JP2002263786A - 鋳型及び鋳型を用いた鋳物の製造方法 - Google Patents

鋳型及び鋳型を用いた鋳物の製造方法

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JP2002263786A JP2001064244A JP2001064244A JP2002263786A JP 2002263786 A JP2002263786 A JP 2002263786A JP 2001064244 A JP2001064244 A JP 2001064244A JP 2001064244 A JP2001064244 A JP 2001064244A JP 2002263786 A JP2002263786 A JP 2002263786A
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molten metal
casting
cavity
pouring
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Yukio Nakamura
雪雄 中村
Sumio Ichikawa
純男 市川
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ICHIKAWA KINZOKU KK
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
ICHIKAWA KINZOKU KK
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳物の製造時の歪を小さくする。 【解決手段】 溶湯を注湯して鋳物を成型する鋳型空隙
部2が形成された鋳型1において、前記鋳型空隙部2に
注湯された溶湯のうちの冷却速度が速い部分から所定間
隔離して、捨て湯用空隙部3を形成させる。また、この
ような鋳型1を用いて、湯口5から遠い捨て湯用空隙部
3aから順に溶湯を注湯し、最後に鋳型空隙部2に注湯
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋳型及び鋳型を用い
た鋳物の製造方法に関し、特に鋳造時の歪や反り、捩れ
等を小さくすることができる鋳型及び鋳型を用いた鋳物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳造による工業製品は、鋳造の
後、機械加工して仕上げるのが一般的である。この理由
は、鋳造しただけの鋳物は、寸法の精度が低く、表面も
粗く、形状も捩れや反りが生じていることが多く、製品
としての要件を満たしていないことが多いためである。
特に、砂型で鋳造する場合にあっては、砂型の精度が金
型に比べて低いこと、及び溶湯に圧力をかけることもで
きないことから、出来上がる鋳物の精度も低く、精度が
要求される製品では、鋳造後に機械加工して仕上げる必
要があった。
【0003】ところで、亜鉛合金を材料にした鋳物は鋳
鉄等に比べて精度を出しやすいことが知られており、プ
レスの成型金型として使用する場合等は、鋳造後の機械
加工、修正は少ない量で済ませることが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、亜鉛合金を使
用する場合においても、歪を取り除くための機械加工や
手作業による修正が必要であり、そのためには相応の工
数がかかり、納期の延長、コストの上昇の原因となって
いた。従って、鋳造の現場においては、前記した歪や捩
れ、反り等を可能な限り少なくして、完成形状になるべ
く近い鋳物を得る方法が望まれていた。
【0005】そこで、本発明では、鋳造時の鋳物の歪、
形状の捩れ、反り等を小さくすることができる鋳型及び
鋳型を用いた鋳物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の請求項1では、溶湯を注湯して鋳物を成型
する鋳型空隙部が形成された鋳型において、前記鋳型空
隙部に注湯された溶湯のうちの冷却速度が大きい部分か
ら所定間隔離れて、捨て湯用空隙部が形成されているこ
とを特徴とした。
【0007】溶湯を冷却する時に冷却速度が小さいの
は、鋳物の中心部分である。これは、熱が逃げようとし
ても、周りが高熱の溶湯に囲まれているからである。一
方、冷却速度が大きいのは、例えば、四角形でいえば角
部であるとか、長物であれば両端部であるとか、他より
突起状に突き出た部分とかが該当する。このような部分
の冷却速度が大きいのは、周りに熱が逃げることができ
る空間が多いからである。冷却速度が大きい部分は他の
部分より早く収縮して固まり、未だ温度が下がらずにや
わらかい部分を動かしてしまう。このことが鋳物の歪、
捩れ、反り等の一因となっている。
【0008】従って、このような鋳型によれば、捨て湯
用空隙部と、鋳型空隙部の両方に注湯を行えば、鋳型空
隙部内に注湯した溶湯の熱は捨て湯用の溶湯の熱を受け
るので、溶湯の中心部と同様に熱の逃げ場が少なくな
り、中心部と同等の冷却速度となる。つまり、鋳型空隙
部内に入れた溶湯はおよそ全体として均一な冷却速度と
なるため、出来上がった鋳物の形状は歪、捩れ、反り等
が小さく、精度が高いものとなる。
【0009】なお、所定間隔とは、型が破損することな
く構成できるのであれば、できるだけ短いのが望まし
い。なぜなら、捨て湯用空隙部は、角部等の放熱しやす
い部分が、鋳物の中心部と同様に放熱しにくくなるよう
にするためのものだからである。また、型が破損するこ
とが無ければ、鋳型空隙部と捨て湯用空隙部が一部でつ
ながっていて、いずれかへの注湯により、両方へ注湯が
できるように構成されていても良い。
【0010】また、本発明の請求項2では、請求項1記
載の鋳型において、前記捨て湯用空隙部は前記鋳型空隙
部より深いことを特徴とした。
【0011】このような鋳型では、前記したように捨て
湯用空隙部は角部等の冷却速度が大きい部分に用意され
るが、鋳型空隙部より捨て湯用空隙部を深くすることに
より、冷却速度が大きい鋳型空隙部の底の隅の部分に下
側(深い側)からも熱を与えることができ、冷却速度を
より全体的に均一にすることができ、歪、捩れ、反り等
を小さくすることができる。
【0012】さらに、請求項3記載の発明では、請求項
1記載の鋳型を用いた鋳物の製造方法であって、前記捨
て湯用空隙部と前記鋳型空隙部に注湯し、その後冷却し
て鋳物を得ることを特徴とした。
【0013】このようにすることにより、前記したよう
に、鋳型空隙部内に注湯した溶湯は、捨て湯用空隙部の
溶湯の熱を受けるので、溶湯の中心部と同様に熱の逃げ
場が少なくなり、中心部と同等の冷却速度となる。従っ
て、鋳型空隙部内に入れた溶湯はおよそ全体として均一
な冷却速度となるため、出来上がった鋳物の形状は歪、
捩れ、反り等が小さく精度が高いものとなる。
【0014】また、請求項4記載の発明では、請求項3
記載の鋳物の製造方法において、前記鋳型には、前記鋳
型空隙部に注湯するための湯口が形成されているととも
に、前記捨て湯用空隙部は複数形成されており、前記捨
て湯用空隙部のうち、前記湯口から遠い位置にあるもの
から順に注湯し、すべての前記捨て湯用空隙部に注湯し
た後に、前記湯口から前記鋳型空隙部に注湯することを
特徴とした。
【0015】湯口から注湯された溶湯は、湯道、堰を通
って、鋳型空隙部へ流れ着く。さらに、堰から、即ち湯
口から遠いところへ徐々に流れ、鋳型空隙部内で堰から
最も遠いところへたどり着く。この間、溶湯は湯道や鋳
型空隙部内の底等に冷却され、湯口から最も遠い部分に
たどり着いた時には既にある程度冷却されてしまった状
態にある。そこで、捨て湯用空隙部への注湯は、湯口か
ら遠い部分から順に行っていけば、予めその付近を暖め
ておくことができ、前記冷却されつつある溶湯の冷却を
遅らせ、鋳物の中心部同等の冷却速度とすることができ
る。従って、このような鋳物の製造方法により、鋳物の
歪、捩れ、反り等をより小さくすることができる。
【0016】また、請求項5記載の発明では、溶湯の湯
面が露出する型を使用して鋳物を製造する方法におい
て、鋳型空隙部に注湯し、その後溶湯の湯面を炙りなが
ら、溶湯を冷却し、鋳物を得ることを特徴とした。
【0017】例えば、鋳型を上型、下型の2つで閉じた
構成にするのではなく、下型のみとして、注湯した溶湯
の表面が露出しているような場合は、その露出した表面
から大気中へ熱が放出されるため、露出していない部分
に比べて速く冷却される。従って、溶湯の湯面をガスバ
ーナー等で適宜炙りながら、溶湯を冷却することによ
り、溶湯全体を均一な冷却速度で冷却することができ、
鋳物の歪、捩れ、反り、等を小さくすることができる。
なお、このときの炙り方は、溶湯の表面に熱を与えつつ
も、温度が低下する程度に弱く、若しくは適宜炙るのを
停止して行う必要がある。
【0018】なお、本発明の鋳物の製造方法において、
亜鉛合金を用いてプレス用金型を鋳造するようにする
と、鋳造後の後加工を省略しても必要な寸法精度を得る
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の
形態においては、プレス用金型を鋳造により製造する場
合を例にあげて説明する。図1は、本実施の形態の鋳型
を示す図であり、(a)が平面図、(b)が(a)のX
−X線断面図であり、(c)が斜視図である。また、図
2は、鋳型の他の例を示す縦断面図である。なお、図1
(a)、(b)においては、濃い斜線部が溶湯の入って
いる部分を示している。
【0020】図1(a)から(c)に示すように、鋳型
1は、外形が直方体の砂型であり、その上面に鋳型空隙
部2と捨て湯用空隙部3,3,・・・が形成されて構成
されている。
【0021】鋳型空隙部2は、プレス面(図1(b)に
おける下側の面)にV字の縦溝が形成された金型10が
かたどられる空間である。鋳型空隙部2の長手方向端部
から砂壁を隔てた部分には、鋳型空隙部2に溶湯を注湯
する入口となる湯口5が丸い縦穴として形成されてお
り、湯口5と鋳型空隙部2とは、それぞれの底面より若
干高い位置の堰6によりつながれている。このようにし
て、湯口5に入れられた溶湯は、堰6を通って鋳型空隙
部2内に溜まるようになっている。
【0022】捨て湯用空隙部3は、鋳型空隙部2の平面
視(図1(a)参照)における四つの角の外側に所定間
隔離れてL字の堀状に形成されている。この所定間隔
は、捨て湯用空隙部3と鋳型空隙部2の間の砂壁7,
7,・・・が破損することが無い限度においてなるべく
薄いのが望ましい。
【0023】また、捨て湯用空隙部3の大きさとして
は、小さすぎると熱容量が十分でなく、大きすぎる場合
には冷却速度が低い部分にも熱を与えてしまうので、鋳
型空隙部2の大きさに合わせて適宜設定する。
【0024】四つの捨て湯用空隙部3,3,・・・のう
ち、2つの捨て湯用空隙部3a,3aは湯口5から遠
く、2つの捨て湯用空隙部3b,3bは、湯口5の直近
に位置している。
【0025】捨て湯用空隙部3の深さは、図1(b)に
示すように、鋳型空隙部2の深さより二割程度深く形成
されている。これは、鋳物の四つ角の下端は下方にも熱
が逃げやすく、特に放熱しやすいため、捨て湯用空隙部
3の深さを深くすることにより、鋳型空隙部2の四つ角
の底面付近(図1(b)における1a,1a)にも熱を
与えるのが望ましいからである。従って、できれば捨て
湯用空隙部3の深さは深い方がよい。もちろん、放熱し
やすい冷却速度が大きい部分に、より効果的に熱を与え
るためには、図2に示した鋳型1nのように、鋳型空隙
部2の底面に捨て湯用空隙部3nを回りこませても良
い。なお、捨て湯用空隙部3(3n)は発泡スチロール
により形成した捨て湯用空隙部3(3n)の形状を砂の
中に入れて、砂をそのまま焼き固めることにより形作る
ことができる。この時、発泡スチロールは収縮して容易
に取り出すことができるため、図2のような形状の捨て
湯用空隙部3nも、分割した発泡スチロールで形成させ
れば、容易に形状を出すことができる。
【0026】以上のような鋳型1は、次のような工程の
鋳造により金型10を製造することができる。まず、炉
中で溶かした金属を柄杓41にとり、湯口5から遠い捨
て湯用空隙部である捨て湯用空隙部3a,3aに溶湯を
鋳型1の上面いっぱいまで注湯する(図3(a))。そ
して、次に湯口5に近い捨て湯用空隙部3b,3bに溶
湯を鋳型1の上面いっぱいまで注湯する(図3
(b))。この順番に注湯するのは、湯口5から遠い個
所、今の場合、捨て湯用空隙部3a,3a周辺の溶湯
が、最も速く冷えてしまうので、予め温めておくためで
ある。
【0027】次に、溶湯を取瓶42にとり、湯口5に注
湯する。湯口5に入った溶湯は、湯口5、堰6を通って
鋳型空隙部2の底を伝いながら湯口5と反対側の端まで
流れ着く。この間、溶湯は鋳型1の表面に冷やされなが
ら流れるため、捨て湯用空隙部3a,3aがある部分ま
で流れ着くまでに、温度が下がってしまっている。とこ
ろが、捨て湯用空隙部3a,3aがある周辺の砂壁は既
に温められていることから、すぐに凝固し始めることは
ない。
【0028】そして、湯口5に溶湯を続けて注湯するこ
とで、鋳型空隙部2に徐々に溶湯が溜まっていき、鋳型
1の上面いっぱいに溶湯が満たされたところで注湯を終
える。この後、自然冷却により溶湯を凝固させる。
【0029】溶湯は、その周辺で熱が逃げやすいところ
から熱を放出して、温度が下がっていく。熱が逃げやす
いところとは、具体的には、金型10を上面から見た四
隅上下の頂点の部分、次に稜線の部分、そして表面部分
であり、最後に内部が冷却されることになる。これは、
周囲に温度の低い空間が広い位置ほどその温度が低い空
間へ熱が流れるので、頂点、稜線部分のような型に取り
囲まれている位置ほど冷却されやすいからである。ま
た、本実施の形態の鋳型空隙部2のように長手の鋳型空
隙部の場合には、長手の末端ほど型に取り囲まれる空間
が多く、冷却されやすいといえる。さらに、本実施の形
態のように、溶湯の上面が開放されて露出している場合
には、空気の流れによっては上面が冷やされるため、露
出している部分が冷却されやすい場合がある。
【0030】ところが、本実施の形態では、鋳型空隙部
2の上面から見た四隅(金型10でいう四つの角)の周
辺に捨て湯をして熱源を与えていることから、従来であ
れば冷却されやすかった金型10の頂点及び稜線を含む
四つの角が、熱源に取り囲まれ、金型10の内部と似た
ような環境になっている。そのため、従来冷却されやす
く、内部よりかなり早く凝固していた部分についても、
金型10の内部と同様な冷却速度となって、凝固、収縮
が全体的に均一に進むようになっている。
【0031】溶湯(金型10)全体に凝固、冷却が進ん
でくると、収縮により、金型10の体積が減少してく
る。そのため、図4(b)に示すように、金型10の、
露出した上面をガスバーナー43で炙りながら溶湯を追
い湯する。こうすることにより、金型10の本来の形状
を得ることができるとともに、冷却されやすい上面に熱
を与えて、冷却速度を調節することができる。なお、金
型10の中心部分と上面部分との冷却速度の差を小さく
して、巣の発生を抑止することもできる。
【0032】溶湯の全体が凝固するまで冷却されたなら
ば、金型10を鋳型1から取り出す。取り出す時の温度
は、高い温度で取り出した方が、この後の矯正のために
は有利であるが、取り出すときに破損する心配がない温
度を選択する必要がある。なお、捨て湯用空隙部3a,
3bから取り出された鋳造物は、別の鋳物の製造のため
に再利用することができる。
【0033】次に、取り出した金型10の裏面10cを
平坦にフライス等で機械加工する(図5(a)参照)。
これは矯正の精度を良くするためであり、鋳物が必要な
精度に応じて省略することもできる。そして、鋼製の長
細いブロックからなる矯正台31,32に、金型10の
表側にあたる型の面の両端に設けられた平坦面10a,
10bを合わせて伏せるように置き、矯正力を金型10
に均一にかけるための鋼製の敷板33,33,・・・を
金型10に載せ、さらにその上から第1矯正ブロック3
4,34,・・・、さらにまたその上に第2矯正ブロッ
ク35,35を置いて、第2矯正ブロック35,35を
2基のプレス36,36でそれぞれ押さえつける。な
お、前記平坦面10a,10bは金型10の裏面10c
と平行になっている。
【0034】このように押さえつけて矯正している間
は、矯正力による鋳物の陥没等による変形を防ぐため、
風をあてる等して早く冷却し、早めに硬くするのが望ま
しい。矯正後、金型10の裏面に変形が生じた場合に
は、裏面を再び数mm程度機械加工して平坦面を出せば
良い。金型10を単体で製造して矯正する場合には、こ
のように矯正台31,32上で矯正を行うが、対となる
型と合わせて矯正するのがより望ましい。その場合、次
のようにして矯正を行う。例えば、金型10が上型だっ
た場合には、合わせる型となる下型11を予め前記した
鋳造、矯正方法により製造しておく。そして、下型を上
型の温度と同程度に温めた後、図5(b)に示すよう
に、表側の型の面を上に向けた下型11の上に上型10
を合わせて載置する。そして、敷板33,33,・・・
を金型10に載せ、第1矯正ブロック34,34,・・
・、第2矯正ブロック35,35を金型(上型)10の
上に載置し、第2矯正ブロック35,35をプレス3
6,36でそれぞれ、押さえつけることにより、矯正を
行う。このように、プレス用の金型においては、組み合
わせて使用する相手方の型と合わせて矯正することによ
り、より形状、寸法の精度を高くすることができる。
【0035】以上のように、本発明の鋳型を使用して鋳
物を製造することにより、鋳物の歪、捩れ、反り等を低
減させることができる。
【0036】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明は前記実施の形態には限定されない。例え
ば、捨て湯用空隙部は、上面から見た鋳型空隙部の四隅
に設けるのみならず、鋳物の各稜線の周囲に設けても良
い。また、実施の形態においては、上面が露出した砂型
でのみ説明したが、上型、下型を合わせた砂型であって
も良いし、金型であっても同様に効果がある。
【0037】さらに、ガスバーナーによる加熱、フライ
ス加工、矯正の工程は、鋳物の精度として必要な精度を
満たすことができれば、省略しても良く、捨て湯のみに
よっても、相応の効果を得ることは可能である。
【0038】また、本実施の形態では、捨て湯用空隙部
を有する鋳型を使用した鋳造方法のみを示したが、捨て
湯用空隙部がない鋳型を使用して、溶湯の表面をガスバ
ーナーで炙りながら、溶湯を冷却しても、相応の効果を
得ることができる。
【0039】
【実施例】本発明の効果を確認した実施例について以下
に説明する。前記した実施の形態で説明した手順に従
い、縦950mm、横250mm、高さ100〜130
mmのプレス用金型を亜鉛合金を材料として砂型で鋳造
して製造した。亜鉛合金は、亜鉛に対して主にアルミニ
ウム6.4質量%、銅2.0質量%、マグネシウム0.
037質量%、ベリリウム0.010質量%等を添加し
た合金(株式会社市川金属製AZ−5)を使用してい
る。なお、この亜鉛合金は凝固点は320℃である。鋳
造に使用する型は、実施の形態において説明した図1の
ような砂型を用いた。
【0040】炉中で亜鉛合金を509℃で溶解し、これ
を柄杓にとり、捨て湯用空隙部の湯口から遠い部分から
順に注湯した。その後、溶湯を取瓶にとって湯口へ注湯
した。なお、取瓶にとった段階で溶湯は490℃であっ
た。捨て湯用空隙部への注湯の後すぐに鋳型空隙部への
注湯を同様にして行った。注湯を終了した時点で、捨て
湯用空隙部の溶湯の温度は490℃、鋳型空隙部の溶湯
の温度は400℃であった。
【0041】その後室温で自然冷却し、約20分後から
ガスバーナーで表面を炙りながら適宜追い湯を行い、冷
却開始から4時間後にこれを中止した。冷却開始から約
4時間10分後に砂を落として、金型を取り出した。こ
のときの金型の温度は約240〜250℃であった。
【0042】冷却開始から約4時間30分後に型の裏面
をフライス加工で平坦にした。そして、冷却開始から約
5時間後から実施の形態で説明したように図5(a)に
示した50tのプレス2基で矯正を開始し、室温までの
冷却を開始した。矯正開始から16時間40分後に矯正
を外して、金型(下型)を得た。
【0043】同様の条件により、対となる上型を鋳造
し、型の裏面を平坦にフライス加工した後に、前記下型
をガスバーナーで198℃に加熱し、下型と上型の型の
面を合わせて、実施の形態において説明したように、図
5(b)に示した状態で50tのプレス2基で矯正をし
た。このときの上型の温度は175℃であった。
【0044】矯正開始から14時間後、矯正を終了し、
上型、下型一対の金型を得た。この金型の歪を、型の合
わせ面の隙間の大きさとして測定した。その結果、図6
に示すように、上型と下型の合わせ面において、最大で
0.30mmの隙間が測定された。
【0045】《比較例1》前記実施例の金型と同じ形
状、大きさの金型(下型)を、鋳型空隙部の周囲に捨て
湯空隙部を設けることなく同じ温度条件で鋳造し、裏面
をフライス加工後、矯正はせずに製造した。これを、上
型のモデルと合わせてみたところ、モデルとの合わせ面
で最大3.8mmの隙間が開いていた。
【0046】《比較例2》前記実施例と同じ材質、形状
の金型(下型)の裏面に若干の肉抜きを設け、鋳型に捨
て湯用空隙部を設けずに、同じ温度条件で鋳造した。鋳
造後、前記実施例と同じ条件で矯正を行い、鋳物を得
た。これを上型のモデルと合わせてみたところ、モデル
との合わせ面で最大1.05mmの隙間が開いていた。
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば次の
ような顕著な効果を奏する。請求項1記載の鋳型によれ
ば、捨て湯用空隙部に注湯して鋳造時の冷却温度を鋳物
全体に均一化することで、鋳物の歪、反り、捩れ等を小
さくすることができる。これにより、鋳物の後加工を少
なく、場合によっては無くすことができ、生産コストを
低下させることが可能である。また、請求項2記載の鋳
型によれば、鋳型空隙部の底側にも熱を回りこませて、
より効果的に鋳物の歪、反り、捩れ等を小さくさせるこ
とができる。さらに、請求項3記載の鋳型を用いた鋳物
の製造方法によれば、捨て湯用空隙部に注湯を行うこと
で、冷却速度が大きくなってしまう部分に熱を与え、全
体的に均一な冷却速度とすることで、鋳物の歪、反り、
捩れ等を小さくすることができる。また、請求項4記載
の鋳型を用いた鋳物の製造方法によれば、溶湯が冷えや
すい捨て湯用空隙部から順に注湯をすることで、より均
一な冷却速度として、鋳物の歪、反り、捩れ等を小さく
することができる。また、請求項5記載の鋳型を用いた
鋳物の製造方法によれば、溶湯の湯面が露出するような
鋳型においても、均一な冷却速度とすることができ、鋳
物の歪、反り、捩れ等を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の鋳型を示す図であり、(a)が
平面図、(b)が(a)のX−X線断面図、(c)が斜
視図である。
【図2】鋳型の他の例を示す図1(a)のX−X断面に
相当する図である。
【図3】本発明の鋳物の製造方法の工程を示す図であ
り、(a)は湯口から遠い捨て湯用空隙部に注湯する工
程、(b)は湯口から近い捨て湯用空隙部に注湯する工
程である。
【図4】本発明の鋳物の製造方法の工程を示す図であ
り、(a)は湯口に注湯する工程、(b)は溶湯の表面
を加熱しながら追い湯をする工程である。
【図5】鋳造後の金型を矯正する工程を示す図であり、
(a)は上型のみを矯正する場合、(b)は上型と下型
を合わせて矯正する場合である。
【図6】実施例の結果を示す図である.
【符号の説明】
1 鋳型 2 鋳型空隙部 3(3a,3b) 捨て湯用空隙部 5 湯口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯を注湯して鋳物を成型する鋳型空隙
    部が形成された鋳型において、 前記鋳型空隙部に注湯された溶湯のうちの冷却速度が大
    きい部分から所定間隔離れて、捨て湯用空隙部が形成さ
    れていることを特徴とする鋳型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋳型において、前記捨て
    湯用空隙部は前記鋳型空隙部より深いことを特徴とする
    鋳型。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の鋳型を用いた鋳物の製造
    方法であって、前記捨て湯用空隙部と前記鋳型空隙部に
    注湯し、その後冷却して鋳物を得ることを特徴とする鋳
    型を用いた鋳物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の鋳物の製造方法におい
    て、前記鋳型には、前記鋳型空隙部に注湯するための湯
    口が形成されているとともに、前記捨て湯用空隙部は複
    数形成されており、 前記捨て湯用空隙部のうち、前記湯口から遠い位置にあ
    るものから順に注湯し、すべての前記捨て湯用空隙部に
    注湯した後に、前記湯口から前記鋳型空隙部に注湯する
    ことを特徴とする鋳型を用いた鋳物の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶湯の湯面が露出する型を使用して鋳物
    を製造する方法において、鋳型空隙部に注湯し、その後
    溶湯の湯面を炙りながら、溶湯を冷却し、鋳物を得るこ
    とを特徴とする鋳型を用いた鋳物の製造方法。
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