JP2002281809A - 木本植物種子の早期検定法 - Google Patents

木本植物種子の早期検定法

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JP2002281809A JP2001087750A JP2001087750A JP2002281809A JP 2002281809 A JP2002281809 A JP 2002281809A JP 2001087750 A JP2001087750 A JP 2001087750A JP 2001087750 A JP2001087750 A JP 2001087750A JP 2002281809 A JP2002281809 A JP 2002281809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木本植物種子を対象としたほぼ7日以内とい
う短期間で発芽率を検定するための種子の発芽率検定方
法を提供する。 【解決手段】 木本植物種子の生理的特性及び構造的特
性に基づき事前処置方法、置床方法及び処理方法を選択
し、選択された方法により種子を加工し、加工された種
子を連続光照射条件下及び一定温度条件下の発芽試験床
に選択された処理方法により置床し、置床された種子に
ついて発芽能力保有個体の割合及び/又は発芽力を7日
以内で測定し、測定された発芽能力保有個体の割合又は
発芽力と実際の発芽率との相関関係を導出し、相関関係
を適用して発芽能力保有個体の割合又は発芽力から実際
の発芽率を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木本植物種子の早
期検定法及び該早期検定法を用いた植物種子の早期品質
証明方法、並びにこれらの方法により得られた発芽率を
用いて播種工における木本植物種子の播種量を設定する
設計法に関する。この方法は、木本植物のように胚の生
長が遅い種子、生理的休眠性を有しているため発芽速度
が遅い種子、硬実種子であるため発芽速度が遅い種子
等、通常の発芽試験が困難な種子に対して適用する。特
に、広葉樹種子を対象とした方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】種子は、種によってその構造は様々に変
化しているが、本明細書においては、種子は基本的に下
記の三組織からなる器官として説明を行なう。 1)胚(Embryo):幼根(Radicle)、下胚軸(Hypocot
y1)、子葉(Cotyledon)、幼芽(Plumule)(頂端分裂
組織)(Apical meristem)、上胚軸(Epicoty1)
(茎)(Stem)から構成。 2)胚乳(Endosperm):種によっては内胚乳(Endospe
rm)ではなく外胚乳(Perisperm)と呼称される。 3)種皮(Seed-coat):何れの種も最低2層から構成
されるが、本明細書では内種皮(胚乳が発達したものを
含む)(Inner seed-coat or Endopleura)と外種皮
((種によっては果皮(Pericarp)あるいは仮種皮(Ari
l)を含む)(Outer seed-coat or Testa)に用語を統
一する。種によっては、種皮がさらに粘液質(多糖類)
や脂質(ワックス)で包まれていることもある。
【0003】木本植物種子を扱う緑化工(播種工)の場
合、木本植物種子の発芽率の測定においては、通常湿っ
た濾紙を1〜2枚敷いたシャーレに種子を並べ、定期的
に発芽した個体数を数えて発芽率を求める方法が一般的
に行われている。この場合、試験温度は23〜25℃の
定温又は樹種により変温処理等を行い、試験期間は14
〜28日間で行われている。また、試験期間が過ぎても
発芽しない種子は、種子を切り開いて充実種子か不充実
種子か等の不発芽の原因も併せて調査されることもあ
る。
【0004】法面緑化工事等で用いられる種子の発芽試
験法は、社団法人日本道路協会発行の「道路土工−のり
面工・斜面安定工指針、1999」に記載されている方
法が広く行なわれている。この発芽試験法は、シャーレ
に濾紙を2枚敷き、その上に種子を並べて水で浸し、定
温の場合は20〜25℃、変温の場合は18〜28℃で
行われる。調査は、毎日正常な幼芽を発生した種子を数
えて取り除き、外来草本の場合は14日、それ以外の植
物は28日で〆切り、発芽率を算出する。
【0005】この発芽試験法のほか、種子の発芽率及び
発芽力を測定するための方法として、国際種子検査協会
(ISTA:International Seed Testing Association)発
行の「International Rules for Seed Testing 1985(19
86、1989に一部改正)」が公知となっている。これに
は、種子の発芽率又は発芽力を測定する方法として下記
のような発芽試験及び胚摘出による発芽力試験が記載さ
れており、農林水産省種苗管理センターから「国際種子
検査規定」として翻訳発行されている。 1)発芽試験 種子を紙又は砂を用いた発芽床に置床し、該種子の発芽
に適した温度条件下に5〜70日間放置した後、正常芽
生の百分率で発芽率を測定する。 2)胚摘出による発芽力試験(摘出胚法) 発芽力を求めるため、種子を一定時間水に浸漬した後、
内種皮を剥離して完全に胚を摘出し、20〜25℃の恒
温条件下で少なくとも1日あたり8時間の光を照射し
て、5〜14日間培養する。評価方法に関しては、発芽
力を有する胚が生育の徴候を示すか、葉緑素の発達を示
すか、堅固で新鮮なまま残るか、子葉の彎曲を示す針葉
樹の胚の何れかの個体数の百分率で表し、成育可能な胚
を持っている個体の割合で評価する。
【0006】生理的休眠の打破方法としては、上記「国
際種子検査規定」において、乾燥貯蔵処理(休眠が短い
種)、予冷処理(樹木種子では1〜5℃の温度の湿潤下
で2週間〜12ケ月間貯蔵)、予熱処理(30〜35℃
を超えない温度で7日以下開放通気下で過熱)、光照射
(750〜1,250ルクスの光を試験区に照射)、硝
酸カリウムの添加(水の代わりに0.2%硝酸カリウム
溶液を発芽床に加える)、ジベレリン(GA)の添加(水
の代わりに0.02〜0.1%GA溶液を発芽床に加え
る)、ポリエチレン袋による封入処理(発芽試験終了時
に高い割合で新鮮不発芽種子が見出される場合は封入処
理を行なってから再試験)の何れかの方法で休眠打破を
行って発芽試験を行ない、発芽した個体数の百分率を発
芽率として評価することが開示されている。
【0007】硬実による発芽遅延に対する対処方法とし
ては、「国際種子検査規定」において、水の中に24〜
48時間浸漬する、アカシア属では種子の容積の3倍量
の沸騰した湯に放り込んで冷めるまで浸漬する、機械的
な剥皮、濃硫酸による処理、1規定の硝酸に24時間浸
漬する等の処理を行なった後に、発芽試験を行なう方法
が開示されている。また、その他の方法として、「樹木
の生長と環境、畑野健一・佐々木恵彦編、1993」に
おいて、酸素分圧を高めることによって容易に発芽に導
かれることが開示されている。
【0008】摘出胚法における胚摘出前の処理方法とし
ては、「国際種子検査規定」及び「農林種子学総論、中
村俊一郎著、1985」において、種子又は果実を5%
次亜塩素酸ナトリウム溶液に15分間潰けた後に水でよ
く洗うべきであることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、種子の発
芽試験法として、個別の処理方法等については周知、公
知の事実は多いが、休眠性の高い木本植物種子の発芽率
を効率的に短期間で求める汎用性のある手法は、未だ提
示されていない。実際の業務上において、こうした公知
事実を容易に組み合わせて木本植物種子の適切な発芽試
験法を導くことは困難を極めているのが実情である。
【0010】前述した「道路土工−のり面工・斜面安定
工指針、1999」並びに「国際種子検査規定」による
発芽試験は、例えばイネ科牧草(外来草本)のように発
芽速度が早い従来から多用されてきた緑化用草本種子
は、種子の貯蔵安定性に優れているため、施工前に種子
の発芽率をチェックする必要がなく、発芽試験を行った
としても、1週間程度の短期間で結果が導けるため問題
は生じなかった。しかし、近年緑化工事で用いられるケ
ースが増大している木本植物種子の多くは様々な休眠性
を有しているものが多いため、その発芽速度は非常に遅
く、郷土種の中には発芽の遅いものや発芽するまでに1
〜2年を要するものも少なくない。そのため、従来の発
芽試験方法では測定期間中にシャーレ等の発芽試験容器
内にカビが大量に発生し、その発生したカビによって発
芽能力を有している健全種子までもが腐敗してしまうた
め、正確な発芽率を測定することは困難であった。
【0011】「国際種子検査規定」に記載の発芽試験で
は、発芽速度の遅い種子に関しては1〜2ケ月の発芽試
験期間が必要とされている。さらに木本植物種子のよう
に強力な休眠性を有する個体では、休眠覚醒処理のため
長期間の低温湿層処理(予冷処理)や低温湿層処理と高
温湿層処理を組み合わせる等の処理を必要とする。その
上、木本植物種子は、発芽速度が遅いことに加えて貯蔵
性が低いために種子の劣化が速いことから、実際には、
発芽率の測定前に必要となる長期間の休眠覚醒処理を行
なってから発芽試験が終了するまでの間に種子の劣化が
進行し、正確に発芽率を測定することは困難であった。
【0012】一方、「国際種子検査規定」に記載の胚摘
出による発芽力試験では、通常の発芽試験が難しい発芽
の遅い種、休眠性を有する種の発芽力を判断をする手法
として定義されている。しかし、この摘出胚法は、種子
の処理に手間がかかることに加え、大部分の木本植物種
子においては測定期間が1週間以上に及ぶことから、早
期に発芽率の検定が要求される緑化工事等の事業の実用
面では、本手法を適用することができない。特に、工期
等の制約から施工前に使用種子の品質の迅速なチェック
を行なって播種量を求める必要がある場合には、期間的
理由から適用不可能であった。
【0013】また、摘出胚法は、どのような生理的及び
構造的特性を有している種子に対しても、種皮を除去し
て完全に胚を露出した状態で置床する。しかし、極小の
種子等のように、種皮の除去が困難であったり、構造的
に種皮の除去が困難な場合がある。さらに、こうした処
理は実務的に非常に細かい作業であり、発芽試験に対応
する程度の標本数の種子を処理して試験を実施するに
は、かなりの時間と手間を必要とする。
【0014】加えて、摘出胚法は、検査前処理として外
種皮及び内種皮を除去する際に、外種皮を有する種子に
対しては水中に一晩〜48時間浸漬した後に外種皮を除
去し、さらに一晩〜72時間水中に浸漬して内種皮を除
去して胚を露出させる必要がある。また、内種皮のみを
有している種子に対しては、水中に24〜96時間浸漬
した後に、内種皮を除去して胚を露出する必要がある。
そして、さらに胚を露出した後の培養期間に5〜14日
間必要となるため、試験期間として6〜18日間に亙る
長い期間が必要となる。これらの方法は種子の劣化を促
すことに留意していない。
【0015】尚、「国際種子検査規定」には、胚摘出に
よる発芽力試験において特別指示が記されており、木本
植物種子の取扱いとして、カエデ属(トネリコバノカエ
デ、イロハモミジを除く)、ナナカマド属、ニシキギ
属、トネリコ属、リンゴ属、ナシ属、モンチコラマツ、
バルカンゴヨウ、ストローブマツ、ヨーロッパハイマ
ツ、シシマツ、ボスニアンシロマツ、ジェフリーマツ、
チョウセンゴヨウ、ゴヨウマツ、サクラ属、シナノキ属
について胚の取り出し方法が示されている。しかし、こ
れらの方法のみでは、現在緑化工事等で使用されている
多種類の木本植物には対応できない。
【0016】このように、「国際種子検査規定」が一部
の木本種子に対して示している発芽力試験法は、不適切
であるだけでなく、現在の緑化工事等で愛用されている
多くの木本種子に対応したものではなく、木本植物を主
体とする播種工のように施工前に実際に使用する種子の
発芽率を早期に検定する必要がある場合における実用的
な手法とはいえない。
【0017】近年の緑化工事では、従来の外来草本に代
表される緑化用植物を主体に用いる緑化から、施工地周
辺に生育している郷土樹木を用いた緑化に移り変わって
きている。このような工事で用いられる自然採取された
種子(計画採取する場合や住民参加によって採取する場
合などがある。)は、採取地や採取年、採取時期、採取
後の保管方法等によって発芽率が大きく変動する。従っ
て、設計施工の実用面では、施工前に実際に使用する種
子の発芽率を測定して播種量を設計したり修正したりす
る必要がある。こうした緑化工事を行なう上で、既存の
発芽試験方法は時間的にも精度的にも不十分なものであ
り、迅速に発芽力を検定して設計に活用できる発芽率の
検定システムの確立が急務となっており、社会的にもそ
の早期確立が求められる。
【0018】木本植物種子は、草本植物種子とは異なる
様々な構造を有しているだけでなく、種々の休眠様式を
保有している。また、さらに種子の貯蔵過程での劣化速
度が速く、その活力を短期間で判定することが困難であ
ることから、土木施工(緑化工)は施工上の大きな困難
に直面している。
【0019】以上の現状に鑑み本発明は、木本植物種子
を対象とした、ほぼ7日以内という短期間で発芽率を検
定するための種子の事前処置方法、種子の置床方法、種
子の処理方法を含む発芽率検定方法を提供することを目
的とする。特に、本発明は、現在緑化工等で用いられて
いる多様な木本植物種子のいずれにも適用可能な汎用性
を有する方法を提供することを目的とする。さらに、か
かる発芽率検定方法を実現することにより、環境問題が
大きく取り上げられている時代の要請に応え、上述した
諸問題を解決し、合理的緑化技術の基礎を提供すること
を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹木種子(特
に広葉樹種子)の構造上並びに休眠上の特性に関わら
ず、一定の試験条件(作業し易く、温度管理が経済的に
済む室温(23℃近辺)の明所)で、1週間前後という
短期間でそれらの種子母集団の平均発芽力あるいは発芽
率を検定することを実現する。本発明による検定法は、
全ての広葉樹種の種子構造と休眠性に応じたシステマテ
ィックな手法として適用可能な汎用性を具備しており、
1週間前後でその発芽率や発芽力を検定することを実現
した。本発明の具体的構成は以下の通りである。
【0021】(1)本発明の木本植物種子の早期検定法
の第1の態様では、前記木本植物種子の生理的特性及び
構造的特性に基づき該種子の事前処置方法、置床方法及
び処理方法を選択し、前記選択された事前処置方法及び
前記置床方法により前記種子を加工し、前記加工された
種子を連続光照射条件下及び一定温度条件下の発芽試験
床に前記選択された処理方法により置床し、前記置床さ
れた種子について発芽能力保有個体の割合及び/又は発
芽力を測定する。
【0022】(2)本発明の木本植物種子の早期検定法
の第2の態様では、前記第1の態様に加え、前記測定さ
れた発芽能力保有個体の割合又は発芽力と前記種子の実
際の発芽率との相関関係を導出し、前記相関関係を適用
することにより前記発芽能力保有個体の割合又は発芽力
から前記種子の実際の発芽率を推定する。
【0023】(3)上記(1)又は(2)の態様におい
て、前記種子の置床方法が、少なくとも下記A〜Jに記
載のいずれかの方法から選択される。 A:内種皮まで除去した後、胚又は胚の幼根組織を含む
ように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子葉
組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床する
方法。 B:内種皮のみが付いたまま、胚又は胚の幼根組織を含
むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子
葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床す
る方法。 C:外種皮が付いたまま、胚又は胚の幼根組織を含むよ
うに子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子葉組
織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床する方
法。 D:上記A〜Cのいずれかの方法で種子組織を切断した
後、さらに胚又は胚の幼根組織を含むように子葉組織若
しくは胚乳組織のいずれかの側面、又は子葉組織及び胚
乳組織の双方の側面も切断した種子切片を置床する方
法。 E:内種皮まで除去した後、種子を切断せずにそのまま
置床する方法。 F:内種皮のみが付いたまま、種子を切断せずにそのま
ま置床する方法。 G:外種皮が付いたまま、種子を切断せずにそのまま置
床する方法。 H:種子を強酸、強アルカリ、熱湯のいずれかに浸した
後、又は、該外種皮若しくは内種皮を物理的に傷付けた
後置床する方法。 I:種子から胚を取り出して置床する方法。 J:既に発根している個体は幼根を根元から切除し、発
根していない個体は幼根組織の先端部を切除した後、オ
ーキシンを含む発芽床に置床する方法。
【0024】(4)上記(1)〜(3)のいずれかの態
様において、加工された種子については、置床するに先
立って該加工された種子を水洗浄する。
【0025】(5)上記(1)〜(4)のいずれかの態
様において、前記種子の前記処理方法として、サイトカ
イニン、ジベレリン、チオウレア(チオ尿素)、硝酸カ
リウムのいずれかの溶液又はこれらの混合溶液を該種子
に適した濃度及び混合比に調整した後、これを前記発芽
試験床に加えてから置床する。
【0026】(6)上記(1)〜(5)のいずれかの態
様において、前記種子の前記処理方法として、前記発芽
試験床を高酸素分圧下に置く。
【0027】(7)上記(1)〜(5)のいずれかの態
様において、前記種子の前記処理方法として、前記発芽
試験床をエチレンガス、エチレンガスに二酸化炭素を加
えた混合ガス、又はエチレンガスに二酸化炭素及び酸素
を加えた混合ガス下に置く。
【0028】(8)上記(1)〜(7)のいずれかの態
様において、前記種子の事前処置方法として、該種子の
殺菌処理を行なう。
【0029】(9)上記(1)〜(8)のいずれかの態
様において、前記種子の事前処置方法として、該種子を
一晩水浸処理する。
【0030】(10)上記(1)〜(9)のいずれかの
態様において、前記種子の事前処置方法として、該種子
の外種皮又は内種皮の表面の油脂成分を除去する。
【0031】(11)上記(1)〜(10)のいずれか
の態様において、前記置床された種子について発芽能力
保有個体の割合を測定する際に、下記a)〜d)のいず
れかの測定方法が選択される。 a):幼根組織が伸長した個体又は種子組織から幼根が
突出した個体の割合を測定する方法。 b):幼根組織が重力方向に彎曲した個体の割合を測定
する方法。 c):子葉組織が堅固なまま膨張した個体の割合又は子
葉組織に葉緑素が形成されて緑色化した個体の割合を測
定する方法。 d):不定根が形成された個体の割合を測定する方法。
【0032】(12)上記(1)〜(10)のいずれか
の態様において、前記置床された種子について前記発芽
能力保有個体の発芽力を測定する際に、下記i)〜v)
のいずれかの測定方法が選択される。 i):一定期間内に伸長した幼根の長さを測定又は該幼
根の長さを1日当りに換算する測定方法。 ii):一定期間内に増加した胚の重量を測定又は該胚の
重量を1日当りに換算する測定方法。 iii):一定期間内に上記(11)の態様のa)〜d)
のいずれかの測定方法により測定された発芽能力保有個
体の割合を百分率で表す測定方法。 iv):一定期間内に伸長した不定根の長さを測定又は該
不定根の長さを1日当りに換算する測定方法。 v):一定期間内での葉緑素の形成の程度を測定又は該
葉緑素の形成の程度を1日当りに換算する測定方法。
【0033】(13)本発明の木本植物種子の品質証明
法では、下記のア)又はイ)の少なくともいずれか一を
提示することにより種子の早期品質証明を行う。 ア):上記(1)〜(12)のいずれかの態様の木本植
物種子の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の
割合及び/又は発芽力。 イ):上記(1)〜(12)のいずれかの態様の木本植
物種子の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の
割合又は発芽力から推定された実際の発芽率。
【0034】(14)本発明の木本植物種子の播種量設
計法では、下記のア)〜ウ)の少なくともいずれか一を
用いることにより播種工における木本植物種子の単位播
種量を算出する。 ア):上記(1)〜(12)のいずれかの態様の木本植
物種子の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の
割合。 イ):上記(1)〜(12)のいずれかの態様の木本植
物種子の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の
割合又は発芽力から推定された実際の発芽率。 ウ):上記(12)の態様の品質証明法により提示され
た発芽率。
【0035】
【作用】本発明は、木本植物種子の構造上並びに休眠上
(生理的特性)の特性に拘らず、一定の試験条件(作業
しやすく、温度管理が経済的にすむ室温23℃近辺の明
所でl週間前後という短期間)で、それらの種子母集団
の平均発芽力若しくは発芽率を求めることができる。従
来手法には、全ての木本植物種子の発芽率や発芽力を1
週間前後で確認できる汎用性はない。
【0036】従来の種子発芽力検定法においては、種子
の発芽は自然界での気温の日変化に適応して順調に進行
することから、発芽試験においても各々の種に応じた変
温条件の設定を推奨している。しかし、この温度変動幅
と温度域は様々であり、それらに応えるとすれば各々の
種の温度自動管理型の施設を導入しなくてはならず、そ
のための投資額は莫大となり普及させ易い手法とはいえ
ない。本発明は、エネルギーコストを最低に抑えること
ができる常温近辺の一定気温(23℃近辺(21〜25
℃))の下で実施できる点で他に優っている。
【0037】種子の中には、発芽に際して暗所を好む嫌
光性種子(例:アキグミ等)があるが、本発明は、例外
なく作業し易い明所で試験を行える点で優位である。
【0038】樹木種子の休眠性は、その構造とも相侯っ
て極めて複雑である上、種による後熟の速度は温度とも
関わって著しく異なるために、自然界でも発芽を確認で
きる迄の期間は数日から2年に亙っている。しかし、当
該方法では例外なく1週間前後で種子の品質を評価し、
緑化工事等に活用できるか否か、あるいは設計の変更が
必要であるかなどを確認することができる。
【0039】採取後にすぐに発芽を開始する種子(例:
コナラ、ミズナラ等)は、種子採取者から納入された時
点において既に幼根の突出(実質的発芽の第一歩)が起
こり、またそれが枯死してしまっているような種子を緑
化工事等に使用できるか否かの判断は、緑化(植生復
元)や施工コストの面から極めて重要な事項である。当
該手法においては、下胚軸組織が二次分裂組織活力をま
だ保有している場合には、不定根としてその切断面の縁
から側根・支根を分化可能であるという特質を利用し、
通常は挿し木において不定根分化誘導剤として普及して
いるオーキシン(好適には人工オーキシン(NAA)
等)を活用し、木本植物種子の検定に新しい可能性を切
り開いた。
【0040】最終的には、試験結果提出までの必要経費
を最低に抑えるために、それぞれの種子に適用する試験
法は極力単純なものとし、かつ薬剤は最も安価なものを
使用することを前提にシステム化を図った。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明は、前述の摘出胚法を基本
原理とし、これを発展させたものである。摘出胚法は、
種子が発芽する際に必要になる水分や酸素の供給を図る
ため、幼根組織を含むような種子組織の切断、外種皮や
内種皮の除去、種子からの胚の取出し等を含む事前処置
方法、置床方法、処理方法を含み、短期間で発芽率や発
芽力を測定しようとするものであるが、木本植物種子に
汎用的に適用するには前述の通り種々の問題がある。
【0042】発明者らは、発芽試験の対象となる木本植
物種子の生理的及び構造的特性に応じて個別に選択すべ
き種子の事前処置方法、置床方法及び処理方法を見出し
た。そして、試験対象の木本植物種子に対して選択され
た各方法を適用し、連続光照射条件下において、例えば
23〜25℃の一定温度条件下の発芽試験床に置床する
ことにより、発芽能力を有する個体の割合(以下、「発
芽能力保有個体の割合」と称する)及び/又は発芽力を
7日以内という短期間で測定することができ、これらの
値から発芽率を推定可能であることを見出した。
【0043】具体的には、例えば、発芽能力保有個体の
割合を以って発芽率としたり、予め統計的に求められた
該割合又は発芽力と実際の発芽率の相関関係を示す関係
式(検量線)から発芽率を推定する等の方法が採られ
る。以下、本発明による木本植物種子の早期検定法、早
期品質証明法、及び播種量設計法の実施の形態を説明す
る。
【0044】(1)木本植物種子の早期検定法 図1は、本発明による木本植物種子の早期検定法の手順
を概略的に示した流れ図である。早期検定法の主要な工
程としては、必要に応じて置床前に実施される事前処置
ステップ、適切に選択された方法による置床ステップ、
必要に応じて置床中に実施される処理ステップ、発芽能
力保有個体の割合の測定ステップ、及び発芽力の測定ス
テップを含む。
【0045】(1-1)事前処置方法の選択及び実施ステッ
プ 図1のステップ11においては、置床前の事前処置の必
要な木本植物種子に対して適切な事前処置方法を選択
し、実施する。事前処置の不要な木本植物種子に対して
は行われない。
【0046】(1-1-1)殺菌処理及び水洗浄 カビの胞子や細菌を通常の水洗浄で除去できず、試験中
にそれらの弊害を受けかねない樹種に対してのみ、前処
理として次亜塩素酸ナトリウム等による殺菌処理とその
後の水洗浄を実施する。発芽試験において、カビの発生
は正確な発芽率や発芽力を測定する上で大きな障害とな
る。カビを防止するためには、例えば、種子に対して2
%次亜塩素酸ナトリウムによる15分間の殺菌処理を行
なった後、後述する適宜の処理方法を実施して発芽試験
床に置床することにより対応できる。この方法は、種子
の構造的な特性として、クサギ種子のように発芽孔が大
きく、菌類が種子内部に侵入しやすい種子、ヤマモモ種
子のように外種皮に果肉繊維が強固に付着した種子、ト
ベラ種子のように内種皮から粘着物質を分泌して種子表
面に菌類が付着しやすい種子等に対して適用することが
望ましい。
【0047】(1-1-2)水中への浸漬 ヤマウルシ種子、ヌルデ種子等のように、外種皮は硬い
が種子組織は柔らかい種子は、実際問題として外種皮が
硬いため、種子を切断する際に種子組織まで破壊してし
まう割合が多くなる。そのため、種子を一晩水中に浸漬
することによって外種皮を軟らかくし、切断の際に種子
組織を破壊しないようにすることができる。この方法は
カエデ類種子のように、外種皮を除去する際に外種皮が
吸水することによって軟らかくなり、外種皮の除去が行
いやすくなる場合や、トベラ種子のように吸水させるこ
とにより種子の切断が容易になる場合等に対しても適用
するとよい。尚、この方法は、外種皮に限らず、内種皮
の除去、切断に困難を要する場合にも適用できる。
【0048】(1-1-3)漂白又は洗浄 種皮表面に粘液状物質やワックス状物質が付着している
場合にのみ、種子による吸水・酸素呼吸を促すために、
前処理として次亜塩素酸ナトリウム等による漂白か中性
洗剤等による洗浄を行う。例えば、アカメガシワ種子等
のように、種子の表面に油脂成分が付着しているものが
ある。このような種子は、油脂が種子の吸水を妨げるこ
とによって、発芽速度が遅くなってしまう。これらの種
子は、例えば適量の中性洗剤等で種子の外種皮又は内種
皮の表面の油脂成分をよく洗浄した後に置床を行うこと
により、発芽速度を早くすることが可能になる。
【0049】(1-2)置床方法の選択ステップ 図1のステップ12においては、種子の置床方法の選択
を行う。前述の通り、「国際種子検査規定」に記載され
ている種子の処理は、種子によってはその構造的特性や
種子が小さいため、実務的に外種皮や内種皮を取り除く
作業自体に困難を伴うことがある。また、このような困
難を伴う処理を行わなくても、植物ホルモンや発芽促進
物質等を与えること、種子組織の切断等により、短期間
で発芽力を測定することが可能な種子もある。発明者ら
は、これらの点について鋭意研究を重ねた結果、少なく
とも次のA〜Jの置床方法を樹種毎に選択することによ
り、より合理的かつ迅速に発芽能力保有個体の割合及び
/又は発芽力を測定することができることを突き止め
た。尚、置床方法には、種子の切断又は切除等、種子を
物理的に加工することを含む。
【0050】(1-2-1)置床方法A 置床方法Aは、内種皮まで除去した後、胚又は胚の幼根
組織を含むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれ
か、又は子葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切
片を置床する方法である。この方法は、種子が大型であ
ることから作業が容易である種子や、外種皮及び内種皮
の除去や種子組織の切断が容易にできる種子に対して適
用する。この方法に適する種子としては、例えばアオキ
(置床方法Dと併用)、シラカシ、アラカシ、ウバメガ
シ、クリ、チヤノキ、ガマズミ、キハダ、シャリンバ
イ、サンショウ、ナンキンハゼ、ヤブツバキ、スダジイ
等があげられる。
【0051】(1-2-2)置床方法B 置床方法Bは、内種皮のみが付いたまま、胚又は胚の幼
根組織を含むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれ
か、又は子葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切
片を置床する方法である。この方法は、外種皮がなく種
子組織の切断が容易である種子や、外種皮の除去や種子
組織の切断は容易であるが、内種皮の剥離に困難を有す
る種子に対して適用する。この方法に適する種子として
は、例えばイタチハギ、ヤマハギ、コマツナギ、ヤマザ
クラ、オオヤマザクラ、ウワミズザクラ、アキグミ、イ
ヌツゲ、イボタノキ、エゴノキ、コマツナギ、サザン
カ、サネブトナツメ、センダン、トベラ、ナツハゼ、ナ
ナカマド、ナンテン、ネムノキ、ハナミズキ、フヨウ、
マサキ、モッコク、ヤマブキ、ヤマボウシ、ヤマモモ、
ナツツバキ、ヒメシャラ、ホルトノキ、マテバシイ(置
床方法Dと併用)等があげられる。
【0052】(1-2-3)置床方法C 置床方法Cは、外種皮が付いたまま、胚又は胚の幼根組
織を含むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、
又は子葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子組織を
置床する方法である。この方法は、種子組織の切断は容
易であるが、外種皮及び内種皮の剥離に困難を有する種
子に対して適応する。この方法に適する種子としては、
例えばウメモドキ、ヌルデ、ノイバラ、ヤマウルシ、ヤ
マハゼ、ツリバナ、ブナ、オヒョウ、ハシドイ、ムラサ
キハシドイ、キハダ等があげられる。
【0053】(1-2-4)置床方法D 置床方法Dは、上記A〜Cのいずれかの方法で種子組織
を切断した後、さらに胚又は胚の幼根組織を含むよう
に、子葉組織若しくは胚乳組織のいずれかの側面、又は
子葉組織及び胚乳組織の双方の側面も切断した種子切片
を置床する方法である。種子を切断する場合は、通常一
箇所しか切断を行わない。しかし、酸素や水分の供給を
さらに高めるため、又は発芽床に加える植物ホルモンや
発芽促進物質等が幼根組織に早期に染み渡るように幼根
組織を含むように側面も切断し、幼根組織を含んだ種子
組織がブロック状になるようにして置床することによ
り、発芽速度を速めることが可能となる。この方法は、
上述した置床方法A〜Cのいずれかと併用する点で効果
的である。この方法に適する種子としては、例えば、置
床方法Aを併用するものとして、アオキ、アラカシ、シ
ラカシ、ウバメガシ、クリ、チャノキ等、置床方法Bを
併用するものとして、マテバシイ等、後述する置床方法
Jを併用するものとしてアベマキ、クヌギ等があげられ
る。
【0054】(1-2-5)置床方法E 置床方法Eは、内種皮まで除去した後、切断せずにその
まま置床する方法である。この方法は、外種皮及び内種
皮の除去は容易であり、種子組織の切断を行わなくても
短期間で発芽する種子、植物ホルモンや発芽促進物質等
を発芽床に加えることによって短期間で発芽する種子、
種子が小さいため種子の切断に困難を有する種子、子葉
組織が入り組んで種子組織を構成しているため切断を行
うと種子組織が細かい断片になる種子に対して適用す
る。ここでいう子葉組織が入り組んで種子組織を構成し
ている種子とは、種皮の内側に子葉組織が渦巻状になっ
ているような種子をいう(以下同じ)。この方法に適す
る種子としては、例えばシャリンバイ、チャノキ、ナン
キンハゼ、ヤブツバキ等があげられる。尚、これら本方
法Eの適用種子であるシャリンバイ、チャノキ、ナンキ
ンハゼ、ヤブツバキは、通常の場合、より発芽速度が速
くなる置床方法Aを用いる方が好適である。
【0055】(1-2-6)置床方法F 置床方法Fは、内種皮のみが付いたまま、切断せずにそ
のまま置床する方法である。この方法は、もともと外種
皮は存在しなかったり外種皮の除去は容易であるが、内
種皮の除去には困難を要し、種子組織の切断を行わなく
ても短期間で発芽する種子、植物ホルモンや発芽促進物
質等を発芽床に加えることによって短期間で発芽する種
子、種子が小さいため種子の切断に困難を有する種子、
子葉組織が入り組んで種子組織を構成しているため切断
を行うと種子組織が細かい断片になる種子に対して適用
する。この方法に適する種子としては、例えばカエデ類
(イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジ、トネリコバ
ノカエデ、ウリハダカエデ)、アカメガシワ、クコ、ク
サギ、クスノキ、クチナシ、ノリウツギ、ウジウツギ、
ウラジロフジウツギ、サカキ、ムクゲ等があげられる。
【0056】(1-2-7)置床方法G 置床方法Gは、外種皮が付いたまま、切断せずにそのま
ま置床する。この方法は、外種皮及び内種皮の除去に困
難を要し、種子組織の切断を行わなくても短期間で発芽
する種子、植物ホルモンや発芽促進物質等を発芽床に加
えることによって短期間で発芽する種子、種子が小さい
ため種子の切断に困難を有する種子、子葉組織が入り組
んで種子組織を構成しているため、切断を行うと種子組
織が細かい断片になる種子に対して適用する。この方法
に適する種子としては、例えばカンバ類(ダケカンバ、
シラカンバ)、ハンノキ類(ヤマハンノキ、ヤシャブ
シ)、アキニレ、カツラ、ケヤキ、サルスベリ、ピラカ
ンサ、ムラサキシキブ、ユキヤナギ等があげられる。
【0057】(1-2-8)置床方法H 置床方法Hは、外種皮又は内種皮の除去及び種子の切断
に困難を要する場合、種子を強酸、強アルカリ、熱湯の
いずれかに浸した後、又は、該外種皮若しくは内種皮を
物理的に傷付けた後置床する方法である。この方法は、
主に硬実種子に対して用いる。外種皮又は内種皮の除去
や種子の切断を行うと、幼根組織、子葉組織、胚乳等の
破壊を招く等して、外種皮又は内種皮の除去作業に困難
を要し、置床方法Gを用い、植物ホルモン等を加えても
外種皮又は内種皮があるために種子への水分や酸素等の
供給が妨げられることから長期間の試験期間が必要な個
体に対して適用する。この場合、種子を強酸の場合は濃
硫酸等、強アルカリの場合は次亜塩素酸ナトリウム等に
浸すことにより、外種皮若しくは内種皮を薄くした後、
熱湯に浸すことにより外種皮や内種皮を軟らかくした
後、外種皮若しくは内種皮の一部を物理的に傷つけた
後、置床する。この方法に適する種子としては、例えば
イイギリ、エノキ等があげられる。
【0058】(1-2-9)置床方法I 置床方法Iは、種子から胚を取り出して置床する方法で
ある。この方法は、種子組織から胚を容易に取り出すこ
とができる種子に対して適用する。この方法に適する種
子としては、例えばネズミモチ等があげられる。
【0059】(1-2-10)置床方法J 置床方法Jは、種子が結実して落下した直後に発根する
個体又は貯蔵中に発根しやすい個体の場合に、既に発根
している個体については幼根を根元から切除し、発根し
ていない個体については幼根組織の先端部を切除した
後、オーキシンを含む発芽床に置床する方法である。こ
の方法は、ナラ類等のように種子が結実して落下した直
後に発根する種子又は貯蔵中に発根しやすい種子に対し
て適用する。既に発根している個体については幼根を根
元から切除し、発根していない個体については幼根組織
の先端部を切除し、オーキシン(好適にはNAA)を含む
発芽床に置床することによって対応する。この方法に適
する種子としては、例えばアベマキ、クヌギ(置床方法
Dと併用)、コナラ、ミズナラ等のように、結実して落
下した直後に発根したり、貯蔵中に発根を開始してしま
った種子に適用する。
【0060】(1-3)処理方法の選択ステップ 図1のステップ13においては、種子の処理方法の選択
を行う。本発明における木本植物種子の処理方法とは、
木本植物種子の置床期間中に木本植物種子に対して所定
の環境条件を付与するための処理の方法をいう。それぞ
れの種子の構造的特性に応じて上記置床方法A〜Jのい
ずれかに記載した処理を行って置床しても、種子の生理
的休眠の強度、胚の生長速度等の種子の生理的特性、あ
るいは外種皮及び内種皮の除去や種子の切断が極めて困
難な構造的特性等の原因により、7日以内に発芽しない
種子もあり得る。7日以内に発芽しないような樹種の種
子は、正確な値を測定することができない。しかしなが
ら、このような種子であっても、置床中に発芽促進処理
を並行して行うことにより発芽速度を早め、7日以内に
正確な値を測定することが可能になる。
【0061】(1-3-1)生長促進溶液による処理 種子が生理的休眠性を有する場合、胚の生長が遅い場
合、種子の構造的特性により外種皮及び内種皮の除去や
切断が困難である場合等は、ベンジルアデニン(BA)、
ジベレリン(GA)、チオウレア、硝酸カリウムのいずれ
かの溶液又はこれらの混合溶液を該種子に適した濃度及
び混合比に調整した後、これを発芽試験床に加えてから
置床することにより、検査期間を短縮させることができ
る。具体的には、発芽床である濾紙等にそれぞれの溶液
を染み込ませて行うとよい。サイトカイニンの代表であ
るBA、及び加水分解酵素群の活性化誘導のためのGA
は、植物ホルモンであり、これらにより還元力(NAD
PH)生産性向上と、それによる子葉展開力の誘導が得
られる。BA及びGAは、幼根、胚軸、子葉の生長を促
すため、全ての種子に対して適用できる。BA及びGA
の濃度はそれぞれの生理的休眠の強度、胚の生長速度、
種子の大きさ等によって変える。基本的には、生理的に
休眠が強い場合、胚の生長が遅い場合、種子の大きさが
大きい場合ほど高濃度になる。また、休眠がさらに強い
場合等にはBAとGAの混合液の使用が有効である。休
眠打破剤としてのチオウレアは、幼根及び胚軸の生長の
みを促すもので、子葉の生長を促す効果は小さく、発芽
後の生長を促進するようなものではないが、種によって
は休眠打破作用がある。従って、カエデ類の種子のよう
に、子葉の生長はほぼ完了しており、幼根及び胚軸の生
長のみで発芽する種子に対して適用する。チオウレアの
濃度はそれぞれの休眠の強度、種子の大きさ等によって
変える。基本的に休眠が強い場合や種子の大きさが大き
いほど高濃度が必要になる。BAやGAでも同様の効果
はあるが、これらの物質は価格的に高額である。これに
対して、チオウレアは安価なため、生理的な特性によっ
てチオウレアを用いることができる種子に対して用いる
ことにより、安価に試験を行うことが可能になる。電子
受容体並びにアミノ酸原料としての硝酸カリウムは、種
子の呼吸促進とアミノ酸、タンパク質の生合成を補うこ
とにより発芽を促進させるものである。ダケカンバ種子
のように小型の種子は、アミノ酸、タンパク質の貯蔵量
が少ないため、硝酸カリウムを与えることにより7日以
内という短期間で発芽力を測定することが可能となる。
この方法は、硝酸カリウムを単独で添加するほか、植物
ホルモンやチオウレアだけでは短期間で発芽しない種子
に対しては、さらに添加すると有効である。硝酸カリウ
ムの濃度はそれぞれの休眠の強度、種子の大きさ等によ
って変える。基本的に休眠が強い場合や種子の大きさが
大きいほど高濃度が必要になる。
【0062】(1-3-2)高酸素分圧による処理 種子が生理的休眠性を有する場合、胚の生長を促す必要
がある場合、種子の構造的特性により外種皮及び内種皮
の除去や種子の切断が困難である場合等は、別の方法と
して発芽試験床を高酸素分圧下に置くことにより対応で
きる。種子は、発芽する際に呼吸して発芽に必要なエネ
ルギー生産を行っていることから、酸素濃度を高めた条
件下で置床することによって種子の呼吸活性を高め、発
芽速度を速くすることが可能になる。具体的には、それ
ぞれの種子を置床したシャーレを、例えばデシケーター
のような密閉減圧ができる容器に入れ、その容器内の気
体を酸素と置き換えて置床する。また、休眠が強力な種
子の場合や胚の生長が非常に遅い場合等は、上記方法
(1-3-1)の方法と組み合わせることによって発芽速度を
速くすることが可能になる。
【0063】(1-3-3)生長促進ガスによる処理 種子が生理的休眠性を有する場合、胚の生長を促す必要
がある場合、種子の構造的特性により外種皮及び内種皮
の除去や種子の切断を行なうことが困難である場合等
は、さらに別の方法として、発芽試験床をエチレンガ
ス、エチレンガスに二酸化炭素を加えた混合ガス、又は
エチレンガスに二酸化炭素及び酸素を加えた混合ガス下
に置くことにより発芽期間を短縮させることができる。
エチレンガスを加えることによって、種子の呼吸活性を
高め発芽が促進される。そこに二酸化炭素を加えること
で必要な炭素骨格を補充することにより、エチレンガス
の効果が増し、酸素を加えることでエチレンガスの呼吸
活性効果が強められ、更に発芽速度を早くすることが可
能になる。具体的には、それぞれの種子を置床したシャ
ーレを、例えばデシケーターのような密閉できる容器に
入れ、その容器内に規定の濃度のエチレンガスを加えて
置床する。エチレンガスの濃度は、種子の休眠の強度、
胚の生長の速度、種子の大きさ等によって変える。ま
た、エチレンガスと共に、種子の生長に必要な炭素骨格
を与える二酸化炭素、若しくはさらに呼吸に必要な酸素
を混合した混合ガスを加えることによって発芽速度を速
くすることができる。なお、休眠が強力な種子や胚の生
長が非常に遅い場合等は、上記(1-3-1)の方法と組み合
わせることによって、発芽速度を速くすることが可能に
なる。
【0064】(1-4)置床方法及び処理方法の実施ステッ
プ 図1のステップ14において、上記ステップ12及び1
3で選択された置床方法及び処理方法に従って置床方法
及び処理方法を実施し、置床前には置床する個体を十分
水洗浄する。ステップ14の作業では、果皮を除去した
り種子を切断する作業が伴うため、置床前にみず洗浄を
行うことによりカビ等の発生を抑制することができる。
特に、切断に伴って種子から分泌される物質を洗浄によ
って取り除くことは、カビの発生を抑える上で重要であ
る。置床及び処理の方法の実施においては、対象とする
木本植物種子を、それぞれ種子の大きさに適した径のシ
ャーレ内に置床し、発芽床には湿らせた濾紙を適用し
て、23℃下に置床することが標準的な方法となる。な
お、シャーレ以外の容器やその他の素材の発芽床を用い
ても差し支えない。温度条件も限定されるものではない
が、本発明の検定法では常温近傍の一定温度下で検定を
完了できることに特徴がある。
【0065】(1-5)発芽能力保有個体の割合の測定ステ
ップ 図1のステップ15においては、上記のような置床方法
及び処理方法を実施した種子の発芽能力保有個体の割合
を測定する。具体的な測定方法として、その種子が発芽
能力を有していると判断する基準として次のa)〜d)の
いずれを樹種に応じて選択し適用する。そして、測定の
結果得られた割合の「数値」を「発芽能力保有個体の割
合」とする。
【0066】(1-5-1)測定方法a) 幼根組織が伸長した個体又は種子組織から幼根が突出し
た個体の割合を測定する。
【0067】(1-5-2)測定方法b) 幼根組織が重力方向に彎曲した個体の割合を測定する。
【0068】(1-5-3)測定方法c) 子葉組織が堅固なまま膨張した個体の割合又は子葉組織
に葉緑素が形成されて緑色化した個体の割合を測定す
る。
【0069】(1-5-4)測定方法d) 不定根が形成された個体の割合を測定する。
【0070】(1-6)発芽力の測定ステップ 図1のステップ16においては、上記のような置床方法
及び処理方法を実施した種子の発芽力を測定する。具体
的な測定方法として、次のi)〜v)のいずれかを選択し
適用することが有効である。そして、測定の結果得られ
た「数値」を「発芽力」とする。
【0071】(1-6-1)測定方法i) 一定期間内(好適には7日以内)に種子組織内から伸長
又は種子組織を突き破り伸長した幼根の長さ又はこの値
を1日当りに換算した伸長した長さを「数値」とする。
【0072】(1-6-2)測定方法ii) 置床する前の胚の重量を測定しておき、一定期間内(好
適には7日以内)に再び胚の重量を測定し、算出した胚
の重量増加率又はこの値を1日当たりに換算した重量増
加率を「数値」とする。
【0073】(1-6-3)測定方法iii) 一定期間内(好適には7日以内)に、前述の発芽能力保
有個体の割合の測定方法a)〜d)のいずれかの方法に
より生長を示した個体の割合を定期的に測定した発芽勢
を以って発芽力とし、生長を示した個体の百分率を「数
値」とする。
【0074】(1-6-4)測定方法iv) 一定期間内(好適には7日以内)に伸長した不定根の長
さ又はこの値を1日当りに換算した伸長した長さを「数
値」とする。
【0075】(1-6-5)測定方法v) 一定期間内(好適には7日以内)での葉緑素の形成の程
度を測定又は該葉緑素の形成の程度を1日当りに換算し
た値を「数値」とする。葉緑素の形成の程度を計測する
方法としては、例えば、葉緑素計(比色計)等公知の方
法が利用できる。
【0076】(2)木本植物種子の早期品質証明方法 図2は、本発明による木本植物種子の早期品質証明方法
の手順を概略的に示した流れ図である。品質証明方法の
主要な工程には、検量線の作成ステップ20と、発芽率
推定及び品質証明ステップ30の2段階のステップが含
まれる。
【0077】(2-1)検量線の作成ステップ 図2のステップ20は、検量線の作成ステップである。
このステップ20は、次の発芽率推定及び品質証明ステ
ップ30を実施するにあたり必要な検量線を予め作成す
るステップである。検量線は、木本植物種子の早期検定
法を実施して得られた発芽力(の数値)と、実際に当該
種子を播種した後に得られる実際の発芽率との相関関係
を表したグラフである。また、検量線の別の例として、
発芽能力保有個体の割合の測定結果(数値)と実際の発
芽率との相関関係を表したグラフも含まれるものとす
る。図2のステップ21において、前述の早期検定法を
実施して発芽能力保有個体の割合又は発芽力を数値とし
て得る。これと並行して別途、ステップ22において実
際に当該種子を播種した場合の実際の発芽率を測定す
る。そして、ステップ23において、発芽力等と実際の
発芽率との間に導出された相関関係をグラフに表し、検
量線を作成する。図3は、ステップ20により作成され
た検量線の一例を示すグラフである。この検量線は、発
芽力と実際の発芽率との相関関係を示している。尚、相
関関係を図示のようなグラフで表現することは、好適例
であるが、発芽能力保有個体の割合又は発芽力と実際の
発芽率との間に導出された相関関係を示すものであれ
ば、その表現形式は任意である。
【0078】(2-2)発芽率推定及び品質証明ステップ 予めステップ20により検量線を得た後、ステップ30
の発芽率推定及び品質証明ステップを実施する。ステッ
プ31では、品質証明の対象とする木本植物種子に対し
て前述の早期発芽率検定法を実施し、発芽能力保有個体
の割合及び/又は発芽力を数値として得る。次にステッ
プ32において、得られた発芽能力保有個体の割合又は
発芽力に検量線を適用することにより、検量線から得ら
れる発芽率の数値を実際の発芽率として推定する(以
下、「推定発芽率」と称する)。この方法は、比較的生
理的休眠性が低い樹木に対して容易に適用できる。そし
てステップ33において、ステップ32で得た推定発芽
率により、又は、ステップ32で得た推定発芽率並びに
ステップ31で得た発芽能力保有個体の割合及び/又は
発芽力により品質証明を行う。「品質証明を行う」と
は、具体的には例えば、得られた数値データを品質証明
書等の形態で表現し、状況に応じて測定方法や状況写真
等の補足説明を提示することが含まれる(以下、同
様)。これにより、木本植物種子の品質証明を短期間
(好適には7日以内)で行うことを実現する。
【0079】(3)木本植物種子の播種量設計法 図4は、本発明による木本植物種子の播種量設計法の手
順を概略的に示した流れ図である。播種量設計法の主要
な工程には、発芽能力保有個体の割合及び/又は発芽力
の測定ステップ、検量線の適用による発芽率推定ステッ
プ、並びに品質証明ステップのうち1又は複数のステッ
プにより発芽率を得るステップと、得られた発芽率を用
いた播種量の決定ステップとが含まれる。
【0080】(3-1)発芽能力保有個体の割合及び発芽力
の測定ステップ ステップ41においては、播種の対象とする木本植物種
子に対して前述の早期検定法を実施し、発芽能力保有個
体の割合及び/又は発芽力を数値として得る。
【0081】(3-2)発芽率推定ステップ ステップ42においては、前述の図2のステップ20と
同様に予め得た検量線をステップ41で得た発芽能力保
有個体の割合及び/又は発芽力に適用し、実際の発芽率
を推定した推定発芽率を得る。
【0082】(3-3)品質証明ステップ ステップ43においては、ステップ42で得た推定発芽
率により、又は、ステップ42で得た推定発芽率並びに
ステップ41で得た発芽能力保有個体の割合及び/又は
発芽力により品質証明を行う。
【0083】(3-4)播種量の決定ステップ ステップ44においては、播種工の実施に当たって木本
植物種子の単位播種量を算出することにより決定する。
播種量の決定は、ステップ41で得られた発芽能力保有
個体の割合を用いる場合、ステップ42で得られた推定
発芽率を用いる場合、又は、ステップ43で得られた品
質証明に含まれる発芽率を用いる場合があり得る。いず
れの場合も、本発明の早期検定法により7日以内の一定
期間内に信頼性のある数値データを確実に得ることがで
きる。これにより、これまで利用が困難であった郷土樹
木種子の緑化工への適用を大幅に推進することが可能と
なり、郷土種を用いた生物多様性を考慮した植生復元が
効率的に行なえるようになる。また、緑化工に用いる種
子のほか、苗木生産等の分野においても、本手法を活用
して発芽率を検定することにより、効率的な苗木生産を
行うことができる。
【0084】(4)本発明の適用例 本発明による木本植物種子の早期検定法は、種子の特性
に応じて処理方法等を適宣選択し、7日以内という短期
間で発芽率を推定する方法である。この方法を効率的に
活用するためには、前述の事前処置方法、置床方法、処
理方法の各方法を効果的に組み含わせることが好適であ
る。特に、発芽率検定においては種子の生理的休眠との
関係が強く関係する。種子は必ず生理的休眠を保持して
おり、すぐ発芽するものは休眠が非常に弱く、なかなか
発芽しないものは休眠が強い。具体的な検査手法を組み
合わせる一例を示すと次のとおりである。
【0085】(4-1)生理的休眠が非常に弱い場合 外種皮又は内種皮が付いた種子をそのまま置床する(上
記置床方法F〜Gを選択する)。
【0086】(4-2)生理的休眠が弱い場合 外種皮若しくは内種皮の除去を行ったり種子の切断を行
う(上記置床方法A〜E又はHを選択する)。
【0087】(4-3)生理的休眠が強い場合 作業性や種子の構造等を踏まえて、可能な限り外種皮、
内種皮の除去、種子の切断を行い、さらにBA、GA、
チオウレア、硝酸カリウム、若しくはこれらの混合液を
与える方法(上記(1-3-1)の処理方法)を併用する。ま
た、作業性や種子の構造により、外種皮、内種皮の除
去、種子の切断が行えない場合は、上記置床方法F〜G
を用い、上記の発芽促進物質を与える。
【0088】(4-4)生理的休眠が非常に強い場合 上記(4-3)の「強い場合」で解説した方法に、高酸素分
圧下に置床する方法(上記(1-3-2)の処理方法)のほ
か、エチレンガス又はこれに二酸化炭素を、若しくはさ
らに酸素を加えた混合ガスを加える方法(上記(1-3-3)
の処理方法)を併用する。
【0089】(4-5)胚が未熟である後熟型休眠の場合 作業性や種子の構造等を踏まえて、可能な限り外種皮、
内種皮の除去、種子の切断を行い、未熟な胚を生長させ
るため、植物ホルモンであるBA、GA若しくはこれら
の混合液を加える方法(上記(1-3-1)の処理方法)を併
用する。後熟型休眠の場合は子葉の生長も促す必要があ
るため、子葉の生長効果が小さいチオウレアは適用しな
い方が望ましい。また、植物ホルモンを加えても不十分
な場合は、高酸素分圧下に置床する方法のほか、エチレ
ンガス又はこれに二酸化炭素、若しくはさらに酸素を加
えた混合ガスを加える方法(上記(1-3-3)の処理方法)を
併用する。
【0090】(4-6)硬実型休眠の場合 硬い外種皮又は内種皮が種子組織への水分及び酸索の供
給を妨げることによる休眠である。従って、硬い外種皮
又は内種皮の影響をなくすため、これらの除去や種子の
切断、強酸又は強アルカリ処理、これらに物理的に傷を
つける等の処理(上記(1-2)の置床方法のうち置床方法
G以外の全ての置床方法)を行う。具体的には、種子の
構造や作業性等を踏まえて、置床方法G以外の適した置
床方法を適用する。なお、例外として、アカメガシワは
硬い内種皮があるが、これを取り除くことは困難である
ことから、内種皮の除去、種子の切断を行わずに、植物
ホルモンを与えて短期間で発芽させるとよい。
【0091】
【発明の効果】本発明の効果は、第1に全ての種類の木
本植物種子(特に広葉樹種子)に適用可能な、種子発芽
率の早期検定法を実現したことである。第2にこれを基
礎にして使用種子母集団あるいは売買種子母集団の品質
証明法となすことが可能となる。即ち、本検定法によっ
て直接・間接的に種子母集団の発芽率を推計できること
になり、種子品質の保証並びに取り扱い指針を提供でき
ることになる。第3に、推計された種子発芽率に基づい
て、播種工法による緑化工事における木本種子の適正な
播種・混合量を設定することによって、施工発注者に応
える最も合理的な施工計画を提示できることになる。ま
た、それぞれの木本植物種子固有の様々な構造上の特性
並びに休眠・劣化に関する生理的特性を熟知した上での
種子品質の認知であるために、ここで得られた品質保証
を基礎として行われる設計・施工計画はより高い確実性
を有することになる。
【0092】具体的効果として、本発明によれば、7日
以内という短期間で対象植物の発芽力を有する個体の割
合を測定できることから、種子の劣化を生じることなく
正確な発芽能力を有する個体の割合を効率的かつ迅速に
測定することが可能となる。また、種子の特性によって
外種皮や内種皮が付いたまま種子組織を切断すること
や、外種皮や内種皮がついたままで置床することが可能
になる種子が大部分を占めるため、従来の摘出胚法のよ
うに全ての種類の種子に対して完全に胚を露出する必要
はなく、作業性を大幅に容易にすることが可能となる。
さらに外種皮や内種皮の除去や、種子の切断を行う前に
浸漬処理が必要となる種類の種子もあるが、本発明によ
ればどの種類の種子に対しても浸漬処理期間は一晩でよ
いことから、試験期間の大幅な短縮化が実現する。
【0093】緑化工事においては、種子という生き物を
取り扱う性格上、施工時期が限定されることから、施工
前に迅速な発芽率の計測が求められる。本手法は、こう
した場合に極めて有効な方法であり、実際問題として木
木植物種子への適用が困難であった従来の発芽試験法に
代わる検定法として社会的にも大きく貢献できるもので
ある。特に、本発明の方法はその全ての場合において最
長でも7日以内に発芽率を検定することができる。従っ
て、これまで発芽試験の適用が困難であった強い休眠を
有する種子でも7日以内という短期間で発芽率を検定す
ることを可能とした。これは、地域住民によって自然採
取した種子を活用する緑化工事等のように種子の品質を
事前に早急に確認しなければならない場合において極め
て有効な方法である。また、緑化工事に用いる種子のほ
か、苗木生産等の分野においても、本手法を活用して発
芽率を検定することにより、効率的な苗木生産を行うこ
とができる。
【0094】この発芽力検定法を用いて種子の品質証明
を行なうことにより、これまでよりも精度が高くかつ早
期に種子の品質を証明することが可能となる。また、こ
の検定結果(品質証明)を用いて緑化工事における木本
植物種子の播種量を設定することにより、郷土樹木種子
を設計に組み入れることを容易にし、その結果種子の無
駄のない確実性の高い緑化工事を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による木本植物種子の早期検定法の手順
を概略的に示した流れ図である。
【図2】本発明による木本植物種子の早期品質証明方法
の手順を概略的に示した流れ図である。
【図3】本発明による木本植物種子の早期品質証明法の
検量線作成ステップにより作成された発芽力数値と発芽
率の相関開係を表した検量線の例を示すグラフである。
【図4】本発明による木本植物種子の播種量設計法の手
順を概略的に示した流れ図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月1日(2002.2.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】(1-2-2)置床方法B 置床方法Bは、内種皮のみが付いたまま、胚又は胚の幼
根組織を含むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれ
か、又は子葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切
片を置床する方法である。この方法は、外種皮がなく種
子組織の切断が容易である種子や、外種皮の除去や種子
組織の切断は容易であるが、内種皮の剥離に困難を有す
る種子に対して適用する。この方法に適する種子として
は、例えばイタチハギ、ヤマハギ、コマツナギ、ヤマザ
クラ、オオヤマザクラ、ウワミズザクラ、アキグミ、イ
ヌツゲ、イボタノキ、エゴノキ、ザンカ、サネブトナ
ツメ、センダン、トベラ、ナツハゼ、ナナカマド、ナン
テン、ネムノキ、ハナミズキ、フヨウ、マサキ、モッコ
ク、ヤマブキ、ヤマボウシ、ヤマモモ、ナツツバキ、ヒ
メシャラ、ホルトノキ、マテバシイ(置床方法Dと併
用)等があげられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】(1-2-6)置床方法F 置床方法Fは、内種皮のみが付いたまま、切断せずにそ
のまま置床する方法である。この方法は、もともと外種
皮は存在しなかったり外種皮の除去は容易であるが、内
種皮の除去には困難を要し、種子組織の切断を行わなく
ても短期間で発芽する種子、植物ホルモンや発芽促進物
質等を発芽床に加えることによって短期間で発芽する種
子、種子が小さいため種子の切断に困難を有する種子、
子葉組織が入り組んで種子組織を構成しているため切断
を行うと種子組織が細かい断片になる種子に対して適用
する。この方法に適する種子としては、例えばカエデ類
(イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジ、トネリコバ
ノカエデ、ウリハダカエデ)、アカメガシワ、クコ、ク
サギ、クスノキ、クチナシ、ノリウツギ、フジウツギ
ウラジロフジウツギ、サカキ、ムクゲ等があげられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長 信也 東京都港区新橋5丁目11番3号東興建設株 式会社内 (72)発明者 秋元 利之 千葉県市原市五井海岸10番地日本合同肥料 株式会社千葉工場内 (72)発明者 江刺 洋司 宮城県仙台市青葉区大手町10−24 Fターム(参考) 2B051 AB01 BA11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木本植物種子の早期検定法において、 前記木本植物種子の生理的特性及び構造的特性に基づき
    該種子の事前処置方法、置床方法及び処理方法を選択
    し、 前記選択された事前処置方法及び前記置床方法により前
    記種子を加工し、 前記加工された種子を連続光照射条件下及び一定温度条
    件下の発芽試験床に前記選択された処理方法により置床
    し、 前記置床された種子について発芽能力保有個体の割合及
    び/又は発芽力を測定することを特徴とする木本植物種
    子の早期検定法。
  2. 【請求項2】 木本植物種子の早期検定法において、 前記木本植物種子の生理的特性及び構造的特性に基づき
    該種子の事前処置方法、置床方法及び処理方法を選択
    し、 前記選択された事前処置方法及び前記置床方法により前
    記種子を加工し、 前記加工された種子を連続光照射条件下及び一定温度条
    件下の発芽試験床に前記選択された処理方法により置床
    し、 前記置床された種子について発芽能力保有個体の割合及
    び/又は発芽力を測定し、 前記測定された発芽能力保有個体の割合又は発芽力と前
    記種子の実際の発芽率との相関関係を導出し、 前記相関関係を適用することにより前記発芽能力保有個
    体の割合又は発芽力から前記種子の実際の発芽率を推定
    することを特徴とする木本植物種子の早期検定法。
  3. 【請求項3】 前記種子の置床方法が、少なくとも下記
    A〜Jに記載のいずれかの方法から選択されることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の木本植物種子の早期検
    定法。 A:内種皮まで除去した後、胚又は胚の幼根組織を含む
    ように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子葉
    組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床する
    方法。 B:内種皮のみが付いたまま、胚又は胚の幼根組織を含
    むように子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子
    葉組織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床す
    る方法。 C:外種皮が付いたまま、胚又は胚の幼根組織を含むよ
    うに子葉組織若しくは胚乳組織のいずれか、又は子葉組
    織及び胚乳組織の双方を切断した種子切片を置床する方
    法。 D:上記A〜Cのいずれかの方法で種子組織を切断した
    後、さらに胚又は胚の幼根組織を含むように子葉組織若
    しくは胚乳組織のいずれかの側面、又は子葉組織及び胚
    乳組織の双方の側面も切断した種子切片を置床する方
    法。 E:内種皮まで除去した後、種子を切断せずにそのまま
    置床する方法。 F:内種皮のみが付いたまま、種子を切断せずにそのま
    ま置床する方法。 G:外種皮が付いたまま、種子を切断せずにそのまま置
    床する方法。 H:種子を強酸、強アルカリ若しくは熱湯のいずれかに
    浸した後、又は、該外種皮若しくは内種皮を物理的に傷
    付けた後置床する方法。 I:種子から胚を取り出して置床する方法。 J:既に発根している個体は幼根を根元から切除し、発
    根していない個体は幼根組織の先端部を切除した後、オ
    ーキシンを含む発芽床に置床する方法。
  4. 【請求項4】 加工された種子については、置床するに
    先立って該加工された種子を水洗浄することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の木本植物種子の早期
    検定法。
  5. 【請求項5】 前記種子の前記処理方法として、サイト
    カイニン、ジベレリン、チオウレア、硝酸カリウムのい
    ずれかの溶液又はこれらの混合溶液を該種子に適した濃
    度及び混合比に調整した後、これを前記発芽試験床に加
    えてから置床することを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の木本植物種子の早期検定法。
  6. 【請求項6】 前記種子の前記処理方法として、前記発
    芽試験床を高酸素分圧下に置くことを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の木本植物種子の早期検定法。
  7. 【請求項7】 前記種子の前記処理方法として、前記発
    芽試験床をエチレンガス、エチレンガスに二酸化炭素を
    加えた混合ガス、又はエチレンガスに二酸化炭素及び酸
    素を加えた混合ガス下に置くことを特徴とする請求項1
    〜5に記載の木本植物種子の早期検定法。
  8. 【請求項8】 前記種子の事前処置方法として、該種子
    の殺菌処理を行なうことを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載の木本植物種子の早期検定法。
  9. 【請求項9】 前記種子の事前処置方法として、該種子
    を一晩水浸処理することを特徴とする請求項l〜8のい
    ずれかに記載の木本植物種子の早期検定法。
  10. 【請求項10】 前記種子の事前処置方法として、該種
    子の外種皮又は内種皮の表面の油脂成分を除去すること
    を特徴とする請求項l〜9のいずれかに記載の木本植物
    種子の早期検定法。
  11. 【請求項11】 前記置床された種子について発芽能力
    保有個体の割合を測定する際に、下記a)〜d)のいず
    れかの測定方法が選択されることを特徴とする請求項1
    〜10のいずれかに記載の木本植物種子の早期検定法。 a):幼根組織が伸長した個体又は種子組織から幼根が
    突出した個体の割合を測定する方法。 b):幼根組織が重力方向に彎曲した個体の割合を測定
    する方法。 c):子葉組織が堅固なまま膨張した個体の割合又は子
    葉組織に葉緑素が形成されて緑色化した個体の割合を測
    定する方法。 d):不定根が形成された個体の割合を測定する方法。
  12. 【請求項12】 前記置床された種子について前記発芽
    能力保有個体の発芽力を測定する際に、下記i)〜v)
    のいずれかの測定方法が選択されることを特徴とする請
    求項1〜10に記載の木本植物種子の早期検定法。 i):一定期間内に伸長した幼根の長さを測定又は該幼
    根の長さを1日当りに換算する測定方法。 ii):一定期間内に増加した胚の重量を測定又は該胚の
    重量を1日当りに換算する測定方法。 iii):一定期間内に請求項11に記載のa)〜d)の
    いずれかの測定方法により測定された発芽能力保有個体
    の割合を百分率で表す測定方法。 iv):一定期間内に伸長した不定根の長さを測定又は該
    不定根の長さを1日当りに換算する測定方法。 v):一定期間内での葉緑素の形成の程度を測定又は該
    葉緑素の形成の程度を1日当りに換算する測定方法。
  13. 【請求項13】 下記のア)又はイ)の少なくともいず
    れか一を提示することにより種子の品質証明を行うこと
    を特徴とする木本植物種子の早期品質証明法。 ア):請求項1〜12のいずれかに記載の木本植物種子
    の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の割合及
    び/又は発芽力。 イ):請求項1〜12のいずれかに記載の木本植物種子
    の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の割合又
    は発芽力から推定された実際の発芽率。
  14. 【請求項14】 下記のア)〜ウ)の少なくともいずれ
    か一を用いることにより播種工における木本植物種子の
    単位播種量を算出することを特徴とする木本植物種子の
    播種量設計法。 ア):請求項l〜12のいずれかに記載の木本植物種子
    の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の割合。 イ):請求項l〜12のいずれかに記載の木本植物種子
    の早期検定法により得られた発芽能力保有個体の割合又
    は発芽力から推定された実際の発芽率。 ウ):請求項13に記載の品質証明法により提示された
    発芽率。
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