JP2002279994A - 電 池 - Google Patents

電 池

Info

Publication number
JP2002279994A
JP2002279994A JP2001075079A JP2001075079A JP2002279994A JP 2002279994 A JP2002279994 A JP 2002279994A JP 2001075079 A JP2001075079 A JP 2001075079A JP 2001075079 A JP2001075079 A JP 2001075079A JP 2002279994 A JP2002279994 A JP 2002279994A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
battery
lithium
positive electrode
battery according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001075079A
Other languages
English (en)
Inventor
Goro Shibamoto
悟郎 柴本
Hiroyuki Akashi
寛之 明石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001075079A priority Critical patent/JP2002279994A/ja
Publication of JP2002279994A publication Critical patent/JP2002279994A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 負極のバインダを選定し、特性を向上させる
ことが可能な電池を提供する。 【解決手段】 負極22は負極合剤層22bに、リチウ
ムを吸蔵・離脱可能な負極材料、結着剤としてジエン構
造を有するポリマー、増粘剤としてセルロース誘導体を
含んで構成されている。ジエン構造を有する高分子、例
えばスチレン−ブタジエン共重合体は、結着性に優れる
が、単独では負極材料に凝集して塗膜することが難し
い。セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロ
ースを併用することで、スラリーとしたときの負極合剤
に適度な粘度が与えられ、ジエン構造を有する結着剤を
分散させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極および負極と
共に電解質を備えた電池に係り、特に、負極の容量が軽
金属の吸蔵および離脱による容量成分と、軽金属の析出
および溶解による容量成分との和により表される電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型VTR(ビデオテー
プレコーダ),携帯電話あるいはラップトップコンピュ
ータに代表されるポータブル電子機器が広く普及し、そ
れらの長時間連続駆動が強く求められている。それに伴
い、それらのポータブル電源として、二次電池の高容量
化および高エネルギー密度化の要求が高まっている。
【0003】高エネルギー密度を得ることができる二次
電池としては、例えば、負極に炭素材料などのリチウム
(Li)を吸蔵および離脱することができる材料を用い
たリチウムイオン二次電池や、あるいは負極にリチウム
金属を用いたリチウム二次電池がある。特に、リチウム
二次電池は、リチウム金属の理論電気化学当量が205
4mAh/cm3 と大きく、リチウムイオン二次電池で
用いられる黒鉛材料の2.5倍にも相当するので、リチ
ウムイオン二次電池を上回る高いエネルギー密度を得ら
れるものと期待されている。これまでも、多くの研究者
等によりリチウム二次電池の実用化に関する研究開発が
なされてきた(例えば、Lithium Batteries,Jean-Paul
Gabano編, Academic Press(1983)) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リチウ
ム二次電池は、充放電を繰り返した際の放電容量の劣化
が大きく、実用化が難しいという問題があった。この容
量劣化は、リチウム二次電池が負極においてリチウム金
属の析出・溶解反応を利用していることに基づいてお
り、充放電に伴い、正負極間で移動するリチウムイオン
に対応して負極の体積が容量分だけ大きく増減するの
で、負極の体積が大きく変化し、リチウム金属結晶の溶
解反応および再結晶化反応が可逆的に進みづらくなって
しまうことによるものである。しかも、負極の体積変化
は高エネルギー密度を実現しようとするほど大きくな
り、容量劣化もいっそう著しくなる。
【0005】そこで本発明者等は、負極の容量がリチウ
ムの吸蔵・離脱による容量成分と、リチウムの析出・溶
解による容量成分との和により表される二次電池を新た
に開発した。これは、負極にリチウムを吸蔵および離脱
することができる炭素材料を用い、充電の途中において
炭素材料の表面にリチウムを析出させるようにしたもの
である。この二次電池によれば、高エネルギー密度を達
成しつつ、充放電サイクル特性を向上させることが期待
できる。しかし、実用化するには、さらなる特性の向上
および安定化を図る必要があり、そのためには、電池の
諸特性は電極反応を反映したものであることから、負極
において負極活物質同士あるいは負極活物質と集電体と
を結着させるバインダの適切な設計が必要である。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、負極のバインダを選定し、特性を向
上させることが可能な電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による電池は、正
極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極
の容量は、軽金属の吸蔵および離脱による容量成分と、
軽金属の析出および溶解による容量成分との和により表
され、負極は、ジエン構造を有するポリマーおよびセル
ロース誘導体を含んでいる。
【0008】本発明による電池では、負極はジエン構造
を有するポリマーとセルロース誘導体を含んでおり、バ
インダの結着性と分散性が並存することから、その作製
が容易となると共に電池のサイクル特性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。
【0010】図1は本発明の一実施の形態に係る二次電
池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわ
ゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電
池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパ
レータ23を介して巻回された巻回電極体20を有して
いる。電池缶11は、例えばニッケルのめっきがされた
鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開
放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20
を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板1
2,13がそれぞれ配置されている。
【0011】電池缶11の開放端部には、電池蓋14
と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15
および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficie
nt;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してか
しめられることにより取り付けられており、電池缶11
の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池
缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構
15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的
に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱な
どにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク
板15aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電
気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子1
6は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限
し、大電流による異常な発熱を防止するものであり、例
えば、チタン酸バリウム系半導体セラミックスにより構
成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料に
より構成されており、表面にはアスファルトが塗布され
ている。
【0012】巻回電極体20は、例えば、センターピン
24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極2
1にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続
されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リ
ード26が接続されている。正極リード25は安全弁機
構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接
続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され
電気的に接続されている。
【0013】図2は図1に示した巻回電極体20の一部
を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向
する一対の面を有する正極集電体21aの両面に正極合
剤層21bが設けられた構造を有している。なお、図示
はしないが、正極集電体21aの片面のみに正極合剤層
21bを設けるようにしてもよい。正極集電体21a
は、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アル
ミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金
属箔により構成されている。正極合剤層21bは、例え
ば、厚みが80μm〜250μmであり、軽金属である
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料を
含んで構成されている。なお、正極合剤層21bの厚み
は、正極合剤層21bが正極集電体21aの両面に設け
られている場合には、その合計の厚みである。
【0014】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウ
ム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチ
ウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合
して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするに
は、一般式Lix MO2 で表されるリチウム複合酸化物
あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。な
お、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的に
は、コバルト(Co),ニッケル(Ni),マンガン
(Mn),鉄(Fe),アルミニウム(Al),バナジ
ウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1
種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異な
り、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値であ
る。また、他にも、スピネル型結晶構造を有するLiM
2 4 、あるいはオリビン型結晶構造を有するLiF
ePO4 なども高いエネルギー密度を得ることができる
ので好ましい。
【0015】なお、このような正極材料は、例えば、リ
チウムの炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物と、
遷移金属の炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物と
を所望の組成になるように混合し、粉砕した後、酸化性
雰囲気中において600℃〜1000℃の範囲内の温度
で焼成することにより調製される。
【0016】正極合剤層21bは、また、例えば導電剤
を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいても
よい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラッ
クあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料があげら
れ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられ
る。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であ
れば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるよ
うにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブ
タジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピ
レンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリビニリデン
フルオロライドなどの高分子材料が挙げられ、そのうち
の1種または2種以上を混合して用いられる。例えば、
図1に示したように正極21および負極22が巻回され
ている場合には、結着剤として柔軟性に富むスチレンブ
タジエン系ゴムあるいはフッ素系ゴムなどを用いること
が好ましい。
【0017】負極22は、例えば、対向する一対の面を
有する負極集電体22aの両面に負極合剤層22bが設
けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負
極集電体22aの片面のみに負極合剤層22bを設ける
ようにしてもよい。負極集電体22aは、良好な電気化
学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する銅
箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔によ
り構成されている。特に、銅箔は高い電気伝導性を有す
るので最も好ましい。負極集電体22aの厚みは、例え
ば、6μm〜40μm程度であることが好ましい。6μ
mよりも薄いと機械的強度が低下し、製造工程において
負極集電体22aが断裂しやすく、生産効率が低下して
しまうからであり、40μmよりも厚いと電池内におけ
る負極集電体22aの体積比が必要以上に大きくなり、
エネルギー密度を高くすることが難しくなるからであ
る。
【0018】負極合剤層22bは、軽金属であるリチウ
ムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれ
か1種または2種以上を含んで構成されており、本実施
の形態では、結着剤としてジエン構造を有するポリマー
を含むと共に、増粘剤としてセルロース誘導体を含んで
いる。ジエン構造を有するポリマーとしては、例えばポ
リブタジエン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体,スチレン−ブタジエン共重合体,ポリイソプレンな
どが代表的であり、これら以外にもジエン構造を有する
高分子化合物であれば用いることができる。なお、ジエ
ン構造を有するポリマーは、従来より結着剤として用い
られているポリフッ化ビニリデン等が点結着するのに対
し、面結着する性質を有している。よって、結着剤の負
極合剤層22bに占める割合を減少させることができ
る。
【0019】但し、ジエン構造を有するポリマーは、ポ
リフッ化ビニリデンやゴムなどに比べて分子凝集エネル
ギーが大きく、負極材料にこれのみを混合すれば、負極
材料に凝集して結着剤としての機能が極端に低下する。
そこで、増粘剤を加え、溶剤の粘度を高くすることによ
り、結着剤の分散性を向上させ凝集を防ぐことが必要と
なる。このような増粘剤としては、セルロース誘導体が
用いられ、具体的には、カルボキシメチルセルロースの
アルカリ金属塩,もしくはアンモニウム塩が挙げられ
る。
【0020】なお、負極合剤層22bの厚みは、例え
ば、80μm〜250μmである。この厚みは、負極合
剤層22bが負極集電体22aの両面に設けられている
場合には、その合計の厚みである。
【0021】なお、本明細書において軽金属の吸蔵およ
び離脱というのは、軽金属イオンがそのイオン性を失う
ことなく電気化学的に吸蔵および離脱されることを言
う。これは、吸蔵された軽金属が完全なイオン状態で存
在する場合のみならず、完全なイオン状態とは言えない
状態で存在する場合も含む。これらに該当する場合とし
ては、例えば、黒鉛に対する軽金属イオンの電気化学的
なインタカレーション反応による吸蔵が挙げられる。ま
た、金属間化合物あるいは合金の形成による軽金属の吸
蔵も挙げることができる。
【0022】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あ
るいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。こ
れら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非
常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共
に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので
好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエ
ネルギー密度を得ることができ好ましい。
【0023】黒鉛としては、例えば、真密度が2.10
g/cm3 以上のものが好ましく、2.18g/cm3
以上のものであればより好ましい。なお、このような真
密度を得るには、(002)面のC軸結晶子厚みが1
4.0nm以上であることが必要である。また、(00
2)面の面間隔は0.340nm未満であることが好ま
しく、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内
であればより好ましい。
【0024】黒鉛は、天然黒鉛でも人造黒鉛でもよい。
人造黒鉛であれば、例えば、有機材料を炭化して高温熱
処理を行い、粉砕・分級することにより得られる。高温
熱処理は、例えば、必要に応じて窒素(N2 )などの不
活性ガス気流中において300℃〜700℃で炭化し、
毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1500℃まで
昇温してこの温度を0時間〜30時間程度保持し仮焼す
ると共に、2000℃以上、好ましくは2500℃以上
に加熱し、この温度を適宜の時間保持することにより行
う。
【0025】出発原料となる有機材料としては、石炭あ
るいはピッチを用いることができる。ピッチには、例え
ば、コールタール,エチレンボトム油あるいは原油など
を高温で熱分解することにより得られるタール類、アス
ファルトなどを蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチ
ーム蒸留),熱重縮合,抽出,化学重縮合することによ
り得られるもの、木材還流時に生成されるもの、ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチ
ラートまたは3,5−ジメチルフェノール樹脂がある。
これらの石炭あるいはピッチは、炭化の途中最高400
℃程度において液体として存在し、その温度で保持され
ることで芳香環同士が縮合・多環化し、積層配向した状
態となり、そののち約500℃以上で固体の炭素前駆
体、すなわちセミコークスとなる(液相炭素化過程)。
【0026】有機材料としては、また、ナフタレン,フ
ェナントレン,アントラセン,トリフェニレン,ピレ
ン,ペリレン,ペンタフェン,ペンタセンなどの縮合多
環炭化水素化合物あるいはその誘導体(例えば、上述し
た化合物のカルボン酸,カルボン酸無水物,カルボン酸
イミド)、またはそれらの混合物を用いることができ
る。更に、アセナフチレン,インドール,イソインドー
ル,キノリン,イソキノリン,キノキサリン,フタラジ
ン,カルバゾール,アクリジン,フェナジン,フェナン
トリジンなどの縮合複素環化合物あるいはその誘導体、
またはそれらの混合物を用いることもできる。
【0027】なお、粉砕は、炭化,仮焼の前後、あるい
は黒鉛化前の昇温過程の間のいずれで行ってもよい。こ
れらの場合には、最終的に粉末状態で黒鉛化のための熱
処理が行われる。但し、嵩密度および破壊強度の高い黒
鉛粉末を得るには、原料を成型したのち熱処理を行い、
得られた黒鉛化成型体を粉砕・分級することが好まし
い。
【0028】例えば、黒鉛化成型体を作製する場合に
は、フィラーとなるコークスと、成型剤あるいは焼結剤
となるバインダーピッチとを混合して成型したのち、こ
の成型体を1000℃以下の低温で熱処理する焼成工程
と、焼成体に溶融させたバインダーピッチを含浸させる
ピッチ含浸工程とを数回繰り返してから、高温で熱処理
する。含浸させたバインダーピッチは、以上の熱処理過
程で炭化し、黒鉛化される。ちなみに、この場合には、
フィラー(コークス)とバインダーピッチとを原料にし
ているので多結晶体として黒鉛化し、また原料に含まれ
る硫黄や窒素が熱処理時にガスとなって発生することか
ら、その通り路に微小な空孔が形成される。よって、こ
の空孔により、リチウムの吸蔵および離脱反応が進行し
易しくなると共に、工業的に処理効率が高いという利点
もある。なお、成型体の原料としては、それ自身に成型
性、焼結性を有するフィラーを用いてもよい。この場合
には、バインダーピッチの使用は不要である。
【0029】難黒鉛化性炭素としては、(002)面の
面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70g/cm
3 未満であると共に、空気中での示差熱分析(differen
tialthermal analysis ;DTA)において700℃以
上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
【0030】このような難黒鉛化性炭素は、例えば、有
機材料を1200℃程度で熱処理し、粉砕・分級するこ
とにより得られる。熱処理は、例えば、必要に応じて3
00℃〜700℃で炭化した(固相炭素化過程)のち、
毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1300℃まで
昇温し、この温度を0〜30時間程度保持することによ
り行う。粉砕は、炭化の前後、あるいは昇温過程の間で
行ってもよい。
【0031】出発原料となる有機材料としては、例え
ば、フルフリルアルコールあるいはフルフラールの重合
体,共重合体、またはこれらの高分子と他の樹脂との共
重合体であるフラン樹脂を用いることができる。また、
フェノール樹脂,アクリル樹脂,ハロゲン化ビニル樹
脂,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアミ
ド樹脂,ポリアセチレンあるいはポリパラフェニレンな
どの共役系樹脂、セルロースあるいはその誘導体、コー
ヒー豆類、竹類、キトサンを含む甲殻類、バクテリアを
利用したバイオセルロース類を用いることもできる。更
に、水素原子(H)と炭素原子(C)との原子数比H/
Cが例えば0.6〜0.8である石油ピッチに酸素
(O)を含む官能基を導入(いわゆる酸素架橋)させた
化合物を用いることもできる。
【0032】この化合物における酸素の含有率は3%以
上であることが好ましく、5%以上であればより好まし
い(特開平3−252053号公報参照)。酸素の含有
率は炭素材料の結晶構造に影響を与え、これ以上の含有
率において難黒鉛化性炭素の物性を高めることができ、
負極22の容量を向上させることができるからである。
ちなみに、石油ピッチは、例えば、コールタール,エチ
レンボトム油あるいは原油などを高温で熱分解すること
により得られるタール類、またはアスファルトなどを、
蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム蒸留),熱
重縮合,抽出あるいは化学重縮合することにより得られ
る。また、酸化架橋形成方法としては、例えば、硝酸,
硫酸,次亜塩素酸あるいはこれらの混酸などの水溶液と
石油ピッチとを反応させる湿式法、空気あるいは酸素な
どの酸化性ガスと石油ピッチとを反応させる乾式法、ま
たは硫黄,硝酸アンモニウム,過硫酸アンモニア,塩化
第二鉄などの固体試薬と石油ピッチとを反応させる方法
を用いることができる。
【0033】なお、出発原料となる有機材料はこれらに
限定されず、酸素架橋処理などにより固相炭化過程を経
て難黒鉛化性炭素となり得る有機材料であれば、他の有
機材料でもよい。
【0034】難黒鉛化性炭素としては、上述した有機材
料を出発原料として製造されるものの他、特開平3−1
37010号公報に記載されているリン(P)と酸素と
炭素とを主成分とする化合物も、上述した物性パラメー
タを示すので好ましい。
【0035】リチウムを吸蔵および離脱可能な負極材料
としては、また、リチウムと合金あるいは化合物を形成
可能な金属あるいは半導体、またはこれらの合金あるい
は化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を
得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に
用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることがで
きると共に、優れたサイクル特性を得ることができるの
でより好ましい。
【0036】このような金属あるいは半導体としては、
例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(A
l)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Z
n)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウ
ム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀
(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)
およびイットリウム(Y)が挙げられる。これらの合金
あるいは化合物としては、例えば、化学式Mas Mbt
Liu 、あるいは化学式Map Mcq Mdr で表される
ものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチ
ウムと合金あるいは化合物を形成可能な金属元素および
半導体元素のうちの少なくとも1種を表し、Mbはリチ
ウムおよびMa以外の金属元素および半導体元素のうち
少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも
1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半導体元
素のうち少なくとも1種を表す。また、s、t、u、
p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧
0、p>0、q>0、r≧0である。
【0037】中でも、4B族の金属元素あるいは半導体
元素、またはそれらの合金あるいは化合物が好ましく、
特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはそれらの
合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでも
アモルファスのものでもよい。
【0038】このような合金あるいは化合物について具
体的に例を挙げれば、LiAl、AlSb、CuMgS
b、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Mg2 Sn、N
2Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、Ni
Si2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeS
2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VS
2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、S
2 2 O、SiOv (0<v≦2)、SnOw (0<
w≦2)、SnSiO3 、LiSiOあるいはLiSn
Oなどがある。
【0039】リチウムを吸蔵および離脱可能な負極材料
としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が
挙げられる。他の金属化合物としては、酸化鉄,酸化ル
テニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、ある
いはLiN3 などが挙げられ、高分子材料としてはポリ
アセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが
挙げられる。
【0040】また、この二次電池では、充電の過程にお
いて、開回路電圧(すなわち電池電圧)が過充電電圧よ
りも低い時点で負極22にリチウム金属が析出し始める
ようになっている。つまり、開回路電圧が過充電電圧よ
りも低い状態において負極22にリチウム金属が析出し
ており、負極22の容量は、リチウムの吸蔵・離脱によ
る容量成分と、リチウム金属の析出・溶解による容量成
分との和で表される。従って、この二次電池では、リチ
ウムを吸蔵・離脱可能な負極材料とリチウム金属との両
方が負極活物質として機能し、リチウムを吸蔵・離脱可
能な負極材料はリチウム金属が析出する際の基材となっ
ている。
【0041】なお、過充電電圧というのは、電池が過充
電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、日本蓄
電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つである
「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(S
BA G1101)に記載され定義される「完全充電」
された電池の開回路電圧よりも高い電圧を指す。また換
言すれば、各電池の公称容量を求める際に用いた充電方
法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法を用いて充電
した後の開回路電圧よりも高い電圧を指す。具体的に
は、この二次電池では、例えば開回路電圧が4.2Vの
時に完全充電となり、開回路電圧が0V以上4.2V以
下の範囲内の一部においてリチウムを吸蔵・離脱可能な
負極材料の表面にリチウム金属が析出している。
【0042】これにより、この二次電池では、高いエネ
ルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性お
よび急速充電特性を向上させることができるようになっ
ている。これは、負極22にリチウム金属を析出させる
という点では負極にリチウム金属あるいはリチウム合金
を用いた従来のリチウム二次電池と同様であるが、リチ
ウムを吸蔵・離脱可能な負極材料にリチウム金属を析出
させるようにしたことにより、次のような利点が生じる
ためであると考えられる。
【0043】第1に、従来のリチウム二次電池ではリチ
ウム金属を均一に析出させることが難しく、それがサイ
クル特性を劣化させる原因となっていたが、リチウムを
吸蔵・離脱可能な負極材料は一般的に表面積が大きいの
で、この二次電池ではリチウム金属を均一に析出させる
ことができることである。第2に、従来のリチウム二次
電池ではリチウム金属の析出・溶出に伴う体積変化が大
きく、それもサイクル特性を劣化させる原因となってい
たが、この二次電池ではリチウムを吸蔵・離脱可能な負
極材料の粒子間の隙間にもリチウム金属が析出するので
体積変化が少ないことである。第3に、従来のリチウム
二次電池ではリチウム金属の析出・溶解量が多ければ多
いほど上記の問題も大きくなるが、この二次電池ではリ
チウムを吸蔵・離脱可能な負極材料によるリチウムの吸
蔵・離脱も充放電容量に寄与するので、電池容量が大き
いわりにはリチウム金属の析出・溶解量が小さいことで
ある。第4に、従来のリチウム二次電池では急速充電を
行うとリチウム金属がより不均一に析出してしまうので
サイクル特性が更に劣化してしまうが、この二次電池で
は充電初期においてはリチウムを吸蔵・離脱可能な負極
材料にリチウムが吸蔵されるので急速充電が可能となる
ことである。
【0044】これらの利点をより効果的に得るために
は、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電
圧時において負極22に析出するリチウム金属の最大析
出容量は、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の充電
容量能力の0.05倍以上3.0倍以下であることが好
ましい。リチウム金属の析出量が多過ぎると従来のリチ
ウム二次電池と同様の問題が生じてしまい、少な過ぎる
と充放電容量を十分に大きくすることができないからで
ある。また、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極
材料の放電容量能力は、150mAh/g以上であるこ
とが好ましい。リチウムの吸蔵・離脱能力が大きいほど
リチウム金属の析出量は相対的に少なくなるからであ
る。なお、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分につい
ては、負極材料の充電容量能力は、例えば、リチウム金
属を対極として、この負極材料を負極活物質とした負極
について電位が0Vになるまで定電流・定電圧法で充電
した時の電気量から求められる。負極材料の放電容量能
力は、例えば、これに引き続き、定電流法で10時間以
上かけて負極の電位が2.5Vとなるまで放電した時の
電気量から求められる。
【0045】セパレータ23は、正極21と負極22の
短絡防止のために設けられ、例えば、ポリテトラフルオ
ロエチレン,ポリフッ化ビニリデン,ポリプロピレンあ
るいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、また
はセラミック製の多孔質膜もしくはこれら2種以上の多
孔質膜を積層して構成されている。中でも、ポリオレフ
ィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャ
ットダウン効果による電池の安全性向上を図ることがで
きるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以
上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を
得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れている
ので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。
また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性
を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピ
レンと共重合させたり、またはブレンドして用いること
ができる。
【0046】このポリオレフィン製の多孔質膜は、例え
ば、溶融状態のポリオレフィン組成物に溶融状態で液状
の低揮発性溶媒を混練し、均一なポリオレフィン組成物
の高濃度溶液としたのち、これをダイスにより成型し、
冷却してゲル状シートとし、延伸することにより得られ
る。
【0047】低揮発性溶媒としては、例えば、ノナン,
デカン,デカリン,p−キシレン,ウンデカンあるいは
流動パラフィンなどの低揮発性脂肪族または環式の炭化
水素を用いることができる。ポリオレフィン組成物と低
揮発性溶媒との配合割合は、両者の合計を100質量%
として、ポリオレフィン組成物が10質量%以上80質
量%以下、更には15質量%以上70質量%以下である
ことが好ましい。ポリオレフィン組成物が少なすぎる
と、成型時にダイス出口で膨潤あるいはネックインが大
きくなり、シート成形が困難となるからである。一方、
ポリオレフィン組成物が多すぎると、均一な溶液を調製
することが難しいからである。
【0048】ポリオレフィン組成物の高濃度溶液をダイ
スにより成型する際には、シートダイスの場合、ギャッ
プは例えば0.1mm以上5mm以下とすることが好ま
しい。また、押し出し温度は140℃以上250℃以
下、押し出し速度は2cm/分以上30cm/分以下と
することが好ましい。
【0049】冷却は、少なくともゲル化温度以下まで行
う。冷却方法としては、冷風,冷却水,その他の冷却媒
体に直接接触させる方法、または冷媒で冷却したロール
に接触させる方法などを用いることができる。なお、ダ
イスから押し出したポリオレフィン組成物の高濃度溶液
は、冷却前あるいは冷却中に1以上10以下、好ましく
は1以上5以下の引取比で引き取ってもよい。引取比が
大きすぎると、ネックインが大きくなり、また延伸する
際に破断も起こしやすくなり、好ましくないからであ
る。
【0050】ゲル状シートの延伸は、例えば、このゲル
状シートを加熱し、テンター法、ロール法、圧延法ある
いはこれらを組み合わせた方法により、二軸延伸で行う
ことが好ましい。その際、縦横同時延伸でも、逐次延伸
のいずれでもよいが、特に、同時二次延伸が好ましい。
延伸温度は、ポリオレフィン組成物の融点に10℃を加
えた温度以下、更には結晶分散温度以上融点未満とする
ことが好ましい。延伸温度が高すぎると、樹脂の溶融に
より延伸による効果的な分子鎖配向ができず好ましくな
いからであり、延伸温度が低すぎると、樹脂の軟化が不
十分となり、延伸の際に破膜しやすく、高倍率の延伸が
できないからである。
【0051】なお、ゲル状シートを延伸したのち、延伸
した膜を揮発溶剤で洗浄し、残留する低揮発性溶媒を除
去することが好ましい。洗浄したのちは、延伸した膜を
加熱あるいは送風により乾燥させ、洗浄溶媒を揮発させ
る。洗浄溶剤としては、例えば、ペンタン,ヘキサン,
ヘブタンなどの炭化水素、塩化メチレン,四塩化炭素な
どの塩素系炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭
素、またはジエチルエーテル,ジオキサンなどのエーテ
ル類のように易揮発性のものを用いる。洗浄溶剤は用い
た低揮発性溶媒に応じて選択され、単独あるいは混合し
て用いられる。洗浄は、揮発性溶剤に浸漬して抽出する
方法、揮発性溶剤を振り掛ける方法、あるいはこれらを
組み合わせた方法により行うことができる。この洗浄
は、延伸した膜中の残留低揮発性溶媒がポリオレフィン
組成物100質量部に対して1質量部未満となるまで行
う。
【0052】また、セパレータ23は、厚みを15μm
〜30μm程度にすることが望ましい。15μm以下で
は電池の歩留まりが低下し、30μm以上では電池のエ
ネルギー密度が低下する虞があるからである。
【0053】セパレータ23には、液状の電解質である
電解液が含浸されている。この電解液は、液状の溶媒、
例えば有機溶剤などの非水溶媒に電解質塩としてリチウ
ム塩とを含んでいる。液状の非水溶媒というのは、例え
ば、1種以上の非水化合物よりなり、25℃における固
有粘度が10.0mPa・s以下のものを言う。なお、
電解質塩を溶解した状態での固有粘土が10.0mPa
・s以下のものでもよく、複数種の非水化合物を混合し
て溶媒を構成する場合には、混合した状態での固有粘土
が10.0mPa・s以下であればよい。。このような
非水溶媒としては、例えば、環状炭酸エステルあるいは
鎖状炭酸エステルにより代表される化合物の1種または
2種以上を混合したものが好ましい。
【0054】具体的には、エチレンカーボネート(E
C)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカー
ボネート(BC)、ビニレンカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、1,2−ジ
メトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、2−
メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4
−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピ
オン酸メチル、ジメチルカーボネート(DMC)、エチ
ルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネー
ト(DEC)、エチルプロピルカーボネート(EP
C)、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニト
リル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロ
ニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチ
ルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,
N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニト
ロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、燐酸
トリメチルおよびこれらの化合物の水酸基の一部または
全部をフッ素基に置換したものが挙げられる。特に、優
れた充放電容量特性および充放電サイクル特性を実現す
るためには、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネートの少なくとも1種を用い
ることが好ましい。
【0055】リチウム塩としては、例えば、LiAsF
6 、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiB
(C6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3
3 、LiN(SO2 CF3 2 、LiC(SO2 CF
3 3 、LiAlCl4 、LiSiF6 、LiCl、L
iBr、LiIおよびLiSCN等が挙げられ、これら
のうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いら
れる。なお、リチウム塩は溶媒に溶解することができる
濃度であればよいが、特に、0.2mol/l〜2.0
mol/lの範囲内であることが好ましく、0.6mo
l/l〜1.5mol/lの範囲内であることが更に好
ましい。この範囲より低い濃度では電解液のイオン伝導
度が低下し、この範囲より高い濃度では、電解液の粘性
が高くなるためにリチウムの移動度が低下し理論容量が
得られないからである。
【0056】なお、電解液に代えて、ホスト高分子化合
物に電解液を保持させたゲル状の電解質を用いてもよ
い。ゲル状の電解質は、イオン伝導度が室温で1mS/
cm以上であるものであればよく、組成およびホスト高
分子化合物の構造に特に限定はない。電解液(すなわち
液状の溶媒および電解質塩)については上述のとおりで
ある。ホスト高分子化合物としては、例えば、ポリアク
リロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
リデンとポリヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピ
レン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブ
タジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレ
ンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に、電気
化学的安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンある
いはポリエチレンオキサイドの構造を持つ高分子化合物
を用いることが望ましい。電解液に対するホスト高分子
化合物の添加量は、両者の相溶性によっても異なるが、
通常、電解液の5質量%〜50質量%に相当するホスト
高分子化合物を添加することが好ましい。
【0057】また、リチウム塩の含有量は、電解液と同
様に、溶媒に対して3.0mol/kg以下であること
が好ましく、0.5mol/kg以上であればより好ま
しい。但し、ここで溶媒というのは、液状の溶媒のみを
意味するのではなく、電解質塩を解離させることがで
き、イオン伝導性を有するものを広く含む概念である。
よって、ホスト高分子化合物にイオン伝導性を有するも
のを用いる場合には、そのホスト高分子化合物も溶媒に
含まれる。
【0058】この二次電池は、例えば、次のようにして
製造することができる。
【0059】まず、例えば、リチウムを吸蔵・離脱する
ことが可能な正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合し
て正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−
ピロリドンなどの溶剤に分散してペースト状の正極合剤
スラリーとする。この正極合剤スラリーを正極集電体2
1aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機な
どにより圧縮成型して正極合剤層21bを形成し、正極
21を作製する。
【0060】次いで、例えば、リチウムを吸蔵・離脱す
ることが可能な負極材料と、結着剤としてジエン構造を
有するポリマーと、増粘剤としてセルロース誘導体とを
混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を蒸留水など
の溶剤に分散してペースト状の負極合剤スラリーとす
る。この負極合剤スラリーは、粘性に富むために容易に
塗膜することができ、また、結着剤の分散性が良好なも
のとなる。この負極合剤スラリーを負極集電体22aに
塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などによ
り圧縮成型して負極合剤層22bを形成し、負極22を
作製する。これにより、結着剤を多量に含有することな
く負極材料が均一に結着され、形成された負極合剤層2
2bにおいて、内部抵抗の増大や剥離などが防止され
る。
【0061】続いて、正極集電体に正極リード25を溶
接などにより取り付けると共に、負極集電体22aに負
極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、
正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回
し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接す
ると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接
して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板
12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極2
1および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、
電解質を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に
含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋
14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケ
ット17を介してかしめることにより固定する。これに
より、図1に示した二次電池が形成される。
【0062】この二次電池は次のように作用する。
【0063】この二次電池では、充電を行うと、正極合
剤層21bからリチウムイオンが離脱し、セパレータ2
3に含浸された電解液を介して、負極合剤層22bのリ
チウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に達し、充電初期に
はその内部に吸蔵される。更に充電を続けると、開回路
電圧が過充電電圧よりも低い時点で負極22において吸
蔵・離脱反応により充電可能な容量を超え、リチウムイ
オンは負極材料の表面にリチウム金属として析出し始め
る。これにより、充電は継続され、充電を終了するまで
負極22にはリチウム金属が析出し続ける。なお、負極
合剤層22bの外観は、例えばリチウムを吸蔵・離脱可
能な負極材料として炭素材料を用いる場合、充電に伴っ
て黒色から黄金色、更には白銀色へと変化する。
【0064】次いで、放電を行うと、まず、負極22に
析出したリチウム金属がイオンとなって溶出し、セパレ
ータ23に含浸された電解液を介して、正極合剤層21
bに吸蔵される。更に放電を続けると、負極合剤層22
b中のリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に吸蔵され
たリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極合剤層
21bに吸蔵される。こうして、この二次電池では、従
来のいわゆるリチウム二次電池およびリチウムイオン二
次電池の両方の動作原理に基づいて充放電が行われ、高
いエネルギー密度および良好な充放電サイクル特性を得
ることができる。
【0065】特に、負極22はジエン構造を有するポリ
マーとセルロース誘導体とを含んでいるので、結着剤を
多量に含有することなく内部で負極材料が均一に結着さ
れ、上述の負極22における電極反応自体を阻害した
り、使用中に剥離することが防止される。
【0066】このように本実施の形態によれば、負極2
2は、バインダとしてジエン構造を有するポリマーおよ
びセルロース誘導体を含むようにしたので、容易に作製
することができると共に、電池のサイクル特性が良好な
ものとなる。
【0067】(変形例)上記の実施の形態では円筒型の
電池について説明したが、その他の形状や構造の電池を
製造することもできる。本変形例では、一例としてカー
ド型の二次電池について説明する。なお、ここでは上記
実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、説
明を省略する。
【0068】図3はこの二次電池を分解して構造を表し
たものであり、図4は図3に示した巻回電極体20の断
面構造を表している。この二次電池は、正極リード線2
5および負極リード線26が平行に取り付けられた巻回
電極体20をフィルム状の外装部材30の内部に封入し
たものである。この場合の巻回電極体20は、上記実施
の形態における巻回電極体20の正極21,セパレータ
23および負極22が、それぞれの間に、例えばゲル状
の電解質層27を介して巻回されている。なお、負極2
2の最外周部は図示しない保護テープにより保護されて
いる。
【0069】正極21は、例えば、正極集電体層21a
と、この正極集電体層21aの両面あるいは片面に設け
られた正極合剤層21bとを有している。正極集電体層
21aには、長手方向における一方の端部に正極合剤層
21bが設けられておらず正極集電体層21aが露出し
ている部分があり、この露出部分に正極リード線11が
取り付けられている。
【0070】負極22は、例えば、正極21と同様に、
負極集電体層22aと、この負極集電体層22aの両面
あるいは片面に設けられた負極合剤層22bとを有して
いる。ここでも、負極合剤層22bには負極材料と共に
結着剤としてジエン構造を有するポリマーと、増粘剤と
してセルロース誘導体とが含まれている。負極集電体層
22aには、長手方向における一方の端部に負極合剤層
22bが設けられておらず負極集電体層22aが露出し
ている部分があり、この露出部分に負極リード線12が
取り付けられている。
【0071】電解質層27は、例えば、リチウム塩と、
このリチウム塩を溶解する非水溶媒と、高分子材料とに
より構成されるゲル状の電解質である。ゲル状電解質と
は、高分子マトリクス内に溶媒が分散されているものを
指し、分散されている電解液量は問わない。これらリチ
ウム塩,非水溶媒および高分子材料については、上記実
施の形態において説明したものが使用可能であり、前述
のもの以外でも電解液に相溶してゲル状になることが確
認されるものは用いることができる。なお、外装部材3
0として後述するラミネートフィルムを用いる場合に
は、非水溶媒に、エチレンカーボネート、プロピレンカ
ーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクト
ン、2,4−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオ
ロアニソールあるいは4−ブロモベラトロールなどの沸
点が150℃以上のものを用いることが好ましい。簡単
に気化すると、外装部材30が膨らみ、外形不良となる
からである。また、このような電池では、固体電解質層
27の厚みは5μm以上15μm以下とすることが望ま
しい。5μm未満では薄過ぎて短絡し易くなり、15μ
mより厚いと電池の高負荷特性の劣化や体積エネルギー
密度の低下が起きる虞があるためである。
【0072】セパレータ23についても、上記実施の形
態において説明した材料が使用可能である。また、この
ような電池では、セパレータ23の厚みは5μm〜15
μm程度とすることが望ましい。5μm未満では電池の
歩留まりが低下し、15μmより厚いと電池のエネルギ
ー密度が低下する虞があるためである。なお、ここで
は、電解質層27によって電極間の短絡が防止されるこ
とから、セパレータ23は設けなくともよい。
【0073】外装部材30は、例えば厚さが90μm〜
110μm程度の2枚の矩形状のフィルムからなり、各
外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されてい
る。この外装部材30は、少なくともアルミニウム層と
熱融着高分子層とを備えており、例えば、図5に示した
ラミネートフィルム、すなわち、ナイロンフィルム30
a,アルミニウムフィルム30b,ポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム30c,未延伸ポリプロピ
レン(CPP)フィルム30dがこの順に張り合わせら
れた多層フィルムとして構成されている。このうち、ア
ルミニウムフィルム30bは、外気の侵入を防止する防
湿性を有しており、PETフィルム30cおよびCPP
フィルム30dは、良好な熱融着性を有している。熱融
着高分子層としては、この他、ナイロン,直鎖状低密度
ポリエチレン(LLDPE),高密度ポリエチレン(H
DPE)、およびそれらの共重合体が用いられる。この
ような外装部材30は、CPPフィルム30dと巻回電
極体20とが対向するように配設される。なお、外装部
材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の
構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなど
の高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成する
ことも可能である。
【0074】ちなみに、正極リード線25,負極リード
線26と外装部材30とは、例えば密着フィルム31を
介して、外気の侵入が遮断されるように十分に密着して
いる。この密着フィルム31は、正極リード線11およ
び負極リード線12に対して密着性を有する材料により
構成され、例えば、正極リード線11および負極リード
線12が上述した金属材料により構成される場合には、
ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンある
いは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂によ
り構成されることが好ましい。
【0075】このような構成を有する二次電池は、例え
ば次のようにして製造することができる。
【0076】まず、上記実施の形態と同様の正極材料
と、導電剤および結着剤とを混合して正極合剤を調製
し、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散して
正極合剤スラリーを調製する。次いで、この正極合剤ス
ラリーを正極集電体層21aの両面あるいは片面に塗布
し乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層21bを形成し、
正極21を作製する。このとき、正極集電体層21aの
一端部には正極合剤を塗布せず、端部を露呈させる。
【0077】次いで、例えばリチウムを挿入・離脱可能
な負極材料と、結着剤としてジエン構造を有するポリマ
ーと、増粘剤としてセルロース誘導体とを混合して負極
合剤を調製し、この負極合剤を蒸留水などの溶剤に分散
してペースト状の負極合剤スラリーとする。この負極合
剤スラリーは、粘性に富むために容易に塗膜することが
でき、また、結着剤の分散性が良好なものとなる。この
負極合剤スラリーを負極集電体22aに塗布し溶剤を乾
燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して
負極合剤層22bを形成し、負極22を作製する。これ
により、結着剤を多量に含有することなく負極材料が均
一に結着され、形成された負極合剤層22bにおいて、
内部抵抗の増大や剥離などが防止される。なお、このと
き、負極集電体層22aの一端部には負極合剤を塗布せ
ず、端部を露呈させる。
【0078】続いて、正極集電体層21aの露呈部分に
正極リード線25を抵抗溶接あるいは超音波溶接などに
より取り付けると共に、正極合剤層21bの上に電解質
を例えば塗布して電解質層27を形成する。また、負極
集電体層22aの露呈部分に負極リード線26を抵抗溶
接あるいは超音波溶接などにより取り付けると共に、負
極合剤層22bの上に電解質を例えば塗布して電解質層
27を形成する。そののち、例えば、セパレータ23,
電解質層27が形成された正極21,セパレータ23,
電解質層27が形成された負極22を順次積層して巻回
し、最外周部に保護テープを例えば接着して巻回電極体
20を形成する。
【0079】なお、電解質層27を形成する際には、例
えば、乾燥雰囲気中に保管された電解質の原料(すなわ
ち、リチウム塩,非水溶媒および高分子材料を混合した
もの)を70℃程度に加熱して重合させ、この温度を保
持して正極合剤層21bまたは負極合剤層22bの上に
塗布するようにする。これにより、遊離酸の発生が防止
される。
【0080】次に、例えば、2枚の外装部材30を用意
して巻回電極体20をその間に挟み込み、減圧雰囲気中
において外装部材30を巻回電極体20に圧着させると
共に、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密
着させる。なお、正極リード線25および負極リード線
26が導出される外装部材30の端部には、正極リード
線25および負極リード線26を挟むように密着フィル
ム31をそれぞれ配置し、この密着フィルム31を介し
て外縁部同士を密着させる。これにより、図3に示した
電池が完成する。
【0081】この二次電池では、上記実施の形態と同様
の電極反応が生じる。従って、本変形例においても、上
記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について図1
を参照して詳細に説明する。
【0083】(実施例1)まず、炭酸リチウム(Li2
CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、リチウム
原子とコバルト原子とが1:1の組成比となるように混
合し、空気中において900℃で5時間焼成して、リチ
ウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を得た。得
られたリチウム・コバルト複合酸化物についてX線回折
測定を行ったところ、JCPDSファイルに登録された
LiCoO2 のピークとよく一致していた。次いで、こ
のリチウム・コバルト複合酸化物を粉砕し、粉末状の正
極材料とした。
【0084】続いて、このリチウム・コバルト複合酸化
物粉末95質量%、導電剤として平均粒径7μmのKS
−15グラファイト(ロンザ社製)2質量%、および、
結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量%を混合して
正極合剤を調製した。この正極合剤を溶剤であるN−メ
チル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーと
し、厚み20μm,幅58mmの帯状アルミニウム箔よ
りなる正極集電体21aの両面に均一に塗布して乾燥さ
せ、ロールプレス機で圧縮成型して正極合剤層21bを
形成して正極21を作製した。そののち、正極集電体2
1aの一端側にアルミニウム製の正極リード25を取り
付けた。
【0085】また、粉砕して比表面積が2g/m2 とな
ったピッチコークスを負極材料とし、このピッチコーク
ス96質量%、結着剤としてスチレン−ブタジエン共重
合体2質量%、増粘剤として分子量15万のカルボキシ
メチルセルロースアンモニウム2質量%を混合して負極
合剤を調整した。続いて、この負極合剤を蒸留水に分散
させてスラリー状としたのち、厚さ10μm,幅59m
mの銅箔よりなる負極集電体22aの両面に均一に塗布
し、乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して帯状の負
極22を作製した。その後、負極集電体22aの一端側
にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
【0086】正極21,負極22をそれぞれ作製したの
ち、微多孔性ポリエチレン延伸フィルムよりなるセパレ
ータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極2
1,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状
に多数回巻回し、巻回電極体20を作製した。
【0087】巻回電極体20を作製したのち、巻回電極
体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード2
6を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安
全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめ
っきを施した内径13.3mmの鉄製電池缶11の内部
に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液を減
圧方式により注入した。電解液には、電解質塩としてL
iPF6 を1mol/lの濃度で溶解させた炭酸プロピ
レンと1,2−ジメトキシエタンとを混合したものを用
いた。
【0088】電池缶11の内部に電解液を注入したの
ち、表面にアスファルトを塗布したガスケット17を介
して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、直
径14mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。
【0089】得られた二次電池について充放電試験を行
い、電池の初期容量と放電容量維持率を求めた。その
際、充電は、600mA,4.2Vの定電流定電圧充電
とし、放電は、400mAの定電流放電を電池電圧が
3.0Vに達するまで行った。ちなみに、ここに示した
条件で充放電を行えば、完全充電状態および完全放電状
態となる。なお、放電容量維持率は、2サイクル目の放
電容量を100%としたときの100サイクル目の放電
容量の比率、すなわち(100サイクル目の放電容量/
2サイクル目の放電容量)×100として算出した。
【0090】(実施例2)負極合剤を結着剤としてポリ
ブタジエン2質量%を用いて調製したこと以外は、実施
例1と同様にして二次電池を作製し、特性評価を行っ
た。
【0091】(比較例1)本実施例に対する比較例とし
て、ピッチコークス96質量%と、結着剤としてスチレ
ン−ブタジエン共重合体4質量%を混合して負極合剤を
得た。これ以外は実施例1と同様にして負極22の作製
を試みたが、結着剤が負極材料に凝集して塗膜すること
ができず、負極22を作製することはできなかった。
【0092】(比較例2)本実施例に対する比較例とし
て、負極合剤を結着剤としてポリスチレン2質量%を用
いて調製したこと以外は、実施例1と同様にして二次電
池を作製し、特性評価を行った。
【0093】これらの実施例および比較例の電池特性の
評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】実施例1,2では、初期容量、放電容量維
持率が共に良好であったのに対し、比較例2は、結着剤
としてジエン構造を有しないスチレンを用いており、初
期容量は実施例と同程度の値であったが、放電容量維持
率が極端に低い。また、比較例1では、負極22の作製
自体が困難であった。これは、ジエン構造を有するポリ
マーを結着剤として用いることによって、とりわけサイ
クル特性が向上することを示しており、その際にセルロ
ース誘導体を併用しなければ特性向上の効果を引き出す
ことができないことがわかる。
【0096】更に、本発明の実施例について図3を参照
して詳細に説明する。
【0097】(実施例3)まず、実施例1と同様にして
正極合剤スラリーを調製したのち、厚み20μm,幅4
9mmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21a
の両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧
縮成型して正極合剤層21bを形成して正極21を作製
した。そののち、正極集電体21aの一端側に棒状のア
ルミニウム製の正極リード25をスポット溶接して取り
付けた。
【0098】また、粉砕して比表面積が2g/m2 とな
ったメソカーボンマイクロビーズを負極材料としたこと
以外は実施例1と同様にして負極合剤を調製した。これ
をスラリー状としたのち、厚さ10μm,幅51mmの
銅箔よりなる負極集電体22aの両面に均一に塗布し、
乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して帯状の負極2
2を作製した。その後、負極集電体22aの一端側に棒
状のニッケル製の負極リード26をスポット溶接して取
り付けた。
【0099】次いで、PVdFと、溶媒としてEC,P
C,DMCと、リチウム塩としてLiAsF6 をそれぞ
れ5.8wt%,25.8wt%,17.2wt%,4
7.3wt%,3.9wt%の割合で混合し、80℃に
保持しながら撹拌してゾル状の電解質溶液を調製した。
この混合溶液を、正極21および負極22のそれぞれの
両面に液状のままドクターブレード法により塗布し、3
5℃恒温槽で3分間乾燥させ、厚さ10μmの電解質層
27を形成した。
【0100】次に、電解質層27が表面に形成された正
極21および負極22,セパレータ23を図4の順に重
ね合わせて巻回し、30mm×53mm×5mmの大き
さの巻回電極体20とした。これを厚さ100μmの防
湿性多層フィルムからなる外装部材30で密閉し、図3
の二次電池を得た。
【0101】得られた二次電池について充放電試験を行
い、電池の初期容量および放電容量維持率を求めた。そ
の際、充電は、400mA,4.2Vの定電流定電圧充
電とし、放電は、200mAの定電流放電を電池電圧が
3.0Vに達するまで行った。
【0102】(実施例4)負極合剤を結着剤としてポリ
ブタジエン2質量%を用いて調製したこと以外は、実施
例3と同様にして二次電池を作製し、特性評価を行っ
た。
【0103】(比較例3)本実施例に対する比較例とし
て、メソカーボンマイクロビーズ96質量%と、結着剤
としてスチレン−ブタジエン共重合体4質量%を混合し
て負極合剤を得た。これ以外は実施例3と同様にして負
極22の作製を試みたが、結着剤が負極材料に凝集して
塗膜することができず、負極22を作製することはでき
なかった。
【0104】(比較例4)本実施例に対する比較例とし
て、負極合剤を結着剤としてポリスチレン2質量%を用
いて調製したこと以外は、実施例3と同様にして二次電
池を作製し、特性評価を行った。
【0105】これらの実施例および比較例の電池特性の
評価結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】実施例3,4では、初期容量、放電容量維
持率が共に良好であったのに対し、比較例4は、結着剤
としてジエン構造を有しないスチレンを用いており、初
期容量は実施例と同程度の値であったが、放電容量維持
率が極端に低い。また、比較例3では、負極22の作製
自体が困難であった。これは、ジエン構造を有するポリ
マーを結着剤として用いることによって、とりわけサイ
クル特性が向上することを示しており、その際にセルロ
ース誘導体を併用しなければ特性向上の効果を引き出す
ことができないことがわかる。
【0108】以上の結果より、バインダとしてジエン構
造を有するポリマーとセルロース誘導体とを共に用いる
ことによって、容易に塗膜形成できると同時に剥離等に
強い負極22が作製され、その結果、良好な電池容量や
サイクル特性が得られることがわかり、これらの効果は
電池の形状に関わらず発揮されることがわかる。
【0109】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施
例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例
えば、上記実施の形態および実施例においては、軽金属
としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナト
リウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアル
カリ金属、またはマグネシウム(Mg)あるいはカルシ
ウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニ
ウム(Al)などの他の軽金属、またはリチウムあるい
はこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用
することができ、同様の効果を得ることができる。その
際、軽金属を吸蔵・離脱可能な負極材料、正極材料、非
水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて
選択される。但し、軽金属としてリチウムまたはリチウ
ムを含む合金を用いるようにすれば、現在実用化されて
いるリチウムイオン二次電池との電圧互換性が高いので
好ましい。なお、軽金属としてリチウムを含む合金を用
いる場合には、電解質中にリチウムと合金を形成可能な
物質が存在し、析出の際に合金を形成してもよく、ま
た、負極にリチウムと合金を形成可能な物質が存在し、
析出の際に合金を形成してもよい。ちなみに、リチウム
と合金を形成可能な物質はとしては、具体的には、アル
ミニウム、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ア
ンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(C
d)などが挙げられる。
【0110】また、上記実施の形態および実施例におい
ては、電解液または固体状の電解質の1種であるゲル状
の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質
を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例え
ば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分
散させた有機固体電解質、イオン伝導性セラミックス,
イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる
無機固体電解質、またはこれらの無機固体電解質と電解
液とを混合したもの、またはこれらの無機固体電解質と
ゲル状の電解質あるいは有機固体電解質とを混合したも
のが挙げられる。
【0111】更に、上記実施の形態および実施例におい
ては、巻回構造を有する二次電池のうち円筒型とカード
型のものについて説明したが、本発明は、巻回構造を有
する多角形型などの他の形状の二次電池や、正極および
負極を折り畳まれたり積み重ねられたりした構造を有す
る二次電池についても同様に適用することができる。加
えて、いわゆるコイン型,ボタン型などの二次電池につ
いても適用することができ、更に、二次電池に限らず一
次電池についても適用することができる。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電池によれ
ば、負極は、ジエン構造を有するポリマーおよびセルロ
ース誘導体を含むようにしたので、容易に塗膜形成でき
ると同時に剥離に強いものとなり、良好なサイクル特性
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を
表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一
部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の変形例に係る二次電池の構成を表す断
面図である。
【図4】図3に示した二次電池における巻回電極体の一
部を拡大して表す断面図である。
【図5】図3に示した二次電池における外装部材の断面
図である。
【符号の説明】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、1
5…安全弁機構、16…熱感抵抗素子、17…ガスケッ
ト、20…巻回電極体、21…正極、21a…正極集電
体、21b…正極合剤層、22…負極、22a…負極集
電体、22b…負極合剤層、23…セパレータ、24…
センターピン、25…正極リード、26…負極リード、
27…電解質層、30…外装部材、31…密着フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ05 AK03 AL06 AL07 AL08 AL11 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ08 EJ12 5H050 AA07 BA17 CA07 CA08 CA09 CB07 CB08 CB09 CB11 CB13 CB14 CB15 DA11 EA23 FA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極および負極と共に電解質を備えた電
    池であって、 前記負極の容量は、軽金属の吸蔵および離脱による容量
    成分と、軽金属の析出および溶解による容量成分との和
    により表され、 前記負極は、ジエン構造を有するポリマーおよびセルロ
    ース誘導体を含むことを特徴とする電池。
  2. 【請求項2】 前記セルロース誘導体は、カルボキシメ
    チルセルロースのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩
    であることを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 【請求項3】 前記ジエン構造を有するポリマーは、ス
    チレン−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請
    求項1記載の電池。
  4. 【請求項4】 前記負極は前記軽金属を吸蔵および離脱
    可能な負極材料を含むことを特徴とする請求項1記載の
    電池。
  5. 【請求項5】 前記負極は炭素材料を含むことを特徴と
    する請求項4記載の電池。
  6. 【請求項6】 前記負極は、黒鉛、易黒鉛化性炭素およ
    び難黒鉛化性炭素からなる群のうちの少なくとも1種を
    含むことを特徴とする請求項5記載の電池。
  7. 【請求項7】 前記負極は黒鉛を含むことを特徴とする
    請求項6記載の電池。
  8. 【請求項8】 前記負極は、前記軽金属と合金または化
    合物を形成可能な金属、半導体、これらの合金、および
    化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを
    特徴とする請求項4記載の電池。
  9. 【請求項9】 前記負極は、スズ(Sn),鉛(P
    b),アルミニウム(Al),インジウム(In),ケ
    イ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビ
    スマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム
    (Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニ
    ウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ハフニウム
    (Hf),ジルコニウム(Zr)およびイットリウム
    (Y)の単体、合金および化合物からなる群のうちの少
    なくとも1種を含むことを特徴とする請求項8記載の電
    池。
  10. 【請求項10】 前記軽金属はリチウム(Li)を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
JP2001075079A 2001-03-15 2001-03-15 電 池 Pending JP2002279994A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001075079A JP2002279994A (ja) 2001-03-15 2001-03-15 電 池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001075079A JP2002279994A (ja) 2001-03-15 2001-03-15 電 池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002279994A true JP2002279994A (ja) 2002-09-27

Family

ID=18932219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001075079A Pending JP2002279994A (ja) 2001-03-15 2001-03-15 電 池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002279994A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100431460B1 (ko) * 2001-12-28 2004-05-12 주식회사 엘지화학 스트라이프 코팅 전극 및 그의 제조 방법
JP2006107896A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水系二次電池の負極用電極板の製造方法
WO2021078477A1 (de) 2019-10-22 2021-04-29 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zum herstellen einer elektrode für eine speichereinrichtung zum speichern von elektrischer energie, verwendung einer solchen elektrode sowie elektrode

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100431460B1 (ko) * 2001-12-28 2004-05-12 주식회사 엘지화학 스트라이프 코팅 전극 및 그의 제조 방법
JP2006107896A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水系二次電池の負極用電極板の製造方法
WO2021078477A1 (de) 2019-10-22 2021-04-29 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zum herstellen einer elektrode für eine speichereinrichtung zum speichern von elektrischer energie, verwendung einer solchen elektrode sowie elektrode

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7229713B2 (en) Electrode and battery using the same
US20040096733A1 (en) Battery
JP2002280063A (ja) 電解質および電池
JP3965567B2 (ja) 電池
JP2002279989A (ja) 電 池
JP2003157900A (ja) 電 池
JP2002270230A (ja) 電 池
JP4150202B2 (ja) 電池
US20040096742A1 (en) Positive electrode material and battery comprising it
JP2002270228A (ja) 電 池
JP2002270159A (ja) 電 池
JP2002280065A (ja) 電解質および電池
EP1369951A1 (en) Battery
JP2002279995A (ja) 電 池
JP2002280080A (ja) 二次電池の充電方法
JP4784718B2 (ja) 電解質および電池
JP2003151627A (ja) 電 池
JP2002280073A (ja) 電 池
JP2002270233A (ja) 電 池
JP2002280078A (ja) 電 池
JP2003045487A (ja) 電 池
JP2002270229A (ja) 電 池
JP2002279994A (ja) 電 池
JP2003187864A (ja) 電 池
JP2002270154A (ja) 電 池