JP2002252073A - 電気加熱ヒ−タの省電力法 - Google Patents

電気加熱ヒ−タの省電力法

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JP2002252073A
JP2002252073A JP2001046698A JP2001046698A JP2002252073A JP 2002252073 A JP2002252073 A JP 2002252073A JP 2001046698 A JP2001046698 A JP 2001046698A JP 2001046698 A JP2001046698 A JP 2001046698A JP 2002252073 A JP2002252073 A JP 2002252073A
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heating heater
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Hiroshi Ko
博 高
Yukio Maruki
幸夫 丸木
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KO GIJUTSU KENKYUSHO KK
MOEBIUS ADVANCE TECHNOLOGY KK
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KO GIJUTSU KENKYUSHO KK
MOEBIUS ADVANCE TECHNOLOGY KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電気加熱ヒ−タの省電力を、他の電気・電子
機器類に弊害を及ぼすことのない簡単な制御装置で得る
ことと、ヒ−タの抵抗導体を省電力に適した構造にする
ことで大幅な省電力効果を実現さすことにある。 【解決手段】 ヒ−タの制御に関しては商用交流電源の
電圧を全波整流し、電流波形調整器3によって生じる渦
電流損をジュ−ル熱の増加分として利用することで、電
気加熱ヒ−タ2の省電力を可能とする。ヒ−タ2の構造
に関しては、ヒ−タの抵抗導体の内部層(芯部)は通常
の発熱抵抗であるが、外表層(殻部)は鉄など強磁性材
料からなる二層構造の特殊抵抗導体である。この特殊抵
抗体の内部層(芯部)の発熱抵抗に流れる交流電流によ
って発生する磁束により、特殊抵抗体の外表層(殻部)
に渦電流損とヒステリシス損が発生しこれが熱となる。
この熱が、特殊抵抗体の内部層(芯部)で発生するジュ
−ル熱に加わることで、電気加熱ヒ−タの省電力を可能
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抵抗加熱方式によ
る電気炉等の電気加熱ヒ−タの省電力法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の抵抗加熱方式による電気加熱ヒ−
タの省電力法としては、ON/OFF制御(コンタクタ
式)をSCR(サイリスタ)等を用いたAPR(交流電
力調整器)による無段階電圧制御にする方法が知られて
いる。従って、このAPRによる電気加熱ヒ−タの制御
について、電気炉を例にとり以下これを説明する。
【0003】図6は電気炉の温度制御装置に係わるブロ
ック図である。1は商用交流電源、2は電気炉、8は温
度調節計、9はAPRである。電気炉2の温度制御を行
う場合、電気炉2の温度をアルメル−クロメルや銅−コ
ンスタンタン等の熱電対又は白金を用いた測温体10に
より検出を行い、その検出値2Eを温度調節計8に入力
する。温度調節計8は目標温度(設定温度)に対して検
出温度が低い場合はAPR9の出力電圧を上げるような
信号8E(例えば12〜20mA)を出力し、検出温度
が高い場合はAPR9の出力電圧を下げるような信号8
E(例えば12〜4mA)を出力する。そして温度調節
計8の出力信号8EがAPR9の設定信号となり、その
値に比例した出力電圧9Eに変換することによって、こ
の電気炉2の温度制御が行われる。
【0004】APRによる電気加熱ヒ−タの無段階電圧
制御を行うことにより、ヒ−タの定格電力の低減、負荷
に加わる最大電力を抑制することができるため、ON/
OFF制御より省電力が可能となる。
【0005】図6のAPR9は、入力電圧1Eを位相制
御するための制御整流素子SCR(サイリスタ)9a、
9bであり、電気炉2のヒ−タ2aは金属発熱体として
ニクロムなどの合金やモリブデンなどの純金属発熱体
が、またエレマなどの炭化けい素系の非金属発熱体が用
いられる。
【0006】上記の述べたAPRの制御方式には次の三
つの方式がある。 (1)位相制御方式 (2)サイクル制御方式 (3)PWM(パルス幅変調)制御方式 次に、これら制御方式について述べる。
【0007】(1)位相制御方式 位相制御方式とは、電源周波数の半サイクルごとにSC
Rの点弧位相角αを制御することにより、負荷(ヒ−
タ)に加わる電圧を0〜100%制御する方式である。
この時の電圧波形を図7の(a)及び(b)に示す。図
7(a)はAPRの入力電圧波形で図6の1Eと同様な
ものであり、これはまたSCRの点弧位相角α=0度の
時のAPRの出力電圧に相当する。図7(b)はSCR
の点弧位相角α=90度の時のAPRの出力電圧であ
り、入力電圧は70%に低減する。
【0008】この位相制御方式は、電気加熱ヒ−タの省
電力を考える場合、一般に使用されているが次のような
問題がある。
【0009】(・)力率が悪い。即ち、APRによる電
力調整は、電流の流れる時点を、点弧パルスが発振する
時点まで遅らせるので、ヒ−タのような純抵抗負荷の場
合でも負荷電流は入力電圧に対し遅相電流となる。この
力率cosθは、点弧位相角αによって変化する。例え
ば単相APRの場合、α=0度の時はcosθ=1.0
であるが、α=90度、120度、150度及び180
度となると、cosθはそれぞれ0.85、0.64、
0.35及び0.0となる。即ち、電圧制御範囲を広く
すると力率が悪い状態での使用頻度が多くなる。
【0010】(・)電源歪みが多い。即ち、APRによ
り位相制御された電流は、正弦波を縦にカットした波形
であるため高調波を含んでいる。この高調波成分含有率
も点弧位相角によって変化する。単相APRの場合は第
3次高調波成分も含み、例えば第9次高調波含有率はα
=90度で約9%にもなり、また三相APRでは偶数調
波も現れ、例えば第8次高調波含有率はα=90度で約
7%となる。これら高調波成分の総合含有率はα=90
度の時、単相APR及び三相APRで、それぞれ45%
及び33%と非常に大きい。
【0011】(・)高周波雑音が多い。即ち、SCRの
点弧時(タ−ンオン時)に電流がステップ状に立ち上が
る。特にAPRの負荷がヒ−タのような純抵抗の場合に
は顕著で、この電流の急変により、APR入力回路の分
布インダクタンスと、分布容量により高周波振動を引き
起こす。この周波数は普通200〜300KHzと数M
Hzの間にある。このような周波数は高周波雑音として
他の電子機器に影響を及ぼすことになるので別途対策が
必要となる。
【0012】(2)サイクル制御方式 サイクル制御方式とは、一定周期(スキャニングインタ
−バル)の中で、電源電圧1サイクルのオン期間とオフ
期間との比率を制御することにより、負荷(ヒ−タ)に
加わる電圧を0〜100%制御すある方式である。この
時の電圧波形は図7(c)の通りである。
【0013】このサイクル制御方式は、交流電圧(正弦
波形)のゼロ点を検出し、ゼロ点でパルスを発生させS
CRを点弧させるゼロクロス方式(点弧位相角α=0)
のため、位相制御方式のような電源電圧の歪みなどの高
調波障害は生じないが、図7(c)に示すようにON期
間とOFF期間の一定周期の中で電源電圧変動を繰り返
すフリッカ現象が生じる。また、フィ−ドバック制御が
できないので、ヒ−タの省電力という面からは適さない
方式である。
【0014】(3)PWM制御方式 PWM制御は、上記二つの方式とは異なる主回路構成と
高周波スイッチングを適用した制御方式であり、出力電
圧の振幅を制御することで、出力電圧波形を正弦波に近
くし、高調波電流を抑制している。この電圧波形を図7
(d)に示す。
【0015】このPWM制御方式の特長は、応答性や出
力電圧の分解能、更に力率が良いという点に加え高調波
障害が少ないことである。このPWM制御のスイッチン
グ素子にはIGBTが使用されており高効率化が図られ
ている。しかし、PWM制御によるAPRはPWMイン
バ−タと類似した装置となるため高価なものとなる。
【0016】次に、電気加熱ヒ−タの抵抗導体の構造に
ついて述べる。この抵抗導体としては通常は単一材料
(合金材料や純金属もしくは非金属材料)で構成されて
いるが、特殊な抵抗加熱装置として、表皮電流加熱装置
がある。これは内径10〜50mm、肉厚3mm程度の
鋼管内に耐熱絶縁電線1本を通し、この鋼管と絶縁電線
を商用周波の交流電源に接続した回路において、鋼管長
1mあたり0.3〜0.7Vの電圧を加えると、この回
路に50〜250Aの電流が流れるが、交流電流の表皮
効果のため、電流は鋼管の内表皮に集中して流れ、鋼管
の外面には極めてわずかの実測可能な電圧が現れるだけ
である。この回路(ヒ−タ)の力率は約90%、発熱量
は15〜150w/m程度である。この表皮電流加熱装
置のヒ−タは直列表皮電流発熱管と呼び鋼管が発熱す
る。
【0017】また、交流電流の表皮効果を利用した発熱
管(ヒ−タ)には誘導表皮電流発熱管もある。これはの
鋼管内に耐熱絶縁電線1本を通し、絶縁電線間に商用周
波の交流電源を接続することで、電磁誘導作用を生ぜし
め鋼管を発熱させる。
【0018】前述のような発熱管の使用温度は絶縁電線
の耐熱性によって決まり、絶縁物にポリテトラフロロエ
チレンを使用した場合、最高200℃まで耐え、導体の
銅線は耐熱メッキする。
【0019】これら表皮電流発熱管は、燃料重油のよう
な常温では固化する物質を加熱昇温してパイプライン輸
送する場合のパイプラインの温度保持、及び路面の凍結
防止、床壁面の加温など、200℃以下のヒ−タとして
使用されているが、ヒ−タの省電力効果を目的としたも
のではない。この方式の主な特徴は(ア)絶縁電線とし
て耐熱高圧ケ−ブルを使用することによって、20Km
程度のパイプライン長さまではル−トの途中に給電点を
設ける必要がないこと、(イ)他の発熱体方式より機械
的強度が著しく大きいこと、などである。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気加熱ヒ−タ
の省電力法は上述したように、1.ヒ−タの制御方式、
2.ヒ−タの構造、の二つに大別することができるが、
それぞれ次のような問題がある。
【0021】1.ヒ−タの制御方式に関して ON/OFF制御をAPR制御とすることにより、ヒ−
タの定格電力の低減、負荷に加わる最大電力を抑制する
ことができるため省電力が可能となるが、(1)最も一
般的に用いられる位相制御方式は、(ア)力率が悪いこ
と、(イ)電源歪みが多いこと、(ウ)高周波雑音が多
いこと、といった問題がある。またサイクル制御方式
は、(ア)電源電圧変動を繰り返すフリッカ現象が生じ
ること、(イ)応答性が悪くフィ−ドバック制御ができ
ないこと、のため省電力法としては適当でない。更にP
WM制御方式はPWMインバ−タと類似した装置となり
大型で高価なものとなる。 2.ヒ−タの構造に関して ヒ−タの抵抗導体については,使用温度範囲や寿命、機
械的強度などが主たる改善項目となっており、抵抗導体
自体に関して省電力を考えたものは発明者らの知る限り
現状ではないといえる。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気加熱ヒ
−タの省電力法は、上記の課題を解決するため、次のよ
うにしている。
【0023】1.ヒ−タの制御方式に関して 商用交流電源の電圧を全波整流し、この全波整流した電
圧をレベルシフトした後、ヒ−タへ入力される電流の急
変を抑える手段を設けて構成した電流波形調整器によっ
て、電気加熱ヒ−タの抵抗導体中に新たに渦電流を発生
させ、この渦電流によって生じる渦電流損をジュ−ル熱
の増加分として利用することで、電気加熱ヒ−タの省電
力を可能にする。
【0024】2.ヒ−タの構造に関して ヒ−タの抵抗導体の内部層(芯部)は導電材料としての
合金や純金属または非金属発熱体で、外表層(殻部)は
鉄など強磁性材料からなる二層構造の特殊抵抗導体(以
下、省電形抵抗体と名付ける)である。省電形抵抗体の
内部層(芯部)は通常の発熱抵抗であるが、この発熱抵
抗に流れる交流電流によって発生する磁束により、省電
形抵抗体の外表層(殻部)に渦電流損とヒステリシス損
が発生しこれが熱となる。この熱が、省電形抵抗体の内
部層(芯部)で発生するジュ−ル熱に加わることで、電
気加熱ヒ−タの省電力を可能にする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0026】図1は、電流波形調整器に係わるブロック
図である。1は商用交流電源、3は電気加熱ヒ−タ2に
電力を供給する電流波形調整器であって、整流バンク4
と容量バンク5、及び誘導バンク6で構成されている。
7は力率改善用の進相器である。
【0027】図2は、三相交流用の電流波形調整器に係
わる回路図である。図2において、図1の符号と同じも
のは同一符号で示した。整流バンク4は4a〜4fのダ
イオ−ドで、商用交流電源1の電圧を全波整流する。容
量バンク5の5a、5b、5cは静電容量が小さいコン
デンサであるが、この役割は全波整流した電圧をレベル
シフトさせるためのもので、正電圧側と負電圧側との線
間浮遊容量が大きい場合は容量バンク5を設けなくても
よいし、また、ダイオ−ド等を用いて電圧レベルをシフ
トさせることもできる。誘導バンク6の6a、6b、6
cはリアクトルで、電気加熱ヒ−タ2の抵抗導体2a、
2b、2cに流入する電流の急変を抑え、高次数の高調
波成分の発生を防ぐ。この誘導バンク6があるため、電
流波形調整器6に入力される電流は遅相電流となり力率
が悪くなる。そのため、必要な場合は三相の各相にコン
デンサ7a、7b、7cを設けてなる進相器7を設置す
れば力率は改善する。
【0028】図3は図1にて示した電流波形調整器3の
各部電圧を示す波形図である。図3(a)は図1に商用
交流電源1の電圧10Eで、整流バンク4で全波整流さ
れた電圧11Eは図3(b)のようになり、容量バンク
5によって図3(c)で示されるレベルシフトされた電
圧は12Eの如きものとなって、誘導バンク6を設ける
と、その出力電圧13Eは図3(d)のように滑らかな
波形となるが、小さなこぶ状電圧は電流波形調整器3の
浮遊容量と配線インダクタンスの共振によって生じるも
のである。
【0029】次に、図1の電流波形調整器3による電気
加熱ヒ−タの省電力法に関する原理を、図4の電気加熱
ヒ−タの抵抗導体(以下、導体と記す)に発生する渦電
流の説明図をもって説明する。
【0030】導体内の電流分布は磁界の変化と電界の強
さとの関係で定まるが、導体内に電界があれば、導電率
によって定まる電流が流れる。電流が流れれば磁界がで
き、電磁誘導にはこの磁界が関係してくる。電流密度と
磁界の強さとについては次のような関係がある。
【0031】
【数1】 ここで、(1)式のE及びBはそれぞれ電界の強さ及び
磁束密度のベクトル値、(2)式のH及びJはそれぞれ
磁界の強さ及び電流密度のベクトル値、(3)式と
(4)式のμ及びσはそれぞれ導体の透磁率及び導電率
である。
【0032】(1)式と(4)式とから次式が成立す
る。
【0033】
【数2】
【0034】(5)式によると導体の内部で磁束が変化
している所では、電流の回転が存在している。電流の回
転が存在しているということは、導体の中で閉曲線にな
るような電流の流線があるということで、電流はしたが
って渦状に流れることになる。このように導体内部の磁
束の変化によって、導体内部だけで渦状に流れる渦電流
が発生する。一般に電動機や変圧変器などの電気機器で
は、効率を上げ省電力を図るには渦電流が流れること
は、発熱を伴う渦電流損となるので好ましくない。しか
し、電気加熱ヒ−タでは、この渦電流をできるだけ多く
流し渦電流損を大きくすることによって発熱を増大させ
省電力を図ることができる。この渦電流損Pe は次式の
通りである。
【0035】
【数3】 ここで、ke は導体の形で定まる定数、fは磁束の周波
数、Bm は磁束密度の最大値である。
【0036】(6)式で明らかなように、渦電流損を大
きくするには磁束の周波数を高くすればよく、これはと
りもなおさず導体に供給する電流の周波数を高くすれば
よいということである。そのための装置が図1で示した
電流波形調整器3である。
【0037】電流波形調整器によって発生する歪み電流
の周波数は、商用電源(正弦波)よりの全波整流波を基
本としたもので、この全波整流波は次のようなフ−リエ
級数で表せる。
【0038】
【数4】 但し、ω=2πf、Aは全波整流波の最大値である。
【0039】導体中に発生する渦電流による省電力現象
を別の角度から説明すると次のようになる。
【0040】図4で示した導体は内部インダクタンスL
i を有している。また、導体の内部磁気エネルギ−Wi
は、導体中の回転微小磁束をdΦ、流れる電流をI、も
しくは微小電流をdI、回転磁束をΦとすると、Wi は
次式で表せる。
【0041】
【数5】
【0042】従って、内部インダクタンスLi は周知の
ように
【0043】
【数6】
【0044】となる。この内部インダクタンスLi は電
流変化を妨げる性質を持っている。即ち、電流が増加し
ようとすると(dI/dt)>0、電流が減少しようと
すると(dI/dt)<0となり、Li (dI/dt)
のため電流の変化が妨げられるので(一定の値の電流が
流れているときにはLi (dI/dt)=0で、内部イ
ンダクタンスは全く電流に影響を及ぼさない)、内部イ
ンダクタンスは電流に慣性を与える性質を持っており、
これが導体中に慣性ジュ−ル損Ji を生ぜしめる。従っ
て、電流一定時のジュ−ル損をJc とすると、導体中の
全ジュ−ル損Jtは次のようになる。
【0045】
【数7】
【0046】(10)式のJi はとりもなおさず前述し
た導体中に発生する渦電流による発熱損である。この渦
電流による慣性ジュ−ル損は次式の如くなる。
【0047】
【数8】 ここで、Rは導体の抵抗、Ji0は時間t=0における慣
性ジュ−ル損である。
【0048】(11)式は図5のような指数関数曲線に
なる。
【0049】次に、本発明のもう一つの実施形態である
ヒ−タの構造に関して、図8を参照して説明する。
【0050】図8は省電形抵抗体の構造図である。省電
形抵抗体は、内部層(芯部)20と外表層(殻部)21
とからなる二2層構造の抵抗体である。内部層(芯部)
20の材質は発熱体としての導電材料で、外表層(殻
部)21の材質は鉄やニッケル等の強磁性材料からなっ
ている。
【0051】この省電形抵抗体の省電力の原理は、内部
層(芯部)20に流れる交流電流によって、外表層(殻
部)21の中では渦状に流れる渦電流と、(3)式で示
される磁束密度Bと磁界の強さHとの間でヒステリシス
ル−プを形成する。渦電流が流れることによって生じる
渦電流損については(6)式に示した通りである。
【0052】また、ヒステリシスル−プの発生により、
このル−プに取り囲まれた面積だけエネルギ−が外表層
(殻部)21の強磁性体内に与えられることになる。こ
の与えられたエネルギ−は何らかの形で放出される必要
があるが、実際には熱の形になって放出される。これを
ヒステリシス損というが、このヒステリシス損Ph は次
式の通りである。
【0053】
【数9】 ここで、kh は磁性材料によって定まる定数(ヒステリ
シス定数)である。
【0054】従って、省電形抵抗体の使用により、図8
の内部層(芯部)20で生じるジュ−ル熱に、外表層
(殻部)で発生する渦電流損(熱)とヒステリシス損
(熱)が加わることにより大きな省電力効果を生むこと
になる。
【0055】上述したように、電気加熱ヒ−タの抵抗体
を省電形抵抗体とし、更に図1で示した電流波形調整器
3を用いてヒ−タを制御すれば大幅な省電力が図れる。
【0056】
【実施例】本発明の一実施例として、電気加熱ヒ−タに
単相用のホットプレ−ト(サ−モスタット付)を用いた
電流波形調整器による実験結果を以下に記す。尚、ホッ
トプレ−トの仕様は次の通りである。 ・ 制御方式:ON/OFF制御 ・ 定格値:100V、12A、1.2KW ・ 温度:140℃
【0057】電流波形調整器において、容量バンクコン
デンサの静電容量は100pF、誘導バンクリアクトル
のインダクタンスが2mHの時の省電力率(省エネ率)
は53.3%という極めて高い結果が得られた。尚、進
相器(力率改善用コンデンサ)を設けない場合の力率は
0.8であった。
【0058】また、容量バンクコンデンサと誘導バンク
リアクトルを外した場合(整流バンク等の浮遊容量と配
線導体のインダクタンスのみとなる)の省電力率(省エ
ネ率)は28.9%で、進相器を設けない状態での力率
は0.98となった。
【0059】本実験結果より、APRの位相制御方式で
問題となる高次の高調波成分は少なく、また高周波障害
は見られず、電流波形調整器の有効性が確認できた。
【0060】
【発明の効果】本発明の電気加熱ヒ−タの省電力法は、
次のような効果を奏する。
【0061】(1)電気加熱ヒ−タの省電力を行うには
電流波形調整器が極めて有効で、小型で簡単な構造のた
め安価なものとなる。 (2)ON/OFF制御ヒ−タには、電流波形調整器を
用いることにより、約30%以上の高い省電力(省エ
ネ)効果が得られる。 (3)電流波形調整器を用いた方式は、APR制御方式
の問題点を解決するもので従来にない効果がある。 (4)省電形抵抗体は、電気加熱ヒ−タの新しい抵抗体
として、従来の抵抗体にとって代わる程の省電力効果を
生み出す。
【図面の簡単な説明】
【図1】電流波形調整器に係わるブロック図である。
【図2】三相交流用の電流波形調整器に係わる回路図で
ある。
【図3】電流波形調整器の各部電圧を示す波形図であ
る。
【図4】抵抗導体に発生する渦電流の説明図である。
【図5】渦電流による慣性ジュ−ル損の特性図である。
【図6】電気炉の温度制御装置に係わるブロック図であ
る。
【図7】APR(交流電力調整器)の各種制御方式によ
る電圧波形である。
【図8】省電形抵抗体の構造図である。
【符号の説明】
1 商用交流電源 2 電気加熱ヒ−タ 3 電流波形調整器 4 整流バンク 5 容量バンク 6 誘導バンク 7 進相器 8 温度調節計 9 APR(交流電力調整器) 10 測温体 20 省電形抵抗体の内部層(芯部) 21 省電形抵抗体の外表層(殻部)
フロントページの続き (72)発明者 丸木 幸夫 京都府京都市下京区五条通堀川西入ル柿本 町618番地 芝慶ビル3F メビウス ア ドバンス テクノロジイ株式会社内 Fターム(参考) 3K058 AA81 BA19 CB09 CB10 CE16 3K092 PP09 QA01 RA01 RD02 UC02 VV40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 商用交流電源から電力の供給を受け発熱
    する電気加熱ヒ−タにおいて、前記商用交流電源の電圧
    を全波整流する手段と、該全波整流手段により全波整流
    された電圧をレベルシフトする手段と、該レベルシフト
    する手段により得られた電圧の高次高調波成分を除去
    し、前記電気加熱ヒ−タへ供給する電流の急変を抑える
    手段とで構成した電流波形調整器、該電流波形調整器の
    出力電流により前記電気加熱ヒ−タの抵抗導体中に発生
    する渦電流によって生じる渦電流損をジュ−ル熱として
    利用することを特徴とする電気加熱ヒ−タの省電力法
  2. 【請求項2】 商用交流電源から電力の供給を受け発熱
    する電気加熱ヒ−タ、該電気加熱ヒ−タの抵抗導体にお
    いて、該抵抗導体の構造が、導電材料よりなる内部層
    と、磁性材料よりなる外表層とから構成された省電形抵
    抗体、該省電形抵抗体の前記外表層に前記商用交流電源
    から供給された電流に起因して発生する渦電流損及びヒ
    ステリシス損を、前記省電形抵抗体の付加熱として利用
    することを特徴とする電気加熱ヒ−タの省電力法
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電気加熱ヒ−タの省電力
    法において、電気加熱ヒ−タの抵抗導体の構造が導電材
    料よりなる内部層と、磁性材料よりなる外表層とから構
    成された省電形抵抗体、該省電形抵抗体の前記外表層に
    商用交流電源から供給された電流に起因して発生する渦
    電流損及びヒステリシス損を、前記省電形抵抗体の付加
    熱として利用することを特徴とする電気加熱ヒ−タの省
    電力法。
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