JP2002253225A - ウシの脳由来の細胞表面スフィンゴミエリナーゼ、その単離方法及び抗スフィンゴミエリナーゼモノクローナル抗体 - Google Patents
ウシの脳由来の細胞表面スフィンゴミエリナーゼ、その単離方法及び抗スフィンゴミエリナーゼモノクローナル抗体Info
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Abstract
ゼ、その単離法及び抗スフインゴミエリナーゼ抗体の提
供。 【解決手段】 分子量60kDa、Mg2+依存性、最適
pH6.0〜9.0であるウシ脳由来のスフインゴミエ
リナーゼ。該酵素は次の順序で分離精製される。ウシの
脳組織を均質化、遠心分離して細胞デブリ及び細胞核を
除去し;その上清から細胞膜を分離してペレットとし;
これを特定成分含有のバッファーで処理して該酵素を膜
から分離し;得られた抽出物をアニオン交換クロマトグ
ラフイーに付し;当該画分を特定成分含有のバッファー
中で超音波処理し、さらに遠心分離して該酵素を含む上
清を得て;疎水性相互作用、アニオン交換高速液体、疎
水性相互作用高速液体、及びカチオン交換高速蛋白液体
の各クロマトグラフイ処理に付す。モノクロナール抗体
はハイブリドーマSMIA5により得られる。
Description
ある 細胞表面(membrane-associated)スフィンゴミエリ
ナーゼ、その単離方法及びそれに対するモノクローナル
抗体に関する。
る第二伝達物質として働くセラミドは、細胞分化、細胞
周期の一時的停止(cell cycle suspension)、細胞老
化、細胞自滅(apoptosis)等を含む様々な細胞応答に関
連する。セラミドは、膜リン脂質であるスフィンゴミエ
リナーゼの加水分解の結果として主に生成される。
は、スフィンゴミエリンをセラミドとホスホコリンとに
加水分解する働きがあり、そのアイソザイム(isozyme
s)、即ち、中性pHに最適なリポソームSMase(A
-SMase);酸性pHに最適な亜鉛依存性細胞質S
Mase;アルカリ性pHに最適なSMase;中性p
Hに最適なMg2+依存性細胞質SMase(N−cSM
ase);及び中性pHに最適なMg2+依存性細胞表面
SMase(N−mSMase)が知られている。A−
SMase及び中性型SMase類は、1α,25-ジヒ
ドロキシビタミンD 3、腫瘍壊死因子(tumor necrosis f
actor)-α、インターロイキン-1β、神経成長因子類、
化学療法薬剤類、血漿欠乏等の細胞外刺激に応じて濃度
が増加することが知られている。
Maseが単離され、この酵素をコードするcDNAの
クローニングに成功した(キンターン(Quintern), L.E.
ら、EMBO J., 8, 2469-2473(1989))。本発明者らもま
た、活性がMg2+に依存し、かつグルタチオン及びDT
T感受性である75kDaの細胞質N-cSMaseを
単離し、特性を調べその内容を特許出願した(韓国特許
出願第98-28187号)。
性が高いため単離することが非常に困難であるので、そ
の特性は未だ完全には解明されていない。そのような困
難にもかかわらず、分子量が47.5kDaのN-mS
Maseが哺乳類細胞からクローニングされた(トミウ
ク(Tomiuk),Sら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、95、3638
-3643A(1998))。しかし、このN-mSMaseは、ト
リトンX-100を用いて分離され得る細胞表面蛋白質
であるが、TNF-α信号変換経路には無関係であると
記載されている。トリトンX-100を用いて、ラット
の脳から部分的に精製された状態で別のN-mSMas
eを単離することに成功した(リウ(Liu),B.ら、J.Bio
l.Chem.、273、34472-34479(1988))。部分的に精製さ
れたN-mSMaseの活性が、グルタチオン(酵素活
性が50%阻害される濃度(IC50);2.5mM)に
よって阻害され、DTT及びホスファチジルセリンによ
って促進されることが報告されている。本発明者らは、
2種類の新規N-mSMaseをウシの脳から完全に単
離することに成功した。この新規N-mSMaseは、
一つは4種のアイソザイム(T-mSMaseA、B、
C及びD)からなる分子量35kDaのものであり、他
方は2種のアイソザイム(S-mSMaseI及びI
I)からなる分子量40kDaのものであり、前者をト
リトンX-100を用いて単離し、後者を硫酸アンモニ
ウムを用いて単離して両者の特性の解明を行った。その
内容は特許出願中である(韓国特許出願第98-281
87)。
類は、脳疾患の主な病因であると考えられている。なぜ
なら、脳細胞においてセラミドにより伝達される信号変
換経路は、神経細胞の死滅を招き、その結果、パーキン
ソン病又はアルツハイマー症、低親和性ニューロトロフ
ィン(low affinitive neurotrophin)受容体(p75N
TR)の媒介に関与する乏突起神経膠細胞類(oligodend
rocytes)、PC12細胞類及びT9細胞類の自滅、TN
F-αにより生じる乏突起神経膠細胞の自滅、及び虚血
性脳損傷などのいくつかの中枢神経系疾患の病理が引き
起こされるからである。
の手段】そこで、本発明の目的は、パーキンソン病、ア
ルツハイマー症等の脳疾患のための治療薬の開発に役立
つ、ウシの脳から単離される中性pHに最適な細胞表面
スフィンゴミエリナーゼを提供することである。本発明
のもう一つの目的は、そのようなスフィンゴミエリナー
ゼをウシの脳から調製する方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、前記スフィンゴミエリナーゼに
特異的なモノクローナル抗体を提供することである。
0kDaであり、活性がMg2+に依存し、最適pHが
6.0〜9.0の範囲であるウシの脳のニューロン膜由
来のスフィンゴミエリナーゼが提供される。
を含む本発明によるスフィンゴミエリナーゼの単離方法
が提供される。即ち、ウシの脳細胞を均一化し(homogen
izing)、得られたホモジェネート(homogenate)を遠心分
離して細胞デブリ(debri)及び細胞核を除去し、遠心分
離により上清から細胞膜を分離してペレットを得る。硫
酸アンモニウム含有バッファーにより細胞膜ペレットを
処理し、この膜からスフィンゴミエリナーゼを分離し、
得られた抽出物をアニオン交換クロマトグラフィー(ani
on exchange chromatography)に付し、クロマトグラフ
ィー画分をトリトンX-100含有バッファー中で超音
波処理する。超音波処理した画分を遠心分離してスフィ
ンゴミエリナーゼを含む上清を得て、その上清を、疎水
性相互作用クロマトグラフィー(hydrophobic interacti
on chromatography)、アニオン交換高速液体クロマトグ
ラフィー(anion exchange high-performance liquid ch
romatography)、疎水性相互作用高速クロマトグラフィ
ー(hydrophobic interaction high performance liquid
chromatography)及びカチオン交換高速蛋白質液体クロ
マトグラフィー(cation exchange fast protein liquid
chromatography)にこの順序で付してスフィンゴミエリ
ナーゼを精製する。
ーマ(Hybridoma)SM1A5(寄託番号KCLRF-BT
-00025号)により生成されるスフィンゴミエリナ
ーゼに対するモノクローナル抗体が提供される。
セラミドとホスホコリンとに加水分解する酵素活性を有
するウシの脳の神経細胞膜から単離される細胞表面(mem
brane-bound)蛋白質に関する。
ィンゴミエリンに対して他のリン脂質を基質として使用
した場合の活性よりも50倍高い酵素活性を示し、Km
が47μmでVmaxが1,587nmol/min/m
gである。
依存することに加え、6.0〜9.0のpH範囲で活性
を示し、最適活性はpH7.5の場合に示される。ま
た、本発明のスフィンゴミエリナーゼの活性は、陽イオ
ンの影響を受ける。酵素活性は、Cu2+、Zn2+及びF
e2+の全てによって阻害されるが(IC50値はそれぞれ
28μM、32μM及び47μM)、Fe3+の存在下で
は1.8倍に増加する。興味深いことに、スフィンゴミ
エリナーゼの活性は、Fe2+により減少するが、Fe3+
により向上する。
影響し得る別の種類の化合物としては、グルタチオン、
酸化グルタチオン、システイン、システイン-グリシ
ン、及びγ-グルタル酸-システインが挙げられる。本発
明のスフィンゴミエリナーゼは、グルタチオンの濃度に
対して2つの異なる挙動を示す。グルタチオンの濃度が
3mMまで増加する場合にはスフィンゴミエリナーゼの
活性は増加する。一方、グルタチオン濃度が3mMを超
えて増加するとスフィンゴミエリナーゼの活性は減少
し、10mM(IC50;8.0mM)のグルタチオン濃
度において完全に阻害される。GSSG、システイン、
システイン-グリシン、及びγ-グルタル酸-システイン
のそれぞれの濃度の増加は、スフィンゴミエリナーゼの
活性の低下をもたらす。特に、本発明のスフィンゴミエ
リナーゼのグルタチオン枯渇に対する感度は、リウ(Li
u)の部分精製N-mSMaseのものよりもはるかに高
い(リウ(Liu),B.ら、J.Biol.Chem.、273、34472-344
79(1998))。一方、ジチオスレイトール及び2-メルカ
プトエタノールのいずれも、スフィンゴミエリナーゼの
活性に影響を与えない。
は、デオキシコール酸ナトリウム(sodium deoxycholat
e)やトリトンX-100のような活性剤からも影響を受
け得る。本発明のスフィンゴミエリナーゼは、デオキシ
コール酸ナトリウムの濃度が1mMの場合に、デオキシ
コール酸ナトリウムが存在しない場合よりも30倍高い
最適活性を示す。本発明のスフィンゴミエリナーゼは、
トリトンX-100の濃度が0.005%の場合に、ト
リトンX-100が存在しない場合よりも1.5倍高い
最適活性を示す。
膠(neuroglial)細胞中ではなく、ウシの脳皮質中のニュ
ーロン膜中で確認される。スフィンゴミエリナーゼは、
疎水性が非常に高く、且つ塩化ナトリウム又は硫酸アン
モニウムによって膜から可溶化され得るという事実から
推論した結果、イオン結合を介して膜に結合する周辺蛋
白質(peripheral protein)の一種であると考えられてい
る。
らの特徴を利用することによって以下のように精製され
得る。まず初めに、ウシの脳組織を通常の手法により均
質化し、次いでホモジェネートを遠心分離して細胞デブ
リ及び細胞核を除去する。上清を再度遠心分離して細胞
膜ペレットを得る。この細胞ペレット上で、硫酸アンモ
ニウムを含むバッファーを用いて通常の蛋白質分離法を
行う。ここでは、トリトンX-100によって単離され
るスフィンゴミエリナーゼは、硫酸アンモニウムによっ
ては単離されない。こうして得られた硫酸アンモニウム
抽出物は、次の段階においてスフィンゴミエリナーゼ源
として使用される。
ン交換クロマトグラフィーで処理する。アニオン交換ク
ロマトグラフィーにおいて有用なカラムとしては、DE
AE-セルロース(ワットマン・バイオシステム社(What
man Biosystem Ltd.)、英国)、QAE-セルロース(ワ
ットマン・バイオシステム社(Whatman Biosystem Lt
d.)、英国)、DEAE-セファロース(cephalose)(フ
ァルマシア・バイオテクノロジー社(Pharmacia Biotech
nology Inc.)、スウェーデン)、DEAE-トヨパール
(Toyopearl)(東ソー株式会社、日本)、及びQAE-ト
ヨパール(東ソー株式会社、日本)が挙げられ、DEA
E-セルロースが好ましい。クロマトグラフィーにおい
て使用するために、DEAE-セルロースカラムをバッ
ファーD(pH7.5の25mM トリス-HCl、1m
M EDTA及び10mM 2-メルカプトエタノール)
によってあらかじめ平衡化する。硫酸アンモニウム抽出
物を、平衡化されたDEAE-セルロースカラムに注入
後、0.5Mの硫酸アンモニウム及び0.1%のトリト
ンX-100を含むバッファーDによって溶出を行う。
活性画分は単一ピークとして検出される。
に0.1%のトリトンX-100を含有するバッファー
中で超音波処理した後、活性画分から不溶性脂質成分を
遠心分離によって除去する。この段階は、スフィンゴミ
エリナーゼを効率的に回収するために非常に重要であ
る。この段階を経ない場合、高い疎水性を有する細胞表
面スフィンゴミエリナーゼが他の脂質成分と凝集してし
まい、その凝集物からスフィンゴミエリナーゼを回収す
ることは極めて困難である。不溶性脂質成分を含まない
上清は、硫酸アンモニウム溶液を添加した後疎水性相互
作用クロマトグラフィーで処理される。このクロマトグ
ラフィーにおいて有用なカラムとしては、ブチル-トヨ
パール650M(東ソー株式会社、日本)、フェニル-
トヨパール650M(東ソー株式会社、日本)、ブチル
-セファロース(ファルマシア・バイオテクノロジー
社)が挙げられる。中でも、ブチル-トヨパール650
Mカラムが好ましい。ブチル-トヨパール650Mカラ
ムは、疎水性相互作用クロマトグラフィーにおいて使用
するために0.5Mの硫酸アンモニウムを含むバッファ
ーDによってあらかじめ平衡化される。硫酸アンモニウ
ムを含む上清を、平衡化されたカラムに注入した後、
0.2Mの硫酸アンモニウムを含むバッファーDによ
り、その後水により、スフィンゴミエリナーゼを溶出す
ることができる。活性画分は単一ピークとして検出され
る。
ラフィー(HPLC)によって活性画分を更に精製す
る。アニオン交換HPLCには、DEAE-5PW(東
ソー株式会社、日本)、モノ(Mono)Q(ファルマシア・
バイオテクノロジー社、スウェーデン)、モノP(ファ
ルマシア・バイオテクノロジー社、スウェーデン)、リ
ソース(Resource)Q(ファルマシア・バイオテクノロジ
ー社、スウェーデン)、のような市販のカラムを使用す
ることができ、中でもDEAE-5PWが好ましい。D
EAE-5PW HPLCを、クロマトグラフィーに使用
する前にバッファーDによって平衡化する。平衡化した
カラムに活性画分を注入し、次いで0.5Mの硫酸アン
モニウム及び0.1%のトリトンX-100を含むバッ
ファーDを用いて線形勾配(linear gradient)をかけて
溶出する。活性画分は単一ピークとして検出される。
用HPLCで処理する。この疎水性相互作用HPLCに
おける使用に適したカラムとしては、フェニル-5PW
ガラス、エーテル-5PWガラス、エーテル-5PW、ブ
チル-NPR(東ソー株式会社、日本)、SOURCE
15ETH、SOURCE 15ISO、SOURCE
15PHE、フェニルセファロース高速、ブチルセファ
ロース4高速(fast flow)、オクチルセファロース4高
速、及びフェニルセファロース6高速(ファルマシア・
バイオテクノロジー社)が挙げられ、中でもフェニル-
5PWカラムが好ましい。フェニル-5PWカラムは、
活性画分を注入する前に0.2Mの硫酸アンモニウムを
含むバッファーDによって平衡化される。蒸留水を用い
て線形勾配をかけて溶出を行う。目的の活性画分は、そ
れぞれピークε及びζと名付けた2つのピークとして検
出される。
オン交換高速蛋白質液体クロマトグラフィー(FPL
C)で処理する。このFPLCにおける使用に適したカ
ラムとしては、モノ(Mono)S FPLC(ファルマシア
・バイオテクノロジー社、スウェーデン)、リソースS
(ファルマシア・バイオテクノロジー社、スウェーデ
ン)及びSP-5PW(東ソー株式会社、日本)が挙げ
られ、モノS FPLCカラムが好ましい。モノSカチ
オン交換FPLCカラムは、活性にするためにバッファ
ーS(pH6.5の25mM 酢酸ナトリウム及び1m
M EDTA)によってあらかじめ平衡化される。活性
画分とバッファーSとの混合物を平衡化されたFPLC
カラムに注入し、次いで塩化ナトリウム並びに1.0M
の塩化ナトリウム及び0.1%のトリトンX-100を
含むバッファーSをこの順に用いて線形勾配をかけて溶
出を行う。目的の活性画分は、それぞれピークA及びB
と名付けた2つのピークとして検出される。
ョン(immunoprecipitation)、及びウエスタンブロット
分析によって得られたデータを総合すると、ピークA及
びBとして検出される各活性画分が、60kDaの分子
量の本発明のスフィンゴミエリナーゼを含むことが示さ
れる。また、ピークBの活性画分は、ピークAよりも総
活性が1.4倍高く、比活性が4倍高いことも判明し
た。本発明によりこうして得られたスフィンゴミエリナ
ーゼを、N-mSMase εと名付ける。
に対するモノクローナル抗体に関する。モノクローナル
抗スフィンゴミエリナーゼ抗体を得るために、SM1A
5と名付けたハイブリドーマ細胞が既知の技術に従って
調製された。モノクローナル抗体を生成することができ
るハイブリドーマSM1A5は、1999年9月15日
に、韓国細胞系研究機関(Korean Cell Line RESEARCH
Foundation;KCLRF)に寄託番号KCLRF-BT-000
25号として寄託された。
施例により、更に理解され得るが、これにより本発明が
限定されるものではない。
れたコリン残基)を窒素気流によって乾燥させた後、エ
タノール中で懸濁させた。試料10μlを、反応溶液1
00μl(10mM MgSO4、50μM [N-メチル-
14C]スフィンゴミエリン(約60,000cpm)、
2mM デオキシコール酸ナトリウム、100mM トリ
ス-HCl(pH7.0))と混合し、37℃において
30分間インキュベートした。クロロホルム/メタノー
ル混合溶媒(体積比1:1)320μl及び2N塩酸3
0μlを加えて反応を終了させた。得られた混合物をボ
ルテックスミキサーで攪拌し、10,000×gで遠心
分離した後、水相200μlを米国のパッカード・イン
スツルメント社(Packard Instrument Co.)製“インスタ
ゲル(Insta gel)-XF”のようなシンチレーションカク
テル(scintillationcocktail) 2.5mlと混合し、次
いでパッカード・トリカーブ液体βシンチレーション計
測器(Packard Tricarb liquid β-scintillation count
er)を用いて放射能を測定した。
・バイオテクノロジー社、スウェーデン)で測定するこ
とにより、蛋白質を定量した。ここでは、ブラッドフォ
ード(Bradford)試薬を用いて試料中に含まれる蛋白質を
着色した後、測定された吸光度をウシ血清アルブミン濃
度勾配に基づき作成した検量線と比較することによって
その蛋白質濃度を決定した。
a)製ポリトロム・ホモジェナイザー・型番PT−MR6
000(Polytrom Homogenizer Model PT-MR6000)のよう
なホモジェナイザー(homogenizer)を用いて、25リッ
トルの均質化バッファー(homogenization buffer)(p
H7.5の50mM トリス-HCl、1mM EDT
A、3mM MgCl2、50mM KCl及び10mM
2-メルカプトエタノール)中で均質化した。ホモジェ
ネートを10,000×gで10分間遠心分離し、細胞
デブリ及び細胞核を含まない上清を、4℃において1
0,000×gで再度1時間遠心分離した。ペレットを
2.5リットルの均質化バッファー中で懸濁させた後、
4℃において40,000×gで1時間遠心分離した。
こうして得られたペレットを、0.5Mの硫酸アンモニ
ウムを含む均質化バッファー2.5リットル中で再度懸
濁させ、懸濁液を4℃において1時間攪拌し、その後4
℃において40,000×gで1時間遠心分離する。上
清(硫酸アンモニウム抽出物)を採取し、そこからN-
mSMaseを生成することができる酵素源として使用
した。
換クロマトグラフィー 2.0リットルのDE52ゲルが充填されたDEAE-
セルロースカラム(ワットマン・バイオシステム社、英
国)をバッファーD(pH7.5の25mMトリス-H
Cl、1mM EDTA及び10mM 2-メルカプトエ
タノール)によりあらかじめ平衡化し、段階1において
調製された硫酸アンモニウム抽出物2.5リットルを平
衡化されたカラムに注入した。注入された上清を、0.
5Mの硫酸アンモニウム及び0.1%のトリトンX-1
00を含むバッファーDを徐々に加えることにより20
ml/minの流速で溶出し、その間40ml毎に画分
を採取した。各画分を10μlずつ採取し、実験例1記
載の方法によってN-mSMase活性を分析した。ク
ロマトグラフィーの結果を図1に示す。クロマトグラム
に示すように、N-mSMase活性は単一ピークとし
て検出された。
性相互作用クロマトグラフィー 段階2において得られた活性画分を、4℃において細胞
破砕機(cell crusher)(ソニックス・アンド・マテリア
ルズ社(Sonics & Materials Inc.)、キャンベリー(Canb
ury)、米国)中で、5分間隔で6回、1回の超音波処理
当たり3秒間70%の振幅強度で超音波処理した後、1
00,000×gで1時間遠心分離した。こうして得ら
れた上清によって、4.0Mの硫酸アンモニウム溶液を
0.5Mの試料に希釈した。この試料を、ブチル-トヨ
パール650Mカラム(東ソー株式会社、日本、床容量
(bed volume)150ml)に注入した後、0.2Mの硫
酸アンモニウムを含むバッファーDを徐々に加え、その
後蒸留水を加えた。流速15ml/minで溶出を行
い、その間30ml毎に画分を回収した。各画分を10
μlずつ採取し、活性画分を測定するために実験例1に
記載の方法によってN-mSMase活性を分析した。
分析結果を示すクロマトグラムを図2に示す。クロマト
グラムに示すように、N-mSMase活性は単一ピー
クとして検出された。
PLC 段階3において得られた活性画分を、バッファーDによ
って平衡化されたDEAE-5PW HPLCカラム(2
1.5mm×15cm、東ソー株式会社、日本)に注入
した後、0.5Mの硫酸アンモニウム及び0.1%のト
リトンX-100を含むバッファーD200mlを用い
て線形勾配をかけて5ml/minの流速で溶出を行
い、その間5ml毎に画分を回収した。各画分を3μl
ずつ採取し、実験例1に記載の方法によってN-mSM
ase活性を分析し、活性画分を得た。結果を図3に示
す。クロマトグラムに示すように、N-mSMase活
性は単一ピークとして検出された。
HPLC バッファーDによって平衡化されたフェニル-5PW H
PLCカラム(21.5mm×15cm、東ソー株式会
社、日本)に段階4で得られた活性画分を注入した後、
蒸留水を用いて線形勾配をかけて5ml/minの流速
で溶出を行い、その間5ml毎に画分を回収した。各画
分を3μlずつ採取し、実験例1に記載の方法でN-m
SMase活性を分析し活性画分を得た。結果を図4に
示す。クロマトグラムに示すように、N-mSMase
活性は、それぞれピークε及びζと名付けた2つのピー
クとして検出された。
(pH6.5の25mM酢酸ナトリウム及び1mM E
DTA)と混合してバッファーSによってあらかじめ平
衡化されたモノSカチオン交換FPLCカラム(5.0
cm×5.0mm、ファルマシア・バイオテクノロジー
社、スウェーデン)に注入した後、1ml/minの流
速で20mlの塩化ナトリウムを用いて0.0〜1.0
Mの線形勾配をかけて溶出を行い、次いで1.0Mの塩
化ナトリウム及び0.1%のトリトンX-100を含む
バッファーSを用いて徐々に勾配をかけて溶出を行い、
その間1ml毎に画分を回収した。各画分を3μlずつ
採取し、どの画分が酵素活性を有するかを決定するため
に実験例1に記載の方法によってN-mSMase活性
を分析した。分析結果を示すクロマトグラムを図5に示
す。クロマトグラムに示すように、N-mSMase活
性はピークA及びBと名付けた2つのピークとして検出
された。これらの活性ピークから得られたN-mSMa
seを、N-mSMase εと呼ぶ。各段階で得られた
蛋白質の合計量、総活性、収率、比活性及び精製率を下
記表1に要約する。
e)、227、680-685(1970))に従ってSDS-PAGEに
より蛋白質を分析した。実施例1の段階6において得ら
れたピークA及びBそれぞれの活性画分を10μlず
つ、5倍のレムリバッファー(pH6.8の0.125
M トリス-HCl、4%SDS、20%グリセロール及
び0.002%ブロモフェノールブルー)2μlと混合
し、5分間煮沸した後室温まで冷却し、次いで10%S
DS-ポリアクリルアミドゲル上に試料を流した。肉眼
で識別できるようにするために、分離された蛋白質をプ
ラスワン・シルバー・ステイニング・キット(PlusOne S
ilver Staining Kit)(ファルマシアLCB社、スウェ
ーデン)を用いて着色した。
6b(ピークB)に示す。各図において、左側に矢印で
示した分子量を有するミオシン(22kDa)、β-ガ
ラクトシダーゼ(116kDa)、ウシ血清アルブミン
(84kDa)、オボアルブミン(ovalbumin)(50.
1kDa)、炭酸脱水酵素(35.7kDa)を標準蛋
白質マーカーとして用いた。図5に示されたピークAの
活性画分(第33〜43画分)がそれぞれ、図6aの第
1列〜第11列上で電気泳動された。図6b中の第1列
〜第10列は、図5において得られたピークBの活性画
分(第53〜62画分)から分離された蛋白質をそれぞ
れ示す。図6a及び6bに示すように、ピークA及びB
の画分から分離されたN-mSMase εは全て約60
kDaの分子量を有することが明らかになり、その中に
はこれら以外の蛋白質は確認されなかった。
50μlを、フロイント完全アジュバント(Freund's co
mplete adjuvant)(ギブコBRLライフテクノロジーズ
社(Gibco BRL Life Technologies, Inc.)、米国)と混
合してBALB/cマウス(韓国の韓国実験動物センタ
ー(Korean Experimental Animal Centerより購入)に腹
膜注射した。フロインド不完全免疫助成剤(Freund's in
completeadjuvant)中で乳化したN-mSMase ε
を、50μgの投与量で3週間隔で更に3回注射するこ
とによって更に免疫化を行った。融合(fusion)の3日前
に、免疫助成剤を含まないN-mSMase εを投与量
50μgで最後に注射した後、マウスから血液をサンプ
リングした。10,000×gで30分間遠心分離する
ことにより、抗血清を得た。
ーディング(Goding),J.W. モノクローナル・アンチボデ
ィズ(Monoclonal Antibodies);プリンシプルズ・アン
ド・プラクティス(Principles and Practice)、アカデ
ミックプレス(Academic Press)、ロンドン(1986))に従
って、ポリエチレングリコール(PEG)50(シグマ
社(Sigma Co.)、米国)を用いて、マウスからの脾臓細
胞(2×108個)をSP2/Oマウスからの骨髄腫細
胞と融合した後、10%のハイブリッド促進培地(シグ
マ社、米国)、20%のウシ胎児血清(ハイクローン(H
yclone))、35%のSP20並びに35%のHEFM
バッファー及びRPMI-1640(ギブコBRL、グ
ランド・アイランド(Grand Island)、ニューヨーク、米
国)が補充されたHAT培地(シグマ社、米国)を含む
96-ウェル・プレート上にそれらを塗布した。37℃
で2週間培養した後、オーシュベル(Ausubel)の説明
(オーシュベル,F.M.、カレントプロトコルズ・イン・
モレュラー・バイオロジー(Current Protocols in Mole
cular Biology)、ワイリー-インターサイエンス(Willey
-Interscience)、ニューヨーク(1987))に従って、ハイ
ブリドーマ上清を使用して、細胞が抗N-mSMase
ε抗体を生成するか否かを決定した。これにより、N-
mSMase εに対するモノクローナル抗体を生成し
得る、SM1A5、SM1H6及びSM1E1と呼ばれ
る3種のハイブリドーマが確認された。SM1A5は、
1999年9月15日に、寄託番号KCLRF-BT-0
0025号として韓国細胞系調査機関(KCLRF)に
寄託された。
ーマSM1A5、SH1E1又はSM1E1用培地50
0μl、及び免疫化前に得られた血清25μlを、蛋白
質A-セファロースCL-4Bビーズ(ファルマシア・バ
イオテクノロジー社、スウェーデン)50μlを用いて
4℃で12時間、攪拌しながらそれぞれ反応させた。こ
の反応の前にバッファーI(pH7.5の20mMトリ
ス-HCl、1mM EDTA及び10% BSA(2
0:1 v/v)を用いてビーズを平衡化した。ビーズ
は、1mlのバッファーIを用いて6回洗浄した後、
0、15、30、45又は60分間4℃でバッファーI
中で実施例1の段階6において得られたN-mSMas
e ε(100ng)と攪拌しながら反応させた。4℃
で30秒間13,000×gで遠心分離し、次いで実験
例1の方法に従い上清のN-mSMase活性を分析し
た。結果を図7に示す。図7に示すように、ハイブリド
ーマ・クローンSM1A5及びSM1E1から生成され
た抗体のN-mSMase ε活性は、両者とも同程度ま
で減少した。これにより、両者の抗原に対する親和性が
類似していることがわかる。
gを、10%SDS-ポリアクリルアミドゲル上で電気
泳動させ、分離された蛋白質を、ホファー・エレクトロ
ブロッター・システム(Hoefer Electroblotter system)
(TE22マイティー・スモール・トランスフォー・ユ
ニット(TE22 Mighty Small Transphor Unit)、ホファー
・サイエンティフィク・インスツルメンツ(Hoefer Scie
ntific Instruments)、カナダ)を用いて、ニトロセル
ロース膜上に200mAで電気的に移した。このセルロ
ース膜を、5%の無脂肪乾燥乳を含有するトリスバッフ
ァー食塩水(pH8.0の25mM トリス-HCl、1
37mM NaCl及び2.7mM KCl)によって処
理して移された蛋白質を遮断し(block)、0.1%のツ
イーン20(Tween 20)を含有するTBSを用いて洗浄
し、コントロールとして用いられる抗血清、ハイブリド
ーマSM1A5、SM1H6又はSM1E1用培地、又
はあらかじめ免疫化された血清と併せて6時間インキュ
ベートした。膜上に移された蛋白質を、0.1%のツイ
ーン20を含むTBSを用いて洗浄した後、ヤギアンチ
マウスIgGとアルカリホスファターゼとの複合体(サ
ンタ・クルツ・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biotec
hnology)、米国)(希釈率1:2,000)と2時間反
応させ、上記の方法により洗浄し、基質キット(MBT
/BCIP、ピエルス(Pierce)、米国)を用いて着色反
応を観察した。ハイブリドーマ培地用洗浄バッファーと
しては、TBSのみが使用された。ブロッティング(Blo
tting)の結果を図8に示す。図8からわかるように、ハ
イブリドーマSM1A5から生成されたモノクローナル
抗体は、SDS-PAGEゲル上で、変性されたN-mS
Mase εと強固に結合する。
εに対して、ラインウエーバ−・バーク分析(Lineweave
r-Burk analysis)を行った。ここで、6.25〜100
μMの濃度の基質スフィンゴミエリンとともに、酵素N
-mSMaseεを10ng以上の量で使用した。結果
を図9aに示す。ラインウエーバー・プロットに示すよ
うに、N-mSMase ε活性は、47μMのKm及び
1.587nmol/min/mgを超えるVmaxを示
し、ミカエリス・メンテン反応速度論(Michaelis-Mente
n kinetics)に従う典型的な直線を描いた。それとは別
に、同様のラインウエーバー-バーク分析を、0.4、
1.0及び2.0mMのデオキシコール酸ナトリウム存
在下で行った。図9bに示した分析結果から、デオキシ
コール酸ナトリウムが、N-sMase εのスフィンゴ
ミエリナーゼに対するKm値を変えることができること
がわかった。
ルミトイル-3-ホスファチジル[N-メチル-3H]コリ
ン、ホスファチジル[2-3H]イノシトール4,5-ビ
ホスフェート、1-ステアロイル-2-[1-14C]アラキ
ドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、及び1-ア
シル-2-[1-14C]アラキドノイル-sn-グリセロ-3
-ホスホエタノールアミンを用いてN-mSMase ε
の基質特異性を調べた。実験例1に記載の方法によっ
て、これらの基質に対するN-sMase活性を測定し
た結果、スフィンゴミエリンに対する特異性が、他の基
質に対するものよりも50倍高いことが判明した。
に、実施例1の段階6において得られた画分Bを、PD
-10カラム(セファデックス(Sephadex)G-25、ファ
ルマシア・バイオテクノロジー社、スウェーデン)に適
用することにより脱塩した。使用するために、カラムを
蒸留水によってあらかじめ2回平衡化した。実験例1に
記載の方法により、1、5、10及び25mMのMgC
l2存在下で、脱塩された蛋白質画分(蛋白質10ng
に相当)のN-mSMaseε活性を測定した。結果を
図10に示す。プロットに示すように、N-mSMas
e ε活性は、Mg2+濃度に依存する。
ngに相当)及び5mMのMgCl2を含む反応溶液
を、グリシン-HClを用いてpH4.5、5.5若し
くは6.0に、イミダゾール-HClを用いてpH6.
0若しくは7.0に、トリス-HClを用いてpH7.
0、7.5、8.0若しくは9.0に、又はグリシン-
NaOHを用いてpH9、10若しくは11に調製した
後、実験例1の手順に従い酵素活性を測定した。結果を
図11に示す。図11に示すように、N-mSMase
εは、中性pH領域において最も高い活性を示し、pH
が6.0よりも低くなると、又は9.0よりも高くなる
と、活性が急激に減少した。従って、本発明のN-mS
Maseεは、中性pHにおいて最適な酵素である。
ような他のカチオンのN-mSMase ε活性への影響
を調べた。Cにおいて得られた脱塩された蛋白質画分
(蛋白質10ngに相当)及び5mMのMgCl2を含
む溶液に、CaCl2、FeCl3、FeCl2、ZnC
l2又はCuCl2を最終濃度が0.01、0.02、
0.05、0.1、0.25又は0.5mMとなるよう
に加えた後、実験例1の方法に従ってN−mSMase
ε活性を測定した。結果を図12に示す。プロットに
示すように、0.5mM以下の濃度では、Ca2+はN-
mSMase ε活性に何ら影響を及ぼさないのに対
し、Cu2+、Zn 2+及びFe2+は、それぞれ28μM、
32μM及び47μMのIC50値で酵素活性を阻害す
る。一方、Fe3+は、好影響をもたらし、N-mSMa
se ε活性を1.8倍に増加させる。
た。実施例1の段階6において得られた活性画分(10
ngの蛋白質に相当)を、0.5、1、2、3、4、
5、7.5若しくは10mMのグルタチオン、DTT、
又は2-メルカプトエタノールを含むトリス-HCl 9
0μlに加え、37℃で10分間インキュベートした。
10μlの[N-メチル-14C]スフィンゴミエリンを添加
した後、実験例1の手順に従いN−mSMase ε活
性を測定した。比較のため、還元剤を含まないトリス-
HClバッファーをコントロールとして使用した。還元
剤による影響を受けたN−mSMase ε活性を、コ
ントロールとの相対比率として表した。結果を図13a
に示す。図13aに示すように、グルタチオンは、N−
mSMase ε活性に影響を及ぼす。N−mSMas
e ε活性は、グルタチオン濃度が3mMまで増加する
と増加するが、その後は減少し、最終的にグルタチオン
濃度が10mMになると完全に阻害されるという2つの
態様(bimodal profile)を示す。一方、N-mSMase
ε活性はDTT及び2-メルカプトエタノールによって
阻害されないことがわかった。
タチオンと類似の還元剤のN−mSMase ε活性へ
の影響も調べた。1、3、5若しくは10mMのGSS
G、システイン、システイン-グリシン又はγ-グルタル
酸-システインによって処理した後、N-mSMase
ε活性を同様の方法で測定した。結果を図13bに示
す。図13bに示すように、N-mSMase ε活性が
GSSG、システイン、システイン-グリシン又はγ-グ
ルタル酸-システインによって阻害されることがわかっ
た。
試験されるべき活性剤として選択した。実験例1の手順
に従い、0.5、1、2、及び5mMのデオキシコール
酸ナトリウムをそれぞれ含む反応溶液中で、Cにおいて
得られた蛋白質画分(10ngの蛋白質に相当)のN−
mSMase ε活性を測定した。トリトンX-100の
場合は、0.05、0.01、0.5及び0.1%の濃
度で調製した。
のN-mSMase ε活性への影響を、図14a及び1
4bにそれぞれ示す。これらのプロットに示すように、
N-mSMase ε活性は、1mMのデオキシコール酸
ナトリウム存在下で3倍増加し、0.005%のトリト
ンX-100存在下で1.5倍増加する。
・ラットの胎児から、コー(Koh),J.Y.らの教え(Exp, N
eurol.、135、 153-159(1996))に従って皮質ニューロ
ン培養液を以下のように調製した。ラット胎児から摘出
された皮質神経組織を、Ca2+及びMg2+を含まないハ
ンクス平衡塩溶液(Hank's balanced salt solution; HB
SS)(1mMのピルビン酸ナトリウム及び10mMのH
EPES、pH7.4)へ添加し、その後、炎で細くし
たパスツールピペットを用いて遊離細胞を単離した。単
離した遊離細胞を、底部がポリ-D-ライシン(lycine)で
被覆された培養プレート中のDMEM(ダルベッコ変形
イーグル培地(Dulbecco'sModified Eagle Medium))/
F-12(ギブコBRL、グランド・アイランド、ニュ
ーヨーク、米国)上に塗布した後、5%CO2雰囲気中
で37℃でインキュベートした。18時間インキュベー
トした後、非神経細胞の成長を妨げるために10μMの
β-D-シトシンアラビノフラノシド(cytosine arabinof
uranoside)を培地に添加した。
脳新皮質(brain neocortex)から、神経膠細胞の培養液
を調製した。この培養液を、6-ウェルプレート中0.
25〜0.5ウェル容量を満たした10%のウシ胎児血
清及び10%のウマ血清が補充された培地上に塗布し、
2時間培養した。培地は毎週新しいものに変えた。神経
膠細胞を、14〜28日培養した後塗布した。
を、TBSによって3回洗浄した後、それぞれ均質化バ
ッファー(pH7.5の20mM トリス-HCl、1m
MEDTA、10mM 2-メルカプトエタノール、1μ
g/ml ロイペプチン(leupeptin)、及び1mM フェ
ニルメチルスルホニルフルオライド(phenylmethylsulfo
nyl fluoride)へ添加し、26ゲージ針を30回前後さ
せてせん断した。4℃において10分間2,000×g
でホモジェネートを遠心分離することにより、ニューロ
ンデブリ及び神経膠細胞デブリが得られる。神経膠細胞
デブリについては、4℃において100,000×gで
再度1時間遠心分離した。上清を水溶性画分(S10
0)として除去するとともに、膜質材料(membranous ma
terials)(P100)を含むペレットを上清の半分の体
積の均質化バッファー中で懸濁させた。
分、神経膠細胞ホモジェネート、及び実施例1の段階6
において得られたN-mSMase εを混合して10%
SDS-ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させた。
60kDaの分子量を有する蛋白質に対する実施例3で
得られた抗血清を10,000倍に希釈して用いて、実
施例5と同様の方法でウエスタン・ブロットを行った。
結果を図15に示す。ブロット図から明らかなように、
N-mSMase εは、ニューロン膜画分中に存在する
が、ニューロン水溶性画分及び神経膠細胞ホモジェネー
ト中には存在しない。
フィンゴミエリナーゼN-mSMase εは、ニューロ
ン膜のみに存在するので、パーキンソン病、アルツハイ
マー症等の脳疾患に対する治療薬の開発のために有用で
ある。更に、本発明のスフィンゴミエリナーゼN-mS
Mase εは、その阻害剤及び活性化因子の研究並び
にX線又はNMRによる構造分析において有用であるこ
とがわかる。一方、本発明のN-mSMase εに対し
て特異的なモノクローナル抗体を用いることにより、本
発明のN-mSMase εが有する機能及び細胞内調節
機構を調べることができる。これらモノクローナル抗体
は、N-mSMase εを効率的に単離するため並びに
癌及び変性疾患(degenerative diseases)を診断するた
めにも有用である。
専門用語は限定するよりもむしろ説明することを目的と
している。本発明の多くの修正及び変形は、上記の説明
に照らして可能である。それ故、添付の特許請求の範囲
内で、本発明は具体的に説明された以外の別の方法で実
施することもできる。
E-セルロースアニオン交換クロマトグラフィー後のク
ロマトグラムである。
って得られた活性画分のブチル-トヨパール650M疎
水性相互作用クロマトグラフィー後のクロマトグラムで
ある。
得られた活性画分のDEAE−5PWアニオン交換HP
LC後のクロマトグラムである。
成分のフェニル-5PW疎水性相互作用クロマトグラフ
ィーのクロマトグラムである。
性画分のモノSカチオン交換FPLC後のクロマトグラ
ムである。
クα(a)及びピークβ(b)のSDS-PAGEの結
果を示す。
ムノプレシピテーションの結果を示す。
エスタン・ブロットの結果を示す。
1.0及び2.0mMのデオキシコール酸ナトリウム存
在下での(b)基質濃度の逆数に対してプロットしたス
フィンゴミエリナーゼの速度の逆数のラインウエーバー
-バーク・プロットを示す。
スフィンゴミエリナーゼの活性のグラフである。
フィンゴミエリナーゼの活性のグラフである。
2+の濃度に対してプロットした本発明のスフィンゴミエ
リナーゼの活性のグラフである。
ールの濃度に対して(a)並びにGSSG、システイ
ン、システイン-グリシン及びγ-グルタル酸-システイ
ンの濃度に対して(b)プロットされた本発明のスフィ
ンゴミエリナーゼの活性のグラフを示す。
及びトリトンX-100の濃度(b)に対してプロット
された本発明のスフィンゴミエリナーゼの活性のグラフ
を示す。
SDS-PAGEの結果を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 分子量が60kDaであり、活性がMg
2+依存性であり、且つ最適pHが6.0〜9.0の範囲
であるウシの脳のニューロン膜由来のスフィンゴミエリ
ナーゼ。 - 【請求項2】 スフィンゴミエリナーゼ活性が8.0m
MのIC50を有するグルタチオンによって阻害される請
求項1記載のスフィンゴミエリナーゼ。 - 【請求項3】 ウシの脳組織を均質化し、得られたホモ
ジェネートを遠心分離して細胞デブリ及び細胞核を除去
し;遠心分離により上清から細胞膜を分離してペレット
とし;硫酸アンモニウムを含有するバッファーを用いて
細胞膜ペレットを処理してスフィンゴミエリナーゼを膜
から分離し;得られた抽出物をアニオン交換クロマトグ
ラフィーに付し;クロマトグラフィー画分をトリトンX
-100を含むバッファー中で超音波処理し、超音波処
理した画分を遠心分離してスフィンゴミエリナーゼを含
む上清を得て;前記上清を疎水性相互作用クロマトグラ
フィー、アニオン交換高速液体クロマトグラフィー、疎
水性相互作用高速液体クロマトグラフィー、及びカチオ
ン交換高速蛋白質液体クロマトグラフィーにこの順序で
付すことにより精製する段階を含む請求項1記載のスフ
ィンゴミエリナーゼの単離方法。 - 【請求項4】 DEAE-セルロースカラムを用いてア
ニオン交換クロマトグラフィーを行う請求項3記載の方
法。 - 【請求項5】 ブチル-トヨパール650Mカラムを用
いて疎水性相互作用クロマトグラフィーを行う請求項3
記載の方法。 - 【請求項6】 DEAE-5PWカラムを用いてアニオ
ン交換高速液体クロマトグラフィーを行う請求項3記載
の方法。 - 【請求項7】 フェニル-5PWカラムを用いて疎水性
高速液体クロマトグラフィーを行う請求項3記載の方
法。 - 【請求項8】 モノ-S高速蛋白質液体クロマトグラフ
ィーカラムを用いてカチオン交換高速蛋白質液体クロマ
トグラフィーを行う請求項3記載の方法。 - 【請求項9】 ハイブリドーマSM1A5(寄託番号K
CLRF−BT−00025)によって生成される請求
項1のスフィンゴミエリナーゼに対するモノクローナル
抗体。
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---|---|---|---|
JP2001037192A JP2002253225A (ja) | 2001-02-14 | 2001-02-14 | ウシの脳由来の細胞表面スフィンゴミエリナーゼ、その単離方法及び抗スフィンゴミエリナーゼモノクローナル抗体 |
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