JP2002312420A - ナックルステアリングの製造方法 - Google Patents

ナックルステアリングの製造方法

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JP2002312420A
JP2002312420A JP2001111709A JP2001111709A JP2002312420A JP 2002312420 A JP2002312420 A JP 2002312420A JP 2001111709 A JP2001111709 A JP 2001111709A JP 2001111709 A JP2001111709 A JP 2001111709A JP 2002312420 A JP2002312420 A JP 2002312420A
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Akira Yoshizawa
亮 吉沢
Masanori Hara
雅徳 原
Nobuyuki Osawa
伸行 大澤
Akira Mikami
昭 三上
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品の形状設計から量産までの工期を短縮す
ることができるナックルステアリングの製造方法を提供
する。 【解決手段】 製品の形状設計する工程と、鋳造方案設
計を行う工程と、型設計を行う工程と、型製作を行う工
程と、を少なくとも含むナックルステアリングの製造方
法において、製品の形状設計する工程から型製作を行う
工程までの少なくとも1つの工程において3次元の電子
化情報を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧鋳造、重力鋳
造、溶湯鍛造、または半溶融ダイカスト等の金型を用い
る金型鋳造法、または生砂、有機自硬性、無機自硬性な
どの砂型鋳造法で製造されるナックルステアリングの製
造方法に関し、詳しくは製品形状、鋳造方案、金型形
状、砂型模型形状等を決定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ナックルステアリングは、自動車のロー
ドホイールとステアリング、ブレーキ、ロアアームなど
のリンク部品とを連結する重要保安部品であり、顧客提
示の設計仕様、例えば強度、変形能、耐久条件、材料特
性や製品品質の保証が要求される。一方で、環境保全と
いう社会的ニーズから自動車の軽量化要求が高まる中、
ナックルステアリングにおいても軽量化の要請は強い。
【0003】図5はナックルステアリングの製品形状の
一例を示し、(a)は、ナックルステアリングを前記ロ
ードホイール側から見た正面図、(b)は(a)のA−
A断面である。ナックルステアリング1は、図示しない
ベアリングを介して自動車の車軸が挿入、保持されるベ
アリング部2をはじめ、周辺部品との締結部として、ロ
アアーム締結部3、ブレーキ締結部4a、4b、ストラ
ットアーム締結部5、ステアリングアーム締結部6、及
びベアリング部2と前述の各締結部3〜6をそれぞれ連
結する梁部7〜10から構成される部品である。
【0004】図3は従来のナックルステアリングの製造
方法における、顧客からの設計仕様提示(S31)から、
量産(S41)までの一般的な工程を示す。従来は図3
に示すように、まず、顧客から設計仕様がナックルステ
アリングメーカー(以下、単にメーカーと言う)に提示
される。設計仕様には、紙による2次元の製品形状図
面、周辺部品との取り付け方法や周辺部品の位置などの
干渉情報、荷重入力情報、製品の重量、強度、耐久条
件、変形能、材料特性などが含まれる。
【0005】メーカーは、前述の設計仕様を基に、材
質、工法の選定(S32)を行う。材質としては一般に
アルミニウム合金や鋳鉄などが、工法としては低圧鋳
造、重力鋳造、溶湯鍛造、半溶融ダイカストなどの金型
鋳造法、または砂型鋳造法が選ばれる。次に選定された
材質、工法を基に、製品形状の設計(S33)を行う。
【0006】製品形状設計(S33)には、力学的計算
手法、或は発泡ウレタンモデルによる鋳物設計手法が用
いられる。力学的計算手法は、例えば図5に示すナック
ルステアリング1の場合、ベアリング部2とロアアーム
締結部3、ブレーキ締結部4、ストラット締結部5、及
びステアリングアーム締結部6間を連結する梁部7〜1
0それぞれを、2次元図面上で作図を行い、周辺部品と
干渉しないように梁部の経路や断面形状を大まかに決
め、次に材料強度面、例えば曲げ荷重の場合は、断面2
次モーメントなどを計算して各梁部に発生する応力が、
選定した材質、工法における許容範囲内であるように設
計している。
【0007】また、発泡ウレタンモデルによる鋳物設計
手法は、形状設計された製品形状と同一、または相似縮
小したモデルを、発泡ポリウレタンから製作し、そのモ
デルの所望の部位に抵抗線ひずみゲージを貼り付けた
後、モデルに実際の製品が負荷を受ける部位に対応する
位置に荷重をかけ、ひずみ量を測定することにより、実
際の製品における概略の応力分布を推定する手法であ
る。(「鋳物 第57巻(1985) 第8号 p.485−
489」)この手法でも、発生する応力が選定した材
質、工法における許容範囲内であるように設計してい
る。
【0008】次に、メーカーは設計の完了した製品形状
を、紙の2次元図面に製図した後、顧客に提示する。顧
客は、メーカーの提示した製品形状が設計仕様を満足す
るか否かを判断し、製品製作の可否を決定し、その結果
をメーカーに通知する。
【0009】メーカーは、顧客からの製作可の承認を得
た後、2次元図面を基に鋳造方案設計(S34)を行
う。鋳造方案設計(S34)では、製品形状図面より、
見切り面の位置、中子による中空部の形成部位、湯道・
押湯・堰の形状、寸法、位置などを検討して鋳造方案を
設計し、2次元の鋳造方案図面を作成する。
【0010】試作型設計(S35)では、まず製品の粗
材形状を決定する。2次元の製品形状図面と前述の工程
(S34)で設計した見切り面を基に、伸尺、抜け勾配
が付与されると共に、加工部位に対する加工代などが加
えられ、製品の粗材形状が決定される。中子により中空
部を形成する場合には、中子、及びその巾木に対する伸
び尺、抜け勾配の設計、主型と中子間のすき間も設計さ
れて、2次元の粗材形状図面を作成する。尚、通常、試
作型は1個しか製作されないので前述の鋳造方案設計
(S34)及び試作型設計(S35)は1つの製品単位
の模型を対象に設計される。
【0011】次に、鋳造方案図面と粗材形状図面を基に
鋳造用の試作型製作(S36)を行う。工法が砂型鋳造
法の場合は一般的に材質が木材からなる模型(木型)を
製作する。木型は鋳造方案図面と粗材形状図面を基に、
木工機械や木工工具を用いて手作業で製作される場合が
多く、工期がかかる作業である。試作型のうち、湯道・
押湯・堰の鋳造方案部分は、後述する試作(S37)の
結果によっては、鋳造欠陥対策のため、変更する場合も
あることから別体で製作される場合がほとんどである。
【0012】また、量産(S41)の工法が金型鋳造法
の場合であっても、金型は、(1)金型粗材の調達、後
述する倣い模型の製作などが必要になるため、木型より
製作期間が長くなる。(2)後述する試作品評価(S3
8)の結果、鋳造方案設計(S34)や型設計(S3
5)に変更が生じた際、金型での形状修正は困難であり
手間がかかる。などの理由から試作の工程(S37)で
は木型を用いて試作品を製作することが多い。
【0013】試作(S37)は、製品形状と鋳造方案部
を、前述の試作型から鋳型(砂型)に転写した後、所望
の合金成分の溶湯を注湯、溶湯が凝固・冷却後、鋳造方
案部を除去、鋳仕上して、鋳造粗材を得る。その後、必
要に応じて熱処理や機械加工が施され、試作品が完成す
る。
【0014】試作品評価(S38)は、試作品が設計仕
様を満足しているかどうかを確認するために実施され
る。具体的には、外観検査、寸法検査、内部欠陥検査、
強度試験、耐久試験などから、引張強度、圧縮強度、曲
げ強度、衝撃強度などの材料特性や、防錆試験など機能
面の評価を行うことで、設計仕様を満足しているかを確
認する。試作品評価(S38)の結果、試作品が設計仕
様を満たす場合には、量産型の設計(S39)に進む。
【0015】量産型設計(S39)は、まず工法や製品
の生産量などにより量産型材質を決定する。ナックルス
テアリングのような部品の場合、生産量が多いため、量
産型に木型を使用すると、鋳型造型時の砂の流動により
模型が磨耗し、比較的短期間で、でき上がった製品の寸
法精度が低下する。従って砂型鋳造法の場合であって
も、量産型としては金型が使用されることが多い。ま
た、量産においては、一定時間あたりの生産数量を増加
させて製品の製造コストを下げるため、砂型造型機の鋳
枠サイズに応じて1つの製品単位の模型を多数個配置す
る。この時に、設計担当者と量産担当者が、試作品評価
(S38)の結果と、過去の経験と勘により、多数個の
模型の配置、これに適した湯道・押湯・堰などの鋳造方
案、中子の幅木の配置などを検討、決定する。さらに抜
け勾配、伸び尺が付加された後、紙による2次元の量産
型図面が作成される。
【0016】また、量産に金型鋳造法を用いる場合に
は、砂型鋳造法で実施する模型の配置、鋳造方案、中子
の幅木に加えて、金型の分割方法、入子の有無やスライ
ド方向、金型を構成する部品同士のクリアランス、及び
凝固順序を制御するための空気、水、水蒸気などの冷却
媒体による冷却部位、冷却部品の構造などが設計され
る。設計が完了すると、金型組立図面や金型部品図面な
どの紙による2次元の量産型図面が作成される。
【0017】次に、量産型製作の工程(S40)では、
前述の2次元の量産型図面を基に機械加工などにより金
型部品を製作、組上げて金型が完成する。機械加工の方
法としては、例えば、2次元の量産型図面から、まず木
材などで倣い模型を製作した後、倣いフライス盤を用い
て、倣い模型に沿うように加工工具を動かしながら加工
する倣い加工法などがある。量産型製作が完了すると、
これを用いて量産(S41)が開始される。
【0018】鋳物の製造方法としては、本出願人は、特
開平11−151553号公報において、(1)製品部
および方案部の形状を3次元CADデータとする工程、
(2)前記3次元CADデータにより前記製品部が健全
となるまで凝固解析を繰り返して前記3次元CADデー
タを更新する工程、(3)製品部が健全となる前記3次
元CADデータにより、迅速造型装置(ラピッドプロト
タイピング装置)を制御して鋳造用模型を作製する工
程、を含む鋳造用模型の作製方法と、この鋳造用模型を
用いて得られる鋳物の製造方法を開示している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】最近の自動車メーカー
での新車開発期間は大幅に短縮されており、当然車両を
構成する部品の一つであるナックルステアリングに対し
ても、部品単体での短期間での開発、即ち量産開始に至
るまでの開発期間の短縮が求められていた。しかし、上
述したように、ナックルステアリングの開発期間は、顧
客の設計仕様提示から量産開始までの工程が多く、また
工程毎の工期も長期間を要すため、量産開始に至る全工
程でみると、例えば半年にもおよぶ長期間を要すること
となり、自動車メーカーの新車開発のスケジュールに間
に合わないという問題が生じることもあった。
【0020】以下、従来のナックルステアリングの製造
方法の問題点を詳述すると、まず製品形状設計の工程
(S33)では、力学的計算手法は手計算によるため、
時間を要す。また、単純支持梁などの簡易な手法を用い
るため、複雑な製品形状の場合では計算できず、設計者
の経験と勘で設計することとなるため、最適な製品形状
設計が困難であった。
【0021】また、発泡ウレタンモデルによる鋳物設計
手法では、モデルの製作は手作業による削り出しのた
め、削り出しの工期に約1週間、ひずみ量を測定するた
めのひずみゲージの貼り付け作業が数日、実験実施と応
力分布を推定するのに1週間を要す。従って、モデルの
製作開始から応力分布を得るためには少なくとも2週間
以上、平均で3週間を要するため、開発期間短縮の障害
となっていた。また、発泡ウレタンモデルによる設計手
法で得られた製品形状はモデルという実体としてしか存
在しないため、その形状を後述する工程での設計や試作
品製作などに利用するには、モデルの形状測定を行った
後、2次元の製品図面を作成することが必須となり、こ
こでも約1週間の工期を要する。このように、従来の製
品形状設計(S33)では、最適形状の設計が難しく、
設計に要する工期も平均で約1ヶ月、複雑形状の製品の
場合、それ以上の長期にわたる問題があった。
【0022】鋳造方案設計の工程(S34)では、過去
に設計した類似形状製品の鋳造方案を、記録ファイルな
どから参照して進められるが、ナックルステアリングの
ように複雑な製品の鋳造方案設計は、標準化が困難な工
程であり、一般的には、設計担当者の経験と勘により鋳
造方案が決定される。当然事前検討がなされるが、机上
の検討には限界があり、必ずしも最適な鋳造方案設計に
なっておらず、後述する試作の工程(S37)で、予測
していなかった鋳造欠陥が発生して設計仕様を満足する
試作品が得られないこともあった。
【0023】また、軽量化の要請に応えて、薄肉化・軽
量化設計を実施したナックルステアリングを鋳造法で製
造する場合、軽量化のために生じた薄肉の部分を多く有
することや、薄肉部と厚肉部との肉厚差が大きくなるた
め鋳造欠陥が発生しやすくなる。従って薄肉化・軽量化
設計を実施したナックルステアリングの場合、従来の経
験と勘による鋳造方案設計では、より設計仕様を満足す
る試作品の製造が困難であった。鋳造方案設計(S3
4)が不適切で設計仕様を満足する試作品が得られない
場合、再度鋳造方案設計をやり直すこととなり、開発期
間短縮の障害となっていた。
【0024】試作の工程(S37)で実施する鋳造粗材
の機械加工においては、事前に2次元の製品形状図面、
鋳造粗材の材質、加工条件から加工工具の材質、形状な
どが選定される。またナックルステアリングのように複
雑な製品の場合、市販の加工工具のままでは、加工中に
加工工具の切削部以外の部分が鋳造粗材と接触して、製
品の加工寸法精度や加工面粗さを低下させたり、加工工
具が折損することがある。従って市販の加工工具を、2
次元の製品形状図面に基いて製品形状を考慮して、形状
を変更した専用の加工工具が製作される。加工工具の選
定や専用の加工工具の製作には熟練が要求され、加工担
当者の経験と勘に頼っていた。加工工具の選定や専用加
工工具の形状に不備があると、加工中に加工工具が鋳造
粗材と接触して、前述の不具合を生じるため、加工工具
の再調達、再製作、及び再加工を招き工期を遅延させる
原因のひとつになっていた。
【0025】試作品評価(S38)では、外観検査、寸
法検査、内部欠陥検査、強度試験、耐久試験、防錆試験
などから材料特性や機能面の評価が行われる。このうち
寸法検査は工程(S38)の中では長期間を要し、かつ
高度な測定技能を要求される工程の一つであった。寸法
検査は、試作品表面の寸法測定の必要な部位に罫書線を
加筆し、ノギス、キャリパス、マイクロメータなどの計
測機器で罫書線間の寸法を測定するか、試作品を3次元
測定器に載置して必要な寸法を測定した後、試作品の寸
法測定値と2次元の製品形状図面の寸法(設計仕様)を
比較・照合し寸法の合否を判定する。寸法検査は人手に
よる手作業のため長時間を要し、また測定誤差や測定ミ
スにより合否判定を誤ると製品の寸法精度を低下させる
こともあった。
【0026】試作品評価(S38)の結果、設計仕様を
満たさない場合には、これを満足するために必要な工
程、即ち材質及び工法の選定(S32)、製品形状設計
(S33)、鋳造方案設計(S34)、型設計(S3
5)のいずれかの工程、または複数の工程へ戻って、再
設計を実施するいわゆる工程の手戻り(L11)が発生
することとなり、さらに多くの工期を要するという問題
があった。通常、工程の手戻り(L11)は工程の上流
に戻るほど、全体の工期を遅延することとなる。
【0027】量産型設計(S39)では、工程(S3
4)の2次元の鋳造方案図面、工程(S35)の2次元
の粗材形状図面を基に3次元の金型をイメージしながら
設計するので、特に金型鋳造法では金型製作の際に、金
型部品同士の干渉など人為的なミスが発生することも多
く、後述する量産型製作(S40)の工期が延びること
があった。
【0028】量産型製作(S40)では、初めに倣い模
型を製作するため、量産型の製作の工期を短縮するのは
困難であった。また、倣い模型を使っての量産型の製作
は、(1)倣い模型作製時、モデル反転の繰り返しのた
め、反転誤差が累積する。(2)手作業が多く、模型製
作者の熟練度により、図面寸法に対して誤差が生じる。
ことから寸法精度が低く、量産型の寸法検査の結果を基
に人手による修正を要していた。このため量産型製作
(S40)の工期はさらに延びる結果となっていた。
【0029】また、特開平11−151553号公報に
開示されている鋳物の製造方法においては、設計仕様を
満足する最適な製品形状設計まで含めた鋳物の製造方法
についての開示、または示唆はない。製品形状を3次元
CADデータで作成しても、最適な形状設計がなされて
いないと、試作において設計仕様を満足する試作品を得
ることは困難である。鋳物の製造方法では基本となる製
品形状(設計仕様を満足する)が上流で確定しないと、
製品形状設計への工程の手戻りが発生し、鋳造方案設
計、鋳造用模型の製作、試作を繰り返すこととなり工期
を短縮できない。
【0030】図4に、従来のナックルステアリングの製
造方法における設計仕様提示から量産開始までの開発期
間の平均工期の一例を、金型鋳造法と砂型鋳造法に分け
て示す。金型鋳造法の平均工期(M2)は228日(約
7.5ヶ月)、図示しない最短工期で150日(5ヶ
月)を要していた。また、砂型鋳造法の平均工期(S
2)は170日(約5.7ヶ月)、図示しない最短工程
で105日(3.5ヶ月)を要していた。金型鋳造法の
平均工期(M2)、砂型鋳造法の平均工期(S2)とも
に、試作品評価後、1回目の工程の手戻り(207a)
で36日、2回目の工程の手戻り(207b)で30
日、合計66日の長い工期を要していた。
【0031】本発明の目的は、上記課題を鑑みて、設計
仕様の提示から量産までの開発期間を大幅に短縮するこ
とができるナックルステアリングの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、製品の形状設計する工程と、
鋳造方案設計を行う工程と、型設計を行う工程と、型製
作を行う工程を少なくとも含むナックルステアリングの
製造方法において、製品の形状設計する工程から型製作
を行う工程までの少なくとも1つの工程において、3次
元の電子化情報を用いることを特徴とする。
【0033】請求項2の発明は、請求項1に記載のナッ
クルステアリングの製造方法において、製品の形状設計
に、3次元の電子化情報を用いることを特徴とする。
【0034】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2に記載のナックルステアリングの製造方法において、
鋳造方案設計に、3次元の電子化情報を用いることを特
徴とする。
【0035】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
何れかに記載のナックルステアリングの製造方法におい
て、型設計及び型製作に、3次元の電子化情報を用いる
ことを特徴とする。
【0036】請求項5の発明は、製品の形状設計する工
程と、鋳造方案設計を行う工程と、型設計を行う工程
と、型製作を行う工程を少なくとも含むナックルステア
リングの製造方法において、製品の形状設計する工程か
ら型製作を行う工程までの全ての工程において、3次元
の電子化情報を用いることを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態の一例
に基づいて詳述する。図1は、本発明のナックルステア
リングの製造方法の工程を示す。図2は本発明の製造方
法における設計仕様提示から量産開始までの工期の一例
を、金型鋳造法と砂型鋳造法に分けて示す。また、本実
施の形態では顧客が製品形状の3次元の電子化情報(便
宜的に、顧客が提示する第1の製品形状の3次元データ
と云う。)を提供する場合と、しない場合があるので、
各々の場合について以下詳述する。
【0038】初めに、顧客が3次元データを提供しない
場合には、製品形状設計をメーカーが行う。この場合、
まず顧客がメーカーにナックルステアリングの設計仕様
を提示する(S11)。設計仕様にはナックルステアリ
ングの紙による2次元の製品形状図面、周辺部品との取
り付け方法や周辺部品の位置などの干渉情報、荷重入力
情報、製品の重量、強度、耐久条件、変形能、材料特性
などが含まれる。メーカーは前述の設計仕様から従来同
様に材質と工法の選定(S12)を行う。
【0039】次に、メーカーは材質、工法に応じた概略
の製品形状設計の工程(S13)に進む。工程(S1
3)では、工期短縮の目的で、例えば、本出願人が特願
平11−296189号で提案した構造部材設計支援シ
ステムなどを用いて、製品を構成する点や線の情報など
から構成される概略の製品形状の3次元データ(異種C
AD間の3次元データ交換を目的としたiges形式デ
ータ、STEP形式データなどのいわゆるワイヤーフレ
ームからなる3次元データ)を自動生成させる。構造部
材設計支援システムは、例えばナックルステアリングの
各荷重入力点の位置や入力荷重、荷重入力点における締
結部品の形状の3次元データ、周辺部品との干渉情報、
製品に発生する最大許容応力などの必要情報を入力する
だけで、コンピュータにより干渉領域を避けた製品形状
を自動生成するものである。この工期は、設計仕様提示
から1日以内、早ければ半日以内に実施可能である。
【0040】次に、製品形状の3次元ソリッドデータ作
成の工程(S14)に進む。工程(S14)では、後述
する詳細な製品形状設計の工程(S15)から試作型製
作の工程(S20)、及び量産型設計の工程(S2
3)、量産型製作の工程(S24)で使用可能な製品形
状の3次元ソリッドデータを、前述した概略の製品形状
の3次元データに含まれる点、線の情報を参照しなが
ら、CADなどの3次元モデリング手段を使って、ワイ
ヤーフレームの3次元データの表面に面を張ることによ
り、製品形状の3次元ソリッドデータ(便宜的に、第1
の製品形状の3次元ソリッドデータと云う。)を作成す
る。前述した概略の製品形状の3次元データの点、線の
情報を利用できるので、従来の2次元の製品図面から設
計するよりも効率よく、第1の製品形状の3次元ソリッ
ドデータを作成できる。図2に示すように、工程(S1
3)から工程(S14)まで7日の工期で実施できる。
【0041】一方、顧客が製品形状の3次元の電子化情
報、即ち、前述した第1の製品形状の3次元ソリッドデ
ータを提供する場合、メーカーはこれをそのまま使用す
ることにより、前述の工程(S13)及び工程(S1
4)を省略して、次の詳細な製品形状設計の工程(S1
5)に進むことができる。実質的にはデータ電送、デー
タ授受確認などを含めて数時間以内の工期で第1の製品
形状の3次元ソリッドデータを受け取り可能であり、メ
ーカーが前述の工程(S13)〜(S14)を実施する
のに較べて6日以上の工期短縮となる。
【0042】その場合の情報のやりとりとしては、デジ
タル伝送手段を用いると良い。例えば、インターネット
の顧客ホームページ上に設けられた試作発注窓口を経由
すると良い。このような窓口はセキュリティのために、
その顧客が取引先と認めるメーカーに暗証番号等が付与
され、その暗証番号を付与されたメーカーのみしかその
窓口にはアクセス出来ないような仕掛けが施されてい
る。そのホームページの窓口を通じて、顧客がナックル
ステアリングの設計仕様、必要予定数量とともに、3次
元の電子化情報、即ち第1の製品形状の3次元ソリッド
データを提示すると、メーカーは価格、量産までの納期
等を顧客に連絡し、顧客は各メーカーの提案の中から、
最適なものを選択し、試作または量産の発注を行うこと
が出来る。また、顧客とメーカー間で専用回線を用い
て、電送しても良く、単にFD、MO等の記録媒体を用
いても良い。
【0043】次に詳細な製品形状設計の工程(S15)
が実施される。工程(S15)では、第1の製品形状の
3次元ソリッドデータから設計仕様、例えば製品の耐久
条件、重量などを満足するかどうかが確認され、必要に
応じて形状変更が加えられる。例えば、製品の重量は、
CADの体積計算機能を利用して、製品形状の3次元ソ
リッドモデルの体積、選定した材質の密度から算出でき
る。また、各梁部の断面形状や断面積の決定には、CA
Dの計測機能を利用して断面形状、断面積を求め、それ
らを入力データとして従来技術の簡易計算法の計算原理
に沿って表計算ソフトなどを利用して製品各部に発生す
る応力を算出させて、製品各部に発生する応力が設計仕
様を満足するように設計する。この工程(S15)で作
成される3次元の電子化情報を、第2の製品形状の3次
元ソリッドデータとする。
【0044】詳細な製品形状は、CAD、CAM、或は
簡易の3次元モデルビューアなどの3次元情報を表示す
るソフトウエアを用いて立体的に視覚で確認する。好ま
しくは、前述の製品形状の3次元ソリッドデータを用い
て、迅速造型装置(ラピッドプロトタイピング)によ
り、製品の原寸大、相似縮小/拡大、或はその一部分の
みのモデルを製作して確認する。モデルによる確認の場
合、CADなどの表示手段で見落としがちな中空部分な
ど内部の形状、肉厚、形状を構成する平面や曲面の結合
状態などが設計者の意図どおりに作成されたかどうかを
視覚の他、手で触れて触覚により確認することができ
る。従って、例えば試作の工程(S21)まで実施した
後に形状設計ミスを発見するといったことが防止できる
ので、設計ミスの修正に要する工程の手戻りの期間を短
縮できる。
【0045】迅速造型装置によるモデルの製作は、光硬
化樹脂をレーザで硬化させる光造形法、粉末塗布層にバ
インダを滴下して所定形状物を得る粉末インクジェット
法などを利用することができる。粉末インクジェット法
は、現有の迅速造型装置の中では最も造型時間が短い造
型方法である。ナックルステアリングの場合、造形時間
は最長1日以内、相似縮小、或は一部分のみのモデルで
あれば数時間で、中実、中空形状を含む複雑なモデルを
製作できる。迅速造型装置によるモデルは後述する鋳造
方案設計(S17)、試作型設計(S19)、試作型製
作(S20)、量産型設計(S24)の工程においても
製品形状の修正個所をモデルで確認し、設計ミスを防止
するために必要に応じて利用できる。
【0046】次に、強度解析による検証の工程(S1
6)に進む。工程(S16)では、工程(S15)の第
2の製品形状の3次元ソリッドデータを利用して、小さ
な4面体または6面体形状の要素に分割して、強度解析
用3次元モデルを作成する(例えば、株式会社養賢堂発
行、矢川元基編、計算力学[1]新しい応用と展開、2
53〜254ページ)。この強度解析用3次元モデルを
用いて有限要素法により強度解析が実施される。例え
ば、設計仕様で提示された製品への荷重入力情報、締結
部品情報などを与えてコンピュータ解析することにより
荷重入力時に製品に発生する応力やひずみの分布、或は
その最大値や最小値を予測して、設計仕様を満足するか
否かを検証する。第2の製品形状の3次元ソリッドデー
タから、自動或は半自動で要素を分割するので、強度解
析用3次元モデルの作成時間が大幅に短縮できる。工程
(S16)の工期は、強度解析用3次元モデル作成で半
日〜1日、強度解析で2日以内である。
【0047】強度解析結果を検討し、設計仕様を満たす
のであれば次の鋳造方案設計の工程(S17)に進む。
設計仕様を満たさなければ、再度、詳細な製品形状設計
(S15)に戻って、第2の製品形状の3次元ソリッド
データを修正し、強度解析による検証(S16)を行う
というループ(L1)を繰り返す。通常、このループ
(L1)は2〜3回程度であり、平均して、約10日の
工期で設計仕様を満足する最適な形状(即ち、第2の製
品形状の3次元ソリッドデータ)を見出すことができ
る。また、市販の形状最適化ソフト(例えば、(株)ク
イント社のOPTISHAPE)を利用すれば、工程
(S15)と工程(S16)のループ(L1)を自動で
実行して、最適形状の第2の製品形状の3次元ソリッド
データを得ることもできる。ループ(L1)の自動化に
より、さらに工期を5日以内(前述の半分)に短縮する
ことも可能である。
【0048】次に、メーカーは、第2の製品形状の3次
元ソリッドデータと強度解析結果を前述の電送などの手
段を用いて顧客に送付する。顧客は、メーカーの提示し
た第2の製品形状の3次元ソリッドデータ形状と強度解
析結果とを評価し、設計仕様を満足するか否かを判断
し、製品製作の可否を決定し、その結果をメーカーに通
知する。顧客が製品製作を承認しない場合、メーカーは
再度詳細な製品形状設計(S15)と強度解析による検
証(S16)のループ(L1)を繰り返し実施する。
【0049】メーカーは、顧客からの製作可の承認を得
た後、鋳造方案設計の工程(S17)に進む。工程(S
17)では、第2の製品形状の3次元ソリッドデータに
中空部がある場合、中子で中空化する部分と中空化しな
い部分(機械加工による孔加工部など)を決定する。中
空化しない部分、例えば図5に示したストラット締結部
の孔5aなど周辺部品との締結部の取り付け孔は中実化
される。さらに、機械加工が必要な部位への加工代が付
加される。ここで作成される製品の3次元情報は鋳造粗
材としての形状となり、これを第3の製品形状の3次元
ソリッドデータとする。
【0050】次に、この第3の製品形状の3次元ソリッ
ドデータを基に、製品の鋳造時の鋳込み姿勢を決定した
後、上下方向、或は左右方向に型を分離できる位置、及
び中子の幅木が設置可能な部位に、平面及び曲面から構
成される3次元の見切り面データを作成する。この3次
元の見切り面データを参照しながら、(1)中子の幅
木、位置、大きさ、形状(中子を用いる場合)、(2)
湯道の断面積、形状、配置、(3)堰の断面積、形状、
製品への取り付け位置、(4)押湯の体積、形状、位置
を検討し、3次元CADを用いて3次元ソリッドデータ
を作成する。工程(S17)では、(1)から中子の3
次元ソリッドデータを、(2)乃至(4)から鋳造方案
の3次元ソリッドデータを作成する。
【0051】次に、鋳造解析による検証(S18)で
は、工程(S17)で設計した鋳造方案で、製品表面の
欠肉・湯境、引け巣などの鋳造欠陥が発生するか否かを
検証する。工程(S17)で作成された第3の製品形状
の3次元データ、鋳造方案の3次元ソリッドデータ、及
び中子の3次元ソリッドデータを、市販の自動メッシュ
分割ソフト(例えば、EKK社製の「KENT」)を利
用して、多面体形状メッシュなどの微小要素に分割して
鋳造解析用の3次元モデルを作成する。自動メッシュ分
割ソフトの利用により、鋳造解析用の3次元モデル形状
を1日以内で精度良く作成できる。
【0052】その後、鋳造解析として、湯流れ解析、凝
固解析、引け巣量予測解析などが有限要素法などを利用
して実施される。湯流れ解析は、鋳型内における溶湯の
充填挙動を可視化し、その可視化した溶湯の充填挙動、
充填中の溶湯温度分布から製品表面の欠肉、湯境などの
発生を事前に予測する。凝固解析は、鋳型内に充填され
た溶湯の凝固過程を可視化して、孤立した未凝固部(い
わゆるホットスポット)の発生を予測する。また、引け
巣量予測解析は、ダルシーモデルにより凝固収縮と溶湯
中に含まれる過飽和ガス量の放出量と、凝固時の密度変
化を考慮に入れて、ガス気泡や引け巣量を定量的に数値
解析する。引け巣量予測解析によれば凝固過程で黒鉛膨
張を伴う鋳鉄のような合金などの引け巣が予測できる
(例えば、株式会社養賢堂発行、矢川元基編、計算力学
[1]新しい応用と展開、244ページ)。鋳造解析
は、近年多くの解析ソフトが市販されており、目的に合
わせて適切な市販ソフトを選定、利用できる。
【0053】鋳造解析結果を検討し、製品表面の欠肉・
湯境、内部の引け巣等の発生が予測されない、または予
測されても設計仕様を満足する、即ち発生程度が許容限
度内であれば、次の工程(S19)に進み、その発生程
度が許容限度以上に認められる場合には、設計仕様を満
足するまで再度、工程(S17)、或は工程(S15)
まで戻って各工程での再設計を行う。工程(S15)ま
で戻った場合には、工程(S16)を再度行う。然る
後、再度鋳造解析による検証(S18)を行うというル
ープ(L2)を繰り返す。ループ(L2)を繰り返すこ
とで、設計仕様を満足する最適な第3の製品形状の3次
元データ、鋳造方案の3次元ソリッドデータ、及び中子
の3次元ソリッドデータを見出すことができる。図2に
示すように、前述の鋳造方案設計と鋳造解析による検証
の工期は、平均で10日、図示しない最短で7日であ
る。
【0054】次に試作型設計(S19)を行う。工程
(S18)までに得られた第3の製品形状の3次元ソリ
ッドデータ、鋳造方案の3次元ソリッドデータ、及び中
子の3次元ソリッドデータを、工程(S17)で得られ
た3次元の見切り面データを用いて各ソリッドデータご
とに、それぞれ個別に分割する。ここで云う分割とは、
例えば、試作型を上下に分割する場合、3次元の見切り
面データを境界とし、これより上部が上型に、下部が下
型となり、上型、下型それぞれの3次元ソリッドデータ
が作成される。この上型、下型の3次元ソリッドデータ
に鋳造に必要な抜け勾配、角R、隅R、伸び尺等の3次
元情報を付加して、粗材形状の3次元ソリッドデータが
作成される。
【0055】次に、粗材形状の3次元ソリッドデータを
用いて、試作型をNC加工機で製作する際に必要な、3
次元の加工用ツールパス、即ち、送り方向、送り速度、
切り込み量などの情報を含む試作型製作用3次元データ
を作成する。試作型設計(S19)の工期は、工程(S
17)で作成した3次元情報を利用することにより、平
均で5日、最短で3日となり、図3に示す従来の試作型
設計(S35)の工期に較べて半減する。
【0056】試作型製作(S20)の工程では、前述の
試作型製作用3次元データを電装媒体、FD・MOなど
の記録媒体を用いてNC加工機へ伝達した後、NC加工
機で切削加工により試作型が製作される。工程(S1
9)及び工程(S20)において、粗材形状の3次元ソ
リッドデータを用いたとしても、試作型製作用3次元デ
ータの作成には数時間〜数十時間を要する場合がある。
従って、試作型の全体、或は一部分について、試作型製
作用3次元データを作成せずに、粗材形状の3次元ソリ
ッドデータから直接、前述の迅速造型装置を用いて試作
型を製作しても良い。迅速造型装置で試作型を製造する
と、試作型製作の工期は機械加工よりも短縮され、2日
〜3日になる。
【0057】次に試作の工程(S21)で試作品の鋳
造、鋳仕上、製品の機械加工が実施される。本発明で
は、この製品の機械加工にも、前述した粗材形状の3次
元ソリッドデータが利用できる。粗材形状の3次元ソリ
ッドデータには加工部位、加工形状、加工代など製品の
機械加工に必要な情報が含まれるので、予めこの粗材形
状の3次元ソリッドデータを基に、試作品の鋳造粗材の
材質、加工条件に最適な加工工具の材質、形状などが選
定される。さらに製品形状を考慮して形状を変更した専
用の加工工具が製作される。加工工具の選定や専用の加
工工具の製作は、従来の2次元の製品形状図面から粗材
形状の3次元ソリッドデータに基いて行われるので図面
の解読ミスに起因する、例えば、加工中に加工工具が鋳
造粗材と接触して、製品の加工寸法精度や加工面粗さを
低下させたり、加工工具が折損する不具合がなくなるの
で工期短縮につながる。
【0058】次に試作品評価の工程(S22)では、試
作品の重量、強度、耐久性能、変形能、材料特性、製品
の寸法などが設計仕様を満たしているか否かの評価が行
われる。工程(S22)のうち寸法検査では、工程(S
15)で作成した第2の製品形状の3次元ソリッドデー
タが利用可能である。例えば、レーザー光などを利用し
た市販の3次元計測システムを利用して、製品各部の寸
法を測定し、さらにその測定データを3次元データへ変
換するソフトウエアを利用して、3次元の製品の寸法測
定データを作成する。3次元の製品の寸法測定データ
は、第2の製品形状の3次元ソリッドデータと比較・照
合され、製品寸法に対する寸法差(ズレ)が自動算出さ
れる。次に寸法差が設計仕様の寸法公差の許容範囲であ
るか否かを判定する。このように、寸法検査の自動化に
より、工程(S22)の工期が短縮される。
【0059】また、本発明のナックルステアリングの製
造法によれば、試作の工程(S21)以前の工程(S1
5)〜工程(S19)で、3次元電子化情報を利用した
十分な事前検討を実施していることから、鋳造品の試作
を初めて行う場合でも1回で設計仕様を満足する製品を
得る確率が高い。仮に、設計仕様を満足せず、前述の工
程(S15)〜工程(S19)のうち1つ、或は複数の
工程に戻る場合でも、前述のそれぞれの工程で作成した
3次元の電子化情報を利用できるので、短期間、かつ容
易に設計仕様を満たす製品形状を得ることが可能であ
る。例えば、図2に示すように、工程の手戻り(L3)
が発生した場合の工期は20日となり、図4の従来の工
期での1回目の工程の手戻り(207a)36日、2回
目の工程の手戻り(207b)30日、合計66日に較
べて、約1/3に工期が短縮される。
【0060】次に量産型設計の工程(S23)に進む。
まず、砂型鋳造法の量産型の設計は、工程(S19)で
作成した粗材形状の3次元ソリッドデータに含まれる製
品形状部、及び中子の幅木部(中子を用いる場合)を鋳
枠内に複数個配置した3次元データが作成される。この
作業には、CAD、またはCAMの複写、移動、回転、
反転などの機能が使用できるので、要する工期は数時間
以内である。次に、工程(S17)で設計した、1つの
製品単位の鋳造方案の3次元ソリッドデータを利用し
て、1つの鋳型で複数個の製品を鋳造するために必要な
湯道、堰の断面積、押湯の必要な体積を算出し、それぞ
れの形状を決定し3次元ソリッドデータを作成する。作
成した3次元ソリッドデータを、工程(S17)で作成
した3次元の見切り面データで分割すれば、量産型の湯
道、堰、押湯からなる量産型の鋳造方案の3次元ソリッ
ドデータが作成される。最後に、作成した量産型の鋳造
方案の3次元ソリッドデータと前述の鋳枠内に複数個配
置した3次元データ(製品部及び中子の幅木部)を合体
して、量産型の3次元ソリッドデータが完成する。
【0061】金型鋳造法での量産型の設計は、工程(S
17)の第3の製品形状の3次元ソリッドデータを利用
して、3次元CADなどの3次元モデリング手段により
設計される。砂型鋳造法の量産型設計と同様に、製品の
配置、湯道・押湯・堰などの鋳造方案や中子の幅木の設
計に加えて、金型の分割方法、入子の有無やスライド方
向、金型を構成する部品同士のクリアランス、及び凝固
順序を制御するための空気、水、水蒸気などの冷却媒体
による冷却部位、冷却部品の構造などが設計され、量産
型の3次元ソリッドデータが完成する。
【0062】これらの設計には、製品毎の金型に共通し
ている構造の部分を、金型の主要形状部として標準部品
化して、3次元CADなどに標準化部品の3次元ソリッ
ドデータとして登録することにより、量産型の設計時に
この標準化部品の3次元ソリッドデータを組み合わせて
利用すると、量産型設計の工期をさらに短縮できる。
【0063】砂型鋳造法及び金型鋳造法、何れの場合
も、量産型の3次元ソリッドデータを用いて、試作型設
計(S19)同様、3次元の加工用ツールパスを含む量
産型製作用3次元データが作成される。
【0064】図2、図4を比較すると、本発明による量
産型設計(S23)は、従来の量産型設計(S39)に
比較して1/2の工期になり、砂型鋳造法の平均工期で
5日、図示しない最短工期で3日、また、金型鋳造法の
平均工期は12日、図示しない最短工期で8日となる。
【0065】量産型製作(S24)では、試作型製作の
工程(S19)と同様の手順で、量産型製作用3次元デ
ータを利用して、NC加工機などの工作機械で加工が施
される。本発明によると、工程(S24)の工期は、砂
型鋳造法の平均工期は5日、図示しない最短工期で3
日、金型鋳造法の平均工期は45日、図示しない最短工
期で30日である。その後、完成した、量産型を用いて
量産(S25)が開始される。
【0066】本発明のナックルステアリングの製造方法
により、顧客からの設計仕様の提示から量産開始までの
開発期間は、金型鋳造法の平均工期(M1)125日
(約4ヶ月)、図示しない最短工期80日(約2.6ヶ
月)、砂型鋳造法の平均工期(S1)80日(約2.6
ヶ月)、図示しない最短工期50日(1.6ヶ月)とな
り、何れの工法でも従来の開発期間を半減することがで
きた。
【0067】以上、本発明の実施の形態では、メーカー
が顧客から設計仕様の提示を受けた場合のナックルステ
アリングの製造方法について説明したが、本発明はこれ
に限定されるものでなく、例えば、自動車メーカー(顧
客)が自社内で設計仕様の決定から量産まで行う場合も
実施可能である。さらには、概略の製品形状設計(S1
3)から量産型製作(S24)の何れか1つの工程毎
に、自動車メーカーを含む複数のメーカーが、3次元の
電子化情報を用いて、デジタル伝送手段、或は記録媒体
を利用して、分業の形で実施することも可能である。こ
のように本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して
の実施が可能である。
【0068】
【発明の効果】本発明のナックルステアリングの製造方
法によれば、従来の製造方法に較べて、その製造工程で
3次元の電子化情報を用いて(1)図面作成工程を省く
ことができる。(2)製品形状の3次元ソリッドデータ
作成の工程以降は、前工程の3次元の電子化情報の部分
修正、追加のみで設計が可能になる。(3)特に強度解
析及び鋳造解析による検証で事前検討を実施しているこ
とから、ナックルステアリングの設計仕様の提示から量
産までの開発期間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナックルステアリングの製造方法の工
程を示す図である。
【図2】本発明のナックルステアリングの製造方法にお
ける開発期間の平均工期を示す図である。
【図3】従来のナックルステアリングの製造方法の工程
を示す図である。
【図4】従来のナックルステアリングの製造方法におけ
る開発期間の平均工期を示す図である。
【図5】本発明の製造方法に係るナックルステアリング
の製品形状の一例を示す図であり、(a)は正面図、
(b)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
1:ナックルステアリング 2:ベアリング部 3:ロアアーム締結部 4:ブレーキ締結部 5:ストラット締結部 6:ステアリングアーム締結部 7、8、9、10:梁部 101a:材質/工法選定及び概略の製品形状設計の工
期 101b:製品形状の3次元ソリッドデータ作成の工期 101c:詳細な製品形状設計及び強度解析による検証
の工期 102:鋳造方案設計及び鋳造解析による検証の工期 103、203:試作型設計の工期 104、204:試作型製作の工期 105、205:試作の工期 106、206:試作品評価の工期 107、207a、207b:工程の手戻りにより発生
する工期 108、208:量産型設計の工期 109、209:量産型製作の工期 201:材質/工法選定及び製品形状設計の工期 202:鋳造方案設計の工期 M1、M2:金型鋳造法の全所要平均工期 S1、S2:砂型鋳造法の全所要平均工期
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 7/18 B62D 7/18 A (72)発明者 三上 昭 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社素材研究所内 Fターム(参考) 3D034 BC12 BC26 4E093 FC01 FC04 NA10 UC10 5B046 AA05 DA09 FA18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製品の形状設計する工程と、鋳造方案設
    計を行う工程と、型設計を行う工程と、型製作を行う工
    程を少なくとも含むナックルステアリングの製造方法に
    おいて、製品の形状設計する工程から型製作を行う工程
    までの少なくとも1つの工程において、3次元の電子化
    情報を用いることを特徴とするナックルステアリングの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のナックルステアリング
    の製造方法において、製品の形状設計に、3次元の電子
    化情報を用いることを特徴とするナックルステアリング
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のナック
    ルステアリングの製造方法において、鋳造方案設計に、
    3次元の電子化情報を用いることを特徴とするナックル
    ステアリングの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3何れかに記載のナ
    ックルステアリングの製造方法において、型設計及び型
    製作に、3次元の電子化情報を用いることを特徴とする
    ナックルステアリングの製造方法。
  5. 【請求項5】 製品の形状設計する工程と、鋳造方案設
    計を行う工程と、型設計を行う工程と、型製作を行う工
    程を少なくとも含むナックルステアリングの製造方法に
    おいて、製品の形状設計する工程から型製作を行う工程
    までの全ての工程において、3次元の電子化情報を用い
    ることを特徴とするナックルステアリングの製造方法。
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