JP2002275878A - 住宅用地盤の補強構造及びその施工方法 - Google Patents

住宅用地盤の補強構造及びその施工方法

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JP2002275878A JP2001073819A JP2001073819A JP2002275878A JP 2002275878 A JP2002275878 A JP 2002275878A JP 2001073819 A JP2001073819 A JP 2001073819A JP 2001073819 A JP2001073819 A JP 2001073819A JP 2002275878 A JP2002275878 A JP 2002275878A
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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然地盤を乱さず、地震等による不慮の水平
荷重に対しても十分な機能を発揮し、長期にわたり周辺
地盤に影響を及ぼすこと無く安全な地盤となる地盤の補
強構造及びその施工方法を提供する。 【解決手段】 補強すべき領域の一部又は全面に敷設さ
れた連続補強材を含む堅密層30と、該堅密層の上に形
成された、土による第1の圧密層40と、該第1の圧密
層上に敷設された1本又は間隔をおいて敷設された複数
の帯状材から成る排水層50と、該排水層を含む前記第
1の圧密層上に形成された、土による第2の圧密層60
とから成る補強部層を少なくとも一層有する補強構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅用地盤の補強
構造及びその施工方法に関し、特に造成地盤又は軟弱地
盤に起因する住宅地盤の軟弱層等を簡易的な手法で堅固
な地盤に改良し、不同沈下事故を未然に防ぐことのでき
る住宅用地盤の補強構造及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地盤において構造物を支持するために
は、構造物荷重を支えるに十分な地耐力を要する。これ
を実現するために、杭基礎工法が従来良く用いられてい
る。この工法は軟弱地盤上に重量構造物を構築する場合
には必要不可欠な工法であるが、施工費が高いので、そ
の適用分野は限られている。しかし、最近では地震対策
上から、住宅においても杭基礎工法が採用されつつあ
る。
【0003】ところが、杭基礎工法は、住宅荷重を支持
できる良好な自然地盤を乱し、地下水脈の変状を促進
し、周辺地盤に影響を及ぼすという問題点を有してい
る。また、施工中に乱した影響により、地盤の不同沈下
を促進させている例も見受けられる。
【0004】地盤中の土において密度を高める重要な要
素として、含水比、粒度分布、最大粒径の3要素
があることは一般的に良く知られている。また、一層の
層圧を30cm以内として転圧することにより、均質な
盛土の品質が確保されることも一般的に行われている。
しかしながら、土の最大乾燥密度を得るために、最適含
水比付近に含水比を調整して盛土を施工することは、自
然環境下においては困難な場合が多い。
【0005】従って、工法規定による盛土管理を行って
も最大乾燥密度の何パーセントかは、密度が低下してい
るわけである。これが、造成地盤において住宅が不同沈
下している大きな原因である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】土を最適含水比付近に
もっていくためには、乾燥している土には水を加え、湿
潤状態にある土は水を抜くことがポイントである。この
調整をするためには、まず現場で盛土材の含水比試験を
行い、単位体積当たりの水分の増減を計算しなくてはな
らない。しかしながら、含水比試験を行ったところで、
土の含水状態は時間によって変化してしまう。
【0007】従って、考え方として地盤に水を加えなが
ら転圧し、その下部で強制的に排水できればその土の最
大密度を生み出すことができる。これは、どんな荷重が
加わっても体積が減少することの無い密度である。
【0008】さて、土は降伏することがあるのは良く知
られ、その降伏点から長期に対する支持力や短期に対す
る支持力が論ぜられている。土が降伏するとは、ある時
は、荷重作用によるせん断破壊であったり、土の構造変
化であったり、また体積変化による場合もある。
【0009】いずれにしても、これらの主たる原因は、
荷重や地震、水(集中豪雨等による)である。従って、
土は密度を高め、排水対策を施し、せん断破壊に対する
対策を講じ、構造変化しない環境を作ってやれば、長期
にわたり堅固になるわけである。
【0010】上記のような観点から、本発明の課題は、
住宅を支持可能な自然地盤を乱さず、工法を規定するこ
とにより表層部、すなわち造成地盤又は軟弱地盤部分の
土の密度を高め、地震等による不慮の水平荷重に対して
も十分な機能を発揮し、長期にわたり周辺地盤に影響を
及ぼすこと無く安全な地盤となる地盤の補強構造及びそ
の施工方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は造成地盤又は軟
弱地盤に形成される住宅用地盤の補強構造であり、補強
すべき領域の一部又は全面に敷設された連続補強材を含
む堅密層と、該堅密層の上に形成された、土による第1
の圧密層と、該第1の圧密層上に敷設された1本又は間
隔をおいて敷設された複数の帯状材から成る排水層と、
該排水層を含む前記第1の圧密層上に形成された、土に
よる第2の圧密層とから成る補強部層を少なくとも一層
有することを特徴とする。
【0012】なお、前記堅密層は、堅密層を構成する材
料、例えば空練モルタルあるいはソイルセメントによる
2つの層の間に前記連続補強材を介在させて圧力を加え
た層である。
【0013】また、最下層の前記堅密層は、自然地盤と
造成地盤との境目又は硬質地盤と軟弱地盤との境目、あ
るいは軟弱地盤中に形成される。
【0014】更に、前記排水層は各種のフィルタ材、例
えば不織布又はペーパー系のフィルタ材から成り、しか
もそのフィルタ方向に排水できる構造とし、端部は、地
盤の外部に至るように延ばされている。
【0015】更に、前記最下層の堅密層の下側が軟弱で
ある場合には、その軟弱部分に骨材、例えば割栗石を敷
設した割栗石層が形成されても良い。
【0016】本発明によればまた、造成地盤又は軟弱地
盤に形成される住宅用地盤の補強構造の施工方法が提供
される。この施工方法は、自然地盤と造成地盤との境目
又は硬質地盤と軟弱地盤との境目、あるいは軟弱地盤中
まで掘削する工程と、前記境目であって補強すべき領域
の一部又は全面に連続補強材を含む堅密層を形成する工
程と、前記堅密層の上に、土による第1の圧密層を形成
する工程と、前記第1の圧密層上に1本又は間隔をおい
て複数の帯状材から成る排水層を敷設する工程と、前記
排水層を含む前記第1の圧密層上に、土による第2の圧
密層を形成する工程とを含み、前記堅密層、前記第1の
圧密層、前記排水層及び前記第2の圧密層から成る補強
部層を1つの層として、最上層の前記第2の圧密層の上
面が前記造成地盤の上面に近いレベルになるまで一層以
上の前記補強部層を形成することを特徴とする。
【0017】本施工方法においては、前記堅密層は、堅
密層を構成する材料、例えば空練モルタルあるいはソイ
ルセメントを敷いた後に前記連続補強材を敷設し、更に
その上に堅密層を構成する材料を敷いた後に、転圧ロー
ラ等で適切な密度となるように締め固めを行うことによ
り形成される。
【0018】本施工方法においてはまた、前記第1、第
2の圧密層はそれぞれ、前記土を埋め戻した後に転圧ロ
ーラ等で適切な密度となるように締め固めを行うことに
より形成される。
【0019】本施工方法においては更に、前記排水層は
各種のフィルタ材、例えば不織布又はペーパー系のフィ
ルタ材から成り、しかもそのフィルタ方向に排水できる
構造とし、端部は、地盤の外部に至るように延ばされて
いることにより、転圧ローラ等で適切な密度となるよう
に締め固めを実施することで前記排水層に浸透した水分
を前記地盤の外部まで排水することを特徴とする。
【0020】本施工方法においては更に、前記自然地盤
が軟弱地盤である場合には、前記最下層の堅密層を形成
する前に、必要に応じて、該軟弱地盤に骨材、例えば割
栗石又は特定の長さと太さを持った地盤補強材等を敷設
して堅固にした上に最下層の堅密層が形成されても良
い。
【0021】本施工方法においては更に、前記自然地盤
と前記造成地盤との境目又は硬質地盤と軟弱地盤との境
目が傾斜している場合には、傾斜に合わせて段切りを行
うようにしても良い。
【0022】上記の記載から明らかなように、本発明
は、土がやがて岩石に戻る過程を強制的に行う工法であ
ると言える。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明による地盤補強構造は、造
成地盤又は軟弱地盤を対象にして行われる。そして、本
発明を実施する際には、自然地盤と造成地盤との境目又
は硬質地盤と軟弱地盤との境目を知ることが必要であ
る。この境目の判別は、以下の方法により行われる。
【0024】図10は本発明を実施するに際し、造成地
盤と自然地盤との境目又は硬質地盤と軟弱地盤との境目
を知るために起振器を用いてレイリー波速度を測定する
ための測定システムの概念図である。本測定システム
は、演算器1、地震計2、起振信号器3、起振器4、第
一受信機5、第二受信機6を有する。本測定システム
は、起振信号器3によって起振信号を発生すると共に増
幅し、起振器4を垂直方向に振動させて地盤表面で表面
波の一つであるレイリー波を発生させる。そして、この
レイリー波が第一受信機5と第二受信機6との間を通過
する時間をTとすると、時間Tと第一、第二受信機5、
6間の距離Sとによりレイリー波の平均速度(便宜上、
MVrとする)を、MVr=S/Tとして求めることが
できる。
【0025】また、起振周波数fを変化させて、同様に
レイリー波平均速度を求め、深さ(深度)方向に対する
レイリー波の分散特性を求めることができる。深さを
H、レイリー波の波長をλとすると、H=λ/2=MV
r/2・fとなる。すなわち、レイリー波の大部分が半
無限弾性体においてほぼ1波長の深さの領域を進行し、
この領域内の平均的性質は近似的に1/2波長の深さで
の性質に等しいと見なすことができるためである。
【0026】図11は、上記の測定システムで得られた
レイリー波平均速度MVrと深さHとの関係を示す特性
曲線の一例を示す。この特性曲線は、複数の層から成る
地盤に対して第一層〜第五層までレイリー波平均速度M
Vrと深さHとの関係を計測した例を示している。この
特性曲線は、最初にレイリー波平均速度が観測される深
さがH0 =0.3(m)、レイリー波平均速度MVr0
が140(m/sec)である。そして、この特性曲線
では、レイリー波平均速度が深さに応じて大きく変動す
る深さH1 までの領域と、深さが変わってもレイリー波
平均速度の変動の割合がほぼ一定である深さ領域とがあ
る。このようにレイリー波平均速度の大きく変動する領
域が存在するのは、土の粒子間に隙間があって均質でな
いことに起因すると考えられる。これは、手を加えられ
ていない、いわゆる自然地盤上に、他の土地からの土を
盛って新たな地盤を形成した、いわゆる造成地盤層に多
く見られる傾向である。
【0027】一方、レイリー波平均速度の変動の割合が
ほぼ一定であるということは、土に粒子間に隙間が無い
ことを意味し、これは粘土層のような自然地盤であるこ
とを意味する。これによって、レイリー波平均速度が大
きく変動する領域の深さが深さH1 として識別され、こ
の深さH1 (=1.6m)は、造成地盤とその下の自然
地盤との境目又は硬質地盤と軟弱地盤との境目であると
判定される。このような計測システムは、特許第305
2224号、あるいは特願2000第183290号に
詳しく説明されており、ここでは詳しい説明は省略す
る。
【0028】図1は、本発明の第1の実施の形態による
住宅用地盤の補強構造を示した断面図である。図1にお
いて、この補強構造は、上記の方法で自然地盤又は硬質
地盤(以下、自然地盤と略記する)10と造成地盤又は
軟弱地盤(以下、造成地盤と略記する)20との境目を
探索し、その境目まで掘削したうえで形成される。
【0029】補強構造は、住宅100の地盤として補強
されるべき領域の一部又は全面に敷設された連続補強材
を含む堅密層30と、堅密層30の上に形成された、土
による第1の圧密層40と、第1の圧密層40上に1本
又は間隔をおいて敷設された複数の帯状材から成る排水
層50と、排水層50を含む第1の圧密層40上に形成
された、土による第2の圧密層60とから成る補強部層
を、ここでは二層有する。最下層の堅密層30は、自然
地盤10と造成地盤20との境目に形成されている。
【0030】なお、図2に示すように、上記の補強構造
は、平面で見た場合、住宅100の基礎が形成される領
域101より大きめ(例えば1m程度)になるように形
成される。
【0031】図3を参照して、最下層の堅密層30は、
例えば空練モルタルあるいはソイルセメントによる2つ
の層31、32の間に連続補強材33を介在させて圧力
を加えた層である。圧力は、例えば振動ローラと呼ばれ
る装置を使用して行われる。振動ローラというのは、数
百Kg程度の重量を持つローラに振動を与えながら走行
することで転圧を行って適切な密度となるように走行路
を固めるものである。このような転圧の結果、堅密層3
0は自然地盤10に食い込むことになる。図3では、一
点鎖線で示す位置が自然地盤10と造成地盤20との元
々の境目であることを示している。
【0032】空練モルタルというのは、周知のように、
1:3モルタル程度の水を添加しないモルタルである。
ソイルセメントも良く知られている。いずれにしても、
空練モルタルあるいはソイルセメント等を、水を添加し
ない状態である厚さまで撒き、その上に連続補強材33
を敷設し、更にある厚さまで空練モルタルあるいはソイ
ルセメント等を撒いたうえで、上記の転圧を行うと、非
常に堅い層が形成される。
【0033】連続補強材33というのは、引っ張り強さ
が規定の強度(例えば、20kN/m以上)の強度を持
つ素材であり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミ
ド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアセタール繊
維のような材料をメッシュ板状に形成したものがある。
これは、既に市販されているものもある。但し、市販さ
れている連続補強材は、ある幅を持ったロール状の形態
で提供されていることが多い。この場合、図4に示すよ
うに、地盤に作用する引っ張り力が矢印で示すような2
方向のみである場合には、図2で説明した補強されるべ
き領域の一部又は全面に連続補強材33を一部オーバラ
ップさせながら敷設すれば良い。しかし、通常は、地盤
に作用する引っ張り力は2方向のみとは限らない。この
場合には、連続補強材33のオーバラップ部分を現場で
溶着するようにされる。勿論、別場所で図4に示す形状
に作った後に、これを現場に搬入するようにしても良
い。
【0034】図1に戻って、第1の圧密層40は、上記
のようにして形成された堅密層30の上に、掘削した土
を埋め戻し、これを上記の振動ローラ等で転圧を行うこ
とにより適切な密度となるように固めた層である。
【0035】図5は排水層50の断面構造を示す。図5
(a)に示すように、排水層50は、例えば不織布又は
ペーパー系等のフィルタ材51から成り、通常はその長
さ方向に排水用の細管52を有する。しかし、図5
(b)に示すように、繊維状の材料が複雑にからみあっ
たものから成り、細管を持たないものもある。このよう
な排水層は、既に市販されているものもある。この種の
排水層もまた、ある幅を持ったロール状の形態で提供さ
れていることが多い。そこで、図6に示すように、排水
層50を複数敷設する場合には、前記のようにして形成
された第1の圧密層40上に、ある間隔Lをおいて敷設
される。特に、図1に示すように、排水層50の端部
は、造成地盤20の外部に至るように延ばされる。これ
は、次に述べる第2の圧密層60を形成する際に転圧に
より土中でしみ出す水分を吸収し、吸収した水分を細管
52等による毛細管現象により造成地盤20上に排出す
るためである。このため、排水層50の端部にはバケツ
等の水受けが置かれ、排出されてくる水を受けるように
される。なお、この排水層50の端部は、補強構造の施
工が終了したら、造成地盤20から出ている部分は切断
されるか、土中に埋め込まれる。
【0036】本形態では、上記のようにして形成された
補強部層の上にもう一層、補強部層を形成している。こ
の二層目の補強部層も上記と同様の方法で形成される。
すなわち、一層目の補強部層の第2の圧密層60の上
に、二層目の補強部層の堅密層30´が形成され、続い
て第1の圧密層40´が形成される。そして、第1の圧
密層40´の上に排水層50´が敷設され、更に第2の
圧密層60´が形成される。第2の圧密層60´の上面
は、造成地盤20の上面近くのレベルになるようにされ
る。
【0037】図7は、補強部層が(n+1)層(nは正
の整数)形成される場合に、n層目と(n+1)層目の
境目に形成される堅密層の断面構造を示す。この堅密層
も、例えば空練モルタルあるいはソイルセメント等によ
る2つの層の間に連続補強材33を介在させて圧力を加
えることで形成される点で、図3の堅密層30と同じで
ある。
【0038】上記のようにして形成された二層目の補強
部層の第2の圧密層60´の上に住宅100の基礎(布
基礎、べた基礎等)110が形成される。
【0039】図8は、本発明による補強構造の第2の実
施の形態を示した断面図である。本形態は、自然地盤1
0が軟弱地盤である場合に適用される。この場合には、
最下層の堅密層30を形成する前に、自然地盤10に骨
材、例えば割栗石を敷設した栗石層70が形成される。
割栗石は自然地盤10に十分になじませるようにする。
なお、骨材に代えて、特定の長さと太さを持った地盤補
強材、例えば竹やぶにおける竹の根の役目をするような
数十cm〜2m程度の長さを持つ化学繊維、樹脂材によ
る補強材を使用しても良い。一層目、二層目の補強部層
の形成方法は第1の実施の形態と同じである。
【0040】図9は、本発明による補強構造の第3の実
施の形態を示した断面図である。本形態は、自然地盤1
0と造成地盤20との境目が一点鎖線で示すように傾斜
している場合に適用される。この場合には、傾斜に合わ
せて段切りが行われる。ここでは、斜面に補強構造を施
工する場合について説明する。まず、斜面における補強
構造の施工部分を掘削する。そして、傾斜した境目の下
部側に砕石又はコンクリート基礎80を形成し、更に砕
石又はコンクリート基礎80の上には、土留用のコンク
リート壁90を形成する。続いて、一層目の補強部層を
段切りした状態で形成し、その上に二層目の補強部層を
形成する。一層目、二層目の補強部層の形成方法は第1
の実施の形態と同じであるが、排水層50、50´の端
部は延長せずに、コンクリート壁90におけるこれらの
端部に対応する箇所にあらかじめ水抜き用のパイプ91
を埋め込んでおくようにされる。
【0041】なお、住宅を砲台状の地盤に建てる場合に
も、段切りの無い図9の形態を適用することができる。
すなわち、周囲がコンクリート壁で囲まれるようにした
上で、このコンクリート壁の内側を掘削し、そこに複数
の補強部層が形成される。
【0042】以下に、補強構造の施工方法について説明
する。まず、自然地盤又は硬質地盤と造成地盤又は軟弱
地盤との層境界を前に述べた地盤調査により調べる。そ
して、計測された層境界まで掘削し、層境界に所定厚さ
まで例えば空練モルタルを撒き、続いて例えば連続補強
材を敷設する。前に述べたように、層境界が傾斜してい
る場合は段切りを行った上で連続補強材を敷設する。連
続補強材の上に空練モルタルを添加しながら振動ローラ
で転圧を6〜8走行繰り返す。これで堅密層が形成され
る。
【0043】次に、その上部に30cm程度土を埋戻
し、同様に振動ローラで振動を与えながら転圧を8走行
以上繰り返す。これで第1の圧密層が形成される。この
上面に排水層を敷設する。この面には空練モルタルは添
加しない。更に、その上部に30cm程度土を埋戻し、
振動ローラで振動を与えながら転圧を繰り返す。これで
一層目の補強部層が形成されたことになる。
【0044】続いて、所定厚さまで空練モルタルを撒
き、連続補強材を敷設する。更に、空練モルタルを添加
しながら振動ローラで転圧を8走行繰り返す。次に、そ
の上部に30cm程度土を埋戻し、同様に振動ローラで
振動を与えながら転圧を8走行以上繰り返す。この上面
に排水層を敷設する。この面にも空練モルタルは添加し
ない。更に、その上部に30cm程度土を埋戻し、振動
ローラで振動を与えながら転圧を繰り返す。これで二層
目の補強部層が形成されたことになる。
【0045】以上のような施工を繰り返すことにより、
自然地盤又は硬質地盤と造成地盤又は軟弱地盤の層境界
にせん断抵抗層を作り、その上部60cmには同様のせ
ん断抵抗層が出来、その中間部に挟まれて、排水層がで
きる構造となる。
【0046】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、住宅を支
持可能な自然地盤を乱さず、工法を規定することにより
表層部、すなわち造成地盤又は軟弱地盤部分の土の密度
を高め、地震等による不慮の水平荷重に対しても十分な
機能を発揮し、長期にわたり周辺地盤に影響を及ぼすこ
と無く安全な地盤となる補強構造を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による住宅用地盤の
補強構造を説明するための断面図である。
【図2】図1における住宅の基礎に対する最下層の堅密
層の形成領域を説明するための平面図である。
【図3】図1における補強構造のうち最下層の堅密層の
構造を説明するための断面図である。
【図4】図2の堅密層に連続補強材を敷設する場合の方
法について説明するための平面図である。
【図5】図1における排水層の構造を説明するための部
分断面図である。
【図6】図1における排水層の敷設方法を説明するため
の平面図である。
【図7】図1における補強構造のうち中間層の堅密層の
構造を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による住宅用地盤の
補強構造を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態による住宅用地盤の
補強構造を説明するための断面図である。
【図10】本発明を実施するに際し、自然地盤と造成地
盤との境目を計測するために使用される計測システムの
構成を示したブロック図である。
【図11】図10の計測システムで計測されたデータを
使用して自然地盤と造成地盤との境目を判定するために
使用される特性図の一例を示した図である。
【符号の説明】
10 自然地盤又は硬質地盤 20 造成地盤又は軟弱地盤 30、30´ 堅密層 40、40´ 第1の圧密層 50、50´ 排水層 60、60´ 第2の圧密層 70 栗石層 80 コンクリート基礎 90 コンクリート壁 100 住宅 101 住宅の基礎

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造成地盤又は軟弱地盤に形成される住宅
    用地盤の補強構造において、 補強すべき領域の一部又は全面に敷設された連続補強材
    を含む堅密層と、該堅密層の上に形成された、土による
    第1の圧密層と、該第1の圧密層上に敷設された1本又
    は間隔をおいて敷設された複数の帯状材から成る排水層
    と、該排水層を含む前記第1の圧密層上に形成された、
    土による第2の圧密層とから成る補強部層を少なくとも
    一層有することを特徴とする住宅用地盤の補強構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の補強構造において、前記
    堅密層は、堅密層を構成する材料による2つの層の間に
    前記連続補強材を介在させて圧力を加えた層であること
    を特徴とする住宅用地盤の補強構造。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは2記載の補強構造にお
    いて、最下層の前記堅密層は、自然地盤と造成地盤との
    境目又は硬質地盤と軟弱地盤との境目、あるいは軟弱地
    盤中に形成されていることを特徴とする住宅用地盤の補
    強構造。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の補強構
    造において、前記排水層は各種のフィルタ材から成り、
    しかもそのフィルタ方向に排水できる構造とし、端部
    は、地盤の外部に至るように延ばされていることを特徴
    とする住宅用地盤の補強構造。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の補強構造において、前記
    最下層の堅密層の下側が軟弱である場合には、骨材を投
    入することを特徴とする住宅用地盤の補強構造。
  6. 【請求項6】 造成地盤又は軟弱地盤に形成される住宅
    用地盤の補強構造の施工方法において、 自然地盤と造成地盤との境目又は硬質地盤と軟弱地盤と
    の境目、あるいは軟弱地盤中まで掘削する工程と、 前記境目であって補強すべき領域の一部又は全面に連続
    補強材を含む堅密層を形成する工程と、 前記堅密層の上に、土による第1の圧密層を形成する工
    程と、 前記第1の圧密層上に1本又は間隔をおいて複数の帯状
    材から成る排水層を敷設する工程と、 前記排水層を含む前記第1の圧密層上に、土による第2
    の圧密層を形成する工程とを含み、 前記堅密層、前記第1の圧密層、前記排水層及び前記第
    2の圧密層から成る補強部層を1つの層として、最上層
    の前記第2の圧密層の上面が前記造成地盤の上面に近い
    レベルになるまで一層以上の前記補強部層を形成するこ
    とを特徴とする住宅用地盤の補強構造の施工方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の施工方法において、前記
    堅密層は、堅密層を構成する材料を敷いた後に前記連続
    補強材を敷設し、更にその上に堅密層を構成する材料を
    敷いた後に適切な密度となるように締め固めを行うこと
    により形成されることを特徴とする住宅用地盤の補強構
    造の施工方法。
  8. 【請求項8】 請求項6あるいは7記載の施工方法にお
    いて、前記第1、第2の圧密層はそれぞれ、前記土を埋
    め戻した後に適切な密度となるように締め固めを行うこ
    とにより形成されることを特徴とする住宅用地盤の補強
    構造の施工方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の施工方法において、前記
    排水層はペーパー系のフィルタ材から成り、しかもその
    フィルタ方向に排水できる構造とし、端部は、地盤の外
    部に至るように延ばされていることにより、適切な密度
    となるように締め固めを実施することで前記排水層に浸
    透した水分を前記地盤の外部まで排水することを特徴と
    する住宅用地盤の補強構造の施工方法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載の施工
    方法において、前記自然地盤が軟弱地盤である場合に
    は、前記最下層の堅密層を形成する前に、必要に応じ
    て、該軟弱地盤に骨材又は特定の長さと太さを持った地
    盤補強材等を敷設して堅固にした上に最下層の堅密層を
    形成することを特徴とする住宅用地盤の補強構造の施工
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項6〜10のいずれかに記載の施
    工方法において、前記自然地盤と前記造成地盤との境目
    又は硬質地盤と軟弱地盤との境目が傾斜している場合に
    は、傾斜に合わせて段切りを行うことを特徴とする住宅
    用地盤の補強構造の施工方法。
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JPH073761A (ja) * 1993-06-14 1995-01-06 Fujita Corp 基礎地盤改良工事の施工法

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