JP2002264001A - 希土類磁石の切断方法 - Google Patents

希土類磁石の切断方法

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JP2002264001A
JP2002264001A JP2001060347A JP2001060347A JP2002264001A JP 2002264001 A JP2002264001 A JP 2002264001A JP 2001060347 A JP2001060347 A JP 2001060347A JP 2001060347 A JP2001060347 A JP 2001060347A JP 2002264001 A JP2002264001 A JP 2002264001A
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Japan
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cutting
rare earth
earth magnet
coolant
blade
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JP2001060347A
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Inventor
Sadahiko Kondo
禎彦 近藤
Toshifumi Hiyoke
利文 火除
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断刃を長寿命化できかつ切断刃および製品
の歩留まりを向上できる、希土類磁石の切断方法を提供
する。 【解決手段】 超砥粒50が超硬合金52で固定された
刃先44を有する切断刃38を用いる。切断刃38は台
板42と台板42の外周に設けられる刃先44とを含
み、刃先44は台板42より10μm〜200μm厚く
形成されるのが好ましい。また、刃先44における超砥
粒50の体積比率は5%〜50%であり、超砥粒50の
粒径は50μm〜300μmであることが好ましい。ワ
ーク64を浸漬槽58内に配置してクーラント60に浸
漬し切削部68にクーラント60を充たした状態で、ワ
ーク64を切断刃38で切断する。ワーク64にはR−
Fe−B系磁石などの希土類磁石を用いる。クーラント
60は水を主成分とし、その表面張力は30mN/m〜
60mN/mであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は希土類磁石の切断
方法に関し、より特定的には、超砥粒が金属によって固
定された刃先を有する切断刃を用いて希土類磁石を切断
する、希土類磁石の切断方法に関する。
【従来の技術】従来、R−Fe−B系磁石等の希土類磁
石の切断には、たとえば特開平7−174441号に開
示されているように、超硬台板に刃先としてダイヤモン
ド等の超砥粒をフェノール等の樹脂で固定した切断刃が
使用されており、クーラントの供給としては、たとえば
特開2000−25967号に開示されるように、ノズ
ルからクーラントを吐出する方法が一般的である。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかし、たとえば0.
5mm以下の薄い台板を用いる場合には、フェノール等
の樹脂では台板に対して超砥粒を十分な接着強度で固定
することはできない。そこで、台板に超砥粒を固定する
ためにたとえばW−C等の超硬材からなる焼結金属を用
いるものが提案されている。このような焼結金属を用い
れば、0.5mm以下の薄い台板に対しても超砥粒を接
着することができるが、このような切断刃を用い上述の
クーラント供給方法を採用して希土類磁石を切断すると
焼き付きが発生しやすいことがわかった。
【0003】発明者が原因を解析したところ、超砥粒が
樹脂で固定されている場合には切断に伴って発生するス
ラッジ等によって超砥粒より樹脂の方が摩耗し易く、超
砥粒と樹脂との間に発生する段差によって、クーラント
を保持するクリアランスが希土類磁石の切削部に常に形
成されていた。しかし、超砥粒が焼結金属で固定されて
いると、超砥粒は切削にともなって摩耗するが、焼結金
属はスラッジ等によって摩耗しにくいため、刃先の砥粒
間に形成されるクーラント保持部が小さくなっていく。
したがって、クーラントを保持するクリアランスが切削
部に形成されにくいので、クーラントの供給が不足し切
断刃の切れ味が悪くなるとともに焼き付きが発生してし
まう。その結果、切断刃の寿命が短くなりかつ歩留まり
が悪化する。このような現象は切削抵抗が高い希土類磁
石を切断する場合に顕著となる。それゆえにこの発明の
主たる目的は、切断刃を長寿命化できかつ切断刃および
製品の歩留まりを向上できる、希土類磁石の切断方法を
提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の希土類磁石の切断方法は、超砥
粒が金属で固定された刃先を有する切断刃を用い、希土
類磁石の切削部にクーラントを充たした状態で希土類磁
石を切断刃によって切断することを特徴とする。請求項
2に記載の希土類磁石の切断方法は、超砥粒が金属で固
定された刃先を有する切断刃を用い、希土類磁石の切削
部をクーラントに浸漬した状態で切断刃によって切断す
ることを特徴とする。請求項3に記載の希土類磁石の切
断方法は、請求項1または2に記載の希土類磁石の切断
方法において、切断刃は、その外周に刃先が設けられる
台板を含み、刃先は台板より厚く形成されることを特徴
とする。
【0005】請求項4に記載の希土類磁石の切断方法
は、請求項3に記載の希土類磁石の切断方法において、
刃先は台板より10μm〜200μm厚く形成されるこ
とを特徴とする。請求項5に記載の希土類磁石の切断方
法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の希土類磁石
の切断方法において、金属は焼結体であることを特徴と
する。請求項6に記載の希土類磁石の切断方法は、請求
項5に記載の希土類磁石の切断方法において、焼結体は
超硬合金であることを特徴とする。請求項7に記載の希
土類磁石の切断方法は、請求項1ないし6のいずれかに
記載の希土類磁石の切断方法において、クーラントは水
を主成分とすることを特徴とする。
【0006】請求項8に記載の希土類磁石の切断方法
は、請求項1ないし7のいずれかに記載の希土類磁石の
切断方法において、クーラントの表面張力は30mN/
m〜60mN/mであることを特徴とする。請求項9に
記載の希土類磁石の切断方法は、請求項1ないし8のい
ずれかに記載の希土類磁石の切断方法において、希土類
磁石はR−Fe−B系磁石であることを特徴とする。請
求項10に記載の希土類磁石の切断方法は、請求項1な
いし9のいずれかに記載の希土類磁石の切断方法におい
て、刃先における超砥粒の体積比率は5%〜50%であ
ることを特徴とする。請求項11に記載の希土類磁石の
切断方法は、請求項1ないし10のいずれかに記載の希
土類磁石の切断方法において、超砥粒の粒径は50μm
〜300μmであることを特徴とする。
【0007】超砥粒を金属で固定した場合は樹脂で固定
する場合に比べて、超砥粒を固定している部分すなわち
金属が摩耗しにくいため、超砥粒とそれを固定する金属
との間の段差が小さくなり、希土類磁石の切削部にクー
ラントが保持されにくい構成となる。しかし、請求項1
に記載の希土類磁石の切断方法のように、切削部をクー
ラントで充たし切削部に確実にクーラントを供給しなが
ら希土類磁石を切断することによって、切断刃の摩耗を
減らすことができ切削抵抗の高い希土類磁石を焼き付き
なく切断することが可能となる。したがって、切断刃を
長寿命化できかつ切断刃および製品の歩留まりを向上で
きる。請求項2に記載の希土類磁石の切断方法のよう
に、切削部をクーラントに浸漬し切削部に確実にクーラ
ントを供給しながら希土類磁石を切断することによっ
て、請求項1と同様、切削抵抗の高い希土類磁石を焼き
付きなく切断することが可能となる。したがって、切断
刃を長寿命化できかつ切断刃および製品の歩留まりを向
上できる。
【0008】請求項3に記載の希土類磁石の切断方法で
は、希土類磁石の切削溝において台板と切削溝側面との
間にクリアランスが形成され、これによってクーラント
が切削部に供給されやすくかつ保持されやすくなるの
で、より効果的である。刃先が台板より厚いとき、その
程度が10μm未満であればクリアランスの効果が極め
て低く、一方、200μmを超えると削り代が大きくな
って製品の歩留まりが低下する。したがって、請求項4
に記載の希土類磁石の切断方法のように、刃先は台板よ
り10μm〜200μm厚く形成されることが好まし
い。その中でも両者の厚さの差が20μm〜100μm
の場合、本発明の効果が大きい。超砥粒を固定する金属
として超硬合金等の焼結体を用いれば、金属はより硬く
摩耗し難くなり刃先に段差を形成しにくくなるが、請求
項5、6に記載の希土類磁石の切断方法では、そのよう
な場合であっても切削部に確実にクーラントを供給しな
がら希土類磁石を切断することができる。
【0009】請求項7に記載の希土類磁石の切断方法で
は、クーラントの主成分として比熱が高い水を用いるこ
とによって、切削部の冷却効果を高くでき、効果的に希
土類磁石を切断できる。請求項8に記載の希土類磁石の
切断方法のように、クーラントの表面張力を30mN/
m〜60mN/mとすれば、純水よりも表面張力が低く
刃先への浸透力に優れるので、超砥粒の摩耗を防ぎ切断
効率がよい。希土類磁石として用いられるR−Fe−B
系磁石は非常に硬い主相と粘り気のある粒界相とからな
るために切削抵抗が高く切断し難いが、請求項9に記載
の希土類磁石の切断方法では、そのような場合であって
も切削部に確実にクーラントを供給しながら希土類磁石
を切断することができる。
【0010】刃先における超砥粒の体積比率が5%未満
であれば切断量が極めて少なくなるので切断効率が低く
なる。一方、50%を超えると超砥粒同士の間隔が狭く
なるので、チップポケットが小さくなり切断刃の刃先に
スラッジが滞留し、切削部へのクーラントの流入、排出
が円滑でなくなる。したがって、切断負荷が大きくな
り、切断刃の変形や焼き付きが発生して切断精度が悪く
なる。請求項10に記載の希土類磁石の切断方法のよう
に、刃先における超砥粒の体積比率が5%〜50%であ
れば、クーラントの供給やスラッジの排出が容易で切断
が円滑となり、切断効率および切断精度が良好となる。
超砥粒の粒径が50μm未満であれば刃先における段差
が小さくなり、一方、300μmを超えると切断刃が薄
刃になるほど超砥粒の保持強度が低下してしまい好まし
くない。したがって、請求項11に記載の希土類磁石の
切断方法のように、超砥粒の粒径は50μm〜300μ
mであることが好ましい。なお、この明細書において
「切削部」とは、希土類磁石の切削される部分をいい、
切削溝を含む概念である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1を参照して、この発明
が適用されるワーク切断装置10はいわゆる片持ちタイ
プの外周刃切断機の一種であり、ベッド12を含む。ベ
ッド12上にはコラム14が立設される。コラム14の
前面には鉛直方向(Z軸方向)に平行する2本のレール
16が形成され、2本のレール16には鉛直方向に摺動
可能なスライダ18が装着される。スライダ18の背面
には、鉛直方向のねじ孔を有するスライダ支持部20が
取り付けられ、スライダ支持部20のねじ孔には切込軸
として機能するねじ22が螺入される。ねじ22はコラ
ム14上に配設される昇降モータ24によって回転され
る。したがって、昇降モータ24の制御によってねじ2
2が回転し、スライダ支持部20を介してスライダ18
が上下動可能とされ、切断時には、後述する切断刃ブロ
ック30が矢印A方向(下方向)に送られる。
【0012】また、スライダ18の前面には支持部26
が設けられ、支持部26によって回転軸28が回動可能
に支持される。回転軸28の一端には切断刃ブロック3
0が取り付けられ、回転軸28の他端にはカップリング
32を介して高速回転モータ34が連結される。高速回
転モータ34はベース36上に配置され、高速回転モー
タ34によって回転軸28、切断刃ブロック30がたと
えば矢印B方向に回転される。切断刃ブロック30の回
転速度は3000rpm以上が好ましい。なお、高速回
転モータ34は、切断刃ブロック30に伴って鉛直方向
に移動する。
【0013】図2を参照して、切断刃ブロック30は、
複数の切断刃38と各切断刃38間に介挿される環状の
スペーサ40とを含む。図3(a)および(b)に示す
ように、切断刃38は、たとえばメタルボンド切断刃で
あり、円板状の台板42と台板42の外周に形成される
刃先44とを含む。図4を参照して、台板42は特開平
8−109431号、特開平8−109432号に示す
ような超砥粒46と超硬合金48とを焼結処理したダイ
ヤモンド焼結体合金である。刃先44も同様に超砥粒5
0と超硬合金52とを焼結処理したダイヤモンド焼結体
合金である。超砥粒46、50としては、天然または合
成工業用ダイヤモンド粉末や、cBN(立方晶窒化ホウ
素)粉末や、天然または合成工業用ダイヤモンド粉末−
cBN粉末の混合物などが用いられる。
【0014】切断刃38はたとえば次のようにして製造
される。台板42については、W−C等の超硬の粉末に
2μm〜10μmのダイヤモンドがフィラーとして2v
ol%〜5vol%混合され、一方、刃先44について
は、W−C等の超硬の粉末に110μm〜130μmの
ダイヤモンドが砥粒として15vol%〜20vol%
混合され、一体にプレス成形されたのち焼結される。焼
結にともなって超硬の粉末は収縮するが、刃先44のダ
イヤモンドは収縮せずメタルボンド部分より突出して刃
を形成する。このように切断刃38は、超硬の粉末に台
板42と刃先44とでそれぞれ粒径の異なるダイヤモン
ド(超砥粒)を混合し焼結することによって製造され、
刃先44のダイヤモンドが突出することによって刃先4
4の両側にそれぞれ段差Gが形成され、その分刃先44
が台板42より厚く形成される。なお、台板42および
刃先44を構成する金属は熱膨張率を同一にさせる目的
で同一の材料から構成されることが望ましい。
【0015】図3および図4を参照して、切断刃38の
寸法は、たとえば、台板42の厚さt=0.35mm、
台板42の外径と内径との寸法差S=43mm、接触幅
W=2mm〜3mm、段差G=0.025mm、刃先4
4の厚さT=0.04mm=0.35mm+(0.02
5×2)mm、切断刃38の外径D=150mm、内径
d=60mmに設定される。接触幅Wは5mm程度まで
大きくすることができる。なお、刃先44が台板42よ
り厚くその差が10μm未満であれば段差Gすなわちク
リアランスC(後述)の効果が極めて低く、一方、20
0μmを超えると削り代が大きくなって製品の歩留まり
が低下する。したがって、刃先44は台板42より10
μm〜200μm厚く形成されることが好ましい。
【0016】また、超砥粒50の粒径が50μm未満で
あれば刃先44における段差Gが小さくなり、一方、3
00μmを超えると切断刃38が薄刃になるほど超砥粒
50の保持強度が低下し好ましくない。したがって、超
砥粒50の粒径は50μm〜300μmであることが好
ましい。台板42の精度はそりが30μm以下であるこ
とが好ましく、切断刃ブロック30を構成するときのス
ペーサ40の精度は平行度が2μm以下、平坦度が2μ
m以下であることが好ましい。
【0017】刃先44における超砥粒50の体積比率は
5%〜50% (超砥粒:超硬合金=5〜50:95〜
50)が好ましい。5%未満であれば切断刃38の摩耗
に対して切断量が極めて少なくなるので切断効率が低く
なる。一方、50%を超えると超砥粒50同士の間隔が
狭くなるので、チップポケットが小さくなり刃先44に
スラッジが滞留し、切断部68(後述)へのクーラント
60(後述)の流入、排出が円滑でなくなる。したがっ
て、切断負荷が大きくなり、切断刃38の変形や焼き付
きが発生して切断精度が悪くなる。超砥粒50の体積比
率が5%〜50%であれば、クーラント60の供給やス
ラッジの排出が容易で切断が円滑となり、切断効率およ
び切断精度が良好となる。なお、台板42における超砥
粒46の体積比率は5%〜20% (超砥粒:超硬合金
=5〜20:95〜80)が好ましい。
【0018】図1に戻って、ベース12上には2本のレ
ール54が敷設され、レール54には摺動可能にテーブ
ル56が装着される。テーブル56上には浸漬槽58が
配置され、図5に示すように浸漬槽58内にはクーラン
ト60が収容される。クーラント60は水を主成分とす
る。クーラント60の表面張力は30mN/m〜60m
N/m(30dyn/cm〜60dyn/cm)が好ま
しい。主成分が比熱の高い水であれば冷却効果が高くな
り、表面張力が30mN/m〜60mN/m(30dy
n/cm〜60dyn/cm)であれば純水よりも表面
張力が低く切断部68へのクーラント60の浸透性に優
れ、切断効率がよい。
【0019】クーラント60に含まれる添加剤として
は、界面活性剤またはシンセティックタイプ合成潤滑
剤、錆止め剤、非鉄金属防食剤、防腐剤、消泡剤を用い
ることができる。界面活性剤としては、アニオン系とし
て、脂肪酸石鹸やナフテン酸石鹸等の脂肪酸誘導体、ま
たは長鎖アルコール硫酸エステルや動植物油の硫酸化油
等の硫酸エステル型、または石油スルホン酸塩等のスル
ホン酸型、非イオン系として、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテルやポリオキシエチレンモノ脂肪酸
エステル等のポリオキシエチレン系、ソルビタンモノ脂
肪酸エステル等の多価アルコール系、または脂肪酸ジエ
タノールアミド等のアルキロールアミド系を用いること
ができる。具体的には、ケミカルソリューションタイプ
のJP−0497N(カストロール社製)を水に2重量
%程度添加することによって、表面張力および動摩擦係
数を好適な範囲内に調整することができる。
【0020】シンセティックタイプ合成潤滑剤として
は、シンセティック・ソリューションタイプ、シンセテ
ィック・エマルションタイプおよびシンセティックソリ
ュブルタイプを用いることができ、そのなかでも、シン
セティック・ソリューションタイプが好ましく、具体的
には、シンタイロ9954(カストロール社製)や#8
80(ユシロ化学工業社製)を挙げることができる。い
ずれも、水に2重量%〜5重量%程度添加することによ
って、表面張力および動摩擦係数を好適な範囲内に調整
することができる。また、錆止め剤を含有させること
で、希土類磁石の腐食を防止することができる。ここ
で、PHは9〜11とすることが好ましい。錆止め剤と
しては、有機系として、オレイン酸塩や安息香酸塩等の
カルボン酸塩、またはトリエタノールアミン等のアミン
類、無機系として、りん酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸
塩、タングステン酸塩、または炭酸塩を用いることがで
きる。
【0021】非鉄金属防食剤としては、たとえばベンズ
トリアゾール等の窒素化合物を、防腐剤としては、ヘキ
サハイドロトリアジン等のホルムアルデヒド供与体を用
いることができる。消泡剤としては、シリコーンエマル
ジョンを用いることができる。消泡剤を含有させること
で、クーラント60の泡立ちを少なくし、クーラント6
0の浸透性をよくし、冷却効果を高め、刃先44での温
度上昇を防ぐことができる。したがって、切断刃38の
刃先44での温度の異常上昇や異常摩耗が起こりにくく
なる。このようなクーラント60を用いつつ、刃先44
の摩擦係数を0.13〜0.20程度にコントロールす
ることが好ましい。
【0022】図5に示す浸漬槽58の底面にはクーラン
ト60を排出するための排出口(図示せず)が設けられ
る。浸漬槽58の底面上には断面V字状の表面を有する
貼付板62が配置され、貼付板62上には接着剤によっ
てたとえば複数のワーク64が固定される。浸漬槽58
内では、ワーク64はクーラント60に浸漬される。ワ
ーク64としては、たとえばR−Fe−B系磁石(Rは
Yを含む希土類元素、FeはFeもしくはFeを置換す
る遷移元素、Bはホウ素もしくはホウ素を置換する炭
素)等の希土類磁石(米国特許第4,770,723
号、第4,792,368号に記載されている)が用い
られる。また、浸漬槽58内に臨むようにクーラント供
給装置(図示せず)のホース66が配置され、ホース6
6の先端からワーク64にクーラント60が吐出され
る。
【0023】図1に示すように切断時には、切断刃38
を矢印B方向に回転させ、スライダ18を矢印A方向に
摺動させることによって切断刃38をワーク64に向か
って一定速度で相対移動させる。そして、クーラント6
0に浸漬されたワーク64が切断刃38によって所定の
寸法に切断される。このとき、必要に応じてクーラント
供給装置からのクーラント60がホース66を介してワ
ーク64に供給される。このような切断刃38では刃先
44においてクーラント60が供給不足となることがあ
り、刃先44の偏摩耗を防止するために、ドレッシング
を行うことが好ましい。ドレス材としてはWA#200
もしくはGC#150を用い、切断刃38の回転速度が
2000rpm、切り込み量が10mm、切り込み速度
が1mm/minという条件でドレッシングを行うこと
ができる。ドレッシングのインターバルは1日1回ある
いは20passに1回といった頻度である。
【0024】このようにワーク切断装置10によれば、
超砥粒50とそれを固定する超硬合金52との間の段差
Gが小さくなり切削部68にクーラント60が保持され
にくい構成であっても、ワーク64の切断時にはワーク
64がクーラント60に浸漬されワーク64の切削部6
8はクーラント60で充たされているので、切削部68
に確実かつ十分にクーラント60を供給しながらワーク
64を切断することができる。したがって、切断刃38
の摩耗を減らすことができ切削抵抗の高いワーク64を
焼き付きなく切断することが可能となる。その結果、切
断刃38を長寿命化でき、かつ切断刃38および得られ
た部材(製品)72の歩留まりを向上できる。さらに、
ワーク64の切断部68にホース66から別途クーラン
ト60を供給することによってワーク64をクーラント
60に十分に浸漬することができ、切断刃38の焼き付
きを一層防止できる。
【0025】また、図6に示すように、切削溝70にお
いて超硬合金48および52の表面と切削溝70側面と
の間にクリアランスCを形成することによって、クーラ
ント60が切削溝70等の切削部68に供給されやすく
なる。刃先44の超砥粒50を固定する金属として超硬
合金52等の焼結体を用いれば、金属はより硬くなり摩
耗し難くなる。また、ワーク64として用いられるR−
Fe−B系磁石は非常に硬い主相と粘り気のある粒界相
からなるために切削抵抗が高く切断し難い。しかし、こ
の発明によれば、そのような場合であっても切削部68
に確実にクーラント60を供給しながらワーク64を切
断することができる。
【0026】ついで、ワーク切断装置10を用いて希土
類磁石を切断した実験例について説明する。ワーク面取
り装置10において、刃厚0.4mmの切断刃38およ
びユシロ化学工業社製#880を5%に希釈したクーラ
ント60を用い、4mm/minの速度で図7に示すよ
うな幅35mm、高さ15mm、長さ60mmの住友特
殊金属株式会社製NEOMAX48を狙い厚さ1.97
0mmで切断し、寸法ばらつきと平行度とを測定した。
切断によって得られる部材の取数は24個/minとし
た。比較例として、同様の台板に刃先として粒径170
μm〜250μmのダイヤモンドが体積率25%でフェ
ノール樹脂によって固定されている切断刃を用いて同様
の実験を行った。この切断刃の刃厚は0.6mm、狙い
厚さは1.953mm、切断によって得られる部材の取
数は21個/minとした。
【0027】なお、「寸法ばらつき」は次のように算出
される。ワーク64を切断して得られる部材72につい
て、図8に示す所定の5箇所の厚さを測定しその平均値
を求める。この処理を切り出された各部材72毎に行
い、各部材72毎に求められた平均値のうち、最大値と
最小値との差を寸法ばらつきとする。また、「平行度」
は次のように算出される。ワーク64を切断して得られ
る部材72について、図8に示す所定の5箇所の厚さを
測定しその最大値と最小値との差を求める。この処理
を、切り出された各部材72毎に行い、各部材72毎に
求められた最大値と最小値との差の平均値を平行度とす
る。
【0028】実験の結果、図9に示すように、切断刃3
8を用いた本発明によれば、平行度は0.007、寸法
ばらつきは0.086mmとなり、従来の切断刃を用い
た比較例と較べても取数を増加させながらも十分に満足
できる切断精度が得られた。因みに、上述の切断刃38
を使用したワーク切断装置10を用いるが、浸漬槽58
をなくした状態で切断テストを行ったところ、焼き付き
が発生し、切断精度も大幅に低下した。なお、図10に
示すように、ワーク切断装置10において、浸漬槽58
を用いることなく断面V字状の表面(上面)を有する貼
付板74を用い、貼付板74の上面底部からクーラント
60を供給するようにしてもよい。
【0029】すなわち、貼付板74の斜面76aおよび
76b上にはそれぞれ配置板78aおよび78bが装着
され、配置板78aおよび78b上にはそれぞれワーク
64が配置される。クーラント60を溜めることができ
るように貼付板74の両側面にはそれぞれ板状の囲み部
材80が取り付けられる。貼付板74内にはクーラント
供給路82が形成される。貼付板74の側面に設けられ
た孔84からクーラント60がクーラント供給路82内
へ与えられ、貼付板74の上面底部に設けられたたとえ
ば複数の孔型の供給口86からクーラント60が上方向
へ吐出される。ワーク64にクーラント60をホース6
6からのみならず、上述のように下からも供給すること
によって、切削部68に十分にクーラント60を供給す
ることができる。このときのホース66からのクーラン
ト吐出量は50L/min〜200L/minが好まし
い。なお、図1に示すような浸漬槽58や、図10に示
すような囲み部材80が取り付けられた貼付板74を用
いなくとも、大量のクーラント60を上方から供給して
実質的に切削部68が浸漬された状態になるようにして
もよい。
【0030】また、上述の実施形態では、超砥粒50を
固定する金属を超硬合金52としたが、これに限定され
ない。たとえば、特公昭52−33356号に示すよう
なメタルボンドによって超砥粒50を固定してもよい。
この場合、刃先44すなわちカッターホイールは次のよ
うにして得られる。まず、重量比で、Sn:1%〜18
%、Ag:1%〜20%、Fe、Ni、Co、Crのい
ずれか一種ないし数種5%〜45%、残部Cuからなる
金属粉末と、天然および人造ダイヤモンドなどの超砥粒
とが均質になるよう混合される。この混合物が冷間で所
定の寸法、形状に加圧成形され、その後還元雰囲気また
は中性雰囲気中において焼結される。この場合に使用さ
れるダイヤモンドの粒度は♯140/170〜600メ
ッシュ(略100μm〜30μm)であって、その配合
量は適用機種によっても相違するが、カッターホイール
全体の5容量%〜30容量%である。また、カッターホ
イールの冷間成形圧力は1ton/cm2〜5ton/
cm2、焼結温度は650℃〜900℃である。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、希土類磁石の切削部
に確実にクーラントを供給しながら希土類磁石を切断す
ることによって、切断刃の摩耗を減らすことができ切削
抵抗の高い希土類磁石を焼き付きなく切断することが可
能となる。したがって、切断刃を長寿命化できかつ切断
刃および製品の歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されるワーク切断装置の一例を
示す斜視図である。
【図2】切断刃ブロックの要部を示す断面図である。
【図3】(a)は切断刃を示す側面図であり、(b)は
その正面断面図である。
【図4】(a)は切断刃の要部を模式的に示す一部省略
正面断面図であり、(b)はその一部省略斜視図であ
る。
【図5】図1の実施形態の要部を示す図解図である。
【図6】切削溝におけるクリアランスを示す図解図であ
る。
【図7】ワークの一例を示す斜視図である。
【図8】寸法ばらつきおよび平行度を説明するための図
解図である。
【図9】実験結果の一例を示すテーブルである。
【図10】貼付板および囲み部材を用いたクーラント供
給方法の一例を示す図解図である。
【符号の説明】 10 ワーク切断装置 30 切断刃ブロック 38 切断刃 42 台板 44 刃先 46、50 超砥粒 48、52 超硬合金 58 浸漬槽 60 クーラント 62、74 貼付板 64 ワーク 66 ホース 68 切削部 70 切削溝 80 囲み部材 T 刃先の厚さ t 台板の厚さ G 刃先の段差 C クリアランス

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超砥粒が金属で固定された刃先を有する
    切断刃を用い、 希土類磁石の切削部にクーラントを充たした状態で前記
    希土類磁石を前記切断刃によって切断する、希土類磁石
    の切断方法。
  2. 【請求項2】 超砥粒が金属で固定された刃先を有する
    切断刃を用い、 希土類磁石の切削部をクーラントに浸漬した状態で前記
    切断刃によって切断する、希土類磁石の切断方法。
  3. 【請求項3】 前記切断刃は、その外周に前記刃先が設
    けられる台板を含み、前記刃先は前記台板より厚く形成
    される、請求項1または2に記載の希土類磁石の切断方
    法。
  4. 【請求項4】 前記刃先は前記台板より10μm〜20
    0μm厚く形成される、請求項3に記載の希土類磁石の
    切断方法。
  5. 【請求項5】 前記金属は焼結体である、請求項1ない
    し4のいずれかに記載の希土類磁石の切断方法。
  6. 【請求項6】 前記焼結体は超硬合金である、請求項5
    に記載の希土類磁石の切断方法。
  7. 【請求項7】 前記クーラントは水を主成分とする、請
    求項1ないし6のいずれかに記載の希土類磁石の切断方
    法。
  8. 【請求項8】 前記クーラントの表面張力は30mN/
    m〜60mN/mである、請求項1ないし7のいずれか
    に記載の希土類磁石の切断方法。
  9. 【請求項9】 前記希土類磁石はR−Fe−B系磁石で
    ある、請求項1ないし8のいずれかに記載の希土類磁石
    の切断方法。
  10. 【請求項10】 前記刃先における前記超砥粒の体積比
    率は5%〜50%である、請求項1ないし9のいずれか
    に記載の希土類磁石の切断方法。
  11. 【請求項11】 前記超砥粒の粒径は50μm〜300
    μmである、請求項1ないし10のいずれかに記載の希
    土類磁石の切断方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI488724B (zh) * 2008-11-05 2015-06-21 Shinetsu Chemical Co 稀土磁塊的多切斷加工方法及設備,切削液供給噴嘴,及磁塊固定夾具

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TWI488724B (zh) * 2008-11-05 2015-06-21 Shinetsu Chemical Co 稀土磁塊的多切斷加工方法及設備,切削液供給噴嘴,及磁塊固定夾具

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