JP2002243908A - 赤外線用光学素子および赤外線カメラ - Google Patents

赤外線用光学素子および赤外線カメラ

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JP2002243908A
JP2002243908A JP2001035065A JP2001035065A JP2002243908A JP 2002243908 A JP2002243908 A JP 2002243908A JP 2001035065 A JP2001035065 A JP 2001035065A JP 2001035065 A JP2001035065 A JP 2001035065A JP 2002243908 A JP2002243908 A JP 2002243908A
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infrared
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infrared rays
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Hiroaki Ueda
裕昭 上田
Takashi Morimoto
隆史 森本
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線用光学素子および赤外線カメラの低コ
スト化を図る。 【解決手段】 赤外線を透過させて収束させる光学素子
を個別に収束能を有する複数の領域に区分けすることに
より、素子の作製に必要な材料の厚さを抑えてコストを
低減する。赤外線カメラの結像光学系としてこの光学素
子を用い、撮像素子上に複数の像を形成させて、撮像素
子の全ての画素の出力信号基づいて単一の画像を生成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線を透過させ
て収束させる光学素子および赤外線カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】温度分布を検出して画像として表すため
に、従来より赤外線カメラが使用されている。波長が1
0μm前後の赤外線は30℃程度の温度に相当し、この
波長帯の赤外線を利用する赤外線カメラは、暗中での人
の存在確認や動物の行動観察にきわめて有用である。近
年、冷却を必要としない赤外線用の撮像素子が開発され
て赤外線カメラの小型化が可能になっており、赤外線カ
メラの用途は広がっていくと予想される。
【0003】一般に、赤外線用の非冷却撮像素子は32
0×240の画素を有する。効率よく光を検出するため
には画素の大きさを波長の2〜3倍以上にする必要があ
り、したがって、波長10μm程度の赤外線を検出する
撮像素子の画素は20〜30μmまたはそれ以上の大き
さとされる。例えば、上記の画素数を有する撮像素子で
は、対角長が16mmのものや24mmのものが実用に
供されている。
【0004】赤外線カメラも、可視光を対象とする通常
のカメラと同様に、結像光学系としてレンズを備え、レ
ンズによって赤外線を撮像素子上に結像させる。ここ
で、赤外線は波長が長いため、結像精度は専らレンズの
開口数(NA)に依存し、解像度の高い画像を撮影する
ためには開口数の大きい明るいレンズを備える必要があ
る。また、通常のカメラのレンズに使用されるガラスや
樹脂等の光学材料は赤外線に対する透過率が低く、赤外
線カメラの結像光学系の材料には大きな制約がある。現
在、波長10μm程度の赤外線を対象とする赤外線カメ
ラのレンズの材料として用いられているのは、Ge等の
半導体の単結晶である。
【0005】ところで、可視光を対象とするカメラにお
いては、全体構成を薄型にするために、結像光学系とし
てレンズアレイを用い、レンズアレイを構成する個々の
レンズセルによって、各レンズセルに対向する範囲に光
線を個別に結像させることが提案されている。個々のレ
ンズセルの開口数をレンズアレイ全体と同じ大きさの単
レンズの開口数と同じにする場合でも、各レンズセルは
小口径となって焦点距離も短くなるから、レンズアレイ
を撮像素子に近接させることが可能であり、これにより
薄型のカメラを実現できる。
【0006】全てのレンズセルには略同一の撮影範囲か
らの光が入射し、撮像素子上には、レンズセルと同数で
互いに類似した像が形成される。また、個々の像が形成
される範囲に存在する画素の数は、撮像素子の全画素の
数分の1ないし数十分の1となる。このため、個々の像
が形成される範囲内の画素の出力信号から画像を個別に
生成するだけでは、解像度がきわめて低く類似した多く
の画像が得られるにとどまり、結像光学系をレンズアレ
イとする意味はない。
【0007】しかし、撮像素子の全画素の出力信号を用
いて単一の画像を生成することで、解像度の高い画像を
得ることが可能である。レンズセルへの光の入射方向は
レンズセルごとに少しずつ相違し、各レンズセルによっ
て形成される像には位置のずれが生じ、また、撮影範囲
内の各部位からカメラまでの距離の差に起因して、内容
に差が生じるからである。全画素の出力信号に演算処理
を施して単一の画像を得る方法が、「微小光学素子を用
いた連立撮像眼モジュール(画像ラボ、Vol.11(2000) N
o.9 pp38-41)」に記されている。この方法では、単レ
ンズを用いた場合よりも解像度が少し劣る程度の良質の
画像が得られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、赤外線
カメラにおいては、結像光学系の開口数を大きくするの
が望ましい。このため、大口径の単レンズを結像光学系
として用いている。ところが、レンズの材料であるGe
等の単結晶の作製は容易ではなく、大きな単結晶を得る
には厳密な制御を要してコストが高くなる。特に、単結
晶を厚く成長させるには長時間にわたって安定した制御
をしなければならず、厚さを2倍にするだけでコストは
数倍に上昇する。
【0009】一方、赤外線用の非冷却撮像素子の画素
は、赤外線が長波長であるため、少なくとも前述の大き
さ以上にする必要があり、小型化には限度がある。例え
ば、320×240の画素を有し波長10μm程度の赤
外線を検出する撮像素子では、対角長8mm程度が大き
さの下限となる。
【0010】結像光学系であるレンズは、撮像素子の対
角長以上の口径とする必要がある上、口径全体にわたっ
て曲率をもたせるために、厚さも十分に確保しなければ
ならない。つまり、レンズの小口径化および薄型化には
限界があり、それ故、従来の赤外線カメラの構成ではコ
ストの低減が困難になっている。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、低コストの赤外線カメラおよびこれに適す
る光学素子を提供することを目的とする。なお、本発明
では、可視光を対象とする前述のレンズアレイを参考に
しているが、赤外線の結像光学系に固有の上述の問題点
に着目した点、およびこれを解決するために結像光学素
子をアレイ状とすることがきわめて有効であることを見
いだした点に、本発明は特徴を有する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、赤外線を透過させる材料より成り、透
過する赤外線を収束させる光学素子は、透過する赤外線
を個別に収束させる複数の領域に区分けされているもの
とする。
【0013】この赤外線用の光学素子は、個別に収束能
を有する領域を集合したもの、すなわちアレイ状の素子
である。この光学素子を用いて赤外線を結像させると、
領域数と同数の類似した像が得られる。各領域に素子全
体と同程度の大きさの単レンズと同じ開口数をもたせる
場合でも、各領域は小さいから、薄い構成とすることが
できる。しかも、領域の数を増すことにより、厚さの増
大を伴うことなく、素子の面積を大きくすることができ
る。したがって、この光学素子は全体として薄型にな
り、低コストで作製することが可能である。
【0014】この光学素子は、1μm以上かつ20μm
以下の範囲内の波長の赤外線を透過させる光学素子とす
ることが可能である。
【0015】材料としては、例えば、Ge、CdTe、
GaAs、ZnS、ZnSeおよびSiのうちのいずれ
かを用いることができる。Siは3μm前後の波長の赤
外線に対する透過率が高く、他の5種は10μm前後の
波長の赤外線に対する透過率が高い。いずれの材料も厚
い単結晶とするのは容易でないが、薄くてよいため、材
料コストの低い光学素子となる。
【0016】領域は2次元に配列するとよい。この構成
で赤外線を結像させると、得られる複数の像も2次元配
列となる。
【0017】各領域は透過する赤外線を屈折によって収
束させる構成とすることができる。この場合、各領域を
レンズとすることになるが、小口径であるから、曲率に
よる高低差を小さくすることができ、薄型の光学素子と
なる。
【0018】各領域は透過する赤外線を回折によって収
束させる構成とすることもできる。これは、例えば各領
域の表面を回折格子とすることで実現される。回折格子
の凹凸の高低差は赤外線の波長程度であってきわめて小
さいから、各領域をレンズとする場合よりも、さらに薄
型の素子とすることが可能である。
【0019】前記目的を達成するために、本発明ではま
た、赤外線を結像させる結像光学系と、結像光学系から
の赤外線を受けて画像を撮影する撮像素子を備える赤外
線カメラは、結像光学系として、上記のいずれかの光学
素子を備え、撮像素子として、受けた赤外線の量を表す
信号を出力する多数の画素から成る検出部を有するセン
サを備え、さらに、センサの全画素が出力する信号に基
づいて単一の画像を生成する画像生成手段を備えるもの
とする。
【0020】撮像素子であるセンサは、結像光学系であ
る光学素子を透過した赤外線を受けて、その量を表す信
号を画素ごとに出力する。画像生成手段はセンサの出力
信号に基づいて画像を生成するが、その際、全画素の出
力信号すなわち撮影レンズの全ての領域を透過した赤外
線に基づいて単一の画像を生成するから、生成する画像
に、カメラまでの距離差等の撮影範囲内の各部位の位置
情報を反映させることができる。これにより、結像光学
系として単レンズを用いる場合よりも解像度が少し劣る
程度の良質の画像を得ることができる。
【0021】光学素子の材料コストが低いため、赤外線
カメラの製造コストも抑えられる。センサの検出部の面
積にかかわらず光学素子の厚さは一定にすることができ
るから、感度を高めるためにセンサの各画素を大きくし
たり、解像度を高めるためにセンサの画素数を増したり
して、センサが大型化するときでも、製造コストが大き
く上昇するのを避けることが可能である。
【0022】ここで、光学素子の複数の領域が全て光学
的に同等であり、光学素子の複数の領域全体がセンサの
検出部と同じ大きさを有して検出部全体に対向している
構成とするとよい。光学素子をセンサに近接して配置
し、光学素子の各領域の開口数を大きくすることができ
る。したがって、結像精度が向上し、解像度の高い画像
を提供することが可能になる。また、全ての領域を光学
的に等価にすることで、光学素子の作製が容易になり、
画像生成手段による画像生成のための処理も容易にな
る。
【0023】光学素子の各領域を透過した赤外線のうち
透過した領域に対向する範囲外に向かうものを吸収する
吸収部材を備えるとよい。光学素子の異なる領域からの
赤外線がセンサの同一画素に入射すると、その画素の出
力信号は撮影範囲内の異なる部位からの赤外線の量の和
を表すことになって、生成する画像にノイズが生じたり
コントラストが低下したりする。吸収部材を備えて、透
過した領域に対向する範囲外に向かう赤外線を遮断する
ことにより、そのような不都合を防止することができ
る。また、透過した領域に対向する範囲外に向かう赤外
線は、吸収部材によって吸収されるため、透過した領域
に対向する範囲内の画素に入射することがなく、画像の
質を低下させる原因とならない。
【0024】光学素子の各領域を透過した赤外線が透過
した領域に対向する範囲内に向かうもののみになるよう
に、光学素子の各領域への赤外線の入射角を規制する規
制部材を備えるようにしてもよい。この構成でも、画像
の質の低下を防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学素子および赤
外線カメラの実施形態について、図面を参照しながら説
明する。第1の実施形態の赤外線カメラ1の光学構成を
図1および図2に模式的に示す。図1は斜視図、図2は
断面図である。赤外線カメラ1は、光学素子10、撮像
素子20および吸収部材30を備えている。光学素子1
0と撮像素子20により画像を撮影する撮像部51が構
成される。
【0026】光学素子10は結像光学系を成し、赤外線
を透過させて撮像素子20上に結像させる。赤外線カメ
ラ1は8〜14μmの波長域の赤外線を対象としてお
り、光学素子10は、この波長域の赤外線に対して透過
率の高い材料、例えばGe、CdTe、GaAs、Zn
SまたはZnSeで作製されている。
【0027】光学素子10は複数の領域11に区分けさ
れている。以下、光学素子10の個々の領域11をセル
という。セル11は1辺が500μm程度の正方形であ
り、2次元に配列されている。セル11はそれぞれ凸レ
ンズとされており、個別に収束能を有する。全てのセル
11の焦点距離、口径等の光学的特性は同等である。
【0028】結像精度を高くするために各セル11の開
口数は大きく設定されているが、セル11は焦点距離と
口径が共に小さいため、曲率による高低差も小さい。し
たがって、光学素子10は薄く形成することができる。
赤外線カメラ1では、光学素子10の厚さを200μm
程度としている。光学素子10の材料としても厚いもの
は必要でなく、材料コストは、単レンズで結像光学系を
構成する場合の数分の1以下に抑えられる。
【0029】撮像素子20は多数の画素21より成る検
出部22を有する。各画素21は、温度係数の大きな電
気抵抗を有するボロメータであり、受けた赤外線の量に
応じて変化する抵抗値を信号として出力する。撮像素子
20には冷却は不要である。光学素子10と撮像素子2
0の検出部22は同じ大きさを有し、1mm程度の距離
を介して対向している。撮像素子20の各画素21は1
辺が30〜50μmの正方形であり、したがって、光学
素子10の各セル11には百以上の画素21が対向して
いる。なお、光学素子10は、焦点調節のために、撮像
素子20に対して垂直な方向に0.2mm程度可動とさ
れている。
【0030】吸収部材30は、赤外線を吸収する材料で
作製されており、光学素子10のセル11間の境界上に
位置して、光学素子10と撮像素子20の間の空間を仕
切る垂直な壁となっている。
【0031】撮影対象範囲からの赤外線は光学素子10
に入射し、各セル11により収束させられて、撮像素子
20上の各セル11に対向する範囲内に像を形成する。
撮像素子20全体には光学素子10のセル11と同数の
像が形成されることになる。
【0032】光学素子10に入射する赤外線には、入射
角(光学素子10に対する傾き)が大きいものも含まれ
る。このような赤外線は各セル11を透過した後、透過
したセル11に対向する範囲の外に向かうが、吸収部材
30によって遮断されるため、透過したセル11に対向
する範囲外の画素21に入射することはない。また、透
過したセル11に対向する範囲外に向かう赤外線は、吸
収部材30によって吸収されるため反射されることはな
く、透過したセル11に対向する範囲内の画素21に入
射することもない。したがって、撮像素子20の各画素
21には撮影対象範囲内の異なる部位からの赤外線が入
射することはなく、各画素21が出力する信号は撮影対
象範囲の1部位からの赤外線の量を正しく表す。
【0033】撮像素子20上に形成される像の例を図3
に示す。全ての像は類似するが、撮影対象範囲内の同一
部位からの赤外線であってもセル11ごとに入射角が異
なるため、セル11対向する範囲内での像の位置は少し
ずつ相違し、像の内容も少しずつ相違する。
【0034】赤外線カメラ1は、光学素子10の各セル
11に対向する範囲に位置する画素21の出力信号を用
いて個々の画像を生成するのではなく、撮像素子20の
全ての画素21の出力信号を用いて単一の画像を生成す
る。これは、前述の「微小光学素子を用いた連立撮像眼
モジュール」に記されている方法によって行う。図3に
示した像から生成される画像を図4に示す。撮像素子2
0上の全ての像の情報が反映されるため、1つのセル1
1に対向する画素21から得られる画像に比べて、はる
かに解像度の高い画像が得られる。
【0035】赤外線カメラ1の回路構成を図5に模式的
に示す。赤外線カメラ1は、撮像部51のほか、測距部
52、焦点調節部53、画像生成部54、表示部55、
制御部56、操作部57、インターフェース58、およ
び無線通信部59を備えている。測距部52は撮影対象
までの距離を測定する。焦点調節部53は、測距部52
が測定した撮影対象までの距離に応じて光学素子10を
移動させ、焦点が合う距離を調節する。
【0036】画像生成部54は、撮像素子20の全ての
画素21の出力信号に基づいて、上述の画像を生成す
る。画像生成部54は、画像生成のための演算を行うC
PU54aと、CPU54aが利用するプログラムやパ
ラメータを記憶しているROM54bと、画素21の出
力信号や生成した画像を記憶するRAM54cより成
る。測距部52が測定した撮影対象までの距離および焦
点調節部53が設定した光学素子10と撮像素子20の
距離は、CPU54aによる画像生成のための演算に利
用される。
【0037】表示部55は画像生成部54が生成した画
像を表示し、制御部56は各部の動作を制御する。操作
部57は制御指示のために使用者によって操作される。
インターフェース58にはケーブル(不図示)が接続さ
れる。インターフェース58はケーブルを介して、また
無線通信部59は無線で、画像生成部54が生成した画
像をパーソナルコンピュータ、表示装置等の外部の機器
に送出する。なお、撮像素子20の画素21の出力を赤
外線カメラ1から外部の機器に送出し、外部の機器で画
像を生成するようにしてもよい。
【0038】赤外線カメラ1は、インターフェース58
または無線通信部59を介して外部から操作することも
可能であり、これにより監視用カメラとして利用するこ
ともできる。
【0039】個々のセル11がレンズである光学素子1
0は、板状の材料を加工することによって作製する。加
工には切削研磨等の機械的な方法と、マスクを用いてエ
ッチングを行うフォトリソグラフィーの方法を採用する
ことができる。フォトリソグラフィーによる光学素子1
0の作製方法の最も簡便な例を図6に示す。
【0040】まず、Ge等の薄い板状の材料15を用意
し、その表面にレジスト16を設ける(a)。ここで、
レジスト16としては、加熱によって軟化して適度な表
面張力を示すものを用い、厚さは形成するレンズの高低
差程度としておく。次いで、マスクを用いてレジスト1
6を円柱状にパターニングする(b)。そして、加熱し
てレジスト16を軟化させる(c)。このとき、レジス
ト16は、その表面張力により、球面状となる。最後
に、材料15とレジスト16が同じ速度で除去される条
件下でエッチングを行って、レジスト16を除去する
(d)。これにより、球面状の部位が材料15の表面に
残り、個々のセルがレンズとなった光学素子10が得ら
れる。
【0041】吸収部材30の作製方法の例を図7に示
す。まず、赤外線カメラ1が対象とする8〜14μmの
波長域の赤外線を吸収する板状の材料35を用意する
(a)。材料35としては、例えばSiが利用可能であ
る。次いで、材料35の表面にレジスト36を設け、マ
スクを用いてレジスト36を格子状にパターニングする
(b)。そして、異方性エッチングによって、材料35
のうちレジスト36の下方に位置する部位のみを残す
(c)。最後に、レジスト36を除去する(d)。これ
で、壁厚の薄い吸収部材30が得られる。
【0042】第2の実施形態の赤外線カメラ2の光学構
成を図8に模式的に示す。本実施形態の赤外線カメラ2
は、上記の赤外線カメラ1から吸収部材30を省略した
ものであり、他の構成は赤外線カメラ1と同様である。
【0043】吸収部材30を省略したことにより、撮像
素子20の画素21には、対向するセル11を透過した
赤外線のみならず、他のセルを透過した赤外線も入射す
ることになる。したがって、ノイズが生じたりコントラ
ストが低下したりして、生成する画像の質は低下する。
しかし、十分に視認可能な画像を得ることができる上、
製造コストを赤外線カメラ1よりもさらに低減すること
ができる。
【0044】第3の実施形態の赤外線カメラ3の光学構
成を図9に模式的に示す。本実施形態の赤外線カメラ3
は、赤外線カメラ2に、光学素子10への赤外線の入射
角を規制する規制部材40を備えたものである。
【0045】規制部材40は、光学素子10の入射側の
表面に固定されており、その高さは、各セル11を透過
した赤外線が、透過したセルに対向する範囲内に向かう
もののみとなるように設定されている。したがって、赤
外線カメラ1と同様に質の高い画像を生成することがで
きる。なお、規制部材40は吸収部材30と同様にして
作製することができるが、赤外線を光学素子10の反対
側に反射する微細構造を壁面に設けておけば、必ずしも
赤外線を吸収する材料で作製する必要はない。
【0046】上記の各実施形態では光学素子10の各セ
ル11をレンズとして屈折により赤外線を収束させるよ
うにしているが、セル11は回折によって赤外線を収束
させるものとすることもできる。このような光学素子1
0の構成を図10に模式的に示し、そのセル11の構成
を図11に模式的に示す。これらの図において、(a)
は平面図、(b)は断面図である。
【0047】この光学素子10は、Ge等の薄い板状の
材料の表面に同心円の遮光部12を設け、遮光部12間
の開口13を通過する赤外線に回折を生じさせるように
したものである。レンズと同様の収束能をもたせるため
に、遮光部12および開口13はセル11の中央から離
れるほど幅が狭くなるように設定されている。遮光部1
2は、例えば、材料の表面全体にAl、Cr等の金属を
蒸着し、パターニングすることにより作製することがで
きる。遮光部12は、赤外線を遮断するに足るだけの厚
さであればよいから、きわめて薄くすることが可能であ
る。したがって、セル11をレンズとする場合よりも、
さらに光学素子10を薄くすることができる。
【0048】回折により赤外線を収束させる他の光学素
子10のセル11の構成を図12に模式的に示す。図1
2において(a)は平面図であり、(b)は断面図であ
る。この光学素子10は、Ge等の薄い板状の材料の表
面に同心円の回折格子14を形成したものである。レン
ズと同様の収束能をもたせるために、回折格子14の凹
凸はセル11の中央から離れるほどピッチが小さくなる
ように設定されている。各凹凸は、中央の円形の部分を
除き、断面が鋸歯状のブレーズ形状である。
【0049】回折格子14の凹凸の高低差は対象とする
赤外線の波長程度であるから、光学素子10の厚さを図
10および図11に示した構成と同程度にすることがで
きる。しかも、撮像素子20に導かれる赤外線の量が図
10および図11に示した構成に比べて倍増するから、
同じ明るさの画像を提供するために必要な画素21の大
きさが半減し、したがって、撮像素子20と共に光学素
子10を小さくすることが可能になって、光学素子10
の材料に必要な面積も小さくなる。
【0050】回折格子14はフォトリソグラフィーによ
って作製することができる。なお、作製を容易にするた
めに、凹凸の傾斜面を複数段階の水平面で近似して、マ
ルチレベルのバイナリ型回折格子としてもよい。
【0051】なお、各実施形態では光学素子を6×6の
36領域に区分けしているが、領域数は任意に設定して
かまわない。撮像素子の画素を320×240またはそ
れ以上とするために面積の大きい光学素子とするときで
も、領域数を増すだけでよく、光学素子の厚さを増大さ
せる必要はない。また、用途に応じて、領域を1次元配
列としてもよい。
【0052】また、ここでは単一の材料を加工すること
に光学素子を作製する例を示したが、個々の領域に相当
する複数の材料を接合することにより光学素子を作製す
ることもできる。この方法では、各領域があまりに小さ
いと個々の材料の加工や接合に際しての取扱いが難しく
なるが、各領域を2〜3mm程度の大きさにする場合
は、取扱いは容易であり、材料コストをさらに抑えるこ
とが可能になる。
【0053】透過対象とする赤外線の波長も例示した1
0μm前後に限られず、温度との対応関係が良好な1μ
mから20μmの範囲内のどの波長域の赤外線を対象と
してもよい。光学素子10の材料は、対象とする赤外線
の波長に応じて選択する。例えば、3μm前後の比較的
短波長の赤外線を対象とするときはSiを用いればよ
い。なお、ここに示したGe等の材料は現在入手可能な
ものである。将来、より良好な赤外線透過材料が開発さ
れると期待されるが、当然、それらの材料も利用可能で
ある。
【0054】
【発明の効果】本発明の光学素子は、薄型とすることが
できるため、材料のコストが抑えられ、低コストで作製
することが可能である。赤外線を透過させる材料は厚さ
が増すにつれて急激にコストが上昇するが、面積の大き
い光学素子とするときでも、領域数を増すだけでよく厚
さを増す必要はないから、コストの大きな上昇を避ける
ことができる。
【0055】本発明の赤外線カメラは、結像光学系とし
て低コストの光学素子を使用するため、低コストで製造
することができる。また、撮像素子であるセンサに光学
素子を近接して配置することができるから、全体を薄い
構成とすることが可能であり、したがって、使いやすい
赤外線カメラとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の赤外線カメラの光学構成を
模式的に示す斜視図。
【図2】 第1の実施形態の赤外線カメラの光学構成を
模式的に示す断面図。
【図3】 第1の実施形態の赤外線カメラの撮像素子上
に形成される像の例を示す図。
【図4】 第1の実施形態の赤外線カメラが図3の像か
ら生成する画像を示す図。
【図5】 第1の実施形態の赤外線カメラの回路構成を
模式的に示すブロック図。
【図6】 第1の実施形態の赤外線カメラの光学素子の
作製方法の例を模式的に示す図。
【図7】 第1の実施形態の赤外線カメラの吸収部材の
作製方法の例を模式的に示す図。
【図8】 第2の実施形態の赤外線カメラの光学構成を
模式的に示す斜視図。
【図9】 第3の実施形態の赤外線カメラの光学構成を
模式的に示す斜視図。
【図10】 回折により赤外線を収束させる光学素子の
構成を模式的に示す平面図(a)および断面図(b)。
【図11】 図10の光学素子の1領域の構成を模式的
に示す平面図(a)および断面図(b)。
【図12】 回折により赤外線を収束させる他の光学素
子の1領域の構成を模式的に示す平面図(a)および断
面図(b)。
【符号の説明】
1、2、3 赤外線カメラ 10 光学素子 11 セル(領域) 12 遮光部 13 開口 14 回折格子 15 光学素子材料 16 レジスト 20 撮像素子 21 画素 22 検出部 30 吸収部材 35 吸収部材材料 36 レジスト 40 規制部材 51 撮像部 52 測距部 53 焦点調節部 54 画像生成部 54a CPU 54b ROM 54c RAM 55 表示部 56 制御部 57 操作部 58 インターフェース 59 無線通信部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線を透過させる材料より成り、透過
    する赤外線を収束させる光学素子であって、 透過する赤外線を個別に収束させる複数の領域に区分け
    されていることを特徴とする光学素子。
  2. 【請求項2】 1μm以上かつ20μm以下の範囲内の
    波長の赤外線を透過させることを特徴とする請求項1に
    記載の光学素子。
  3. 【請求項3】 材料がGe、CdTe、GaAs、Zn
    S、ZnSeおよびSiのうちのいずれかであることを
    特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  4. 【請求項4】 領域が2次元に配列されていることを特
    徴とする請求項1に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 各領域が透過する赤外線を屈折によって
    収束させることを特徴とする請求項1に記載の光学素
    子。
  6. 【請求項6】 各領域が透過する赤外線を回折によって
    収束させることを特徴とする請求項1に記載の光学素
    子。
  7. 【請求項7】 赤外線を結像させる結像光学系と、結像
    光学系からの赤外線を受けて画像を撮影する撮像素子を
    備える赤外線カメラであって、 結像光学系として、請求項1ないし請求項6のいずれか
    1項に記載の光学素子を備え、 撮像素子として、受けた赤外線の量を表す信号を出力す
    る多数の画素から成る検出部を有するセンサを備え、 さらに、センサの全画素が出力する信号に基づいて単一
    の画像を生成する画像生成手段を備えることを特徴とす
    る赤外線カメラ。
  8. 【請求項8】 光学素子の複数の領域が全て光学的に同
    等であり、光学素子の複数の領域全体がセンサの検出部
    と同じ大きさを有して検出部全体に対向していることを
    特徴とする請求項7に記載の赤外線カメラ。
  9. 【請求項9】 光学素子の各領域を透過した赤外線のう
    ち透過した領域に対向する範囲外に向かうものを吸収す
    る吸収部材を備えることを特徴とする請求項8に記載の
    赤外線カメラ。
  10. 【請求項10】 光学素子の各領域を透過した赤外線が
    透過した領域に対向する範囲内に向かうもののみになる
    ように、光学素子の各領域への赤外線の入射角を規制す
    る規制部材を備えることを特徴とする請求項8に記載の
    赤外線カメラ。
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