JP2002272480A - アデノウイルスベクター - Google Patents
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Abstract
便な操作で任意のペプチドを導入した、ファイバーミュ
ータントアデノウイルスベクターの作製方法の提供。 【解決手段】 ファイバーのHIループコード遺伝子配列
に、ユニークな制限酵素認識配列を挿入することによ
り、該領域に外来ペプチドコードDNAを導入することを
特徴とする、ファイバーミュータントアデノウイルスベ
クターの作製方法。
Description
ファイバーのHIループに外来ペプチドが付与されたファ
イバーミュータントアデノウイルスベクターの作製方法
に関する。
の細胞へin vivoまたはin vitroで遺伝子を導入するた
めの魅力的なビヒクルとして汎用されている。アデノウ
イルスはエンベロープを持たず、252個のカプソメアよ
りなる正20面体構造をしている。そのうち頂点にある12
個のカプソメアは突起構造を持ったペントン(ペントン
ベースとファイバーから成る)と呼ばれ、他の240個は
ヘキソンと呼ばれる。ウイルスの細胞内への侵入(感染)
は、ファイバーが受容体のCARに結合し(詳細について
は、Bergelson J M ら、Isolation of a common recept
or for Coxsackie B viruses and adenoviruses 2 and
5. Science 275:1320-1323, 1997を参照されたい)、そ
の後ペントンベースのRGDモチーフが細胞表面上のイン
テグリンに結合することによって起こる(Bai M, Harfe
B, Freimuth P、Mutations that alter an Arg-Gly-Asp
(RGD) sequence in the adenovirus type 2penton bas
e protein abolish its cell-rounding activity and d
elay virusreproduction in flat cells.,J Virol 67:
5198-5205, 1993;Wickham T Jら、Integrins αvβ3 a
nd αvβ5 promote adenovirus internalization but n
ot virus attachment. Cell 73:309-319, 1993)。エン
ドソームに達したウイルスは酸性条件下でカプシド蛋白
質の構造変化を起こし、エンドソームを破壊して、細胞
質内に侵入する。従って、細胞表面上の受容体であるCA
Rに、ウイルスのファイバーが結合するのが第一ステッ
プであり、ファイバーを修飾することにより、ベクター
の感染域を変えることができると考えられる(Paillard,
F.,Dressing up adenoviruses to modify their tropi
sm. Hum Gene Ther 10:2575-2576, 1999)。
L5領域に位置し、5型ウイルスにおいては581アミノ酸
からなり3量体を形成している。その構造はテール、シ
ャフト、ノブの部分に分けられ、C末端のノブが受容体
のCARと結合する。従来のアデノウイルスベクターの大
きな問題点として、ベクターの感染域に組織特異性がな
く、全身投与した場合多くの組織細胞に非特異的に移行
すること、また、アデノウイルス受容体(coxsackievir
us-adenovirus receptor (CAR);遺伝子治療のためのベ
クターとして通常用いられているアデノウイルス2型や
5型における受容体。詳細については、Bergelson J M
ら、上掲、を参照されたい)の発現がない細胞には感染
できないことがあげられる。
硫酸との親和性があるポリリジン配列を有したアデノウ
イルスベクターが作製され、このベクターが期待通り、
広い感染域をもつことが報告された(Wickham T Jら、In
creased in vitro and in vivo gene transfer by aden
ovirus vectors containing chimeric fiber protein
s., J. Virol. 71:8221-8229, 1997;Yoshida Yら、Gen
eration of fiber-mutant recombinant adenoviruses f
or gene therapy of malignant glioma.,Hum Gene Ther
9:2503-2515, 1998;Gonzalez Rら、Increased gene t
ransfer in acutemyeloid leukemic cells by an adeno
virus vector containing a modified fiber protein.,
Gene Ther. 6: 314-320, 1999;Bouri Kら、Poly-lysi
ne Modification of adenoviral fiber protein enhanc
es muscle cell transduction.,Hum Gene Ther 10:1633
-1640, 1999)。しかしながら、この領域への外来ペプチ
ドの挿入は、ファイバーの3量体形成を阻害し、ウイル
スのタイターが野生型のファイバーを有するベクターに
比べ1-2オーダー以上劣ること、また、ファイバーのC末
端はウイルスの内側に向かっていることが明らかとな
り、現在では外来ペプチドの挿入に最適な部位ではない
と考えられている。
のHI ループがウイルスの表面につきだした構造をとっ
ていることに着目し、この部位へ外来ペプチドを挿入す
るとウイルス表面にペプチドを表現できること、ウイル
スの増殖を全く阻害しないことを報告し、外来ペプチド
の表現部位として最適である可能性を示した(Krasnykh
V Iら、Characterization of an adenovirus vector co
ntaining a heterologous peptide epitope in the HI
loop of the fiber knob., J Virol 72:1844-1852, 199
8;Dmitriev Iら、An adenovirus vector with genetic
ally modifiedfibers demonstrates expanded tropism
via utilization of a Coxsackievirusand adenovirus
receptor-independent cell entry mechanism., J Vir
ol 72:9706-9713, 1998)。しかしながら、彼らはこの
ようなベクターを特別な大腸菌を用いた相同組換えを利
用した方法で作製しており、その作製法は現状ではそれ
ほど簡便ではないため、広く普及するには至っていな
い。
イバーのHIループコード遺伝子配列に簡便な操作で任意
のペプチドを導入した、ファイバーミュータントアデノ
ウイルスベクターの作製方法を提供することを目的とす
る。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ファイバーの
HIループをコードする遺伝子領域に、ユニークな制限酵
素の認識部位を挿入することにより、該領域に任意のペ
プチドをコードするオリゴDNAを簡便に導入できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
コード遺伝子配列に、ユニークな制限酵素認識配列を挿
入し、該遺伝子配列中に外来ペプチドコードDNAを導入
することを特徴とする、ファイバーミュータントアデノ
ウイルスベクターの作製方法である。
るファイバーミュータントアデノウイルスベクターであ
る。さらに本発明は、ファイバーのHIループコード遺伝
子配列に、ユニークな制限酵素認識部位を有することを
特徴とする、アデノウイルスベクターである。以下に本
発明を詳細に説明する。
アデノウイルスベクターの作製方法は、ファイバーのHI
ループコード遺伝子配列にユニークな制限酵素認識配列
を挿入し、該遺伝子配列中に外来ペプチドコードDNAを
導入することを特徴とするものである。
は、ファイバー分子のアミノ酸537から549までの領域を
コードする塩基配列をさす。HIループのアミノ酸は大部
分が親水基であり、ノブ領域の外側に配向している。こ
の領域に外来ペプチドが挿入されてもファイバーの3量
体形成には影響を及ぼさない。例えば、5型アデノウイ
ルスでは、該ウイルスのゲノムDNAの32647〜32685番目
に相当する。
ウイルスゲノムDNAに本来存在しない制限酵素認識配列
を意味し、例えば、制限酵素Csp45I、ClaI、SwaI、Pac
I、I-CeuI、PI-SceI、I-PpoI、I-SceIにより認識される
配列が挙げられる。ユニークな制限酵素としてCsp45Iお
よびClaIを使用した場合、これらの制限酵素は互いに適
合性を有する接着型末端を生じ、上記オリゴヌクレオチ
ドをいずれの方向でも挿入することができる。従って、
オリゴヌクレオチドが順方向に挿入されたもの(陽性ク
ローン)がCsp45I認識配列を有し、かつClaI認識配列を
含まないように前記オリゴヌクレオチドを設計すること
により、陽性クローンを制限酵素Csp45IおよびClaIの切
断パターンの違いにより容易に同定することができる。
このように設計されたオリゴヌクレオチドとしては、限
定するものではないが、配列番号10〜13に記載の塩
基配列からなるオリゴヌクレオチドを挙げることができ
る。
への挿入は、例えば本実施例に記載したようにして実施
することができる。外来ペプチドをコードするDNAの導
入は、例えば、該ペプチドコードDNAと上記のユニーク
な制限酵素認識配列とを有するオリゴヌクレオチドDNA
を合成し、対応する酵素で消化したHIループコード配列
に直接ライゲーションすることによって達成することが
できる。
限定されるものではないが、例えば、RGDを含むペプチ
ドをコードするDNA、NGRを含むペプチドをコードするDN
A、ヘパラン硫酸との親和性を有するペプチド(KKKKKK
K:配列番号1)をコードするDNA、ラミニン受容体との
親和性を有するペプチド(TS(GYIGSR)3SS:配列番号2ま
たはTSAA(SIKVAV)2:配列番号3)をコードするDNA、E-
セレクチンとの親和性を有するペプチド(TRSDITWDQLWDL
MKTS:配列番号4)をコードするDNA等を選択することに
より、ベクターの行き先(組織・細胞等)における遺伝子
導入効率を改善することができる。従って、外来ペプチ
ドとして例えば腫瘍血管内皮細胞に対して指向性を有す
ることが報告されているペプチド、例えばRGDやNGRを含
むペプチドを選択すれば、種々の腫瘍の治療に有用なベ
クターを作製することができる。
みかつ細胞表面のインテグリンに対する結合親和性を有
する限り限定されるものではないが、例えば、RGDを含
めて5〜20個のアミノ酸からなるものが好ましく、具体
的には、例えば、RGD-4Cペプチド(CDCRGDCFC:配列番号
5)を挙げることができる。
した場合、該ペプチドはCARだけでなくインテグリンと
も結合親和性を有することから、アデノウイルス感受性
の細胞だけでなく、CARの発現が乏しいために従来のウ
イルスベクターが適用できない細胞、例えば、CHO細
胞、気道上皮細胞、平滑筋細胞、血管内皮細胞、T細
胞、マクロファージ、造血幹細胞、樹状細胞、インテグ
リンを細胞表面に有する癌細胞(例えばヒトグリオーマ
細胞LN444)等への遺伝子導入効率を改善することがで
きる。
を含みかつ細胞表面のアミノペプチダーゼN(CD13)に
対する結合親和性を有する限り限定されるものではない
が、例えば、NGRを含めて5〜20個のアミノ酸からなるも
のが好ましく、具体的には、例えば、NGR関連ペプチド
(CNGRCVSGCAGRC:配列番号6)を挙げることができる。
択した場合、該ペプチドはCARだけでなくアミノペプチ
ダーゼN/CD13とも結合親和性を有することから、アデ
ノウイルス感受性の細胞だけでなく、CARの発現が乏し
いために従来のウイルスベクターが適用できない細胞、
例えば癌新生血管等のCD13発現細胞(例えばヒトグリオ
ーマ細胞LN444)への特異的な遺伝子導入を達成するこ
とができる。
に説明するが、本発明はこれらにより限定されるもので
はない。 〔実施例1〕 ファイバーのHIループに外来ペプチドを
付与したアデノウイルスベクターの作製−1 本実施例では、ファイバーのHIループをコードする遺伝
子配列部分にユニークな制限酵素であるCsp45IおよびCl
aIの認識部位を利用した。まず、ベクタープラスミドpA
dHM15,16,17および18を以下のようにして構築した。
31位の塩基から右末端まで(途中、27865〜30995位(E3領
域)は欠損している)を含むプラスミドpEco-ITR1を制限
酵素ApaIおよびMunIで切断した。これをpBR-322由来の
プラスミドpBR-AM2(AatIIとBsaIの認識配列の間にAgeI
とMunIの認識配列を有し、PvuII認識配列からBst 1107I
の認識配列までが欠損している)のApaI/MunI制限断片
と連結することにより、pBR-AM3を得た。このpBR-AM3は
アデノウイルスゲノムの31905〜32825位を有していた。
I/BsmAI制限断片、BsaAI制限断片、ならびにオリゴヌ
クレオチド1(5'−AACAGGAGACACAACTTCGAAC[ATCGAT]C
CAAGTGCATACTCTATGTCATTTTCATGGGACTGGTCTGGCCACAACTAC
AT−3':配列番号7)および2(5'−TAATGTAGTTGTGGCCAG
ACCAGTCCCATGAAAATGACATAGAGTATGCACTTGG[ATCGAT]GTT
CGAAGTTGTGTCTCC−3':配列番号8)を使用(Csp45Iおよ
びClaI(ジアンチピリルメタン(Dam)でメチル化されてい
る)認識部位をそれぞれ下線および括弧[]で示す)し
て、4-ピースライゲーション反応を行ない、プラスミ
ドpBR-AM4を得た。
Eco-ITR5(5型アデノウイルスゲノムの右末端(27331位
の塩基からゲノムの右末端まで(途中、28133〜30818位
(E3領域)が欠損している))を含む)のHpaI/MunI制限断
片とを連結してpEco-AM4を構築した。
SrfI/ClaI制限断片と上記pEco-AM4のSrfI/ClaI制限断
片とを連結し、その後アデノウイルスゲノムの右末端の
ClaI認識配列を、オリゴヌクレオチド3(5'−CGTTAATTA
A−3':配列番号9;PacI認識配列を下線で示す)を用い
てライゲ−ションすることにより、PacI認識配列に置き
換えてpAdHM15を得た。また、pAdHM16,17および18も同
様にして構築した(図1A)。
8はE1/E3領域を除く全アデノウイルスゲノムを有してお
り、E1欠損領域にはユニーク部位のI-CeuI、SwaI、およ
びPI-SceI認識配列を、またゲノム32679位と32680位(そ
れぞれ、ファイバータンパク質のトレオニン残基(546
位)およびプロリン残基(547位)に対応している)の間に
は、それぞれCsp45IとClaI(Damでメチル化されている)
(pAdHM15)、ClaI(pAdHM16)、Csp45I(pAdHM17,18)認識配
列を有していた(図1)。それぞれのプラスミドのHIルー
プ領域は、制限酵素認識配列の違いにより、新たに付与
された2〜3アミノ酸が異なっており、目的に応じて使い
分けることができる。
レオチドDNAを有するプラスミドベクターを構築した。
外来ペプチドとして、RGD-4Cペプチド(CDCRGDCFC:配列
番号5)を選択し、このペプチドに対応するオリゴヌク
レオチドDNA(オリゴヌクレオチド4および5)を使用
した。まず、上記で構築したpAdHM15を、Csp45I/ClaI
で切断し、オリゴヌクレオチド4(5'−CGAAGTGTGACTGCC
GCGGAGACTGTTTCTG−3':配列番号10)および5(5'−CG
CAGAAACAGTCTCCGCGGCAGTCACACTT−3':配列番号11)と
連結した。
導入して形質転換し、pAdHM15-RGDを得た(図2)。pAdHM
15,16,17および18について、外来オリゴヌクレオチドの
挿入部位周辺の配列、および各ベクタープラスミドに対
して合成されうるオリゴヌクレオチドを図1(それぞれ
B、C)に示す。
を有する接着型末端を生じ、上記オリゴヌクレオチドを
いずれの方向でも挿入することができるため、陽性プラ
スミド(オリゴヌクレオチドが順方向に挿入されたもの)
がCsp45I認識配列を有し、かつClaI認識配列を含まない
ように、これらのオリゴヌクレオチドを設計した(図
2)。自己連結させたプラスミド、および上記オリゴヌ
クレオチドが逆方向に連結されているプラスミドでは、
いずれもCsp45I認識配列を有していなかった。このた
め、陽性クローンを制限酵素Csp45IおよびClaIの切断パ
ターンの違いにより容易に同定することができた。さら
に、pAdHM15-RGDに挿入されたオリゴヌクレオチドの配
列を遺伝子配列解析によって決定することにより、クロ
ーンが適切な配列を含んでいることを確認した。
zuguchi, M.A.Kay., A simple method for constructin
g E1 and E1/E4 deleted recombinant adenovirus vect
or.Hum.Gene Ther.10(1999)2013-2017)にpCMVβ(クロン
テック社)由来のβガラクトシダーゼ(LacZ)遺伝子を挿
入することにより、pHMCMVLacZ-1を作製した。
15-RGD およびpHMCMVLacZ-1をin vitroライゲーション
により連結し、pAdHM15-RGD-LacZを構築した(図2)。こ
こで、I-CeuIおよびPI-SceIは、それぞれ少なくとも9〜
10、11塩基からなる配列を認識する稀な切断酵素であ
る。
ウイルス調製用プラスミドとして、pAdHM4とpHMCMVLacZ
-1とを連結してpAdHM4-LacZを構築した。上記pAdHM15-R
GD-LacZ とpAdHM4-LacZはいずれも、サイトメガロウイ
ルス(CMV)プロモーター駆動性LacZ遺伝子およびウシ成
長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルを含んでい
た。
LacZ およびpAdHM4-LacZをPacIで消化して線状化し、こ
れをフェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈
殿に供して精製した。線状化したpAdHM15-RGD-LacZ とp
AdHM4-LacZを293細胞にトランスフェクトして各プラス
ミド由来のウイルスを調製し(AdHM15-RGD-LacZ、AdHM4
-LacZ)、CsCl2段階勾配超遠心、次いでCsCl2直線勾配
超遠心に供して精製した。
zel,J.V.J., White,D.O. and Scharff,M.D. (1968). Th
e polypeptides of adenovirus. I. Evidence for mult
ipleprotein components in the virion and a compari
son of types 2, 7A, and 12. Virology. 36, 115-12
5.)に従い、ウイルスDNAを分光光学的に測定した。その
結果、AdHM15-RGD-LacZの力価は5.28×1011 particle t
iter/mL、AdHM4-LacZの力価は2.02×1012 particle tit
er/mLであった。
しくはpAdHM15-RGD-LacZ)またはファイバー中にRGDペプ
チドを有するLacZ発現組換えアデノウイルスDNA(AdHM15
-RGD-LacZ)について、DNA制限分析(制限酵素としてHind
III/PacI、Csp45I/PacI、HindIIIまたはCsp45Iを使用
し、0.7%アガロースゲル上で電気泳動)を行なった。各
レーンは以下の通りである。
A。 レーン7:Csp45I消化したAdHM15-RGD-LacZウイルスDN
A。 結果を図3Aに示す。
または含まないベクタープラスミド、すなわち、pAdHM1
5-RGD、pAdHM15-RGD-LacZ、あるいはウイルスDNA、即
ち、AdHM15-RGD-LacZが、予想された断片(表1)を含
むことが示された(図3)。
子導入効率を、後述の実施例4において解析した。
来ペプチドを付与したアデノウイルスベクターの作製−
2 ベクタープラスミドpAdHM15-RGDの構築方法は、実施例
1に示した通りである。
M.A.Kay., A simple method for constructing E1 and
E1/E4 deleted recombinant adenovirus vector. Hum.
GeneTher.10(1999)2013-2017)にpGL3-Control(プロメガ
社)由来のルシフェラーゼ(Luc)遺伝子を挿入することに
より、pCMVL1を作製した。
ラーゼをコードしたpCMVL1をI-CeuI/PI-SceIで消化
後、in vitroライゲーションにより連結してpAdHM15-RG
D-CMVL2を構築した(図4)。
ウイルス調製用プラスミドとして、pAdHM4とpCMVL1とを
連結してpAdHM4-CMVL2を構築した。上記pAdHM15-RGD-CM
VL2 とpAdHM4-CMVL2はいずれも、CMVプロモーター駆動
性Luc遺伝子およびBGHポリアデニル化シグナルを含んで
いた。
CMVL2およびpAdHM4-CMVL2をPacIで消化して線状化し、
これをフェノール−クロロホルム抽出およびエタノール
沈殿に供して精製した。線状化したpAdHM15-RGD-CMVL2
とpAdHM4-CMVL2を293細胞にトランスフェクトして各プ
ラスミド由来のウイルスを調製し(AdHM15-RGD-L2、AdH
M4-L2)、CsCl2段階勾配超遠心、次いでCsCl2直線勾配
超遠心に供して精製した。得られたベクターAdHM15-RGD
-L2およびAdHM4-L2(対照)の遺伝子導入効率を、後述
の実施例5において解析した。
来ペプチドを付与したアデノウイルスベクターの作製−
3 ベクタープラスミドpAdHM15の構築方法は、実施例1に
示した通りである。外来ペプチドとして、NGR関連ペプ
チド(CNGRCVSGCAGRC:配列番号6)を選択し、このペプ
チドに対応するオリゴヌクレオチドDNA(オリゴヌクレオ
チド6および7)を使用した。
/ClaIで切断し、オリゴヌクレオチド6(5'−CGGCTGCAA
CGGCCGCTGCGTGAGCGGCTGCGCCGGCCGCTG−3':配列番号1
2)および7(5'−CGCAGCGGCCGGCGCAGCCGCTCACGCAGCGGCC
GTTGCAGC−3':配列番号13)と連結した。次いで、連
結した上記DNAを大腸菌DH5株に導入して形質転換し、pA
dHM15-NGRを得た。I-CeuI/PI-SceIで消化したpAdHM15-
NGR およびpCMVL1をin vitroライゲーションにより連結
し、pAdHM15-NGR-CMVL2を構築した。pAdHM15-NGR-CMVL2
は、CMVプロモーター駆動性Luc遺伝子およびBGHポリア
デニル化シグナルを含んでいた。
Iで消化して線状化し、これをフェノール−クロロホル
ム抽出およびエタノール沈殿に供して精製した。線状化
したpAdHM15-NGR-CMVL2を293細胞にトランスフェクトし
てプラスミド由来のウイルス(AdHM15-NGR-L2)を調製
し、CsCl2段階勾配超遠心、次いでCsCl2直線勾配超遠心
に供して精製した。得られたベクターAdHM15-NGR-L2の
遺伝子導入効率を、後述の実施例5において解析した。
したRGD-4Cペプチドの機能を調べるために、AdHM15-RGD
-LacZおよびAdHM4-LacZ(対照)の遺伝子導入効率を、CAR
の発現を有しアデノウイルスに感受性のSK-HEP1細胞
と、非感受性(CARの発現がないため)のCHO細胞を用い
て解析した。ここで、SK-HEP1細胞はヒト肝臓血管内皮
細胞に由来し、Dr.Mark A.Kay(Stanford Univ.)より供
与されたものである。またCHO細胞(chinese hamster ov
ary cell)は、Dr.Tadanori Mayumi(真弓忠範博士,大阪
大学)より供与されたものである。
15-RGD-LacZ とAdHM4-LacZのベクター粒子1200個/細胞
および8000個/細胞のスケールで1.5時間形質転換し
た。2日後、LacZタンパク質の発現(すなわちLacZ酵素
活性)を、発光β-ガラクトシダーゼ検出キット(クロン
テック社)を用いた発光アッセイおよびX-gal(5-ブロモ-
4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)染色
により確認した(図5)。LacZ酵素活性の程度は、キット
に付属の標準物質を指標として評価した。
acZ(RGDファイバー)とAdHM4-LacZ(野生型ファイバー)で
の形質転換後に検出されたLacZ酵素活性の差は2倍程度
であったが(図5A)、CHO細胞においてはその差は40
倍にも達し、AdHM15-RGD-LacZで形質転換した方がその
活性が高かった。また、AdHM15-RGD-LacZおよびAdHM4-L
acZで形質転換したCHO細胞における X-gal陽性細胞の割
合は、上記発光アッセイの結果と非常によく相関してい
た(図5B)。
るAdHM15-RGD-LacZ がRGD-CAR結合経由だけでなくRGD-
インテグリン結合経由でも感染し、遺伝子を効率的に導
入できることが確認された(ペントンベースのRGDモチ
ーフとインテグリンとの結合は、感染の第一ステップと
しては働かないことが知られている)。
ンのどちらを経由しても感染できるため、SK-HEP1細胞
ではAdHM4-LacZに比べやや遺伝子導入効率が高くなった
ものと考えられる。従って、ファイバーにRGD-4Cペプチ
ドを付与することにより、CHO細胞等のCAR欠損細胞に効
率的に遺伝子を導入できることが示された。
たRGD-4Cペプチドおよび、実施例3で作製したベクター
AdHM15-NGR-L2中に挿入したNGR関連ペプチドの機能を調
べるために、AdHM15-RGD-L2、AdHM15-NGR-L2およびAdHM
4-L2(対照)の遺伝子導入効率を、CARの発現を有しアデ
ノウイルスに感受性のSK-HEP1細胞と、非感受性(CARの
発現がないため)のLN444細胞を用いて解析した。ここ
で、LN444細胞はヒトグリオーマ細胞であり、Dr.Mitsuh
iro Tada(多田光宏博士,北海道大学)より供与された
ものであり、その細胞表面にはRGDペプチドのターゲッ
トインテグリン(αvβ3あるいはαvβ5)およびアミノペ
プチダーゼN/CD13を発現している。
れ5×104個を、AdHM4-L2、AdHM15-RGD-L2およびAdHM15-
NGR-L2のベクター粒子100個/細胞、300個/細胞、1000
個/細胞および3000個/細胞のスケールで1.5時間形質
転換した。2日後、ルシフェラーゼ(Luc)タンパク質の
発現(すなわちLuc酵素活性)を、ルシフェラーゼレポー
ターアッセイキット(クロンテック社)を用いて確認した
(図6)。
2 (NGRファイバー;▲)とAdHM4-L2 (対照:野生型ファ
イバー;○)での形質転換後に検出されたLuc酵素活性の
差は2倍程度であったが、AdHM15-RGD-L2(RGDファイバ
ー;●)においてはその差は10倍に達し、AdHM15-RGD-L2
で形質転換した方がその活性が高かった(図6A)。LN44
4細胞においては、AdHM15-NGR-L2(▲)とAdHM4-L2(対
照;○)での形質転換後に検出されたLuc酵素活性の差は
100倍に達し、AdHM15-NGR-L2で形質転換した方がその活
性が高かった。また、AdHM15-RGD-L2(●)においてはそ
の差は約1000倍に達した(図6B)。尚、図6横軸中の
「VP」は、vector particles(ベクター粒子数)を示
す。
るAdHM15-RGD-L2が、RGD-CAR結合経由だけでなくRGD-イ
ンテグリン結合経由でも感染し、遺伝子を効率的に導入
できることが再度確認された。さらに、NGRファイバー
を有するAdHM15-NGR-L2がRGD-CAR結合経由だけでなくNG
R-CD13結合経由でも感染し、遺伝子を効率的に導入でき
ることが確認された。従って、ファイバーにNGR関連ペ
プチドを付与することにより、LN444細胞等のCD13発現
細胞に効率的に遺伝子を導入できることが示された。
roライゲーションにより、任意のペプチドをファイバー
HIループコード遺伝子配列に導入することができる。従
って、遺伝子導入効率の高いアデノウイルスベクターを
簡易な操作により作製することができる。
タープラスミドpAdHM15,16,17および18は、E1/E3欠損ア
デノウイルスゲノムDNAを含み、このゲノムDNAの32679
位と32680位との間にCsp45Iおよび/またはClaI部位を
含み、E1欠損領域にI-CeuI/SwaI/PI-SceI部位を含む。
(B)各ベクタープラスミドについて、外来オリゴヌク
レオチド挿入部位周辺の配列を示す。外来オリゴヌクレ
オチドはイタリック体で示す。(C)各プラスミドベク
ター用に合成するオリゴヌクレオチドを示す。pAdHM15
については、オリゴヌクレオチドが挿入された陽性のク
ローンが、Csp45Iでは切断されるがClaIでは切断されな
いように設計した時のオリゴヌクレオチドが示されてい
る。
含有し、E1欠損領域にLacZ発現カセットを含有するアデ
ノウイルスベクターの構築計画を示す。
(A)ベクタープラスミド(pAdHM15-RGDもしくはpAdHM1
5-RGD-LacZ)またはファイバー中にRGDペプチドを有する
LacZ発現組換えアデノウイルスDNA(AdHM15-RGD-LacZ)を
HindIII/PacI、Csp45I/PacI、HindIIIまたはCsp45Iで消
化し、0.7%アガロースゲル上で電位泳動した結果であ
る。 レーン1:1kb DNAラダーマーカー。 レーン2:HindIII/PacI消化したpAdHM15-RGD。 レーン3:Csp45I/PacI消化したpAdHM15-RGD。 レーン4:HindIII/PacI消化したpAdHM15-RGD-LacZ。 レーン5:Csp45I/PacI消化したpAdHM15-RGD-LacZ。 レーン6:HindIII消化したAdHM15-RGD-LacZウイルスDN
A。 レーン7:Csp45I消化したAdHM15-RGD-LacZウイルスDN
A。 (B)組換えアデノウイルスベクター(AdHM15-RGD-Lac
Z)のHindIIIとCsp45I制限地図を示す。断片のサイズ(k
b)をゲノムの上下に示す。CMVはサイトメガロウイルス
中間-初期プロモーター/エンハンサーを表わし、P(A)
はウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを表わす。
含有し、E1欠損領域にLuc発現カセットを含有するアデ
ノウイルスベクターの構築計画を示す。
された培養細胞におけるLacZ発現を比較した図である。
(A)LacZ発現を発光アッセイにより測定した結果。図
中(a)、(b)はそれぞれ、ベクター粒子を(a) 1200個
/細胞、(b)8000個/細胞用いた場合の結果を示す。
データは3回ずつ行なった試験データの平均値±S.D.で
示す。(B)CHO細胞(ベクター粒子1200個/細胞)に
おけるX-gal染色の結果。(a)はAdHM4-LacZ、(b)
はAdHM15-RGD-LacZについての結果である。
により形質導入された培養細胞におけるLuc発現を比較
した図である。それぞれAdHM4-L2は白丸(○)、AdHM15
-RGD-L2は黒丸(●)、AdHM15-NGR-L2は黒三角(▲)で
示す。(A)SK HEP-1細胞におけるLuc発現を測定した
結果。(B)LN444細胞におけるLuc発現を測定した結
果。データは4回ずつ行なった試験データの平均値±S.
D.で示す。
Claims (8)
- 【請求項1】 ファイバーのHIループコード遺伝子配列
に、ユニークな制限酵素認識配列を挿入し、該遺伝子配
列中に外来ペプチドコードDNAを導入することを特徴と
する、ファイバーミュータントアデノウイルスベクター
の作製方法。 - 【請求項2】 ユニークな制限酵素がCsp45Iおよび/ま
たはClaIである、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 外来ペプチドが腫瘍血管内皮細胞に対し
て指向性を有するペプチドである、請求項1または2記
載の方法。 - 【請求項4】 腫瘍血管内皮細胞に対して指向性を有す
るペプチドがトリペプチド:R-G-Dを含むペプチドであ
る、請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 腫瘍血管内皮細胞に対して指向性を有す
るペプチドがトリペプチド:N-G-Rを含むペプチドであ
る、請求項3記載の方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方
法により作製されるファイバーミュータントアデノウイ
ルスベクター。 - 【請求項7】 ファイバーのHIループコード遺伝子配列
に、ユニークな制限酵素部位を有することを特徴とす
る、アデノウイルスベクター。 - 【請求項8】 ユニークな制限酵素がCsp45Iおよび/ま
たはClaIである、請求項7記載のアデノウイルスベクタ
ー。
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