JP2002310913A - 有機酸溶液中のスズの定量分析方法 - Google Patents
有機酸溶液中のスズの定量分析方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 有機酸溶液中のスズを分析するとき、有機酸
起因の成分の妨害を排除することができ、分析感度の向
上が可能となり、また、前処理を省略することができる
ため、前処理時におけるクロスコンタミネーションの虞
は全くなくなり、かつ前処理に要した時間分だけトータ
ルの分析処理時間が短縮できるようにした有機酸溶液中
のスズの定量分析方法提供する。 【解決手段】 有機酸溶液中のスズの定量分析を誘導結
合プラズマ発光分析装置を用いて行う分析方法であっ
て、上記誘導結合プラズマ発光分析装置の分析発光線の
波長を235.484nm、242.170nm及び2
83.999nmのいずれかに設定して分析を行うよう
にした。
起因の成分の妨害を排除することができ、分析感度の向
上が可能となり、また、前処理を省略することができる
ため、前処理時におけるクロスコンタミネーションの虞
は全くなくなり、かつ前処理に要した時間分だけトータ
ルの分析処理時間が短縮できるようにした有機酸溶液中
のスズの定量分析方法提供する。 【解決手段】 有機酸溶液中のスズの定量分析を誘導結
合プラズマ発光分析装置を用いて行う分析方法であっ
て、上記誘導結合プラズマ発光分析装置の分析発光線の
波長を235.484nm、242.170nm及び2
83.999nmのいずれかに設定して分析を行うよう
にした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機酸溶液中の微
量のスズを定量分析する方法に関するものであって、特
には工業用試薬を用いた有機酸溶液中、または半導体試
薬を用いた有機酸溶液中の微量のスズの定量分析方法に
関する。
量のスズを定量分析する方法に関するものであって、特
には工業用試薬を用いた有機酸溶液中、または半導体試
薬を用いた有機酸溶液中の微量のスズの定量分析方法に
関する。
【0002】
【従来技術】スズを含む重金属元素は、半導体素子特性
悪化の原因とされており、半導体産業においてはデバイ
ス製造における歩留りや製品の信頼性において、その工
程内での重金属不純物低減が重要である。不純物低減の
ためには、工程中で使用される有機酸溶液中の不純物濃
度管理が重要である。半導体基板や素子の製造工程で
は、例えばクエン酸等の有機酸溶液が使用されるため、
これらの不純物管理は重要である。
悪化の原因とされており、半導体産業においてはデバイ
ス製造における歩留りや製品の信頼性において、その工
程内での重金属不純物低減が重要である。不純物低減の
ためには、工程中で使用される有機酸溶液中の不純物濃
度管理が重要である。半導体基板や素子の製造工程で
は、例えばクエン酸等の有機酸溶液が使用されるため、
これらの不純物管理は重要である。
【0003】また、有機酸溶液中の重金属不純物を分析
するためには、一般的に硫酸添加加熱分解等の前処理を
必要とし、有機酸溶液中の有機成分を分解の後、希硝酸
による残留不純物回収操作後に誘導結合プラズマ発光分
析(ICP−AES)が行われる。
するためには、一般的に硫酸添加加熱分解等の前処理を
必要とし、有機酸溶液中の有機成分を分解の後、希硝酸
による残留不純物回収操作後に誘導結合プラズマ発光分
析(ICP−AES)が行われる。
【0004】通常、誘導結合プラズマ発光分析装置を用
いて有機酸溶液中の重金属不純物としてのスズの分析を
行うには、27種類の発光線の波長(189.933n
m、203.950nm、206.858nm、20
9.144nm、209.158nm、209.435
nm、214.873nm、214.931nm、22
1.492nm、226.598nm、226.604
nm、228.224nm、233.480nm、23
5.484nm、242.170nm、249.772
nm、261.418nm、279.019nnm、2
83.999nm、294.362nm、306.77
6nm、309.469nm、310.223nm、3
39.904nm、393.037nm、407.77
2nm、451.130nm)の中から、感度の最も高
い波長(189.933nm)を選択して行われてい
る。
いて有機酸溶液中の重金属不純物としてのスズの分析を
行うには、27種類の発光線の波長(189.933n
m、203.950nm、206.858nm、20
9.144nm、209.158nm、209.435
nm、214.873nm、214.931nm、22
1.492nm、226.598nm、226.604
nm、228.224nm、233.480nm、23
5.484nm、242.170nm、249.772
nm、261.418nm、279.019nnm、2
83.999nm、294.362nm、306.77
6nm、309.469nm、310.223nm、3
39.904nm、393.037nm、407.77
2nm、451.130nm)の中から、感度の最も高
い波長(189.933nm)を選択して行われてい
る。
【0005】しかし、この波長帯は、残留有機物の波長
との干渉が大きく、分析値の信頼性に乏しいという欠点
があった。更に、前処理による有機成分の分解操作を必
要とするため、操作時のクロスコンタミネーションにも
注意を要する。
との干渉が大きく、分析値の信頼性に乏しいという欠点
があった。更に、前処理による有機成分の分解操作を必
要とするため、操作時のクロスコンタミネーションにも
注意を要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】有機酸溶液中のスズを
誘導結合プラズマ発光分析法で分析するためには、通
常、前処理として試料溶液中に適量の硫酸を添加し、白
煙が出るまで加熱、蒸発乾固することで、複雑な有機成
分を分解した後に希硝酸で残留不純物を回収するという
操作を経て分析を行うが、このような前処理なしに分析
することができれば前処理時におけるクロスコンタミネ
ーションを未然に防ぐことが可能であり、かつ前処理に
要する時間を短縮することができる。
誘導結合プラズマ発光分析法で分析するためには、通
常、前処理として試料溶液中に適量の硫酸を添加し、白
煙が出るまで加熱、蒸発乾固することで、複雑な有機成
分を分解した後に希硝酸で残留不純物を回収するという
操作を経て分析を行うが、このような前処理なしに分析
することができれば前処理時におけるクロスコンタミネ
ーションを未然に防ぐことが可能であり、かつ前処理に
要する時間を短縮することができる。
【0007】また、スズの分析は一般に、分析発光線の
波長をスズの発光強度の最も高い189.933nmに
設定して行うが、有機酸溶液中のスズを分析する場合、
この波長での分析は、近接する干渉波長成分の影響で、
バックグラウンド信号強度の変動が大きく、分析値の信
頼性を低下させる大きな要因となっており、波長干渉の
少ない領域での分析が必要である。
波長をスズの発光強度の最も高い189.933nmに
設定して行うが、有機酸溶液中のスズを分析する場合、
この波長での分析は、近接する干渉波長成分の影響で、
バックグラウンド信号強度の変動が大きく、分析値の信
頼性を低下させる大きな要因となっており、波長干渉の
少ない領域での分析が必要である。
【0008】したがって、有機酸溶液、特に半導体製造
工程で使用される工業用試薬や半導体試薬を用いた有機
酸溶液中に含まれる微量のスズを定量分析することは上
記した従来の手法によっては困難なものであった。
工程で使用される工業用試薬や半導体試薬を用いた有機
酸溶液中に含まれる微量のスズを定量分析することは上
記した従来の手法によっては困難なものであった。
【0009】本発明は、上記した問題点に鑑みなされた
もので、有機酸溶液中のスズを分析するとき、有機酸起
因の成分の妨害を排除することができ、分析感度の向上
が可能となり、また、前処理を省略することができるた
め、前処理時におけるクロスコンタミネーションの虞は
全くなくなり、かつ前処理に要した時間分だけトータル
の分析処理時間が短縮できるようにした有機酸溶液中の
スズの定量分析方法を提供することを目的とする。
もので、有機酸溶液中のスズを分析するとき、有機酸起
因の成分の妨害を排除することができ、分析感度の向上
が可能となり、また、前処理を省略することができるた
め、前処理時におけるクロスコンタミネーションの虞は
全くなくなり、かつ前処理に要した時間分だけトータル
の分析処理時間が短縮できるようにした有機酸溶液中の
スズの定量分析方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、有機酸溶液中のスズの定量分析を誘導結
合プラズマ発光分析装置を用いて行う分析方法であっ
て、上記誘導結合プラズマ発光分析装置の分析発光線の
波長を235.484nm、242.170nm及び2
83.999nmのいずれかに設定して分析を行うこと
を特徴とするものである。
め、本発明は、有機酸溶液中のスズの定量分析を誘導結
合プラズマ発光分析装置を用いて行う分析方法であっ
て、上記誘導結合プラズマ発光分析装置の分析発光線の
波長を235.484nm、242.170nm及び2
83.999nmのいずれかに設定して分析を行うこと
を特徴とするものである。
【0011】上記スズを含む有機酸溶液としてはクエン
酸を含む溶液等があげられる。上記分析発光線の波長と
しては283.999nmを選択して分析を行うことが
最も好ましい。また、上記有機酸溶液は、純水によって
5〜15%の濃度に希釈された溶液とするのが好適であ
る。
酸を含む溶液等があげられる。上記分析発光線の波長と
しては283.999nmを選択して分析を行うことが
最も好ましい。また、上記有機酸溶液は、純水によって
5〜15%の濃度に希釈された溶液とするのが好適であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。
て説明する。
【0013】本発明に用いる誘導結合プラズマ発光分析
装置としては、後述のパーキンエルマー社製OPTIM
A300XLなど、市販されている一般的なものを使用
すればよい。高濃度の有機酸溶液の分析では、溶液中に
含まれる有機物(炭素)の割合の増大から、誘導結合プ
ラズマ発光分析装置のプラズマトーチ内で蒸発、分解し
た有機物がトーチ内壁に付着し、プラズマの異常放電を
誘発する。また、低濃度の有機酸溶液の分析では、検出
下限が悪化する。よって、分析する溶液は5〜15%、
例えば10%程度まで純水で希釈することが好ましい。
装置としては、後述のパーキンエルマー社製OPTIM
A300XLなど、市販されている一般的なものを使用
すればよい。高濃度の有機酸溶液の分析では、溶液中に
含まれる有機物(炭素)の割合の増大から、誘導結合プ
ラズマ発光分析装置のプラズマトーチ内で蒸発、分解し
た有機物がトーチ内壁に付着し、プラズマの異常放電を
誘発する。また、低濃度の有機酸溶液の分析では、検出
下限が悪化する。よって、分析する溶液は5〜15%、
例えば10%程度まで純水で希釈することが好ましい。
【0014】誘導結合プラズマ発光分析装置は直交軸型
トーチのものを用いることで、発光線の収率が向上し、
検出下限の改善がはかれる。
トーチのものを用いることで、発光線の収率が向上し、
検出下限の改善がはかれる。
【0015】有機酸溶液中のスズを誘導結合プラズマ発
光分析装置で分析するとき、溶液濃度を5〜15%、例
えば10%程度にまで純水で希釈し、波長235.48
4nm、242.170nm、283.999nmのい
ずれか、特に波長283.999nmで分析すること
で、分析値の信頼性を低下させる大きな要因となってい
たバックグラウンド信号の変動レベルを非常に小さくで
きる。これは、有機酸起因の成分による波長干渉が、2
83.999nmでは最も生じにくいことを意味する。
その結果、スズの検出下限の向上を計ることができる。
また、前述したような前処理を要しないため、分析まで
の時間を短縮することが可能である。
光分析装置で分析するとき、溶液濃度を5〜15%、例
えば10%程度にまで純水で希釈し、波長235.48
4nm、242.170nm、283.999nmのい
ずれか、特に波長283.999nmで分析すること
で、分析値の信頼性を低下させる大きな要因となってい
たバックグラウンド信号の変動レベルを非常に小さくで
きる。これは、有機酸起因の成分による波長干渉が、2
83.999nmでは最も生じにくいことを意味する。
その結果、スズの検出下限の向上を計ることができる。
また、前述したような前処理を要しないため、分析まで
の時間を短縮することが可能である。
【0016】スズ以外の金属(例えば、クロム、鉄、ニ
ッケル、銅、亜鉛等)は、波長干渉の影響は少なく、測
定上ほとんど問題がない。また、波長干渉によりスズの
検出に影響を与える有機酸としては、クエン酸(C6H8
O7)のほか、アスコルビン酸(C6H8O6)、リンゴ酸
(C4H6O5)、酒石酸(C4H6O6)などのカルボン酸
系の有機酸を挙げることができ、炭素数が多くなるほど
干渉の影響が大きくなる傾向がある。
ッケル、銅、亜鉛等)は、波長干渉の影響は少なく、測
定上ほとんど問題がない。また、波長干渉によりスズの
検出に影響を与える有機酸としては、クエン酸(C6H8
O7)のほか、アスコルビン酸(C6H8O6)、リンゴ酸
(C4H6O5)、酒石酸(C4H6O6)などのカルボン酸
系の有機酸を挙げることができ、炭素数が多くなるほど
干渉の影響が大きくなる傾向がある。
【0017】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもの
で限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもな
い。
に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもの
で限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもな
い。
【0018】(実施例1〜3及び比較例1)試薬純度特
級のクエン酸(関東化学製 純度98%)を濃度が10
%になるように純水で希釈後、検量線作成用標準液とし
て関東化学製原子吸光分析用標準溶液(Sn 1000
ppm)を添加して、クエン酸溶液中のスズ濃度が10
ppbになるように調整した。
級のクエン酸(関東化学製 純度98%)を濃度が10
%になるように純水で希釈後、検量線作成用標準液とし
て関東化学製原子吸光分析用標準溶液(Sn 1000
ppm)を添加して、クエン酸溶液中のスズ濃度が10
ppbになるように調整した。
【0019】また、スズの分析用標準溶液を添加しない
ものをブランク試料とした。これらの溶液を誘導結合プ
ラズマ発光分析装置(パーキンエルマー社製OPTIMA3000
XL直交軸型トーチ使用)により、スズの発光線の波長で
あり、発光強度がある程度高い波長である(a)18
9.933nm(比較例1)、(b)235.484n
m(実施例1)、(c)242.170nm(実施例
2)、(d)283.999nm(実施例3)にそれぞ
れ設定し分析し、図1(a)〜(d)に示す検量線を得
た。
ものをブランク試料とした。これらの溶液を誘導結合プ
ラズマ発光分析装置(パーキンエルマー社製OPTIMA3000
XL直交軸型トーチ使用)により、スズの発光線の波長で
あり、発光強度がある程度高い波長である(a)18
9.933nm(比較例1)、(b)235.484n
m(実施例1)、(c)242.170nm(実施例
2)、(d)283.999nm(実施例3)にそれぞ
れ設定し分析し、図1(a)〜(d)に示す検量線を得
た。
【0020】図1の結果から、比較例1〔189.93
3nm、図1(a)〕ではスズ濃度と発光強度との相関
は存在しないのに対し、実施例3〔283.999n
m、図1(d)〕では最も高い相関を示し、実施例1
〔235.484nm、図1(b)〕及び実施例2〔2
42.170nm、図1(c)〕では実施例3に次ぐ相
関を示すことがわかった。
3nm、図1(a)〕ではスズ濃度と発光強度との相関
は存在しないのに対し、実施例3〔283.999n
m、図1(d)〕では最も高い相関を示し、実施例1
〔235.484nm、図1(b)〕及び実施例2〔2
42.170nm、図1(c)〕では実施例3に次ぐ相
関を示すことがわかった。
【0021】(実施例4〜6及び比較例2)各波長〔1
89.933nm(比較例2)、235.484nm
(実施例4)、242.170nm(実施例5)、28
3.999nm(実施例6)〕ごとにブランク試料を1
0回ずつ分析し、その平均値の3シグマ(標準偏差の3
倍)を得られた検量線(図1)に適用することにより、
スズ濃度の検出下限値を求めた。表1にその結果を示
す。
89.933nm(比較例2)、235.484nm
(実施例4)、242.170nm(実施例5)、28
3.999nm(実施例6)〕ごとにブランク試料を1
0回ずつ分析し、その平均値の3シグマ(標準偏差の3
倍)を得られた検量線(図1)に適用することにより、
スズ濃度の検出下限値を求めた。表1にその結果を示
す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、スズ濃度の検出
下限は、波長が283.999nm(実施例6)であれ
ば最も低い値となり、また242.170nm(実施例
5)及び235.484nm(実施例4)がそれに次ぐ
低い値であるが、波長189.933nmでは検出下限
が極めて高くなっていることがわかった。
下限は、波長が283.999nm(実施例6)であれ
ば最も低い値となり、また242.170nm(実施例
5)及び235.484nm(実施例4)がそれに次ぐ
低い値であるが、波長189.933nmでは検出下限
が極めて高くなっていることがわかった。
【0024】(実施例7〜9及び比較例3〜11)2%
濃度の硝酸溶液、10%濃度のクエン酸溶液(スズ添加
なし)及び10%濃度のクエン酸溶液中に10ppbの
スズを添加した溶液のそれぞれについて、スズの各波長
(189.933nm、235.484nm、242.
170nm、283.999nm)における発光スペク
トルを図2(a)〜(d)に示す。
濃度の硝酸溶液、10%濃度のクエン酸溶液(スズ添加
なし)及び10%濃度のクエン酸溶液中に10ppbの
スズを添加した溶液のそれぞれについて、スズの各波長
(189.933nm、235.484nm、242.
170nm、283.999nm)における発光スペク
トルを図2(a)〜(d)に示す。
【0025】図2(a)に示した波長189.933n
mでは、2%硝酸溶液(比較例5)では何もピークは現
れないが、10%クエン酸溶液(比較例4)では近接し
て干渉ピークが現れるため、スズを10ppb添加した
10%クエン酸溶液(比較例3)と比較してもスペクト
ルにほとんど変化が見られない。これは、干渉成分のた
めバックグラウンド信号レベルが上昇し、スズの発光信
号がバックグラウンド中に埋もれていることを意味す
る。
mでは、2%硝酸溶液(比較例5)では何もピークは現
れないが、10%クエン酸溶液(比較例4)では近接し
て干渉ピークが現れるため、スズを10ppb添加した
10%クエン酸溶液(比較例3)と比較してもスペクト
ルにほとんど変化が見られない。これは、干渉成分のた
めバックグラウンド信号レベルが上昇し、スズの発光信
号がバックグラウンド中に埋もれていることを意味す
る。
【0026】図2(b)に示した波長235.484n
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例7)では、何もピ
ークは現れないが、10%クエン酸溶液(比較例6)で
は干渉ピークが現れたもののそれ程高いピークではな
い。一方、スズを10ppb添加した10%クエン酸溶
液(実施例7)の発光強度は低下しているが、干渉成分
の影響をそれ程受けないため、有機酸溶液中のスズの定
量分析として実用可能なものである。
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例7)では、何もピ
ークは現れないが、10%クエン酸溶液(比較例6)で
は干渉ピークが現れたもののそれ程高いピークではな
い。一方、スズを10ppb添加した10%クエン酸溶
液(実施例7)の発光強度は低下しているが、干渉成分
の影響をそれ程受けないため、有機酸溶液中のスズの定
量分析として実用可能なものである。
【0027】図2(c)に示した波長242.170n
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例9)では、ピーク
はほとんど現れないが、10%クエン酸溶液(比較例
8)では干渉ピークは多少現れるものの比較例6の場合
よりもさらに低いものである。一方、スズを10ppb
添加した10%クエン酸溶液(実施例8)の発光強度は
実施例7同様低下しているが、同様に干渉成分の影響を
それ程受けないため、有機酸溶液中のスズの定量分析と
して実用可能なものである。
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例9)では、ピーク
はほとんど現れないが、10%クエン酸溶液(比較例
8)では干渉ピークは多少現れるものの比較例6の場合
よりもさらに低いものである。一方、スズを10ppb
添加した10%クエン酸溶液(実施例8)の発光強度は
実施例7同様低下しているが、同様に干渉成分の影響を
それ程受けないため、有機酸溶液中のスズの定量分析と
して実用可能なものである。
【0028】図2(d)に示した波長283.999n
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例11)では、ピー
クはほとんど現れないが、10%クエン酸溶液(比較例
10)では干渉成分はほとんど存在しない。また、スズ
を10ppb添加した10%クエン酸溶液(実施例9)
の発光強度は高いため、検出感度は極めて高く、この波
長による有機酸溶液中のスズの定量分析の感度は最も良
好であることがわかった。
mにおいても、2%硝酸溶液(比較例11)では、ピー
クはほとんど現れないが、10%クエン酸溶液(比較例
10)では干渉成分はほとんど存在しない。また、スズ
を10ppb添加した10%クエン酸溶液(実施例9)
の発光強度は高いため、検出感度は極めて高く、この波
長による有機酸溶液中のスズの定量分析の感度は最も良
好であることがわかった。
【0029】尚、この実験に使用したクエン酸中にはス
ズは検出限界以下の濃度しか含まれていない。以上のこ
とから、従来法のような前処理による有機成分の分解操
作を行わなくても信頼性が高く、感度の良い分析が可能
となった。
ズは検出限界以下の濃度しか含まれていない。以上のこ
とから、従来法のような前処理による有機成分の分解操
作を行わなくても信頼性が高く、感度の良い分析が可能
となった。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
有機酸溶液中のスズを分析するとき、有機酸起因の成分
の妨害を排除することができ、分析感度の向上が可能と
なり、また、前処理を省略することができるため、前処
理時におけるクロスコンタミネーションの虞は全くなく
なり、かつ前処理に要した時間分だけトータルの分析処
理時間が短縮できるという効果が達成される。
有機酸溶液中のスズを分析するとき、有機酸起因の成分
の妨害を排除することができ、分析感度の向上が可能と
なり、また、前処理を省略することができるため、前処
理時におけるクロスコンタミネーションの虞は全くなく
なり、かつ前処理に要した時間分だけトータルの分析処
理時間が短縮できるという効果が達成される。
【図1】 実施例1〜3及び比較例1の各波長における
スズ濃度と発光強度との関係をそれぞれ示すグラフであ
る。
スズ濃度と発光強度との関係をそれぞれ示すグラフであ
る。
【図2】 実施例7〜9及び比較例4〜11の各波長に
おける発光強度を示すグラフである。
おける発光強度を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 有機酸溶液中のスズの定量分析を誘導結
合プラズマ発光分析装置を用いて行う分析方法であっ
て、上記誘導結合プラズマ発光分析装置の分析発光線の
波長を235.484nm、242.170nm及び2
83.999nmのいずれかに設定して分析を行うこと
を特徴とする分析方法。 - 【請求項2】 前記有機酸溶液が、クエン酸を含む溶液
である請求項1記載の分析方法。 - 【請求項3】 前記分析発光線の波長を283.999
nmに設定して分析を行う請求項1又は2記載の分析方
法。 - 【請求項4】 前記有機酸溶液が、純水によって5〜1
5%の濃度に希釈された溶液である請求項1〜3のいず
れか1項記載の分析方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001120899A JP2002310913A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 有機酸溶液中のスズの定量分析方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001120899A JP2002310913A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 有機酸溶液中のスズの定量分析方法 |
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JP2001120899A Pending JP2002310913A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 有機酸溶液中のスズの定量分析方法 |
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JP (1) | JP2002310913A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007003428A (ja) * | 2005-06-27 | 2007-01-11 | Shimadzu Corp | 発光分光分析方法及び発光分光分析装置 |
JP2017161486A (ja) * | 2016-03-11 | 2017-09-14 | 株式会社住化分析センター | 定量装置、定量方法、制御プログラム、および記録媒体 |
-
2001
- 2001-04-19 JP JP2001120899A patent/JP2002310913A/ja active Pending
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JP2017161486A (ja) * | 2016-03-11 | 2017-09-14 | 株式会社住化分析センター | 定量装置、定量方法、制御プログラム、および記録媒体 |
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