JP2002266862A - 軸受及びその製造方法 - Google Patents

軸受及びその製造方法

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JP2002266862A
JP2002266862A JP2001070818A JP2001070818A JP2002266862A JP 2002266862 A JP2002266862 A JP 2002266862A JP 2001070818 A JP2001070818 A JP 2001070818A JP 2001070818 A JP2001070818 A JP 2001070818A JP 2002266862 A JP2002266862 A JP 2002266862A
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die
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JP2001070818A
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Tetsuo Sekimoto
徹雄 関本
Isao Tsuchida
功 土田
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SHIYOORAITO KK
Mitsubishi Materials Corp
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SHIYOORAITO KK
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転軸の支持を良好に行うことができ、かつ
製造コストの低い軸受、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 粉末成形により所定の形状に成形された
粉末成形体を焼結することで、略円筒形状をなし、一端
11aには内周側へ張り出す張り出し部11cが形成さ
れ、他端11bの端面には内周縁に沿って突条11dが
形成される中間体11(円筒体)を製造する。この中間
体11において張り出し部11cが形成される端部を軸
受部とする。さらに、この中間体11の突条11dを構
成する部分を、突条11dが形成される端面内に押し込
んで該端面近傍部分を構成する材料を中間体11の内周
側にはみ出させて、中間体11の端部に、内周面が中間
体11の内周側に張り出す軸受部を形成して、両端に軸
受部を有する軸受を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば圧粉成形し
た中間体を焼結することによって製造される軸受及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に小型モータ等の回転軸を軸受によ
って支持する際には、回転軸を安定して支持するため
に、軸受による回転軸の長手方向の支持範囲を広く取る
ことが好ましい。一方で、回転軸の回転時における摩擦
抵抗を少なくするために、軸受と回転軸との接触面積は
小さくすることが好ましい。このような相反する条件を
満たすために、円筒体の両端部の内周面をそれぞれ他の
部分よりも内周側に張り出して設け、この両端部を、内
周面によって回転軸を支持する軸受部とした構成の軸受
が用いられる。この軸受は、回転軸に対しては両軸受部
の内周面のみで接触していて他の部分では接触しないの
で、回転軸との接触面積が低減されている。また、これ
ら軸受部同士は互いに離間して設けられているので、回
転軸との接触面積を少なくしつつ、回転軸の長手方向の
支持範囲を広く取ることができる。さらに、この軸受で
は、両軸受部が一体的に設けられているので、単に二つ
の軸受を互いに離間して設けた場合とは異なり、両軸受
部の軸線を一致させる調整作業が不要となる。
【0003】このような軸受は、例えば円筒体において
軸受部をなす両端部を残して他の部分の内周面を機械加
工によって削り取ることで製造されるほか、粉末成形に
よっても製造される。粉末成形による軸受の製造方法と
しては、以下のような製造方法がある。例えば、特公平
8−6124号公報に記載の焼結軸受材の製造法では、
まず、図13(a)に示すように、比較的小径部31a
と比較的大径部31bとの間に段部31cを形成したコ
ア31と金型32との間に原料粉を挿入してから、上下
のパンチ33、33aをコア31に沿って操作し圧粉成
形して圧粉成形体を得る。このようにして得られた圧粉
成形体は、比較的大径部31bによって比較的長い大径
の内径面34aが形成され、段部31cにより比較的小
径部31aで成形された部分が小径孔34bを有する摺
動面として形成される。そして、この圧粉成形体は焼結
処理を受けて焼結体34とされる。次いで、この焼結体
34はサイジング処理される。このサイジングに当たっ
ては、図13(b)に示すように、前記の比較的小径部
31aと同径状態のサイジングコア36aとガイドコア
36bとを用い、また金型37には絞り部38を設け、
この金型37の絞り部38に向け上記焼結体34を装入
し、下ガイドコア36bに沿って操作される小径の下パ
ンチ39bとサイジングコア36aにそって圧下される
上パンチ39aにより矯正絞り成形して目的の製品40
としている。この製品40は、一端面側に比較的大径部
31bで形成された圧粉成形軸受面40bを有し、しか
もその他端面側にはサイジングコア36aに対し金型3
7の絞り部38によって成形された絞り成形軸受面40
aが形成されている。
【0004】また、粉末成形による他の製造方法を以下
に示す。特許第2762037号に記載の内径中間空洞
状軸受の製造方法では、上部を大径部41aとなし、下
部にガイドコア42aを有する下パンチ42を設けたダ
イ41に金属粉末を充填し、段付きコア44を有する上
パンチ46を図14(a)に示すように圧下して大径部
41aにおいて段部47aの形成された圧粉成形による
中間成形体47を得る。この中間成形体47には、大径
内孔47bと小径内孔47cとが形成されている。次い
で、この中間成形体47は、サイジングダイ41bにお
ける下パンチ42b上に反転してセットされ、下パンチ
42bのガイドコア42cによって位置決めされた状態
でコア46cに案内されたサイジング上パンチ46bの
圧下を受けることで、図14(b)に示すように、段部
47aがダイ41bのガイド面41cに案内されて絞り
込まれてダイ41bに圧入矯正される。そして、矯正後
の中間成形体47を焼結することで、空洞状部49の上
下に軸材接摺部50、51が形成され、その外面はスト
レート面52とされた軸受53を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のように
円筒体を切削加工して軸受を製造する場合には、切削加
工に手間がかかるため製造コストが高くなってしまう。
また、あまり小型の軸受を製造することはできなかっ
た。粉末成形による軸受の製造方法のうち、図13に示
す前者の製造方法では、製品となる前の焼結体34の一
端を矯正により絞るので、成形コストが高くなって軸受
の製造コストが高くなってしまう。さらに、軸受の外径
が両端で異なるため、軸受を軸受ハウジングに装着した
際に軸受の支持が不安定になりやすい。これに対し、図
14に示す後者の製造方法では、軸受の外周面は略同一
径に形成されるので、軸受ハウジングによる軸受の支持
を比較的良好に行うことができる。しかし、前者の製造
方法と同様、中間成形体47の一端を矯正により絞るの
で、成形コストの増加は避けられなかった。また、これ
ら前者、後者の軸受の製造方法のいずれにおいても、製
品となる前の焼結体または中間成形体を形成する段階で
複雑な形状のダイを用いる必要があるため、軸受の製造
コストがさらに高くなってしまう。さらに、製品となる
前の焼結体または中間成形体の一端を絞るという矯正方
法のため、製品となる前の焼結体または中間成形体にあ
る程度の長さが求められることとなり、全長の短い軸
受、例えば全長が5mm以下の軸受を製造することは困
難であった。このほか、このような形状の製品となる前
の焼結体または中間成形体は、粉末成形後の焼結時に変
形が生じやすいということも懸念される。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、回転軸の支持を良好に行うことがで
き、かつ製造コストの低い軸受、及びその製造方法を提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に関わる軸受は、原料粉末を成形した後に焼
結することによって形成される軸受であって、端面に突
起が形成される円筒体において、前記突起を該突起が形
成される端面内に押し込んで該端面近傍部分を構成する
材料を前記円筒体の内周側にはみ出させて、該円筒体の
端部に、内周面が前記円筒体の内周側に張り出す軸受部
を形成してなることを特徴としている。このように構成
される軸受においては、円筒体の端面の突起をこの端面
内に押し込むことによってこの端面近傍を構成する材料
を円筒体の内周面側にはみ出させ、このはみ出した材料
によって軸受部が形成されている。すなわち、円筒体の
端面に単にコイニングを施すだけで軸受を得ることがで
きるので、成形コストが低くなって軸受の製造コストを
低減することができる。また、このように単に円筒体の
端面にコイニングを施すことで軸受を得られるので、円
筒体として全長の短い円筒体を用いることができ、全長
の短い軸受とすることができる。さらに、軸受の外径を
両端で同一とすることができ、軸受を軸受ハウジングに
装着した際に軸受の支持を安定させることができる。こ
こで、円筒体の端面に形成される突起の形状は任意であ
って、例えば円筒体の端面の周方向に連続した突条によ
って構成するほか、複数の突起をそれぞれ円筒体の周方
向の適宜位置に配置した構成としてもよい。また、円筒
体の端面において突起の径方向の位置は任意とすること
ができる。
【0008】また、本発明に関わる軸受の製造方法にお
いては、粉末成形による軸受の製造方法であって、原料
粉末を成形した後に焼結することで、端面に突起が形成
される略円筒形状の中間体を形成し、この中間体におい
て前記突起を該突起が形成される端面内に押し込んで該
端面近傍部分を構成する材料を前記中間体の内周側には
み出させて、該中間体の端部に、内周面が前記中間体の
内周側に張り出す軸受部を形成することを特徴としてい
る。この軸受の製造方法においては、中間体に矯正を施
して、中間体の端面の突起をこの端面内に押し込むこと
によってこの端面近傍を構成する材料を中間体の内周面
側にはみ出させ、このはみ出した材料によって軸受部が
形成される。すなわち、中間体に単なるコイニングを施
すことで、中間体に軸受部を形成して、両端に軸受部を
有する軸受を製造することができ、成形コストが低くな
って軸受の製造コストを低減することができる。また、
このように中間体に単なるコイニングを施すことで軸受
を得られるので、中間体として全長の短い中間体を用い
ることができ、全長の短い軸受も容易に製造することが
できる。さらに、軸受の外径を両端で同一とすることが
でき、軸受を軸受ハウジングに装着した際に軸受の支持
を安定させることができる。そして、中間体を形成する
際にごく単純な形状のダイを用いることができるので、
より一層製造コストを低減することができる。また、中
間体はごく単純な形状であるため、粉末成形後の焼結時
に変形しにくく、矯正に手間がかからず、成形コストを
低減させることができる。ここで、中間体の端面に形成
される突起の形状は任意であって、例えば中間体の端面
の周方向に連続した突条によって構成するほか、複数の
突起をそれぞれ中間体の周方向の適宜位置に配置した構
成としてもよい。また、中間体の端面において突起の径
方向の位置は任意とすることができる。さらに、上記の
軸受の製造方法においては、例えば中間体として両端面
に前記突起が形成される中間体を用い、外周面に長手方
向に沿って延びる複数の突条が周方向に互いに離間させ
て形成されたコアロッドを前記中間体に挿通し、この状
態で、この中間体の両端面において前記突起を端面内に
押し込んで該端面近傍部分を構成する材料を前記中間体
の内周側にはみ出させて、該中間体の両端部に、内周面
が前記中間体の内周側に張り出す軸受部を形成するよう
にしてもよい。この場合には、コアロッドの突条の外周
面によって中間体の内周面が支持され、この状態で中間
体の両端面にコイニングが施されることとなる。そし
て、コイニングによってこれら突起がそれぞれ端面内に
押し込まれると、両端面近傍を構成する材料が中間体の
内周面側に押し出されて、中間体の内周面とコアロッド
の突条との間に形成される空間内にはみ出すともにこの
部分に突条を含めたコアロッドの外周面の形状が転写さ
れる。このようにして中間体の両端で内周面側に材料を
はみ出させて軸受部を形成することで、両端に軸受部が
形成された軸受が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】〔第一の実施の形態〕以下、本発
明の第一の実施の形態について、図面を参照しながら説
明する。図1は本実施形態における軸受の形状を示す縦
断面図である。なお、本実施の形態で示す軸受は、所定
の組成に調合された金属微粉末(原料粉末)を粉末成形
した後に焼結してなる多孔質の軸受であって、例えば焼
結された後に潤滑油が含浸されて、軸受からしみ出す潤
滑油によって回転軸と軸受との間の潤滑を行う含油軸受
とされるものである。図1に示すように、本実施形態の
軸受1は、略円筒形状をなす軸受本体2において、両端
2a、2bに、それぞれ内周面が軸受本体2の内周側に
張り出す軸受部3を形成したものである。この軸受1
は、回転軸に対しては両軸受部3の内周面のみで接触
し、他の部分では接触しないので、回転軸との接触面積
が低減されている。また、これら軸受部3同士は互いに
離間して設けられており、回転軸との接触面積を少なく
しつつ、回転軸の長手方向の支持範囲を広く取ってい
る。さらに、この軸受1では、両軸受部3は、内径が同
一寸法とされるとともに、軸線を一致させた状態で一体
的に設けられている。
【0010】この軸受1は、以下の製造方法によって製
造されるものである。図2、図3、図4は、本実施形態
に関わる軸受1の製造工程を示す図である。軸受1は、
まず、金属微粉末を粉末成形によって所定形状に成形し
(粉末成形工程)、これによって得られた粉末成形体1
0を焼結することによって軸受本体2の原形となる中間
体11(図3(a)参照)を製造し、矯正工程において
この中間体11に矯正仕上げ加工を施して軸受本体2
(図3(b)参照)とすることによって製造されるもの
である。中間体11の製造工程のうち、粉末成形工程に
おいては、図2に示すように、内面が単純な円筒面形状
をなす第一のダイ12と、先端が縮径されて段部13a
が形成される丸棒状の段付きコアロッド13と、先端面
が単純な略円環形状をなす第一の上パンチ14と、先端
面が略円環形状をなすとともに、内周縁に沿って凹溝1
6が形成される第一の下パンチ15とが用いられる。こ
れら第一のダイ12、段付きコアロッド13、第一の上
パンチ14、第一の下パンチ15は、それぞれ図示せぬ
駆動装置によって駆動されて第一のダイ12の上下方向
に移動可能とされている。ここで、本実施の形態では、
第一のダイ12の内径d1を6mm、段付きコアロッド
13の大径部の外径d2を2.1mm、小径部の外径d
3を2mmとしている。また、第一の下パンチ15に形
成される凹溝16の深さH1を0.5mm、凹溝16の
底面の外径d4は4mmとしている。
【0011】以下に、中間体11の製造工程を説明す
る。粉末成形工程では、まず、図2(a)に示すよう
に、第一のダイ12の下方から第一の下パンチ15を挿
入し、第一の下パンチ15に下方から段付きコアロッド
13を挿入し、この状態で第一のダイ12内に上方から
金属微粉末Pを充填する。続いて、第一のダイ12の上
方から第一のダイ12内に第一の上パンチ14を挿入
し、さらに第一の上パンチ14を押し下げて、第一のダ
イ12内で金属微粉末Pを圧縮する。このとき、段付き
コアロッド13の段部13aと第一の上パンチ14の先
端面は距離D1(本実施形態では2mm)だけ離間させ
ておく。また、第一の上パンチ14の先端面と第一の下
パンチ15の先端面とは、距離D2(本実施形態では6
mm)だけ離間させている。このようにして第一のダイ
12内で金属微粉末Pを圧縮することで、図2(b)に
示すように、金属微粉末Pに、第一のダイ12の内周面
の形状、段付きコアロッド13の段部13aを含む外周
面の形状、第一の上パンチ14の先端面の形状、及び第
一の下パンチ15の凹溝16を含む先端面の形状を転写
して粉末成形体10を得る。そして、この粉末成形体1
0を焼結することによって、中間体11を得る。このよ
うにして製造された中間体11は、図3(a)に示すよ
うに、略円筒形状をなし、一端11aには内周側へ張り
出す第一の張り出し部11cが形成され、他端11bの
端面には内周縁に沿って突条11dが形成されている。
【0012】この中間体11の矯正仕上げ加工には、図
3に示すように、内面が単純な円筒面形状をなす第二の
ダイ22、中間体11の第一の張り出し部11cの内径
とほぼ同じ外径の丸棒状の第二のコアロッド23、先端
面が単純な略円環形状をなす第二の上パンチ24、及び
先端面が単純な略円環形状をなす第二の下パンチ25が
用いられる。これら第二のダイ22、第二のコアロッド
23、第二の上パンチ24、第二の下パンチ25は、そ
れぞれ図示せぬ駆動装置によって駆動されて第二のダイ
22の上下方向に移動可能とされている。ここで、本実
施の形態では、第二のダイ22の内径d5は第一のダイ
12の内径d1と同じく6mmとしており、第二のコア
ロッド23の外径d6は段付きコアロッド13の小径部
の外径d3と同じく2mmとしている。
【0013】中間体11の矯正仕上げ加工は、以下のよ
うにして行われる。まず、図3(a)に示すように、第
二のダイ22の下方から第二の下パンチ25を挿入し、
第二の下パンチ25に下方から第二のコアロッド23を
挿入し、中間体11を、第二のコアロッド23を挿入し
た状態で第二の下パンチ25の先端に載置し、中間体1
1の上方に第二の上パンチ24を設置する。そして、第
二の上パンチ24、第二の下パンチ25によってそれぞ
れ中間体11の上下の端面を支持した状態で、第二のダ
イ22内に上方から中間体11を挿入する。ここで、中
間体11を挿入する向きはどちらでもよいが、図3で
は、突条11dが形成される他端11bを下側に向けた
状態で第二のダイ22内に挿入した場合を示している。
【0014】続いて、第二のダイ22内で第二の下パン
チ25の下降を止め、この状態でさらに第二の上パンチ
24を押し下げることで、第二のダイ22内で中間体1
1に両端11a、11b側から圧縮力を付与する。この
とき、第二の上パンチ24の先端面と第二の下パンチ2
5の先端面とは、距離D3(本実施形態では6mm)だ
け離間させている。これによって、図3(b)及び図4
に示すように、中間体11の他端11bに形成される突
条11dを構成する材料は、第二の下パンチ25によっ
て押し潰されて端面内に押し込まれ、これに伴ってこの
端面近傍部分を構成する材料が中間体11の内周側には
み出すこととなる。このようにして中間体11の端部に
おいて内周側にはみ出した材料は、第二の張り出し部1
1eを形成するとともに、その内周面に第二のコアロッ
ド23の外周面の形状が転写される。
【0015】また、この加工の際に、中間体11の一端
11aに形成される第一の張り出し部11cも塑性変形
して、その内周面に第二のコアロッド23の外周面の形
状が転写されるので、第一、第二の張り出し部11c、
11eの内周面は、同径かつ同軸に形成される。ここ
で、本実施の形態では、第一の張り出し部11cの内周
面の軸方向の幅D4は2mm、第二の張り出し部11e
の内周面の軸方向の幅D5は1.5mmである。上記の
ようにして中間体11に矯正仕上げ加工を施して、両端
に軸受部3が形成される軸受本体2を製造することで、
軸受1を得る。
【0016】この軸受の製造方法においては、中間体1
1において、突条11dを形成する部分を中間体11の
端面に押し込むことによって軸受部3が形成される。す
なわち、中間体11に単なるコイニングを施すことで、
中間体11に軸受部3を形成して、両端に軸受部3を有
する軸受1を製造することができる。
【0017】このような軸受の製造方法によれば、中間
体11に単なるコイニングを施すことで軸受1を得るこ
とができるので、成形コストが低くなって軸受1の製造
コストを低減することができる。また、このように中間
体11に単なるコイニングを施すことで軸受1を得られ
るので、中間体11として全長の短い中間体を用いるこ
とができ、全長の短い軸受、例えば全長が5mm以下の
軸受も容易に製造することができる。さらに、軸受1の
外径を両端で同一とすることができ、軸受1を軸受ハウ
ジングに装着した際に軸受1の支持を安定させることが
できる。そして、中間体11の原形となる粉末成形体1
0を形成する際にごく単純な形状のダイを用いることが
できるので、より一層製造コストを低減することができ
る。また、中間体11はごく単純な形状であるため、粉
末成形後の焼結時に変形しにくく、矯正に手間がかから
ず、成形コストを低減させることができる。
【0018】なお、上記実施の形態では、中間体11の
他端11bの端面に、内周縁に沿って突条11dを形成
した例を示したが、これに限られることなく、例えば図
5の平面図に示すように、突条11dの代わりに、複数
の突起11fをそれぞれ中間体11の周方向の適宜位置
に配置した構成としてもよい。この場合、中間体11の
製造に用いる第一の下パンチ15には、凹溝16の代わ
りに、突起11dを形成するための凹部が周方向に離間
させて複数形成されることとなる。ここで、中間体11
の端面において突条11d及び突起11fは、必ずしも
中間体11の内周縁に沿って設ける必要はなく、その径
方向の位置は任意とすることができる。次に、この中間
体11の端面に前述したようにコイニングを施して、突
起11fを形成する部分を中間体11の端面内に押し込
む。これによって中間体11の端部に、内周面に第二の
コアロッド23の外周面の形状が転写された第二の張り
出し部11eを形成し、軸受2の両端に軸受部3を有す
る軸受1を得る。ここで、図5では、第二の張り出し部
11eが軸受本体2の周方向に複数形成される例を示し
ているが、第二の張り出し部11eの内周面には第二の
コアロッド23の外周面の形状が転写されているので軸
受部としては機能に遜色がない。また、中間体11に設
けた突起11fの大きさ、形状、配置を適切に設定し、
コイニング時に中間体11の端部近傍部分が内周側には
み出る量を十分確保することで、第二の張り出し部11
eを全周にわたって内周側に張り出させることも可能で
ある。
【0019】〔第二の実施の形態〕ここで、上記第一の
実施の形態では、中間体11の原形となる粉末成形体1
0を成形する際に用いる第一の下パンチ15を、単一の
パンチによって構成した例を示したが、これに限られる
ことなく、例えば図6に示すように、第一の下パンチ1
5を、内周側に配置されて先端面が凹溝16の底面を形
成する第一の下インナパンチ15aと、外周側に配置さ
れて先端の内周面が凹溝16の側壁部を形成する第一の
下アウタパンチ15bとによって構成してもよい。これ
ら第一の下インナパンチ15a、第一の下アウタパンチ
15bは、それぞれ図示せぬ駆動装置によって駆動され
て第一のダイ12の上下方向に移動可能とされる。本実
施の形態では、第一のダイ12の内径d1を8mm、段
付きコアロッド13の大径部の外径d2を3.1mm、
小径部の外径d3を3mmとしている。また、第一の下
アウタパンチ15bの内径d7を6mmとしている。こ
の場合、粉末成形体10を成形する粉末成形工程では、
まず、図6(a)に示すように、第一のダイ12の下方
から第一の下インナパンチ15a、第一の下アウタパン
チ15bとを挿入し、第一の下インナパンチ15aに下
方から段付きコアロッド13を挿入する。このとき、第
一の下インナパンチ15aは、第一の下アウタパンチ1
5bの先端面に対する先端面の位置を、金属微粉末Pの
圧縮完了時点よりも所定量下方に位置させられており、
金型12内に、中間体11の突条11dを構成するのに
要する所定の充填深さを確保している。この状態で第一
のダイ12内に上方から金属微粉末Pを充填し、第一の
ダイ12の上方から第一のダイ12内に第一の上パンチ
14を挿入し、さらに第一の上パンチ14を押し下げ
て、第一のダイ12内で金属微粉末Pを圧縮する。この
とき、第一の下インナパンチ15aは所定量上昇させら
れて、第一の下アウタパンチ15bとともに所定深さH
2(本実施形態では1mm)の凹溝16を形成する。こ
のとき、段付きコアロッド13の段部13aと第一の上
パンチ14の先端面は距離D1(本実施形態では3m
m)だけ離間させておく。また、第一の上パンチ14の
先端面と第一の下アウタパンチ15bの先端面とは、距
離D2(本実施形態では12mm)だけ離間させてい
る。このようにして、第一のダイ12内で金属微粉末P
を圧縮することで、図6(b)に示すように、金属微粉
末Pに、第一のダイ12の内周面の形状、段付きコアロ
ッド13の段部13aを含む外周面の形状、第一の上パ
ンチ14の先端面の形状、及び第一の下インナパンチ1
5a、第一の下アウタパンチ15bの凹溝16となる部
分を含む先端面の形状を転写して粉末成形体10を得
る。このようにして得た粉末成形体10は、焼結されて
中間体とされ、この中間体に第一の実施の形態と同様に
して矯正仕上げ加工を施して、両端に軸受部3が形成さ
れる軸受本体2とすることで、軸受1を得る。ここで、
本実施の形態では、図示しないが、第二のダイ22の内
径d5は第一のダイ12の内径d1と同じく8mmとし
ており、第二のコアロッド23の外径d6は段付きコア
ロッド13の小径部の外径d3と同じく3mmとしてい
る。また、第二の第22内で中間体11に圧縮力を圧縮
力を付与した状態では、第二の上パンチ24の先端面と
第二の下パンチ25の先端面とは、距離D3(本実施形
態では12mm)だけ離間させている。また、本実施の
形態では、第二の張り出し部11eの内周面の軸方向の
幅D4は2mmである。
【0020】〔第三の実施の形態〕以下、本発明の第三
の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図7は本実施形態における軸受の形状を示す平面図であ
る。本実施の形態に示す軸受61は、軸受本体62の両
端62a、62bに、それぞれ内周面が軸受本体262
の内周側に張り出す軸受部63を形成したものであっ
て、第一、第二の実施の形態で示した軸受1とは異な
り、中間体の両端面にコイニングを施すことによって両
端62a、62bの両方の軸受部63を形成するもので
ある(図7では一端62a側のみ図示している)。
【0021】この軸受61は、以下の製造方法によって
製造されるものである。図8、図9、図10は、本実施
形態に関わる軸受61の製造工程を示す図である。軸受
61は、まず、金属微粉末を粉末成形によって所定形状
に成形し(粉末成形工程)、これによって得られた粉末
成形体70を焼結することによって軸受本体62の原形
となる中間体71(図9(a)参照)を製造し、矯正工
程においてこの中間体71に矯正仕上げ加工を施して軸
受本体62とすることによって製造されるものである。
中間体71の製造工程のうち、粉末成形工程において
は、図8に示すように、内面が単純な円筒面形状をなす
第三のダイ72と、丸棒状の第三のコアロッド73と、
先端面が略円環形状をなすとともに、複数の凹部76が
周方向に離間して形成される第三の上パンチ74と、先
端面が略円環形状をなすとともに、複数の凹部76が周
方向に離間して形成される第三の下パンチ75とが用い
られる。これら第三のダイ72、第三のコアロッド7
3、第三の上パンチ74、第三の下パンチ75は、それ
ぞれ図示せぬ駆動装置によって駆動されて第三のダイ7
2の上下方向に移動可能とされている。ここで、本実施
の形態では、第三のダイ72の内径d11を8mm、第
三のコアロッド73の外径d12を3mmとしている。
また、第三の上パンチ74の先端面には、その内周縁か
ら径方向に距離D6(本実施形態では0.5mm)だけ
離間した位置に凹部76が周方向に互いに離間して複数
形成されている。ここで、第三の上パンチ74では、凹
部76の深さH3は1.0mm、凹部76の径方向の幅
W1は0.5mmとされている。第三の下パンチ75の
先端面には、その内周縁から径方向に距離D7(本実施
形態では0.5mm)離間した位置に、凹部76が周方
向に互いに離間して複数形成されている。ここで、第三
の下パンチ75では、凹部76の深さH4は0.5m
m、凹部76の径方向の幅W2は0.5mmとされてい
る。
【0022】以下に、中間体71の製造工程を説明す
る。粉末成形工程では、まず、図8(a)に示すよう
に、第三のダイ72の下方から第三の下パンチ75を挿
入し、第三の下パンチ75に下方から第三のコアロッド
73を挿入し、この状態で第三のダイ72内に上方から
金属微粉末Pを充填する。続いて、第三のダイ72の上
方から第三のダイ72内に第三の上パンチ74を挿入
し、さらに第三の上パンチ74を押し下げて、第三のダ
イ72内で金属微粉末Pを圧縮する。このとき、第三の
上パンチ74の先端面と第三の下パンチ75の先端面と
は、距離D8(本実施形態では10mm)だけ離間させ
ている。このようにして第三のダイ72内で金属微粉末
Pを圧縮することで、図8(b)に示すように、金属微
粉末Pに、第三のダイ72の内周面の形状、第三のコア
ロッド73の外周面の形状、第三の上パンチ74の凹部
76を含む先端面の形状、及び第三の下パンチ75の凹
部76を含む先端面の形状を転写して粉末成形体70を
得る。そして、この粉末成形体70を焼結することによ
って、中間体71を得る。このようにして製造された中
間体71は、図9(a)に示すように、略円筒形状をな
し、一端71aには複数の突起71cが周方向に沿って
互いに離間させて形成され、他端71bの端面にも複数
の突起71cが周方向に沿って互いに離間させて形成さ
れている。
【0023】この中間体71の矯正仕上げ加工には、図
9に示すように、内面が単純な円筒面形状をなす第四の
ダイ82、外周面に長手方向に沿った複数の突条83a
が周方向に互いに離間させて形成された第四のコアロッ
ド83、先端面が単純な略円環形状をなす第四の上パン
チ84、及び先端面が単純な略円環形状をなす第四の下
パンチ85が用いられる。これら第四のダイ82、第四
のコアロッド83、第四の上パンチ84、第四の下パン
チ85は、それぞれ図示せぬ駆動装置によって駆動され
て第四のダイ82の上下方向に移動可能とされている。
ここで、本実施の形態では、第四のダイ82の内径d1
5は第三のダイ72の内径d11と同じく8mmとして
おり、第四のコアロッド83の突条83aを含めた外径
d16は第三のコアロッド73の外径d12と同じく3
mmとしている。また、第四のコアロッド83の突条8
3aを含めない外径d17は2.9mmとしている。
【0024】中間体71の矯正仕上げ加工は、以下のよ
うにして行われる。まず、図9(a)に示すように、第
四のダイ82の下方から第四の下パンチ85を挿入し、
第四の下パンチ85に下方から第四のコアロッド83を
挿入し、中間体71を、第四のコアロッド83を挿入し
た状態で第四の下パンチ85の先端に載置し、中間体7
1の上方に第四の上パンチ84を設置する。そして、第
四の上パンチ84、第四の下パンチ85によってそれぞ
れ中間体71の上下の端面を支持し、第四のコアロッド
83の突条83aの外周面で中間体71の内周面を支持
した状態で、第四のダイ82内に上方から中間体71を
挿入する。ここで、中間体71を挿入する向きはどちら
でもよい。
【0025】続いて、第四のダイ82内で第四の下パン
チ85の下降を止め、この状態でさらに第四の上パンチ
84を押し下げることで、第四のダイ82内で中間体7
1に両端71a、71b側から圧縮力を付与する。この
とき、第四の上パンチ84の先端面と第四の下パンチ8
5の先端面とは、距離D9(本実施形態では9.8m
m)だけ離間させている。これによって、図9(b)及
び図10に示すように、中間体71の一端71a及び他
端71bに形成される突起71cを構成する材料は、第
四の下パンチ85によって押し潰されて端面内に押し込
まれ、これに伴ってこの端面近傍部分を構成する材料が
中間体71の内周側にはみ出すこととなる(図10では
一端71a側のみ図示している)。このようにして中間
体71の両端部において内周側にはみ出した材料は、第
四の張り出し部71eを形成するとともに、その内周面
に第四のコアロッド83の突条83aを含めた外周面の
形状が転写される。これにより、中間体71の一端71
a及び他端71bにそれぞれ形成される張り出し部71
eの内周面は、同径かつ同軸に形成される。ここで、本
実施の形態では、これら張り出し部71eの内周面の軸
方向の幅D10は2mmである。上記のようにして中間
体71に矯正仕上げ加工を施して、両端に軸受部63が
形成される軸受本体62を製造することで、軸受61を
得る。
【0026】このような軸受の製造方法によれば、中間
体71に単なるコイニングを施すことでその両端に軸受
部63が形成された軸受61を得ることができる。
【0027】〔第四の実施の形態〕上記各実施の形態に
示す軸受の製造方法によって製造される軸受は、いずれ
も軸受ハウジングに支持される外周面が高精度の円筒面
に形成されているが、例えば粉末成形時や矯正仕上げ加
工時において使用する金型に摩耗が生じていた場合に
は、軸受の両端で外径に差が生じることとなる。また、
第一、第二の実施形態に示す軸受の製造方法では、金属
微粉末Pを粉末成形することで一端11a側に第一の張
り出し部11cが形成された中間体11を製造し、さら
に矯正仕上げ加工の段階でこの中間体11の他端11b
に形成される突条11dを端面内に押し込んで、他端1
1b側にも第二の張り出し部11eを形成している。こ
の軸受の製造方法によって得られる軸受1は、両端で材
料の圧縮加減が異なるために、両端で外径に差が生じる
場合がある。このような軸受の両端における外径の差
は、軸受の長さがそれほど長くない場合には問題となら
ないが、軸受の長さが長くなるほどこの外径の差が生じ
やすいので、軸受をあまり長くすると軸受ハウジングに
装着した際の軸心の振れが大きくなってその影響が無視
できなくなる場合がある。
【0028】そこで、上記各実施の形態に示す軸受の製
造方法において、中間体に矯正仕上げ加工を施した後
に、さらに二次矯正加工として中間体の端部に絞り加工
を施して中間体の端部を他の部分よりも縮径させること
で、図11に示すように、一端89aの外周に逃げ90
を形成して、軸受本体89の外周面において軸受ハウジ
ングとの軸線方向の接触範囲が低減された軸受88を得
る(ここで、以下では、中間体に最初に施される矯正仕
上げ加工を一次矯正加工と呼び、一次矯正加工を施され
た中間体を一次矯正体91と呼ぶ)。ここで、図11で
は、一次矯正体91として第一または第二の実施の形態
に示す軸受の製造方法によって製造した一次矯正体を用
いた例を示している。このように、軸受本体89の外周
面において軸受ハウジングとの軸線方向の接触範囲Sを
低減することで、軸受ハウジングとの接触部における軸
線方向の両端での外径の差が生じにくくなるので、軸受
88自体の長さ(軸受88の軸受部3間の距離)を維持
しつつ、軸受ハウジングに装着した際の軸心の振れを低
減することができる。
【0029】以下、上記の二次矯正加工の詳細について
説明する。二次矯正加工には、図12に示すように、内
面のうち下部92bが上部92aに対して縮径されかつ
上部92aと下部92bとが滑らかに接続された段付き
の円筒面形状をなす第五のダイ92、一次矯正体91の
第一の張り出し部11cの内径とほぼ同じ外径の丸棒状
の第五のコアロッド93、先端面が単純な略円環形状を
なす第五の上パンチ94、及び先端面が単純な略円環形
状をなす第五の下パンチ95が用いられる。これら第五
のダイ92、第五のコアロッド93、第五の上パンチ9
4、第五の下パンチ95は、それぞれ図示せぬ駆動装置
によって駆動されて第五のダイ92の上下方向に移動可
能とされている。ここで、第五のダイ92の上部92a
の内径d21は一次矯正加工に用いたダイの内径と同一
径とし、下部92bの内径d22は上部92aの内径d
21よりも10〜15μm縮径されている。当然なが
ら、第五の上パンチ94において第五のダイ92内に挿
入される部分の外径は第五のダイ92の上部92aの内
径d21と略同一径とされ、第五の下パンチ95におい
て第五のダイ92内に挿入される部分の外径は第五のダ
イ92の下部92bの内径d22と略同一径とされてい
る。また、第五のコアロッド93の外径d23は一次矯
正加工に用いたコアロッド外径と同一径としている。
【0030】以下に、二次矯正加工の手順を説明する。
なお、ここでは、一例として、一次矯正体91として第
一または第二の実施の形態に示す軸受の製造方法によっ
て製造した一次矯正体を用いた場合について説明する。
まず、第五のダイ92の下方から第五の下パンチ95を
挿入し、第五の下パンチ95に下方から第五のコアロッ
ド93を挿入し、一次矯正体91を、第五のコアロッド
93を挿入した状態で第五の下パンチ95の先端に載置
し、一次矯正体91の上方に第五の上パンチ94を設置
する。そして、第五の上パンチ94、第五の下パンチ9
5によってそれぞれ一次矯正体91の上下の端面を支持
した状態で、第五のダイ92内に上方から一次矯正体9
1を挿入する。そして、さらに一次矯正体91を下方に
移動させて、その下端を第五のダイ92の狭径の下部9
2b内に所定量押し込むことで、この部分に絞り加工を
施す。この絞り加工によって、一次矯正体91の下端
(本実施形態では一端89a)では、他の部分に対して
外径が10〜15μm縮径される。なお、このときの第
五の上パンチ94の先端面と第五の下パンチ95の先端
面とは、一次矯正加工時における上パンチの先端面と下
パンチの先端面間の距離と同じ距離だけ離間させてい
る。このように、一次矯正体91の一方の端部に二次矯
正加工によって絞り加工を施すことによって、軸受本体
89の一方の端部の外周に全周にわたって逃げ90が形
成された軸受88を得る。
【0031】ここで、軸受88の外周面において軸受ハ
ウジングとの軸線方向の接触範囲Sが軸受88を安定し
て支持するのに必要なだけ確保されていれば、軸受88
の軸線方向において逃げ90が形成される範囲は任意に
設定することができる。なお、逃げ90は、粉末成形に
よって中間体を製造する段階で中間体に形成してもよ
く、また一次矯正加工の際に中間体に形成するようにし
てもよいが、この場合には、逃げ90はパンチを用いて
形成されることとなる。ここで、軸受本体89の外周面
に対する逃げ90の逃げ量は極わずかな量であるため、
パンチにおいて逃げ90を形成する部分の肉厚が非常に
薄くなってしまい、パンチの寿命が短くなる恐れがある
ので、逃げ90は、上記のように段付きの第五のダイ9
2を用いた二次矯正加工によって形成することが好まし
い。また、一次矯正体91を第五のダイ92内挿入する
向きはどちらでもよいが、一次矯正体91として第一、
第二の実施の形態に示す軸受の製造方法によって製造し
た一次矯正体を用いる場合には、一次矯正体91におい
て粉末成形の段階で第一の張り出し部11cが形成され
る側を下方に向けることで、この端部に絞りによる圧縮
力が加えられることとなり、一次矯正加工の段階で突条
または突起が端面内に押し込まれる側の端部に対して材
料の圧縮加減のバランスをとることができる。これによ
り、軸受88の両端間で外径の差が生じにくくなるの
で、軸受ハウジングによる支持を安定させることができ
る。
【0032】〔第五の実施の形態〕ここで、上記第四の
実施の形態に示した軸受の製造方法において、一次矯正
体91として第一、第二の実施の形態に示す軸受の製造
方法によって製造した一次矯正体を用いる場合には、第
五のダイ92において内面の下部92bを上部92aに
対して縮径する代わりに、下部92bにおいて周方向の
複数箇所に軸線に沿った突条を形成し、このダイを用い
て一次矯正体91に二次矯正加工を行うようにしてもよ
い。これによって得られる軸受では、軸受本体89の一
端89aには、逃げ90の代わりに、軸線方向に沿った
溝が周方向の複数箇所に形成されることとなる。そし
て、この二次矯正加工の際には、一次矯正体91におい
て第一の張り出し部11cが形成される側の端部に圧縮
力が加わることとなり、一次矯正加工の段階で突条また
は突起が端面内に押し込まれる側の端部に対して材料の
圧縮加減のバランスがとられるので、軸受の両端間で外
径の差を生じにくくして、軸受ハウジングによる支持を
安定させることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明に関わる軸受によれば、円筒体の
端面の突起を構成する部分を端面内に押し込むことによ
って軸受部が形成されており、円筒体に単なるコイニン
グを施すことで軸受を得ることができ、成形コストが低
くなって軸受の製造コストを低減することができる。ま
た、このように円筒体に単なるコイニングを施すことで
軸受を得られるので、円筒体として全長の短い円筒体を
用いることができ、全長の短い軸受、例えば全長が5m
m以下の軸受とすることができる。さらに、軸受の外径
を両端で同一とすることができ、軸受を軸受ハウジング
に装着した際に軸受の支持を安定させることができる。
【0034】また、本発明に関わる軸受の製造方法によ
れば、中間体において、突起を形成する材料を中間体の
端面内に押し込むことによって軸受部が形成されるの
で、中間体に単なるコイニングを施すことで軸受を得る
ことができ、成形コストが低くなって軸受の製造コスト
を低減することができる。そして、このように中間体に
単なるコイニングを施すことで軸受を得られるので、中
間体として全長の短い中間体を用いることができ、全長
の短い軸受も容易に製造することができる。さらに、軸
受の外径を両端で同一とすることができ、軸受を軸受ハ
ウジングに装着した際に軸受の支持を安定させることが
できる。そして、中間体を形成する際にごく単純な形状
のダイを用いることができるので、より一層製造コスト
を低減することができる。また、中間体はごく単純な形
状であるため、粉末成形後の焼結時に変形しにくく、矯
正に手間がかからず、成形コストを低減させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態に関わる軸受の最
終形状を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、軸受の原形となる中間体の粉末成形工程
を示す図である。
【図3】 本発明の第一の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、中間体の矯正工程を示す図である。
【図4】 本発明の第一の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、中間体の矯正工程を示す縦断面図であ
る。
【図5】 本発明の第一の実施の形態に関わる軸受の製
造に用いられる中間体の形状の他の例を示す平面図であ
る。
【図6】 本発明の第二の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、軸受の原形となる中間体の粉末成形工程
を示す図である。
【図7】 本発明の第三の実施の形態に関わる軸受の形
状を示す平面図である。
【図8】 本発明の第三の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、軸受の原形となる中間体の粉末成形工程
を示す図である。
【図9】 本発明の第三の実施の形態に関わる軸受の製
造過程のうち、中間体の矯正工程を示す図である。
【図10】 本発明の第三の実施の形態に関わる軸受の
製造過程のうち、中間体の矯正工程を示す平面図であ
る。
【図11】 本発明の第四の実施の形態に関わる軸受の
形状を示す縦断面図である。
【図12】 本発明の第四の実施の形態に関わる軸受の
製造過程のうち、中間体の二次矯正工程を示す平面図で
ある。
【図13】 従来の粉末成形を用いた軸受の製造方法を
示す図である。
【図14】 従来の粉末成形を用いた軸受の製造方法を
示す図である。
【符号の説明】
1、61、88 軸受 3 軸受部 11、71、91 中間体(円筒体) 11d 突条 11f、71c 突起 83 第四のコ
アロッド P 金属微粉末(原料粉末)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 功 埼玉県北足立郡伊奈町大字小針新宿1229 株式会社ショーライト内 Fターム(参考) 3J011 AA01 BA02 CA06 DA02 LA01 SB19 4K018 AA01 DA11 FA02 KA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料粉末を成形した後に焼結することに
    よって形成される軸受であって、 端面に突起が形成される円筒体において、前記突起を該
    突起が形成される端面内に押し込んで該端面近傍部分を
    構成する材料を前記円筒体の内周側にはみ出させて、該
    円筒体の端部に、内周面が前記円筒体の内周側に張り出
    す軸受部を形成してなることを特徴とする軸受。
  2. 【請求項2】 粉末成形による軸受の製造方法であっ
    て、 原料粉末を成形した後に焼結することで、端面に突起が
    形成される略円筒形状の中間体を形成し、 この中間体において前記突起を該突起が形成される端面
    内に押し込んで該端面近傍部分を構成する材料を前記中
    間体の内周側にはみ出させて、該中間体の端部に、内周
    面が前記中間体の内周側に張り出す軸受部を形成するこ
    とを特徴とする軸受の製造方法。
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