JP2002258897A - 雑音抑圧装置 - Google Patents

雑音抑圧装置

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JP2002258897A
JP2002258897A JP2001052485A JP2001052485A JP2002258897A JP 2002258897 A JP2002258897 A JP 2002258897A JP 2001052485 A JP2001052485 A JP 2001052485A JP 2001052485 A JP2001052485 A JP 2001052485A JP 2002258897 A JP2002258897 A JP 2002258897A
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Kensaku Fujii
健作 藤井
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、通信機器その他の多様な装置に搭
載され、かつ所望の信号に重畳された雑音を抑圧する雑
音抑圧装置に関し、その信号に重畳された雑音のスペク
トルの如何にかかわらず、その雑音が安定に、かつ確度
高く抑圧されることを目的とする。 【解決手段】 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己
相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その
雑音の成分を予測残差として得る信号分析手段11と、
雑音の周波数スペクトルが予め与えられ、かつ信号分析
手段11によって得られた雑音の成分をその周波数スペ
クトルを平坦化可能な濾波特性で濾波し、再生雑音を出
力する雑音再生手段12と、重畳信号と雑音再生手段1
2によって出力された再生雑音との差をとり、信号の成
分を得る雑音抑圧手段13とを備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信機器その他の
多様な装置に搭載され、かつ所望の信号に重畳された雑
音を抑圧する雑音抑圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの車両が走行するトンネル内に設置
された非常用電話機の送話器には、送話者によって発せ
られた音声に併せて、車両、換気設備その他によって発
生し、かつレベルが高い騒音が定常的にあるいは間欠的
に到来する。さらに、この騒音は、送話器から防側音回
路を介して受話器に回り込むために、通話相手によって
発せられた音声に重畳して送話者の耳に音響信号として
伝えられる。
【0003】したがって、このような非常用電話機を含
んでなる多くの通信系では、騒音による通話品質(SN
比)の劣化を軽減する雑音抑圧装置が電話機等に搭載さ
れている。図13は、従来の雑音抑圧装置の構成例を示
す図である。図において、図14(a) に示す音声信号に
既述の騒音等の雑音が重畳されてなる重畳信号(図14
(b))は、減算器91、線形予測フィルタ92および係数
更新部93の一方の入力に与えられる。減算器91の出
力は係数変更回路93の他方の入力に接続され、その係
数更新部93の第一の出力は線形予測フィルタ92の係
数入力に接続される。線形予測フィルタ92の出力は減
算器91の他方の入力に接続され、その線形予測フィル
タ92の出力には、後述する出力信号が得られる。
【0004】なお、以下では、上述した音声信号、雑
音、音声の成分および予測残差の瞬時値については、時
系列jに対してそれぞれXj、Nj、Xj'、Ejと表されると
仮定する。さらに、係数更新部93によって線形予測フ
ィルタ92の係数入力に与えられる係数については、そ
の線形予測フィルタ92のタップ数Iと上述した時系列
jとに対して下記のベクトルHjとして表されると仮定
する。
【0005】Hj=[Hj(1) …Hj(I)T ・・・(1) このような構成の雑音抑圧装置では、線形予測フィルタ
92は、例えば、トランスバーサルフィルタとして構成
され、かつ時系列の順にそのトランスバーサルフィルタ
の各段に保持された標本値と上述した係数Hj との積和
として、「その時系列の順に後続して入力される重畳信
号の成分の内、既述の音声の成分の瞬時値Xj'の列から
なり、かつ音声信号の瞬時値Xj の予測値に相当する出
力信号」を出力する。
【0006】一方、減算器91は、既述の重畳信号の瞬
時値とこの瞬時値Xj'との差をとることによって、予測
残差の瞬時値Ej を求める。係数更新部93は、例え
ば、上述した音声信号の瞬時値の変化に精度よく追従可
能な適応アルゴリズムに基づいて、その瞬時値Ej の自
乗和が最小となる値に係数Hj を適宜更新する。また、
このような適応アルゴリズムによれば、係数Hjは、線
形予測フィルタ92と係数更新部93とが連係して行う
演算の下で重畳信号の自己相関関数に関係する値に収束
する。
【0007】さらに、線形予測フィルタ92は、段数が
「256」と大きな値であるトランスバーサルフィルタ
として構成されるので、例えば、図15に示すように、
音声信号に含まれる母音の成分の線スペクトルが分布す
る帯域に通過域を有する先鋭な櫛型フィルタとして機能
する。また、公知のスペクトルサブトラクション法が適
用された雑音抑圧装置との対比においては、係数更新部
93によって行われる演算は、時間領域と周波数領域と
の間における双方向の変換処理が何ら行われることなく
達成され、かつ雑音のパワースペクトルが既知でなくて
も可能である。
【0008】したがって、線形予測フィルタ92によっ
て上述した積和として出力される瞬時値Xj'は、重畳信
号に含まれる音声信号の瞬時値Xj を精度よく示す。す
なわち、従来例では、音声信号に定常的にあるいは間欠
的に高いレベルの雑音が重畳する場合であっても、その
雑音が安定に抑圧されるので、図14(c) に示すよう
に、SN比が改善され、かつ通話品質が高められる。
【0009】なお、上述した従来例の構成および作用の
詳細については、平成11年12月13日付けで本願と
同一の出願人によって出願された「騒音抑圧装置」に記
載される通りである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来例では、重畳信号に含まれる雑音の成分の内、例え
ば、周波数スペクトルの偏りや偏差に相当する成分は音
声信号と同様に瞬時値の列の自己相関が高いために、大
半が上述した瞬時値Xj' の列として線形予測フィルタ
92によって出力される。
【0011】すなわち、重畳信号に実際に含まれる雑音
が有色雑音である場合であっても、減算器91によって
予測残差Ej として出力される雑音のスペクトルが平坦
化されるために、SN比は必ずしも十分には改善されな
かった。本発明は、信号に重畳された雑音のスペクトル
の如何にかかわらず、その雑音が安定に、かつ確度高く
抑圧される雑音抑圧装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明にかかわ
る第一の雑音抑圧装置の原理ブロック図である。請求項
1に記載の発明では、信号分析手段11は、重畳信号に
含まれる信号と雑音との自己相関の相違に基づいてこの
信号の瞬時値を予測し、その雑音の成分を予測残差とし
て得る。雑音再生手段12は、上述した雑音の周波数ス
ペクトルが予め与えられ、かつ信号分析手段11によっ
て得られた雑音の成分をその周波数スペクトルを平坦化
可能な濾波特性の逆の濾波特性で濾波することによっ
て、再生雑音を出力する。雑音抑圧手段13は、上述し
た重畳信号と雑音再生手段12によって出力された再生
雑音との差をとることによって、信号の成分を得る。
【0013】すなわち、雑音再生手段12は、重畳信号
に含まれ、かつ信号分析手段11によって一旦白色雑音
に変換された雑音の成分の周波数スペクトルを復元す
る。したがって、重畳信号に含まれる雑音は、白色雑音
と有色雑音との何れである場合であっても雑音抑圧手段
13によって精度よく抑圧される。
【0014】請求項2に記載の発明では、信号分析手段
11Aは、重畳信号に含まれる信号と雑音との自己相関
の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その予測
を実現する濾波処理に適用された濾波特性を求めると共
に、この雑音の成分を予測残差として得る。雑音再生手
段12Aは、このようにして得られた雑音の成分を信号
分析手段11Aによって求められた濾波特性の逆の濾波
特性で濾波することによって、再生雑音を出力する。雑
音抑圧手段13Aは、上述した重畳信号と雑音再生手段
12Aによって出力された再生雑音との差をとることに
よって、信号の成分を得る。
【0015】すなわち、雑音再生手段12Aは、重畳信
号に含まれる信号と雑音とのレベル、周波数スペクトル
その他の特性が変動し得る場合であっても、その雑音を
精度よく安定に復元する。したがって、上述した濾波特
性が何ら更新されることがない請求項1に記載の発明に
比べて、SN比が安定に、かつ高く維持される。
【0016】図2は、本発明にかかわる第二の雑音抑圧
装置の原理ブロック図である。請求項3に記載の発明で
は、信号分析手段11は、重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予
測し、その雑音の成分を予測残差として得る。雑音再生
手段12Bは、このようにして得られた信号の成分のレ
ベルを最小とする適応制御の下で濾波特性を求め、かつ
信号分析手段11によって得られた雑音の成分にその濾
波特性に基づいて濾波処理を施すことによって再生雑音
を出力する。雑音抑圧手段13Bは、上述した重畳信号
と雑音再生手段12Bによって出力された再生雑音との
差をとることによって信号の成分を得る。
【0017】上述した再生雑音は、雑音再生手段12B
と雑音抑圧手段13Bとが連係することによって行われ
るフィードバック制御の下で更新される濾波特性で濾波
処理が行われることによって、得られる。したがって、
構成の自由度が確保され、かつ重畳信号に含まれる雑音
および信号の特性が変動し得る場合であっても、重畳信
号に含まれる雑音が精度よく抑圧される。
【0018】図3は、本発明にかかわる第三の雑音抑圧
装置の原理ブロック図である。請求項4に記載の発明で
は、信号分析手段11は、重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予
測し、その雑音の成分を予測残差として得る。雑音分析
手段14は、上述した信号と雑音との自己相関の相違に
基づいて上述した雑音の瞬時値を予測し、その予測を実
現する濾波処理に適用された濾波特性を求める。雑音再
生手段12Cは、信号分析手段11によって得られた雑
音の成分を雑音分析手段14によって求められた濾波特
性の逆の濾波特性で濾波することによって再生雑音を出
力する。雑音抑圧手段13Cは、上述した重畳信号と雑
音再生手段12Cによって出力された再生雑音との差を
とることによって信号の成分を得る。
【0019】すなわち、再生雑音を得るために雑音再生
手段12Cが行う濾波処理に適用される濾波特性は、重
畳信号に含まれる信号の瞬時値の予測を実現する濾波処
理に適用される濾波特性ではなく、その信号に重畳され
た雑音の瞬時値の予測を実現する濾波特性の逆の濾波特
性に設定される。したがって、重畳信号に含まれる信号
の非定常性と雑音の定常性とが顕著である限り、SN比
がさらに安定に高く維持される。
【0020】図4は、本発明にかかわる第四の雑音抑圧
装置の原理ブロック図である。請求項5に記載の発明で
は、予測濾波手段20-1〜20-nでは、これらの予測濾
波手段20-1〜20-nに個別備えられた信号分析手段2
1と付加処理手段22とは、並行して下記の通りに連係
する。信号分析手段21は、入力された重畳信号に含ま
れる信号と雑音との自己相関の相違に基づいてその信号
の瞬時値を予測し、この信号に重畳された雑音の成分を
予測残差として得ると共に、これらの瞬時値の列からな
る信号の成分を得る。付記処理手段22は、このように
して得られた雑音の成分と「1」未満の定数との積と上
述した信号の成分との和をとり、その結果を雑音の残留
分を含む重畳信号として後段の予測濾波手段に与え、あ
るいは出力する。
【0021】すなわち、予測濾波手段20-1〜20-n
は、個別に備えられた信号分析手段21によって予測さ
れた信号の成分に伴う誤差を軽減しつつ、その信号と共
に重畳信号に含まれる雑音の成分を段階的に抑圧する。
したがって、上述した信号の瞬時値を予測するために信
号分析手段21が行うべき濾波処理の手順にかかわる制
約が軽減され、かつSN比が安定に高く維持される。
【0022】請求項2に記載の発明の第一の下位概念の
発明では、信号分析手段11Aは、外部から通知され、
かつ重畳信号に雑音のみが含まれる期間に限ってその重
畳信号の自己相関に基づいてこの雑音の瞬時値を予測
し、その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性
を求める。雑音再生手段12Aは、このようにして得ら
れた雑音の成分をその信号分析手段11Aに求められた
最新の濾波特性の逆の濾波特性で濾波することによって
再生雑音を出力する。
【0023】すなわち、このような逆の濾波特性は、信
号分析手段11Aによって求められた濾波特性に基づい
て得られるので、その信号分析手段11A以外の手段に
よって間接的に、あるいは理論的に求められる場合に比
べて、この信号分析手段11Aの構成や固有の特性に柔
軟に整合した値となる。したがって、特性の偏差に対す
る柔軟な適応が可能となり、かつSN比が安定に高く維
持される。
【0024】請求項2に記載の発明の第二の下位概念の
発明では、信号分析手段11Aは、時系列の順に求めら
れた濾波特性を平滑化することによって平滑濾波特性を
求める。雑音再生手段12Aは、信号分析手段11Aに
よって得られた雑音の成分をこのようにして求められた
最新の平滑濾波特性の反対の濾波特性で濾波するとによ
って再生雑音を出力する。
【0025】すなわち、重畳信号に含まれる信号と雑音
との双方もしくは何れか一方のレベルや周波数スペクト
ルが変動し得る場合であっても、上述した再生雑音は安
定に得られ、かつ信号分析手段11Aはその信号の瞬時
値を精度よく予測することができ。したがって、信号に
重畳された雑音は、安定に、かつ確度高く抑圧される。
【0026】請求項4に記載の発明の第一の下位概念の
発明では、雑音分析手段14は、外部から通知され、か
つ重畳信号に雑音のみが含まれる期間に限ってその重畳
信号の自己相関に基づいてこの雑音の瞬時値を予測し、
その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性を求
める。雑音再生手段12Cは、このようにして得られた
雑音の成分を雑音分析手段14に求められた最新の濾波
特性の逆の濾波特性で濾波することによって再生雑音を
出力する。
【0027】すなわち、このような逆の濾波特性は、雑
音分析手段14によって求められた濾波特性に基づいて
得られるので、その雑音分析手段14以外の手段によっ
て間接的に、あるいは理論的に求められる場合に比べ
て、この雑音分析手段14の構成や固有の特性に柔軟に
整合した値となる。したがって、特性の偏差に対する柔
軟な適応が可能となり、かつSN比が安定に高く維持さ
れる。
【0028】請求項4に記載の発明の第二の下位概念の
発明では、雑音分析手段14は、時系列の順に求められ
た濾波特性を平滑化することによって平滑濾波特性を求
める。雑音再生手段12Cは、信号分析手段11によっ
て得られた雑音の成分をこのようにして求められた最新
の平滑濾波特性の反対の濾波特性で濾波することによっ
て再生雑音を出力する。
【0029】すなわち、重畳信号に含まれる信号と雑音
との双方もしくは何れか一方のレベルや周波数スペクト
ルが変動し得る場合であっても、上述した再生雑音は安
定に得られ、かつ雑音分析手段14はその雑音の瞬時値
を精度よく予測することができる。したがって、信号に
重畳された雑音は、安定に、かつ確度高く抑圧される。
【0030】請求項1ないし請求項5に関連した第一の
発明では、雑音抑圧手段13、13A、13B、13C
は、雑音再生手段12、12A、12B、12Cによっ
て出力された再生雑音のレベルの偏差を補正しつつ重畳
信号との差をとり、その重畳信号に含まれる信号の成分
を得る。すなわち、信号分析手段11、11Aと雑音再
生手段12、12A、12B、12Cとの双方もしくは
何れか一方で行われる演算の過程で何らかの誤差が発生
し、そのために上述した再生雑音のレベルに偏差が生じ
得る場合であっても、この雑音は安定に確度高く抑圧さ
れる。
【0031】請求項1ないし請求項5に関連した第二の
発明では、信号分析手段11、11Aは、得られた雑音
の成分の自己相関に基づいてこの雑音の成分に残留する
信号の瞬時値を予測し、その残留する信号の成分を得ら
れた予測残差から減じることによってこの予測残差の精
度を高める。このような予測残差として得られ、かつ再
生雑音を得るために適用されるべき雑音の成分に含まれ
る信号の成分は、上述したように信号分析手段11、1
1Aによって少なくとも2回以上に亘って反復して行わ
れる濾波処理の過程で段階的に抑圧される。
【0032】したがって、このような濾波処理の過程で
生じる遅延が許容され、あるいは補償され得る限り、そ
の濾波処理を実現する濾波特性の適正化が容易となり、
かつ所望のSN比が確度高く達成される。請求項1ない
し請求項4に記載の発明に関連した記録媒体は、信号分
析手段11、11A、雑音再生手段12、12A、12
B、12C、雑音抑圧手段13、13A、13B、13
Cおよび雑音分析手段14の全てまたは一部としてコン
ピュータを機能させるためのプログラムが記録され、か
つコンピュータ読み取り可能である。
【0033】このようなプログラムは、上述したコンピ
ュータによって実行されるべきソフトウエアまたはその
コンピュータに組み込まれたマイクロプログラムとして
構成され、このようなコンピュータとは別体の着脱可能
な記憶媒体に記録されることによって流通し得る。した
がって、本発明にかかわる記憶媒体からこのようなプロ
グラムを読み取ってする実行するコンピュータは、請求
項1ないし請求項4の何れか1項に記載された雑音抑圧
装置の構成要素となる。
【0034】請求項5に記載の発明に関連した記録媒体
は、予測濾波手段20、信号分析手段21および付加処
理手段22の全てあるいは一部としてコンピュータを機
能させるためのプログラムが記録され、かつコンピュー
タ読み取り可能である。このようなプログラムは、上述
したコンピュータによって実行されるべきソフトウエア
またはそのコンピュータに組み込まれたマイクロプログ
ラムとして構成され、このようなコンピュータとは別体
の着脱可能な記憶媒体に記録されることによって流通し
得る。
【0035】したがって、本発明にかかわる記憶媒体か
らこのようなプログラムを読み取ってする実行するコン
ピュータは、請求項5に記載された雑音抑圧装置の構成
要素となる。請求項1ないし請求項4に記載の発明に関
連したプログラムは、信号分析手段11、11A、雑音
再生手段12、12A、12B、12C、雑音抑圧手段
13、13A、13B、13Cおよび雑音分析手段14
の全てまたは一部としてコンピュータを機能させる。
【0036】したがって、本発明にかかわるプログラム
を実行するコンピュータは、請求項1ないし請求項4の
何れか1項に記載された雑音抑圧装置の構成要素とな
る。請求項5に記載の発明に関連したプログラムは、予
測濾波手段20、信号分析手段21および付加処理手段
22の全てまたは一部としてコンピュータを機能させ
る。
【0037】したがって、本発明にかかわるプログラム
を実行するコンピュータは、請求項5に記載された雑音
抑圧装置の構成要素となる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態について詳細に説明する。
【0039】図5は、本発明の第一、第二、第五ないし
第七の実施形態を示す図である。図において、線形予測
分析部31の入力と減算器32の一方の入力とには雑音
が所定の信号に重畳されてなる重畳信号が与えられ、そ
の線形予測分析部31の出力は逆フィルタ33を介して
減算器32の他方の入力に接続される。逆フィルタ33
の係数入力には後述する係数Hj が予め与えられ、かつ
減算器32の出力には重畳信号の成分の内、上述した雑
音の成分が抑圧されてなる出力信号が得られる。
【0040】線形予測分析部31の構成については、図
14に示す雑音抑圧装置の構成と基本的に同じであるの
で、ここではその説明を省略する。なお、逆フィルタ3
3の入力に接続される線形予測分析部31の出力は、そ
の線形予測分析部31を構成する要素の内、線形予測フ
ィルタ92ではなく、減算器91の出力である。以下、
図5を参照して本発明の第一の実施形態の動作を説明す
る。
【0041】逆フィルタ33の係数入力には、重畳信号
に上述した信号と雑音との成分が定常的に含まれる状態
において、これらの信号および雑音の振幅分布、周波数
スペクトルその他の性質の定常性が確実に反映される程
度に長時間に亘って係数更新部93によって更新され、
その定常性に整合した収束値として予め求められた係数
j が与えられる。
【0042】一方、線形予測分析部31は、重畳信号の
成分の内、雑音の成分を示し、時系列jに対して瞬時値
j の列として与えられる予測残差を従来例と同様にし
て出力する。逆フィルタ33は、既述の係数Hj に対し
て下式で示される伝達関数(濾波特性)Zでこの予測残
差を濾波することによって、瞬時値ej の列で与えられ
る補正予測残差を出力する。
【0043】Z=1/Hj ・・・(2) ところで、重畳信号に含まれる雑音の成分の内、周波数
スペクトルの分布の偏りや偏差に相当する成分は、係数
更新部93によって求められた係数に応じて線形予測フ
ィルタ92が行う濾波処理の過程では、その重畳信号に
含まれる信号と雑音とが既述の通りに定常であっても、
瞬時値の列の自己相関が高いために抑圧され難い。した
がって、減算器91によって出力される予測残差Ej
は、重畳信号に含まれる雑音が有色雑音であっても白色
雑音として得られる。
【0044】しかし、逆フィルタ33は、上式(2) で示
されるように、線形予測分析部31で行われた濾波処理
を可逆的に実現する濾波特性Zに基づいてこの白色雑音
(予測残差Ej)を濾波する。したがって、重畳信号に
含まれる有色雑音の成分は、逆フィルタ33によって既
述の補正予測残差の瞬時値ej の列として精度よく復元
される。
【0045】また、重畳信号に含まれる雑音が白色雑音
と見なされ得る場合には、一般に、その雑音の瞬時値の
自己相関はこの雑音が重畳されている信号の瞬時値の自
己相関に比べて著しく低いので、上述した係数Hj で与
えられる伝達特性は雑音が分布する帯域において平坦と
なる。したがって、本実施形態によれば、既述の信号と
雑音との特性が定常であり、これらの特性に整合した係
数Hj が精度よく確実に与えられる限り、その雑音が有
色雑音と白色雑音との何れであっても、図6(a)、(b) に
示すように、従来例に比べてSN比が高められ、かつ安
定に維持される。
【0046】以下、図5を参照して本発明の第二の実施
形態について説明する。本実施形態の特徴は、図5に点
線で示すように、線形予測分析部31に備えられた係数
更新部93が逆フィルタ33の係数入力に直結され、か
つ既述の係数H j の出力に供されるべき第二の出力端子
を有する点にある。以下、本実施形態の動作を説明す
る。
【0047】本実施形態では、係数更新部93によって
更新された最新の係数Hj が逆フィルタ33に与えら
れ、その逆フィルタ33は、この最新の係数Hj に対し
て上式(2) で示される濾波特性Zで既述の予測残差を濾
波することによって、瞬時値e j の列で与えられる補正
予測残差を出力する。このような補正予測残差の瞬時値
j は、逆フィルタ93によって設定され、かつ重畳信
号に実際に含まれる信号と有色雑音との特性に整合した
最新の係数H j に基づいて求められる。
【0048】したがって、この係数Hj が予め定数とし
て与えられる第一の実施形態に比べて、上述した信号と
その信号に重畳された雑音との特性の変動に対する応答
が精度よく柔軟に行われ、かつSN比が安定に高く維持
される。図7は、本発明の第三の実施形態を示す図であ
る。本実施形態と既述の第二の実施形態との構成の相違
点は、下記の点にある。
【0049】・ 線形予測分析部31と共に並行して重
畳信号が与えられる線形予測分析部31Nが備えられ
る。 ・ 逆フィルタ33の係数入力には、線形予測分析部3
1Nの対応する出力が線形予測分析部31の出力に代わ
って直結される。なお、線形予測分析部31Nについて
は、基本的に線形予測分析部31と構成が同じであるの
で、以下では、個々の要素に添え番号として「N」が付
加された同じ符号を付与することとし、ここではその説
明および図示を省略する。
【0050】以下、図7を参照して本実施形態の動作を
説明する。線形予測分析部31に備えられた係数更新部
93は、下記の条件が成立する程度に大きな値のステッ
プサイズμL が適用された適応アルゴリズムに基づいて
線形予測フィルタ92の係数Hj を更新する。 ・ 重畳信号に含まれ、かつ非定常的な(瞬時値の列の
自己相関が低い)音声信号等の信号に対して、線形予測
フィルタ92が柔軟に応答する。
【0051】・ 重畳信号に含まれ、かつ定常な(瞬時
値の列の自己相関が高い)雑音に対しては、線形予測フ
ィルタ92がほとんど応答しない。線形予測フィルタ9
2は、このような係数Hj で示される濾波特性で重畳信
号を濾波することによって、その重畳信号に含まれる音
声等の信号の瞬時値を精度よく示す瞬時値Xj'の列を出
力する。
【0052】一方、線形予測分析部31Nでは、係数更
新部93Nは、下記の条件が成立する程度に小さな値の
ステップサイズμS が適用された適応アルゴリズムに基
づいて線形予測フィルタ92Nに与えられるべき係数H
njを更新する。 (a) 重畳信号に含まれ、かつ定常的な(瞬時値の列の自
己相関が高い)雑音に対して、線形予測フィルタ92N
が柔軟に応答する。
【0053】(b) 重畳信号に含まれ、かつ非定常な(瞬
時値の列の自己相関が低い)音声等の信号に対しては、
線形予測フィルタ92Nがほとんど応答しない。線形予
測フィルタ92Nは、その係数Hnjで示される濾波特性
で重畳信号を濾波することによって、その重畳信号に含
まれる雑音の成分を精度よく抽出する。すなわち、逆フ
ィルタ33に与えられる係数Hnjは、重畳信号に含まれ
る信号の瞬時値を予測する線形予測フィルタ92の濾波
特性ではなく、その信号に重畳された雑音の瞬時値を予
測する線形予測フィルタ92Nの濾波特性を実現する値
に設定される。
【0054】したがって、本実施形態によれば、上述し
た条件(a)、(b) として示されるように、重畳信号に含ま
れる信号の非定常性と雑音の定常性とが顕著であるほ
ど、補正予測残差ej が精度よく得られ、その雑音が確
度高く安定に抑圧される。図8は、本発明の第四の実施
形態を示す図である。本実施形態の特徴は、振幅補正部
34が備えられず、かつ減算器32の出力に直結された
制御端子を有し、かつ出力がその減算器32の他方の入
力に直結された逆フィルタ41が逆フィルタ32に代え
て備えられた点にある。
【0055】逆フィルタ41は、下記の要素から構成さ
れる。 ・ 線形予測分岐部31の出力に入力が直結され、かつ
出力が減算器32の他方の入力に直結されたFIRフィ
ルタ42 ・ 減算器32の出力に入力が直結され、かつ出力がF
IRフィルタ42の係数入力に直結された係数更新部4
3 以下、図8を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0056】係数更新部43は、始動時には、FIRフ
ィルタ42に係数hj として予め与えられた初期値を与
える。FIRフィルタ42は、線形予測分析部31によ
って与えられた予測残差の瞬時値Ej の列にこのような
係数hj で示される濾波特性に基づく濾波処理を施すこ
とによって、補正予測残差ej を出力する。
【0057】係数更新部43は、規定の適応アルゴリズ
ム(例えば、「学習同定法」)に基づいて、上述した係
数hj を減算器32によって出力される出力信号のレベ
ルが最小となる値に適宜更新する。したがって、本実施
形態によれば、重畳信号に含まれる雑音が有色雑音であ
り、その雑音とこの雑音が重畳された信号との特性が変
動し得る場合であっても、上述した予測残差として得ら
れた白色雑音は、線形予測分析部31によって既述の係
数Hj が与えられることなく行われる濾波処理の下で、
重畳信号に実際に含まれる雑音を精度よく示す補正予測
残差ej に変換される。
【0058】以下、図5および図7を参照して本発明の
第五の実施形態の動作を説明する。本実施形態の特徴
は、線形予測分析部31によって行われる下記の処理の
手順にある。線形予測分析部31では、係数更新部93
は、外部から与えられ、かつ重畳信号に雑音のみが含ま
れる期間を示す要求が与えられる期間に限って下記の何
れかの処理を行うことによって、逆フィルタ33に与え
られるべき係数Hj(Hnj)を求める。
【0059】・ 既述の第一ないし第四の実施形態にお
いて線形予測分析部31に備えられた係数更新部93に
よって行われる処理と同じ処理 ・ 既述の第三の実施形態において、線形予測分析部3
1Nに備えられた係数更新部93Nによって行われる処
理と同じ処理 さらに、係数更新部93は、このような期間が経過した
時点には上述した処理の過程で得られた最新の係数H
j(Hnj)を保持し、かつ既述の第二の出力を介してその
最新の係数Hj(Hnj)を逆フィルタ33に与え続ける。
【0060】また、係数更新部93は、このような時点
以降には、既述の第一ないし第四の実施形態において線
形予測分析部31に備えられた係数更新部93によって
行われる処理と同じ処理を継続して行うことによって、
線形予測フィルタ92に与えられるべき係数Hjを適宜
更新する。すなわち、逆フィルタ33に定数として与え
られるべき係数Hj(Hnj)は、重畳信号に雑音のみが含
まれる期間にその逆フィルタ33の前段に実際に配置さ
れた線形予測分析部31によって求められる。
【0061】このように本実施形態によれば、上述した
係数Hj(Hnj)は、その係数Hj(H nj)が線形予測分析
部31以外の機器やソフトウエアによって求められる場
合に比べて、この線形予測分析部31の構成や特性の偏
差に柔軟に整合した値として与えられる。
【0062】したがって、重畳信号に含まれる雑音の特
徴が定常である限り、既述の第一の実施形態に比べて、
補正予測残差ej が精度よく求められ、SN比や伝送品
質が安定に高く維持される。なお、本実施形態は、既述
の第二の実施形態の構成が変更されることによって構成
されている。
【0063】しかし、本発明はこのような構成に限定さ
れず、例えば、図7に示すように既述の第三の実施形態
において、線形予測分析部31Nに備えられた係数更新
部93Nが本実施形態における係数更新部93によって
行われる既述の処理と同じ処理を行うことによって、補
正予測残差ej の精度に併せて、SN比や伝送品質が安
定に高く維持されると共に、消費電力が節減されてもよ
い。
【0064】以下、図5を参照して本発明の第六の実施
形態の動作を説明する。本実施形態の特徴は、線形予測
分析部31に備えられた係数更新部93によって行われ
る下記の処理の手順にある。係数更新部93は、既述の
式(1) で示される係数Hj を更新する処理の過程では、
その線形予測フィルタ92の各段(整数i(=1〜I) で
示される)毎に、時系列jと線形予測フィルタ92の段
数Iとに対応した係数Hj(1)〜Hj(I)を個別に平滑する
ことによって新たな係数Hj を求める。
【0065】なお、このような平滑処理は、時系列の順
に変更して得られた係数に対して適正な重みによる重み
付けが行われる限り、移動平均法、指数平滑法その他の
如何なるアルゴリズムに基づいて行われてもよい。この
ように本実施形態によれば、重畳信号に含まれる信号の
レベルや周波数スペクトルが変動し得る場合であって
も、線形予測分析部31によって得られる予測残差Ej
の値は無用に増減することなく安定に得られる。
【0066】さらに、重畳信号に含まれる雑音のレベル
や周波数スペクトルが変動し得る場合であっても、上述
した平滑処理において実質的な時定数として適用される
係数がこれらのレベルや周波数スペクトルが変動し得る
速度や範囲に整合した値に設定される限り、線形予測フ
ィルタ92の濾波特性(伝達関数)は急変することなく
適正に維持される。
【0067】なお、本実施形態は、既述の第二の実施形
態の構成が変更されることによって構成されている。し
かし、本発明はこのような構成に限定されず、例えば、
図7に示すように既述の第三の実施形態において、下記
の係数更新部の双方もしくは何れか一方が本実施形態に
おいて係数更新部93によって行われる既述の処理と同
じ処理を行うことによって、SN比や伝送品質がさらに
安定に高く維持され、かつ消費電力が節減されてもよ
い。
【0068】・ 線形予測分析部31に備えられた係数
更新部93 ・ 線形予測分析部31Nに備えられた係数更新部93
N 以下、図5を参照して本発明の第七の実施形態について
説明する。本実施形態の特徴は、図5に二点鎖線で示す
ように、逆フィルタ33と減算器32との段間に振幅補
正部34が付加された点にある。
【0069】振幅補正部34は、下記の要素から構成さ
れる。 ・ 一方の入力に重畳信号が与えられ、かつ他方の入力
が逆フィルタ33の出力に直結された相関部35 ・ 逆フィルタ33の出力と相関部35の出力とにそれ
ぞれ直結された2つの入力を有する乗算器36 ・ 逆フィルタ33の出力と乗算器36の出力とにそれ
ぞれ直結された2つの入力を有し、かつ出力が減算器3
2の他方の入力に直結された乗算器37 以下、図5を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0070】振幅補正部34では、相関部35は、重畳
信号と、逆フィルタ33によって出力された補正予測残
差ej との相関をとることによって、両者の相互相関係
数を求める。乗算器36は、補正予測残差ej にこの相
互相関係数を乗じることによって、その補正予測残差e
j と重畳信号との間に生じた不適正なレベルの偏差を時
系列jの順に示す係数αj を算出する。
【0071】さらに、乗算器37は、その係数αj を補
正予測残差ej に乗じることによって、上述したレベル
の偏差を補正する。したがって、本実施形態によれば、
例えば、線形予測分析部31と逆フィルタ33とによっ
て行われる演算の過程で打ち切り誤差、丸め誤差その他
の誤差が発生し、そのために逆フィルタ33によって得
られた補正予測残差ej と、重畳信号に含まれる雑音と
の間に上述したレベルの偏差が生じ得る場合であって
も、その雑音は確度高く安定に抑圧される。
【0072】なお、本実施形態は、既述の第一、第二、
第五および第六の実施形態の何れかに振幅補正部34が
付加されることによって構成されている。しかし、本発
明はこのような構成に限定されず、例えば、図7〜図9
に二点鎖線で付記されるように、既述の第三および第四
の実施形態、あるいは後述する第八の実施形態に振幅補
正部34が付加されることによって構成されてもよい。
【0073】図9は、本発明の第八の実施形態を示す図
である。本実施形態の特徴は、図5に示す線形予測分析
部31に代えて縦続接続された複数の線形予測分析部5
1-1〜51-Pが配置された点にある。なお、線形予測分
析部51-1〜51-Pの基本的な構成は、線形予測分析部
31の構成と同じである。したがって、以下では、その
線形予測分析部31に備えられた減算器91、線形予測
フィルタ92および係数更新部93に相当する要素につ
いては、添え文字「1」〜「P」がそれぞれ付加された
同じ符号で示し、ここではその説明および図示を省略す
る。
【0074】以下、図9を参照して本実施形態の動作を
説明する。まず、以下では、線形予測分析部51-1〜5
1-Pに共通の事項については、添え文字「1」〜「P」
に代えて、これらの添え文字の何れにも該当することを
意味する添え文字「C」を符号に付加することによって
記述する。図5に示す線形予測分析部31では、係数更
新部93は、線形予測フィルタ92の濾波特性を示す係
数Hj を既述の適応アルゴリズムに基づいて順次更新す
る。
【0075】また、線形予測フィルタ92が非巡回型の
フィルタとして構成される場合には、線形予測分析部3
1によって行われる線形予測の精度は、一般に、上述し
た適応アルゴリズムに基づいて行われる適応制御の収束
の速度を決定するステップサイズμが小さいほど高めら
れる。しかし、重畳信号に含まれる信号の変化(例え
ば、その信号が音声信号である場合における音韻の変
化)に対するこの適応制御の応答は、そのステップサイ
ズμが小さいほど遅れる。したがって、このような場合
には、線形予測分析部31によって求められた予測残差
j には雑音の成分に併せて信号の成分が多く含まれ、
その雑音は必ずしも十分には抑圧されない。
【0076】本実施形態に備えられた線形予測分析部5
1-Cでは、係数更新部93-Cは、上述した精度の低下が
回避される程度に大きな値のステップサイズμを適用す
ることによって、線形予測フィルタ92-Cに与えられる
べき係数Hj-C を更新する。すなわち、線形予測分析部
51-Cによって個別に達成される線形予測の精度は低下
するが、このような精度は縦属接続された線形予測分析
部51-1〜51-Pによって段階的に高められる。
【0077】したがって、本実施形態によれば、下記の
条件が満たされる限り、上述した線形予測の精度の向上
に併せて、予測残差Ej に含まれる信号の成分の抑圧が
確実に実現され、SN比がさらに高められる。
【0078】(a) 線形予測分析器51-1〜51-Pにおい
て個別に適用されたステップサイズμの値に整合する値
に、これらの線形予測分析器51-1〜51-Pの段数Pが
設定される。 (b) 線形予測分析器51-1〜51-Pで直列に行われる処
理の演算に要する時間が許容される程度に短く、あるい
はその時間に亘る遅延を補償することが可能である。
【0079】なお、本実施形態は、既述の第一、第二、
第五ないし第七の実施形態の何れかに備えられた線形予
測分析部31が上述した線形予測分析器51-1〜51-P
で代替されることによって構成されている。しかし、本
発明はこのような構成に限定されず、例えば、既述の第
三および第四の実施形態に備えられた線形予測分析部3
1、31Nの双方もしくは何れか一方が上述した線形予
測分析部51-1〜51-Pで代替されることによって構成
されてもよい。
【0080】また、本実施形態では、線形予測分析部5
1-1〜51-Pに適用されたステップサイズμの値が共通
となっている。しかし、本発明はこのような構成に限定
されず、上述した条件(a)、(b) が成立する限り、線形予
測分析部51-1〜51-Pの全てもしくは一部のステップ
サイズは異なる値に設定されてもよい。
【0081】図10は、本発明の第九の実施形態を示す
図である。図において、雑音抑圧モジュール60-1の入
力には既述の重畳信号が与えられ、その雑音抑圧モジュ
ール60-1の出力には雑音抑圧モジュール60-2〜60
-Nが縦続接続され、この雑音抑圧モジュール60-Nの出
力には既述の出力信号が得られる。
【0082】雑音抑圧モジュール60-1は、下記の要素
から構成される。 ・ 既述の線形予測分析部31と構成が同じである線形
予測分析部61-1 ・ 線形予測分析部61-1によって求められた予測残差
j 一方の入力にが与えられ、かつ他方の入力に後述す
る係数kが与えられた乗算器62-1 ・ 線形予測分析部61に備えられた線形予測フィルタ
の出力が一方の入力に直結され、かつ他方の入力に乗算
器62の出力が直結されると共に、最終段として配置さ
れた加算器63-1 なお、線形予測分析部61-1に備えられた減算器、線形
予測フィルタおよび係数更新部については、以下では、
簡単のため、添え文字「1」がそれぞれ付加された符号
「91-1」、「92-1」、「93-1」を付して示す。
【0083】また、雑音抑圧モジュール60-2〜60-N
の構成については、雑音抑圧モジュール60-1の構成と
同じである。したがって、これらの雑音抑圧モジュール
60-2〜60-Nの要素については、以下では、簡単のた
め、対応する符号に添え文字「2」〜「N」を付加して
示す。
【0084】以下、図10を参照して本実施形態の動作
を説明する。まず、線形予測分析部61-1〜61-Nにお
いて行われる処理については、既述の第八の実施形態に
備えられた線形予測分析器51-1〜51-Pで行われる処
理と同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略
する。なお、以下では、線形予測分析部61-1〜61-N
に共通の事項については、これらの線形予測分析部61
-1〜61-Nの何れにも該当することを示す添え文字
「C」が付加された符号を用いて記述する。
【0085】線形予測分析部61-Cでは、線形予測フィ
ルタ92-Cによって出力された信号の成分の瞬時値Xj'
には、係数更新部93-Cによって適用されたステップサ
イズμが如何なる値であっても、その値が定数であり、
かつ既述の音韻等の変化に柔軟に整合する変数としては
与えられないために、誤差が含まれ得る。
【0086】また、線形予測分析部61-C(減算器91
-C)によって得られた予測残差Ej-Cには、重畳信号に
含まれる信号の成分が含まれる。乗算器62-Cは、上述
した誤差とこの信号の成分と比を所望の精度で示す値と
して予め設定された係数k(<1)が与えられ、その係
数kを上述した予測残差Ej-Cに乗じることによって、
絶対値がこの誤差の絶対値にほぼ等しい補正分を含む予
測残差Ej'-Cを出力する。
【0087】加算器63-Cは、その予測残差Ej'-C を
上述した信号の成分の瞬時値Xj'に加えることによっ
て、既述の誤差を軽減する。したがって、本実施形態に
よれば、ステップサイズμの選定にかかわる制約が緩和
され、かつ既述の第八の実施形態に比べてSN比が安定
に高く維持される。なお、本実施形態では、線形予測分
析部61-1〜61-Nの何れにも共通の係数kが適用され
ている。
【0088】しかし、本発明はこのような構成に限定さ
れず、係数kは、下記の条件の内、所望の条件が満たさ
れるならば、線形予測分析部61-1〜61-Nのそれぞれ
に異なる値と同じ値との何れであってもよく、かつ乗算
器62-Cによって行われる乗算の演算対象として係数の
語長(精度)と異なる語長(精度)で与えられてもよ
い。
【0089】・ 最終段の雑音抑圧モジュール61-Nの
出力端において、所望のSN比が達成される。 ・ 雑音抑圧モジュール61-1〜61-Nにおいて個別に
発生した既述の誤差の内、後段の雑音抑圧モジュールに
伝達される誤差の瞬時値、レベルその他が所望の基準を
満たす。
【0090】また、本実施形態では、雑音抑圧モジュー
ル61-1〜61-Nの何れに適用された係数kも「0」に
設定されていない。しかし、本発明はこのような構成に
限定されず、これらの雑音抑圧モジュール60-1〜60
-Nの何れかに適用されるべき係数が「0」と見なされ得
る程度に小さい場合には、該当する雑音抑圧モジュール
は、符号「62」、「63」で示される乗算器および加
算器が備えられることなく、既述の線形予測分析部31
のみとて構成されてもよい。
【0091】さらに、線形予測分析部61-1〜61-(N-
1)の出力に得られる信号に残留する雑音のスペクトルが
平坦化されても、後段に配置された線形予測分析部61
-2〜60-Nによって順次抑圧されることによって達成さ
れるSN比が十分な値である場合には、雑音抑圧モジュ
ール61-1〜61-Nに適用されるべき係数kの全てが
「0」に設定されることが許容されるので、これらの雑
音抑圧モジュール60-1〜60-Nは、図11に示すよう
に、それぞれ線形予測分析部61-1〜61-Nのみから構
成されてもよい。
【0092】また、上述した各実施形態は、騒音が重畳
された音声を示す重畳信号からその騒音の成分を抑圧す
る騒音抑圧装置として構成されている。しかし、本発明
は、このような騒音抑圧装置に限定されず、下記の条件
が満たされるならば、周波数帯の如何にかかわらず、多
様な機器やシステムに適用可能である。
【0093】・ 信号に重畳され、かつ抑圧されるべき
雑音の周波数スペクトルが平坦ではなく、その信号との
分離が予測濾波処理の下で可能である。 ・ ハードウエアのコスト、規模(物理的な寸法を含
む。)、消費電力、熱設計その他にかかわる制約の範囲
で、この濾波処理に必要な処理量の確保が可能である。
【0094】さらに、上述した各実施形態では、図5、
図7〜図11に示す各要素の全てが専用のハードウエア
として構成されている。しかし、本発明はこのような構
成に限定されず、所望の応答性や性能が確保される限
り、これらの要素の全てあるいは一部は、DSP等に搭
載されたソフトウエア(蓄積論理)として実現されても
よい。
【0095】また、上述した各実施形態では、信号に重
畳された雑音として線スペクトル状の成分が含まれる場
合には、例えば、本願と同一の出願人によって平成12
年3月1日付けで出願された「ノッチフィルタ」が併用
されることによって、その雑音が確度高く抑圧されても
よい。さらに、上述した各実施形態では、線形予測フィ
ルタ92、92N、92-1〜92-P(92-N)としてト
ランスバーサルフィルタが適用されている。
【0096】しかし、本発明はこのような構成に限定さ
れず、上述した線形予測フィルタ92、92N、92-1
〜92-P(92-N)は、例えば、図12に示すように、
下記のラティスフィルタ(格子型フィルタ)として構成
されてもよい。 ・ 縦続接続された演算モジュールの列として構成され
る。 ・ 段数I以下の自然数として与えられる番号iと時系
列jとに対応した係数αj(i)、βj(i)に応じて、その時
系列jの昇順(前向き)と降順(後向き)との双方にお
ける重畳信号の瞬時値の相関fj(i)、bj(i)を並行し
て、かつI段に亘って反復してとることによって、これ
らの係数αj(i)、βj(i)の組み合わせとして与えられる
濾波特性に基づく濾波処理を行う。
【0097】・ 段数Iの更新が反復演算の回数として
容易に、かつ柔軟に達成され得る。 ・ 係数αj(i)、βj(i)、演算器および演算結果が格納
されるレジスタ等の語長による丸め誤差に対する感度が
低く、特性が安定であって有限語長による演算に適す
る。また、既述の第二、第三、第五ないし第八の実施形
態に備えられた線形予測フィルタ92、92N、92-1
〜92-Pとしてこのようなラティスフィルタが適用され
た場合には、図12に示すように、そのラティスフィル
タとの対比において、2つの信号の流れの方向が反対で
ある点を除いて構成が同じであるラティスフィルタとし
て逆フィルタ33が構成されることによって、構成の標
準化と簡略化とが図られてもよい。
【0098】さらに、既述の第六の実施形態に備えられ
た線形予測フィルタ92として図12に示すラティスフ
ィルタが適用された場合には、係数Hj(1)〜Hj(I)を個
別に平滑する処理に等価な処理は、例えば、下記の算術
演算として実現される。 (1) ステップサイズμに代わる係数ρ(<1)と、(i−
1)段目において時系列jの昇順と降順とに対応して個別
にとられた相関の結果fj(i-1)、bj-1(i-1)とに対し
て、下記の漸化式で示され、かつこれらの相関の結果に
個別に対応したパワーPj(i)、Qj(i)を算出する。
【0099】 Pj(i)=(1−ρ)fj 2 (i-1)+ρPj(i-1)j(i)=(1−ρ)bj-1 2 (i-1)+ρQj(i-1) (2) 下記の漸化式で示され、かつ上述した相関の結果f
j(i-1)、bj-1(i-1)の相互相関を示す予測係数Cj(i)
算出する。 Cj(i)=(1−ρ)fj(i-1)j-1(i-1)+ρC(i-1) (3) これらのパワーPj(i)、Qj(i)および予測係数C
j(i)に対して下式で示される算術演算を行うことによっ
て、係数αj(i)、βj(i)を求める。
【0100】αj(i)=Cj(i)/Pj(i) βj(i)=Cj(i)/Qj(i) また、本発明は、上述した実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の範囲において、多様な形態による実施
形態が可能であり、かつ構成装置の一部もしくは全てに
如何なる改良が施されてもよい。
【0101】以下、上述した各実施形態に開示された発
明の構成を階層的・多面的に整理し、かつ付記項として
順次列記する。 (付記1) 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己相
関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その雑
音の成分を予測残差として得る信号分析手段11と、前
記雑音の周波数スペクトルが予め与えられ、かつ前記信
号分析手段11によって得られた雑音の成分をその周波
数スペクトルを平坦化可能な濾波特性で濾波し、再生雑
音を出力する雑音再生手段12と、前記重畳信号と前記
雑音再生手段12によって出力された再生雑音との差を
とり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手段13とを備え
たことを特徴とする雑音抑圧装置。
【0102】(付記2) 重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予
測し、その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特
性を求めると共に、この雑音の成分を予測残差として得
る信号分析手段11Aと、前記信号分析手段11Aによ
って得られた雑音の成分をその信号分析手段11Aによ
って求められた濾波特性の逆の濾波特性で濾波し、再生
雑音を出力する雑音再生手段12Aと、前記重畳信号と
前記雑音再生手段12Aによって出力された再生雑音と
の差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手段13A
とを備えたことを特徴とする雑音抑圧装置。
【0103】(付記3) 重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予
測し、その雑音の成分を予測残差として得る信号分析手
段11と、前記信号分析手段11によって得られた雑音
の成分に濾波処理を施し、再生雑音を出力する雑音再生
手段12Bと、前記重畳信号と前記雑音再生手段12B
によって出力された再生雑音との差をとり、前記信号の
成分を得る雑音抑圧手段13Bとを備え、前記雑音再生
手段12Bは、前記雑音抑圧手段13Bによって得られ
た信号の成分のレベルを最小とする適応制御の下で濾波
特性を求め、かつ前記信号分析手段11によって得られ
た雑音の成分にその濾波特性に前記濾波処理を基づいて
施すことを特徴とする雑音抑圧装置。
【0104】(付記4) 重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予
測し、その雑音の成分を予測残差として得る信号分析手
段11と、前記自己相関の相違に基づいて前記雑音の瞬
時値を予測し、その予測を実現する濾波処理に適用され
た濾波特性を求める雑音分析手段14と、前記信号分析
手段11によって得られた雑音の成分を前記雑音分析手
段14によって求められた濾波特性の逆の濾波特性で濾
波し、再生雑音を出力する雑音再生手段12Cと、前記
重畳信号と前記雑音再生手段12Cによって出力された
再生雑音との差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧
手段13Cとを備えたことを特徴とする雑音抑圧装置。
【0105】(付記5) 付記2に記載の雑音抑圧装置
において、信号分析手段11Aは、外部から通知され、
かつ重畳信号に雑音のみが含まれる期間に限ってその重
畳信号の自己相関に基づいてこの雑音の瞬時値を予測
し、その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性
を求め、雑音再生手段12Aは、前記信号分析手段11
Aによって得られた雑音の成分をその信号分析手段11
Aに求められた最新の濾波特性の逆の濾波特性で濾波す
ることによって、再生雑音を出力することを特徴とする
雑音抑圧装置。
【0106】(付記6) 付記4に記載の雑音抑圧装置
において、雑音分析手段14は、外部から通知され、か
つ重畳信号に雑音のみが含まれる期間に限ってその重畳
信号の自己相関に基づいてこの雑音の瞬時値を予測し、
その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性を求
め、雑音再生手段12Cは、信号分析手段11によって
得られた雑音の成分を前記雑音分析手段14に求められ
た最新の濾波特性の逆の濾波特性で濾波することによっ
て、再生雑音を出力することを特徴とする雑音抑圧装
置。
【0107】(付記7) 付記2に記載の雑音抑圧装置
において、信号分析手段11Aは、時系列の順に求めら
れた濾波特性を平滑化することによって平滑濾波特性を
求め、雑音再生手段12Aは、前記信号分析手段11A
によって得られた雑音の成分をその信号分析手段11A
に求められた最新の平滑濾波特性の反対の濾波特性で濾
波することによって、再生雑音を出力することを特徴と
する雑音抑圧装置。
【0108】(付記8) 付記4に記載の雑音抑圧装置
において、雑音分析手段14は、時系列の順に求められ
た濾波特性を平滑化することによって平滑濾波特性を求
め、雑音再生手段12Cは、信号分析手段11によって
得られた雑音の成分を前記雑音分析手段14に求められ
た最新の平滑濾波特性の反対の濾波特性で濾波すること
によって、再生雑音を出力することを特徴とする雑音抑
圧装置。
【0109】(付記9) 付記1ないし付記8の何れか
1項に記載の雑音抑圧装置において、雑音抑圧手段1
3、13A、13B、13Cは、雑音再生手段12、1
2A、12B、12Cによって出力された再生雑音のレ
ベルの偏差を補正しつつ重畳信号との差をとり、その重
畳信号に含まれる前記信号の成分を得ることを特徴とす
る雑音抑圧装置。
【0110】(付記10) 付記1ないし付記9の何れ
か1項に記載の雑音抑圧装置において、信号分析手段1
1、11Aは、得られた雑音の成分の自己相関に基づい
てこの雑音の成分に残留する信号の瞬時値を予測し、そ
の残留する信号の成分を得られた予測残差から減じるこ
とによってこの予測残差の精度を高めることを特徴とす
る雑音抑圧装置。
【0111】(付記11) 重畳信号に信号と共に含ま
れる雑音の成分を段階的に抑圧し、その信号とこの雑音
の残留分とを含む重畳信号を出力する複数の予測濾波手
段20-1〜20-nを備え、前記複数の予測濾波手段20
-1〜20-nは、入力された重畳信号に含まれる信号と雑
音との自己相関の相違に基づいてその信号の瞬時値を予
測し、この信号に重畳された雑音の成分を予測残差とし
て得ると共に、これらの瞬時値の列からなる信号の成分
を得る信号分析手段21と、前記信号分析手段21によ
って得られた雑音の成分と「1」未満の定数との積と、
その信号分析手段21によって得られた信号の成分との
和をとり、その結果を前記雑音の残留分を含む重畳信号
として出力する付加処理手段22とを個別に有すること
を特徴とする雑音抑圧装置。
【0112】(付記12) 付記1ないし付記10の何
れか1項に記載された信号分析手段11、11A、雑音
再生手段12、12A、12B、12C、雑音抑圧手段
13、13A、13B、13Cおよび雑音分析手段14
の全てまたは一部としてコンピュータを機能させるため
のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な
記録媒体。
【0113】(付記13) 付記11の何れか1項に記
載された予測濾波手段20、信号分析手段21および付
加処理手段22の全てあるいは一部としてコンピュータ
を機能させるためのプログラムが記録されたコンピュー
タ読み取り可能な記録媒体。 (付記14) 付記1ないし付記10の何れか1項に記
載された信号分析手段11、11A、雑音再生手段1
2、12A、12B、12C、雑音抑圧手段13、13
A、13B、13Cおよび雑音分析手段14の全てまた
は一部としてコンピュータを機能させるためのプログラ
ム。
【0114】(付記15) 付記11に記載された予測
濾波手段20、信号分析手段21および付加処理手段2
2の全てまたは一部としてコンピュータを機能させるた
めのプログラム。
【0115】
【発明の効果】上述したように請求項1に記載の発明で
は、重畳信号に含まれる雑音は、白色雑音と有色雑音と
の何れである場合であっても精度よく抑圧される。
【0116】また、請求項2に記載の発明では、請求項
1に記載の発明に比べて、SN比が安定に、かつ高く維
持される。さらに、請求項3に記載の発明では、構成の
自由度が確保され、かつ重畳信号に含まれる雑音および
信号の特性が変動し得る場合であっても、SN比が安定
に、かつ高く維持される。
【0117】また、請求項4に記載の発明では、重畳信
号に含まれる信号の非定常性と雑音の定常性とが顕著で
ある限り、SN比がさらに安定に高く維持される。さら
に、請求項5に記載の発明では、信号の瞬時値を予測す
るために行われるべき濾波処理の手順にかかわる制約が
軽減され、かつSN比が安定に高く維持される。
【0118】また、請求項2に記載の発明の第一の下位
概念の発明と請求項4に記載の発明の第一の下位概念の
発明とでは、構成要素の特性の偏差に対する柔軟な適応
が可能となり、かつSN比が安定に高く維持される。さ
らに、請求項2に記載の発明の第二の下位概念の発明と
請求項4に記載の発明の第二の下位概念の発明とでは、
信号に重畳された雑音が安定に、かつ確度高く抑圧され
る。
【0119】また、請求項1ないし請求項5に関連した
第一の発明では、信号分析手段と雑音再生手段との双方
もしくは何れか一方で行われる演算の過程で何らかの誤
差が発生し、そのために再生雑音のレベルに偏差が生じ
得る場合であっても、この雑音は安定に確度高く抑圧さ
れる。さらに、請求項1ないし請求項5に関連した第二
の発明では、濾波処理の過程で生じる遅延が許容され、
あるいは補償され得る限り、その濾波処理を実現する濾
波特性の適正化が容易となり、かつ所望のSN比が確度
高く達成される。
【0120】また、請求項1ないし請求項4に記載の発
明に関連した第一の発明では、本発明にかかわる記憶媒
体からプログラムを読み取ってする実行するコンピュー
タは、それぞれ請求項1ないし請求項4に記載された雑
音抑圧装置の構成要素となる。さらに、請求項1ないし
請求項4に記載の発明に関連した第二の発明では、本発
明にかかわるプログラムを読み取ってする実行するコン
ピュータは、それぞれ請求項1ないし請求項4に記載さ
れた雑音抑圧装置の構成要素となる。
【0121】また、請求項5に記載の発明に関連した第
一の発明では、本発明にかかわる記憶媒体からこのよう
なプログラムを読み取ってする実行するコンピュータ
は、請求項5に記載された雑音抑圧装置の構成要素とな
る。さらに、請求項5に記載の発明に関連した第二の発
明では、本発明にかかわるプログラムを実行するコンピ
ュータは、請求項5に記載された雑音抑圧装置の構成要
素となる。
【0122】したがって、これらの発明が適用された機
器やシステムでは、所望の信号に重畳した雑音はその雑
音の振幅分布、周波数スペクトルその他の多様な特性に
柔軟に適応した濾波処理の下で確度高く安定に抑圧さ
れ、かつ性能および信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる第一の雑音抑圧装置の原理ブ
ロック図である。
【図2】本発明にかかわる第二の雑音抑圧装置の原理ブ
ロック図である。
【図3】本発明にかかわる第三の雑音抑圧装置の原理ブ
ロック図である。
【図4】本発明にかかわる第四の雑音抑圧装置の原理ブ
ロック図である。
【図5】本発明の第一、第二、第五ないし第七の実施形
態を示す図である。
【図6】本実施形態によって達成されるSN比の改善を
示す図である。
【図7】本発明の第三の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の第四の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の第八の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の第九の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の第九の実施形態の他の構成を示す図
である。
【図12】ラティスフィルタとして構成された線形予測
フィルタと逆フィルタとの構成を示す図である。
【図13】従来の雑音抑圧装置の構成例を示す図であ
る。
【図14】従来例によって達成されSN比の改善を示す
図である。
【図15】線形予測フィルタの濾波特性を示す図であ
る。
【符号の説明】 11,11A,21 信号分析手段 12,12A,12B,12C 雑音再生手段 13,13A,13B,13C 雑音抑圧手段 14 雑音分析手段 20 予測濾波手段 22 付加処理手段 31,31N,51,61 線形予測分析部 32,91 減算器 33,41 逆フィルタ 34 振幅補正部 35 相関部 36,37,62 乗算器 42 FIRフィルタ 43,93 係数更新部 60 雑音抑圧モジュール 63 加算器 92 線形予測フィルタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己
    相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その
    雑音の成分を予測残差として得る信号分析手段と、 前記雑音の周波数スペクトルが予め与えられ、かつ前記
    信号分析手段によって得られた雑音の成分をその周波数
    スペクトルを平坦化可能な濾波特性で濾波し、再生雑音
    を出力する雑音再生手段と、 前記重畳信号と前記雑音再生手段によって出力された再
    生雑音との差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手
    段とを備えたことを特徴とする雑音抑圧装置。
  2. 【請求項2】 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己
    相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その
    予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性を求める
    と共に、この雑音の成分を予測残差として得る信号分析
    手段と、 前記信号分析手段によって得られた雑音の成分をその信
    号分析手段によって求められた濾波特性の逆の濾波特性
    で濾波し、再生雑音を出力する雑音再生手段と、 前記重畳信号と前記雑音再生手段によって出力された再
    生雑音との差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手
    段とを備えたことを特徴とする雑音抑圧装置。
  3. 【請求項3】 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己
    相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その
    雑音の成分を予測残差として得る信号分析手段と、 前記信号分析手段によって得られた雑音の成分に濾波処
    理を施し、再生雑音を出力する雑音再生手段と、 前記重畳信号と前記雑音再生手段によって出力された再
    生雑音との差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手
    段とを備え、 前記雑音再生手段は、 前記雑音抑圧手段によって得られた信号の成分のレベル
    を最小とする適応制御の下で濾波特性を求め、かつ前記
    信号分析手段によって得られた雑音の成分にその濾波特
    性に基づいて前記濾波処理を施すことを特徴とする雑音
    抑圧装置。
  4. 【請求項4】 重畳信号に含まれる信号と雑音との自己
    相関の相違に基づいてこの信号の瞬時値を予測し、その
    雑音の成分を予測残差として得る信号分析手段と、 前記自己相関の相違に基づいて前記雑音の瞬時値を予測
    し、その予測を実現する濾波処理に適用された濾波特性
    を求める雑音分析手段と、 前記信号分析手段によって得られた雑音の成分を前記雑
    音分析手段によって求められた濾波特性の逆の濾波特性
    で濾波し、再生雑音を出力する雑音再生手段と、 前記重畳信号と前記雑音再生手段によって出力された再
    生雑音との差をとり、前記信号の成分を得る雑音抑圧手
    段とを備えたことを特徴とする雑音抑圧装置。
  5. 【請求項5】 重畳信号に信号と共に含まれる雑音の成
    分を段階的に抑圧し、その信号とこの雑音の残留分とを
    含む重畳信号を出力する複数の予測濾波手段を備え、 前記複数の予測濾波手段は、 入力された重畳信号に含まれる信号と雑音との自己相関
    の相違に基づいてその信号の瞬時値を予測し、この信号
    に重畳された雑音の成分を予測残差として得ると共に、
    これらの瞬時値の列からなる信号の成分を得る信号分析
    手段と、 前記信号分析手段によって得られた雑音の成分と「1」
    未満の定数との積と、その信号分析手段によって得られ
    た信号の成分との和をとり、その結果を前記雑音の残留
    分を含む重畳信号として出力する付加処理手段とを個別
    に有することを特徴とする雑音抑圧装置。
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