してもよい。
【0010】得られたCTLは癌細胞を標的とするの
で、これを抗癌剤に使用することができる。この場合、
前記の本発明のペプチドを含む抗癌剤と同様に、適宜医
薬的に許容しうる担体を含み、かつ種々の形態をとるこ
とができる。本発明のCTLを含む抗癌剤は、本発明の
ペプチドを含む癌ワクチン及び抗癌剤と同様に非経口投
与することができる。投与量は、通常、患者の体重、疾
患の性質及び状態に依存して変化するが、成人の癌患者
に皮下注射により使用する場合、1週間あたり100〜
1000μgであり、好ましくは100〜200μgで
ある。
【実施例】次に、実施例により本発明の効果を具体的に
説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0011】参考例1 リカバリンmRNAの細胞株に
おける発現 以下の細胞株、LHK−2(肺腺癌細胞)、HC−MA
(下咽頭扁平上皮癌細胞)、OSC70(口腔扁平上皮
癌細胞)、1102MEL(黒色腫細胞)、HST−2
(胃印環細胞癌細胞)、C1R(リンパ腫細胞)、LB
33MEL(黒色腫細胞)、A549(肺癌細胞)、K
562(白血病細胞)、YHEBV−BCLs(EBウ
イルス感染細胞)及びKKEBV−BCLs(EBウイ
ルス感染細胞)由来のmRNA 2μgを、リカバリン
遺伝子特異的プライマーを用いてRT−PCRし、得ら
れたPCR産物を電気泳動した後、エチジウムブロマイ
ドで染色した。内部標準としてβ-アクチンを用いた。
図1に示されるように、構成的タンパク質であるβ−ア
クチンはいずれの細胞においても発現が見られた。一方
リカバリンは、癌細胞であるLHK−2、HC−MA、
OSC20、1102MEL、HST−2、CIRでリ
カバリンmRNAの発現が見られたが、LB33ME
L、A549、K562及びYHEBV−BCLs及び
KKEBV−BCLsでは発現が見られなかった。この
結果より、リカバリンは多くの癌細胞に特異的に発現す
ることが理解される。
【0012】実施例1 本発明のリカバリン由来癌抗原
ペプチドの製造 以下のアミノ酸配列: Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe (配列番号1)、 Gln Phe Gln Ser Ile Tyr Ala Lys Phe Phe (配列番号2)又は、 Ala Tyr Ala Gln His Val Phe Arg Ser Phe (配列番号3) を有する3種のペプチドを合成した。ペプチドは、9−
フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)戦略
に基づいて固相同時多重ペプチド合成機PSSM−8
(島津製作所)を使用して合成し、次いでC18逆相高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Millipore)
により精製した。ペプチドの純度及び同一性は、それぞ
れ分析用HPLC及び質量分析により測定した。ペプチ
ドを、ジメチルスルホキシド中に濃度1.5mg/ml
で溶解し、−80℃で保存した。
【0013】実施例2 本発明のリカバリン由来癌抗原
ペプチドを用いたCTLのin vitro誘導 ヒトの末梢血をフィコール・コンレイ密度勾配中で遠心
分離して末梢血単核球(PBMC)を集め、次いで接着
細胞と非接着細胞とに分離した。接着細胞をAIM−V
(Gibco Co.)中、100ng/mlのGM−CSF(N
ovartis Pharmaceuticals)及び10IU/mlのIL
−4(Gibco-BRL)と共にインキュベートした。この細
胞を抗原提示細胞(APC)として使用した。非接着細
胞をAIM−V中、30〜100IU/mlの組換えI
L−4(味の素)と共にインキュベートした。7〜10
日目に、本発明のペプチド(終濃度30μg/ml)を
APCに添加し、1日後、組換えTNF−α及びIFN
−α(住友製薬)を添加してAPCを成熟させた。次い
でAPCに放射線を照射した。1日後、APCと自家非
接着細胞とを、IL−2を含まないAIM−V中で混合
した。インキュベート2日後、IL−2(武田薬品工
業)を終濃度100IU/mlで培養へ添加した。7日
毎に、前記と同様のプロトコルにしたがい、APCとし
ての自家接着細胞で応答細胞を刺激した。刺激毎に、培
養に100IU/mlのIL−2を含む新鮮培地を追加
した。28日目のCTLを以下の活性試験に使用した。
【0014】実施例3 本発明のCTLの細胞傷害性 (1)試験方法 CTLの細胞傷害能を51Cr細胞傷害試験により評価
した。CTLの標的細胞を100μCiのクロム酸ナト
リウム(51Cr)を用いて37℃で2時間標識し、洗
浄し、再懸濁した。試験ペプチドが提示された標識標的
細胞は、前記の標的細胞(5×10細胞/ml)と3
0μg/mlの試験ペプチドとを37℃で18時間イン
キュベートし、51Crで標識することにより得た。エ
フェクター細胞(CTL)をV字底マイクロタイタープ
レートCostar3894(Corning Incorporated)
の各ウェルに入れ、ここに前記標識標的細胞を濃度5×
10細胞/ウェルで添加し、容量0.2mlとした。
4時間のインキュベート後、0.1mlの上清を集め、
自動化ガンマカウンター(LKB Wallac)により51Cr
の放出を測定した。測定は3重に行い標準偏差を計算し
た。特異的細胞傷害能の百分率は、特異的51Cr放出
の百分率を下記の式:[(実験値)−(自発的放出値)
/(最大放出値)−(自発的放出値)]×100を用い
て計算することにより決定した。自発的放出値は、標的
細胞をエフェクター細胞の非存在下で単独でインキュベ
ートしたときの放出値より得た。最大放出値は界面活性
剤である10%Nonidet−P40(ナカライケミ
カルCo.)と共にインキュベートしたときの最大放出
量により得た。
【0015】(2)本発明のCTLの細胞傷害性 文献(Murakamiら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1
992 187:234-244、Kondoら, J. Immunol. 1995. 155:43
07-4312及びKuboら, J. Immunol. 1994. 152:3913-392
4)に記載のリカバリンのアミノ酸一次配列にしたが
い、表1に示すHLA−A24の結合モチーフに対応す
る9種のペプチド(配列番号1〜3のアミノ酸配列から
なるペプチドを含む)を、リカバリンを発現する癌患者
の末梢血リンパ球から文献(Cancer Res.,60:1914-192
0)に記載の方法にしたがい得た。
【0016】表1.試験ペプチド *下線部はHLA−A24の結合モチーフに対応するア
ミノ酸を示す。
【0017】試験の便宜のため、9種のペプチドを、本
発明のペプチドを含むA群(R22、R49、R49.
2、R64及びR108)と本発明のペプチドを含まな
いB群(R69、R82、R131及びR158)とに
分けた。実施例2と同様の方法により各群のペプチドを
用いてCTLを誘導した。CTLの標的細胞として、リ
カバリンを発現する(以降、リカバリン陽性という)C
1R細胞株(ATCCより入手)に、HLA−A24*24
02遺伝子を、ベクターpBJ−A*2402を用い
て、文献(J. Immunol. 163:2783-2791(1999))にした
がい導入し、HLA−A24分子を細胞表面に発現させ
た(以降、HLA−A24陽性という)C1R−A*2
402細胞、対照としてC1R細胞株でHLA−A31
分子を発現させたHLA−A*31012細胞及びクラ
スIMHCを発現しないK562細胞(ATCCより入手)
を用いた。前記(1)の試験法にしたがい、各標的細胞
に試験ペプチドを添加して、標的細胞上にペプチドを提
示させ、これを試験に使用した。A群及びB群のペプチ
ドを用いて誘導したCTLについての51Cr細胞傷害
試験の結果をそれぞれ図2A及び図2Bに示す。縦軸は
標的細胞の溶解の百分率を、横軸はE/T比(エフェク
ター細胞(CTL)/標的細胞)を示す。A群ペプチド
により誘導されたCTLはC1R−A*2402細胞に
対して高い細胞溶解を示したが、HLA−A*3101
2細胞及びK562細胞に対しての細胞溶解性は低かっ
た(図2A)。また、B群ペプチドにより誘導されたC
TLはいずれの細胞に対しても低い細胞溶解性を示した
(図2B)。更にA群ペプチドにより誘導されたCTL
は、リカバリン陽性かつHLA−A24陽性の肺癌細胞
LHK−2に対しても高い細胞傷害性を示した(図2
C)。これらの結果より、本発明のペプチドを含むA群
ペプチドにより誘導されたCTLが、HLA−A24陽
性かつリカバリン陽性の細胞、すなわち癌細胞に対し高
い細胞傷害性を有していることが理解される。
【0018】実施例4 単一ペプチドにより誘導したC
TLの細胞傷害性 実施例3のA群ペプチドをより詳細に特徴付けるため
に、単一ペプチドで誘導したCTLについての細胞傷害
性試験を行った。健常人から採取したPBMC及びA群
の各ペプチド(R22、R49、R49.2、R64及
びR108)を用いて、実施例2の誘導方法にしたが
い、CTLを誘導した。評価は実施例3(1)の51
r細胞傷害試験にしたがい行った。標的細胞として、A
群の各ペプチド又は陰性コントロールとしてB群のペプ
チド混合物(gB)のいずれかを添加したHLA−A2
4陽性の自家EBV−B細胞(EBV−BCL)を使用
した。51Cr細胞傷害試験の結果をそれぞれ図3Aに
示す。ペプチドR49、R49.2及びR64により誘
導されたCTLは、それぞれのペプチドを提示するEB
V−B細胞に対して高い細胞溶解性を示したが、gB提
示細胞に対しての細胞溶解性は低かった。また、ペプチ
ドR22及びR108B群ペプチドにより誘導されたC
TLはいずれの細胞に対しても低い細胞溶解性を示し
た。更にペプチドR49、R49.2及びR64により
誘導されたCTLは、リカバリン陽性、HLA−A24
陽性肺癌細胞LHK−2に対しても細胞傷害性を示した
(図3B)。これらの結果より、本発明のペプチドによ
り誘導されたCTLが、HLA−A24陽性かつリカバ
リン陽性の細胞、すなわち癌細胞に対し高い細胞傷害性
を有していることが理解される。
【0019】実施例5 リカバリン特異的なCTL前駆
細胞(pCTL)の存在頻度の測定 pCTLの存在頻度は、Lefkovitsらの限界希釈法(Lef
kovits, Immunol. Today 1984. 5:265-268)により測定
した。具体的には、健常人から採取したPBMCを、丸
底96ウェルプレートBecton Dickinso
n Labware3077に、リカバリンペプチド
(40μg/ml)の存在下、2×10/ウェル、1
×10/ウェル及び5×10/ウェルの各細胞濃度
(各細胞濃度について48の複製)で播いた。培養細胞
を、リカバリンペプチド及びAPC源として1×10
細胞/ウェルの放射線照射(8000rad)PBMC
を用いて1週間間隔で再度刺激した。2日目にIL−2
(100U/ml)を添加した。連続2回の刺激サイク
ルの後、各ウェルの内容物の半分を取り出し、4時間の
微小細胞傷害性試験法(J. Immunol.,163:2783-2791(19
99))においてリカバリン応答性CTLの存在について
試験した。50倍をこえる量のK562細胞の存在下で
細胞傷害性試験を行い、非特異的傷害を除去した。ウェ
ルにおいて標準偏差が3をこえる平均自発的放出を示す
51Cr放出を陽性と定義した。これは15%以上の特
異的細胞溶解に達する。陰性を示すウェルの画分を、播
いた細胞数に対してプロットし、最良適合の直線回帰分
析をStayworks(Cricket Software)を用いて
行った。Lefkovitsらの限界希釈法(前出)に記載され
るようにして、ポアソン分布に基づき、回帰線の勾配よ
りpCTLの存在頻度を決定した。結果を図4に示す。
ペプチドR49.2に対するCTL前駆細胞が最も多く
存在することが理解される(図4)。この結果より、本
発明の3種のペプチドの中では、R49.2が最も多く
のCTLを誘導するので、癌ワクチン及び抗癌剤として
の効果が最も期待される。
【0020】実施例6 本発明のCTLの反応性の解析 (1)CTLのクローンの作成 本発明のCTLの反応性(HLA−A24拘束性及びリ
カバリン拘束性)を検討するために、単一のCTLクロ
ーンを、Koupら(Koupら, J. Exp. Med. 1991.174:1593
-1600)の方法と類似の方法にしたがい行った。具体的
には、健常人由来の放射線照射したPBMCを、実施例
2に記載の方法にしたがい配列番号2のペプチドを用い
て誘導したCTL(5×10)及び放射線照射したL
G2−EBV形質転換細胞(Institute of Ludwig Canc
er Researchより入手)を、15% FCS(Gibco)、
200IU/ml 組換えIL−2(武田薬品工業)、
50μM 2−メルカプトエタノール(和光純薬工業)
及び40ng/ml 抗CD3モノクローナル抗体(フ
ナコシ株式会社)を含む200μlのAIM−Vを含む
丸底マイクロタイタープレートBecton Dick
inson Labware3077(Becton Dickins
on)の各ウェルに入れた。7日毎に、15% FCS、
50IU/ml IL−2及び50μM 2−メルカプ
トエタノールを含む新鮮なAIM−Vを培養に追加し
た。14〜20日目に、平均して1×10〜2×10
の細胞を得た。得られたクローンをUHC−9と命名
し、反応性の解析に使用した。
【0021】(2)UHC−9のHLA−A24拘束性 エフェクター細胞としてのUHC−9、標的細胞として
のLHK−2及び各種モノクローナル抗体を用いた51
Cr細胞傷害試験により評価した。具体的には、標的細
胞LHK−2肺癌細胞株(HLA−A24陽性かつリカ
バリン陽性)を、以下のモノクローナル抗体:w6/3
2(抗HLAクラスI抗体、終濃度20μg/ml)、
L243(抗HLA−DR抗体、終濃度20μg/m
l)、A11.1のIgMフラグメント(抗HLA−A
24特異的抗体、終濃度30μg/mlで1:200希
釈で使用)と共に4℃で1時間インキュベートし、その
後、細胞傷害性試験を行った。結果を図5Aに示す。U
HC−9のLHK−2に対する細胞傷害性は、標的細胞
上のHLA−24をブロックする抗体A11.1及びw
6/32により選択的に阻止された。一方、HLA−2
4をブロックしない抗体L243では細胞傷害性は阻止
されなかった。この結果より、本発明のCTLはHLA
−A24拘束性であることが理解される。
【0022】(3)UHC−9のリカバリン拘束性及び
HLA−A24拘束性 UHC−9のリカバリン拘束性を、以下の表2に示す標
的細胞を用い、実施例3に記載の51Cr細胞傷害試験
により評価した。
【0023】表2.標的細胞 +:陽性 −:陰性
【0024】結果を図5Bに示す。UHC−9はリカバ
リン及びHLA−A24両方が陽性の細胞(LHK−
2、HC−MA、OSC70及び1102MEL)に対
して高い細胞傷害性を示したが、いずれか一方を発現し
た細胞株(HST−2及びLB33MEL)及び両方陰
性(A549)細胞株に対しては細胞傷害性を示さなか
った。この結果より、本発明のCTLはリカバリン拘束
性かつHLA−A24拘束性であることが理解される。
【0025】(4)UHC−9のリカバリン遺伝子及び
/又はHLA−A24遺伝子導入細胞に対する細胞傷害
文献(Cancer Res.,60:1914-1920(2000))に記載の方法
にしたがい、リカバリン及びHLA−A24の両方が陰
性である細胞株A549にリカバリン遺伝子及び/又は
HLA−A24遺伝子を導入した細胞を作成し、これら
を標的細胞としてUHC−9の51Cr細胞傷害試験を
行った。
【0026】表3.標的細胞
【0027】結果を図5Cに示す。UHC−9はリカバ
リン及びHLA−A24両方を発現した細胞株(A54
9RA*2402)に対して高い細胞傷害性を示した
が、いずれか一方のみを発現した細胞(A549R及び
A549R*2402)及び両方を発現しない細胞(A
549)に対しては細胞傷害性を示さなかった。この結
果より、本発明のCTLはHLA−A24拘束性かつリ
カバリン発現選択性であることが理解される。
【0028】
【発明の効果】本発明のペプチドは、本発明のペプチド
を提示したHLA−A24を有する癌細胞を標的とする
CTLを誘導することができる。HLA−A24の発現
率は高く、欧米人では20〜30%であり、特に日本人
では50%以上が発現している。したがって、本発明の
癌抗原ペプチドは有用な癌ワクチン及び抗癌剤として使
用することができる。
【0029】
【配列表】SEQUENCE LISTING <110> Hokkaido Technology Licensing Office Co. Lt
d. <120> A cancer antigen peptide derived from recove
rin <130> y1i-0017 <140> <141> <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 <210> 2 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 <210> 3 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 3 <210> 4 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 4 <210> 5 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 5 <210> 6 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 6 <210> 7 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 7 <210> 8 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 8 <210> 9 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 9
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、癌細胞及び正常細胞におけるリカバリ
ンの発現を示す図である。
【図2A】図2Aは、A群のペプチドを用いて誘導した
CTLについての51Cr細胞傷害試験の結果を示すグ
ラフである。
【図2B】図2Bは、B群のペプチドを用いて誘導した
CTLについての51Cr細胞傷害試験の結果を示すグ
ラフである。
【図2C】図2Cは、A群ペプチドにより誘導されたC
TLの肺癌細胞LHK−2に対する51Cr細胞傷害試
験の結果を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、ペプチドR22、R49、R4
9.2、R64及びR108を用いて誘導したCTLに
ついての51Cr細胞傷害試験の結果を示すグラフであ
る。
【図3B】図3Bは、ペプチドR49、R49.2及び
R64により誘導されたCTLの肺癌細胞LHK−2に
対する51Cr細胞傷害試験の結果を示すグラフであ
る。
【図4】図4は、本発明のペプチドに対するCTL前駆
細胞(pCTL)の末梢血中での在存頻度を示すグラフ
である。
【図5A】図5Aは、UHC−9、LHK−2及び各種
モノクローナル抗体を用いた51Cr細胞傷害試験の結
果を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、リカバリン及び/又はHLA−A
24を発現する種々の標的細胞に対するUHC−9につ
いての51Cr細胞傷害試験の結果を示すグラフであ
る。
【図5C】図5Cは、リカバリン遺伝子及び/又はHL
A−A24遺伝子を導入した種々の標的細胞に対するU
HC−9についての51Cr細胞傷害試験の結果を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/06 C07K 7/06 C12N 5/06 C12N 5/00 E Fターム(参考) 4B065 AA94X AC20 BA30 BB01 BB40 BD50 CA44 4C085 AA03 BB01 CC03 CC32 EE06 FF02 FF03 FF20 GG02 GG03 GG08 4C087 AA01 AA02 BB37 DA19 DA32 MA17 MA22 MA23 MA34 MA35 MA37 MA41 MA43 MA52 MA55 MA63 MA66 NA14 ZB02 ZB21 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA15 CA50 DA86 EA22 EA28 FA34 FA41 FA58 GA25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1〜3からなる群より選ばれる
    アミノ酸配列からなり、癌細胞を標的とする細胞傷害性
    T細胞を誘導しうるペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のペプチドを含む癌ワク
    チン。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のペプチドを含む抗癌
    剤。
  4. 【請求項4】 癌細胞を標的とする細胞傷害性T細胞を
    誘導するための請求項1に記載のペプチドの使用。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のペプチドにより誘導さ
    れた細胞傷害性T細胞。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の細胞傷害性T細胞を含
    む抗癌剤。
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