JP2002275186A - 有機スズ化合物の製造方法 - Google Patents

有機スズ化合物の製造方法

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JP2002275186A
JP2002275186A JP2001072981A JP2001072981A JP2002275186A JP 2002275186 A JP2002275186 A JP 2002275186A JP 2001072981 A JP2001072981 A JP 2001072981A JP 2001072981 A JP2001072981 A JP 2001072981A JP 2002275186 A JP2002275186 A JP 2002275186A
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JP2001072981A
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Eiji Shirakawa
英二 白川
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不飽和結合を有する有機スズ化合物を安全か
つ経済的に有利に製造できる方法を提供する。 【解決手段】 遷移金属元素(周期表4族元素〜周期表
11族元素)で構成された触媒存在下、不飽和炭化水素
類(オレフィン系又はアセチレン系不飽和化合物)と、
アルキニルスズ化合物とを反応させ、不飽和結合を有す
る有機スズ化合物を製造する。この方法において、反応
は、周期表15族元素又は周期表16族元素を含む化合
物(例えば、トリアルキルホスフィン)の共存下で行っ
てもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遷移金属触媒を用
いて、アルキニルスズ化合物とオレフィン系又はアセチ
レン系化合物との反応により有機スズ化合物を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機スズ化合物は、多くの医薬品・機能
性物質などの鍵中間体として有機合成分野で利用するこ
とが提案されている。この有機スズ化合物は、有機合成
において、類似の反応に用いられるアルカリ金属やアル
カリ土類金属を含む有機金属化合物と比べて水や空気に
対して安定であるという利点を有する。このような背景
から、有機スズ化合物又はその誘導体を安全かつ経済的
に有利に製造する方法が期待されている。
【0003】例えば、Tetrahedron Letters, 1999, 40,
7367、及びTetrahedron, 1999, 55, 2205,では、パラ
ジウム触媒による有機スズ化合物とハロゲン化物とのカ
ップリング反応を鍵反応とする立体選択的なオレフィン
類の合成法として報告されている。しかし、この方法で
は、環境に対する負荷が高い有機ハロゲン化合物を用い
る必要がある。また、J. Amer. Chem. Soc., 1998,12
0,2975.及び、Organometallics, 2000, 19, 5671.で
は、パラジウム触媒を用いるアルキンと有機スズ試薬と
の反応が報告され、さらに、J. Amer. Chem. Soc., 199
9, 121, 10221.では、ニッケル触媒を用いる同様の反
応がビニルスタナンの合成法として報告されている。し
かし、これらの方法では、得られるビニルスタナンの一
方の立体異性体しか得られない。
【0004】なお、1つの有機スズ化合物を用い、複数
の不飽和結合を形成できれば、多様な産業に必要な高分
子素材、例えば、複数の不飽和結合を有する化合物〔複
数の炭素−炭素二重結合を有するジエン類や炭素−炭素
三重結合と炭素−炭素二重結合とを有するエンイン類
や、特に、最近改めて導電性材料などとして注目を集め
ているポリアセチレンなど〕の製造方法などに利用する
ことが期待できる。しかし、通常の反応では、1つの不
飽和結合に付加するスズ化合物は、それほど多くなく、
高分子化合物の製造には適用できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、有機スズ化合物を安全かつ経済的に有利に製造でき
る方法を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、複数の不飽和結合を
有する有機スズ化合物を簡便かつ効率よく製造できる方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するため鋭意検討した結果、遷移金属触媒の存在下、
不飽和炭化水素類(オレフィン系又はアセチレン系不飽
和化合物)とアルキニルスズ化合物とを反応させると、
スタニル基の転位を伴って不飽和化合物の不飽和結合の
C−Hがアルキニルスズへ効率よく付加することを見い
だし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の方法では、遷移金属元
素で構成された触媒の存在下、不飽和炭化水素類(オレ
フィン系又はアセチレン系不飽和化合物)と、アルキニ
ルスズ化合物とを反応させ、有機スズ化合物を製造す
る。この方法において、遷移金属元素は、周期表4族元
素〜周期表11族元素などから選択できる。反応は、周
期表15族元素又は周期表16族元素を含む化合物(例
えば、トリアルキルホスフィン)の共存下で行ってもよ
い。
【0009】前記反応は、例えば、下記反応式で表すこ
とができる。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は
異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アル
ケニル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示
し、これらの基R1,R2,R3,R4は置換基を有してい
てもよい。R5,R6,R7,R8は、同一又は異なって、
水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は
アラルキル基を示し、これらの基は置換基を有していて
もよく、R7とR8とは互いに直接結合していてもよい)
【0012】
【発明の実施の形態】[遷移金属触媒]遷移金属触媒を
構成する遷移金属は、周期表3族元素(Sc、Y及び希土
類元素)、周期表4族元素、周期表5族元素、周期表6
族元素、周期表7族元素、周期表8族元素、周期表9族
元素、周期表10族元素、周期表11族元素に分類され
る。これらの遷移金属で構成された触媒は、単独で又は
二種以上組み合わせて使用できる。前記元素の酸化数
は、特に制限されず、元素の種類に応じて、例えば、
0、+1〜+8などであってもよい。
【0013】好ましい遷移金属元素には、例えば、周期
表4族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウ
ムHf)、周期表5族元素(バナジウムV、ニオブN
b、タンタルTa)、周期表6族元素(クロムCr、モ
リブデンMo、タングステンW)、周期表7族元素(マ
ンガンMn、テクネチウムTc、レニウムRe)、周期
表8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムO
s)、周期表9族元素(コバルトCo、ロジウムRh、
イリジウムIr)、周期表10族元素(ニッケルNi、
パラジウムPd、白金Pt)、周期表11族元素(銅C
u、銀Ag、金Au)などが含まれる。さらに好ましい
遷移金属は、周期表6族元素(Cr,Mo,W)、周期
表8族元素(Ruなど)、周期表9族元素(Co、R
h、Ir)であり、特に、周期表6族元素(Cr,
W)、周期表8族元素(Ruなど)、周期表9族元素
(Rhなど)である。
【0014】前記遷移金属源は、金属単体であってもよ
いが、好ましくは遷移金属元素を含む化合物である。遷
移金属元素の化合物には、例えば、金属酸化物(酸化ク
ロム、酸化タングステン、酸化ルテニウムなど)、無機
酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、過ハロゲン酸塩、塩化
水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸塩など)、
有機酸塩(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など
のスルホン酸塩、ホスホン酸塩、ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸などのC1-12カルボン酸塩など)、ハロゲン化物
(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、錯体(又
は錯塩)などが含まれる。また、遷移金属触媒として
は、これら金属化合物が担体(活性炭、シリカ、アルミ
ナ、チタニアなど)に担持された固体触媒であってもよ
い。
【0015】錯体を構成する配位子は、例えば、OH
(ヒドロキソ)、C1-4アルコキシ基、C1-4アシル基、
1-4アルコキシ−カルボニル基、アセチルアセトナ
ト、シクロペンタジエニル基、シクロオクタジエニル
基、ベンジリデン基、ビニリデン基、ベンジリデンアセ
トン、ベンジリデンアセチルアセトナト、ベンジリデン
アセトフェノン、シクロアルカジエン(シクロペンタジ
エン、シクロオクタジエンなど)、芳香族炭化水素類
(ベンゼン、トルエン、シメン、クメン、キシレン、ナ
フタレンなど)、ハロゲン原子、CO、CN、酸素原
子、H2O(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェニ
ルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)、ホスフ
ァイト(例えば、トリフェニルホスファイトなどのトリ
アリールホスファイト)、NH3(アンミン)、NO、
NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリ
ン、ビピリジル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、t
−オクチルイソシアニドなどの窒素含有化合物などが挙
げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位
子が一種又は二種以上配位してもよい。また、ドデカカ
ルボニル三ルテニウムなどのクラスター化合物のよう
に、1分子の錯体又は錯塩の中に複数の遷移金属原子を
含んでいてもよい。
【0016】代表的な錯体又は錯塩としては、例えば、
カルボニル基、NO、ホスフィン、シクロアルカジエ
ン、ベンジリデン、芳香族炭化水素類、ハロゲン原子な
どを配位子として含む錯体、具体的には、例えば、ジカ
ルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウ
ム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウム、ルテノセンなど〕、テトラクロロビス(η−p−
シメン)二ルテニウム、ビス(トリシクロヘキシルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムクロライドなどのルテ
ニウム錯体又は錯塩、およびこれらに対応する前記遷移
金属などが例示できる。また、錯体又は錯塩は、例え
ば、テトラクロロビス(η−ベンゼン)二ルテニウムに
対してp−シメンを添加する方法などにより、反応系中
で生成させて用いてもよい。
【0017】[有機スズ化合物]有機スズ化合物は、分
子内に少なくとも1つのアルキニルスズ結合を含む化合
物(エチニルスズ結合などを含むアルキニルスズ化合
物)である限り特に制限されない。代表的な有機スズ化
合物は、例えば、下記式(1)で表すことができる。
【0018】
【化5】
【0019】(式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は
異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アル
ケニル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示
し、これらの基R1,R2,R3,R4は置換基を有してい
てもよい) R1〜R4で表されるハロゲン原子には、フッ素、塩素、
臭素およびヨウ素原子が含まれる。アルキル基として
は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘ
キシル、オクチル基などのC1-20アルキル基(好ましく
はC1-10アルキル基、特にC1-6アルキル基)が例示で
きる。アルケニル基には、ビニル、プロペニル、イソプ
ロペニル、アリル、ブテニル基などのC2-20アルケニル
基(好ましくはC2-10アルケニル基、特にC2-6アルキ
レン基)が例示できる。
【0020】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どのC6-14アリール基が含まれ、アラルキル基には、ベ
ンジル、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-4
ルキル基が含まれる。
【0021】複素環基には、窒素、酸素及び硫黄原子か
ら選択された少なくとも1つのヘテロ原子を環の構成原
子として含む5又は6員複素環基、複素環と炭化水素環
とが縮合した縮合複素環基が例示でき、複素環基は芳香
族性又は非芳香族性複素環基であってもよい。このよう
な複素環基に対応する複素環化合物としては、例えば、
チオフェンなどの硫黄含有複素環化合物、フラン、クロ
メン、クロマンなどの酸素含有複素環化合物、ピロー
ル、イミダゾール、ピリジン、インドール、キノリン、
カルバゾール、アクリジン、フェナジン、ピペリジン、
ピペラジン、モルホリンなどの窒素含有複素環化合物な
どが例示できる。
【0022】基R1〜R4はその種類に応じて置換基を有
していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル、
エチル、プロピル、ブチル基などの前記例示のC1-20
ルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、特にC1-6
ルキル基)、アルケニル基(ビニル、プロペニル、イソ
プロペニル、ブテニル基などの前記例示のC2-10アルケ
ニル基、好ましくはC 2-6アルケニル基)、アリール基
(フェニル基などの前記例示のC6-14アリール基)、ア
ラルキル基(ベンジル、フェネチル基などのC6-10アリ
ール−C1-4アルキル基)、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基
などのC1-6アルコキシ基)、上記アルコキシ基に対応
するC1-6チオアルコキシ基、アリールオキシ基(フェ
ノキシ基など)、カルボニル基(又はケト基)、アシル
基(アセチル、プロピオニル基などの脂肪族C1-6アシ
ル基、ベンゾイル基などの芳香族アシル基など)、カル
ボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル基など
のC1-6アルコキシ−カルボニル基)、アリールオキシ
カルボニル基(フェノキシカルボニル基など)、アミノ
基、N−置換アミノ基(メチルアミノ、ブチルアミノ基
などのN−モノC1-4アルキルアミノ基、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ基などのN,N−
ジC1-4アルキルアミノ基、アセチルアミノ基などのア
シルアミノ基など)、ニトロ基,シアノ基などが例示で
きる。なお、基R1〜R4の置換基は、通常、基R1〜R4
とは異種の置換基である場合が多く、例えば、R1〜R4
が芳香族環を有する場合、この芳香環には、ハロゲン原
子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、脂肪族基(アル
キル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基など)が置換している場合が多い。
【0023】有機スズ化合物としては、例えば、トリア
ルキル(アルキニル)スズ[例えば、トリメチル(エチ
ニル)スズ、トリメチル(プロピニル)スズ、トリメチ
ル(オクチニル)スズ、トリブチル(エチニル)スズ、
トリブチル(プロピニル)スズ、トリブチル(オクチニ
ル)スズなどのトリC1-10アルキル(C2-16アルキニ
ル)スズ、好ましくはトリC1-6アルキル(C2-10アル
キニル)スズ、さらに好ましくはトリC1-4アルキル
(C2-10アルキニル)スズ]、トリアルキル(アリール
アルキニル)スズ[例えば、トリメチル(フェニルエチ
ニル)スズ、トリブチル(フェニルエチニル)スズなど
のトリC1-10アルキル(C6-10アリール−C 2-16アルキ
ニル)スズ、好ましくはトリC1-6アルキル(フェニル
−C2-10アルキニル)スズ、さらに好ましくはトリC
1-4アルキル(フェニル−C2-10アルキニル)スズ]、
ジアルキルジ(アルキニル)スズ[例えば、ジブチルジ
(エチニル)スズ、ジブチルジ(プロピニル)スズ、ジ
ブチルジ(オクチニル)スズなどのジC1-10アルキルジ
(C2-16アルキニル)スズ、好ましくはジC1-6アルキ
ルジ(C2-10アルキニル)スズ]、ジアルキルジ(アリ
ールアルキニル)スズ[例えば、ジブチルジ(フェニル
エチニル)スズなどのジC1-10アルキルジ(C6-14アリ
ール−C2-16アルキニル)スズ、好ましくはジC1-6
ルキルジ(フェニル−C2-10アルキニル)スズ]、アル
キルトリ(アルキニル)スズ[ブチルトリ(エチニル)
スズ、ブチルトリ(プロピニル)スズ、ブチルトリ(オ
クチニル)スズなどのC1-10アルキルトリ(C2-16アル
キニル)スズ、好ましくはC1-6アルキルトリ(C2-10
アルキニル)スズ〕、アルキルトリ(アリールアルキニ
ル)スズ[例えば、ブチルトリ(フェニルエチニル)ス
ズなどのC1-10アルキルトリ(C6-14アリール−C2-16
アルキニル)スズ、好ましくはC1-6アルキルトリ(フ
ェニル−C2-10アルキニル)スズ]、テトラアルキニル
スズ[テトラエチニルスズ、テトラプロピニルスズ、テ
トラオクチニルスズなどのテトラCC2-16アルキニルス
ズ、好ましくはテトラC2-10アルキニルスズ〕、テトラ
(アリールアルキニル)スズ[例えば、テトラフェニル
エチニルスズなどのテトラ(C6-14アリール−C2-16
ルキニル)スズ、好ましくはテトラ(フェニル−C2-10
アルキニル)スズ)]などが例示できる。なお、これら
のアリール基には前記置換基(ハロゲン原子、アルキル
基、アルコキシ基など)が置換していてもよい。
【0024】さらに、有機スズ化合物には、スズ原子に
水素原子を有する化合物(例えば、ジブチル(エチニ
ル)チンハイドライドなどのジC1-10アルキル(C2-10
アルキニル)チンハイドライドなど)、スズ原子にハロ
ゲン原子を有する化合物(例えば、ジブチル(エチニ
ル)チンクロライドなどのジC1-10アルキル(C2-10
ルキニル)チンハライド)なども含まれる。さらに、有
機スズ化合物には、後述するアセチレン系化合物のうち
α−アセチレン類や官能基を有するアセチレン類の水素
原子がスズ原子で置換した化合物も含む。
【0025】なお、ヒドロスタニル化やジスタニル化反
応、ハロゲン化スズとアセチレン系化合物との反応など
を利用して反応系中で発生させたアルキニルスズ化合物
をそのまま用いることもできる。
【0026】[不飽和炭化水素類]不飽和炭化水素類
は、分子中に少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合
(炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合)を有する
限り、種々のオレフィン系化合物(アルケン類又はその
誘導体)及びアセチレン系化合物(アルキン類又はその
誘導体)が使用できる。代表的な不飽和炭化水素類は、
例えば、下記式(2)で表すことができる。
【0027】
【化6】
【0028】(式中、R5,R6,R7,R8は、同一又は
異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリ
ール基又はアラルキル基を示し、これらの基は置換基を
有していてもよく、R7とR8とは互いに直接結合して炭
素−炭素三重結合を形成していてもよい) R5,R6,R7,R8で表されるアルキル基、アルケニル
基、、アリール基、アラルキル基としては、前記R1
4と同様のアルキル基(C1-20アルキル基、好ましく
はC1-10アルキル基、特にC1-6アルキル基)、アルケ
ニル基(C2-10アルケニル基、好ましくはC2-6アルケ
ニル基)、アリール基(フェニル基などのC6-14アリー
ル基)、アラルキル基(ベンジル基などのC6-10アリー
ル−C1-4アルキル基)が例示できる。また、R5〜R8
の置換基としても、前記R1〜R4と同様の置換基が例示
できる。置換基R5〜R8は、通常、水素原子、アルキル
基(例えば、C1-10アルキル基、特にC1-6アルキル
基)、アルケニル基(例えば、C2-6アルケニル基、特
にC2-4アルケニル基)である。前記式(2)におい
て、R7とR8とは互いに直接結合して炭素−炭素三重結
合を形成し、アルキン類又はその誘導体を形成してもよ
い。
【0029】(i)オレフィン系化合物 不飽和炭化水素類のうちオレフィン系化合物は、分子中
に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物
であればよく、例えば、α−オレフィン類(エチレン、
プロピレン、1−ブテンのα−C2-10オレフィン、スチ
レンなど)、内部に炭素−炭素二重結合を有する化合物
(2−ブテン、3−ヘキセン、4−オクテンなどのC
4-10オレフィン、スチルベンなど)、分子内に2以上の
二重結合を有するC5-20アルカジエン類(1,4−デカ
ジエン、ジヒドロミルセンなど)、二重結合を共役位置
に有するC5-20アルカジエン類(1,3−ブタジエン、
4,6−デカジエンなど)、環状化合物(シクロペンテ
ン、ノルボルネン、シクロペンタジエン、ジシクロペン
タジエン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,8−シクロペンタデカジエンなど)などが例示
できる。
【0030】オレフィン系化合物には、分子中に炭素−
炭素二重結合と炭素−炭素三重結合とを含むエンイン化
合物(2−メチル−1−ヘキセン−3−イン、2−メチ
ル−1−オクテン−3−インなど)も含まれ、炭素−炭
素三重結合は、炭素−炭素二重結合に対して共役位置に
位置していてもよい。さらに、オレフィン系化合物に
は、酸素含有官能基を有する化合物〔ヒドロキシル基を
有する化合物(アリルアルコールなど)、カルボキシル
基を有する化合物又はその誘導体(アクリル酸、アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、
アクロレイン、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸ジエ
ステルなど)、アルコキシ基を有する化合物(エトキシ
エチレンなど)、カルボニル基を有する化合物(3−ブ
テン−2−オン、シクロペンテノン、シクロヘキセノ
ン、イソホロン、ジケテン、ケテン、フラン、ベンゾフ
ラン、ヌートカトン、ベンゾキノンなど)など〕、窒素
含有官能基を有する化合物[アミノ基を有する化合物
(アリルアミンなど)、アクリロニトリル、ピロールな
ど]、ハロゲン含有化合物(アリルクロライド、3,
3,3−トリフルオロ−1−プロピレンなど)、リン、
スズ、ホウ素、ケイ素などのヘテロ原子を含む化合物
(アリルトリホスフォニウムブロマイドなどのホスホニ
ウム塩、アリルスズなどのスズ化合物、アリルボランな
どのホウ素化合物、(トリメチルシリル)エチレンなど
のケイ素化合物など)なども含まれる。さらには、アレ
ン系化合物(1,2−プロパジエンなど)も含まれる。
【0031】(ii)アセチレン系化合物 不飽和炭化水素類のうちアセチレン系化合物は、分子内
に少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む化合物で
あれば特に制限されない。アセチレン系化合物(アセチ
レン類)としては、例えば、α−C2-20アセチレン類
(アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチンなどのC
2-16アセチレン、特にC2-10アセチレン)、内部に炭素
−炭素三重結合を有するC2-20アセチレン類(2−ブテ
ン、3−ヘキシン、4−オクチン、トランなどのC2-16
アセチレン、特にC2-10アセチレン)、分子内に2以上
の三重結合を有するC5-20アルカジイン類(1,4−デ
カジインなどのC5-16アルカジイン、特にC5-10アルカ
ジイン)、三重結合を共役位置に有するC5-20アルカジ
イン類(4,6−デカジインなどのC5-16アルカジイ
ン、特にC5-10アルカジイン)、環状化合物(1,8−
シクロペンタデカジインなどのC4-16シクロアルキン又
はシクロアルカジイン、特にC5-10シクロアルキン又は
シクロアルカジイン)などが例示できる。
【0032】アセチレン系化合物は、分子中に炭素−炭
素三重結合と炭素−炭素二重結合とを含むエンイン化合
物(例えば、2−メチル−1−ヘキセン−3−イン、2
−メチル−1−オクテン−3−インなどのC5-16アルカ
エンイン類、特にC5-10アルカエンイン類)も含まれ、
炭素−炭素二重結合は、炭素−炭素三重結合に対して共
役位置に位置していてもよい。さらに、アセチレン系化
合物には、酸素含有官能基を有する化合物〔例えば、ヒ
ドロキシル基を有する化合物(プロパギルアルコールな
ど)、カルボニル基を有する化合物(3−ブチン−2−
オンなど)、カルボキシル基を有する化合物又はその誘
導体(アセチレンジカルボン酸、アセチレンジカルボン
酸ジエステルなど)、アルコキシ基を有する化合物(エ
トキシアセチレンなど)など〕、ハロゲン含有化合物
〔プロパギルクロライド、3,3,3−トリフルオロ−
1−プロピンなど〕、リン、スズ、ホウ素、ケイ素など
のヘテロ原子を含む化合物〔プロパギルトリフェニルホ
スフォニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、アルキ
ニルスズなどのスズ化合物、アルキニルボランなどのホ
ウ素化合物、(トリメチルシリル)アセチレンなどのケ
イ素化合物など〕なども含まれる。
【0033】なお、1,2−プロパジエンなどのアレン
系化合物を反応系中でアセチレン系化合物に異性化させ
て反応に用いることもできる。また、ベンザイン類を系
中で発生させても用いることができる。
【0034】[反応]本発明の代表的な方法では、前記
遷移金属触媒の存在下、式(1)で表される有機スズ化
合物(アルキニルスズ化合物)と式(2)で表される不
飽和炭化水素類とを反応させ、下記式(3a)又は(3
b)で表される化合物(オレフィン系又はアセチレン系
有機スズ化合物)を生成させる。
【0035】
【化7】
【0036】(式中、R1〜R8は前記に同じ) すなわち、本発明の方法では、不飽和炭化水素基を有す
る有機スズ化合物(スタニルエンイン化合物)を生成さ
せることができ、有機スズ化合物を立体異性体として生
成させることもできる。
【0037】[配位子又は反応促進剤]反応系に特定の
配位子又は反応促進剤を共存させると、反応を有効に促
進できる。この配位子又は反応促進剤は、通常、前記錯
体を構成する配位子のうち、周期表15族元素又は周期
表16族元素を含む化合物である。周期表15族元素に
は、N,P,As,Sb,Biなどが含まれ、周期表1
6族元素には、O,Sなどが含まれる。好ましい配位子
又は反応促進剤は、周期表15族元素のうちN又はP、
周期表16族元素のうちOを含んでいる。
【0038】このような化合物としては、例えば、リン
含有化合物[ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフ
ィンなどのトリアリールホスフィン、トリメチルホスフ
ィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィ
ン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、トリイソブチルホスフィンなどのトリアルキルホス
フィン)、ホスファイト(例えば、トリフェニルホスフ
ァイトなどのトリアリールホスファイト)など]、窒素
含有化合物〔CN、NH3(アンミン)、NO、NO
2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリン、
ピピリジル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、t−オ
クチルイソシアニドなど〕などが挙げられる。反応系に
おいて、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上用い
てもよい。好ましい配位子又は反応促進剤には、ホスフ
ィン類(特に、トリアルキルホスフィン)、例えば、ト
リブチルホスフィンなどのトリC1-6アルキルホスフィ
ンなどが含まれる。なお、配位子又は反応促進剤は、前
記式(1)で表される有機スズ化合物のR2,R3,R4
に対応するアルキルホスフィン類であってもよい。
【0039】[反応溶媒]反応は溶媒の存在下又は非存
在下で行うことができ、例えば、溶媒を用いる溶媒系、
溶媒を用いない無溶媒系、気相流通反応などを利用でき
る。好ましい方法では、反応温度の制御などが容易な溶
媒系が利用される。反応溶媒は、触媒、有機ホウ素化合
物、およびアセチレン系化合物の3成分を接触可能であ
れば特に制限はなく、例えば、エーテル類(ジエチルエ
ーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジ
オキサン、ジメトキシエタンなど)、脂肪族炭化水素類
(ノルマルヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキ
サン、シクロペンタン、シクロヘキセン、シクロペンテ
ンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キ
シレンなど)、アルコール類(エタノール、イソプロパ
ノールなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルな
ど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンな
ど)、含硫黄化合物(ジメチルスルホキサイド、スルフ
ォランなど)などが挙げられる。溶媒としては含窒素溶
媒、例えば、アンモニア類(液体アンモニア、アンモニ
ア水など)、アミン類(メチルアミン、エチルアミン、
ブチルアミンなどのN−C1-6アルキルアミン、ジメチ
ルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどのN,N−ジC1-6アルキルアミン、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミ
ンなどのN,N,N−トリC1- 6アルキルアミン、アニ
リン、N−アルキルアニリン、N,N−ジアルキルアニ
リン、アミノピリジンなどの芳香族アミンなど)、複素
環式アミン類や含窒素複素環化合物(ピロリジン、ピペ
リジン、モルホリン、ピリジン、α−ピコリン、イミダ
ゾール、ピロールなど)、アルカノールアミン類(エタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエ
タノールなど)、アルキレンジアミンやポリアルキレン
ポリアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンな
ど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンな
ど)、尿素誘導体(N,N−ジメチルプロピレンウレア
など)、リン酸アミド類(ヘキサメチルホスホラミドな
ど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルな
ど)などを用いてもよい。溶媒はこれらの混合溶媒とし
て用いてもよい。
【0040】さらに、常温・常圧では液体でないものの
流体の状態で利用可能な溶媒、例えば、超臨界流体(二
酸化炭素、エタン、フルオロカーボンなど)なども利用
できる。
【0041】好ましい溶媒には、極性の高い溶媒、例え
ば、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ア
ミド類(ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、尿素誘導体
(テトラメチル尿素、N,N−ジメチルプロピレンウレ
アなど)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プ
ロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニト
リル、プロピオニトリルなど)、リン酸アミド類(ヘキ
サメチルホスホラミドなど)が含まれる。
【0042】[反応条件]各成分の割合は、触媒成分の
種類などに応じて、触媒活性が損なわれず、安定性を維
持できる範囲から適当に選択できる。
【0043】前記遷移金属触媒の割合は、例えば、アル
キニルスズ化合物1モルに対して0.000001〜1
モル、好ましくは0.0001〜0.5モル、さらに好
ましくは0.0005〜0.2モル程度であり、0.0
01〜0.1モル倍程度である場合が多い。
【0044】不飽和炭化水素類(オレフィン系化合物又
はアセチレン系化合物)の割合は、例えば、アルキニル
スズ化合物1モルに対して0.0001〜1000モ
ル、好ましくは0.001〜100モル、さらに好まし
くは0.005〜10モル程度であり、0.2〜5モル
倍程度である場合が多い。
【0045】配位子又は反応促進剤の割合は、例えば、
遷移金属触媒1モルに対して0.001〜1000モ
ル、好ましくは0.1〜100モル、さらに好ましくは
1〜50モル程度であり、2〜20モル倍程度である場
合が多い。
【0046】反応溶媒の量は、アルキニルスズ化合物1
重量部に対して、例えば、0〜10000重量部、好ま
しくは0〜100重量部、さらに好ましくは0〜50重
量部である。
【0047】反応温度は、例えば、−100℃〜300
℃、好ましくは−50℃〜200℃、さらに好ましくは
0〜150℃であり、20〜100℃(特に30〜70
℃)程度の温和な条件でも反応を円滑に進行できる。反
応時間は、反応温度や経済性などを考慮して適当に選択
できる。
【0048】反応は、酸素などの支燃性の気体を雰囲気
ガスとして用いる場合、安全性を損なわない濃度範囲内
で行う以外に特に制限はなく、種々の雰囲気、例えば、
炭化水素類(メタン、エタン、エチレン、ブタジエンな
ど)、窒素化合物(アンモニア、二酸化窒素、一酸化窒
素、シアン化水素など)、硫黄化合物(硫化水素、二硫
化炭素、二硫化硫黄など)、一酸化炭素や二酸化炭素、
空気などの雰囲気で行うことができる。好ましい方法で
は、不活性ガス(ヘリウム、アルゴンなど希ガスや窒素
など)の雰囲気で反応が行われる。
【0049】反応は、常圧又は加圧下で行う場合が多
く、反応器内の合計圧力は、例えば、0.0001〜1
00MPa、好ましくは0.001〜10MPa、さら
に好ましくは0.01〜1MPa程度である。
【0050】反応生成物は、慣用の分離精製方法、例え
ば、濃縮、晶析、再結晶、抽出、蒸留、クロマトグラフ
ィなどを利用して分離精製できる。
【0051】本発明は、アルキニルスズを不飽和化合物
(オレフィン類やアセチレン類)に付加でき、試薬、医
薬又は農薬・機能性化合物などの中間体、オレフィン類
やアセチレン類などの重合性化合物を得るのに有用であ
る。
【0052】
【発明の効果】本発明では、遷移金属触媒の存在下、ア
ルキニルスズ化合物と不飽和炭化水素類(オレフィン系
化合物又はアセチレン系化合物)とを反応させるので、
不飽和結合を有する有機スズ化合物を安全かつ経済的に
有利に製造できる。また、複数の不飽和結合を有する有
機スズ化合物も簡便かつ効率よく製造できる。
【0053】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0054】実施例1 20mLのガラス製反応容器に溶媒としてジメチルスル
フォキサイド(DMSO)(0.3mL)、[RuCl
2(η−p−シメン)]2(0.01mmol)、トリブ
チルホスフィン(0.12mmol)を加えて攪拌し
た。さらに、トリブチル(オクチニル)スズ(0.4m
mol)及びフェニルアセチレン(0.8mmol)を
加えて、十分に窒素ガスで置換した。50℃で5時間攪
拌し、ガスクロマトグラフィーによりトリブチル(オク
チニル)スズの消費を確認して反応を終了した後、反応
液を重クロロホルム(約0.4mL)で希釈し、テトラ
メチルシランを内部標準として用い、119Sn−NMR
を測定することにより、アルキニルスズ基準の収率(モ
ル%)を求めたところ、(Z)−1−フェニル−4−ト
リブチルスタニル−3−デセン−1−インが収率30
%、(E)−1−フェニル−4−トリブチルスタニル−
3−デセン−1−インが収率60%で得られた。合わせ
た生成物の収率は90%であった。
【0055】比較例1 [RuCl2(η−p−シメン)]2を添加することなく
実施例1と同様の反応を行ったところ、全く生成物は得
られなかった。
【0056】実施例2 アセチレン系化合物として3,3−ジメチル−1−ブチ
ンを用い、反応時間を23時間にする以外、実施例1と
同様の反応を行ったところ、(Z)−2,2−ジメチル
−6−トリブチルスタニル−5−ドデセン−3−インが
収率1%、(E)−2,2−ジメチル−6−トリブチル
スタニル−5−ドデセン−3−インが収率38%で得ら
れた。合わせた生成物の収率は39%であった。
【0057】実施例3 アルキニルスズとしてトリブチル(フェニルエチニル)
スズ、アセチレン系化合物として1−オクチンを用いる
とともに、反応時間を16時間にする以外、実施例1と
同様の反応を行ったところ、(Z)−1−フェニル−1
−トリブチルスタニル−1−デセン−3−インが収率5
2%で得られ、(E)−1−フェニル−1−トリブチル
スタニル−1−デセン−3−インは全く得られなかっ
た。
【0058】実施例4 [RuCl2(η−p−シメン)]2に代えて三塩化ルテ
ニウムRuCl3・nH2Oを用いる以外、実施例1と同
様の反応を行ったところ、(Z)−1−フェニル−4−
トリブチルスタニル−3−デセン−1−インが収率25
%、(E)−1−フェニル−4−トリブチルスタニル−
3−デセン−1−インが収率52%で得られた。合わせ
た生成物の収率は77%であった。
【0059】実施例5 ジメチルスルフォキサイド(DMSO)に代えてジメチ
ルホルムアミド(DMF)を用いる以外、実施例1と同
様の反応を行ったところ、(Z)−1−フェニル−4−
トリブチルスタニル−3−デセン−1−インが収率24
%、(E)−1−フェニル−4−トリブチルスタニル−
3−デセン−1−インが収率52%で得られた。合わせ
た生成物の収率は76%であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属元素で構成された触媒の存在
    下、不飽和炭化水素類と、アルキニルスズ化合物とを反
    応させ、有機スズ化合物を製造する方法。
  2. 【請求項2】 遷移金属元素が、周期表4族〜11族元
    素から選択された少なくとも1つの元素である請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 周期表15族元素又は周期表16族元素
    を含む化合物の共存下で反応する請求項1記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 トリアルキルホスフィンの共存下で反応
    させる請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 遷移金属触媒の存在下、式(1) 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は異なって、水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ア
    リール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらの
    基R1,R2,R3,R4は置換基を有していてもよい)で
    表される有機スズ化合物と下記式(2) 【化2】 (式中、R5,R6,R7,R8は、同一又は異なって、水
    素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はア
    ラルキル基を示し、これらの基は置換基を有していても
    よく、R7とR8とは互いに直接結合していてもよい)で
    表される化合物とを反応させ、下記式(3a)又は(3
    b) 【化3】 (式中、R1〜R8は前記に同じ)で表される化合物を生
    成させる請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法。
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