JP2002250730A - 分子センサー及びその製造方法 - Google Patents

分子センサー及びその製造方法

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JP2002250730A
JP2002250730A JP2001051501A JP2001051501A JP2002250730A JP 2002250730 A JP2002250730 A JP 2002250730A JP 2001051501 A JP2001051501 A JP 2001051501A JP 2001051501 A JP2001051501 A JP 2001051501A JP 2002250730 A JP2002250730 A JP 2002250730A
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ins
badan
molecular sensor
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Takashi Morii
孝 森井
Keisuke Makino
圭祐 牧野
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Shinwa Chemical Industries Ltd
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Shinwa Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内セカンドメッセンジャーに対する分子
センサー、及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 PHドメインの基質結合部位周辺を蛍光分
子で標識してなる分子センサー;基質結合部位周辺のア
ミノ酸残基をシステインに変異させ、変異させたシステ
イン残基に蛍光分子を選択的に反応させることを特徴と
する分子センサーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子センサー及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞は増殖因子、ホルモン、神経伝達物
質などの外来情報に応じて、細胞内で情報を伝える物質
(セカンドメッセンジャー)を介して細胞内情報伝達を
行っている。例えば、ホルモンや成長因子などの細胞外
からの刺激は、受容体およびGTP結合タンパク質を介し
て、ホスファチジルイノシトール(PI)代謝産物であるジ
アシルグリセロール(DG)とイノシトール1,4,5-三リン酸
(以下「Ins(1,4,5)P3」ともいう)を産出し、Ca2+の動因
を伴うイノシトールリン脂質代謝系が活性化され、様々
な細胞応答を引き起こす。このIns(1,4,5)P3/Ca2+シグ
ナルによる細胞内情報伝達は、広範囲な生物種における
多くの細胞、組織タイプに存在し、多彩な生命現象に深
く関与している。
【0003】現在、共焦点走査顕微鏡を用いて細胞内局
在のCa2+動態が解析されはじめているが、Ins(1,4,5)P3
などの生体内セカンドメッセンジャーがリアルタイムで
画像解析できる技術は限られており、近年続々と見い出
されているシグナル伝達経路が、生理条件下でどのよう
に機能するか実証することは非常に難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、生体内セカンドメッセンジャーに対する分子センサ
ーを提供することである。本発明の他の目的は、生体内
セカンドメッセンジャーに対する分子センサーの製造方
法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、PHドメインの
基質結合部位周辺のアミノ酸残基を蛍光分子で標識して
なる該基質に対する分子センサーを提供するものであ
る。本発明に使用する基質としては、生体内セカンドメ
ッセンジャーであるイノシトールリン酸、例えば、イノ
シトールモノリン酸(Ins-1-P)、イノシトール1,4,5-三
リン酸(Ins(1,4,5)P3)、イノシトール2,4,5-三リン酸(I
ns(2,4,5)P3)等のイノシトールポリリン酸、フォスファ
チジルイノシトール類が挙げられる。
【0006】また、本発明に使用される蛍光分子として
は、基本的にシステインにのみ特異的に反応するものが
好ましい。このような蛍光分子の例としては、6-ブロモ
アセチル-2-ジメチルアミノナフタレン(6-Bromoacetyl-
2-dimethylaminonaphthalene)(BADAN)、2-(4'-(ヨード
アセタミド)アニリノ)ナフタレン-6-スルホン酸(2-(4'-
(Iodoacetamido)anilino) naphthalene-6-sulfonic aci
d)(IAANS)、5-ヨードアセタミドフルオレセイン(5-lodo
acetamido fluorescein)(5-IAF)、6-ヨードアセタミド
フルオレセイン(6-Iodoacetamido fluorescein)(6-IA
F)、4-アセタミド-4'-((ヨードアセチル)-アミノ))スチ
ルベン-2,2'-二硫酸(4-Acetamido-4'-((iodoacetyl)-am
ino))stilbene-2,2'-disulfuric acid)(AISD)、N-(7-ジ
メチルアミノ-4-メチルクマリン-3-イル)-ヨードアセタ
ミド(N-(7-Dimethylamino-4-methylcoumarin-3-yl)-iod
oacetamide)、テトラメチルローダミン-5-ヨードアセタ
ミド(Tetramethylrhodamine-5-iodoacetamide)等が挙げ
られる。
【0007】本発明の分子センサーは、例えば、PHドメ
インの基質結合部位周辺のアミノ酸残基のシステインに
変異させ、変異させたシステイン残基に蛍光分子を選択
的に反応させることにより製造できる。基質としてイノ
シトール1,4,5-三リン酸を使用する場合、その基質結合
部位周辺のアミノ酸残基として好ましいものは、56位の
アルギニン、58位のバリン、又は106位のアスパラギン
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者は、生体内セカンドメッ
センジャーに対する分子センサーの構築を目的として、
Ins(1,4,5)P3に対する親和性及び選択性がかなり高いこ
とが知られており、X線結晶構造解析も行われているラ
ット脳のリン脂質Cδ1(PhospholipidCδ1)(以下「PLCδ
1」という)のPHドメイン(Pleckstrin Homology domain)
を用いてIns(1,4,5)P3に対する蛍光性分子センサーの作
製を行った。分子センサーの設計戦略として、PHドメイ
ンのIns(1,4,5)P3結合部位周辺のアミノ酸残基を蛍光分
子で標識すると、Ins(1,4,5)P3が結合していない状態で
は蛍光分子がIns(1,4,5)P3結合部位に弱く結合し(図1
A)、Ins(1,4,5)P3が結合した状態では蛍光分子が結合
部位から遠ざかることにより(図1B)、発光挙動に変化
が見られることを見出した。本発明はこの知見に基づい
て完成されたものである。
【0009】本発明の分子センサーの作成手順を、生体
内セカンドメッセンジャー(基質)としてIns(1,4,5)P3
用い、蛍光分子としてシステインにのみ特異的に反応す
るものを用いた場合を例にとり説明する。まず、ラット
脳DNAライブラリーからPLCδ1のN末端11番目から140番
目のアミノ酸残基に相当するPHドメインをクローニング
する(PHドメインのX線結晶構造解析については、Fergus
on, K.M. et al, (1994) Cell 79, 199-209参照)。その
内、Ins(1,4,5)P3結合部位は、K30、K32、W36、R40、E5
4、S55、K57、T107等の残基である。次に、このPHドメ
インに元々存在する2つのシステイン48C、96CをPCR法を
用いてセリンに変異させる。これは、Ins(1,4,5)P3結合
部位ではないこれらの位置のシステインに蛍光分子が反
応することを避けるためである。また、変異させるアミ
ノ酸としてセリンを選択したのは、セリンとシステイン
は化学構造が良く似ており、変異させてもPHドメインの
立体構造をあまり変化させないと考えられるためであ
る。
【0010】その後、Ins(1,4,5)P3結合部位周辺のアミ
ノ酸に特異的に蛍光分子を導入するために、58位のバリ
ン、56位のアルギニン、106位のアスパラギンをシステ
インに変異させる(58V→58C、56R→56C、106N→106C)。
この際、Ins(1,4,5)P3結合部位中のIns(1,4,5)P3と直接
相互作用をしているアミノ酸(K30、K32、W36、R40、E5
4、S55、K57、T107等)は変異させない。これらのアミノ
酸を変異させると得られPHドメインとIns(1,4,5)P3との
親和性が低下し、目的とする分子センサーの高親和性が
維持できない。このDNAインサートを発現ベクターに組
み込み、BL21(DE3)pLysSにより大量発現させ、破菌後、
遠心し、上澄とペレットをそれぞれSDS-PAGEで確認す
る。目的とするPHドメインは封入体(Inclusion body)を
形成しているので、ペレットを5M尿素溶液で可溶化さ
せ、陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行
い、透析等によりタンパク質を再生する。
【0011】こうして得られた、システインを一残基有
するPHドメインに、蛍光分子を、例えば、10mMリン酸緩
衝液(pH6.0、50mM NaCl)中、0℃で1時間程度反応させ
る。ジチオスレイトール(DTT)を添加することにより反
応を止め、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて蛍
光分子由来の特徴的な吸収波長(5-IAFの場合490nm)を追
跡することにより反応生成物を単離、精製する。
【0012】透析により尿素を除去しタンパク質をリフ
ォールディングさせた後、これら蛍光分子を導入したPH
ドメインの蛍光測定を行う。58位に蛍光分子を導入した
PHドメインについて調べてみると、5-IAF-58、BADAN-5
8、IAANS-58のPHドメインは、Ins(1,4,5)P3添加に伴い
蛍光強度は僅かに減少するだけであるが、6-IAF-58PHド
メインはIns(1,4,5)P3添加に伴い蛍光強度は大きく減少
する。AISD-58PHドメインも、Ins(1,4,5)P3の添加に伴
い蛍光強度の減少がみられる。
【0013】また、106位に蛍光分子を導入したPHドメ
インについて調べてみると、5-IAF-106、6-IAF-106 PH
ドメインはIns(1,4,5)P3との結合に従って蛍光強度が増
大するが(図2)、BADAN-106PHドメインはIns(1,4,5)P3
との結合により、発光波長が長波長シフトし、かつ発光
強度が大きく滅小する(図3)。これらの106位蛍光標識P
Hドメインの蛍光挙動変化は、Ins(1,4,5)P3に特異的で
あり、Ins-1-Pに対しては蛍光挙動の変化は観測されな
かった。以上の結果から、本発明の蛍光標識PHドメイン
は細胞内にマイクロインジェクションすることによって
生体内Ins(1,4,5)P3センサーとして利用できることがわ
かる。細胞内への投与量は100μM程度あればセンサーと
して使用可能である。
【0014】また、PHドメインのN末端もしくはC末端に
細胞内局在化シグナルを付加することにより、細胞内局
在型センサーとして利用できる。細胞内局在化シグナル
としては例えば、アルギニンが9つ連続で配列したペプ
チドが挙げられる。このペプチドは強く正電荷を帯びて
いるため、負電荷を帯びている細胞膜表面に局在するこ
とが期待される。PHドメインのN末端もしくはC末端に細
胞内局在化シグナルを付加するには、目的のペプチドを
コードするDNAを含むプライマーを作成し、PCR法により
増幅し、得られたDNAを大腸菌等の宿主に組み込んで発
現させることにより、容易に行うことができる。また、
PHドメインのN末端もしくはC末端にTatペプチド(HIV-1
が産生するタンパク質に含まれるペプチド)を付加する
ことにより、細胞内浸透型のセンサーへと改変できるこ
とが期待される。
【0015】PLCδ1のPHドメインとIns(1,4,5)P3の複合
体の三次元構造は既に明らかになっているので、PHドメ
イン中のIns(1,4,5)P3結合部位にアミノ酸変異を施すこ
とによって他の生体内セカンドメッセンジャー、例えば
イノシトールポリリン酸やフォスファチジルイノシトー
ル類に対する生体内分子センサーへと改変できる。加え
て、チオール基と選択的に反応し、二環性もしくは三環
性蛍光標識剤の種類を変えることにより、様々な波長で
蛍光モニターできる生体内分子センサー群が作製でき
る。二環性もしくは三環性蛍光標識剤の例としては、6-
IAF、BADAN、IAANS等が挙げられる。
【0016】以下実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明する。
【実施例1】ラットPLCδ1のPHドメイン変異体(バリン5
8)58PHドメインの作製 CLONTECH社のMarathon cDNA Amplification Kitを用い
て市販のラット脳DNAライブラリーに対してクローニン
グを行うことによりラットPLCδ1のPHドメインを得た。
このPHドメインのIns(1,4,5)P3結合部位周辺のアミノ酸
であるバリン58をシステインに変異させたcDNAをPCR法
により作製した。このDNAインサートを発現ベクターpET
3a(Novagen社より購入)に組み込み、BL21(DE3)pLysS(No
vagen社より購入)に形質転換し、これをLB培地中37℃で
一晩培養して、大量発現させた。破菌後、遠心し、上澄
とペレットをそれぞれSDS-PAGEで確認した結果、ペレッ
ト中に、目的のPHドメインが存在し、このPHドメインは
封入体を形成していた。ペレットを5M尿素溶液で可溶化
させ、陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行
い、58PHドメインを得た。
【0017】陽イオン交換クロマトグラフィー条件は以
下のとおりである。 カラム:Pharmacia Biotech社製HiTrap SP (5ml) A液組成:25mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)
(pH6.0)、50mM NaCl、10%グリセロール、5M尿素 B液組成:25mM MES(pH6.0)、1M NaCl、10%グリセロー
ル、5M尿素 流速:3ml A液100%の組成から25分間でB液0〜30%のグラジエント溶
出法を用いて精製
【0018】
【実施例2】ラットPLCδ1のPHドメイン変異体(アスパ
ラギン106)106PHドメインの作製 Ins(1,4,5)P3結合部位周辺のアミノ酸であるアスパラギ
ン106をシステインに変異させたcDNAをPCR法により作製
した。このDNAインサートを発現ベクターpET3aに組み込
み、BL21(DE3)pLysSにより大量発現した。破菌後、遠心
し、上澄とペレットをそれぞれSDS-PAGEで確認した結
果、目的とするPHドメインは封入体を形成していた。ペ
レットを5M尿素溶液で可溶化させ、陽イオン交換クロマ
トグラフィーにより精製を行い、106PHドメインを得
た。
【0019】
【実施例3】ラットPLCδ1のPHドメイン変異体(アルギ
ニン56)56PHドメインの作製 Ins(1,4,5)P3結合部位周辺のアミノ酸であるアルギニン
56をシステインに変異させたcDNAをPCR法により作製し
た。このDNAインサートを発現ベクターpET3aに組み込
み、BL21(DE3)pLysSにより大量発現した。破菌後、遠心
し、上澄とペレットをそれぞれSDS-PAGEで確認した結
果、目的とするPHドメインは封入体を形成していた。ペ
レットを5M尿素溶液で可溶化させ、陽イオン交換クロマ
トグラフィーにより精製を行い、56PHドメインを得た。
【0020】
【実施例4】BADAN-106PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、106PHドメイン
と6-ブロモアセチル-2-ジメチルアミノナフタレン(BADA
N)を10mMリン酸緩衝液(pH 6.0, 50mM NaCl)中反応させ
た。DTTを添加することにより反応を止め、陽イオン交
換クロマトグラフィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な
吸収波長(390nm)を追跡することにより反応生成物を単
離、精製した。透析により尿素を除去しタンパク質をリ
フォールディングさせ、BADAN-106PHドメインを得た。
【0021】
【実施例5】5-IAF-106PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、106PHドメイン
と5-ヨードアセタミドフルオレセイン(5-IAF)を10mMリ
ン酸緩衝液(pH6.0, 50mM NaCl)中反応させた。DTTを添
加することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグ
ラフィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490
nm)を追跡することにより反応生成物を単離、精製し
た。透析により尿素を除去し、タンパク質をリフォール
ディングさせ、5-IAF-106PHドメインを得た。
【0022】
【実施仰6】6-IAF-106PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、106PHドメイン
と6-ヨードアセタミドフルオレセイン(6-IAF)を1OmMリ
ン酸緩衝液(pH6.O, 50mM NaCl)中反応させた。DTTを添
加することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグ
ラフィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490
nm)を追跡することにより、反応生成物を単離、精製し
た。透析により尿素を除去し、タンパク質をリフォール
ディングさせ、6-IAF-106PHドメインを得た。
【0023】
【実施例7】BADAN-56Hドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、56PHドメインと
6-ブロモアセチル-2-ジメチルアミノナフタレン(BADAN)
を10mMリン酸緩衝液(PH6.0、50mM NaC1)中反応させた。
DTTを添加することにより反応を止め、陽イオン交換ク
ロマトグラフィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収
波長(390nm)を追跡することにより反応生成物を単離、
精製した。透析により尿素を除去しタンパク質をリフォ
ールディングさせ、BADAN-56Hドメインを得た。
【0024】
【実施例8】5-IAF-56PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、56PHドメインと
5-ヨードアセタミドフルオレセイン(5-IAF)を10mMリン
酸緩衝液(pH6.O、50mM NaCl)中反応させた。DTTを添加
することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグラ
フィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490n
m)を追跡することにより反応生成物を単離、精製した。
透析により尿素を除去しタンパク質をリフォールディン
グさせ、5-IAF-56PHドメインを得た。
【0025】
【実施例9】6-IAF-56PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、106PHドメイン
と6-ヨードアセタミドフルオレセイン(6-IAF)を10mMリ
ン酸緩衝液(pH6.O、50mM NaCl)反応させた。DTTを添加
することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグラ
フィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490n
m)を追跡することにより反応生成物を単離、精製した。
透析により尿素を除去しタンパク質をリフォールディン
グさせ、6-IAF-56PHドメインを得た。
【0026】
【実施例10】BADAN-58PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、58PHドメインと
6-ブロモアセチル-2-ジメチルアミノナフタレン(BADAN)
を10mMリン酸緩衝液(pH6.O、50mM NaCl)中反応させた。
DTTを添加することにより反応を止め、陽イオン交換ク
ロマトグラフィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収
波長(390nm)を追跡することにより反応生成物を単離、
精製した。透析により尿素を除去しタンパク質をリフォ
ールディングさせ、BADAN-58PHドメインを得た。
【0027】
【実施例11】5-IAF-58PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、58PHドメインと
5-ヨードアセタミドフルオレセイン(5-IAF)を1OmMリン
酸緩衝液(pH6.0、50mM NaCl)中反応させた。DTTを添加
することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグラ
フィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490n
m)を追跡することにより反応生成物を単離、精製した。
透析により尿素を除去しタンパク質をリフォールディン
クさせ、5-IAF-58PHドメインを得た。
【0028】
【実施例12】6-IAF-106PHドメインの合成 システインを一残基有するPHドメイン、58PHドメインと
6-ヨードアセタミドフルオレセイン(6-IAF)を10mMリン
酸緩衝液(pH6.0、50mM NaC1)中反応させた。DTTを添加
することにより反応を止め、陽イオン交換クロマトグラ
フィーを用いて蛍光分子由来の特徴的な吸収波長(490n
m)を追跡することにより反応生成物を単離、精製した。
透析により尿素を除去しタンパク質をリフォールディン
グさせ、6-IAF-106PHドメインを得た。
【0029】
【実施例13】BADAN-106PHドメインのIns(1,4,5)P3添加
に伴う蛍光変化 BADAN-106PHドメイン(1OOnM)のリン酸緩衝液(3mL)に所
定量のIns(1,4,5)P3を加えて、390nmで励起し、450-600
nmでの蛍光発光をしらべた。図3に示すように、Ins(1,
4,5)P3を添加するにつれ蛍光発光強度は減少し、また、
最大発光波長は510nmから530nmへとシフトした。各スペ
クトル測定時のIns(1,4,5)P3の濃度は0、0.33、1.33、
3、4.67、9.67、18、16.3μMである。D-イノシトール-1
-リン酸を用いて同様の滴定を行ったが、蛍光発光強度
ならびに最大発光波長の変化はみられなかったことか
ら、BADAN-106PHドメインの蛍光変化はIns(1,4,5)P3
特異的なものである。
【0030】
【実施例14】6-IAF-106PHドメインのIns(1,4,5)P3添加
に伴う蛍光変化 6-IAF-106PHドメイン(100nM)のリン酸緩衝液(3mL)に所
定量のIns(1,4,5)P3を加えて、490nmで励起し、490-590
nmでの蛍光発光をしらべた。図2に示すように、Ins(1,
4,5)P3を添加するにつれ蛍光発光強度は増大した。各ス
ペクトル測定時のIns(1,4,5)P3の濃度は0、0.33、1.3
3、3、4.67、9.67、18、16.3μMである。D−イノシトー
ル−1−リン酸を用いて同様の滴定を行ったが、蛍光発
光強度の変化はみられなかったことから、6-IAF-106PH
ドメインの蛍光変化はIns(1,4,5)P 3に特異的なものであ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明の分子センサーは、生体内セカン
ドメッセンジャー(有機低分子)に対して高親和性及び
高選択性であり、これを高効率かつ高選択的に検出する
ことができる。本発明の分子センサーは、生体内で特定
のセカンドメッセンジャーと特異的に結合するので蛍光
法による光学的な手法でこれを定量測定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPHドメインの基質結合部位を蛍光分子
で標識してなる分子センサーが生体内セカンドメッセン
ジャーと結合してその蛍光挙動を変化させることを示す
概略図である。Aは生体内セカンドメッセンジャーが結
合していない状態、Bは生体内セカンドメッセンジャー
が結合した状態を示す。
【図2】本発明の実施例14の分子センサー(6-IAF-106P
Hドメイン)のIns(1,4,5)P3添加に伴う蛍光変化を示す
図面である。
【図3】本発明の実施例13の分子センサー(BADAN-106P
Hドメイン)のIns(1,4,5)P3添加に伴う蛍光変化を示す
図面である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA24 AA40 BB16 BB20 CB01 CB26 DA12 DA13 DA14 DA27 DA36 DA61 DA80 FA29 FB02 FB04 FB06 FB12 FB20 GC15 GC30 4B024 AA11 BA65 BA80 HA01 4H045 AA10 AA20 BA70 CA40 EA50 FA52

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PHドメインの基質結合部位周辺のアミノ
    酸残基を蛍光分子で標識してなる該基質に対する分子セ
    ンサー。
  2. 【請求項2】 基質がイノシトール1,4,5-三リン酸であ
    る、請求項1記載の分子センサー。
  3. 【請求項3】 蛍光分子が、6-ブロモアセチル-2-ジメ
    チルアミノナフタレン (BADAN)、2-(4'-(ヨードアセタ
    ミド)アニリノ)ナフタレン-6-スルホン酸(IAANS)、5-ヨ
    ードアセタミドフルオレセイン(5-IAF)、6-ヨードアセ
    タミドフルオレセイン(6-IAF)、4-アセタミド-4'-((ヨ
    ードアセチル)-アミノ))スチルベン-2,2'-二硫酸(AIS
    D)、N-(7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン-3-イル)-
    ヨードアセタミド、及びテトラメチルローダミン-5-ヨ
    ードアセタミドからなる群から選ばれる、請求項1記載
    の分子センサー。
  4. 【請求項4】 BADAN-106PHドメイン、5-IAF-106PHドメ
    イン、6-IAF-106PHドメイン、BADAN-56PHドメイン、5-I
    AF-56PHドメイン、6-IAF-56PHドメイン、BADAN-58PHド
    メイン、5-IAF-58PHドメイン、又は6-IAF-58PHドメイン
    からなる請求項1記載の分子センサー。
  5. 【請求項5】 PHドメインの基質結合部位周辺のアミノ
    酸残基をシステインに変異させ、変異させたシステイン
    残基に蛍光分子を選択的に反応させることを特徴とする
    請求項1記載の分子センサーの製造方法。
  6. 【請求項6】 基質がイノシトール1,4,5-三リン酸であ
    る、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 イノシトール1,4,5-三リン酸結合部位周
    辺のアミノ酸残基が、56位のアルギニン、58位のバリ
    ン、又は106位のアスパラギンである請求項6記載の方
    法。
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