JP2002311536A - 電解質導電層を含む写真要素 - Google Patents

電解質導電層を含む写真要素

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JP2002311536A JP2002099866A JP2002099866A JP2002311536A JP 2002311536 A JP2002311536 A JP 2002311536A JP 2002099866 A JP2002099866 A JP 2002099866A JP 2002099866 A JP2002099866 A JP 2002099866A JP 2002311536 A JP2002311536 A JP 2002311536A
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チェスター アンダーソン チャールズ
Mario D Delaura
デニス デローラ マリオ
Debasis Majumdar
マジュンダー ディベイシス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電マークおよび静電粘着の無い電解質導電
層を有する写真要素を提供する。 【解決手段】 支持体の片側に少なくとも一層のハロゲ
ン化銀乳剤層を有し、その反対側に、順次、共役ポリマ
ー主鎖を有するポリチオフェン成分とポリマーポリアニ
オン成分とを含むポリチオフェン/ポリアニオン組成物
を含む塗布組成物から塗付された電解質導電層、および
少なくとも50%の破断点引張伸びおよび2%の伸びで
測定されて少なくとも50000lb/in2のヤング
率を有するポリウレタンバインダーからなる保護トップ
コートを有する支持体を含んでなる写真要素であって、
前記電解質導電層の抵抗率が、写真処理前に2×109
Ω/□未満であるものが、写真処理後には1×109 Ω
/□〜1×1011 Ω/□となり、その写真処理の結
果、前記電解質導電層の抵抗率が少なくとも一桁の量だ
け増大する写真要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体、一層以上
の画像形成層、電解質導電層、および当該電解質導電層
の上にある耐摩耗性トップコート層を含む写真画像形成
要素に関する。更に詳細には、本発明は、写真処理の結
果として制御された導電率の変化を受ける電解質導電層
を有する、映画プリントフィルムとしての使用に特に好
適である画像形成要素に関する。本発明の好ましい実施
態様による映画フィルムでは、フィルムの製造、プリン
ト、および映写用に最適化された静電特性を与える。
【0002】
【従来の技術】静電荷をコントロールする問題は、写真
分野では周知である。通常、静電荷は、電解質導電性の
“帯電防止”層をフィルム構造中に含ませることによっ
てコントロールされることも、一般的に知られている。
帯電防止層は、フィルムベースのいずれの側に、つまり
画像形成層の下方あるいは画像形成層の反対側(即ち、
フィルム裏面)に、下塗り層として塗付されてもよい。
帯電防止層は、二者択一的に、乳剤層を覆う外側の塗布
層として,あるいは乳剤層の反対側のフィルムベース側
に塗付されてもよい。ある用途の場合には、帯電防止剤
は、乳剤中に含有させてもよい。これに代えて、帯電防
止剤は、フィルムベース自体に含有させてもよい。しか
しながら、典型的には、帯電防止剤は、フィルムの裏面
に使用され、そして、それは、屡、耐摩耗性の保護トッ
プコートの下にある。
【0003】広範囲の種類の電解質導電性材料は、広範
囲の導電率を得るために帯電防止層中に含まれてよい。
これらは、二つの主要な群:(i)イオン伝導体および
(ii)電子伝導体に分けられる。イオン伝導体では、電
荷は、電解質を介して荷電種のバルク分散によって運ば
れる。ここで、帯電防止層の抵抗率は、温度と湿度に依
存している。特許文献に記載された、単一無機塩、界面
活性剤のアルカリ金属塩、イオン導電性ポリマー、アル
カリ金属塩を含むポリマー電解質、およびコロイド状の
金属酸化物ゾル(金属塩により安定化された)は、この
カテゴリーに属する。これらの帯電防止層は、一般に、
写真処理溶液に曝される結果として、帯電防止機能の実
質的な喪失が示される。
【0004】共役導電性ポリマー、導電性カーボン粒
子、微結晶半導体粒子、アモルファス半導体フィブリ
ル、および連続半導体薄膜フィルムのような電子導電体
を含む帯電防止層は、それらの導電率が相対湿度とは関
係なく、ただ僅かに周囲温度に影響されるだけなので、
静電荷を散逸させるためにイオン導電体よりも一層効果
的に使用できる。かかる電子導電体の帯電防止特性は、
特定材料による写真処理によって影響を受けたり、受け
なかったりすることがある。種々タイプの電子導電体の
うち、半導性の金属酸化物のような電子導電性金属含有
粒子は、米国特許第5,340,676号、同第5,46
6,567号及び同第5,700,623号明細書に記載
されるようなポリマー非フィルム形成性粒子と組合わせ
て適当なポリマーフィルム形成性バインダーに分散され
る時に、特に有効である。
【0005】適当なドナーヘテロ原子でドープされた、
あるいは酸素欠陥を有する二元系金属酸化物は、先行技
術、例えば、米国特許第4,275,103号、同第4,
416,963号、同第4,495,276号、4,39
4,441号、同第4,418,141号、同第4,43
1,764号、同第4,495,276号、同第4,57
1,361号、同第4,999,276号、同第5,12
2,445号、同第5,294,525号、同第5,38
2,494号、同第5,459,021号および同第5,4
84,694号等において、写真要素用の帯電防止層に
有用であることが記載されている。適当な必要とされる
導電性金属酸化物には、酸化亜鉛、チタニア、酸化錫、
アルミナ、酸化インジウム、シリカ、マグネシア、ジル
コニア、酸化バリウム、三酸化モリブデン、三酸化タン
グステン、および五酸化バナジウムが含まれる。好まし
いドープされた導電性金属酸化物の粒状粒子には、アン
チモン−ドープ酸化錫、弗素−ドープ酸化錫、アルミニ
ウム−ドープ酸化亜鉛、およびニオビウム−ドープチタ
ニアが含まれる。米国特許第5,368,995号明細書
に記載される、更なる好ましい導電性三元金属酸化物に
は、アンチモン酸亜鉛およびアンチモン酸インジウムが
含まれる。金属硼化物、炭化物、窒化物および珪化物を
含む他の導電性金属含有粒状粒子は、特開平4−05
5,492号公報に記載されている。
【0006】フィルムまたは印画紙表面での静電荷の発
生および蓄積は、これら製品の生産および使用と関連す
る多くの問題をもたらす。例えば、静電荷は、汚れや塵
の吸引を促進して、これらの粒子がネガフィルム、スラ
イドフィルム、映画プリントフィルムのような既に露光
され、処理された製品に引き付けられる時に、これらの
粒子が、露光、プリントまたは映写中にフィルム上に映
し出されることになる。増感乳剤層の塗布前または塗布
後に蓄積された電荷が放電すると、その乳剤に不規則な
カブリパターン、即ち“静電マーク”が発生する。この
静電気の問題は、新しい乳剤の感光度を増大させ、塗付
機のスピードを増大させ、また塗布後の乾燥効率を増大
させることによって深刻化している。静電荷は、巻き取
りおよび巻き戻し操作中に、塗布機の通過中に、そして
裁断およびスプールへの巻き取りのような仕上げ操作中
に蓄積する。静電荷は、また、仕上げされた写真フィル
ム製品の使用時にも発生する。自動カメラでは、フィル
ムカートリッジへの、あるいはそれからのロールフィル
ムの巻き取りにより、特に低い相対湿度の環境下では、
結果として静電気の帯電が起こる。同様に、高速の自動
化フィルム処理では、結果として静電荷の発生が起こ
る。シートフィルム(例えば、X線フィルム)では、特
に耐光性のパッケージからの取り出し中に静電気が帯電
し易い。
【0007】写真製品に係る導電層または帯電防止層の
使用により、静電荷に伴うこれら上記した問題の多く
は、極めて少なくなってきている。しかしながら、極最
近、導電層を用いると、ある種の静電気の関連問題を実
際に悪化させることが認められるようになってきた。静
電荷が、埋設された導電層の上にあるかまたは導電層の
反対側のフィルム側にある絶縁表面で発生する時は、導
電層がこの表面電荷を散逸できない。かえって、導電層
は、極性電荷の生成によってその電荷を“画像化”して
しまう(つまり、導電層は、その表面層のそれと等価で
あるが、反対電荷を引き寄せることができる。)。該導
電層内でこの画像電荷または極性電荷が生成すると、そ
れが表面電荷によって発生した外部磁場を効果的に消失
させるので、外部磁場がフィルム内に内在化するように
なる。外部磁場が存在すると、かえって空気によって運
ばれた汚れおよび塵の粒子をフィルム表面に引き付け
て、既に論じたいくつかの問題を発生させる。それで、
この場合に、導電層が存在し、かつ極性電荷が生成する
と、静電気の関連問題、つまり汚れと塵の吸引を排除す
ることを助ける。ここで、写真フィルムのような画像形
成要素の断面を概略する、先行技術の図1に言及する
と、ポリマー基体12には、その表面に絶縁性の画像形
成層10が与えられ、そしてその裏面に導電層14が与
えられる。画像要素の移送中に、画像形成層10は、ロ
ーラや他の表面のような異なる材料との接触の結果とし
て、正の静電荷を生じる可能性がある。次いで、導電層
14には画像電荷が生成して、電場Eが画像形成要素内
に内在化される。
【0008】しかしながら、極性電荷が発生すると、フ
ィルムの片面での導電層内の画像電荷が、ロール内で隣
接するフィルムの重なりの他の面、あるいはそれと接触
する他のシートのフィルム面での(反対記号の)表面電
荷と結合する時に、様々なフィルムとの粘着問題が起こ
る。ここで、このフィルムの粘着現象を概略する先行技
術の図2に言及すると、一枚のシートフィルムとして、
あるいはロール上でのフィルムの重なりとして存在する
フィルムセグメント20には、ポリマー基体26、その
表面に絶縁性の画像形成層24を有し、そしてその裏面
に導電層28を有する。同様に、フィルムセグメント2
0に隣接するシートフィルムとして、あるいはロール上
でのフィルムの重なりとして存在してもよいフィルムセ
グメント20´には、ポリマー基体26´、画像形成層
24´、および導電層28´を有する。フィルムセグメ
ント20および20´の両者は、それぞれ画像形成層2
4および24´に正の表面電荷を有し、それぞれ導電層
28および28´に画像電荷を有する。
【0009】静電気の引力は、フィルムセグメント20
´の正に荷電した画像形成層24´とフィルムセグメン
ト20の負に荷電した導電層28との間に存在する。こ
の吸引力は、2枚のフィルムセグメント間の距離が減少
するにつれて増大し、結果としてこれら2枚のシートフ
ィルムに、あるいは相互に隣接する2枚のフィルムの重
なりに粘着が生じる。このフィルムの粘着が観察される
具体例には、導電特性がフィルム処理の間に残存する導
電層を有するグラフィックアートフィルム、マイクロフ
ィッシュ、およびX線フィルムのようなシートフィルム
が含まれる。このようなフィルムは、フィルム処理時に
ローラとの接触の結果として電荷を帯びるようになり、
フィルム処理機の故障を引き起こすか、または処理後の
フィルムの取り扱いに困難を来すようになる。
【0010】米国特許第5,679,505号および同第
6,096,491号明細書に記載されるもののような導
電層を有する映画プリントフィルムの場合は、例えば、
米国特許第4,186,891号、同第4,208,018
号明細書およびその他の同明細書に記載されるもののよ
うなエンドレスループまたは自動化プラッターシステム
を採用するフィルム映写機に故障を生じる可能性があ
る。ここで、このプラッターの粘着問題を概略する、先
行技術の図3に言及すると、自動化プラッターシステム
30には、フィルムロールの芯から引張りだされ、フィ
ルム通路36に沿ってフィルム映写機まで運ばれるフィ
ルム32の内部ラップが含まれる。このフィルムは、そ
れが映写機から戻ると、フィルム通路38を通してフィ
ルムロールの外部ラップ上に巻き戻される。図2で既に
述べた処理によりフィルムが粘着する結果として、内部
ラップ32がロールの芯から引き出される時に、それが
隣接するラップ34に粘着することがある。フィルムラ
ップ34は、次々に隣接する外部ラップなどと粘着する
ことになる。かくして、多数のフィルムラップが同時に
フィルムロールの芯から引き出されて、プラッターシス
テムに故障が起こり、映写機システム、フィルム、ある
いはその両者を損傷させる可能性がある。
【0011】映画プリントフィルムのような画像形成要
素に関して、含まれる導電層または帯電防止層の抵抗率
を1×109Ω/□、特に2.5×109Ω/□を超える
まで増大させると(あるいは、導電率を低下させる
と)、上記の粘着傾向の問題は著しく減少する。しかし
ながら、2×109Ω/□を超えるまで導電層の抵抗率
を増大させると、また、導電層に与えられた全体の帯電
防止が著しく減少することにもなる。特に、その導電層
は、フィルムのスリッチング、裁断、または孔あけのよ
うな高速度の製造操業時での生フィルムの静電マークを
防止するのに十分な導電性がないという可能性がある。
これらの高い抵抗値では、結果として映画プリントフィ
ルムの高速プリント(2000フィート/分以上の速
度)時に静電マークまたは汚れの吸引を起こし、それに
よってプリントの質を落とすことになる。製造およびプ
リント時の帯電防止が、処理されるフィルムの粘着が除
かれる間与えられるように、フィルムの抵抗率を注意深
く最適にすることは可能であるけれども、これらの特性
の両者を同時に達成することは極めて難しい挑戦であ
る。
【0012】米国特許第6,140,030号明細書に
は、フィルムの処理前には画像形成要素に高い導電性が
与えられ、フィルムの処理後でも適度な導電性のみが与
えられる二種の異なる電解質導電剤を含む画像形成要素
を提供することによって、上記問題に対して可能な解決
法が与えられることが記載されている。しかしながら、
フィルムに二種の電解質導電剤を含めるという関連コス
トと製造上の複雑さ無しに、そのような特性が与えられ
ることが望ましい。
【0013】米国特許第5,679,505号明細書に
は、帯電防止剤とポリウレタンバインダーを含む保護ト
ップコートとを有する特に映画フィルムとしての用途に
設計された画像形成要素であって、該フィルムが7〜1
1logΩ/□、そして最も好ましくは9logΩ/□未満の
抵抗率を有する、画像形成要素が記載されている。当該
特許では、本発明で提起される特定の問題は認められな
い。
【0014】米国特許第6,096,491号明細書に
は、耐摩耗性トップコートによって保護された電解質導
電層を有する、映画形成フィルムを含む画像形成要素が
記載されている。この電解質導電層には、電解質導電性
の3,4−ジアルコキシ置換ポリチオフェンスチレン硫
酸塩錯体が含まれてよい。しかしながら、当該特許で
は、本発明で提起される特定の問題は認められず、むし
ろ、抵抗率が写真フィルムの処理の結果として実質的に
変化しない電解質導電層が教示されている。このような
フィルムでは、本発明の目的のために処理後の導電性が
概ね高過ぎる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、静電荷の蓄積によって起こる生(予備写真処理
の)フィルムの静電マークおよび処理された(写真処理
後の)写真要素の粘着性の両者を効果的に減少させる改
良された写真画像形成要素を提供することにある。
【0016】また、本発明の目的は、付加的に、優れた
耐引掻き傷性および耐摩耗性を有する改良された写真画
像形成要素を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、支持体
の片側に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有し、
その反対側に、順次、共役ポリマー主鎖を有するポリチ
オフェン成分とポリマーポリアニオン成分とを含むポリ
チオフェン/ポリアニオン組成物を含む塗布組成物から
塗付された電解質導電層、および少なくとも50%の破
断点引張伸びおよび2%の伸びで測定されて少なくとも
50000lb/in2のヤング率を有するポリウレタ
ンバインダーからなる保護トップコートを有する支持体
を含んでなる画像形成要素であって、前記電解質導電層
の抵抗率が、写真処理前に2×109 Ω/□未満である
ものが、写真処理後には1×109 Ω/□〜1×1011
Ω/□となり、その写真処理の結果、当該抵抗率が少な
くとも一桁の量だけ増大する画像形成要素が提供され
る。
【0018】本発明の写真画像形成要素では、製造およ
び使用のあらゆる段階中に最適な帯電防止が与えられ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、支持体の片側に少なく
とも一層のハロゲン化銀乳剤層を有し、その反対側に、
順次、電解質導電層および保護トップコートを有する支
持体を含む写真要素であって、ここで、前記電解質導電
層は、その抵抗率が写真処理の結果として少なくとも一
桁の量だけ増大し、更に、写真処理の前にはその抵抗率
が2×109Ω/□未満で、かつ写真処理後にはその抵
抗率が1×109Ω/□〜1×1011Ω/□である写真
要素に関する。かくして、本発明の要素は、写真処理前
には高導電性であり、かつ、写真フィルムのスリッチン
グおよび孔あけのような高速製造操業時、および高速プ
リント時での静電マーク並びに汚れおよび塵の吸引から
優れた防護を提供する。処理後には、該写真要素は、多
少導電性が落ちてくる(つまり、抵抗率が少なくとも一
桁の量だけ増大する)が、映写時での写真フィルムの粘
着/静電粘着に伴う問題は取り除かれる一方、写真フィ
ルムは、汚れおよび塵の吸引をコントロールするのに未
だ十分な導電性(抵抗率は、1×10 11Ω/□未満に維
持されている)である。
【0020】本発明の実施に用いられる支持体材料に
は、広範囲の種類の支持体がいずれも含まれる。典型的
な支持体には、硝酸セルロースフィルム、酢酸セルロー
スフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリ
スチレンフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フ
ィルム、ポリ(エチレンナフタレート)フィルム、ポリ
カーボネートフィルム、ガラス、金属、紙、ポリマーコ
ート紙等が含まれる。支持体の厚さは、重要ではない。
例えば、2〜10ミル(0.002〜0.010インチ)
の支持体の厚さが、非常に好ましい結果をもって使用さ
れる。付着性を促進するために、アンダーコートまたは
プライマー層がポリエステル支持体上に典型的に用いら
れる。このようなアンダーコート層は当該分野で周知で
あり、例えば、米国特許第2,627,088号、同第
2,698,235号、同第2,698,240号、同第
2,943,937号、同第3,143,421号同第3,
201,249号、同第3,271,178号および同第
3,501,301号明細書に記載されるような、塩化ビ
ニリデン/メチルアクリレート/イタコン酸のターポリ
マーまたは塩化ビニリデン/アクリロニトリル/アクリ
ル酸のターポリマーが含まれる。
【0021】特に好ましい実施態様では、本発明の画像
形成要素は、そこでの画像形成層が放射線感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層である写真フィルムである。かかる乳剤層
には、典型的に、フィルム形成性親水性コロイドが含ま
れる。これらのうち最も普通に用いられるものはゼラチ
ンであり、そしてゼラチンは本発明での使用に特に好ま
しい材料である。有用なゼラチンには、アルカリ処理ゼ
ラチン(牛骨または皮革ゼラチン)、酸処理ゼラチン
(豚皮ゼラチン)およびゼラチン誘導体、例えば、アセ
チル化ゼラチン、フタル化ゼラチン等が含まれる。単独
で、あるいはゼラチンと組み合わせて用いられる他の親
水性コロイドには、デキストラン、アラビアゴム、ゼイ
ン、カゼイン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジオ
ン、寒天、クズウコン、アルブミン等が含まれる。更に
他の有用な親水性コロイドには、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルピロリドン)等
の水溶性ポリビニル化合物がある。
【0022】本発明の写真要素は、単純な黒白または単
色要素であってよく、あるいは、それらは多層および/
または多色要素であってもよい。本発明による電解質導
電層の抵抗率にコントロールされたシフトを与える、そ
のような要素の写真処理に言及すれば、当該要素がそれ
用に設計されている標準写真処理を採用することが意図
されている。種々なタイプの写真要素についての標準写
真処理に係る一般的な一連の工程および条件(時間およ
び温度)は、例えば、カラーネガフィルム用のプロセス
C−41およびプロセスECN−2、カラーリバーサル
フィルム用のプロセスE−6およびプロセスK−14、
映画カラープリントフィルム用のプロセスECP、およ
びカラー印画紙用のプロセスRA−4のように、周知で
ある。
【0023】本発明のカラー写真要素には、典型的に、
スペクトルの三原色域のそれぞれに感光性の色素画像形
成ユニットが含まれる。各ユニットは、スペクトルの所
定域に感光性の単一のハロゲン化銀乳剤層または多数の
乳剤層からなってよい。画像形成ユニットの各層を含む
該要素の層は、当該分野で周知であるように種々の順に
配列されてよい。
【0024】本発明の好ましい実施態様による典型的な
多色映画写真プリントフィルム要素には、順次、少なく
とも一種のイエロー色素形成カプラーを含有する少なく
とも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー色
素画像形成ユニット、少なくとも一種のシアン色素形成
カプラーを含有する少なくとも一層の赤感性ハロゲン化
銀乳剤層を含むシアン色素画像形成ユニットおよび少な
くとも一種のマゼンタ色素形成カプラーを含有する少な
くとも一層の緑感性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ
色素画像形成ユニットを有する支持体が含まれる。シア
ン、マゼンタ、およびイエロー画像形成ユニットのそれ
ぞれは、単一の感光層、一方が高感光性で他方が低感光
性である一組の二種の感光層、または一組の感光性を異
にする三種以上の感光層からなってよい。映画カラープ
リントフィルムは、標準ECP−2B写真プロセス(こ
れは、Kodak文献No.H−24、Kodak E
CP−2Bプロセス、イーストマンカラーフィルム処理
用マニュアルに記載されている。)を用いて、商用の映
画カラープリントフィルム処理で写真処理されてよい。
好ましい態様では、本発明による電解質導電層を含む映
画カラープリントフィルム要素は、電解質導電層の抵抗
率が写真処理前には2×109Ω/□未満であり、標準
ECP−2B写真処理後には1×109Ω/□〜1×1
11Ω/□であって、標準ECP−2B写真処理の結果
として少なくとも一桁の量だけ増大するように提供され
る。特に好ましい態様では、標準ECP−2Bプロセス
での写真処理後のかかる要素の電解質導電層の抵抗率
は、2.5×109Ω/□〜1×1011Ω/□である。
【0025】本発明の写真要素に使われる感光性ハロゲ
ン化銀乳剤には、粗い粒子、普通の粒子または細かい粒
子のハロゲン化銀結晶またはその混合物が含まれ、塩化
銀、臭化銀、臭沃化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩臭沃化
銀およびそれらの混合物のようなハロゲン化銀からなっ
ていてよい。この乳剤は、例えば、平板状粒子の感光性
ハロゲン化銀乳剤であってよい。この乳剤は、ネガ型ま
たは直接ポジ乳剤であってよい。それらは、主として、
ハロゲン化銀粒子の表面またはハロゲン化銀乳剤の内部
に潜像が形成される。それらは、慣例によって化学増感
および分光像感されてよい。写真プリントフィルムで
は、典型的に、プリント画質および可能な迅速処理を最
適化するために、比較的小さな粒子の、高塩化物乳剤
(例えば、1ミクロン未満の平均粒度の等価円直径を有
し、50モル%を越える塩化物のハロゲン化物含量を有
する乳剤)が使用される。かかる乳剤は、典型的に、カ
メラネガフィルムと比較して、結果的に比較的低感度の
写真要素である。低感度は、かかるプリント要素を露光
するための比較的高強度のプリントランプまたはレーザ
を使用することによって補償される。比較目的のため
に、例えば、映画のカラープリントフィルムは、カメラ
のネガフィルムを評価するために使われる同じ国際標準
規格を用いて評価される時には、典型的に10未満のI
SO感度値を有するが、これは、現在使用されている最
も低感度のカメラネガフィルムよりも数段絞りが低い感
度であることに留意されるべきである。この乳剤は、他
の親水性コロイドが慣例にしたがって用いられてもよい
が、典型的にはゼラチン乳剤となろう。プリントフィル
ムに使われる典型的な感光性画像記録層の組成は周知で
あり、例えば、Research Disclosure 、第36544
項、1994年9月、およびそれに掲載される参照例に
も記載されるように、慣用の映画フィルムに使われるい
かなるハロゲン化銀材料も使用できるので、本発明にと
って重要ではない。
【0026】本発明に使われる写真ハロゲン化銀乳剤に
は、写真分野で慣用な他の添加剤が含まれてもよい。有
用な添加剤は、例えば、Research Disclosure 、第36
544項、1994年9月に記載されている。有用な添
加剤には、分光増感色素、減感剤、カブリ防止剤、マス
キングカプラー、DIRカプラー、DIR化合物、汚染
防止剤、画像色素安定化剤、フィルター色素およびUV
吸収剤のような吸収物質、光散乱物質、塗工助剤、可塑
剤および滑剤等が含まれる。
【0027】写真要素に使われる色素画像付与材料にも
よるが、その色素画像付与材料は、ハロゲン化銀乳剤層
中に含まれても、あるいはこの乳剤層が含まれる別の層
中に含まれてもよい。この色素画像付与材料は、当該分
野で知られる多数のもの、例えば、色素形成カプラー、
漂白性色素、色素現像主薬およびレドックス色素脱離剤
のいずれでもよく、そして使用される特定物は、当該要
素の特性や、望まれる画像のタイプに左右される。
【0028】別の溶液で処理されるように設計された慣
用のカラー材料と共に使われる色素画像付与材料は、好
ましくは色素形成カプラー、即ち、酸化された現像主薬
と結合して色素を形成する化合物である。シアン色素画
像を形成する好ましいカプラーは、フェノールおよびナ
フトールである。マゼンタ色素画像を形成する好ましい
カプラーは、ピラゾロンおよびピラゾロトリアゾールで
ある。イエロー色素画像を形成する好ましいカプラー
は、ベンゾイルアセトアニリドおよびピバリルアセトア
ニリドである。
【0029】本発明の帯電防止層は、共役ポリマー主鎖
を有する電子導電性ポリチオフェン成分とポリマーポリ
アニオン成分を含有するポリチオフェン/ポリアニオン
組成物を含む塗布組成物から塗布される。本発明により
使用される好ましいポリチオフェン成分には、少なくと
も一個のアルコキシ基、例えば、C1−C12のアルコキ
基または−O(CH2CH2O)nCH3基(ここで、n
は、1〜4である)で置換されたチオフェン核を有する
か、あるいは該チオフェン核が2個の酸素原子を介して
閉環している場合には、置換された形態でそのような基
を含むアルキレン基で置換されたチオフェン核を有す
る。本発明により用いられる好ましいポリチオフェン
は、以下の一般式(I)に相当する構造単位から構成さ
れてよい。
【0030】
【化1】
【0031】式中、R1およびR2のそれぞれは、独立し
て、水素またはC1-4アルキル基を表わすか、あるいは
一緒になって任意の置換C1-4アルキレン基、好ましく
はエチレン基、任意のアルキル置換メチレン基、任意の
1-12アルキルもしくはフェニル置換1,2−エチレン
基、1,3−プロピレン基、または1,2−シクロへキシ
レン基を表わす。電解質導電性ポリチオフェン/ポリア
ニオン組成物およびポリアニオンの存在下に合成される
ポリチオフェン水性分散液の製造、並びにかかる分散液
からの帯電防止性塗膜の製造は、欧州特許第0,440,
957号明細書(および対応米国特許第5,300,57
5号明細書)並びに、例えば米国特許第5,312,68
1号、同第5,354,613号、同第5,370,981
号、同第5,372,924号、同第5,391,472
号、同第5,403,467号、同第5,443,944号
および同第5,575,898号明細書に記載されてい
る。
【0032】ポリマーポリアニオン化合物の存在下での
電解質導電性ポリチオフェンの製造は、例えば、以下の
一般式(II)による3,4−ジアルコキシチオフェン
または3,4−アルキレンジオキシチオフェンの酸化重
合によって進行させてよい。
【0033】
【化2】
【0034】式中、R1およびR2は、一般式(I)に定
義したとおりであり、典型的に、多酸の存在下に、好ま
しくは任意のある量の有機溶媒を含む水性媒体中で、0
℃〜1000℃の温度下で、酸素または空気でピロール
を酸化重合するために、酸化剤が使用される。このポリ
チオフェンは、酸化重合によって正の電荷を得るが、当
該電荷の位置および数は確実に決定することはできず、
したがって、このポリチオフェンポリマーの繰り返し単
位の一般式では書けない。酸化剤として空気または酸素
を用いる時は、これらの導入は、チオフェン、多酸、お
よび任意に触媒量の金属塩を含む溶液中で、その重合が
完了するまで進行する。ピロールの酸化重合に好適な酸
化剤は、例えば、J.Am.Soc.85巻、454号
(1963年)に記載されている。廉価で、取り扱い易
い酸化剤は、例えば、FeCl3、Fe(ClO4)並び
にH22 2Cr27のような有機残基を含む有機酸
および無機酸の鉄(III)塩のような鉄(III)
塩、アルカリまたはアンモニウム過硫酸塩、アルカリ過
硼酸塩、過マンガン酸カリウム、およびテトラフルオロ
硼酸銅のような銅塩が好ましい。理論的には、チオフェ
ンの1モル当たり2.25当量の酸化剤がその酸化重合
に必要である( J. Polym.Sci.Part
A、Polymer Chemistry、26巻、1
287頁(1988年)参照)。しかしながら、実際に
は、酸化剤は、ある過剰量、例えばチオフェン1モル当
たり0.1〜2当量の過剰量で用いられる。
【0035】重合の場合に、前記一般式(II)に相当
するチオフェン、多酸および酸化剤は、有機溶媒または
好ましくは水中に溶解、あるいは乳化されてよく、その
得られる溶液または乳剤は、予見される重合温度でその
重合が完了するまで攪拌される。本発明で使われるポリ
チオフェン/ポリアニオン組成物におけるポリマーポリ
アニオン成分に対するポリチオフェンポリマー成分の重
量比は、広範囲に変えてよく、例えば、好ましくは50
/50〜15/85である。当該技術によって、0.5
〜55重量%、そして好ましくは1〜10重量%の固体
含量を有する安定な水性のポリチオフェン/ポリアニオ
ン分散液が得られる。重合時間は、バッチの大きさ、重
合温度および酸化剤の種類にもよるが、数分〜30分で
あってよい。得られるポリチオフェン/ポリアニオン組
成物分散液の安定性は、分散剤、例えば、米国特許第
3,525,621号明細書に記載されるドデシルスルホ
ネート、アルキルアリールポリエーテルスルホネートの
ようなアニオン界面活性剤の添加によって、重合時およ
び/またはその重合後に改善されてよい。分散液でのポ
リマー粒子の大きさは、典型的に、5nm〜1μmの範
囲、好ましくは40〜400nmの範囲にある。
【0036】これらの電解質導電性ポリマーの合成に使
われるポリアニオンは、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸またはポリマレイン酸のようなポリマーカルボン酸
およびポリスチレンスルホン酸およびポリビニルスルホ
ン酸のようなポリマースルホン酸であり、ポリマースル
ホン酸が本発明では好ましいものである。これらのポリ
カルボン酸およびポリスルホン酸は、また、ビニルカル
ボン酸およびビニルスルホン酸とアクリル酸およびスチ
レンのエステルのような他の重合性モノマーとの共重合
体であってもよい。その分散されたポリチオフェンポリ
マーと組み合わせて用いられるアニオン性(酸性)ポリ
マーは、該分散液の十分な安定度を確保するため、当該
ポリマー化合物に関して2重量%を超えるアニオン性基
の含量を有することが好ましい。ポリアニオンを与える
多酸の分子量は、好ましくは1,000〜2.000,
000、特に好ましくは2,000〜500,000であ
る。多酸またはそのアルカリ塩は、通常入手可能な、例
えばポリスチレンスルホン酸およびポリアクリル酸であ
り、また、それらは、公知の方法に基づいて製造されて
もよい。電解質導電性ポリマーおよびポリアニオンの生
成に必要な遊離酸に変えて、多酸と適当量の単一酸のア
ルカリ塩との混合物が用いられてもよい。
【0037】一般の合成手順および組成物は上記されて
いるが、本発明で使われるポリチオフェン/ポリアニオ
ン組成物はそれ自体新規ではなく、かつ市販されてい
る。本発明で使用する好ましい電解質導電性ポリチオフ
ェン/ポリアニオンポリマー組成物には、3,4−ジア
ルコキシ置換ポリチオフェン/ポリ(スチレンスルホネ
ート)が含まれるが、最も好ましい電解質導電性ポリチ
オフェン/ポリアニオンポリマー組成物は、ポリ(3,
4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンス
ルホネート)であり、これは、Baytron Pとし
てBayer社から商業的に入手可能である。
【0038】水溶性ポリマー、アクリル系誘導体、スチ
レン、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル、ブタジエ
ンなどのような合成ラテックスポリマー、あるいはポリ
ウレタン、ポリエステル、ポリエステルイオノマー、ポ
リアミド、エポキシドなどのような水分散性縮合ポリマ
ーを含む、いかなるポリマーフィルム形成性バインダー
も、導電層の結合性を改善し、かつ下層および/または
上層に対する帯電防止層の付着性を改善するために、任
意に導電層中に用いられてよい。好ましいバインダーに
は、米国特許第6,124,083号明細書に開示される
ような、ポリエステルイオノマー、共重合体を含む塩化
ビニリデンおよびスルホン化ポリウレタンが含まれる。
添加されるバインダーに対する電解質導電性ポリチオフ
ェン/ポリアニオン組成物の重量比は、100:0〜
0.1〜99.9、好ましくは1:1〜1:20、そして
より好ましくは1:2〜1:20の範囲で変えてよい。
使用される電解質導電性の置換または非置換チオフェン
含有ポリマーの乾燥付着量は、電解質導電性ポリマーの
固有伝導率およびバインダーに対する電解質導電性ポリ
マーの重量比に依存する。このポリチオフェン/ポリア
ニオン組成物の電解質導電性の置換または非置換チオフ
ェン含有ポリマー成分に係る乾燥付着量の好ましい範囲
は、0.5mg/m2〜3.5mg/m2 であり、この乾
層付着量は、処理される写真要素のカラーおよび光学濃
度に関する電解質導電性ポリマーの影響を最小としつ
つ、写真処理前後の望ましい抵抗値を与えなければなら
ない。
【0039】この電解質導電剤およびポリマーバインダ
ーに加えて、本発明の要素の電解質導電層には、架橋
剤、塗工助剤、および界面活性剤、分散助剤、融合助
剤、殺生剤、艶消し粒子、ワックスおよび他の滑剤が含
まれてよい。この導電性塗膜配合物における塗工助剤の
通常の量は、例えば、全体の溶液重量に基づいて0.0
1〜0.3重量%の活性塗工助剤である。これらの塗工
助剤は、典型的に、アニオンでもノニオンでもよく、水
性塗膜用に適用される多くのものから選定されてよい。
塗工溶液の種々の成分は、相溶性を確保するため、混合
前にpH調整すると好都合である。pH調整のために普
通使用される薬剤は、水酸化アンモニウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、テトラエチルアミン、硫酸、
酢酸等である。
【0040】本発明の要素の電解質導電層は、公知の塗
工技術、例えばローラ塗布、グラビア塗布、エアーナイ
フ塗布、ロッド塗布、押出し塗布、ブレード塗布、カー
テン塗布、スライド塗布等のいずれかを用いて、水性あ
るいは有機溶媒の塗布配合物から塗布されてよい。塗布
後に、各層は、一般に、単純な蒸発によって乾燥される
が、これは、対流過熱のような公知の技術によって加速
されてもよい。公知の塗布および乾層法は、1989年
12月に発行された、Research Disclo
sure、第308119項、1007〜1008頁に
更に詳細に記載されている。
【0041】本発明の電解質導電層は、米国特許第5,
679,505号明細書に記載されるもののようなポリ
ウレタンで被覆されてよい。脂肪族ポリウレタンが、そ
の優れた熱的およびUV安定性および耐黄変性のために
好ましい。本発明のトップコートに使用されるポリウレ
タンは、少なくとも50%の引張破断点伸びおよび2%
の伸びで測定されて少なくとも50,000lb/in2
のヤング率を有することに特徴を有する。これらの物
性要件によって、トップコート層が固くて丈夫であっ
て、同時に優れた耐摩耗性と顕著なレジリエンスが与え
られる。本発明の好ましい実施態様によって、このよう
なトップコートおよび帯電防止層は、映写機を通過する
何百回という循環にも耐えられる。ポリウレタンのトッ
プコートは、好ましくは、50〜3000mg/m2
乾層付着量を与えるように、0.5〜10.0重量%のポ
リマーを含む塗布配合物から塗布される。そのトップコ
ート層の乾層付着量は、好ましくは300〜2000m
g/m2である。本発明の特に好ましい実施態様によれ
ば、Sancure 898(商標)ポリウレタン
(B.F.Goodrich社から入手)が、ポリウレ
タントップコートバインダーとして用いられる。
【0042】このポリウレタンは、有機溶媒可溶性であ
っても、水分散性であってもよい。環境的理由のため、
水分散性のポリウレタンが好ましい。水性ポリウレタン
分散液の調製は、当該分野で周知であり、これは、ジア
ミンまたはジオールとの反応によって末端イソシアネー
ト基を含むプレポリマーの水性分散液を展着させる主鎖
を含んでいる。該プレポリマーは、末端ヒドキシル基を
有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネー
ト、またはポリアクリレートを過剰の多官能性イソシア
ネートと反応させることによって調製される。この生成
物は、次いで、イソシアネートと反応性のある多官能
基、例えばヒドロキシル基、およびアニオンを形成でき
る基、典型的にはこれはカルボン酸基である、を有する
化合物で処理される。このアニオン基はその後第3アミ
ンで中性化されて、水性プレポリマー分散液を形成す
る。ポリウレタントップコートの物性は、ポリウレタン
中に存在する官能基、例えばカルボキシル基と反応する
架橋剤を添加することによって改善される。アジリジ
ン、カルボジイミド、エポキシなどのような架橋剤は、
この目的に好適である。架橋剤は、典型的に、ポリウレ
タンに基づき0〜30重量%で用いられる。しかしなが
ら、ポリウレタンに基づき0〜8重量%の架橋剤濃度が
好ましい。
【0043】好適な滑剤は、好ましくはトップコートに
含まれ、写真フィルムの製造および顧客の取り扱い時に
良好な移送特性を確保する摩擦係数をトップコートに与
えるように選定される。多くの滑剤は、米国特許第2,
588,756号、同第3,121,060号、同第3,2
95,979号、同第3,042,522号および同第3,
489,567号明細書に記載されるように、脂肪酸の
高級アルコールエステル、高級脂肪酸のカルシウム塩、
金属ステアリン酸塩、シリコーン化合物、パラフィンな
どを含めて用いられる。満足できる移送特性のために
は、滑らかにされる表面は、0.10〜0.40の摩擦係
数を有することが好ましい。しかしながら、その最も好
ましい範囲は、0.15〜0.30である。仮に、トップ
コートの摩擦係数が0.15未満であると、写真フィル
ムの長い、スリットロールが貯蔵または発送時に不安定
になり、そしてめり込んだり、凹んだりするようにな
り、不安定なフィルムロールに共通の状態となって、著
しく危険な状態となる。摩擦係数が製造時に0.30を
超え、あるいは写真フィルムの処理後に0.30より大
きくなると、トップコートの滑剤を残存させる処理がで
きない共通状態となり、特にあるタイプの写真フィルム
の映写機では、写真処理フィルムの移送特性が一層悪く
なる。
【0044】水性分散された滑剤は、この形態で水性の
保護トップコート配合物に直接含めることができ、それ
によって保護オーバーコート層上に別個に塗付された滑
剤オーバーコートを設けることが省けるので、特に好ま
しい。カルナバワックス、ポリエチレンオキシド、ミク
ロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、シリコ
ーン、ステアリン酸塩およびアミドの水性分散された滑
剤は、水性の保護トップコートに含まれる滑剤として良
好に働く。しかしながら、カルナバワックスおよびステ
アリン酸塩の水性分散された滑剤は、低滑剤レベルでの
摩擦調整における有効性とその水性分散されたポリウレ
タンとの優れた相溶性のため、好ましい。
【0045】好ましくは、本発明のトップコートには、
艶消し粒子が含まれる。滑剤に加えて、艶消し剤は、製
造、プリント、処理、および映写装置に係るフィルムの
移送を改善するために重要である。また、これらの艶消
し剤は、ロールフィルムに特有なその圧力下で乳剤側の
表面と接触している時に、保護トップコートにフェロを
かける潜在力を減少させることが可能となる。用語“フ
ェロタイプ”は、裏面の保護層が、強く巻かれたロール
内にあって、圧力下に乳剤側と接触している時に、乳剤
側の保護オーバーコート層と十分強固に付着していて、
保護トップコートと乳剤側の表面層とが離される時にあ
る種の粘着が認められるようなその条件を述べるのに使
われる。フェロタイプの過酷なケースでは、保護トップ
コートと乳剤保護オーバーコートとが離される時に、乳
剤側の表面に損傷が発生することがある。このようなひ
どい損傷があると、乳剤にセンシトメトリー効果を奏す
ることもある。当該艶消し剤は、シリカ、炭酸カルシウ
ム、または他の無機酸化物、ガラス球、粉砕ポリマーお
よび高融点ワックス、並びにポリマー艶消しビーズであ
ってよい。これらのポリマー艶消しビーズは、形状の均
一性および粒度分布の均一性のために好ましい。艶消し
粒子は、0.5〜3μmの平均直径サイズを有すること
が必要である。しかしながら、その艶消し粒子は、0.
75〜2.5μmの平均直径を有することが好ましい。
艶消し粒子は、1〜100mg/m2の乾層塗布重量で使
用できる。しかしながら、艶消し粒子の好ましい塗布重
量は、2.5〜65mg/m2である。ミクロンの表面粗
さ(Ra、ANSI標準B46.1、1985年)は、
乳剤表面のフェロタイプを防ぐために0.005〜0.0
60の範囲でなければならない。仮に、Ra値が、0.
005未満であると、表面粗さが十分でなく、裏面と乳
剤との間のフェロタイプによる僅かな乳剤表面のマーク
を避けられない。Ra値が0.060を超えると、これ
らサイズの艶消し粒子では十分な表面粗さではあるが、
ある低レベルの乳剤粒度を示し、そして特に映画館での
映写に特有の極めて高い倍率下では、画像鮮鋭度を喪失
してしまう。好ましいRa値の範囲は、最高性能のため
には0.010〜0.035である。フェロタイプからの
優れた保護、汚れおよび摩耗からの解放、並びに優れた
画質およびサウンドトラックの再現性を示す映画のプリ
ントフィルム要素を得るためには、特定レベルでの持続
性(写真処理溶液による非可溶性)艶消し剤と可溶性
(写真処理時に除かれるように設計された)艶消し剤と
の組合わせが、出願中の、一般承継された米国特許出願
第09/473,419号明細書に記載されるように、
用いられてもよい。
【0046】
【実施例】以下、特定の実施例によって本発明を更に詳
細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定され
るものではない。
【0047】プリントフィルムのサンプルを、以下のと
おり作製した。先ず、下塗りされたポリ(エチレンテレ
フタレート)支持体を、延伸および幅出し前の支持体の
両面に、塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り層を当該
下塗り層の最終の乾燥塗布量が約90mg/m2となる
ように塗付することによって作製した。
【0048】表1に挙げられた組成を有する電解質導電
層を、支持体の片面に塗布した。本発明の塗膜に用いら
れる電解質導電剤は、Baytron P(商標)(ポ
リ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(ス
チレンスルホネート)、Bayer社から入手)であっ
たが、これは、0.5重量%のポリ(3,4−エチレンジ
オキシチオフェン)(“PEDOT”)と0.8重量%
のポリ(スチレンスルホネート)(“PSS”)を含む
水性分散液の形態で供給された。比較例のサンプルで
は、電解質導電剤としてアンチモンをドープした酸化錫
粒子(石原産業社、SN100D)または銀をドープし
た五酸化バナジウムファイバー(同様に米国特許第5,
679,505号明細書に記載されている)のいずれか
を用いた。
【0049】以下の一般組成を有する保護トップコート
を、各サンプルの電解質導電層上に塗付した。 Sancure 898 ポリエチレンバインダー 900mg/m2 (B.F.Goodrich社、モジュラス=11 5,000 lb/in2 、破断点伸び=210%) CX100多官能アジリジン架橋剤(ゼネカ樹脂) 0または56mg/ m2(表1参照) 塗膜界面活性剤 24mg/m2 Michemlube 160 カルナバロウ(Mic 12mg/m2 helmann社) ポリマー艶消し剤(ポリメチルメタクリレートビーズ、 2.5mg/m2 平均サイズ=1.5μm)
【0050】慣用のゼラチン下塗り層を、電解質導電層
および保護トップコートとは反対側の支持体上の塩化ビ
ニリデン共重合体下塗り層上に塗付した。次いで、カラ
ー映画プリントフィルム用に適当なハロゲン化銀乳剤層
(共出願中で、一般承継した、1998年12月10日
に出願した米国特許出願第09/208,894号明細
書の実施例2に記載されるものと同様の、イエロー色素
形成カプラーを含有する青感性ハロゲン化銀乳剤層を含
むイエロー色素画像形成ユニット、シアン色素形成カプ
ラーを含有する赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン
色素画像形成ユニット、マゼンタ色素形成カプラーを含
有する緑感性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ色素画
像形成ユニット)を塗付し、更に各サンプルの乳剤層を
覆って以下の一般組成を有する保護オーバーコートを塗
付した。
【0051】 脱イオンゼラチン 907mg/m2 ポリジメチルシロキサン滑剤(Dow Corning社) 15mg/m2 ポリマー艶消し剤(ポリメチルメタクリレートビーズ、 15mg/m2 平均サイズ=1.5μm) 電荷コントロール界面活性剤(FT−248フルオロ 7.5mg/m2 界面活性剤、Bayer社) 塗膜界面活性剤 20mg/m2
【0052】以下の試験を行なった。写真フィルムの処
理前後のサンプルの抵抗率を、R.A.Elder著、
「埋設導電層に係る抵抗値の測定」、EOS/ESDシ
ンポジウム議事録、1990年9月、251〜254頁
に記載の手順を用いて、20%RH下で測定した。当該
サンプルを、映画カラープリントフィルム処理機内で処
理した(この写真処理は、Kodak文献No.H−2
4、Kodak ECP−2Bプロセス、イーストマン
カラーフィルムの処理マニアルに記載されている。)。
【0053】高速度フィルムの製造操作およびプリント
時での静電荷の増大および消失により静電マークが発生
するフィルムの傾向を、1)生フィルムのサンプルを2
個のポリウレタン凸型移送ローラ(PTRローラ)と1
個のアルミニウム被覆ローラに架けたフィルムの連続
(52インチの長さ)ループとして、各フィルムサンプ
ルの一方のループはその乳剤側がPTRローラに接する
ように、そして各フィルムサンプルの第2のループはそ
のフィルム裏面がPTRローラに接するようにして、全
部で2分間の暗黒条件下、1分当たり1600フィート
で移送させ、2)映画カラープリントフィルム処理機内
で当該フィルムを処理し、3)その処理したフィルムの
静電マークの痕跡を調査することによって、評価した。
【0054】自動プラッター方式を用いて、フィルムが
示す映写時での静電粘着の傾向を、自動プラッター機構
を10回周期の間用い、その間にフィルムの多数の重な
りがプラッター機構から引っ張られて結果的に映写機の
故障となる回数をカウントすることにより映写方式をシ
ュミレートするように設計されたラボ装置に、処理フィ
ルムを通過、移送させることによって評価した。
【0055】映写機における耐摩耗性を、劇場での通常
のフィルム寿命をシュミレートするため、映画フィルム
の映写機を100回通過させた連続ループの処理フィル
ムのサンプルから評価した。テストされるフィルムを映
写機から取り出し、そのフィルム表面が映写機と接して
いた領域におけるフィルム上の摩耗および引掻き傷につ
いて光学顕微鏡で調べた。フィルムは、1〜5の段階で
評価したが、1は優れた特性であり、5は劣った特性を
示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示す結果によると、ポリアニオン成
分(PSS)の存在下にポリチオフェン成分(PEDO
T)を3.5mg/m2未満で含む電解質導電層および
保護ポリエチレントップコートを有する本発明の写真要
素(実施例1〜6)は、映画プリントフィルムの処理後
の少なくとも一桁の抵抗率の増大に耐えることを示して
いる。更に、実施例に係る処理前の抵抗率は、高速の製
造操作およびプリント時での静電マークからの優れた保
護を与えなければならない2×109Ω/□未満であ
り、一方、フィルムの処理後では、その抵抗率は、映写
時での静電粘着や汚れの吸引から保護されなければなら
ない1×109Ω/□〜1×1011Ω/□にある。
【0058】比較例のサンプルAおよびBは、写真フィ
ルムに係る導電/帯電防止層の使用に周知であるドープ
された酸化錫粒子を含む電解質導電層を含んでいる。比
較例のサンプルAおよびBは、高速操作時に優れた静電
マークからの保護を与えなければならない写真フィルム
の処理前に極めて低い抵抗値を有する。しかしながら、
写真フィルムの処理後には、これらサンプルの抵抗値は
実際に低下して、映写時に厳しい静電粘着の問題を示す
ことが予期される。
【0059】比較例のサンプルC、DおよびEは、写真
フィルムに係る導電/帯電防止層の使用に周知である五
酸化バナジウムを含む電解質導電層を含んでいる。比較
例のサンプルCおよびDは、フィルム処理前に優れた抵
抗値を有する。しかしながら、フィルム処理後には、非
架橋のポリウレタンバインダーを有する保護トップコー
トを含む比較例のサンプルCは、非導電性となる。この
ようなフィルムでは、映写時での汚れおよび塵埃の吸引
から劣った保護しか与えない。架橋ポリウレタンバイン
ダーを有する保護トップコートを含む比較例のサンプル
Dの場合には、フィルムの抵抗値は、フィルムの処理後
に実際には僅かしか低下しないが、このサンプルは、映
写時に厳しい静電粘着の問題が示されることが予期され
る。驚くことに、本発明の実施例1〜6では、架橋され
た、あるいは架橋されない保護トップコートが使用され
ても、処理前後で本質的に同じ抵抗特性が与えられる。
比較例のサンプルEでは、処理前に2×109Ω/□を
超える抵抗値を有するので、それは静電マークから中庸
の保護しか与えられない。フィルム処理後に、比較例の
サンプルEに係る抵抗値は低下して、このサンプルは、
映写時に静電粘着の問題を示すことが予期される。
【0060】比較例のサンプルFは、そのフィルムが処
理の前後でも共に高い導電性であり、その抵抗値も写真
フィルムの処理の結果として少なくとも一桁の量だけ増
大しないように、3.8mg/m2という比較的高い乾燥
被覆量でポリチオフェンを含有する電解質導電層を含ん
でいる。このサンプルは、フィルム処理前に静電マーク
からの優れた保護を与えなければならないけれども、処
理後および映写時に静電粘着の問題を示すことが予期さ
れている。
【0061】次に、表1に記載される種々の実施例のフ
ィルムおよび比較例のサンプルが、自動プラッター方
式、慣用の映写機での耐摩耗性、および前記で概説した
テスト手順を用いる静電マークをシュミレートする映写
機装置における静電粘着に関するそれらの性能を決定す
るために、より実際的なテストで評価した。テストされ
た全てのフィルムは、映写機の摩耗試験で優れた性能を
与え、1.5の評価が与えられた。静電マークおよびプ
ラッター方式の静電粘着に係る結果は、表2にまとめら
れている。
【0062】
【表2】
【0063】この結果によれば、写真フィルム処理の結
果として抵抗値におけるコントロールされたシフトに耐
える本発明のフィルムのみが、静電マークからの解放と
自動プラッター機構における多数の重なりプルオフ無し
が同時に達成された。比較例のサンプルでは、静電マー
クからの解放や、自動プラッター機構における多数の重
なりプルオフの殆ど無しあるいは全く無しが達成される
も、両テストでの良好な性能を同時に達成することはで
きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行技術における画像形成要素の断面の略線図
を示す。
【図2】静電気の吸引の結果として一体的に粘着する先
行技術における二つのフィルムを示す略線図である。
【図3】先行技術のフィルムが映写機の自動プラッター
機構において如何なる故障を起すかを示す略線図であ
る。
【符号の説明】
10…画像形成層 12…ポリマー基体 14…導電層 20…フィルムセグメント 20´…フィルムセグメント 24…画像形成層 24´…画像形成層 26…ポリマー基体 26´…ポリマー基体 28…導電層 28´…導電層 30…自動プラッター機構 32…インナーラップ 34…フィルムラップ 36…フィルム通路 38…フィルム通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マリオ デニス デローラ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14464, ハムリン,クロース ホロー ドライブ 87 (72)発明者 ディベイシス マジュンダー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14618, ロチェスター,メレディス アベニュ 57 Fターム(参考) 2H016 BA00 BC03 2H023 FA09 FC00 FC10 GA00 GA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の片側に少なくとも一層のハロゲ
    ン化銀乳剤層を有し、その反対側に、順次、 共役ポリマー主鎖を有するポリチオフェン成分とポリマ
    ーポリアニオン成分とを含むポリチオフェン/ポリアニ
    オン組成物を含む塗布組成物から塗付された電解質導電
    層、および少なくとも50%の破断点引張伸びおよび2
    %の伸びで測定されて少なくとも50000lb/in
    2のヤング率を有するポリウレタンバインダーからなる
    保護トップコート、を有する支持体を含んでなる写真要
    素であって、 前記電解質導電層の抵抗率が、写真処理前に2×109
    Ω/□未満であるものが、写真処理後には1×109 Ω
    /□〜1×1011 Ω/□となり、その写真処理の結
    果、前記電解質導電層の抵抗率が少なくとも一桁の量だ
    け増大する写真要素。
  2. 【請求項2】 前記写真要素が、支持体の片側に、順
    次、少なくとも一種のイエロー色素形成カプラーを含有
    する少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層を含む
    イエロー色素画像形成ユニット、少なくとも一種のシア
    ン色素形成カプラーを含有する少なくとも一層の赤感性
    ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像形成ユニット
    および少なくとも一種のマゼンタ色素形成カプラーを含
    有する少なくとも一層の緑感性ハロゲン化銀乳剤層を含
    むマゼンタ色素画像形成ユニットを有する多色映画写真
    プリントフィルム要素を含み、そして、前記電解質導電
    層の抵抗率が、写真処理前に2×109 Ω/□未満であ
    るものが、標準ECP−2Bの写真処理後には1×10
    9 Ω/□〜1×1011 Ω/□となり、その標準ECP
    −2Bの写真処理の結果、前記電解質導電層の抵抗率が
    少なくとも一桁の量だけ増大する、請求項1に記載の写
    真要素。
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