JP2002302498A - ヌクレオシドの工業的な製造法 - Google Patents

ヌクレオシドの工業的な製造法

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JP2002302498A
JP2002302498A JP2001104777A JP2001104777A JP2002302498A JP 2002302498 A JP2002302498 A JP 2002302498A JP 2001104777 A JP2001104777 A JP 2001104777A JP 2001104777 A JP2001104777 A JP 2001104777A JP 2002302498 A JP2002302498 A JP 2002302498A
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Yasuko Matsuba
松葉  泰子
Daiki Ishibashi
石橋  大樹
Kiyoteru Nagahara
長原  清輝
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1−リン酸化糖誘導体を結晶として単離するこ
となく、ヌクレオシドを製造する方法を提供すること。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 で示される化合物またはそれらの塩から、R1及びR2
ヒドロキシメチル基、カルボキシル基の保護基、または
4の水酸基の保護基を脱離後、リン酸基と核酸塩基と
の交換反応により、ヌクレオシドを合成する方法におい
て、脱離反応およびリン酸基と塩基との交換反応を水溶
性溶媒中で行うことによって、一般式(3) 【化2】 で示される上記化合物またはそれらの塩を結晶として単
離することなく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汎用性の高いヌク
レオシド化合物を製造する方法に関する。更に詳しく説
明すれば、ヌクレオシド化合物の原料である一般式
(1)
【0002】
【化6】 〔式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、
メチル基、保護されたヒドロキシメチル基または保護さ
れたカルボキシル基を表し、R3はアシル基、スルホニ
ル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、Xはハロゲ
ン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表し、W
は酸素原子またはイオウ原子を表し、Zは酸素原子、イ
オウ原子または置換されてもよい炭素原子を表す。ま
た、nは0または1を表し、pおよびqは0から4の整
数を表し、rは0または1を表す。(ただし、p、q、
r、nは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+
r≦n+1、q≦2×(n+1)−2×(p+r)を、
Zが炭素原子の場合はp+r≦n+2、q≦2×(n+
2)−2×(p+r)を満たす。)〕で示される化合物
から一般式(3)
【0003】
【化7】 (R1’およびR2’は、独立してそれぞれ水素原子、メ
チル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を表
し、R3’は水素原子またはアシル基、スルホニル基を
表し、X、W、Z、n、p、q、rは前記と同義であ
る。)で示される中間化合物を結晶として単離すること
なく、ヌクレオシド化合物を安定的に製造する工業的な
製造方法に関する。ヌクレオシドは、抗ウイルス医薬
品、抗ガン医薬品やアンチセンス医薬品などの原料また
は原体として使用される重要な医薬中間体である。
【0004】
【従来の技術】ヌクレオシドの製造法としては、ヌクレ
オシドホスホリラーゼの逆反応を利用した各種ヌクレオ
シドの合成法が以前より知られている。
【0005】ヌクレオシドホスホリラーゼは次式で表わ
される反応を触媒し、この反応は可逆的である。
【0006】ヌクレオシド+リン酸(塩) → 塩基
+ 1−リン酸化糖誘導体合成法の例としては、2’−
デオキシリボース1−リン酸と核酸塩基(チミン、アデ
ニンまたはグアニン)からチミジン(特開平01−10
4190号公報)、2’−デオキシアデノシン(特開平
11−137290号公報)または2’−デオキシグア
ノシン(特開平11−137290号公報)を製造する
方法が開示されている。しかしながら、これらの製法で
は高価なヌクレオシドを原料として使用するために、コ
スト的に満足のできる製法ではない。
【0007】更に、この酵素反応の原料となる1−リン
酸化糖誘導体は、化学合成が極めて難しいことが知られ
ている。
【0008】医薬中間体として今後更に供給量が増すと
考えられるヌクレオシドの製法に関して、本発明者らが
1−リン酸化糖誘導体を経由する合成方法の検討を行っ
た結果、1−リン酸化糖誘導体は、その結晶の性質から
濾過性が非常に悪く、そのために単離操作が困難である
ことが分かった。よって、工業規模で1−リン酸化糖誘
導体を単離するためには、大規模な設備投資を必要と
し、工業的製法としては問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一般式
(1)で示される化合物またはそれらの塩から、一般式
(3)で示される1−リン酸化糖誘導体を結晶として単
離することなく、ヌクレオシドを製造する方法を提供す
ることにある。
【0010】すなわち、本発明の課題は、抗ウイルス
剤、アンチセンス医薬品などの原料または原体として使
用されるヌクレオシドを大規模な設備投資を必要とする
ことなく、工業規模で製造する方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するべく鋭意検討を行い、一般式(1)で示され
る化合物またはそれらの塩から保護基の脱離反応および
リン酸基と塩基との交換反応を水溶性溶媒中で行うこと
によって、結晶として単離することなく、ヌクレオシド
を製造することが可能であることが分かった。この知見
により、濾過性の悪い一般式(3)で示される中間化合
物を結晶として単離することなく工業的な規模でヌクレ
オシドの製造を可能し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、 [1] 一般式(1)[化8]
【0013】
【化8】 〔式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、
メチル基、保護されたヒドロキシメチル基または保護さ
れたカルボキシル基を表し、R3はアシル基、スルホニ
ル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、Xはハロゲ
ン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表し、W
は酸素原子またはイオウ原子を表し、Zは酸素原子、イ
オウ原子または置換されてもよい炭素原子を表す。ま
た、nは0または1を表し、pおよびqは0から4の整
数を表し、rは0または1を表す。(ただし、p、q、
r、nは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+
r≦n+1、q≦2×(n+1)−2×(p+r)を、
Zが炭素原子の場合はp+r≦n+2、q≦2×(n+
2)−2×(p+r)を満たす。)〕で示される化合物
またはそれらの塩から、R1及びR2のヒドロキシメチル
基、カルボキシル基の保護基、またはR4の水酸基の保
護基を脱離後、リン酸基と塩基との交換反応により、一
般式(2)[化9]
【0014】
【化9】 (式中、Bは、独立してそれぞれピリミジン、プリン、
アザプリンおよびデアザプリンからなる群から選択され
た塩基を示し、それらはハロゲン原子、アルキル基、ハ
ロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アル
キニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒド
ロキシアミノ基、アミノキシ基、アルコキシ基、メルカ
プト基、アルキルメルカプト基、アリール基、アリール
オキシ基またはシアノ基によって置換されていてもよ
い。また、R1’およびR2’は、独立してそれぞれ水素
原子、メチル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシ
ル基を表し、R3’は水素原子またはアシル基、スルホ
ニル基を表し、X、W、Z、n、p、q、rは前記と同
義である。)で示される上記のヌクレオシドを合成する
方法において、脱離反応およびリン酸基と塩基との交換
反応を水溶性溶媒中で行うことによって、一般式(3)
[化10]
【0015】
【化10】 (式中、R1’およびR2’、R3’、X、W、Z、n、
p、q、rは前記と同義である。)で示される上記化合
物またはそれらの塩を結晶として単離することなく製造
することを特徴とするヌクレオシドの工業的な製造法。 [2]脱離反応に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水
酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩又は水酸化物、水酸
化アンモニウム類、または1級のアルキルアミン、2級
のアルキルアミン、3級のアルキルアミンから選ばれる
一種又は二種以上の塩基を用いることを特徴とする[1]
記載のヌクレオシドの製造法。 [3]脱離反応及びリン酸基と塩基との交換反応で使用さ
れる水溶性溶媒が、水、アルコール類、エーテル類、ま
たは水と前記溶媒との混合液のいずれかであることを特
徴とする[1]又は[2]記載の製造法。 [4] 一般式(1)で示される化合物が下記式(4)で
表される化合物またはそれらの塩 [化11]
【0016】
【化11】 であり、一般式(3)で示される化合物が下記式(5)
である化合物またはそれらの塩 [化12]
【0017】
【化12】 である[1]〜[3]記載の製造法。 [5] 一般式(2)中のBがアデニン、またはグアニン
である[1]〜[4]記載の製造法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】一般式(1)中のR1又はR2で表される保
護されたヒドロキシメチル基、およびR4で表わされる
水酸基の保護基とは、加水素分解、加水分解、光分解の
ような化学的方法によって除去される保護基を指す。そ
のような基としては、ホルミル基、アシル基、シリル
基、アルキル基、アラルキル基、カルボニル基があり、
中でも好ましくは、ホルミル基、脂肪族アシル基、芳香
族アシル基、シリル基、アルコキシアルキル基、ハロゲ
ン化アルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニル
基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0020】脂肪族アシル基としては、アルキルカルボ
ニル基またはハロゲン置換された低級アルキルカルボニ
ル基が挙げられる。
【0021】上記のアルキルカルボニル基の具体例とし
て、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブ
チリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル
基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノニルカルボニ
ル基、デシルカルボニル基、3−メチルノニルカルボニ
ル基、8−メチルノニルカルボニル基、3−エチルオク
チルカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルカルボニ
ル基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル
基、トリデシルカルボニル基、テトラデシルカルボニル
基、ペンタデシルカルボニル基、ヘキサデシルカルボニ
ル基、1−メチルペンタデシルカルボニル基、14−メ
チルペンタデシルカルボニル基、13,13−ジメチル
テトラデシルカルボニル基、ヘプタデシルカルボニル
基、15−メチルヘキサデシルカルボニル基、オクタデ
シルカルボニル基などを例示することができる。
【0022】また、ハロゲン置換された低級アルキルカ
ルボニル基の具体例として、クロロアセチル基、ジクロ
ロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロア
セチル基などを例示することができる。
【0023】芳香族アシル基としては、アリールカルボ
ニル基、ハロゲン置換されたアリールカルボニル基、低
級アルキルアリールカルボニル基、低級アルコキシアリ
ールカルボニル基、ニトロアリールカルボニル基、低級
アルコキシカルボニルアリールカルボニル基、アリール
アリールカルボニル基を挙げることができる。
【0024】上記のアリールカルボニル基の具体例とし
て、ベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル
基などを例示することができる。
【0025】また、ハロゲン置換されたアリールカルボ
ニル基の具体例として、2−フルオロベンゾイル基、3
−フルオロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、
2−クロロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、4
−クロロベンゾイル基、2−ブロモベンゾイル基、3−
ブロモベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、2,4
−ジクロロベンゾイル基、2,6−ジクロロベンゾイル
基、3,4−ジクロロベンゾイル基、3,5−ジクロロ
ベンゾイル基などを例示することができる。
【0026】また、低級アルキルアリールカルボニル基
の具体例として、2−トルイル基、3−トルイル基、4
−トルイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基な
どを例示することができる。
【0027】さらに、低級アルコキシアリールカルボニ
ル基の具体例として、2−アニソイル基、3−アニソイ
ル基、4−アニソイル基などを例示することができる。
【0028】ニトロアリールカルボニル基の具体例とし
て、2−ニトロベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル
基、4−ニトロベンゾイル基、3,5−ジニトロベンゾ
イル基などを例示することができる。
【0029】さらに、低級アルコキシカルボニルアリー
ルカルボニル基の具体例として、2−(メトキシカルボ
ニル)ベンゾイル基などを、アリール化アリールカルボ
ニル基の具体例として、4−フェニルベンゾイル基など
を例示することができる。
【0030】シリル基としては、低級アルキルシリル
基、アリール基で置換された低級アルキルシリル基を挙
げることができる。
【0031】低級アルキルシリル基の具体例として、ト
リメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピル
ジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル
基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピル
シリル基を例示することができる。
【0032】アリール基で置換された低級アルキルシリ
ル基の具体例として、ジフェニルメチルシリル基、ジフ
ェニルイソプロピルシリル基、フェニルジイソプロピル
シリル基などを例示することができる。
【0033】アラルキル基としては、低級アルキル基で
置換されたアラルキル基、低級アルコキシ基で置換され
たアラルキル基、ニトロ基で置換されたアラルキル基、
ハロゲン置換されたアラルキル基、シアノ基で置換され
たアラルキル基を挙げることができる。
【0034】これらの具体的な基を例示すると、2−メ
チルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベ
ンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、2−メ
トキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メト
キシベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベ
ンジル基、4−ニトロベンジル基、2−クロロベンジル
基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2
−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロ
モベンジル基、2−シアノベンジル基、3−シアノベン
ジル基、4−シアノベンジル基などが挙げられる。
【0035】アラルキルオキシカルボニル基としては、
低級アルキル基で置換されたアラルキルオキシカルボニ
ル基、低級アルコキシ基で置換されたアラルキルオキシ
カルボニル基、ニトロ基で置換されたアラルキルオキシ
カルボニル基、ハロゲン置換されたアラルキルオキシカ
ルボニル基、シアノ基で置換されたアラルキルオキシカ
ルボニル基を挙げることができる。
【0036】これらの具体例として、2−メチルベンジ
ルオキシカルボニル基、3−メチルベンジルオキシカル
ボニル基、4−メチルベンジルオキシカルボニル基、
2,4,6−トリメチルベンジルオキシカルボニル基、
2−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3−メトキ
シベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジル
オキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボ
ニル基、3−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−
ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−クロロベンジ
ルオキシカルボニル基、3−クロロベンジルオキシカル
ボニル基、4−クロロベンジルオキシカルボニル基、2
−ブロモベンジルオキシカルボニル基、3−ブロモベン
ジルオキシカルボニル基、4−ブロモベンジルオキシカ
ルボニル基、2−シアノベンジルオキシカルボニル基、
3−シアノベンジルオキシカルボニル基、4−シアノベ
ンジルオキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0037】アルコキシカルボニル基としては、低級ア
ルコキシカルボニル基、ハロゲン置換されたアルコキシ
カルボニル化合物、アルキルシリル基で置換されたアル
コキシカルボニル基を挙げることができる。
【0038】低級アルコキシカルボニル基の具体例とし
て、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プ
ロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec
−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニ
ル基などを例示することができる。
【0039】ハロゲン置換されたアルコキシカルボニル
基の具体例として、2,2,2−トリクロロエトキシカ
ルボニル基を、低級アルキルシリル基で置換されたアル
コキシカルボニル基の具体例として、2−トリメチルシ
リルエトキシカルボニル基などを例示することができ
る。
【0040】アルキル基としては、メトキシメチル基、
エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−メトキ
シエトキシメチル基のようなアルコキシアルキル基、
2,2,2−トリクロロエチル基のようなハロゲン化ア
ルキル基、ベンジル基、α−ナフチルメチル基、β−ナ
フチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメ
チル基のようなアリール基で置換された低級アルキル基
が挙げられる。
【0041】これらの中で、好ましくは、脂肪族アシル
基、芳香族アシル基、アラルキル基であり、さらに好ま
しくは、4−トルイル基、4−クロロベンゾイル基、ま
たはベンジル基である。
【0042】また、一般式(1)のR1およびR2でいう
保護されたカルボキシル基における保護基とは、加水素
分解、加水分解、光分解のような化学的方法によって除
去される保護基を指す。そのような基としては、好まし
くは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基のような低級アルキル基、2−
(トリメチルシリル)エチル基、2−(トリエチルシリ
ル)エチル基のようなシリル化された低級アルキル基あ
るいは前述のアラルキル基、アルコキシアルキル基など
を挙げることができる。さらに好ましくは、メチル基、
tert−ブチル基、またはベンジル基である。
【0043】Xで示すハロゲン原子とは、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0044】Xでいうアルコキシ基、アルキルチオ基と
しては、例えば、前述の低級アルキル基、アラルキル
基、アルコキシアルキル基を有するアルコキシ基、アル
キルチオ基を挙げることができる。さらに好ましくは、
メトキシ基、メトキシエトキシ基、メチルチオ基であ
る。
【0045】Zが示す置換されてよい炭素原子とは、一
般式で表した置換基が1つないし2つ置換した炭素原子
を表し、置換していない場合には、水素原子で置換され
ている炭素原子を指す。
【0046】一般式(1)中のR3でいうアシル基とし
ては、例えば、前述の脂肪族アシル基、芳香族アシル
基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボ
ニル基、さらにR3でいうスルホニル基としては、メタ
ンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基のよ
うな低級アルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル
基、p−トルエンスルホニル基のようなアリールスルホ
ニル基を挙げることができる。R3として好ましくは、
脂肪族アシル基、芳香族アシル基、低級アルカンスルホ
ニル基であり、具体的には、アセチル基、トリフルオロ
アセチル基、ベンゾイル基、メタンスルホニル基であ
る。
【0047】一般式(1)及び(3)で表される化合物
が有する糖残基としては、好ましくは天然型単糖由来の
残基、非天然糖由来の残基、糖残基誘導体、ハロゲン化
糖残基を挙げることができるが、これらに限定されるも
のではない。例えば、フコース、ラムノース、ジギトキ
ソース、オレアンドロース、キノボースのような6−デ
オキシ糖類、アロース、アルトロース、グルコース、マ
ンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロー
スのようなヘキソース類、リボース、アラビノース、キ
シロース、リキソースのようなペントース類、エリトロ
ース、トレオースのようなテトロース類、グルコサミ
ン、ダウノサミンのようなアミノ糖類、グルクロン酸、
ガラクツロン酸のようなウロン酸類、プシコース、フル
クトース、ソルボース、タガトース、ペンツロースのよ
うなケトース類、2−デオキシリボースのようなデオキ
シ糖類といったD系列もしくはL系列よりなる天然型単
糖由来の残基、ピラノース型あるいはフラノース型の非
天然糖由来の残基があげられる。並びにそれらが有する
水酸基および/またはアミノ基が保護もしくはアシル化
された糖残基誘導体、またはそれらが有する水酸基がフ
ッ素などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化糖残基
を有する糖類が挙げられる。
【0048】本発明の一般式(1)及び(3)〜(5)
で表される化合物が採りうる塩とは、化合物が分子内に
有するリン酸基が形成する塩を示す。塩としては、ナト
リウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金属の
塩、マグネシウム、カルシウム、バリウムのようなアル
カリ土類金属の塩、アルミニウム、鉄のような金属の
塩、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、プ
ロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘ
キシルアミン、オクチルアミンのようなアルキルアミン
類、シクロヘキシルアミンのようなシクロアルキルアミ
ン類、ベンジルアミンのような1級アミン、ジエチルア
ミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキ
シルアミン、ジオクチルアミンのようなジアルキルアミ
ン類、ジシクロヘキシルアミンのようなジシクロアルキ
ルアミン類、ピペリジン、モルフォリン、N−メチルピ
ペラジンのような環状アミンのような2級アミン、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、N−エチルジイソプロピルアミン、トリブチルアミ
ン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N−エ
チルジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、
N−メチルモルフォリン、N,N,N’,N’−テトラ
メチルエチレンジアミンのような3級アミンの塩が挙げ
られる。
【0049】その他、アニリン、N,N−ジメチルアニ
リン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジブチルア
ニリン、N,N−ジオクチルアニリンのようなアニリン
類の塩、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,
4,6−ルチジン、ニコチンアミドのようなピリジン類
の塩、グリシン、アラニン、プロリン、リジン、アルギ
ニン、グルタミンのようなアミノ酸類の塩、シンコニジ
ン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−フェニル
エチルアミンのような光学活性アミンの塩を挙げること
ができ、何れも1価あるいは2価の塩を包含する。好ま
しくは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の
塩、アンモニウム塩、メチルアミン、シクロヘキシルア
ミンなどの1級アミンの塩である。
【0050】さらに、本発明の一般式(1)で表される
化合物は、大気中に放置することにより水分を吸収し、
吸着水が付いたり、水和物となる場合があるが、そのよ
うな塩も本発明に包含される。
【0051】一般式(2)で示されるBは、ピリミジ
ン、プリン、アザプリンおよびデアザプリンからなる群
から選択された天然または非天然型の塩基を示し、それ
らはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アル
ケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、アミノ
基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、
アミノキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキル
メルカプト基、アリール基、アリールオキシ基またはシ
アノ基によって置換されていてもよい。
【0052】置換基としてのハロゲン原子としては、塩
素、フッ素、ヨウ素、臭素が例示される。アルキル基と
しては、メチル、エチル、プロピルなどの炭素数1〜7
の低級アルキル基が例示される。ハロアルキル基として
は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロ
メチル、ブロモメチル、ブロモエチルなどの炭素数1〜
7のアルキルを有するハロアルキル基が例示される。ア
ルケニル基としては、ビニル、アリルなどの炭素数2〜
7のアルケニル基が例示される。ハロアルケニル基とし
ては、ブロモビニル、クロロビニルなどの炭素数2〜7
のアルケニルを有するハロアルケニル基が例示される。
アルキニル基としては、エチニル、プロピニルなどの炭
素数2〜7のアルキニル基が例示される。アルキルアミ
ノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノなどの炭素
数1〜7のアルキルを有するアルキルアミノ基が例示さ
れる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなど
の炭素数1〜7のアルコキシ基が例示される。アルキル
メルカプト基としては、メチルメルカプト、エチルメル
カプトなどの炭素数1〜7のアルキルを有するアルキル
メルカプト基が例示される。アリール基としては、フェ
ニル基;メチルフェニル、エチルフェニルなどの炭素数
1〜5のアルキルを有するアルキルフェニル基;メトキ
シフェニル、エトキシフェニルなどの炭素数1〜5のア
ルコキシを有するアルコキシフェニル基;ジメチルアミ
ノフェニル、ジエチルアミノフェニルなどの炭素数1〜
5のアルキルアミノを有するアルキルアミノフェニル
基;クロロフェニル、ブロモフェニルなどのハロゲノフ
ェニル基などが例示される。
【0053】ピリミジン塩基を具体的に例示すれば、シ
トシン、ウラシル、5−フルオロシトシン、5−フルオ
ロウラシル、5−クロロシトシン、5−クロロウラシ
ル、5−ブロモシトシン、5−ブロモウラシル、5−ヨ
−ドシトシン、5−ヨ−ドウラシル、5−メチルシトシ
ン、5−メチルウラシル(チミン)、5−エチルシトシ
ン、5−エチルウラシル、5−フルオロメチルシトシ
ン、5−フルオロウラシル、5−トリフルオロシトシ
ン、5−トリフルオロウラシル、5−ビニルウラシル、
5−ブロモビニルウラシル、5−クロロビニルウラシ
ル、5−エチニルシトシン、5−エチニルウラシル、5
−プロピニルウラシル、ピリミジン−2−オン、4−ヒ
ドロキシアミノピリミジン−2−オン、4−アミノオキ
シピリミジン−2−オン、4−メトキシピリミジン−2
−オン、4−アセトキシピリミジン−2−オン、4−フ
ルオロピリミジン−2−オン、5−フルオロピリミジン
−2−オンなどが挙げられる。
【0054】プリン塩基を具体的に例示すれば、プリ
ン、6−アミノプリン(アデニン)、6−ヒドロキシプ
リン、6−フルオロプリン、6−クロロプリン、6−メ
チルアミノプリン、6−ジメチルアミノプリン、6−ト
リフルオロメチルアミノプリン、6−ベンゾイルアミノ
プリン、6−アセチルアミノプリン、6−ヒドロキシア
ミノプリン、6−アミノオキシプリン、6−メトキシプ
リン、6−アセトキシプリン、6−ベンゾイルオキシプ
リン、6−メチルプリン、6−エチルプリン、6−トリ
フルオロメチルプリン、6−フェニルプリン、6−メル
カプトプリン、6−メチルメルカプトプリン、6−アミ
ノプリン−1−オキシド、6−ヒドロキシプリン−1−
オキシド、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン(グアニ
ン)、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロ
ロプリン、2−アミノ−6−ヨ−ドプリン、2−アミノ
プリン、2−アミノ−6−メルカプトプリン、2−アミ
ノ−6−メチルメルカプトプリン、2−アミノ−6−ヒ
ドロキシアミノプリン、2−アミノ−6−メトキシプリ
ン、2−アミノ−6−ベンゾイルオキシプリン、2−ア
ミノ−6−アセトキシプリン、2−アミノ−6−メチル
プリン、2−アミノ−6−サイクロプロピルアミノメチ
ルプリン、2−アミノ−6−フェニルプリン、2−アミ
ノ−8−ブロモプリン、6−シアノプリン、6−アミノ
−2−クロロプリン(2−クロロアデニン)、6−アミ
ノ−2−フルオロプリン(2−フルオロアデニン)など
が挙げられる。
【0055】アザプリン塩基およびデアザプリン塩基を
具体的に例示すれば、6−アミノ−3−デアザプリン、
6−アミノ−8−アザプリン、2−アミノ−6−ヒドロ
キシ−8−アザプリン、6−アミノ−7−デアザプリ
ン、6−アミノ−1−デアザプリン、6−アミノ−2−
アザプリンなどが挙げられる。
【0056】以下、反応条件について説明する。一般式
(1)におけるR1およびR2のヒドロキシメチル基、あ
るいはR4の水酸基の保護基として、前述の脂肪族アシ
ル基、芳香族アシル基、アルコキシカルボニル基、また
はR1およびR2のカルボキシル基の保護基として、前述
の低級アルキル基を使用した場合には、溶媒として水溶
性溶媒を使用する。
【0057】水溶性溶媒とは、通常の加水分解反応に使
用されるものであれば特に限定はないが、具体的には、
水、アルコール類、エーテル類または水と前記溶媒との
混合液のいずれかであり、使用される溶媒としては、好
ましくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノールのようなアルコール類、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのよう
なエーテル類を用いることができる。これらの溶媒は一
種または二種以上の混合溶液であってもよい。好ましく
は水である。
【0058】保護基の脱離反応には、塩基を加えてもよ
く、加えることのできる塩基としては、好ましくは、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸
塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムのようなアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、テト
ラn−ブチルアンモニウム ヒドロキシドのような水酸
化アンモニウム類、他の無機塩基類、1級のアルキルア
ミン、2級のアルキルアミン、3級のアルキルアミンな
どが挙げられ、これらから選ばれた一種又は二種以上を
用いる。
【0059】その際の反応温度および反応時間は出発物
質や用いる塩基などによって異なり、特に限定はない
が、好ましくは、−10℃から100℃で、1時間から
5日間で終了する。反応温度、反応時間あるいは試薬の
当量数を調節することにより、R3の保護基を所望によ
り残すこともできるし、同時に除去することもできる。
【0060】脱離反応後、1−リン酸化糖誘導体は、溶
液の状態で得ることができる。ここで、脱離反応により
副生した化合物が結晶として析出した場合は、濾過など
の操作により系外に除去することができる。
【0061】ただし、この操作は必ず行わなければなら
ないものではなく、反応液中に含まれる副生物の量は、
特に限定されるものではない。
【0062】こうして得られた1−リン酸化糖誘導体溶
液に、塩基、反応触媒であるヌクレオシドホスホリラー
ゼ又は該酵素活性を有する微生物を加え、ヌクレオシド
の合成を行う。適切なpHや温度などの反応条件ならび
に管理幅は、目的とするヌクレオシド、基質である1−
リン酸化糖誘導体と塩基、反応触媒であるヌクレオシド
ホスホリラーゼ又は該酵素活性を有する微生物、そして
リン酸を反応系より除外させるために添加する金属塩の
種類とその特性により選ぶ。尚、このようにして製造し
たヌクレオシド化合物は、濃縮、晶析、溶解、電気透析
処理、イオン交換樹脂や活性炭による吸脱着処理どの常
法を適用することにより単離することができる。
【0063】次に、一般式(1)におけるR1およびR2
のヒドロキシメチル基、あるいはR 4の水酸基の保護基
として、前述のアラルキル基、アラルキルオキシカルボ
ニル基またはR1およびR2のカルボキシル基の保護基と
して、前述のアラルキル基を使用した場合には、脱離反
応は、例えば、金属触媒を使用して、接触還元を行って
除去することができる。
【0064】触媒としては、好ましくは、パラジウム炭
素、ラネーニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸
化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウ
ム、パラジウム−硫酸バリウムなどを用いて行うことが
できる。
【0065】その場合の圧力は特に限定されるものでは
ない。その際使用される溶媒としては、通常の加水分解
反応に使用されるものであれば特に限定はないが、好ま
しくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノールのようなアルコール類、前述のエ
ーテル類を用いることができる。これらの溶媒は一種ま
たは二種以上の混合溶液であってもよい。好ましくは、
水である。
【0066】反応温度および反応時間は出発物質、触媒
などによって異なり、特に限定はないが、好ましくは−
10℃から100℃で、1時間から5日間で終了する。
この場合、R3の保護基は、通常除去されずに残すこと
ができる。
【0067】脱離反応後、1−リン酸化糖誘導体は溶液
の状態で得ることができる。ここで、脱離反応により副
生した化合物が結晶として析出した場合は、濾過などの
操作により系外に除去することができる。
【0068】ただし、この操作は必ず行わなければなら
ないものではなく、反応液中に含まれる副生物の量は、
特に限定されるものではない。
【0069】こうして得られた1−リン酸化糖誘導体溶
液に、塩基、反応触媒であるヌクレオシドホスホリラー
ゼ又は該酵素活性を有する微生物を加え、ヌクレオシド
の合成を行う。適切なpHや温度などの反応条件ならび
に管理幅は、目的とするヌクレオシド、基質である1−
リン酸化糖誘導体と塩基、反応触媒であるヌクレオシド
ホスホリラーゼ又は該酵素活性を有する微生物、そして
リン酸を反応系より除外させるために添加する金属塩の
種類とその特性により選ぶ。尚、このようにして製造し
たヌクレオシド化合物は、濃縮、晶析、溶解、電気透析
処理、イオン交換樹脂や活性炭による吸脱着処理どの常
法を適用することにより単離することができる。
【0070】その際、反応溶媒は、水溶性溶媒を使用
し、水溶性溶媒とは、水、アルコール類、エーテル類ま
たは水と前記溶媒との混合液のいずれかであり、使用さ
れる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール
類、前述のエーテル類を用いることができる。これらの
溶媒は一種または二種以上の混合溶液であってもよい。
好ましくは、水であり、脱離反応と同一溶媒を使用する
ことは、経済的にも有利である。
【0071】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】参考例1 3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオ
キシ−D−リボース−1−リン酸の合成 正リン酸 136.8gと2−ブタノン 2Lの混合物
にトリn−ブチルアミン 90.6gとモルキュラーシ
ーブス4A 200gを加え、攪拌しながら5℃に冷却
した。1時間攪拌後、3,5−O−ビス(4−クロロベ
ンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボシル クロリ
ド(純度85%) 200gを加えて2時間攪拌し、2
−ブタノン溶液を得た。2バッチ行い、得た溶液を混合
した。この2−ブタノン溶液を5℃に冷却し、1時間攪
拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。2
3時間後、トリn−ブチルアミン 518gを加えて析
出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した。濾液
を水 4.4Lで洗浄し、さらに水層をトルエン 2L
で抽出した。有機層を集め、氷冷し、シクロヘキシルア
ミン 175gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析
出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、標記化合物のジシク
ロヘキシルアミン塩 426gを無色粉末として得た。
収率78.1%(原料純度換算済み:α体:β体=9
6.9:3.1)。
【0073】実施例1 2'−デオキシアデノシンの合成(1) エシェリヒア・コリK−12/XL−10株(Stra
tagene社)を50mlのLB培地に接種し、37
℃で一夜培養した後集菌し、リゾチーム1mg/mlを
含む溶菌液で溶菌した。溶菌液をフェノール処理した
後、通常の方法によりエタノール沈殿によりDNAを沈
殿させた。生じたDNAの沈殿は、ガラス棒に巻き付け
て回収した後、洗浄し、大腸菌染色体DNAを調製し
た。
【0074】PCR用のプライマーには、エシェリヒア
・コリの既知のdeoD遺伝子の塩基配列(GenBank ac
cession No. AE000508(コード領域は塩基番号11531-12
250)に基づいて設計した配列番号1及び2に示す塩基
配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。これらのプ
ライマーの5’末端付近及び3’末端付近には、それぞ
れEcoRI及びHindIIIの制限酵素認識配列を有
する。
【0075】制限酵素HindIIIで完全に消化した
前記大腸菌染色体DNA6ng/μl及びプライマー各
3μMを含む0.1mlのPCR反応液を用いて、変
性:96℃、1分、アニーリング:55℃、1分、伸長
反応:74℃、1分からなる反応サイクルを、30サイ
クルの条件でPCRを行なった。
【0076】上記反応産物及びプラスミドpUC18
(宝酒造(株)製)を、EcoRI及びHindIII消
化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡(株)製)を用い
て連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、エ
シェリヒア・コリDH5αを形質転換した。形質転換株
を、アンピシリン(Am)50μg/ml及びX−Ga
l(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D
−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐
性で且つ白色コロニーとなった形質転換株を得た。この
ようにして得られた形質転換株よりプラスミドを抽出
し、目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを、pU
C−PNP73と命名した。こうして得られた形質転換
体を、エシェリヒア・コリ MT−10905と名づけ
た。
【0077】エシェリヒア・コリ MT−10905株
をAm50μg/mlを含むLB培地100mLで37
℃・1晩振とう培養した。得られた培養液を13000
rpmで10min遠心分離し、菌体を集めた。菌体を
10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)10mLに懸
濁し、超音波により破砕したものを酵素源として用い
た。
【0078】参考例1で得た3,5−O−ビス(4−ク
ロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−
リン酸17.7gを7.5%水酸化カリウム水41.3
gに懸濁し、60℃で11時間攪拌した。この反応液を
5℃まで冷却後、析出晶を濾別し、水を加えて 60g
の2−デオキシリボース−1−リン酸溶液を得た。酸で
pHを8.5に調整し、アデニン(和光純薬製、特級)
2.8g、上記のように調整した70μlのプリンヌク
レオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添
加し30℃で、24時間反応させた。反応液をアルカリ
でpH10.5とし、65℃に加温溶解した。以下に示
すHPLC分析にて分析した結果、反応収率 91.4
モル%/アデニンであった。
【0079】HPLC分析条件 カラム;YMC−Pack CN A−514 カラム温度;40℃ ポンプ流速;1.0ml/min 検出;UV254nm、 溶離液;20mM KH2PO4(リン酸にてpH=3.
8に調整):アセトニトリル=29:1(V/V)
【0080】実施例2 2'−デオキシアデノシンの合成(2) 参考例1で得た3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイ
ル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸17.
7gを4.0%メチルアミン水41.4gに懸濁し、6
0℃で11時間攪拌した。この反応液を5℃まで冷却
後、析出晶を濾別し、水を加えて 60gの2−デオキ
シリボース−1−リン酸溶液を得た。酸でpHを8.5
に調整し、アデニン(和光純薬製、特級)2.8g、実
施例1と同様にして得られた70μlのプリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添加し
30℃で、24時間反応させた。反応液をアルカリでp
H10.5とし、65℃に加温溶解した。実施例2に示
すHPLC分析にて分析した結果、反応収率 93.6
モル%/アデニンであった。
【0081】実施例3 2'−デオキシアデノシンの合成(3) 実施例1で得た3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイ
ル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸17.
7gを10.5%アンモニア水41.4gに懸濁し、6
0℃で11時間攪拌した。この反応液を5℃まで冷却
後、析出晶を濾別し、水を加えて2−デオキシ−α−D
−リボース−1−リン酸 溶液 60gを得た。酸でp
Hを8.5に調整し、アデニン(和光純薬製、特級)
2.8g、実施例1と同様にして得られた70μlのプ
リンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵
素液を添加し30℃で、24時間反応させた。反応液を
アルカリでpH10.5とし、65℃に加温溶解した。
実施例1に示すHPLC分析にて分析した結果、反応収
率 93.9モル%/アデニンであった。
【0082】実施例4 2'−デオキシグアノシンの合成(1) 参考例1で得た3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイ
ル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸38.
5gを7.5%水酸化カリウム水89.6gに懸濁し、
60℃で11時間攪拌した。この反応液を5℃まで冷却
後、析出晶を濾別し、水を加えて 130.4gの2−
デオキシリボース−1−リン酸溶液を得、水169.6
g、リン酸二アンモニウム1.86gを加え、塩酸でp
Hを8.5に調整した。この溶液に実施例1と同様にし
て得られた0.78mlのプリンヌクレオシドホスホリ
ラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を加え、5.7%グア
ニン(和光純薬製、特級)NaOH液 105.6g、
44.3%塩化カルシウム(和光純薬、特級)29.6
gを3時間で同時に滴下し、その後6時間反応を行っ
た。反応終了液を以下のHPLC分析にて分析した結
果、収率 95.1モル%/グアニンであった。
【0083】HPLC分析条件 カラム;YMC−Pack ODS−A313 カラム温度;40℃ ポンプ流速;1.0ml/min 検出;UV254nm、 溶離液;20mM 酢酸アンモニウム(酢酸にてpH=
3.5に調整):メタノール=9:1(V/V)
【0084】実施例5 2'−デオキシグアノシンの合成(2) 参考例1で得た3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイ
ル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸38.
5gを4.0%メチルアミン水89.8gに懸濁し、6
0℃で11時間攪拌した。この反応液を5℃まで冷却
後、析出晶を濾別し、水を加えて 130.4gの2−
デオキシリボース−1−リン酸溶液を得、水169.6
g、リン酸二アンモニウム1.86gを加え、塩酸でp
H8.5に調整した。この溶液に実施例1と同様にして
得られた0.78mlのプリンヌクレオシドホスホリラ
ーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を加え、5.7%グアニ
ン(和光純薬製、特級)NaOH液 105.6g、4
4.3%塩化カルシウム(和光純薬製、特級)29.6
gを3時間で同時に滴下し、その後6時間反応を行っ
た。反応終了液を実施例13のHPLC分析にて分析し
た結果、収率 95.7モル%/グアニンであった。
【0085】
【発明の効果】本発明は、今後さらに供給量が増すと考
えられる有用なヌクレオシドの工業規模での製造を可能
とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B064 AF33 CA02 CA19 CC24 DA01 DA11 DA16 4C057 AA18 BB02 BB05 DD01 LL29 LL40 LL42

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)[化1] 【化1】 〔式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、
    メチル基、保護されたヒドロキシメチル基または保護さ
    れたカルボキシル基を表し、R3はアシル基、スルホニ
    ル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、Xはハロゲ
    ン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表し、W
    は酸素原子またはイオウ原子を表し、Zは酸素原子、イ
    オウ原子または置換されてもよい炭素原子を表す。ま
    た、nは0または1を表し、pおよびqは0から4の整
    数を表し、rは0または1を表す。(ただし、p、q、
    r、nは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+
    r≦n+1、q≦2×(n+1)−2×(p+r)を、
    Zが炭素原子の場合はp+r≦n+2、q≦2×(n+
    2)−2×(p+r)を満たす。)〕で示される化合物
    またはそれらの塩から、R1及びR2のヒドロキシメチル
    基、カルボキシル基の保護基、またはR4の水酸基の保
    護基を脱離後、リン酸基と塩基との交換反応により、一
    般式(2)[化2] 【化2】 (式中、Bは、独立してそれぞれピリミジン、プリン、
    アザプリンおよびデアザプリンからなる群から選択され
    た塩基を示し、それらはハロゲン原子、アルキル基、ハ
    ロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アル
    キニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒド
    ロキシアミノ基、アミノキシ基、アルコキシ基、メルカ
    プト基、アルキルメルカプト基、アリール基、アリール
    オキシ基またはシアノ基によって置換されていてもよ
    い。また、R1’およびR2’は、独立してそれぞれ水素
    原子、メチル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシ
    ル基を表し、R3’は水素原子またはアシル基、スルホ
    ニル基を表し、X、W、Z、n、p、q、rは前記と同
    義である。)で示される上記のヌクレオシドを合成する
    方法において、脱離反応およびリン酸基と塩基との交換
    反応を水溶性溶媒中で行うことによって、一般式(3)
    [化3] 【化3】 (式中、R1’およびR2’、R3’、X、W、Z、n、
    p、q、rは前記と同義である。)で示される上記化合
    物またはそれらの塩を結晶として単離することなく製造
    することを特徴とするヌクレオシドの工業的な製造法。
  2. 【請求項2】 脱離反応に、アルカリ金属炭酸塩、アル
    カリ金属水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩又は水酸
    化物、水酸化アンモニウム類、または1級のアルキルア
    ミン、2級のアルキルアミン、3級のアルキルアミンか
    ら選ばれる一種又は二種以上の塩基を用いることを特徴
    とする請求項1記載のヌクレオシドの製造法。
  3. 【請求項3】 脱離反応及びリン酸基と塩基との交換反
    応で使用される水溶性溶媒が、水、アルコール類、エー
    テル類または水と前記溶媒との混合液のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)で示される化合物が下記式
    (4)で表される化合物またはそれらの塩 【化4】 であり、一般式(3)で示される化合物が下記式(5)
    で表される化合物またはそれらの塩 【化5】 である請求項1、2又は3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(2)中のBがアデニン、または
    グアニンである請求項1〜4記載の製造法。
JP2001104777A 2001-04-03 2001-04-03 ヌクレオシドの工業的な製造法 Pending JP2002302498A (ja)

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