JP2002241661A

JP2002241661A - ７色インクを用いるインクジエツト印刷法

Info

Publication number: JP2002241661A
Application number: JP2001086433A
Authority: JP
Inventors: Yasusaburo Sakai; 泰三郎酒井
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2001-02-16
Filing date: 2001-02-16
Publication date: 2002-08-28

Abstract

(57)【要約】【目的】インクジエツト印刷法はドツトが大きいた
め、従来の版印刷法に較べて画質が粗いという欠点があ
る。また、ＣＭＹ三原色インクでは色再現性が不十分
であり、色相を忠実に再現したカラー画像をインクジエ
ツト印刷することが困難であった。その反面、インク
ジエツト印刷法は多色インクに対応しやすい特長があ
り、多色インクを採用することにより色再現性を向上さ
せ、画質及び階調性を改善したカラー画像の印刷が可能
になる。【構成】ＣＭＹＲＧＢＫの７色インクを用いることに
より、色再現性を向上させる。また、７色インクを用
いることにより、ドツト間の色差が小さくなるため、階
調性の優れた高画質のカラー画像をインクジエツト印刷
することが出来るようになった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はインクジェット印刷法
に用いるインクに関する。更に詳しくは、インクジエ
ツト印刷法によりカラー画像を印刷する方法において、
シアン（Ｃ），マゼンタ（Ｍ），イエロー（Ｙ），レツ
ド（Ｒ），グリーン（Ｇ），ブルー（Ｂ），ブラツク
（Ｋ）の７色インクを用いることにより、カラー画像の
画質及び色再現性が改善されたインクジエツト印刷法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット印刷法はインクの微小液
滴をノズルから吐出させ紙面に付着させた多数のインク
ドツトにより文字や画像の印刷をおこなう無版印刷法で
あり、公知である。インクジエツト印刷法では微小な
インク滴が高速かつ高頻度で吐出されるため、インクの
表面張力は出来るだけ大きく、インク粘度は出来るだけ
低いことが好ましい。それ故、水を主たる溶媒とした
水性インクが使用される。水性インクはインク溶媒が
蒸発して室内の空気汚染を生ずる心配もなく、インクジ
エツト用インクとして最適である。インクは水溶性染
料で着色されている。

【０００３】インクジエツト印刷機は印刷ヘツドの構造
が簡易であり、またデジタル信号との相性が良いため、
現在はパソコン用のプリンタとして使われている。パ
ソコンのディスプレイ画面はカラー表示できるため、カ
ラープリンタが使用される。このカラープリンタにはシ
アン（Ｃ），マゼンタ（Ｍ），イエロー（Ｙ），ブラツ
ク（Ｋ）の４色インクが使用されている。カラー画像
には主としてＣＭＹ三原色が、また文字の印刷にはブラ
ツク（Ｋ）のインクが使用される。

【０００４】このＣＭＹ三原色によるカラー画像のイン
クジエツト印刷法は、従来の版印刷法、例えば、グラビ
ア印刷法で用いられるＣＭＹ三原色の網点によりカラー
画像を印刷する方法と同じである。しかし、グラビア
印刷法では刷版の網点をエツチング法で作るため、ドツ
ト径が０．５〜１μｍほどであり、小さいから、精細な
カラー画像を印刷できる。これに対して、インクジエ
ツト印刷法ではドツト径が大きいため、高品位のカラー
画像を印刷できない問題がある。つまり、グラビア印
刷では網点が小さいため階調性の良いカラー画像を印刷
できるのに対して、インクジエツト印刷ではノズルから
吐出されるインク滴の粒径を５〜１０μｍより小さくす
ることは非常に困難である。したがって、紙面上のイ
ンクドツトの径が大きいため、カラー画像の階調性が良
くないのである。これは「画質が粗い」とか、「画像に
粒状感が残る」とか、「色のグラデーションが滑らかで
ない」などの言い方でも表現される。

【０００５】また一方、現在のインクジエツトプリンタ
では、パソコンのディスプレイ画面の映像をハードコピ
ーにプリントアウトした時に経験するように、色相を忠
実に紙面上に再現できない問題がある。この色再現性
が良くない原因はインクに使用されている染料にある。

【０００６】インクジエツト用インクに使用される水溶
性染料は繊維の染色に使われている染料の中からＣＭＹ
の色相に近いものを選んでいる。もともと、ＣＭＹ色
素として作られた染料ではないから、その吸光特性は理
論的に求められた正しい吸光範囲から偏っている。例
として、図１にインクジエツト用インクに使われている
ＣＭＹ染料の吸光曲線を示す。図１から分かるよう
に、それぞれの染料の吸光曲線は山型であり、曲線の裾
野は広い範囲の波長にまたがって副吸収（不斎吸収）を
有している。そのため、これらＣＭＹ三原色の混色に
より得たカラー画像は原画の色調を忠実に再現しない。
また、副吸収が重なることにより、色相が濁ってく
る。

【０００７】

【図１】

【０００８】このように、理論値からずれた吸収曲線を
有するＣＭＹ三原色では色を忠実に再現することが難し
いのであるが、特にＣＭＹ三原色のそれぞれの補色であ
るＲＢＧの色を再現することが難しい。これが、現在
のＣＭＹ三原色系インクを用いるインクジエツトプリン
タの色再現性が悪い原因である。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記に述べたように、
インクジエツト印刷法ではドツトの径を小さくすること
には限界があるため、印刷した画像の階調性が良くない
という問題があった。また、ＣＭＹ三原色系インクでは
色再現性が良くないという問題があった。

【００１０】ここで、ＣＭＹ三原色とそれらの補色であ
るＲＢＧとの関係を説明しておく。図２には太陽光（白
色光）のスペクトル区分を示す。スペクトルの可視領
域を大略４００ｎｍ〜７００ｎｍまでとして、その間を
１００ｎｍ間隔で３区分すれば、各区の色はレツド
（Ｒ），グリーン（Ｇ），ブルー（Ｂ）となり、２区分
ずつ組み合わせれば、それぞれイエロー（Ｙ），シアン
（Ｃ），マゼンタ（Ｍ）の色の光が得られる。

【００１１】

【図２】

【００１２】紙面に印刷されたカラー画像を人間が見る
ときは、紙面からの反射光を見ているから、ＣＭＹ三原
色の減法混色により色を出す。図２において、４００
ｎｍ〜５００ｎｍの波長域の光を吸収する染料はイエロ
ー（Ｙ）色を呈する。６００ｎｍ〜７００ｎｍの波長域
の光を吸収する染料はシアン（Ｃ）色を呈する。また、
５００ｎｍ〜６００ｎｍの波長域の光を吸収する染料は
マゼンタ（Ｍ）色を呈する。減法混色では、ＹとＣの染
料を混合すれば両方の染料によって吸収されない波長域
の反射光だけ見えるから、グリーン（Ｇ）色を呈する。
同様にして、ＹとＭを混色すればレツド（Ｒ）色を呈
し、ＣとＭを混色すればブルー（Ｂ）色を呈する。

【００１３】図２はＲＧＢとＣＭＹの関係を理論的モデ
ルにより示したものであり、実際の染料の吸光曲線は理
論値より偏っているから、染料の反射率曲線で示したＣ
ＭＹとＲＧＢの関係は図３に示すようなものになる。
図３から分かるように、実際の染料ではＣＭＹ三原色の
減法混色により得られるＲＧＢの色は明度が不足してお
り、色が濁っており、色の鮮明さが不十分であることが
分かる。即ち、図２に示した理論的な混色で得られる
ＲＧＢから掛け離れていることが明らかである。

【００１４】

【図３】

【００１５】都合の悪いことに、自然界において人間の
視覚に映る色はＲＧＢに近い色が多く、ＣＭＹに近い色
は少ないことである。例えば、海の紺色はＢに近く、
山野の樹木の緑はＧに近く、街中の風景や室内の色には
茶色や肌色，ベージュ，橙色などＲに近い色が多いので
ある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】前述したごとく、インク
ジエツト印刷用インクには色材として染色用の染料を使
用する。繊維染色用の染料にはＲＧＢの鮮明色を有す
るものが数多くある。ＣＭＹ三原色を混色して作るＲＧ
Ｂの色よりも、単品のＲＧＢ染料の方が遥かに鮮明な色
を呈する。このたび、本発明者はＣＭＹ三原色にＲＧ
Ｂを加えた６色インクを用いてインクジエツト印刷する
と、印刷物の色再現性を著しく向上させることが出来る
ことを見いだした。また、ＣＭＹＲＧＢの６色インク
を用いてインクジエツト印刷すると、ドツト径が大きい
にもかかわらず、カラー画像の階調性が著しく向上する
ことが明らかになった。

【００１７】例えば、ＣＭＹ三原色では人間の肌色をＹ
（イエロー）とＭ（マゼンタ）で表わすが、ＹとＭのド
ツトが隣接するところでは色差が余りにも大きく、肌色
の滑らかなグラデーションを出すことが難しい。これ
に対して、６色インクではＲ（黄味赤色）を使うので、
ＹとＲのドツトが隣接しても色差は余り目立たない。従
って、より滑らかなグラデーションの自然に近い肌色を
表現できる。即ち、階調性の優れたカラー画像が得ら
れる。また、五月の新緑のグリーンはＣＭＹ系ではＹ
（イエロー）とＣ（シアン）で出すが、若葉のもえぎ色
から濃い深緑色まで様々な色調のグリーンをＹとＣのド
ツトだけで表現してもドツト径が大きいから色差が目立
ち高品位の画質が得られない。これに対して、６色イ
ンクではＧ（グリーン）を使えるから、もえぎ色はＹと
Ｇで、深緑色はＧとＣで表すことができる。そのた
め、緑色の微妙な変化を表現でき高品位の画質が得られ
る。空の青色や海の紺色をＣＭＹ三原色ではＭ（マゼン
タ）とＣ（シアン）で表わすが、インクジエツトではド
ツト径が大きいから、色差が目立ち空や海の色がきれい
にならない。６色インクではＢ（ブルー）の冴えた赤
味の青色を使うことができるから、ドツト径が大きくて
も美しい空や海の色を再現できる。このように、ＣＭＹ
ＲＧＢの６色インクではＣＭＹ三原色インクの場合より
色再現性が向上し、美しい色の画像が得られる。ま
た、ドツト径が大きくても階調性が優れており、全体と
して高品位画質のカラー画像が得られる。

【００１８】ＣＭＹＲＧＢの６色インクがＣＭＹ三原色
インクよりも色再現性に優れている理由を図４に示すマ
ンセル色表系の色相環を用いて説明する。

【００１９】

【図４】

【００２０】マンセル色表系はＩＳＯやＪＩＳ規格のカ
ラーオーダーシステムにも採用されている。色相環の
円周上で全ての色を表示できるが、ここでの使用目的に
は複雑すぎるので、簡略化した色相環を図５に示した。
図５において、ＣとＲ，ＭとＧ，ＹとＢはそれぞれ補
色の関係にあって、ＲＧＢはそれぞれＣＭＹ三原色で最
も色を出しにくい位置に在ることが分かる。それ故、
ＣＭＹＲＧＢの６色インクの使用は色再現性の向上に効
果があることが明らかになる。

【００２１】

【図５】

【００２２】インクジエツトの印刷ヘツドは構造が簡素
であり、ノズルの数を増やせば容易に多色インクに対応
しやすいから、ＣＭＹＲＧＢＫの７色インクを使用する
ことにより、色再現性と階調性に優れたインクジエツト
プリンタや印刷機を作ることができる。

【００２３】

【発明の実施の形態】ＣＭＹＲＧＢＫの７色インクを作
る具体例について説明し、本発明を実施する形態を次に
述べる。これまで、特願平９−１５４２４６，特願平
１０−３０１５８０および特願２０００−５０３１２に
おいて、耐久性の良いインクジエツト用インクとして可
溶化した建染染料を提案してきたため、ここでは同じ種
類の可溶性建染染料を用いて本発明の７色インクを作る
具体例について説明する。インクの組成は次の通りで
ある：３〜８重量部可溶性建染染料１０〜２０重量部Ｎ，Ｎ’−ジメチル−イミダゾリジノン７５〜９０重量部水１００ＣＭＹＲＧＢの７色インクに使用する可溶性建染染料に
は次の染料を使用した。

【００２４】

【化１】

【００２５】

【発明の効果】７色インクを用いるインクジエツト印刷
法では、従来のＣＭＹ三原色インクに較べて、色再現性
が良くなり、カラー画像の色相を紙の上に忠実に再現で
きる。また、インクジエツト特有のドツトの粗さに起因
する画質の粗さを多色インクを採用することによって隠
すことができるため、インクジエツト印刷法の階調性を
改善する効果がある。

【００２６】

【図面の簡単な説明】

【図１】インクジエツト用インクに使われるＣＭＹ染
料の吸光曲線の説明図．

【図２】太陽光（白色光）のスペクトル区分を示す説
明図．

【図３】染料の反射率曲線で示すＣＭＹとＲＧＢの関
係を示す説明図．

【図４】マンセル色表系の色相環の説明図．

【図５】ＣＭＹとＲＧＢの関係を示す色相環の説明
図．

【符号の説明】

Ｗ・・・白色光Ｃ・・・シアンＭ・・・マゼンタＹ・・・イエローＲ・・・レツドＧ・・・グリーンＢ・・・ブルーＰ・・・パープル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】インクジエツト方式によりカラー画像を
印刷する方法において、シアン（Ｃ），マゼンタ
（Ｍ），イエロー（Ｙ），レツド（Ｒ），グリーン
（Ｇ），ブルー（Ｂ），ブラツク（Ｋ）から成る７色イ
ンクを用いることを特徴とするインクジエツト印刷法。
【請求項２】上記のシアン（Ｃ），マゼンタ（Ｍ），
イエロー（Ｙ），レツド（Ｒ），グリーン（Ｇ），ブル
ー（Ｂ），ブラツク（Ｋ）の各色インクが下記の化学構
造式で示される水溶性染料のいずれかを含むことを特徴
とする特許請求の範囲第一項に記載の７色インク：