JP2002301322A - セラミックスフィルターエレメントおよびその製造方法 - Google Patents

セラミックスフィルターエレメントおよびその製造方法

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JP2002301322A
JP2002301322A JP2001105606A JP2001105606A JP2002301322A JP 2002301322 A JP2002301322 A JP 2002301322A JP 2001105606 A JP2001105606 A JP 2001105606A JP 2001105606 A JP2001105606 A JP 2001105606A JP 2002301322 A JP2002301322 A JP 2002301322A
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ceramic
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Isao Ikeda
功 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モノリシックセラミックスフィルターエレメ
ントと比較して、高強度、信頼性に優れ、アルカリ高温
ガスの腐食に対しても優れた耐食性を有するセラミック
スフィルターエレメントを提供する。 【解決手段】 セラミックス繊維で形成された基材とセ
ラミックス粉末を具備するセラミックスフィルターエレ
メントにおいて、基材が実質的にムライト長繊維からな
ると共に、気孔率を40〜70vol%にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックスフィ
ルターエレメント、特に高温の燃焼ガスから粉塵を捕集
するための高温ガス脱塵用の多孔質セラミックスフィル
ターエレメントおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石炭を燃料とする加圧流動床ボイ
ラー(PFBC)、石炭ガス化複合発電(IGCC)の
開発が進められている。この際、高温の燃料ガスから粉
塵を除去するためのフィルターとして多孔質セラミック
スフィルターエレメントが必要となる。例えば、図1に
示すような石炭ガス化炉1で使用されている脱塵システ
ムでは、ガス化されたガスの流入口2と流出口3を備
え、内部に管板に取り付けられたセラミックスフィルタ
ーエレメント4が複数本設置され、逆円錐型を有したケ
ーシングの下方部にダストホッパー5が取り付けられた
構造となっている。ガス流入口から流れ込んだ石炭ガス
がセラミックスフィルターを通過すると、石炭ガスに含
まれていた粉塵が除去され、クリーンガスが流出口よ
り、ダストはダストホッパーで捕集される仕組みであ
る。この捕集作業を長時間連続的に続けるとセラミック
スフィルターの表面に粉塵が堆積し、通気抵抗が増大
し、捕集効率が大幅に低下する。そのためガス流入口側
とガス流出口での差圧を感知し、差圧がある一定値以上
に達すると石炭ガスの流れと逆向きの逆洗気流を噴出
し、セラミックスフィルター表面に堆積した粉塵を吹き
飛ばし、捕集効率を回復させるようになっている。
【0003】従来、このような高温ガス脱塵システムに
おけるセラミックスフィルターエレメントは所定の粒子
径をもったセラミックス粉末に結合材として粘土鉱物ま
たは基材のセラミックス粉末より低融点の材料を添加、
フィルター形状に成形した後、結合材の軟化する近傍の
焼成温度で焼成することにより得られるモノリシック多
孔質セラミックスが使用されている。特に化学的安定
性、耐熱衝撃性の観点からコーディエライト、SiC製
の多孔質モノリシックセラミックス材料が使用されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記モ
ノリシックセラミックスフィルターは、セラミックス粉
末を結合材で固めた多孔質材料であり、気孔率50%の
構造体では10MPa程度の強度しか有していない。そ
のため、PFBCパイロットプラントにおいてはボイラ
ー起動時の軽油燃焼から石炭燃焼への切り替え時、負荷
変動時および燃料緊急停止時などには、燃焼空気と燃料
のバランスがくずれて一時的に酸素不足となって未燃分
が発生し、セラミックスフィルターに飛来する。酸素量
が不足している間、未燃分はフィルター内に蓄積される
が、ボイラーの燃焼状態が安定し、フィルターの酸素濃
度が復帰するに従い、堆積した未燃分がフィルター内で
急激に燃焼し、チューブ内外に大きな温度差を生じさ
せ、その結果フィルターエレメントが破損する問題が発
生した。また、脱塵時には500℃〜900℃の高温下
に曝されているが、逆洗気流の噴射により急激にフィル
ター表面が冷却されるため、その結果、低強度のモノリ
シックセラミックスフィルターは熱衝撃により破損する
という問題も生じた。その他、フィルターエレメントの
取り替え作業時に他エレメントと接触して破損するとい
う問題も生じた。
【0005】モノシリックセラミックスフィルターの強
度を向上させるために気孔率を小さくすることが考えら
れるが、気孔率を小さくしてしまうと燃料ガスの通過量
が減少してしまうことから好ましいものではない。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記問題を解決するため
発明者らは、種々の構造部材により高強度の多孔質フィ
ルターエレメント材料の創製を試みた。その結果、強度
の高いセラミックス長繊維材料をセラミックスフィルタ
ーの基材として用い、その表面にフィルター層としての
ろ過膜を粉末を結合して付与することによりモノリシッ
クセラミックス製のフィルター材料より高強度の信頼性
の高い多孔質セラミックスフィルター材料が得られるこ
とを見出した。本発明では、セラミックス長繊維として
ムライト繊維、セラミックス粉末としてSiC粉末を用
いること、さらにはセラミックス長繊維をフィラメント
ワインディング法により製織することにより、高強度、
信頼性に優れ、燃料ガス、例えばアルカリ性の高温ガス
に対する耐食性の優れたセラミックスフィルターエレメ
ントを提供することを可能とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックスフィルター
エレメントは、セラミックス繊維とセラミックス粉末を
具備するものである。セラミックス長繊維材料にはシリ
カ繊維,アルミナ繊維,SiC繊維,ムライト繊維など
各種材料があるが、耐熱性,耐アルカリ性に優れ、逆洗
洗浄などの熱応力負荷に耐えられる低熱膨張材料、さら
には強度が必要である。また、長繊維材料で多孔質体を
創製する場合、長繊維の配列によりフィルター基材の気
孔径、気孔率が制御されるため、長繊維を規則正しく配
列できる制御された製織方法により規則正しく繊維を配
列することが必要である。さらに、長繊維のフィルター
基材を形状保持するために固めたり、フィルター層とし
ての粉末を結合するための結合材にも高温下での強度低
下を生じず、かつ耐アルカリ性に優れた材料を選定する
必要がある。すなわち本発明に係わるセラミックスフィ
ルターエレメントは、セラミックス繊維で形成された基
材とセラミックス粉末を具備するセラミックスフィルタ
ーエレメントにおいて、該基材が実質的にムライト長繊
維材料からなり、かつ気孔率40〜70vol%を有する
ことを特徴とする。
【0008】また、セラミックス繊維で形成された基材
とセラミックス粉末を具備するセラミックスフィルター
エレメントにおいて、該基材の構成材料であるムライト
長繊維はフィラメントワインディング法により製織さ
れ、1PLYの構造体の中においては、隣り合う長繊維
束とのピッチが長繊維束の幅よりも広い構造を有するこ
とを特徴とする。ムライト長繊維材料は室温強度が2G
Pa以上と非常に高くアルミナ繊維、SiC繊維よりも
耐熱性には劣るものの1200℃までは強度劣化も比較
的少なく、かつ低熱膨張性の材料であるため高温脱塵用
のフィルター基材用材料として適している。特に、PF
BCやIGCC等で発せられる燃料ガスは、高温かつア
ルカリ金属を含む雰囲気であることからムライトのよう
な耐熱性および耐アルカリ性の優れた材料が最も好適で
ある。なお、ムライトとは実質的にAl2O3とSiO2からな
る複合材料であり、好ましくは重量比でAl2O3:SiO2
8:2〜3のものであるが、ムライト繊維として市販さ
れているものを適宜使用可能である。また、長繊維とし
ての長さは特に限定されるものではないが、フィルター
エレメントの外周を少なくとも1周できる程度の長さで
あることが好ましい。
【0009】長繊維材料により多孔質フィルター基材を
形成する場合、長繊維束同士で織り重なった際に形成さ
れる空隙部がフィルター基材内部の気孔となるため、ラ
ンダム配向で繊維を巻いていくとフィルター基材の場所
によって気孔径のばらつき、気孔率のむらを生じ、フィ
ルター基材として使用するとフィルターエレメント内で
場所による通気圧損の差が生じてしまい、その差が大き
ければ破損することも考えられる。そのため、繊維配向
角および繊維束ピッチを制御することにより、繊維同士
で織り重なってできる空隙径、空隙分布がフィルターエ
レメント内で均一になるようフィルター基材を製織する
必要がある。好ましい気孔率は40〜70%であり、気
孔率が40%未満であるとフィルターエレメントの強度
は向上するが気孔量が少ないことから通気圧損が高くフ
ィルターとしての機能が低下する。一方、気孔率が70
%を超えると確かに気孔量が増え通気圧損が小さくなる
もののフィルターエレメントの強度が低下することから
PFBC等の燃料ガスの粉塵捕集用などの使用環境の厳
しい分野においては寿命が低下することから好ましくな
い。本発明のセラミックスフィルターエレメントの製造
方法は特に限定されるものではないが、例えば図2に示
したようなセラミックス長繊維の製織物を、図3のよう
な中空の円柱状に形成する方法が好ましい。
【0010】セラミックス長繊維の製織方法としては特
に限定されるものではないが、好ましくはフィラメント
ワインディング法である。フィラメントワインディング
法は一束の長繊維束を回転する中子に巻き付けることに
より繊維構造体を創製する方法で、繊維のトラバースス
ピードにより回転軸との製織角が決定される。また、脱
塵システム稼働時にフィルターエレメント構造部材に応
力が発生する場合、製織角θにより(フィルター長手軸
方向応力/フィルター円周方向応力)はcosθ/s
inθで表されるため、製織角θを制御することによ
りフィルターエレメントに発生する応力を負担すること
が可能となる。さらに、フィラメントワインディング法
において繊維同士で織り重なった空隙形状、空隙分布を
均一にもった多孔質基材を創製するには製織角を制御す
るだけでなく、繊維束ピッチを制御する必要がある。フ
ィラメントワインディング法では分割巻き、順次巻き、
ランダム巻きなど幾通りかの巻きパターンがあるが、い
ずれのパターンにおいても繊維束はある一定の製織角θ
のもと規則正しいピッチで配列されていく。1PLY
(1本の長繊維を所定の規則正しい巻き方により所定形
状に製織したときの状態)の構造体のなかで繊維束幅W
mmの繊維を配向角θで製織した場合、中子の表面を完全
に繊維で覆い緻密体を創製するには繊維束ピッチPmmと
W/cosθが均しくなるようにする。この構造体にお
いては繊維が密に配列し、ガスが通過する空隙が少なく
なり、気孔率も低くなるためにガス通気圧損が高くな
り、捕集効率が低くなる。そのためW/cosθが繊維
束幅Wより大きくすることが好ましく、このような構造
とすることにより空隙が形成され、捕集効率が向上す
る。
【0011】長繊維材料によりフィルターエレメント材
を創製する場合は1.5≦P/(W/cosθ)≦8と
なるように制御する。P/(W/cosθ)が1.5よ
り小さくなると気孔率が低下して通気圧損が高くなり、
P/(W/cosθ)が8より大きくなるとフィルタ
ーエレメント基材自体の気孔率が上昇すると同時に気孔
径も大きくなりフィルター基材の強度が大幅に低下す
る。好ましくはP/(W/cosθ)を2以上6以下の
範囲になるように繊維束ピッチPを制御することにより
気孔率が50%前後で、平均気孔径が100〜400μ
mを有する低通気圧損のフィルター基材が得られる。ま
た、本発明に係わるセラミックスフィルターエレメント
は、前述のセラミックス繊維で形成された基材とセラミ
ックス粉末を具備するものである。セラミックス粉末
は、セラミックスであれば特に限定されるものではない
が実質的にSiCからなるセラミックス粉末が好まし
い。SiC粉末は後述するようにアルカリに対する耐食
性が高いことからPFBC等の石炭ガス化炉のフィルタ
ーの結合材として特に有効である。セラミックス粉末
は、セラミックス長繊維からなるフィルター基材の結合
材またはおよびフィルター層として使用されるものであ
る。セラミックス粉末の平均粒径は5〜100μmの範
囲であることが好ましく、さらに好ましくは5〜50μ
mである。セラミックス粉末の平均粒径が5μm未満で
あると粒径が小さすぎることからフィルター基材の結合
材等として使用すると強固に定着し難く、そのようなセ
ラミックス粉末を用いてフィルターエレメントを形成す
ると、使用時にセラミックス粉末が風圧や振動によりフ
ィルターエレメントから外れやすい。一方、セラミック
ス粉末の平均粒径が100μmを超えるような大きなも
のではフィルター基材の気孔をふさいでしまい実質的に
気孔率を下げることになるため好ましくない。
【0012】特に、PFBCやIGCC等の石炭を利用
したもので排出されるガスには、粒径が2〜30μmと
幅広くばらついたダスト粉塵が含まれていることから、
目的の脱塵粒子径に合せてフィルター基材もしくはフィ
ルター層としての気孔径を種々調整できるようにするた
めにはセラミックス粉末の平均粒径を上記5〜100μ
mの範囲内にすることが好ましい。次に製造方法につい
て説明する。製造方法は、所定の気孔率等が得られるの
であれば特に限定されるものではないが、例えば次のよ
うな方法が存在する。まず、ムライト長繊維を前述のフ
ィラメントワインディング法を用いてフィルター基材を
製織する。フィラメントワインディング法により製織さ
れたムライト長繊維の一例を図2、図3に示した。この
とき、各長繊維にはポリカルボシラン等の有機物を含浸
させ、各長繊維の結合部を実質的にSiC質粉末により
結合固化させる。結合固化させる方法としては、フィル
ター基材を1000℃〜1250℃の範囲で焼成するこ
とにより高強度のSiC質の結合部を形成する方法が効
果的である。結合部をSiC質とするのは、結合強度を
高める目的と、ムライト繊維との熱膨張差によるミスマ
ッチを極力低減するためである。ムライト長繊維による
多孔質基材(フィルター基材)は、長繊維にポリカルボ
シラン等の有機物の溶液を含浸、焼成固化して創製す
る。含浸方法としてはフィラメントワインディングによ
る製織する際に繊維に含浸しながら製織する方法や、フ
ィラメントワインディングにより多孔質基材を作り上げ
た後、ディップして含浸する方法等がある。
【0013】SiC粉末の塗布方法としては、ポリカル
ボシラン等の有機物溶液中に必要量予め添加させる方法
や、焼成前にSiC粉末を必要な個所に噴霧する方法が
有効である。焼成温度を1000℃以上としたのは、1
000℃未満の温度においてはポリカルボシランの結晶
化が不十分のため結合部の強度が低く、フィルターエレ
メント構造体としての強度的信頼性が劣るからである。
一方、焼成温度を1250℃以下としたのは、1250
℃を超えた高温中ではムライト長繊維の結晶組織の肥大
化が促進され大きな強度低下を招くからである。高温脱
塵フィルターは腐食環境下に暴露され、例えばPFBC
やIGCC等の石炭を燃料とする分野においてはナトリ
ウム,カリウム等のアルカリ蒸気に浸食されることが考
えられる。ムライト自体も耐アルカリ性に強く化学的に
は安定な材料であるが、高温中に長時間暴露されるとム
ライトのシリカ(SiO2)成分がアルカリ金属と反応して
ケイ酸ナトリウム等の低融点化合物を生成する可能性が
ある。SiCセラミックスは特にアルカリに対する耐食
性が高い材料であるため、結合材として、またはフィル
ター層を構成するムライト長繊維の被覆材として最適で
ある。
【0014】さらに本発明に係わるセラミックスフィル
ターエレメントは、セラミックス繊維で形成されたフィ
ルター基材とセラミックス粉末を具備するものである。
セラミックス粉末は、前述のようにフィルター基材の結
合部を固化するためやセラミックス繊維の被覆材として
用いられるが、その他にフィルター層として用いること
も可能である。フィルター層とは、フィルター基材の結
合部以外に付着させたセラミックス粉末のことである。
フィルター層を構成するセラミックス粉末に関しても、
結合部同様にSiC質粉末により形成されるものが好ま
しい。SiC粉末を用いることによりムライト繊維との
熱膨張差によるミスマッチングを防ぐことが可能とな
る。また、結合部を構成するセラミックス粉末と同一の
セラミックス粉末を用いることにより結合部との熱膨張
差によるミスマッチングをも防ぐことが可能となる。フ
ィルター層を構成するSiC粉末は平均粒径5〜100
μmであることが好ましい。フィルター層としてのSi
C粉末の粒径を5〜100μmと制限したのは、IGC
C,PFBCなどの石炭ガス化炉で排出されるダストの
粒径が2μmから30μmと幅広いことが多いことか
ら、目的の脱塵粒子径に合わせてフィルター層としての
気孔径を種々調整できるようにするためである。フィル
ター層としてのSiC粉末をフィルター基材に定着させ
るにはポリカルボシラン等の有機物を用いる。
【0015】さらに本発明に係わるセラミックスフィル
ターエレメントは、フィルターの片端がムライト質の封
止材により封じられた構造を具備することが好ましく、
フィルター基材と封止材をポリカルボシラン等の有機物
を含侵、焼成して一体化させる。封止材がムライト質で
あるのはフィルター基材との熱膨張係数のミスマッチを
なくすためで、フィルター基材との一体化のために塗布
材としてポリカルボシラン等の有機物を含浸,焼成する
ことにより、耐熱性に優れたハイブリッド構造のフィル
ターエレメントとなる。封止材を構成するムライト質の
平均粒径についても5〜100μmが好ましく、この範
囲内であればフィルターエレメントとしてのガス通気圧
損等の機能を損なわないで済む。封止材を設けたセラミ
ックスフィルターエレメントは、キャンドルタイプ(キ
ャンドル型)構造を有しており、例えば、石炭ガス化炉
の排ガス処理装置内に載置配置することも可能となり、
セラミックスフィルターエレメントの配置方法として様
々な方法を選択可能となる。また、このような封止材を
設けることにより、フィルターエレメントを通過する排
ガスをエレメント側面の気孔にスムーズ通過させ易くな
ることから、フィルターとしての性能を向上させること
が可能となる。
【0016】さらに、この封止材を取付けない反対側の
片端に凸部を設けたキャンドルタイプ構造を具備させる
ことも有効である。このような凸部を有する構造とする
ことにより脱塵システム内で吊るすことが容易になり、
フィルターエレメントの設置が容易になる。また、同様
に破損時の交換も容易になることから取扱い性が向上す
る。
【0017】
【実施例】以下、この発明に係わるセラミックスフィル
ターエレメントおよびその製造方法の実施形態を具体的
に説明する。 実施例1〜4 セラミックス繊維としてムライト長繊維(東芝モノフラ
ックス株式会社製)で直径10μmの繊維を3840本
一束になったヤーンを使用した。1ヤーンあたりの繊維
束幅Wは1mmである。繊維配向角θは60°として繊維
束ピッチが10mmとなるように1PLYあたり16分
割でフィラメントワインディング法で製織した。積層数
として同様のパターンで10PLY製織することにより
実施例1となる図3に示したようなフィルター基材を作
製した。この場合、P/(W/cosθ)は5となる。
また、気孔率を表1に示したように変えた実施例2〜4
のものを用意した。なお、フィルター基材の直径は50
mm、長さ150mmである。 比較例1 実施例1と同様に、ムライト長繊維を用いて繊維配向角
60°,繊維束ピッチ2mmとなるように1PLYあた
り80分割でフィラメントワインディグ法で製織した。
積層数として同様のパターンで10PLY製織すること
により気孔率が本発明の範囲外であるフィルター基材を
作製した。この場合、P/(W/cosθ)は1とな
る。
【0018】比較例2 実施例1と同様に、ムライト長繊維をもちいて繊維配向
角60°,繊維束ピッチ20mmとなるように1PLY
あたり8分割でフィラメントワインディグ法で製織し
た。 積層数として同様のパターンで10PLY製織す
ることにより気孔率が本発明の範囲外であるフィルター
基材を作製した。この場合、P/(W/cosθ)は1
0となる。実施例1および比較例1,2のフィルター基
材を平均粒径35μmのSiC粉末を含有させたポリカ
ルボシラン溶液中に含浸させることにより、フィルター
基材の表面にSiC粉末を含有させたポリカルボシラン
を付着させた。乾燥後、窒素雰囲気中、50℃/hの昇
温速度で1100℃×2hで焼成し、セラミックスフィ
ルター基材を創製した。さらに基材表面にフィルター層
を形成するために平均粒径35μmのSiC粉末に結合
材としてポリカルボシランを添加してポットローラで混
合後、フィルター基材表面に泥しょうを塗布した。乾燥
後、100℃/hの昇温速度で1150℃×4hで焼成
してセラミックスフィルターエレメントを創製した。フ
ィルターの評価としては、水銀ポロシメータによる気孔
率,平均気孔径の評価、リング状の試験片を切り出して
のCリング圧縮強度を評価した。また、ガス通気圧損性
の評価を行った。ガス通気圧損性の評価として、セラミ
ックスフィルターエレメントの横方向から風速30km
/hの風(最初の風速)を送り込み、反対側から出てく
る風速(最後の風速)を測定することにより、風速減衰
率(%)=[(最初の風速−最後の風速)/最初の風
速]×100を測定した。この風速減衰率が20%以下
の場合を「○」、20%を超えたものを「×」で示し
た。
【0019】表1に結果を示す。また、比較例3として
モノリシックのコーディエライトにより作製したフィル
ターエレメントの結果を合わせて示した。
【0020】
【表1】
【0021】実施例1〜4のセラミックスフィルターエ
レメントは気孔率が40〜70%の範囲において強度が
高く、ガス通気圧損性も良好である。従って、セラミッ
クスフィルターエレメントとしての性能が高いことが分
かる。それに対して、比較例1のものは気孔率および気
孔径が小さいことから圧縮強度は強いもののガス通気圧
損性が悪くフィルターエレメントに向かないことが分か
る。一方、比較例2のものは、気孔率および気孔径が大
きいことからガス通気圧損性はよいものの強度が低下
し、PFBC等の使用環境の厳しい分野には適さないと
言える。同様に、コーディエライトからなる比較例3に
ついても気孔率、気孔径共に本発明の範囲内であっても
強度が低下することが分かりPFBC等の使用環境の厳
しい分野には適さないと言える。 実施例5 実施例1と同様のムライト長繊維を用意し、長繊維を1
2ヤーン/インチのクロスに織り、50mm角に切り出
した後に10枚積層した。ポリカルボシラン,SiC粉
末の混合物をクロス繊維に含浸することにより含浸クロ
スを作製した。乾燥後、窒素雰囲気中、50℃/hの昇
温速度で1100℃×2hで焼成した。この作業を繰り
返し6回行うことにより実施例5の試料を完成させた。
【0022】比較例4、比較例5 実施例5と同様の方法にて含浸クロスを製造した後、窒
素中、50℃/hの昇温速度で900℃×2h,および
1300℃×2hで焼成した。この作業を繰り返し6回
行うことにより実施例5の試料を完成させた。実施例
5、比較例4および比較例5の試料から短冊状の試験片
を切り出して1000℃での3点曲げ試験を実施した。
さら1000℃×100h大気中に暴露して熱劣化後の
1000℃での3点曲げ強度を測定した。その結果を表
2に試験結果を示す。
【0023】
【表2】
【0024】実施例5の試料片は1000℃の高温中に
おいても優れた強度を有しており、さらに100時間経
過後であっても強度の低下は少ないことが分かった。そ
れに対し比較例5の1300℃焼結体はムライト長繊維
の結晶組織の肥大化が促進し、ムライト長繊維自体の強
度特性を大幅に下回る強度であった。一方、比較例4の
900℃焼結体は100時間後の熱劣化は認められない
ものの強度が十分ではなかった。これは結合材が完全に
結晶化していないため、焼成温度より高い1000℃に
保持されたことにより結合材が固まってきたものと考え
る。従って、900℃程度の温度では結合材が十分機能
しないことから強度の低いものしか得られないことが分
かる。 実施例6 キャンドルタイプのフィルターエレメント構造体とする
ために片端を封じたフィルターの熱サイクル試験を試み
た。フィルター基材とムライト質片端封止材との一体化
を試みた。ポリカルボシラン,SiC粉末の混合物をム
ライト質片端封止材に塗布した後、フィルター基材には
め込み1150℃×4hで焼成することにより一体化し
た。その後、石炭ガス化炉の排ガス雰囲気中で常温から
1000℃までの熱サイクルを50回実施した後、観察
をおこなった。特に一体化したフィルター基材とムライ
ト質片端封止材の接合箇所に亀裂等の発生の有無を確認
した。
【0025】亀裂の有無の確認を行ったところ、亀裂、
破損等の形状異常は確認されなかった。このことから分
かる通り、ポリカルボシランおよびSiC粉末の結合材
はムライト製封止材の結合に有効である。これは、ムラ
イトとSiCの熱膨張差によるミスマッチングが起き難
いため、さらにはムライトおよびSiCが共に耐アルカ
リ性に高い耐食性材料であるためであると考える。従っ
て、本発明のセラミックスフィルターエレメントは封止
材を設けたキャンドルタイプ(キャンドル型)であって
も優れた性能を示すことが分かる。
【0026】
【発明の効果】以上説明のように本発明に係わるセラミ
ックスフィルターエレメントおよびその製造方法によれ
ば、モノリシックセラミックスフィルターエレメントと
比較して、高強度、信頼性に優れ、アルカリ高温ガスの
腐食に対しても優れた耐食性を有するセラミックスフィ
ルターエレメント材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高温ガスフィルターシステムの一例を示す断
面図。
【図2】 本発明にかかる長繊維材料製織構造の一例を
示す図。
【図3】 本発明にかかるセラミックスフィルターエレ
メントの一例を示す図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス繊維で形成された基材とセ
    ラミックス粉末を具備するセラミックスフィルターエレ
    メントにおいて、該基材が実質的にムライト長繊維材料
    からなり、かつ気孔率40〜70vol%を有することを
    特徴とするセラミックスフィルターエレメント。
  2. 【請求項2】 該基材の形成材料であるムライト長繊維
    はフィラメントワインディング法により製織され、1P
    LYの構造体の中においては隣り合う長繊維束とのピッ
    チが長繊維束幅よりも広い構造を有することを特徴とす
    る請求項1記載のセラミックスフィルターエレメント。
  3. 【請求項3】 該基材の形成材料であるムライト長繊維
    が、ポリカルボシランとSiCを含有する結合部により
    結合固化されていることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載のセラミックスフィルターエレメント。
  4. 【請求項4】 該セラミックス粉末が平均粒径5〜10
    0μmの実質的にSiCからなる粉末により形成されて
    いる特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載のセラミックスフィルターエレメント。
  5. 【請求項5】 燃料ガスからの粉塵を捕集するためのフ
    ィルターエレメントであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項4のいずれかに記載のセラミックスフィルタ
    ーエレメント。
  6. 【請求項6】 セラミックス繊維で形成された基材とセ
    ラミックス粉末を具備するセラミックスフィルターエレ
    メントにおいて、ポリカルボシランを含浸したムライト
    長繊維材料で形成されたフィルター基材を1000℃〜
    1250℃で焼成することを特徴とするセラミックスフ
    ィルターエレメントの製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックス繊維で形成された基材とセ
    ラミックス粉末を具備したセラミックスフィルターエレ
    メントにおいて、フィルターの片端はムライト質の片端
    封止材により封じられた構造をもち、フィルター基材と
    片端封止材をSiC質で固化一体化していることを特徴
    とするセラミックスフィルターエレメントの製造方法。
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