JP2002274891A - 高性能熱線反射膜付き基板およびその成膜方法 - Google Patents

高性能熱線反射膜付き基板およびその成膜方法

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JP2002274891A
JP2002274891A JP2001069300A JP2001069300A JP2002274891A JP 2002274891 A JP2002274891 A JP 2002274891A JP 2001069300 A JP2001069300 A JP 2001069300A JP 2001069300 A JP2001069300 A JP 2001069300A JP 2002274891 A JP2002274891 A JP 2002274891A
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heat ray
titanium nitride
ray reflective
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Hideo Omoto
英雄 大本
Yasutaka Tsuda
康孝 津田
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3429Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating
    • C03C17/3435Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating comprising a nitride, oxynitride, boronitride or carbonitride

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪みが少なく、導電性に優れ、且つ優れた耐
久性と高い熱線反射性能を有するとともに高可視光線透
過率を有する高性能熱線反射膜を得ること。 【解決手段】 透明基板表面に、窒化チタン(TiN)
膜、酸化物膜が順次積層された多層膜において、該窒化
チタン膜は、(111)面の面間隔が2.439Å〜
2.464Åである面心立方構造を有することを特徴と
する高性能熱線反射膜付き基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として建築物の
外装用窓ガラス表面に被覆され、太陽輻射エネルギーを
遮蔽する高断熱性、高耐久性の高性能熱線反射膜付き基
板およびその成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高層ビルの外層用窓ガラスなどに用いら
れている熱線反射ガラスは、ガラス基板表面に金属、窒
化物などの導電性の有色膜や、錫をドープした酸化イン
ジウム膜などの透明導電性膜を被覆することにより、太
陽エネルギーを室外へ反射させ、室内への入射エネルギ
ー量を抑制している。
【0003】現在用いられている熱線反射ガラスとして
は、スパッタリング法により金属、炭化物、窒化物など
の導電性の有色膜をガラス基板表面に被覆したものが主
流であり、該膜の材料としては、Ti、Cr、ステンレ
ス、NiCr、Ta、TiC、TiN、CrN、NiC
rNなどを用いることが出来、その内特に、窒化チタン
(以下、場合によっては「TiN」と略す)は、DC反
応性スパッタリング法により比較的容易に成膜可能であ
る上に、耐久性とともに導電性が高く熱線反射膜として
早くから量産化技術が進んでいる材料である。また、こ
のTiN膜は、金属チタン(fcc)の格子中に窒素原子
が侵入して岩塩型構造をとる侵入型化合物であり、Ti
xの組成領域は0.8<x<1.16と広く選択する
ことが可能であり、さらに可視光域での光学定数が小さ
く、金属膜と比較して透視性に優れた熱線反射膜を成膜
できる利点も有している。
【0004】また、(111)面の面間隔が2.460
Å以下を有する高度に配向された多結晶窒化チタン被膜
組成物および被覆方法が特開平8−170168号公報
に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
窒化チタン(TiN)膜を反応性スパッタリング法によ
り安定して成膜を行なう生産性の点から、スパッタリン
グ室に導入されるスパッタガスとしては、アルゴン/窒
素の混合ガス(混合ガス中の窒素流量比(N2/Ar+N
2)≧約0.2以上)が用いられ、この方法により成膜さ
れたTiN膜はほとんどが非晶質から構成され、比較的
容易に熱線反射膜が得られるものの、建築物等の外装用
窓ガラスなどに用いる場合には断熱性が不十分であっ
た。
【0006】また、特開平8−170168号公報記載
の窒化チタン組成物および被覆方法は、本発明のTiN
膜の上層に酸化物膜を被覆すること及び低抵抗を有する
熱線反射膜およびスパッタガス導入量を分圧で制御し
て、Tiターゲット表面が金属/窒化物遷移領域の状態
で成膜することについて何ら記載されていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の従来の
課題に鑑みてなされたものであって、窒化チタン(Ti
N)膜を特定の結晶構造を有する膜構造とし、その上層
に酸化物膜を被覆することにより、また、スパッタリン
グの成膜条件を特定な条件でスパッタリングすることに
より、得られる熱線反射膜は、高い可視光線透過率、優
れた熱線反射性能および高耐久性を有することを見出し
た。
【0008】すなわち、本発明の高性能熱線反射膜付き
基板は、透明基板表面に、窒化チタン(TiN)膜、酸
化物膜が順次積層された多層膜において、該窒化チタン
膜は、(111)面の面間隔が2.439Å〜2.46
4Åである面心立方構造を有することを特徴とする。
【0009】また、本発明の高性能熱線反射膜付き基板
は、前記酸化物膜は、Sn、Ta、Ti、Si、Znま
たはAlの内の少なくとも1種の酸化物であることを特
徴とする。
【0010】さらに、本発明の高性能熱線反射膜付き基
板は、前記窒化チタン膜の膜厚は10〜30nm、前記
酸化物膜の膜厚は10〜80nmであることを特徴とす
る。
【0011】さらに、本発明の高性能熱線反射膜付き基
板は、可視光線透過率が50%以上、遮蔽係数(S.
C.値)が0.65以下であることを特徴とする。
【0012】さらにまた、本発明の高性能熱線反射膜付
き基板は、前記窒化チタン膜の比抵抗が2.3×10-4
Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0013】また、本発明の高性能熱線反射膜付き基板
の成膜方法は、透明基板表面に、スパッタリング法によ
り窒化チタン(TiN)膜、酸化物膜よりなる多層膜を
積層する方法において、窒化チタン膜を成膜する際のス
パッタガス導入量を分圧で制御し、Tiターゲット表面
を金属/窒化物遷移領域の状態で成膜することにより、
(111)面の面間隔が2.439Å〜2.464Åで
ある面心立方構造の窒化チタン膜を形成することを特徴
とする。
【0014】さらに、本発明の高性能熱線反射膜付き基
板の成膜方法は、前記窒化チタン膜をスパッタリング成
膜する際の窒素ガス分圧が、4.0×10-4Pa〜1.
2×10-2Paであることを特徴とし、さらに、前記窒
化チタン膜をスパッタリング成膜する際の総ガス圧力
が、4.0×10-2Pa〜1.3×10-1Paであるこ
とを特徴とする。
【0015】さらにまた、本発明の高性能熱線反射膜付
き基板の成膜方法は、前記窒化チタン膜をスパッタリン
グ成膜する際の電力密度(単位スパッタリング面積当た
りの投入電力)が、3.0W/cm2以上であることを
特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、透明基板表面に、窒化
チタン(TiN)膜、酸化物膜が順次積層された多層膜
において、該窒化チタン膜は、(111)面の面間隔が
2.439Å〜2.464Åである面心立方構造を有す
ることを特徴とするものである。
【0017】前記窒化チタン膜は、TiN(111)面
の面間隔が2.439Å〜2.464Åの範囲にある面
心立方構造を有するので、歪みが少なく導電性に優れる
とともに、機械的・化学的耐久性にも優れ、さらに熱線
を効率よく反射させ、冷房負荷を軽減する熱線反射機能
を有するものとなる。また、窒化チタン膜の比抵抗は、
2.3×10-4Ω・cm以下であると高断熱性(高熱線
反射性)となるのでより好ましい。なお、TiN(11
1)面の面間隔が2.439Åより小さい場合には、窒
素分圧が低くなりすぎるため、膜構造がTiNからTi
に変化し始め、この時に膜はアモルファスになり、比抵
抗は増加すると同時に膜強度は低下してしまう。一方、
該面間隔が2.439Åを越える場合には。格子間の歪
みが増大するため、比抵抗は増加してしまい好ましくな
い。
【0018】また、本発明の窒化チタン膜は、窒化チタ
ン膜をTiNxとして表した時に、x=1に限定される
ものではなく、(111)面の面間隔が2.439Å〜
2.464Åの範囲にある面心立方構造を有する窒化チ
タンは全て含むものである。さらに、該窒化チタン膜
は、結晶方位を(200)面ではなく(111)面をよ
り選択的に配向させることにより、稠密構造となり、電
子の移動度が増し導電性が増大する。この様に優れた導
電性を有する構造とすることにより、優れた熱線反射性
能をも有するようにしたものであり、(111)面の面
間隔が2.439Å〜2.464Åの範囲にある面心立方
構造を有する結晶質の窒化チタンから大部分は構成され
るが、該膜中に非晶質の窒化チタン或いはその他の不純
物等が一部含まれることは差し支えない。
【0019】窒化チタン膜の上層に被覆される酸化物膜
としては、Sn、Ta、Ti、Si、ZnまたはAlの
内の少なくとも1種の酸化物を用いることができる。こ
れらの酸化物を窒化チタン膜の上層に被覆させることに
より、それらの干渉作用により可視光線透過率をより高
透過率に、また、反射率をより低反射率とすることが可
能となり、可視光線透過率としては50%以上が好まし
く、膜面の可視光線反射率は15%以下とすることが好
ましい。なお、酸化ケイ素、酸化アルミについては色調
の面よりやや好ましくなく、酸化亜鉛については耐化学
性の面よりやや好ましくない。
【0020】膜厚については、窒化チタン膜は約10〜
30nm程度の膜厚のものを用いることができるが、1
5〜25nmの膜厚とすることがより好ましい。また、
酸化物の膜厚については、約10〜80nm程度の膜厚
のものを用いることができるが、15〜60nmの膜厚
とすることがより好ましい。なお、第1層目の膜厚が1
0nm未満で、第2層目の膜厚が10nm未満であれ
ば、60%以上の高い可視光透過性を有するものの熱的
性能である日射透過率が45%を超えてしまい、断熱性
が乏しくなり、めざす高性能熱線反射膜付き基板が得ら
れない。また、第1層目の膜厚が30nmを超え、第2
層目の膜厚が80nmを越えるものであると、日射透過
率は20%未満となり、断熱性は優れるものの、可視光
透過率が30%未満と低くなるという問題がある。
【0021】また、本発明の高性能熱線反射膜付き基板
は、例えば、可視光線透過率が50%以上、日射透過率
が45%以下、遮蔽係数(S.C.値)が0.65以下
の光学特性を有するので、高い可視光透過性と優れた断
熱性(熱線反射性)を有する。なお、前記の遮蔽係数
は、JIS R 3106に基づいて日射熱取得率を求
め、3mmの厚さのフロート板ガラス(透明)の日射熱
取得率(=0.88)を1とした場合の日射熱取得率の
相対値を求め、遮蔽係数(Shading Coefficient:S.
C.値)として示される値である。
【0022】本発明の高性能熱線反射膜付き基板の主な
膜構成部分である窒化チタン膜は、次の方法により成膜
することができる。すなわち、スパッタリング法により
窒化チタン膜を成膜する際のスパッタガス導入量を分圧
で制御し、Tiターゲット表面を金属/窒化物遷移領域
の状態で成膜することにより、(111)面の面間隔が
2.439Å〜2.464Åである面心立方構造の窒化
チタン膜を形成することが可能となる。この分圧の制御
は、スパッタリング室内に導入するスパッタガス中の窒
素ガス量を特定の分圧で制御することが重要であり、該
窒素ガス分圧を4.0×10-4Pa〜1.2×10-2
aの範囲で制御することが好ましい。窒素ガス分圧を
4.0×10-4Pa〜1.2×10-2Paの範囲で制御
するとしたのは、窒素ガス分圧が4.0×10-4Pa未
満では、TiNが生成せず、窒素ガス分圧が1.2×1
-2Paをこえる場合には、TiNは生成するものの、
TiN(111)面の配向が弱くなる。よって、窒素ガ
ス分圧の範囲は、4.0×10-4Pa〜1.2×10-2
Paが好ましい。なお、4.0×10-4Pa〜5.3×
10-3Paの範囲であればより好ましい。
【0023】この分圧範囲でスパッタリングを行う場
合、Tiターゲット表面は遷移モードにあり成膜が不安
定になるが、一定分圧になるように窒素ガス導入量を制
御してやることで、流量制御では不可能であった遷移モ
ードでも安定した成膜が可能となる。また、スパッタリ
ングを行う時の総ガス圧力を4.0×10-2Pa〜1.
3×10-1Paに制御して成膜することが好ましく、総
ガス圧力が4.0×10 -2Pa未満では、放電が持続せ
ず、総ガス圧力が1.3×10-1Paを越える場合に
は、スパッタ粒子同士の粒子間衝突が増大し、結晶方位
の配向性が弱まり好ましくない。なお、4.0×10-2
Pa〜8.0×10-2Paの範囲であればより好まし
い。
【0024】さらに、スパッタリングを行う時の単位ス
パッタリング面積当たりの投入電力である電力密度を
3.0W/cm2以上に制御して成膜することが好まし
く、電力密度が3.0W/cm2未満では、スパッタ粒
子のエネルギーが低下し、結晶方位の配向性が弱まるた
めである。なお、3.0W/cm2〜5.0W/cm2
範囲であればより好ましい。
【0025】以上のように、窒化チタン成膜時のスパッ
タガス導入量を分圧で制御することにより、Tiターゲ
ット表面が金属/窒化物遷移領域の状態で成膜されるた
め、窒化チタンの堆積速度が速く、生産性に優れる。ま
た、特に、成膜時の窒素分圧、総ガス圧力、電力密度を
制御することにより、得られた窒化チタン膜は、TiN
(111)面の面間隔が2.439Å〜2.464Åの
範囲にある面心立方構造を有し、歪みが少なく導電性に
優れるとともに、機械的・化学的耐久性にも優れ、さら
に熱線を効率よく反射させ、冷房負荷を軽減する熱線反
射機能を有するものとなる。得られた窒化チタン膜の比
抵抗は、2.3×10-4Ω・cm以下であると高断熱性
となるのでより好ましい。
【0026】本発明に用いられる透明基板としては、無
機質はもちろん有機質でも差し支えなく、透明基板であ
ればよく、無色あるいは着色ガラス等でもよい。また単
板で使用できることはもとより、例えば、ガラス基板の
場合には、複層ガラスあるいは合せガラス、強化ガラス
等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでも
ない。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0028】実施例1 大きさ約300mm×300mm、厚さ約6mmのソー
ダライムガラスを中性洗剤、水すすぎ、純水、で順次洗
浄し、乾燥した後、DCマグネトロンスパッタリング装
置の真空槽内にセットしてあるTiとSnターゲットに
対向して上方を往復できるようセットし、つぎに前記槽
内を真空ポンプで約2.7×10-4Pa以下までに脱気
した後、該真空槽内にインフィコン社(旧ライボルト・
インフィコン社)製の分圧コントローラOGC−1によ
り、Arガスを4.0×10-2Pa、N2ガスを2.7×
10-3Pa導入して、前記Tiタ−ゲットに約4.3W
/cm2の電力を印加し、DCマグネトロン反応スパッ
タの中を、前記Tiタ−ゲット上方において前記板ガラ
スをスピード約1828mm/minで搬送することに
よって16nm厚さのTiNx 薄膜を成膜した。なお、
成膜が完了した後、Tiタ−ゲットへの印加を停止し
た。
【0029】次いで、前記ガラスを前記真空槽中におい
たまま、前記槽内を真空ポンプで約2.7×10-4Pa
以下までに脱気した後、該真空槽内にO2ガスを導入し
て真空度を2.7×10-1Paに保持し、前記Snター
ゲットに1.0kW (電力密度 約1.4W/c
2)の電力を印加し、DCマグネトロン反応性スパッ
タの中を、前記Snターゲット上方においてスピード約
194mm/minで前記板ガラスを搬送することによ
って前記TiNx膜表面上に約40nm厚さのSnOx
(1<x≦2)薄膜を第2層として積層し高性能熱線反
射膜付きガラス基板を得た。なお、成膜が完了した後、
Snタ−ゲットへの印加を停止した。
【0030】得られたガラス/TiNx(16nm)/
SnOx(40nm)の膜構成でなる膜付ガラス基板の
膜構成、代表的光学特性を表1に示す。この表1に示さ
れるように、可視光線透過率は55.4%、日射透過率
が39.6%、遮蔽係数が0.59であり、高可視光線
透過率、高断熱性を有する優れた熱線反射ガラスが得ら
れた。
【0031】なお、表1に示す評価は下記の方法により
評価した。 膜厚:sloan社製の段差測定器dektak3に
よって測定 可視光線透過率(Tv)、可視光線反射率(Rv)、
日射透過率(Ts)、日射反射率(Rs):JIS R
3106に規定する透過率測定方法に基づき、分光光
度計(U4000型、日立製作所製スペクトロフォトメ
ーター)で波長300〜2100nmの間の日射透過
率、日射反射率(ガラス面、膜面)、及び380〜78
0nmの間の可視光線透過率、可視光線反射率(ガラス
面、膜面)を測定した。 遮蔽係数(S.C.値):JIS R 3106に基
づいて日射熱取得率を求め、3mmの厚さのフロート板
ガラス(透明)の日射熱取得率(=0.88)を1とし
た場合の日射熱取得率の相対値を求め、遮蔽係数(Shad
ing Coefficient:S.C.値)として示した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 実施例1と比較して、SnOxを成膜する時に搬送速度
を約172mm/minとし、膜厚45nmのSnOx
膜を成膜した以外は、実施例1と同様に行った。得られ
た膜付きガラスについて性能を評価した結果、表1に示
すように可視光線透過率は55.0%、日射透過率が3
9.8%、遮蔽係数が0.59であり実施例1と同様に
高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが
得られた。
【0034】実施例3 実施例1と比較して、SnOxを成膜する時に搬送速度
を約155mm/minとし、膜厚50nmのSnOx
膜を成膜した以外は、実施例1と同様に行った。得られ
た膜付きガラスについて性能を評価した結果、表1に示
すように可視光線透過率は54.6%、日射透過率が4
2.1%、遮蔽係数が0.60であり実施例1と同様に
高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが
得られた。
【0035】実施例4 実施例1と比較して、TiNxを成膜する時に搬送速度
を約1625mm/minとし、膜厚18nmのTiN
x膜を成膜した以外は、実施例1と同様に行った。得ら
れた膜付きガラスについて性能を評価した結果、表1に
示すように可視光線透過率は53.3%、日射透過率が
37.1%、遮蔽係数が0.56であり実施例1と同様
に高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラス
が得られた。
【0036】実施例5 実施例2と比較して、TiNxを成膜する時に搬送速度
を約1625mm/minとし、膜厚18nmのTiN
x膜を成膜した以外は、実施例2と同様に行った。得ら
れた膜付きガラスについて性能を評価した結果、表1に
示すように可視光線透過率は52.8%、日射透過率が
37.2%、遮蔽係数が0.56であり実施例1と同様
に高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラス
が得られた。
【0037】実施例6 実施例3と比較して、TiNxを成膜する時に搬送速度
を約1625mm/minとし、膜厚18nmのTiN
x膜を成膜した以外は、実施例2と同様に行った。得ら
れた膜付きガラスについて性能を評価した結果、表1に
示すように可視光線透過率は53.0%、日射透過率が
38.0%、遮蔽係数が0.56であり実施例1と同様
に高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラス
が得られた。
【0038】実施例7 実施例4と比較して、酸化物成膜用のターゲットをTa
とし、ガラスの搬送速度を約69mm/min、該Ta
ターゲットに2.0kW(電力密度 約2.9W/cm
2)の電力を印加し、膜厚35nmのTaOx(1<x≦
5/2)膜を成膜した以外は、実施例4と同様に行っ
た。得られた膜付きガラスについて性能を評価した結
果、表1に示すように可視光線透過率は55.2%、日
射透過率が39.2%、遮蔽係数が0.59であり実施
例1と同様に高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線
反射ガラスが得られた。
【0039】実施例8 実施例7と比較して、ガラスの搬送速度を約60mm/
minとし、膜厚40nmのTaOx膜を成膜した以外
は、実施例7と同様に行った。得られた膜付きガラスに
ついて性能を評価した結果、表1に示すように可視光線
透過率は55.1%、日射透過率が40.1%、遮蔽係
数が0.59であり実施例1と同様に高い可視光透過
性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0040】実施例9 実施例7と比較して、ガラスの搬送速度を約54mm/
minとし、膜厚45nmのTaOx膜を成膜した以外
は、実施例7と同様に行った。得られた膜付きガラスに
ついて性能を評価した結果、表1に示すように可視光線
透過率は55.3%、日射透過率が40.7%、遮蔽係
数が0.59であり実施例1と同様に高い可視光透過
性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0041】実施例10 実施例7と比較して、ガラスの搬送速度を約48mm/
minとし、膜厚50nmのTaOx膜を成膜した以外
は、実施例7と同様に行った。得られた膜付きガラスに
ついて性能を評価した結果、表1に示すように可視光線
透過率は54.2%、日射透過率が40.5%、遮蔽係
数が0.59であり実施例1と同様に高い可視光透過
性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0042】実施例11 実施例10と比較して、ガラスの搬送速度を約1463
mm/minとし、膜厚20nmのTiNx膜を成膜し
た以外は、実施例10と同様に行った。得られた膜付き
ガラスについて性能を評価した結果、表1に示すように
可視光線透過率は52.5%、日射透過率が38.7
%、遮蔽係数が0.56であり実施例1と同様に高い可
視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られ
た。
【0043】実施例12 実施例1と比較して、酸化物成膜用のターゲットをTi
とし、ガラスの搬送速度を約114mm/min、該T
iターゲットに3.0kW(電力密度 約4.3W/c
2)の電力を印加し、膜厚20nmのTiOx(1<x
≦2)膜を成膜した以外は、実施例1と同様に行った。
得られた膜付きガラスについて性能を評価した結果、表
1に示すように可視光線透過率は54.7%、日射透過
率が39.5%、遮蔽係数が0.60であり実施例1と
同様に高い可視光透過性、高断熱性の優れた熱線反射ガ
ラスが得られた。
【0044】実施例13 実施例12と比較して、ガラスの搬送速度を約76mm
/minとし、膜厚30nmのTiOx膜を成膜した以
外は、実施例12と同様に行った。得られた膜付きガラ
スについて性能を評価した結果、表1に示すように可視
光線透過率は53.1%、日射透過率が39.7%、遮
蔽係数が0.58であり実施例1と同様に高い可視光透
過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0045】実施例14 実施例12と比較して、ガラスの搬送速度を約57mm
/minとし、膜厚40nmのTiOx膜を成膜した以
外は、実施例12と同様に行った。得られた膜付きガラ
スについて性能を評価した結果、表1に示すように可視
光線透過率は50.5%、日射透過率が40.5%、遮
蔽係数が0.58であり実施例1と同様に高い可視光透
過性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0046】実施例15 実施例4と比較して、酸化物成膜用のターゲットをTi
とし、ガラスの搬送速度を約76mm/min、該Ti
ターゲットに3.0kW(約4.3W/cm2)の電力
を印加し、膜厚30nmのTiOx膜を成膜した以外
は、実施例4と同様に行った。得られた膜付きガラスに
ついて性能を評価した結果、表1に示すように可視光線
透過率は51.7%、日射透過率が37.8%、遮蔽係
数が0.56であり実施例1と同様に高い可視光透過
性、高断熱性の優れた熱線反射ガラスが得られた。
【0047】比較例1 実施例1と同様の板ガラスを用い、実施例1と同様にし
てTiターゲットのみセットし、スピード約1950m
m/minで前記板ガラスを搬送することによって約1
5nm 厚さのTiNx薄膜を成膜した。成膜が完了し
た後、Tiターゲットへの印加を停止した。その他は実
施例1と同様に行った。得られた膜付き基板は、表2に
示すように、日射透過率は34.7%、遮蔽係数は0.
56と低い値を示し高断熱性を示しているが、可視光線
透過率が48.9%と低かった。
【0048】
【表2】
【0049】比較例2 実施例1と同様の板ガラスを用い、実施例1と同様にし
てTiターゲットのみセットし、スピード約1463m
m/minで前記板ガラスを搬送することによって約2
0nm 厚さのTiNx薄膜を成膜した。成膜が完了し
た後、Tiターゲットへの印加を停止した得られた膜付
き基板は、日射透過率は28.1%、遮蔽係数は0.4
9と低い値を示し高断熱性を示しているが、可視光線透
過率が41.5%と低かった。(なお、各表において、
化学量論的には例えばSnOxはSnO2を、TaOx
Ta25を、TiOxはTiO2をそれぞれ示すが、スパ
ッタリングにおいては必ずしも上記のような厳密な結合
形態をとらないので、表示のごとくした)
【0050】
【発明の効果】本発明の高性能熱線反射膜付き基板は、
(111)面の面間隔が2.439Å〜2.464Åの
範囲にある面心立方構造の窒化チタン膜の上層に酸化物
膜が積層されているので、歪みの少なく、導電性に優
れ、且つ優れた耐久性と高い熱線反射性能を有するとと
もに高可視光線透過率を有するものであり、特に建築物
の外層用窓ガラスに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA01 AC06 EA01 EA02 EA04 EA05 EA12 EB04 GA01 GA04 GA12 4K029 AA09 BA43 BA44 BA46 BA47 BA48 BA49 BA60 BB02 BB07 BC05 BC08 CA06 EA01 EA03 EA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板表面に、窒化チタン(TiN)
    膜、酸化物膜が順次積層された多層膜において、該窒化
    チタン膜は、(111)面の面間隔が2.439Å〜
    2.464Åである面心立方構造を有することを特徴と
    する高性能熱線反射膜付き基板。
  2. 【請求項2】前記酸化物膜は、Sn、Ta、Ti、S
    i、ZnまたはAlの内の少なくとも1種の酸化物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の高性能熱線反射膜付
    き基板。
  3. 【請求項3】前記窒化チタン膜の膜厚は10〜30n
    m、前記酸化物膜の膜厚は10〜80nmであることを
    特徴とする請求項1または2記載の高性能熱線反射膜付
    き基板。
  4. 【請求項4】可視光線透過率が50%以上、遮蔽係数
    (S.C.値)が0.65以下であることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれかに記載の高性能熱線反射膜付
    き基板。
  5. 【請求項5】前記窒化チタン膜の比抵抗が2.3×10
    -4Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載の高性能熱線反射膜付き基板。
  6. 【請求項6】透明基板表面に、スパッタリング法により
    窒化チタン(TiN)膜、酸化物膜よりなる多層膜を積
    層する方法において、窒化チタン膜を成膜する際のスパ
    ッタガス導入量を分圧で制御し、Tiターゲット表面を
    金属/窒化物遷移領域の状態で成膜することにより、
    (111)面の面間隔が2.439Å〜2.464Åで
    ある面心立方構造の窒化チタン膜を形成することを特徴
    とする高性能熱線反射膜付き基板の成膜方法。
  7. 【請求項7】前記窒化チタン膜をスパッタリング成膜す
    る際の窒素ガス分圧が、4.0×10-4Pa〜1.2×
    10-2Paであることを特徴とする請求項6記載の高性
    能熱線反射膜付き基板の成膜方法。
  8. 【請求項8】前記窒化チタン膜をスパッタリング成膜す
    る際の総ガス圧力が、4.0×10 -2Pa〜1.3×1
    -1Paであることを特徴とする請求項6または7記載
    の熱線反射膜付き基板の成膜方法。
  9. 【請求項9】前記窒化チタン膜をスパッタリング成膜す
    る際の電力密度(単位スパッタリング面積当たりの投入
    電力)が、3.0W/cm2以上であることを特徴とす
    る請求項6乃至8のいずれかに記載の高性能熱線反射膜
    付き基板の成膜方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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