JP2002257130A - 弾性ローラ - Google Patents

弾性ローラ

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JP2002257130A
JP2002257130A JP2001052776A JP2001052776A JP2002257130A JP 2002257130 A JP2002257130 A JP 2002257130A JP 2001052776 A JP2001052776 A JP 2001052776A JP 2001052776 A JP2001052776 A JP 2001052776A JP 2002257130 A JP2002257130 A JP 2002257130A
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layer
elastic
rubber
resin
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Hidenori Sato
秀紀 佐藤
典之 ▲柳▼井
Noriyuki Yanai
Nobutoshi Hayashi
信俊 林
Arihiro Yamamoto
有洋 山本
Kazutoshi Ishida
和稔 石田
Kentaro Niwano
謙太郎 庭野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば、電子写真装置で利用される、必要な
ニップ幅と良好な変形回復性(セット性)を達成でき、
同時に、優れた接着性、耐久性をも併せ持つ、ローラ層
に新規な構成を採用する弾性ローラの提供。 【解決手段】 弾性ローラ1において、軸芯体11の外
周面に積層構造のローラ層が形成された構成を採用し、
ローラ層を、基層として、ゴムを主成分とする弾性体層
12を用いて、この弾性体層12の硬度(Asker-C)
は、15〜55°の範囲に、圧縮永久歪みは0.5〜
5.0%の範囲に選択し、一方、表層として、少なくと
も前記弾性体層12の外側を被覆する樹脂層13を用い
て、この樹脂層13の永久伸びは、1〜10%の範囲に
選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性ローラに関
し、より具体的には、例えば、複写機、プリンタ、ファ
クシミリ等の受信装置など、画像形成に電子写真方式を
採用した装置(以降、電子写真装置と総称する)におい
て主に使用される弾性ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、ファクシミリ、プリンタなど、
その画像形成に電子写真方式を利用する電子写真装置で
は、その画像形成工程において、各種の目的にあった弾
性ローラが利用されている。例えば、一成分現像方式の
電子写真装置では、感光体表面に形成された静電潜像を
現像剤により顕像化する工程、すなわち、現像工程で
は、その表面に現像剤が担持されている現像ローラを、
感光体表面に圧接させて、現像剤を移動させる方法が利
用されている。この工程で用いる現像ローラの弾性体層
は、その弾性部材を感光体と所定の接触幅をもって圧接
する必要があり、変形しやすく、同時に変形回復性にも
優れるものが望まれる。また、現像器において供給され
る現像剤を、現像ローラ表面の弾性体層に当接するブレ
ードなどを用いて、薄層化して担持する上でも、変形し
やすく、変形回復性に優れることが必要である。
【0003】その他、画像形成工程において、直接ある
いは間接的に感光体表面と圧接する形態で使用される弾
性ローラとしては、接触帯電型の帯電器において利用さ
れる帯電ローラがある。また、現像された感光体表面の
トナー像をコピー用紙などの転写紙上に転写する工程に
おいても、感光体表面の帯電と異なる極性に帯電する転
写ローラが利用される。これら帯電ローラや転写ローラ
なども、その弾性部材を感光体と所定の接触幅をもって
圧接する必要があり、変形しやすく、また、変形回復性
にも優れるものが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子写真装置に用いら
れる弾性ローラは、個々の用途に応じた機能、例えば、
前記現像ローラにおいては現像剤の担持特性、また、帯
電ローラや転写ローラでは、帯電性に関連する導電特性
など、個々の用途により異なる性能に加え、弾性ローラ
として共通する要求性能も多岐に渡る。この弾性ローラ
として共通する要求性能の中でも、適正な当接状態を維
持する上で重要となる、変形回復性(すなわち、セット
性)に対して、従来より様々な提案がなされている。一
般的に、従来の提案では、ローラ層を構成する弾性体材
料に圧縮永久歪に優れた材料を選ぶことでセット性能向
上を図っており、ローラ層を二種以上の材料を積層した
構成とする場合も、同様の手法が利用されてきた。
【0005】また、特開平2−259785号公報に
は、弾性を有するローラ基体(基層)の外周面に、表層
として、可撓性を有する層を設ける構成とする弾性ロー
ラが提案されている。この表層として、可撓性を有する
層を設ける積層構成とすることにより、弾性ローラの圧
縮永久歪みを20%以下に設定した際、この構造の弾性
ローラを現像ローラに適用する現像装置を長期使用、あ
るいは長期保存後であっても、現像ローラの変形に起因
する画質の劣化を抑制でき、製造直後の現像ローラを用
いた場合と同様の、高品位の画質が得られることが開示
されている。表層として、可撓性を持つ層を設けること
により、ローラ表面に加わる加重を広い部分で受け、そ
の結果、変形は直接加重を受る部分だけでなく、隣接す
る他の部分も同時に変形することで、個々の部分におけ
る変形量の変化が緩やかとなる。この効果に付随して、
歪自体の画質への影響を少なくなると共に、永久歪みが
起きたローラ上の鋭い折れや鋭い凹みが生じにくくなる
と、その手法の作用が説明されている。
【0006】近年、電子写真装置に使用される弾性ロー
ラの要求性能は、電子写真装置の高速化、画質の高品位
化に伴って、より高度なものとなってきており、より具
体的には、変形回復性(セット性)と共に、高解像度に
要求される均一な導電性、高速化に要求される耐久性
(接着性)の向上が一層求められている。これらの要求
性能を、従来より知られている方法だけにより実現する
ことは、必ずしも容易ではないものである。
【0007】例えば、上記の従来技術(特開平2−25
9785号公報)を適用して、変形回復性(セット性)
をより高める目的で、より低硬度の基体(例えば、弾性
体層)を採用する場合、表層とする、可撓性層の弾性率
を相対的に高くする必要がある。そのような高い弾性率
を示す可撓性材料を用いると、基層の基体との接着性に
問題が生じやすく、その結果、長期間の使用において、
所望の導電性や耐久性の維持が十分に達成されない。
【0008】一方、変形回復性(セット性)をより高め
る目的で、ローラ層を構成する全ての層に、圧縮永久歪
に優れた材料を選択することは、必ずしも得策ではな
く、ほとんどの場合、他特性とのバランスをも含める
と、複数の要求項目を全て満足する上で、十分な性能を
提供することはできていない。
【0009】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、必要なニップ幅と良好な変形回復性(セ
ット性)を達成でき、同時に、優れた接着性、耐久性を
も併せ持つ、ローラ層に新規な構成を採用する弾性ロー
ラを提供することにある。より具体的には、本発明の目
的は、異なる材料層を積層した構成を有するローラ層に
おいて、その積層構造を適切な材料を組み合わせて形成
することにより、前記の複数の要求性能を全て満足する
新規な弾性ローラを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究・検討を進めたところ、従来
の手法、例えば、特開平2−259785号公報に記載
する手法を、弾性体硬度が、Asker−C 15〜5
5°の範囲内にあるような、非常に低硬度の領域の弾性
体材料で基層を形成するものに適用すると、表層に用い
る材料は、単に可撓性を有するのみでは、十分でないこ
とを見出した。より具体的には、非常に低硬度の領域の
弾性体材料で基層を形成すると、基層はより変形し易い
ものとなるが、表層は、基層の大きな変形量に追従する
柔軟性に加え、優れたクリープ性能(永久伸び)を示す
材料を用いないならば、基層と表層との間の接着性を長
期にわたり維持できないことを見出した。この表層を形
成する材料のクリープ性能(永久伸び)に関して、十分
な考慮がなされてなく、単に可撓性の観点でその材料を
選択していた結果、必要なニップ幅と良好な変形回復性
(セット性)を達成でき、同時に、優れた接着性、耐久
性をも併せ持つ弾性ローラを見出すに至っていなかった
ことが判明した。
【0011】本発明者らは、前記の知見を基に、更なる
研究を進め、ローラ層を基層上に表層を設ける積層構成
とする弾性ローラにおいて、内側に位置する層(基層)
の材料として、低硬度かつ圧縮永久歪に優れた材料を選
択し、外側に位置する層(表層)の材料として、永久伸
びに優れた材料を選択することで、優れた接着性、耐久
性を示し、柔軟性に富み、よりセット性(変形回復性)
に優れた弾性ローラとなすことが可能であることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明の弾性ローラは、軸芯体
の外周面にローラ層が形成されてなる弾性ローラであっ
て、前記ローラ層は積層された二つの層で構成され、基
層として、ゴムを主成分とする弾性体層と、表層とし
て、少なくとも前記弾性体層の外側を被覆する樹脂層と
からなり、前記弾性体層の硬度(Asker-C)は、15〜
55°の範囲に、圧縮永久歪みは0.5〜5.0%の範
囲に選択され、前記樹脂層の永久伸びは、1〜10%の
範囲に選択されていることを特徴とする弾性ローラであ
る。
【0013】本発明の弾性ローラにおいては、例えば、
ゴムを主成分とする前記弾性体層は、主成分のゴムとし
て、シリコーンゴムを用いてなる弾性ローラに形成する
ことができる。また、前記樹脂層は、主成分の樹脂とし
て、ウレタン樹脂を用いてなる弾性ローラに形成するこ
とができる。
【0014】本発明の弾性ローラでは、前記弾性体層の
層厚は、0.5〜6.0mmの範囲に選択されているこ
とが好ましい。一方、前記樹脂層の層厚は、3〜100
μmの範囲に選択されていることが好ましい。
【0015】上記の構成を有する本発明の弾性ローラ
は、電子写真装置において使用される各種の弾性ローラ
に応じて、従来から利用される手段を用いて、導電性を
付与した上で、個別の用途を有する弾性ローラとして、
形成することができる。より具体的には、上記の構成を
有する本発明の弾性ローラは、電子写真装置において、
その画像形成工程中、感光体表面に形成された静電潜像
に対して現像剤を付着させて、顕像化させる現像工程に
利用される、そのローラ表面に前記現像剤を薄膜状に担
持し、前記感光体表面と圧接する形態で使用される現像
ローラ用とすることができる。
【0016】また、電子写真装置において、その画像形
成工程中、静電潜像の形成に先立ち、感光体表面を所定
の電位に帯電させる帯電工程に利用される、そのローラ
表面を前記感光体表面と当接させ、前記弾性ローラと感
光体との間に電圧を印加しつつ、接触帯電を行う形態で
使用される帯電ローラ用とすることもできる。
【0017】さらには、電子写真装置において、その画
像形成工程中、静電潜像を現像剤の付着により顕像化さ
せた、感光体表面上の画像を、転写紙表面に転写する転
写工程に利用される、そのローラ表面と前記感光体表面
の間隙にて前記転写紙を挟送しつつ、前記感光体表面の
帯電と異なる極性に帯電する前記ローラ表面と接する転
写紙裏面に帯電を行い、感光体表面上の画像を転写紙表
面へ転写させる形態で使用される転写ローラ用とするこ
ともできる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の弾性ローラは、軸芯体の
外周面に積層構造のローラ層が形成された構成を採用
し、ローラ層を、基層として、ゴムを主成分とする弾性
体層を用いて、この弾性体層の硬度(Asker-C)は、1
5〜55°の範囲に、圧縮永久歪みは0.5〜5.0%
の範囲に選択し、一方、表層として、少なくとも前記弾
性体層の外側を被覆する樹脂層を用いて、この樹脂層の
永久伸びは、1〜10%の範囲に選択することにより、
優れた接着性、耐久性を示し、柔軟性に富み、よりセッ
ト性(変形回復性)に優れた弾性ローラとしたものであ
る。
【0019】すなわち、基層は、低硬度ほど良好な圧縮
永久歪性を導き出すことができ、また、外的入力に対し
より大きく変形し易いので、適正なニップ幅を得ること
が可能となっている。その際、表層に、変形追従性がよ
く、かつクリープしにくい材料を利用しているため、そ
の基層の大きな変形量に対しも、接着性の不良やしわを
生じるなどといった問題を回避できるものとなってい
る。
【0020】従って、この好適な組合せを採用した結
果、優れた接着性、耐久性を示し、勿論、所望のニップ
幅を与える柔軟性を有しつつ、一層優れたセット性をも
併せ持つ弾性ローラとなる。例えば、この構成上の特徴
をもつ弾性ローラを、現像ローラに適用すると、低硬度
のため適切なニップ幅がさらに得られやすく、優れたセ
ット性、また、二層の接着性も十分なものとなり、適正
な量の現像剤をその表面に薄膜化して担持した状態で感
光体と密に圧接することが可能である。その結果、感光
体表面に適量の現像剤を均一に付与でき、より良好な画
像形成を行うことででき、なおかつ、その高い耐久性に
より、その良好な画像品質を長期にわたり保持すること
ができる。
【0021】また、上記の構成上の特徴をもつ弾性ロー
ラを、帯電ローラに適用した際にも、低硬度のため適切
なニップ幅がさらに得られやすく、優れたセット性、ま
た、二層の接着性も十分なものとなり、所望の導電性を
長期に維持でき、また、感光体表面との接触も、当初の
密な状態を長期間維持できる。すなわち、帯電効率を高
くする上で必要な適切なニップ幅は、長期間使用した後
も保持される結果、帯電効率の低下を抑制でき、当初の
良好な画像品質を長期にわたり保持することに大きな貢
献を果たす。また、転写ローラに適用した際にも、前記
帯電ローラにおける効果と同様の効果により、当初の良
好な画像品質を長期にわたり保持することに大きな貢献
を果たす。
【0022】以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0023】図1と図2に、本発明の弾性ローラの構造
の一例を模式的に図示する。本発明の弾性ローラ1は、
中心に軸芯体として、通常、金属などの導電性材料で形
成される軸芯金11を有し、ローラ層として、軸芯金1
1の外周面上に弾性体層(基層)12が固定され、この
弾性体層12の外周面に樹脂層(表層)13を積層した
構造に構成される。
【0024】軸芯体自体は、円柱状または中空円筒状の
形状を有し、金属などの導電性材料で形成される軸芯金
11を用いることが多いが、仮に、かかる弾性ローラが
電気的に絶縁された状態で利用される場合には、使用に
際して、弾性ローラに加わる外力に対して、その軸芯体
自体の形状を堅固に保持できる限り、非導電性材料で形
成されていてもよい。また、かかる弾性ローラが電気的
なバイアスを印加して、あるいは、接地されて、使用さ
れる場合であっても、軸芯体全体を導電性材料で構成す
る代わりに、主体は、非導電性材料で形成し、その表面
に所望の導電性を満足する導電性処理、例えば、良導性
の被覆層による被覆を施した構造のものを用いることも
できる。
【0025】電子写真装置に利用される帯電ローラ、転
写ローラ、現像ローラは、電気的なバイアスを印加し
て、または、接地されて、使用されるのが一般的である
ので、軸芯体を導電性の基体、所謂軸芯金11の形態と
する。例えば、帯電ローラ用の弾性ローラでは、軸芯金
11は、支持部材であることは勿論であるが、帯電部材
の電極として機能するものであり、例えば、アルミニウ
ム,銅合金,ステンレス鋼等の金属または合金、あるい
は、クロム,ニッケル等で鍍金処理を施した鉄,合成樹
脂など、少なくともその外周面は、その上に形成される
ローラ層に所定の電圧を印加するに十分な導電性の材質
で構成する。電子写真装置に利用される帯電ローラ、転
写ローラ、さらには、現像ローラにおいては、軸芯体で
ある導電性基体の外径は、通常4〜10mmの範囲とさ
れる。
【0026】基層となる弾性体層12は、その弾性体硬
度は、上記の範囲となる柔軟性を有するものであり、原
料主成分としてゴムを用いた成型体として形成される。
弾性体層12の原料主成分のゴムとしては、従来より弾
性ローラに用いられている種々のゴムを用いることがで
きる。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴ
ム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム
(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エ
ピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴ
ム、ウレタンゴム等のゴム材料から、多の成分を加えて
成型して弾性体層とした際、所望の弾性体硬度を与える
限り、これらのゴム材料を単独であるいは2種以上を混
合して用いることもできる。
【0027】ゴムを主成分とした形成される成型体であ
る弾性体層の硬度は、ゴム材硬度の測定法に従い、具体
的には、基準規格アスカーC型SRIS(日本ゴム協会
規格)0101に従って別途作製した試験片を用いて、
アスカーゴム硬度計(高分子計器(株)製)により測定
される硬度により定義される。また、その圧縮永久歪み
は、同じく、別途作製した試験片を用いて、JIS K
−6301加硫ゴム試験法(10. 圧縮永久ひずみ試
験)に準じて測定した値により定義される。
【0028】本発明の弾性ローラにおいて、基層とする
弾性体層を形成するゴム成型体の硬度(Asker-C)は、
15〜55°の範囲に選択する。弾性体層を形成するゴ
ム成型体の硬度(Asker-C)が、15°未満では、目的
とするセット性能に寄与するゴム弾性が得られ難くな
り、一方、55°を超える場合には、本発明の他性能を
失うことなく、適切なニップ幅を得ることが難しくなっ
てしまう。より好ましくは、弾性体層を形成するゴム成
型体の硬度(Asker-C)は、20〜40°の範囲に選択
することが望ましい。
【0029】同時に、弾性体層を形成するゴム成型体の
圧縮永久歪みを、0.5〜5.0%の範囲に選択する。
ゴム成型体の圧縮永久歪が、0.5%未満となる範囲で
は、前記の硬度範囲であっても、ゴム弾性そのものを示
さなくなるため、本発明の目的には不向きである。一
方、ゴム成型体の圧縮永久歪が5%を超える場合には、
前記の硬度範囲の柔軟性を持つため、弾性体層の変形量
自体が大きくなる際、その変形状態で長期保存すると、
その変形の回復が十分に達成できず、そのため、電子写
真装置に用いた場合、製造当初と同様な良好な画像形成
ができなくなってしまう。より好ましくは、弾性体層を
形成するゴム成型体の圧縮永久歪みは、0.5〜3.0
%の範囲に選択することが望ましい。
【0030】特に、弾性体層を形成するゴム成型体の主
成分ゴムとしてシリコーンゴムを用いると、上記のよう
な低硬度および低圧縮永久歪み性が得られやすい。利用
できるシリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサ
ン,ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン,ポリ
メチルビニルシロキサン,ポリトリフルオロプロピルビ
ニルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ポリ
フェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共
重合体等が挙げられる。ゴム成型体とした際、その圧縮
永久歪みを上記の範囲とする上では、前記する各種のシ
リコーンゴムの重合度は、3000〜15000の範囲
にあることが好ましい。なお、必要に応じて、弾性体層
を形成するゴム成型体において、硬度および圧縮永久歪
みが共に上記の範囲内に留まる限り、主成分として用い
るシリコーンゴム以外に、天然ゴム、イソプレンゴム、
クロロプレンゴム、EPDM、SBR、NBR等のエラ
ストマーを、形成されるゴム成型体の20質量%以下の
割合で含有することもできる。
【0031】更に、本発明の弾性ローラでは、その弾性
体層を形成するゴム成型体とする際、弾性ローラの個別
的な用途に合わせて、弾性体層自体に要求される機能に
必要な成分、例えば、導電剤、非導電性充填剤など、ま
た、ゴム成型体とする際に利用される各種添加剤成分、
例えば、架橋剤、触媒、分散促進剤など、各種の添加剤
を主成分のゴム材料に適宜配合することができる。
【0032】弾性体層に導電性を付与する目的に添加す
る、導電剤としては、カーボンブラック、グラファイ
ト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼などの各種導
電性金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウ
ム、酸化チタン、酸化錫―酸化アンチモン固溶体、酸化
錫―酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化
物、これらの導電性材料で被覆された絶縁性物質などの
微粉末を用いることができる。これらの内、カーボンブ
ラックは、比較的容易に入手でき、また、主成分のゴム
材料の種類に依らず、良好な帯電性が得られるため、好
適に利用できる。主成分のゴム材料中に、微粉末状の導
電剤を分散させる手段としては、従来から利用される手
段、例えば、ロールニーダー、バンバリーミキサー、ボ
ールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカーな
どを、主成分のゴム材料に応じて適宜利用すればよい。
【0033】その他、弾性体層に導電性を付与する手段
として、導電剤に代えて、あるいは、導電剤とともに、
導電性高分子化合物を添加する手法も利用できる。例え
ば、導電性高分子化合物としては、ホストポリマーとし
て、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピ
ロール、ポリチオフェニン、ポリ(p−フェニレンオキ
シド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p
−フェレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチルフェニ
レンオキサイド)、ポリ(ビスフェノールAカーボネー
ト)、ポリビニルカルバゾール、ポリジアセチレン、ポ
リ(N−メチル−4−ビニルピリジン)、ポリアニリ
ン、ポリキノリン、ポリ(フェニレンエーテルスルフォ
ン)などを使用し、これらにドーパントして、As
5、I2、Br 2、SO3、Na、K、ClO4、FeC
3、F、Cl、Br、I、Kr等の各イオン、Li、
TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン)等をドープしたものが、従来から用いられている。
【0034】ゴム成型体中に添加可能な非導電性充填剤
としては、珪藻土、石英粉末、乾式シリカ、湿式シリ
カ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カル
シウム等を挙げることができる。
【0035】ゴム成型体を作製する際に利用される、架
橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイドな
どを挙げることができる。例えば、液状シリコーンゴム
を用いる際には、ポリオルガノハイドロジェンシロキサ
ンを架橋成分として、白金系触媒が用いて、ゴム成分相
互の架橋が図られる。
【0036】なお、当接する際に、均一なニップ幅を確
保し、加えて、好適なセット性を満たすものとするため
には、弾性体層の厚さは、好ましくは、0.5mm以
上、より好ましくは、1.0mm以上とすることが望ま
しい。なお、作製される弾性ローラの外径精度を損なわ
ない限り、弾性体層の厚さに上限は特にないものの、一
般に、弾性体層の厚さを過度に厚くすると、作製される
ゴム成型体の作製コストを適正な範囲に抑えることが難
しく、この実用上の制約をも考慮すると、弾性体層の厚
さは、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.
0mm以下とすることが望ましい。従って、弾性体層の
厚さは、0.5〜6.0mmの範囲に、より好ましく
は、1.0〜5.0mmの範囲に選択する構成とするこ
とがより望ましい。また、弾性体層の厚さは、目的とす
るニップ幅を達成するため、その硬度に応じて、適宜選
択されるものである。
【0037】一方、本発明の弾性ローラにおいては、上
記の弾性体層を基層とし、その外表面を被覆して、その
永久伸びが、上記の範囲にある樹脂層を表層として形成
される。なお、かかる弾性体層の外表面上に形成される
樹脂層の永久伸びは、別途作製した樹脂膜体を試験片と
して、ゴムの永久伸び(%)の評価法、JIS K−6
301加硫ゴム試験法(4. 永久伸び試験)に準じて測
定した値で定義される。
【0038】本発明の弾性ローラの樹脂層を構成する樹
脂膜体の永久伸びは、1〜10%の範囲にあるのが適当
である。この樹脂膜体の永久伸びが1%未満では、樹脂
膜自体の伸びが低く、基層の弾性体層が変形した際、そ
の変形追従性が不十分となる。一方、樹脂膜体の永久伸
びが10%を超えると、クリープし易い材料膜であるた
め、大きく変形した弾性体層へ変形追従した際、接着性
低下による剥れやしわなどの発生が高い頻度で起きてい
まう。より好ましくは、樹脂層を形成する樹脂膜体は、
その永久伸びを1〜6%の範囲に選択することが望まし
い。
【0039】この樹脂層13を形成する樹脂膜の成分
は、特に限定されるものではないが、例えば、現像ロー
ラの用途では、現像剤としてトナー粒子を担持する機能
を考慮すると、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点か
ら、ポリアミド樹脂やウレタン樹脂、またはウレア樹脂
等が好ましく用いられる。特に、ウレタンゴムを用いる
と、トナー帯電性、自己膜補強性に加えて、上記する範
囲の永久伸びし難い材料膜が得られやすい。
【0040】利用可能なウレタン樹脂の樹脂膜体として
は、例えば、ポリウレタンプレポリマーを架橋反応させ
る方法で作製したもの、あるいは、ポリオールに添加剤
の導電性材料を予め配合し、この配合物に調製したポリ
オールをワン・ショット法にてポリイソシアネートと反
応させ、ポリウレタン樹脂とする方法で作製されるもの
などが挙げられる。
【0041】このワン・ショット法にてポリウレタン樹
脂を作製する際には、用いるポリヒドロキシル化合物と
しては、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエ
ラストマー製造に用いられるポリオール、例えば、末端
にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオー
ル、ポリエステルポリオール、ならびに、両者の共重合
物であるポリエーテルポリエステルポリオールが挙げら
れる。その他に、ポリブタジエンポリオールやポリイソ
プレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、ポリ
オール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られ
る所謂ポリマーポリオール等の一般的なポリオールを使
用することもできる。一方、前記のポリヒドロキシル化
合物と反応させるイソシアネート化合物としては、一般
的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー
製造に使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレン
ジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製M
DI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭
素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポ
リイソシアネートの混合物やその変性物、例えば、部分
的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等
が用いられる。
【0042】樹脂層は、弾性体層の変形に対する高い追
従性を示すことが望まれ、従って、樹脂層を形成する樹
脂膜体の硬度および弾性率は低い方が好ましい。この樹
脂膜体を低硬度化する目的で、ポリヒドロキシル化合物
に対するポリイソシアネートの混合比率を低くするなど
してもよい。
【0043】更に、本発明の弾性ローラでは、その樹脂
層を形成する樹脂膜体とする際、弾性ローラの個別的な
用途に合わせて、樹脂層自体に要求される機能に必要な
成分、例えば、導電剤、非導電性充填剤など、また、樹
脂膜体とする際に利用される各種添加剤成分、例えば、
架橋剤、触媒、分散促進剤など、各種の添加剤を主成分
の樹脂材料に適宜配合することができる。なお、導電
剤、非導電性充填剤などの添加剤は、先に弾性体層に含
有可能な添加剤として例示したものなどから、主成分の
樹脂材料に応じて、適宜選択することができる。また、
その添加量は、形成される樹脂層の特性を本発明の効果
を発揮する範囲内に維持する限り、添加目的に応じて、
適宜選択することができる。
【0044】なお、樹脂層の厚さは、十分な耐摩耗性を
確保するために、3μm以上に選択することが好まし
い。一方、現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラなどで
は、導電性を有する弾性ローラとされ、その際、均一な
導電性を実現するために、樹脂層の厚さは、100μm
以下に留めることが好ましい。また、樹脂層の厚さを、
3μm未満とする際には、弾性体層表面に所望の薄い膜
厚では均一に塗布・形成することが難しく、一方、樹脂
層の硬度は、弾性体層の硬度より高いため、100μm
を超える膜厚とすると、弾性ローラ全体の変形性に対す
る影響が大きくなり好ましくない。また、樹脂層の厚さ
は、前記の範囲において、その硬度等をも考慮して、適
宜選択するとよい。
【0045】樹脂層の形成には、樹脂膜体の原料となる
樹脂原料を液状として、弾性体層表面に塗布し、その
後、樹脂膜体とする方法を利用することができる。この
樹脂原料の塗布方法は、特に限定されないが、エアース
プレー、ロールコート、カーテンコート、ディッピング
等の方法により、樹脂原料を所望の厚さで、弾性体層表
面に均一に塗布する。その後、樹脂膜体とするため、必
要に応じ、加熱処理を行う場合がある。
【0046】以上に説明した様に、本発明の弾性ローラ
においては、弾性体層は、低硬度で良好な圧縮永久歪み
特性を併せ持ち、樹脂層は、変形追従性がよくクリープ
もし難く、その結果、長期間、弾性ローラを大きく変形
させた際にも、接着性やしわなどの問題を起こさない。
この利点から、本発明の弾性ローラは、電子写真装置等
における、現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ、加圧
ローラ等の弾性ローラとして好適に使用できる。特に、
現像ローラに用いた場合には、低硬度のため適切なニッ
プ幅が得られやすく、優れたセット性、2層間の接着性
により良好な画像が得られ、なおかつ、その耐久性によ
り、その良好な画像が長期にわたる使用後も維持でき
る。更に、利用される電子写真装置自体、高速化され、
プロセス速度、すなわち、感光体表面の速度が増す条件
において、前記の利点は一層顕著なものとなる。
【0047】
【実施例】以下に、実施例を示し、本発明をより具体的
に説明する。これら実施例は、本発明における最良の実
施形態の一例ではあるものの、本発明は、実施例によっ
て、何ら限定されるものではない。実施例に示す手法で
作製される弾性ローラは、例えば、現像ローラ等の現像
部材、帯電ローラや転写ローラ等の帯電部材、これら各
種の個別的な用途において、電子写真装置等で使用され
る弾性ローラとして好適に使用できる。
【0048】なお、以下に記載する具体例では、特に明
記しない限り、各例において利用される試薬等は、市販
の高純度品を用いた。また、各実施例、比較例におい
て、弾性ローラの作製に用いた、弾性体層用のゴム材
料、樹脂層用に樹脂材料および、作製されたゴム成型
体、樹脂膜体の物性値を、表1と表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】(実施例1)現像ローラ1として、弾性ロ
ーラの軸芯体を金属製の軸芯金とし、ローラ層を構成す
る基層、表層ともに、導電性を付与して、具体的には、
基層の弾性体層ならびに表層の樹脂層ともに、それぞ
れ、導電剤として、カーボンブラックを適宜添加し、下
記する手順で弾性ローラを作製した。この弾性ローラを
当接した際に、そのローラの電気抵抗は、106Ω以下
となるように、導電剤のカーボンブラックの添加量を調
整した。
【0052】軸芯体として、SUS製の芯金の表面にニ
ッケル・メッキを施し、さらに、その外周面に接着剤を
塗布、焼き付けしたものを用いた。この軸芯体を金型に
配置し、この金型内に形成されたキャビティに液状であ
るシリコーンゴム1(東レ・ダウコーニングシリコーン
製)を注入した。続いて、金型を加熱して、注入された
シリコーンゴムを150℃にて30分間加熱処理を施し
て、硬化させた。冷却後、脱型した後、さらに、150
℃にて30分間加熱処理を施すことで、厚さ4mmの、
シリコーンゴムを主成分とする弾性体層を軸芯体の外周
面上に設けた。得られた弾性体層を構成するゴム成型体
のアスカーC硬度は32゜であり、圧縮永久歪みは、
1.9%であった。
【0053】次に、樹脂成分として、ポリウレタン樹脂
1を、固形分10%の有機溶剤混合溶液となるよう調整
したものに、硬化剤として、トリレンジイソシアネート
(TDI)を、樹脂成分100質量部に対し、硬化剤が
20質量部の比率で添加し、十分に撹拌した。なお、そ
の他の添加成分を加えて、均一分散、混合したものを樹
脂原料液とした。この樹脂原料液中に、上記の弾性体層
の形成を終えた軸芯体を浸漬して、弾性体層の外表面を
コーティングした後、引上げて自然乾燥させた。次い
で、130℃にて20分間加熱処理することで、コーテ
ィングされた樹脂原料の硬化を行ない、樹脂層を弾性体
層の外周面上に積層させて、厚さ30μmの表層を形成
した。この樹脂層を構成するポリウレタン樹脂膜体の永
久伸びは5.5%であった。
【0054】(実施例2)現像ローラ2として、実施例
1において作製した現像ローラ1と全く同じ組成、層厚
の弾性体層を軸芯体上に形成したものを用いて、下記す
る手順で樹脂層を被覆形成して、弾性ローラを作製し
た。なお、この弾性ローラも、弾性体層と樹脂層にはと
もに導電剤のカーボンブラックを添加し、そのローラの
電気抵抗が106Ω以下となるように、下記する樹脂層
のカーボンブラック添加量を調整した。
【0055】樹脂成分として、ポリウレタン樹脂2を、
固形分10%の有機溶剤混合溶液となるよう調整したも
のに、硬化剤として、トリレンジイソシアネート(TD
I)を、樹脂成分100質量部に対し、硬化剤15質量
部の比率で添加し、十分に撹拌した。なお、その他の添
加成分を加えて、均一分散、混合したものを樹脂原料液
とした。
【0056】この樹脂原料液中に、実施例1に記載する
工程で作製した弾性体層の形成を終えた軸芯体を浸漬し
て、弾性体層の外表面をコーティングした後、引上げて
乾燥させた。次いで、130℃にて20分間加熱処理す
ることで、コーティングされた樹脂原料の硬化を行な
い、樹脂層を弾性体層の外周面上に積層させて、形成し
た。この樹脂層を構成するポリウレタン樹脂膜体の永久
伸びは8.5%であった。
【0057】(実施例3)現像ローラ3として、実施例
1において作製した現像ローラ1と同様の手順で、シリ
コーンゴム1(東レ・ダウコーニングシリコーン製)に
代えて、シリコーンゴム2(東レ・ダウコーニングシリ
コーン製)を使用し、このシリコーンゴムを主成分とす
る弾性体層を軸芯体の外周面上に作製した。得られた弾
性体層を構成するゴム成型体のアスカーC硬度は51゜
であり、圧縮永久歪みは、3.2%であった。
【0058】次いで、得られた弾性体層上に、現像ロー
ラ1の樹脂層と全く同じ工程、条件で、同じ組成、膜厚
の樹脂層を形成した。なお、この弾性ローラも、弾性体
層と樹脂層にはともに導電剤のカーボンブラックを添加
し、そのローラの電気抵抗が106Ω以下となるよう
に、上記の弾性体層のカーボンブラック添加量を調整し
た。
【0059】(比較例1)現像ローラ4として、実施例
1において作製した現像ローラ1と全く同じ組成、層厚
の弾性体層を軸芯体上に形成したものを用いて、下記す
る手順で樹脂層を被覆形成して、弾性ローラを作製し
た。なお、この弾性ローラも、弾性体層と樹脂層にはと
もに導電剤のカーボンブラックを添加し、そのローラの
電気抵抗が106Ω以下となるように、下記する樹脂層
のカーボンブラック添加量を調整した。
【0060】樹脂成分として、ポリウレタン樹脂3(ニ
ッポラン5196、日本ポリウレタン製)を、固形分1
0%の有機溶剤混合溶液となるよう調整したものに、硬
化剤として、トリレンジイソシアネート(TDI)を、
樹脂成分100質量部に対し、硬化剤15質量部の比率
で添加し、十分に撹拌した。なお、その他の添加成分を
加えて、均一分散、混合したものを樹脂原料液とした。
【0061】この樹脂原料液中に、実施例1に記載する
工程で作製した弾性体層の形成を終えた軸芯体を浸漬し
て、弾性体層の外表面をコーティングした後、引上げて
乾燥させた。次いで、130℃にて20分間加熱処理す
ることで、コーティングされた樹脂原料の硬化を行な
い、樹脂層を弾性体層の外周面上に積層させて、形成し
た。この樹脂層を構成するポリウレタン樹脂膜体の永久
伸びは21.0%であった。
【0062】(比較例2)現像ローラ5として、現像ロ
ーラ1のシリコーンゴムを主成分とする弾性体層に代え
て、ウレタンゴムを主成分とする弾性体層を具え、その
表面に現像ローラ1の樹脂層と全く同じ工程、条件で、
同じ組成、膜厚の樹脂層を形成した弾性ローラを作製し
た。なお、この弾性ローラも、弾性体層と樹脂層にはと
もに導電剤のカーボンブラックを添加し、そのローラの
電気抵抗が106Ω以下となるように、下記する弾性体
層のカーボンブラック添加量を調整した。
【0063】具体的には、軸芯体として、SUS製の芯
金の表面にニッケル・メッキを施し、さらに、その外周
面に接着剤を塗布、焼き付けしたものを用いた。この軸
芯体を金型に配置し、この金型内に形成されたキャビテ
ィに液状のウレタンゴムを注入した。続いて、金型を加
熱して、注入されたウレタンゴムを加硫硬化した。冷却
後、脱型することで、ウレタンゴムを主成分とする弾性
体層を軸芯体の外周面上に設けた。得られた弾性体層を
構成するゴム成型体のアスカーC硬度は40゜であり、
圧縮永久歪みは、12.5%であった。
【0064】(比較例3)現像ローラ6として、現像ロ
ーラ1のシリコーンゴムを主成分とする弾性体層に代え
て、NBRを主成分とする弾性体層を具え、その表面に
現像ローラ1の樹脂層と全く同じ工程、条件で、同じ組
成、膜厚の樹脂層を形成した弾性ローラを作製した。な
お、この弾性ローラも、弾性体層と樹脂層にはともに導
電剤のカーボンブラックを添加し、そのローラの電気抵
抗が106Ω以下となるように、下記する弾性体層のカ
ーボンブラック添加量を調整した。
【0065】具体的には、軸芯体として、SUS製の芯
金の表面にニッケル・メッキを施し、さらに、その外周
面に接着剤を塗布、焼き付けしたものを用いた。この軸
芯体に、NBR(N230S、JSR製)のコンパウン
ドを巻きつけ、加熱して、加硫硬化した。冷却後、研磨
加工を施し、形成された弾性体層の層厚を、現像ローラ
1の弾性体層の層厚と同じものとした。得られた弾性体
層を構成するゴム成型体のアスカーC硬度は71゜であ
り、圧縮永久歪みは、2.6%であった。
【0066】(比較例4)現像ローラ7として、現像ロ
ーラ1のシリコーンゴムを主成分とする弾性体層に代え
て、SBRを主成分とする弾性体層を具え、その表面に
現像ローラ1の樹脂層と全く同じ工程、条件で、同じ組
成、膜厚の樹脂層を形成した弾性ローラを作製した。な
お、この弾性ローラも、弾性体層と樹脂層にはともに導
電剤のカーボンブラックを添加し、そのローラの電気抵
抗が106Ω以下となるように、下記する弾性体層のカ
ーボンブラック添加量を調整した。
【0067】具体的には、軸芯体として、SUS製の芯
金の表面にニッケル・メッキを施し、さらに、その外周
面に接着剤を塗布、焼き付けしたものを用いた。この軸
芯体に、SBR(#1502、日本ゼオン製)のコンパ
ウンドを巻きつけ、加熱して、加硫硬化した。冷却後、
研磨加工を施し、形成された弾性体層の層厚を、現像ロ
ーラ1の弾性体層の層厚と同じものとした。得られた弾
性体層を構成するゴム成型体のアスカーC硬度は73゜
であり、圧縮永久歪みは、8.5%であった。
【0068】(特性の評価)実施例1〜3、ならびに比
較例1〜4で作製された、現像ローラ1〜7について、
そのセット性(変形回復性)、画像(初期、4時間
後)、耐久性(接着性)の項目に関し、以下の通り評価
した。表3に、その評価結果を示す。
【0069】なお、現像ローラ1〜7は、その弾性体層
および樹脂層には、導電剤としてカーボンブラックを添
加し、ローラの電気抵抗が106以下になるように調整
してあり、現像工程において、感光体に対するバイアス
は同一条件として、画像形成を行った。
【0070】ローラのセット性能は、ローラをガラス面
に一定荷重下で放置した後、物理的な変形量を測定し、
変形量に基づき、下記の基準で評価した。
【0071】 ◎:計測上ほとんど変形が見られないもの ○:やや変形が見られるが画像に影響のないもの △:変形があり、画像へ影響するもの ×:変形の大きなもの 実施例1〜3で作製した弾性ローラ1〜3、比較例1で
作製した弾性ローラ4ではいずれも良好な結果が得られ
ている。一方、比較例2、3で作製した弾性ローラ5、
6では変形が確認され、比較例4で作製した弾性ローラ
7ではさらに大きな変形が見られた。このセット性能の
結果から、セット性能と弾性体層の圧縮永久歪みの値と
の間に相関があり、弾性体層の圧縮永久歪みの値が5%
以下の範囲では良好なセット性能が得られており、圧縮
永久歪みの値が高くなるにつれ、セット性能の劣化が生
じている。
【0072】画像の評価は、作製した現像ローラを実際
に使用して、電子写真装置において画像形成を行い、初
期および4時間後における、形成された画像を比較し、
画質上の問題の有無を判断した。その判断に基づき、下
記の基準で評価した。
【0073】 ◎:画像が良好なもの ○:問題がないもの △:やや濃淡が確認されるもの ×:色抜けや明らかな不良箇所のあるもの 実施例1、2で作製した弾性ローラ1、2は、画像は良
好であり、実施例3で作製した弾性ローラ3でも、画像
上の問題はなかった。比較例1で作製した弾性ローラ4
では、初期の画像に問題がなかったものの、4時間後の
画像ではやや濃淡が発生していた。比較例2〜4で作製
した弾性ローラ5〜7では、初期においても画像不良が
確認され、4時間後の画像評価をするまでもないもので
あった。
【0074】耐久性の評価は、4時間後の現像ローラに
対して、その表面を目視にて観察し、樹脂層外面のシワ
やスジの発生有無、弾性体層との間に剥れ等の接着不良
の有無の確認を行った。この目視検査結果に基づき、下
記の基準で評価した。
【0075】 ○:問題がないもの △:やや変化が見られるもの ×:明らかに不良箇所のあるもの 実施例1、3で作製した弾性ローラ1、3では、耐久性
は良好であるが、実施例2で作製した弾性ローラ2に
は、ローラ最表面の一部にスジが確認された。比較例1
で作製した弾性ローラ4では、その端部に剥れが生じて
おり、また、全体的にシワのような状態が見られた。な
お、比較例2〜4で作製した弾性ローラ5〜7は、初期
の画像ですら不良であったため、4時間後の画像評価と
同じく、この耐久性の評価も省略した。
【0076】上記の評価結果に基づき、総合的な性能評
価を行い、下記する4区分に評価した。
【0077】 ◎:極めて良好 ○:良好 △:やや難点を有するものの、実用上問題ない ×:実用上、問題となる難点を有する 総合的に評価すると、実施例1〜3で作製された現像ロ
ーラ1〜3は、セット性能、画像、耐久性のいずれの項
目ともに、実用上問題となる難点はなく、良好以上と評
価される。その中でも、実施例1で作製された現像ロー
ラ1は、耐久性を含め、良好な特性を示し、総合的に
は、極めて良好と評価される。
【0078】
【表3】
【0079】なお、本発明は、上述した具体例に示す条
件に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内に
おいて、種々の用途に応じて、実施の形態を変更の上、
実施することができる。因みに、上述の具体例では、表
層の形成に、ディッピング法による塗布を利用した例を
示したが、スプレー法やロールコーター法、または他の
方法で塗布、形成した表層を具える弾性ローラとしても
よい。
【0080】
【発明の効果】本発明の弾性ローラは、そのローラ層を
基層上に表層を設ける積層構成とする際、内側に位置す
る層(基層)の材料として、低硬度かつ圧縮永久歪みに
優れた材料を選択し、外側に位置する層(表層)の材料
として、永久伸びに優れた可撓性材料を選択すること
で、優れた接着性、耐久性を示し、柔軟性に富み、より
セット性(変形回復性)に優れた弾性ローラとなってい
る。前記構成の弾性ローラにおいて、例えば、シリコー
ンゴムから主になる弾性体層として、低硬度かつ圧縮永
久歪みに優れた材料を選び、その外周面に形成されるウ
レタン樹脂を用いる樹脂層として、永久伸びに優れた材
料を選ぶことで、低硬度で、セット性能、耐久性に優れ
た、電子写真装置用の現像ローラとすることができる。
また、本発明の弾性ローラは、現像ローラのみでなく、
電子写真装置において、感光体と当接する形態で使用さ
れる、帯電ローラ、転写ローラ、さらには、加圧ローラ
に適用した際にも、目的とするニップ幅を容易に得られ
る柔軟性と、優れた接着性、耐久性をも有し、よりセッ
ト性(変形回復性)に優れた弾性ローラが簡便に得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性ローラの全体構成の一例を模式的
に示す図ある。
【図2】本発明の弾性ローラにおける、ローラ層の二層
構造を模式的に示す断面図ある。
【符号の説明】
1 現像ローラ 11 軸芯金(軸芯体) 12 弾性体層(基層) 13 樹脂層(表層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 信俊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 有洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 石田 和稔 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 庭野 謙太郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H077 AD06 FA13 FA22 FA27 2H200 FA19 GA56 HA03 HA28 HB12 HB22 HB45 HB47 HB48 JA02 JA25 JA27 JA28 JB10 MA02 MA03 MA14 MC02 MC03 NA01 3J103 AA02 AA14 AA23 AA51 BA41 FA12 FA30 GA02 GA52 GA57 GA58 GA60 HA03 HA04 HA12 HA48 HA53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸芯体の外周面にローラ層が形成されて
    なる弾性ローラであって、 前記ローラ層は積層された二つの層で構成され、 基層として、ゴムを主成分とする弾性体層と、表層とし
    て、少なくとも前記弾性体層の外側を被覆する樹脂層と
    からなり、 前記弾性体層の硬度(Asker-C)は、15〜55°の範
    囲に、圧縮永久歪みは0.5〜5.0%の範囲に選択さ
    れ、 前記樹脂層の永久伸びは、1〜10%の範囲に選択され
    ていることを特徴とする弾性ローラ。
  2. 【請求項2】 ゴムを主成分とする前記弾性体層は、主
    成分のゴムとして、シリコーンゴムを用いてなることを
    特徴とする請求項1に記載の弾性ローラ。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層は、主成分の樹脂として、ウ
    レタン樹脂を用いてなることを特徴とする請求項1に記
    載の弾性ローラ。
  4. 【請求項4】 前記弾性体層の層厚は、0.5〜6.0
    mmの範囲に選択されていることを特徴とする請求項1
    に記載の弾性ローラ。
  5. 【請求項5】 前記樹脂層の層厚は、3〜100μmの
    範囲に選択されていることを特徴とする請求項1に記載
    の弾性ローラ。
  6. 【請求項6】 前記弾性ローラは、 電子写真装置において、その画像形成工程中、感光体表
    面に形成された静電潜像に対して現像剤を付着させて、
    顕像化させる現像工程に利用される、そのローラ表面に
    前記現像剤を薄膜状に担持し、前記感光体表面と圧接す
    る形態で使用される現像ローラ用であることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性ローラ。
  7. 【請求項7】 前記弾性ローラは、 電子写真装置において、その画像形成工程中、静電潜像
    の形成に先立ち、感光体表面を所定の電位に帯電させる
    帯電工程に利用される、そのローラ表面を前記感光体表
    面と当接させ、前記弾性ローラと感光体との間に電圧を
    印加しつつ、接触帯電を行う形態で使用される帯電ロー
    ラ用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の弾性ローラ。
  8. 【請求項8】 前記弾性ローラは、 電子写真装置において、その画像形成工程中、静電潜像
    を現像剤の付着により顕像化させた、感光体表面上の画
    像を、転写紙表面に転写する転写工程に利用される、そ
    のローラ表面と前記感光体表面の間隙にて前記転写紙を
    挟送しつつ、前記感光体表面の帯電と異なる極性に帯電
    する前記ローラ表面と接する転写紙裏面に帯電を行い、
    感光体表面上の画像を転写紙表面へ転写させる形態で使
    用される転写ローラ用であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の弾性ローラ。
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JP2007131665A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Bridgestone Corp ゴム架橋物
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